説明

画像形成装置

【課題】外力や一般的な机上や床上等の面状に設置した際の自重による構造フレームの歪みを防止し、画像形成装置の内部に有する各印写装置の位置決め支持精度を狂わせることなく、画像の変形等の画像欠陥を防止し、また精密な色合わせを可能としながらも、安価であり、組立が容易であり、小型軽量であり、高信頼、高画質を得ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】構造体は、樹脂で形成され、装置両側に設けられる2つの側壁部1L、1Rと、金属で形成され、前記側壁部を連結する少なくともつの連結部と、を有し、前記2つの側壁部で前記画像形成部を支持し、前記連結部として、前記2つの側壁部の各内側側面間に連結される基部連結部と、前記2つの側壁部の各前面間に連結される前部連結部と、前記2つの側壁部の各後面間に連結される後部連結部を備え、前記基部連結部と前記後部連結部が締結されている画像形成装置16である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造フレームを鋼板により構成した場合、鋼板は複雑な形状を形成することが困難であるため、多数の鋼板部品をねじ締結や溶接して強固な構造フレームを構成した上、さらに樹脂製の部品を保持部材として鋼板に固定することにより、前記各印写装置を位置決め支持するように構成することが多い。しかしながら本構成では構造フレームが鋼板であるため強固であり、歪みにくいという点では有利であるが、部品点数が多く重量が増加する上、組立に要する時間、労力が多大であり、製造コストが高くなってしまう。また部品点数が多いため組み合わせにより寸法誤差が増加し、正確な位置決め保持を行うためには、ひとつひとつの部品に高い精度を必要とする。
一方、構造フレームを樹脂化した例が公知である。樹脂により構造フレームを成形すると、軽量ながらも一体で複雑な形状を形成できるため、組立てが容易であり、部品点数も少なく製造コストを大幅に低減することが可能になる。また構造フレームが一体構成のため各印写装置の高精度な位置決め支持も行いやすい。特許文献1記載のように単色機であれば、上面開放箱体状の一体成形樹脂による構造フレームにより、剛性を低下させずに組立性と製造コストの低減を行った例もある。
しかしながら樹脂は鋼板よりも剛性が圧倒的に低い。特に多色画像の得ることのできるカラー機の場合は構造が複雑であり、異なった色のトナーの封入された複数の現像装置や像形成装置、中間転写装置等を構造フレームに内蔵しなければならないため、構造フレーム内に大きな空間を必要とし、剛性を確保することが非常に困難である。さらにカラー機では記録媒体詰まりを排除する、または各印写装置を交換等のため着脱するのに、構造フレームにはいくつかの大きな開口部が必要となる。この開口部は画像形成装置の上面に限らず、前面、左右面、場合によっては背面にも必要となり、構造フレームの剛性低下の要因となる。また樹脂成形する金型の抜き方向が複雑になるため、必要な位置決め支持精度が得られなくなる。
【0003】
この樹脂成形する金型の抜き方向は、位置決め支持精度及び製造コストに大きな影響を及ぼす。樹脂成形における精度を確保するためには金型の抜き方向をできるだけ簡略にすることが必要である。単純な二つの抜き方向を持つ金型は構造が簡単であるため精度を出すことが容易であるが、一方で部品に与えられる形状が限られてしまう。そこで複雑な部品を一体で成形するためには、前記の単純な二つの抜き方向に加え、内側や外側にスライドするコア構造を設け、抜き方向を増やすことで対応が可能である。しかしながら、この構造が複雑な金型は連続成形においては冷却時間を必要以上に長くとらなければならない。これは構造が複雑なため、スライドするコアなどの金型の継ぎ目部分に、溶融した樹脂からの熱が残留し蓄熱し、一般的に溶融した樹脂が冷却により固まる必要にして十分な時間より、さらに長い時間が必要となることが多い。このことはせっかく部品形状を複雑にすることで様々な機能を設け、製造コストを低減しようという考えに対し、成形時間が長くなり逆にコストが高くなってしまう。したがって、画像形成装置の構造フレームを樹脂成形しようとする場合は、必要とされる精度要求が高いため、部品形状を複雑にしすぎると、前述した金型構造が複雑になることにより、必要とする精度が得られない。また、これを得るために成形に要する時間を長くすることにより、製造コストを下げることができなくなり、構造フレームの製造コストの面での課題となっている。また加えて、金型の製造期間という観点からは、複雑な構造の金型は、必要とされる高精度を部品に与えるために仕上げの時間が長期に渡るという問題もある。これは製品開発という観点から市場が求める製品をタイムリーに供給できないということであり、複雑な構造の金型を仕上げるための開発期間の長期化は、製造業が直面している最も重要な課題のひとつでもある。
