説明

画像形成装置

【課題】第1回転体13と第2回転体15とを同一の動力伝達系に配置して、動力伝達系の簡素化及び小型軽量化を図る場合において、第1回転体13の回転速度ムラをなくせるようにする。
【解決手段】本願発明の画像形成装置1は、動力を発生する駆動源40と、前記駆動源40の動力にて回転駆動する第1回転体13と、前記駆動源40から前記第1回転体13に動力伝達する第1動力伝達系41と、前記第1回転体13よりも動力伝達の下流側に位置する第2回転体15と、前記第1動力伝達系41から前記第2回転体15に動力伝達する第2動力伝達系45とを備える。前記第1動力伝達系41と前記第2動力伝達系45との間に、振動減衰用の制振部材44を介在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は画像形成装置に関するものである。画像形成装置には、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの機能を複合的に備えた複合機といった各種のものが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式を採用した画像形成装置では、回転駆動する感光体の表面に形成された静電潜像を現像器にてトナー像として顕像化し、当該トナー像を静電的に記録材に転写して画像を得ている。この種の画像形成装置の一例として特許文献1には、画像形成動作の繰り返しによって消耗する複数の消耗部品、例えば感光体、帯電器、現像器及びクリーニング部材等を一体構造にまとめてカートリッジ化し、いわゆるプロセスカートリッジとして着脱交換可能にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−140744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プロセスカートリッジは消耗部品であるため、ユーザが安価に購入できる価格であり且つ保管場所を取らない小型軽量のものであるのが望ましい。この点、特許文献1のプロセスカートリッジでは、感光体に固着されたドラムギヤと、現像器(現像ローラ)に固着されたローラギヤとを噛み合わせて、感光体と現像器とを動力伝達可能に連結する構成を採用して、動力伝達系の簡素化及び小型軽量化を図っている。
【0005】
しかし、特許文献1のプロセスカートリッジに採用された構成では、感光体固定のドラムギヤと、現像器(現像ローラ)固定のローラギヤとを噛み合わせるため、顕像化に際して現像器に作用する負荷変動の影響が感光体に及び易い。この場合、現像器における負荷変動の影響は感光体の回転速度を変動させるから、その結果、画像に帯状の画像ブレ(バンディング)が生じて、画像品質を低下させるという問題を招来するのであった。感光体の回転速度変動(回転速度ムラ)は、現像器の負荷変動に起因する場合以外に、例えば装置本体側に設けられる駆動源の回転速度変動や、各ギヤ間の噛み合いによる送り誤差など様々な要因が考えられる。従って、前記の問題は、交換式のプロセスカートリッジを適用可能な画像形成装置に顕著に現れるだけでなく、画像形成装置一般に広く共通するものであった。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、従来技術を改良すべく研究を重ね、本願発明を完成させるに至った。本願発明は多面的な広がりを持っている。
【0008】
第1発明(請求項1の発明)は最も上位概念を成すものであり、第1発明に係る画像形成装置は、動力を発生する駆動源と、前記駆動源の動力にて回転駆動する第1回転体と、前記駆動源から前記第1回転体に動力伝達する第1動力伝達系と、前記第1回転体よりも動力伝達の下流側に位置する第2回転体と、前記第1動力伝達系又は前記第1回転体から前記第2回転体に動力伝達する第2動力伝達系とを備えている。そして、前記第1動力伝達系と前記第2動力伝達系との間、又は前記第1回転体と前記第2動力伝達系との間に、振動減衰用の制振部材を介在させている。
【0009】
第2発明(請求項2の発明)は第1発明を具体化したものである。第2発明では、前記制振部材を、内部に粘性流体を封入したカップリング部材としている。そして、前記粘性流体が前記カップリング部材の回転に対して抵抗を付与する。
【0010】
第3発明(請求項3の発明)は第2発明の下位概念を成している。第3発明では、前記カップリング部材は、互いに嵌り合う雄型嵌合体及び雌型嵌合体を備えている。前記両嵌合体は、嵌合方向に貫通する前記第1回転体の回転軸に回転可能に軸支されている。前記両嵌合体のうち一方と前記第1動力伝達系とは弾性体を介して連結されている。そして、前記雄型嵌合体に形成された凹部と前記雌型嵌合体の内底面とで囲まれる収容空間には、前記回転軸と一体回転する回転抵抗体が前記粘性流体と共に収容されている。
