説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置1の大型化および高コスト化を招来することなく、定着部30の発熱が画像プロセス部10に及ぼす悪影響を少なくする。
【解決手段】本願発明の画像形成装置1は、画像プロセス部10を収容する外装ハウジング60と、前記画像プロセス部10にてトナー像が転写された記録材Pに前記トナー像を定着させる定着部30とを備える。前記外装ハウジング60には、前記画像プロセス部10から前記定着部30への搬送路Rを通す搬出口66を形成する。前記画像プロセス部10と前記定着部30とは、前記外装ハウジング60における前記搬出口66周囲の隔壁によって隔てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、画像プロセス部を収容する外装ハウジングと、前記画像プロセス部にてトナー像が転写された記録材に前記トナー像を定着させる定着部とを備えている画像形成装置に関するものである。画像形成装置には、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの機能を複合的に備えた複合機といった各種のものが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式を採用した画像形成装置では、熱源によって加熱される加熱ローラとこれに当接する加圧ローラとの間の定着ニップ位置に、未定着トナー像が転写された記録材を搬送し加熱及び加圧することにより、未定着トナー像を記録材に定着させることが広く行われている(いわゆる熱ローラ方式の定着部を備えている)。
【0003】
この種の定着部を備えた画像形成装置では、定着部の発熱によって画像形成装置の内部温度が上昇する。内部温度が必要以上に上昇すると、画像プロセス部に悪影響を及ぼして画像プロセス条件(画像濃度や画像位置等)を変化させ、画質の劣化を招来するおそれがある。その上、耐熱性の低い部品の劣化が進行して、装置寿命を縮めることにもなる。この点、従来の画像形成装置では、定着部を装置内部の入隅側に配置し、その近傍に排気口を設け、冷却ファンにて定着部周辺の空気を排気口から排出することによって内部温度の上昇を抑制している(特許文献1及び2等参照)。また、画像プロセス部と定着部との間に、断熱空間又は断熱材を設けることも知られている(特許文献3等参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−202765号公報
【特許文献2】特開2008−164905号公報
【特許文献3】特開平5−088515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、この種の画像形成装置において、コンパクト化や低価格化の要請は高まっている。しかし、前記従来技術のように、定着部冷却用の冷却ファンを設けたり断熱空間や断熱材を設けたりしたのでは、部品点数が嵩んでコスト高になると共に、画像形成装置の大型化を招来することになり、上記の要請に応えるのが難しい。また、冷却ファンを備えた場合は、冷却ファンの駆動による振動が生じたり消費電力が増大したりする点でも不利であった。
【0006】
本願発明は、前記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、画像形成装置の大型化及び高コスト化を招来することなく、定着部の発熱が画像プロセス部に及ぼす悪影響を少なくすることを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、画像プロセス部を収容する外装ハウジングと、前記画像プロセス部にてトナー像が転写された記録材に前記トナー像を定着させる定着部とを備えている画像形成装置であって、前記外装ハウジングには、前記画像プロセス部から前記定着部への搬送路を通す搬出口が形成されており、前記画像プロセス部と前記定着部とは、前記外装ハウジングにおける前記搬出口周囲の隔壁によって隔てられているというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した画像形成装置において、前記定着部を収容する定着ハウジングを備えており、前記定着ハウジングには、前記搬送路を通す搬入口が形成されており、前記画像プロセス部と前記定着部とは、前記外装ハウジングにおける前記搬出口周囲の隔壁、及び前記定着ハウジングにおける前記搬入口周囲の隔壁によって隔てられているというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載した画像形成装置において、前記定着ハウジングは、前記画