画像形成装置
【課題】温度偏差による画像品質の低下を高精度に抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ヒータ左64が、中間転写ベルト10の内方であって、隣り合う感光体40Yと感光体40Mの間に配置され、ヒータ右65が中間転写ベルト10の内方であって、隣り合う感光体40Cと感光体40Kの間に配置されている。ヒータ左64、ヒータ右65と感光体40との間を中間転写ベルト10が移動する。ヒータ左64、ヒータ右65はサーモスタット66によりオン・オフされる。
【解決手段】ヒータ左64が、中間転写ベルト10の内方であって、隣り合う感光体40Yと感光体40Mの間に配置され、ヒータ右65が中間転写ベルト10の内方であって、隣り合う感光体40Cと感光体40Kの間に配置されている。ヒータ左64、ヒータ右65と感光体40との間を中間転写ベルト10が移動する。ヒータ左64、ヒータ右65はサーモスタット66によりオン・オフされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子写真式の画像形成装置においては、潜像担持体である感光体に画像情報に基づいて静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置によりトナー像として可視像化し、該トナー像を最終的に記録媒体(シート)に転写した後、定着装置で定着するようになっている。
転写後の感光体の表面はクリーニングブレードにより転写残トナーを等を除去され、次の作像工程に備えられる。
フルカラー画像を対象とするタンデム機では、複数の感光体が中間転写ベルトの展張面に沿って並設され、感光体上に形成された色分解毎の色のトナー像を中間転写ベルトに順次転写し(1次転写)、中間転写ベルト上に重畳転写された各色のトナー像をシートに一括転写(2次転写)するようになっている。
給紙装置から給送されたシートを搬送ベルト上に吸着して搬送し、各感光体上のトナー像を順次転写する直接転写方式も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の電子写真式画像形成装置では、画像品質問題として、感光体クリーニング不良による縦スジ、転写部での放電による白抜けがある。
ブレードクリーニング方式の場合、低温低湿環境ではブレードが硬くなりクリーニング不良となりやすい。ブレードが硬くなると、感光体の長手方向に亘って均一な当接状態が得られないからである。
この対策として線ヒーター等の熱源を付近に設置し、温度を上げることが考えられるが、感光体付近にはスペースがないという問題があり、離れた位置に設置することが多い。その場合、複数の感光体がある場合には温度偏差が発生することが多く、隣の感光体ではクリーニングできるがその隣ではクリーニング不良になるなど、クリーニング性にばらつきが生じることがある。
【0004】
転写部での白抜けは放電によって発生するが、放電発生の原因は転写ローラの電気抵抗が上昇することによるのが一つの原因である。電気的抵抗が変動する主な原因の一つとして、抵抗の温湿度依存性が挙げられる。電気抵抗は一般的に、温湿度が低いと抵抗は高く、温湿度が高いと抵抗は低くなる。
例えば、真冬の時期に一晩画像形成装置が放置され、朝1番に電源投入で立ち上げた際には、転写部材の電気抵抗が高くなりすぎているために転写時に放電が発生しトナー像が白く抜けてしまう。その後、装置を稼動し続ければ装置内の温度が高くなり、転写部材の温度も上がることで、転写部材の電気抵抗が下がり放電画像は出なくなる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、温度偏差による画像品質の低下を高精度に抑制できる画像形成装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の像担持体に形成されたトナー像を、無端状のベルトの移動により順次重ね合わせて転写し、転写後の前記像担持体上の表面をクリーニングブレードでクリーニングする画像形成装置において、隣り合う像担持体の間に熱源が配置され、前記熱源と前記像担持体との間に、前記熱源を内包するように前記ベルトが這い回されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記ベルトを挟んで、前記像担持体に対向する位置に転写部材が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記転写部材が、イオン導電系の発泡ゴムによる表面層を有していることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、装置内の温度を検知して前記熱源をオン・オフするスイッチ部材を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記スイッチ部材が、バイメタル方式のサーモスタットであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記熱源を保持する熱源保持部材と、前記ベルトの内方に設けられ該ベルトをガイドするベルトガイド部材と、前記熱源保持部材を前記ベルトガイド部材に固定するネジ締め部と、を備え、前記熱源保持部材と前記ベルトガイド部材とは、前記ネジ締め部以外では非接触であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記ネジ締め部で、前記熱源保持部材と前記ベルトガイド部材との間に断熱材が設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記ベルトの内方における前記熱源の上部に、前記熱源の上方を覆う熱源上部カバーが設けられ、前記熱源上部カバーは、前記熱源の直上の位置から隣り合う2つの像担持体に向かって延びていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記熱源上部カバーの両端から前記隣り合う2つの像担持体までの距離が略等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、温度を上昇させる必要がある感光体や転写部材等の対象物に対して熱源を等距離に配置しなくても温度偏差を抑制することができ、配置レイアウト上の制限を緩和できて設計の自由度を高めることができる。
また、転写部における放電発生を抑制することができるので、白抜け等の画質低下を抑制することができる。
転写部材に温湿度による抵抗変動が特に大きいイオン導電系の発泡ゴム材質を用いても、抵抗を下げて放電を抑制することができるため、イオン導電系の発泡ゴム材質が有する良好な転写特性を活かすことができる。
また、使用環境温度がばらついたときでも、安価で簡易な構成でヒータON時の機内温度のバラツキを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図3】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図4】感光体等と熱源との配置関係を示す図である。
【図5】熱源の斜視図である。
【図6】環境温度26.5℃のときの各部の飽和温度を示す図である。
【図7】1次転写ローラの環境による抵抗変動を示すグラフである。
【図8】転写部での放電発生の有無とローラ抵抗値との関係を示す実験データである。
【図9】1次転写ローラと熱源との距離関係を示す図である。
【図10】環境温度が25℃の場合にヒータのスイッチをオンした場合の各部の温度推移を示すグラフである。
【図11】環境温度32℃でのヒータオン時の各部の温度を示す図である。
【図12】中間転写フレーム板金に対するヒータ貼り付け板金の取付構成を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のM方向から見た側面図である。
【図13】中間転写フレーム板金に対するヒータ貼り付け板金の取付構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図を参照して説明する。
まず、図1に基づいて本実施形態に係る画像形成装置としての複写機の構成の概要及び動作を説明する。
図中符号100は複写機本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写機本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)を示している。
複写機本体100には、中央に、無端状のベルトとしての中間転写ベルト10が設けられている。本実施形態では、中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14、15、16に掛け回されて支持されており、図中時計回り方向に回転駆動される。
