説明

画像形成装置

【課題】用紙幅方向端部の白抜けを抑えることを目的とする。
【解決手段】制御装置は、現像ローラの温度が第1所定値以上であるときに、現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値とする第1モードを実行し、現像ローラの温度が第1所定値よりも低いときに、現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値よりも大きな第2規定値とする第2モードを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像が形成される感光体に対して、現像剤を担持する現像ローラが接触して現像剤を供給する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電潜像が形成される感光ドラムに現像ローラが接触した状態で、現像ローラから感光ドラムに現像剤が供給される画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この技術では、通常、直流の電圧を現像ローラに印加することで、現像ローラから感光ドラムに現像剤が移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−93950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した技術において、例えば現像ローラの温度が低くなると、現像ローラが硬くなって感光ドラムへの追従性が悪くなり、現像ローラの両端部が部分的に感光ドラムから離れる場合がある。この場合には、現像ローラの両端部で保持した現像剤が、離れた感光ドラムに移り難くなり、用紙の幅方向端部が部分的に印字されない現象(以下、「用紙幅方向端部の白抜け」とも呼ぶ。)が起こるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、用紙(記録シート)幅方向端部の白抜けを抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、静電潜像が形成される感光体と、現像剤を担持するとともに、前記感光体に接触する現像ローラと、前記現像ローラから前記感光体に現像剤を供給させるために、直流成分と交流成分とが重畳されてなる現像バイアスを前記現像ローラに印加する制御装置と、を備える画像形成装置であって、前記制御装置は、前記現像ローラの温度が第1所定値以上であることを条件として、現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値とする第1モードを実行し、前記現像ローラの温度が第1所定値よりも低いことを条件として、現像バイアスの交流成分の振幅を前記第1規定値よりも大きな第2規定値とする第2モードを実行することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、現像ローラの温度が第1所定値よりも低いときには、現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値よりも大きな第2規定値とするので、第1所定値よりも低い低温度環境下において現像ローラの両端部が部分的に感光ドラムから離れた場合であっても、振幅の大きな交流成分を有する現像バイアスによって現像ローラの両端部から離れた感光ドラムに対して公知のジャンピング現像方式を利用して現像剤を飛ばして確実に移動させることができる。ここで、ジャンピング現像方式とは、現像ローラと感光体とが接触しない構成において行う現像方式であり、この方式においては現像ローラに交流の電圧を印加することで現像ローラから離れた感光体に現像剤を飛ばして移動させることが可能となっている。
【0008】
また、本発明は、静電潜像が形成される感光体と、現像剤を担持するとともに、前記感光体に接触する現像ローラと、記録シート上に転写した現像剤像を熱定着する定着装置と、前記現像ローラから前記感光体に現像剤を供給させるために、直流成分と交流成分とが重畳されてなる現像バイアスを前記現像ローラに印加する制御装置と、を備える画像形成装置であって、前記制御装置が、現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値とする第1モードと、現像バイアスの交流成分の振幅を前記第1規定値よりも大きな第2規定値とする第2モードとを切替可能に構成され、前記定着装置の熱源がOFFとなるモードから印字モードに移行することを条件として、前記第2モードを実行することを特徴とするものであってもよい。
【0009】
これによれば、定着装置の熱源がOFFとなるモードから印字モードに移行するときに第2モードを実行するので、熱源がOFFとなることにより現像ローラの温度が低くなって印字中に両端部が部分的に感光体から離れてしまった場合であっても、感光体に現像剤を飛ばして移動させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録シート幅方向端部の白抜けを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザプリンタを示す説明図である。
【図2】第1の実施形態における各モードでの現像バイアスを示すグラフ(a),(b)である。
【図3】各モードでの現像バイアスの変形例を示すグラフ(a),(b)である。
【図4】第1の実施形態の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係るレーザプリンタを示す説明図である。
