説明

画像形成装置

【課題】通紙に影響することなく、良好な画質を維持することができ、製品コストの上昇を抑制して、静電吸着された用紙を良好に搬送ベルトから分離することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム1は、トナー像を担持して搬送する。転写ユニット122は、用紙に対して所定の電源出力値による転写バイアスを印加して感光体ドラム1上のトナー像を用紙に転写する。転写ベルト6は、トナー像が転写された用紙を静電吸着により搬送する。転写ベルト分離センサ124は、転写ベルト6の搬送端部からの用紙の分離状態を検知する。制御部は、転写ベルト分離センサ124による検知結果に応じて転写ベルト6からの用紙の分離異常を判定する。制御部は、転写ベルト6からの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー像が形成された感光体や転写ベルト等の像担持体から、トナー像を用紙に転写し定着することで、画像を用紙上に形成するようにした画像形成装置が知られている。トナー像の用紙への転写は、トナーと逆極性の転写バイアスを用紙に対して印加し、像担持体から用紙へトナー像を静電転写することにより実施される。このようにしてトナー像が転写された用紙は、搬送ベルトによって定着装置に搬送され、定着装置によってトナー像が用紙に定着される。ここで、搬送ベルトによる用紙の搬送は、転写バイアスが印加された用紙をベルトに静電吸着させ、ベルトを周回させることにより実施される。
【0003】
このような画像形成装置は、ベルトに静電吸着された用紙が、曲率分離により搬送ベルトから分離されるように構成されるが、薄紙等の剛度の低い用紙では、用紙の先端に対して印加された転写バイアスの電圧値や電流値といった電源出力値が大きい場合には、搬送ベルトからの用紙の分離不良が生じてしまうことがある。
【0004】
このような問題に鑑み、従来の画像形成装置において、例えば、感光体からの用紙の分離を検知する濃度センサと分離センサを設け、これらのセンサの出力結果に応じて、帯電器の出力を補正し、感光体からの用紙の分離を良好にするようにしたものがある(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、転写ベルトに用紙を電気的に吸引させて搬送し、転写ベルト上の用紙に対して感光体上の現像剤を転写し、転写ベルト上の用紙を曲率分離により分離させて定着器に搬送するものがある。この画像形成装置は、転写ベルトからの用紙の分離状態を検知する分離状態検知センサと、転写ベルト上に吸引されている用紙を電気的に離反させる分離帯電器とを備えており、分離状態検知センサの出力結果に応じて分離帯電器による分離チャージを行っている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−241390号公報
【特許文献2】特開平3−51866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、感光体からの用紙の分離を考慮したものであり、搬送ベルトからの用紙の分離に寄与することができない。
また、上記特許文献2に記載の技術では、転写ベルトからの用紙の分離を良好に行うことができるようになるが、転写ベルト上を搬送中の用紙に対して分離チャージを行うことから、転写ベルト上に帯電器が設けられる必要があり、紙種によっては、転写ベルト上を搬送中の用紙が帯電器と干渉し、通紙可能な紙種が限定されるという問題がある。また、分離帯電器により用紙上の現像剤が飛散してしまい、画質が悪くなるという問題もある。さらに、転写ベルトからの用紙の分離のために分離帯電器が設けられることから、製品コストもかかる。
【0008】
本発明の課題は、通紙に影響することなく、良好な画質を維持することができ、製品コストの上昇を抑制して、静電吸着された用紙を良好に搬送ベルトから分離することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、
トナー像を担持して搬送する像担持体と、
用紙に対して所定の電源出力値による転写バイアスを印加して前記像担持体上のトナー像を用紙に転写する転写部と、
トナー像が転写された用紙を静電吸着により搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの搬送端部からの用紙の分離状態を検知する搬送ベルト分離検知部と、 前記搬送ベルト分離検知部による検知結果に応じて前記搬送ベルトからの用紙の分離異常を判定し、前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を変更する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくすることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、予め定められた第1の限度値を限度として前記転写部によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくすることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記転写バイアスの電源出力値が第1の限度値であるときに前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくした結果、前記第1の限度値よりも小さくなる場合には、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの極性を逆極性に変更することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記転写バイアスの極性が変更されたときに、前記転写バイアスの電源出力値を予め設定された逆極性初期値に設定し、前記転写バイアスの電源出力値が前記逆極性初期値であるときに前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくすることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、
所定の態様にて報知を行う報知部を備え、
前記制御部は、前記転写バイアスの電源出力値が第1の限度値であるときに前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくした結果、前記第1の限度値よりも小さくなる場合には、前記報知部にてその旨の報知を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記トナー像が転写された用紙の前記像担持体からの分離状態を検知する像担持体分離検知部を備え、
前記制御部は、前記像担持体分離検知部による検知結果に応じて前記像担持体からの用紙の分離異常を判定し、前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、前記像担持体からの用紙の分離異常が生じたと判定したときに、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を変更することを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記像担持体からの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ大きくすることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、予め定められた第2の限度値を限度として前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ大きくすることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記転写バイアスの電源出力値が第2の限度値であるときに前記像担持体からの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ大きくした結果、前記第2の限度値よりも大きくなる場合には、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの極性を逆極性に変更することを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項7〜10の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記像担持体分離検知部による検知結果、用紙の先端が前記像担持体から分離しない像担持体分離不良、又は、用紙の先端の前記像担持体からの分離量が不十分である像担持体分離不十分状態であると判定したときに前記像担持体からの用紙の分離異常が生じたと判定することを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、予め定められた変更回数を限度として前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を変更することを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記転写バイアスの電源出力値が変更される対象である前記用紙の先端部分を、用紙の先端からトナー像の形成が開始されるまでの非画像領域の範囲内に設定することを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、用紙に画像を形成するための画像データに基づいて非画像領域を検出することを特徴とする。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14の何れか一項に記載の画像形成装置において、
環境条件を検出する環境検出部を備え、
前記制御部は、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値の初期値を、前記環境検出部による検出結果に応じて設定することを特徴とする。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値が変更された後に、前記環境検出部によって検出された環境条件の変化を検出し、該環境条件の変化を検出したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を、当該検出した変化後の環境条件に対応する初期値に再設定することを特徴とする。
【0025】
請求項17に記載の発明は、請求項1〜16の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を、用紙の表面及び裏面に対応してそれぞれ設定し、前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、トナー像が形成された用紙の面に対応する、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を変更することを特徴とする。
【0026】