像プロセス部の転写位置よりも上方に位置するように、前記外装ハウジングに取り付けられているというものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2に記載した画像形成装置において、前記定着ハウジングは、前記外装ハウジングに対して着脱可能に装着されているというものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2に記載した画像形成装置において、前記定着ハウジングの上面側に、前記定着ハウジングの内外を連通させる通気口が形成されているというものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項2に記載した画像形成装置において、前記定着ハウジングは、前記外装ハウジングに対して、横方向外側に張り出して取り付けられているというものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載した画像形成装置において、前記外装ハウジングには、前記定着ハウジングを支持する一対の脚部が形成されており、前記外装ハウジングにおける前記両脚部の間には、前記画像プロセス部に臨む開口部が形成されていると共に、前記開口部を開閉可能に塞ぐ扉カバーが設けられているというものである。
【0014】
請求項8の発明は、請求項2に記載した画像形成装置において、前記外装ハウジングには前記搬出口を開閉可能に塞ぐ開閉部材が設けられており、前記開閉部材は、前記画像プロセス部から前記定着部への記録材を搬送する際に開放するように構成されているというものである。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載した画像形成装置において、前記画像プロセス部の像担持体に対して接離動可能な転写ローラを備えており、前記開閉部材は、前記転写ローラの接離動に連動して開閉動するように構成されているというものである。
【0016】
請求項10の発明は、請求項2に記載した画像形成装置において、原稿の画像を読み取る画像読取装置を備えており、前記外装ハウジングに対する前記定着ハウジングの取付け高さ範囲内に前記画像読取装置の少なくとも一部がかかるように、前記画像読取装置が前記外装ハウジングに取り付けられているというものである。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10に記載した画像形成装置において、記録材を排紙する排紙口が前記画像読取装置よりも上方に位置しているというものである。
【発明の効果】
【0018】
本願の請求項に記載された発明によると、画像プロセス部を収容する外装ハウジングに、前記画像プロセス部から定着部への搬送路を通す搬出口が形成されており、前記画像プロセス部と前記定着部とは、前記外装ハウジングにおける前記搬出口周囲の隔壁によって隔てられているから、前記画像プロセス部と前記定着部とは前記搬出口を介してつながるものの、それ以外は前記外装ハウジングの隔壁にて区画されることになる。前記外装ハウジングは外気に触れている(露出している)から、前記定着部からの熱が前記外装ハウジングに伝達されても、前記外装ハウジングは外気にて冷却され易い。従って、前記定着部からの熱は前記外装ハウジング内の前記画像プロセス部に伝わり難い。換言すると、前記定着部から前記画像プロセス部に伝わる熱量を低減できる。従って、前記従来技術のように、定着部冷却用の冷却ファンを設けたり断熱空間や断熱材を設けたりしなくても、前記定着部の発熱が前記画像プロセス部に及ぼす悪影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態におけるMFPの概略正面説明図である。
【図2】MFPの外観斜視図である。
【図3】定着ハウジングを取り外した状態を示すMFPの概略正面説明図である。
【図4】定着ハウジングの平面断面図である。
【図5】MFPの要部拡大正面図であり、(a)二次転写ローラを中間転写ベルトに当接させた状態、(b)は二次転写ローラを中間転写ベルトから離した状態の図である。
【図6】第2実施形態におけるMFPの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本願発明を画像形成装置の一例である複合機1(以下、MFPという)に適用した実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「前後」等)を用いる場合は、図1において紙面に直交した方向を正面視とし、これを基準にしている。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0021】
