説明

画像形成装置

【課題】本発明の目的は、現像装置に回収した転写残トナーを、再度現像工程に使用しても、現像スリーブの長手方向における濃度ムラやかぶりなどの画像不良がなく小型化可能な画像形成装置を提供することである。
【解決手段】ドラムに形成された潜像をトナー像に現像するとともに転写後にドラムに残留したトナーを回収する現像装置4は、トナーとキャリアとを備える現像剤を収容する現像容器4aと、現像剤を担持してドラムとは逆方向に回転する現像スリーブ4bを有し、現像容器4aは、現像スリーブから現像剤を回収する現像剤回収室4hと、現像スリーブに現像剤を供給する現像剤供給室4iとに分けられ、現像剤回収室4hは、現像スリーブのドラムとの最近接位置より現像スリーブの回転方向下流側に設けられ、現像剤供給室4iは、現像スリーブのドラムとの最近接位置より現像スリーブの回転方向上流側であって現像剤回収室4hより下流側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写後の像担持体に残余する現像剤(トナー)を現像装置において現像と同時に像担持体から回収して再利用するようにしたクリーナーレス方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転写型の電子写真方式を用いた複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置は、回転駆動されるドラム型を一般的とする像担持体である感光体を有する。そして、その感光体を所定の極性・電位に一様に帯電処理する帯電装置(帯電工程)、帯電処理された感光体に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置(露光工程)を有する。また、感光体上に形成された静電潜像を現像剤であるトナーによりトナー像として顕像化する現像装置(現像工程)、上記トナー像を感光体面から転写媒体としての紙などの記録材(転写材)に転写する転写装置(転写工程)を有する。更に、転写工程後の感光体上に多少ながら残余するトナー(残留現像剤、転写残トナー)を除去して感光体面を清掃するクリーニング装置(クリーニング工程)、記録材上のトナー像を定着させる定着装置(定着工程)などを有する。
【0003】
そして、感光体は繰り返して上記の電子写真プロセス(帯電・露光・現像・転写・クリーニング)が適用されて作像に供される。
【0004】
感光体の帯電装置としては、スコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用した非接触式の帯電方式に代わり、近年は、接触帯電方式が主流になりつつある。これは、導電性の帯電部材(主には導電性ローラを用いた帯電ローラ)を感光体などの像担持体に直接接触あるいは近接させ、帯電部材に帯電電圧を印加して像担持体を所定の極性・電位に一様に帯電する方式である。接触帯電方式は、大容量の高圧電源を必要としないため、コストや装置の小型化の面で有利であると共に、放電によるオゾンの発生もコロナ帯電方式に比べて非常に微量に抑えることが可能である。
【0005】
転写工程後の感光体上に残余するトナーは、クリーニング装置により感光体の表面から除去され、クリーニング装置内に回収されて廃トナーとなる。しかし、環境保全や資源の有効利用などの点から、このような廃トナーが出ないことが望ましい。
【0006】
そこで、特許文献1〜5に記載のように、クリーニング装置を廃し、転写工程後の感光体上の転写残トナーを現像装置において「現像同時クリーニング」で感光体上から除去・回収し、再利用するようにしたクリーナーレス方式の画像形成装置が提案されている。
【0007】
現像同時クリーニングは、転写工程後の感光体上の転写残トナーを、次工程以降の現像工程時に現像装置に回収する。即ち、転写残トナーが付着した感光体を引き続き帯電、露光して静電潜像を形成する。この静電潜像の現像工程時にかぶり取りバイアスによって、感光体の表面に残余した転写残トナーのうち、現像されるべきでない部分(非画像部)上に存在する転写残トナーを感光体から除去し、現像装置に回収する方法である。かぶり取りバイアスは、現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差Vbackである。
【0008】
この方式によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて次工程以降の静電潜像の現像に再利用されるため、廃トナーをなくし、又メンテナンス時に手を煩わせることも少なくすることができる。又、クリーナーレスであることで画像形成装置の小型化にも有利である。
【0009】
転写工程後の感光体上の転写残トナーを現像装置で除去・回収するクリーナーレス方式の画像形成装置において、転写残トナー中に帯電極性が正規極性とは逆極性に反転しているトナーが存在している場合、感光体上から現像装置に除去・回収できない。そして、その転写残反転トナーが感光体上を連れ回るため、帯電不良やかぶりなどの画像不良の原因となる虞がある。
【0010】
転写残トナー中に帯電極性が正規極性とは逆極性に反転しているトナーが発生する原因としては、現像剤としてのトナーに量的には少ないけれどもその帯電極性がもともと逆極性に反転しているトナーが混在している場合が存在するためである。更に帯電極性が正規極性のトナーであっても転写バイアスや剥離放電等の影響で帯電極性が反転する場合が存在するためである。
【0011】
つまり、感光体上の転写残トナーを現像装置で除去・回収するためには、帯電部を通過して現像部に到達する感光体上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であり、かつその帯電量が現像装置によって感光体上から回収可能なトナー帯電量であることが必要である。
【0012】
また、上記のようなクリーナレスシステムにおいては、感光体と現像装置の現像剤担持体の回転方向が最近接位置において逆方向に回転していることが好適である。なぜなら、同方向に回すと回収された転写残トナーが現像領域を通過して現像装置に回収されるルートとなり、一度回収されたにも関わらず、再度現像してしまい、転写残トナーの回収能力が落ちてしまうからである。
【0013】
特許文献1では、転写残反転トナーの帯電ローラへの付着防止と現像装置での回収のために、転写部と帯電部の間に、感光体上の転写残トナーを正規帯電極性に揃える現像剤帯電制御手段を感光体に当接させて設けている。
【0014】
特許文献5では、転写残トナーの磁気ブラシ帯電部での一時的回収を容易にするために、転写部と帯電部の間に、転写残トナーを除電もしくは感光体の帯電と逆極性に帯電する現像剤帯電制御手段を感光体に当接させて設けている。磁気ブラシ帯電部に一時的に回収された転写残トナーは磁気ブラシにより極性がすべて正規の帯電極性にされて感光体上に逐次に吐き出されて現像装置により現像同時クリーニングで回収される。
【0015】
特許文献2や特許文献4では、転写部と帯電部の間に、転写部から下流方向に転写残トナー均一化手段、トナー帯電量制御手段という帯電補助部材を順次設けている。
【0016】
転写残トナー均一化手段は、転写部で転写されずに感光体上に残留した残留トナー像の画像パターンを分散分布化し、非パターン化する手段である。具体的には、感光体面をブラシなどの摺擦部材で摺擦することで残留現像剤像パターンを掻き崩しあるいは攪乱して現像剤を感光体面に分散分布化する。
【0017】
この転写残トナー均一化手段を設けることで、次の工程であるトナー帯電量制御手段による感光体上の残留トナーの正規極性帯電化処理を安定して実施することが可能となる。また感光体上の残留トナー像の潜像パターンも同時に消去されることで、残留トナー像パターンのゴースト像の発生が防止される。
【0018】
すなわち、例えば、縦ラインパターン画像など転写部で転写しづらい画像の場合、感光体上の転写残トナー量が局所的に多くなる。この時、転写残トナー均一化手段を設けない場合、転写残トナーは均一に分散されることなくトナー帯電量制御手段に運ばれるため、トナー帯電量制御手段で転写残トナーを十分に正規極性帯電化処理することができない。そのために、転写残トナーのパターン、つまり転写工程後に感光体に残留した潜像パターンで次の画像上にゴースト像が発生することがある。
【0019】
よって、転写残トナー均一化手段を設けることにより、トナー帯電量制御手段へと送られる感光体上の転写残トナーは十分に非パターン化されているので、トナー帯電量制御手段により現像装置での回収に適した帯電量に転写残トナーを処理することが可能となる。その結果、現像装置により転写残トナーを効率よく回収することができるので、感光体上に転写残トナーが連れ回ることにより発生する帯電不良・かぶりや、ゴーストなどのない安定した画像を得ることができる。
【0020】