【図6】第2の実施形態の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<レーザプリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの全体構成を説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
【0013】
以下の説明において、方向は、レーザプリンタ使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側(手前側)」、紙面に向かって右側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0014】
図1に示すように、レーザプリンタ1は、用紙Pを装置本体2内に給紙するためのフィーダ部3と、用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
【0015】
フィーダ部3は、装置本体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31内の用紙Pを画像形成部4に向けて給紙する給紙機構32とを備えている。
【0016】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、転写ローラTRと、定着装置7とを備えている。
【0017】
スキャナユニット5は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光体の一例としての感光ドラム81の表面上に高速走査にて照射する。
【0018】
プロセスカートリッジ6は、装置本体2に着脱可能であり、感光ドラム81を有するドラムカートリッジ8と、感光ドラム81に接触する現像ローラ91や現像剤の一例としてのトナーを有する現像カートリッジ9とを備えている。現像カートリッジ9は、ドラムカートリッジ8に対して着脱可能となっている。
【0019】
このプロセスカートリッジ6では、回転する感光ドラム81の表面が、図示せぬ帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光ドラム81の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0020】
次いで、現像カートリッジ9内のトナーが現像ローラ91によって担持された後、現像ローラ91上のトナーが感光ドラム81の静電潜像に供給されて、感光ドラム81の表面上にトナー像が形成される。詳しくは、現像ローラ91に対して制御装置100から現像バイアスが印加されることで、現像ローラ91から感光ドラム81にトナーが供給されるようになっている。なお、現像バイアスの制御については後で詳述する。
【0021】
その後、感光ドラム81と転写ローラTRの間で用紙Pが搬送されることで、感光ドラム81の表面に担持されているトナー像が用紙P上に転写される。
【0022】
定着装置7は、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向して配置され加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72とを備えている。そして、このように構成される定着装置7では、用紙P上に転写されたトナーを、用紙Pが加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着している。
【0023】
なお、定着装置7で熱定着された用紙Pは、定着装置7の下流側に配設される排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ21上に送り出される。
【0024】
<制御装置>
次に、制御装置100について詳細に説明する。
制御装置100は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、温度センサ110や湿度センサ120からの入力と、印字指令の内容と、ROMに記憶されたプログラムやデータなどに基づいて各演算処理を行うことによって制御を実行する。
【0025】
ここで、温度センサ110は、現像ローラ91の近傍に設けられ、現像ローラ91周りの空気の温度を検知している。また、湿度センサ120は、装置本体2内に外気を取り込むための取込口(図示略)の近傍に設けられ、装置本体2外の湿度を検知している。
【0026】
制御装置100は、現像ローラ91から感光ドラム81にトナーを供給させるために、直流成分と交流成分とが重畳されてなる現像バイアスを現像ローラ91に印加するように構成されている。そして、制御装置100は、現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値(ゼロ)とする第1モード(図2(a)参照)と、現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値よりも大きな第2規定値A1とする第2モード(図2(b)参照)とを切替可能に構成されている。
【0027】
つまり、第1モードでは、制御装置100は、基準となる電圧V1の直流成分に対して、振幅がゼロとなる交流成分を重畳することで、実質的に、電圧V1の直流成分のみからなる現像バイアスを現像ローラ91に印加する。また、第2モードでは、制御装置100は、基準となる電圧V1の直流成分に対して、振幅がA1となる交流成分を重畳することで、直流成分と交流成分とが重畳されてなる現像バイアスを現像ローラ91に印加する。
【0028】
