説明

画像形成装置

【課題】コストの大幅な上昇及び大型化を招くことなく、簡易な制御で安定且つ高品質な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、紙等の記録媒体上に形成すべき画像に応じたトナー像を担持する中間転写ベルト14と、中間転写ベルト14に残留した残留トナーを清掃して取り除くファーブラシローラー41を備えるクリーニング装置15と、正規の極性に帯電している残留トナーを静電力によって中間転写ベルト14からファーブラシローラー41側に取り除くとともに、逆極性に帯電している残留トナーを静電力によってファーブラシローラー41から中間転写ベルト14側に吐き出させるクリーニングバイアスB1を中間転写ベルト14とファーブラシローラー41との間に与えるバイアス印加部45とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙等の記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、複写機、プリンター、ファクシミリ、或いはこれら各機器の機能を複合化した複合機等の画像形成装置は、形成すべき画像に応じたトナー像を形成し、このトナー像を記録媒体に転写して定着させることにより記録媒体上に画像を形成する。ここで、記録媒体に対するトナー像の転写方式は、直接転写方式と中間転写方式とに大別される。
【0003】
直接転写方式は、例えば感光ドラム上に形成されたトナー像を紙に転写する場合のように、転写体(直接転写体)上にトナー像を形成して記録媒体上に直接転写する転写方式である。これに対し、中間転写方式は、例えば感光ドラム上に形成されたトナー像を中間転写ベルトに一旦転写してから紙に転写する場合のように、他で形成されたトナー像を転写体(中間転写体)に転写してから記録媒体上に転写する転写方式である。
【0004】
上記の直接転写方式及び中間転写方式の何れの転写方式であっても、転写体に飛散したトナーや未転写のトナーが残留していると画像形成品質(印刷品質)が低下する。このため、画像形成装置は、転写体から残留トナーを取り除く清掃装置(クリーニング装置)を備えている。ここで、クリーニング装置は、クリーニングブレードやファーブラシローラーを転写体に当接させて残留トナーを取り除くものが多い。
【0005】
前者のクリーニング装置は、クリーニングブレードのエッジ部を転写体に直接当接させて残留トナーを取り除いているため、異物が混入した場合に転写体の表面が損傷する虞があるとともに、転写体の駆動負荷が大きくなるという短所がある。これに対し、後者のクリーニング装置は、バイアスが印加されたファーブラシローラーを回転させることによって、ファーブラシによる物理的な掻き取り力と静電力とによって転写体から残留トナーを取り除いているため、クリーニングブレードを用いるものよりも転写体へのダメージが少なく、駆動負荷も小さいという長所がある。
【0006】
ここで、トナーは均一に帯電している訳ではなく、殆ど帯電していないものや、逆極性に帯電したものも存在する。特に、物理的な力で転写体から取り除かれたトナーには、このようなものが多く存在するため、上述した後者のクリーニング装置では、このようなトナーがファーブラシローラーに残留してしまう。以下の特許文献1,2には、正バイアスと逆バイアスとをブラシに印加して帯電が均一ではないトナーを全て回収してブラシの性能を維持する技術が開示されている。また、以下の特許文献3には、正バイアスが印加されたブラシと、逆バイアスが印加されたブラシとを備えることによって、ブラシの性能を維持する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−170530号公報
【特許文献2】特開2004−170555号公報
【特許文献3】特開平9−325623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した特許文献1,2に開示された技術は、正規の極性に帯電しているトナーと逆極性に帯電しているトナーとをブラシから回収するために正バイアスと逆バイアスとを印加する必要があるため、コストが上昇してしまうという問題がある。また、上述した特許文献3に開示された技術は、正バイアスが印加されたブラシと、逆バイアスが印加されたブラシとを備える必要があるため、コストの上昇を招くばかりではなく、2つのブラシの設置スペースが必要になることから大型化してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コストの大幅な上昇及び大型化を招くことなく、簡易な制御で安定且つ高品質な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、前記記録媒体上に形成すべき画像に応じたトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の像担持面に残留した残留トナーを清掃して取り除く清掃部材を備える清掃装置と、正規の極性に帯電している残留トナーを静電力によって前記像担持体から前記清掃部材側に取り除くとともに、逆極性に帯電している残留トナーを静電力によって前記清掃部材から前記像担持体側に吐き出させる第1バイアスを前記像担持体と前記清掃部材との間に与えるバイアス印加部とを備えることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記第1バイアスが、正規の極性に帯電している残留トナーを前記像担持体から前記清掃部材側に取り除くために前記像担持体と前記清掃部材との間に与えられる第2バイアスと極性が同じであって、該第2バイアスよりも値が大のバイアスであることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