【0004】
また構造フレームの強度という課題からは、画像形成装置はカラー機も含め、近年、小型、軽量化が急速に進行している。しかしながら、画像形成装置本体の小型軽量化が進むほど、トナーの封入された現像装置、また用紙等の記録媒体等、使用状態により重量の変動する部分の割合が増加し、使用状態による重心位置の変動量の割合が増加する。ここで画像形成装置の低価格化を考慮すると、画像形成装置内部の各印写装置を位置決め支持する構造フレームは、樹脂を用いて一体成形したような必要最低限の剛性を持った安価な材料と構造を選択するべきである。しかし画像形成装置における各印写装置や駆動装置、電源などを重量が局部的に集中しないように重量バランスを考慮して配設しても、前述したような重心位置の変動により特定の部位に重量が集中したり、設置面から足に加わる反力のバランスが崩れることで特定の足に荷重が集中し、樹脂を用いたような低剛性な構造フレームでは歪みが発生し、位置決め支持精度が狂い、結果として画像欠陥が発生することになる。これは画像形成装置の小型、軽量化が進むほど顕著になる。
このような課題を解決するためには、構造フレームの板厚を厚くする等により剛性を上げる方法が考えられるが、使用材料の増加によるコスト高、重量の増加等の弊害が発生するため採用できない。
【0005】
したがって構造フレームを樹脂化する場合は、図2に示すように前述した各印写装置を高精度に位置決め支持するために、各印写装置の位置決め手段となる各印写装置の回転中心軸に直交する互いに平行な側壁部1L、1Rと、その側壁部1L、1Rを互いに連結する一部の連結部1bのみを樹脂にて一体化し、鋼板等の剛性の高い補強部材18を多数使用することにより、側壁部1L、1Rを連結し歪みを防止することが一般的であった。
この構成では樹脂により一体成形する構造フレームは各印写装置の回転中心軸にて断面をとると、およそH型をしており、金型の抜き方向は上下方向と側壁部の外側への左右方向のみで簡単であるため、各印写装置に必要な位置決め支持精度が得やすい。しかしながらこのような構成では、構造フレームを樹脂で一体化しながらも部品点数が多く重量が増加する上、組立に要する時間、労力が多大であるため製造コストが高くなる問題が生じる。これに対応するには金型に側壁部の内側への左右方向のスライドコアを構成することにより、さらに側壁部に複雑な形状を与えることができる。しかしながら、スライドコアの追加により金型構造は複雑になり、前述したように連続成形による金型の蓄熱により必要な精度が得られない。また、精度を確保するために冷却時間を長くすると製造コストが高くなる。さらに、複雑な金型を仕上げるために製品の開発期間の長期化につながることにもなり、市場が必要とする製品をタイムリーに供給できないことになる。したがって、構造フレームの構成は、強度と精度、及び低価格化という観点から、画像形成装置そのものの低価格化を実現する上で、大きな課題となっている。
【0006】
特許文献2には、静電潜像担持体に形成された静電潜像を、現像剤担持体上に担持された現像剤で顕像化し、静電潜像担持体上の現像剤像を被記録媒体上に転写するプロセス手段を、筐体の左右のフレーム間に収容して保持する画像形成装置であって、前記左右のフレームをガラス繊維を含まない樹脂で成形した画像形成装置が、開示されている。
特許文献2では、開口方向が3方向あるため左右の樹脂フレームに対して金属ステーは略水平に取り付けられている。そのため、フレームはねじり方向に対して弱い構造になっている。モノクロ機では色の重ね合わせが無いため本体フレームのねじれによる画像への影響が少ないが、タンデム機構を有するカラー機では色の重ね合わせがあるため、本体フレームのねじれが色ずれに直結し、印刷品質を著しく悪化させるという問題点があった。