【0012】
第2の支持ローラ15と第3の支持ローラ16との間には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17が設けられている。
第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間に張り渡した中間転写ベルト10上にはその移動方向に沿って、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4つの画像形成手段18が水平に並べて配置され、タンデム型の画像形成部20が構成されている。
画像形成部20の上には、露光装置21が設けられている。一方、中間転写ベルト10を挟んで画像形成部20と反対の側には、2次転写装置22が備えられている。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成され、中間転写ベルト10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置され、中間転写ベルト10上の画像をシートに転写する。
【0013】
2次転写装置22の図中左側には、シート上の転写画像を定着する定着装置25が設けられている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てる構成を有している。
2次転写装置22には、画像転写後のシートを定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。2次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよい。
2次転写装置22及び定着装置25の下には、画像形成部20と略平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28が備えられている。
【0014】
このカラー複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300が駆動され、第1走行体33および第2走行体34が走行する。
第1走行体33で光源から光が照射されるとともに原稿面からの反射光が第2走行体34に向けて反射され、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れられ、原稿内容が読み取られる。
【0015】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つ(ここでは支持ローラ14)が回転駆動されて他の2つの支持ローラが従動回転し、中間転写ベルト10が回転搬送される。同時に、個々の画像形成手段18で各像担持体としての感光体40が回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の単色画像が形成される。
中間転写ベルト10の搬送(移動)とともに、それらの単色画像が転写部材としての1次転写ローラ62により順次転写されて中間転写ベルト10上に合成カラー画像が形成される。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択されて回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートが繰り出される。シートは分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路46に入り、搬送ローラ対47で搬送されて複写機本体100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ対49に突き当てて止められる。
または、給紙ローラ50が回転して手差しトレイ51上のシートが繰り出され、分離ローラ52で1枚ずつ分離されて手差し給紙路53に入り、同じくレジストローラ対49に突き当てて止められる。
【0016】
中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49対が回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートが送り込まれ、2次転写装置22でシート上にカラー画像が転写される。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送されて定着装置25へと送り込まれ、定着装置25で熱と圧力とを加えられて転写画像を定着される。その後、切換爪55で搬送方向を切り換えられて排出ローラ対56で排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れられ、そこで反転されて再び転写装置へと導かれ、裏面にも画像を記録されて後、排出ローラ対56で排紙トレイ57上に排出される。
画像転写後の中間転写ベルト10は中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去され、画像形成部20による再度の画像形成に備えられる。
【0017】
中間転写ベルト10は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を108〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率を109〜1013Ωcmの範囲となるよう調整されている。なお、必要に応じ中間転写ベルト10の表面に離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
【0018】
中間転写ベルト10の製造方法は注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。
中間転写ベルト10の体積抵抗率が上述した範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなるため、電源コストの増大を招くため好ましくない。また、転写工程、転写紙剥離工程などで中間転写ベルト10の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるため除電手段を設ける必要が生じる。また、体積抵抗率および表面抵抗率が上記範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー飛び散りが発生してしまう。
したがって、本発明における中間転写ベルト10の体積抵抗率および表面抵抗率は上記範囲内でなければならない。
なお、体積抵抗率および表面抵抗率の測定は、高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径5.9mm,リング電極内径11mm)を接続し、中間転写ベルト10の表裏に100V(表面抵抗率は500V)の電圧を印加して10秒後の測定値を用いた。
【0019】
本実施形態で用いたトナーは重合法によって生成された重合トナーである。
該トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図2、3は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0020】
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
【0021】
トナー粒径は体積平均粒径で4〜10μmの範囲であることが望ましい。これよりも小粒径の場合には現像時に地汚れの原因となったり、流動性が悪化し、さらに凝集しやすくなるので中抜けが発生しやすくなる。
逆にこれよりも大粒径の場合にはトナー飛び散りや、解像度悪化により高精細な画像を得ることができない。
本実施形態では、トナー粒径の体積平均粒径6.5μmのものを用いた。
【0022】
図4に基づいて、本実施形態における熱源の配置構成を詳細に説明する。
図に示すように、熱源としてのヒータ左64が、中間転写ベルト10の内方であって、隣り合う感光体40Yと感光体40Mの間に配置されている。また、熱源としてのヒータ右65が中間転写ベルト10の内方であって、隣り合う感光体40Cと感光体40Kの間に配置されている。
すなわち、ヒータ左64、ヒータ右65と感光体40との間を中間転写ベルト10が移動する構成となっている。
図4において、符号63はテンションローラを、66はスイッチ部材としてのバイメタル方式のサーモスタットを示している。
【0023】
ヒータ左64、ヒータ右65は、図5に示すように、ニクロム線ヒータであり、定格電圧200V、ワット数9Wのものである。これに限定される趣旨ではない。