記像担持体の移動方向に沿って前記清掃装置よりも下流側に配置され、前記記録媒体上に形成すべき画像に応じたトナー像を形成して前記像担持体上に転写するとともに、前記第1バイアスにより前記像担持体側に吐き出された残留トナーを回収する画像形成ユニットを備えることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記画像形成ユニットが、前記像担持体の像担持面に対向配置されて前記記録媒体上に形成すべき画像の静電潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに形成された前記静電潜像をトナー像に現像する現像装置と、前記感光体ドラムに残留する残留トナーを取り除いて回収する回収装置とを備えることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、前記バイアス印加部が、前記画像形成ユニットによる前記トナー像の形成中は前記第2バイアスを印加し、前記画像形成ユニットによる前記トナー像の形成前又は形成後のタイミングで前記第1バイアスを印加することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、像担持体と清掃部材との間に第1バイアスを与えることにより、正規の極性に帯電している残留トナーを静電力によって像担持体から清掃部材側に取り除くとともに、逆極性に帯電している残留トナーを静電力によって清掃部材から像担持体側に吐き出させているため、コストの大幅な上昇及び大型化を招くことなく、簡易な制御で安定且つ高品質な画像形成を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置としてのカラープリンターの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における画像形成ユニットの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるクリーニング装置の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による画像形成装置としてのカラープリンターの制御系の要部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による画像形成装置としてのカラープリンターの動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】本発明の一実施形態においてクリーニングバイアスの大きさとトナー量との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態においてクリーニングバイアスの大きさとトナー汚れ個数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による画像形成装置について詳細に説明する。尚、以下では、画像形成装置としてカラープリンターを例に挙げて説明するが、本発明は、モノクロのプリンターにも適用可能であり、更には、複写機、ファクシミリ、複合機等のプリンター以外の画像形成装置にも適用することができる。
【0014】
〔画像形成装置の全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態による画像形成装置としてのカラープリンターの構成を示す断面図である。図1に示す通り、カラープリンター1は、箱形形状の装置本体1a内に、給紙カセット11、レーザースキャナーユニット(LSU)12、画像形成ユニット13、中間転写ベルト14(像担持体)、クリーニング装置15(清掃装置)、及び定着装置16等を備えており、例えば外部から入力される印刷データに応じた画像を所定の印刷用紙P(記録媒体)に印刷する。
【0015】
給紙カセット11は、定型の印刷用紙Pを複数枚(例えば、数百枚程度)収容可能であり、装置本体1aの正面から引き出し可能なように装置本体1aの底部に配置されている。レーザースキャナーユニット12は、例えば外部から入力される印刷データに応じて光源から発光するレーザー光を画像形成ユニット13に照射する。具体的には、イエロー(Y)の画像を形成するためのレーザー光、シアン(C)の画像を形成するためのレーザー光、マゼンタ(M)の画像を形成するためのレーザー光、及びブラック(K)の画像を形成するためのレーザー光の計4種類のレーザー光を各光源から画像形成ユニット13に照射する。
【0016】
画像形成ユニット13は、中間転写ベルト14の移動方向(図1中矢印で示す時計回り方向)に沿ってクリーニング装置15よりも下流側に配置されており、レーザースキャナーユニット12から照射されるレーザー光により印刷用紙Pに転写すべき各色のトナー像の静電潜像を形成する。具体的に、画像形成ユニット13は、一定の間隔でタンデムに配置されたイエロー画像形成ユニット13Y、シアン画像形成ユニット13C、マゼンタ画像形成ユニット13M、及びブラック画像形成ユニット13Kを備えており、レーザースキャナーユニット12から照射されるレーザー光により、イエロー(Y)のトナー像、シアン(C)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、及びブラック(K)のトナー像をそれぞれ形成する。尚、画像形成ユニット13の詳細については後述する。
【0017】