まず、図1を参照しながら、MFP1の概要について説明する。図1に示すMFP1は、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能といった多くの機能を有するものであり、例えばLANや電話回線といったネットワークを介してのデータ送受信が可能になっている。すなわち、MFP1は、原稿から読み取った画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力したり、ネットワーク経由で他のコンピュータから画像データを入力して該画像データに基づく印刷を実行したり、FAXデータの送受信をしたりできるものである。
【0022】
MFP1は、周知の電子写真方式にてトナー像を形成する画像プロセス部10と、記録材Pを給紙して画像プロセス部10の転写位置26に搬送する給送部20と、画像プロセス部10にてトナー像が転写された記録材Pにトナー像を定着させる定着部30と、画像プロセス部10の上方に設けられた画像読取装置40とを備えている。画像プロセス部10は、画像読取部40にて得られた画像データや、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部端末等から入力される画像データ等に基づいてトナー像を形成し、給送部20にて搬送される記録材Pにトナー像を転写する。給送部20は、トナー像が転写された記録材Pを定着部30に搬送する。定着部30にて記録材Pにトナー像が定着される。MFP1はいわゆる胴内排紙タイプのものであり、画像読取装置40と画像プロセス部10との間に形成された凹みスペースが排紙トレイ50として利用される。従って、トナー像が定着された記録材Pは、画像読取装置40と画像プロセス部10との間の排紙トレイ50上に排出される。
【0023】
画像プロセス部10は、像担持体の一例であるドラム型の感光体11を備えていて、当該感光体11上に形成されたトナー像を記録材Pに転写する役割を担うものである。感光体11の周囲には、図1の時計方向順に、帯電器12、現像部14、中間転写ベルト16及び感光体クリーナ15が配置されている。中間転写ベルト16の下方側には、帯電器12と現像部14の間から感光体11へ画像露光を行う画像露光部13が設けられている。画像露光部13の下方側には、給送部20の構成要素である給紙カセット21が設けられている。感光体11は感光体駆動モータ(図示省略)によって図1の時計方向に回転駆動される。帯電器12には出力可変の帯電用電源(図示省略)から所定のタイミングで感光体帯電電圧が印加される。
【0024】
現像部14は、4つの現像器、すなわち、ブラック現像器14K、シアン現像器14C、マゼンタ現像器14M及びイエロー現像器14Yを搭載したラック型のものであり、ステッピングモータを含むラック駆動部(図示省略)によって図1の反時計方向に回転駆動するように構成されている。現像部14には、90度の等中心角度間隔で図1の反時計方向順に、ブラック現像器14K、シアン現像器14C、マゼンタ現像器14M、イエロー現像器14Yが搭載されている。
【0025】
各現像器14K,14C,14M,14Yには、それぞれの色に対応したトナーカートリッジ(図示省略)が交換可能に装着されている。すなわち、ブラック現像器4Kにはブラックトナーカートリッジが、シアン現像器4Cにはシアントナーカートリッジが、マゼンタ現像器4Mにはマゼンタトナーカートリッジが、イエロー現像器4Yにはイエロートナーカートリッジが装着されている。各現像器4K,4C,4M,4Yには、感光体11上の静電潜像を現像する現像ローラ4′が設けられている。また、各現像器4K,4C,4M,4Yは、現像ローラ4′以外に、これにトナーを供給するトナー供給ローラや、現像ローラ41上でのトナーの層厚を規制するトナー規制ブレード等も有している。
【0026】
各現像器14K,14C,14M,14Yは、負帯電性トナーを用いて感光体11上の静電潜像を反転現像させる。この場合、現像部14を回転させることによって、感光体11上の静電潜像を反転現像する現像位置に各現像器14K,14C,14M,14Yを移動させる。感光体11表面に臨ませた(現像位置にある)現像ローラ14′に、出力可変の現像バイアス電源(図示省略)から現像バイアスが印加される。現像位置にある現像ローラ14′は、現像ローラ駆動モータ(図示省略)によって図1の反時計方向に回転駆動可能になる。この状態では、電源(図示省略)から、トナー供給ローラにトナー供給バイアスを印加可能になり、トナー規制ブレードに規制バイアスを印加可能になる。
【0027】
