説明

画像形成装置

【課題】輸送時や使用時に縦配置や逆さま配置、傾斜配置をした場合においても第2液体収容手段内の大気開放連通路内に液体が侵入することを防止できると共に、使用中における開閉弁機構のエアーリークを抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】液滴を吐出する記録ヘッド14と、この記録ヘッド14に供給する液体を収容する着脱可能な第1液体収容手段9と、この第1液体収容手段9から液体供給流路16を介して供給される液体を一時的に収容し、かつ可撓性部材118による変形によって負圧形成が可能であると共に、内部に溜まった気体を大気に開放するための開閉弁機構を備えた着脱可能な第2液体収容手段15と、を備えた画像形成装置1において、前記第2液体収容手段15内に設けられた開閉弁機構116とは別に、前記可撓性部材118の一部が大気開放連通路114の一部を封止、開放する開閉手段118を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置に係り、液滴を吐出する記録ヘッドを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出方式の画像形成装置には、液滴を吐出する記録ヘッドと、この記録ヘッドに供給する液体を収容する着脱可能な第1液体収容手段と、この第1液体収容手段から液体供給流路を介して供給される液体を一時的に保持するとともに、この液体を記録ヘッドに補充供給する交換可能な第2液体収容手段を備えている。
この第2液体収容手段内には、負圧発生部を具備しており、可撓性フィルムの変形によって内部に設置されたバネが変形し、この復元力により減圧状態を形成する。
さらに、この第2液体収容手段には、第2液体収容手段内に溜まった気体を大気に開放するための開閉弁機構が備えられている。この開閉弁機構には、第2液体収容手段容器を内外に連通するための連通路が構成されており、その連通路内にパッキン部材と一体成形された弁体がスプリングによって開口部を閉じる方向に付勢されている。
一方、第2液体収容手段の外方には、弁体を外部から押圧するための押圧部材が進退可能に配置されており、この押圧部材が駆動アクチュエータ部材によって進退させられることで弁体を開閉する。
このような構成により、第2液体収容手段内を大気開放する技術が考えられ既に知られている。
【0003】
しかし、今までのような第2液体収容手段容器の大気開放連通路を用いた画像形成装置では、輸送時や使用時に画像形成装置を一定期間において縦置きや上下逆置き、または、大きく傾けた状態で振動を加えると、第2液体手段内に充填されている液体が大気開放連通路に侵入してしまうことがある。この状態で第2液体収容手段を大気開放した後に第1液体収容手段から第2液体収容手段に液体を送液補充すると、大気連通路に侵入している液体が起泡されて大気開放部から液体(泡)が漏れるという問題があった。
また、画像形成装置を使用中に開閉弁機構の弁体の一部であるパッキン部材に異物が介在されると、シール性が低下してしまい、第2液体収容手段内の減圧状態が破壊されて、ヘッドノズル面からインクが垂れるという問題があった。
【0004】
この問題に対して、特許文献1では、ヘッドタンク内に記録液を充填した状態で輸送を行っても大気開放通路内に記録液が侵入しない方法を提示することが目的で、記録液収容部の天面と大気開放通路との間に隔壁部を設け、この隔壁部に表面張力によるメニスカスが形成されることで記録液が侵入しない大きさ、形状、長さの小孔を形成することについて開示されている。
しかし、縦置きや逆さま置き、または大きく傾けた状態で振動を加えると、記録液収容部内の上部にある空気と記録液が混合されて泡が発生する。この状態では隔壁部に形成された小孔のメニスカス力により大気開放通路には記録液は侵入しないが、再び所定の姿勢状態で上下に振動させると、上層にある泡は、隔壁部に形成された小孔を通過して侵入してしまう問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、輸送時や使用時に縦配置や逆さま配置、傾斜配置をした場合においても第2液体収容手段内の大気開放連通路内に液体が侵入することを防止できると共に、使用中における開閉弁機構のエアーリークを抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置は、液滴を吐出する記録ヘッドと、この記録ヘッドに供給する液体を収容する着脱可能な第1液体収容手段と、この第1液体収容手段から液体供給流路を介して供給される液体を一時的に収容し、かつ可撓性部材による変形によって負圧形成が可能であると共に、内部に溜まった気体を大気に開放するための開閉弁機構を備えた着脱可能な第2液体収容手段と、を備えた画像形成装置において、前記第2液体収容手段内に設けられた開閉弁機構とは別に、前記可撓性部材の一部が大気開放連通路の一部を封止、開放する開閉手段を備えたことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記記録ヘッドのノズル面から前記色材を含まない液体を吸引することで、前記第2液体収容手段に備えられた前記開閉手段を封止することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記液体供給流路に備えられた液体供給手段から前記第2液体収容手段に液体が送液されることで、前記第2液体収容手段に備えられた前記開閉手段を開放することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記第2液体収容手段に備えられた前記可撓性部材が樹脂製フィルムで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記大気開放連通路に当接する前記可撓性部材の一部分には弾性体が付設されていることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記可撓性部材と接触する前記大気開放連通路の一部分は、小孔であり凸部を形成していることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記開閉手段を外部から保持する保持部材を着脱可能に備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明の画像形成装置では、輸送時や使用時において、縦配置や逆さま配置、傾斜配置をした場合においても第2液体収容手段であるサブタンク内の大気開放連通路内に液体が侵入することを防止できると共に、使用中における開閉弁機構のエアーリークを抑制できるという特有の効果を奏する。
また、サブタンク内を負圧状態に維持したまま放置されても、開閉弁機構とは別に大気開放連通路が遮断されているため、二重のシール効果により負圧形成領域に空気が侵入しにくくなり、減圧の破壊を生じることを抑止でき、ヘッドノズル面からインクが垂れることを抑制できるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る画像形成装置を前方側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の機構部の要部を示す平面図である。
【図4】従来のサブタンクの構成を示す概略図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を概略的に示す側面図である。
【図6】図5のA−A線に沿う断面図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を概略的に示す側面図である。
【図8】図7のA−A線に沿う断面図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を概略的に示す側面図である。
【図10】図9のA−A線に沿う断面図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を概略的に示す側面図である。
【図12】図10のA−A線に沿う断面図である。
【図13】本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0010】
本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、第2液体収容手段内に設けた大気開放連通路に際して、以下の特徴を有する。要するに、第2液体収容手段内の液体収容領域とこの液体収容領域を大気に開放する大気開放口とを連通する空気流路の一部を、第2液体収容手段に備えられている可撓性部材を変形させて密着封止することで空気流路を遮断することが特徴になっている。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。
【0011】
図1は、本発明に係る画像形成装置を前方側から見た斜視図であり、図2は、本発明に係る画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略構成図であり、図3は、本発明に係る画像形成装置の機構部の要部を示す平面図である。
この画像形成装置1は、図1に示すように、画像形成装置1に装着した記録媒体である用紙18を装填するための給紙トレイ2と、画像形成装置1に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備え、さらに、画像形成装置1の前面4の一端部側には、前面4から前方側に突き出し、上面5よりも低くなった(メイン)インクタンク装填部6を有し、このインクタンク装填部6の上面に操作キーや表示器などの操作部7を配置している。
インクタンク装填部6には第1液体収容手段であるメインとなるインクタンク9の脱着を行うための開閉可能な前カバー8を有している。
【0012】
そして、図2及び図3に示すように、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド11とステー12とでキャリッジ13を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによって図3で矢示方向に移動走査する。
このキャリッジ13には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色の液滴(インク滴)を吐出する4個の液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド14Y、14C、14M、14K(色を区別しないときは「記録ヘッド14」という。)を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交叉する方向に配列し、液滴吐出方向を下方に向けて装着している。
なお、本発明は、液滴吐出ヘッドの吐出圧力発生手段(アクチュエータ手段)を限定するものではなく、また、記録ヘッド14として、ここでは各色の記録ヘッド14(14Y、14C、14M、14K)を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の記録ヘッドとすることもできる。
