説明

画像形成装置

【課題】レジストローラーの箇所において用紙に適量のたわみを生じさせることができ、転写部に対する適正な用紙送りを実現することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、用紙搬送ローラー7と、用紙搬送ローラー7との間で用紙Pにたわみを生じさせるレジストローラー6と、レジストローラー6上流側の第1用紙端センサー24と、レジストローラー6下流側の第2用紙端センサー25と、用紙Pに生じさせるたわみ量に対応して予め定めたレジストローラー6の所定停止期間を記憶する記憶部22と、前記2個のセンサーが用紙P下流端を検知した時間差Txと、前記2個のセンサーが用紙P上流端を検知した時間差Tyと、の差分として算出した実際に用紙Pに生じるたわみ量に対応するたわみ形成期間Tx−Tyと所定停止期間との差に基づいてレジストローラー6の回転を開始させるタイミングを補正する主制御部19と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンター、ファクシミリなどといった画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター、ファクシミリといった画像形成装置には画像形成部で形成されたトナー像を転写するための転写部に向けて用紙などの記録媒体を送り出すレジストローラーが備えられている。レジストローラーは画像形成部及び転写部の用紙搬送方向上流側に配置されている。給紙カセットなどの給紙部からレジストローラーの箇所に到達した用紙は一時停止され、トナー像の画像形成動作と同期をとってレジストローラーを用いて転写部へと送り込まれる。
【0003】
また、レジストローラーの用紙搬送方向上流側には用紙搬送ローラーが設けられている。レジストローラーにて用紙の搬送が一時停止された後、少し遅れてこの用紙搬送ローラーを停止させる、若しくは用紙搬送ローラーを回転させ続けることにより、レジストローラーの上流側では用紙にたわみが形成される。このように用紙にたわみを形成することにより、用紙の上流端がレジストローラーの回転軸線に沿って真っ直ぐレジストローラーに当たる。その結果、レジストローラーが回転を始めたときに用紙が真っ直ぐにレジストローラーの搬送ニップに引き込まれ、転写部に対する用紙の斜め送りを防止することが可能である。
【0004】
このようにレジストローラーの用紙搬送方向上流側で用紙にたわみを生じさせる画像形成装置の一例を特許文献1に見ることができる。特許文献1に記載された画像形成装置にはレジストローラーの用紙搬送方向上流側に用紙の到来を検知するためのレジストセンサーが設けられている。レジストローラーを停止させているときにレジストセンサーから用紙先端(下流端)の検知信号を得て所定時間後、レジストローラー上流側の給紙ローラーを停止させることにより用紙にたわみを生じさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−51890号公報(第10頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された画像形成装置は用紙にたわみを生じさせるためにレジストローラーの上流側に設けられた単一のレジストセンサーを用いているので、転写部に対する適正な用紙送りを実現できない虞がある。このような構成では例えば、レジストローラー上流側の給紙ローラーの磨耗により用紙搬送時にスリップを起こしたり、各ローラーの回転の開始/停止に係る応答時間にずれが生じたりして、用紙に適量のたわみを生じさせることができない可能性がある。その結果として、転写部に対する用紙送りのタイミングがずれたり、斜め送りになったり、用紙ジャムが発生したりすることが懸念される。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、レジストローラーの箇所において用紙に適量のたわみを生じさせることができ、転写部に対する適正な用紙送りを実現することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、用紙搬送ローラーと、前記用紙搬送ローラーの用紙搬送方向下流に設けられて回転を一時停止することにより前記用紙搬送ローラーとの間で用紙にたわみを生じさせるレジストローラーと、を備えた画像形成装置において、前記レジストローラーの用紙搬送方向上流側に配置された用紙の下流端及び上流端を検知するための第1用紙端センサーと、前記レジストローラーの用紙搬送方向下流側に配置された用紙の下流端及び上流端を検知するための第2用紙端センサーと、用紙に生じさせるたわみ量に対応して予め定められた前記レジストローラーの所定停止期間を記憶する記憶部と、前記第1用紙端センサー及び前記第2用紙端センサーが用紙の下流端を検知した時間差と、前記第1用紙端センサー及び前記第2用紙端センサーが用紙の上流端を検知した時間差と、の差分として算出した実際に用紙に生じるたわみ量に対応するたわみ形成期間と前記所定停止期間との差に基づいて一時停止させた前記レジストローラーの回転を開始させるタイミングを補正する制御部と、を備えることとした。
【0009】
この構成によれば、用紙搬送ローラーの磨耗により用紙搬送時にスリップを起こしたり、各ローラーの回転の開始/停止に係る応答時間にずれが生じたりした場合であっても、実際に用紙に生じるたわみ量に対応するたわみ形成期間が算出される。そして、実際に用紙に生じるたわみ量に基づいて、そのたわみ量が好適に補正される。
【0010】