なお、本実施形態では、第1規定値をゼロとしたが、本発明はこれに限定されず、図3(a),(b)に示すように、第2規定値A3よりも小さな値を第1規定値A2としてもよい。ここで、第1規定値および第2規定値は、実験やシミュレーション等によって適宜定めることができる。例えば、第1規定値は、現像ローラ91と感光ドラム81と間のニップ部(接触部分)よりも搬送方向前側または後側でジャンピング現像によりトナーが現像ローラ91から感光ドラム81に飛ばない程度の小さな振幅に設定できる。また、第2規定値は、用紙幅方向端部の白抜けを抑えることができる程度の大きな振幅に設定できる。
【0029】
そして、制御装置100は、図4に示すフローチャートに従って、第1モードと第2モードを切り替える制御を実行している。
【0030】
図4に示すように、制御装置100は、印字指令を受けたか否かを判断する(S1)。制御装置100は、ステップS1において印字指令を受けていない場合には(No)、本制御を終了し、印字指令を受けている場合には(Yes)、温度センサ110から取得した温度が第1所定値より低いか否かを判断する(S2)。
【0031】
ここで、第1所定値は、実験やシミュレーション等によって定めることができる。例えば、第1所定値は、現像ローラ91の両端部が印字動作中に部分的に感光ドラム81から離れる可能性があるときの温度に設定しておくことができる。
【0032】
ステップS2において温度が第1所定値よりも低い場合には(Yes)、制御装置100は、湿度センサ120から取得した湿度が第2所定値よりも低いか否かを判断する(S3)。ここで、第2所定値は、実験やシミュレーション等によって定めることができる。例えば、第2所定値は、現像ローラ91の両端部が印字動作中に部分的に感光ドラム81から離れる可能性があるときの湿度に設定しておくことができる。
【0033】
ステップS3において湿度が第2所定値よりも低い場合には(Yes)、制御装置100は、現像ローラ91の回転速度が第3所定値以上であるか否かを判断する(S4)。ここで、現像ローラ91の回転速度は、例えば図示せぬ回転速度センサから制御装置100が取得するように構成してもよいし、印字指令の内容(例えば、普通紙印字であるか、厚紙印字であるか)に基づいて回転速度を制御装置で推定するように構成してもよい。
【0034】
なお、第3所定値は、実験やシミュレーション等によって定めることができる。例えば、第3所定値は、回転速度を徐々に上げていき、用紙幅方向端部の白抜けが発生したときの回転速度に設定することができる。
【0035】
ステップS4において現像ローラ91の回転速度が第3所定値以上である場合には、制御装置100は、第2モードを実行する(S5)。具体的に、ステップS5において、制御装置100は、第2モードを印字制御が終わるまで実行するようになっている。
【0036】
なお、本実施形態では、第2モードを印字制御が終わるまで実行するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2モードを所定時間の間だけ実行し、所定時間が経過した後は、残りの印字を第1モードで行ってもよい。また、第2モードを所定枚数分(所定枚数の用紙に対する印字が完了するまでの間)だけ実行し、その後は、残りの枚数分の印字を第1モードで行ってもよい。さらには、現像ローラ91の回転回数を検知するセンサを設け、現像ローラ91の回転回数が所定値になるまでの間だけ、第2モードを実行し、その後は、残りの印字を第1モードで行ってもよい。
【0037】
このように、第2モードを実行する時間を制限することにより、第2モードを無駄に行うことを抑えることができるので、電力を無駄に消費することを抑えることができる。なお、所定時間、所定枚数または所定回転数は、実験やシミュレーションで適宜設定することができる。例えば、用紙幅方向端部の白抜けが発生する環境下において第1モードで印字を行っていき、印字開始から用紙幅方向端部の白抜けが発生しなくなるまでの時間(枚数、回転数)を所定時間(所定枚数、所定回転数)として設定することができる。
【0038】
また、ステップS2において温度が第1所定値以上であるときや(No)、ステップS3において湿度が第2所定値以上のときや(No)、ステップS4において回転速度が第3所定値未満のときには(No)、制御装置100は、第1モードを実行する(S6)。
【0039】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
現像ローラ91の温度が第1所定値よりも低いときには、現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値よりも大きな第2規定値とする第2モード(S5)へと制御が進む。そのため、第1所定値よりも低い低温度環境下において現像ローラ91の両端部が部分的に感光ドラム81から離れた場合には、振幅の大きな交流成分を有する現像バイアスによって現像ローラ91の両端部から離れた感光ドラム81に対して公知のジャンピング現像方式を利用してトナーを飛ばして確実に移動させることが可能となる。したがって、低温度環境下における用紙幅方向端部の白抜けを抑えることができる。
【0040】
前述した温度の条件に加え、装置本体2外の湿度と、現像ローラ91の回転速度の条件も考慮して、各モードを選択するので、温度以外の条件も加味して用紙幅方向端部の白抜けが発生する状況をより正確に推定することができ、無駄に振幅を大きくして電力を無駄に消費することを抑えることができる。具体的には、湿度が低くなると、乾燥して現像ローラ91が硬くなって、現像ローラ91の端部が印字中に部分的に感光ドラムから離れるため、湿度の条件を考慮することで、より用紙幅方向端部の白抜けを抑えることができる。また、現像ローラ91の回転速度が高くなると、現像ローラ軸の振れ起因の振動が大きくなり、現像ローラ91の端部が印字中に部分的に感光ドラムから離れるため、回転速度の条件を考慮することで、より用紙幅方向端部の白抜けを抑えることができる。