また、キャリッジ13には、記録ヘッド14に各色のインクを供給するための各色の液体容器である第2液体収容手段であるサブタンク15(15Y、15C、15M、15K)を搭載している。このサブタンク15には、液体供給経路を構成する供給チューブ16を介して前述した各色のインクタンク9Y、9C、9M、9Kからインクが補充供給される。
ここで、インクタンク9Y、9C、9M、9Kは、それぞれ各色に対応してイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインクを収容している。
なお、サブタンク15はバッファタンクであり、メインタンク9から供給される液体を一時的に保持して、記録ヘッド14に供給するものである。
【0013】
一方、給紙トレイ3の用紙積載部(圧板)19上に積載した用紙18を給紙するための給紙部として、用紙積載部19から用紙18を1枚づつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)20及び給紙コロ20に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド21を備え、この分離パッド21は給紙コロ20側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙18を記録ヘッド14の下方側で搬送するための搬送部として、用紙18を静電吸着して搬送するための搬送ベルト24と、給紙部からガイド22を介して送られる用紙18を搬送ベルト24との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ34と、略鉛直上方に送られる用紙18を略90°方向転換させて搬送ベルト24上に倣わせるための搬送ガイド33と、押さえ部材32で搬送ベルト24側に付勢された先端加圧コロ31とを備えている。また、搬送ベルト24表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ23を備えている。
ここで、搬送ベルト24は、無端状ベルトであり、搬送ローラ30とテンションローラ28との間に掛け渡されて、図3のベルト搬送方向に周回するように構成している。帯電ローラ23は、搬送ベルト24の表層に接触し、搬送ベルト24の回動に従動して回転するように配置されている。
【0014】
また、搬送ベルト24の裏側には、記録ヘッド14による印写領域に対応してガイド部材29を配置している。このガイド部材29は、上面が搬送ベルト24を支持する2つのローラ(搬送ローラ30とテンションローラ28)の接線よりも記録ヘッド14側に突出している。これにより、搬送ベルト24は印写領域ではガイド部材29の上面にて押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性を維持される。
このガイド部材29の搬送ベルト24の裏面と接触する面側には、主走査方向、すなわち搬送方向と直交する方向に複数の溝を形成して、搬送ベルト24との接触面積を少なくし、搬送ベルト24がスムーズにガイド部材29表面に沿って移動できるようにしている。さらに、記録ヘッド14で記録された用紙18を排紙するための排紙部として、搬送ベルト24から用紙18を分離するための分離爪25と、排紙ローラ26及び排紙コロ27とを備え、排紙ローラ26の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ26と排紙コロ27との間から排紙トレイ3までの高さは排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
また、画像形成装置1の背面部には両面給紙ユニット36が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット36は搬送ベルト24の逆方向回転で戻される用紙18を取り込んで反転させて再度カウンタローラ34と搬送ベルト24との間に給紙する。また、この両面給紙ユニット36の上面には手差し給紙部35を設けている。
【0015】
さらに、図3に示すように、キャリッジ13の走査方向一方側の非印字領域には、インクタンク9Y、9C、9M、9K内のインクをサブタンク15に送液するための供給ポンプ42と記録開始前や記録途中などに吐出された記録と関係しない廃インクを収容する廃インク収容部39とノズル面をワイピングするためのワイパーブレード37を備えている。また、キャリッジ13の走査方向他方側の非印字領域には、キャッピング装置40が配置されている。
このキャッピング装置40は、記録ヘッド14のノズル面をキャッピングしてノズルを封止する封止手段としてのキャップ41(41K、41C、41M、41Y)を備えている。
【0016】
図4は、従来のサブタンクの構成を示す概略図である。
従来のサブタンク15は、負圧を形成するとともに液体100を貯留することが可能な液体収容部101を形成する容器本体102を有し、この容器本体102の上部には液体収容部101を大気に開放するための大気開放連通路103を形成し、この大気連通路103を開閉する大気開放機構104を備えている。
そして、液体収容部101の天面と大気開放通路103との間に隔壁部105を設け、この隔壁部105に液体収容部101と大気開放部103とを連通する、例えば直径1mmの断面円形状の孔である小孔(連続孔)106が形成されている。この小孔106は、液体収容部101に収容される液体100の粘度や処方によって、サブタンク15が輸送時などの振動でゆれた時でも表面張力によるメニスカスが形成されて大気連通路103内まで液体が侵入しない大きさ、形状、長さである。
