説明

画像形成装置

【課題】ユーザが表示操作部を持って動かすことにより印刷条件あるいは操作内容をより簡単且つ直感的に入力できるようにした画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、印刷条件または操作内容を入力するための操作入力画面を表示する表示操作部110を備え、表示操作部110を着脱可能に接続する。表示操作部110は、表示操作部110の動きを検出する3軸加速度センサ部112を備え、表示操作部110が画像形成装置100から取り外されている場合、3軸加速度センサ部112により検出される表示操作部110の動きに応じて、画像形成装置100に印刷条件または操作内容を入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、印刷条件または操作内容を入力するための表示操作部を着脱可能に接続する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral:デジタル複合機)などの画像形成装置において、ユーザが印刷条件や操作内容の入力を行う場合、印刷条件または操作内容を入力するための操作入力画面を表示する操作パネル(以下、表示操作部という)から行うようになっている。この操作入力画面は、例えば、液晶表示部とタッチパネルで構成され、ユーザは印刷条件や操作内容の入力をタッチ入力等により行っていた。通常、MFPと表示操作部とは一体的に構成されており、表示操作部をMFP本体から分離することはできなかった。
【0003】
これに対して、画像形成装置本体に対して表示操作部を着脱可能とし、画像形成装置と表示操作部とを無線接続する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1に記載の技術によれば、画像形成装置の表示操作部を、画像形成装置本体に装着した場合と、取り外した場合とで、表示操作部の表示画面の表示を異ならせるようにしている。具体的には、表示操作部が画像形成装置本体から取り外された場合、各種の印刷条件を表示操作部から手書き文字によって入力できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−94764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術のように、画像形成装置本体と表示操作部とを分離して無線接続を行うことで、ユーザは画像形成装置から離れた位置からでも画像形成装置への入力を行うことができ、操作性の向上を図ることができる。しかし一方で、画像形成装置から取り外された表示操作部では、ユーザは各種の印刷条件を入力ペンにより手書き入力しなくてはならないため、誤認識などのエラーも発生し易く、入力が簡単にできるとは言い難い。例えば、両面印刷において横綴じを設定する場合、手書き入力により、「両面」、「横綴じ」などと入力する必要があり、簡単且つ直感的な入力を行えるようにはなっていない。
【0006】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、ユーザが表示操作部を持って動かすことにより印刷条件あるいは操作内容をより簡単且つ直感的に入力できるようにした画像形成装置を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、本発明の第1の技術手段は、印刷条件または操作内容を入力するための操作入力画面を表示する表示操作部を備え、該表示操作部を着脱可能に接続する画像形成装置であって、前記表示操作部は、該表示操作部の動きを検出するセンサを備え、前記表示操作部が前記画像形成装置から取り外されている場合、前記センサにより検出される前記表示操作部の動きに応じて、前記画像形成装置に印刷条件または操作内容を入力することを特徴としたものである。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記表示操作部が前記画像形成装置から取り外されている場合、前記表示操作部と前記画像形成装置とが無線通信可能に接続されることを特徴としたものである。
【0009】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記センサは、3軸加速度センサで構成され、該3軸加速度センサは、前記表示操作部の操作入力画面に垂直な垂直軸に直交する縦方向水平軸あるいは横方向水平軸を中心に回転させたときの回転方向を検出し、前記表示操作部は、前記3軸加速度センサにより検出された回転方向に応じて、前記画像形成装置に記録用紙の綴じ方向を入力することを特徴としたものである。
