説明

画像形成装置

【課題】モータの回転量に応じたタイミングで、トナーシールの有無を検知する。
【解決手段】トナーを収容する現像容器3と、トナーを感光ドラム11に搬送する現像ローラ1と、トナーを現像ローラに供給する供給ローラ2を有し、感光ドラム上の静電潜像を現像する現像装置4と、現像容器のトナーが供給ローラに供給されないように封止するトナーシール31の有無を検知するための静電容量検知回路29と、感光ドラム、現像ローラ、供給ローラを駆動するメインモータ220と、メインモータの回転量を検知する回転検知センサ306と、メインモータの回転を制御するCPU211を備え、CPUは、回転検知センサにより検知したメインモータの回転量に基づいたタイミングで、静電容量検知回路による検知を行い(S12〜S18)、静電容量検知回路の検知結果よりトナーシールの有無を判断する(S19〜S23)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーシールの有無検知機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像プロセスを用いた画像形成装置においては、感光ドラム及びプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。
【0003】
通常、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジは、現像ローラで用いられるトナーを収容したトナー容器を有する。そして、トナーを現像ローラに供給するためにトナー容器に設けられた開口部は、シール部材(以下、「トナーシール」という)で封止され、使用開始までの間にトナーが現像部材へ流入しないような構成になっている。そのため、トナーシールは、プロセスカートリッジを使用する際には、取り除かれる必要がある。トナーシールを取り除くことにより、初めて現像ローラにトナーが供給され、印刷可能となる。
【0004】
従来のトナーシールの有無検知は、トナー残量検知機能を使用して行われていた。例えば、特許文献1における画像形成装置のトナー残量検知機能は、静電容量方式であり、現像スリーブ近傍に設けた導電性部材のアンテナと現像スリーブ間の静電容量の変化によって、トナー容器内のトナー残量の検知を行う。トナーシールはアンテナの接点経路を絶縁するように装着されているため、トナーシールが引き抜かれていないと、静電容量に相当する検知出力がゼロレベルとなり、これにより、トナーシールの有無を検知できることが開示されている。
【0005】
ところで、感光ドラムと現像ローラを接触させたままでトナー量の検知を行うと、感光ドラムと現像ローラとの間に生じる静電容量の影響により、トナー量を精度よく検知することが難しかった。そこで、例えば、特許文献2では、トナー残量の検知を精度良く行うために、現像ローラと感光ドラムを離間させ、感光ドラムへ電流が流れない状態で、トナー残量検知を行う構成が開示されている。
【0006】
また、例えば特許文献3には、プロセスカートリッジを駆動するモータが回転することにより出力されるFG(Frequency Generatiou:周波数発生)信号をモニタすることにより、トナーシールの有無検知を行う提案が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−208002号公報
【特許文献2】特開2010−20349号公報
【特許文献3】特開2007−328305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に示された従来構成においては、トナーシールの有無を検知する際、次のような課題があった。例えば、複数のプロセスカートリッジが一つのモータによって駆動される構成の画像形成装置において、トナーシールの有無を検知する場合には、現像ローラと感光ドラムを離間した状態にするため、現像ローラ及び感光ドラムを一定時間駆動させる必要がある。その際、モータに保証トルク以上の負荷がかかると、トナーシールを検知する前に、モータの回転速度が目標とする回転速度に達しないために、モータの起動異常を誤検知してしまうことがあった。ここで、モータの保証トルク以上の負荷がかかる場合とは、例えば、全てのプロセスカートリッジにトナーシールが装着された場合などを指す。このような場合、実際にはトナーシールが引き抜かれていないにも拘らず、ユーザにはモータ故障として誤った状態が報知されてしまう。その結果、ユーザがトナーシールを引き抜けば、画像形成装置が使用可能となるにも拘らず、モータ故障として画像形成装置を使用不可能な状態にしてしまい、ユーザビリティを低下させる原因となっていた。
【0009】
一方、特許文献3に開示された提案においては、個々のプロセスカートリッジが駆動モータを備えている構成であるため、プロセスカートリッジのコストアップを招くという課題があった。
【0010】
本発明はこのような状況のもとでなされたもので、モータの回転量に応じたタイミングで、トナーシールの有無を検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0012】
(1)現像剤を収容する現像剤収容部と、現像剤を担持し像担持体に搬送する現像剤担持体と、前記現像剤収容部の現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、を有し、像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像を行う現像装置と、前記現像剤収容部に収容されている現像剤が前記現像剤供給部材に供給されないように封止する封止部材の有無を検知するための封止部材検知手段と、前記像担持体、前記現像剤担持体、前記現像剤供給部材を駆動するモータと、前記モータの回転量を検知する回転量検知手段と、前記モータの回転を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記回転量検知手段により検知した前記モータの回転量に基づいたタイミングで、前記封止部材検知手段による前記封止部材の有無の検知を行う画像形成装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、モータの回転量に応じたタイミングで、トナーシールの有無を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1、2、3の画像形成装置の概略断面図
