説明

画像形成装置

【課題】部材の数を増加させることなく紙送りローラ対を構成するローラの表面に付着した紙粉等の異物を除去できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1は、第1ローラ81aと第2ローラ81bとの間でシート状部材Tを挟持して搬送する上流側ローラ対81と、第3ローラ82aと第4ローラ82bとの間でシート状部材Tを挟持して搬送する下流側ローラ対82と、上流側ローラ対81を回転駆動させる第1駆動部811と、下流側ローラ対82を回転駆動させる第2駆動部821と、第1駆動部811により上流側ローラ対81が回転駆動されると共に第2駆動部821により下流側ローラ対82が回転駆動された状態で、上流側ローラ対81及び下流側ローラ対82によりシート状部材Tが挟持されている場合に、第1駆動部811による上流側ローラ対81の回転駆動を停止させる制御部84と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被転写材としての用紙に画像を形成(印刷)するための装置として、コピー機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機等の画像形成装置が知られている。画像形成装置においては、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電工程、帯電した感光体ドラムにレーザ光を照射して感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行う現像工程、感光体ドラムの表面に付着したトナーから形成されるトナー画像を用紙へ転写する転写工程、及び用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着工程の各工程が順次行われることによって、用紙に画像が形成される。
【0003】
以上の各工程のうち転写工程は、感光体ドラムと転写ローラとの間に形成される転写ニップに搬送された用紙に対して行われる。ここで、用紙は、複数の用紙を収容する給紙カセットから、給紙ローラ対、中間ローラ対及びレジストローラ対等の複数の紙送りローラ対により順次搬送されて転写ニップに到達する。より具体的には、これらの紙送りローラ対は、それぞれ、互いに当接する一対のローラにより構成されており、用紙は、一対のローラの当接部分に挟持されて搬送される。
【0004】
ところで、以上の紙送りローラ対を構成するローラの表面には、繰り返し用紙を搬送する間に、紙粉やトナー成分等の異物が付着する。ローラの表面に異物が付着してしまうと、紙送りローラ対による用紙の挟持力(グリップ力)が低下し、用紙を搬送する場合に紙送りローラ対がスリップを起こしてしまう場合がある。そのため、従来の画像形成装置では、定期的に紙送りローラ対を清掃したり、紙送りローラ対を交換したりする必要があった。
【0005】
そこで、紙送りローラ対を構成するローラの表面に付着した紙粉やトナー成分等の異物を除去するために、ローラの表面に圧接するクリーニングローラを設けた画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−44080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で開示された画像形成装置では、クリーニングローラを別途設ける必要があり、画像形成装置を構成する部材の数が増加してしまうという問題があった。
【0008】
従って、本発明は、部材の数を増加させることなく紙送りローラ対を構成するローラの表面に付着した紙粉等の異物を除去できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1ローラ及び第2ローラを有すると共に該第1ローラと該第2ローラとの間でシート状部材を挟持して搬送する上流側ローラ対と、前記上流側ローラ対の下流側に配置され、第3ローラ及び第4ローラを有すると共に該第3ローラと該第4ローラとの間で前記上流側ローラ対により搬送される前記シート状部材を挟持して搬送する下流側ローラ対と、前記上流側ローラ対を回転駆動させる第1駆動部と、前記下流側ローラ対を回転駆動させる第2駆動部と、前記第1駆動部により前記上流側ローラ対が回転駆動されると共に前記第2駆動部により前記下流側ローラ対が回転駆動された状態で、前記上流側ローラ対及び前記下流側ローラ対によりシート状部材が挟持されている場合に、前記第1駆動部による前記上流側ローラ対の回転駆動を停止させる制御部と、を備える画像形成装置に関する。
【0010】
また、画像形成装置は、前記下流側ローラ対によるシート状部材の挟持圧力を、前記上流側ローラ対によるシート状部材の挟持圧力以上の圧力である第1圧力、又は該第1圧力よりも小さい圧力である第2圧力に切り替え可能な圧力切替部を更に備え、前記制御部は、前記第1駆動部により前記上流側ローラ対が回転駆動されると共に前記第2駆動部により前記下流側ローラ対が回転駆動された状態で、前記上流側ローラ対及び前記下流側ローラ対によりシート状部材が挟持されると、前記下流側ローラ対の挟持圧力を前記第1圧力から前記第2圧力に切り替えるように前記圧力切替部を制御することが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記第1駆動部により前記上流側ローラ対が回転駆動されると共に前記第2駆動部により前記下流側ローラ対が回転駆動された状態で、前記上流側ローラ対によりシート状部材が挟持され、且つ、該シート状部材の先端が前記下流側ローラ対により挟持された場合に前記第1駆動部による前記上流側ローラ対の回転駆動を停止させることが好ましい。
【0012】