中間転写ベルト14は、イエロー画像形成ユニット13Y、シアン画像形成ユニット13C、マゼンタ画像形成ユニット13M、及びブラック画像形成ユニット13Kの各々で形成されたトナー像が転写されるベルトであり、駆動ローラー14a、従動ローラー14b、及びテンションローラー14cによって張設されている。具体的に、この中間転写ベルト14は、PVDF樹脂(厚み0.1mm)の基材にNBRゴム(厚み0.3mm)の弾性層を設け、弾性層の表面にPTFE(厚み10μm)のコート層を設けた3層構造を有し、抵抗が10.5logΩ・cm程度の無端状ベルトである。
【0018】
尚、イエロー画像形成ユニット13Y〜ブラック画像形成ユニット13Kの各々に対応して一次転写ローラーT1〜T4がそれぞれ設けられており、駆動ローラー14aに対向して二次転写ローラーT10が設けられている。具体的に、一次転写ローラーT1〜T4は、直径8mmの金属軸にEPDM発砲体を設けた直径20mmのローラーである。また、二次転写ローラーT10は、直径10mmの金属軸にEPDM発砲体を設けた直径24mmのローラーである。
【0019】
クリーニング装置15は、従動ローラー14bとともに中間転写ベルト14を挟むように配置されており、中間転写ベルト14に残留した残留トナー(トナー画像が形成される面に残留した残留トナー)を清掃して取り除く。尚、詳細は後述するが、このクリーニング装置15は、中間転写ベルト14から取り除いたトナーのうち、逆極性に帯電したトナーや未帯電のトナー等の異常なトナーを中間転写ベルト14側に吐き出す動作も行う。
【0020】
定着装置16は、加熱ローラー、定着ローラー、及び加圧ローラー等を備えており、中間転写ベルト14から印刷用紙P上に転写されたトナー像(フルカラーのトナー像)を加熱及び加圧して印刷用紙Pに定着させる。尚、装置本体1aの上部は画像が印刷された印刷用紙Pを載置する排紙トレイ17とされており、装置本体1aの側部には手差しトレイ18が設けられている。
【0021】
〔画像形成ユニット〕
図2は、本発明の一実施形態における画像形成ユニットの構成を示す断面図である。尚、画像形成ユニット13が備えるイエロー画像形成ユニット13Y、シアン画像形成ユニット13C、マゼンタ画像形成ユニット13M、及びブラック画像形成ユニット13Kは同様の構成であるため、以下ではイエロー画像形成ユニット13Yを例に挙げて説明し、シアン画像形成ユニット13C、マゼンタ画像形成ユニット13M、及びブラック画像形成ユニット13Kについての説明は省略する。
【0022】
図2に示す通り、イエロー画像形成ユニット13Yは、感光体ドラム21、帯電器22、現像装置23、及びドラムクリーニング装置24(回収装置)を備える構成である。かかる構成のイエロー画像形成ユニット13Yには、レーザースキャナーユニット12からレーザー光LY(イエロー(Y)の画像を形成するためのレーザー光)が照射される。
【0023】
感光体ドラム21は、表面にアモルファスシリコン(a−Si)の感光層を有し、軸方向約300mmの幅にレーザースキャナーユニット12からレーザー光LYが照射されることによってイエロー(Y)の画像に応じた静電潜像が形成される円筒形の感光体である。この感光体ドラム21は、一次転写ローラーT1とともに中間転写ベルト14を挟むように配置されており、不図示のモータによって図示矢印方向(図2における反時計回り方向)に所定のプロセススピード(本実施形態では150mm/sec)で回転駆動される。帯電器22は、不図示の帯電バイアス電源から印加される帯電バイアスによって感光体ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させる。
【0024】
現像装置23は、現像容器30内に、攪拌スクリュー31a,31b、磁気ローラー32、及び現像ローラー33等を備えており、イエロー(Y)の現像剤を収容し、感光体ドラム21上に形成された静電潜像にトナーを付着させることによってイエロー(Y)のトナー像を形成する。ここで、現像装置23が収容する現像剤は、トナーとキャリアとを有する二成分現像剤であり、トナーとしては非磁性トナーが用いられている。
【0025】
攪拌スクリュー31a,31bは、現像容器30内に収容されるイエロー(Y)の現像剤を攪拌するためのスパイラル形状の部材である。磁気ローラー32は、複数の磁極N1〜N3,S1,S2を備える円筒状の固定マグネットローラー32aと、内部に固定マグネットローラー32aが設けられる非磁性体の円環状の部材である回転スリーブ32bとを備えており、回転スリーブ32bの外周面に二成分現像剤からなる磁気ブラシを形成する。
【0026】
現像ローラー33は、磁気ローラー32と対向する対向マグネット33aが内部に配置された非磁性の円環状である回転スリーブ33bを備えており、磁気ローラー32からトナーが移送されて、感光体ドラム21に形成される静電潜像を現像するためのトナー層を回転スリーブ33bの外周面に形成する。また、現像容器30には、現像剤層厚規制部材としてのドクターブレード34が回転スリーブ32bの軸方向(図2の紙面垂直方向)に沿って取り付けられている。
【0027】
ドラムクリーニング装置24は、中間転写ベルト14上に転写されずに感光体ドラム21上に残留しているトナーを除去して清浄化する。このドラムクリーニング装置24によって感光体ドラム21の外周面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って不図示のトナー回収ボトルに回収される。尚、ドラムクリーニング装置24は、前述したクリーニング装置15によって中間転写ベルト14側に吐き出されたトナーの回収も行う。
【0028】
〔クリーニング装置〕
図3は、本発明の一実施形態におけるクリーニング装置の構成を示す断面図である。図3に示す通り、クリーニング装置15は、ケーシング40、ファーブラシローラー41(清掃部材)、回収ローラー42、クリーニングブレード43、搬送スパイラル44、及びバイアス印加部45を備える。ケーシング40は、ファーブラシローラー41〜クリーニングブレード43の下方に配置されており、中間転写ベルト14から取り除かれた残留トナーを受けて不図示のトナー回収ボトルに回収する。