中間転写ベルト16は、駆動ローラ16a、これに対向する従動対向ローラ16b、及び感光体11に対向配置された一次転写ローラ16cといったローラ群に巻き掛けられている。一次転写ローラ16cには一次転写電源(図示省略)から一次転写電圧が印加される。駆動ローラ16aを転写ベルト駆動モータ(図示省略)にて図1の反時計方向に回転駆動させることによって、中間転写ベルト16は図1の反時計方向に回転駆動する。
【0028】
中間転写ベルト16のうち駆動ローラ16aに巻き掛けられた部分の外側に、二次転写ローラ25が配置されている。二次転写ローラ25は所定のタイミングで中間転写ベルト16に接離するように構成されている。中間転写ベルト16と二次転写ローラ25との当接部分が転写位置26になっている。二次転写ローラ25には二次転写電源(図示省略)から二次転写電圧が印加される。中間転写ベルト16の従動対向ローラ16bに巻き掛けられた部分の外側には、二次転写残トナー等を除去清掃するベルトクリーナ17が配置されている。
【0029】
給送部20は、記録材Pを収容する給紙カセット21、給紙カセット21内の記録材Pを最上層から1枚ずつ繰り出す給紙ローラ22、記録材Pを所定のタイミングにて画像プロセス部10の転写位置26に搬送するレジストローラ対24、及び前述の二次転写ローラ25等を備えている。給紙カセット21内の記録材Pは、給紙ローラ22の回転にて、最上層のものから1枚ずつ搬送路Rに送り出される。搬送路Rは印刷工程を経る記録材Pの通り道である。給紙ローラ22は給紙モータ(図示省略)にて回転駆動し、レジストローラ対24はレジストモータ(図示省略)にて回転駆動するように構成されている。
【0030】
二次転写ローラ7の上方側(搬送下流側)には、記録材P上の未定着トナー像を定着させるための定着部30が設けられている。定着部30は、ハロゲンランプ等の定着ヒータ33を内蔵した定着ローラ31と、定着ローラ31に対峙する加圧ローラ32とを備えている。定着ローラ31と加圧ローラ32との当接部分が定着位置である。装置内部に配置された制御部(図示省略)にて定着ヒータ33への通電が制御され、定着ヒータ33が定着に必要な温度に維持される。定着部30の定着位置よりも搬送下流側には排出ローラ対34が設けられている。印刷済の記録材Pは、排出ローラ対34の回転駆動にて排紙トレイ50上に排出される。
【0031】
以上説明したMFP1によると、装置内部にある制御部(図示省略)の指令に基づいて、4つの現像器14K,14C,14M,14Yのうち少なくとも1つを用いて記録材P上にトナー像を形成する。4つの現像器14K,14C,14M,14Yを用いてフルカラー画像を形成する例を以下に説明する。
【0032】
まず、ラック駆動部によって現像部14を回転させ、イエロー現像器14Yをその現像ローラ14′が感光体11に当接する現像位置に移動させる。これに併せて、感光体11を図1の時計方向に回転させ、中間転写ベルト16も回転させる。この段階では二次転写ローラ25を中間転写ベルト16から離しておく。次いで、帯電用電源から感光体帯電電圧が印加された帯電器12によって、回転する感光体11の表面を一様に所定電位に帯電させる。感光体11の帯電域には、画像露光部13からイエロー画像用の画像露光を施してイエロー静電潜像を形成する。それから、イエロー現像器14Yにてイエロー静電潜像を現像してイエロートナー像を形成し、一次転写電圧が印加された一次転写ローラ16cによって、イエロートナー像を中間転写ベルト16上に一次転写する。
【0033】
次いで、イエロートナー像の形成と同様にして、現像位置に移動させたマゼンタ現像器14Mによって、感光体11上のマゼンタトナー像を中間転写ベルト16上に転写する。また、現像位置に移動させたシアン現像器14Cによって、感光体11上のシアントナー像を中間転写ベルト16上に転写し、現像位置に移動させたブラック現像器14Yによって、感光体11上のブラックトナー像を中間転写ベルト16上に転写する。各色トナー像の感光体11への形成及び中間転写ベルト16への一次転写は、これらトナー像を重ねて中間転写ベルト16上に転写するタイミングで実行される。
【0034】
一方、給紙カセット21から給紙ローラ22によって記録材Pを繰り出し、レジストローラ対24に向けて搬送路Rに搬送する。記録材P先端がレジストローラ対24の出口側にあるタイミングセンサ(図示省略)にて検出されると、レジストローラ対24を停止させ、記録材Pをそこで待機させておく。また、中間転写ベルト16の回転によって中間転写ベルト16上の多重トナー像が二次転写ローラ25へ到達するに先立ち、二次転写ローラ25を中間転写ベルト16に接触させておく。そして、多重トナー像が転写位置26に到達するタイミングで、レジストローラ対24によって記録材Pを転写位置26に送り込み、記録材Pに多重トナー像を二次転写する。