また、画像形成装置は、前記上流側ローラ対により前記シート状部材が挟持されていることを検出する第1検出部と、前記下流側ローラ対により前記シート状部材が挟持されていることを検出する第2検出部と、を更に備え、前記制御部は、前記第1駆動部により前記上流側ローラ対が回転駆動されると共に前記第2駆動部により前記下流側ローラ対が回転駆動された状態で、前記第1検出部及び第2検出部によりシート状部材が挟持されていると検出された場合に、前記第1駆動部による前記上流側ローラ対の回転駆動を停止させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置によれば、部材の数を増加させることなく紙送りローラ対を構成するローラの表面に付着した紙粉等の異物を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態に係るプリンタにおける各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】第1実施形態のプリンタにおける給紙カセットとレジストローラ対との間の第1搬送路に関する構成を示す模式図である。
【図3】第1実施形態のプリンタにおいて給紙カセットから給紙ローラ対(上流側ローラ対)、中間ローラ対(下流側ローラ対)及びレジストローラ対を経て用紙Tが搬送される際の制御を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態のプリンタにおける給紙カセットとレジストローラ対との間の第1搬送路に関する構成を示す模式図である。
【図5】第2実施形態のプリンタにおいて給紙カセットから給紙ローラ対、中間ローラ対(上流側ローラ対)及びレジストローラ対(下流側ローラ対)を経て用紙Tが搬送される際の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、本発明の画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、プリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【0016】
図1に示すように、プリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0017】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対抗ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0018】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。尚、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbとの集合体である。
【0019】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対抗ローラ18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0020】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0021】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0022】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0023】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0024】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成される。
【0025】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0026】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0027】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラからなる対抗ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡される。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0028】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置される。
【0029】
中間転写ベルト7における所定部分は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色トナー画像が中間転写ベルト7に順次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0030】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色トナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0031】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0032】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0033】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0034】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0035】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対抗ローラ18が配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、2次転写ローラ8と対抗ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間で2次転写ニップN2が形成される。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたトナー画像が用紙Tに2次転写される。
【0036】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色トナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧されることで用紙Tに定着される。
【0037】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において左側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。
