説明

画像形成装置

【課題】適用可能な用紙サイズの設定に応じて機構構成および電気回路構成を変更することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙上に画像を形成する画像形成装置は、主走査および副走査によって画像データに応じた像を形成する機構であり、第1サイズの用紙への画像形成、および主走査方向の寸法が第1サイズの用紙と同じで副走査方向の寸法が第1サイズの用紙と比べて長い第2サイズの用紙への画像形成が可能な作像機構と、第1サイズの用紙への画像形成のための画像データを生成する第1電気回路と、作像機構を収容するハウジングの内部に配置されて第1サイズの用紙を作像機構に供給する第1給紙機構と、第2サイズの用紙を作像機構に供給する第2給紙機構を取り付けるための、ハウジングに設けられた給紙機構取付け部と、第2サイズの用紙への画像形成のための画像データを生成する第2電気回路を取り付けるための回路取付け部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙上の画像を形成する画像形成装置に関する。画像形成装置には、MFP(Multifunction Peripheral)または複合機と呼ばれる情報機器が含まれる。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式、インクジェット方式、および熱転写方式といった主だった画像形成方式のいずれもが、主走査と副走査とによって画像データを用紙に印刷する方式である。例えば電子写真方式では、一様に帯電した筒状の感光体をその回転軸方向に沿ってパターン露光する主走査と感光体を回転させる副走査とによって、画像データに応じた潜像が形成される。そして、潜像がトナー像に現像され、トナー像が用紙(記録シート)に中間転写媒体を介してまたは感光体から直接に転写され、さらにトナー像を定着させるために熱と圧力とが用紙に加えられる。このような一連の電子写真プロセスにより、画像データに対応した印刷画像が形成される。
【0003】
複数枚の用紙を連続的に用いるマルチプリントが可能な画像形成装置は、多数枚の用紙を収納する用紙スタッカーと用紙スタッカーから用紙を取り出して搬送する自動給紙機構とを備えている。ビジネスユースの画像形成装置では、例えばA4サイズおよびA3サイズの2種といったサイズの異なる複数種の用紙の収納が可能な多段式の用紙カセットを備えることが一般的である。また、カラー用紙や厚手用紙といった使用頻度の小さい用紙を使用する場合の便宜のため、手差し給紙口を設けることも一般に行なわれている。
【0004】
ところで、機能を拡張する付加装置の取り付けをオプションとする販売形態が画像形成装置にも適用されている。付加装置の取り付けが可能な画像形成装置では、付加装置を取り付けない状態と取り付けた状態とで、画像形成装置の動作や制御を異ならせなければならない場合がある。例えば、印刷後の用紙を仕分けるソーターが付加装置である場合、操作画面の表示に際してソート動作の設定の可否をソーターの有無に応じて切替える必要がある。動作や制御を切り替える手法としては、例えば販売者がDIPスイッチやソフトウェアスイッチを用いて手動で切り替える方法、および付加装置の有無を検出するセンサを設けて自動で切り替える方法がある。
【0005】
一方、画像形成装置の多機能化に関して、様々な付加的な機能を実現するためのコントロールボックスをプリンターや複合機などの画像形成装置に外付けすることが特許文献1において提案されている。コントロールボックスは、ユーザが指定した時刻に印刷を画像形成装置に実行させたり、画像形成装置の動作を安定させるための初期化処理を定期的に実行したり、画像形成装置の状態を電子メール・電話・ファクシミリを利用して保守担当者に通知したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−134130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像形成装置の小型化のため、用紙カセットの最大収納サイズを小さくすることが考えられる。ここでの例として、最大収納サイズをA3サイズからA4サイズに縮小するものとする。この縮小によって用紙収納スペースの平面積が約半分になり、その分の小型化を図ることができる。ただし、「ビジネス文書の標準的なサイズであるA4サイズの画像形成が可能であれば良い」というユーザがいる一方で、「小型でかつA3サイズの画像の形成が可能であってほしい」というユーザがいる。このように相反するユーザの要望に応えるには、A3サイズ用の手差し給紙機構をオプションのユニットとして装着するようにすればよい。
【0008】