【0029】
ファーブラシローラー41は、ブラシ軸41aとファーブラシ本体41bとからなり、ファーブラシ本体41bが中間転写ベルト14の表面に当接されて中間転写ベルト14に残留した残留トナーを取り除く。ブラシ軸41aは、直径10mmの金属軸であり、ファーブラシ本体41bが外嵌されており、ファーブラシ本体41bと一体的に図中の矢印方向(図3における時計回り方向)に回転する。ファーブラシ本体41bは、ブラシ軸41aに巻き付けて貼着される合成樹脂製の基布の周面に、例えば導電性アクリル製或いはナイロン系のブラシ毛を一様に植設したものである。本実施形態では、導電性アクリルのブラシ毛が植設されて外径19mmになっている。
【0030】
回収ローラー42は、回収ローラー軸42aと回収ローラー本体42bとからなり、回収ローラー本体42bがファーブラシ本体41bに当接されて中間転写ベルト14から取り除かれた残留トナーをファーブラシ本体41bから回収する。回収ローラー軸42aは、回収ローラー本体42bが外嵌されており、回収ローラー本体42bと一体的に図中の矢印方向(図3における反時計回り方向)に回転する。回収ローラー本体42bは、ステンレス鋼(SUS)或いはアルミニウムで形成された円筒状の部材である。本実施形態では、直径が18mmのステンレス鋼製のローラーを使用している。
【0031】
クリーニングブレード43は、ファーブラシ本体41bから回収ローラー42の外周面に回収された残留トナーを掻き落とすためのものである。このクリーニングブレード43は、その左端上縁部が回収ローラー本体42bの外周面に当接するように、左方に向かって先下がりに傾斜した状態でケーシング40の右縁部に固定されている。従って、回収ローラー42が回収ローラー軸42aの回りで反時計方向に回転することにより、回収ローラー本体42bの外周面に付着していた残留トナーが、クリーニングブレード43により掻き取られる。本実施形態では、厚さ1.4mmのウレタンゴムを用いている。
【0032】
搬送スパイラル44は、クリーニングブレード43によって掻き取られた残留トナーを不図示のトナー回収ボトルに向けて搬送するスパイラル形状の部材であり、その回転軸が図3の紙面垂直方向に沿うように、ケーシング40に形成されたトナー搬送室R内に回転可能に配設されている。この搬送スパイラル44が回転すると、クリーニングブレード43によって掻き取られてケーシング40のトナー搬送室Rに収容された残留トナーが軸方向(図3の紙面垂直方向)に搬送される。
【0033】
バイアス印加部45は、制御部50(図4参照)の制御の下で、回収ローラー42に対してクリーニングバイアスB1を印加する。ここで、図3に示す通り、従動ローラー14bは電気的に接地されており、中間転写ベルト14とファーブラシ本体41bとが当接するとともに、ファーブラシ本体41bと回収ローラー本体42bとが当接している。このため、バイアス印加部45によって回収ローラー42にクリーニングバイアスB1が印加されると、中間転写ベルト14とファーブラシローラー41との間、及び、ファーブラシローラー41と回収ローラー42との間にクリーニングバイアスB1の大きさに応じたバイアスがそれぞれ印加されることになる。
【0034】
バイアス印加部45は、制御部50の制御により、回収ローラー42に対するクリーニングバイアスB1として2種類のバイアスを印加する。1種類目のバイアスは、正規の極性に帯電している残留トナーを中間転写ベルト14からファーブラシローラー41側に取り除くためのバイアス(第2バイアス:以下「通常バイアス」という)である。2種類目のバイアスは、正規の極性に帯電している残留トナーを中間転写ベルト14からファーブラシローラー41側に取り除くとともに、逆極性に帯電したトナーや未帯電のトナー等の異常なトナーをファーブラシローラー41から中間転写ベルト14側に吐き出させるバイアス(第1バイアス:以下「リフレッシュバイアス」という)である。リフレッシュバイアスは、通常バイアスと極性が同じであって、通常バイアスよりも値が大きなバイアスである。
【0035】
つまり、通常バイアス及びリフレッシュバイアスの何れが印加される場合であっても、正規の極性に帯電している残留トナーは中間転写ベルト14からファーブラシローラー41側に静電力によって取り除かれるとともに、ファーブラシローラー41から回収ローラー42側に回収される。但し、逆極性に帯電したトナーや未帯電のトナー等の異常なトナーは、リフレッシュバイアスが印加した場合にファーブラシローラー41から中間転写ベルト14側に静電力によって強制的に吐き出される。
【0036】
ファーブラシローラー41によって中間転写ベルト14から取り除かれた残留トナーのうち、逆極性に帯電したトナーや未帯電のトナー等の異常なトナーは、通常バイアスによる静電力で回収ローラー42側に回収するのは困難である。ファーブラシローラー41に残留する異常なトナーの量が増大すると、ファーブラシローラー41の性能が低下して画像形成の品質低下が引き起こされる虞が考えられるため、本実施形態ではリフレッシュバイアスを印加してファーブラシローラー41に残留する異常なトナーの量を低下させることとしている。
【0037】
ここで、バイアス印加部45は、画像形成ユニット13(イエロー画像形成ユニット13Y、シアン画像形成ユニット13C、マゼンタ画像形成ユニット13M、ブラック画像形成ユニット13K)によるトナー像の形成中は通常バイアスを印加し、画像形成ユニット13によるトナー像の形成前又は形成後のタイミングでリフレッシュバイアスを印加する。これは、リフレッシュバイアスによってファーブラシローラー41から中間転写ベルト14側に吐き出されたトナーが、画像形成ユニット13によって形成されるトナー像に悪影響を及ぼすのを防止するためである。各バイアスの値の大きさについては後述する。