【0038】
装置本体Mの左側面(図1において左側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの左側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0039】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0040】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻り搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0041】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサ802(図2参照)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置される。センサ802は、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラ対80は、センサ802からの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0042】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、中間ローラ対82が配置される。中間ローラ対82は、給紙ローラ対81の下流側に配置され、給紙ローラ対81より搬送される用紙Tを挟持して、レジストローラ対80へ搬送する。
【0043】
戻り搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(非印刷面)を中間転写ベルト7の外面に対向させるために設けられる搬送路である。戻り搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻り搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、感光体ドラム2a、2b、2c、2dから中間転写ベルト7に転写されたトナー画像が転写される。
【0044】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻り搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0045】
排紙部50は、第3搬送路L3における端部に形成され、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側面側(図1において右側)に向けて開口している。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によれば、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0046】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
尚、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
【0047】
以下、図2を参照して、第1実施形態のプリンタ1における特徴部分に係る構成について説明する。図2は、第1実施形態のプリンタ1における給紙カセット52とレジストローラ対80との間の第1搬送路L1に関する構成を示す模式図である。
【0048】
図2に示すように、第1実施形態のプリンタ1における給紙カセット52とレジストローラ対80との間における第1搬送路L1には、給紙カセット52からレジストローラ対80に向かって(上流側から下流側に向かって)、前送りコロ61と、上流側ローラ対としての給紙ローラ対81と、下流側ローラ対としての中間ローラ対82と、レジストローラ対80とが配置されている。
また、第1実施形態のプリンタ1は、給紙ローラ対81を回転駆動させる第1駆動部としての給紙ローラ駆動部811と、中間ローラ対82を回転駆動させる第2駆動部としての中間ローラ駆動部821と、給紙ローラ対81の近傍に配置される第1検出部としてのセンサ812と、中間ローラ対82の近傍に配置される第2検出部としてのセンサ822と、給紙ローラ駆動部811及び中間ローラ駆動部821を制御する制御部84と、を備える。
【0049】
次に、第1搬送路L1に配置されている上記の各構成について詳述する。
前送りコロ61は、不図示の前送りコロ駆動部により所定速度で回転駆動される。この前送りコロ61の回転により、給紙カセット52(図1参照)に収容されているシート状部材である用紙Tが給紙ローラ対81へ向けて搬送される。
【0050】
給紙ローラ対81は、前送りコロ61の下流側に配置されている。給紙ローラ対81は、第1ローラ81aと、第2ローラ81bとを有している。これらの第1ローラ81a及び第2ローラ81bは、前送りコロ61により搬送されてきた用紙Tを挟持するように、対向配置されている。また、第1ローラ81a及び第2ローラ81bは、第1駆動部としての給紙ローラ駆動部811により回転駆動されて、挟持している用紙Tを下流側に搬送する。
【0051】
センサ812は、給紙ローラ対81の上流側に近接配置されている。センサ812は、第1ローラ81aと第2ローラ81bとによる挟持領域(ニップ領域)における用紙Tの有無を検出する。センサ812は、第1ローラ81aと第2ローラ81bとによって用紙Tが挟持されている時には、その旨を示す所定の検出信号を制御部84に出力する。
【0052】
中間ローラ対82は、給紙ローラ対81の下流側に配置されている。中間ローラ対82は、第3ローラ82aと、第4ローラ82bとを有している。これらの第3ローラ82a及び第4ローラ82bは、給紙ローラ対81により搬送されてきた用紙Tを挟持するように、対向配置されている。また、第3ローラ82a及び第4ローラ82bは、中間ローラ駆動部821により回転駆動されて、挟持している用紙Tを上流側に搬送する。
【0053】