A3サイズの画像を形成するには、A3サイズ用の給紙機構だけでなく、文書データやスキャン画像データをA3サイズのラスタ画像データに変換したり、A3サイズの用紙の搬送を制御したりする能力をもつ電気回路が必要である。従来の常套的な手法を適用するならば、A3サイズ用の給紙機構を装着しさえすればA3サイズの画像形成が可能となるように、全ての用紙サイズに対応する処理能力をもつ電気回路を実装することになる。しかし、このような電気回路の実装は、A3サイズの画像形成が不要なユーザにとって余分な機能の付加に他ならない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、画像形成のための機構と電気回路との間で機能の不整合が生じないように、適用可能な用紙サイズの設定に応じて機構構成および電気回路構成を変更することができる画像形成装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する装置は、用紙上に画像を形成する画像形成装置であって、用紙上に画像を形成する画像形成装置であって、主走査および副走査によって画像データに応じた像を形成する機構であり、第1サイズの用紙への画像形成、および主走査方向の寸法が前記第1サイズの用紙と同じで副走査方向の寸法が前記第1サイズの用紙と比べて長い第2サイズの用紙への画像形成が可能な作像機構と、前記第1サイズの用紙への画像形成のための画像データを生成する第1電気回路と、前記作像機構を収容するハウジングの内部に配置されて前記第1サイズの用紙を前記作像機構に供給する第1給紙機構と、前記第2サイズの用紙を前記作像機構に供給する第2給紙機構を取り付けるための、前記ハウジングに設けられた給紙機構取付け部と、前記第2サイズの用紙への画像形成のための画像データを生成する第2電気回路を取り付けるための回路取付け部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1サイズおよび第2サイズの両方を適用可能な用紙サイズとする場合と、第1サイズおよび第2サイズのうちの片方を適用可能な用紙サイズとする場合とで、各場合に必要な機能が得られるように機構構成および電気回路構成を変更することができ、ユーザにとって過不足のない画像形成機能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置に備わるイメージスキャナーの上面の構成を示す図である。
【図4】画像形成装置に備わる用紙スタッカーの構成を示す図である。
【図5】用紙サイズに応じた画像データ処理の概要を示す図である。
【図6】手差し給紙ユニットが使用される様子を示す図である。
【図7】機能拡張ユニットおよびプリンターコントローラーの構成を示す図である。
【図8】手差し給紙ユニットを使用する画像形成動作のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に例示される画像形成装置1は、コピーおよびネットワークプリンティングを含む多様な機能を有するMFP(Multifunction Peripheral)と呼ばれる情報機器である。画像形成装置1は、操作パネル11上の操作または図示しないネットワークを介して接続される外部機器からのアクセスに応じて動作する。例えばコピージョブが与えられると、ADF(Auto Document Feeder)12が原稿シートをイメージスキャナー13の読み取り位置へ搬送し、イメージスキャナー13が原稿画像を光学的に読み取る。イメージスキャナー13から出力される多値のスキャン画像データを後述のプリントコントローラーが2値のラスタ画像データに変換し、電子写真式の作像機構であるプリンターエンジン14がラスタ画像データを用紙に印刷する。その際、用紙スタッカー15または給紙機構取付け部40Aに取り付けられた手差し給紙ユニット40が所定サイズの用紙をプリンターエンジン14に供給する。プリンターエンジン14は画像を印刷した用紙を排紙トレイ65に排出する。
【0014】
手差し給紙ユニット40は、プリンターエンジン14を収容するメインハウジング10の外側に着脱可能に取り付けられるオプション装備であり、用紙スタッカー15の2段のカセット15A,15に収容できない大きいサイズの用紙の使用を可能にする。すなわち、手差し給紙ユニット40は、カセット15A,15に収容されている用紙を使用する第1モード(標準仕様モード)の画像形成ではなく、第1モードの用紙と比べて大きい用紙を使用する第2モード(オプションモード)の画像形成を実現するための給紙機構である。手差し給紙ユニット40は、メインハウジング10に片持ち支持される基部41と、手差し方向に長い用紙の安定に載置するために基部41に組み付けられた可動部42とで構成される。可動部42は基部41の外端縁に沿う軸を中心に回動可能であり、基部41と重なり合う収納位置または基部41から外側に張り出す使用位置に配置される。基部41には、可動部42が収納位置に在る閉状態であるかそうではない開状態であるかを検出するためのセンサ45が取り付けられている。また、可動部42には、用紙の載置の有無を検出するためのセンサ46が取り付けられている。
