説明

画像形成装置

【課題】ジャム処理等でシート集積途中で一時停止した胴内フィニッシャを画像形成装置本体から離脱する際に、集積途中のシート束が崩れない画像形成装置を提供する。
【解決手段】胴内フィニッシャが、画像形成本体から搬出されるシートを一時積載する処理トレイ64と、処理トレイ64上のシート束に後処理を施す後処理手段と、処理トレイ64の下流側に配置される集積トレイと、前記シート又はシート束を前記集積トレイに搬送するローラ搬送手段と、前記搬送手段を制御する制御手段とを備え、ローラ搬送手段はシート又はシート束を集積トレイに搬出する搬出ローラ73と、搬出ローラ73を処理トレイ64上でシートに圧接及び離隔自在に支持するローラ支持手段76とで構成し、制御手段は搬出ローラ73を回転状態と回転停止状態に制御し、胴内フィニッシャを画像形成本体から離脱する離脱信号を受け搬出ローラ73を回転停止状態でシート圧接方向に押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、プリンタなどの画像形成装置に関し、特に画像形成部で形成し搬出されるシートに紙綴じ、穴開け、捺印などの後処理を施す胴内フィニッシャを胴内に収めた小スペース型の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の胴内フィニッシャは複写機、プリンタなどの画像形成装置の排紙口に載置トレイを設け、この載置トレイにステップラー装置、パンチ装置、スタンプ装置などの胴内フィニッシャを装備し、画像形成装置から搬出される一連のシートを載置トレイ上で束状に整合集積し、その集積したシート束に後処理を施し、処理後のシートを下流側の集積トレイに収容する装置として広く知られている。
【0003】
近年、オフィースの小スペース空間に配置可能な画像形成装置として、例えば特許文献1で示す様な、画像形成装置本体上方部に画像読取装置、その上に自動原稿送り装置を搭載し、画像形成装置本体と画像読取装置の間に手前と片側側面を開放した断面コの字状のスペース空間を形成し、そのスペース空間内に上述の胴内フィニッシャを嵌め込んだ所謂胴内フィニッシャ搭載の画像形成装置が提供されている。
【0004】
この胴内フィニッシャ搭載の画像形成装置では、画像形成装置から搬出されるシートの搬送不良により搬送経路中に滞留したシートの除去、ステップラー装置の針補充、パンチ装置のパンチ屑排除、スタンプ装置のインク交換等の処理を行う為に、胴内フィニッシャを画像形成装置本体から引き離し可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−240779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そして、この画像形成装置では、特に、胴内フィニッシャで画像形成装置から搬出されるシートを処理トレイ上で整合し束積載したシート束をステップラー装置を使って綴じる工程で、シートを処理トレイ上に積載している最中にシートの搬送不良が発生し、搬送不良のシートを搬送経路から取り除く為に胴内フィニッシャを画像形成装置から引き離す際に、胴内フィニッシャ全体に衝撃が加わり、その衝撃によってそれまで整合し束積載した綴じ処理前のシート束の整列性が崩れることが有る。この崩れた状態で搬送不良のシートを取り除き装置を再起動した場合、一旦崩れた整列性は完全には治すことが出来ず、整列性の悪い状態で後処理が行われてしまうといった問題を抱えている。
【0007】
そこで、本発明は仮に搬送不良が発生し、シート集積中に胴内フィニッシャを画像形成装置から離間する事態が発生した場合でも、シート束の整列性を崩すこと無く搬送不良のシートを取り除くことが出来、装置の再起動で引き続き束積載したとしても整列性は優れた後処理を行い得る胴内フィニッシャ及びこれを用いた画像形成装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成装置本体と、この画像形成装置本体で画像形成されたシートを搬出するシート搬出手段と、前記画像形成本体内に引出し可能に収容され前記シート搬出手段から排出されるシートに後処理する胴内