説明

画像形成装置

【課題】定着ユニットの装着状態及び温度センサの故障状態を認識するための専用の識別装置を設けることなくそれら状態を判定することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、本体2に対して着脱可能であって用紙Pに担持された未定着トナー像を定着するための定着ユニット30と、定着ユニット30に設けられた熱ローラ31の温度を計測するための温度センサ33と、画像形成装置1外部の温度を計測するための外気温センサ22と、定着ユニット30の本体2に対する着脱時に開閉される開閉カバー12と、開閉カバー12の開放状態または閉鎖状態を検知するための開閉検知センサ21と、開閉検知センサ21、温度センサ33及び外気温センサ22から各々得られる出力に基づいて定着ユニット30の本体2に対する装着状態または温度センサ33の故障状態を判定する主制御部17と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対して着脱可能であって用紙等の記録媒体に担持された未定着トナー像を定着するための定着ユニットを備えた複写機やプリンタ、ファクシミリなどといった画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの電化製品にはその内部の構成要素のメンテナンスや修理、交換を目的として、機器本体に対して着脱可能なユニットやカートリッジ等が使用されている。複写機やプリンタ、ファクシミリなどといった画像形成装置も同様に、装置本体に対して着脱可能なユニットやカートリッジ等を備えているものがある。画像形成装置の着脱可能なユニット等には用紙等の記録媒体に担持された未定着トナー像を定着するための定着ユニットや現像剤であるトナーを収納するトナーカートリッジ(トナーコンテナー)、トナー像を形成するための感光体ドラム等を収納する現像ユニットなどといったものが挙げられる。
【0003】
このような画像形成装置本体に対して着脱可能なユニットに関して、定着ユニットの着脱検知を行うことが可能な画像形成装置の一例を特許文献1に見ることができる。特許文献1に記載された画像形成装置には定着ユニットの着脱を検知するショートハーネスが設けられている。すなわち、この従来技術は定着ユニットの着脱を検知するための専用のセンサに相当する電気回路を用いて定着ユニットが画像形成装置本体に装着されたか否かを検知することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−40847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された画像形成装置は定着ユニットの着脱を検知するための専用のセンサに相当する電気回路を備えているので、部品点数の増加や生産工数の増加が懸念される。このように画像形成装置における異常を認識するための専用の識別装置を設けることにより、画像形成装置のコストアップや大型化を招く可能性が高くなる。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、装置本体に対して着脱可能な定着ユニットを備えた画像形成装置において、定着ユニットの装着状態を認識するための専用の識別装置を設けることなくその装着状態を判定することができ、低コスト化、コンパクト化が図られた画像形成装置を提供することを目的とする。さらに、定着ユニットに設けられた熱ローラの温度センサの故障状態を認識するための専用の識別装置を設けることなくその故障状態を判定することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、装置本体に対して着脱可能であって記録媒体に担持された未定着トナー像を定着するための定着ユニットを備えた画像形成装置において、前記定着ユニットに設けられた熱ローラの温度を計測するための温度センサと、画像形成装置外部の温度を計測するための外気温センサと、前記定着ユニットの装置本体に対する着脱時に開閉される開閉カバーと、前記開閉カバーの開放状態または閉鎖状態を検知するための開閉検知センサと、前記開閉検知センサ、前記温度センサ及び前記外気温センサから各々得られる出力に基づいて前記定着ユニットの装置本体に対する装着状態または前記温度センサの故障状態を判定する制御部と、を備えることとした。
【0008】
この構成によれば、一般的に画像形成装置に予め設けられている開閉カバーの開閉検知センサ、熱ローラの温度センサ及び外気温センサを用いて定着ユニットの装置本体に対する装着状態または温度センサの故障状態を判定するので、画像形成装置に定着ユニットの装着状態及び温度センサの故障状態を認識するための専用の識別装置を設ける必要がない。
【0009】
