説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、清掃サイクルを別途設定することなく除電手段を清掃すること。
【解決手段】中間転写ベルト31上に担持されたトナー像を用紙Sに転写するための2次転写ローラ35と、転写ローラ35によってトナー像が転写された用紙Sの電荷を除電するための除電部材40と、転写ローラ35を中間転写ベルト31に対して圧接/離間させるとともに、除電部材40を用紙Sの搬送経路に対して近接/退避させる駆動手段(支持部材36,カム37)と、除電部材40の搬送経路からの退避時に除電部材40を清掃するための清掃部材45と、を備えた画像形成装置。除電部材40の近接/退避動作は転写ローラ35の圧接/離間動作と同期している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式によるカラーの画像形成装置では、感光体上に形成された各色ごとのトナー像を中間転写ベルトに1次転写して合成し、該中間転写ベルトから被転写材に2次転写している。2次転写では、中間転写ベルト上のトナー(通常はマイナス帯電)に2次転写部材から逆極性の電界を印加して被転写材に転写している。このような2次転写においては、多色に混在するトナー(帯電量のばらつき)、被転写材の様々な種類や厚み(抵抗値)、温度や湿度の環境条件などを考慮し、適正なバイアス電圧値に制御している。
【0003】
しかし、条件によっては被転写材にトナーを引き付けるのに必要以上の電荷が残留する場合がある。この場合、被転写材に在留した電荷によって、被転写材が中間転写ベルトから剥離せずに該ベルトに巻き付いてしまう(紙詰まりの発生という)不具合や、剥離しても剥離時の放電によって画像ノイズが発生する不具合を生じていた。このような不具合は、低湿度環境や、被転写材が薄紙や再生紙である場合に発生しやすい。
【0004】
このため、図12に示すように、中間転写ベルト131と対向する2次転写ローラ135に近接して用紙Sの搬送方向Bの下流側に除電部材140を配置し、除電部材140に2次転写電圧とは逆極性の電圧及び/又は交流電圧を印加し、用紙Sに付与された余分な電荷を消去するようにしている。しかしながら、除電部材140は、紙粉や浮遊トナー、放電生成物が尖端(放電箇所)に付着していくことによって除電性能が次第に劣化し、紙詰まりや異常放電による画像ノイズが発生することがある。しかも、除電の確実性のためにバイアス電圧を高めに設定することから、汚れの付着度合いが大きく、除電能力の劣化は不可避である。
【0005】
そこで、従来では、除電性能の劣化を防止するために、除電部材の尖端に付着した汚れを清掃する手段が種々講じられている。例えば、特許文献1には、清掃部材を手動で動作させる機構が開示されている。特許文献2には、清掃部材を除電部材の長辺方向に自動的に移動させて清掃する機構が開示されている。特許文献3には、清掃部材を除電部材の短辺方向に自動的に又は手動で移動させて清掃する機構が開示されている。
【0006】
しかしながら、従来の清掃機構では、自動/手動に拘わらず、除電部材の清掃には通常の画像形成動作とは別に清掃動作を実行する必要があり、これでは画像形成の生産性が低下してしまう。清掃動作は定期的に行う必要があり、1回の清掃時間を短くして頻度を多くするか、1回の清掃時間を長くして頻度を少なくするか、の方法が取られている。いずれにしても清掃中は画像形成処理が停止/中断されるので、生産性が犠牲になる。
【0007】
さらに、常に除電部材の尖端がむき出し状態であるために汚れやすく、損傷しやすい。例えば、紙詰まり時には被転写材上の未定着トナーが2次転写部で飛散することが多く、除電部材の汚れが加速される。また、詰まった被転写材の取出し処理時や転写部材の交換時に、被転写材やユーザの手が除電部材の尖端に接触し、尖端が曲がったり折れたりし、あるいは、ユーザの手が傷ついたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−45958号公報
【特許文献2】特開平9−190051号公報
【特許文献3】特開平8−211751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、清掃サイクルを別途設定することなく除電手段を清掃できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態である画像形成装置は、
像担持体上に担持されたトナー像を被転写材に転写するための転写手段と、
前記転写手段によってトナー像が転写された被転写材の電荷を除電するための除電手段と、