【図2】実施例1、2、3の画像形成装置のシステム構成を示すブロック図
【図3】実施例1、2、3のプロセスカートリッジの構成と、静電容量検知回路の概要を示す図
【図4】実施例1、2、3のブラシレスモータの制御装置、及び回路構成を示す模式図
【図5】実施例1、2、3のトナーシールの有無によるモータ起動時から所定時間のモータ回転量の違いを示す図
【図6】実施例1、3におけるトナーシール有無検知の処理シーケンスを示すフローチャート
【図7】実施例2におけるトナーシール有無検知の処理シーケンスを示すフローチャート
【図8】実施例3におけるモータの回転制御の処理シーケンスを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0016】
[画像形成装置の概要]
図1は、本実施例の画像形成装置の概略断面図である。本実施例においては、画像形成装置の一例として、中間転写ベルトを採用したタンデム方式のカラー画像形成装置を用いる。画像形成装置400は、電子写真方式のプリンタであり、4つの画像形成ユニットを備えている。以下の説明において、符号の末尾における、−1、−2、−3、−4は、それぞれ4つの画像形成ユニットの番号を示す。以下の説明では、特定の画像形成ユニットを指す場合を除き、符号の末尾の−1、−2、−3、−4の記載を省略する。
【0017】
図1の各画像形成ユニットにおいて、感光ドラム11には、像担持体である感光ドラムの表面を一様に帯電せしめる帯電ローラ12が、感光ドラムの表面に当接するように設けられている。帯電ローラ12から感光ドラム11の回転方向(図中矢印)下流側には、感光ドラム11の表面に、レーザスキャナ部404から光ビーム403が照射される。レーザスキャナ部404は、光ビーム403を発する不図示の半導体レーザと、半導体レーザを平行光に偏光する不図示のコリメータレンズを備える。更に、レーザスキャナ部404は、光ビーム403に感光ドラム11の表面を走査させる不図示の回転多面鏡と、光ビーム403が感光ドラム表面でスポットを形成するように調整する不図示の光学レンズを備える。なお、回転多面鏡は、不図示のスキャナモータによって定速制御されている。
【0018】
レーザスキャナ部404は、画像データに応じて光ビーム403を照射することにより、感光ドラム11の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光ドラム11の回転方向下流側に配設された現像ローラ1によって、トナー像として現像される。トナーは、不図示のトナー容器内から、供給ローラ2を介して現像ローラ1に供給される。
【0019】
感光ドラム11には、中間転写ベルト430を介して、一次転写ローラ410が圧接されている。一次転写ローラ410に、不図示の高圧電源から所定の電圧が印加されることにより、感光ドラム11に形成されたトナー像は、中間転写ベルト430に転写される。一次転写ローラ410には、導電ローラが使用されている。中間転写ベルト430は、駆動ローラ、支持ローラに張架・駆動されており、各画像形成ユニットで形成されたトナー像が、順次、中間転写ベルト430に重畳されて、フルカラートナー画像が形成される。中間転写ベルト430に転写されず、感光ドラム11上に残存した転写残トナーは、廃トナー容器18に収納される。クリーニングされた感光ドラム11は、再び、上述した動作による画像形成に使用される。
【0020】
中間転写ベルト430上のフルカラートナー画像は、二次転写ローラ413と中間転写ベルト430とで形成される二次転写部に到達すると、不図示の電源からの二次転写電圧の作用により、カセット給紙ローラ411により供給された記録紙に転写される。
【0021】
記録紙は、二次転写ローラ413の搬送方向上流側(図1において下側)の記録紙カセット500内に収納されている。記録紙カセット500端部には、カセット給紙ローラ411が配設されている。カセット給紙ローラ411が回転すると、記録紙カセット500内の記録紙がピックアップされ、一番上に積載されている記録紙1枚が搬送路へ送り込まれる。記録紙カセット500内には、記録紙有無センサ423が配設されており、記録紙の有無を検知するようになっている。また、カセット給紙ローラ411と二次転写ローラ413との間の搬送路には、記録紙の斜行補正や、中間転写ベルト430上のフルカラートナー像と記録紙搬送との同期をとるためのレジストローラ412が配設されている。レジストローラ412は、二次転写部へ所定のタイミングで記録紙を送り込む。なお、レジストローラ412とカセット給紙ローラ411との間には、レジスト紙有無検知センサ421が配設されており、記録紙の有無を検知するようになっている。
【0022】
二次転写部においてフルカラートナー像を転写された記録紙は、二次転写ローラ413の搬送方向下流側(図1において上側)にある定着装置へと搬送される。定着装置は、内部に不図示の定着ヒータを有する定着ローラ414と、定着ローラ414に圧接するように配設された加圧ローラ415とで構成される。定着装置は、二次転写部から搬送された記録紙を、定着ローラ414と加圧ローラ415との圧接部にて加圧しながら加熱することにより、記録紙上の未定着フルカラートナー像を記録紙に定着させる。定着装置の搬送方向下流側には、定着装置から記録紙が搬送されたことを検知する排紙有無検知センサ422が配設されている。排紙有無検知センサ422の下流側には、排紙ローラ416が配設されており、排紙ローラ416は、トナー像が定着された記録紙を装置外に排出する。
【0023】
[画像形成装置のシステム構成]