【0038】
〔画像形成装置の制御系〕
図4は、本発明の一実施形態による画像形成装置としてのカラープリンターの制御系の要部構成を示すブロック図である。図4に示す通り、カラープリンター1は、制御部50、操作表示部51、通信I/F部52、画像データ記憶部53、画像処理部54、用紙搬送部55、画像形成部56、及び各種センサー群57を備える。
【0039】
制御部50は、各種センサー群57から出力される各種検出信号を参照しつつ、操作表示部51から入力される操作指示、又は通信I/F部52から入力される各種指示に応じてカラープリンター1の動作を制御する。例えば、通信I/F部52で受信された画像データを画像データ記憶部53に記憶させ、この画像データ記憶部53に記憶された画像データを印刷する制御を行う。また、制御部50は、クリーニング装置15が備えるバイアス印加部45の制御等も行う。
【0040】
操作表示部51は、タッチパネル及び各種操作キーを備えており、操作キーの操作内容を制御部50に出力するとともに、制御部50の制御の下でタッチパネルに種々の情報を表示する。通信I/F部52は、クライアントコンピュータ(図示省略)やローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワーク(図示省略)に接続され、このクライアントコンピュータやネットワークとの間で各種信号の送受信を行う。
【0041】
画像データ記憶部53は、通信I/F部52がクライアントコンピュータ(図示省略)やネットワーク(図示省略)から受信するプリント画像データ等の画像データ、或いは画像処理部54で画像処理が行われた画像データを一時的に記憶する。画像処理部54は、画像データ記憶部53に記憶された画像データに対して各種の画像処理を行う、例えば、画像データの圧縮・伸張処理や画像データの印字率の算出処理等を行う。
【0042】
用紙搬送部55は、搬送ローラー、搬送ローラー駆動用のモータ等を備えており、給紙カセット11(図1参照)に収納されている印刷用紙P等を画像形成部56に搬送するとともに、画像形成部56で画像形成処理が行われた印刷用紙Pを排紙トレイ17に搬送する。画像形成部56は、制御部50の制御の下で、画像データ記憶部53に記憶されているプリント画像データ等の画像データを用いて画像形成処理を行う。具体的には、上記の各種画像データに応じて画像形成ユニット13によって中間転写ベルト14上に形成されたトナー像を用紙搬送部55から搬送される印刷用紙Pに転写し、定着装置16によってそのトナー像の定着処理を行う。各種センサー群57は、用紙切れ検出センサー、用紙詰まり検出センサー、用紙位置検出センサー、温度センサー等の画像形成動作に必要な各種センサーであり、それぞれのセンサーで検出した各種の情報を検出信号として制御部50に出力する。
【0043】
〔画像形成装置の動作〕
次に、上記構成におけるカラープリンター1の動作について説明する。図5は、本発明の一実施形態による画像形成装置としてのカラープリンターの動作を説明するタイミングチャートである。尚、図5中のブラシ駆動信号D1はクリーニング装置15のファーブラシローラー41を回転駆動する信号であり、ベルト駆動信号D2は中間転写ベルト14を回転駆動する信号であり、ドラム駆動信号D3は画像形成ユニット13(イエロー画像形成ユニット13Y、シアン画像形成ユニット13C、マゼンタ画像形成ユニット13M、ブラック画像形成ユニット13K)の各々に設けられた感光体ドラム21を回転駆動する信号である。
【0044】
また、一次転写バイアスBY,BC,BM,BKは、イエロー画像形成ユニット13Y、シアン画像形成ユニット13C、マゼンタ画像形成ユニット13M、及びブラック画像形成ユニット13Kの各々で形成されるトナー像を中間転写ベルト14に転写するために、一次転写ローラーT1〜T4にそれぞれ印加されるバイアスである。具体的には、図5に示す通り、一次転写バイアスBY,BMとして正バイアスが印加され、一次転写バイアスBC,BKとして正バイアス或いは逆バイアスが印加される。
【0045】
ここで、正バイアスは、正規の極性に帯電したトナー像を画像形成ユニット13から中間転写ベルト14に転写するとともに、逆極性に帯電しているトナーが中間転写ベルト14上にあった場合には、そのトナーを各画像形成ユニット13に移送するバイアスである。これに対し、「逆バイアス」は、正規の極性に帯電しているトナーが中間転写ベルト14上にあった場合には、そのトナーを画像形成ユニット13に移送するバイアスである。
【0046】
正規の極性に帯電したトナー像を画像形成ユニット13から中間転写ベルト14に転写する場合には、一次転写バイアスBY,BC,BM,BKとして正バイアスが印加される。尚、一次転写バイアスBC,BKについては、トナー像の転写が行われない場合には逆バイアスが印加される。一次転写バイアスBY,BC,BM,BKの正バイアスは定電流制御により−10μAに制御され、逆バイアスは定電圧制御により+500Vに制御される。
【0047】
二次転写バイアスBTは、中間転写ベルト14上のトナー像を印刷用紙P上に転写するために、二次転写ローラーT10に印加されるバイアスである。具体的に、印刷用紙Pが中間転写ベルト14と二次転写ローラーT10のニップ部を通過している最中(印刷用紙Pに対するトナー像の転写が行われている最中)は二次転写バイアスBTとして正バイアスが印加され、それ以外は二次転写バイアスBTとして逆バイアスが印加される。
【0048】
二次転写バイアスBTとして逆バイアスが印加されている場合には、正規の極性に帯電したトナーは二次転写ローラーT10に移送されずに中間転写ベルト14に移送される。二次転写バイアスBTの正バイアスは定電流制御により−30μAに制御され、逆バイアスは定電圧制御により+500Vに制御される。