前記転写手段を前記像担持体に対して圧接/離間させるとともに、前記除電手段を前記被転写材の搬送経路に対して近接/退避させる駆動手段と、
前記除電手段の前記搬送経路からの退避時に該除電手段を清掃するための清掃手段と、
を備え、
前記除電手段の近接/退避動作は前記転写手段の圧接/離間動作と同期すること、
を特徴とする。
【0011】
前記画像形成装置において、除電手段は、転写手段の像担持体への圧接/離間動作と同期して搬送経路に対して近接/退避し、退避時に清掃手段によって清掃される。画像形成装置の通常の制御において、1ジョブの画像形成処理が終了すると、あるいは、周知の画像安定化制御が開始されると、転写部材(2次転写部材)は像担持体(中間転写ベルト)から離間される。このタイミングで除電手段が清掃されるため、清掃サイクルを別途設定する必要がなくなる。
【0012】
ところで、本明細書で、除電手段の動作が転写手段の動作に同期するとは、転写手段の圧接/離間動作と前記除電手段の近接/退避動作とが同時に行われること、または、除電手段の近接/退避動作が転写手段の圧接/離間動作に若干のタイムラグを有して行われること、を意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、清掃サイクルを別途設定することなく除電手段を清掃できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の概略構成図である。
【図2】第1実施例を示し、(A)は2次転写ローラの圧接時を示す正面図、(B)は2次転写ローラの離間時を示す正面図である。
【図3】除電部材と清掃部材を示し、(A)は搬送経路への近接時を示す斜視図、(B)は退避(清掃)時を示す斜視図である。
【図4】第2実施例を示す正面図である。
【図5】第3実施例を示し、(A)は2次転写ローラの圧接時を示す正面図、(B)は2次転写ローラが離間し除電部材が近接している状態を示す正面図、(C)は2次転写ローラが離間し除電部材が退避している状態を示す正面図である。
【図6】第4実施例を示す制御回路のブロック図である。
【図7】第4実施例を示す制御手順のフローチャート図である。
【図8】清掃部材の変形例1を示し、(A)は組立て前の状態を示す説明図、(B)は組み立てた状態を示す説明図である。
【図9】清掃部材の変形例2を示す説明図である。
【図10】清掃部材の変形例3を示す説明図である。
【図11】第5実施例を示し、(A)は2次転写ローラの圧接時を示す正面図、(B)は2次転写ローラの離間時を示す正面図である。
【図12】従来の除電部材の取付け構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。各図においては、同じ部材、部分について共通する符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
(カラー画像形成装置の概略構成、図1参照)
本発明が適用される一例としてのカラー画像形成装置は、図1に示すように、タンデム方式の電子写真プリンタであり、概略、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色のトナー画像を形成するためのプロセスユニット10(10y,10m,10c,10k)と、中間転写ユニット30にて構成されている。
【0017】
プロセスユニット10は、それぞれ、感光体ドラム11、帯電チャージャ12、現像器13、LEDによる画像露光器14などを配置したもので、画像露光器14から照射される光によってそれぞれの感光体ドラム11上に描画される静電潜像を現像器13で現像して各色のトナー画像を形成する。中間転写ユニット30は、矢印A方向に無端状に回転駆動される中間転写ベルト31を備え、各感光体ドラム11と対向する1次転写ローラ32から付与される電界にて、各感光体ドラム11上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト31上に1次転写して合成する。なお、このような電子写真法による画像形成プロセスは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0018】
装置本体の下部には、被転写材(以下、用紙と称する)を1枚ずつ給紙する自動給紙ユニット50が配置され、用紙は給紙ローラ51からタイミングローラ52を経て、前記中間転写ベルト31と2次転写ローラ35とのニップ部に搬送され、2次転写ローラ35から付与される電界にてトナー画像(合成カラー画像)が2次転写される。その後、用紙は定着ユニット55に搬送されてトナーの加熱定着を施され、装置本体の上面に配置されたトレイ部56に排出される。
【0019】