なお、ここで記述した「所定停止期間」はレジストローラーの用紙搬送方向上流側で用紙に生じさせるたわみ量の設定に係る期間であって、予め定められた任意の期間である。この「所定停止期間」は転写部に対して適正な用紙送りを実現できる可能性が高いと判断することができる程度の用紙のたわみ量に対応した期間である。「所定停止期間」は、例えば3mmから6mm程度のたわみ量を形成するのに対応した期間とすることが可能であるが、用紙の種類などによって異なり、必要に応じて適切に設定できる。したがって、後述する実施形態では「所定停止期間」を「5mmのたわみ量を形成するのに対応した期間」と設定しているが、このような期間に限定されるわけではない。
【0011】
また、上記構成の画像形成装置において、前記制御部は、前記たわみ形成期間が前記所定停止期間より短いとき一時停止させた前記レジストローラーの回転を開始させるタイミングを前記所定停止期間に対して遅らせる補正を実行し、前記たわみ形成期間が前記所定停止期間より長いとき一時停止させた前記レジストローラーの回転を開始させるタイミングを前記所定停止期間に対して早める補正を実行することとした。
【0012】
この構成によれば、用紙に生じさせるたわみ量が予め設定した量より少ないときレジストローラーの回転開始のタイミングが比較的遅くなり、たわみ量が予め設定した量より多いときレジストローラーの回転開始のタイミングが比較的早くなる。このようにして、実際に用紙に生じるたわみ量に基づいて、そのたわみ量が好適に補正される。
【0013】
また、上記構成の画像形成装置において、前記第1用紙端センサーと前記第2用紙端センサーとの用紙搬送方向に沿った間隔が、画像形成装置で使用可能な用紙搬送方向における最小用紙より短いこととした。
【0014】
この構成によれば、第1用紙端センサーが用紙の上流端を検知する前に第2用紙端センサーが用紙の下流端を検知し、第1用紙端センサー及び第2用紙端センサーの両方のセンサーがともに同じ用紙の存在を検知している期間がある。したがって、一枚の用紙の下流端及び上流端が正確に把握でき、実際に用紙に生じるたわみ量に対応するたわみ形成期間の算出が一層正確になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成によれば、レジストローラーの箇所において用紙に適量のたわみを生じさせることができ、転写部に対する適正な用紙送りを実現することが可能な画像形成装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の画像形成装置の第1及び第2用紙端センサーによる用紙検知に係る推移を示すタイムチャートである。
【図4】用紙に適量のたわみを生じさせるために一時停止させたレジストローラーの回転開始タイミングの補正に係る動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4に基づき説明する。
【0018】
最初に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図1〜図3を用いてその構造を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図、図2は画像形成装置の構成を示すブロック図、図3は画像形成装置の第1及び第2用紙端センサーによる用紙検知に係る推移を示すタイムチャートである。図1中の、実線矢印は用紙の搬送経路及び搬送方向を、一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の内部下方には給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3はその内部に記録媒体である印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは図1において給紙カセット3の左上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0020】
本体2の内部であって給紙カセット3の左方には用紙搬送部4が備えられている。用紙搬送部4は本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、用紙搬送部4は給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に転写部5まで搬送する。
【0021】
なお、転写部5のすぐ上流側の用紙搬送路上にはレジストローラー6が備えられている。レジストローラー6は給紙カセット3から転写部5へと向かう用紙Pに対してトナー像の正確な転写が実行できるよう斜め送りを矯正し、好適なタイミングを計って送り出す。
【0022】
また、レジストローラー6のさらに上流側には用紙搬送ローラー7が設けられている。レジストローラー6にて用紙Pの搬送が一時停止された後、用紙搬送ローラー7を回転させ続けることにより、レジストローラー6の上流側の用紙搬送ローラー7との間で用紙Pにたわみが形成される。このように用紙Pにたわみを形成することにより、用紙Pの上流端がレジストローラー6の回転軸線に沿って真っ直ぐレジストローラー6に当たり、転写部5に対する用紙Pの斜め送りを防止することができる。
【0023】
なお、用紙Pにたわみを形成するためにレジストローラー6を一時停止させる期間は所定停止期間として予め定められ、後述する記憶部22などに記憶させている。この所定停止期間は、例えば5mmのたわみ量を形成するのに対応した期間が設定されている。
【0024】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置8が、その下方の本体2内には画像読取部9が搭載されている。ユーザーが原稿の複写を行う場合には、文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を原稿搬送装置8に積載したり、画像読取部9上面の図示しないコンタクトガラス上に載置したりする。原稿搬送装置8では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取部9によってその画像が読み取られる。コンタクトガラス上の原稿に対しては画像読取部9内で光を走査させることによって画像が読み取られる。
