画像形成装置
【課題】現像装置の現像剤担持体の汚れを清掃部材を採用することなく簡易に清掃できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置について、その現像剤担持体の清掃制御部が設けられており、清掃制御部は、画像情報の履歴のもとで現像剤担持体の累積汚れ度合いを求め、累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、累積汚れ度合に応じた現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を像担持体1上に形成させ、該静電潜像を現像装置に現像させて現像剤担持体を清掃する画像形成装置。
【解決手段】画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置について、その現像剤担持体の清掃制御部が設けられており、清掃制御部は、画像情報の履歴のもとで現像剤担持体の累積汚れ度合いを求め、累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、累積汚れ度合に応じた現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を像担持体1上に形成させ、該静電潜像を現像装置に現像させて現像剤担持体を清掃する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置に関係しており、特に、画像形成装置に用いる現像装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置において像担持体に形成される静電潜像を今日主流の乾式現像剤を用いて現像する現像装置は、現像剤の面からみると、トナーを主体とする所謂1成分現像剤を用いる1成分現像装置と、トナー及びキャリアを主体とする所謂2成分現像剤を用いる2成分現像装置が知られている。
【0003】
これら1成分現像装置、2成分現像装置のいずれの場合でも、現像装置は現像剤を担持して前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、この現像剤担持体には、トナーを現像剤担持体から静電潜像現像のために像担持体へ移行させる現像電界を形成するための現像バイアスが印加される。
【0004】
現像バイアスとしては、1成分現像装置、2成分現像装置のいずれの現像装置であれ、現像効率を向上させるために、交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスを採用する場合がある。特に、画像形成装置の高速化が求められる場合には、このような現像バイアスが採用される傾向にある。
【0005】
2成分現像装置では現像剤担持体に内蔵した磁界発生体の作用で現像剤を現像剤担持体の表面に磁気ブラシの態様で保持し、現像域へ搬送するので、現像剤担持体と像担持体は現像間隙をおいて離されている。
【0006】
一方、1成分現像装置では、現像バイアスとして直流電圧が採用される場合は、現像剤担持体は通常像担持体に接触配置されるが、交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスが採用される場合は、現像剤担持体と像担持体は現像間隙をおいて離されるのが一般的である。
【0007】
いずれにしても、交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスが採用される場合、今日の画像形成装置の高速化の要求等に応じるために、現像効率を向上させるべく、重畳させる交流成分のピークツーピーク電圧Vpp及び/又は周波数は高く設定されようとする。その結果、問題が生じてくる。このことを図10に示す2成分現像装置を例にとって説明する。
【0008】
図10に示す2成分現像装置4は、現像剤Dを収容する現像ハウジング40と、現像ハウジング40に設けられた回転駆動可能のスリーブの形態の現像ローラー(現像剤担持体の例)41と、現像ローラー41に内蔵された磁界発生体42と、現像ローラー41に臨む現像剤規制部材43を含んでいる。
【0009】
現像装置4はさらに、現像ハウジング40内の現像剤Dを搬送しつつ現像ローラー41へ全体的に分配する、回転駆動される現像剤搬送部材441を含んでいる。
現像剤搬送部材441は図10に示すように現像ローラー41に回転中心軸線を並べて配置されるのが一般的である。
【0010】
図示例では、現像剤搬送部材441と並行にもう一本の現像剤搬送部材442が配置されている。現像剤搬送部材442は、現像剤流通孔を両端部(図面において手前側及び奥側の端部)に形成した隔壁400を間にして現像剤搬送部材441と並行に配置されており、両者で現像剤を往復循環搬送しつつ現像ローラー41へ分配するようになっている。
【0011】
磁界発生体42は、現像ハウジング40内の現像に供する現像剤を現像ローラー41表面上に吸着する一方、現像に供されずに現像ローラー41上に吸着されたまま現像ハウジング40内へ戻ってくる現像剤を現像ローラー41から分離させる低磁力域LMを提供するための、複数の磁極を有する磁界発生体である。
【0012】
磁界発生体42における磁極は、それとは限定されないが図10の例では、現像剤Dを現像ローラー41へ吸い上げるキャッチ極S2、規制部材43に対応する位置にある規制極N2、規制部材43を通過した現像剤を像担持体1上の静電潜像を現像する現像域Daへ向け搬送するための搬送極S1、現像域Daに対応する現像極N1及び前記キャッチ極S2との間に反撥磁界を形成して前記低磁力域LMを形成する現像剤分離極S3を有している。
【0013】
磁界発生体42の磁力により現像ローラー41表面に吸着される現像剤は、現像ローラー41の回転により摩擦力の作用下に現像剤規制部材43が現像ローラー41に臨む現像剤量規制間隙へ搬送され、そこで所定量に規制されて静電潜像現像域Daへ搬送され、静電潜像担持体1上の静電潜像の現像に供される。
【0014】
現像域Daで消費されずに現像ローラー41に保持されたまま現像ハウジング40へ戻ってくる現像剤は、低磁力域LMで現像ローラー41から剥落する。
【0015】
ところが、現像バイアスとして交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスが採用され、現像効率を上げるために交流成分のピークツーピーク電圧Vpp及び/又は周波数が高く設定されると、電界の向きが微小時間で変化することになり、図11に示すように現像ローラー41と像担持体1間のトナーは、微小時間で観察すると微振動する。
【0016】
トナーとキャリアは摩擦帯電して相互に吸着しているのであるが、このようにトナーが微振動すると、トナーとキャリアはそれだけ離れやすくなり、像担持体1に近接したが現像に供されずに現像ローラー41上に吸着されたまま現像ハウジング40内へ戻ってくる現像剤を低磁力域LMで現像ローラー41から分離させるとき、一部のトナーがキャリアから分離し、該キャリアのみ現像ローラー41から離れ、該トナーはそのまま現像ローラー41に残ることがある。
【0017】