以上の構成からなるカラープリンタにおいて、中間転写ベルト31からトナー像を用紙に2次転写する2次転写ローラ35の用紙搬送方向下流側には除電部材40が配置され、本発明はこの除電部材40の清掃手段に関する。以下に、その実施例について説明する。
【0020】
(第1実施例、図2及び図3参照)
第1実施例は、図2(A)に示すように、2次転写ローラ35及び用紙Sの搬送方向Bの下流側に配置した除電部材40を支持部材36で保持したもので、支持部材36は矢印C方向に図示しないコイルばねなどで弾性的に付勢され、かつ、カム37によって位置規制されている。カム37は支軸38を支点として回転駆動可能とされている。支持部材36は2次転写ローラ35の軸部35aに当接しており、かつ、腕部36aで除電部材40を保持している。
【0021】
支持部材36は絶縁材からなる。2次転写ローラ35にはトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧(通常、トナーはマイナス帯電であり、ローラ35にはプラスの電圧)が印加される。除電部材40は、図3(A)に示すように、搬送方向Bとは直交する方向に配置された複数の鋸歯状の尖端を有する除電針であって、2次転写部の下流側で用紙Sに対して転写電圧とは逆極性(前述のように2次転写電圧がプラスであればマイナス)の電圧及び/又は交流電圧を印加する。このような電圧印加によって、用紙Sの余分な電荷が消去され、用紙Sが中間転写ベルト31から確実に剥離されることを実現し、かつ、異常放電による画像ノイズの発生を防止している。
【0022】
一方、除電部材40(特に、その尖端)には放電生成物や紙粉、浮遊トナーなどが付着し、徐々に除電性能が劣化していく。そこで、除電部材40に対する清掃部材45が配置されている。この清掃部材45は、除電部材40を上下方向から挟み込むように、図示しない通紙ガイド板、本体フレームなどに位置が固定された状態で設置されている。清掃部材45は、除電部材40から払拭したよごれを内部に取り込むものであり、ブラシや発泡材を好適に用いることができる。ウレタンゴム、繊布、不織布、ラッピングペーパなどであってもよい。
【0023】
ここで、2次転写ローラ35のベルト31に対する圧接/離間動作と、清掃動作(除電部材40の搬送経路に対する近接/退避動作)について説明する。
【0024】
プリント動作時において、2次転写ローラ35はカム37の大径部37aが支持部材36に当接することによって、図2(A)のごとく左方に位置規制され、所定の圧力でベルト31に圧接している。同時に、除電部材40もその尖端が清掃部材45から突出し、搬送経路に近接している。この状態で、2次転写ローラ35はトナー像を用紙Sに2次転写させ、除電部材40は転写直後の用紙Sを除電する。
【0025】
プリントの1ジョブが終了すると、次のプリント動作までの待機期間において、カム37は180°回転しており、支持部材36は矢印C方向に移動して小径部37bに当接し、図2(B)に示すように、2次転写ローラ35はベルト31から離間した状態を保持する。同時に、除電部材40も矢印C方向に退避し、尖端が清掃部材45内に収容されることで、汚れが清掃部材45にて払拭される(図3(B)参照)。次のプリントジョブが指令されると、カム37がさらに180°同方向に回転(逆転でもよい)され、前記とは逆の動作を伴って、2次転写ローラ35はベルト31に圧接し、除電部材40は搬送経路に近接する。即ち、図2(A)に示す状態に復帰する。
【0026】
また、カラープリンタにおいては、各色の画像のレジスト合わせや各色のトナー濃度の調整などを自動的に行う画像安定化制御が所定のサイクルで実行される。このような画像安定化制御においても、2次転写ローラ35は中間転写ベルト31から離間され、同時に除電部材40も清掃されることになる。
【0027】
以上の動作において、除電部材40は、2次転写ローラ35の中間転写ベルト31への圧接/離間動作と同時に搬送経路に対して近接/退避し、退避時に清掃部材40によって清掃される。カラープリンタの通常の制御において、1ジョブのプリント処理が終了すると、あるいは、画像安定化制御が開始されると、2次転写ローラ35は中間転写ベルト31から離間される。このタイミングで除電部材40が清掃されるため、清掃サイクルを別途設定する必要がなくなる。
【0028】
例えば、1回3秒間の清掃時間を設ける場合、1分間にx枚のプリントが可能な装置では、清掃動作によって損失するプリント枚数はx−(x/60)×3秒=0.95x枚となり、つまり、5%の生産性の低下となる。本第1実施例でこのような生産性の低下を生じることがない。
【0029】