【0035】
多重トナー像が転写された記録材Pは、定着部30によって多重トナー像を定着され、排出ローラ対34によって排紙トレイ50に排出される。その結果、フルカラー画像を形成した記録材Pが得られる。感光体11上の一次転写残トナー等は感光体クリーナ15にて除去清掃され、中間転写ベルト16上の二次転写残トナー等はベルトクリーナ17にて除去清掃される。
【0036】
次に、図1〜図5を参照して、定着部30の取付け構造の第1実施形態を説明する。第1実施形態では、MFP1が、画像プロセス部10を収容する中空略箱型の外装ハウジング60と、定着部30を収容する中空略箱型の定着ハウジング80とを備えている。外装ハウジング60と定着ハウジング80とはそれぞれ別体に構成されている。第1実施形態では、外装ハウジング60の左側面側に前後一対の脚部61が形成されている。両脚部61の上部側は、外装ハウジング60の上面(排紙トレイ50)よりも上方に突出している。また、外装ハウジング60の上面奥側には、読取支持部62が立設されている。両脚部61の上端側と読取支持部62の上端側とに、画像読取装置40が支持されている。
【0037】
第1実施形態の画像読取装置40は、外装ハウジング60に対する定着ハウジング80の取付け高さH範囲内に画像読取装置40の少なくとも一部がかかるようにして、外装ハウジング60に取り付けられている。この場合、画像読取装置40は外装ハウジング60に対する定着ハウジング80の取付け高さH範囲内に半分程度かかる状態で、両脚部61の上端側と読取支持部62の上端側とに支持されている。
【0038】
図示は省略するが、各脚部61内は中空状であり、MFP1の骨組である本体フレームの一部が収容される。この点は、MFP1の上部に画像読取装置40を設けた構造において、MFP1の重心安定化や支持剛性の確保に貢献している。また、各脚部61内にMFP1の各種構成部品を配置することも可能である。
【0039】
図2及び図3に示すように、両脚部61における上部側の間は、定着ハウジング80を嵌めるための装着部63になっている。定着ハウジング80は、画像読取装置40よりも左外側(横方向外側)に張り出した状態で、外装ハウジング60における両脚部61間の装着部63に着脱可能に装着される。図1及び図3に示すように、外装ハウジング60の左側面のうち両脚部61の間には、画像プロセス部10に臨む開口部64が形成されている。開口部64は通常、下端側を支点にして上下回動可能な扉カバー65にて開閉可能に塞がれている。例えばジャム処理の際は、扉カバー65を開けて開口部64内に手を入れ、必要な作業(記録材Pの抜き取り等)を行うことになる。図1及び図5に示すように、定着ハウジング80は、外装ハウジング60の装着部63に装着された状態で画像プロセス部10の転写位置26よりも上方に位置している。定着ハウジング80の上面側には、定着ハウジング80の内外を連通させる通気口81が形成されている。通気口81には通気量等を調節可能なルーバ82が設けられている。
【0040】
外装ハウジング60における左上側の角部には、画像プロセス部10から定着部30への搬送路Rを通す搬出口66が形成されている。搬出口66は、記録材Pを通過させるために前後方向(記録材Pの通紙幅方向)に長く、開口面積をできるだけ小さくするために搬送路Rと直交する方向(記録材Pの厚み方向)に短い略矩形状の開口になっている。一方、定着ハウジング80における右下側の角部には、画像プロセス部10から定着部30への搬送路Rを通す搬入口86が形成されている。搬入口86も、外装ハウジング60側の搬出口66と同様に、記録材Pを通過させるために前後方向(記録材Pの通紙幅方向)に長く、開口面積をできるだけ小さくするために搬送路Rと直交する方向(記録材Pの厚み方向)に短い略矩形状の開口になっている。
【0041】
外装ハウジング60の装着部63に定着ハウジング80を装着した状態では、搬出口66と搬入口86とが接して連通し、画像プロセス部10から定着部30への搬送路Rがつながることになる。この状態では、定着ハウジング80の上面及び左右両側面が露出している(外気に触れる状態になっている)。外装ハウジング60の装着部63に定着ハウジング80を装着した状態では、画像プロセス部10と定着部30とが、外装ハウジング60における搬出口66周囲の隔壁(上面及び左側面)、及び、定着ハウジング80側の搬入口86周囲の隔壁(右側面及び下面)を介して隔てられている。第1実施形態では、外装ハウジング60の上面(排紙トレイ50)と定着ハウジング80の右側面80aとの間には、凹みスペースを介在させている。また、外装ハウジング60の左側面(扉カバー65)と定着ハウジング80の下面80bとの間には、両脚部61間の開閉スペースを介在させている。