このように現像ローラー41上に残るトナーが現像ローラー41上に蓄積されていくと、これが所謂スリーブ汚れなどと称される現像剤担持体(本例では現像ローラー41)汚れとなる。
【0018】
このような現像剤担持体(本例では現像ローラー41)汚れが発生してくると、汚れを発生させているトナーの電荷による見かけ上の現像バイアスの増加及び/又は現像剤担持体上の単位面積当たりのトナー量の増加の影響等により、同じ現像バイアスを印加しても現像剤担持体汚れが発生していないときと比較すると、現像形成されるトナー像における前記汚れ対応部分における画像濃度が高くなる。そのため、濃度が均一であるべき画像を出力した際に、現像剤担持体汚れに応じて画像が濃くなる画像濃度むらが発生する。
【0019】
この点、例えば、特開平7−191552号公報(特許文献1)には、2成分現像装置において、現像剤担持体(内蔵磁界発生体に外嵌している現像スリーブ)に対して部分的に接触しながら回転する清掃部材を設け、且つ、該清掃部材の内部に磁気部材を配置し、現像剤を現像域へ供給するに先だって、該清掃部材で現像剤担持体上の2成分現像剤を一端剥がしとることが記載されている。
【0020】
また、特開2000−66503号公報(特許文献2)には、2成分現像装置において現像剤担持体の表面にトナーが残り難いように該表面にトナーの帯電極性と同極性のコート層を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平7−191552号公報
【特許文献2】特開2000−66503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、特許文献1記載の現像装置では、磁気部材を内蔵した清掃部材を現像剤担持体に対し接触配置しなければならず、特許文献2記載の現像装置では、現像剤担持体の表面にトナーの帯電極性と同極性の、清掃部材の1種と言えるコート層を形成しなければならず、いずれも、現像装置がコスト高となったり、或いはさらに構成が複雑化したりする。
【0023】
そこで本発明は、像担持体、前記像担持体表面を帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置及び前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視トナー像を形成する現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、前記画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において現像間隙をおいて該像担持体に臨み、現像剤を担持して該像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、電界形成装置により該現像剤担持体と該現像剤担持体が臨む前記像担持体との間に直流成分と交流成分を重畳させた現像電界が形成されることで前記静電潜像を現像する直流交流重畳バイアス型現像装置である画像形成装置であって、前記直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて、現像剤担持体のトナー汚れを格別な清掃部材を採用することなく簡易に清掃でき、それだけ画像濃度むらが抑制された画像を形成できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は前記課題を解決するため、
像担持体、前記像担持体表面を帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置及び前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視トナー像を形成する現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、
前記画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において現像間隙をおいて該像担持体に臨み、現像剤を担持して該像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、電界形成装置により該現像剤担持体と該現像剤担持体が臨む前記像担持体との間に直流成分と交流成分を重畳させた現像電界が形成されることで前記静電潜像を現像する直流交流重畳バイアス型現像装置である画像形成装置であり、
前記直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて該現像装置の現像剤担持体の清掃制御部が設けられており、
前記清掃制御部は、該現像装置により現像すべき静電潜像形成のための画像情報に応じて予め定められた前記現像剤担持体のトナーによる汚れ度を用いて該現像装置により現像すべき静電潜像形成のための前記画像情報の履歴のもとでの該現像剤担持体の累積汚れ度合いを求めるとともに、前記累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に該累積汚れ度合に応じた前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃する画像形成装置を提供する。
【0025】
本発明に係る画像形成装置は像担持体、帯電装置、露光装置及び現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は前記直流交流重畳バイアス型現像装置であり、該直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて該現像装置の現像剤担持体の清掃制御部が設けられている。
【0026】
この清掃制御部は、現像装置により現像すべき静電潜像形成のための前記画像情報の履歴のもとでの現像剤担持体の累積汚れ度合いを求めるとともに、該累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に該累積汚れ度合に応じた前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃する。
【0027】
このように本発明に係る画像形成装置によると、直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについては、従来のように格別な清掃用部材を要することなく、現像剤担持体のトナー汚れを簡易に清掃でき、延いてはそれだけ画像濃度むらが抑制された画像を形成できる。
【0028】
本発明に係る画像形成装置は、モノクロ画像形成装置で一般的に見られるように、前記画像形成部を一つ備えているものでもよく、複数備えているものでもよい。前記画像形成部を複数備えた画像形成装置としては、例えば、所謂タンデム型やサイクル型のカラー画像形成装置を例示できる。
【0029】
タンデム型画像形成装置は、回転駆動される中間転写体と、該中間転写体に沿って順次配置された複数の画像形成部とを備えており、該各画像形成部は該中間転写体に臨んで回転駆動される像担持体を含んでおり、該像担持体に担当色に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を担当色トナーが割り当てられた現像装置で現像してトナー像を形成し、該トナー像を1次転写装置で該中間転写体に1次転写し、該1次転写にて中間転写体上にモノクロトナー像又は2色以上のトナー像からなる多重トナー像を形成し、該1次転写トナー像を2次転写装置で記録紙等の記録媒体へ2次転写し、定着させることができる画像形成装置である。