請求項18に記載の発明は、請求項1〜17の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記転写部は、前記搬送ベルトの内周側に配置され、前記搬送ベルトを介して用紙に前記転写バイアスを印加することを特徴とする。
【0027】
請求項19に記載の発明は、請求項1〜18の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、帯電器によって帯電された後に、露光により静電潜像が形成され、該形成された静電潜像にトナーを付着させることによりトナー像が形成される感光体であることを特徴とする。
【0028】
請求項20に記載の発明は、請求項1〜18の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、帯電器によって帯電された後に、露光により静電潜像が形成され、該形成された静電潜像にトナーを付着させることによりトナー像が形成された感光体より転写された中間転写体であることを特徴とする。
【0029】
請求項21に記載の発明は、請求項1〜20の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記搬送ベルト分離検知部による検知結果、用紙の先端が前記搬送ベルトから分離しないベルト分離不良、又は、用紙の先端の前記搬送ベルトからの分離量が不十分であるベルト分離不十分状態であると判定したときに前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、通紙に影響することなく、良好な画質を維持することができ、製品コストの上昇を抑制して、静電吸着された用紙を良好に搬送ベルトから分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図3】転写ユニットと転写搬送路の詳細を示す部分拡大断面図である。
【図4】プリント処理について説明するフローチャートである。
【図5】プリント処理について説明するフローチャートである。
【図6】感光体分離異常時処理について説明するフローチャートである。
【図7】ベルト分離異常時処理について説明するフローチャートである。
【図8】環境判定テーブルについて説明する図である。
【図9】先端電流初期値テーブルについて説明する図である。
【図10】先端電流初期値テーブルについて説明する図である。
【図11】先端電流現在値テーブルについて説明する図である。
【図12】先端電流現在値の示す電流値による転写バイアスが印加される範囲について説明する図である。
【図13】第2の実施の形態におけるプリント処理について説明するフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態におけるプリント処理について説明するフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態における感光体分離異常時処理について説明するフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態におけるベルト分離異常時処理について説明するフローチャートである。
【図17】画像形成装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
(第1の実施の形態)
図1に、第1の実施の形態に係る画像形成装置100の機能的構成について説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態に係る画像形成装置100は、本体制御部150と、画像読取部110と、プリント部120と、操作表示部130と、プリンタコントローラ140とを備えて構成される。
【0034】
本体制御部150は、制御部151、不揮発メモリ152、RAM(Random Access Memory)153、画像メモリ154、画像処理部155等を備え、各部は制御部151によって制御されている。
【0035】
制御部151は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、不揮発メモリ152に格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラム、各種データの中から指定されたプログラムやデータを読み出してRAM153に展開する。制御部151は、RAM153に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置100の各部を集中制御する。制御部151は、例えば、操作表示部130やプリンタコントローラ140を介して接続された外部装置PCから入力される指示信号に従って、コピーモード、プリンタモード、スキャナモードを切り替え、複写、プリント、画像データの読取等の制御を行う。
【0036】
不揮発メモリ152は、画像形成に係る各種処理プログラムの他、本実施の形態に係るプリント処理を実行するためのプリントプログラム、感光体分離異常時処理を実行するための感光体分離異常時プログラム及びベルト分離異常時処理を実行するためのベルト分離異常時プログラム等を記憶する。また、不揮発メモリ152は、画像形成に係る各種データの他、後述する環境判定テーブル、先端電流値初期値テーブル等を記憶する。
【0037】
RAM153は、制御部151により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係る各種データ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。RAM153は、後述するように、先端電流値現在値テーブルを含んでおり、値を随時更新する。
【0038】
画像メモリ154は、HDD(Hard Disk Drive)、DRAM(Dynamic RAM)等により構成され、画像データを読み書き可能に記憶する。画像メモリ154は、制御部151からの指示により、画像読取部110又はプリンタコントローラ140から入力された画像データを記憶して保存したり、画像メモリ154に記憶されている画像データを読み出して画像処理部155に出力したりする。
【0039】
画像処理部155は、画像読取部110、プリンタコントローラ140又は画像メモリ154から入力された画像データにスクリーン処理等の各種画像処理を施して制御部151又は画像メモリ154に出力する。画像処理部155は、例えば、画像読取部110から入力されたアナログの画像信号をデジタルの画像データに変換したり、デジタルの画像データを圧縮して画像メモリ154に出力したり、圧縮画像データを伸長して出力したりする。
【0040】
画像読取部110は、原稿自動送り部、読取部、画像読取制御部等から構成される。画像読取制御部は、原稿自動送り部、読取部等を制御して、原稿面の露光走査を実行させ、光の反射光をイメージセンサにより光電変換を行わせて画像を読み取る。画像読取部110は、読み取った画像を画像信号に変換し、画像処理部155に出力する。
【0041】
プリント部120は、画像形成ユニット121、転写ユニット122、感光体分離センサ123、転写ベルト分離センサ124、温湿度センサ125等のプリント出力に係る各部やプリント制御部を備えて構成される。プリント制御部は、制御部151からの指示に従ってプリント部120の各部の動作を制御し、画像処理部155から入力された画像データに基づいて画像形成を行わせる。転写ユニット122は、転写バイアス電源122aを備えている。プリント部120の各部構成の詳細については後述する。
【0042】
操作表示部130は、LCD、タッチパネル、各種操作キー群、操作表示制御部を備えて構成される。操作表示制御部は、制御部151から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種画面や各種処理結果等をLCDに表示させる。また、操作表示制御部は、各種操作キー群又はタッチパネルから入力される操作信号を制御部151に出力する。
【0043】
プリンタコントローラ140は、画像形成装置100をネットワークプリンタとして使用する場合に、LAN(Local Area Network)等のネットワークNに接続されるパーソナルコンピュータ等の外部装置PCから画像形成装置100に送信されるジョブの管理及び制御を行う。プリンタコントローラ140は、外部装置PCからプリント対象のデータを受信し、当該データをジョブ情報として制御部151に出力する。
【0044】
次に、図2及び図3を参照して、プリント部120の各部構成について説明する。
プリント部120は、図2に示すように、上述した画像形成ユニット121、転写ユニット122、感光体分離センサ123、転写ベルト分離センサ124及び温湿度センサ125の他、給紙カセット9、給紙搬送路90、転写搬送路5、定着装置8、ゲート91、両面搬送路92、反転搬送路93及び再給紙搬送路94を備えている。
【0045】
画像形成ユニット121は、像担持体としての感光体ドラム1、メインチャージャ2、LED(Light Emitting Diode)光源の画像書込み装置3、二成分現像方式の現像装置4及び感光体ドラム1を清掃するクリーニング装置7を備えている。感光体ドラム1は、負帯電のOPC(Organic Photo Conductor)感光体により構成されている。
【0046】
画像形成ユニット121は、先ず、感光体ドラム1を回転させ、メインチャージャ2によって感光体ドラム1を帯電させる。続いて、画像形成ユニット121は、画像書込み装置3によって感光体ドラム1の帯電部分に露光走査を行い、静電潜像を形成する。画像形成ユニット121は、現像装置4により、感光体ドラム1の潜像部分にトナー材を付着させてトナー像による現像を行う。すなわち、感光体ドラム1は、トナー像を担持する。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、感光体ドラム1の回転によって転写ユニット122に向けて搬送される。感光体ドラム1上のトナー像は、後述するように、転写ユニット122によって用紙に転写される。用紙に転写されずに感光体ドラム1上に残存したトナーは、クリーニング装置7によって除去される。
【0047】
転写ユニット122は、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を用紙に転写するとともに、転写後の用紙を定着装置8に搬送するための転写ベルト6を備えている。
【0048】
転写ベルト6は、2つの支持ローラ61,62の間に張架され、支持ローラ61,62の間で、転写ベルト6の内周側に設けられるバックアップローラ63により感光体ドラム1に圧接されている。この圧接部分によりニップ部が形成される。転写ベルト6は、半導電性のベルト基材と、表層として設けられた体積抵抗率が1×1011Ωcm以上の絶縁層の2層からなる構造であり、全体的には1×10Ωcmから1×1011Ωcmの体積抵抗値を有するものである。
【0049】
