説明

画像形成装置

【課題】部品数を削減してコストを抑えること。
【解決手段】カラーの現像装置に電源電圧を供給するカラー用電源回路610は、各色の現像装置に対して共通のAC電源68とトランス69を備える。トランス69の一次側にはAC電源68が接続される。現像ローラー11Mには、トランス69を出力した交流電圧と現像ローラー用DC電源65Mから出力した直流電圧の重畳電圧が印加され、磁気ローラー13Mには、トランス69を出力した交流電圧と磁気ローラー用DC電源66Mから出力した直流電圧の重畳電圧が印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した画像形成装置、特に、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を使用し、現像ローラー上にトナーのみを保持させて静電潜像を現像する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置の現像方式において、現像剤としてトナーのみを用いる一成分現像方式と、トナーとキャリアを用いる二成分現像方式との両方の利点を備えるタッチダウン現像方式が注目されている。タッチダウン現像方式は、トナー及びキャリアを含有する二成分現像剤で磁気ローラー表面に磁気ブラシを形成し、その磁気ブラシからトナーのみを現像ローラーの表面に移動させてトナー薄層を形成した後、静電潜像が形成された感光体ドラムの表面にトナーを飛翔させてトナー像として現像する方式である。タッチダウン現像方式は、トナー帯電領域に二成分現像方式を採用して長寿命化を図り、現像領域に一成分現像方式を採用して高画質化を図ることができる。
【0003】
このような画像形成装置において現像ローラー及び磁気ローラーに印加する高電圧を生成する方法して、特許文献1に記載されているような交流電圧に直流電圧を重畳する方式が知られている。
【0004】
また、図6は現像ローラー及び磁気ローラーに供給されるバイアス電圧を生成するための従来の電源回路である。各要素に付した符号の添え字について、Kは黒、Mはマゼンタ、Cはシアン、Yはイエローを示しており、各色の現像装置に対応した構成要素であることを示している。電源回路90K、90M、90C及び90Yの構成は何れも同じであるため、以下の説明では添え字を付けず、包括して説明する。
【0005】
トランス92の一次側にはAC電源91が接続される。そしてトランス92の二次側において、昇圧された交流電圧と現像ローラー用DC電源93から出力した直流電圧の重畳電圧が現像ローラー96に印加され、交流電圧と磁気ローラー用DC電源94から出力した重畳電圧が磁気ローラー97に印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−85592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6に示した従来の電源回路では、各色の現像装置に対して1対1で電源装置90が設けられている。従って、電源装置90が複数必要であり、その分トランス92も複数必要であるため、電源装置90の部品数が多くなり、コストがかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、部品数を削減してコストを抑えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明の画像形成装置は、トナーとキャリアからなる二成分現像材を搬送する現像剤担持体と、前記現像材担持体と対向して配置され、前記現像剤担持体から供給されたトナーを担持するトナー担持体と、表面に静電潜像が形成され、前記トナー担持体のトナーが前記静電潜像に飛翔することによって顕像化したトナー像を担持する像担持体と、を有し、前記像担持体上に形成されるトナー像の色がそれぞれ異なる複数の画像形成手段と、前記複数の画像形成手段に対して共通して接続され、交流電源の交流電圧を一次側から入力し、二次側から変圧した電圧を出力する変圧手段と、前記各画像形成手段の前記現像剤担持体及び前記トナー担持体のそれぞれに対して接続され、直流電圧を出力する直流電圧出力手段と、を有し、前記各画像形成手段の前記現像剤担持体及び前記トナー担持体に対して、それぞれに接続された前記直流電圧出力手段が出力した直流電圧と前記変圧手段が出力した交流電圧を重畳して生成したバイアス電圧を印加する電圧印加手段と、を備える。
【0010】