【0042】
図1、図3及び図5に示すように、定着ハウジング80内には、定着部30を構成する定着ローラ31及び加圧ローラ32と、排出ローラ対34とが配置されている。定着ローラ31及び加圧ローラ32は、互いに通紙幅方向に延びて圧接した状態で、定着ハウジング80の前後側板に回転可能に軸支されている(図4参照)。図示は省略するが、排出ローラ対34は、定着ローラ31及び加圧ローラ32と平行状に延びる姿勢で、定着ハウジング80の前後側板に回転可能に軸支されている。
【0043】
図4に示すように、定着ローラ31の内部には、熱源としての定着ヒータ33(例えばハロゲンヒータ)が通紙幅方向に延びるように配置されている。定着ヒータ33の一端側には、外装ハウジング60の一方の脚部61に設けられた電力供給用の本体コネクタ67に電気的に接続される定着コネクタ87が設けられている。本体コネクタ67と定着コネクタ87とは、外装ハウジング60に対する定着ハウジング80の着脱に伴って継断する。すなわち、外装ハウジング60の装着部63に定着ハウジング80を装着すると、本体コネクタ67と定着コネクタ87とが嵌り合って電気的に接続され、装着部63から定着ハウジング80を取り外すと、定着コネクタ87が本体コネクタ67から外れて電気的な接続が遮断されるように、本体コネクタ67と定着コネクタ87との向きや位置関係が設定されている。なお、定着ローラ31の熱源はハロゲンヒータに限らず、IHヒータや抵抗発熱体等も採用できる。また、超音波を利用した熱源を採用してもよい。
【0044】
外装ハウジング60の一方の脚部61には、回転動力を発生する駆動源として定着駆動モータ68が配置されている。定着駆動モータ68は、ギヤ等の駆動伝達部材36を介して、定着ローラ31及び加圧ローラ32のいずれか一方に動力伝達可能に連結されている。第1実施形態では、加圧ローラ32が定着駆動モータ68によって回転駆動し、加圧ローラ32は定着ローラ31との圧接摩擦力にて連れ回りする。このような駆動・従動の関係は逆であっても差し支えない。この場合、定着駆動モータ68から動力伝達されるモータギヤ69に、加圧ローラ32のローラ軸に固着された加圧駆動ギヤ89を噛み合わせている。モータギヤ69と加圧駆動ギヤ89との組合せが駆動伝達部材36を構成している。
【0045】
駆動伝達部材36は、外装ハウジング60に対する定着ハウジング80の着脱に伴って係脱する。すなわち、本体コネクタ67及び定着コネクタ87の関係と同様に、外装ハウジング60の装着部63に定着ハウジング80を装着すると、モータギヤ69と加圧駆動ギヤ89とが噛み合って動力伝達可能になり、装着部63から定着ハウジング80を取り外すと、ギヤ69,89同士の噛み合いが解除されて動力伝達が遮断されるように、ギヤ69,89同士の位置関係が設定されている。
【0046】
図5(a)(b)に示すように、外装ハウジング60の搬出口66は、上端側を支点にして上下回動可能な開閉部材としての開閉カバー70にて開閉可能に塞がれている。開閉カバー70は、画像プロセス部10から定着部30への記録材P搬送の際に開放される。第1実施形態の開閉カバー70は、中間転写ベルト16に対する二次転写ローラ25の接離動に連動して開閉動する。すなわち、二次転写ローラ25を中間転写ベルト16に接触させる段階で、開閉カバー70を開放して画像プロセス部10から定着部30への搬送路Rを通り抜け可能とし(図5(a)参照)、転写処理後において二次転写ローラ25を中間転写ベルト16から遠ざける段階で、開閉カバー70を閉止してこれを維持するのである(図5(b)参照)。
【0047】
以上の構成によると、外装ハウジング60には、画像プロセス部10から定着部30への搬送路Rを通す搬出口66が形成されており、画像プロセス部10と定着部30とは、外装ハウジング60における搬出口66周囲の隔壁(上面及び左側面)にて隔てられているから、画像プロセス部10と定着部30とは搬出口66を介してつながるものの、それ以外は外装ハウジング60の隔壁にて区画されることになる。外装ハウジング60は外気に触れている(露出している)から、定着部30からの熱が外装ハウジング60に伝達されても、外装ハウジング60は外気にて冷却され易い。従って、定着部30からの熱は外装ハウジング60内の画像プロセス部10に伝わり難い。換言すると、定着部30から画像プロセス部10に伝わる熱量を低減できる。従って、前記従来技術のように、定着部30冷却用の冷却ファンを設けたり断熱空間や断熱材を設けたりしなくても、定着部30の発熱が画像プロセス部10に及ぼす悪影響を抑制できる。
【0048】
