説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成にて像担持体の表面を傷付けることなく像担持体上の残留トナーをクリーニングし、除去したトナーが飛散することがない画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、トナー像を担持する感光体121にクリーニングブレード25が当接して感光体121上の残留トナーをクリーニングするために、感光体121を回転させるとともに感光体121をその軸方向に往復移動させる駆動機構50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、像担持体上に残留するトナーをクリーニングする画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、像担持体上にトナー像を形成しこのトナー像を用紙等の転写媒体に転写した後、像担持体上の残留トナーをクリーニングしている。この像担持体上の残留トナーを除去するには、像担持体と圧接するクリーニングブレードを用いることが広く行なわれている。また、クリーニングブレードに挟まった紙粉などの異物によって像担持体表面を傷付けず、残留トナーを取除くために、クリーニングブレードを像担持体の軸方向に往復移動させている。
【0003】
例えば、特許文献1では、クリーニングブレードを駆動する駆動軸と、駆動軸を駆動する駆動ギアとを備え、像担持体が回転すると、像担持体用のギアが駆動ギアを回転させ、駆動軸に伝達されて、クリーニングブレードがカムを介して像担持体の軸方向に往復駆動する。クリーニングブレードによって除去された残留トナーはクリーニング部内に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−272271号公報(段落[0043]、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した先行技術では、クリーニンググレードを軸方向に往復移動させるので、駆動機構が複雑になる。また、クリーニングブレードの軸方向の両端部に対向してクリーニング部の両端部にシール部材が取り付けられていても、クリーニングブレードの繰り返しの往復移動によって、クリーニング部の両端部とシール部材の両端部とに隙間が発生し、その隙間から除去した残留トナーがクリーニング部外に飛散するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成にて像担持体の表面を傷付けることなく像担持体上の残留トナーをクリーニングし、除去したトナーが飛散することがない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1の発明は、トナー像を担持する像担持体にクリーニングブレードが当接して像担持体上の残留トナーをクリーニングする画像形成装置において、前記像担持体を回転させるとともに前記像担持体を該軸方向に移動させる駆動機構を備えることを特徴としている。
【0008】
また、第2の発明では、上記の画像形成装置において、前記駆動機構は、前記像担持体に設けられる第1ギア部材と、前記第1ギア部材に対向し同軸に回転可能であって軸方向に不動に配設されるとともに前記第1ギアに対して歯数の異なる第2ギア部材と、前記第1ギア部材と前記第2ギア部材とに噛合するアイドルギアと、前記第1ギア部材と第2ギア部材の一方のギア部材に設けられ円周方向において軸方向距離が異なるカム面と、前記第1ギア部材と第2ギア部材の他方のギア部材に設けられ前記カム面に当接可能であるカムフォロアと、前記カム面とカムフォロアとが当接する方向に前記像担持体を付勢する付勢部材と、を有することを特徴としている。
【0009】
また、第3の発明では、上記の画像形成装置において、前記第1ギア部材と第2ギア部材の一方のギアは、転移歯車からなることを特徴としている。
【0010】
また、第4の発明では、上記の画像形成装置において、前記カム面は、単位回転角度当たりの軸方向の変位量が一定になるように形成されることを特徴としている。
【0011】
また、第5の発明では、上記の画像形成装置において、前記カム面と前記カムフォロアとが、前記第1ギア部材と第2ギア部材の円周を等分割する位置に夫々少なくとも二つ設けられることを特徴としている。
【0012】
また、第6の発明では、上記の画像形成装置において、前記像担持体の周りには該回転方向に沿って、原稿の画像データに基づく光を前記像担持体の表面に照射し静電潜像を形成する露光部と、前記像担持体上の静電潜像をトナー像に変換する現像部と、前記像担持体上のトナー像を転写媒体に転写する転写部とを備え、前記像担持体は、前記露光部から前記転写部まで回転する間に、軸方向に10〜30μm移動することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、駆動機構によって、像担持体が回転するとともに軸方向に往復移動するために、クリーニングブレードに挟まった紙粉などの異物によって像担持体の表面を傷付けることなく像担持体上の残留トナーがクリーニングされる。像担持体の回転と軸方向の移動が一つの駆動機構によって行なわれるために、構成が簡単になり、また、省スペースなものとなる。さらに、クリーニングブレードをクリーニング部に固設する構成をとることができ、クリーニング部外にトナーが飛散することがない。