また、第1実施例では、2次転写ローラ35と除電部材40とは、同一の支持部材36に固定されており、2次転写ローラ35の圧接/離間動作と除電部材40の近接/退避動作とが同時に行われる。それゆえ、簡単な構成からなり、生産性を低下させることはなく、かつ、清掃回数を多くできるために除電部材40を常時清浄な状態に保つことができる。例えば、500枚のプリントごとに1回の清掃動作を行う場合、除電部材40の寿命が500,000枚であるとすると、1,000回の清掃動作となる。本第1実施例では、1ジョブの終了ごとに清掃を行うので、例えば、1ジョブで10枚プリントする場合は50,000回の清掃を行うことになり、実に50倍の清掃動作を実行することになる。
【0030】
また、除電部材40はその退避時には清掃部材45によって覆い隠される(図2(B)、図3(B)参照)。これにて、例えば、紙詰まり時などに発生する飛散トナーによる除電部材40の汚染を回避でき、紙詰まりを処理する際にユーザの手が除電部材40の尖端に接触することもない。
【0031】
なお、除電部材40としては、搬送方向Bとは直交する方向に配置された複数の鋸歯状の尖端を有する除電針を示したが、これに限定することはなく、複数の針状(ワイヤ)が搬送経路に向かって突出した除電針であってもよい。
【0032】
(第2実施例、図4参照)
第2実施例を図4に示す。前記第1実施例では、2部材からなる清掃部材45で除電部材40を上下方向から挟み込む形態を示したが、図4に示すように、除電部材40を絶縁材からなる支持部材36の腕部36a上に取り付け、清掃部材45を上から除電部材40に押さえつけるように配置してもよい。清掃部材45はこの場合も位置固定されている。
【0033】
本第2実施例は、清掃部材45を1部材で構成したものであり、その動作や作用効果は前記第1実施例と同様である。
【0034】
(第3実施例、図5参照)
本第3実施例は、図5(A)に示すように、支持部材36を三つのセグメント36b,36c,36dで構成し、それぞれをピン36eで連結したものである。セグメント36bは2次転写ローラ35の支軸35aに当接し、セグメント36cはセグメント36b,36dを連結するとともにカム37に当接し、セグメント36dは除電部材40を保持している。
【0035】
本第3実施例では、2次転写ローラ35と除電部材40とが連係しつつ独立的に動作する。即ち、プリント動作時において、カム37の大径部37aがセグメント36cに当接することによって、図5(A)に示すように、セグメント36b,36dは左方に位置規制されている。これにて、2次転写ローラ35は所定の圧力でベルト31に圧接し、除電部材40はその尖端が清掃部材45から突出し、搬送経路に近接している。この状態で、2次転写ローラ35はトナー像を用紙Sに2次転写させ、除電部材40は転写直後の用紙Sを除電する。
【0036】
プリントの1ジョブが終了すると、まず、カム37はほぼ30°時計回り方向に回転する(図5(B)参照)。これにて、セグメント36cはカム37の中段部37cに当接し、ほぼ45°に傾斜する。これにて、セグメント36bが矢印C方向に移動し、2次転写ローラ35はベルト31から離間した状態を保持する。セグメント36dは移動することがなく、除電部材40は搬送経路への近接位置を保持する。さらに、カム37が時計回り方向に(図5(A)の状態から180°)回転すると、セグメント36cはカム37の大径部37bに当接する。このとき、セグメント36bの位置は変化せず、2次転写ローラ35は離間状態を保持する。一方、セグメント36cと一体的に除電部材40が矢印C方向に移動(退避)し、尖端が清掃部材45内に収容されることで、汚れが清掃部材45にて払拭される(図5(C)参照)。
【0037】
次のプリントジョブが指令されると、カム37が180°逆転され、前記とは逆の動作を伴って、2次転写ローラ35が離間位置にあるときに、除電部材40が近接動作し、その後、2次転写ローラ35が圧接動作を行う。これにて、2次転写ローラ35及び除電部材40が図5(A)に示す状態に復帰することになる。
【0038】
また、画像安定化制御の開始時においても同様の動作が行われる。
【0039】
本第3実施例での清掃動作やその作用効果は前記第1実施例と基本的には同様である。特に第3実施例では、清掃部材45からこぼれた汚れによって2次転写ローラ35が汚損することを防止することができる。即ち、清掃部材45は2次転写ローラ35の直上に位置するため、除電部材40から清掃部材45に移動した汚れが清掃部材45から下方にこぼれ落ち、2次転写ローラ35が汚損されるおそれがあり、このような汚損を防止することが好ましい。
【0040】
本第3実施例では、除電部材40は2次転写ローラ35が離間動作した後に退避動作を行い、清掃される。つまり、図5(C)に示す状態で汚れが清掃部材45の先端から下方にこぼれ落ちても、2次転写ローラ35の脇を落下するのみであり、2次転写ローラ35が汚損されることはない。