また、定着部30は定着ハウジング80に収容されている(囲われている)ため、前記従来技術に比べて、定着部30の温度維持がし易い。従って、無駄な電力消費を抑制して、電力を有効利用できるという利点もある。更に、定着ハウジング80には、搬送路Rを通す搬入口86が形成されており、画像プロセス部10と定着部30とは、外装ハウジング60における搬出口66周囲の隔壁50,65、並びに、定着ハウジング80における搬入口86周囲の隔壁80a,80bによって隔てられているから、定着部30から画像プロセス部10に向かう熱の経路が、搬送路Rを通す搬出口66及び搬入口86に限られることになる。このため、定着部30から画像プロセス部10に伝わる熱量をより一層低減できる。定着部30において必要以上に上昇した熱は、定着ハウジング80における搬入口86周囲の隔壁を介して放熱することが可能であるから、定着部30の温度維持の点でも高い効果を発揮できる。
【0049】
第1実施形態では、定着ハウジング80が、画像プロセス部10の転写位置26よりも上方に位置するように、外装ハウジング60に取り付けられているから、高温の気体が上昇する特性を利用でき、下側にある画像プロセス部10に対して、上側にある定着部30からの熱の悪影響を効果的に抑制できる。また、搬送路Rを通す搬出口66及び搬入口86を介して、外装ハウジング60と定着ハウジング80とが連通するので、画像プロセス部10の駆動等によって外装ハウジング60内で高温になった気体が、温度勾配による上昇気流を利用して定着ハウジング側に流れ込み易い(いわゆる煙突効果)。このため、外装ハウジング60内(画像プロセス部10)の高温化を抑制できる。
【0050】
定着ハウジング80は外装ハウジング60に対して着脱可能に装着されているから、定着ハウジング80と外装ハウジング60とが各々別体にて構成されることになる。従って、これら各ハウジング60,80によって定着部30からの熱を遮断できる。その上、定着ハウジング80の上面側に、定着ハウジング80の内外を連通させる通気口81が形成されるから、定着部30において必要以上に上昇した熱を、煙突効果によって効率よく外部に排出できる。更に、定着ハウジング80は、外装ハウジング60に対して、横方向外側に張り出して取り付けられているから、定着ハウジング80内の定着部30と外装ハウジング60内の画像プロセス部10とを、上下方向に重ならないように配置することが可能になる。この点でも、定着部30から画像プロセス部10への熱の伝達を抑制できる。
【0051】
第1実施形態の外装ハウジング60には、搬出口66を開閉可能に塞ぐ開閉カバー70が設けられており、開閉カバー70は、画像プロセス部10から定着部30への記録材Pを搬送する際に開放するように構成されているから、不要なときは、搬送路Rを通す搬出口66及び搬入口86を閉止でき、定着部30から画像プロセス部10への熱の伝達抑制に寄与できるのである。
【0052】
第1実施形態の画像読取装置40は、外装ハウジング60に対する定着ハウジング80の取付け高さH範囲内に画像読取装置40の少なくとも一部がかかるようにして、外装ハウジング60に取り付けられているから、定着ハウジング80と画像読取装置40とが横並びに位置することになる。このため、定着部30からの熱が画像読取装置40に悪影響を及ぼすおそれを少なくでき、画像読取精度のバラツキが抑制される。
【0053】
次に、図6を参照しながら、定着部30の取付け構造の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、画像読取装置40と外装ハウジング60の上面との間の凹みスペースをなくしている。定着ハウジング80の右側面上部に、排出ローラ対34に臨ませた排紙口83が形成されている。排紙口83は画像読取装置40よりも上方に位置している。画像読取装置40上に排紙トレイ50が配置されている。第2実施形態の画像読取装置40は、外装ハウジング60に対する定着ハウジング80の取付け高さH範囲内に画像読取装置40の少なくとも一部がかかるようにして、外装ハウジング60に取り付けられている。この場合、画像読取装置40は外装ハウジング60に対する定着ハウジング80の取付け高さH範囲内に収まる状態で、外装ハウジング60の上面に取り付けられている。その他の構成は第1実施形態とほぼ同様である。
【0054】