【0011】
第4発明(請求項4の発明)は第1発明を具体化したものである。第4発明では、前記制振部材を、前記第1動力伝達系又は前記第1回転体と前記第2動力伝達系とを連動して回転駆動するように連結する粘弾性体としている。
【0012】
第5発明(請求項5の発明)は第1発明〜第4発明のうちいずれかを具体化したものであり、第6発明(請求項6の発明)は第1発明〜第5発明のうちいずれかを具体化したものである。第5発明では、前記第1回転体として、トナー像を担持する感光体又は中間転写体を採用している。第6発明では、前記第2回転体を複数個の回転体にて構成している。
【発明の効果】
【0013】
本願の請求項に記載された発明によると、駆動源から第1回転体に動力伝達する第1動力伝達系又は第1回転体自体と、第2回転体に動力伝達する第2動力伝達系との間に、振動減衰用の制振部材を介在させるから、例えば前記駆動源の回転速度ムラや前記第2回転体の負荷変動等に起因した振動を、前記制振部材にて減衰できる。その結果、前記第1回転体における回転速度ムラの発生を大幅に抑制して、画像ブレ(バンディング)を防止でき、画像品質の向上を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プリンタの概略説明図である。
【図2】第1実施形態における作像部の動力伝達系統の概略説明図である。
【図3】作像部の動力伝達系統の斜視図である。
【図4】図3の断面説明図である。
【図5】カップリング部材の有無が感光体の回転速度ムラに与える影響を示すグラフである。
【図6】第2実施形態における作像部の動力伝達系統の斜視図である。
【図7】第3実施形態における作像部の動力伝達系統の概略説明図である。
【図8】作像部の動力伝達系統の斜視図である。
【図9】第4実施形態における作像部の動力伝達系統の概略説明図である。
【図10】第5実施形態における作像部の動力伝達系統の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願発明を画像形成装置の一例であるタンデム方式のカラーデジタルプリンタ(以下、プリンタと称する)に適用した実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、図1において紙面に直交した方向を正面視とし、これを基準にしている。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
(1).プリンタの概要
まず、図1を参照しながら、プリンタ1の概要について説明する。図1に示すように、プリンタ1は、その筐体2内に、画像プロセス装置3、給紙装置4、及び定着装置5等を備えている。詳細は図示していないが、プリンタ1は、例えばLANといったネットワークに接続されていて、外部端末(図示省略)からの印刷指令を受け付けると、当該指令に基づいて印刷を実行するように構成されている。
【0017】
筺体2内の下部に位置する給紙装置4は、記録材Pを収容する給紙カセット21、給紙カセット21内の記録材Pを最上層から繰り出すピックアップローラ22、繰り出された記録材Pを1枚ずつに分離する一対の分離ローラ23、及び、1枚に分離された記録材Pを所定のタイミングにて画像プロセス装置3に搬送する一対のタイミングローラ24等を備えている。各給紙カセット21内の記録材Pは、ピックアップローラ22及び分離ローラ23の回転にて、最上層のものから1枚ずつ搬送経路30に送り出される。搬送経路30は、給紙装置4の給紙カセット21から、タイミングローラ対24のニップ部、画像プロセス装置3の二次転写ニップ部11、及び定着装置5の定着ニップ部を経て、筐体2上部にある排出ローラ対26に至る。
【0018】
給紙カセット21内の記録材Pは、その通紙幅(搬送方向Sと直交する幅寸法)の中央を基準にして、搬送経路30に向けて矢印S方向に搬送するセンター基準にセットされる。実施形態では、給紙カセット21内に、給紙前の記録材Pをセンター基準に幅寄せするための一対の側部規制板25を備えている。一対の側部規制板25は、通紙幅方向(搬送方向Sと直交する方向)に互いに連動して遠近移動するように構成されている。給紙カセット21内の記録材Pを一対の側部規制板25にて通紙幅方向両側から挟持することによって、給紙カセット21内の記録材Pがその規格に拘らずセンター基準にセットされる。従って、画像プロセス装置3での転写処理や、定着装置5での定着処理もセンター基準で実行される。