【0041】
なお、現像ローラ91の回転速度が変化する場合としては、例えば制御装置100が、普通紙を印字する場合には全速(所定の回転速度)で現像ローラ91を回転させ、厚紙を印字する場合には半速(所定の回転速度よりも低い速度)で現像ローラ91を回転させる制御を実行する場合などが挙げられる。
【0042】
第1規定値を0とすることで、第1モードでは直流成分のみの現像バイアスでトナーの供給が行われるので、第1モードにおいて現像ローラ91と感光ドラム81とのニップ部の前後でトナーが誤って飛ぶのを抑えることがきる。
【0043】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前述した第1の実施形態の構成を一部変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0044】
図5に示すように、第2の実施形態に係る制御装置300は、前述した第1の実施形態の各条件に加え、ユーザによって操作される選択スイッチ310からの情報に基づいて、各モードを切り替えるように構成されている。選択スイッチ310は、装置本体2の適所、例えば装置本体2の上面前側に設けられている。
【0045】
選択スイッチ310は、第1位置と第2位置とに切替可能なスイッチであり、第2位置に位置するときにON信号を制御装置300に出力し、第1位置に位置するときにON信号を制御装置300に出力しないように構成される。制御装置300は、前述した条件を判断する前に(S2〜S4)、選択スイッチ310から入力された信号がON信号であるか否かを判断する。そして、制御装置300は、ON信号を受けたときに(選択スイッチが第2位置であるときに)条件に従って第2モードを実行し、ON信号を受けないときに(選択スイッチ310が第1位置であるときに)第1モードのみを実行するように構成されている。
【0046】
言い換えると、選択スイッチ310は、第1位置と第2位置に切り替えられることでレーザプリンタ1のステータス(状態)を第1状態(選択スイッチ310がOFFされた状態)と第2状態(選択スイッチ310がONされた状態)とに切り替えるものである。また、制御装置300は、ステータスが第1状態であることを条件として第1モードを実行し、ステータスが第2状態であることを条件として第2モードを実行するように構成されている。
【0047】
なお、本実施形態では、選択スイッチ310が第2位置に位置するときに選択スイッチ310からON信号が出力されるとしたが、本発明はこれに限定されず、これとは逆に、選択スイッチ310が第1位置に位置するときに選択スイッチ310からON信号が出力されるように設定してもよい。
【0048】
制御装置300は、図6に示すフローチャートに基づいて各モードを切り替えている。ここで、図6に示すフローチャートは、第1の実施形態のフローチャート(図4)におけるステップS1とステップS2の間に、新たなステップS11を加えたものである。
【0049】
ステップS11では、制御装置300は、選択スイッチ310からON信号が出力されているか否か、すなわち選択スイッチ310が第2位置になっているか否か(第1位置および第2位置のいずれの位置であるか)を判断する。そして、制御装置300は、選択スイッチ310が第2位置である場合には(Yes)、ステップS2の処理に移行し、選択スイッチ310が第1位置である場合には(No)、通常制御である第1モードを実行する(S6)。
【0050】
以上によれば、用紙幅方向端部の白抜けが発生しにくい環境下でレーザプリンタ1を使用する場合には、ユーザが選択スイッチ310を第1位置に切り替えておくことで、複数の処理(ステップS2〜S4)を行うことなく、即座に通常モードである第1モードを実行することができる。
【0051】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前述した第1の実施形態に係る制御装置100の制御を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0052】
図7に示すように、第3の実施形態に係る制御装置は、定着装置7の熱源を制御するモードが、OFFモード(熱源がOFFとなるモード)から印字モード(熱源により加熱ローラ71の温度を所定の定着温度まで上昇させて当該定着温度に維持するモード)に移行するときに、第2モードを実行するようになっている。ここで、OFFモードとしては、例えば、レーザプリンタ1の電源が切られることで熱源がOFFとなっているモードや、スリープモード(長時間、レーザプリンタ1を使用しないことにより熱源がOFFとなるモード)などが挙げられる。また、OFFモードではないモードとしては、前述した印字モードの他、定着温度よりも低いレディ温度で熱源を待機させるレディモードなどが挙げられる。
【0053】
詳しくは、制御装置は、まず、印字指令を受けたか否かを判断する(S1)。制御装置は、ステップS1において印字指令を受けていない場合には(No)、本制御を終了し、印字指令を受けている場合には(Yes)、前回の熱源の制御モードがOFFモードであるか否かを判断する(S21)。
【0054】
制御装置は、ステップS21において前回の熱源の制御モードがOFFモードである場合には(Yes)、第2モードを実行し(S5)、OFFモードでない場合には(No)、第1モードを実行する(S6)。
【0055】