表面温度の上昇値は80℃±20℃である。厚さ0.05mmのアルミ箔67を用い、発熱体68はシリコンゴム絶縁発熱体を用いている。後述するように両面テープによって板金、モールド樹脂等のヒータ保持部材に固定し、保持部材をユニットに固定して使用する。図5において符号69はスイッチを示す。
【0024】
ヒータ左64、ヒータ右65のオン・オフはサーモスタット66によりなされる。本実施形態では低温動作型サーモスタット66を用いたがそれに限定するものではない。
バイメタル式のサーモスタット66を用いているため、温度によってバイメタル形状が変化し、ヒータ左64、ヒータ右65のスイッチ69がON、OFFする。
本実施形態では22℃以下でONとし、32℃以上でOFFとしたが、それに限定するものではない。
【0025】
ヒータの容量にも依存するが、感光体の近くのユニットである現像ユニットやクリーニングユニットに設置するとトナーが解けてしまい固着する可能性がある。
図4に示すように、中間転写ユニット(中間転写ベルト10内)に設置することでその問題はなくなる。
図6は、ヒータ容量9Wで環境温度26.5℃のときの各部の飽和温度を示す図である。
同図に示すように、ベルトの内側にある1次転写ローラ62は、右から31.4、39.5、32.5、36.2℃と(MAX-MIN)で8.1℃の差がある。
しかしながら、ベルトの外側にある感光体40は、右から30.9、32.9、30.3、31.3℃と(MAX-MIN)で2℃の差となる。
1次転写ローラ62はヒータ64、65からの距離に依存して温度偏差がついている。ヒータから1次転写ローラ62の距離が短いほど温度が高い。
しかしながら、感光体40と1次転写ローラ62のヒータからの距離はほぼ同じであるにもかかわらず、感光体40は1次転写ローラ62ほど温度偏差がついていない。
これはヒータと感光体の間にベルトを挟むことによって距離に対する感度が低くなっているからである。
換言すれば、距離に対する温度偏差が中間転写ベルト10の移動によって均されるからである。
【0026】
図6において、符号70はヒータ左64についての熱源保持部材としてのヒータ貼り付け板金を、71はヒータ右65についての熱源保持部材としてのヒータ貼り付け板金を、72はベルトガイド部材としての中間転写フレーム板金を、73はヒータ左64の上方に位置する熱源上部カバーとしてのヒータ上カバーを、74はヒータ右65の上方に位置する熱源上部カバーとしてのヒータ上カバーを、17A、17Bは中間転写体クリーニング装置17のクリーニングブレードを、それぞれ示している。
各ヒータ上カバーは、ヒータの直上の位置から隣り合う2つの感光体40に向かって延びている。なお、図4においてはこれらの部品は省略している。
【0027】
次に、1次転写ローラ62について説明する。
1次転写ローラ62は、イオン導電系の発泡樹脂剤を金属製(鉄、SUS、AI等)の芯金に塗布したものである。発泡樹脂剤の肉厚は2mm〜10mmである。
図7に、抵抗上昇の一例として、1次転写ローラ62の環境による抵抗変動のグラフを示す。
グラフからわかるように、25℃50%にて抵抗値が8.1LogΩだったものが10℃15%環境にては9.6LogΩと上昇している(ローラ(1)場合)。転写部での放電発生は9.5LogΩ以上の場合に発生することが図8の実験結果からわかる。
なお、抵抗値の測定方法は、環境25℃50%にて、1次転写ローラ62に片側5Nの荷重で金属ローラを押し当て金属ローラにDC1kVの電圧Vを印加した場合の電流値Iから抵抗Rをオームの法則V=IRより算出する。
【0028】
図9及び図10に基づいて、1次転写ローラ62における放電跡(白抜け)が発生しない熱源との距離について述べる。
図9に示すように、1次転写ローラ62Yまでの距離は120mm、62Mまでの距離は180mm、62Cまでの距離は100mm、62Kまでの距離は200mmであるとする。
中央にサーモスタット(センサ)66が配置されている。上記のように、図10は、環境温度が25℃の場合にヒータのスイッチをオンした場合の各部の温度推移である。図10において、「1次R」は1次転写ローラを示す。
図9における1次転写ローラ62の配置レイアウトは、あくまでも放電跡の発生とヒータとの距離の関係を把握するための実験上のレイアウトである。
【0029】
1次転写ローラについて注目すると、図10から明らかなように、ヒータまでの距離が近いほど温度が高くなる。
ここで図7と図8から以下のことが言える。
放電跡(白抜け)が発生しない1次転写ローラ抵抗は9.0LogΩである。9.0LogΩとなる温度は、図7のローラ(1)では15℃。ローラ(2)では20℃である。
ローラ(1)、(2)共に白抜けが発生しないようにするためには、環境温度が10℃として、環境温度より+10℃の温度上昇が必要となる。
次に図10のグラフにおいて、環境温度25℃から+10℃温度上昇しているローラを探すと、1次転写ローラ62Yが該当する。
従って、1次転写ローラ62Yとヒータ左64との位置関係が必要な距離となる。
よって120mm以内であれば放電跡(白抜け)をなくす効果を得ることができる。図4の配置レイアウトはこの実験結果に基づいてなされている。
【0030】
図11は、環境温度32℃でのヒータオン時の各部の温度を示す図である。
ベルトの内側にある1次転写ローラ62は、右から37.1、53.1、41.0、43.5℃と(MAX-MIN)で16℃の差がある。
しかしながら、ベルトの外側にある感光体40は、右から37.0、42.3、36.7、37.4℃と(MAX-MIN)で5.6℃の差となる。この場合にもベルトを挟むことによって距離に対する感度が低くなっていることがわかる。
【0031】
図12に基づいて、図11の二点鎖線円で囲んだ部分の構成、すなわちヒータ左64の取付構成を説明する。ヒータ右65についても同様の構成である。
図12(a)に示すように、ヒータ左64はヒータ貼り付け板金71の裏面にアルミ箔67を介して両面テープで貼り付けられている。
ヒータ貼り付け板金71は中間転写フレーム板金72に対してネジ締め部75で固定されているが、ネジ締め部75を除いては中間転写フレーム板金72に対して非接触状態となっている。
ネジ締め部75は面積が小さいので、中間転写フレーム板金72への伝熱が抑制されている。ヒータ左64による熱はその殆どが空気を介した伝熱となる。
図13に示すように、ネジ締め部75の部分に断熱材76を設ける構成とすれば、中間転写フレーム板金72への伝熱を一層抑制することができる。
【0032】
本発明は装置電源OFF時または待機時にヒータをONする構成であるため装置内での空気の流動が少ない。そのためヒータからの距離によって温度が決まってしまい、ヒータからの距離に偏差がある場合には温度偏差が発生する。
上記放電跡(白抜け)が発生しない配置条件等をクリアできない場合には、例えば、図4に二点鎖線で示すように、中間転写ベルト10内方にファン80を設けて強制的に空気を流動させ、温度偏差をなくすようにしてもよい。
【0033】
転写部材の1例としての弾性ベルトである中間転写ベルト10について説明する。
中間転写ベルトは、従来からフッソ系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、近年ベルトの全層や、ベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写は、以下の課題がある。
カラー画像は、通常4色の着色トナーで形成される。1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されている。トナー層は、1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、2次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。トナー同士の凝集力が高くなると、文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。樹脂ベルトは、硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく、文字の中抜け現象が発生し易くなる。
【0034】
また、最近は、フルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や、意図的に凹凸を付けた用紙に、画像を形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は、転写時にトナーと空隙が発生し易く、転写不良が発生し易くなる。密着性を高めるために2次転写部の転写圧を高めると、トナー層に強い応力が加わり、トナー層の凝集力を高め、中抜けを発生させることになる。