【0025】
原稿画像の読み取りや印刷の開始は本体2の上部であって画像読取部9の正面側に備えられた操作パネル10を用いて実行される。さらに、操作パネル10は、例えばユーザーによる印刷に使用する用紙Pの種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などの設定を受け付けたり、エラー状態やその表示の解除を受け付けたりするための操作部としての役割を果たす。また、操作パネル10は、例えば装置の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示することによりそれらをユーザーに対して報知するための報知部としての役割も果たす。
【0026】
原稿の画像データの情報は後述する主制御部19や画像処理部21を経由して画像処理が施された後、給紙カセット3の上方であって本体2の中央部に配置された露光部11に送られる。露光部11により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが画像形成部12に向かって照射される。
【0027】
用紙搬送部4の上方であって露光部11の左方には画像形成部12及び転写部5が備えられている。画像形成部12では露光部11によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナーは露光部11の上方に備えられたトナーコンテナー13から画像形成部12に補給される。画像形成部12で形成されたトナー像はレジストローラー6によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに転写部5にて転写される。
【0028】
転写部5の上方には定着部14が備えられている。転写部5にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着部14へと送られ、熱ローラと加圧ローラーとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0029】
定着部14の上方には分岐部15が備えられている。定着部14から排出された用紙Pは両面印刷を行わない場合、分岐部15から画像形成装置1の上部胴内に設けられた胴内用紙排出部16に排出される。
【0030】
分岐部15から胴内用紙排出部16に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分はスイッチバック部17としての機能を果たす。両面印刷を行う場合にはこのスイッチバック部17において定着部14から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは分岐部15を通過し、定着部14の左方及び転写部5の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路18を通して下方に送られ、再度用紙搬送部4を経て転写部5へと送られる。
【0031】
また、画像形成装置1は装置全体の動作制御のため、図2に示すようにその本体2内にCPU20やその他の図示しない電子部品で構成された主制御部19を備えている。主制御部19は中央演算処理装置であるCPU20と画像処理部21とを利用し、記憶部22に記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部9、露光部11、画像形成部12、定着部14などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作を実現する。また、画像形成装置1は時間を計測するための計時部23を備え、画像形成動作に必要な各種時間を把握できる。
【0032】
なお、レジストローラー6や用紙搬送ローラー7に関しては図示しないモータなどで構成された駆動部に対して主制御部19からの駆動指令が送信され、この駆動部がレジストローラー6及び用紙搬送ローラー7を回転/停止させる。
【0033】
そして、給紙カセット3から送り出された用紙Pの下流端(用紙搬送方向先端)及び上流端(用紙搬送方向後端)を検知するために、画像形成部12までのレジストローラー6の上流側に第1用紙端センサー24が、その他の用紙搬送ローラーまでの下流側に第2用紙端センサー25が備えられている。なお、第1用紙端センサー24と第2用紙端センサー25との用紙搬送方向に沿った間隔は画像形成装置1で使用可能な用紙搬送方向における最小用紙より短くなっている。
【0034】
第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25は、例えば透過型の光センサーと用紙Pに接触するとともにセンサーの光を遮蔽する回動板とを用いて構成される。そして、第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25は用紙Pの有無によって回動板が回転して光センサーの出力信号の高低が切り替わる。第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25は、例えば図3に示すように用紙Pが有ることを検知したときHigh(高)の信号を出力し、用紙Pが無いことを検知したときLow(低)の信号を出力する。主制御部19は第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25の出力を受け、レジストローラー6の上流側及び下流側において用紙Pの下流端及び上流端の到達を把握する。
【0035】