フィニッシャとを備えた画像形成装置において、前記胴内フィニッシャは、前記画像形成本体から順次搬出されるシートを一時的に積載する処理トレイと、この処理トレイ上で載置されたシート束に綴じ処理、穴開け処理などの後処理を施す後処理手段と、処理トレイの下流側に配置され前記シート又は前記シート束を収納する集積トレイと、前記シート又は前記シート束を前記集積トレイに搬出するローラ搬送手段と、このローラ搬送手段を制御する制御手段とを備え、前記ローラ搬送手段は、前記シート又は前記シート束を前記集積トレイに搬出する搬出ローラと、前記搬出ローラを前記処理トレイ上で前記シート又は前記シート束に圧接及び離隔自在に支持するローラ支持手段とで構成し、前記制御手段は、前記搬出ローラを回転状態と回転停止状態に制御するとともに、前記胴内フィニッシャを前記画像形成本体から離脱する離脱信号を受け前記ローラを回転停止状態でシート圧接方向に押圧制御することを特徴としている。
【0009】
また前記胴内フィニッシャは、前記処理トレイ上に積載されるシートの後端を規制する後端規制手段と、この処理トレイ上に積載されるシートの後端を前記後端規制手段側に引き込む引込手段と、この引込手段により引き込まれたシートの幅方向を整合する整合手段とを備え、前記制御手段は、前記画像形成本体から離脱する離脱信号を受け、前記搬出ローラのシート押圧制御と共に前記引込手段及び前記整合手段を制御してシート束を整合位置に保持する。
【0010】
また、前記シート搬出手段は、搬出シートに圧接する位置と離間した位置に移動可能なガイドローラ対と、このガイドローラ対を前記胴内フィニッシャの前記画像形成装置本体への装着に連動し圧接位置に、前記胴内フィニッシャの前記画像形成装置本体への離脱に連動し離間位置に接離する連結機構とを備えている。
【0011】
更に、前記胴内フィニッシャは、前記画像形成本体と連結する手動走査可能なジョイント手段を備え、前記制御手段による前記シート束の保持後に前記ジョイント手段による前記画像形成本体と連結解除に連動し前記シート搬出手段のガイドローラ対を圧接位置から離間位置に移動する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、胴内フィニッシャを画像形成本体から離脱する離脱信号を受け、シート又はシート束を処理トレイから集積トレイに搬送する搬出ローラを回転停止状態でシート束を押圧制御することで、シート集積途中で一時停止した胴内フィニッシャを画像形成装置本体から離脱する際に、集積途中のシート束が崩れることが無く、ジャム処理等の処理終了後、引き続きシート集積を再開し後処理を行っても普段通りの後処理を完成させることが出来る。
【0013】
また、搬出ローラにより処理トレイ上のシート束を押圧した後に、胴内フィニッシャの画像形成装置本体からの離脱と同時にシート搬送上流側の搬送ガイドを拡開することで、処理トレイ上のシート束に不用意な負荷を与えることが無く、集積途中のシート束が崩れることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の概観斜視図。
【図2】図1の画像形成装置の概略断面図。
【図3】図2の画像形成装置における胴内フィニッシャの離脱状態説明図。
【図4】胴内フィニッシャの概略断面図。
【図5】図4の胴内フィニッシャにおけるシート束集積動作説明図のシート受入状態図。
【図6】図4の胴内フィニッシャにおけるシート束集積動作説明図のシート整合状態図。
【図7】図4の胴内フィニッシャにおけるシート束集積動作説明図のシート受入待機状態図。
【図8】胴内フィニッシャの制御を示すブロック図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わる画像形成装置の概観斜視図、図2はその画像形成装置の概略断面図、図3はその画像形成装置における胴内フィニッシャの離脱状態説明図、図4はその胴内フィニッシャの概略断面図である。
【0016】
[画像形成装置のユニット全体構成]
まず図1及び図2で示す様にこの画像形成装置は、画像形成装置本体(画像形成ユニット)Aと、画像読取ユニットBと、胴内フィニッシャ(フィニッシャユニット)Cとで構成されている。