従来は各色の画像形成手段に対して1対1で変圧手段が設けられていたが、変圧手段を複数の画像形成装置に対して共通とすることで、電圧印加手段の部品数を減らすことができ、装置の小型化及びコスト削減を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記各直流電圧出力手段が出力する直流電圧を制御する制御手段を更に備え、前記画像形成手段が前記トナー像を形成しない期間、当該画像形成手段が有するトナー担持体から当該トナー担持体と対向して配置されている現像剤担持体にトナーを強制的に移動させるためのバイアス電圧を前記電圧印加手段に生成させるべく、前記制御手段は当該画像形成手段が有する前記現像剤担持体及び前記トナー担持体に接続された直流電圧出力手段が出力する直流電圧を制御する。
【0012】
複数の画像形成手段に対して変圧手段を共通にすると、各色の画像形成手段のうち何れか1つでもトナー像を形成する間は、変圧手段の二次出力を行う必要がある。更に、像担持体の長寿命化を図るために、トナー像形成時以外は像担持体の帯電をオフにすることが一般的であり、この間にトナー担持体にバイアス電圧が印加されるとトナー担持体から像担持体へトナーが移動し、トナーの無駄な消費を招いてしまう。
【0013】
そこで、何れかの画像形成手段がトナー像形成中の期間において、像担持体の帯電がオフになっている画像形成手段に対しては、印刷時に用いる現像バイアス電圧ではなく、トナー担持体から現像剤担持体へトナーを強制的に移動させるバイアス電圧を印加する。これにより、像担持体の帯電がオフであってもトナー担持体から像担持体へトナーが移動せず、無駄なトナーが消費されることがない。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、前記各画像形成手段が有する一組の前記現像剤担持体及び前記トナー担持体の間には定電圧素子が接続されている。
【0015】
この構成によれば、トナー担持体から現像剤担持体へトナーを強制的に移動させるバイアス電圧を印加する際は、交流電源の出力値を変更しないとトナー担持体と現像剤担持体の間の電位差が大きくなり、リークが発生してしまう。しかしながら、1つでもトナー像形成中の画像形成手段があると、変圧手段が各色で共用されているため、像担持体の帯電がオフになっている画像形成手段に対しても交流電圧出力を変更することができない。
【0016】
そこで、トナー担持体と現像剤担持体の間に定電圧素子を接続することにより、トナー担持体と現像剤担持体の間には所定電圧以上がかからなくなり、リークを防ぐことができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置であって、前記複数の画像形成手段がそれぞれ有する像担持体上に形成されるトナー像の色は、黒以外の異なる色である。
【0018】
一般的には、カラー印刷よりモノクロ印刷の頻度が圧倒的に高く、複数の画像形成手段のうち黒画像を形成する画像形成手段の稼働率が最も高い。つまり、黒画像を形成する画像形成装置が有するトナー担持体及び現像剤担持体に対するバイアス電圧の供給時間も長くなるため、回路部品の損傷等のトラブルも発生しやすい。従って、黒以外の画像を形成する画像形成手段については変圧手段を共通とし、黒画像を形成する画像形成手段については専用の変圧手段を設けることにより、メンテナンスがしやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電圧印加手段の部品数を削減することができ、装置の小型化及びコスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図。
【図2】画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】トナーが現像装置から感光体ドラムに供給される過程を説明するための図。
【図4】本実施の形態における電源回路の回路図。
【図5】感光体ドラムの帯電タイミング、現像ローラー及び磁気ローラーに印加されるバイアス電圧(直流成分)の印加タイミングについて示したタイミングチャート。
【図6】従来の電源回路の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンターである。尚、本実施の形態ではプリンターを例に説明するが、プリンターのみならず、ファクシミリ装置、コピー機、これらの機能を備えた複合機等にも適用可能であり、タンデム型の画像形成装置であればよい。
【0022】
画像形成装置1は用紙貯留部110、画像形成部130及び定着部160を備える。用紙貯留部110は画像形成装置1の最下部に配置されており、用紙Pの束を貯留することができる用紙トレイ111を備える。用紙トレイ111は画像形成装置1に差し込んで装着される。用紙Pを補給するときは画像形成装置1から用紙トレイ111を引き出す。用紙トレイ111に貯留された用紙Pの束において、最上位の用紙Pがピックアップローラ113の駆動により、用紙搬送路115へ向けて繰り出される。用紙Pは用紙搬送路115を通って、画像形成部130へ搬送される。