【0010】
第4の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記センサは、3軸加速度センサで構成され、該3軸加速度センサは、前記表示操作部を保持したときの保持方向が所定の初期値に対して変化したか否かを検出し、前記表示操作部は、前記3軸加速度センサにより検出された保持方向の変化の有無に応じて、前記画像形成装置に記録用紙の印刷向きを入力することを特徴としたものである。
【0011】
第5の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記センサは、3軸加速度センサで構成され、該3軸加速度センサは、前記表示操作部を傾けた方向を検出し、前記表示操作部は、前記3軸加速度センサにより検出された傾け方向に応じて、前記印刷条件または前記操作内容に係る選択候補群の中から1つを選択して前記画像形成装置に入力することを特徴としたものである。
【0012】
第6の技術手段は、第5の技術手段において、前記印刷条件は、用紙サイズ、印刷部数、倍率、機能のいずれかであることを特徴としたものである。
【0013】
第7の技術手段は、第5又は第6の技術手段において、前記選択候補群を画面表示したときの該選択候補群の中央にはデフォルト値が配置され、その周辺には該デフォルト値以外の値が配置されていることを特徴としたものである。
【0014】
第8の技術手段は、第7の技術手段において、前記選択候補群は、同心円状に配置されていることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像形成装置本体に対して表示操作部を着脱可能とし、表示操作部内に表示操作部の動きを検出するためのセンサを備えたため、ユーザが表示操作部を持って動かすことにより印刷条件あるいは操作内容をより簡単且つ直感的に入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による画像形成装置の外観構成の一例を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置から表示操作部を取り外した状態を示す図である。
【図3】本発明による画像形成装置及び表示操作部の構成例を示すブロック図である。
【図4】表示操作部により両面印刷での綴じ方向を入力する場合の動作例を説明するための図である。
【図5】表示操作部により記録用紙の向きを入力する場合の動作例を説明するための図である。
【図6】表示操作部により印刷部数を入力する場合の動作例を説明するための図である。
【図7】表示操作部により印刷部数を入力する場合の動作の他の例を説明するための図である。
【図8】表示操作部により両面印刷での記録用紙の綴じ方向を入力するときの動作例を説明するためのフロー図である。
【図9】表示操作部によりN-up印刷での記録用紙の印刷向きを入力するときの動作例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の画像形成装置に係る好適な実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明による画像形成装置の外観構成の一例を示す図で、図中、100は画像形成装置を示す。この画像形成装置100は、例えば、プリント機能,コピー機能,ファクシミリ機能,スキャナ機能などを備えたMFPとして構成され、大きく分けて、原稿読取部101、画像形成部102、給紙部103、手差し給紙部104、排紙部105、及び表示操作部110を備える。
【0019】
図1において、画像形成部102は、原稿読取部101で原稿を読み取って入力した画像データに基づいて、給紙部103あるいは手差し給紙部104から給紙された記録用紙に画像形成し、画像形成された記録用紙(印刷物)を排紙部105に排紙する。この際、ユーザは印刷(画像形成)条件や操作内容の入力を表示操作部110から行うことができる。
【0020】
図2は、図1の画像形成装置100から表示操作部110を取り外した状態を示す図である。このように表示操作部110は画像形成装置100に着脱可能に構成されている。表示操作部110が画像形成装置100から取り外された場合、表示操作部110と画像形成装置100とは、無線通信あるいは有線通信が可能な状態に接続される。無線通信の場合、その通信方法を特に限定するものではないが、例えば、IrDA(Infrared Data Association)で規定される赤外線通信や、比較的近距離であれば、Bluetooth(登録商標)などの無線インタフェースを用いることもできる。