図2は、画像形成装置のシステム構成を説明するためのブロック図である。図2において、コントローラ部201とエンジン制御部202は、画像形成装置400に内蔵されている。コントローラ部201は、画像形成装置400に印刷ジョブを送信するホストコンピュータ200及びエンジン制御部202と通信を行い、ホストコンピュータ200とエンジン制御部202とのインタフェースを司る。
【0024】
また、エンジン制御部202は、ビデオインタフェース部210と、画像形成動作を制御するCPU211と、CPU211により制御される画像制御部213、定着制御部214、記録紙搬送部215、給紙制御部216、CRG制御部217から構成される。ビデオインタフェース部210は、コントローラ部201から受信した画像情報は画像制御部213に送信し、画像形成に関するコマンドはCPU211に送信する。CPU211は、画像制御部213、定着制御部214、記録紙搬送部215、給紙制御部216、CRG制御部217を制御して、印字動作に必要な画像形成処理を実行したり、タイマ機能を用いて時間計測を行ったりする。更に、CPU211は、不図示のROMとRAMを有し、ROMには、CPU111が実行する制御プログラムやデータが保持され、RAMは、CPU111が実行する制御プログラムが一時的に情報を保持するために使用される。
【0025】
画像制御部213は、コントローラ部201を介して、ホストコンピュータ200から受信したビデオ信号に基づいて、レーザスキャナ部404を制御して、感光ドラム11上に静電潜像を形成させる。定着制御部214は、定着装置の加熱・加圧制御を行う。記録紙搬送部215は、記録紙搬送のために、搬送路上に配設された各搬送ローラの回転制御を行う。給紙制御部216は、記録紙有無センサ423により記録紙カセット500内の記録紙の有無を監視すると共に、記録紙1枚を搬送路に送り出すよう、カセット給紙ローラ411を制御する。
【0026】
CRG制御部217は、メインモータ220、現像ソレノイド221、当接離間センサ222を用いて、プロセスカートリッジ(CRG)内のローラ等の駆動制御や、感光ドラム11と現像ローラ1の当接離間の制御を行う。メインモータ220は、プロセスカートリッジ(CRG)内の感光ドラム11、帯電ローラ12、現像ローラ1、供給ローラ2を駆動するために用いられる。なお、本実施例では、メインモータ220は、複数のプロセスカートリッジ内の感光ドラムや各ローラ等を駆動するのに用いられるものとする。現像ソレノイド221は、感光ドラム11と現像ローラ1の当接離間機構(不図示)を駆動させるために用いられ、当接離間センサ222は、感光ドラム11と現像ローラ1の当接離間状態を検知するために用いられる。
【0027】
続いて、画像形成手順について説明する。コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から画像情報と印字命令を受け取り、受け取った画像情報を解析してビットデータに変換する。コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から受信した印字命令に従って、エンジン制御部202のCPU211に印字予約コマンドを送信する。そして、ビットデータへの変換が終了し、印字可能な状態となったタイミングで、コントローラ部201は、CPU211へ印字開始コマンドを送信する。
【0028】
エンジン制御部202のCPU211は、コントローラ部201から受信した印字予約コマンドの順に、印字の実行準備を行う。そして、コントローラ部201から印字開始コマンドを受信すると、CPU211は、画像制御部213を制御して、コントローラ部201にビデオ信号の出力の基準タイミングとなる/TOP信号を出力する。その後、画像制御部213がコントローラ部201からビデオ信号を受信すると、CPU211の制御により、印字予約コマンドに従って画像形成動作が開始される。
【0029】
[現像装置の構成]
図3(a)は、プロセスカートリッジの構成と、静電容量検知回路の概要を示す図であり、図3(b)、(c)は、それぞれ、離間カム42により、現像ローラ1と感光ドラム11が当接している状態と、離間している状態を示す図である。
【0030】
図3(a)において、現像装置4は、感光ドラム11と、帯電ローラ12、廃トナー容器18と共に一体になって、プロセスカートリッジ(破線部分)を構成している。更に、現像装置4は、非磁性1成分現像剤であるトナーTを収容する現像容器3、現像ローラ1、供給ローラ2を備える。現像剤担持体である現像ローラ1は、現像容器3の開口部に設置され、回動可能に現像容器3に支持されている。また、現像剤収容部である現像容器3には、現像ローラ1に接触して回動し、現像ローラ1にトナーTを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ2が配置されている。図3(a)において、現像ローラ1と供給ローラ2の間には、封止部材であるトナーシール31が配設されている。トナーシール31は、現像装置が新品時に、現像ローラ1へトナーTが供給されるのを防ぐ目的で配設されている。そして、トナーシール31を引き抜くことにより、トナーTが現像ローラ1へ進入し、現像装置4が使用可能な状態になる。
【0031】
[トナー残量検知の概要]
本実施例におけるトナー残量検知は静電容量方式であり、現像ローラ1と、供給ローラ2間の静電容量の変化によって、トナーTの残量検知を行うようにしている。本実施例では、トナー残留検知機能を封止部材検知手段として用いる。
【0032】
図3(a)に示すように、供給ローラ2の導電性の芯金2aに、交流電源30より交流電圧が印加されると、静電容量検知回路29は、現像ローラ1と供給ローラ2間の静電容量を検知する。そして、静電容量検知回路29が検知した静電容量に基づき、現像容器3内のトナーTの残量が算出される。供給ローラ2の芯金2aに印加される交流電圧としては、周波数50KHz、ピーク間電圧(Vpp)200Vが用いられる。
【0033】