【0014】
また、第2の発明によれば、例えば、第1ギア部材を回転させると、像担持体が回転するとともに、アイドルギアを介して第2ギア部材が回転する。第1ギア部材と第2ギア部材がともに回転しても、第1ギア部材と第2ギア部材とは互いに歯数が異なるために、第1ギア部材と第2ギア部材とは互いに異なる回転速度で回転する。第1及び第2ギア部材が異なる回転速度で回転することで、カムフォロアとカム面との当接位置が変わり、その当接位置に応じて、像担持体が回転しながら軸方向に往復移動する。このように、駆動機構を構成する第1ギア部材や第2ギア部材を像担持体の周辺に纏めて配置することができ、大きなスペースをとることなく、像担持体を回転させるとともに軸方向に往復移動させることができる。
【0015】
また、第3の発明によれば、第1ギア部材と第2ギア部材の一方のギアは、転移歯車からなるので、第1ギア部材と第2ギア部材はアイドルギアに確実に噛合し、正確に回転駆動力を伝達する。
【0016】
また、第4の発明によれば、カム面は、所定の角度回転すると軸方向に一定量変位するために、像担持体を軸方向に安定して移動させることができる。
【0017】
また、第5の発明によれば、カム面とカムフォロアとを円周等分割に夫々少なくとも二つ設けると、カムフォロアがカム面に安定して当接することになる。
【0018】
また、第6の発明によれば、複数の像担持体を備えるカラー用の画像形成装置において、画像形成時に像担持体をクリーニングしても、像担持体が10〜30μmの範囲で軸方向に移動すると、傷付けることなく像担持体上の残留トナーをクリーニングし、また、各像担持体によるトナー像の色ずれ抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す断面図
【図2】実施形態に係る駆動機構を模式的に示す図
【図3】実施形態に係る駆動機構の第1ギア部材と第2ギア部材を示す斜視図
【図4】実施形態に係る画像形成部を示す断面図
【図5】実施形態に係る感光体の軸方向の移動量を示す図
【図6】実施形態に係る感光体の露光から転写までの間の軸方向の移動量を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0021】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す断面図である。画像形成装置10は、胴内排紙方式のタンデム型カラー複写機であり、下側の装置本体11と上側の装置本体16とを備える。
【0022】
下側の装置本体11には、給紙部14と、画像形成部12と、定着器13が配設され、また、上側の装置本体16には、原稿画像を読み取る画像読取部20が配設される。下側の装置本体11と上側の装置本体11との間には排紙空間15が形成され、この排紙空間15に定着処理後の用紙Pが排出される。
【0023】
画像形成部12は、給紙部14から給紙された用紙Pにトナー像を形成するものであり、中間転写ベルト125の回転方向の上流側から下流側へ向けてマゼンタ用ユニット12Mと、シアン用ユニット12Cと、イエロー用ユニット12Yと、ブラック用ユニット12Kとが配設される。
【0024】
各画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Kには、像担持体である感光体121が配設され、感光体121の周囲に、現像部122、露光部124、帯電部123及びクリーニング部126が配設される。
【0025】
現像部122は、感光体121の右方に対向して配置され、感光体121にトナーを供給する。帯電部123は、感光体121の回転方向に対し現像部122の上流側であって感光体121の表面に対向して配置され、感光体121表面を一様に帯電させる。
【0026】
露光部124は、画像読取部20にて読み取った文字や絵柄などの画像データに基づいて、感光体121を走査露光するためのものであり感光体121の下方に設けられる。露光部124には、図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー等が設けられ、レーザ光源から出射されたレーザ光が、ポリゴンミラーを介して、帯電部123に対して感光体121の回転方向下流側から、感光体121の表面に照射される。照射されたレーザ光により、感光体121表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が現像部122によりトナー像に現像される。
【0027】
無端状の中間転写ベルト125は、駆動ローラー125aとテンションローラー125bに張架されている。駆動ローラー125aは図示しないモーターによって回転駆動され、中間転写ベルト125は駆動ローラー125aの回転によって循環駆動させられる。
【0028】