【0021】
図3は、本発明による画像形成装置100及び表示操作部110の構成例を示すブロック図である。画像形成装置100は、画像形成を行う画像形成部102と、画像形成装置100の各部を制御するCPUなどを含む制御部106と、表示操作部110と通信するための通信部107と、画像形成装置100の制御プログラム等を格納したROM108とを備える。画像形成装置100は、前述したように、表示操作部110を着脱可能としており、表示操作部110が画像形成装置100に装着されている場合、表示操作部110による通常の操作入力を可能とし、表示操作部110が備える内蔵バッテリへの充電を行うこともできる。
【0022】
また、表示操作部110は、画像形成装置100と通信するための通信部111と、表示操作部110の動きを検出するセンサの一例である3軸加速度センサ部112と、表示操作部110の各部を制御するCPUなどを含む制御部113と、表示操作部110の制御プログラム等を格納したROM114と、テンキーや、スタートキー、クリアキーなどの操作キー群からなるキー入力部115と、液晶画面などで構成され印刷条件または操作内容を入力するための操作入力画面を表示する表示部116と、表示部116上に形成されユーザによるタッチ入力を可能とするタッチパネル部117とを備える。
【0023】
表示操作部110は、画像形成装置100に装着されている場合、画像形成装置100と直接接続され、通常の操作入力を行うための操作入力画面を表示し、タッチパネル部117を用いたタッチ操作による入力を行う。また、表示操作部110は、画像形成装置100から取り外されている場合、図示しない内蔵バッテリで動作し、画像形成装置100と無線を介して接続され、3軸加速度センサ部112を用いた動き検出による入力を可能とする。
【0024】
本発明の主たる特徴部分は、ユーザが表示操作部を持って動かすことにより印刷条件あるいは操作内容をより簡単且つ直感的に入力できるようにすることにある。このための構成として、表示操作部110は、表示操作部110の動きを検出するセンサの一例である3軸加速度センサ部112を備え、表示操作部110が画像形成装置100から取り外されている場合、3軸加速度センサ部112により検出される表示操作部110の動きに応じて、画像形成装置100に印刷条件あるいは操作内容を入力する。
【0025】
3軸加速度センサ部112は、XYZ軸方向それぞれの加速度を検出することで、物体の傾きなどの動きを検出できる公知のセンサであり、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を応用したMEMS型加速度センサを適用することができる。このMEMS型加速度センサは、検出原理に応じて、大きく、静電容量検出方式、ピエゾ抵抗方式、熱検知方式などに分類される。本発明ではいずれの加速度センサを用いてもよい。
【0026】
上記において、印刷条件としては、例えば、用紙サイズ、印刷部数、倍率、機能などを入力することができる。また、ここでいう機能とは、例えば、複数ページを1ページに集約印刷する集約印刷(以下、N-up印刷という)機能や、用紙両面に印刷を行う両面印刷機能などを指定することができ、さらに各機能毎の印刷条件を入力することもできる。また、操作内容としては、プレビュー表示の指定やプレビュー表示時のページ捲りなどの各種の操作内容を入力することができる。
【0027】
3軸加速度センサ部112を用いた印刷条件または操作内容の入力に際しては、表示操作部110の保持方向の変化、回転方向、傾け方向などを、画像形成装置100の印刷条件あるいは操作内容に対応付けておけばよい。例えば、表示操作部110を傾ける方向を上、下、左、右などの複数の方向に区別し、各方向毎に印刷条件あるいは操作内容を対応付けておくことが考えられる。そして、このときの対応関係をデータテーブル化してROM114に予め記憶しておけばよい。
【0028】
図4は、表示操作部110により両面印刷での綴じ方向を入力する場合の動作例を説明するための図である。本例では、表示操作部110の操作入力画面に垂直な垂直軸(Z軸)に直交する縦方向水平軸(Y軸)あるいは横方向水平軸(X軸)を中心に回転させたときの回転方向を、3軸加速度センサ部112により検出する。表示操作部110は、3軸加速度センサ部112により検出された回転方向に応じて、画像形成装置100に記録用紙の綴じ方向を入力するように構成される。この記録用紙の綴じ方向とはステープル時の綴じる方向であり、本例の両面印刷に限らず、片面印刷であってもよい。
【0029】