【0023】
画像形成部130は搬送されてきた用紙Pにトナー像を形成する。画像形成部130はトナー像を転写ベルト131に転写する順番に従ってタンデムに配置された、マゼンタ用ユニット133M、シアン用ユニット133C、イエロー用ユニット133Y及びブラック用ユニット133Bkを備える。これらのユニットは同様の構成を有しており、マゼンタ用ユニット133Mを例にして説明する。
【0024】
マゼンタ用ユニット133Mは感光体ドラム135を備える。感光体ドラム135の周りには帯電器137、露光装置139、現像装置141及びクリーナー143が配置されている。帯電器137は感光体ドラム135の周面を一様に帯電させる。露光装置139はパソコン等から送信された画像データの中でマゼンタデータに対応する光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム135の周面に照射する。これにより、感光体ドラム135の周面にはマゼンタデータに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム135の周面に現像装置141からマゼンタトナーを供給することにより、周面にはマゼンタデータに対応するトナー像が形成される。
【0025】
転写ベルト131は感光体ドラム135と1次転写ローラー145により挟まれた状態でD方向(時計周り)に動くことができる。マゼンタデータに対応するトナー像は感光体ドラム135から転写ベルト131に転写される。感光体ドラム135の周面に残っているマゼンタトナーはクリーナー143によって除去される。以上がマゼンタ用ユニット133Mの説明である。
【0026】
転写ベルト131にはマゼンタデータに対応するトナー像が転写され、このトナー像に重ねてシアンデータに対応するトナー像、イエローデータに対応するトナー像、ブラックデータに対応するトナー像が重ねて転写される。これにより転写ベルト131にカラーのトナー像が形成される。このカラーのトナー像は2次転写ローラー149によって、用紙貯留部110から搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0027】
カラーのトナー像が転写された用紙Pは定着部160に送られる。定着部160は加熱ローラー161と加圧ローラー163を備える。これらのローラーによってカラーのトナー像が転写された用紙Pが挟まれる。これにより、カラーのトナー像に熱と圧力が加えられて、カラーのトナー像を用紙Pに定着させる。用紙Pは排紙部169に排紙される。
【0028】
図2は、画像形成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。画像形成装置1は用紙貯留部110、画像形成部130、定着部160、制御部200、操作表示部300、電源回路6がバスによって相互に接続された構成を有する。用紙貯留部110、画像形成部130及び定着部160に関しては図1で説明しているので、説明を省略する。
【0029】
制御部200はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリ等によって構成され、画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、画像形成装置1を構成する上記ハードウェアに対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリは画像データ(パソコンから送信された画像データ等)を一時的に記憶する。
【0030】
操作表示部300には操作キー及び表示画面が設けられている。表示画面には各種の操作及び動作の内容等が表示される。電源回路6は、直流電圧と交流電圧を重畳させたバイアス電圧を生成し、そのバイアス電圧を現像装置141内のローラーに印加する。
【0031】
次に、現像装置141の構成と動作を説明する。図3は、二成分現像剤51中のトナー53が現像装置141から感光体ドラム135に供給される過程を示す図である。符号55は二成分現像剤51を構成するキャリアである。
【0032】
現像装置141は現像ローラー11、磁気ローラー13、攪拌スクリュー(不図示)を備える。攪拌スクリューは二成分現像材51を収容する攪拌室(不図示)に配置され、回転することにより二成分現像剤51を攪拌する。これによりトナー53とキャリア55が摩擦帯電し、トナー53とキャリア55が静電気的に結合した状態となって、磁気ローラー13に汲み上げられる。
【0033】
磁気ローラー13は、シャフト33が回転することにより回転方向R2に回転しながら、トナー53とキャリア55が静電気的に結合した状態の二成分現像剤51を吸い付けて搬送する。ブレード35は、磁気ローラー13に担持されている二成分現像剤51の厚みを規制する。