静電容量検知回路29は、現像ローラ1の導電性の芯金1aに流れる電流を整流する整流回路、及び、整流回路から出力された電流信号を電圧信号に変換する電流−電圧変換回路から構成される。検知された静電容量は、電流−電圧変換回路により電圧信号に変換されて、CPU211に出力され、CPU211では演算処理を行い、トナーTの残量を算出する。
【0034】
また、トナー残量検知は、図3(a)のように現像動作を行わない第2の位置、即ち、感光ドラム11と現像ローラ1が離間した状態で実施される。感光ドラム11と現像ローラ1が離間していることにより、現像ローラ1に電圧印加しても感光ドラム11には電流が流れないので、より正確にトナーTの残量を算出することが可能となる。また、トナーシール31には、ポリエステルなどの絶縁性の素材が用いられ、現像ローラ1と供給ローラ2間に電流が流れない構成としている。
【0035】
そして、トナーシール31の有無は、静電容量の値に基づいて判断され、静電容量検知回路29が検知した静電容量が閾値以下の場合は、トナーシール31有りと判断される。また、感光ドラム11と現像ローラ1が当接した状態で感光ドラム11に電流が流れると、トナーシール31がない状態でも、トナーシール31有りと誤検知される場合がある。そのため、トナーシール31の有無検知は、感光ドラム11と現像ローラ1が離間した状態で実施される。
【0036】
[現像装置の当接離間機構]
現像装置4は、現像容器3を、現像ローラ1による現像動作を行なう第1の位置と、現像動作を行わない第2の位置に、移動させる離間カム42の力を受ける力受け部43を備える。力受け部43は、プロセスカートリッジの現像装置4の背面の所定位置に設けられている。力受け部43は、離間カム42との接触回転時に必要な表面滑り性能や、本実施例において、最も力のかかる現像ローラ1と感光ドラム11が離間している状態においても、変形しない硬度等を有している。
【0037】
図3(b)の状態から、離間カム42の回動動作により、離間カム42のカム面がプロセスカートリッジの力受け部43を押し、現像装置4は揺動中心40を回転軸として回転する。そして、離間カム42のカム面が力受け部43を押す力が、現像装置4と廃トナー容器18の間に設けられた押しバネ41の反力に打ち勝ち、図3(c)の状態に移動する。即ち、現像装置4の揺動により、現像ローラ1は、感光ドラム11に対して接触した状態(図3(b))から離間した状態(図3(c))へ移動する。
【0038】
CPU211が、CRG制御部217を介して、現像ソレノイド221をオンすることにより、メインモータ220からの駆動が離間カム42に伝達され、離間カム42は回転動作を行う。また、当接離間センサ222は、離間カム42の位置(状態)により、現像ローラ1と感光ドラム11の当接、離間状態を検知することができる。
【0039】
[メインモータの回転量の検知]
図4(a)は、U相、V相、W相の3相からなるブラシレスモータの制御装置を示す図である。回転検知センサ306は、ブラシレスモータの回転部に形成された矩形波状の磁気パターン(FGパターン)を検知し、波形整形回路(不図示)は回転検知センサ306が検知したFGパターンに基づいて、モータ回転量に比例したFGセンサ信号を出力する。CPU211は、予め設定された速度と、波形整形回路からのFGセンサ信号で示される速度情報から、ブラシレスモータの速度制御量を演算する。そして、CPU211は、演算された制御量に基づいて、制御信号である加速信号及び減速信号を、プリドライバ302に出力する。回転量検知手段である回転検知センサ306には、例えばMR(Magnetic Resistance:磁気抵抗)センサが用いられる。プリドライバ302は、CPU211から出力された加速信号、減速信号を、積分器303によって、ブラシレスモータへのトルク指令に変換する。更に、磁気センサ305により検知されたブラシレスモータの回転子に配設された永久磁石の位置に基づいて、3相の各コイル307に電流を流すタイミングが生成される。そして、生成されたタイミングに基づいて、スイッチ(SW)304がオン・オフ制御され、各コイル307に電流が流れる。
【0040】
図4(b)は、図4(a)のプリドライバ302と積分器303の回路構成を示す模式図であり、チャージポンプ回路308、積分アンプ313、抵抗309、311、コンデンサ310、312から構成されている。チャージポンプ回路308は、CPU211から出力された加速信号によって充電され、減速信号により放電され、積分アンプ313は、チャージポンプ回路308の出力に応じて、ブラシレスモータに対してトルク指令であるPWM信号を出力する。
【0041】
図4(b)において、ブラシレスモータの起動時には、CPU211により加速信号が出力されて、チャージポンプ回路308の出力電圧が上昇し、その結果、積分アンプ313は、トルクを増大させるPWM信号を出力する。ブラシレスモータが所定の回転数に達すると、CPU211からは加速信号が出力されず、その回転数の状態が維持(ホールド)される。ブラシレスモータの負荷トルクが変動した場合には、CPU211は、加速信号と減速信号によって、負荷トルクを一定に保つように調整する。積分アンプ313は、チャージポンプ回路308内の三角波発生器(不図示)において生成され、−端子に入力された三角波と、+端子に入力された定電圧とを比較することによって、コイル307に流す電流値を指示するPWM信号を出力する。積分アンプ313から出力されたPWM信号はスイッチ304に入力され、その結果、PWM信号に応じた電流がコイル307に流れる。ブラシレスモータが発生する負荷(出力)トルクは、以下の式(1)によって求められる。ここで、TQは、負荷トルクであり、KTは、トルク定数であり、Iは、コイル307に流れる電流値である。
TQ=KT×I ・・・(1)
【0042】
式(1)に示すように、CPU211は、加速信号、減速信号によって、電流値Iを変化させ、負荷トルクを発生するモータの速度を制御することができる。従来のモータ制御装置においては、モータの回転情報を示すFG信号の周期情報を基準値と比較し、その差を検知することによって、モータ回転数を基準値に近づけるようにフィードバック制御が行われていた。なお、本実施例では、モータの速度情報としてFG信号を用いたが、ブラシレスモータに取り付けられたエンコーダからの出力信号を、モータの速度情報として使用しても良い。