以上によれば、前回の熱源の制御モードがOFFモードである場合には、現像ローラ91の温度が低くなりすぎて用紙幅方向端部の白抜けが発生する可能性があるため、この場合に第2モードを実行することで、用紙幅方向端部の白抜けを抑えることができる。
【0056】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
第1の実施形態では、温度、湿度、回転速度の各条件を各モードを切り替えるための条件として利用したが、本発明はこれに限定されず、少なくとも温度の条件だけで各モードを切り替えるようにしてもよい。
【0057】
前記各実施形態では、感光体として感光ドラム81を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0058】
前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0059】
前記実施形態では、第1位置と第2位置に切替可能な選択スイッチ310を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばタッチパネルのような位置が変化しない選択スイッチ(選択スイッチの位置は同じである一方、画像形成装置のメモリの中でフラグが切り替わる構成)などを採用してもよい。この場合であっても、ユーザの選択スイッチの操作によって画像形成装置のステータスが第1状態(例えばON状態)と第2状態(例えばOFF状態)に変わるため、画像形成装置のステータスに応じて制御装置が適宜第1モード・第2モードを切り替えることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 レーザプリンタ
81 感光ドラム
91 現像ローラ
100 制御装置
P 用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体と、
現像剤を担持するとともに、前記感光体に接触する現像ローラと、
前記現像ローラから前記感光体に現像剤を供給させるために、直流成分と交流成分とが重畳されてなる現像バイアスを前記現像ローラに印加する制御装置と、を備える画像形成装置であって、
前記制御装置は、
前記現像ローラの温度が第1所定値以上であることを条件として、現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値とする第1モードを実行し、前記現像ローラの温度が第1所定値よりも低いことを条件として、現像バイアスの交流成分の振幅を前記第1規定値よりも大きな第2規定値とする第2モードを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記条件に加え、装置本体外の湿度が第2所定値以上であることを条件として前記第1モードを実行し、装置本体外の湿度が第2所定値よりも低いことを条件として前記第2モードを実行するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記条件に加え、前記現像ローラの回転速度が第3所定値より低いことを条件として前記第1モードを実行し、前記現像ローラの回転速度が第3所定値以上であることを条件として前記第2モードを実行するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザによって操作されることで、画像形成装置のステータスを第1状態と第2状態とに切替可能な選択スイッチが設けられ、
前記制御装置は、
前記条件を判断する前に、前記ステータスが前記第1状態および前記第2状態のいずれの状態であるかを判断し、前記ステータスが第1状態であることを条件として前記第1モードを実行し、前記ステータスが前記第2状態であることを条件として前記第2モードを実行するように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
静電潜像が形成される感光体と、
現像剤を担持するとともに、前記感光体に接触する現像ローラと、
記録シート上に転写した現像剤像を熱定着する定着装置と、
前記現像ローラから前記感光体に現像剤を供給させるために、直流成分と交流成分とが重畳されてなる現像バイアスを前記現像ローラに印加する制御装置と、を備える画像形成装置であって、
前記制御装置は、
現像バイアスの交流成分の振幅を第1規定値とする第1モードと、現像バイアスの交流成分の振幅を前記第1規定値よりも大きな第2規定値とする第2モードとを切替可能に構成され、
前記定着装置の熱源がOFFとなるモードから印字モードに移行することを条件として、前記第2モードを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記第1規定値が0であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第2モードを所定時間の間だけ実行することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記第2モードを所定枚数分だけ実行することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記現像ローラの回転回数が所定値になるまでの間だけ前記第2モードを実行することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−163592(P2012−163592A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21518(P2011−21518)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】