しかしながら、弾性ベルトは、転写部で、トナー層や、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するために、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の中抜けの無い、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることができる。
【0035】
弾性ベルトの樹脂は、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えばスチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体およびスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(例えばスチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(例えばシリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂およびポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用することができる。ただし、前記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0036】
弾性材ゴム、エラストマーとしては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−、プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア,ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用することができる。ただし、前記材料に限定されるものではない。
【0037】
抵抗値調節用導電剤に特に制限はないが、例えばカーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物を用いることができる。導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。しかし、前記導電剤に限定されるものではない。
表層材料としては、弾性材料による感光体への汚染防止と、転写ベルト表面への表面摩擦抵抗の低減、あるいはトナーの付着力を減少させることにより、クリーニング性、2次転写性を高めるものが要求される。例えばポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用し、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径が異なるものの組み合わせを分散させて使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで、表面にフッ素リッチな層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0038】
ベルトの製造方法は限定されるものではなく、例えば回転する円筒形の型に材料を流し込み、ベルトを形成する遠心成型法、液体塗料を噴霧し膜を形成させるスプレイ塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型、外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け、加硫研磨を行う方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、複数の製法を組み合わせてベルトを製造することが一般的である。弾性ベルトの伸びを防止する方法として、伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特定の製法に限定されるものではない。
【0039】
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば綿、絹、等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維,ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上の組み合わせ用いて、織布状または糸状としたものも用いられる。もちろん前記材料に限定されるものではない。
糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば前記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん、糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方、織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん、交織した織布も使用可能で、当然、導電処理を施すこともできる。
【0040】
芯体層を設ける製造方法は、特に限定されるものではない。例えば筒状に織った織布を、金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり、表層に亀裂の発生しやすくなる。又、伸縮量が大きくなることにより、画像に伸び縮みが大きくなること等から、厚すぎる(およそ1mm以上)ことは好ましくない。
【0041】
上記実施形態では、タンデム型中間転写方式への適用例を説明したが、無端状の搬送ベルトで記録媒体を搬送しながら順次感光体40上のトナー像を記録媒体上に重ねて転写する直接転写方式においても同様に実施することができる。
また、転写部材として1次転写ローラ62を例示したが、ベルト状のものでもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 無端状のベルトとしての中間転写ベルト
17A、17B クリーニングブレード
40 像担持体としての感光体
62 転写ローラとしての1次転写ローラ
64 熱源としてのヒータ左
65 熱源としてのヒータ右
66 スイッチ部材としてのサーモスタット
71 熱源保持部材としてのヒータ貼り付け板金
72 ベルトガイド部材としての中間転写フレーム板金
73、74 熱源上部カバーとしてのヒータ上カバー
75 ネジ締め部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2007−212540号公報
【特許文献2】特開2004−138813号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子写真式の画像形成装置においては、潜像担持体である感光体に画像情報に基づいて静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置によりトナー像として可視像化し、該トナー像を最終的に記録媒体(シート)に転写した後、定着装置で定着するようになっている。
転写後の感光体の表面はクリーニングブレードにより転写残トナーを等を除去され、次の作像工程に備えられる。
フルカラー画像を対象とするタンデム機では、複数の感光体が中間転写ベルトの展張面に沿って並設され、感光体上に形成された色分解毎の色のトナー像を中間転写ベルトに順次転写し(1次転写)、中間転写ベルト上に重畳転写された各色のトナー像をシートに一括転写(2次転写)するようになっている。
給紙装置から給送されたシートを搬送ベルト上に吸着して搬送し、各感光体上のトナー像を順次転写する直接転写方式も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の電子写真式画像形成装置では、画像品質問題として、感光体クリーニング不良による縦スジ、転写部での放電による白抜けがある。
ブレードクリーニング方式の場合、低温低湿環境ではブレードが硬くなりクリーニング不良となりやすい。ブレードが硬くなると、感光体の長手方向に亘って均一な当接状態が得られないからである。
この対策として線ヒーター等の熱源を付近に設置し、温度を上げることが考えられるが、感光体付近にはスペースがないという問題があり、離れた位置に設置することが多い。その場合、複数の感光体がある場合には温度偏差が発生することが多く、隣の感光体ではクリーニングできるがその隣ではクリーニング不良になるなど、クリーニング性にばらつきが生じることがある。
【0004】
転写部での白抜けは放電によって発生するが、放電発生の原因は転写ローラの電気抵抗が上昇することによるのが一つの原因である。電気的抵抗が変動する主な原因の一つとして、抵抗の温湿度依存性が挙げられる。電気抵抗は一般的に、温湿度が低いと抵抗は高く、温湿度が高いと抵抗は低くなる。