【0015】
画像形成装置1では、手差し給紙ユニット40が取り付けられるときに、手差し給紙ユニット40と対をなすオプション装備である機能拡張回路ユニット50が回路取付け部50Aに取り付けられる。図ではメインハウジング10の内部に機能拡張回路ユニット50が描かれているが、機能拡張回路ユニット50の配置位置は任意である。機能拡張回路ユニット50は、手差し給紙ユニット40を必要とする大きいサイズ(具体的にはA3サイズ)の用紙に印刷するための画像データ処理を受け持ち、かつA3サイズの用紙の搬送に必要な制御データをプリンターエンジン14のコントローラーに提供する。機能拡張回路ユニット50を内蔵しない状態の画像形成装置1は、手差し給紙ユニット40が取り付けられていたとしても、A3サイズの用紙への印刷を行なうことができない。
【0016】
図2は画像形成装置1の制御システムの構成を示している。画像形成装置1は基本構成要素群1Aと上述のオプション装備である手差し給紙ユニット40および機能拡張回路ユニット50とを有する。基本構成要素群1Aには、画像形成装置1の制御を統括するメインコントローラー21、および画像形成動作の制御を受け持つプリンターコントローラー30が含まれる。メインコントローラー20は、操作パネル11によるユーザの指示および通信インタフェース18を介して通信する外部機器からの動作要求に応じて所定の制御を行なう。メインコントローラー20は、制御プログラムや各種アプリケーションを実行するCPU(central processing unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)およびプログラム実行のワークエリアとされるRAM(Random Access Memory)を有している。
【0017】
画像形成装置1に与えられる各種のジョブのうちのプリンターエンジン14を使用する印刷ジョブにおいて、メインコントローラー20はプリンターコントローラー30にプリンターエンジン14の制御およびプリンターエンジン14に適した印刷用のデータの生成を指示する。印刷ジョブとしては、印刷すべき内容がページ記述言語(Page Description Language :PDL)で記述されたネットワークプリンティングジョブ、イメージスキャナー13を使用するコピージョブ、および内蔵ストレージ29であるハードディスクドライブに保存されているドキュメント(文書データ)を印刷するジョブなどがある。
【0018】
プリンターコントローラー30は、A3サイズ(297mm×420mm)の画像を印刷する第2モードにおいて、A3サイズの印刷用のデータの生成を機能拡張回路ユニット50に依頼する。プリンターコントローラー30には、A3サイズに対応する印刷用のデータを生成する能力を有していないからである。また、プリンターコントローラー30は、第2モードにおいて、A3サイズの用紙の搬送タイミングを示す制御データを機能拡張回路ユニット50から取得してプリンターエンジン14および手差し給紙ユニット40を制御する。
【0019】
図3のように、イメージスキャナー13の最大読取りサイズはA4サイズである。イメージスキャナー13の上面には、原稿台ガラス131、ユーザが原稿シートOSを位置決めするためのスケール132、およびADF12による自動搬送において原稿画像を読み取るための窓133が配置されている。原稿台ガラス131は画像形成装置1の前後方向に短く左右方向に長い長方形であり、A4サイズの原稿シートOSは、その全体を読取る通常の読み取りにおいて、長尺の辺がイメージスキャナー13の左右方向に沿うように配置される。イメージスキャナー13の主走査方向M1は原稿台ガラス131の短尺方向であり、副走査方向M2は原稿台ガラス131の長尺方向である。したがって、原稿シートOSの配置の向きは、長尺の辺が副走査方向M2に沿ういわゆる縦向きである。A4サイズの縦向きはA4Tと表される。
【0020】