【0017】
[画像形成装置本体Aの構成]
画像形成装置本体Aは外装ケーシング10内に給紙部20、印字部30、定着部40、排紙部50がそれぞれ組込まれ、その構成は複写機、プリンタなどで種々のものが知られ、同様の動作処理を行うもので、各動作処理の説明は省略する。
【0018】
[画像読取ユニットBの構成]
次に画像読取ユニットBについて説明すると、この画像読取ユニットBは画像形成装置本体Aの上部に配置され、原稿シートの原画像を読取る所謂スキャナとして広く知られている。この構成について概略説明すると、上側に原稿を順次読取位置に自動的に搬送する自動原稿送り装置ADFと、下側に自動原稿送り装置ADFから読取位置に給送される原稿を順次読取るスキャナーユニットIRから成り、その構成は一般に種々知られ、同様の動作処理を行うもので、詳細については省略する。
【0019】
[胴内フィニッシャCの構成]
次に胴内フィニッシャCについて説明する。図1乃至図3に示すようにこの胴内フィニッシャCは、上述の画像形成装置本体Aと画像読取ユニットBとの間で、画像形成装置本体A内に引出し可能に収容されている。そしてこの胴内フィニッシャCは、画像形成装置本体Aの排紙口52(以下本体排紙口という)と連なる排紙経路62(以下ユニット排紙経路という)と、このユニット排紙経路62からのシートを一時的に載置する処理トレイ64と、この処理トレイ64上のシートに後処理を施す後処理装置(後処理手段)100と、処理トレイ64から送られた処理済シートを収納する集積トレイ112とから構成される。ユニット排紙経路62はシートを案内するガイド板62aとシートを搬送する搬送ローラ62b(駆動側ローラ)および搬送ローラ62g(従動側ローラ)が設けられている。
【0020】
そしてこのユニット排紙経路62の排紙口63には排紙ローラ対69が駆動側ローラ69aと従動側ローラ69bとで設けられ、順次排紙口63からシートを搬出する。この排紙口63の下流に処理トレイ64が高低段差を形成して下側に配置されている。そこで排紙口63の駆動側ローラ69aには後述の位置決め手段65にシートを搬出する移送手段66が設けられている。このように排紙口63に設けられる移送手段66としてはキャタピラベルト、パドル搬出機構などが知られているが図示のものはエンドレスベルトの表面に複数の突起を形成してこの突起でシート後端を後方へ引き込むキャタピラベルト67で構成されている。
【0021】
このキャタピラベルト67は一端を前述の駆動側ローラ69aの駆動軸69cに設けたプーリに嵌合してある。そしてキャタピラベルト67の他端は駆動軸69cに揺動自在に軸承した支持アーム68に取付けたプーリに嵌合してある。従って排紙ローラ69の駆動軸69cを中心にキャタピラベルト67は揺動自在に支持され、その先端は処理トレイ64に載置されたシート上に当接し、基端部を駆動軸69cによって回転駆動されることとなる。
【0022】
そこでユニット排紙経路62からのシートは排紙ローラ69で排紙口63から順次搬出され、キャタピラベルト67の上面側で処理トレイ64に送られ、次いでベルト下面側で処理トレイ64の最上紙に沿って反転搬送される。尚、図示61は排紙口63に設けられたガイド片であり、シート先端が進入するときは上方に退避し、シート後端をキャタピラベルト67に沿って処理トレイ方向に案内する。処理トレイ64にはシートを突当て規制する位置決め手段65が設けられ、シートはこの位置決め手段65に沿って整列される。図示の位置決め手段65はシートの搬送方向後端を突当て規制する位置に処理トレイ64から突出した突起部材で構成している。
【0023】
そしてこの位置決め手段65に規制されたシート後端に後処理を施すように以下の後処理装置100が配置される。後処理装置100としては処理トレイ64上の規制位置に束状に積み上げられたシートに穴開け処理を施すパンチ機構、綴じ処理を施すステップル機構などが採用される。
【0024】
この後処理装置100は後述する胴内フィニッシャCの装置フレームに設けたガイドレール107(107a,107b)に沿って移動自在に取付けられている。つまりユニット排紙経路62の下側に処理トレイ64と位置決め手段65がシートの排紙方向と直交する方向に配置され、この位置決め手段65に沿って移動自在に配置され、その後処理機構によってシート後端の所定位置に後処理が施されることとなる。