用紙Pは、給紙カセット9に収納されており、給紙搬送路90を通って転写搬送路5に供給される。用紙Pは、転写搬送路5から転写ベルト6に給送されると、感光体ドラム1とバックアップローラ63とによって形成されたニップ部において、感光体ドラム1に形成されたトナー像が転写される。より具体的には、後述するように、転写バイアス電源122aにより、バックアップローラ63を介して用紙Pに転写バイアスが印加されることにより用紙Pが帯電される。帯電した用紙Pは、ニップ部において接触したトナー像を静電転写により吸着する。帯電した用紙Pは、感光体ドラム1による曲率分離、及び、転写ベルト6による静電吸着力によって感光体ドラム1から分離されるとともに、転写ベルト6に静電吸着されながら搬送される。転写ベルト6によって搬送された用紙Pは、支持ローラ62による曲率分離によって転写ベルト6から分離される。転写ベルト6の下流には定着装置8が設けられており、定着装置8は、用紙Pに転写されたトナー像を定着する。定着装置8の下流には、ゲート91が設けられている。ゲート91は、外部に用紙を排出する場合と両面印刷のための両面搬送路92に用紙を給送する場合とで位置の切り替えを行う。両面搬送路92に給送された用紙は、一旦、反転搬送路93に進み、ここで表裏反転されて再給紙搬送路94から転写搬送路5に合流し、転写位置に送られる。
【0050】
図3は、転写ユニット122と転写搬送路5の詳細を示す部分拡大断面図である。図3に示すように、バックアップローラ63には転写バイアス電源122aが接続されている。本実施の形態では、転写バイアス電源122aに定電流電源を適用したが、定電圧電源を採用してもよい。制御部151は、転写バイアス電源122aに制御信号を出力する。転写バイアス電源122aは、制御部151からの制御信号に応じて、出力する電源の電流値を可変する。転写バイアス電源122aは、バックアップローラ63に対して電源を出力することにより、用紙Pに転写バイアスを印加することができる。本実施の形態では、転写バイアス電源122aは、用紙Pの先端部分と用紙Pの先端部分以外の部分とで印加する転写バイアスの電流値を異ならせることができる。
【0051】
感光体分離センサ123は、図2に示すように、感光体ドラム1よりも下流側に配置され、転写ベルト6上で搬送される用紙Pの位置を検知する。感光体分離センサ123は、例えば、フォトセンサにより構成され、受光量に応じた電気信号を制御部151に出力する。制御部151は、感光体分離センサ123からの電気信号の強さにより、感光体分離センサ123と用紙Pとの距離を検出することができる。なお、感光体分離センサ123の配置する位置は、図示に限定されず、感光体ドラム1の下流側において、感光体分離センサ123と用紙Pとの距離を検出することができる位置であれば適宜の位置に配置することができる。
【0052】
転写ベルト分離センサ124は、転写ベルト6の下流側端部と定着装置8との間に配置され、転写ベルト6から分離された用紙Pの位置を検知する。転写ベルト分離センサ124は、例えば、フォトセンサにより構成され、受光量に応じた電気信号を制御部151に出力する。制御部151は、転写ベルト分離センサ124からの電気信号の強さにより、転写ベルト分離センサ124と用紙Pとの距離を検出することができる。なお、転写ベルト分離センサ124の配置する位置は、図示に限定されず、転写ベルト6の下流側において、転写ベルト分離センサ124と用紙Pとの距離を検出することができる位置であれば適宜の位置に配置することができる。
【0053】
温湿度センサ125は、画像形成装置100の機内の温度及び湿度を検知する。温湿度センサ125は、機内の温度及び湿度に応じた電気信号を制御部151に出力する。制御部151は、温湿度センサ125からの電気信号により画像形成装置100の機内の温度及び湿度を特定するとともに、絶対湿度を算出する。絶対湿度の算出方法は、公知の方法を適用することができる。
【0054】
次に、以上のようにして構成された画像形成装置100において実行されるプリント処理について、図4及び図5を参照しながら説明する。このプリント処理は、例えば、プリンタコントローラ140から出力されたジョブ情報が制御部151に入力された場合や、操作表示部130によってコピージョブ開始指示の操作を受け付けたときに実行される処理である。
【0055】
先ず、制御部151は、プリントを実施する用紙の種類を判定する(ステップS101)。具体的には、制御部151は、給紙カセット9に収納された用紙Pの銘柄を示す情報をRAM153に予め記憶しておく。用紙の銘柄は、紙種及び坪量の特定が可能である。なお、用紙の紙種及び坪量を予めRAM153に記憶するようにしてもよい。制御部151は、以上のようにしてRAM153に記憶されている用紙の銘柄を示す情報を読み出し、紙種及び坪量を特定する。また、制御部151は、トナー像を転写する用紙の面が表裏面の何れであるかの判定も行う。
【0056】
次に、制御部151は、温湿度センサ125から出力された信号を読み取り、絶対湿度を算出する(ステップS102)。
【0057】
制御部151は、算出された絶対湿度から、現在の環境を判定する(ステップS103)。具体的には、制御部151は、不揮発メモリ152に記憶された、図8に示すような環境判定テーブルを参照し、算出した絶対湿度hに対応する環境判定情報を特定する。
【0058】
制御部151は、環境の変化があったか否かの判定を行う(ステップS104)。具体的には、制御部151は、前回判定された環境判定情報をRAM153から読み出し、上述のようにして今回特定された環境判定情報と比較する。制御部151は、前回判定された環境判定情報と、今回特定された環境判定情報とが同一であるときは、環境の変化がないと判定し、前回判定された環境判定情報と、今回特定された環境判定情報とが異なるときは、環境の変化があったと判定する。なお、今回特定された環境判定情報は、前回判定された環境判定情報として、RAM153の所定領域に記憶する。
【0059】
制御部151は、環境の変化があったと判定したときは(ステップS104:Y)、不揮発メモリ152に記憶された、図9及び図10に示すような先端電流初期値テーブルを参照し、ステップS101において特定された用紙の紙種及び坪量、トナー像を転写する用紙の面、並びに、ステップS103において特定された環境判定情報に対応する先端電流初期値を読み出す(ステップS105)。
【0060】
続いて、制御部151は、読み出した先端電流初期値を、RAM153に記憶された先端電流現在値テーブルの対応する記憶領域にセットする(ステップS106)。RAM153には、図11に示すような先端電流現在値テーブルが含まれている。先端電流現在値テーブルは、用紙の紙種、坪量及びトナー像を転写する用紙の面に対応してそれぞれ値が更新記憶可能に構成されている。以下、この値を先端電流現在値ということがある。制御部151は、先端電流現在値テーブルにおける、用紙の紙種、坪量及びトナー像を転写する用紙の面に対応する先端電流現在値を、上述のようにして読み出した先端電流初期値に更新記憶する。なお、以下の説明において、用紙の紙種、坪量及びトナー像を転写する用紙の面を、用紙の種類ということがある。
【0061】
一方、制御部151は、ステップS104において、環境の変化があったと判定しないときは(ステップS104:N)、ステップS105及びステップS106の処理を実行することなく、ステップS107の処理を実行する。
【0062】
制御部151は、ステップS107において、RAM153に記憶された先端電流現在値テーブルから、ステップS101において判定した用紙の種類に対応する先端電流現在値を読み出す(ステップS107)。
【0063】
制御部151は、用紙の先端部分の範囲の設定を行う(ステップS108)。具体的には、制御部151は、プリントする画像データを分析し、画像が形成される画像形成領域と、画像が形成されない非画像領域とを特定する。例えば、図12に示すように、用紙P上に画像Iが形成される場合、主走査方向に画像が形成されていない範囲を非画像領域Aとし、主走査方向に画像が形成されている範囲を画像形成領域Bとする。通紙方向に対し、用紙の先端部分における非画像領域を非画像領域A1とし、後端部分における非画像領域を非画像領域A2とする。制御部151は、このような画像Iを用紙Pに形成する場合には、先ず、先端部分の非画像領域A1の副走査方向の長さを特定する。そして、制御部151は、非画像領域A1の副走査方向の長さが10mm以上であるか否かを判定する。制御部151は、非画像領域A1の副走査方向の長さが10mm以上である場合には、用紙の先端部分の範囲(副走査方向の長さ)を6mmに設定する。なお、制御部151は、非画像領域A1の副走査方向の長さが10mm未満である場合は、用紙の先端部分の範囲の設定を行わず、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を用紙Pに転写するために必要な電流値である転写バイアスが用紙の全面に対して印加されるように制御を行う。
【0064】
制御部151は、通紙を開始し、給紙カセット9から用紙Pを給送する(ステップS109)。
【0065】
制御部151は、用紙Pに対するトナー像の転写に伴い、転写バイアス電源122aから電源を出力し、用紙Pに対して転写バイアスが印加されるように制御する(ステップS110)。具体的には、制御部151は、図12に示すように、給送された用紙Pの先端がニップ部よりも18mm手前の位置に達したタイミングで、ステップS107において読み出された先端電流現在値の示す電流値にて転写バイアス電源122aから電源が出力されるように制御する。用紙Pがニップ部よりも18mm手前の位置に達したか否かの判断は、例えば、位置センサによる用紙Pの位置検出や、用紙が給送されてからの経過時間等に基づいて行うことができる。そして、制御部151は、用紙Pの先端から6mmの位置がニップ部に到達したタイミングで、転写バイアス電源122aから出力される電源を、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を用紙Pに転写するために必要な電流値に切り替えるように制御する。すなわち、図12に示すように、転写バイアス電源122aは、先端電流印加範囲Cで先端電流現在値の示す電流値にて電源の出力を行う。その結果、用紙Pの先端部分Dの範囲で先端電流現在値の示す電流値による転写バイアスが用紙Pに印加される。
本実施の形態では、以上のように、用紙の先端部分においては先端電流現在値の示す電流値である転写バイアスが印加され、先端部分以外の部分においてはトナー像を用紙に転写するために必要な電流値である転写バイアスが印加される。そのため、用紙に対して良好なトナー像の転写を行うことができる。
【0066】
その後、制御部151は、感光体分離センサ123による用紙Pの位置検出を行う(ステップS111)。すなわち、制御部151は、感光体分離センサ123からの信号に基づいて用紙Pの位置を検出する。用紙Pは、上述したように、トナー像の転写時において転写バイアスが印加されており、感光体ドラム1に対して静電吸着される。用紙Pは、正常時には、感光体ドラム1による曲率分離、及び、転写ベルト6の静電吸着力により感光体ドラム1から剥離され、転写ベルト6に静電吸着されながら搬送される。しかしながら、用紙Pが曲率分離等によっては感光体ドラム1より剥離されず、分離ジャムが発生する場合がある。このような場合には、感光体分離センサ123によって用紙Pが検出されないため、制御部151は、感光体分離ジャムが発生したと判断することができる。