まず、ユーザは、表示操作部110を画像形成装置100から取り外すと、3軸加速度センサ部112による本発明の入力機能(以下、動き入力機能という)が有効にされる。そして、ユーザが表示操作部110を手に持った状態で、表示操作部110を所定の方向に傾けるなどすることで、表示操作部110の初期画面(図示せず)から両面印刷設定画面を選択し、さらに、図4に示すような綴じ方向選択画面を表示させる。なお、本例では、綴じ方向選択画面を表示させるまでの操作入力を3軸加速度センサ部112による動き入力機能を用いて実行しているが、タッチパネル部117による従来の入力機能(以下、タッチ入力機能という)を用いて実行してもよい。
【0030】
また、本例では、表示操作部110に綴じ方向選択画面を表示させた状態において、タッチパネル部117によるタッチ入力機能は有効のままとする。これによりユーザは動き入力機能あるいはタッチ入力機能のどちらの方法でも記録用紙の綴じ方向を入力できるため望ましい。もちろん、綴じ方向選択画面の表示時に、タッチパネル部117によるタッチ入力機能を無効にし、3軸加速度センサ部112による動き入力機能のみ有効にしてもよい。この場合、例えば、対応するキー入力の部分をグレーアウトさせる、あるいは、対応するキー入力の部分を表示させないなどキーを選択できないようにする。
【0031】
図4(A)のようにユーザが表示操作部110を保持した状態において、表示操作部110を、縦方向水平軸(Y軸)を中心に回転させた場合、綴じ方向として“横綴じ”が選択される。このとき“横綴じ”が選択されていることがユーザに分かるように、表示画面上の“横綴じ”を反転表示させるなどするとよい。また、図4(B)のようにユーザが表示操作部110を保持した状態において、表示操作部110を、横方向水平軸(X軸)を中心に回転させた場合、綴じ方向として“縦綴じ”が選択される。この場合も上記と同様に、“縦綴じ”が選択されていることがユーザに分かるように、表示画面上の“縦綴じ”を反転表示させる。
【0032】
上記のようにして“横綴じ”あるいは“縦綴じ”が選択された状態で、例えば、表示操作部110を鉛直方向(Z軸の方向)に振るなどの方法により選択を確定させる。そうすると、この選択確定信号は表示操作部110から画像形成装置100に送信・入力され、画像形成装置100では、この選択確定信号に基づいて、両面印刷での綴じ方向が“横綴じ”あるいは“縦綴じ”に設定される。
【0033】
このように、両面印刷時において、表示操作部110をあたかも記録用紙のように見立て、表示操作部110を回転させる方向を、記録用紙をめくる(ステープル時の綴じる)方向に一致させることで、より簡単且つ直感的な入力設定が可能となる。
【0034】
図5は、表示操作部110により記録用紙の向きを入力する場合の動作例を説明するための図である。表示操作部110(及び表示部116)は縦横の長さが異なる矩形状であり、図4と同様に、表示操作部110の操作入力画面に垂直な垂直軸をZ軸、このZ軸に直交する縦方向水平軸をY軸、横方向水平軸をX軸とする。本例では、表示操作部110を保持したときの保持方向が所定の初期値に対して変化したか否かを、3軸加速度センサ部112により検出する。表示操作部110は、3軸加速度センサ部112により検出された保持方向の変化の有無に応じて、画像形成装置100に記録用紙の印刷向きを入力するように構成される。なお、以下では、N-up印刷において記録用紙の印刷向きを入力する場合を例示して説明するが、通常印刷時でも同様の処理が可能であることは言うまでもない。
【0035】
まず、ユーザは、表示操作部110を画像形成装置100から取り外すと、3軸加速度センサ部112による動き入力機能を有効にする。そして、ユーザが表示操作部110を手に持った状態で、表示操作部110を所定の方向に傾けるなどすることで、表示操作部110の初期画面(図示せず)からN-up印刷設定画面を選択し、割り付け画数として、ここでは、4-up(4in1)を選択し、さらに、図5のような用紙向き選択画面を表示させる。本例でも、用紙向き選択画面を表示させるまでの操作入力を3軸加速度センサ部112による動き入力機能を用いて実行しているが、タッチパネル部117によるタッチ入力機能を用いて実行してもよい。
【0036】
なお、本例の場合、表示操作部110に用紙向き選択画面を表示した状態で、タッチパネル部117によるタッチ入力機能を無効とし、対応するキー入力部分(“縦向き”、“横向き”)は非表示としている。
【0037】
ここで、表示操作部110が画像形成装置100から取り外された直後では横長に保持された状態となる。従って、表示操作部110を保持したときの保持方向が横長の場合を所定の初期値としてもよい。この場合、3軸加速度センサ部112は、表示操作部110の保持方向が初期値(横長)に対して縦長に変化したか否かを検出する。