【0030】
サイクル型画像形成装置は、像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を静電潜像現像域へ移動可能の複数の現像装置のうち該静電潜像に応じた担当色トナーを保持した現像装置で現像してトナー像を形成し、該トナー像を中間転写体に1次転写することで、該中間転写体上にモノクロトナー像又は2色以上のトナー像からなる多重トナー像を形成し、該中間転写体上のトナー像を記録媒体へ2次転写し、定着させることができる画像形成装置である。
【0031】
サイクル型画像形成装置では像担持体は通常一つであるが、複数の画像形成部において共通に用いられている、ととらえることができる。
【0032】
前記直流交流重畳バイアス型現像装置を含む画像形成部が一つあるだけの場合は、その現像装置を前記清掃制御部で現像剤担持体のトナー汚れを清掃できるものとすればよいが、そのような現像装置を含む画像形成部が複数ある場合は、そのうち一つ又は2以上を前記清掃制御部で現像剤担持体のトナー汚れを清掃できるものとすればよい。
【0033】
前記清掃制御部のより具体的な例として次のものを上げることができる。すなわち、
前記画像情報の履歴を把握するにあたり、前記現像剤担持体を該現像剤担持体表面移動方向を横切る幅方向に複数範囲に分割し、分割した複数範囲のそれぞれについての画像情報履歴を把握し、該各画像情報履歴について前記現像剤担持体の累積汚れ度合いを求め、前記分割された複数範囲のいずれかの累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に、前記現像剤担持体の各分割範囲についてその累積汚れ度合い状態に応じて前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃するものである。
【0034】
いずれにしても、前記清掃制御部は、例えば、前記画像情報履歴を前記像担持体への前記露光装置による露光情報に基づいて把握することができる。
【0035】
この場合、前記清掃制御部としては、例えば、前記露光装置による露光情報を印字率として把握し、前記画像情報履歴として該印字率の履歴を採用し、前記画像情報に応じて予め定められた現像剤担持体のトナーによる汚れ度として該印字率と該印字率に応じて予め定めた現像剤担持体のトナー汚れ度を採用するものを挙げることができる。
【0036】
また、前記清掃制御部は、前記露光装置による露光情報を印字率として把握し、前記画像情報履歴として該印字率の履歴を採用し、前記画像情報に応じて予め定められた現像剤担持体のトナーによる汚れ度として該印字率と該印字率に応じて予め定めた現像剤担持体のトナー汚れ度を採用し、前記現像剤担持体の累積汚れ度合いを求めるにあたっては、画像形成枚数も考慮にいれ、画像形成枚数にも応じた累積汚れ度合いとして求めるものでもよい。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように本発明によると、像担持体、前記像担持体表面を帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置及び前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視トナー像を形成する現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、前記画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において現像間隙をおいて該像担持体に臨み、現像剤を担持して該像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、電界形成装置により該現像剤担持体と該現像剤担持体が臨む前記像担持体との間に直流成分と交流成分を重畳させた現像電界が形成されることで前記静電潜像を現像する直流交流重畳バイアス型現像装置である画像形成装置であって、前記直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて、現像剤担持体のトナー汚れを格別な清掃部材を採用することなく簡易に清掃でき、それだけ画像濃度むらが抑制された画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る画像形成装置例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御回路を概略的に示すブロック図である。
【図3】現像装置の現像スリーブへ印加する現像バイアス電位の波形例を示す図である。
【図4】図(A)は図1の画像形成装置による印字(プリント)画像の例を示す図であり、図(B)はこの画像プリントによる現像スリーブのトナー付着汚れを示す図であり、図(C)はその汚れによる画像濃度むらを示す図である。
【図5】印字率と現像スリーブ汚れによる出力画像上の画像濃度むらの関係を示す図である。
【図6】像担持体表面電位と現像スリーブ1周分の現像を行なったときの現像スリーブ上汚れの除去率の関係を示す図である。
【図7】図7中の上部は図4(A)の印字画像の印字率を、中部はその印字率における現像スリーブの汚れ度合いを、下部は同画像を6枚出力したときの現像スリーブの汚れ度合いをそれぞれ示している。
【図8】現像スリーブ汚れ除去時の像担持体表面電位を示す図である。
【図9】画像濃度むらが抑制される様子を示す図である。
【図10】2成分現像装置の従来例を示す図である。
【図11】図10の現像装置における、トナー付着による現像剤担持体汚れの発生を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例について説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置例の構成の概略を示している。図2は図1の画像形成装置の制御回路を概略的に示すブロック図である。
図1に示す画像形成装置10は図2に示す制御部Cの指示のもとに記録紙等の記録シートS上にモノクロ画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。
【0040】
画像形成装置10は、像担持体としてドラム型感光体1を含んでおり、感光体1の周囲に帯電装置2、画像露光装置3、現像装置4、転写ローラー5及びクリーニング装置6がこの順序で配置されている。画像形成装置10はこれらのほか、図示省略の記録シート供給部を備えているとともに、該記録シート供給部から供給されてくるシートSの搬送方向において転写ローラー5より下流側に定着装置7及びシート排出トレイ(図示省略)等を備えている。
【0041】
感光体1は負帯電性の感光体であり、帯電用電源PW1(図2参照)から帯電用電圧が印加される帯電装置2によりその表面を一様に所定負電位に帯電させることができる。
