説明

画像形成装置

【課題】用紙が搬送方向に対して斜めに搬送された場合でも、ユーザの手間を増やさずに印刷処理を続行すること。
【解決手段】用紙カセット11から取り出された用紙Pの搬送方向上流端がレジストローラ対13を通過したら、撮像部14が用紙Pを撮影する。撮像部14が得た画像データより画像解析部が用紙Pの搬送方向と直交した方向の端部を検出し、斜行量算出部が斜行量を算出する。そして算出された斜行量が基準斜行量より大きければ、制御部はインクジェットヘッド21による画像形成を中止させ、次の用紙Pを用紙カセット11から取り出させて同一の画像を印刷させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の位置を検出して搬送方向に対する斜行量を算出可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置において、用紙を収納する用紙カセットから画像形成部へ用紙が斜行して搬送されると、用紙上の正しい位置に画像形成が行われない。この場合、ユーザは再度印刷をやり直すなどの処置が必要であった。そこで、特許文献1には、画像形成部へ搬送される用紙の位置をイメージセンサ等で検出し、検出結果に応じて用紙への画像形成位置を補正する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2006−44101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1には用紙の位置が搬送方向に対して直交した方向にずれている場合についての解決策は記載されているが、搬送方向に対して斜めにずれている場合の対処法については何ら記載されていない。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、用紙が搬送方向に対して斜めに搬送された場合でも、ユーザの手間を増やさずに印刷処理が続行される画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における画像形成装置は、搬送ベルトによって搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記記録媒体を収納する収納部から前記記録媒体を取り出して前記搬送ベルトへ搬送する搬送手段と、前記画像形成手段へ搬送される前記記録媒体の位置を検出して位置情報を出力する位置検出手段と、前記位置情報に基づいて前記記録媒体の搬送方向に対する斜行量を算出する斜行量算出手段と、算出された前記斜行量に応じて前記画像形成手段の制御を行う制御手段と、前記画像形成手段を通過した前記記録媒体を外部へ排出する排出手段と、排出された前記記録媒体を載置する第1載置手段及び第2載置手段と、を備え、前記位置検出手段は前記搬送方向と直交する方向の前記記録媒体の端部の位置を検出して前記位置情報を出力し、前記制御手段は前記斜行量が基準斜行量より大きければ、前記画像形成手段における画像形成を中止させる制御を行い、前記第2載置手段は第1排出トレイ及び第2排出トレイを有し、前記排出手段は前記画像形成がなされた前記記録媒体は前記第1載置手段へ排出し、前記斜行量が前記基準斜行量より大きいために前記制御手段から前記画像形成中止の制御がなされた時点において、前記画像形成手段によって画像形成が開始されていたとき、前記排出手段は前記記録媒体を前記第1排出トレイへ排出し、前記画像形成手段によって画像形成が開始されていなかったとき、前記排出手段は前記記録媒体を前記第2排出トレイへ排出する。
【0006】
また、本発明における画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記記録媒体を収納する収納部から前記記録媒体を取り出して前記画像形成手段へ搬送する搬送手段と、前記画像形成手段へ搬送される前記記録媒体について、前記録媒体の搬送方向と直交する方向の前記記録媒体の端部の位置を検出して位置情報を出力する位置検出手段と、前記位置情報に基づいて前記記録媒体の搬送方向に対する斜行量を算出する斜行量算出手段と、前記斜行量が基準斜行量より大きければ、前記画像形成手段における画像形成を中止させる制御を行う制御手段と、前記画像形成手段を通過した前記記録媒体を外部へ排出する排出手段と、排出された前記記録媒体を載置する第1載置手段及び第2載置手段と、を備え、前記第2載置手段は第1排出トレイ及び第2排出トレイを有し、前記排出手段は前記画像形成がなされた前記記録媒体は前記第1載置手段へ排出し、前記斜行量が前記基準斜行量より大きいために前記制御手段から前記画像形成中止の制御がなされた時点において、前記画像形成手段によって画像形成が開始されていたとき、前記排出手段は前記記録媒体を前記第1排出トレイへ排出し、前記画像形成手段によって画像形成が開始されていなかったとき、前記排出手段は前記記録媒体を前記第2排出トレイへ排出する。