【0038】
図5(A)のようにユーザが表示操作部110を縦長に保持した場合、すなわち、保持方向が変化した場合、用紙向きとして“縦向き”が選択される。このとき“縦向き”が選択されていることがユーザに分かるように、例えば、表示操作部110の表示画面上に用紙向きを縦向きにしたイメージを表示するとよい。また、図5(B)のようにユーザが表示操作部110を横長に保持した場合、すなわち、保持方向に変化がない場合、用紙向きとして“横向き”が選択される。この場合も上記と同様に、“横向き”が選択されていることがユーザに分かるように、例えば、表示操作部110の表示画面上に用紙向きを横向きにしたイメージを表示する。
【0039】
上記のようにして“縦向き”あるいは“横向き”が選択された状態で、例えば、表示操作部110を鉛直方向に振るなどの方法により選択を確定させる。そうすると、この選択確定信号は表示操作部110から画像形成装置100に送信・入力され、画像形成装置100では、この選択確定信号に基づいて、N-up印刷での記録用紙の印刷向きが“縦向き(ポートレート)”あるいは“横向き(ランドスケープ)”に設定される。
【0040】
このように、N-up印刷において、表示操作部110をあたかも記録用紙のように見立て、表示操作部110を保持する方向を、記録用紙の印刷向きに一致させることで、より簡単且つ直感的な入力設定が可能となる。
【0041】
上述の図4、図5において、選択状態にされた印刷条件の選択を確定する際に、表示操作部110を鉛直方向に振ることで選択確定させていたが、選択の確定方法はこれに限らない。例えば、タッチパネル部117によるタッチ入力機能を有効にして、表示操作部110の表示画面上に、図5に示すような決定キーを表示させるようにしてもよい。そして、選択状態にされた印刷条件の選択を確定する際に、ユーザが表示画面上の決定キーをタッチすることで選択確定させてもよい。
【0042】
図6は、表示操作部110により印刷部数を入力する場合の動作例を説明するための図である。まず、表示操作部110は、表示操作部110が画像形成装置100に装着されている場合、通常のキー配置を持つ印刷部数入力画面を表示する(S1)。ユーザは、この印刷部数入力画面の選択候補群(0〜9の数字キー)から所望の数字キーを選択・入力することで印刷部数を設定することができる。
【0043】
ここで、ユーザが表示操作部110を画像形成装置100から取り外した場合、表示操作部110は、3軸加速度センサ部112による動き入力機能を有効にすると共に、印刷部数入力画面のキー配置を変化させ、選択候補群を画面表示したときの選択候補群の中央にはデフォルト値(デフォルト条件)が配置され、その周辺にはデフォルト値以外の値が配置される(S2)。例えば、印刷部数としては通常1部で入力されることが多いため、数字キー“1”をデフォルト値として選択候補群の中央に配置している。なお、選択状態にある数字キーの色を変化させるようにしているため、ユーザはデフォルトの数字キー“1”が選択状態にあることを知ることができる。
【0044】
次に、S2の状態において、ユーザは、数字キー“2”を選択状態にしたい場合、表示操作部110の左上側が低くなるように傾ける。そうすると、数字キー“2”の色が変化して、数字キー“1”に代わり数字キー“2”が選択状態となる(S3)。この状態で、表示操作部110を鉛直方向に振ると選択が確定し、印刷部数として“2”が画像形成装置100に入力される。また、S2の状態において、ユーザは、数字キー“6”を選択状態にしたい場合、表示操作部110の右側が低くなるように傾ける。そうすると、数字キー“6”の色が変化して、数字キー“1”の代わりに数字キー“6”が選択状態となる(S4)。この状態で、表示操作部110を鉛直方向に振ると選択が確定し、印刷部数として“6”が画像形成装置100に入力される。
【0045】
上記では印刷部数について例示したが、印刷部数以外の印刷条件であっても同様の入力が可能である。これにより、ユーザは表示操作部110を所定の方向に傾けるだけで印刷条件を選択・入力することができる。本例の場合、中央のデフォルト値(デフォルト条件)を含み、上、下、左、右、左上、左下、右上、右下の計9つの条件を入力することができる。なお、中央のデフォルト値を含み、上、下、左、右の計5つの条件としてもよい。この5つの条件とした場合、選択可能な条件数は減少するが、3軸加速度センサ部112による検出誤りをほぼ0にできると考えられる。なお、選択可能な条件数を9つにするか、5つにするか、あるいは、これ以外の数にするかはユーザが適宜設定できるようにしてもよい。