例えば、真冬の時期に一晩画像形成装置が放置され、朝1番に電源投入で立ち上げた際には、転写部材の電気抵抗が高くなりすぎているために転写時に放電が発生しトナー像が白く抜けてしまう。その後、装置を稼動し続ければ装置内の温度が高くなり、転写部材の温度も上がることで、転写部材の電気抵抗が下がり放電画像は出なくなる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、温度偏差による画像品質の低下を高精度に抑制できる画像形成装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の像担持体に形成されたトナー像を、無端状のベルトの移動により順次重ね合わせて転写し、転写後の前記像担持体上の表面をクリーニングブレードでクリーニングする画像形成装置において、隣り合う像担持体の間に熱源が配置され、前記熱源と前記像担持体との間に、前記熱源を内包するように前記ベルトが這い回されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記ベルトを挟んで、前記像担持体に対向する位置に転写部材が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記転写部材が、イオン導電系の発泡ゴムによる表面層を有していることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、装置内の温度を検知して前記熱源をオン・オフするスイッチ部材を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記スイッチ部材が、バイメタル方式のサーモスタットであることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記熱源を保持する熱源保持部材と、前記ベルトの内方に設けられ該ベルトをガイドするベルトガイド部材と、前記熱源保持部材を前記ベルトガイド部材に固定するネジ締め部と、を備え、前記熱源保持部材と前記ベルトガイド部材とは、前記ネジ締め部以外では非接触であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記ネジ締め部で、前記熱源保持部材と前記ベルトガイド部材との間に断熱材が設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記ベルトの内方における前記熱源の上部に、前記熱源の上方を覆う熱源上部カバーが設けられ、前記熱源上部カバーは、前記熱源の直上の位置から隣り合う2つの像担持体に向かって延びていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記熱源上部カバーの両端から前記隣り合う2つの像担持体までの距離が略等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、温度を上昇させる必要がある感光体や転写部材等の対象物に対して熱源を等距離に配置しなくても温度偏差を抑制することができ、配置レイアウト上の制限を緩和できて設計の自由度を高めることができる。
また、転写部における放電発生を抑制することができるので、白抜け等の画質低下を抑制することができる。
転写部材に温湿度による抵抗変動が特に大きいイオン導電系の発泡ゴム材質を用いても、抵抗を下げて放電を抑制することができるため、イオン導電系の発泡ゴム材質が有する良好な転写特性を活かすことができる。
また、使用環境温度がばらついたときでも、安価で簡易な構成でヒータON時の機内温度のバラツキを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【図2】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図3】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図4】感光体等と熱源との配置関係を示す図である。
【図5】熱源の斜視図である。
【図6】環境温度26.5℃のときの各部の飽和温度を示す図である。
【図7】1次転写ローラの環境による抵抗変動を示すグラフである。
【図8】転写部での放電発生の有無とローラ抵抗値との関係を示す実験データである。
【図9】1次転写ローラと熱源との距離関係を示す図である。
【図10】環境温度が25℃の場合にヒータのスイッチをオンした場合の各部の温度推移を示すグラフである。
【図11】環境温度32℃でのヒータオン時の各部の温度を示す図である。
【図12】中間転写フレーム板金に対するヒータ貼り付け板金の取付構成を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のM方向から見た側面図である。
【図13】中間転写フレーム板金に対するヒータ貼り付け板金の取付構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図を参照して説明する。
まず、図1に基づいて本実施形態に係る画像形成装置としての複写機の構成の概要及び動作を説明する。
図中符号100は複写機本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写機本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)を示している。
複写機本体100には、中央に、無端状のベルトとしての中間転写ベルト10が設けられている。本実施形態では、中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14、15、16に掛け回されて支持されており、図中時計回り方向に回転駆動される。
【0012】
第2の支持ローラ15と第3の支持ローラ16との間には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17が設けられている。
第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間に張り渡した中間転写ベルト10上にはその移動方向に沿って、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4つの画像形成手段18が水平に並べて配置され、タンデム型の画像形成部20が構成されている。
画像形成部20の上には、露光装置21が設けられている。一方、中間転写ベルト10を挟んで画像形成部20と反対の側には、2次転写装置22が備えられている。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成され、中間転写ベルト10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置され、中間転写ベルト10上の画像をシートに転写する。
【0013】
2次転写装置22の図中左側には、シート上の転写画像を定着する定着装置25が設けられている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てる構成を有している。
2次転写装置22には、画像転写後のシートを定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。2次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよい。
2次転写装置22及び定着装置25の下には、画像形成部20と略平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28が備えられている。
【0014】
このカラー複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300が駆動され、第1走行体33および第2走行体34が走行する。
第1走行体33で光源から光が照射されるとともに原稿面からの反射光が第2走行体34に向けて反射され、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れられ、原稿内容が読み取られる。
【0015】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つ(ここでは支持ローラ14)が回転駆動されて他の2つの支持ローラが従動回転し、中間転写ベルト10が回転搬送される。同時に、個々の画像形成手段18で各像担持体としての感光体40が回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の単色画像が形成される。