【0034】
そして、対面部37において、二成分現像剤51中のトナー53が回転方向R1に回転する現像ローラー11に供給される。詳細には、キャリア55が磁気ローラー13に吸い付けられた状態で、磁力によりトナー53だけが現像ローラー11に引き寄せられて、現像ローラー11に吸い付く。
【0035】
現像ローラー11は磁気ローラー13と対向して配置され、対面部37でトナー53を吸い付けて、トナー53を担持しながら回転方向R1に回転することによりトナー53を搬送する。そして、対面部47においてトナー53を感光体ドラム135に供給する。
【0036】
詳しくは、感光体ドラム135は回転方向R1及びR2と逆方向の回転方向R3に回転している。搬送されてきたトナー53は感光体ドラム135の周面に形成された静電潜像によって引き寄せられて、感光体ドラム135に移動する。これにより、感光体ドラム135の周面の静電潜像が現像され、周面にトナー像が形成される。感光体ドラム135上にはこれと接触した転写ベルト131が配置されている。転写ベルト131はD方向に動いており、トナー像は転写ベルト131に転写される。
【0037】
上記したように、磁気ローラー13が搬送する二成分現像剤51中のトナー53は、対面部37で現像ローラー11に移動する。また、現像ローラー11が搬送するトナー53は対面部47で感光体ドラム135に移動する。このように、対面部47及び対面部37でトナー53を飛翔させて移動させるために、電源回路6は現像ローラー11及び磁気ローラー13に対して直流の電圧と交流の電圧を重畳させたバイアス電圧を印加する。
【0038】
図4は、電源回路6の回路図である。各要素に付した符号の添え字について、Kは黒、Mはマゼンタ、Cはシアン、Yはイエローを示しており、各色の現像装置141に対応した構成要素であることを示している。
【0039】
まず、ブラック用ユニット133Bkの現像装置141に電源電圧を供給するブラック用電源回路600について説明する。ブラック用電源回路600は、従来の電源回路90Kと同様の構成であり、トランス62の一次側にはAC電源61が接続され、トランス62の二次側において、昇圧された交流電圧と現像ローラー用DC電源63から出力した直流電圧の重畳電圧が現像ローラー11Kへ、交流電圧と磁気ローラー用DC電源64から出力した直流電圧の重畳電圧が磁気ローラー13Kへ印加される。尚、現像ローラー11K及び磁気ローラー13Kの前段に接続されている抵抗Rは、各ローラーへ流れる電流を制限するための抵抗である。
【0040】
次に、マゼンタ用ユニット133M、シアン用ユニット133C及びイエロー用ユニット133Yの現像装置141に電源電圧を供給するカラー用電源回路610について説明する。カラー用電源回路610は、各色の現像装置141に対して共通のAC電源68とトランス69を備える。トランス69の一次側にはAC電源68が接続される。
【0041】
そして、現像ローラー11Mには、トランス69を出力した交流電圧と現像ローラー用DC電源65Mから出力した直流電圧の重畳電圧が印加され、磁気ローラー13Mには、トランス69を出力した交流電圧と磁気ローラー用DC電源66Mから出力した直流電圧の重畳電圧が印加される。
【0042】
現像ローラー11Cには、トランス69を出力した交流電圧と現像ローラー用DC電源65Cから出力した直流電圧の重畳電圧が印加され、磁気ローラー13Cには、トランス69を出力した交流電圧と磁気ローラー用DC電源66Cから出力した直流電圧の重畳電圧が印加される。
【0043】
現像ローラー11Yには、トランス69を出力した交流電圧と現像ローラー用DC電源65Yから出力した直流電圧の重畳電圧が印加され、磁気ローラー13Yには、トランス69を出力した交流電圧と磁気ローラー用DC電源66Yから出力した直流電圧の重畳電圧が印加される。
【0044】
また、現像ローラー11M及び磁気ローラー13Mの前段には、抵抗RとコンデンサCの直列回路がそれぞれ接続される。この抵抗Rは、各ローラーへ流れる電流を制限するためのものであり、コンデンサCは交流電圧と直流電圧を重畳するためのものである。現像ローラー11C及び磁気ローラー13C、現像ローラー11Y及び磁気ローラー13Yの前段に接続された抵抗R及びコンデンサCについても同様である。
【0045】
更に、現像ローラー11Mと磁気ローラー13Mの間には、定電圧素子ZDが接続される。定電圧素子ZDは、例えばツェナー電圧が所定の基準電圧であるツェナーダイオードであり、現像ローラー11Mと磁気ローラー13Mの間の電位差を基準電圧以下に制限できる定電圧回路であればよい。現像ローラー11C及び磁気ローラー13C、現像ローラー11Y及び磁気ローラー13Yの間に接続された定電圧素子ZDについても同様である。基準電圧は、現像ローラー11Sと磁気ローラー11Mとの間にリーク電流が流れ始める電位差よりも僅かに小さな電圧値が、例えば実験等で求められて設定されている。