【0049】
クリーニングバイアスB1は、図3に示すバイアス印加部45によって回収ローラー42に印加されるバイアスである。このクリーニングバイアスB1は、定電流制御により−20μA又は−55μAに設定されるが、詳細については後述する。尚、図5に示す各信号やバイアスの印加タイミングは図4に示す制御部50によって制御される。
【0050】
印刷用紙Pに印刷すべき画像を示す印刷データが外部から入力されると、通信I/F部52で受信されて画像データ記憶部53に一時的に記憶される。この印刷データは画像処理部54に読み出されて伸張処理等の画像処理が行われ、画像処理が行われた印刷データが画像データ記憶部53に記憶される。画像データ記憶部53に記憶された印刷データは制御部50に読み出され、制御部50の制御の下でその印刷データに応じた画像形成が画像形成部56で行われるとともに、印刷用紙Pの搬送が用紙搬送部55で行われる。
【0051】
印刷用紙Pの搬送が開始されると、図5に示す時刻t1において、制御部50の制御の下でブラシ駆動信号D1が出力されるとともに、バイアス印加部45から回収ローラー42にクリーニングバイアスB1の通常バイアスI1(−20μA)が印加される。これにより、クリーニング装置15に設けられたファーブラシローラー41が回転するとともに、回収ローラー42に通常バイアスI1が印加される。
【0052】
続いて時刻t2において、制御部50の制御の下でベルト駆動信号D2及びドラム駆動信号D3が出力される。これにより、中間転写ベルト14及び画像形成ユニット13(イエロー画像形成ユニット13Y、シアン画像形成ユニット13C、マゼンタ画像形成ユニット13M、ブラック画像形成ユニット13K)の各々に設けられた感光体ドラム21の回転が開始される。
【0053】
図5に示す時刻t3になると、中間転写ベルト14の回転速度が一定になり、制御部50の制御の下で、一次転写バイアスBY,BC,BM,BKが一次転写ローラーT1〜T4にそれぞれ印加される。このとき、一次転写バイアスBY,BMは正バイアスになり、一次転写バイアスはBC,BKは逆バイアスになるようそれぞれ制御される。
【0054】
そして、これら一次転写バイアスBY,BC,BM,BKの印加が開始された後に、イエロー画像形成ユニット13Y、シアン画像形成ユニット13C、マゼンタ画像形成ユニット13M、及びブラック画像形成ユニット13Kの各々で順次画像形成が行われる。尚、シアン画像形成ユニット13Cにおいて画像形成が行われる時刻t4〜t7の間、及び、ブラック画像形成ユニット13Kにおいて画像形成が行われる時刻t5〜t8の間においては、一次転写バイアスBC,BKが正バイアスとなるよう制御される。
【0055】
形成されたイエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、及びブラックトナー像が中間転写ベルト14上に順次重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト14上にはフルカラーのトナー像が形成される。また、時刻t3では、二次転写ローラーT10に対し、二次転写バイアスBTとして逆バイアスが印加される。この二次転写バイアスBTは、時刻t6までの間に二次転写ローラーT10が少なくとも1回転する以上の時間正バイアスに切り換えられる。
【0056】
中間転写ベルト14上に形成されたフルカラーのトナー像の先端が駆動ローラー14aに達するタイミングに合わせて、給紙カセット11又は手差しトレイ18から用紙搬送部55により搬送されてきた印刷用紙Pが中間転写ベルト14と二次転写ローラーT10のニップ部に搬送される。そして、図5中の時刻t6において、制御部50の制御の下で、二次転写バイアスBTとして正バイアスが二次転写ローラーT10に印加され、中間転写ベルト14に形成されたフルカラーのトナー像が、搬送されてきた印刷用紙Pに転写される。このようにして、フルカラーのトナー像が転写された印刷用紙Pは、定着装置16へと搬送され、フルカラーのトナー像が加熱及び加圧されて印刷用紙Pの表面に熱定着され、トナー像が定着された用紙が排紙トレイ17上に排出される。
【0057】
以上の動作が行われている間において、中間転写ベルト14上に残留した残留トナーは、クリーニング装置15に設けられたファーブラシローラー41によって物理的な力で掻き取られるとともに、通常バイアスI1による静電力によって取り除かれる。ファーブラシローラー41によって中間転写ベルト14から取り除かれた残留トナーは、通常バイアスI1による静電力によって回収ローラー42に回収される。
【0058】
印刷用紙Pに対するトナー像の転写が終了して図5中の時刻t9になると、制御部50の制御により、バイアス印加部45から回収ローラー42に対し、クリーニングバイアスB1としてリフレッシュバイアスI2(−55μA)が印加される。このリフレッシュバイアスI2が印加されると、中間転写ベルト14の残留トナーが静電力によってファーブラシローラー41側に取り除かれるとともに、ファーブラシローラー41によって中間転写ベルト14から取り除かれた残留トナーのうち、逆極性に帯電したトナーや未帯電のトナー等の異常なトナーが中間転写ベルト14側に吐き出される。
【0059】
中間転写ベルト14側に吐き出されたトナーは、一次転写ローラーT1〜T4にそれぞれ印加されている一次転写バイアスBY,BC,BM,BKによって画像形成ユニット13に設けられた感光体ドラム21に移送され、ドラムクリーニング装置24によって回収される。図5中の時刻t10になると、制御部50の制御の下で、一次転写ローラーT1〜T4に対する一次転写バイアスBY,BC,BM,BKの印加及び二次転写ローラーT10に対する二次転写バイアスBTの印加が停止されるとともに、バイアス印加部45から回収ローラー42に対するクリーニングバイアスB1として通常バイアスI1が印加される。