また、上記構成の画像形成装置において、前記制御部は、前記開閉検知センサから得られる出力に基づいて前記開閉カバーが開放状態であるときまたは開放状態から引き続き閉鎖状態に変化した後も、前記温度センサ及び前記外気温センサから各々得られる出力に基づいて前記熱ローラの温度が外気温より低いことを示していることを条件として前記定着ユニットが装置本体に装着されていないと認識することとした。
【0010】
この構成によれば、画像形成装置は開閉検知センサ、温度センサ及び外気温センサから各々得られる出力に基づいて定着ユニットが装置本体に装着されていないと認識するので、定着ユニットの未装着状態を認識するための専用の識別装置を設ける必要がない。
【0011】
また、上記構成の画像形成装置において、前記制御部は、前記開閉検知センサから得られる出力に基づいて前記開閉カバーが閉鎖状態であるときに、前記温度センサ及び前記外気温センサから各々得られる出力に基づいて前記熱ローラの温度が外気温より高い状態から低い状態へと変化したことを条件として前記温度センサが故障したと認識することとした。
【0012】
この構成によれば、画像形成装置は開閉検知センサ、温度センサ及び外気温センサから各々得られる出力に基づいて温度センサが故障したと認識するので、温度センサの故障状態を認識するための専用の識別装置を設ける必要がない。
【0013】
また、上記構成の画像形成装置において、前記定着ユニットの装置本体に対する装着状態または前記温度センサの故障状態をユーザーに対して報知するための報知部を備えることとした。
【0014】
この構成によれば、定着ユニットの装置本体に対する装着状態及び温度センサの故障状態がいち早くユーザーに認識される。したがって、ユーザーは定着ユニットに関する不具合の発生に迅速に対応することができる。
【0015】
また、上記構成の画像形成装置において、前記定着ユニットの装置本体に対する未装着状態の認識を解除するための操作部を備え、前記制御部は、前記定着ユニットの装置本体に対する未装着状態の認識とその解除とが所定回数繰り返されたことを条件として前記温度センサが故障したと認識することとした。
【0016】
この構成によれば、画像形成装置が実際に定着ユニットを装置本体に装着しているにもかかわらず装着されていないと認識し続ける場合に対応して温度センサの故障を認識する。したがって、定着ユニットの装置本体に対する未装着状態及び温度センサの故障状態の認識が一層明確になる。
【0017】
なお、ここで記述した「所定回数」は定着ユニットの装置本体に対する未装着状態の認識とその解除とに関する予め設定した任意の回数である。この「所定回数」はユーザーが定着ユニットをしっかりと装着できるまでの試行回数を考慮して温度センサが故障した可能性が高いと判断することができる程度の回数であって、例えば2回から5回程度の回数とすることが可能であるが、必要に応じて適切に設定できる。したがって、後述する実施形態では「所定回数」を「3回」と設定しているが、このような回数に限定されるわけではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の構成によれば、装置本体に対して着脱可能な定着ユニットを備えた画像形成装置において、定着ユニットの装着状態及び熱ローラの温度センサの故障状態を認識するための専用の識別装置を設けることなくそれらの状態を判定することができ、低コスト化、コンパクト化が図られた画像形成装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】定着ユニットの装置本体に対する装着状態及び温度センサの故障状態の判定に係る動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図1〜図3に基づき説明する。
【0021】
最初に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図、図2は画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1中の、実線矢印は用紙の搬送経路及び搬送方向を、一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の内部下方には給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3はその内部に記録媒体である印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは図1において給紙カセット3の左上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0023】
本体2の内部であって給紙カセット3の左方には用紙搬送部4が備えられている。用紙搬送部4は本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、用紙搬送部4は給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に転写部5まで搬送する。