第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25による用紙Pの検知に係る推移は図3に示すタイムチャートのようになっている。そして、主制御部19は第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25による用紙Pの下流端及び上流端の検知タイミングに基づいて、用紙Pに適量のたわみを生じさせるためのレジストローラー6の回転制御を実行している。
【0036】
続いて、用紙Pに適量のたわみを生じさせるために一時停止させたレジストローラー6の回転開始タイミングの補正に係る動作について、図3を用いて図4に示すフローに沿って説明する。図4は用紙Pに適量のたわみを生じさせるために一時停止させたレジストローラー6の回転開始タイミングの補正に係る動作を示すフローチャートである。
【0037】
画像形成装置1において給紙指令が下されると(図4のスタート)、主制御部19はレジストローラー6を停止させ(図4のステップ#101)、給紙カセット3からの給紙を開始させる(ステップ#102)。給紙カセット3から送り出された用紙Pは用紙搬送ローラー7によってレジストローラー6の箇所まで搬送される。
【0038】
なお、用紙Pの下流端がレジストローラー6上流の第1用紙端センサー24の箇所に到達したときに発信される第1用紙端センサー24の用紙P下流端の検知信号を受けて、主制御部19は計時部23を用いてその下流端検知時刻T1を記憶部22などに記録する(図4のステップ#103、図3参照)。
【0039】
続いて、主制御部19は計時部23を用いて用紙Pにたわみを生じさせるためにレジストローラー6を一時停止させる所定停止期間の計時を開始させる(図4のステップ#104)。主制御部19は所定停止期間が経過したか否かを判定し(ステップ#105)、経過するまで待機する(ステップ#105のNo)。このとき、用紙Pはその下流端がレジストローラー6に当たって停止し、上流側において用紙搬送ローラー7が送りを与え続けている。これにより、レジストローラー6と用紙搬送ローラー7との間で用紙Pにたわみが形成される。所定停止期間は前述のように例えば5mmのたわみ量を形成するのに対応した期間が設定され、記憶部22に記憶されている。
【0040】
所定停止期間が経過すると(ステップ#105のYes)、主制御部19はレジストローラー6の回転を開始する(ステップ#106)。これにより、用紙Pが転写部5に向かってレジストローラー6の下流側へと送り出される。
【0041】
なお、用紙Pの下流端がレジストローラー6下流の第2用紙端センサー25の箇所に到達したときに発信される第2用紙端センサー25の用紙P下流端の検知信号を受けて、主制御部19は計時部23を用いてその下流端検知時刻T2を記憶部22などに記録する(図4のステップ#107、図3参照)。引き続き、主制御部19は用紙Pの上流端が第1用紙端センサー24の箇所に到達したとき上流端検知時刻T3を記録し(ステップ#108、図3参照)、用紙Pの上流端が第2用紙端センサー25の箇所に到達したとき上流端検知時刻T4を記録する(ステップ#109、図3参照)。
【0042】
そして、主制御部19は第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25が用紙Pの下流端を検知した時間差Tx(=T2−T1)を算出する(ステップ#110、図3参照)。続いて同様に、主制御部19は第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25が用紙Pの上流端を検知した時間差Ty(=T4−T3)を算出する(ステップ#111、図3参照)。
【0043】
さらに、主制御部19は2個のセンサーが用紙Pの下流端を検知した時間差Txと上流端を検知した時間差Tyとの差分として実際に用紙Pに生じるたわみに対応するたわみ形成期間(Tx−Yy)を算出する(図4のステップ#112)。そして、主制御部19はこのたわみ形成期間とレジストローラー6の所定停止期間との差に基づいて一時停止させたレジストローラー6の回転を開始させるタイミングを所定停止期間に対して補正する(ステップ#113)。すなわち、主制御部19は実際に用紙Pに生じるたわみ量が5mmになるようにレジストローラー6の回転開始タイミングを補正する。
【0044】
たわみ形成期間が所定停止期間より短いとき、すなわちたわみ量が5mmより少ないとき、主制御部19は一時停止させたレジストローラー6の回転を開始させるタイミングを所定停止期間に対して遅らせてたわみ量が増えるように補正を実行する。一方、たわみ形成期間が前記所定停止期間より長いとき、すなわちたわみ量が5mmより多いとき、主制御部19は一時停止させたレジストローラー6の回転を開始させるタイミングを所定停止期間に対して早めてたわみ量が少なくなるように補正を実行する。
【0045】
なお、補正されたレジストローラー6の回転開始タイミングにかかる時間情報は記憶部22などに記憶され、次の用紙Pの給紙時に適量のたわみを生じさせるために採用される。
【0046】
そして、主制御部19は用紙Pに適量のたわみを生じさせるために一時停止させたレジストローラー6の回転開始タイミングの補正に係る動作フローを終了する(図4のエンド)。
【0047】
上記のように、画像形成装置1の主制御部19は第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25が用紙Pの下流端を検知した時間差Txと上流端を検知した時間差Tyとの差分として算出した実際に用紙Pに生じるたわみ量に対応するたわみ形成期間(Tx−Ty)と予め定めた5mmのたわみ量に対応した所定停止期間との差に基づいて一時停止させたレジストローラー6の回転を開始させるタイミングを補正する。これにより、用紙搬送ローラー7の磨耗により用紙搬送時にスリップを起こしたり、各ローラーの回転の開始/停止に係る応答時間にずれが生じたりした場合であっても、実際に用紙Pに生じるたわみ量に対応するたわみ形成期間を算出することができる。そして、実際に用紙Pに生じるたわみ量に基づいて、そのたわみ量を好適に補正することが可能である。