【0043】
図5は、トナーシール31の有無によるモータ起動時から所定時間のモータ回転量の違いを示したものである。図5(a)は、トナーシール31無しの場合のFG信号の出力波形、図5(b)は、トナーシール31有りの場合のFG信号の出力波形を、それぞれ示している。図5(a)、(b)において、縦軸はFG信号の電圧(単位:V(ボルト)、横軸は時間(単位:sec(秒))を示し、パルス波形は、モータ起動時から所定の時間TまでのFG信号であり、波形の上部に付された数字はFG信号の順番を示す。
【0044】
もし、ユーザがトナーシール31を引き忘れた状態のプロセスカートリッジを画像形成装置に挿入した場合、モータ軸上の負荷は、トナーシール31を正常に引き抜いた場合と比較して大きくなる。即ち、トナーシール31が引き抜かれていない状態では、現像ローラ1にトナーTが供給されずに、現像容器3内にトナーTが封止された状態である。そのため、トナーシール31が抵抗となり、現像容器3内に設けられ、トナーを攪拌するトナー攪拌羽(不図示)が回転する際の負荷が、トナーシール31が抜かれた状態と比べて大きくなる。逆に、トナーシール31が引き抜かれた状態では、現像容器3から現像ローラ1にトナーが供給されて、現像容器3内のトナー量が少なくなっているので、トナー攪拌羽の回転負荷は小さくなる。
【0045】
従って、トナーシール31を引き抜き忘れて、メインモータ220を駆動した場合は、トナーシール31を引き抜いて駆動した場合と比較して、モータ軸上の負荷が大きくなる。その結果、モータ回転量は小さくなり、図5(b)に示すように、出力されるFG信号のパルス数は、図5(a)と比べて、減少する。
【0046】
従来のトナーシール有無検知は、メインモータ220を起動し、メインモータが所定回転速度で回転しているのを前提に、トナーシール有無検知に必要な処理を実施していた。しかしながら、前述したように、モータ軸にかかる負荷が大きい状況では、メインモータ220が所定回転速度で駆動できない場合もある。そこで、本実施例では、トナーシール有無検知を、モータの回転量に応じて行うものとする。
【0047】
[トナーシール有無検知の処理シーケンス]
本実施例におけるトナーシール有無検知の処理シーケンスについて、図6のフローチャートを用いて説明する。図6に示す処理は、CPU211のROM(不図示)に格納された制御プログラムに基づいて、CPU211により実行される。なお、以降の実施例におけるフローチャートの処理も同様に、CPU211により実行される。
【0048】
図6は、画像形成装置の電源オン時、又は保守作業終了後に保守用ドアを閉めたときに起動される、トナーシール有無検知の処理シーケンスを示したフローチャートである。まず、画像形成装置の電源がオンされて、CPU211が立ち上がると、ステップ11(以下、S11のように記す)では、CPU211は、CRG制御部217に、メインモータを起動させる制御指示を行い、メインモータ220を起動する。更に、CPU211は、時間測定のために、タイマをリセットし、スタートさせる。S12では、CPU211は、回転検知センサ306から出力される、メインモータ220の速度情報を示すFG信号をモニタし、FG信号のパルス数の測定(積算)を開始する。
【0049】
S13では、CPU211は、検知されたFG信号のパルス数(積算値)がA以上かどうか判断し、A未満であれば、S13の処理を繰り返し、A以上であれば、S14に進む。ここで、閾値Aの値は、例えば離間カム42が現像ローラ1と感光ドラム11が当接状態から離間状態、もしくは離間状態から当接状態に状態遷移(位置移動)するのに必要なモータ回転量となるFG信号パルス値を指す。FG信号の積算値が閾値Aを超えるまで待っている理由は、例えば図3(b)の当接状態、又は図3(c)の離間状態のように、必ず状態遷移が完了してから、当接離間センサ222による検知結果を読み出すためである。
【0050】
S14では、CPU211は、CRG制御部217の当接離間センサ222から感光ドラム11と現像ローラ1の当接離間状態を読み出し、感光ドラム11と現像ローラ1が離間しているかどうか判断し、離間していればS17に進む。感光ドラム11と現像ローラ1が離間していなければ、CPU211はS15に進む。S15では、CPU211は、感光ドラム11と現像ローラ1の当接離間機構(不図示)を駆動させ、感光ドラム11と現像ローラ1を離間させるため、CRG制御部217に、現像ソレノイド221をオンするように、制御指示を行う。S16では、CPU211は、検知されたFG信号のパルス数(積算値)がB以上かどうか判断し、B未満であれば、S16の処理を繰り返し、B以上であれば、S17に進む。ここで、閾値Bの値は、離間カム42が現像ローラ1と感光ドラム11が、当接状態から離間状態に状態遷移(位置移動)するのに必要なモータ回転量となるFG信号パルス値を指す。
【0051】
S17では、CPU211は、現像ローラ1と供給ローラ2間の静電容量を検知するため、供給ローラ2に、交流電源30よりバイアス電圧を印加する。S18では、CPU211は、静電容量検知回路29にて検知された静電容量を読み出し、S19では、CPU211は、検知された静電容量が閾値以下かどうかにより、トナーシール31の有無を判断する。CPU211は、検知された静電容量が閾値以下の場合には、トナーシール31有りと判断し、S20に進み、検知された静電容量が閾値を超える場合には、S21に進む。S20では、CPU211は、ユーザにトナーシール31有りを報知すると共に、トナーシール31有りのデータをCPU211のRAM(不図示)に記憶する。そして、CPU211は、CRG制御部217を介して、メインモータ220を停止して、トナーシール有無検知処理を終了する。
【0052】