特許文献3には、記録材に画像を形成する画像形成装置の骨格となるフレーム構造であって、前記記録材を装置内に供給する記録材供給手段を起点にそこから前記記録材へ顕画像を転写する転写手段を経由し、前記記録材上の顕画像を前記記録材に定着させる定着手段に至る搬送路として機能する搬送体と、この搬送体の両側に対向状態で配置される一対の側板と、前記搬送体と対向する側で前記側板を連結する連結部材と、矩形状の底板とを備え、前記側板に対し、前記搬送体、前記連結部材および前記底板をそれぞれ異なる方向より組み付けてフレームを形成する画像形成装置のフレーム構造が、開示されている。
しかしながら、上記方法では、部品点数画像形成装置多く、金型費などコストが高くなる問題点があった。また、板金の両側板に各ユニットの位置決め部品を取り付けるとき組み付け誤差が生じる問題点があった。さらに、積み上げ公差が大きく、搬送装置をフレームに締結しているためジャム処理の際、機体の背面に回り締結部を外す問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、外力や一般的な机上や床上等の面状に設置した際の自重による構造フレームの歪みを防止し、画像形成装置の内部に有する各印写装置の位置決め支持精度を狂わせることなく、画像の変形等の画像欠陥を防止し、また精密な色合わせを可能としながらも、安価であり、組立が容易であり、小型軽量であり、高信頼、高画質を得ることのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を支持する構造体と、を有する画像形成装置において、前記構造体は、樹脂で形成され、装置両側に設けられる2つの側壁部と、金属で形成され、前記側壁部を連結する少なくともつの連結部と、を有し、前記2つの側壁部で前記画像形成部を支持し、前記連結部として、前記2つの側壁部の各内側側面間に連結される基部連結部と、前記2つの側壁部の各前面間に連結される前部連結部と、前記2つの側壁部の各後面間に連結される後部連結部を備え、前記基部連結部と前記後部連結部が締結されていることを特徴とする画像形成装置である。
本発明は、前記前部連結部と前記後部連結部は、箱型形状に形成されていることを特徴とする。
発明は、前記画像形成部が、画像を形成する複数の像形成装置と、前記像形成装置に静電潜像を形成する露光装置と、前記像形成装置に現像剤を供給し、前記静電潜像を可視化する複数の現像装置と、を有することを特徴とする。
本発明は、前記複数の像形成装置に隣接し像形成装置上に形成された像を表面に重ねあわせる中間転写装置をさらに有し、前記複数の現像装置は、前記2つの側壁部間に形成される上部開口から引き出し可能であり、前記中間転写装置は、前記2つの側壁部及び前記前部連結部により形成される前部開口から引き出し可能であることを特徴とする。
本発明は、前記画像形成部を動作させる駆動装置と、前記画像形成部や駆動装置に所定電圧を供給し画像形成動作を行う電源と、画像形成動作の制御を行う制御基板と、を有することを特徴とする。
本発明は、前記連結部が、薄板鋼鈑により構成され、前記側壁部が、樹脂で略箱体形状に成形され、前記側壁部と前記連結部とが締結手段により締結されることを特徴とする。
本発明は、前記像形成装置又は中間転写装置は、2本以上のローラにベルトを架け渡して構成されていることを特徴とする。
本発明は、記録媒体詰まりが、前記上部開口又は前記前部開口から除去可能であることを特徴とする。
本発明は、前記構造体における前記側壁部と前記連結部は、ねじにて締結され、前記ねじの締結点は、一方の締結点から隣接する他方の締結点までの最短の距離が30mm以上80mm以下に配設されたことを特徴とする。
本発明は、前記2つの側壁部における面状部の外周付近に隣接された略箱体形状を形成するための補強リブを備え、前記補強リブは、高さが10mm以上70mm以下、厚さが1mm以上3mm以下であり、前記外周に沿って連続して配設されたことを特徴とする。