この中間転写ベルト125に接触するように感光体121が転写媒体である中間転写ベルト125の下方で搬送方向に沿って隣り合うように配列されている。1次転写ローラー125cは、中間転写ベルト125を挟んで感光体121と対向し、中間転写ベルト125に圧接して1次転写部を形成する。この1次転写部において、中間転写ベルト125の回転とともに所定のタイミングで各感光体121のトナー像が中間転写ベルト125に順次、1次転写される。これにより、中間転写ベルト125表面にはマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたトナー像が形成される。1次転写後に、クリーニング部126が感光体121の表面に残留するトナーをクリーニングする。
【0029】
2次転写ローラー113は、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125aと対向し、中間転写ベルト125に圧接して2次転写部を形成する。この2次転写部において、中間転写ベルト125表面のトナー像が用紙Pに転写される。転写後に、図示しないベルトクリーニング装置が中間転写ベルト125に残存するトナーを清掃する。
【0030】
画像形成装置10内の下方には給紙部14が配設され、給紙部14には、用紙Pを収納し、挿脱自在に装置本体11に装着された用紙トレイ141が設けられる。給紙部14の左方には、用紙トレイ141からピックアップローラー142によって繰り出された用紙Pを中間転写ベルト125の2次転写部に搬送ローラー112によって搬送する第1用紙搬送路111が配設される。更に、装置本体11の左上方には、画像が形成された用紙Pに対して定着処理を行う定着器13と、定着処理の行われた用紙を用紙排出トレイ151に搬送する第2用紙搬送路114とが配設される。
【0031】
中間転写ベルト125における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pが2次転写部に搬送される。2次転写部に搬送された用紙Pは、バイアス電位が印加された2次転写ローラー113によって、中間転写ベルト125上のトナー像を2次転写され、定着器13に搬送される。
【0032】
定着器13は、熱源により加熱される定着ローラー131と、定着ローラー131に圧接して配設された加圧ローラー132とを備え、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。トナー像が定着された用紙Pは第2用紙搬送路114を通って、排出ローラーにより用紙排出トレイ151に排出される。
【0033】
次に、図2、図3を用いて感光体121の駆動機構50を説明する。図2は駆動機構50を模式的に示す図であり、感光体121は図2(a)と図2(b)との範囲で往復移動する。図3は、第1ギア部材51と第2ギア部材53と分離して示す斜視図である。
【0034】
図2(a)に示すように、感光体121をクリーニングするために、感光体121の周辺にはクリーニングブレード25と駆動機構50が配設される。
【0035】
クリーニングブレード25は、感光体121の表面に当接するようにクリーニング部126(図1参照)に固設され、感光体121表面に残留したトナーを除去する。
【0036】
感光体121は、その軸方向の両端側に延びる回転軸121aと、軸方向の右側に配設される第1ギア部材51とを有する。回転軸121aは、その両端側で支持部材71(装置本体)に軸方向移動可能で且つ回転可能に嵌合している。
【0037】
駆動機構50は、前記の第1ギア部材51と、第2ギア部材53と、アイドルギア55と、付勢部材57とを有する。
【0038】
第1ギア部材51は第1ギア51aとカムフォロア51bを有する。第1ギア51aは、第1ギア部材51の外周面に形成される平歯車である。カムフォロア51bは、第1ギア部材51の右側面から突出する突起であり、後述するカム面53bに当接する。
【0039】
第2ギア部材53は、第2ギア53aとカム面53bを有する。また、第2ギア部材53は、その右側面が支持部材71のフランジ部71aに当接し、感光体121の回転軸121aに回転可能に嵌合している。
【0040】
第2ギア53aは、第2ギア部材53の外周面に形成され、第1ギア部材51の第1ギア51aに対して歯数が一つ少ない平歯車である。また、第2ギア53aは、そのピッチ円直径を第1ギア51aのピッチ円直径に合わせるために転移して形成される。第2ギア53aを転移歯車で構成することで、後述するアイドルギア55が第1ギア51aと第2ギア53aとに確実に噛み合う。尚、第2ギア53aの歯数を少なくする替わりに、第1ギア51aを第2ギア53aに対して歯数が一つ少ない転移平歯車にしてもよい。また、第1及び第2ギア51a、53aの一方の歯数は、2歯以上少なくしてもよい。
【0041】
カム面53bは、第1ギア部材51のカムフォロア51bに対向するように第2ギア部材53の左側面に形成され、円周方向において軸方向距離が異なる(変位する)ように形成される。
【0042】
具体的には、図3に示すように、カム面53bは、第2ギア部材53の左側面の周方向に180°離間して二つ形成される。各カム面53bは、カム面53bの周方向の単位回転角に対して常に所定量の軸方向距離が変わる(変位する)ように形成される。第1ギア部材51には第2ギア部材53のカム面53bに対向してカムフォロア51bが周方向に180°離間して二つ形成される。そして、カムフォロア51bとカム面53bとの当接位置に応じて、カムフォロア51bが軸方向に移動し、カムフォロア51bを有する感光体121が一体に移動する。このように移動するときに、カム面53bとカムフォロア51bとを夫々二つ設けると、カムフォロア51bがカム面53bに安定して当接することになる。尚、カム面53bとカムフォロア51bとを夫々三つ以上設けるようにしてもよい。また、第1ギア部材51にカム面を形成し、第2ギア部材53にカムフォロアを設けるようにしてもよい。