【0067】
制御部151は、感光体分離センサ123からの信号に基づいて、感光体分離ジャムが発生しているか否かを判定する(ステップS112)。制御部151は、感光体分離ジャムが発生していると判定したときは(ステップS112:Y)、感光体分離異常時処理を実行した後(ステップS113)、ステップS118の処理を実行する。感光体分離異常時処理については、後述する。一方、制御部151は、感光体分離ジャムが発生していると判定しないときは(ステップS112:N)、転写ベルト分離センサ124による用紙Pの位置検出を行う(ステップS114)。すなわち、制御部151は、転写ベルト分離センサ124からの信号に基づいて用紙Pの位置を検出する。転写ベルト6に静電吸着された用紙Pは、正常時には、支持ローラ62による曲率分離により転写ベルト6から剥離され、定着装置8に給送される。しかしながら、用紙Pが曲率分離によっては転写ベルト6より剥離されず、分離ジャムが発生する場合がある。このような場合には、転写ベルト分離センサ124によって用紙Pが検出されないため、制御部151は、転写ベルト分離ジャムが発生したと判断することができる。
【0068】
制御部151は、転写ベルト分離センサ124からの信号に基づいて、転写ベルト分離ジャムが発生しているか否かを判定する(ステップS115)。制御部151は、転写ベルト分離ジャムが発生していると判定したときは(ステップS115:Y)、ベルト分離異常時処理を実行した後(ステップS116)、ステップS118の処理を実行する。ベルト分離異常時処理については、後述する。一方、制御部151は、転写ベルト分離ジャムが発生していると判定しないときは(ステップS115:N)、プリントを行うためのジョブが終了したか否かを判定する(ステップS117)。
【0069】
制御部151は、プリントを行うためのジョブが終了したと判定したときは(ステップS117:Y)、この処理を終了する。一方、制御部151は、プリントを行うためのジョブが終了したと判定しないときは(ステップS117:N)、ステップS101の処理を実行し、次のページの画像を用紙に形成するための処理を行う。
【0070】
また、制御部151は、ステップS118において、分離ジャムのエラーから復帰したか否かを判定し(ステップS118)、エラーから復帰されたことを確認して(ステップS118:Y)、ステップS117の処理を実行する。
【0071】
次に、プリント処理のステップS113において実行される感光体分離異常時処理について、図6を参照しながら説明する。
【0072】
先ず、制御部151は、感光体分離ジャムが発生したと判定されたので、通紙動作を停止させる(ステップS201)。このとき、分離ジャムが発生した旨のエラー表示が操作表示部130に表示される。
【0073】
制御部151は、先端電流現在値が予め定められた回数実施されたか否かを判定する(ステップS202)。すなわち、制御部151は、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であるか否かを判定する。先端電流現在値の変更回数は、後述するように、先端電流現在値が補正される毎に計数される。本実施の形態では、先端電流現在値の変更回数を用紙の種類毎に計数する。なお、先端電流現在値の変更回数の総数を判定するようにしてもよい。また、本実施の形態では、先端電流現在値の変更回数の限度値を、例えば、10回に設定しているが、任意の値とすることができる。
【0074】
制御部151は、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であると判定しないときは(ステップS202:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルから用紙の種類に対応する先端電流現在値を読み出す(ステップS203)。
【0075】
そして、制御部151は、読み出した先端電流現在値の絶対値が所定の上限値以上であるか否かを判定する(ステップS204)。本実施の形態では、先端電流現在値の上限値について、用紙表面にあっては160μA、用紙裏面にあっては120μAに設定している。これより大きい電流値では、転写バイアスの印加時において電源リークが起こり、画像に放電跡が生じる可能性があるため、本実施の形態では、上述した上限値を設けるようにしている。なお、先端電流現在値の上限値は、本実施の形態において設定されたものに限定されず、画像形成装置の性能に応じて適宜設定することができる。
【0076】
制御部151は、読み出した先端電流現在値の絶対値が上限値以上であると判定しないときは(ステップS204:N)、先端電流現在値が0以上、すなわち、正極性であるか否かを判定する(ステップS205)。
【0077】
制御部151は、先端電流現在値が正極性であると判定したときは(ステップS205:Y)、先端電流現在値に+20μAの補正を行う(ステップS206)。一方、制御部151は、先端電流現在値が正極性であると判定しないとき、すなわち、負極性であると判定したときは(ステップS205:N)、先端電流現在値に−20μAの補正を行う(ステップS207)。本実施の形態では、感光体分離ジャムが発生した場合には、以上のようにして、先端電流現在値の絶対値を大きくする。なお、本実施の形態では、20μA毎の補正を実施するようにしたが、補正値は任意に設定することができる。
【0078】
次に、制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が所定の上限値以上であるか否かを判定する(ステップS208)。
【0079】
制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が上限値以上であると判定したときは(ステップS208:Y)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を上限値に更新記憶し(ステップS209)、この処理を終了する。制御部151は、このようにして、先端電流現在値が上限値を超えないようにしている。一方、制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が上限値以上であると判定しないときは(ステップS208:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を補正後の先端電流現在値に更新記憶し(ステップS210)、この処理を終了する。
【0080】
また、制御部151は、ステップS202において、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であると判定したとき(ステップS202:Y)、及び、ステップS204において、読み出した先端電流現在値の絶対値が上限値以上であると判定したときは(ステップS204:Y)、これ以上の先端電流現在値の補正ができないとして、転写バイアス調整が不可能である旨の表示を操作表示部130に表示させ(ステップS211)、この処理を終了する。すなわち、操作表示部130は、報知部として機能して転写バイアス調整が不可能である旨の表示を行う。なお、転写バイアス調整が不可能である旨の報知態様としては、表示するものに限らず、発光体による所定の発光や、音声による報知であってもよい。
【0081】
本実施の形態では、補正後の先端電流現在値が上限値よりも大きくなる場合には、先端電流現在値を上限値に更新するようにしたが、先端電流現在値を上限値に更新せず、転写バイアス調整が不可能である旨の報知を行うようにしてもよい。
【0082】
次に、プリント処理のステップS116において実行されるベルト分離異常時処理について、図7を参照しながら説明する。
【0083】
先ず、制御部151は、転写ベルト分離ジャムが発生したと判定されたので、通紙動作を停止させる(ステップS301)。このとき、分離ジャムが発生した旨のエラー表示が操作表示部130に表示される。
【0084】
制御部151は、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0085】
制御部151は、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であると判定しないときは(ステップS302:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルから用紙の種類に対応する先端電流現在値を読み出す(ステップS303)。
【0086】
そして、制御部151は、読み出した先端電流現在値の絶対値が所定の下限値以下であるか否かを判定する(ステップS304)。本実施の形態では、先端電流現在値の下限値について、用紙表面にあっては20μA、用紙裏面にあっては10μAに設定している。なお、先端電流現在値の下限値は、本実施の形態において設定されたものに限定されず、画像形成装置の性能に応じて適宜設定することができる。
【0087】
制御部151は、読み出した先端電流現在値の絶対値が下限値以下であると判定しないときは(ステップS304:N)、先端電流現在値が正極性であるか否かを判定する(ステップS305)。
【0088】
制御部151は、先端電流現在値が正極性であると判定したときは(ステップS305:Y)、先端電流現在値に−20μAの補正を行う(ステップS306)。一方、制御部151は、先端電流現在値が負極性であると判定したときは(ステップS305:N)、先端電流現在値に+20μAの補正を行う(ステップS307)。本実施の形態では、転写ベルト分離ジャムが発生した場合には、以上のようにして、先端電流現在値の絶対値を小さくする。なお、本実施の形態では、20μA毎の補正を実施するようにしたが、補正値は任意に設定することができる。
【0089】
次に、制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が所定の下限値以下であるか否かを判定する(ステップS308)。
【0090】
制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が下限値以下であると判定したときは(ステップS308:Y)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を下限値に更新記憶し(ステップS309)、この処理を終了する。制御部151は、このようにして、先端電流現在値が下限値を超えないようにしている。一方、制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が下限値以下であると判定しないときは(ステップS308:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を補正後の先端電流現在値に更新記憶し(ステップS310)、この処理を終了する。
【0091】