【0007】
これらの構成によれば、記録媒体の斜行量に応じて画像形成手段の制御を行うことにより、記録媒体が斜行して搬送された際に適切な処置を施すことができる。例えば、記録媒体が斜行した状態で搬送されて画像形成が行われると、画像は記録媒体上に斜めに形成されるため、印刷失敗とされて再度画像形成を行う場合が多い。すると記録媒体や記録剤(例えばインク等)を無駄に消費することとなる。そこで、記録媒体の端部を検出して斜行量を算出し、その斜行量が基準斜行量より大きい場合は画像形成を中止することによって、記録媒体や画像形成に必要な記録剤の無駄な消費を抑えることができる。更に、画像形成の進捗度に応じて記録媒体の排出先を区別することができる。つまり、正常に画像形成がなされた記録媒体、画像形成が途中で中断された記録媒体、画像形成がなされなかった白紙の記録媒体が区別して排出されるため、ユーザ自身が記録媒体を分別する必要がなく、画像形成装置としての利便性を高めることができる。
【0008】
また、本発明における画像形成装置は、搬送ベルトによって搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記記録媒体を収納する収納部から前記記録媒体を取り出して前記搬送ベルトへ搬送する搬送手段と、前記画像形成手段へ搬送される前記記録媒体の位置を検出して位置情報を出力する位置検出手段と、前記位置情報に基づいて前記記録媒体の搬送方向に対する斜行量を算出する斜行量算出手段と、算出された前記斜行量に応じて前記画像形成手段の制御を行う制御手段と、前記搬送ベルトの表面をクリーニングするクリーニング手段と、を備え、前記位置検出手段は前記搬送方向と直交する方向の前記記録媒体の端部の位置を検出して前記位置情報を出力し、前記制御手段は前記斜行量が基準斜行量より大きければ、前記画像形成手段における画像形成を中止させる制御を行い、前記記録媒体に対する画像形成中に前記制御手段から画像形成中止の制御がなされた直後に前記クリーニング手段は前記搬送ベルトの表面をクリーニングする。
【0009】
この構成によれば、記録媒体の端部を検出して斜行量を算出し、その斜行量が基準斜行量より大きい場合は画像形成を中止することによって、記録媒体や画像形成に必要な記録剤の無駄な消費を抑えることができる。更に、記録媒体が斜行して搬送されたために記録媒体の外(つまり搬送ベルト上)に形成された画像の記録剤(例えば、インク、トナー、キャリア等)を適切に除去することができ、次に搬送される記録媒体への記録剤の付着等による印刷不良を防ぐことができる。
【0010】
また、上記構成において、前記クリーニング手段は、前記記録媒体に対する画像形成中に前記制御手段から画像形成中止の制御がなされ、且つ前記搬送ベルトに対して予め定められたドット数以上の画像形成がなされた直後に前記搬送ベルトの表面をクリーニングすることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、搬送ベルトのクリーニングを必要最低限の回数に削減することができ、クリーニングにかかる時間を短縮すると共に、画像形成をスムーズに行うことができる。
【0012】
また、上記構成において、前記基準斜行量は、任意に設定可能であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、画像形成された記録媒体の使用目的等に応じて、斜行の許容範囲を可変させることができる。例えば、記録媒体が社内文書の場合、画像が多少斜行していても構わない場合が多いが、記録媒体が公式文書の場合、画像が斜行しているものは好ましくない。そこで、記録媒体の使用目的に応じてユーザが基準斜行量を任意に設定することによって斜行の許容範囲を可変させることができ、画像形成装置の利便性を向上させることができる。
【0014】
また、上記構成において、前記位置検出手段は撮像手段を有し、該撮像手段は前記搬送ベルトより搬送方向上流側を搬送されている前記記録媒体を撮影可能な位置に配設されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、撮像手段が記録媒体を撮影し、位置検出手段が記録媒体の端部を検出し、斜行量算出手段が斜行量を算出し、制御手段が斜行量と基準斜行量とを比較して印刷を中止するか否かを決定するまでに該記録媒体に対して画像形成が行われている割合が低くなる。従って、記録媒体及び記録剤の無駄な消費を抑えることができる。
【0016】