また、2成分現像剤を用いる前記現像装置は、現像剤を収容する容器として、一般的に図18(a)及び図18(b)に示す現像容器41を有している。この現像容器41は、垂直方向に延在する隔壁41cによって現像室(現像剤搬送経路)41aと攪拌室(現像剤搬送経路)41bとに分けられている。
【0021】
現像室41a内には第1の現像剤攪拌搬送部材42が配置され、攪拌室41b内には第2の現像剤攪拌搬送部材43が配置されている。また、隔壁41cの長手方向端部には、現像室41aと攪拌室41bの間で現像剤の通過を許す受け渡し部(現像剤搬送経路)41d,41eが設けられている。第1、第2の現像剤攪拌搬送部材42,43は、現像剤を攪拌しながら搬送して現像容器41内を循環させる。
【0022】
現像容器41の感光体ドラム1に対向する位置には、現像剤担持体としての現像スリーブ44が回転可能に配置されている。現像スリーブ44は、磁界発生手段としてのマグネット45を内蔵している。この現像スリーブ44は、現像容器41の現像室41aに設けられている。感光体ドラム上の転写残トナーは、前記かぶり取りバイアスにより現像スリーブ44に回収され、現像室41aで回収される。そして、回収された転写残トナーは、現像容器41内で再帯電された後、再び現像スリーブ44によって現像領域に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2001−183905号公報
【特許文献2】特開2001−215798号公報
【特許文献3】特開2004−191766号公報
【特許文献4】特開2004−117599号公報
【特許文献5】特開2003−295584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、図18(a)及び図18(b)に示すように、感光体ドラム1と現像スリーブ44の回転方向が最近接位置において逆方向に回転していても、現像装置4に回収された転写残トナーのうち、電荷の小さいトナーが、現像剤攪拌搬送部材42を介してすぐ現像スリーブ44に汲み上げられ、現像工程に使用されてしまう。すなわち、現像装置に回収された転写残トナーは、現像装置内で再度攪拌されて十分に摩擦帯電される前に、現像工程に使用されてしまう。この場合、現像スリーブ44の長手方向における濃度ムラやかぶりなどの画像不良の原因となるおそれがある。
【0025】
そこで本発明の目的は、現像装置に回収した転写残トナーを、再度現像工程に使用しても、現像スリーブの長手方向における濃度ムラやかぶりなどの画像不良がなく小型化可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するため、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体に形成された潜像をトナー像に現像するとともに転写後に前記像担持体に残留したトナーを回収する現像手段と、前記像担持体に現像されたトナー像を転写媒体に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、前記現像手段は、トナーとキャリアとを備える現像剤を収容する収容部と、現像剤を担持して前記像担持体とは逆方向に回転する現像剤担持体と、を有し、前記収容部は、前記現像剤担持体から現像剤を回収する現像剤回収室と、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給室とに分けられ、前記現像剤供給室と前記現像剤回収室は前記現像剤担持体の周面に並設されており、前記現像剤回収室は、前記現像剤担持体の前記像担持体との最近接位置より前記現像剤担持体の回転方向下流側に設けられ、前記現像剤供給室は、前記現像剤担持体の前記像担持体との最近接位置より前記現像剤担持体の回転方向上流側であって前記現像剤回収室より下流側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、現像装置に回収した転写残トナーを、再度現像工程に使用しても、現像剤担持体の長手方向における濃度ムラやかぶりなどの画像不良がなく小型化可能な画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施例の画像形成装置を説明する図。
【図2】第1実施例の現像装置を説明する図。
【図3】画像形成装置の動作シーケンス図である。
【図4】従来の紙間制御タイミングチャート。
【図5】第1実施例の画像形成装置の紙間制御タイミングチャート。
【図6】第1実施例の数100枚画像形成した後の、比較例における現像スリーブ上の現像剤の帯電量分布の測定結果と本実施例における現像スリーブ上の現像剤の帯電量分布を示す図。
【図7】(a)は第2実施例の現像装置を説明する図、(b)は単位ブロック補給の様子を説明する図。
【図8】(a)はインダクタンス方式によるトナー補給を説明するフローチャート図、(b)は第2実施例によるトナー補給を説明するブロック図。
【図9】(a)はインダクタンス濃度信号が所定値以下の場合の、単位ブロック補給数の追加の方法を説明する図、(b)は第2実施例におけるトナーの帯電量推移を示す図。
【図10】第2実施例によるインダクタンスのターゲット変更を説明するフローチャート図。
【図11】(a)は第3、4、5実施例の現像装置を説明する図、(b)は第3実施例におけるトナーの帯電量推移を示す図。
【図12】第4実施例によるトナー補給を説明するブロック図。
【図13】第4実施例によるトナー補給を説明するフローチャート図。
【図14】第4実施例におけるトナーの帯電量推移を示す図。
【図15】第5実施例によるインダクタンスのターゲット変更及び現像剤攪拌搬送部材の回転速度の変更を説明するフローチャート図。
【図16】第5実施例によるトナー補給及び現像剤攪拌搬送部材の回転速度の変更を説明するブロック図。
【図17】第5実施例におけるトナーの帯電量推移を示す図。
【図18】(a)は従来の現像装置を説明する断面図、(b)は従来の現像装置を説明する他の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0030】
〔第1実施例〕
以下、図面を参照して第1実施例を詳細に説明する。
【0031】
図1は、第1実施例に係る画像形成装置の概略構成模型図を示す。本実施例の画像形成装置100は、接触帯電方式、反転現像方式、クリーナーレス方式を採用した電子写真方式のレーザービームプリンタである。
【0032】
《プリンタの全体的概略構成》
先ず、図1を参照して、本実施例のプリンタ100の全体構成について説明する。
【0033】
(a)像担持体
プリンタ100は、像担持体として、回転ドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。本実施例において、ドラム1は、外径が60mmで、帯電特性が負帯電性の有機光導電体(OPC)である。そして、中心支軸(図示せず)を中心に100mm/secのプロセススピード(周速度)をもって矢示の反時計方向に回転駆動される。
【0034】
(b)帯電手段
プリンタ100は、ドラム1の周面を一様に帯電処理する帯電手段2を有する。本実施例において、帯電手段2はドラム1に圧接させた帯電回転体としての導電性・弾性ローラ(以下、帯電ローラと記す)である。
【0035】
この帯電ローラ2をドラム1の軸線方向に並行に配列する。そして、芯金2aの両端部をそれぞれ軸受部材(図示せず)により回転自在に保持させ、押圧ばね2eによってドラム1に向かって付勢している。これにより、帯電ローラ2をドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接させている。帯電ローラ2は、ドラム1の回転に従動して回転する。ドラム1と帯電ローラ2との圧接部(接触部)が帯電部(帯電ニップ部)aである。
【0036】
帯電ローラ2の芯金2aには、電源S1より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加される。これにより、回転するドラム1の表面は、所定の極性・電位に接触帯電処理される。本実施例においては、帯電ローラ2に対する帯電バイアス電圧は、直流電圧Vdcと交流電圧Vacとを重畳した振動電圧である。
【0037】
より具体的には、−600Vの直流電圧Vdcと、周波数1kHz、後述する制御より求められた値のピーク間電圧Vpp、正弦波の交流電圧Vacと、を重畳した振動電圧である。
【0038】
この帯電バイアス電圧により、回転しているドラム1の表面は帯電ローラ2に印加した直流電圧と同じ−600V(暗電位Vd)に一様に接触帯電処理される。
【0039】
帯電ローラ2に印加する交流電圧Vacのピーク間電圧Vppを必要以上に大きくした場合には、帯電ローラ2とドラム1間に過剰な放電(放電電流)を発生し、ドラム上に帯電生成物が付着する。ドラムにゴムブレードなどのクリーニング部材が配設されている画像形成装置では、ドラム上の帯電生成物はクリーニング部材により除去される。しかし、クリーナーレスシステムを採用している画像形成装置では、ドラム1上の帯電生成物を除去することができない。そのためにドラム表面を一様に帯電処理する必要最小限のピーク間電圧(放電電流)に印加電圧を抑えることが望ましい。