なお、給紙ローラ対81から中間ローラ対82までの第1搬送路L1上の搬送経路長は、搬送する用紙Tの搬送方向の長さよりも短く設定されている。従って、第1搬送路L1上における用紙Tの搬送状況としては、用紙Tの上流側端が給紙ローラ対81により挟持され、用紙Tの下流側端が中間ローラ対82により挟持されている状況が発生する。
【0054】
また、給紙ローラ対81による用紙Tの挟持圧力は、中間ローラ対82による用紙Tの挟持圧力よりも大きく設定されている。
【0055】
センサ822は、中間ローラ対82の上流側に近接配置されている。センサ822は、第3ローラ82aと第4ローラ82bとによる挟持領域(ニップ領域)における用紙Tの有無を検出する。センサ822は、第3ローラ82aと第4ローラ82bとによって用紙Tが挟持されている時には、その旨を示す所定の検出信号を制御部84に出力する。
【0056】
制御部84は、通常は、一連の印刷処理に必要な給紙処理を行う。この場合の給紙処理は、前送りコロ61によって給紙カセット52の載置板60から給紙ローラ対81に繰り出された用紙Tを、給紙ローラ対81及び中間ローラ対82によって第1搬送路L1の下流に搬送するものである。
【0057】
制御部84は、センサ812、センサ822によって第1搬送路L1上での用紙Tの位置を検知している。通常の給紙処理時、制御部84は、用紙Tが給紙ローラ対81に挟持されている状態では、用紙Tが所定の搬送速度で給紙ローラ対81から送り出されるように、給紙ローラ駆動部811により第1ローラ81a、第2ローラ81bを回転駆動する。
【0058】
また、通常の給紙処理時、用紙Tが中間ローラ対82に挟持されている状態では、用紙Tが所定の搬送速度で中間ローラ対82から送り出されるように、制御部84は、中間ローラ駆動部821により第3ローラ82a、第4ローラ82bを回転駆動する。
【0059】
しかし、上記制御部84は、プリンタ1の稼働条件が、ローラクリーニング実行の条件に該当する時には、ローラクリーニング処理を実行する。
ここで、ローラクリーニング実行の条件とは、次の条件1又は条件2の何れかに該当するときである。
【0060】
(条件1)前回のローラクリーニング実行時からの給紙ローラ対81及び中間ローラ対82による搬送処理量が、予め設定した搬送処理量を超えていて、中間ローラ対82に相応の汚れが発生していると推定される場合。
【0061】
(条件2)プリンタ1に装備されている不図示の入力操作部から、ユーザがローラクリーニング実行を指示した場合。
【0062】
クリーニング処理時の制御部84は、給紙ローラ駆動部811により給紙ローラ対81が回転駆動されると共に、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動された状態で、更に、給紙ローラ対81及び中間ローラ対82により用紙Tが挟持されている場合に、給紙ローラ駆動部811による給紙ローラ対81の回転駆動を停止させる。
【0063】
給紙ローラ対81の挟持圧力は、中間ローラ対82の挟持圧力よりも大きいため、給紙ローラ対81が回転停止にさせられたとき、給紙ローラ対81が挟持している用紙Tが、中間ローラ対82の回転力で上流側に搬送されることはない。
従って、給紙ローラ対81が回転停止にさせられた状態では、中間ローラ対82を構成している第3ローラ82a、第4ローラ82bは用紙Tに接触した状態で空転する状態になり、用紙Tの表面との擦れによる研磨作用によって、第3ローラ82a及び第4ローラ82bの表面がクリーニングされる。
【0064】
また、本実施形態の場合、クリーニング処理時の制御部84は、給紙ローラ駆動部811により給紙ローラ対81が回転駆動されると共に、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動された状態で、更に、用紙Tの先端が中間ローラ対82により挟持された場合に、給紙ローラ駆動部811による給紙ローラ対81の回転駆動を停止させる。
【0065】
更に、本実施形態のプリンタ1には、前述したように、給紙ローラ対81により用紙Tが挟持されていることを検出するセンサ812と、中間ローラ対82により用紙Tが挟持されていることを検出するセンサ822と、を備えている。
そこで、本実施形態の制御部84は、給紙ローラ駆動部811により給紙ローラ対81が回転駆動されると共に、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動された状態で、センサ812及びセンサ822により用紙Tが挟持されていると検出された場合に、給紙ローラ駆動部811による給紙ローラ対81の回転駆動を停止させる。
【0066】
図3は、制御部84が実行するローラクリーニング処理の制御手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、制御部84は、ステップST1により、ローラクリーニング実行の条件に該当しているか否かを判定する。そして、ローラクリーニング実行の条件に該当していると判定した場合には、次のステップST2に進む。
【0067】
ステップST2では、制御部84は、給紙ローラ駆動部811により給紙ローラ対81が回転駆動中であるか否かを判定する。そして、給紙ローラ駆動部811により給紙ローラ対81が回転駆動中と判定した場合には、次のステップST3に進む。
【0068】
ステップST3では、制御部84は、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動中であるか否かを判定する。そして、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動中であると判定した場合には、次のステップST4に進む。
【0069】
以上のステップST2及びステップST3は、実際に給紙ローラ対81及び中間ローラ対82が回転駆動されていて、用紙Tの搬送処理中であることを確認するものである。
【0070】
ステップST4では、制御部84は、搬送中の用紙Tが給紙ローラ対81に挟持されているか否かを、センサ812の検出信号に基づいて判定する。用紙Tが給紙ローラ対81により挟持されていると判定された場合には、次のステップST5に進む。
【0071】
ステップST5では、制御部84は、搬送中の用紙Tが給紙ローラ対81に挟持されているか否かを、センサ822の検出信号に基づいて判定する。用紙Tが中間ローラ対82により挟持されていると判定された場合には、次のステップST6に進む。