また、上記構成において、前記位置検出手段は撮像手段を有し、該撮像手段は前記画像形成手段より搬送方向上流側の前記搬送ベルト上を搬送されている前記記録媒体を撮影可能な位置に配設されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、記録媒体が搬送ベルト上に載置する際に斜行現象が発生した場合でも、記録媒体の斜行を検知することができる。
【0018】
また、上記構成において、前記画像形成手段による画像形成が中止になったとき、前記制御手段は前記搬送手段に対して前記収納部から前記記録媒体を搬送させ、前記画像形成
手段に対して該記録媒体へ前記画像形成が中止になった画像と同一の画像を形成させる制御を行うことが好ましい。
【0019】
この構成によれば、画像形成が中止になった場合は自動的に次の記録媒体へ同一の画像形成がなされるため、ユーザが再度画像形成の操作を行う必要がなく、画像形成装置としての利便性を高めることができる。
【0020】
また、上記構成において、前記画像形成手段はインクジェットヘッドを有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、インクジェットヘッドを有する画像形成装置が上記構成と同様の作用効果を享受することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、記録媒体が斜行して搬送された際に適切な処置を施すことができる。具体的には、記録媒体の端部を検出して斜行量を算出し、その斜行量が基準斜行量より大きい場合は画像形成を中止することによって、記録媒体や画像形成に必要な記録剤の無駄な消費を抑えることができる。また、正常に画像形成がなされた記録媒体、画像形成が途中で中断された記録媒体、画像形成がなされなかった白紙の記録媒体が区別して排出されるため、ユーザ自身が記録媒体を分別する必要がなく、画像形成装置としての利便性を高めることができる。
【0023】
更に、記録媒体が斜行して搬送されたために記録媒体の外(つまり搬送ベルト上)に形成された画像の記録剤を適切に除去することができ、次に搬送される記録媒体への記録剤の付着等による印刷不良を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施の形態における画像形成装置の側面断面図。
【図2】第1の実施の形態における画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】第1の実施の形態における印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図4】用紙と撮像部による撮影エリアの位置関係を示した図。
【図5】第1の実施の形態における画像形成装置の変形例。
【図6】第2の実施の形態における画像形成装置の側面断面図。
【図7】第2の実施の形態における画像形成装置の変形例。
【図8】第2の実施の形態における印刷処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明における画像形成装置の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明における画像形成装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、又はこれら機能を兼ね備えた複合機等の記録媒体に画像や文字の印刷を行う電子機器に適用可能である。尚、以下の実施の形態では、画像形成装置の一例としてインクジェットプリンタを例に説明する。また、記録媒体の一例として一般的な印刷用紙(以下、単に「用紙」と表記する)を用いて説明するが、これ以外に透明フィルム等の印刷可能な媒体であればよい。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態における画像形成装置1の概略構成を示す側面断面図である。ここでは一例としてカラー印刷を行うインクジェットプリンタを用いて説明するが、単色印刷のインクジェットプリンタや、その他の印刷方式を用いた画像形成装置であっても構わない。画像形成装置1は、用紙カセット11、ピックアップローラ12、レジストローラ対13、撮像部14、投光部15、吸着ローラ16、搬送ベルト17、インクジェットヘッド21、インクタンク22、クリーニング部23、排出ローラ対24、切換ガイド25、第1排出トレイ26、第2排出トレイ27及び第3排出トレイ28を備えて構成される。
【0026】
用紙カセット11には印刷前の用紙Pが積載して収納されており、用紙Pはここからピックアップローラ12の駆動により1枚ずつ取り出されて第1給紙搬送路31へ送り出される。レジストローラ対13は給紙搬送路31を通ってきた用紙Pを第2給紙搬送路32へ搬送する。