【0040】
(c)情報書き込み手段(潜像形成手段)
プリンタ100は、帯電処理されたドラム1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段3を有する。本実施例において、潜像形成手段としての情報書き込み手段3は、半導体レーザーを用いたレーザービームスキャナ(露光装置)である。
【0041】
レーザービームスキャナ3は、パーソナルコンピュータや画像読み取り装置などのホスト装置200からプリンタ100の制御回路101に送られた画像信号に対応して変調されたレーザー光Lを出力する。
【0042】
その出力レーザー光Lで、一様に帯電処理されて回転するドラム1の表面を、露光位置(露光部)bにおいて走査露光(イメージ露光)する。このレーザー走査露光により、ドラム表面のレーザー光Lで照射されたところの電位が低下する。これにより、回転するドラム1の表面には、画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
【0043】
(d)現像手段
プリンタ100は、ドラム1上の静電潜像に従ってトナーを供給し、静電潜像をトナー画像(現像剤像)として反転現像する現像手段4を有する。
【0044】
ここでは、この現像手段4は、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤による磁気ブラシをドラム1に接触させながら現像を行う二成分接触現像方式を採用した現像装置である。
【0045】
図1及び図2(a)に示すように、この現像装置4は、現像剤を収容する収容部としての現像容器4a、現像剤を担持して回転する現像剤担持体としての非磁性の現像スリーブ4bを備えている。現像スリーブ4bは、その外周面の一部を現像装置4の外部に露呈させて、現像容器4a内に回転可能に配置してある。現像スリーブ4b内には、非回転に固定してマグネットローラ4cが挿設されている。現像スリーブ4bに対向して、現像剤コーティングブレード4dが設けられている。
【0046】
後で詳しく説明するが、現像容器4aは、現像スリーブ4bから転写残トナーを回収する現像剤回収室4hと、現像スリーブ4bに現像剤を供給する現像剤供給室4iとに分けられている。この現像容器4aの現像剤供給室4iと現像剤回収室4hは、現像スリーブ4bの周面に並設されている。現像容器4aの現像剤供給室4iと現像剤回収室4hには、それぞれ現像剤を攪拌しながら搬送する現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2が配設されている。
【0047】
また、現像容器4aの現像剤回収室4hの上部には、補給用の二成分現像剤が収容されたトナーホッパー4gが設けられている。このトナーホッパー4gに収容された補給用の現像剤は、補給パイプ4jを介して現像剤補給手段としてのトナー補給スクリュー4kにより現像容器4aに補給される。
【0048】
現像容器4aは、二成分現像剤4eを収容してある。現像容器4a内の二成分現像剤4eは主に非磁性トナーと磁性キャリアとの混合物であり、現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2により攪拌されながら搬送される。トナーは磁性キャリアとの摺擦によりネガ極性に摩擦帯電される。即ち、ここではドラム1の帯電極性と同極性の負に摩擦帯電される。ここでは、磁性キャリアは、抵抗値1011Ωcm、体積平均粒径は40μmである。
【0049】
現像スリーブ4bは、ドラム1との最近接距離(S−Dgap)を350μmに保持してドラム1に近接対向配設される。現像スリーブ4bは、ドラム1との対向部(最近接位置)において、ドラム1の回転方向とは逆方向に回転駆動される。現像スリーブ4b内のマグネットローラ4cの磁力により、現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が現像スリーブ4bの外周面に磁気ブラシ層として吸着保持される。この磁気ブラシ層は、現像スリーブ4bの回転に伴い回転搬送される。そして、現像剤コーティングブレード4dにより所定の薄層に整層され、ドラム1との対向部において、ドラム1の面に対して接触してドラム面を適度に摺擦する。この現像剤の磁気ブラシ層とドラム1との接触部が現像部(現像ニップ部)cである。
【0050】
現像スリーブ4bには、電源S2から所定の現像バイアスが印加される。本実施例において、現像スリーブ4bに対する現像バイアス電圧は、直流電圧Vdcと交流電圧Vacとを重畳した振動電圧である。より具体的には、−450Vの直流電圧Vdcと、周波数8.0kHz、ピーク間電圧Vpp1.8kV、矩形波の交流電圧Vacと、を重畳した振動電圧である。
【0051】
そして、現像部cに搬送された現像剤4e中のトナーが、現像バイアスによる電界によってドラム1の表面に静電潜像に対応して選択的に付着する。これにより、静電潜像がトナー画像として現像される。本実施例の場合、ドラム1の表面の露光明部にトナーが付着して静電潜像が反転現像される。
【0052】
現像部cを通過した現像スリーブ4b上の現像剤薄層は、引き続く現像スリーブ4bの回転に伴い現像容器4a内の現像剤回収室4hに戻される。
【0053】
現像容器4a内に収容された現像剤4eは、現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2の回転によって攪拌されながら搬送される。その際に現像剤4eは、図2(b)に示すように、現像容器4a内の長手方向両側(両端)に設けられた開口部(受け渡し部)71,72を通って、現像剤供給室4iと現像剤回収室4hとの間で矢印d方向に循環搬送される。
【0054】
現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を略一定の範囲内に維持するために、現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度が、例えば、光学式トナー濃度センサ(図示せず)によって検知される。制御手段としての制御回路(CPU)101はその検知情報に応じてトナー補給スクリュー4kを駆動制御して、トナーホッパー4g内の現像剤を現像容器4a内に補給する。現像容器4aに補給された現像剤は、現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2により攪拌される。
【0055】
(e)転写手段・定着手段
プリンタ100は、転写手段として転写装置5を有する。本実施例においては、転写装置5は転写ローラである。転写ローラ5は、ドラム1に所定の押圧力をもって圧接される。その圧接ニップ部が転写部(転写ニップ部)dである。この転写部dに給送機構部(図示せず)から所定の制御タイミングにて転写媒体としての記録材Pが給送される。
【0056】
転写部dに給送された記録材Pは、回転するドラム1と転写ローラ5との間に挟持されて搬送される。その間、転写ローラ5には電源S3からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアスが印加される。ここでは、転写バイアスとして、+2kVの直流電圧Vdcが印加される。これにより、転写部dを挟持搬送されていく記録材Pの表面にドラム1の表面側のトナー画像が順次に静電転写されていく。なお、ここでは転写媒体として記録材を例示して説明したが、転写媒体としての中間転写体を介して記録材に転写する構成であってもよい。
【0057】
転写部dを通ってトナー画像の転写を受けた記録材Pは、ドラム1の表面から順次に分離されて定着装置6へ搬送される。ここでは、定着装置6は熱ローラ定着装置である。記録材Pはこの定着装置6によりトナー画像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
【0058】
(f)クリーナーレスシステム
本実施例のプリンタ100は、所謂、クリーナーレス方式を採用している。すなわち、記録材Pに対するトナー画像転写後のドラム1の表面に残留する転写残トナー(残留トナー)を除去する専用のクリーニング装置を具備していない。
【0059】
転写後のドラム1面上の転写残トナーは、引き続くドラム1の回転に伴い帯電部a、露光部bを通って現像部cに搬送されて、現像装置4により現像同時クリーニングにて除去・回収される(クリーナーレスシステム)。即ち、現像手段としての現像装置4は、ドラム1上に形成された潜像をトナー像に現像するとともに、前回の画像形成工程で残留した転写残トナーを回収する役割を担っている。
【0060】
本実施例において、現像装置4の現像スリーブ4bは、上述のように現像部cにおいてドラム1の表面の進行方向とは逆方向に回転させている。このような現像スリーブ4bの回転は、ドラム1上の転写残トナーの回収に有利である。
【0061】