【0019】
給紙装置4の上方に位置する画像プロセス装置3は、像担持体の一例である感光体13上に形成されたトナー像を記録材Pに転写する役割を担うものであり、中間転写ベルト6、及びイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応する計4つの作像部7等を備えている。中間転写ベルト6も像担持体の一例であり、筐体2内の中央部右側に位置する駆動ローラ8と、同じく中央部左側に位置する従動ローラ9とに巻き掛けられている。中間転写ベルト6のうち駆動ローラ8に巻き掛けられた部分の外側に二次転写ローラ10が配置されている。中間転写ベルト6と二次転写ローラ10との当接部分は二次転写領域である二次転写ニップ部11になっている。中間転写ベルト6のうち従動ローラ9に巻き掛けられた部分の外側には、中間転写ベルト6上の未転写トナーを除去する転写ベルトクリーナ12が配置されている。筐体2内部のうち画像プロセス装置3と給紙装置4との間には、プリンタ1の制御全般を司る制御部28が配置されている。制御部28には、各種演算処理、記憶及び制御を実行するコントローラ(図示省略)が内蔵されている。
【0020】
4つの作像部7は、中間転写ベルト6の下方において、図1の左からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、中間転写ベルト6に沿って並べて配置されている。なお、図1では説明の便宜上、各作像部7に、再現色に応じて符号Y,M,C,Bを添えている。各作像部7は感光体13を備えている。感光体13の周囲には、図1における時計回りの回転方向に沿って順に、帯電器14、露光部19、現像器15、一次転写ローラ16、及び感光体クリーナ17が配置されている。
【0021】
各作像部7において、帯電器14にて帯電される感光体13に、露光部19からレーザービームが投射されると、静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器15から供給されるトナーにて反転現像されて各色のトナー像となり、一次転写ニップ部において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、感光体13から中間転写ベルト6の外周面に一次転写されて重ねられる。感光体13に残った未転写トナーは感光体クリーナ17にて掻き取られ、感光体13上から取り除かれる。そして、記録材Pが二次転写ニップ部11を通過する際に、重ね合わされた4色のトナー像が記録材Pに一括して二次転写される。中間転写ベルト6に残った未転写トナーは転写ベルトクリーナ12にて掻き取られ、中間転写ベルト6上から取り除かれる。
【0022】
画像プロセス装置3における二次転写ローラ10の上方に位置する定着装置5は、ハロゲンランプヒータ等の熱源を内蔵した定着ローラ31と、定着ローラ31に対峙する加圧ローラ32とを備えている。定着ローラ31と加圧ローラ32との当接部分が定着領域である定着ニップ部になっている。二次転写ニップ部11を通過して未定着トナー像を載せた記録材Pは、定着ローラ31と加圧ローラ32との間の定着ニップ部を通過する際に加熱・加圧され、記録材P上に未定着トナー像を定着される。その後、記録材Pは、一対の排出ローラ26の回転にて排紙トレイ27上に排出される。
【0023】
例えば各作像部7の現像器15、中間転写ベルト6及び転写ベルトクリーナ12等は、画像形成動作の繰り返しによって消耗する消耗部品に相当するものである。これら各消耗部品は筐体2に交換可能(着脱可能)に装着されている。例えば各作像部7(感光体13、帯電器14、露光部19、現像器15、及び感光体クリーナ17)は、ハウジング20内に収容してカートリッジ化(一体構造化)されていて、いわゆるプロセスカートリッジとして筐体2に交換可能に装着されている。
【0024】
(2).作像部における動力伝達構造の第1実施形態
次に、図2〜図5を参照しながら、作像部7における動力伝達構造の第1実施形態について説明する。プリンタ1の筐体2側には、動力を発生する駆動源としての駆動モータ40が配置されている。第1実施形態では、駆動モータ40の動力が第1回転体である感光体13と第2回転体である現像器15との2方向に分岐して伝達される(図2参照)。
【0025】
この場合、駆動モータ40の動力は一旦、第1動力伝達系としての入力ギヤ列41に伝達される。入力ギヤ列41は、駆動モータ40からの動力を受け取る入力ギヤ42と、入力ギヤ42の外周側に噛み合う入力中継ギヤ43とを備えている。入力中継ギヤ43は感光体13の回転軸13aに固定されている(図3及び図4参照)。従って、感光体13は入力中継ギヤ43と一体回転することになる。