【0072】
ステップST6では、制御部84は、ステップST4及びステップST5の判定結果を経て、給紙ローラ対81及び中間ローラ対82のそれぞれに用紙Tが挟持されている状態にあると判定して、ステップST7に進む。
【0073】
ステップST7では、制御部84は、給紙ローラ駆動部811に制御信号を出力して、給紙ローラ対81の回転駆動を停止させる。このとき、中間ローラ対82は回転駆動したままである。
給紙ローラ対81の挟持圧力は、中間ローラ対82の挟持圧力よりも大きいため、給紙ローラ対81が停止すると、上流側が給紙ローラ対81に挟持されている用紙Tは、停止した状態に維持される。従って、回転駆動されている中間ローラ対82の第3ローラ82a及び第4ローラ82bは、用紙Tの表面を擦って空転する。
【0074】
中間ローラ対82の第3ローラ82a及び第4ローラ82bは、この時の用紙Tの表面との擦れによって、ローラ表面が研磨される。この研磨によって、第3ローラ82a及び第4ローラ82bは、表面に付着していた汚れ(紙粉や飛散したトナー等)が除去され、表面が清浄な状態にリフレッシュされる。
【0075】
なお、上記のステップST7は、センサ822が用紙Tの挟持を検出した直後に、速やかに実施される。これは、第3ローラ82a及び第4ローラ82bと用紙Tとの擦れを、用紙Tの先端部で行わせるためである。
【0076】
制御部84は、ステップST8に示すように、ステップST7の開始と同時に、又はステップST7の開始直後に、不図示の計時手段(タイマー)による計時を開始し、給紙ローラ対81の回転停止後の経過時間が予め設定した所定時間に到達したら、次のステップST9に進む。
【0077】
ステップST9では、制御部84は、給紙ローラ対81の停止を解除して、給紙ローラ対81を通常の用紙送り処理に復帰させる。
【0078】
ステップST8において設定される所定時間は、過度の研磨がされないように、用紙Tの表面の研磨性能に応じて、調整する。以上のローラクリーニング処理を実施する際に使用する用紙Tは、通常の印刷処理用のコピー用紙でも可能ではあるが、紙粉の発生がなく、ローラクリーニング処理用に表面の粗さ等を調整した専用の用紙(シート状部材)を使用することが好ましい。
【0079】
以上説明した第1実施形態のプリンタ1によれば、以下のような効果を奏する。
第1実施形態のプリンタ1では、給紙ローラ対81と中間ローラ対82とで用紙Tを挟持搬送している最中に、上流に位置している給紙ローラ対81の回転を停止して、給紙ローラ対81の挟持により用紙Tを停止状態にさせる。これにより、給紙ローラ対81の下流側で回転駆動を続けている中間ローラ対82の第3ローラ82a及び第4ローラ82bが用紙Tの表面で空転する。この時の用紙Tとの擦れによる研磨作用によって、第3ローラ82a及び第4ローラ82bの表面がクリーニングされる。
【0080】
即ち、専用のクリーニングローラ等を設けずに、搬送している用紙Tとの擦れを利用して、中間ローラ対82のクリーニングを行うため、プリンタ1を構成する部材の数を増加させることなく中間ローラ対82を構成するローラの表面に付着した紙粉等の異物を除去できる。
【0081】
また、本実施形態においては、給紙ローラ対81及び中間ローラ対82が回転駆動された状態で、給紙ローラ対81によって用紙Tが挟持され、且つ、用紙Tの先端が中間ローラ対82により挟持された場合に、給紙ローラ対81の回転駆動を停止させる。これによって、第3ローラ82a及び第4ローラ82bと用紙Tとの擦れは、用紙Tの先端部領域で行われることになる。
【0082】
用紙Tの先端部領域は、通常の印刷処理では、印字が施されない余白として取り扱われることが多い。従って、クリーニング処理に使われた用紙Tを、その後、通常の印字処理に回しても、中間ローラ対82との擦れによる用紙表面の荒れが印刷不良等を招く心配がない。
また、第3ローラ82a及び第4ローラ82bと用紙Tとの擦れが用紙Tの先端部領域で行われる場合には、印刷済みの用紙Tがクリーニング処理に使われた場合でも、印字領域の上をローラが擦ってローラが汚れることを防止することができる。
【0083】
また、本実施形態のプリンタ1は、給紙ローラ対81により用紙Tが挟持されていることを検出するセンサ812と、中間ローラ対82により用紙Tが挟持されていることを検出するセンサ822と、を備えている。そして、クリーニング処理を制御する制御部84は、給紙ローラ駆動部811により給紙ローラ対81が回転駆動されると共に中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動された状態で、センサ812及びセンサ822により用紙Tが挟持されていると検出された場合に、給紙ローラ駆動部811による給紙ローラ対81の回転駆動を停止させる。
【0084】
即ち、給紙ローラ対81や中間ローラ対82が用紙Tを挟持した状態に突入するタイミングを、センサ812やセンサ822により直接検出しているため、例えば、下流側に配置されている中間ローラ対82に用紙Tの先端が挟持されたときに、上流側に配置されている給紙ローラ対81の回転を速やかに停止させるといった精度が要求されるタイミング制御を容易にすることができる。
【0085】
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態の説明にあたって、第1実施の形態と同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。図4は、第2実施形態のプリンタ1における給紙カセット52とレジストローラ対80との間の第1搬送路L1に関する構成を示す模式図である。
第2実施形態のプリンタ1は、主として、制御部84Aによって制御を行うローラ対が第1実施形態と異なる。具体的には、制御部84Aは、上流側ローラ対としての中間ローラ対82及び下流側ローラ対としてのレジストローラ対80を制御する。
【0086】
図4に示すように、第2実施形態のプリンタ1における給紙カセット52とレジストローラ対80との間における第1搬送路L1には、給紙カセット52からレジストローラ対80に向かって(上流側から下流側に向かって)、前送りコロ61と、給紙ローラ対81と、上流側ローラ対としての中間ローラ対82と、下流側ローラ対としてのレジストローラ対80とが配置されている。