S21では、CPU211は、S11でスタートさせたタイマからタイマ値を読み出し、メインモータ220起動からC秒以上経過しているか否かを判断する。ここで、閾値Cの値は、メインモータ220を起動後、メインモータ220が通常回転速度で回転し、トナーシール31有無検知を実施するまでに必要な時間とする。なお、現像ソレノイドをオンした場合にはS15の処理を実行するので、S15の処理を行わない場合と比べて、閾値Cの時間は長くなる。そのため、図6のフローチャートでは不図示であるが、S15の処理の実行の有無により、閾値Cの値が異なるように、処理を場合分けしてもよい。CPU211は、タイマ値がC秒以上の場合にはS22に進み、タイマ値がC秒未満であればS23に進む。S22では、トナーシール31が無いにも拘らず、トナーシール有無検知を行うモータの回転量に達するまでに必要以上の時間がかかっているので、CPU211は、メインモータ220にトナーシール31以外の原因で異常な負荷がかかっていると判断する。そして、CPU211は、メインモータ220の異常をユーザに報知すると共に、メインモータ220の異常のデータをCPU211のRAM(不図示)に記憶する。そして、CPU211は、CRG制御部217を介して、メインモータ220を停止して、トナーシール有無検知処理を終了する。S23では、メインモータ220は正常に駆動されているので、イニシャル回転を継続させ、CPU211は、トナーシール有無検知処理を終了する。
【0053】
以上説明したように、本実施例によれば、モータの回転量に応じたタイミングで、トナーシールの有無を検知することができる。特に、メインモータに大きなトルクがかかり、メインモータの回転速度が所定の速度に達しない状態でも、トナーシールの有無検知を最短で実施することができ、ユーザに正しく画像形成装置の状態を報知することができる。
【実施例2】
【0054】
実施例1では、メインモータを起動したときのイニシャル回転の状態で、トナーシールの有無検知処理を行う例について説明をした。本実施例では、メインモータを起動して所定時間が経過したときのモータの回転量を判断し、メインモータを通常速度で回転できない場合は、確実に駆動できる速度に落としてから、トナーシールの有無検知処理を行う例について説明をする。なお、実施例1における図1ないし4の画像形成装置の構成やシステム構成等については、本実施例においてもそのまま適用し、説明については、実施例1を援用することとし、本実施例での説明は省略する。
【0055】
[トナーシール有無検知の処理シーケンス]
図7は、画像形成装置の電源オン時、又は保守作業終了後に保守用ドアを閉めたときに起動される、トナーシール有無検知の処理シーケンスを示したフローチャートである。まず、画像形成装置の電源がオンされて、CPU211が立ち上がると、S30では、CPU211は、CRG制御部217に、メインモータ220を起動させる制御指示を行い、メインモータ220を起動する。更に、CPU211は、時間測定のために、タイマをリセットし、スタートさせる。
【0056】
S31では、CPU211は、回転検知センサ306から出力される、メインモータ220の速度情報を示すFG信号をモニタし、FG信号のパルス数の測定(積算)を開始する。S32では、CPU211は、タイマのタイマ値を読み出し、メインモータ220を起動してから所定時間が経過したかどうかを判断し、経過していなければS32の処理を繰り返し、経過していればS33に進む。ここで、所定時間とは、CPU211がメインモータ220の異常を判断可能な時間であり、2秒程度とする。S33では、CPU211は、メインモータ220を起動し、所定時間経過後までに検知されたFG信号のパルス数(積算値)がD以上かどうかを判断する。ここで、閾値Dの値は、メインモータ220起動後、メインモータ220が通常の回転速度で所定時間回転した場合に検知されるFG信号のパルス数(積算値)で示されるメインモータ220の回転量とする。CPU211は、FG信号のパルス数(積算値)がD以上(所定の回転量以上)の場合は、メインモータ220は正常であると判断してS34に進み、D未満(所定の回転量未満)の場合にはS42に進む。
【0057】
S34では、CPU211は、プリドライバ302に加速信号又は減速信号を出力し、メインモータ220が通常速度(第1の回転速度)でイニシャル回転を継続するよう、制御する。S35では、CPU211は、CRG制御部217の当接離間センサ222から感光ドラム11と現像ローラ1の当接離間状態を読み出し、感光ドラム11と現像ローラ1が離間しているかどうか判断し、離間していればS37に進む。感光ドラム11と現像ローラ1が離間していなければ、CPU211はS36に進む。S36では、CPU211は、感光ドラム11と現像ローラ1の当接離間機構(不図示)を駆動させるために、CRG制御部217に、現像ソレノイド221をオンするように、制御指示を行い、感光ドラム11と現像ローラ1を離間させる。S37では、CPU211は、現像ローラ1と供給ローラ2間の静電容量を検知するため、供給ローラ2に、交流電源30よりバイアス電圧を印加する。S38では、CPU211は、静電容量検知回路29にて検知された静電容量を読み出す。
【0058】
S39では、検知された静電容量が閾値以下かどうかにより、トナーシール31の有無を判断する。CPU211は、検知された静電容量が閾値以下の場合には、トナーシール31有りと判断し、S40に進み、検知された静電容量が閾値を超える場合には、トナーシールなしと判断し、S41に進む。S40では、CPU211は、ユーザにトナーシール31有りを報知すると共に、トナーシール31有りのデータをCPU211のRAM(不図示)に記憶する。そして、CPU211は、CRG制御部217を介して、メインモータ220を停止して、トナーシール有無検知処理を終了する。S41では、メインモータ220は正常に駆動されているので、通常速度でのイニシャル回転を継続させ、CPU211は、トナーシール有無検知処理を終了する。
【0059】