【0046】
図7は、表示操作部110により印刷部数を入力する場合の動作の他の例を説明するための図である。まず、表示操作部110は、表示操作部110が画像形成装置100に装着されている場合、通常のキー配置を持つ印刷部数入力画面を表示する(S11)。ユーザは、この印刷部数入力画面の選択候補群(0〜9の数字キー)から所望の数字キーを選択・入力することで印刷部数を設定することができる。
【0047】
ここで、ユーザが表示操作部110を画像形成装置100から取り外した場合、表示操作部110は、3軸加速度センサ部112による動き入力機能を有効にすると共に、印刷部数入力画面のキー配置を変化させ、本例の場合、複数の数字キーを同心円状に配置する。また、図6の例と同様に、選択候補群を画面表示したときの選択候補群の中央にはデフォルトの条件(デフォルト値)が配置され、その周辺にはデフォルト値以外の値が配置される(S12)。ここでも印刷部数としては通常1部で入力されることが多いため、数字キー“1”をデフォルト値として配置している。なお、選択状態にある数字キーの色が変化するようにしたため、ユーザはデフォルトの数字キー“1”が選択状態にあることを知ることができる。
【0048】
次に、S12の状態において、ユーザは、数字キー“4”を選択状態にしたい場合、表示操作部110の下側が低くなるように傾ける。そうすると、数字キー“4”の色が変化して、数字キー“1”に代わり数字キー“4”が選択状態となる(S13)。この状態で、表示操作部110を鉛直方向に振ると選択が確定し、印刷部数として“4”が画像形成装置100に入力される。また、S12の状態において、ユーザは、数字キー“5”を選択状態にしたい場合、表示操作部110の左側が低くなるように傾ける。そうすると、数字キー“5”の色が変化して、数字キー“1”の代わりに数字キー“5”が選択状態となる(S14)。この状態で、表示操作部110を鉛直方向に振ると選択が確定し、印刷部数として“5”が画像形成装置100に入力される。
【0049】
また、S14の状態において、さらに、ユーザが、数字キー“9”を選択状態にしたい場合、表示操作部110の下側が低くなるように傾ける。そうずると、数字キー“9”の色が変化して、数字キー“5”の代わりに数字キー“9”が選択状態となる(S15)。この状態で、表示操作部110を鉛直方向に振ると選択が確定し、印刷部数として“9”が画像形成装置100に入力される。
【0050】
上記では印刷部数について例示したが、印刷部数以外の印刷条件であっても同様の入力が可能である。また、選択候補が多い場合などにおいて、図7のように同心円状に配置し、複数回の選択動作(傾ける動作)を行うことで、多数の選択候補の中から所望の印刷条件を選択することができる。
【0051】
ここで、表示操作部110は、表示操作部110を傾けた方向(例えば、上、下、左、右、左上、左下、右上、右下など)を検出することにより、印刷条件または操作内容に係る選択候補群の中から1つを選択して画像形成装置100に入力することができる。この印刷条件は、用紙サイズ、印刷部数、倍率、機能などである。印刷条件が用紙サイズであれば、A4,A3,B4などを含む選択候補群から1つを選択することができる。また、印刷条件が印刷部数であれば、テンキーを含む選択候補群から1つを選択することができる。また、印刷条件が倍率であれば、50%,100%,150%などを含む選択候補群から1つを選択することができる。また、印刷条件が機能であれば、両面印刷、N-up印刷などを含む選択候補群から1つを選択することができる。
【0052】
上述の図6、図7の例では、印刷部数をテンキーで入力する場合について例示したが、テンキーに代えて、用紙サイズ(A4,A3,B4など)、倍率(50%、100%、150%など)、機能(両面印刷機能,N-up印刷機能など)を割り当てることで同様に実行することができる。
【0053】
また、表示操作部110を傾けた方向を検出することで、プレビュー表示の指定や、プレビュー表示のページ捲りなど、各種の操作内容を入力してもよい。プレビュー表示時のページ捲りであれば、前ページ,次ページを含む選択候補群からいずれかを選択する、例えば、左方向に傾けた場合には前ページ、右方向に傾けた場合には次ページが選択され、それぞれのページのプレビュー表示を行うことができる。
【0054】
図8は、表示操作部110により両面印刷での記録用紙の綴じ方向を入力するときの動作例を説明するためのフロー図である。まず、ユーザは表示操作部110を操作して、両面印刷設定画面に入り(ステップS21)、この両面印刷設定画面からさらに綴じ方向選択画面(前述の図4)を表示させる(ステップS22)。ここまでのステップはタッチパネル部117によるタッチ入力機能により実行される。