中間転写ベルト10の搬送(移動)とともに、それらの単色画像が転写部材としての1次転写ローラ62により順次転写されて中間転写ベルト10上に合成カラー画像が形成される。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択されて回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートが繰り出される。シートは分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路46に入り、搬送ローラ対47で搬送されて複写機本体100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ対49に突き当てて止められる。
または、給紙ローラ50が回転して手差しトレイ51上のシートが繰り出され、分離ローラ52で1枚ずつ分離されて手差し給紙路53に入り、同じくレジストローラ対49に突き当てて止められる。
【0016】
中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49対が回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートが送り込まれ、2次転写装置22でシート上にカラー画像が転写される。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送されて定着装置25へと送り込まれ、定着装置25で熱と圧力とを加えられて転写画像を定着される。その後、切換爪55で搬送方向を切り換えられて排出ローラ対56で排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れられ、そこで反転されて再び転写装置へと導かれ、裏面にも画像を記録されて後、排出ローラ対56で排紙トレイ57上に排出される。
画像転写後の中間転写ベルト10は中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去され、画像形成部20による再度の画像形成に備えられる。
【0017】
中間転写ベルト10は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を108〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率を109〜1013Ωcmの範囲となるよう調整されている。なお、必要に応じ中間転写ベルト10の表面に離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
【0018】
中間転写ベルト10の製造方法は注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。
中間転写ベルト10の体積抵抗率が上述した範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなるため、電源コストの増大を招くため好ましくない。また、転写工程、転写紙剥離工程などで中間転写ベルト10の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるため除電手段を設ける必要が生じる。また、体積抵抗率および表面抵抗率が上記範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー飛び散りが発生してしまう。
したがって、本発明における中間転写ベルト10の体積抵抗率および表面抵抗率は上記範囲内でなければならない。
なお、体積抵抗率および表面抵抗率の測定は、高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径5.9mm,リング電極内径11mm)を接続し、中間転写ベルト10の表裏に100V(表面抵抗率は500V)の電圧を印加して10秒後の測定値を用いた。
【0019】
本実施形態で用いたトナーは重合法によって生成された重合トナーである。
該トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図2、3は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0020】
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
【0021】
トナー粒径は体積平均粒径で4〜10μmの範囲であることが望ましい。これよりも小粒径の場合には現像時に地汚れの原因となったり、流動性が悪化し、さらに凝集しやすくなるので中抜けが発生しやすくなる。
逆にこれよりも大粒径の場合にはトナー飛び散りや、解像度悪化により高精細な画像を得ることができない。
本実施形態では、トナー粒径の体積平均粒径6.5μmのものを用いた。
【0022】
図4に基づいて、本実施形態における熱源の配置構成を詳細に説明する。
図に示すように、熱源としてのヒータ左64が、中間転写ベルト10の内方であって、隣り合う感光体40Yと感光体40Mの間に配置されている。また、熱源としてのヒータ右65が中間転写ベルト10の内方であって、隣り合う感光体40Cと感光体40Kの間に配置されている。
すなわち、ヒータ左64、ヒータ右65と感光体40との間を中間転写ベルト10が移動する構成となっている。
図4において、符号63はテンションローラを、66はスイッチ部材としてのバイメタル方式のサーモスタットを示している。
【0023】
ヒータ左64、ヒータ右65は、図5に示すように、ニクロム線ヒータであり、定格電圧200V、ワット数9Wのものである。これに限定される趣旨ではない。
表面温度の上昇値は80℃±20℃である。厚さ0.05mmのアルミ箔67を用い、発熱体68はシリコンゴム絶縁発熱体を用いている。後述するように両面テープによって板金、モールド樹脂等のヒータ保持部材に固定し、保持部材をユニットに固定して使用する。図5において符号69はスイッチを示す。
【0024】
ヒータ左64、ヒータ右65のオン・オフはサーモスタット66によりなされる。本実施形態では低温動作型サーモスタット66を用いたがそれに限定するものではない。
バイメタル式のサーモスタット66を用いているため、温度によってバイメタル形状が変化し、ヒータ左64、ヒータ右65のスイッチ69がON、OFFする。
本実施形態では22℃以下でONとし、32℃以上でOFFとしたが、それに限定するものではない。
【0025】
ヒータの容量にも依存するが、感光体の近くのユニットである現像ユニットやクリーニングユニットに設置するとトナーが解けてしまい固着する可能性がある。
図4に示すように、中間転写ユニット(中間転写ベルト10内)に設置することでその問題はなくなる。
図6は、ヒータ容量9Wで環境温度26.5℃のときの各部の飽和温度を示す図である。
同図に示すように、ベルトの内側にある1次転写ローラ62は、右から31.4、39.5、32.5、36.2℃と(MAX-MIN)で8.1℃の差がある。
しかしながら、ベルトの外側にある感光体40は、右から30.9、32.9、30.3、31.3℃と(MAX-MIN)で2℃の差となる。
1次転写ローラ62はヒータ64、65からの距離に依存して温度偏差がついている。ヒータから1次転写ローラ62の距離が短いほど温度が高い。
しかしながら、感光体40と1次転写ローラ62のヒータからの距離はほぼ同じであるにもかかわらず、感光体40は1次転写ローラ62ほど温度偏差がついていない。
これはヒータと感光体の間にベルトを挟むことによって距離に対する感度が低くなっているからである。
換言すれば、距離に対する温度偏差が中間転写ベルト10の移動によって均されるからである。
【0026】
図6において、符号70はヒータ左64についての熱源保持部材としてのヒータ貼り付け板金を、71はヒータ右65についての熱源保持部材としてのヒータ貼り付け板金を、72はベルトガイド部材としての中間転写フレーム板金を、73はヒータ左64の上方に位置する熱源上部カバーとしてのヒータ上カバーを、74はヒータ右65の上方に位置する熱源上部カバーとしてのヒータ上カバーを、17A、17Bは中間転写体クリーニング装置17のクリーニングブレードを、それぞれ示している。
各ヒータ上カバーは、ヒータの直上の位置から隣り合う2つの感光体40に向かって延びている。なお、図4においてはこれらの部品は省略している。
【0027】
次に、1次転写ローラ62について説明する。
1次転写ローラ62は、イオン導電系の発泡樹脂剤を金属製(鉄、SUS、AI等)の芯金に塗布したものである。発泡樹脂剤の肉厚は2mm〜10mmである。
図7に、抵抗上昇の一例として、1次転写ローラ62の環境による抵抗変動のグラフを示す。