【0027】
撮像部14は、第2給紙搬送路32を搬送される用紙Pを撮影するものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を一次元又は二次元状に配置して構成され、例えば第2給紙搬送路32の搬送方向と直交した方向の幅(少なくとも用紙Pの搬送方向と直交した方向の幅)を撮影可能なように配設される。固体撮像素子を一次元に配置した撮像部14を用いる場合は、用紙Pの搬送方向と直交した方向に向かって固体撮像素子が連続して配置されるように撮像部14を配設することが望ましい。撮像部14は撮影した画像を電気信号に変換し、画像データとして後述する制御部へ出力する。投光部15は撮像部14の撮影箇所に光を当てるためのものであり、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)がアレイ状に配置された照明装置等によって構成される。
【0028】
第2給紙搬送路32を通過した用紙Pは、吸着ローラ16と搬送ベルト17のニップ部を介してインクジェットヘッド21に対向する位置へ搬送される。吸着ローラ16の表面は搬送ベルト17へ当接しており、用紙Pを搬送ベルト17へ圧接して吸着させる。搬送ベルト17は、例えば誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ねて接合したエンドレス形状のベルトや継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。搬送ベルト17は給紙側(上流側)の従動ローラ18と、排紙側(下流側)の駆動ローラ20と、テンションローラ19とに掛け渡されており、駆動ローラ20が紙面上で反時計回りに回転すると、従動ローラ18が連動して回り、搬送ベルト17が矢印Y1の方向に回転する。テンションローラ19は駆動ローラ20と従動ローラ18の間で搬送ベルト17がたるまないように力を与えるローラである。搬送ベルト17は、例えば静電吸着によって用紙Pを吸着して固定し、インクジェットヘッド21に対向する位置へ搬送する。
【0029】
インクジェットヘッド21は、画像形成装置1の筐体に固定配置された、必要色の数に対応した本数の、使用可能最大サイズの用紙搬送方向に垂直な長さより広幅の固定ヘッド、所謂ラインヘッド、を用いて、例えば異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)のインク滴を用紙Pに向かって吐出し、画像を順次形成する。インクジェットヘッド21のインク吐出方法としては、例えばピエゾ素子を用いてインク滴を押し出すピエゾ方式や、発熱体によって気泡を発生させ、その圧力でインク滴を吐出するサーマルインクジェット方式等が挙げられる。またインクタンク22には各色に対応したインクが充填されている。
【0030】
クリーニング部23は搬送ベルト17の表面に付着したインクを除去するためのものである。用紙Pが搬送ベルト17によって正常な位置に吸着され搬送された場合は、インクジェットヘッド21から吐出されたインクは用紙Pの表面に付着するが、用紙Pが斜行して搬送された場合は、吐出されたインクが用紙Pを外れて搬送ベルト17へ付着することがある。搬送ベルト17に付着したインクは、後に搬送される用紙Pに付着して印刷不良を引き起こすだけではなく、搬送ベルト17と接触する又は隣接する各種構成要素の汚染を引き起こし、画像形成装置としての信頼性の低下を招きかねない。そこでクリーニング部23が搬送ベルト17の表面上のクリーニングを行う。
【0031】
画像形成のなされた用紙Pは、排出搬送路33を通り、排出ローラ対24によって切換ガイド25に向けて搬送される。切換ガイド25は用紙Pの排出先を第1排出トレイ26、第2排出トレイ27又は第3排出トレイ28の何れかに切り換えるためのものであり、後述する制御部から出力される指示信号に応じて切り換えられる。用紙Pの排出先は正常に印刷されたか否かによって振り分けられ、例えば、斜行することなく搬送されて紙面上の正常な位置に印刷が行われた用紙Pは第3排出トレイ28に排出される。一方、斜行して搬送されたことによって印刷途中で印刷中止となった用紙Pは第1排出トレイ26に排出され、同じく斜行して搬送されたが印刷前に印刷中止となった用紙P(つまり、白紙の用紙P)は第2排出トレイ27に排出される。
【0032】
図2は、画像形成装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。尚、上記にて説明した構成要素については同符号を付して説明を省略する。制御部41は、CPU等によって構成され、入力された指示信号等に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行って画像形成装置1を統括的に制御する。