また、容器本体102の上部には液体供給口107が形成され、チューブ16が連結部材108で連結される。
【0017】
また、容器本体102の下部にはフィルタユニット部109が取り付けられ、このフィルタユニット部109を介して記録ヘッド14が取り付けられている。なお、大気開放機構104を開閉するために画像形成装置にはソレノイドなどの駆動手段110が配置されている。
しかし、隔壁部105に設けられた小孔106は、液体の侵入は抑止できるが、泡の侵入は抑止できない。つまり、輸送時などの振動で揺れた際に、液体収容部101内の液体100と空気が混合撹拌されると、液体収容部101内の液体100は起泡されるため、この泡が小孔106部分に付着し、破裂して飛散した際に、小孔106を通過して大気開放通路103内に液体100は侵入してしまう。一度、大気開放通路103に侵入した液体100は、表面張力によるメニスカスが形成されて液体収容部101に戻ることはない。よって、この状態で大気開放機構104を開放させて、メインタンク9から液体が供給されると、大気開放機構104から液体が漏れるという問題があった。
【0018】
本発明の第1実施形態におけるサブタンクについて説明する。
次に、本発明を適用するサブタンクの第1実施形態について図5及び図6を参照して説明する。
図5は、本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を概略的に示す側面図であり、図6は、図5のA−A線に沿う断面図である。
このサブタンク15は、液体であるインクを収容するインク収容部101を形成する容器本体(ケース)102に、インク収容部101の開口を封止する可撓性を有するフィルム状部材(膜部材)118を接着又は溶着などで貼り付けたものである。なお、フィルム状部材(膜部材)118は、可撓性を有させるには、樹脂製であることが好ましい。樹脂製フィルムは、厚さで可撓性を調整することも可能であり、繰り返し使用に関する安定性も有する。具体的な材料としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。
ケース本体102とフィルム状部材118との間にはフィルム状部材118を外方に付勢するためのバネなどの弾性部材117を介在している。また、フィルム状部材118には、弾性部材117に対応して膨らみ部118aを形成している。
【0019】
また、インク収容部101にインクを補充供給した時に、満タンになったことを検知するための液面検知センサである2本の電極ピン111、112を装着している。
また、ケース102には、インク収容部101にインクを補充するためのインク導入路部107を設け、このインク導入路部107とインクタンク9(9Y、9C、9M、9K)に接続された供給チューブ16とを接続するための連結手段108を着脱自在に装着できるようにしている。さらにケース102の下部には、インク収容部101から記録ヘッド14にインクを供給するための連結部材109を取り付け、この連結部材109には記録ヘッド14へのインク供給路を形成している。
そして、ケース102の上部には、インク収容部101から空気を排出するための大気解法連通路の一部をなす空気流路114を形成している。この空気流路114は、インク収容部101に開口が臨む入口流路部分113を有し、下流側でケース102に設けた大気開放穴(口)115に連通している。この大気開放穴(口)115には、大気開放弁機構116を設けている。この大気開放弁機構116内には、図示しない弁体を備え、この弁体を弁座側に付勢するスプリングを収納して構成されている。
【0020】
このように構成したので、大気開放弁機構116内の弁体を図示しない画像形成装置に備えられたソレノイドなどの駆動手段で押圧することによって、大気開放穴115を開口し、空気流路114及び入口流路部分113を通じてインク収容部101内を大気開放した状態にする。そして、この状態でインクタンク9からインクを圧送してサブタンク15内にインクを補充供給する。
この時、サブタンク15内の空気は、空気入口流路部分113を通り、空気流路114、大気開放穴115を通じて排出されることになる。その後、大気開放弁機構116を閉状態にして、サブタンク15内を大気開放から遮断した状態にし、記録ヘッド14をキャッピングした状態でサブタンク15内のインクをノズルから吸引排出することにより、可撓性フィルム状部材118にはバネ117の付勢力が掛かってサブタンク15内には負圧が発生する。このように、インク収容部101と大気開放穴(口)115との連通部である空気流路114内に一旦インクが侵入してしまうと、インクは固まりやすく空気に触れて起泡しやすいため、空気流路114が塞がれて大気開放が出来なくなる。
そこで、本実施形態では、輸送中や使用中に空気流路114内にインクが侵入しないように空気流路114の入口流路部分113に空気流路を開閉する開閉手段118を設けるようにしている。
【0021】
図6(a)は、記録ヘッド14をキャッピングした状態でサブタンク15内のインクをノズルから吸引排出することで、可撓性フィルム状部材118が内側に撓み、空気入口流路113がフィルム状部材118の接触によって塞がれている状態を示している。これによって、サブタンク15の空気入口流路113は閉じられているため、インク収容部101にインクを収容した状態でサブタンク15が振動したり上下逆にされたりしたような場合でもインク収容部101のインクが空気流路114内に侵入することはない。