本発明は、前記2つの側壁部の間隔は、220mm以上350mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、前記解決するための手段によって、外力や一般的な机上や床上等の面状に設置した際の自重による構造フレームの歪みを防止し、画像形成装置の内部に有する各印写装置の位置決め支持精度を狂わせることなく、画像の変形等の画像欠陥を防止し、また精密な色合わせを可能としながらも、安価であり、組立が容易であり、小型軽量であり、高信頼、高画質を得ることのできる画像形成装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における一実施例の画像形成装置の主断面図である。
【図2】構造フレームを示す図である。
【図3】本発明の構造フレームを示す図である。
【図4】本発明の構造フレームの分解略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
図1は、本発明における一実施例の画像形成装置の主断面図であり、構造フレーム1を中心に内部の各装置の配置を示したものである。ベルト状中間転写装置2は水平方向へ長く張られている。ベルト状中間転写装置2の上部には、ドラム状感光体である像形成装置3K、3Y、3M、3Cがベルト状中間転写装置2の回転方向側へ並列に配設されており、各像形成装置3の上部には4色の異なる色の微小着色枌体であるトナーを封入された現像装置4K、4Y、4M、4Cが配設されている。さらに現像装置4の上部には像形成装置3に静電濳像を形成するための露光装置5が配設されている。
ベルト状中間転写装置2の周辺には各像形成装置3の下部にベルト状中間転写体を挟むように第一転写装置6K、6Y、6M、6Cが配設されており、また、中間転写体清掃装置7が配設さている。像形成装置3の周辺には帯電器8、像形成体清掃装置9が配設されている。ベルト状中間転写装置2の下方には記録媒体を溜めておく記録媒体保持装置10、記録媒体送り装置11が配設されている。また、図中右側には記録媒体供給装置12、第二転写装置13、定着装置14、記録媒体排出装置15が配設されている。
【0013】
以上の構成における本実施例の画像形成装置16の動作は、まずドラム状感光体である像形成装置3は、図示しない動力源により回転し、帯電器8により表面を一様に帯電される。次にパソコン、イメージスキャナ等による画像、文字の情報を露光手段5によりドット単位で露光が行われ、表面に静電濳像が形成される。その後、像形成装置3上の静電濳像は現像装置4よりトナーが供給、現像されることによりトナー像として可視化され、第一転写位置へ搬送される。第一転写位置では、図示しない電源から供給される像形成装置3と第一転写装置6との電位差によりトナー像が像形成装置3からベルト状中間転写装置2の表面へ転写される。第一転写位置を通過した後、像形成装置3の表面は像形成装置清掃手段9より第一転写位置にて転写されずに残留した表面の残トナーが清掃され、次のトナー像の形成が可能な状態となる。以上の動作をベルト状中間転写装置2のベルト周速に合わせて、各現像装置4K、4Y、4M、4Cに対して順次行うことにより、ベルト状中間転写装置2の表面に単色トナー像を重ね合わせた多色のトナー像が形成される。
ここで、用紙、OHPシート等の記録媒体は記録媒体供給装置12により適時第二転写位置に搬送され、ベルト状中間転写装置2の表面に形成された単色あるいは多色のトナー像が、第二転写装置13の働きにより記録媒体上に転写される。
その後、記録媒体は第二転写装置13より剥離し、定着装置14によりトナーを記録媒体上に定着され、記録媒体排出装置15により画像形成装置16外へ排出される。一方、記録媒体へのトナー像の転写終了後、記録媒体へ転写されずにベルト状中間転写装置2の表面へ残留した残トナーは、中間転写体清掃装置7により清掃され、次のトナー像の重ねあわせが可能な状態となる。
【0014】
上記の本実施例における画像形成装置16の特徴は、中間転写装置2をベルト状としたことにより、複数の像形成装置3K、3Y、3M、3Cおよび現像装置4K、4Y、4M、4Cを並列に配設し、また記録媒体の搬送経路が簡略であることから、画像形成装置16本体の小型、軽量を実現したことにある。