【0024】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置6が、その下方の本体2内には画像読取部7が搭載されている。ユーザーが原稿の複写を行う場合には、文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を原稿搬送装置6に積載したり、画像読取部7上面の図示しないコンタクトガラス上に載置したりする。原稿搬送装置6では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取部7によってその画像が読み取られる。コンタクトガラス上の原稿に対しては画像読取部7内で光を走査させることによって画像が読み取られる。
【0025】
原稿画像の読み取りや印刷の開始は本体2の上部であって画像読取部7の正面側に備えられた操作パネル8を用いて実行される。さらに、操作パネル8は、例えばユーザーによる印刷に使用する用紙Pの種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などの設定を受け付けたり、エラー状態やその表示の解除を受け付けたりするための操作部としての役割を果たす。また、操作パネル8は、例えば装置の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示することによりそれらをユーザーに対して報知するための報知部としての役割も果たす。
【0026】
原稿の画像データの情報は後述する主制御部や画像処理部を経由して画像処理が施された後、給紙カセット3の上方であって本体2の中央部に配置された露光部9に送られる。露光部9により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが画像形成部10に向かって照射される。
【0027】
用紙搬送部4の上方であって露光部9の左方には画像形成部10及び転写部5が備えられている。画像形成部10では露光部9によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナーは露光部9の上方に備えられたトナーコンテナー11から画像形成部10に補給される。画像形成部10で形成されたトナー像は用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに転写部5にて転写される。
【0028】
転写部5の上方には定着部としての定着ユニット30が備えられている。転写部5にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着ユニット30へと送られ、熱ローラ31と加圧ローラ32とによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。なお、定着ユニット30は本体2に対して着脱が可能である。
【0029】
これに関して、画像形成装置1は本体2の左側面であって定着ユニット30に対応する箇所に開閉カバー12を備えている。図1に二点鎖線で示したように開閉カバー12を外側に向かって開放することにより現れる開口を通して、定着ユニット30は本体2から取り外すことができる。定着ユニット30を本体2に装着するとき、定着ユニット30に電力を供給するための図示しないコネクタ等が互いに電気的に接続される。
【0030】
定着ユニット30の上方には分岐部13が備えられている。定着ユニット30から排出された用紙Pは両面印刷を行わない場合、分岐部13から画像形成装置1の上部胴内に設けられた胴内用紙排出部14に排出される。
【0031】
分岐部13から胴内用紙排出部14に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分はスイッチバック部15としての機能を果たす。両面印刷を行う場合にはこのスイッチバック部15において定着ユニット30から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは分岐部13を通過し、定着ユニット30の左方及び転写部5の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路16を通して下方に送られ、再度用紙搬送部4を経て転写部5へと送られる。
【0032】
また、画像形成装置1は装置全体の動作制御のため、図2に示すようにその本体2内にCPU18やその他の図示しない電子部品で構成された主制御部17を備えている。主制御部17は中央演算処理装置であるCPU18と画像処理部19とを利用し、記憶部20に記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部7、露光部9、画像形成部10、定着ユニット30などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作を実現する。
【0033】
また、画像形成装置1は装置における様々な状態を検知するための各種センサを装置各部に備えている。