【0025】
また、処理トレイ64には整合手段91が装備される。この整合手段91は搬送方向と直交する方向(シート幅方向)のシート側縁を規制してシートを処理トレイ上に所定の姿勢で収納する。
【0026】
この整合手段91は左右一対の整合板で構成され、処理トレイ64に互いに相反方向に移動自在に支持され、ステッピングモータからなる整合モータM6(M6a,M6b)に所定の電源パルスを供給することで互いに接近及び離間する。そこで画像形成装置本体Aで搬出したシートの幅サイズ信号を胴内フィニッシャCの制御部(制御CPU90)が受信して、シート幅に応じた電源パルスを整合モータM6a,M6bに供給すると左右一対の整合板はシートサイズに応じた待機位置に移動し、シートが処理トレイ64上に搬送された後はこのシートを幅寄せしてセンター基準で整然と位置決めすることが可能となる。
【0027】
このように処理トレイ64上に整列されたシート束には前述の後処理装置100で後処理が施される。
【0028】
[シート束搬送機構]
次に処理後のシート束を処理トレイ64から搬出する搬送機構について説明する。処理トレイ64には隣接する後述の集積トレイ112にシートを搬出するローラ搬送手段72が設けられている。このローラ搬送手段72はシートを搬送する搬出ローラ73とこの搬出ローラ73をシートと当接する作動位置とシートから離間した退避位置との間で移動自在に支持するアーム部材(ローラ支持手段)76で構成されている。
【0029】
この搬送機構は、ユニットフレーム(図示せず)に固定した駆動回転軸77に基端部を軸承したアーム部材76を設け、このアーム部材76の先端にシート幅方向に2つの搬出ローラ73a、73bを軸承し、この搬出ローラ73に伝動ベルト73cで駆動回転軸77の駆動を伝達して搬送手段72を構成している。従って搬出ローラ73は駆動回転軸77の駆動でシート搬送方向に回転するのと同時に、この駆動回転軸77を中心に揺動し処理トレイ64上のシートと当接する作動位置と退避位置との間で昇降自在に支持されることとなる。
【0030】
そこでこのアーム部材76には次の押圧力付与手段80が設けられている。アーム部材76と同様にユニットフレーム(図示せず)に固定された回転支軸83に基端部を軸承した加圧レバー82が設けられ、その先端部がアーム部材76に係合してある。
【0031】
そして、回転支軸83を介し加圧レバー82がステッピングモータから成る加圧モータ(図示せず)の正回転で上昇位置に、逆回転で下降位置に揺動するように成っている。
【0032】
また加圧レバー82の先端にはウィング状の係合片82aが設けてあり、この係合片82aはアーム部材76に形成した係合溝76aに嵌合してある。そしてアーム部材76と加圧レバー82との間には加圧スプリング81が設けてあり、加圧レバー82の下降運動は加圧スプリング81を介してアーム部材76に伝達され、このアーム部材76に搬出ローラ73が軸受支持されている。一方加圧レバー82の上昇運動は係合片82aが係合溝76aの上壁に当接してアーム部材76を上昇させるようになっている。
【0033】
従って加圧レバー82の下降時には加圧スプリング81を介して搬出ローラ73を処理トレイ64上のシートに押圧する。この押圧力は加圧モータ(図示せず)に供給するパルス電流の制御によって大小加減することが可能となる。尚、図示81bは緩衝レバーで、ユニットフレームに軸81cで軸承され、先端部は加圧スプリング81と加圧レバー82との間に配置されスプリングを保持するようにアーム部材76の係合孔76bに嵌合してある。
【0034】
[処理トレイ/集積トレイ]