グラフからわかるように、25℃50%にて抵抗値が8.1LogΩだったものが10℃15%環境にては9.6LogΩと上昇している(ローラ(1)場合)。転写部での放電発生は9.5LogΩ以上の場合に発生することが図8の実験結果からわかる。
なお、抵抗値の測定方法は、環境25℃50%にて、1次転写ローラ62に片側5Nの荷重で金属ローラを押し当て金属ローラにDC1kVの電圧Vを印加した場合の電流値Iから抵抗Rをオームの法則V=IRより算出する。
【0028】
図9及び図10に基づいて、1次転写ローラ62における放電跡(白抜け)が発生しない熱源との距離について述べる。
図9に示すように、1次転写ローラ62Yまでの距離は120mm、62Mまでの距離は180mm、62Cまでの距離は100mm、62Kまでの距離は200mmであるとする。
中央にサーモスタット(センサ)66が配置されている。上記のように、図10は、環境温度が25℃の場合にヒータのスイッチをオンした場合の各部の温度推移である。図10において、「1次R」は1次転写ローラを示す。
図9における1次転写ローラ62の配置レイアウトは、あくまでも放電跡の発生とヒータとの距離の関係を把握するための実験上のレイアウトである。
【0029】
1次転写ローラについて注目すると、図10から明らかなように、ヒータまでの距離が近いほど温度が高くなる。
ここで図7と図8から以下のことが言える。
放電跡(白抜け)が発生しない1次転写ローラ抵抗は9.0LogΩである。9.0LogΩとなる温度は、図7のローラ(1)では15℃。ローラ(2)では20℃である。
ローラ(1)、(2)共に白抜けが発生しないようにするためには、環境温度が10℃として、環境温度より+10℃の温度上昇が必要となる。
次に図10のグラフにおいて、環境温度25℃から+10℃温度上昇しているローラを探すと、1次転写ローラ62Yが該当する。
従って、1次転写ローラ62Yとヒータ左64との位置関係が必要な距離となる。
よって120mm以内であれば放電跡(白抜け)をなくす効果を得ることができる。図4の配置レイアウトはこの実験結果に基づいてなされている。
【0030】
図11は、環境温度32℃でのヒータオン時の各部の温度を示す図である。
ベルトの内側にある1次転写ローラ62は、右から37.1、53.1、41.0、43.5℃と(MAX-MIN)で16℃の差がある。
しかしながら、ベルトの外側にある感光体40は、右から37.0、42.3、36.7、37.4℃と(MAX-MIN)で5.6℃の差となる。この場合にもベルトを挟むことによって距離に対する感度が低くなっていることがわかる。
【0031】
図12に基づいて、図11の二点鎖線円で囲んだ部分の構成、すなわちヒータ左64の取付構成を説明する。ヒータ右65についても同様の構成である。
図12(a)に示すように、ヒータ左64はヒータ貼り付け板金71の裏面にアルミ箔67を介して両面テープで貼り付けられている。
ヒータ貼り付け板金71は中間転写フレーム板金72に対してネジ締め部75で固定されているが、ネジ締め部75を除いては中間転写フレーム板金72に対して非接触状態となっている。
ネジ締め部75は面積が小さいので、中間転写フレーム板金72への伝熱が抑制されている。ヒータ左64による熱はその殆どが空気を介した伝熱となる。
図13に示すように、ネジ締め部75の部分に断熱材76を設ける構成とすれば、中間転写フレーム板金72への伝熱を一層抑制することができる。
【0032】
本発明は装置電源OFF時または待機時にヒータをONする構成であるため装置内での空気の流動が少ない。そのためヒータからの距離によって温度が決まってしまい、ヒータからの距離に偏差がある場合には温度偏差が発生する。
上記放電跡(白抜け)が発生しない配置条件等をクリアできない場合には、例えば、図4に二点鎖線で示すように、中間転写ベルト10内方にファン80を設けて強制的に空気を流動させ、温度偏差をなくすようにしてもよい。
【0033】
転写部材の1例としての弾性ベルトである中間転写ベルト10について説明する。
中間転写ベルトは、従来からフッソ系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、近年ベルトの全層や、ベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写は、以下の課題がある。
カラー画像は、通常4色の着色トナーで形成される。1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されている。トナー層は、1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、2次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。トナー同士の凝集力が高くなると、文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。樹脂ベルトは、硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく、文字の中抜け現象が発生し易くなる。
【0034】
また、最近は、フルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や、意図的に凹凸を付けた用紙に、画像を形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は、転写時にトナーと空隙が発生し易く、転写不良が発生し易くなる。密着性を高めるために2次転写部の転写圧を高めると、トナー層に強い応力が加わり、トナー層の凝集力を高め、中抜けを発生させることになる。
しかしながら、弾性ベルトは、転写部で、トナー層や、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するために、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の中抜けの無い、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることができる。
【0035】
弾性ベルトの樹脂は、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えばスチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体およびスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(例えばスチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(例えばシリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂およびポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用することができる。ただし、前記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0036】
弾性材ゴム、エラストマーとしては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−、プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア,ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用することができる。ただし、前記材料に限定されるものではない。
【0037】
抵抗値調節用導電剤に特に制限はないが、例えばカーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物を用いることができる。導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。しかし、前記導電剤に限定されるものではない。
表層材料としては、弾性材料による感光体への汚染防止と、転写ベルト表面への表面摩擦抵抗の低減、あるいはトナーの付着力を減少させることにより、クリーニング性、2次転写性を高めるものが要求される。例えばポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上の組み合わせを使用し、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径が異なるものの組み合わせを分散させて使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで、表面にフッ素リッチな層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0038】