【0043】
図2(a)に戻り、アイドルギア55は、装置本体(図略)に回転可能に支持され、第1ギア51aと第2ギア53aに噛合する平歯車からなる。
【0044】
付勢部材57は、感光体121の回転軸121aを右方向に押圧するコイルスプリングからなり、カムフォロア51bがカム面53bに当接する方向に付勢する。
【0045】
図示しないモーター等の駆動源によって第1ギア部材51が回転駆動すると、感光体121が回転するとともに、第1ギア51aに噛合するアイドルギア55が回転し、さらにアイドルギア55に噛合する第2ギア53a、つまり第2ギア部材53が回転する。第1ギア部材51と第2ギア部材53がともに回転するが、第1ギア51aと第2ギア53aとの歯数の違いによって、第1ギア部材51と第2ギア部材53とは互いに異なる回転速度で回転する。第1及び第2ギア部材51、53が異なる回転速度で回転することで、カムフォロア51bとカム面53bとの当接位置が変わり、その当接位置に応じて、付勢部材57の付勢力に抗して感光体121が回転しながら軸方向に移動し、図2(b)に示す状態に至る。さらに第1ギア部材51が回転駆動すると、感光体121は、図2(b)の状態から右側に移動し図2(a)の状態に戻る。感光体121が回転するとともに軸方向に往復移動するために、感光体121に当接するクリーニングブレード25に残留トナーが詰まった状態で感光体121表面の同じ位置が繰り返し擦られるおそれがない。よって、感光体121の表面を傷付けることなく感光体121上の残留トナーがクリーニングされる。尚、第1ギア部材51を回転駆動させる替わりに、回転軸121aを回転させてもよく、また、第2ギア部材53を回転駆動させてもよい。
【0046】
ここで、各色毎のクリーニングブレード25によって各感光体121をクリーニングするために、画像形成時に感光体121が軸方向に移動する構成であると、1次転写部で軸方向に色ずれが発生するおそれがある。この色ずれを抑える構成を図4〜図6に基づいて説明する。図4は画像形成部を示す断面図であり、図5は感光体の軸方向の移動量を示す図であり、図6は感光体の露光から転写までの間の軸方向の移動量を示す図である。尚、図4は図1の画像形成部を裏面側から示している。
【0047】
図4に示すように、画像形成部12は、感光体121の周りにその回転方向に沿って、帯電部123、露光部124、現像部122、転写部である1次転写ローラー125c、クリーニングブレード25が配設される。感光体121のトナー像が1次転写ローラー125cによって転写媒体である中間転写ベルト125に1次転写される。
【0048】
1次転写ローラー125cは露光部124に対して周方向に角度Wだけ離間している。本実施形態では、角度Wを164°に設定し、また、クリーニングブレード25と帯電部123との角度は129°に設定している。
【0049】
第1ギア51a(図2参照)の歯数を35に設定し、第2ギア53a(図2参照)の歯数を34に設定している。さらに、カム面53bを単位回転角に対して常に一定量の軸方向距離が変わる(変位する)ように形成し、カム面53bの軸方向の最大変位量を0.5mmに設定している。このカム面53bを第2ギア部材53(図3参照)の右側面の周方向に180°離間して二つ形成している。
【0050】
このように設定した駆動機構50において第1ギア部材51を回転駆動させると、図5の実線Aに示すように感光体121は往復移動する。図5の横軸は第1ギア部材51の回転角度であり、縦軸は感光体121の移動量であり、感光体121は12240°回転(34回転)する間に4往復移動し、軸方向に0.5mm移動する。
【0051】
図6は、図5の一部を拡大して図示したものであり、感光体121が露光部124から1次転写ローラー125cまでの角度Wを回転した場合の感光体121の移動量を示している。図6の実線Aに示すように、感光体121は角度W回転する間に軸方向に0.0261mm移動する。
【0052】
画像形成時に各感光体121が夫々軸方向に0.0261mm移動しても、各感光体121によるトナー像の色ずれは許容できる範囲のものである。また、感光体121を回転させながら軸方向に0.5mm移動させると、クリーニングブレード25に挟まった紙粉などの異物によって傷付けることなく感光体121上の残留トナーをクリーニングすることができる。
【0053】
また、図5の一点鎖線Bでは、第1ギア51a(図2参照)の歯数を35に設定し、第2ギア53a(図2参照)の歯数を34に設定し、さらに、カム面53bを単位回転角に対して常に所定量の軸方向距離が変わる(変位する)ように二つ形成し、カム面53bの軸方向の最大変位量を0.25mmに設定している。
【0054】
この設定では、感光体121は12240°回転(34回転)する間に4往復移動し、軸方向に0.25mm移動する。また、図6に示すように、感光体121は角度W回転するときに軸方向に0.0131mm移動する。
【0055】