画像露光装置3は帯電装置2による感光体帯電域に画像露光を施すことで形成しようとする画像に応じた静電潜像を形成するものであり、図示省略の画像読み取り装置、コンピュータ、外部ファクシミリ機等から提供される画像情報に応じて画像露光を施すものである。
【0042】
現像装置4は図10示した現像装置4と同じものであり、トナーと磁性キャリアを含む2成分現像剤を用いて感光体1上の静電潜像を現像する2成分現像装置であり、負に帯電したトナーで反転現像により静電潜像を可視トナー像とするものである。
【0043】
もう少し説明すると、既述のとおり、現像装置4は磁界発生体42を内蔵した現像スリーブ41を備えており、現像スリーブ41は図示省略の現像モータで回転駆動可能であり、現像域Daで像担持体(本例では回転駆動されるドラム型感光体1)に対して現像間隙をおいて配置されており、感光体1上の静電潜像現像にあたっては現像バイアス電源PW2(図2参照)から交流成分に直流成分を重畳させた現像バイアスが印加される。
【0044】
画像形成装置10によると、図2に示す制御部Cの指示のもとに次のようにしてシートSにトナー画像を形成することができる。
図示省略の感光体駆動モータにより図中時計方向に回転駆動される感光体1の表面を、帯電用電源PW1から帯電用電圧が印加された帯電装置2により一様に所定電位に帯電させる。その帯電域に画像露光装置3から画像露光して、形成しようとする画像に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像を2成分現像装置4で現像してトナー像を形成する。
【0045】
一方、図示省略の記録シート供給部から記録シートSを図示省略のタイミングローラーへ供給し、該タイミングローラーにて記録シートSを、その画像形成対象域にトナー像が転写されるタイミングで感光体1と転写ローラー5との間の転写部に突入、通過させる。このとき、転写ローラー5には図示省略の転写電源から転写電圧を印加し、感光体1上のトナー像をシートSへ転写する。
【0046】
このようにしてトナー像が転写された記録シートSは定着装置7を通過することで加熱加圧下にトナー像が定着され、シート排出トレイへ排出される。
トナー像転写後の感光体1表面はクリーニング装置6により清掃され、次の画像形成に備えられる。
【0047】
以上のように画像形成されるのであるが、画像形成装置10では、特に、現像装置4の現像スリーブ41のトナー汚れを簡易に清掃できる点に注目すべきである。以下、これについて説明する。
【0048】
静電潜像形成に先だって感光体1の表面が帯電装置2により帯電されるが、そのときの感光体表面電位は本例では概ね−400Vである。
露光装置3による静電潜像形成のための画像露光による感光体1の表面電位は、黒画像となるべき部分は露光により−40Vであり、トナーを付着させない白画像となるべき部分は露光されずに−400Vのままである。
【0049】
また、静電潜像現像にあたり2成分現像装置4の現像スリーブ41に現像バイアス電源PW2から印加される現像バイアスは、本例では、図3に波形を示すバイアスである。
すなわち、DC電圧(-300V)にAC電圧(Vpp=1.6kV,周波数f=2.5kHzの方形波形電圧)を重畳させたバイアスである。
【0050】
このような交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスのもとでは、感光体1に近接したが現像に供されずに現像スリーブ41上に吸着されたまま現像ハウジング40内へ戻ってくる現像剤を低磁力域で現像スリーブ41から分離させるとき、一部のトナーがキャリアから分離し、該キャリアのみ現像スリーブ41から離れ、該トナーはそのまま現像スリーブ41に残り、現像スリーブ汚れを生じさせ、この汚れが、その後の画像形成において無視できない画像濃度むらを発生させることがある。
【0051】
例えば、図4(A)の画像を現像形成した場合、現像スリーブ41には図4(B)に示すトナーによるスリーブ汚れが発生し、その状態で全面灰色の画像を形成すると、図4(C)のようにスリーブ汚れに対応して画像が濃くなる画像濃度むらが発生する。
【0052】
図5は印字率と現像スリーブ汚れによる出力画像上の画像濃度むらの関係例を示す図である。図5では現像装置4により現像すべき静電潜像形成のための画像情報を露光装置3による露光情報で把握し、且つ、露光情報を印字率でとらえている。画像濃度むらのレベルは、それ自体知られている反射濃度計で画像の反射濃度(ID)を測定し、画像内の濃い部分と薄い部分の濃度差(ΔID)で評価している。
【0053】
図5の実験例では、現像スリーブ41の回転中心線(回転軸)方向に印字率の変わらない画像を連続出力した後に全面灰色の画像を出力した際の画像内の最大濃度差を、印字率の変わらない画像を連続で出力したときの現像スリーブ41の積算(累積)回転数との関係で示している。
【0054】
図5から、印字率が低い方が濃度むらが発生しやすく、また、印字率が15%を超えてくると、濃度差として問題視する必要のないレベルとなることが分かる。
【0055】
また、ある量のスリーブ汚れが発生している状態で現像スリーブ1周分の現像を行ったときの、対向する像担持体(本例では感光体1)の表面電位とスリーブ汚れの除去率は図6のようになり、黒画像に近い画像を出力すると蓄積されたスリーブの汚れは解消する。
【0056】
そこで画像形成装置10では現像スリーブ汚れに起因する画像濃度ムラを低減する手段として、前記制御部Cに清掃制御部CLを含めてある。清掃制御部CLは、基本的には、現像装置4により現像すべき静電潜像形成のための画像情報(本例では印字率を採用)に応じて予め定められた現像スリーブ41のトナー汚れ度を用いて、現像装置4により現像すべき静電潜像形成のための前記画像情報の履歴のもとでの現像スリーブ41の累積汚れ度合いを求めるとともに、該累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、露光装置4に該累積汚れ度合に応じた現像スリーブ1周分にあたる現像スリーブ清掃用の静電潜像を感光体1上に形成させ、該静電潜像を現像装置4に現像させて現像スリーブ41を清掃する。
【0057】
上記の画像情報(本例では印字率)に応じて予め定められた現像スリーブ41のトナー汚れ度は、現像スリーブ41のトナー汚れを除去する観点から実験等によって定められたものであるが、ここでは、現像スリーブ1周分の印字率に応じて次のように定めてある。
【0058】
印字率 1%未満 1%以上5%未満 5%以上10%未満 10%以上15%未満
汚れ度 6 5 4 2
印字率 15%以上20%未満 21%以上
汚れ度 1 0
【0059】
もう少し説明すると、清掃制御部CLは、基本的には、次のようにして現像スリーブ41の汚れを清掃する。すなわち、現像スリーブ41の1周当たりの印字率により決まる上記のスリーブ汚れ度の積算値(累積汚れ度合い)が予め定めた値(ここでは250)を超えると、スリーブ汚れが画像濃度むらに対して限界になったと判断し、感光体1が記録シートSに画像を出力していないタイミングで感光体1の表面電位が−40Vになるように帯電及び露光して現像スリーブ1周分の現像をする。また、スリーブ1周当たりの印字率が80%を超えた場合は、汚れ度を10減らす(汚れ度を−10とする)。但し、マイナスにならないとする。現像スリーブ清掃用現像を実施した時点で汚れ度合いの積算値(累積汚れ度合い)はリセットする。