ドラム1上の転写残トナーは露光部bを通るので、露光工程はその転写残トナー上からなされる。通常は、転写残トナーの量は少ないため、転写残トナー上から露光工程を行うことによる大きな影響は現れない。
【0062】
ただし、前述のように、ドラム1面上の転写残トナーの現像装置4による現像同時クリーニングを効果的に行わせるためには、現像部cに運ばれるドラム上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であることが必要である。かつ、その帯電量が現像装置によってドラムの静電潜像を現像できるトナーの帯電量であることが必要である。反転トナーについてはドラム1上から現像装置4に除去・回収できず、不良画像の原因となってしまう。
【0063】
そこで、帯電補助手段として、転写部dよりもドラム1の回転方向下流側の位置において、ドラム1上の転写残トナーを均一化するための転写残トナー均一化手段(残留現像剤像均一化手段)8を設けている。また、この転写残トナー均一化手段8よりもドラム1の回転方向下流側、且つ、帯電部aよりも上流側の位置において、転写残トナーの帯電極性を正規極性であるネガ極性に揃えるためのトナー帯電量制御手段(現像剤帯電量制御手段)7を設けている。
【0064】
一般的に、転写部dで記録材Pに転写されずにドラム1上に残留した転写残トナーは、反転トナーや帯電量が適切でないトナーが混在している。そこで、転写残トナー均一化手段8により一度転写残トナーを除電する。次いで、トナー帯電量制御手段7で再度転写残トナーを正規極性に帯電処理する。これにより、帯電ローラ2への転写残トナーの付着防止を効果的に成すと共に、現像装置4での転写残トナーの除去・回収を完全に行うことができる。そのため、転写残トナー像パターンのゴースト像の発生も防止される。
【0065】
本実施例では、転写残トナー均一化手段8及びトナー帯電量制御手段7は、適度の導電性を持ったブラシ状部材である。転写残トナー均一化手段8はドラム1の表面との接触部fを形成している。トナー帯電量制御手段7とドラム1の表面は接触部eを形成している。
【0066】
より具体的には、ブラシ部材はレーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維にカーボンや金属粉などの抵抗調整剤を分散させて抵抗値を調整したものである。またブラシ部材としては繊維1本の太さは30デニール以下、植毛密度は7750〜77500本/cm2(5万〜50万本/inch2)以上が好ましい。本実施例では、ブラシ繊維太さ6デニール、植毛密度15500本/cm2(10万本/inch2)、繊維の固定端から自由端までの長さ5mm,ブラシの抵抗値5×10Ω・cmのものを使用した。
【0067】
転写残トナー均一化手段8とドラム1との接触部fの副走査方向(ドラム回転方向)の幅と、トナー帯電量制御手段7とドラム1との接触部eの副走査方向の幅は5mmである。転写残トナー均一化手段8とトナー帯電量制御手段7をドラム1面に対して侵入量1mmとなるように当接させている。また、転写残トナー均一化手段8及びトナー帯電量制御手段7をドラム1面の主走査方向(ドラム軸線方向)に対し、振幅2.5mm,周波数2.0Hzの往復運動を行うようにしている。
【0068】
転写残トナー均一化手段8には、帯電ローラ2に対する印加直流電圧とは逆極性である正極性の直流電圧が電源S5より印加される。トナー帯電量制御手段7には、帯電ローラ2に対する印加直流電圧と同極性の負極性の直流電圧が電源S4より印加されている。
【0069】
具体的には、転写残トナー均一化手段8には+300Vの直流電圧を可変印加しており、トナー帯電量制御手段7には−700Vの直流電圧を可変印加している。
【0070】
転写部dにおいて、記録材Pへのトナー画像転写後にドラム1上に残留する転写残トナーは、転写残トナー均一化手段8とドラム1との接触部fに至り、転写残トナー均一化手段8によりその電荷量が均一化される。
【0071】
更に、転写残トナー均一化手段8で均一化されたドラム面上の転写残トナーは、トナー帯電量制御手段7とドラム1との接触部eに至り、トナー帯電量制御手段7により転写残トナーはその帯電極性が正規極性である負極性に揃えられる。
【0072】
次に、現像工程における転写残トナーの回収について述べる。現像装置4は上述したとおりで、現像と同時に転写残トナーを清掃するクリーナーレス方式である。ドラム1上の転写残トナーが現像装置4に回収されるためのトナー帯電量は、現像時のトナー帯電量とほぼ等しいことが必要である。転写残トナーが適正量であるときには、前記のとおりトナー帯電量制御手段7により転写残トナーの帯電量をコントロールすることが可能である。
【0073】
かくして、上記トナー帯電量制御手段7で正規極性である負極性に帯電処理された転写残トナーの帯電量を、現像装置4によってドラムの静電潜像を現像できる適切な帯電量に制御することで現像装置での転写残トナーの回収も効率的になされる。
【0074】
(g)プリンタの動作シーケンス
次に、上記プリンタ100の動作シーケンスを図3に基づいて説明する。プリンタ100は、上記したように、制御回路101に接続したホスト装置200から入力する電気的な画像情報に対応した画像を記録材Pに形成して出力する。制御回路101は、ホスト装置200と各種の電気的情報信号の授受をする。また制御回路101は、作像機構部の各種プロセス機器類・センサ類から入力する電気的情報信号や各種プロセス機器類への指令信号の処理、所定の作像シーケンス制御を司る。制御回路101は、記憶装置(ROM・RAM)103に格納された制御プログラムや参照テーブルにしたがって制御を実行する。
【0075】
A.ウォーミング動作(前多回転工程)
プリンタ100の始動動作期間(起動動作期間)である。プリンタの主電源スイッチ(不図示)の投入により、プリンタの駆動モータ(不図示)を駆動させてドラム1を回転させ、また所定のプロセス機器のウォーミングを実行させる。駆動モータは、ドラム1、給送機構部、記録材搬送機構部、現像装置4、転写ローラ5、定着装置6などの駆動系を駆動する。
【0076】
B.印字準備回転動作(前回転工程)
プリントスタート信号が入力したときにプリント前動作を実行させる期間であり、諸プロセス機器の画像形成準備動作が行われる。主として、ドラム1の予備帯電、レーザービームスキャナ3の立上げ、帯電バイアスの交流電圧ピーク間電圧Vppの決定、転写バイアスの決定、定着装置6の温度調整などが行われる。
【0077】
この印字準備回転動作はウォーミング動作中にプリントスタート信号が入力したときにはウォーミング動作に引き続いて実行される。プリントスタート信号の入力がないときには、ウォーミング動作の終了後に駆動モータの駆動が一旦停止されてドラム1の回転が停止され、プリンタ100はプリントスタート信号が入力されるまで待機(スタンバイ)の状態に入る。プリントスタート信号が入力すると、前回転工程が実行される。
【0078】
C.画像形成動作
所定の印字準備回転動作が終了すると、引き続いて画像形成動作(プリントジョブ)が開始される。画像形成動作では、所定タイミングで記録材Pの給送、帯電ローラ2によるドラム表面の一様な帯電、ドラム1上に静電潜像を形成する為の画像露光L、トナー現像等が行われる。すなわち、ドラム1に対する画像形成プロセスが実行され、ドラム面に形成されたトナー画像の記録材Pへの転写、定着装置6によるトナー画像の定着処理がなされて画像形成物がプリントアウトされる。
【0079】
連続プリントモードの場合は、上記の画像形成動作が所定の設定プリント枚数分繰り返して実行される。
【0080】
D.紙間
紙間は、連続プリントモードにおいて、先行の記録材の後端部が転写ニップ部dを通過した後、次の記録材の先端部が転写ニップ部dに到達するまでの間の、転写ニップ部dにおける記録材Pの非通紙状態期間である。
【0081】
E.後処理動作(後回転工程)
最後のプリントが終了した後もしばらくの間駆動モータの駆動を継続させてドラム1を回転させ、所定の後処理動作を実行させる期間である。
【0082】
F.待機工程
所定の後処理動作が終了すると、駆動モータの駆動が停止されてドラム1の回転が停止され、プリンタ100は次のプリントスタート信号が入力するまで待機の状態に入る。
【0083】
1枚だけのプリントの場合は、そのプリントの終了後、プリンタ100は後処理動作を経て待機の状態になる。その後、プリントスタート信号が入力すると、プリンタ100は印字準備回転動作に移行する。
【0084】
上記のプリンタの動作シーケンスにおいて、ウォーミング動作時、印字準備回転動作時、後処理動作時、連続プリントモードにおける紙間時が、ドラム回転駆動状態における非画像形成時である。
【0085】
《反転トナー回収制御シーケンス》
前述したように、ドラム1面上の転写残トナーの中には、正規の帯電極性とは逆極性に帯電している反転トナーが含まれ、現像装置4で現像同時クリーニングにて除去・回収できずにドラム1面上を連れ回る。
【0086】