また記録媒体17の送り方向が画像形成装置16の前後方向に一致させており、記録媒体保持装置10は前側F方向に引き出すことにより記録媒体の補充が可能であり、さらに前面開閉扉FDは支点FPを中心に、上面扉TDは支点TPを中心にして、それぞれ回動することにより開閉可能であるから、トナーを使い切った空の現像装置4K、4Y、4M、4Cや像形成装置3は上側T方向に、また定期交換部品であるベルト状中間転写装置2や中間転写体清掃装置7、定着装置14は前側F方向へ引き出すことによりそれぞれ交換可能であり、また記録媒体詰まりの際も前面扉FDを開けて詰まった記録媒体を排除すればよいため使い勝手が良好であり、また画像形成装置16の左右側面に開閉扉を配設していないため、左右に隣接して他のものを置いたり、事務所等の壁の角部に沿って画像形成装置を設置したり、机上の小さな空間に設置したりすることが可能であり、画像形成装置16の小型化だけでなく、その設置空間の小型化をも実現している。
【0015】
本実施例における画像形成装置16は、小型、軽量であることを利点に低価格化を基本理念としており、その内部に有する構造フレームも低価格を実現する必要がある。従来の画像形成装置の構造フレームは複数の鋼板を組み合わせ、各装置の保持部品を鋼鈑に取り付ける方法が一般的であるが、部品点数が多く重量が増加する上、組立に要する時間、労力が多大であり、製造コストが高くなってしまう。
また、に本発明における画像形成装置16は、中間転写装置2にベルトを用いているため、中間転写装置2の位置決め支持に高精度が要求される。一般的に画像形成装置におけるベルト状装置は、高精度な位置決め支持が行われないと片寄りやスリップ等により速度変動を発生し、結果として色の重ね合わせのずれや画像の変形等の画像欠陥を生じてしまう。また本発明における画像形成装置16は中間転写装置2の表面上に多色のトナー像を重ね合わせることにより、カラー画像を得るカラー機であることから、中間転写装置2であるベルト状中間転写体を架け渡している複数のローラの回転中心軸が高精度な平行度を必要とするため、構造フレームが変形することで左右の側壁部が少しでも歪んでしまうと前述の軸間平行度が不正確になり、色の重ね合わせにずれや画像の変形が発生し、画像欠陥を生じてしまう。
なお、本発明における画像形成装置16は前述のように使い勝手を向上させるために、前面および上面にそれぞれ開放扉FD、TDを設け、それぞれ構造フレーム1に内蔵した各印写装置の着脱や紙詰まり処理を行うことができるようになっている。そのため構造フレームには大きな開口部が必要となるため、前述の良好な画像品質を得るために重要な構造フレームの剛性の確保が困難な構造となっている。
【0016】
そこで本実施例における構造フレームは、各印写装置の回転中心軸に直行する互いに略平行な左右2つの側壁部1L、1Rを樹脂成形による一体品として構成するとともに、側壁部を互いに連結する3つの連結部1b、1t、1rを薄板鋼鈑により構成し、各印写装置を挟んで略上下方向に配設し、前記側壁部前記連結部をネジ締結することにより構成した。
本構成を求められる機能にて説明すると、左右2つの側壁部1L、1Rは内蔵する各印写装置の位置決め及び支持の他、駆動装置や電源、制御基板、等、多数の部品やユニットを位置決め保持するために複雑な形状が求められるため、樹脂により一体で成形することにより前記目的は達せられる。一方、前記側壁部を連結する連結部1b、1t、1rは、部品やユニットの位置決め保持の機能よりはむしろ、構造フレーム1全体の剛性を確保するために、連結部1b、1t、1rの単品そのものに強度が求められるため、薄板鋼鈑で構成することにより前記目的が達成される構成となる。
本構成によれば、左右2つの側壁部1L、1Rは樹脂で一体で成形することにより複雑な形状が得られるが、左右2つの側壁部1L、1Rがそれぞれ独立した部品となっており、前述した図2の一体構成に比べ、成形する金型は単純な二つの抜き方向で構成すれば良いために複雑な構造にする必要がない。よって画像形成装置の各印写装置の位置決めに求められる高精度を得やすいという効果がある上に、製品の開発過程における設計時間の短縮、及び金型製造の時間の短縮もはかれ、結果として市場が求める製品をタイムリーに供給することができる。また、側壁部を連結する連結部1b、1t、1rを薄板鋼鈑で構成したことにより、樹脂一体で構成する構造と比較し、構造フレーム1全体としての剛性も得やすいという特徴がある。
【0017】