【0055】
そして、表示操作部110は、表示操作部110が画像形成装置100から取り外されたか否かを判定し(ステップS23)、表示操作部110が画像形成装置100から取り外されていないと判定した場合(NOの場合)、通常選択画面を表示させ、引き続きタッチパネル部117を用いてタッチ操作による入力を行う(ステップS24)。
【0056】
また、ステップS23において、表示操作部110が画像形成装置100から取り外されたと判定した場合(YESの場合)、3軸加速度センサ部112による動き入力機能を有効にし、表示操作部110は、綴じ方向選択画面を表示させた状態で、3軸加速度センサ部112により回転方向を検出する(ステップS25)。そして、3軸加速度センサ部112により表示操作部110が縦方向水平軸(図4のY軸)を中心に回転されたか否かを判定し(ステップS26)、表示操作部110が垂直方向に回転されたと判定した場合(YESの場合)、“横綴じ”が選択状態にされるため、表示操作部110を鉛直方向に振るなどして、綴じ方向を“横綴じ”に決定する(ステップS27)。また、ステップS26において、表示操作部110がY軸を中心に回転されていないと判定した場合(NOの場合)、3軸加速度センサ部112により表示操作部110が横方向水平軸(図4のX軸)を中心に回転されたか否かを判定する(ステップS28)。
【0057】
次に、ステップS28において、表示操作部110がX軸を中心に回転されたと判定した場合(YESの場合)、“縦綴じ”が選択状態にされるため、表示操作部110を鉛直方向に振るなどして、綴じ方向を“縦綴じ”に決定する(ステップS29)。また、ステップS28において、表示操作部110がX軸を中心に回転されていないと判定した場合(NOの場合)、表示操作部110のタッチパネル部117から“横綴じ”が選択されたか否かを判定する(ステップS30)。
【0058】
次に、ステップS30において、表示操作部110のタッチパネル部117から“横綴じ”が選択されたと判定した場合(YESの場合)、綴じ方向を“横綴じ”に決定する(ステップS31)。また、ステップS30において、表示操作部110がタッチパネル部117から“横綴じ”が選択されていないと判定した場合(NOの場合)、表示操作部110のタッチパネル部117から“縦綴じ”が選択されたか否かを判定する(ステップS32)。
【0059】
次に、ステップS32において、表示操作部110のタッチパネル部117から“縦綴じ”が選択されたと判定した場合(YESの場合)、綴じ方向を“縦綴じ”に決定する(ステップS33)。また、ステップS32において、表示操作部110のタッチパネル部117から“縦綴じ”が選択されていないと判定した場合(NOの場合)、ステップS25に戻り処理を繰り返す。
【0060】
図9は、表示操作部110によりN-up印刷での記録用紙の印刷向きを入力するときの動作例を説明するためのフロー図である。まず、ユーザは表示操作部110を操作して、N-up印刷設定画面に入り(ステップS41)、このN-up印刷設定画面から割り付ける画数(2up、4upなど)を選択し、用紙向き選択画面(前述の図5)を表示させる(ステップS42)。ここまでのステップはタッチパネル部117によりタッチ入力機能により実行される。
【0061】
そして、表示操作部110は、表示操作部110が画像形成装置100から取り外されたか否かを判定し(ステップS43)、表示操作部110が画像形成装置100から取り外されていないと判定した場合(NOの場合)、通常選択画面を表示させ、引き続きタッチパネル部117を用いてタッチ操作による入力を行う(ステップS44)。
【0062】
また、ステップS43において、表示操作部110が画像形成装置100から取り外されたと判定した場合(YESの場合)、3軸加速度センサ部112による動き入力機能を有効にし、表示操作部110は、用紙向き選択画面を表示させた状態で、3軸加速度センサ部112により表示操作部112の保持方向が初期値(ここでは横長)に対して変化したか否かを検出する(ステップS45)。そして、3軸加速度センサ部112により表示操作部110の保持方向の変化の有無を判定し(ステップS46)、変化なし、つまり横長のままと判定した場合(YESの場合)、表示操作部110が横長の状態で保持されているため、記録用紙の向きを“横向き”とする(ステップS47)。
【0063】