【0026】
感光体13の回転軸13aのうち入力中継ギヤ43を挟んで感光体13の反対側(回転軸13aのうち入力中継ギヤ43よりも更に突出した端部側)には、振動減衰用の制振部材としてのカップリング部材44が動力伝達可能に連結されている。カップリング部材44(後述する雄型嵌合体47)の外周側に形成された外歯に、第2動力伝達系としての出力ギヤ45が噛み合っている。出力ギヤ45に伝達された動力は現像器15に伝達される。すなわち、駆動モータ40の動力の一部は、入力ギヤ列41を介して感光体13に伝達される。残りの動力は、入力ギヤ列41から、カップリング部材44及び出力ギヤ45を介して現像器15に伝達される。
【0027】
図3及び図4に示すように、感光体13の回転軸13aのうち入力中継ギヤ43とカップリング部材44との間には、弾性体としての連動バネ46が被嵌されている。連動バネ46の一端側は入力中継ギヤ43に係合させ、他端側はカップリング部材44(後述する雌型嵌合体48)に係合させている。従って、カップリング部材44は、連動バネ46の弾性復原力を利用して、入力中継ギヤ43に伝達された回転動力を受け取ることになる。
【0028】
図4に示すように、カップリング部材44は、互いに嵌り合う雄型嵌合体47及び雌型嵌合体48を備えている。両嵌合体47,48は、互いの嵌合方向に貫通する感光体13の回転軸13aに軸受体49,50を介して回転可能に軸支されている。雄型嵌合体47の嵌合側には凹部51が凹み形成されている。両嵌合体47,48は例えば圧入等によって外れ難い状態で嵌合している。両嵌合体47,48を嵌合させた状態では、雄型嵌合体47側の凹部51と雌型嵌合体48の内底面52とによって、カップリング部材44の内部に中空の収容空間53が形成される。カップリング部材44内の収容空間53には、感光体13の回転軸13aと一体回転する回転抵抗体54が粘性流体55と共に収容されている。
【0029】
粘性流体55は、回転抵抗体54が感光体13の回転軸13aと一体回転する際に、回転抵抗体54に粘性抵抗(回転抵抗)を付与して、回転抵抗体54とカップリング部材44との間に、相対回転(カップリング部材44の回転遅れ)を生じさせるものである。ここでの粘性抵抗は、粘性流体55のせん断抵抗や撹拌抵抗に起因して得られる。粘性流体55の種類は特に限定されないが、例えばシリコーンオイル等の高粘性流体やグリースが用いられる。
【0030】
第1実施形態では、回転抵抗体54が一端開口の円筒状に形成されている。雄型嵌合体47側の凹部51内には、回転抵抗体54の一端開口部に嵌る円筒突部56が形成されている。回転抵抗体54は、雄型嵌合体47における凹部51内の円筒突部56に被さって配置されている。円筒突部56の外周面と回転抵抗体54の内周面との間に、若干の隙間が空いている。また同様に、回転抵抗体54の外周面と雄型嵌合体47の凹部51内周面との間にも、若干の隙間が空いている。これらの隙間に粘性流体55が封入されている。なお、雄型嵌合体47の円筒突起部56において回転軸13aが貫通する部分、及び、雌型嵌合体48の内底面52において回転軸13aが貫通する部分には、内部の粘性流体55の漏れを防止するオイルシール57,58が設けられている。
【0031】
以上の構成によると、入力中継ギヤ43を経由した分岐動力はまず、回転軸13aを介してカップリング部材44内の回転抵抗体54に伝達される。回転抵抗体54は、粘性流体55にて粘性抵抗を受けながら、回転軸13aと共に一体回転するため、回転抵抗体54とカップリング部材44との間に、相対回転(カップリング部材44の回転遅れ)を生じさせる。つまり、例えば駆動モータ40の回転速度ムラや現像器15の負荷変動等に起因した振動を、粘性流体55が減衰させることになる。その結果、感光体13における回転速度ムラの発生を大幅に抑制して、画像ブレ(バンディング)を防止でき、画像品質の向上を実現できる。特に、作像部7はいわゆるプロセスカートリッジとして筐体2に交換可能に装着される構造であるから、動力伝達系の簡素化及び小型軽量化も併せて達成できるのである。
【0032】
ここで、図5に、カップリング部材44の有無が感光体13の回転速度ムラに与える影響について調べた実験結果を示す。図5のグラフでは、横軸に周波数を、縦軸に位置変動の0−P値(ゼロピーク値、最大位置変動)を採っている。なお、位置変動値は、感光体13の表面にレーザドップラーのレーザを照射して感光体13の回転速度を測定し、感光体13の回転速度変動から変換して導出したものである。また、カップリング部材44なしの場合は、入力中継ギヤ43に出力ギヤ45を噛み合わせている。