また、図6(b)はインクタンク9からインクを圧送してサブタンク15内にインクを補充供給し、可撓性フィルム状部材118が外側に撓んでサブタンク15内のインク収容部101の体積を増加させることで、空気入口流路113からフィルム状部材118が離接して空気入口流路113が開放する状態を示している。
このように構成することで、部品を追加することなく空気入口流路113を開閉することができると共に、負圧状態に維持したまま放置されても、開閉弁機構とは別に空気入口流路113が遮断されているため、二重のシール効果によりサブタンク15の負圧形成領域に空気が侵入しにくくなり、減圧破壊を生じることが抑止できる。したがって、このフィルム状部材118が大気開放連通路の一部をなす空気流路114につながる入口流路部分113を封止、開放する開閉手段118となっている。
よって、サブタンク15の減圧破壊に伴う記録ヘッド14のノズル面からインクが垂れるという問題も回避できる。
【0022】
本発明の第2実施形態におけるサブタンクについて説明する。
次に、本発明を適用するサブタンクの第2実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
図7は、本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を概略的に示す側面図であり、図8は、図7のA−A線に沿う断面図である。
図7のサブタンク15は、第1実施形態におけるサブタンンク15とは、空気入口流路113部分を尖った凸状に形成している。
このように空気入口流路113部分を尖った凸状に形成することで可撓性フィルム状部材118と空気入口流路113との接触面積が小さくなる。よって接触部分の面圧が高くなるためシール性がより向上する。図8(a)はフィルム状部材118の接触によって塞がれている状態を示しており、図8(b)は空気入口流路113が開放する状態を示している。
このように構成することで、部品を追加することなくサブタンク15の空気入口流路は閉じられるため、インク収容部101にインクを収容した状態でサブタンク15が振動したり上下逆にされたりしたような場合でもインク収容部101のインクが空気流路114内に侵入することはない。
さらに、負圧状態に維持したまま放置されても、開閉弁機構とは別に空気入口流路113が遮断されているため、二重のシール効果によりサブタンク15の負圧形成領域に空気が侵入しにくくなり、減圧破壊を生じることが抑止できる。
よって、サブタンク15の減圧破壊に伴う記録ヘッド14のノズル面からインクが垂れるという問題も回避できる。
【0023】
本発明の第3実施形態におけるサブタンクについて説明する。
次に、本発明を適用するサブタンクの第3実施形態について図9及び図10を参照して説明する。
図9は、本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を概略的に示す側面図であり、図10は、図9のA−A線に沿う断面図である。
図9のサブタンク15は、第2実施形態のサブタンンク15の可撓性フィルム状部材118の空気入口流路113との接触部分に弾性部材119を付設している。
このように可撓性フィルム状部材118が空気入口流路113と接触する部分に弾性部材119を付設することで、空気入口流路113部分の尖った凸状部が弾性部材119に食い込むため、密着力が高くなりシール性がより向上する。
図10(a)はフィルム状部材118の接触によって塞がれている状態を示しており、図10(b)は空気入口流路113が開放する状態を示している。
このように構成することで、サブタンク15の空気入口流路は閉じられるため、インク収容部101にインクを収容した状態でサブタンク15が振動したり上下逆にされたりしたような場合でもインク収容部101のインクが空気流路114内に侵入することはない。
さらに、負圧状態に維持したまま放置されても、開閉弁機構とは別に空気入口流路113が遮断されているため、二重のシール効果によりサブタンク15の負圧形成領域に空気が侵入しにくくなり、減圧破壊を生じることが抑止できる。
よって、サブタンク15の減圧破壊に伴う記録ヘッド14のノズル面からインクが垂れるという問題も回避できる。
【0024】
本発明の第4実施形態におけるサブタンクについて説明する。
次に、本発明を適用するサブタンクの第4実施形態について図11及び図12を参照して説明する。
図11は、本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を概略的に示す側面図であり、図12は、図11のA−A線に沿う断面図である。
図11のサブタンク15は、第2実施形態のサブタンンク15の可撓性フィルム状部材118の一部が弾性部材120で形成されている。
このように可撓性フィルム状部材を弾性部材120で形成することで、第3実施例同様に空気入口流路113部分の尖った凸状部が弾性部材119に食い込むため、密着力が高くなりシール性がより向上する。
図12(a)はフィルム状部材118の接触によって塞がれている状態を示しており、図12(b)は空気入口流路113が開放する状態を示している。
このように構成することで、部品を追加することなくサブタンク15の空気入口流路は閉じられるため、インク収容部101にインクを収容した状態でサブタンク15が振動したり上下逆にされたりしたような場合でもインク収容部101のインクが空気流路114内に侵入することはない。