【0046】
このように、1つのトランス69をカラーの現像装置141に対して共通に配置することにより、電源回路6の部品数を削減することができ、装置の小型化とコスト削減を図ることができる。
【0047】
尚、本実施の形態では、黒以外のカラーの現像装置141に対して共通のトランス69を配置することとしたが、全ての色に対して共通のトランスを配置することとしてもよい。しかし、一般的には、カラー印刷よりモノクロ印刷の頻度が圧倒的に高く、ブラック用ユニット133Bkの稼働率が最も高い。つまり、現像ローラー11K及び磁気ローラー13Kにバイアス電圧を供給する供給時間も長くなるため、部品損傷等のトラブルが発生しやすい。従ってメンテナンスを行いやすくするために、ブラック用ユニット133Bkには専用の電源回路600を設けることが望ましい。
【0048】
タンデム型の画像形成装置では、各色の現像装置141が転写ベルト131に転写された他の色のトナー像に自色のトナー像を重ねて転写することによってカラー印刷が行われ、各色の現像装置141が感光体ドラム135にトナー像を形成するタイミングは異なる。現像装置141によってトナー像を形成するタイミングが異なると、電源回路6が各色の現像装置141に供給するバイアス電圧の印加タイミングも異なる。従来は、図6に示したように、各色の現像装置に対して、電源回路90があったため、バイアス電圧のオン/オフの制御は電源回路90毎に行えばよかった。
【0049】
しかし、本発明の画像形成装置1においては、カラーの現像装置141に対してトランス69を共通としている。この点を踏まえて、本実施の形態における電源装置6の画像形成時の制御について説明する。
【0050】
ブラック用電源回路610は、従来と同じく、感光体ドラム135に黒のトナー像を形成する為に必要なタイミングにおいて現像ローラー11B及び磁気ローラー13Bに現像バイアス電圧を供給する。この現像バイアス電圧の供給タイミングは、制御部200によって制御される。
【0051】
カラー用電源回路610は、トランス69が各色共通に設けられているため、従来のようにトナー像を形成するタイミングのみカラーの現像装置141にバイアス電圧を印加するのではなく、カラーのトナー像が形成されている間、カラーの現像装置141全てに対してバイアス電圧を印加することになる。
【0052】
一方、感光体ドラム135は、その寿命を長く保つために、トナー像を形成するタイミングのみ感光体ドラム135の帯電を行い、それ以外の期間は帯電をオフにする。しかし、感光体ドラム135が帯電されていない時に現像ローラー11に現像バイアス電圧が印加されると、電位差によって感光体ドラム135の周面にトナーが移動してしまい、無駄なトナーを消費することになってしまう。
【0053】
従って、感光体ドラム135の帯電がオフの時に現像ローラー11から感光体ドラム135にトナーが移動しないよう、カラー用電源回路610は感光体ドラム135の帯電がオフの時は現像ローラー11から磁気ローラー13へトナーを移動させるためのバイアス電圧を印加する。
【0054】
トナーが現像ローラー11から磁気ローラー13へ移動するようなバイアス電圧としては、リフレッシュ作業時のバイアス電圧(以下「リフレッシュ電圧」という)を採用する。リフレッシュ作業とは、現像ローラー11上に形成されたトナー薄層を磁気ローラー13が剥ぎ取り、新たなトナー薄層を形成させることをいう。タッチダウン現像方式において、現像ローラー11上へのトナー薄層形成は磁気ブラシとバイアス電圧で行われるが、一方向の電界を掛け続けることによる現像ローラー11へのトナー固着や、現像ローラー11から感光体ドラム135へトナーが飛翔した後の残像が2周目にも現れる現像ゴースト(履歴現象)現象などが生じることがある。リフレッシュ作業は、この問題を解決するためのものであり、一般的には用紙と用紙の間、即ち紙間のタイミングで行われる。
【0055】
感光体ドラム135の帯電がオフになっている現像装置141に対してカラー用電源回路610がバイアス電圧を印加するときは、感光体ドラム135へのトナーの移動を防ぐために、印刷時に用いる現像バイアス電圧ではなく、リフレッシュ電圧を印加する。こうすることによって、感光体ドラム135の帯電オフの間に現像装置141に電圧が印加されても、無駄なトナーが消費されることがない。
【0056】