【0033】
また制御部41は、画像解析部411及び斜行量算出部412を有して構成される。画像解析部411は、撮像部14から出力された画像データより用紙Pの端部を検出する。斜行量算出部412は、画像解析部411による検出結果を用いて用紙Pの斜行量を算出する。
【0034】
操作部42は、ユーザが操作画面やエラーメッセージ等を視認することができる表示パネルや、種々の操作命令を入力するための操作ボタン等を有するものであり、図1において図示していないが、画像形成装置1の本体上面等に配設される。
【0035】
通信部43は、外部装置とのデータ送受信を行うためのインターフェースを備えたものである。例えば、外部のコンピュータから印刷指示信号と共に画像データが通信部43に転送されると、通信部43は画像データを制御部41に出力し、制御部41は各機能部に制御信号を出力して画像データに対応した画像を用紙Pに印刷する処理を行う。
【0036】
以下、画像形成装置1における印刷処理について詳しく説明する。図3は画像形成装置1の印刷処理の流れを示したフローチャートである。尚、紙面左側のフローチャートは用紙Pが用紙カセット11から取り出されて外部へ排出されるまでの処理を示したものであり、紙面右側のフローチャートは制御部41における処理の流れを示したフローチャートである。操作部42からの印刷指示入力や、外部装置から通信部43への印刷指示信号と共に画像データが転送されると、制御部41はピックアップローラ12を駆動して用紙Pを用紙カセット11から取り出させ、第1給紙搬送路31を介してレジストローラ対13へ搬送させる(ステップS11)。用紙Pがレジストローラ対13を通過するとレジストセンサ(不図示)から制御部41が信号を受け(ステップS12;YES)、制御部41は投光部15を点灯させて撮像部14に撮影を行わせる(ステップS13)。制御部41は撮像部14から出力された画像データを入力し(ステップS31)、画像解析部411が用紙Pの端部を検出する(ステップS32)。
【0037】
ここで、画像解析部411による用紙Pの端部の検出方法について詳しく説明する。図4は第2給紙搬送路32を通過する用紙Pと、撮像部14による撮影エリアAとの位置関係を示した図である。図中、実線で示した用紙Pが矢印Y2で示す方向に搬送され、所定時間後に二点鎖線で示した用紙Pの位置に来るとする。撮像部14は所定時間間隔で少なくとも2回撮影を行う。1回目の撮影として、用紙Pが実線の位置に位置するときに撮影された画像の画像データが撮像部14から制御部41へ出力され、画像解析部411によって端部が検出される。例えば、図4の場合、画像解析部411は矢印X1に相当する位置が用紙Pの端部であると検出する。矢印X1に相当する位置は、例えば画像内に設定された座標値等を用いて処理される。更に、2回目の撮影として、用紙Pが二点鎖線の位置に位置するときに撮影された画像の画像データが撮像部14から制御部41へ出力され、画像解析部411によって端部が検出される。図4の場合、画像解析部411は矢印X2に相当する位置が用紙Pの端部であると検出する。そして画像解析部411は検出した端部の位置に対応する座標値を斜行量算出部412へ出力する。
【0038】
ここで、撮像部14が固体撮像素子を一次元に配置したものである場合、画像解析部411は撮像部14から出力されたライン状の画像データから用紙Pの左端部又は右端部の位置を検出する。撮像部14が固体撮像素子を二次元に配置したものである場合、画像解析部411は撮像部14から出力された二次元の画像データのうち、予め設定された座標のライン(用紙Pの搬送方向と直交した方向のライン)の画像データを抜き出し、抜き出した画像データから用紙Pの左端部又は右端部の位置を検出する。尚、撮像部14が固体撮像素子を二次元に配置したものであって、一回の撮影で用紙Pのほぼ全面を撮影可能なものである場合、撮像部14による撮影は少なくとも1回でよい。この場合、一回の撮影で得られた二次元の画像データのうち、予め設定された2つの座標のライン(用紙Pの搬送方向と直交した方向のライン)の画像データを抜き出し、抜き出したそれぞれの画像データから用紙Pの左端部又は右端部の位置を検出する。このとき、用紙Pの斜行量をより正確に算出するために、予め設定された2つの座標のラインは用紙Pのサイズ内の範囲で搬送方向にできるだけ離れたラインである方が望ましい。
【0039】