【0087】
また、第2実施形態のプリンタ1は、中間ローラ対82を回転駆動させる第1駆動部としての中間ローラ駆動部821と、レジストローラ対80を回転駆動させる第2駆動部としてのレジストローラ駆動部801と、中間ローラ対82の近傍に配置される第1検出部としてのセンサ822と、レジストローラ対80の近傍に配置される第2検出部としてのセンサ802と、レジストローラ対80の用紙Tを挟持する圧力を切り替える圧力切替部803と、中間ローラ駆動部821及びレジストローラ駆動部801及び圧力切替部803の動作を制御する制御部84Aと、を備える。
【0088】
なお、第1実施形態では、中間ローラ対82は、下流側ローラ対として作動する。そのため、用紙Tを挟持搬送する一対のローラを、第3ローラ82a、第4ローラ82bと呼称した。しかし、この第2実施形態では、中間ローラ対82は上流側ローラ対として作動する。そのため、第2実施形態では、用紙Tを挟持搬送する中間ローラ対82の一対のローラを、便宜上、上流側ローラ対を構成する第1ローラ82a、第2ローラ82bと呼称する。
【0089】
センサ822は、中間ローラ対82の上流側に近接配置されている。センサ822は、第1ローラ82aと第2ローラ82bとによる挟持領域(ニップ領域)における用紙Tの有無を検出する。センサ822は、第1ローラ82aと第2ローラ82bとによって用紙Tが挟持されている時には、その旨を示す所定の検出信号を制御部84Aに出力する。
【0090】
第2実施形態において、レジストローラ対80は、第1搬送路L1上において中間ローラ対82の下流の第2合流部P2よりも更に下流側に配置されている。このレジストローラ対80は、第3ローラ80aと、第4ローラ80bとを有している。これらの第3ローラ80a及び第4ローラ80bは、中間ローラ対82により搬送されてきた用紙Tを挟持するように、対向配置されている。また、第3ローラ80a及び第4ローラ80bは、レジストローラ駆動部801により回転駆動されて、挟持している用紙Tを上流側に搬送する。
【0091】
なお、中間ローラ対82からレジストローラ対80までの第1搬送路L1上の搬送経路長は、搬送する用紙Tの搬送方向の長さよりも短く設定されている。従って、第1搬送路L1上における用紙Tの搬送状況としては、用紙Tの上流側端が中間ローラ対82により挟持され、用紙Tの下流側端がレジストローラ対80により挟持されている状況が発生する。
【0092】
また、一般に、プリンタ1内の搬送路上で用紙Tを挟持搬送するローラ対は、一方のローラを他方のローラにばね圧で押圧することで、用紙Tの搬送に必要な挟持圧力を得るようにしている。そして、安定した搬送性能を確保するために、各ローラ対の用途に応じて、挟持圧力の大きさに差異を持たせる場合がある。
通常の搬送状況では、レジストローラ対80による用紙Tの挟持圧力は、中間ローラ対82による用紙Tの挟持圧力よりも大きく設定される。
【0093】
圧力切替部803は、レジストローラ対80による用紙Tの挟持圧力を、中間ローラ対82による用紙Tの挟持圧力以上の圧力である第1圧力、又は該第1圧力よりも小さい圧力である第2圧力に切り替え可能にしている。
ここで、第2圧力は、具体的には、中間ローラ対82による用紙Tの挟持圧力よりも小さい圧力である。
【0094】
圧力切替部803は、具体的には、ローラ対を構成している一方のローラに対して、挟持圧力を軽減する力を作用させることで、第1圧力から第2圧力に切り替える。挟持圧力を軽減する力を一方のローラに作用させる具体的な機構は、特定の構造に限定しない。
挟持圧力を軽減する力を一方のローラに作用させる具体的な機構は、例えば、ソレノイドを利用した機構、偏心カムを利用した機構、ローラ対の一対のローラ軸間にくさび状部材を挿入して一対のローラ軸間を広げる機構等、各種の機構を利用することができる。
【0095】
センサ802は、レジストローラ対80の上流側に近接配置されている。センサ802は、第3ローラ80aと第4ローラ80bとによる挟持領域(ニップ領域)における用紙Tの有無を検出する。センサ802は、第3ローラ80aと第4ローラ80bとによって用紙Tが挟持されている時には、その旨を示す所定の検出信号を制御部84Aに出力する。
【0096】
第2実施形態のプリンタ1における制御部84Aは、通常は、一連の印刷処理に必要な搬送処理を行う。この場合の搬送処理は、給紙ローラ対81によって中間ローラ対82まで搬送されてきた用紙Tを、中間ローラ対82及びレジストローラ対80によって第1搬送路L1の更に上流に搬送するものである。
【0097】
制御部84Aは、センサ822、センサ802によって第1搬送路L1上での用紙Tの位置を検知している。通常の搬送処理時、制御部84Aは、用紙Tが中間ローラ対82に挟持されている状態では、用紙Tが所定の搬送速度で中間ローラ対82から送り出されるように、中間ローラ駆動部821により第1ローラ82a、第2ローラ82bを回転駆動する。
【0098】
また、通常の搬送処理時、用紙Tがレジストローラ対80に挟持されている状態では、用紙Tが所定の搬送速度でレジストローラ対80から送り出されるように、制御部84Aは、レジストローラ駆動部801により第3ローラ80a、第4ローラ80bを回転駆動する。
【0099】
しかし、制御部84Aは、プリンタ1の稼働条件が、ローラクリーニング実行の条件に該当する時には、第1実施形態の制御部84と同様に、ローラクリーニング処理を実行する。
【0100】
ローラクリーニング実行の条件は、第1実施形態で示した条件1、条件2に該当する場合である。
【0101】
制御部84Aは、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動されると共に、レジストローラ駆動部801によりレジストローラ対80が回転駆動された状態で、更に、中間ローラ対82及びレジストローラ対80により用紙Tが挟持されている場合に、レジストローラ対80の挟持圧力を第1圧力から前記第2圧力に切り替えるように圧力切替部803を制御する。そして、レジストローラ対80の挟持圧力を第1圧力から前記第2圧力に切り替えた直後に、制御部84Aは、中間ローラ駆動部821による中間ローラ対82の回転駆動を停止させる。
【0102】