一方、処理トレイ64には搬出ローラ73に対向する位置にピンチローラ74が配置してあり、処理トレイ64上のシートはこの搬出ローラ73とピンチローラ74でニップされる。かかる構成の処理トレイ64の下流には集積トレイ112が設けられ、搬送手段72で送られた処理済みシートを収納する。図示の集積トレイ112はユニットフレーム(図示せず)に片持ち支持され、フレーム側のガイドレールに沿って昇降自在に支持されている。そして図示しないがこの集積トレイ112はトレイ昇降モータM7によってシートの積載量に応じて降下し、常に最上のシートの位置を所定位置に保っている。図示112aは紙面高さを検出するセンサであり、112bはそのアクチュエータである。このセンサ112aはトレイ上のシートの高さ位置を検出するのと同時に満杯を検出するようになっている。
【0035】
以上説明した胴内フィニッシャCは画像形成装置本体Aから分離したユニットで構成され、左右の側枠フレーム(図示せず)に前述の処理トレイ64、後処理装置100を支持(担持)するガイド軸107a及びスライダー107bをそれぞれ固定し、更に集積トレイ112を昇降自在に支持するガイドレール108を固定し、ユニットとして画像形成装置本体Aの排紙口52に組込むようになっている。
【0036】
そしてこの胴内フィニッシャCは図3に示すように画像形成装置本体Aに引出し状に装着及び離脱自在に組込まれている。その為側枠フレーム(図示せず)と画像形成装置のフレームには図示しないガイドローラとガイドレール108が設けてある。
【0037】
[画像形成装置本体Aの排紙部50について]
次に画像形成装置本体Aの排紙部50について説明する。この排紙部50は図3で示す様に、一対の排紙ローラ53、54と、排紙ローラ53(駆動ローラ)を回転自在に支持する上側ガイド55と、排紙ローラ54(従動ローラ)を回転自在に支持する下側ガイド56と、下側ガイド56に揺動支点57aを有し、他端が胴内フィニッシャCを引き出し可能にガイドするガイドレール108上を胴内フィニッシャCの引き出し動作に追従し摺動出き、図示の点線で示す排紙ローラ54が排紙ローラ53に押圧しシートを排紙する圧接状態と、図示の実線で示す排紙ローラ54が排紙ローラ53から離間し排紙口52が拡開した退避状態に移動可能に支持されている。尚、この排紙部50と胴内フィニッシャCはジョイント手段109を介し連結維持されるとともに、胴内フィニッシャC側には手動操作可能なジョイント手段109の連結解除取っ手(図示せず)が設けられている。
【0038】
従って、このジョイント手段109の連結解除取手を手動操作し解除した後、胴内フィニッシャCを図3の矢視方向に排紙部50から引き離すことで、その引き離し動作に追従し下側ガイド56及び排紙ローラ54が点線状態から実線状態に自重(若しくは図示せぬ付勢バネ等を用いても良い)により移動し排紙口52を拡開する。
【0039】
この拡開によって、給送不良でシート搬出動作の停止時に、搬出シートの一枚がたまたま胴内フィニッシャCと排紙部50に跨った状態で停止した場合に、胴内フィニッシャCを排紙部50から引き離す際、搬出シートの後端側が排紙部50の一対の排紙ローラ53、54にニップされ、その搬出シートの先端側が処理トレイの積載済みのシート束上に達した状態で先に説明した搬出ローラ73とピンチローラ74でニップされた状態で引き離すと、その搬出シートの先端部が引っ張られ、積載済みのシート束が束ズレを起こし易いのを、胴内フィニッシャCを排紙部50から引き離す際に排紙ローラ53、54による搬出シートの後端側のニップを他のタイミング手段を使わずにタイミング良く確実に解除することで、積載済みのシート束の束ズレを阻止している。
【0040】
次に、胴内フィニッシャCの制御動作について説明する。
【0041】
[シート集積動作]
まず、胴内フィニッシャCによる搬出シートを順次積載しシート束に整合する動作について図5乃至図8に基づき説明する。図5はシート受入状態図、図6はシート整合状態図、図7はシート受入待機状態図をそれぞれ示している。その動作は、図7の搬出ローラ73が整合済のシート束から上方に退避した状態で、図5で示す様に次の搬出シートが整合済のシート束上に排出され、図6で示す様に搬出シートのサイズに応じた所定タイミングで、搬出ローラ73が下降し搬出シートを押圧すると共に、図示反時計方向に回転し、搬出シートを矢視方向に搬送する。
【0042】
[シート縦整合動作]
この搬送で搬出シートの後端が先に図4で説明したキャタピラベルト67の下方に送り込まれ、搬出シートはキャタピラベルト67によって位置決め手段65に掻き込まれ、搬出シートの後端が位置決め手段65に位置決め保持される。