また、制御部151は、ステップS302において、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であると判定したとき(ステップS302:Y)、及び、ステップS304において、読み出した先端電流現在値の絶対値が下限値以下であると判定したときは(ステップS304:Y)、これ以上の先端電流現在値の補正ができないとして、転写バイアス調整が不可能である旨の表示を操作表示部130に表示させ(ステップS311)、この処理を終了する。すなわち、操作表示部130は、報知部として機能して転写バイアス調整が不可能である旨の表示を行う。
【0092】
本実施の形態では、補正後の先端電流現在値が下限値よりも小さくなる場合には、先端電流現在値を下限値に更新するようにしたが、先端電流現在値を下限値に更新せず、転写バイアス調整が不可能である旨の報知を行うようにしてもよい。
【0093】
以上のように、本実施の形態では、感光体分離ジャムやベルト分離ジャムが発生する毎に、先端電流現在値を20μA単位で補正するので、用紙の分離状態が改善され、通紙性が良化される。
【0094】
転写ベルトからの用紙の分離状態は、用紙の坪量や機内の環境だけでなく、用紙の銘柄、紙目の方向、製造ロット、用紙の調湿状態、給紙カセットにおける用紙のセット面等により様々である。そのため、用紙の先端部分に対して印加される転写バイアスの適切な電流値は、これらの用紙の態様に応じて異ならせる必要がある。
この場合、用紙の先端部分への転写バイアスの出力をある程度十分な大きさにして、転写ベルトへの吸着力を大きくし、感光体ドラムからの用紙の分離を容易にすることが好ましい。
したがって、感光体ドラム及び転写ベルトの双方の分離を両立させることが好ましい。
本実施の形態では、上述のようにして、感光体ドラム及び転写ベルトにおいて分離ジャム等の分離異常が発生した場合に、用紙の先端部分への転写バイアスの電流値を適切に補正することで、その後の分離異常の発生が抑制され、用紙や環境におけるあらゆる条件に対応して良好な通紙を行うことができるようになる。
【0095】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本発明の第2の実施の形態における画像形成装置100の各部構成については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。第2の実施の形態においては、第1の実施の形態におけるプリント処理、感光体分離異常時処理及びベルト分離異常時処理における各処理の内容の一部が相異している。第2の実施の形態においては、第1の実施の形態との相違点について詳細に説明し、第1の実施の形態と同一の部分については、簡単に説明するか、説明を省略する。
【0096】
先ず、第2の実施の形態において実行されるプリント処理について図13及び図14を参照しながら説明する。
【0097】
最初に、制御部151は、ステップS401〜ステップS410の処理を実行する。ステップS401〜ステップS410の各処理は、第1の実施の形態において実行されるプリント処理におけるステップS101〜ステップS110とそれぞれ同様であるため、説明を省略する。
【0098】
次に、制御部151は、感光体分離センサ123による用紙Pの位置検出を行う(ステップS411)。
【0099】
制御部151は、感光体分離センサ123からの信号に基づいて、感光体ドラム1からの用紙Pの分離が不十分であるか否かを判定する(ステップS412)。本実施の形態では、制御部151は、感光体ドラム1からの用紙Pの分離が行われて感光体分離センサ123によって用紙Pを検出した場合でも、用紙Pと感光体分離センサ123との距離を判定して、感光体ドラム1からの用紙Pの分離が不十分であるか否かについて判定する。感光体ドラム1からの用紙Pの分離が不十分な状態とは、例えば、分離ジャムの状態とまではならないが、用紙に波打ちやしわ等が発生し、分離ジャムの状態となる可能性の高い状態である。
【0100】
制御部151は、感光体ドラム1からの用紙Pの分離が不十分であると判定したときは(ステップS412:Y)、感光体分離異常時処理を実行する(ステップS413)。本実施の形態における感光体分離異常時処理の詳細については後述する。一方、制御部151は、感光体ドラム1からの用紙Pの分離が不十分であると判定しないときは(ステップS412:N)、ステップS413の処理を実行することなく、ステップS414の処理を実行する。
【0101】
次に、制御部151は、転写ベルト分離センサ124による用紙Pの位置検出を行う(ステップS414)。
【0102】
制御部151は、転写ベルト分離センサ124からの信号に基づいて、転写ベルト6からの用紙Pの分離が不十分であるか否かを判定する(ステップS415)。本実施の形態では、制御部151は、転写ベルト6からの用紙Pの分離が行われて転写ベルト分離センサ124によって用紙Pを検出した場合でも、用紙Pと転写ベルト分離センサ124との距離を判定して、転写ベルト6からの用紙Pの分離が不十分であるか否かについて判定する。
【0103】
制御部151は、転写ベルト6からの用紙Pの分離が不十分であると判定したときは(ステップS415:Y)、ベルト分離異常時処理を実行する(ステップS416)。本実施の形態におけるベルト分離異常時処理の詳細については後述する。一方、制御部151は、転写ベルト6からの用紙Pの分離が不十分であると判定しないときは(ステップS415:N)、ステップS416の処理を実行することなく、ステップS417の処理を実行する。
【0104】
次に、制御部151は、プリントを行うためのジョブが終了したか否かを判定する(ステップS417)。
【0105】
制御部151は、プリントを行うためのジョブが終了したと判定したときは(ステップS417:Y)、この処理を終了する。一方、制御部151は、プリントを行うためのジョブが終了したと判定しないときは(ステップS417:N)、ステップS401の処理を実行し、次のページの画像を用紙に形成するための処理を行う。
【0106】
次に、第2の実施の形態におけるプリント処理のステップS413において実行される感光体分離異常時処理について、図15を参照しながら説明する。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、用紙の分離が不十分な状態となっても、通紙動作を停止させずに、以下の処理を実行する。第2の実施の形態では、このような用紙の分離不十分な状態においては通紙可能であるため、通紙動作を停止させず、先端電流現在値の補正のみ行うようにして、用紙の分離性を良化し、生産性の低下を抑制している。
【0107】
先ず、制御部151は、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であるか否かを判定する(ステップS501)。
【0108】
制御部151は、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であると判定しないときは(ステップS501:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルから用紙の種類に対応する先端電流現在値を読み出す(ステップS502)。
【0109】
そして、制御部151は、読み出した先端電流現在値の絶対値が所定の上限値以上であるか否かを判定する(ステップS503)。
【0110】
制御部151は、読み出した先端電流現在値の絶対値が上限値以上であると判定しないときは(ステップS503:N)、先端電流現在値が正極性であるか否かを判定する(ステップS504)。
【0111】
制御部151は、先端電流現在値が正極性であると判定したときは(ステップS504:Y)、先端電流現在値に+20μAの補正を行う(ステップS505)。一方、制御部151は、先端電流現在値が負極性であると判定したときは(ステップS504:N)、先端電流現在値に−20μAの補正を行う(ステップS506)。
【0112】
次に、制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が所定の上限値以上であるか否かを判定する(ステップS507)。
【0113】
制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が上限値以上であると判定したときは(ステップS507:Y)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を上限値に更新記憶し(ステップS508)、この処理を終了する。一方、制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が上限値以上であると判定しないときは(ステップS507:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を補正後の先端電流現在値に更新記憶し(ステップS509)、この処理を終了する。
【0114】
また、制御部151は、ステップS503において、読み出した先端電流現在値の絶対値が上限値以上であると判定したときは(ステップS503:Y)、先端電流現在値の示す電流の極性が逆極性に変換された後であるか否かを判定する(ステップS510)。具体的には、制御部151は、後述するステップS511の処理において、極性が反転された後であるか否かを判定する。
【0115】
制御部151は、先端電流現在値の示す電流の極性が逆極性に変換された後であると判定しないときは(ステップS510:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を所定の逆極性初期値に更新記憶し(ステップS511)、この処理を終了する。具体的には、制御部151は、先端電流現在値の示す電流の極性が正極性であれば、負極性の電流値に更新する。また、制御部151は、先端電流現在値の示す電流の極性が負極性であれば、正極性の電流値に更新する。逆極性初期値は、電流の極性を正極性から負極性に変更する場合にあっては−80μAであり、電流の極性を負極性から正極性に変更する場合にあっては+80μAである。なお、逆極性初期値は、画像形成装置の性能等に応じて任意に設定することができる。電流の極性が変更された後は、電流の極性が変更される前と同様の上限値及び下限値の範囲内において先端電流現在値の補正が行われる。
【0116】
また、制御部151は、ステップS501において、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であると判定したとき(ステップS501:Y)、及び、ステップS510において、先端電流現在値の示す電流の極性が逆極性に変換された後であると判定したときは(ステップS510:Y)、これ以上の先端電流現在値の補正ができないとして、転写バイアス調整が不可能である旨の表示を操作表示部130に表示させ(ステップS512)、この処理を終了する。
【0117】
本実施の形態では、電流の極性が逆極性に変更される前において、補正後の先端電流現在値が上限値よりも大きくなる場合には、先端電流現在値を上限値に更新するようにしたが、先端電流現在値を上限値に更新せず、電流の極性を変更するようにしてもよい。また、電流の極性が逆極性に変更された後において、補正後の先端電流現在値が上限値よりも大きくなる場合に、先端電流現在値を上限値に更新せず、転写バイアス調整が不可能である旨の表示を行うようにしてもよい。