中間ローラ対82が回転停止にさせられたとき、レジストローラ対80の挟持圧力は、中間ローラ対82の挟持圧力よりも小さな第2圧力に切り替えられているため、中間ローラ対82が挟持している用紙Tが、レジストローラ対80の回転力で上流側に搬送されることはない。
従って、中間ローラ対82が回転停止にさせられた状態では、レジストローラ対80を構成している第3ローラ80a及び第4ローラ80bは、用紙Tに接触した状態で空転する状態になる。そのため、用紙Tの表面との擦れによる研磨作用によって、第3ローラ80a及び第4ローラ80bの表面がクリーニングされる。
【0103】
この第2実施形態の場合、クリーニング処理時の制御部84Aは、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動されると共に、レジストローラ駆動部801によりレジストローラ対80が回転駆動された状態で、更に、用紙Tの先端がレジストローラ対80により挟持された場合に、中間ローラ駆動部821による中間ローラ対82の回転駆動を停止させる。
【0104】
更に、本実施形態のプリンタ1には、前述したように、中間ローラ対82により用紙Tが挟持されていることを検出するセンサ822と、レジストローラ対80により用紙Tが挟持されていることを検出するセンサ802と、を備えている。
そこで、本実施形態の制御部84Aは、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動されると共に、レジストローラ駆動部801によりレジストローラ対80が回転駆動された状態で、センサ822及びセンサ802により用紙Tが挟持されていると検出された場合に、中間ローラ駆動部821による中間ローラ対82の回転駆動を停止させる。
【0105】
図5は、制御部84Aが実行するローラクリーニング処理の制御手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、制御部84Aは、ステップST11により、ローラクリーニング実行の条件に該当しているか否かを判定する。そして、ローラクリーニング実行の条件に該当していると判定した場合には、次のステップST12に進む。
【0106】
ステップST2では、制御部84Aは、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動中であるか否かを判定する。そして、中間ローラ駆動部821により中間ローラ対82が回転駆動中と判定した場合には、次のステップST13に進む。
【0107】
ステップST13では、制御部84Aは、レジストローラ駆動部801によりレジストローラ対80が回転駆動中であるか否かを判定する。そして、レジストローラ駆動部801によりレジストローラ対80が回転駆動中であると判定した場合には、次のステップST14に進む。
【0108】
以上のステップST12及びステップST13は、実際に中間ローラ対82及びレジストローラ対80が回転駆動されていて、用紙Tの搬送処理中であることを確認するものである。
【0109】
ステップST14では、制御部84Aは、搬送中の用紙Tが中間ローラ対82に挟持されているか否かを、センサ822の検出信号に基づいて判定する。用紙Tが中間ローラ対82により挟持されていると判定された場合には、次のステップST15に進む。
【0110】
ステップST15では、搬送中の用紙Tがレジストローラ対80に挟持されているか否かを、センサ802の検出信号に基づいて判定する。用紙Tがレジストローラ対80により挟持されていると判定された場合には、次のステップST16に進む。
【0111】
ステップST16では、制御部84Aは、ステップST14及びステップST15の判定結果を経て、中間ローラ対82及びレジストローラ対80のそれぞれに用紙Tが挟持されている状態にあると判定して、ステップST17に進む。
【0112】
ステップST17では、制御部84Aは、レジストローラ対80による用紙Tの挟持圧力を、圧力切替部803により、中間ローラ対82による用紙Tの挟持圧力よりも小さい第2圧力に切り替える。ステップST17が終了すると、次のステップST18に進む。
【0113】
ステップST18では、制御部84Aは、中間ローラ駆動部821に制御信号を出力して、中間ローラ対82の回転駆動を停止させる。このとき、レジストローラ対80は回転駆動したままである。
【0114】
中間ローラ対82の挟持圧力は、レジストローラ対80の第2圧力よりも大きいため、中間ローラ対82が停止すると、上流側が中間ローラ対82に挟持されている用紙Tは、停止した状態に維持される。従って、回転駆動されているレジストローラ対80の第3ローラ80a及び第4ローラ80bは、用紙Tの表面を擦って空転する。
【0115】
レジストローラ対80の第3ローラ80a及び第4ローラ80bは、この時の用紙Tの表面との擦れによって、ローラ表面が研磨される。この研磨によって、第3ローラ80a及び第4ローラ80bは、表面に付着していた汚れ(紙粉や飛散したトナー等)が除去され、表面が清浄な状態にリフレッシュされる。
【0116】
なお、上記のステップST17、ステップST18は、センサ802が用紙Tの挟持を検出した直後に、略同時に速やかに実施される。これは、第3ローラ80a及び第4ローラ80bと用紙Tとの擦れを、用紙Tの先端部で行わせるためである。
【0117】
制御部84は、ステップST19に示すように、ステップST18の開始と同時に、又はステップST18の開始直後に、不図示の計時手段(タイマー)による計時を開始し、中間ローラ対82の回転停止後の経過時間が予め設定した所定時間に到達したら、次のステップST20に進む。
【0118】
ステップST20では、制御部84Aは、圧力切替部803により、レジストローラ対80における挟持圧力を、元の第1圧力に戻す。
【0119】
次のステップST21では、制御部84Aは、中間ローラ対82の停止を解除して、中間ローラ対82を通常の用紙送り処理に復帰させる。
【0120】
ステップST19において設定される所定時間は、過度の研磨されないように、用紙Tの表面の研磨性能に応じて、調整する。
【0121】
以上説明した第2実施形態のプリンタ1によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