【0033】
図5に示すように、カップリング部材44ありの場合における周波数fxに対するゼロピーク値Aは、カップリング部材44なしの場合における周波数fxに対するゼロピーク値Bと比べて、1/4程度に低減していることが分かる。この点からも、カップリング部材44の存在が、画像形成動作に対する感光体13の回転速度ムラの影響を的確に抑制し、高品質な画像の提供を可能にしていることが見て取れる。
【0034】
(3).作像部における動力伝達構造の第2実施形態
次に、図6を参照しながら、作像部7における動力伝達構造の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1動力伝達系の構成要素として、感光体13の回転軸13aに感光体ギヤ63が固着されている。入力ギヤ列41は感光体ギヤ63に動力伝達するように噛み合わされている。感光体ギヤ63において感光体13の反対側に突出した端部側には、振動減衰用の制振部材としての粘弾性体64を介して、第2動力伝達系の構成要素である出力ギヤ65が外れないように取り付けられている。出力ギヤ65は出力中継ギヤ66を介して現像器15に動力伝達可能に連結されている。粘弾性体64としては、柔軟に弾性変形可能な合成ゴムといった防振ゴムを採用できる。例えば、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゲル、オイル含浸多孔質ゴム、ブチルゴム、及び、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。その他の構成は第1実施形態とほぼ同様である。
【0035】
このように構成した場合、駆動モータ40の動力が感光体13と現像器15との2方向に分岐して伝達されるが、感光体ギヤ63と出力ギヤ65との間に粘弾性体64を介在させているので、例えば駆動モータ40の回転速度ムラや現像器15の負荷変動等に起因した振動を、粘弾性体64によって減衰できることになる。その結果、第1実施形態と同様に、感光体13における回転速度ムラの発生を大幅に抑制して、画像ブレ(バンディング)を防止でき、画像品質の向上を実現できるのである。
【0036】
(3).作像部における動力伝達構造の第3実施形態
次に、図7及び図8を参照しながら、作像部7における動力伝達構造の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、駆動モータ40の動力が感光体13、現像器15の順に伝達される(図7参照)。この場合、感光体13の回転軸13aに、振動減衰用の制振部材としての粘弾性体74を介して、第2動力伝達系の構成要素である感光体ギヤ75が外れないように取り付けられている。第1動力伝達系としての入力ギヤ列41は、感光体ギヤ75に動力伝達するように噛み合わされている。感光体ギヤ75は出力中継ギヤ76を介して現像器15に動力伝達可能に連結されている。粘弾性体74としては第2実施形態と同様のものを採用できる。
【0037】
このように構成した場合、駆動モータ40の動力が感光体13、現像器15の順に伝達されるが、感光体13と感光体ギヤ73との間に粘弾性体74を介在させているので、例えば駆動モータ40の回転速度ムラや現像器15の負荷変動等に起因した振動を、粘弾性体74によって減衰できることになる。その結果、第1及び第2実施形態と同様に、感光体13における回転速度ムラの発生を大幅に抑制して、画像ブレ(バンディング)を防止でき、画像品質の向上を実現できるのである。
【0038】
(4).中間転写ベルト周辺における動力伝達構造の第4実施形態
次に、図9を参照しながら、中間転写ベルト6周辺における動力伝達構造の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、プリンタ1の筐体2側に配置された駆動源としての駆動モータ80の動力が第1回転体である駆動ローラ8と第2回転体である定着装置5(定着ローラ31及び加圧ローラ32)との2方向に分岐して伝達される。すなわち、駆動モータ80の動力の一部は、入力ギヤ列等の第1動力伝達系81を介して駆動ローラ8に伝達される。残りの動力は、第1動力伝達系81から、カップリング部材や粘弾性体等の制振部材84、及び、出力ギヤ列等の第2動力伝達系85を介して定着装置5に伝達されることになる。中間転写ベルト6が巻き掛けられた駆動ローラ8は中間転写体に相当するものである。
【0039】