以上の構成によると、第1実施形態と同様に、定着ハウジング80と画像読取装置40とが横並びに位置することになるから、定着部30からの熱が画像読取装置40に悪影響を及ぼすおそれを少なくでき、画像読取精度のバラツキが抑制される。また、第2実施形態の画像読取装置40は外装ハウジング60の上面に搭載されるから、MFP1の全体高さを低く抑えて低重心化できる。このため、振動源となる画像読取装置40の高さ位置が低くなり、振動がMFP1全体に与える影響を小さくできる。しかも、記録材Pを排紙する排紙口83が画像読取装置40よりも上方に位置しているから、印刷済の記録材Pに移った熱が画像プロセス部10に伝わらなくなる。また、印刷済の記録材Pを画像読取装置40の上方に排紙することになるので、印刷済の記録材Pに移った熱を外気に放熱し易く、画像読取装置40に及ぼす熱の悪影響を小さくできるのである。
【0055】
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば、画像形成装置としてMFPを例に説明したが、これに限らず、複写機、ファクシミリ又はプリンタ等でもよい。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 MFP
10 画像プロセス部
16 中間転写ベルト
25 二次転写ローラ
30 定着部
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 定着ヒータ
36 駆動伝達部材
40 画像読取装置
50 排紙トレイ
60 外装ハウジング
61 脚部
63 装着部
64 開口部
65 扉カバー
66 搬出口
70 開閉カバー(開閉部材)
80 定着ハウジング
81 通気口
83 排紙口
86 搬入口
87 定着コネクタ
89 加圧駆動ギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像プロセス部を収容する外装ハウジングと、前記画像プロセス部にてトナー像が転写された記録材に前記トナー像を定着させる定着部とを備えている画像形成装置であって、
前記外装ハウジングには、前記画像プロセス部から前記定着部への搬送路を通す搬出口が形成されており、前記画像プロセス部と前記定着部とは、前記外装ハウジングにおける前記搬出口周囲の隔壁によって隔てられている、
画像形成装置。
【請求項2】
前記定着部を収容する定着ハウジングを備えており、前記定着ハウジングには、前記搬送路を通す搬入口が形成されており、前記画像プロセス部と前記定着部とは、前記外装ハウジングにおける前記搬出口周囲の隔壁、及び前記定着ハウジングにおける前記搬入口周囲の隔壁によって隔てられている、
請求項1に記載した画像形成装置。
【請求項3】
前記定着ハウジングは、前記画像プロセス部の転写位置よりも上方に位置するように、前記外装ハウジングに取り付けられている、
請求項2に記載した画像形成装置。
【請求項4】
前記定着ハウジングは、前記外装ハウジングに対して着脱可能に装着されている、
請求項2に記載した画像形成装置。
【請求項5】
前記定着ハウジングの上面側に、前記定着ハウジングの内外を連通させる通気口が形成されている、
請求項2に記載した画像形成装置。
【請求項6】
前記定着ハウジングは、前記外装ハウジングに対して、横方向外側に張り出して取り付けられている、
請求項2に記載した画像形成装置。
【請求項7】
前記外装ハウジングには、前記定着ハウジングを支持する一対の脚部が形成されており、前記外装ハウジングにおける前記両脚部の間には、前記画像プロセス部に臨む開口部が形成されていると共に、前記開口部を開閉可能に塞ぐ扉カバーが設けられている、
請求項6に記載した画像形成装置。
【請求項8】
前記外装ハウジングには前記搬出口を開閉可能に塞ぐ開閉部材が設けられており、前記開閉部材は、前記画像プロセス部から前記定着部への記録材を搬送する際に開放するように構成されている、
請求項2に記載した画像形成装置。
【請求項9】
前記画像プロセス部の像担持体に対して接離動可能な転写ローラを備えており、前記開閉部材は、前記転写ローラの接離動に連動して開閉動するように構成されている、
請求項8に記載した画像形成装置。
【請求項10】
原稿の画像を読み取る画像読取装置を備えており、
前記外装ハウジングに対する前記定着ハウジングの取付け高さ範囲内に前記画像読取装置の少なくとも一部がかかるように、前記画像読取装置が前記外装ハウジングに取り付けられている、
請求項2に記載した画像形成装置。
【請求項11】
記録材を排紙する排紙口が前記画像読取装置よりも上方に位置している、
請求項10に記載した画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−133159(P2012−133159A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285528(P2010−285528)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】