次に、表示操作部110は、タッチパネル部117から“決定”が押下されたか否かを判定し(ステップS48)、タッチパネル部117の“決定”が押下された場合(YESの場合)、記録用紙の向きを決定する(ステップS49)。また、ステップS48において、タッチパネル部117の“決定”が押下されない場合(NOの場合)、ステップS45に戻り処理を繰り返す。
【0064】
また、ステップS46において、表示操作部110の保持方向に変化あり、つまり縦長に変化したと判定した場合(NOの場合)、表示操作部110が縦長の状態で保持されているため、記録用紙の向きを“縦向き”とし(ステップS50)、ステップS48に移行する。
【0065】
このように本発明によれば、表示操作部を画像形成装置に対して着脱可能とし、表示操作部内に表示操作部の動きを検出するためのセンサを備えることにより、表示操作部の保持方向の変化や、回転方向、傾け方向などを検出することができるため、印刷条件や操作内容の入力を簡単に行うことができる。さらに、表示操作部をあたかも記録用紙に見立て、表示操作部の動きを、記録用紙の綴じ方向や記録用紙の印刷向きなどに一致させることで、これら印刷物の仕上がりを直感的にイメージすることができる。
【符号の説明】
【0066】
100…画像形成装置、101…原稿読取部、102…画像形成部、103…給紙部、104…手差し給紙部、105…排紙部、106,113…制御部、107,111…通信部、108,114…ROM、110…表示操作部、112…3軸加速度センサ部、115…キー入力部、116…表示部、117…タッチパネル部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷条件または操作内容を入力するための操作入力画面を表示する表示操作部を備え、該表示操作部を着脱可能に接続する画像形成装置であって、
前記表示操作部は、該表示操作部の動きを検出するセンサを備え、前記表示操作部が前記画像形成装置から取り外されている場合、前記センサにより検出される前記表示操作部の動きに応じて、前記画像形成装置に印刷条件または操作内容を入力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記表示操作部が前記画像形成装置から取り外されている場合、前記表示操作部と前記画像形成装置とが無線通信可能に接続されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記センサは、3軸加速度センサで構成され、該3軸加速度センサは、前記表示操作部の操作入力画面に垂直な垂直軸に直交する縦方向水平軸あるいは横方向水平軸を中心に回転させたときの回転方向を検出し、前記表示操作部は、前記3軸加速度センサにより検出された回転方向に応じて、前記画像形成装置に記録用紙の綴じ方向を入力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記センサは、3軸加速度センサで構成され、該3軸加速度センサは、前記表示操作部を保持したときの保持方向が所定の初期値に対して変化したか否かを検出し、前記表示操作部は、前記3軸加速度センサにより検出された保持方向の変化の有無に応じて、前記画像形成装置に記録用紙の印刷向きを入力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記センサは、3軸加速度センサで構成され、該3軸加速度センサは、前記表示操作部を傾けた方向を検出し、前記表示操作部は、前記3軸加速度センサにより検出された傾け方向に応じて、前記印刷条件または前記操作内容に係る選択候補群の中から1つを選択して前記画像形成装置に入力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、前記印刷条件は、用紙サイズ、印刷部数、倍率、機能のいずれかであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記選択候補群を画面表示したときの該選択候補群の中央にはデフォルト値が配置され、その周辺には該デフォルト値以外の値が配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、前記選択候補群は、同心円状に配置されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−151630(P2012−151630A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8472(P2011−8472)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】