【0034】
定着ユニット30は熱ローラ31の温度を計測するために、例えばサーミスタなどで構成された温度センサ33を備えている。主制御部17は温度センサ33と接続され、温度センサ33から得られる出力に基づいて熱ローラ31の温度を検知する。そして、主制御部17は好適な定着性能が得られるよう熱ローラ31の温度制御を実行している。
【0035】
温度センサ33は熱ローラ31の温度制御を目的としているので200°C程度まで検知可能であれば良く、例えば0〜255°Cの温度を検知できるものであるとする。温度センサ33への電力供給は本体2から行われるので、定着ユニット30が本体2に対して未装着の状態であるとき、主制御部17は温度センサ33に関して正常な出力を得ることができない。このため、画像形成装置1は定着ユニット30が本体2に対して未装着の状態であるとき、主制御部17が温度センサ33から下限値(0°C)に対応する出力を得るようになっている。なお、温度センサ33自体が故障しているときも、主制御部17が温度センサ33から下限値に対応する出力を得ることがある。
【0036】
また、定着ユニット30が本体2に対して未装着の状態であるときや温度センサ33自体が故障しているとき、主制御部17はそれらの状態、すなわちエラー状態を操作パネル8に表示させてユーザーに報知する。ユーザーはそれらのエラー状態を解除するために、操作パネル8に解除指令を入力したり、定着ユニット30を装着し直したり、温度センサ33を修理・交換したりする。なお、定着ユニット30の本体2に対する未装着状態の認識とその解除とが所定回数繰り返されたとき、主制御部17は温度センサ33が故障したと認識する。この所定回数としては例えば3回という値が予め設定され、記憶部20に記憶されている。
【0037】
開閉カバー12に対応する箇所には開閉検知センサ21が設けられている。開閉検知センサ21は、例えば本体2に設けられた透過型の光センサと開閉カバー12に設けられて閉鎖状態において光センサの光を遮蔽する遮蔽板とを用いて構成される。そして、開閉カバー12の開閉動作とともに遮蔽板が移動して光センサの出力信号の高低が切り替わる。主制御部17は開閉検知センサ21の出力を受け、開閉カバー12の開放状態または閉鎖状態を検知する。
【0038】
また、画像形成装置1は装置外部の温度を測定するために、例えばサーミスタなどで構成された外気温センサ22を備えている。主制御部17は外気温センサ22と接続され、外気温センサ22から得られる出力に基づいて装置外部の温度を検知する。そして、主制御部17は装置外部の温度に基づいて画像形成装置1が設置された温度環境に対応した制御を実行している。外気温センサ22は、例えば0〜50°Cの温度を検知できるものであるとする。
【0039】
続いて、定着ユニット30の装置本体2に対する装着状態及び温度センサ33の故障状態の判定に係る動作について、図3に示すフローに沿って説明する。図3は定着ユニット30の装置本体2に対する装着状態及び温度センサ33の故障状態の判定に係る動作を示すフローチャートである。
【0040】
画像形成装置1の電源が投入されると(図3のスタート)、主制御部17は開閉検知センサ21から得られる出力に基づいて開閉カバー12が開放状態であるか否かを判定する(図3のステップ#101)。開閉カバー12が開放状態であるとき(ステップ#101のYes)、主制御部17は開閉カバー12が開放状態であることを報知部である操作パネル8に表示させてユーザーに報知する(ステップ#102)。
【0041】
続いて、主制御部17は温度センサ33及び外気温センサ22から各々得られる出力に基づいて熱ローラ31の温度が外気温より低いか否かを判定する(ステップ#103)。熱ローラ31の温度が外気温より高いとき(ステップ#103のNo)、主制御部17は定着ユニット30が装着されて正常に動作していると認識してステップ#101の開閉カバー12が開閉検知に戻る。
【0042】
なお、ステップ#103における熱ローラ31の温度と外気温との比較では、熱ローラ31の温度が実際の温度センサ33が示す温度より若干高めになるよう補正されている。これは外気温やセンサの種類、センサの取り付け位置などに起因する測定のばらつきや誤検知を防止するためである。例えば、センサの測定精度が±2°Cである場合、その2倍の4°Cを補正値として熱ローラ31の温度に加えることがある。以下、このような熱ローラ31の温度の補正はステップ#105における比較でも同様に行われる。
【0043】
一方、熱ローラ31の温度が外気温より低いとき(ステップ#103のYes)、主制御部17は定着ユニット30が本体2に装着されていないと認識してその旨を操作パネル8に表示させてユーザーに報知する(ステップ#104)。定着ユニット30が正常に動作しているとき、通常熱ローラ31の温度は外気温より高いので、熱ローラ31の温度が外気温より低い状態になることはない。したがって、熱ローラ31の温度が外気温より低いとき、温度センサ33から得られる出力が下限値を示す定着ユニット30の未装着状態と判定される。