【0060】
さらに説明すると、清掃制御部CLは、具体的には次のようにして現像スリーブ41汚れを清掃する。すなわち、現像スリーブ41をその表面移動方向を横切る幅方向に複数範囲に分割し、分割した複数範囲のそれぞれについての画像情報履歴(ここでは印字率履歴)を把握し、該各画像情報履歴について現像スリーブ41の累積汚れ度合いを求め、いずれかの範囲の累積汚れ度合いが限界値の250を超えてくると、感光体1が記録シートSに画像を出力していないタイミングで感光体1の表面電位が、累積値(累積汚れ度合い)が150以上の範囲については−40Vになるように、それ以外の範囲については−300Vになるように帯電及び露光して現像スリーブ1周分の現像をする。その後−40Vの表面電位で現像を行なった範囲については汚れ度合いの累積値をリセットする。この際、清掃現像により感光体1に吐き出されたトナーはクリーニング装置6で清掃される。
【0061】
このことを実際に図4(A)の画像を記録シートに印字した場合を例にとって説明する。なお、このときの現像スリーブ41のサイズは、現像スリーブ回転中心線方向の幅330mm、周長50mmであり、記録シートサイズは幅300mm、搬送方向(現像スリーブ
表面移動方向)の長さ400mmとする。
【0062】
図7に示すように、現像スリーブ41をその表面移動方向を横切る幅方向(現像スリーブ回転中心線方向)にa1〜a11の範囲に分割し、分割した各範囲の印字率履歴を把握し、該各履歴について現像スリーブ41の累積汚れ度合いを求め(図7の中部の汚れ度合い表参照)、さらに、いずれかの範囲の累積汚れ度合いが限界値である250を超えてくる記録シート6枚分の画像を出力したときの累積汚れ度合いを求め(図7の下部の汚れ度合い表参照)、7枚目を出力する前に、a1〜a11の各範囲についての累積汚れ度合いに応じて、図8に示すように、累積値(累積汚れ度合い)が150以上の範囲については−40Vになるように、それ以外の範囲については−300Vになるように帯電及び露光して現像スリーブ1周分の現像をする。それにより現像スリーブ41を清掃する。
かくして、画像濃度むらが図9に示すように抑制される。図9においてCLは清掃制御部CLである。括弧書きの「端部」、「中央部」は現像スリーブ41の端部、中央部である。
【0063】
以上説明した画像形成装置はモノクロ画像を形成するものであったが、本発明はカラー画像を形成する画像形成装置にも適用でき、そのとき、カラー画像形成のための、それぞれが担当色トナーを収容している複数の現像装置のうち1又は2以上について本発明を適用できる。また、本発明は現像剤担持体が像担持体に対して現像間隙をおいて配置されており、現像バイアスとして交流成分に直流成分を重畳した現像バイアスを採用する1成分現像装置についても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、現像装置の現像剤担持体の汚れを清掃部材を採用することなく簡易に清掃できる画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0065】
10 画像形成装置
S 記録シート
1 感光体
2 帯電装置
3 画像露光装置
5 転写ローラー
6 クリーニング装置
7 定着装置
4 2成分現像装置
40 現像ハウジング
41 現像スリーブ
42 磁界発生体
43 現像剤規制部材
441、442 現像剤搬送部材
400 搬送部材間の仕切り壁
D 現像剤
S2 キャッチ極
N2 規制極
S1 搬送極
N1 現像極
S3 分離極
LM 低磁力域
C 制御部
CL 清掃制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置に関係しており、特に、画像形成装置に用いる現像装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置において像担持体に形成される静電潜像を今日主流の乾式現像剤を用いて現像する現像装置は、現像剤の面からみると、トナーを主体とする所謂1成分現像剤を用いる1成分現像装置と、トナー及びキャリアを主体とする所謂2成分現像剤を用いる2成分現像装置が知られている。
【0003】
これら1成分現像装置、2成分現像装置のいずれの場合でも、現像装置は現像剤を担持して前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、この現像剤担持体には、トナーを現像剤担持体から静電潜像現像のために像担持体へ移行させる現像電界を形成するための現像バイアスが印加される。
【0004】
現像バイアスとしては、1成分現像装置、2成分現像装置のいずれの現像装置であれ、現像効率を向上させるために、交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスを採用する場合がある。特に、画像形成装置の高速化が求められる場合には、このような現像バイアスが採用される傾向にある。
【0005】
2成分現像装置では現像剤担持体に内蔵した磁界発生体の作用で現像剤を現像剤担持体の表面に磁気ブラシの態様で保持し、現像域へ搬送するので、現像剤担持体と像担持体は現像間隙をおいて離されている。
【0006】
一方、1成分現像装置では、現像バイアスとして直流電圧が採用される場合は、現像剤担持体は通常像担持体に接触配置されるが、交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスが採用される場合は、現像剤担持体と像担持体は現像間隙をおいて離されるのが一般的である。
【0007】
いずれにしても、交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスが採用される場合、今日の画像形成装置の高速化の要求等に応じるために、現像効率を向上させるべく、重畳させる交流成分のピークツーピーク電圧Vpp及び/又は周波数は高く設定されようとする。その結果、問題が生じてくる。このことを図10に示す2成分現像装置を例にとって説明する。
【0008】
図10に示す2成分現像装置4は、現像剤Dを収容する現像ハウジング40と、現像ハウジング40に設けられた回転駆動可能のスリーブの形態の現像ローラー(現像剤担持体の例)41と、現像ローラー41に内蔵された磁界発生体42と、現像ローラー41に臨む現像剤規制部材43を含んでいる。
【0009】
現像装置4はさらに、現像ハウジング40内の現像剤Dを搬送しつつ現像ローラー41へ全体的に分配する、回転駆動される現像剤搬送部材441を含んでいる。
現像剤搬送部材441は図10に示すように現像ローラー41に回転中心軸線を並べて配置されるのが一般的である。
【0010】
図示例では、現像剤搬送部材441と並行にもう一本の現像剤搬送部材442が配置されている。現像剤搬送部材442は、現像剤流通孔を両端部(図面において手前側及び奥側の端部)に形成した隔壁400を間にして現像剤搬送部材441と並行に配置されており、両者で現像剤を往復循環搬送しつつ現像ローラー41へ分配するようになっている。