S42では、CPU211は、メインモータ220が起動されて所定時間経過までに検知されたFG信号のパルス数(積算値)がE以上かどうかを判断する。ここで、閾値Eの値は、メインモータ220起動後、メインモータ220が回転可能な最低速度で所定時間回転した場合に検知されるFG信号のパルス数(積算値)とする。CPU211は、FG信号のパルス数(積算値)がE以上の場合は、メインモータ220は最低速度以上の速度で正常に回転していると判断して、S43に進む。一方、FG信号のパルス数(積算値)がE未満の場合には、CPU211は、メインモータ220が回転可能な最低速度でも回転しておらず、メインモータ220の異常と判断し、S50に進む。S43では、CPU211は、プリドライバ302に加速信号又は減速信号を出力し、メインモータ220の回転速度を回転可能な最低速度(第2の回転速度)に再設定し、低速度でのイニシャル回転を継続するよう、制御する。S44〜S47の処理は、S35〜S38の処理と同様なので、説明を省略する。
【0060】
S48では、CPU211は、検知された静電容量が閾値以下かどうかにより、トナーシール31の有無を判断する。CPU211は、検知された静電容量が閾値以下の場合は、トナーシール31有りと判断してS49に進み、閾値を超える場合には、トナーシールはないが、メインモータ220にトナーシールとは異なる異常な負荷がかかっていると判断して、S50の処理に進む。S49では、CPU211は、ユーザにトナーシール31有りを報知すると共に、トナーシール31有りのデータをCPU211のRAM(不図示)に記憶する。そして、CPU211は、CRG制御部217を介して、メインモータ220を停止して、トナーシール有無検知処理を終了する。S50では、CPU211は、メインモータ220の回転が異常なので、ユーザにモータ異常を報知すると共に、メインモータ220異常のデータをCPU211のRAM(不図示)に記憶する。そして、CPU211は、CRG制御部217を介して、メインモータ220を停止して、トナーシール有無検知処理を終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施例によれば、モータの回転量に応じたタイミングで、トナーシール31の有無を検知することができる。特に、FG信号を使用してメインモータ起動後の所定時間におけるメインモータの回転量を測定することで、通常のイニシャル回転を実施するか、低速のイニシャル回転を実施するかを決定し、モータの回転速度を変更する。これにより、メインモータに大きなトルクがかかっている状態でも、トナーシール31の有無検知が実施でき、ユーザに正しく画像形成装置の状態を報知することができる。また、メインモータの回転速度を低速に変更することにより、メインモータに大きなトルク(負荷)がかかっている時間を短縮することができ、その結果、メインモータを駆動するための素子に過大な電流が流れるのを防ぐ効果もある。
【実施例3】
【0062】
実施例1では、メインモータの回転速度は通常速度のままで、トナーシール有無検知処理を行っていた。しかしながら、メインモータの保証トルク以上のトルクをかけた状態でメインモータを回転させると、メインモータを駆動するための素子に過大な電流が流れてしまう。そして、この状態が続くと、過熱保護のために、サーマルシャットダウンが発生して、メインモータを起動できなくなってしまう場合がある。
【0063】
そこで、本実施例では、メインモータを通常速度で駆動できない場合は、メインモータの回転量に応じて、随時、メインモータの回転速度を変更する例について説明する。なお、実施例1における図1ないし4の画像形成装置の構成やシステム構成等については、本実施例においてもそのまま適用し、説明は実施例1を援用することとし、本実施例での説明は省略する。
【0064】
[メインモータの回転制御の処理シーケンス]
図8は、画像形成装置の電源オン時、又は保守作業終了後に保守用ドアを閉めたときに起動されるフローチャートであり、実施例1の図6のS11のメインモータ起動から並行して、CPU211により実行される。まず、画像形成装置の電源がオンされて、CPU211が立ち上がると、S60では、CPU211は、CRG制御部217に、メインモータ220を起動させる制御指示を行い、メインモータ220を起動する。なお、S60の処理は、図6のS11と同一の処理であり、どちらかで実行されればよい。S61では、CPU211は、回転検知センサ306から出力される、メインモータ220の速度情報を示すFG信号をモニタし、FG信号のパルス数の測定(積算)を開始する。更に、CPU211は、時間測定のために、タイマをリセットし、スタートさせる。S62では、CPU211は、タイマのタイマ値を読み出し、S61の処理を実行してから所定時間が経過したかどうかを判断し、経過していなければS62の処理を繰り返し、経過していればS63に進む。
【0065】
S63では、CPU211は、所定時間が経過するまでに検知されたFG信号のパルス数からメインモータ220の回転速度を算出し、算出された回転速度が目標とする回転速度の誤差範囲内かどうかを判断する。CPU211は、算出されたメインモータ220の回転速度が目標とする回転速度の誤差範囲内であればS65に進み、そうでなければS64に進む。ここで、回転速度の誤差範囲と、サンプリングに要する所定時間は、メインモータ220の回転速度が発振しないような値にする必要がある。回転速度の誤差範囲が狭かったり、回転速度のサンプリングに要する時間が短かったりすると、メインモータ220の回転速度の変更頻度が多くなり、その結果、回転速度が発振してしまうからである。S64では、CPU211は、プリドライバ302に加速信号又は減速信号を出力し、メインモータ220の回転速度をS63で検知された回転速度に再設定し、回転を継続するよう、制御する。
【0066】
S65では、CPU211は、トナーシール31有り、又はメインモータ220のモータ異常が検知されたかどうかを判断する。実施例1の図6のS20やS22において、CPU211は、トナーシール31有りのデータやモータ異常を検知したデータを不図示のRAMに記憶している。CPU211は、不図示のRAMにトナーシール31有り、又はモータ異常のデータが記憶されているかどうかを判断し、記憶されていなければS61に戻り、記憶されていればS66に進む。S66では、CPU211は、CRG制御部217を介して、メインモータ220を停止して、メインモータ220の回転速度変更処理を終了する。なお、図6においても、CPU211によるメインモータ220の停止処理は、トナーシール31有りの場合にはS20にて、メインモータ220の異常の場合にはS22にて実行される。従って、S66の処理は、図6のS20、S22の処理と同一の処理なので、どちらかで実行されればよい。