ドラム面上を連れ回るトナー量は、プリント枚数(印字枚数)に伴って更に増加してドラム面上を覆い、やがて帯電ローラ2でドラム1の表面を所望の電位まで帯電処理することができずに帯電不良となり、かぶりなどの画像不良の原因となってしまう。
【0087】
この現象は、プリンタ100の使用量、より具体的には、現像装置4に格納された現像剤の使用量が増加する、即ち画像形成枚数が増加するのに伴ってより顕著になる。これは現像剤の使用量に伴って、現像剤中の磁性キャリアのトナーに対する帯電付与能力が低下し、補給されたトナーを十分に所望の正規極性の帯電量にできないためである。
【0088】
この問題を解決するため、本実施例においては、プリンタ100の画像形成中あるいは画像形成後の任意のタイミングで、ドラム面上に連れ回る反転トナーを現像装置4に回収する。そして、回収した反転トナーを現像装置内で再度磁性キャリアと十分に攪拌して所望の正規極性の帯電量にする反転トナー回収制御シーケンスを実施している。
【0089】
本実施例では、上記の反転トナー回収制御シーケンスを、連続する画像形成の間(所謂紙間)で実施している。
【0090】
図4は比較例としての従来の画像形成装置における紙間制御のタイミングチャートである。
【0091】
図4に示すように、帯電ローラ2に印加している交流電圧(帯電ACとピーク間電圧Vpp)と直流電圧(帯電DC)は、画像形成時と紙間とで同じにしていて、変化はさせていない。
【0092】
現像スリーブ4bに印加している交流電圧(現像AC)と直流電圧(現像DC)も、画像形成時と紙間とで同じにしていて、変化はさせていない。
【0093】
転写残トナー均一化手段8に印加している直流電圧(補助DC1)も、トナー帯電量制御手段7に印加している直流電圧(補助DC2)も、画像形成時と紙間とで同じにしていて、変化はさせていない。
【0094】
一方、図5は本実施例の画像形成装置における紙間制御のタイミングチャートである。本実施例では、制御手段としての制御回路(CPU)101により、帯電手段の帯電条件を画像形成時と非画像形成時(紙間)とで以下のように変更している。
【0095】
具体的には、図5に示すように、帯電ローラ2に印加している交流電圧(帯電ACとピーク間電圧Vpp)は、それぞれ、画像形成時のAC−1、Aに対して、紙間ではAC−2、Bと変化させている。帯電ACの制御は、ピーク間電圧Vppを変化させるものであり、帯電周波数は1kHzと一定である。図5は帯電ACが変更されるタイミング及び実際に変更されるピーク間電圧Vppを併記したものである。
【0096】
現像スリーブ4bに印加している直流電圧(現像DC)と、転写残トナー均一化手段8に印加している直流電圧(補助DC1)は、それぞれ、画像形成時のDC−1、DC−1に対して、紙間ではDC−2、DC−2と変化させている。
【0097】
また、トナー帯電量制御手段7に印加している直流電圧(補助DC2)は、画像形成時のONに対して、紙間ではOFFに変化させている。
【0098】
ここで、本実施例の特徴的な部分である転写残トナーが回収される工程について更に詳しく説明する。
【0099】
前述のように、転写後のドラム1面上の転写残トナーは、引き続くドラム1の回転に伴い帯電部a、露光部bを通って現像部cに搬送されて、現像装置4により現像同時クリーニングにて除去・回収される。
【0100】
従来は、回収された転写残トナーは、現像剤を回収する場所と現像剤を現像スリーブに供給する場所が同じであった。そのため、十分に正規極性であるネガ帯電されていない転写残トナーがすぐに現像スリーブに供給されてしまい、現像剤攪拌搬送部材のピッチ上の濃度ムラが発生したり、さらに再び転写残トナーとなってドラム上を連れまわり、帯電ローラを汚し、長手方向の電位が異なることで長手方向の濃度ムラが発生したり、かぶりトナーとして記録材上に転写されるなどの問題が発生することがあった。
【0101】
そこで、本実施例においては、図2に示すように、現像装置4において、現像剤を収容する現像容器4aが、長手方向に延在する隔壁4nによって、ドラム1から現像剤を回収する現像剤回収室4hと、現像剤を現像スリーブ4bに供給する現像剤供給室4iとに分けられている。
【0102】
現像剤供給室4iには、現像剤を攪拌しながら長手方向一方に向けて搬送する第一攪拌搬送部材としての現像剤攪拌搬送部材4f1が設けられている。現像剤回収室4hには、現像剤を攪拌しながら長手方向他方に向けて搬送する第二攪拌搬送部材としての現像剤攪拌搬送部材4f2が設けられている。また、隔壁4nの長手方向両端部には、現像剤回収室4hと現像剤供給室4iの間で現像剤の通過を許す開口部(受け渡し部71,72が設けられている。従って、各現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2は、現像剤を攪拌しながら搬送して現像容器4a内を矢印d方向に循環搬送させる。
【0103】
そして、前記現像容器4aにおいて、現像剤回収室4hは、ドラム1と現像スリーブ4bの対向部(現像部c)に対して、現像スリーブ4bの回転方向下流側に設けられている。一方、現像剤供給室4iは、ドラム1と現像スリーブ4bの対向部(現像部c)に対して、現像スリーブ4bの回転方向上流側であって現像剤回収室4hより下流側に設けられている。
【0104】
この構成により、現像部cにて回収された転写残トナーは、まず現像剤回収室4hに回収される。そして、現像剤回収室4h内に設けられた現像剤攪拌搬送部材4fにより長手方向一方に向けて攪拌されながら搬送され、長手方向一方の開口部72を介して現像剤供給室4iに送られる。現像剤供給室4iに送られた現像剤は、現像剤供給室4i内に設けられた現像剤攪拌搬送部材4fにより長手方向他方に向けて攪拌されながら搬送され、長手方向他方の開口部71を介して現像剤回収室4hに送られる。そして、現像剤供給室4iの現像剤は、現像スリーブ4bによってドラム1に供給される。
【0105】
このように、ドラムから回収された転写残トナーは、まず現像剤回収室4hに回収され攪拌されながら現像剤供給室4iに送られるため、転写残トナーを十分に攪拌する時間を確保することができ、転写残トナーの帯電付与性を向上することができる。
【0106】
また、現像剤回収室4hに回収された転写残トナーは、攪拌されつつ現像剤供給室4iに至るため、回収された転写残トナーが十分にネガ帯電する前に現像スリーブに供給されるのを防止できる。このため、転写残トナーがネガ帯電する前に現像スリーブに供給されることによる現像剤攪拌搬送部材のピッチ上の濃度ムラが発生したり、更には、再び転写残トナーとなり、ドラム上を連れまわり、帯電器を汚し、長手方向の電位が異なることで濃度ムラが発生したり、かぶりトナーとして記録材上に転写されるなど画像不良を抑制できる。
【0107】
また、現像剤回収室4hと現像剤供給室4iを上下に配置することで、横方向の幅を狭くすることができ、現像装置4を小型化できる。
【0108】
次に、画像形成装置100を数100枚画像形成した後の、比較例としての従来の現像装置での現像スリーブ上の現像剤の帯電量分布の測定結果と、本実施例における現像スリーブ上の現像剤の帯電量分布の測定結果を図6に示す。帯電量は、E−SPART ANALYZER(ホソカワミクロン社製)でトナーの帯電量を測定した。
【0109】
図6に示すように、従来の現像装置では帯電量の絶対値が小さいところで裾が広がっているが、本実施例の現像装置においては、画像形成前の帯電量分布とほぼ重なっていることが分かる。この時、従来の現像装置でベタ画像を形成したところ、現像剤攪拌搬送部材のピッチ上の濃度ムラが発生した。一方、本実施例の現像装置でベタ画像を形成したところ、上記画像不良は発生しなかった。これにより、回収された転写残トナーが現像装置4内で十分に攪拌され、帯電付与された後に現像スリーブに供給されていることが確認できた。
【0110】
上述したように、本実施例によれば、現像装置に回収した転写残トナーを、再度現像工程に使用しても、現像スリーブの長手方向における濃度ムラやかぶりなどの画像不良がなく小型化可能な画像形成装置を提供することができる。
【0111】
〔第2実施例〕
本実施例を説明する画像形成装置の基本構成は、第1実施例と同じであるため、画像形成装置全体の説明は省略する。
【0112】
本実施例においては、画像出力枚数が多くなった時に、キャリア劣化が発生し、十分に帯電しにくい構成になった時の他の実施例について説明する。
【0113】