【0118】
次に、第2の実施の形態におけるプリント処理のステップS416において実行されるベルト分離異常時処理について、図16を参照しながら説明する。
【0119】
先ず、制御部151は、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であるか否かを判定する(ステップS601)。
【0120】
制御部151は、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であると判定しないときは(ステップS601:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルから用紙の種類に対応する先端電流現在値を読み出す(ステップS602)。
【0121】
そして、制御部151は、読み出した先端電流現在値の絶対値が所定の下限値以下であるか否かを判定する(ステップS603)。
【0122】
制御部151は、読み出した先端電流現在値の絶対値が下限値以下であると判定しないときは(ステップS603:N)、先端電流現在値が正極性であるか否かを判定する(ステップS604)。
【0123】
制御部151は、先端電流現在値が正極性であると判定したときは(ステップS604:Y)、先端電流現在値に−20μAの補正を行う(ステップS605)。一方、制御部151は、先端電流現在値が負極性であると判定したときは(ステップS604:N)、先端電流現在値に+20μAの補正を行う(ステップS606)。
【0124】
次に、制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が所定の下限値以下であるか否かを判定する(ステップS607)。
【0125】
制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が下限値以下であると判定したときは(ステップS607:Y)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を下限値に更新記憶し(ステップS608)、この処理を終了する。一方、制御部151は、補正後の先端電流現在値の絶対値が下限値以下であると判定しないときは(ステップS607:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を補正後の先端電流現在値に更新記憶し(ステップS609)、この処理を終了する。
【0126】
また、制御部151は、ステップS603において、読み出した先端電流現在値の絶対値が下限値以下であると判定したときは(ステップS603:Y)、先端電流現在値の示す電流の極性が逆極性に変換された後であるか否かを判定する(ステップS610)。
【0127】
制御部151は、先端電流現在値の示す電流の極性が逆極性に変換された後であると判定しないときは(ステップS610:N)、RAM153に含まれる先端電流現在値テーブルにおける用紙の種類に対応する値を所定の逆極性初期値に更新記憶し(ステップS611)、この処理を終了する。
【0128】
また、制御部151は、ステップS601において、先端電流現在値の変更回数が所定の限度値以上であると判定したとき(ステップS601:Y)、及び、ステップS610において、先端電流現在値の示す電流の極性が逆極性に変換された後であると判定したときは(ステップS610:Y)、これ以上の先端電流現在値の補正ができないとして、転写バイアス調整が不可能である旨の表示を操作表示部130に表示させ(ステップS612)、この処理を終了する。
【0129】
本実施の形態では、電流の極性が逆極性に変更される前において、補正後の先端電流現在値が下限値よりも小さくなる場合には、先端電流現在値を下限値に更新するようにしたが、先端電流現在値を下限値に更新せず、電流の極性を変更するようにしてもよい。また、電流の極性が逆極性に変更された後において、補正後の先端電流現在値が下限値よりも小さくなる場合に、先端電流現在値を下限値に更新せず、転写バイアス調整が不可能である旨の表示を行うようにしてもよい。
【0130】
以上のように、第2の実施の形態においては、分離ジャムとはならないまでも、用紙の分離が不十分となって、用紙の波打ちやしわ等が生じるような状態となっても、上述のようにして、用紙の先端部分への転写バイアスの電流値を適切に補正することで、分離ジャムの発生を未然に抑止することができるようになる。その結果、用紙や環境におけるあらゆる条件に対応して良好な通紙を行うことができるようになる。
【0131】
以上説明したように、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、感光体ドラム1は、トナー像を担持して搬送する。転写ユニット122は、用紙に対して所定の電源出力値による転写バイアスを印加して感光体ドラム1上のトナー像を用紙に転写する。転写ベルト6は、トナー像が転写された用紙を静電吸着により搬送する。転写ベルト分離センサ124は、転写ベルト6の搬送端部からの用紙の分離状態を検知する。制御部151は、転写ベルト分離センサ124による検知結果に応じて転写ベルト6からの用紙の分離異常を判定する。制御部151は、転写ベルト6からの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を変更する。その結果、転写ベルトからの用紙の分離状態に応じて用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値が補正されるので、用紙や環境等の条件に応じた転写ベルトへの用紙の吸着力の制御が可能となる。よって、用紙の銘柄、調湿状態、トレイへの紙セット面の向き、機内の環境等、転写バイアスの電源出力値に対する様々な誤差要因が生じても、用紙の転写ベルトからの良好な分離が可能な転写バイアスの電源出力値に調整することができ、良好な通紙性能を確保することができる。また、用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を変更するようにしたので、トナー像の用紙への転写における影響を抑制することができ、良好な画質を維持することができる。また、転写ベルト上に吸引されている用紙を電気的に離反させる分離帯電器のような装置が不要であるため、通紙においてこのような装置と干渉するおそれがなく、通紙に影響することがない。また、このような装置が不要であるため、製品コストの上昇を抑制して、静電吸着された用紙を良好に転写ベルトから分離することができる。
【0132】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、転写ベルト6からの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくする。その結果、転写ベルトの用紙の先端部分に対する吸着力を弱めることができるので、転写ベルトからの用紙の分離を良好に行うことができる。
【0133】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、予め定められた下限値を限度として転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくする。その結果、用紙の先端部分に対する転写バイアスの印加を適切に制御することができる。
【0134】
また、本発明の第2の実施の形態によれば、制御部151は、転写バイアスの電源出力値が下限値であるときに転写ベルト6からの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくした結果、下限値よりも小さくなる場合には、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの極性を逆極性に変更する。その結果、電源出力値を下限値まで補正しても用紙の分離異常が発生するような場合でも、転写バイアスの極性を逆極性に変更することで、用紙を分離させるための電源出力値の調整をさらに行わせることができるようになる。
【0135】
また、本発明の第2の実施の形態によれば、制御部151は、転写バイアスの極性が変更されたときに、転写バイアスの電源出力値を予め設定された逆極性初期値に設定する。制御部151は、転写バイアスの電源出力値が逆極性初期値であるときに転写ベルト6からの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくする。その結果、転写バイアスの極性を逆極性に変更した後も、用紙の分離状態に応じた補正をより広範に行うことができるようになり、転写ベルトからの用紙の分離を良好に行うことができる。
【0136】
また、本発明の第1の実施の形態によれば、操作表示部130は、所定の態様にて報知を行う。制御部151は、転写バイアスの電源出力値が下限値であるときに転写ベルト6からの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくした結果、下限値よりも小さくなる場合には、操作表示部130にてその旨の報知を行う。その結果、用紙の先端部分に対する転写バイアスの調整について、これ以上行うことができない旨を認識させることができる。
【0137】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、感光体分離センサ123は、トナー像が転写された用紙の感光体ドラム1からの分離状態を検知する。制御部151は、感光体分離センサ123による検知結果に応じて感光体ドラム1からの用紙の分離異常を判定する。制御部151は、転写ベルト6からの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、感光体ドラム1からの用紙の分離異常が生じたと判定したときに、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を変更する。その結果、感光体ドラム等の像担持体からの用紙の分離状態に応じて用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値が補正されるので、転写ベルトからの用紙の分離と併せた適正な補正を行うことができるようになる。よって、より良好な通紙性能を確保することができるようになる。
【0138】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、感光体ドラム1からの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ大きくする。その結果、像担持体の用紙の先端部分に対する吸着力を弱めることができるので、像担持体からの用紙の分離を良好に行うことができる。
【0139】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、予め定められた上限値を限度として転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ大きくする。その結果、転写バイアスの印加による電源リークの発生を抑制することができ、放電跡による画質が劣化を防止することができる。
【0140】