【0067】
以上説明したように、本実施例によれば、モータの回転量に応じたタイミングで、トナーシールの有無を検知することができる。特に、検知されたメインモータの回転速度に応じて、メインモータの目標とする回転速度を変更するので、メインモータに大きなトルク(負荷)がかかった状態でも、トナーシールの有無検知が実施でき、ユーザに正しく画像形成装置の状態を報知することができる。更に、検知されたメインモータの回転速度に応じて、目標とする回転速度を変更するので、実際にメインモータが回転している速度と目標とする回転速度との乖離を少なくでき、メインモータを駆動する素子に過大な電流が流れるのを防ぐことができる。
【0068】
なお、実施例1〜3におけるメインモータは、複数のプロセスカートリッジの感光ドラムや各ローラを駆動するのに用いられるものとしていた。各プロセスカートリッジがそれぞれモータを備え、プロセスカートリッジ内の感光ドラムや各ローラの駆動に用いられる構成でも、本実施例は適用することができる。即ち、実施例1〜3のフローチャートにおいて、「メインモータ起動」を各プロセスカートリッジに備えたモータの起動に置き換え、メインモータの回転量の検知を各プロセスカートリッジに備えたモータに置き換えることにより、本実施例を適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 現像ローラ
2 供給ローラ
3 現像容器
4 現像装置
11 感光ドラム
29 静電容量検知回路
31 トナーシール
211 CPU
220 メインモータ
306 回転検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤収容部と、現像剤を担持し像担持体に搬送する現像剤担持体と、前記現像剤収容部の現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、を有し、像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像を行う現像装置と、
前記現像剤収容部に収容されている現像剤が前記現像剤供給部材に供給されないように封止する封止部材の有無を検知するための封止部材検知手段と、
前記像担持体、前記現像剤担持体、前記現像剤供給部材を駆動するモータと、
前記モータの回転量を検知する回転量検知手段と、
前記モータの回転を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記回転量検知手段により検知した前記モータの回転量に基づいたタイミングで、前記封止部材検知手段による前記封止部材の有無の検知を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記封止部材検知手段による検知を行う前記タイミングは、前記回転量検知手段により、前記モータが起動されて所定の回転量が検知されたときであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記回転量検知手段により所定時間に検知された前記モータの回転量から算出された回転速度が、前記モータの目標とする回転速度の誤差範囲を外れていた場合には、前記算出された回転速度を前記モータの目標とする回転速度に設定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記封止部材検知手段による検知を行う前記タイミングは、
前記回転量検知手段により所定時間において検知された前記モータの回転量が所定の回転量以上の場合には、前記制御手段が、前記モータの回転速度を第1の回転速度に設定したときであり、
前記回転量検知手段により所定時間において検知された前記モータの回転量が所定の回転量未満の場合には、前記制御手段が、前記モータの回転速度を前記第1の回転速度よりも遅い第2の回転速度に設定したときであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記封止部材検知手段は、前記現像装置における静電容量を検知し、
前記制御手段は、前記封止部材検知手段が検知した静電容量が閾値以下であれば、前記封止部材ありと判断し、前記封止部材検知手段が検知した静電容量が前記閾値を超えていれば、前記封止部材なしと判断することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像装置を前記現像剤担持体と前記像担持体とが当接した第1の位置と、前記現像剤担持体と前記像担持体とが離間した第2の位置に移動させる移動手段を有し、
前記制御手段は、前記移動手段により前記現像装置を前記第2の位置に移動させ、前記封止部材検知手段による検知を行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回転量検知手段は、前記モータの回転部に形成されたFGパターンによって出力されるFG信号のパルス数を検知することにより、前記モータの回転量を検知することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記回転量検知手段は、前記モータに取り付けられたエンコーダの出力信号から、前記モータの回転量を検知することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−109065(P2013−109065A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252468(P2011−252468)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】