図3は、本発明の構造フレームを示す図である。図3に示すように各印写装置を内蔵する構造フレーム1において、各印写装置を位置決め支持し互いに平行な面状部を有する左右の樹脂の側壁部1Lおよび1Rを各印写装置の回転中心軸に直交して配設し、さらに左右の側壁部1L、1Rを互いに連結する鋼板の基部連結部1b、及び上部連結部1t、後部連結部1rの3箇所の連結部を、前述したように良好な画像品質を得るために高精度な位置決め支持が必要とされる中間転写装置2、像形成装置3、現像装置4の各印写装置を挟んで配設し、さらに側壁部1L、1R及び連結部1b、1t、1rを画像形成装置16から外側の向きに開放構造となるおよそ箱型の形状とし、それぞれを組み合わせた形とする。図3に構造フレーム1と、特に位置決め精度が重要である中間転写装置2、像形成装置3、現像装置4を示し、中間転写装置2の着脱方向をF、像形成装置3および現像装置4の着脱方向をTとして示す。
図4は、本発明の構造フレームの分解略図である。図4には、本来一体である構造フレーム1を構成要素にて分割し、側壁部1L、1R及び連結部1b、1t、1rとして分解略図にて示している。図から、現像装置4は、構造フレーム1からT方向にスムーズに取り出せるだけでなく、側壁部1L、1Rにより位置決め支持精度を狂わせることなく正確に位置固定ができる。また、中間転写装置2は、構造フレーム1からF方向にスムーズに取り出せるだけでなく、側壁部1L、1Rにより正確に位置固定ができる。さらに、記録媒体保持装置10を連結部1bの下に設けることで、構造フレーム1の歪みを防止して固定させることができる。
【0018】
上述のような構造フレームを構成することにより、使い勝手を向上させるために前部および上部に2箇所の大きな開口部を持ちながらも、位置決め保持精度が重要な各印写装置の周辺に、箱型形状を持った側壁部1L、1Rと連結部1b、1t、1rを組み合わせることにより閉じられた空間が形成されるため、強固な構造フレーム1が構成できる。
側壁部1Lおよび1Rを樹脂成型品とすることで、各印写装置や駆動装置、電源、制御基板等の位置決め保持機能を、一体で複雑な形状を形成することにより、部品点数の大幅な削減を実現でき、画像形成装置16自体の製造コストを大幅に低減することが可能となった。また位置決め保持機能より強度が求められる連結部1b、1t、1rを薄板鋼鈑にて構成したことにより、構造フレーム1として求められる剛性も得やすい上、部品点数の削減により、画像形成装置16自体の重量を軽量化することも可能となる。
しかしながら本構成により画像形成装置に必要とされる高い位置決め保持精度を確保するための剛性を実現するためには、側壁部自体にも強度が求められ、また側壁部と連結部を締結する締結手段にも工夫をすると効果が得やすい。すなわち本発明による画像形成装置16の構造フレーム1は、側壁部1L、1Rと連結部1b、1t、1rの面状部の端部、すなわち箱型形状の外周の縦リブ部がそれぞれほぼ面一となるように構成している。これは本発明における画像形成装置16はカラー機であるため、像形成装置3やベルト状中間転写体を架け渡している複数のローラと中間転写装置5の回転中心軸が高精度な平行度を必要とし、そのため左右の側壁部1R、1Lの軸間平行度が不正確であると、色の重ね合わせにずれが発生し画像欠陥を生じてしまう。
また画像形成装置16の実装重量が20kgと軽量であるがゆえ、トナー、用紙が満杯状態と空の状態の差は約2.5kgと総重量の一割超にもなるため、使用状態により重心の位置の変動が激しく、設置面から足に加わる反力のバランスが崩れ易い。よって、上述のねじれ変形による軸間平行度を確保するために、それぞれの箱型形状外周の縦リブ部を近傍に配置することにより、外力などにより構造フレーム1に発生する応力を効果的に伝達し、極力分散することにより、歪みを減少させることができるの。また側壁部と連結部を締結する締結手段にネジやリベットなどの点締結を用いる場合は、外力などによる応力を側壁部と連結部で効率的に伝達するために、締結点は一方の締結点から隣接する他方の締結点までの最短の距離を30mm以上80mm以下に配設することが望ましい。
【0019】