そして、斜行量算出部412は、画像解析部411から出力された座標値を用いて用紙Pが主走査方向にどれだけ斜行しているかを示す斜行量を算出する(ステップS33)。ここで斜行量の算出方法としては、1回目と2回目の検出時における用紙Pの端部の位置(座標値)が単位時間あたりどれだけ主走査方向にずれているかを元に決定する。その他、単に2回分の座標値の差を斜行量としてもよい。そして、算出した斜行量が基準斜行量より大きい場合(ステップS34;YES)、制御部41はインクジェットヘッド21に対して印刷中止の指示信号を出力する(ステップS35)。
【0040】
制御部41によって用紙Pの端部の位置検出と斜行量の計算が行われている間、用紙Pは第2給紙搬送路32を通過して、インクジェットヘッド21に対向する位置へ搬送ベルト17によって吸着・搬送される(ステップS14)。そして制御部41より印刷中止の指示信号が出力されていなければ(ステップS15;NO)、制御部41はインクジェットヘッド21にインクを吐出させ、通信部43に転送された画像データに対応した画像の印刷を行う(ステップS16)。制御部41より印刷中止の指示信号が出力されないまま印刷が終了すると(ステップS17;YES)、制御部41は切換ガイド25を第3排出トレイ28側に切り換えて、用紙Pを第3排出トレイ28に排出する(ステップS21)。そして制御部41は、次ページの印刷がある場合は(ステップS22;YES)ステップS11へ処理を移行し、次ページの印刷がない場合は(ステップS22;NO)印刷を終了する。
【0041】
一方、用紙Pの斜行量が基準斜行量より大きく、制御部41より印刷中止の指示信号が出力された場合(ステップS15;YES)、制御部41は既に印刷が開始されていたか(既にインクの吐出が行われたか)否かを判断する。印刷が開始されていた場合(ステップS18;YES)、制御部41は切換ガイド25を第1排出トレイ26側に切り換えて用紙Pを第1排出トレイ26に排出する(ステップS19)。用紙Pが斜行して搬送されたまま印刷が行われた場合、吐出されたインクが用紙Pではなく搬送ベルト17に付着している可能性があるため、制御部41はクリーニング部23に対して搬送ベルト17のクリーニング処理を行わせる(ステップS23)。そして制御部41はステップS11へ処理を移行して用紙Pを用紙カセット11より取り出させ、印刷が中止された画像を再度印刷させる。
【0042】
また、制御部41より印刷中止の指示信号が出力されたが、印刷は開始されていなかった場合(ステップS18;NO)、制御部41は切換ガイド25を第2排出トレイ27側に切り換えて用紙Pを第2排出トレイに排出し(ステップS27)、ステップS11へ処理を移行して用紙Pを用紙カセット11より取り出させ、印刷が中止された画像を再度印刷させる。
【0043】
以上説明したように、搬送中の用紙Pを撮影し、斜行量を求め、その斜行量が基準斜行量より大きければ印刷を中止することにより、用紙に対して斜めに印刷されるという印刷失敗を防ぐことができ、無駄なインク消費を抑えることができる。更に印刷が中止された場合、中止された画像を自動的に再印刷することにより、ユーザが再度印刷指示の操作を行う必要がなく、ユーザにとって利便性の高い画像形成装置1を提供することができる。そして、正常に印刷が行われた場合、印刷途中で印刷が中止された場合、印刷前に印刷が中止された場合とで区別して用紙Pを排出することで、ユーザ自身が用紙Pを分別する必要がなく、手間を省くことができる。また用紙Pが斜行して搬送された状態で印刷が行われた場合、用紙Pの排出後に自動的に搬送ベルト17のクリーニングを行うことにより、次に搬送される用紙Pにインクが付着して起こる印刷不良を防ぐことができる。
【0044】
尚、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、基準斜行量は設計者によって決定され、工場出荷時に制御部41が有する記憶部(不図示)に記憶されていてもよいし、ユーザによる操作部42の操作や外部コンピュータ等から通信部43を介して設定変更を行うなどして任意に設定可能なようにしてもよい。例えば、社内で使用する印刷物は若干斜行して印刷されていても許容されると思われるが、社外等で用いる公式文書等においては斜行した印刷は好ましくない。そこで、操作部42が有する表示パネルや外部コンピュータに表示されるプリンタドライバの画面において、「社内文書」又は「公式文書」の選択画面を表示するようにする。ユーザが「社内文書」を選択した場合は基準斜行量は大きめの数値に、「公式文書」を選択した場合は基準斜行量は小さめの数値に自動的に設定されるようにする。具体的な数値としては、例えば、用紙Pが5cm搬送されたときの用紙Pの端部の主操作方向へのズレを斜行量とすると、「社内文書」が選択されたときの基準斜行量は0.51mmとし、「公式文書」が選択されたときの基準斜行量は0.17mmとする。勿論、基準斜行量の数値を実入力可能なようにしてもよい。
【0045】