ベルトの製造方法は限定されるものではなく、例えば回転する円筒形の型に材料を流し込み、ベルトを形成する遠心成型法、液体塗料を噴霧し膜を形成させるスプレイ塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型、外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け、加硫研磨を行う方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、複数の製法を組み合わせてベルトを製造することが一般的である。弾性ベルトの伸びを防止する方法として、伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特定の製法に限定されるものではない。
【0039】
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば綿、絹、等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維,ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上の組み合わせ用いて、織布状または糸状としたものも用いられる。もちろん前記材料に限定されるものではない。
糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば前記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん、糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方、織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん、交織した織布も使用可能で、当然、導電処理を施すこともできる。
【0040】
芯体層を設ける製造方法は、特に限定されるものではない。例えば筒状に織った織布を、金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり、表層に亀裂の発生しやすくなる。又、伸縮量が大きくなることにより、画像に伸び縮みが大きくなること等から、厚すぎる(およそ1mm以上)ことは好ましくない。
【0041】
上記実施形態では、タンデム型中間転写方式への適用例を説明したが、無端状の搬送ベルトで記録媒体を搬送しながら順次感光体40上のトナー像を記録媒体上に重ねて転写する直接転写方式においても同様に実施することができる。
また、転写部材として1次転写ローラ62を例示したが、ベルト状のものでもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 無端状のベルトとしての中間転写ベルト
17A、17B クリーニングブレード
40 像担持体としての感光体
62 転写ローラとしての1次転写ローラ
64 熱源としてのヒータ左
65 熱源としてのヒータ右
66 スイッチ部材としてのサーモスタット
71 熱源保持部材としてのヒータ貼り付け板金
72 ベルトガイド部材としての中間転写フレーム板金
73、74 熱源上部カバーとしてのヒータ上カバー
75 ネジ締め部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2007−212540号公報
【特許文献2】特開2004−138813号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体に形成されたトナー像を、無端状のベルトの移動により順次重ね合わせて転写し、転写後の前記像担持体上の表面をクリーニングブレードでクリーニングする画像形成装置において、
隣り合う像担持体の間に熱源が配置され、前記熱源と前記像担持体との間に、前記熱源を内包するように前記ベルトが這い回されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記ベルトを挟んで、前記像担持体に対向する位置に転写部材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記転写部材が、イオン導電系の発泡ゴムによる表面層を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
装置内の温度を検知して前記熱源をオン・オフするスイッチ部材を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記スイッチ部材が、バイメタル方式のサーモスタットであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記熱源を保持する熱源保持部材と、前記ベルトの内方に設けられ該ベルトをガイドするベルトガイド部材と、前記熱源保持部材を前記ベルトガイド部材に固定するネジ締め部と、を備え、
前記熱源保持部材と前記ベルトガイド部材とは、前記ネジ締め部以外では非接触であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記ネジ締め部で、前記熱源保持部材と前記ベルトガイド部材との間に断熱材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記ベルトの内方における前記熱源の上部に、前記熱源の上方を覆う熱源上部カバーが設けられ、前記熱源上部カバーは、前記熱源の直上の位置から隣り合う2つの像担持体に向かって延びていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記熱源上部カバーの両端から前記隣り合う2つの像担持体までの距離が略等しいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
複数の像担持体に形成されたトナー像を、無端状のベルトの移動により順次重ね合わせて転写し、転写後の前記像担持体上の表面をクリーニングブレードでクリーニングする画像形成装置において、
隣り合う像担持体の間に熱源が配置され、前記熱源と前記像担持体との間に、前記熱源を内包するように前記ベルトが這い回されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記ベルトを挟んで、前記像担持体に対向する位置に転写部材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記転写部材が、イオン導電系の発泡ゴムによる表面層を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
装置内の温度を検知して前記熱源をオン・オフするスイッチ部材を有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記スイッチ部材が、バイメタル方式のサーモスタットであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記熱源を保持する熱源保持部材と、前記ベルトの内方に設けられ該ベルトをガイドするベルトガイド部材と、前記熱源保持部材を前記ベルトガイド部材に固定するネジ締め部と、を備え、
前記熱源保持部材と前記ベルトガイド部材とは、前記ネジ締め部以外では非接触であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記ネジ締め部で、前記熱源保持部材と前記ベルトガイド部材との間に断熱材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
前記ベルトの内方における前記熱源の上部に、前記熱源の上方を覆う熱源上部カバーが設けられ、前記熱源上部カバーは、前記熱源の直上の位置から隣り合う2つの像担持体に向かって延びていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記熱源上部カバーの両端から前記隣り合う2つの像担持体までの距離が略等しいことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−181439(P2012−181439A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45459(P2011−45459)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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