【0043】
[シート幅整合動作]
この位置決め手段65により位置決め保持された搬出シートは、図3で説明した示す左右一対の整合板から成る整合手段91によってシート搬送方向と直交する方向に幅寄せられ整合される。
【0044】
[シート後処理動作]
そして積載予定の最後の搬出シートの整合動作が完了し整合集積されたシート束は、引き続きパンチ孔形成やステープラ綴じ等の後処理が施される。この実施例では後処理としてステープラ装置からなる後処理装置100をシート幅方向に横移動させながら、二箇所綴じ、角一箇所綴じと選択した後処理が実行される。尚、この後処理実行に際し、整合集積されたシート束が処理トレイ上で束ズレを起こさない様に、整合集積されたシート束はシート幅方向を整合手段91により左右から支えられ、上方への浮き上がりを搬出ローラ73及びキャタピラベルト67により押えられた状態に維持される。
【0045】
[シート束排出]
後処理装置100によって後処理が行われたシート束は、後処理中シート束に圧接状態(図3参照)にあった搬出ローラ73を時計方向に回転することで集積トレイ112上に束排出される。また、束排出する際に整合手段91でシート束の整合位置を束毎にシート幅方向へ適宜シフトして搬出ローラ73で集積トレイ112上に束排出することで、オフセット集積することも出来る。
【0046】
[制御CPU90による駆動制御]
図8は上述した胴内フィニッシャの制御をブロック図で示したもので、その一連の制御動作を司る制御CPU90に関し説明する。制御CPU90には画像形成装置本体Aから後処理のモード指示信号と、一連(後処理を施す)のシートの排紙終了を伝達する信号(後処理開始信号)とシートサイズを伝達する信号(サイズ信号)が伝達される。またこの制御CPU90にはユニット排紙経路62に設けたシートの先端と後端を検出する入口センサS1の信号と集積トレイ112のレベルセンサS3の信号及び整合手段91のポジションセンサの信号、加圧レバー82のポジションセンサの信号、並びに後処理装置100のポジションセンサの信号がそれぞれ伝達される。
【0047】
一方、制御CPU90からは搬送ローラ62の回転を行う駆動モータM1を制御する第1搬送モータ駆動回路と、搬出ローラ73の回転及び駆動ベルト73cの回転を行う駆動モータM2を制御する第2搬送モータ駆動回路と、綴じ処理や一括パンチ処理等の後処理装置100を後処理位置に適宜移動する駆動モータM3の制御を行うユニット移動モータ駆動回路と、搬出ローラ73を加圧する加圧レバー82を揺動する駆動モータM4を制御する加圧モータ駆動回路と、ステープル打込み処理や一括パンチ孔形成処理等の後処理を実行させる駆動モータM5の後処理駆動モータ駆動回路と、一対の整合板91の整合動作を行う一対の駆動モータM6a,M6bを制御する第1・第2の整合駆動回路と、集積トレイ112を昇降する駆動モータM7を制御するトレイ昇降モータ駆動回路とにそれぞれ制御信号を発するように結線されている。
【0048】
[シート搬送不良復帰操作]
次に、後処理モードで装置作動中にシート搬送不良が生じ、装置が一時停止状態となった場合の復帰操作について説明する。画像形成装置本体A、画像読取ユニットB、及び胴内フィニッシャCの何れかのシート搬送不良センサがシートの搬送不良を検知した場合、そのシート搬送不良センサの信号を画像形成装置本体Aが受信し、画像形成装置本体Aのメイン制御CPUが各ユニットに組み込まれたサブ制御CPUに対し一時停止信号を送り一時停止させる。
【0049】
この一時停止信号を受信した胴内フィニッシャCの制御CPU90は、搬送ローラ62bの搬送回転を停止させると共に、整合集積されたシート束が処理トレイ64上で束ズレを起こさない様に、整合集積されたシート束を一対の整合手段91によりシート幅方向を支え、同時に搬出ローラ73及びキャタピラベルト67によりシート束が上方への浮き上がりバラケ無い様に押え、整合集積状態を維持される。尚、この一時停止状態では搬出ローラ73を上下動させる駆動モータがOFFせず励磁状態を維持する様にインターロックさせ、ニップ圧18N前後でシート束を抑える様に設定してある。また、キャタピラベルト67の上下動は、搬送モータの回転と図示せぬソレノイドによる位置決め解除で行われ、シートが処理トレイ上に有る場合は下がった位置に保持され紙面を押さえている。