また、上記では、第1排出トレイ26、第2排出トレイ27及び第3排出トレイ28の少なくとも3つのトレイに用紙Pを分別して排出することとしたが、正常に印刷された用紙Pと正常に印刷されなかった用紙Pとをユーザ自身が分別する必要がないように排出されればよい。即ち、例えば排出トレイは2つとし、一方の排出トレイには用紙Pが斜行して搬送されたことによって印刷中止となったときの用紙P(印刷途中又は白紙の用紙P)が排出され、他方の排出トレイには正常に印刷が行われた用紙Pが排出されるようにしてもよい。
【0046】
また、制御部41によって印刷中止の指示信号が出力されたときに既に用紙Pに対して印刷が開始されていた場合、用紙Pを第1排出トレイ26に排出後、クリーニング部23が搬送ベルト17をクリーニングすることとしたが、用紙Pの斜行量と画像データに基づいて、用紙Pの外側(つまり搬送ベルト17の表面上)に吐出されたインクのドット数を計算し、そのドット数が所定のドット数以上である場合のみクリーニング部23が搬送ベルト17をクリーニングすることとしてもよい。このようにクリーニング処理を必要最低限の回数に削減することにより、クリーニング処理にかかる時間を短縮することができ、印刷をスムーズに行うことができる。また、クリーニング部23を通常は搬送ベルト17から離間しておき、クリーニング処理が必要になった時にのみクリーニング部23を搬送ベルト17に当接するようにしてもよい。このようにすることで、クリーニング部23と搬送ベルト17が当接することによる搬送ベルト17の磨耗を最小限に抑えることができ、搬送ベルト17の長寿命化を図ることができる。更に、搬送ベルト17上に吐出されたインクの単位面積当たりのドット密度が所定値以上(例えば画像面積率25%以上)の面積が連続して所定値以上(例えば1cm角以上)であれば、インクが直接吐出された部分を少なくとも2回以上クリーニングする等して、確実にクリーニングを行うようにしてもよい。
【0047】
更に、用紙Pを搬送ベルト17に吸着させる方法は静電吸着に限られず、例えば図5に示す画像形成装置2のように搬送ベルト17に微細な貫通孔(不図示)を多数形成し、搬送ベルト17の用紙Pの搬送面の裏側から吸引装置50又は減圧装置等によって吸引して用紙Pを吸着させる方法を用いてもよい。
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態では、レジストローラ対13と吸着ローラ16の間の第2給紙搬送路32を搬送される用紙Pを撮影し、用紙Pの斜行量を求める画像形成装置1について説明した。第2の実施の形態では、搬送ベルト17上における吸着ローラ16とインクジェットヘッド21の用紙搬送方向上流側の端部との間を搬送される用紙Pを撮影して斜行量を求める画像形成装置について説明する。尚、本実施の形態における画像形成装置のブロック図は第1の実施の形態における画像形成装置1のブロック図と同一であるため説明を省略し、本実施の形態における画像形成装置の構成は第1の実施の形態における画像形成装置1と同一なものについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0048】
図6は第2の実施の形態における画像形成装置3の概略構成を示す側面断面図であり、図7は第2の実施の形態における画像形成装置3の変形例であって、搬送ベルト17の搬送面の裏側に吸着装置50を備えた画像形成装置4である。
【0049】
本実施の形態において、撮像部14は吸着ローラ16を通過し搬送ベルト17に吸着・固定された用紙Pを撮影する。第1の実施の形態の画像形成装置1では、用紙Pが搬送ベルト17に吸着される前の用紙Pを撮影し斜行量を算出していたため、吸着ローラ17までは斜行することなく搬送されていても搬送ベルト17に吸着されるときに斜行してしまった場合、斜行が検知されずそのまま最後まで印刷が行われてしまう。しかし本実施の形態のように、用紙Pが搬送ベルト17に吸着・固定された段階で用紙Pの撮影を行って用紙Pの斜行量を算出することにより、搬送ベルト17に斜行して吸着された際は印刷を中止させることができ、無駄なインク消費を抑えることができる。
【0050】
しかしながら、撮像部14による用紙Pの撮影位置が搬送方向下流側にいくに従って、インクジェットヘッド21に近くなる。つまり、撮影位置がインクジェットヘッド21に近いほど、制御部41が印刷中止の判断を出す時点で印刷が進んでいる割合が高くなり、用紙Pが斜行していたときにインクを無駄に消費してしまう割合も高くなる。従って、搬送ベルト17への用紙Pの斜行吸着を防ぐことができる場合は、第1の実施の形態で示した画像形成装置1のように、レジストローラ対13と吸着ローラ16の間を搬送される用紙Pを撮影して斜行量を算出することが好ましい。
【0051】