画像形成時に各感光体121が夫々軸方向に0.0131mm移動しても、各感光体121によるトナー像の色ずれは許容できる範囲のものである。また、感光体121を回転させながら軸方向に0.25mm移動させると、クリーニングブレード25に挟まった紙粉などの異物によって傷付けることなく感光体121上の残留トナーをクリーニングすることができる。
【0056】
上記の設定より、感光体121が露光部124から1次転写ローラー125cまで回転する間に、軸方向に10〜30μmの範囲で感光体121を移動させても、各感光体121によるトナー像の色ずれ抑えることができるとともに、傷付けることなく感光体121上の残留トナーをクリーニングすることができる。
【0057】
上記実施形態によれば、画像形成装置10は、トナー像を担持する感光体121にクリーニングブレード25が当接して感光体121上の残留トナーをクリーニングするために、感光体121を回転させるとともに感光体121をその軸方向に往復移動させる駆動機構50を備える。
【0058】
この構成によると、駆動機構50によって、感光体121が回転するとともに軸方向に往復移動するために、クリーニングブレード25に挟まった紙粉などの異物によって感光体121の表面を傷付けることなく感光体121上の残留トナーがクリーニングされる。感光体121の回転と軸方向の移動が一つの駆動機構50によって行なわれるために、構成が簡単になり、また、省スペースなものとなる。さらに、クリーニングブレード25を例えばクリーニング部126に固設する構成をとることができ、クリーニング部126外にトナーが飛散することがない。
【0059】
尚、上記実施形態では、カラー用の画像形成装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、用紙を転写媒体としてモノクロ用の画像形成装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができ、特に、像担持体上に残留するトナーをクリーニングする画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
10 画像形成装置
12 画像形成部
121 感光体(像担持体)
121a 回転軸
124 露光部
125 中間転写ベルト(転写媒体)
125c 1次転写ローラー(転写部)
126 クリーニング部
25 クリーニングブレード
50 駆動機構
51 第1ギア部材(他方のギア部材)
51a 第1ギア
51b カムフォロア
53 第2ギア部材(一方のギア部材)
53a 第2ギア
53b カム面
55 アイドルギア
57 付勢部材
71 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体にクリーニングブレードが当接して像担持体上の残留トナーをクリーニングする画像形成装置において、
前記像担持体を回転させるとともに前記像担持体を該軸方向に往復移動させる駆動機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記像担持体に設けられる第1ギア部材と、前記第1ギア部材に対向し同軸に回転可能であって軸方向に不動に配設されるとともに前記第1ギアに対して歯数の異なる第2ギア部材と、前記第1ギア部材と前記第2ギア部材とに噛合するアイドルギアと、前記第1ギア部材と第2ギア部材の一方のギア部材に設けられ円周方向において軸方向距離が異なるカム面と、前記第1ギア部材と第2ギア部材の他方のギア部材に設けられ前記カム面に当接可能であるカムフォロアと、前記カム面とカムフォロアとが当接する方向に前記像担持体を付勢する付勢部材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1ギア部材と第2ギア部材の一方のギアは、転移歯車からなることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カム面は、単位回転角度当たりの軸方向の変位量が一定になるように形成されることを特徴とする請求項または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カム面と前記カムフォロアとが、前記第1ギア部材と第2ギア部材の円周を等分割する位置に夫々少なくとも二つ設けられることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体の周りには該回転方向に沿って、原稿の画像データに基づく光を前記像担持体の表面に照射し静電潜像を形成する露光部と、前記像担持体上の静電潜像をトナー像に変換する現像部と、前記像担持体上のトナー像を転写媒体に転写する転写部とを備え、前記像担持体は、前記露光部から前記転写部まで回転する間に、軸方向に10〜30μm移動することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−133268(P2012−133268A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287169(P2010−287169)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】