【0044】
ここで、ステップ#101に戻り、開閉カバー12が閉鎖状態であるとき(ステップ#101のNo)、主制御部17は温度センサ33及び外気温センサ22から各々得られる出力に基づいて熱ローラ31の温度が外気温より低いか否かを判定する(ステップ#105)。熱ローラ31の温度が外気温より高いとき(ステップ#105のNo)、主制御部17は定着ユニット30が装着されて正常に動作していると認識してステップ#101の開閉カバー12の開閉検知に戻る。
【0045】
一方、熱ローラ31の温度が外気温より低いとき(ステップ#105のYes)、主制御部17は前回の熱ローラ31の温度と外気温との比較時に開閉カバー12が閉鎖状態且つ熱ローラ31の温度が外気温以上であるか否かを判定する(ステップ#106)。このことに関して、主制御部17は熱ローラ31の温度と外気温との比較時におけるその結果と開閉カバー12の開閉状態とを対応付けて毎回記憶部20に記憶させている。
【0046】
そして、前回比較時に開閉カバー12が閉鎖状態且つ熱ローラ31の温度が外気温以上であるとき(ステップ#106のYes)、主制御部17は温度センサ33が故障したと認識してその旨を操作パネル8に表示させてユーザーに報知する(ステップ#107)。すなわち、主制御部17は開閉カバー12が閉鎖状態であるときに熱ローラ31の温度が外気温より高い状態から低い状態へと変化したことを条件として温度センサ33が故障したと認識する。そして、主制御部17は定着ユニット30の装置本体2に対する装着状態及び温度センサ33の故障状態の判定に係る動作フローを終了する(図3のエンド)。
【0047】
ステップ#106において、前回の熱ローラ31の温度と外気温との比較時に開閉カバー12が閉鎖状態且つ熱ローラ31の温度が外気温以上であるという条件を満たしていないとき(ステップ#106のNo)、主制御部17はステップ#105の判定で熱ローラ31の温度が外気温より低いことに基づき定着ユニット30が本体2に装着されていないと認識してその旨を操作パネル8に表示させてユーザーに報知する(ステップ#104)。
【0048】
定着ユニット30の本体2に対する未装着状態を認識してそれをユーザーに報知すると(ステップ104)、主制御部17は定着ユニット30の未装着状態の認識とその解除とが所定回数繰り返されたか否かを判定する(ステップ#108)。この所定回数としては3回という値が予め設定され、記憶部20に記憶されている。すなわち、定着ユニット30の未装着状態の認識とその解除とが3回繰り返されたとき(ステップ#108のYes)、主制御部17は温度センサ33が故障したと認識してその旨を操作パネル8に表示させてユーザーに報知する(ステップ#107)。
【0049】
定着ユニット30の未装着状態の認識とその解除とが所定回数未満、すなわち3回未満であるとき(ステップ#108のNo)、主制御部17は定着ユニット30の本体2に対する未装着状態の認識が解除されたか否か判定する(ステップ#109)。ユーザーは操作パネル8から解除指令を入力したり、定着ユニット30を装着し直したりすることにより、定着ユニット30の本体2に対する未装着状態の認識を解除することができる。定着ユニット30の未装着状態の認識が解除されるまでその判定が繰り返され(ステップ#109のNo)、解除されると(ステップ#109のYes)、主制御部17はステップ#101の開閉カバー12の開閉検知に戻る。
【0050】
上記のように、画像形成装置1の主制御部17は開閉検知センサ21から得られる出力に基づいて開閉カバー12が開放状態であるときまたは開放状態から引き続き閉鎖状態に変化した後も、温度センサ33及び外気温センサ22から各々得られる出力に基づいて熱ローラ31の温度が外気温より低いことを示していることを条件として定着ユニット30が本体2に装着されていないと認識する。
【0051】
さらに、主制御部17は開閉検知センサ21から得られる出力に基づいて開閉カバーが閉鎖状態であるときに、温度センサ33及び外気温センサから各々得られる出力に基づいて熱ローラ31の温度が外気温より高い状態から低い状態へと変化したことを条件として温度センサ33が故障したと認識する。
【0052】
すなわち、画像形成装置1は一般的に予め設けられている開閉検知センサ21、温度センサ33及び外気温センサ22から各々得られる出力に基づいて定着ユニット30の本体2に対する装着状態または温度センサ33の故障状態を判定するので、画像形成装置1に定着ユニット30の装着状態及び温度センサ33の故障状態を認識するための専用の識別装置を設ける必要がない。
【0053】
また、画像形成装置1は定着ユニット30の本体2に対する装着状態または温度センサ33の故障状態をユーザーに対して報知するための報知部である操作パネル8を備えているので、それらの状態をいち早くユーザーに認識させることが可能である。したがって、ユーザーは定着ユニット30に関する不具合の発生に迅速に対応することができる。