図8は画像形成装置3の印刷処理の流れを示したフローチャートである。紙面左側のフローチャートは用紙Pが用紙カセット11から取り出されて外部へ排出されるまでの処理を示したものであり、紙面右側のフローチャートは制御部41における処理の流れを示したフローチャートである。第1の実施の形態において図3を用いて示したフローチャートと異なるステップのみ説明する。
【0052】
操作部42からの印刷指示入力や、外部装置から通信部43への印刷指示信号と共に画像データが転送されると、制御部41はピックアップローラ12を駆動して用紙Pを用紙カセット11から取り出させ、第1給紙搬送路31を介して搬送ベルト17へ搬送させる(ステップS41)。用紙Pが吸着ローラ16を通過すると(ステップS42;YES)、制御部41は投光部15を点灯させて撮像部14に撮影を行わせる(ステップS43)。制御部41は撮像部14から出力された画像データを入力して(ステップS31)画像解析部411が用紙Pの端部を検出し(ステップS32)、斜行量算出部412が斜行量を算出する(ステップS33)。以降の処理の流れは第1の実施の形態において説明した流れと同一であるため、説明を省略する。
【0053】
以上説明したように、搬送ベルト17に吸着された用紙Pを撮影して斜行量を算出することによって、搬送ベルト17に斜行して吸着された場合でも即座に印刷を中止させることができ、インクの無駄な消費を抑えることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 画像形成装置
11 用紙カセット
12 ピックアップローラ
13 レジストローラ対
14 撮像部
15 投光部
16 吸着ローラ
17 搬送ベルト
18 従動ローラ
19 テンションローラ
20 駆動ローラ
21 インクジェットヘッド
22 インクタンク
23 クリーニング部
24 排出ローラ対
25 切換ガイド
26 第1排出トレイ
27 第2排出トレイ
28 第3排出トレイ
31 第1給紙搬送路
32 第2給紙搬送路
33 排出搬送路
41 制御部
411 画像解析部
412 斜行量算出部
42 操作部
43 通信部
50 吸引装置
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記記録媒体を収納する収納部から前記記録媒体を取り出して前記画像形成手段へ搬送する搬送手段と、
前記画像形成手段へ搬送される前記記録媒体について、前記録媒体の搬送方向と直交する方向の前記記録媒体の端部の位置を検出して位置情報を出力する位置検出手段と、
前記位置情報に基づいて前記記録媒体の搬送方向に対する斜行量を算出する斜行量算出手段と、
前記斜行量が基準斜行量より大きければ、前記画像形成手段における画像形成を中止させる制御を行う制御手段と、
前記画像形成手段を通過した前記記録媒体を外部へ排出する排出手段と、
排出された前記記録媒体を載置する第1載置手段及び第2載置手段と、
を備え、
前記第2載置手段は第1排出トレイ及び第2排出トレイを有し、
前記排出手段は前記画像形成がなされた前記記録媒体は前記第1載置手段へ排出し、前記斜行量が前記基準斜行量より大きいために前記制御手段から前記画像形成中止の制御がなされた時点において、前記画像形成手段によって画像形成が開始されていたとき、前記排出手段は前記記録媒体を前記第1排出トレイへ排出し、前記画像形成手段によって画像形成が開始されていなかったとき、前記排出手段は前記記録媒体を前記第2排出トレイへ排出する画像形成装置。
【請求項2】
前記基準斜行量は、任意に設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段による画像形成が中止になったとき、前記制御手段は前記搬送手段に対して前記収納部から前記記録媒体を搬送させ、前記画像形成手段に対して該記録媒体へ前記画像形成が中止になった画像と同一の画像を形成させる制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段はインクジェットヘッドを有することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−236423(P2012−236423A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187653(P2012−187653)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【分割の表示】特願2007−207553(P2007−207553)の分割
【原出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】