このように構成した場合は、第1動力伝達系81と第2動力伝達系85との間に制振部材84を介在させるので、例えば駆動モータ80の回転速度ムラや定着装置5の負荷変動等に起因した振動を、制振部材84によって減衰できることになる。従って、この場合も、中間転写ベルト6が巻き掛けられた駆動ローラ8における回転速度ムラの発生を大幅に抑制して、画像ブレ(バンディング)の防止に貢献でき、画像品質の向上を実現できるのである。
【0040】
(5).中間転写ベルト周辺における動力伝達構造の第5実施形態
次に、図10を参照しながら、中間転写ベルト6周辺における動力伝達構造の第5実施形態について説明する。第5実施形態では、駆動モータ80の動力が駆動ローラ8、定着装置5の順に伝達される。すなわち、駆動モータ80の動力は、入力ギヤ列等の第1動力伝達系81を介して駆動ローラ8に伝達される。そして、二次転写ローラ10に伝達された動力は、カップリング部材や粘弾性体等の制振部材84、及び、出力ギヤ列等の第2動力伝達系85を介して定着装置5に伝達されることになる。このように構成した場合は、駆動ローラ8と第2動力伝達系85との間に制振部材84を介在させるので、例えば駆動モータ80の回転速度ムラや定着装置5の負荷変動等に起因した振動を、制振部材84にて減衰できる。従って、この場合も、駆動ローラ8における回転速度ムラの発生を大幅に抑制して、画像ブレ(バンディング)の防止に貢献でき、画像品質の向上を実現できるのである。
【0041】
(6).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば、画像形成装置としてプリンタを例に説明したが、これに限らず、複写機、ファクシミリ又はこれらの機能を複合的に備えた複合機等でもよい。また、第2回転体は複数個の回転体にて構成してもよい。例えば第4及び第5実施形態において、給紙装置4を第3の回転体として採用し、第1回転体である駆動ローラ8の動力伝達下流側に配置する。他の回転体との動力伝達構造は、中間に動力伝達系や制振部材を配置しておくのが好ましい。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 プリンタ
5 定着装置
6 中間転写ベルト
7 作像部
8 駆動ローラ
13 感光体
13a 回転軸
15 現像器
40,80 駆動モータ
41 入力ギヤ列
44 カップリング部材
45 出力ギヤ
47 雄型嵌合体
48 雌型嵌合体
53 収容空間
54 回転抵抗体
55 粘性流体
63,75 感光体ギヤ
64,74 粘弾性体
65 出力ギヤ
66,76 出力中継ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を発生する駆動源と、前記駆動源の動力にて回転駆動する第1回転体と、前記駆動源から前記第1回転体に動力伝達する第1動力伝達系と、前記第1回転体よりも動力伝達の下流側に位置する第2回転体と、前記第1動力伝達系又は前記第1回転体から前記第2回転体に動力伝達する第2動力伝達系とを備えており、
前記第1動力伝達系と前記第2動力伝達系との間、又は前記第1回転体と前記第2動力伝達系との間に、振動減衰用の制振部材を介在させている、
画像形成装置。
【請求項2】
前記制振部材は、内部に粘性流体を封入したカップリング部材であり、前記粘性流体が前記カップリング部材の回転に対して抵抗を付与する、
請求項1に記載した画像形成装置。
【請求項3】
前記カップリング部材は、互いに嵌り合う雄型嵌合体及び雌型嵌合体を備えており、前記両嵌合体は、嵌合方向に貫通する前記第1回転体の回転軸に回転可能に軸支されており、前記両嵌合体のうち一方と前記第1動力伝達系とは弾性体を介して連結されており、前記雄型嵌合体に形成された凹部と前記雌型嵌合体の内底面とで囲まれる収容空間には、前記回転軸と一体回転する回転抵抗体が前記粘性流体と共に収容されている、
請求項2に記載した画像形成装置。
【請求項4】
前記制振部材は、前記第1動力伝達系又は前記第1回転体と前記第2動力伝達系とを連動して回転駆動するように連結する粘弾性体である、
請求項1に記載した画像形成装置。
【請求項5】
前記第1回転体はトナー像を担持する感光体又は中間転写体である、
請求項1〜4のうちいずれかに記載した画像形成装置。
【請求項6】
前記第2回転体は複数個の回転体にて構成されている、
請求項1〜5のうちいずれかに記載した画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−128328(P2012−128328A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281646(P2010−281646)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】