一般的に、画像形成が繰り返され現像剤が長時間使用されると、キャリアの帯電能力が初期に比べて低下し、所望のトナー帯電量に到達しにくくなるということが言われている。キャリアの帯電能力が低下する原因の一つとして、キャリアに対するトナー付着があげられる。現像装置を駆動させることで、キャリアとトナーは摩擦帯電され所望のトナー帯電量にすることが出来る。しかし、摩擦帯電される際に一部のトナーはキャリアとの摩擦力によって、キャリアに付着してしまうものも存在する。キャリアにトナーが付着してしまうと、キャリアの表面がトナーで覆われるために、キャリアとトナーが接する確率が減少し、結果としてキャリアの帯電能力が低下してしまう。キャリアに付着し易いトナーが一定の割合でトナーに存在していると、現像器内に補給されたトナー総量が多い方、即ち画像比率が高い状況や出力枚数が多い状況になるとキャリアの帯電能力は低下し易い状況になってしまう。また、このように現像剤寿命末期においては、平均的なトナー帯電量が下がり気味となり、かぶりが発生しやすいと言う問題があった。さらに、クリーナーレスを用いた画像形成装置においては、転写残トナーが現像装置で回収されるため、この状況が顕著に発生しやすいことが分かっている。
【0114】
また、現像剤回収室4hと現像剤供給室4iを上下に配置することで、横方向の幅を狭くすることが出来、現像装置4を小型化出来るメリットを最大限発揮するためには、出来るだけ、画像形成周りの部品を少なくすることがコストダウンの面からも望ましい。
【0115】
そこで、本実施例においては、現像剤4eのトナー濃度の制御をインダクタンスのみを用いて制御し、平均的なトナー帯電量を増加させ、かぶりが発生しないように、画像形成枚数に応じて、インダクタンスの基準信号Vrefを変更している。
【0116】
以下に本実施例における補給制御を図7(a)を用いて説明する。本実施例においては、トナー濃度を制御するために、インダクタンス検知方式を用いている。インダクタンス検知方式は、現像装置4内の現像剤の透磁率からトナー濃度を検知する方法であり、トナー濃度検知手段(インダクタンスセンサ)4lを図7(a)に示す位置に配置している。そして、図7(b)に示すように、制御回路(CPU)101が、トナー濃度検知手段4lによるトナー濃度信号と予め記憶された初期基準信号とを比較する。そして、その比較結果に基づいてトナー補給スクリュー4kの駆動時間(トナー補給スクリュー駆動手段111を駆動する時間)を補正する制御方式である。
【0117】
尚、本実施例においては、トナー補給スクリュー4kの回転時間は、図8(a)に示すように、予め定められた所定単位時間の整数倍の中からのみ選択される方式を用いている(単位ブロック補給)。
【0118】
つまり、本実施例の場合、1単位ブロック当りのトナー補給スクリュー4kの回転時間は0.4secに設定されている。このため、一画像当りでのトナー補給スクリュー4kの回転時間は0.4sec、若しくは、この整数倍に限定される。図8(b)に具体的なトナー供給の様子を示す。
【0119】
例えば、上記インダクタンス検知結果から換算テーブルを通して求められたトナー補給スクリュー4kの回転時間が0.52secだったとする(ステップS11,S12,S13)。この場合、次の画像形成動作において一画像当りに供給される単位ブロック補給数は1個(トナー補給スクリュー4kの回転時間は0.4sec)となり(ステップS14)、残りの0.12sec分のトナー供給は、余り分として保存される(ステップS15)。そして、次回以降のインダクタンス検知結果から求められるトナー補給スクリュー4kの回転時間に加算される(ステップS16)。このようにして、単位ブロック補給数ごとのトナー補給が行われる(ステップS17)。以上の処理のフローを図8(a)に示す。
【0120】
図8(a)及び図8(b)に示すように、トナー補給スクリュー4kの回転時間を所定単位時間の整数倍のみに限定することの利点としては、1回1回のトナー補給量が安定することが挙げられる。
【0121】
インダクタンス検知結果から求められるトナー補給スクリュー4kの回転時間にそのまま従ってトナー補給を行うと、基準信号値とインダクタンス検知結果の差分が小さい場合、その回転時間は非常に短くなる。回転時間が短いと、トナー補給スクリュー4kを駆動する駆動モータの立ち上がり時間、及び立ち下り時間の影響が大きくなり、トナー補給量が安定しないという問題がある。
【0122】
そこで、本実施例のように常にトナー補給スクリューの駆動時間を一定の回転時間とすることで、トナー補給量が安定する。
【0123】
以下に具体的な補給制御方法を示す。インダクタンス検知はリアルタイムで検知しており、常に、現像剤4eのトナー濃度を確認することが出来る。ここで、現在のインダクタンスの濃度信号Vsigとする。この濃度信号Vsigと予めメモリに記録されている基準信号Vrefと比較する。
【0124】
Vsig−Vref<0の場合は、インダクタンス検知濃度が低い、即ち、現像剤濃度が低いと判断される。そして、VrefとVsigの差分から必要なトナー補給量が決定され、そのトナー補給量に対応するトナー補給スクリューの回転時間が決定される。
【0125】
Vsig−Vref≧0の場合は、インダクタンス検知濃度が高い、即ち、現像剤濃度が高いと判断される。そして、VrefとVsigの差分から不要なトナー量が決定され、そのトナー量に対応するトナー補給スクリュー4kの停止時間が決定される。
【0126】
このように、VsigがVrefよりも小さい場合、トナーを補給するようにし、VsigがVref以上(基準信号以上)の場合、トナー補給を停止するように制御を行う。これにより、トナー濃度のずれを修正することが可能となる。
【0127】
なお、インダクタンス検知の検知結果からトナー補給スクリュー4kの回転時間を増やす場合、即ち、単位ブロック補給数を追加する場合は、図9(a)に示すように画像1枚当たり4ブロックまでしか追加しないようにしている。
【0128】
つまり、インダクタンス検知モードの検知結果から単位ブロック補給数を10ブロック追加する場合、これを一度に追加するのではなく、画像1枚当たり最大4ブロックずつ追加していき、補給回数を数回に分けて追加補正が完了するようにする。このような制御を行うことにより、現像装置内のトナー濃度が急激に上昇してかぶりや飛散が発生することを抑制することができる。
【0129】
次に、キヤノン製の複写機の現像装置を改造した改造機を用いて、A4用紙に画像比率10%の横帯画像を300k枚まで画像形成したときのトナー帯電量の推移を図9(b)に示す。
【0130】
図9(b)に破線(比較例)で示すように、Vrefが一定のままであると、画像形成枚数が増加するに伴い、トナー帯電量が減少していることが分かる。そこで本実施例においては、図10に示すように、40k枚でVrefを現像剤の濃度が低くなるように変更し(ステップS21,S22,S23)、80k枚でVrefを現像剤の濃度がさらに低くなるように変更している(ステップS24,S25,S26)。
【0131】
Vrefの変更量としてはトナー濃度に換算して0.5%から2%程度変更することが好適である。あまりに変更規模が小さいとトナー帯電量を増加させることが出来ず、また、変更規模を大きくすると、トナー濃度が低くなりすぎ、現像性の悪化や、キャリア付着などの問題が発生することがあるからである。その結果、平均的なトナー帯電量を増加させ、かぶりが発生しない現像装置を提供できた。
【0132】
ここで、本実施例においては上記のように制御を行ったが、キャリアの帯電能力の低下はほぼこれまでに使用されたトナー総量に比例するので、Vrefの変更タイミングは画像比率によって異なることは言うまでもない。例えば上記例では画像比率10%であったが、仮に画像比率が20%であった場合には、画像形成枚数が同じ場合はトナー総量が約2倍となるため、Vrefの変更タイミングを2倍速くすれば良い。
【0133】
上述したように、本実施例によっても、現像装置に回収した転写残トナーを、再度現像工程に使用しても、現像スリーブの長手方向における濃度ムラやかぶりなどの画像不良がなく小型化可能な画像形成装置を提供することができる。
【0134】
〔第3実施例〕
次に第3実施例を図11(a)に基づいて説明する。尚、図11(a)は、本実施例に係る現像装置4のスクリュー軸方向に垂直な方向の断面図である。
【0135】
本実施例を説明する画像形成装置の基本構成は、前述した第1、2実施例と同じであるため、画像形成装置全体の説明は省略する。
【0136】
本実施例においては、所謂ACR構成を採用していることが特徴である。ACR構成とは、現像剤回収室4hの上流側に余剰の現像剤を排出するための現像剤排出口4mを有する。現像容器4a内の現像剤の最上位面が所定の高さ以上になったときに、その余剰現像剤が排出口4mを乗り越えて容器外に排出される。排出された余剰現像剤は、余剰現像剤搬送部材(図示しない)によって搬送されて、余剰現像剤格納部(図示しない)に格納される。
【0137】
画像形成動作によって、トナーのみが消費されると、現像容器4aの内部には、トナーホッパー4gによって補給用現像剤が供給されるが、現像容器4a中の現像剤はキャリアの分だけ少しずつ増加していくため、現像剤が次第に余剰になる。現像剤が余剰になると、現像剤の最上位面の高さが高くなるため、上記排出口4mから溢れ出して排出される。現像剤の供給と排出が繰り返されることで、使用初期から充填されるキャリアが入れ替わる速度は、補給用現像剤中のトナーとキャリアの比率(C/D)に依る。本実施例においてはC/D=15%ととした。