【0050】
この状態で、胴内フィニッシャCに配設したジョイント手段109の手動解除操作で排紙部50との連結を解除し、図3で示す様に胴内フィニッシャCを排紙部50から引き離す。この胴内フィニッシャCの引き離しに追従し、排紙部50の排紙ローラ54が図示の点線で示す圧接状態から図示の実線で示す排紙ローラ54が排紙ローラ53から離間し排紙口52が拡開した退避状態に移動可能に支持されている。
【符号の説明】
【0051】
A 画像形成装置本体
B 画像読取ユニット
C 胴内フィニッシャ
64 処理トレイ
100 後処理手段
112 集積トレイ
90 制御手段(制御CPU)
72 ローラ搬送手段
73 搬出ローラ
76 ローラ支持手段
81 加圧スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置本体と、
この画像形成装置本体で画像形成されたシートを搬出するシート搬出手段と、
前記画像形成本体内に引出し可能に収容され前記シート搬出手段から排出されるシートに後処理する胴内フィニッシャとを備えた画像形成装置において、
前記胴内フィニッシャは、
前記画像形成本体から順次搬出されるシートを一時的に積載する処理トレイと、
この処理トレイ上で載置されたシート束に綴じ処理、穴開け処理などの後処理を施す後処理手段と、
処理トレイの下流側に配置され前記シート又は前記シート束を収納する集積トレイと、
前記シート又は前記シート束を前記集積トレイに搬送するローラ搬送手段と、
このローラ搬送手段を制御する制御手段とを備え、
前記ローラ搬送手段は、
前記シート又は前記シート束を前記集積トレイに搬出する搬出ローラと、
前記搬出ローラを前記処理トレイ上で前記シート又は前記シート束に圧接及び離隔自在に支持するローラ支持手段とで構成し、
前記制御手段は、前記搬出ローラを回転状態と回転停止状態に制御するとともに、前記胴内フィニッシャを前記画像形成本体から離脱する離脱信号を受け前記搬出ローラを回転停止状態でシート圧接方向に押圧制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記胴内フィニッシャは、
前記処理トレイ上に積載されるシートの後端を規制する後端規制手段と、
この処理トレイ上に積載されるシートの後端を前記後端規制手段側に引き込む引込手段と、
この引込手段により引き込まれたシートの幅方向を整合する整合手段とを備え、
前記制御手段は、前記画像形成本体から離脱する離脱信号を受け、前記搬出ローラのシート押圧制御と共に前記引込手段及び前記整合手段を制御してシート束を整合位置に保持して成る請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シート搬出手段は、搬出シートに圧接する位置と離間した位置に移動可能なガイドローラ対と、このガイドローラ対を前記胴内フィニッシャの前記画像形成装置本体への装着に連動し圧接位置に、前記胴内フィニッシャの前記画像形成装置本体への離脱に連動し離間位置に接離する連結機構とを備えてなる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記胴内フィニッシャは、前記画像形成本体と連結する手動走査可能なジョイント手段を備え、
前記制御手段による前記シート束の保持後に前記ジョイント手段による前記画像形成本体と連結解除に連動し前記シート搬出手段のガイドローラ対を圧接位置から離間位置に移動して成る請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−37591(P2011−37591A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186629(P2009−186629)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】