【0060】
また、制御部50の制御の下でベルト駆動信号D2及びドラム駆動信号D3が停止され、画像形成ユニット13の各々に設けられた感光体ドラム21及び中間転写ベルト14の回転が停止される。そして、図5中の時刻t11になると、制御部50の制御の下でブラシ駆動信号D1が停止されるとともに、回収ローラー42に対するクリーニングバイアスB1の印加が停止される。これにより、クリーニング装置15に設けられたファーブラシローラー41が停止して一連の動作が終了する。
【0061】
以上の通り、本実施形態では、通常バイアスと極性が同じであって、通常バイアスよりも値が大きなリフレッシュバイアスを回収ローラー42に印加している。これにより、正規の極性に帯電している残留トナーが静電力によって中間転写ベルト14からファーブラシローラー41側に取り除かれるとともに、逆極性に帯電したトナーや未帯電のトナー等の異常なトナーが静電力によってファーブラシローラー41から中間転写ベルト14側に吐き出される。中間転写ベルト14側に吐き出されたトナーは、画像形成ユニット13に設けられたドラムクリーニング装置24によって回収される。
【0062】
すると、逆極性に帯電したトナー等がファーブラシローラー41に蓄積してファーブラシローラー41の性能低下が引き起こされる事態を防止することができる。また、逆極性に帯電したトナー等が、画像形成中にファーブラシローラー41から中間転写ベルト14側に吐き出される事態を防止することができる。更に、中間転写ベルト14側に吐き出されたトナーが、画像形成品質に悪影響を及ぼす事態も避けることができる。この結果として、コストの大幅な上昇及び大型化を招くことなく、簡易な制御で安定且つ高品質な画像形成を行うことができる。
【0063】
ここで、リフレッシュバイアスの印加を、電源投入時、スリープ復帰時の停止前、一定枚数印字後の停止前、連続一定枚数印字中の紙間等で行えば、画像形成動作を中断することなく異常なトナーをファーブラシローラー41から中間転写ベルト14側に吐き出すことができる。また、画像条件、装置の使用状況、環境条件に合わせてリフレッシュバイアスの印加時間を変更すれば、ファーブラシローラー41を常に良好な状態に維持することができる。
【0064】
次に、クリーニングバイアスB1の通常バイアスI1及びリフレッシュバイアスI2の適切な値の設定方法について説明する。クリーニングバイアスB1の通常バイアスI1及びリフレッシュバイアスI2の適切な値を設定するために、上述した本発明の実施形態のカラープリンター1で使用されている中間転写ベルト14、ファーブラシローラー41、回収ローラー42と同じ仕様の部材を用いて以下の実験を行った。
【0065】
まず、カラープリンター1において、ファーブラシローラー41が回収トナーを含んで飽和状態になった状態を想定して、所定の帯電状態にしたトナーを含ませて実験用のファーブラシローラー41を飽和状態にした。このファーブラシローラー41の重さを測定すると、飽和状態では常に約3.5gのトナーを含んでいた。次に、飽和状態のファーブラシローラー41をカラープリンター1と同様の状態で中間転写ベルト14に接触させて、クリーニングバイアスB1を印加した状態で30秒間エージング駆動した。
【0066】
エージングした後、ファーブラシローラー41の重さを再度測定して、ファーブラシローラー41から除去されたトナーの量を計算した。このような実験を、回収ローラー42が有る状態及び無い状態の各々の状態で、クリーニングバイアスB1の設定値を変えながら行った。尚、回収ローラー42が無い状態ではクリーニングバイアスB1をファーブラシローラー41の軸心に印加し、回収ローラー42が有る状態では回収ローラー42の軸心にクリーニングバイアスB1を印加した。
【0067】
図6は、本発明の実施形態においてクリーニングバイアスの大きさとトナー量との関係を示すグラフである。具体的に、図6(a)はエージング時におけるクリーニングバイアスの大きさとファーブラシローラーに保持されるトナー量との関係を示すグラフであり、図6(b)は、クリーニングバイアスB1と回収されるトナー量(中間転写ベルト14に吐き出されるトナー量及び回収ローラー42に回収されるトナー量)との関係を示すグラフである。
【0068】
図6(a)において、グラフの各値は、上述のエージングを行った際のファーブラシローラー41の重量変化から、エージング前の飽和トナー量3.5gの内、エージング後にファーブラシローラー41に保持されているトナー量を示している。即ち、3.5gからグラフ中の各値を差し引いた値が、中間転写ベルト14又は回収ローラー42によって除去されたトナーの重量である。符号L11を付した折れ線は、回収ローラー42が無い状態の測定結果を示すグラフである。この状態で除去されたトナーは、クリーニングバイアスB1によってファーブラシローラー41から中間転写ベルト14に吐き出されたと考えられる。また、符号L12を付した折れ線は、回収ローラー42が有る状態での測定結果を示すグラフである。この状態で除去されたトナーは、グラフL11で示したファーブラシローラー41から中間転写ベルト14に吐き出されたトナーと、回収ローラー42によって回収されたトナーであると考えられる。
【0069】
図6(b)中において、符号L21を付した折れ線はファーブラシローラー41から中間転写ベルト14側に吐き出されるトナー量を示すグラフであり、符号L22を付した折れ線はファーブラシローラー41から回収ローラー42側に回収されるトナー量を示すグラフである。尚、グラフL21は、エージング前の飽和トナー量3.5gから図6(a)中のグラフL11の値を減算した値を示すグラフである。また、グラフL22は、エージング前の飽和トナー量3.5gから図6(a)中のグラフL12の値を減算するとともに、そこから図6(b)中のグラフL21の値を減算した値を示すグラフ(即ち、回収ローラー42によって回収されたトナー量を示すグラフ)である。