【0041】
同様に、除電部材40は2次転写ローラ35が圧接動作する前に近接動作を行う。近接動作時にも清掃部材45の先端から汚れが下方にこぼれ落ちることがある。この場合も、2次転写ローラ35は退避位置にあるため、汚損されることがない。
【0042】
(第4実施例、図6及び図7参照)
本第4実施例は、前記図5に示した装置を使用し、用紙Sの累積搬送枚数(つまり、プリント枚数)が所定の枚数に達するごとに、除電部材40の近接/退避動作(清掃動作)を行うようにしたものである。
【0043】
本第4実施例では、図6に示すように、カラープリンタの全体を制御するCPU60にプリント枚数をカウントし、累積プリント枚数を記憶する記憶手段61を設け、この記憶手段61の情報によって前記カム37を駆動するモータMを制御する。1ジョブ終了ごとや画像安定化制御では、2次転写ローラ35のみを圧接/離間動作させる。除電部材40を動作させる所定の累積プリント枚数とは、例えば、1000枚である。
【0044】
図7に示すように、1ジョブのプリント処理が続行され(ステップS1でNO、ステップS2)、1ジョブのプリント処理が終了すると(ステップS1でYES)、累積プリント枚数をチェックする(ステップS3)。累積プリント枚数が1000を超えていなければ、カム37を約30°回転させる(ステップS4)。これにて、2次転写ローラ35のみが中間転写ベルト31から離間する。累積プリント枚数が1000枚以上であれば(ステップS3でYES)、カム37を180°回転させる(ステップS5)。これにて、2次転写ローラ35がベルト31から離間し、かつ、除電部材40が退避し、清掃が行われる。ステップS4,S5を処理した後、カム37が逆転されるのは、次のプリントジョブが指令されたときである。
【0045】
本第4実施例のごとく、除電部材40を累積プリント枚数が所定の枚数に達するごとに、近接/退避動作(清掃動作)を行うように制御することにより、除電部材40が所定の周期で清掃され、過剰な清掃動作による除電部材40のへたりや折れ、折れ曲がりなどの変形、損傷を回避できる。
【0046】
(清掃部材の変形例、図8〜図10参照)
前記清掃部材45は除電部材40に圧接する部材であり、この圧接部材は除電部材40の尖端側よりも反対側を相対的に強く圧接することが好ましい。つまり、尖端側よりも反対の後端側の清掃力を高く設定することにより、除電部材40から拭き取った汚れを清掃部材45の内部に取り込みやすくなり、汚れが清掃部材45の外にこぼれ出て2次転写ローラ35や機内を汚損することが極力回避される。しかも、除電部材40が搬送方向Bとは直交する方向に配置された複数の鋸歯状又は針状の除電針からなり、該除電針は搬送経路に対向する尖端を有するものである場合、尖端が清掃部材45に刺さるおそれがある。しかし、除電部材40が搬送経路に近接する方向に対する清掃部材45の圧力を低く設定することにより、尖端の変形、損傷の危険性を回避できる。
【0047】
除電部材40の尖端側よりも反対側を相対的に強く圧接するようにした清掃部材の変形例1は、図8(A)に示すように、直方体形状の清掃部材45a,45bを上下方向に対向させ、清掃部材45bの剛性を有する保持板46を傾斜させて後端部分を強く清掃部材45aに圧接させる(図8(B)参照)。
【0048】
清掃部材40の変形例2は、図9に示すように、直方体形状の清掃部材45aに対して、尖端側に載せた清掃部材45bよりも後端側に載せた清掃部材45cの剛性度を高くしたものである。
【0049】
清掃部材45はブラシ状であってもよい。ブラシを清掃部材として用いる場合、除電部材40の尖端側よりも反対側を相対的に強く圧接させるには、尖端側よりも反対側のブラシ密度を高くしたり、尖端側よりも反対側のブラシ繊度を高くすればよい。あるいは、図10に示す変形例3のごとく、ブラシ45dの毛足を尖端側よりも反対側で短くしてもよい。
【0050】
(第5実施例、図11参照)
第5実施例は、除電手段として、図11(A)に示すように、用紙Sの搬送方向Bとは直交する方向に配置されたコロナ放電を行うワイヤ41を用いたものである。除電ワイヤ41を取り付けたシールド板42は図示しないが2次転写ローラ35を保持する支持部材(例えば、図2に示した支持部材36)に保持されている。それゆえ、除電ワイヤ41は2次転写ローラ35のベルト31に対する圧接/離間動作と同期して搬送経路に近接/退避する。一方、清掃部材45は位置固定状態に配置され、退避した除電ワイヤ41を挟み込み、その汚れを払拭する(図11(B)参照)。2次転写ローラ35及び除電ワイヤ41の動作は前記第1実施例あるいは第3実施例のいずれであってもよい。