図4は用紙スタッカー15の構成を示している。図では2段のカセット15A,15Bのうちのカセット15Aが引き出された様子が描かれている。カセット15Aは、画像形成装置1の左右の幅と同程度の長さをもつフロントカバー152および最大収納サイズがA4サイズ(210mm×297mm)である収納ベース153を有する。フロントカバー152には把手151が取り付けられ、収納ベース153には用紙P1を位置決めするストッパ155,156,157が取り付けられている。収納ベース153の幅はフロントカバー152の左右の長さよりも短く、収納ベース153はフロントカバー152に対して図の右側に偏っている。これは、用紙スタッカー15の内部の左側に例えば電源基板170が配置されているからである。
【0021】
A4サイズの用紙P1は、その長尺の辺が画像形成装置1の前後方向に沿うように配置される。プリントエンジン14による画像形成の主走査方向M3は画像形成装置1の前後方向であり、副走査方向M4は画像形成装置1の左右方向である。したがって、用紙P1の用紙スタッカー15内での配置の向きは、長尺の辺が主走査方向M3に沿ういわゆる横向きである。A4サイズの横向きはA4Yと表される。用紙スタッカー15の最大収納サイズがA4Yであるので、副走査方向M4の長さがA4サイズの短尺寸法(210mm)に若干のマージンを加えた値(例えば215mm)を超える用紙(第2用紙)は、用紙スタッカー15に収容することができない。このようなサイズの用紙に印刷する場合は手差し給紙ユニット40を使用する必要がある。
【0022】
図5はプリンターコントローラー30および機能拡張回路ユニット50が行なうデータ処理を示している。図5(A)のように、第1モードでは例えばA4Tのスキャン画像データD11をプリンターコントローラー30がA4Yの印刷用のデータD21に変換する。すなわち、2値のラスタ画像データを生成する過程で、原稿画像の読取り時の主走査方向M1の画素列がプリンターエンジン14における副走査方向M4の画素列となるように向きを変更する画像処理がプリンターコントローラー30によって行なわれる。
【0023】
図5(B)、(C)のようなA3Tの画像データD22,D21bの生成は機能拡張回路ユニット50が行なう。図5(B)では、A3Tの文書データD12がA3Tの印刷用のデータD22に変換されている。図5(C)では、A4Tのスキャン画像データD11が拡大されてA3Tの印刷用のデータD21bが生成されている。
22を行なう
図6は手差し給紙ユニット40の使用の様子が示されている。図6(A)では、可動部42が閉状態であり、基部41上にA4サイズの用紙P1が横向きに配置されている。用紙P1はガイド板415,416に案内されて横向き(A4Y)のままメインハウジング10の内部へ搬送される。図6(B)は可動部42が使用位置に配置された開状態を示している。図6(C)では、基部41と開状態の可動部42とに跨るようにA3サイズの用紙P2が縦向きに配置されている。用紙P2はガイド板415,416に案内されて縦向き(A3T)のままメインハウジング10の内部へ搬送される。
【0024】
図7のように、プリンターコントローラー30は、CPU301、RAM302、ROM303、およびシリアル通信インタフェース304を有する。CPU301は、ROM303に格納されている制御プログラムをRAM302にロードして実行する。上述のとおりA4サイズまたはそれより小さいサイズの用紙に印刷する第1モードにおいて、印刷用データをプリンターコントローラー30が生成する。その際、CPU301は、プリンター記述言語の命令を解釈して印刷内容を表す中間データを生成する言語解析部、中間データに基づいて多値のラスタ画像データを生成するラスタライズ部、および中間調を再現するスクリーンを適用して多値のラスタ画像データを2値のデータに変換するスクリーン処理部として動作する。
【0025】
ROM303には機能拡張回路ユニット50の個体識別のための識別データ510が格納されている。プリンターコントローラー30はシリアル通信インタフェース304を介する通信によって、機能拡張回路ユニット50が記憶している識別データ510を取得し、ROM303内の識別データ510と照合する。照合の結果が一致である場合に、プリンターコントローラー30は機能拡張回路ユニット50を正規の装備とみなし、第2モードのジョブを有効とする。これにより、画像形成装置1と機能拡張回路ユニット50とが1対1で対応することになる。
【0026】
画像形成に関わる第2電気回路である機能拡張回路ユニット50は、画像形成に関わる第1電気回路であるプリンターコントローラー30と別の部品で構成され、コネクタ505を介して着脱可能にプリンターコントローラー30と接続される第2電気回路である。すなわち、機能拡張回路ユニット50はプリンターコントローラー30との電気的接続を解除して画像形成装置1の外部に取り出すことができる。言い換えれば、画像形成装置1の基本構成要素群1Aの組み立てを完了した後に、機能拡張回路ユニット50を画像形成装置1に組み付けることができる。