また本発明を用いる場合、構造フレーム1において各印写装置を位置決め支持する側壁部1L、1Rの間隔は220mm以上350mm以下であることが望ましく、それ以上になると特にねじれ剛性の確保が困難となるが、これに対応して樹脂の基準板厚を上げる等すれば対応は可能ではあるが、使用材料の増加や成形性が悪くなる等の弊害が発生する。したがってこの場合は連結部に隣接して鋼板にて構成された補強部材を配設したほうが良い。これにより部品点数が増え、組立に要する時間は若干の増えるものの、本発明を利用した上でさらに大判の印字媒体に対応した画像形成装置を提供することができる。
よって本発明によれば、外力や一般的な机上や床上等の面状に設置した際の自重による構造フレームの歪みを防止することで、画像形成装置の内部に有する各印写装置の位置決め支持精度を狂わせることなく、画像の変形等の画像欠陥を防止し、また精密な色合わせを可能としながらも、安価であり、組立が容易であり、小型軽量であり、高信頼、高画質を得ることのできる画像形成装置を提供することが可能となる。
なお、本発明は、前述したように高精度な位置決め支持が行われないと片寄りやスリップ等により速度変動を発生し画像欠陥となる、ベルト状装置を画像形成装置の像形成装置や中間転写装置に用いる場合、特に有効である。
【0020】
以上のように、本発明は、側壁部を樹脂化することで複雑な形状に成型することができ各印写装置・駆動装置・基板等の位置決め・保持の機能を集約することができる。また連結部を薄肉鋼板にすることで構造フレームの剛性を得ることができる。さらに、2つの側板は独立した部品になり金型は単純な2つの方向の抜きにで構成できため、各印写装置の位置決め部を高精度に製作することができる。
また、左右の樹脂フレームに板金ステーを略水平と略垂直の2方向に取り付け、フレームを箱形状のすることでより高いねじれ剛性を得ることができる。これにより、フレームのねじれによる色ずれを低減することができる。さらに、開口部を2方向にすることでユーザーが機体裏側に回らず正面からの操作で消耗品交換、紙詰まり処理を行うことができる。
【0021】
本発明は、両側板を対向して配置しそこに2箇所以上の連結部材を両側板に締結し略箱型のフレームを組み立てる。このとき両側板は樹脂製で、連結部材は板金製である。両側板を樹脂製にすることにより複雑な形状を作成することが可能になる。従来の両側板が板金製の場合、各ユニット位置決め部品が必要になるがそれらを一体化することが可能になる。これにより部品点数の削減、金型費の削減が可能になりコストの低減ができる。
また、板金の両側板に各ユニットの位置決め部品を取り付けるとき組み付け誤差が生じるが、一体化により組み付け誤差がなくなるためより精度のよいユニットの位置決めが可能になる。
さらに、中間転写装置はフレームの内部に位置決めされ、2本以上のローラにベルトを掛け渡している。ローラ軸が平行でない場合ベルトはねじれて色抜けが生じ、破損に至る。そのため、軸間の平行度には高い精度が要求される。このときの精度も両側板を樹脂製にし部品を一体化にすることで積み上げ公差が小さくなり満足することができる。
また、マシンメンテナンスの面で従来機は搬送装置をフレームに締結しているためジャム処理のさい機体の背面に回り締結部を外す場合がある。本発明ではフレームの開口部を正面と天面に設けている。そして、搬送経路を本体正面側に設定しているためジャム処理を機体の正面から行うことができ、消耗品は機体の天面側から交換することができる。そのためユーザーは機体の背面側に回り込むことなく、締結部を取り外すことなく操作ができる。
【符号の説明】
【0022】
1 構造フレーム
2 ベルト状中間転写装置
3K、3Y、3M、3C 像形成装置
4K、4Y、4M、4C 現像装置
5 露光装置
6K、6Y、6M、6C 第一転写装置
7 中間転写体清掃装置
8 帯電器
9 像形成体清掃装置
10 記録媒体保持装置
11 記録媒体送り装置
12 記録媒体供給装置
13 第二転写装置
14 定着装置
15 記録媒体排出装置
16 画像形成装置
17 記録媒体
1L 側壁部
1R 側壁部
1b 連結部
1t 連結部
1r 連結部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平09−222760号公報
【特許文献2】特開2004−077788号公報
【特許文献3】特開2005−77735号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を支持する構造体と、を有する画像形成装置において、