【0051】
なお、本発明に係る画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0052】
特に、前記各種実施例では、2次転写部を用紙が垂直方向に搬送される形態を示したが、2次転写部を用紙が水平方向に搬送される形態であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、電子写真方式による画像形成装置に有用であり、特に、清掃サイクルを別途設定することなく除電手段を清掃できる点で優れている。
【符号の説明】
【0054】
10…プロセスユニット
31…中間転写ベルト
35…2次転写ローラ
36…支持部材
37…カム
40…除電部材
41…除電ワイヤ
45…清掃部材
60…CPU
61…記憶手段
S…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に担持されたトナー像を被転写材に転写するための転写手段と、
前記転写手段によってトナー像が転写された被転写材の電荷を除電するための除電手段と、
前記転写手段を前記像担持体に対して圧接/離間させるとともに、前記除電手段を前記被転写材の搬送経路に対して近接/退避させる駆動手段と、
前記除電手段の前記搬送経路からの退避時に該除電手段を清掃するための清掃手段と、
を備え、
前記除電手段の近接/退避動作は前記転写手段の圧接/離間動作と同期すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写手段と前記除電手段とは、同一の支持部材に固定されており、前記転写手段の圧接/離間動作と前記除電手段の近接/退避動作とが同時に行われること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記清掃手段は前記転写手段の直上に位置し、前記除電手段は前記転写手段が離間動作した後に退避動作を行うこと、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃手段は前記転写手段の直上に位置し、前記除電手段は前記転写手段が圧接動作する前に近接動作を行うこと、を特徴とする請求項1又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記被転写材の累積搬送枚数を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記除電手段は前記累積搬送枚数が所定の枚数に達するごとに、近接/退避動作を行うこと、
を特徴とする請求項1、請求項3又は請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記除電手段はその退避時には前記清掃手段によって覆い隠されること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記除電手段は、前記搬送方向とは直交する方向に配置されたコロナ放電を行うワイヤからなること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記除電手段は、前記搬送方向とは直交する方向に配置された複数の鋸歯状又は針状の除電針からなり、該除電針は搬送経路に対向する尖端を有すること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記清掃手段は前記除電針に圧接する部材を有し、該圧接部材は前記尖端側よりも反対側を相対的に強く圧接すること、を特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記清掃手段は、ブラシ状をなし、前記尖端側よりも反対側のブラシ密度が高いこと、を特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記清掃手段は、ブラシ状をなし、前記尖端側よりも反対側の毛足が短いこと、を特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記清掃手段は、ブラシ状をなし、前記尖端側よりも反対側のブラシ繊度が高いこと、を特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−33116(P2013−33116A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168856(P2011−168856)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】