【0027】
機能拡張回路ユニット50は、CPU501、RAM502、ROM503、およびシリアル通信インタフェース504を有する。第2モードにおける印刷用データの生成に際して、CPU501は、言語解析部、ラスタライズ部、およびスクリーン処理部として動作する。RAM502はプログラム実行のワークエリアおよびラスタライズのための描画空間(VRAM)として用いられる。
【0028】
不揮発性メモリであるROM503には、個体識別のための識別データ510、および第2モードにおけるプリンターエンジン14の制御に必要な制御データ512が格納されている。制御データ512には、用紙検出や搬送の紙間設定参照されるA3用紙データ513、および電子写真プロセスと用紙搬送とを同期させるためのA3給紙タイミングデータ514が含まれる。識別データ510および制御データ512は、シリアル通信インタフェース504を介した通信によるプリンターコントローラー30からの要求に従って、プリンターコントローラー30へ転送される。
【0029】
以上の構成の画像形成装置1における動作のシーケンスが図8に示される。
【0030】
操作パネル11または外部装置からのアクセスを受けたメインコントローラー20からプリンターコントローラー30へ、A3サイズの画像を形成する印刷ジョブが伝えられる(S1)。プリンターコントローラー30は機能拡張回路ユニット50の装着を確認する通信を行い(S2)、機能拡張回路ユニット50から送られる識別データ510に基づいて機能拡張回路ユニット50を認証する(S3,S4)。認証に続いて、プリンターコントローラー30はプリンターエンジン14に対してA3サイズの用紙P2の検出を指示する(S5)。プリンターエンジン14は手差し給紙ユニット40のセンサ45,46の出力を取り込み(S6,S7)、A3サイズの用紙P2がセットされている旨をプリンターコントローラー30に通知する(S8)。A3サイズの用紙P2のセットを確認したプリンターコントローラー30は、機能拡張回路ユニット50に制御データ512の転送を要求し(S9)、転送されてきた制御データ512を必要に応じてプリンターエンジン14に転送する(S10,S11)。次に、プリンターコントローラー30は、機能拡張回路ユニット50にA3サイズの文書データを転送し、A3サイズの印刷用データの生成を命令する(S12)。
【0031】
命令を受けた機能拡張回路ユニット50は、2値のラスタ画像データである印刷用データを生成するデータ処理を実行する(S13)。そして、機能拡張回路ユニット50は、プリンターコントローラー30からのデータ出力命令に呼応してA3サイズの印刷用データをプリンターコントローラー30に引き渡す(S14,S17)。一方、プリンターコントローラー30は、機能拡張回路ユニット50へのデータ出力の命令と並行して、プリンターエンジン14に用紙P2の給紙を命令する(S15)。プリンターエンジン14は手差し給紙ユニット40に用紙P2の給紙を開始させ(S16)、プリンターコントローラー30から与えられる印刷用データを用紙P2に印刷する作像動作を行なう(S19)。印刷後の用紙P2が排紙トレイ65に排紙されて印刷動作が完了する(S20)。
【0032】
以上の実施形態によれば、A3サイズの用紙の収納が可能な比較的に大型の画像形成装置と画像形成装置1とでプリンターエンジンの共通化を図ることができるので、比較的に小型の画像形成装置1に特化したプリンターエンジンを組み込む場合と比べて、画像形成装置1の低価格化を実現することができる。プリンターコントローラー30については、例えばA4サイズの画像形成に特化した装置のコントローラーを流用することができるので、画像形成装置1のオプション装備を除いた基本構成を有する装置の低価格化を図ることができる。
【0033】
上述の実施形態において、画像形成装置1の構成は適宜変更することができる。例えば、手差し給紙ユニット40の可動部42は回動式に限らず、使用時に基部41から引き出すスライド式でもよい。用紙スタッカー15は少なくとも一つのサイズの用紙を自動給紙可能な構成であればよく、単段でも3段以上でもよい。機能拡張回路ユニット50は画像形成装置1の内部に組み付けるものであってもよいし、ハウジングの外面に設けたスロットに差し込んで装着するものでもよい。画像形成装置1はイメージスキャナー13をもたないプリンターであってもよい。プリンターエンジン14はカラー印刷が可能な機構であってもよいし、モノクロ印刷のみが可能な機構であってもよい。画像形成の方式は、主走査および副走査を伴う方式であれば、電子写真方式に限らず、インクジェット方式、熱転写方式、ドットインパクト方式でもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 画像形成装置