【0048】
さらに、主制御部19はたわみ形成期間が所定停止期間より短いとき一時停止させたレジストローラー6の回転を開始させるタイミングを所定停止期間に対して遅らせる補正を実行し、たわみ形成期間が所定停止期間より長いとき一時停止させたレジストローラー6の回転を開始させるタイミングを所定停止期間に対して早める補正を実行する。これにより、用紙Pに生じさせるたわみ量が予め設定した量である5mmより少ないときレジストローラーの回転開始のタイミングが比較的遅くなりたわみ量が増加し、たわみ量が予め設定した量である5mmより多いときレジストローラーの回転開始のタイミングが比較的早くなりたわみ量が減少する。このようにして、実際に用紙Pに生じるたわみ量に基づいて、そのたわみ量を好適に補正することができる。
【0049】
また、画像形成装置1は第1用紙端センサー24と第2用紙端センサー25との用紙搬送方向に沿った間隔が画像形成装置1で使用可能な用紙搬送方向における最小用紙より短くなっている。これにより、第1用紙端センサー24が用紙Pの上流端を検知する前に第2用紙端センサー25が用紙Pの下流端を検知し、第1用紙端センサー24及び第2用紙端センサー25の両方のセンサーがともに同じ用紙Pの存在を検知している期間がある。したがって、一枚の用紙Pの下流端及び上流端が正確に把握でき、実際に用紙Pに生じるたわみ量に対応するたわみ形成期間の算出を一層正確に実行することが可能である。
【0050】
そして、上記実施形態の構成によれば、レジストローラー6の箇所において用紙Pに適量のたわみを生じさせることができ、転写部5に対する適正な用紙送りを実現することが可能な画像形成装置1を提供することが可能である。
【0051】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0052】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置1としてブラックトナーのみを使用したモノクロ印刷用の画像形成装置を例に掲げて説明したが、発明の適用対象となる画像形成装置はこのような機種に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを備え、複数色を重ね合わせて画像形成することが可能なタンデム方式、或いはロータリー方式のカラー印刷用画像形成装置などであっても構わない。
【0053】
また、上記実施形態では第1用紙端センサー24と第2用紙端センサー25との用紙搬送方向に沿った間隔が画像形成装置1で使用可能な用紙搬送方向における最小用紙より短くなっているが、用紙搬送方向における最小用紙より長くなっても構わない。しかしながら、実際に用紙Pに生じるたわみ量に対応するたわみ形成期間の算出を一層正確に実行するためには、上記実施形態のように2個のセンサーの間隔が最小用紙より短いほうが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、画像形成装置全般において利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置
2 本体
5 転写部
6 レジストローラー
7 用紙搬送ローラー
19 主制御部
22 記憶部
23 計時部
24 第1用紙端センサー
25 第2用紙端センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送ローラーと、前記用紙搬送ローラーの用紙搬送方向下流に設けられて回転を一時停止することにより前記用紙搬送ローラーとの間で用紙にたわみを生じさせるレジストローラーと、を備えた画像形成装置において、
前記レジストローラーの用紙搬送方向上流側に配置された用紙の下流端及び上流端を検知するための第1用紙端センサーと、
前記レジストローラーの用紙搬送方向下流側に配置された用紙の下流端及び上流端を検知するための第2用紙端センサーと、
用紙に生じさせるたわみ量に対応して予め定められた前記レジストローラーの所定停止期間を記憶する記憶部と、
前記第1用紙端センサー及び前記第2用紙端センサーが用紙の下流端を検知した時間差と、前記第1用紙端センサー及び前記第2用紙端センサーが用紙の上流端を検知した時間差と、の差分として算出した実際に用紙に生じるたわみ量に対応するたわみ形成期間と前記所定停止期間との差に基づいて一時停止させた前記レジストローラーの回転を開始させるタイミングを補正する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記たわみ形成期間が前記所定停止期間より短いとき一時停止させた前記レジストローラーの回転を開始させるタイミングを前記所定停止期間に対して遅らせる補正を実行し、前記たわみ形成期間が前記所定停止期間より長いとき一時停止させた前記レジストローラーの回転を開始させるタイミングを前記所定停止期間に対して早める補正を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1用紙端センサーと前記第2用紙端センサーとの用紙搬送方向に沿った間隔が、画像形成装置で使用可能な用紙搬送方向における最小用紙より短いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−10586(P2013−10586A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143138(P2011−143138)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】