また、本発明の第2の実施の形態によれば、制御部151は、転写バイアスの電源出力値が上限値であるときに感光体ドラム1からの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ大きくした結果、上限値よりも大きくなる場合には、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの極性を逆極性に変更する。その結果、電源出力値を上限値まで補正しても用紙の分離異常が発生するような場合でも、転写バイアスの極性を逆極性に変更することで、用紙を分離させるための電源出力値の調整をさらに行わせることができるようになる。
【0141】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、感光体分離センサ123による検知結果、用紙の先端が感光体ドラムから分離しない感光体分離ジャム、又は、用紙の先端の感光体ドラム1からの分離量が不十分である感光体分離不十分状態であると判定したときに感光体ドラム1からの用紙の分離異常が生じたと判定する。その結果、像担持体に対する用紙の分離ジャム、あるいは、分離ジャムの発生する蓋然性の高い分離不十分な状態において、用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を適切に補正することができる。
【0142】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、予め定められた変更回数を限度として転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を変更する。その結果、故障の可能性のある状態において無駄に補正されることが抑制され、処理効率の向上が図れる。
【0143】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、転写バイアスの電源出力値が変更される対象である用紙の先端部分を、用紙の先端からトナー像の形成が開始されるまでの非画像領域の範囲内に設定する。その結果、用紙に転写されたトナー像に影響させることなく、用紙の分離状態を調整することができる。
【0144】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、用紙に画像を形成するための画像データに基づいて非画像領域を検出する。その結果、用紙の先端部分の設定を正確に行うことができる。
【0145】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、温湿度センサ125は、環境条件を検出する。制御部151は、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の初期値を、温湿度センサ125による検出結果に応じて設定する。その結果、機内の温湿度等の環境条件に対応した転写バイアスの電源出力値を設定することができ、分離ジャムや分離不十分などの分離異常の発生を予め低減させることができる。
【0146】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値が変更された後に、温湿度センサ125によって検出された環境条件の変化を検出する。制御部151は、環境条件の変化を検出したときは、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を、検出した変化後の環境条件に対応する初期値に再設定する。その結果、装置の使用中において、機内の温湿度等の環境条件が変化した場合に、その環境条件に応じた転写バイアスの電源出力値の初期値に設定が変更されるので、環境条件が変化しても分離ジャムや分離不十分などの分離異常の発生を低減させることができる。
【0147】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、制御部151は、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を、用紙の表面及び裏面に対応してそれぞれ設定する。制御部151は、転写ベルト6からの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、トナー像が形成された用紙の面に対応する、転写ユニット122によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を変更する。その結果、用紙の表裏によって転写ベルトからの分離状態の異なるような場合でも、適切に用紙の分離状態を調整することができる。
【0148】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、転写ユニット122のバックアップローラ63は、転写ベルト6の内周側に配置され、転写ベルト6を介して用紙に転写バイアスを印加する。その結果、省スペース化が図れ、装置の小型化が可能となる。
【0149】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、転写ベルト分離センサ124による検知結果、用紙の先端が転写ベルトから分離しないベルト分離不良、又は、用紙の先端の搬送ベルトからの分離量が不十分であるベルト分離不十分状態であると判定したときに転写ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定する。その結果、転写ベルトに対する用紙の分離ジャム、あるいは、分離ジャムの発生する蓋然性の高い分離不十分な状態において、用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を適切に補正することができる。
【0150】
なお、本発明の実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の一例であり、これに限定されるものではない。画像形成装置を構成する各機能部の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0151】
また、本実施の形態では、単色のトナー材により画像形成するモノクロの画像形成装置について適用したが、2色以上のトナー材により画像形成する画像形成装置についても適用することができる。
【0152】
また、本実施の形態では、像担持体として感光体ドラムを適用したが、感光体ドラムからトナー像の1次転写を行う中間転写ベルト等の中間転写体を像担持体として適用し、中間転写体から用紙にトナー像を転写するようにした画像形成装置についても適用することができる。
【0153】
例えば、図17に示すように、画像形成装置1100は、プリント部1120を備えている。プリント部1120は、画像形成ユニット1121、転写ユニット1122、感光体分離センサ1123、転写ベルト分離センサ1124、温湿度センサ1125、給紙カセット1009、給紙搬送路1090、転写搬送路1005、定着装置1008、ゲート1091、両面搬送路1092、反転搬送路1093、再給紙搬送路1094及び排紙トレイ1205を備えている。
【0154】
画像形成ユニット1121は、CMYKの色毎の画像形成ユニット1121Y,1121M,1121C,1121K、中間転写ベルト1202、ローラ1203及び2次転写ローラ1204を備えている。
色毎の画像形成ユニット1121Y,1121M,1121C,1121Kは、それぞれ、感光体ドラム1001Y,1001M,1001C,1001K、メインチャージャ1002Y,1002M,1002C,1002K、画像書込み装置1003Y,1003M,1003C,1003K、現像装置1004Y,1004M,1004C,1004Kの他、1次転写ローラ1201Y,1201M,1201C,1201Kを備えている。
【0155】
転写ユニット1122は、2つの支持ローラ1061,1062の間に張架された転写ベルト1006と、転写ベルト1006の内周側に設けられるバックアップローラ1063とを備えている。
【0156】
以上のように構成された画像形成装置1100は、感光体ドラム1001Yが回転し、その表面がメインチャージャ1002Yにより帯電され、画像書込み装置1003Yの露光によりその帯電部分にYデータの画像の潜像が形成される。そして、現像装置1004Yによりその潜像部分にイエローのトナー像が形成される。そのトナー像は1次転写ローラ1201Yの圧接により中間転写ベルト1202に1次転写される。トナー像は、出力対象の画像データに対応するイエローの像となる。転写されなかったトナーは、クリーニング装置(図示せず)により除去される。
マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像についても、それぞれ同様に形成及び1次転写される。
【0157】
ローラ1203、1次転写ローラ1201Y,1201M,1201C,1201Kの回転により、中間転写ベルト1202が回転し、YMCKのトナー像が中間転写ベルト1202上に順に重ねられて1次転写される。給紙カセット1009は、複数の給紙トレイを備え、給紙トレイに格納されている用紙Pを転写搬送路1005に給送する。給紙カセット1009の各給紙トレイから供給された用紙Pは、2次転写ローラ1204とバックアップローラ1063とによって形成されたニップ部に搬送される。ニップ部に搬送された用紙Pは、ニップ部において転写バイアス電源により転写バイアスが印加され、中間転写ベルト1202に1次転写されたCMYKのトナー像が転写される。すなわち、中間転写ベルト1202に1次転写されたトナー像が用紙Pに2次転写される。2次転写された用紙Pは、定着装置1008において定着され、排紙トレイ1205に排紙されるか、両面搬送路1092に給送される。
【0158】
以上のように構成された画像形成装置1100においても、本発明を適用することができる。
【0159】
また、本発明の実施の形態では、先端電流現在値の補正について、分離ジャムが発生した場合と、分離不十分の状態となった場合とで別の実施態様として記載したが、分離ジャムが発生した場合と、分離不十分の状態となった場合の何れの状態であっても、上述のようにして先端電流現在値の補正を行うように構成することももちろん可能である。
【0160】
また、本発明の実施の形態では、先端電流現在値について上下限を設けるようにしたが、上下限を設けない構成としてもよい。
【0161】
また、本発明の第2の実施の形態において、先端電流現在値が上下限であるときに用紙の分離異常となったときは、用紙の先端部分に印加する転写バイアスを逆極性にするようにしたが、第1の実施の形態において適用することももちろん可能である。また、第2の実施の形態において、先端電流現在値が上下限であるときに用紙の分離異常となったときであっても、用紙の先端部分に印加する転写バイアスを逆極性にしないようにしてもよい。
【0162】
また、本発明の第2の実施の形態において、逆極性に変更した後においても、先端電流現在値の補正を行うようにしたが、逆極性に変更した後は、先端電流現在値の補正を行わないようにしてもよい。
【0163】