1A 基本構成要素群(オプション装備の取り付けない状態の画像形成装置)
13 イメージスキャナー
14 作像機構
M1 イメージスキャナーの主走査方向
M2 イメージスキャナーの副走査方向
M3 作像機構の主走査方向
M4 作像機構の副走査方向
P1 A4サイズの用紙(第1サイズの用紙)
P2 A3サイズの用紙(第2サイズの用紙)
30 プリンターコントローラー(第1電気回路)
15 用紙スタッカー(第1給紙機構)
40 手差し給紙ユニット(第2給紙機構)
40A 給紙機構取付け部
50 機能拡張回路ユニット(第2電気回路)
50A 回路取付け部
512 制御データ
503 ROM(不揮発性メモリ)
505 コネクタ
510 識別データ
10 メインハウジング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙上に画像を形成する画像形成装置であって、
主走査および副走査によって画像データに応じた像を形成する機構であり、第1サイズの用紙への画像形成、および主走査方向の寸法が前記第1サイズの用紙と同じで副走査方向の寸法が前記第1サイズの用紙と比べて長い第2サイズの用紙への画像形成が可能な作像機構と、
前記第1サイズの用紙への画像形成のための画像データを生成する第1電気回路と、
前記作像機構を収容するハウジングの内部に配置されて前記第1サイズの用紙を前記作像機構に供給する第1給紙機構と、
前記第2サイズの用紙を前記作像機構に供給する第2給紙機構を取り付けるための、前記ハウジングに設けられた給紙機構取付け部と、
前記第2サイズの用紙への画像形成のための画像データを生成する第2電気回路を取り付けるための回路取付け部と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2電気回路は、前記第2サイズの用紙への画像形成における前記作像機構および前記第2給紙機構の制御に必要な制御データを記憶する不揮発性メモリを有し、
前記第1電気回路は、前記第2サイズの用紙への画像形成において、前記回路取付け部に取り付けられた前記第2電気回路から前記制御データを取得し、当該制御データを用いて前記作像機構および前記第2給紙機構を制御する
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2電気回路は当該第2電気回路に対する個体識別のための識別データを記憶し、
前記第1電気回路は、前記識別データに基づいて前記第2電気回路を認証した後に、前記制御データを用いて前記作像機構および前記第2給紙機構を制御する
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2電気回路は着脱用のコネクタを介して前記第1電気回路と接続される
請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿シートから主走査および副走査によって原稿画像を読み取る機構であって、最大読取サイズの主走査方向の寸法が前記第1サイズの短尺寸法であるイメージスキャナーをさらに備え、
前記第1電気回路は、前記イメージスキャナーによって読み取られた原稿画像を複写するモードにおいて、前記画像データを生成する際に、前記原稿画像の読取り時の主走査方向の画素列が前記作像機構における副走査方向の画素列となるように向きを変更する画像処理を行なう
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
用紙上に画像を形成する画像形成装置であって、
主走査および副走査によって画像データに応じた像を形成する機構であり、A4横向きサイズの用紙への画像形成が可能な作像機構と、
前記A4サイズの用紙への画像形成のための画像データを生成する第1電気回路と、
前記作像機構を収容するハウジングの内部に配置されて前記A4サイズの用紙を横向きに前記作像機構に供給する第1給紙機構と、
前記A3サイズの用紙を前記作像機構に縦向きに供給する第2給紙機構を取り付けるための、前記ハウジングの外面に設けられた給紙機構取付け部と、
前記A3サイズの用紙への画像形成のための画像データを生成する第2電気回路を取り付けるための回路取付け部と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−250413(P2012−250413A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124178(P2011−124178)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】