カラー用電源回路610が出力する現像バイアス電圧とリフレッシュ電圧の切り換えは、制御部200が現像ローラー用DC電源65及び磁気ローラー用DC電源66の出力値を変化させることによって行われる。そして、従来、リフレッシュ作業時はAC電源の出力値を下げることによって現像ローラーと磁気ローラーの間の電位差を小さくしてリークの発生を防いでいた。しかし、本発明における電源回路6では、トランス69は各色の現像装置141に対して共通であるため、AC電源68は現像時の出力を維持する必要がある。つまり、このままではリフレッシュ作業時の現像ローラー11と磁気ローラー13の間の電位差が大きくなり、リークが発生してしまう。リークの発生は、画像劣化や部品損傷等を引き起こす。
【0057】
そこで、現像ローラー11と磁気ローラー13の間に定電圧素子ZDを接続することによって、現像ローラー11と磁気ローラー13の間に所定電圧以上がかからず、リークを防ぐことができる。定電圧素子ZDとしてツェナーダイオードを用いた場合、ツェナー電圧は、印刷時の現像ローラー11と磁気ローラー13の電位差より大きく、リークが発生し始めるリーク電圧より低い電圧に設定することで、現像ローラー11と磁気ローラー13の間がリーク電圧以上の電位差になることを防ぐことができる。
【0058】
図5は、感光体ドラム135の帯電タイミング、現像ローラー11及び磁気ローラー13に印加されるバイアス電圧(直流成分)の印加タイミングについて示したタイミングチャートである。トナー像形成のためにマゼンタの感光体ドラム135の帯電が開始されると(時間t1)、カラー用電源回路610は現像ローラー11M及び磁気ローラー13Mに現像バイアス電圧を印加し、現像ローラー11C及び11Y、磁気ローラー13C及び13Yにリフレッシュ電圧を印加する。
【0059】
具体的には、時間t1でAC電源68は交流電圧の出力を開始し、現像ローラー用DC電源65M及び磁気ローラー用DC電源66Mは、制御部200によって設定された現像バイアス電圧用の直流電圧を出力する。そして、現像ローラー用DC電源65C及び65Yと磁気ローラー用DC電源66C及び66Yは、制御部200による制御によってリフレッシュ電圧用の直流電圧を出力する。
【0060】
マゼンタの感光体ドラム135の帯電が終了すると(時間t2)、カラー用電源回路610は現像ローラー11M及び磁気ローラー13Mに印加する電圧を現像バイアス電圧からリフレッシュ電圧に切り換える。具体的には、時間t2で、制御部200は現像ローラー用DC電源65M及び磁気ローラー用DC電源66Mが出力する電圧を、現像バイアス電圧用の直流電圧からリフレッシュ電圧用の直流電圧に切り換えさせる。
【0061】
続いて、シアンの感光体ドラム135の帯電が開始すると(時間t3)、カラー用電源回路610は、現像ローラー11C及び磁気ローラー13Cに現像バイアス電圧を印加し、現像ローラー11M及び11Y、磁気ローラー13M及び13Yにはリフレッシュ電圧を印加する。
【0062】
そして、シアンの感光体ドラム135の帯電が終了すると(時間t4)、カラー用電源回路610は現像ローラー11C及び磁気ローラー13Cに印加する電圧を現像バイアス電圧からリフレッシュ電圧に切り換える。
【0063】
続いて、イエローの感光体ドラム135の帯電が開始すると(時間t5)、カラー用電源回路610は、現像ローラー11Y及び磁気ローラー13Yに現像バイアス電圧を印加し、現像ローラー11C及び11M、磁気ローラー13C及び13Mにはリフレッシュ電圧を印加する。
【0064】
そして、イエローの感光体ドラム135の帯電が終了すると(時間t6)、カラーのトナー像形成は終了したため、カラー用電源回路610は現像ローラー11M、11C及び11Yと磁気ローラー13M、13C及び13Yへの電圧印加をオフにする。つまり、AC電源68、現像ローラー用DC電源65及び磁気ローラー用DC電源66は電圧出力を停止する。以上のように、トランス69の二次側からは、マゼンタの感光体ドラム135の帯電が開始してから(時間t1)イエローの感光体ドラム135の帯電が終了するまで(時間t6)、交流電圧が継続して出力される。
【0065】
次に、黒の感光体ドラム135の帯電が開始すると(時間t7)、AC電源61は交流電圧の出力を開始し、現像ローラー用DC電源63及び磁気ローラー用DC電源64は、現像バイアス電圧用の直流電圧を出力する。これにより、現像ローラー11Bと磁気ローラー11Bには現像バイアス電圧が印加される。そして、そして帯電が終了すると(時間t8)、ブラック用電源回路610は現像ローラー11Bと磁気ローラー13Bへの電圧印加をオフにする。
【0066】
以上、説明したように、カラーの現像装置141に対して共通のトランス69を配置することにより、電源回路6の部品数を削減することができ、装置の小型化、コスト削減を図ることができる。
【0067】