【0138】
次に、前述した第2実施例と同様にキヤノン製の複写機の現像装置を改造した改造機を用いて、A4サイズの用紙に画像比率10%の横帯画像を300k枚まで画像形成したときのトナー帯電量の推移を図11(b)に示す。図11(b)において、ACR構成を採用しているため、破線で示す比較例では、ほぼ100k枚画像形成をした辺りでトナーの帯電量が下限で飽和していることが分かる。しかし、帯電量が落ちているためにかぶりの懸念は残ってしまう。そこで、本実施例においても、前述した第2実施例と同様に、40k枚でVrefを現像剤のトナー濃度が低くなるように変更し、80k枚でVrefを現像剤のトナー濃度がさらに低くなるように変更している。これにより、さらに平均的なトナー帯電量を増加させ、長期間かぶりが発生しない現像装置を提供できた。
【0139】
ここで、本実施例においては上記のように制御を行ったが、第2実施例で述べたようにキャリアの帯電能力の低下はほぼこれまでに使用されたトナー総量に比例するので、Vrefの変更タイミングは画像比率によって異なることは言うまでもない。例えば上記例では画像比率10%であったが、仮に画像比率が20%であった場合には、画像形成枚数が同じ場合はトナー総量が約2倍となるため、Vrefの変更タイミングを2倍速くすれば良い。
【0140】
上述したように、本実施例によっても、現像装置に回収した転写残トナーを、再度現像工程に使用しても、現像スリーブの長手方向における濃度ムラやかぶりなどの画像不良がなく小型化可能な画像形成装置を提供することができる。
【0141】
〔第4実施例〕
本実施例を説明する画像形成装置の基本構成は、前述した第1実施例と同じであるため、画像形成装置全体の説明は省略する。
【0142】
本実施例においては、画像比率が異なる時の、転写残トナーの量だけ補給されるトナー量を減らし、現像装置4内に入ってくるトナー量をほぼ同等にすることで現像装置内のトナー帯電量を常時同等にしている。
【0143】
例えば、1次転写効率が画像比率によらずほぼ一定の場合においては、画像比率が高いほど、転写残トナー量は多く存在し、現像装置4に多く回収される。仮に、黒ベタ形成時のドラム上に現像されるトナー量が0.7mg/cm2、1次転写効率が95%であった場合、A4サイズ(21×29.4mm)の用紙で画像比率が100%の時は、0.7×21×29.4=432mgのトナーが現像され、21.6mgが転写残トナーとしてドラムに残り、現像装置4に回収される。また、画像比率が10%の時は、2.16mgの転写残トナーが現像装置4に回収される。
【0144】
この時、各々の画像比率に応じた転写残トナー分を補給量から差し引くことで、画像比率によらず、現像装置4内に供給されるトナー量がほぼ一定となる。すなわち、現像装置4に回収されるトナー量と、現像装置4に補給されるトナー量の総量が、画像比率によらず、ほぼ一定となる。これにより、現像装置4内のトナーの帯電確率が同等となるため、トナー帯電量が同等となる。
【0145】
ここで、転写効率の変化を確認する手段を以下に述べる。図1に示す転写部dで1次転写された後、ドラム上に残った転写残トナー量を光学反射光量検知方式の転写残量検知センサ(残量検知手段)105により検知する。転写残量検知センサ105はドラム上に転写残トナーがほとんどいない状況では、ほとんどが正反射してセンサに光が戻ってくるので検知値が大きく、転写残トナーが多く存在する時には、トナーにより乱反射成分が増えるためセンサに戻ってくる光の量が少なくなり検知値が小さくなる特性を持っている。
【0146】
次に、図12に上記補給量を調整するための制御系のブロック図、図13に上記補給量調整をするためのフローチャートを示す。画像形成がスタートすると(ステップS31)、まず画像比率検知手段113により出力物の画像比率を算出する(ステップS32)。それとほぼ同時にトナー濃度検知手段4lにより現像装置4内のトナー濃度を検知する(ステップS33)。この画像比率とトナー濃度から、現像装置4に対する現像剤の補給量が算出される(ステップS34)。一方、転写残量検知センサ105によりドラム1上の転写残トナー量を検知する(ステップS35)。上記画像比率とトナー濃度から算出されたトナー補給量から、転写残量検知センサ105が検知した転写残トナー量を差し引いた量を、実際のトナー補給量とし(ステップS36)、現像装置4にトナーを補給する(ステップS37)。これらの制御を行うことで、常に現像装置4内に入ってくるトナー量がほぼ一定になるので、トナーのキャリアに対する接触確率が同等となり、トナー帯電量が低下することを防止することができる。
【0147】
さらに、画像形成枚数が増加すると、キャリアの帯電能力が低下し、トナー帯電量が落ちやすくなる傾向にあるため、転写効率が低下してしまう。そのため、転写残トナーが増加し、現像装置4内に過剰にトナー補給が行われ、トナー帯電量が安定せず、突発的にかぶりや飛散、或いは濃度変動が起こってしまうことがあった。そこで、上記のような補給量の調整を行うことでトナー帯電量を安定させることができる。
【0148】
次に、図14に上記補給量の調整を行った場合のトナー帯電量推移、及び上記補給量の調整を行わなかった場合のトナー帯電量推移を示す。上記補給量の調整を行わなかった場合(破線で示す比較例)のトナー帯電量推移は、平均化すると、本実施例とほとんど変わらない推移を示しているが、部分的に見ると、トナー帯電量が上下に大きく変動していることが分かる。これは、転写残トナーの量を補給時に計算していないため、現像装置4内のトナー濃度が大きく変動して起こってしまう。特に、調整したいTD比(トナーとキャリアの比率)よりも現像装置4内のトナー濃度が低い場合は、顕著にトナー帯電量が低下してしまう。例えば、トナー濃度を10%に調整する時、現像装置内のTD比が10%以下であった場合、画像比率から求められた補給量よりも多く補給を行う。さらに、転写残トナー分も含めると、想定以上の補給量となり、トナー帯電量が想定以上に低下してしまう。この場合、突発的にかぶりが悪化してしまう。また、画像形成枚数が増加すると、キャリアの帯電能が低下してしまうため、更に帯電量が大きく変動しやすくなる。このように画像形成枚数が増加した際には、さらにかぶりが悪化したり、濃度低下してしまう。そこで、本実施例における転写残トナーを加味した補給量に調整することで、帯電量の変動幅を小さくすることができるため、あるタイミングでのかぶり悪化や濃度変動を抑制することができた。
【0149】
上述したように、本実施例によっても、現像装置に回収した転写残トナーを、再度現像工程に使用しても、現像スリーブの長手方向における濃度ムラやかぶりなどの画像不良がなく小型化可能な画像形成装置を提供することができる。
【0150】
〔第5実施例〕
本実施例においても、本実施例を説明する画像形成装置の基本構成は、前述した第1実施例と同じであるため、画像形成装置全体の説明は省略する。
【0151】
本実施例においては、近年求められている高速化対応について説明する。前述した実施例1、2、3、4においては、100mm/secのプロセススピード(周速度)であったが、本実施例においては、高速化に伴い、400mm/secのプロセススピードに設定されている。ドラムを高速で回転させるため、現像スリーブ4b及び現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2も高速で回転させる必要がある。少なくとも現像スリーブ4bはドラム1に対して100〜250%で回転させることが現像性に対して好適である。本実施例においては、現像スリーブ4bはドラム1に対して200%で回転させている。このような現像装置4においては、回収された転写残トナーの現像装置4内で回収されてから現像スリーブ4bに供給されるまでの時間が約1/4となるため、画像形成枚数が増えるに連れ、キャリアの帯電能が低下してトナー帯電量が低下することがある。
【0152】
そこで、本実施例においては、図15に示すように、第3実施例で行ったVrefの変更タイミング(ステップS43,S47)で現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2の回転速度を遅くするようにしている(ステップS44,S48)。こうすることで、現像装置4内に滞在する転写残トナーの時間を長くし、十分にネガ帯電させることを満足させている。仮に、初めから現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2の回転速度を遅くすると、トナーが過剰帯電となってしまい、現像性の低下やキャリア付着などの問題が発生する懸念がある。本実施例においては、現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2は現像スリーブ4bに対して150%で回転させている。
【0153】