【0070】
図6(b)を参照すると、クリーニングバイアスB1の大きさが−25μA以下である場合には、グラフL21で示されるトナー量はクリーニングバイアスB1が変化しても殆ど変わらないが、クリーニングバイアスB1の大きさが−25μAから−55μA付近である場合には、クリーニングバイアスB1の大きさが大きくなるに従って増大することが分かる。これは、クリーニングバイアスB1を大きくすると逆極性に帯電したトナーがファーブラシローラー41から中間転写ベルト14に吐き出されることを示している。
【0071】
これに対し、グラフL22で示される回収ローラー42で回収されるトナー量は、クリーニングバイアスB1の大きさが−20〜−25μA付近で大きな量になるが、−25μAよりも大きい場合には減少することが分かる。この結果から、通常印字時はクリーニングバイアスB1の通常バイアスI1を−20〜−25μAに制御して、回収ローラー42により正極性に帯電したトナーを効率よく回収し、逆極性に帯電したトナーを吐き出すにはリフレッシュバイアスI2を−55μA以上に制御するのが良いことが分かる。
【0072】
図7は、本発明の一実施形態においてクリーニングバイアスの大きさとトナー汚れ個数との関係を示すグラフである。具体的に、図7においては、A4サイズ(横置き)の印刷用紙Pを100枚印刷する毎にリフレッシュバイアスI2を10秒間印加する動作を10回繰り返して合計1000枚の印刷用紙Pのトナー汚れ個数を確認し、この確認を5回繰り返した平均値を示している。図7を参照すると、クリーニングバイアスB1の値を大きくするに従って、トナー汚れ個数が低減しているのが分かる。以上の図6,7に示す結果を考慮して、上記の仕様のカラープリンター1においては、リフレッシュバイアスI2を、−25μAよりも大きな−55μAに設定している。
【0073】
以上、本発明の一実施形態による画像形成装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、中間転写体としての中間転写ベルトを像担持体として用いる画像形成装置について説明したが、本発明は中間転写ベルトを用いない画像形成装置にも適用することができる。例えば、直接転写体としての感光ドラムを像担持体として用いる画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 カラープリンター
13 画像形成ユニット
13C シアン画像形成ユニット
13K ブラック画像形成ユニット
13M マゼンタ画像形成ユニット
13Y イエロー画像形成ユニット
14 中間転写ベルト
15 クリーニング装置
21 感光ドラム
23 現像装置
24 ドラムクリーニング装置
41 ファーブラシローラー
45 バイアス印加部
P 印刷用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
前記記録媒体上に形成すべき画像に応じたトナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体の像担持面に残留した残留トナーを清掃して取り除く清掃部材を備える清掃装置と、
正規の極性に帯電している残留トナーを静電力によって前記像担持体から前記清掃部材側に取り除くとともに、逆極性に帯電している残留トナーを静電力によって前記清掃部材から前記像担持体側に吐き出させる第1バイアスを前記像担持体と前記清掃部材との間に与えるバイアス印加部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1バイアスは、正規の極性に帯電している残留トナーを前記像担持体から前記清掃部材側に取り除くために前記像担持体と前記清掃部材との間に与えられる第2バイアスと極性が同じであって、該第2バイアスよりも値が大のバイアスであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体の移動方向に沿って前記清掃装置よりも下流側に配置され、前記記録媒体上に形成すべき画像に応じたトナー像を形成して前記像担持体上に転写するとともに、前記第1バイアスにより前記像担持体側に吐き出された残留トナーを回収する画像形成ユニットを備えることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成ユニットは、前記像担持体の像担持面に対向配置されて前記記録媒体上に形成すべき画像の静電潜像が形成される感光体ドラムと、
前記感光体ドラムに形成された前記静電潜像をトナー像に現像する現像装置と、
前記感光体ドラムに残留する残留トナーを取り除いて回収する回収装置と
を備えることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記バイアス印加部は、前記画像形成ユニットによる前記トナー像の形成中は前記第2バイアスを印加し、前記画像形成ユニットによる前記トナー像の形成前又は形成後のタイミングで前記第1バイアスを印加することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−220634(P2012−220634A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84639(P2011−84639)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】