【0011】
磁界発生体42は、現像ハウジング40内の現像に供する現像剤を現像ローラー41表面上に吸着する一方、現像に供されずに現像ローラー41上に吸着されたまま現像ハウジング40内へ戻ってくる現像剤を現像ローラー41から分離させる低磁力域LMを提供するための、複数の磁極を有する磁界発生体である。
【0012】
磁界発生体42における磁極は、それとは限定されないが図10の例では、現像剤Dを現像ローラー41へ吸い上げるキャッチ極S2、規制部材43に対応する位置にある規制極N2、規制部材43を通過した現像剤を像担持体1上の静電潜像を現像する現像域Daへ向け搬送するための搬送極S1、現像域Daに対応する現像極N1及び前記キャッチ極S2との間に反撥磁界を形成して前記低磁力域LMを形成する現像剤分離極S3を有している。
【0013】
磁界発生体42の磁力により現像ローラー41表面に吸着される現像剤は、現像ローラー41の回転により摩擦力の作用下に現像剤規制部材43が現像ローラー41に臨む現像剤量規制間隙へ搬送され、そこで所定量に規制されて静電潜像現像域Daへ搬送され、静電潜像担持体1上の静電潜像の現像に供される。
【0014】
現像域Daで消費されずに現像ローラー41に保持されたまま現像ハウジング40へ戻ってくる現像剤は、低磁力域LMで現像ローラー41から剥落する。
【0015】
ところが、現像バイアスとして交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスが採用され、現像効率を上げるために交流成分のピークツーピーク電圧Vpp及び/又は周波数が高く設定されると、電界の向きが微小時間で変化することになり、図11に示すように現像ローラー41と像担持体1間のトナーは、微小時間で観察すると微振動する。
【0016】
トナーとキャリアは摩擦帯電して相互に吸着しているのであるが、このようにトナーが微振動すると、トナーとキャリアはそれだけ離れやすくなり、像担持体1に近接したが現像に供されずに現像ローラー41上に吸着されたまま現像ハウジング40内へ戻ってくる現像剤を低磁力域LMで現像ローラー41から分離させるとき、一部のトナーがキャリアから分離し、該キャリアのみ現像ローラー41から離れ、該トナーはそのまま現像ローラー41に残ることがある。
【0017】
このように現像ローラー41上に残るトナーが現像ローラー41上に蓄積されていくと、これが所謂スリーブ汚れなどと称される現像剤担持体(本例では現像ローラー41)汚れとなる。
【0018】
このような現像剤担持体(本例では現像ローラー41)汚れが発生してくると、汚れを発生させているトナーの電荷による見かけ上の現像バイアスの増加及び/又は現像剤担持体上の単位面積当たりのトナー量の増加の影響等により、同じ現像バイアスを印加しても現像剤担持体汚れが発生していないときと比較すると、現像形成されるトナー像における前記汚れ対応部分における画像濃度が高くなる。そのため、濃度が均一であるべき画像を出力した際に、現像剤担持体汚れに応じて画像が濃くなる画像濃度むらが発生する。
【0019】
この点、例えば、特開平7−191552号公報(特許文献1)には、2成分現像装置において、現像剤担持体(内蔵磁界発生体に外嵌している現像スリーブ)に対して部分的に接触しながら回転する清掃部材を設け、且つ、該清掃部材の内部に磁気部材を配置し、現像剤を現像域へ供給するに先だって、該清掃部材で現像剤担持体上の2成分現像剤を一端剥がしとることが記載されている。
【0020】
また、特開2000−66503号公報(特許文献2)には、2成分現像装置において現像剤担持体の表面にトナーが残り難いように該表面にトナーの帯電極性と同極性のコート層を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開平7−191552号公報
【特許文献2】特開2000−66503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、特許文献1記載の現像装置では、磁気部材を内蔵した清掃部材を現像剤担持体に対し接触配置しなければならず、特許文献2記載の現像装置では、現像剤担持体の表面にトナーの帯電極性と同極性の、清掃部材の1種と言えるコート層を形成しなければならず、いずれも、現像装置がコスト高となったり、或いはさらに構成が複雑化したりする。
【0023】
そこで本発明は、像担持体、前記像担持体表面を帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置及び前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視トナー像を形成する現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、前記画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において現像間隙をおいて該像担持体に臨み、現像剤を担持して該像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、電界形成装置により該現像剤担持体と該現像剤担持体が臨む前記像担持体との間に直流成分と交流成分を重畳させた現像電界が形成されることで前記静電潜像を現像する直流交流重畳バイアス型現像装置である画像形成装置であって、前記直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて、現像剤担持体のトナー汚れを格別な清掃部材を採用することなく簡易に清掃でき、それだけ画像濃度むらが抑制された画像を形成できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は前記課題を解決するため、
像担持体、前記像担持体表面を帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置及び前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視トナー像を形成する現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、
前記画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において現像間隙をおいて該像担持体に臨み、現像剤を担持して該像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、電界形成装置により該現像剤担持体と該現像剤担持体が臨む前記像担持体との間に直流成分と交流成分を重畳させた現像電界が形成されることで前記静電潜像を現像する直流交流重畳バイアス型現像装置である画像形成装置であり、
前記直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて該現像装置の現像剤担持体の清掃制御部が設けられており、