第2実施形態のプリンタ1において、通常の搬送処理時にレジストローラ対80に設定される挟持圧力は、第1圧力である。この第1圧力は、中間ローラ対82における挟持圧力以上の圧力である。そのため、中間ローラ対82及びレジストローラ対80によって用紙Tを挟持搬送中に、単純に中間ローラ対82の回転を停止させただけでは、中間ローラ対82に挟持されている用紙Tがレジストローラ対80により引き抜かれてしまい、上流側ローラ対により挟持されている用紙Tを利用してレジストローラ対80を研磨することができない。
【0122】
しかし、第2実施形態のプリンタ1では、レジストローラ対80の挟持圧力を、通常の挟持圧力である第1圧力から、それよりも小さい第2圧力に切り替え可能な圧力切替部803が装備されている。そして、クリーニング処理のために、上流側ローラ対の回転駆動を停止させる時には、レジストローラ対80の挟持圧力が、通常より弱い第2圧力に切り替えられる。
【0123】
従って、クリーニング処理のために、中間ローラ対82の回転駆動を停止させる時には、レジストローラ対80の第3ローラ80a及び第4ローラ80bは上流側ローラ対により挟持されている用紙Tに接触して空転する状況が得られる。この状況では、用紙Tとの擦れによって第3ローラ80a及び第4ローラ80bの表面が研磨され、これらの第3ローラ80a及び第4ローラ80bの表面がクリーニングされる。
【0124】
即ち、通常の用紙Tの搬送処理時における挟持圧力が下流側ローラ対よりも大きな圧力に設定されている上流側ローラ対であっても、クリーニング処理時には、圧力切替部803により挟持圧力を下流側ローラ対よりも小さな圧力に切り替えることで、用紙Tによるクリーニングの実施が可能になり、用紙Tによるクリーニングが実施可能なローラ対の範疇を広げることができる。
【0125】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、センサ812、センサ822又はセンサ802により上流側ローラ対及び下流側ローラ対に用紙Tが挟持されていることを検出して上流側ローラ対及び下流側ローラ対の回転を制御したが、これに限らない。即ち、タイマを設け、このタイマにより測定される時間と、用紙のサイズ及び給紙のスピードとに基づいて上流側ローラ対及び下流側ローラ対に用紙が挟持されていることを予測して、上流側ローラ対及び下流側ローラ対の回転を制御してもよい。
【0126】
また、本発明の画像形成装置の種類は、特に制限がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
シート状部材は、紙粉やトナー成分を除去するための専用用紙に制限されず、例えば、被転写材としての用紙であってもよい。
【符号の説明】
【0127】
1……プリンタ(画像形成装置)、2……感光体ドラム(像担持体)、16……現像器、9……定着部、80……レジストローラ対、81……給紙ローラ対、82……中間ローラ対、801……レジストローラ駆動部、802……センサ、803……圧力切替部、811……給紙ローラ駆動部、812……センサ、821……中間ローラ駆動部、822……センサ、84……制御部、T……用紙(シート状部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ローラ及び第2ローラを有すると共に該第1ローラと該第2ローラとの間でシート状部材を挟持して搬送する上流側ローラ対と、
前記上流側ローラ対の下流側に配置され、第3ローラ及び第4ローラを有すると共に該第3ローラと該第4ローラとの間で前記上流側ローラ対により搬送される前記シート状部材を挟持して搬送する下流側ローラ対と、
前記上流側ローラ対を回転駆動させる第1駆動部と、
前記下流側ローラ対を回転駆動させる第2駆動部と、
前記第1駆動部により前記上流側ローラ対が回転駆動されると共に前記第2駆動部により前記下流側ローラ対が回転駆動された状態で、前記上流側ローラ対及び前記下流側ローラ対によりシート状部材が挟持されている場合に、前記第1駆動部による前記上流側ローラ対の回転駆動を停止させる制御部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記下流側ローラ対によるシート状部材の挟持圧力を、前記上流側ローラ対によるシート状部材の挟持圧力以上の圧力である第1圧力、又は該第1圧力よりも小さい圧力である第2圧力に切り替え可能な圧力切替部を更に備え、
前記制御部は、前記第1駆動部により前記上流側ローラ対が回転駆動されると共に前記第2駆動部により前記下流側ローラ対が回転駆動された状態で、前記上流側ローラ対及び前記下流側ローラ対によりシート状部材が挟持されると、前記下流側ローラ対の挟持圧力を前記第1圧力から前記第2圧力に切り替えるように前記圧力切替部を制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1駆動部により前記上流側ローラ対が回転駆動されると共に前記第2駆動部により前記下流側ローラ対が回転駆動された状態で、前記上流側ローラ対によりシート状部材が挟持され、且つ、該シート状部材の先端が前記下流側ローラ対により挟持された場合に前記第1駆動部による前記上流側ローラ対の回転駆動を停止させる請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記上流側ローラ対により前記シート状部材が挟持されていることを検出する第1検出部と、前記下流側ローラ対により前記シート状部材が挟持されていることを検出する第2検出部と、を更に備え、
前記制御部は、前記第1駆動部により前記上流側ローラ対が回転駆動されると共に前記第2駆動部により前記下流側ローラ対が回転駆動された状態で、前記第1検出部及び第2検出部によりシート状部材が挟持されていると検出された場合に、前記第1駆動部による前記上流側ローラ対の回転駆動を停止させる請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−68484(P2011−68484A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223069(P2009−223069)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】