前記構造体は、樹脂で形成され、装置両側に設けられる2つの側壁部と、金属で形成され、前記側壁部を連結する少なくともつの連結部と、を有し、
記2つの側壁部で前記画像形成部を支持し、
前記連結部として、
前記2つの側壁部の各内側側面間に連結される基部連結部と、
前記2つの側壁部の各前面間に連結される前部連結部と、
前記2つの側壁部の各後面間に連結される後部連結部を備え、
前記基部連結部と前記後部連結部が締結されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記前部連結部と前記後部連結部は、箱型形状に形成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成部が、画像を形成する複数の像形成装置と、前記像形成装置に静電潜像を形成する露光装置と、前記像形成装置に現像剤を供給し、前記静電潜像を可視化する複数の現像装置と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記複数の像形成装置に隣接し像形成装置上に形成された像を表面に重ねあわせる中間転写装置をさらに有し、
前記複数の現像装置は、前記2つの側壁部間に形成される上部開口から引き出し可能であり、
前記中間転写装置は、前記2つの側壁部及び前記前部連結部により形成される前部開口から引き出し可能である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像形成部を動作させる駆動装置と、前記画像形成部や駆動装置に所定電圧を供給し画像形成動作を行う電源と、画像形成動作の制御を行う制御基板と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記連結部が、薄板鋼鈑により構成され、前記側壁部が、樹脂で略箱体形状に成形され、
前記側壁部と前記連結部とが締結手段により締結される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記像形成装置又は中間転写装置は、2本以上のローラにベルトを架け渡して構成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項乃至7のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
記録媒体詰まりが、前記上部開口又は前記前部開口から除去可能である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項乃至8のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記構造体における前記側壁部と前記連結部は、ねじにて締結され、前記ねじの締結点は、一方の締結点から隣接する他方の締結点までの最短の距離が30mm以上80mm以下に配設された
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項乃至9のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記2つの側壁部における面状部の外周付近に隣接された略箱体形状を形成するための補強リブを備え、前記補強リブは、高さが10mm以上70mm以下、厚さが1mm以上3mm以下であり、前記外周に沿って連続して配設された
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一つに記載の画像形成装置において、
前記2つの側壁部の間隔は、220mm以上350mm以下である
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−113328(P2012−113328A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−59663(P2012−59663)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【分割の表示】特願2006−243936(P2006−243936)の分割
【原出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】