前記清掃制御部は、該現像装置により現像すべき静電潜像形成のための画像情報に応じて予め定められた前記現像剤担持体のトナーによる汚れ度を用いて該現像装置により現像すべき静電潜像形成のための前記画像情報の履歴のもとでの該現像剤担持体の累積汚れ度合いを求めるとともに、前記累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に該累積汚れ度合に応じた前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃する画像形成装置を提供する。
【0025】
本発明に係る画像形成装置は像担持体、帯電装置、露光装置及び現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は前記直流交流重畳バイアス型現像装置であり、該直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて該現像装置の現像剤担持体の清掃制御部が設けられている。
【0026】
この清掃制御部は、現像装置により現像すべき静電潜像形成のための前記画像情報の履歴のもとでの現像剤担持体の累積汚れ度合いを求めるとともに、該累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に該累積汚れ度合に応じた前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃する。
【0027】
このように本発明に係る画像形成装置によると、直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについては、従来のように格別な清掃用部材を要することなく、現像剤担持体のトナー汚れを簡易に清掃でき、延いてはそれだけ画像濃度むらが抑制された画像を形成できる。
【0028】
本発明に係る画像形成装置は、モノクロ画像形成装置で一般的に見られるように、前記画像形成部を一つ備えているものでもよく、複数備えているものでもよい。前記画像形成部を複数備えた画像形成装置としては、例えば、所謂タンデム型やサイクル型のカラー画像形成装置を例示できる。
【0029】
タンデム型画像形成装置は、回転駆動される中間転写体と、該中間転写体に沿って順次配置された複数の画像形成部とを備えており、該各画像形成部は該中間転写体に臨んで回転駆動される像担持体を含んでおり、該像担持体に担当色に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を担当色トナーが割り当てられた現像装置で現像してトナー像を形成し、該トナー像を1次転写装置で該中間転写体に1次転写し、該1次転写にて中間転写体上にモノクロトナー像又は2色以上のトナー像からなる多重トナー像を形成し、該1次転写トナー像を2次転写装置で記録紙等の記録媒体へ2次転写し、定着させることができる画像形成装置である。
【0030】
サイクル型画像形成装置は、像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を静電潜像現像域へ移動可能の複数の現像装置のうち該静電潜像に応じた担当色トナーを保持した現像装置で現像してトナー像を形成し、該トナー像を中間転写体に1次転写することで、該中間転写体上にモノクロトナー像又は2色以上のトナー像からなる多重トナー像を形成し、該中間転写体上のトナー像を記録媒体へ2次転写し、定着させることができる画像形成装置である。
【0031】
サイクル型画像形成装置では像担持体は通常一つであるが、複数の画像形成部において共通に用いられている、ととらえることができる。
【0032】
前記直流交流重畳バイアス型現像装置を含む画像形成部が一つあるだけの場合は、その現像装置を前記清掃制御部で現像剤担持体のトナー汚れを清掃できるものとすればよいが、そのような現像装置を含む画像形成部が複数ある場合は、そのうち一つ又は2以上を前記清掃制御部で現像剤担持体のトナー汚れを清掃できるものとすればよい。
【0033】
前記清掃制御部のより具体的な例として次のものを上げることができる。すなわち、
前記画像情報の履歴を把握するにあたり、前記現像剤担持体を該現像剤担持体表面移動方向を横切る幅方向に複数範囲に分割し、分割した複数範囲のそれぞれについての画像情報履歴を把握し、該各画像情報履歴について前記現像剤担持体の累積汚れ度合いを求め、前記分割された複数範囲のいずれかの累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に、前記現像剤担持体の各分割範囲についてその累積汚れ度合い状態に応じて前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃するものである。
【0034】
いずれにしても、前記清掃制御部は、例えば、前記画像情報履歴を前記像担持体への前記露光装置による露光情報に基づいて把握することができる。
【0035】
この場合、前記清掃制御部としては、例えば、前記露光装置による露光情報を印字率として把握し、前記画像情報履歴として該印字率の履歴を採用し、前記画像情報に応じて予め定められた現像剤担持体のトナーによる汚れ度として該印字率と該印字率に応じて予め定めた現像剤担持体のトナー汚れ度を採用するものを挙げることができる。
【0036】
また、前記清掃制御部は、前記露光装置による露光情報を印字率として把握し、前記画像情報履歴として該印字率の履歴を採用し、前記画像情報に応じて予め定められた現像剤担持体のトナーによる汚れ度として該印字率と該印字率に応じて予め定めた現像剤担持体のトナー汚れ度を採用し、前記現像剤担持体の累積汚れ度合いを求めるにあたっては、画像形成枚数も考慮にいれ、画像形成枚数にも応じた累積汚れ度合いとして求めるものでもよい。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように本発明によると、像担持体、前記像担持体表面を帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置及び前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視トナー像を形成する現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、前記画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において現像間隙をおいて該像担持体に臨み、現像剤を担持して該像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、電界形成装置により該現像剤担持体と該現像剤担持体が臨む前記像担持体との間に直流成分と交流成分を重畳させた現像電界が形成されることで前記静電潜像を現像する直流交流重畳バイアス型現像装置である画像形成装置であって、前記直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて、現像剤担持体のトナー汚れを格別な清掃部材を採用することなく簡易に清掃でき、それだけ画像濃度むらが抑制された画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る画像形成装置例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御回路を概略的に示すブロック図である。