【0054】
また、画像形成装置1は定着ユニット30の本体2に対する未装着状態の認識を解除するための操作部である操作パネル8を備え、定着ユニット30の本体2に対する未装着状態の認識とその解除とが所定回数、すなわち3回繰り返されたことを条件として温度センサ33が故障したと認識するので、画像形成装置1が実際に定着ユニット30を本体2に装着しているにもかかわらず装着されていないと認識し続ける場合に対応して温度センサ33の故障を認識することができる。したがって、定着ユニット30の本体2に対する未装着状態及び温度センサ33の故障状態の認識を一層明確にさせることが可能である。
【0055】
そして、上記実施形態の構成によれば、本体2に対して着脱可能な定着ユニット30を備えた画像形成装置1において、定着ユニット30の装着状態及び熱ローラ31の温度センサ33の故障状態を認識するための専用の識別装置を設けることなくそれらの状態を判定することができ、低コスト化、コンパクト化が図られた画像形成装置1を提供することが可能である。
【0056】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0057】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置1としてブラックトナーのみを使用したモノクロ印刷用の画像形成装置を例に掲げて説明したが、発明の適用対象となる画像形成装置はこのような機種に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを備え、複数色を重ね合わせて画像形成することが可能なタンデム方式、或いはロータリー方式のカラー印刷用画像形成装置などであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、装置本体に対して着脱可能な定着ユニットを備えた画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
2 本体(装置本体)
8 操作パネル(操作部、報知部)
12 開閉カバー
17 主制御部
20 記憶部
21 開閉検知センサ
22 外気温センサ
30 定着ユニット
31 熱ローラ
33 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して着脱可能であって記録媒体に担持された未定着トナー像を定着するための定着ユニットを備えた画像形成装置において、
前記定着ユニットに設けられた熱ローラの温度を計測するための温度センサと、
画像形成装置外部の温度を計測するための外気温センサと、
前記定着ユニットの装置本体に対する着脱時に開閉される開閉カバーと、
前記開閉カバーの開放状態または閉鎖状態を検知するための開閉検知センサと、
前記開閉検知センサ、前記温度センサ及び前記外気温センサから各々得られる出力に基づいて前記定着ユニットの装置本体に対する装着状態または前記温度センサの故障状態を判定する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記開閉検知センサから得られる出力に基づいて前記開閉カバーが開放状態であるときまたは開放状態から引き続き閉鎖状態に変化した後も、前記温度センサ及び前記外気温センサから各々得られる出力に基づいて前記熱ローラの温度が外気温より低いことを示していることを条件として前記定着ユニットが装置本体に装着されていないと認識することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記開閉検知センサから得られる出力に基づいて前記開閉カバーが閉鎖状態であるときに、前記温度センサ及び前記外気温センサから各々得られる出力に基づいて前記熱ローラの温度が外気温より高い状態から低い状態へと変化したことを条件として前記温度センサが故障したと認識することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着ユニットの装置本体に対する装着状態または前記温度センサの故障状態をユーザーに対して報知するための報知部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記定着ユニットの装置本体に対する未装着状態の認識を解除するための操作部を備え、
前記制御部は、前記定着ユニットの装置本体に対する未装着状態の認識とその解除とが所定回数繰り返されたことを条件として前記温度センサが故障したと認識することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−233987(P2012−233987A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101359(P2011−101359)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】