また、本発明の実施の形態では、感光体ドラムからの用紙の分離異常の判定及び転写ベルトからの用紙の分離異常の判定に応じて先端電流現在値の補正を行うようにしたが、感光体ドラムからの用紙の分離異常の判定を行わないものであってもよい。
【0164】
また、本発明の実施の形態では、予め定められた変更回数を限度として先端電流現在値の補正を行うようにしたが、補正回数に限度を設けないで補正を行う態様としてもよい。
【0165】
また、本発明の実施の形態では、温湿度センサにより機内の環境を検出し、検出した環境条件に応じた先端電流初期値を設定するようにしたが、環境条件に応じた先端電流初期値を設定しない態様としてもよい。
また、本発明の実施の形態では、温湿度センサの検出結果に基づいて絶対湿度を算出し、算出結果に応じて現在の環境を判定するようにしたが、他の態様によって環境の検出を行うようにしてもよい。例えば、温度及び湿度の何れかの検出結果に基づいて環境を判定するようにしてもよい。また、本実施の形態では、絶対湿度を算出したが、相対湿度を算出するようにしてもよい。
【0166】
また、本発明の実施の形態では、環境の変化を検出したときに、先端電流現在値を初期値に変更するようにしたが、環境が変化しても先端電流現在値を初期値に変更しない態様であってもよい。
【0167】
また、本発明の実施の形態では、用紙の面に応じた先端電流初期値を設定するようにしたが、用紙の何れの面についても同一の先端電流初期値に設定するようにしてもよい。また、同一の先端電流現在値を用いるようにしてもよい。
【0168】
また、本発明の実施の形態では、転写バイアスを印加するためのバックアップローラを転写ベルトの内周側に配置した形態としたが、転写バイアスを印加するための装置を転写ベルトの内周側に配置しない構成であってもよい。
【0169】
また、本発明の実施の形態では、用紙の坪量が40〜71g/mの範囲で先端電流初期値及び先端電流現在値を設定したが、用紙の質や画像形成装置の性能に応じて、先端電流初期値及び先端電流現在値を設定する用紙の坪量の範囲は適宜設定することができる。特に、坪量が65g/m以下の用紙は、剛性が高くないため、このような用紙に対して本発明を適用するのが有効である。
【0170】
また、本実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0171】
100 画像形成装置
1 感光体ドラム
6 転写ベルト
63 バックアップローラ
120 プリント部
121 画像形成ユニット
122 転写ユニット
122a 転写バイアス電源
123 感光体分離センサ
124 転写ベルト分離センサ
125 温湿度センサ
151 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持して搬送する像担持体と、
用紙に対して所定の電源出力値による転写バイアスを印加して前記像担持体上のトナー像を用紙に転写する転写部と、
トナー像が転写された用紙を静電吸着により搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの搬送端部からの用紙の分離状態を検知する搬送ベルト分離検知部と、 前記搬送ベルト分離検知部による検知結果に応じて前記搬送ベルトからの用紙の分離異常を判定し、前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値を変更する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、予め定められた第1の限度値を限度として前記転写部によって用紙の先端部分に印加する転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくすることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記転写バイアスの電源出力値が第1の限度値であるときに前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくした結果、前記第1の限度値よりも小さくなる場合には、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの極性を逆極性に変更することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記転写バイアスの極性が変更されたときに、前記転写バイアスの電源出力値を予め設定された逆極性初期値に設定し、前記転写バイアスの電源出力値が前記逆極性初期値であるときに前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくすることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
所定の態様にて報知を行う報知部を備え、
前記制御部は、前記転写バイアスの電源出力値が第1の限度値であるときに前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ小さくした結果、前記第1の限度値よりも小さくなる場合には、前記報知部にてその旨の報知を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー像が転写された用紙の前記像担持体からの分離状態を検知する像担持体分離検知部を備え、
前記制御部は、前記像担持体分離検知部による検知結果に応じて前記像担持体からの用紙の分離異常を判定し、前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、前記像担持体からの用紙の分離異常が生じたと判定したときに、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を変更することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記像担持体からの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ大きくすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、予め定められた第2の限度値を限度として前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ大きくすることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記転写バイアスの電源出力値が第2の限度値であるときに前記像担持体からの用紙の分離異常が生じたと判定したとき、又は、前記転写バイアスの電源出力値の絶対値を所定値だけ大きくした結果、前記第2の限度値よりも大きくなる場合には、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの極性を逆極性に変更することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記像担持体分離検知部による検知結果、用紙の先端が前記像担持体から分離しない像担持体分離不良、又は、用紙の先端の前記像担持体からの分離量が不十分である像担持体分離不十分状態であると判定したときに前記像担持体からの用紙の分離異常が生じたと判定することを特徴とする請求項7〜10の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、予め定められた変更回数を限度として前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を変更することを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記転写バイアスの電源出力値が変更される対象である前記用紙の先端部分を、用紙の先端からトナー像の形成が開始されるまでの非画像領域の範囲内に設定することを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、用紙に画像を形成するための画像データに基づいて非画像領域を検出することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
環境条件を検出する環境検出部を備え、
前記制御部は、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値の初期値を、前記環境検出部による検出結果に応じて設定することを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値が変更された後に、前記環境検出部によって検出された環境条件の変化を検出し、該環境条件の変化を検出したときは、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を、当該検出した変化後の環境条件に対応する初期値に再設定することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を、用紙の表面及び裏面に対応してそれぞれ設定し、前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定したときは、トナー像が形成された用紙の面に対応する、前記転写部によって用紙の先端部分に印加する前記転写バイアスの電源出力値を変更することを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記転写部は、前記搬送ベルトの内周側に配置され、前記搬送ベルトを介して用紙に前記転写バイアスを印加することを特徴とする請求項1〜17の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記像担持体は、帯電器によって帯電された後に、露光により静電潜像が形成され、該形成された静電潜像にトナーを付着させることによりトナー像が形成される感光体であることを特徴とする請求項1〜18の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記像担持体は、帯電器によって帯電された後に、露光により静電潜像が形成され、該形成された静電潜像にトナーを付着させることによりトナー像が形成された感光体より転写された中間転写体であることを特徴とする請求項1〜18の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記搬送ベルト分離検知部による検知結果、用紙の先端が前記搬送ベルトから分離しないベルト分離不良、又は、用紙の先端の前記搬送ベルトからの分離量が不十分であるベルト分離不十分状態であると判定したときに前記搬送ベルトからの用紙の分離異常が生じたと判定することを特徴とする請求項1〜20の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−194409(P2012−194409A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58780(P2011−58780)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】