さらに、負圧状態に維持したまま放置されても、開閉弁機構とは別に空気入口流路113が遮断されているため、二重のシール効果によりサブタンク15の負圧形成領域に空気が侵入しにくくなり、減圧破壊を生じることが抑止できる。
よって、サブタンク15の減圧破壊に伴う記録ヘッド14のノズル面からインクが垂れるという問題も回避できる。
【0025】
本発明の第5実施形態におけるサブタンクについて説明する。
次に、本発明を適用するサブタンクの第5実施形態について図13を参照して説明する。
図13は、本発明に係る画像形成装置のサブタンクの構成を示す図である。
図13のサブタンク15は、外部から可撓性フィルム状部材118を保持するための保持部材121を備えている。
この保持部材121は、弾性変形可能な材質で構成され、可撓性フィルム状部材118を空気入口流路113部分に押圧力を付勢した状態に保持するものであり、密着力が高くなりシール性がより向上する。
この保持部材121は、輸送時のみに装着されるものであり使用時には離接することで先に説明した本発明の第1実施形態になる。
このように保持部材121を用いることで、輸送時の振動やサブタンク15が上下逆にされたりしたような場合でもインク収容部101のインクが空気流路114内に侵入することはないため、この状態で大気開放機構104を開放させてメインタンク9から液体が供給されても、大気開放機構104から液体が漏れるという問題は回避できる。
【符号の説明】
【0026】
1 画像形成装置
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 前面
5 上面
6 メインタンク装填部
7 操作部
8 前カバー
9 第1液体収容手段/メインタンク
11 ガイドロッド
12 ステー
13 キャリッジ
14 記録ヘッド
15 第2液体収容手段/サブタンク
16 供給チューブ
18 用紙
19 用紙積載部
20 給紙コロ
21 分離パッド
22 ガイド
23 帯電ローラ
24 搬送ベルト
25 分離爪
26 排紙ローラ
27 排紙コロ
28 テンションローラ
29 ガイド部材
30 搬送ローラ
31 先端加圧コロ
32 押さえ部材
33 搬送ガイド
34 カウンタローラ
35 手差し給紙部
36 両面給紙ユニット
37 ワイパーブレード
39 廃インク収容部
40 キャッピング装置
41 封止手段/キャップ
42 供給ポンプ
100 液体
101 液体収容部
102 容器本体
103 大気開放通路
104 大気開放機構
105 隔壁部
106 小孔(連続孔)
107 液体供給口
108 連結部材
109 フィルタユニット部
110 ソレノイド/駆動手段
111 液面検知センサ
112 液面検知センサ
113 入口流路部分
114 空気流路
115 大気開放穴(口)
116 大気開放弁機構
117 弾性部材
118 フィルム状部材
118a 膨らみ部
119 弾性部材
120 弾性部材
121 保持部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2007−125825

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
この記録ヘッドに供給する液体を収容する着脱可能な第1液体収容手段と、
この第1液体収容手段から液体供給流路を介して供給される液体を一時的に収容し、かつ可撓性部材による変形によって負圧形成が可能であると共に、内部に溜まった気体を大気に開放するための開閉弁機構を備えた着脱可能な第2液体収容手段と、を備えた画像形成装置において、
前記第2液体収容手段内に設けられた開閉弁機構とは別に、前記可撓性部材の一部が大気開放連通路の一部を封止、開放する開閉手段を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドのノズル面から前記色材を含まない液体を吸引することで、前記第2液体収容手段に備えられた前記開閉手段を封止する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記液体供給流路に備えられた液体供給手段から前記第2液体収容手段に液体が送液されることで、前記第2液体収容手段に備えられた前記開閉手段を開放する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2液体収容手段に備えられた前記可撓性部材が樹脂製フィルムで構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記大気開放連通路に当接する前記可撓性部材の一部分には弾性体が付設されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記可撓性部材と接触する前記大気開放連通路の一部分は、小孔であり凸部を形成している
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記開閉手段を外部から保持する保持部材を着脱可能に備えている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−51265(P2012−51265A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196279(P2010−196279)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】