なお、図16は、上記速度制御を行う制御系のブロック図である。トナー濃度検知手段4lの検知信号は制御回路(CPU)101に送られる。制御回路(CPU)101はトナー補給スクリュー駆動手段111の駆動を制御してトナー補給スクリュー4kを制御し、現像剤攪拌搬送部材駆動手段112の駆動を制御して現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2を制御する。このように、本実施例では、トナー補給スクリュー4kと現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2とは別駆動である。
【0154】
図17に比較例のインダクタンスの基準信号Vref変更制御なし、第3実施例のインダクタンスの基準信号Vref変更制御あり、本実施例のインダクタンスの基準信号Vref変更と現像剤攪拌搬送部材の速度ダウン制御あり時のトナー帯電量推移を示す。
【0155】
第3実施例の制御を投入すると、トナー帯電量の低下は良くはなるが、トナー帯電量の上昇幅が少なくなっているため、画像形成枚数が増えた時のかぶりの懸念は拭い切れない。更に速度をアップすると、さらにトナー帯電量の上昇幅が少なくなり、かぶりが悪化する可能性が高くなる。そこで、本実施例の特徴である現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2の回転速度を現像スリーブ4bに対して、40k枚で150%から125%とし、80k枚で125%から100%にし、転写残トナーの現像装置4内に存在する時間を増加させる。こうすることで、トナー帯電量を増加させることができ、かぶりが発生しない現像装置を提供できた。
【0156】
この時、現像剤の循環バランスを著しく変えてしまう速度まで現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2の速度を遅くしてしまうと、現像装置4内の現像剤4eの量が相対的に端部集中してしまい、回転がロックしてしまうおそれがある。本実施例における現像装置においては現像剤攪拌搬送部材4f1,4f2の速度を現像スリーブ4bの70%程度までの速度低下に抑えれば、前述の回転ロックの問題は発生しなかった。また、第4実施例の制御(転写残トナー量を加味した補給量の調整)を加えることで、かぶりが発生しないだけでなく、トナー帯電量が安定し、突発的にかぶりが悪化したり、濃度低下が発生することも無かった。
【0157】
また、第2、3実施例と同様にキャリアの帯電能低下はほぼこれまでに使用されたトナー総量に比例するので、現像剤攪拌搬送部材4fの速度変更タイミングは画像比率によって異なることは言うまでもない。例えば上記例では画像比率10%であったが、仮に画像比率が20%であった場合には、画像形成枚数が同じ場合はトナー総量が約2倍となるため、現像剤攪拌搬送部材の変更タイミングを2倍速くすれば良い。
【0158】
上述したように、本実施例によっても、現像装置に回収した転写残トナーを、再度現像工程に使用しても、現像スリーブの長手方向における濃度ムラやかぶりなどの画像不良がなく小型化可能な画像形成装置を提供することができる。
【0159】
〔他の実施形態〕
なお、前述した実施例の画像形成装置で用いた感光体(ドラム)の材質、現像剤および画像形成装置の構成等はこれらに限ったものではなく、本発明が様々な現像剤および画像形成装置に適用可能であることは言うまでもない。具体的にはトナーの色や色数、各色のトナー現像を行う順序、現像剤担持体の本数等は本実施例に限定されるものではない。
【0160】
さら、現像装置の構成に関して、前述した実施例では、現像剤回収室4hと現像剤供給室4iは上下に配置した構成を例示したが、現像剤回収室4hと現像剤供給室4iが水平に配置された現像装置であっても本発明は適用可能である。或いは、その他の形態の現像装置において現像終了後の現像剤が現像剤回収室に回収され、所定の経路を通過して現像剤供給室から現像スリーブに現像剤を供給する工程の現像装置であっても本発明は適用可能である。
【0161】
また前述した実施形態では、画像形成装置の一形態としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であってもよい。これらの画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0162】
P …記録材
1 …ドラム
2 …帯電ローラ
4 …現像装置
4a …現像容器
4b …現像スリーブ
4c …マグネットローラ
4d …現像剤コーティングブレード
4e …二成分現像剤
4f1,4f2 …現像剤攪拌搬送部材
4g …トナーホッパー
4h …現像剤回収室
4i …現像剤供給室
4k …トナー補給スクリュー
4l …トナー濃度検知手段
4m …排出口
4n …隔壁
5 …転写ローラ
6 …定着装置
7 …トナー帯電量制御手段
8 …転写残トナー均一化手段
71,72 …開口部
100 …プリンタ
101 …制御回路
103 …記憶装置
105 …転写残量検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体に形成された潜像をトナー像に現像するとともに転写後に前記像担持体に残留したトナーを回収する現像手段と、前記像担持体に現像されたトナー像を転写媒体に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、
前記現像手段は、トナーとキャリアとを備える現像剤を収容する収容部と、現像剤を担持して前記像担持体とは逆方向に回転する現像剤担持体と、を有し、
前記収容部は、前記現像剤担持体から現像剤を回収する現像剤回収室と、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給室とに分けられ、前記現像剤供給室と前記現像剤回収室は前記現像剤担持体の周面に並設されており、
前記現像剤回収室は、前記現像剤担持体の前記像担持体との最近接位置より前記現像剤担持体の回転方向下流側に設けられ、前記現像剤供給室は、前記現像剤担持体の前記像担持体との最近接位置より前記現像剤担持体の回転方向上流側であって前記現像剤回収室より下流側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤供給室には現像剤を攪拌しながら前記現像剤担持体の長手方向一方に向けて搬送する第一攪拌搬送部材が設けられ、前記現像剤回収室には現像剤を攪拌しながら前記現像剤担持体の長手方向他方に向けて搬送する第二攪拌搬送部材が設けられ、前記収容部の内部の長手方向両側に設けられた受け渡し部を介して現像剤が循環搬送されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記収容部に現像剤を補給する現像剤補給手段と、
前記収容部の現像剤のトナー濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段が検知した濃度信号と、予め設定された現像剤の補給量の基準信号との差分に応じて、前記現像剤補給手段の駆動時間、停止時間を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記濃度信号が前記基準信号より小さい場合はトナーを補給するようにし、前記濃度信号が前記基準信号以上の場合はトナー補給を停止するように制御を行い、
画像形成枚数が増加するのに応じて、現像剤のトナー濃度を低くするように、前記基準信号を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像手段は、前記収容部に収容した現像剤の最上位面が所定の高さ以上になった場合に前記現像剤を排出するための排出口を前記収容部に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記収容部に現像剤を補給する現像剤補給手段と、
前記現像剤補給手段を制御する制御手段と、
出力物の画像比率を検知する画像比率検知手段と、
前記収容部の現像剤のトナー濃度を検知する濃度検知手段と、
前記像担持体に残留した転写残トナーのトナー量を検知する残量検知手段と、を有し、
前記画像比率と前記トナー濃度から算出された現像剤の補給量から、前記転写残トナーのトナー量を差し引いた量を、前記現像剤補給手段による現像剤の補給量とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤担持体と前記攪拌搬送部材が別駆動であり、
画像形成枚数が増加するのに応じて、前記現像剤担持体の回転速度に対する前記攪拌搬送部材の回転速度を低下させることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−15671(P2013−15671A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148319(P2011−148319)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】