カラーの現像装置141に対してトランス69を共通にすると、カラーの現像装置141がトナー像を形成する間は、AC電源68は一定の出力を維持する必要がある。更に、感光体ドラム135の長寿命化を図るために、トナー形成時以外は帯電をオフにしており、この間に現像装置141にバイアス電圧が印加されると現像ローラー11から感光体ドラム135へのトナー移動を招いてしまう。そこで、感光体ドラム135の帯電がオフになっている現像装置141に対しては、印刷時に用いる現像バイアス電圧ではなく、リフレッシュ電圧を印加する。これにより、感光体ドラム135の帯電オフの間に現像ローラー11から感光体ドラム135へトナーが移動せず、無駄なトナーが消費されることがない。
【0068】
そして、現像ローラー用DC電源65及び磁気ローラー用DC電源66の出力値がリフレッシュ電圧の値のとき、AC電源68の出力値を変更しないと現像ローラー11と磁気ローラー13の間の電位差が大きくなり、リークが発生してしまう。そこで、現像ローラー11と磁気ローラー13の間に定電圧素子ZDを接続することにより、現像ローラー11と磁気ローラー13の間には所定電圧以上がかからなくなり、リークを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成装置
6 電源回路(電圧印加手段)
11 現像ローラー(トナー担持体)
13 磁気ローラー(現像剤担持体)
130 画像形成部(画像形成手段)
61、68 AC電源(交流電源)
62、69 トランス(変圧手段)
63、65M、65C、65Y 現像ローラー用DC電源(直流電圧出力手段)
64、66M、66C、66Y 磁気ローラー用DC電源(直流電圧出力手段)
110 用紙貯留部
135 感光体ドラム(像担持体)
141 現像装置
200 制御部(制御手段)
300 操作表示部
600 ブラック用電源回路(電圧印加手段)
610 カラー用電源回路(電圧印加手段)
ZD 定電圧素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアからなる二成分現像材を搬送する現像剤担持体と、
前記現像材担持体と対向して配置され、前記現像剤担持体から供給されたトナーを担持するトナー担持体と、
表面に静電潜像が形成され、前記トナー担持体のトナーが前記静電潜像に飛翔することによって顕像化したトナー像を担持する像担持体と、
を有し、前記像担持体上に形成されるトナー像の色がそれぞれ異なる複数の画像形成手段と、
前記複数の画像形成手段に対して共通して接続され、交流電源の交流電圧を一次側から入力し、二次側から変圧した電圧を前記各画像形成手段へ出力する変圧手段と、
前記各画像形成手段の前記現像剤担持体及び前記トナー担持体のそれぞれに対して接続され、直流電圧を出力する直流電圧出力手段と、
を有し、前記各画像形成手段の前記現像剤担持体及び前記トナー担持体に対して、それぞれに接続された前記直流電圧出力手段が出力した直流電圧と前記変圧手段が出力した交流電圧を重畳して生成したバイアス電圧を印加する電圧印加手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記各直流電圧出力手段が出力する直流電圧を制御する制御手段を更に備え、
前記画像形成手段が前記トナー像を形成しない期間、当該画像形成手段が有するトナー担持体から当該トナー担持体と対向して配置されている現像剤担持体にトナーを強制的に移動させるためのバイアス電圧を前記電圧印加手段に生成させるべく、前記制御手段は当該画像形成手段が有する前記現像剤担持体及び前記トナー担持体に接続された直流電圧出力手段が出力する直流電圧を制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記各画像形成手段が有する一組の前記現像剤担持体及び前記トナー担持体の間には定電圧素子が接続されている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
黒のトナー像を形成する黒用画像形成手段と、
前記交流電源の交流電圧を変圧し、当該変圧した電圧と直流電圧とを重畳して生成したバイアス電圧を前記黒用画像形成手段へ供給する黒用電圧印加手段と、
を更に備え、前記複数の画像形成手段は、黒以外の複数の色にそれぞれ対応して設けられたものである請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−252173(P2012−252173A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124841(P2011−124841)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】