【図3】現像装置の現像スリーブへ印加する現像バイアス電位の波形例を示す図である。
【図4】図(A)は図1の画像形成装置による印字(プリント)画像の例を示す図であり、図(B)はこの画像プリントによる現像スリーブのトナー付着汚れを示す図であり、図(C)はその汚れによる画像濃度むらを示す図である。
【図5】印字率と現像スリーブ汚れによる出力画像上の画像濃度むらの関係を示す図である。
【図6】像担持体表面電位と現像スリーブ1周分の現像を行なったときの現像スリーブ上汚れの除去率の関係を示す図である。
【図7】図7中の上部は図4(A)の印字画像の印字率を、中部はその印字率における現像スリーブの汚れ度合いを、下部は同画像を6枚出力したときの現像スリーブの汚れ度合いをそれぞれ示している。
【図8】現像スリーブ汚れ除去時の像担持体表面電位を示す図である。
【図9】画像濃度むらが抑制される様子を示す図である。
【図10】2成分現像装置の従来例を示す図である。
【図11】図10の現像装置における、トナー付着による現像剤担持体汚れの発生を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例について説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置例の構成の概略を示している。図2は図1の画像形成装置の制御回路を概略的に示すブロック図である。
図1に示す画像形成装置10は図2に示す制御部Cの指示のもとに記録紙等の記録シートS上にモノクロ画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。
【0040】
画像形成装置10は、像担持体としてドラム型感光体1を含んでおり、感光体1の周囲に帯電装置2、画像露光装置3、現像装置4、転写ローラー5及びクリーニング装置6がこの順序で配置されている。画像形成装置10はこれらのほか、図示省略の記録シート供給部を備えているとともに、該記録シート供給部から供給されてくるシートSの搬送方向において転写ローラー5より下流側に定着装置7及びシート排出トレイ(図示省略)等を備えている。
【0041】
感光体1は負帯電性の感光体であり、帯電用電源PW1(図2参照)から帯電用電圧が印加される帯電装置2によりその表面を一様に所定負電位に帯電させることができる。
画像露光装置3は帯電装置2による感光体帯電域に画像露光を施すことで形成しようとする画像に応じた静電潜像を形成するものであり、図示省略の画像読み取り装置、コンピュータ、外部ファクシミリ機等から提供される画像情報に応じて画像露光を施すものである。
【0042】
現像装置4は図10示した現像装置4と同じものであり、トナーと磁性キャリアを含む2成分現像剤を用いて感光体1上の静電潜像を現像する2成分現像装置であり、負に帯電したトナーで反転現像により静電潜像を可視トナー像とするものである。
【0043】
もう少し説明すると、既述のとおり、現像装置4は磁界発生体42を内蔵した現像スリーブ41を備えており、現像スリーブ41は図示省略の現像モータで回転駆動可能であり、現像域Daで像担持体(本例では回転駆動されるドラム型感光体1)に対して現像間隙をおいて配置されており、感光体1上の静電潜像現像にあたっては現像バイアス電源PW2(図2参照)から交流成分に直流成分を重畳させた現像バイアスが印加される。
【0044】
画像形成装置10によると、図2に示す制御部Cの指示のもとに次のようにしてシートSにトナー画像を形成することができる。
図示省略の感光体駆動モータにより図中時計方向に回転駆動される感光体1の表面を、帯電用電源PW1から帯電用電圧が印加された帯電装置2により一様に所定電位に帯電させる。その帯電域に画像露光装置3から画像露光して、形成しようとする画像に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像を2成分現像装置4で現像してトナー像を形成する。
【0045】
一方、図示省略の記録シート供給部から記録シートSを図示省略のタイミングローラーへ供給し、該タイミングローラーにて記録シートSを、その画像形成対象域にトナー像が転写されるタイミングで感光体1と転写ローラー5との間の転写部に突入、通過させる。このとき、転写ローラー5には図示省略の転写電源から転写電圧を印加し、感光体1上のトナー像をシートSへ転写する。
【0046】
このようにしてトナー像が転写された記録シートSは定着装置7を通過することで加熱加圧下にトナー像が定着され、シート排出トレイへ排出される。
トナー像転写後の感光体1表面はクリーニング装置6により清掃され、次の画像形成に備えられる。
【0047】
以上のように画像形成されるのであるが、画像形成装置10では、特に、現像装置4の現像スリーブ41のトナー汚れを簡易に清掃できる点に注目すべきである。以下、これについて説明する。
【0048】
静電潜像形成に先だって感光体1の表面が帯電装置2により帯電されるが、そのときの感光体表面電位は本例では概ね−400Vである。
露光装置3による静電潜像形成のための画像露光による感光体1の表面電位は、黒画像となるべき部分は露光により−40Vであり、トナーを付着させない白画像となるべき部分は露光されずに−400Vのままである。
【0049】
また、静電潜像現像にあたり2成分現像装置4の現像スリーブ41に現像バイアス電源PW2から印加される現像バイアスは、本例では、図3に波形を示すバイアスである。
すなわち、DC電圧(-300V)にAC電圧(Vpp=1.6kV,周波数f=2.5kHzの方形波形電圧)を重畳させたバイアスである。
【0050】
このような交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスのもとでは、感光体1に近接したが現像に供されずに現像スリーブ41上に吸着されたまま現像ハウジング40内へ戻ってくる現像剤を低磁力域で現像スリーブ41から分離させるとき、一部のトナーがキャリアから分離し、該キャリアのみ現像スリーブ41から離れ、該トナーはそのまま現像スリーブ41に残り、現像スリーブ汚れを生じさせ、この汚れが、その後の画像形成において無視できない画像濃度むらを発生させることがある。
【0051】
例えば、図4(A)の画像を現像形成した場合、現像スリーブ41には図4(B)に示すトナーによるスリーブ汚れが発生し、その状態で全面灰色の画像を形成すると、図4(C)のようにスリーブ汚れに対応して画像が濃くなる画像濃度むらが発生する。
【0052】
図5は印字率と現像スリーブ汚れによる出力画像上の画像濃度むらの関係例を示す図である。図5では現像装置4により現像すべき静電潜像形成のための画像情報を露光装置3による露光情報で把握し、且つ、露光情報を印字率でとらえている。画像濃度むらのレベルは、それ自体知られている反射濃度計で画像の反射濃度(ID)を測定し、画像内の濃い部分と薄い部分の濃度差(ΔID)で評価している。
【0053】
図5の実験例では、現像スリーブ41の回転中心線(回転軸)方向に印字率の変わらない画像を連続出力した後に全面灰色の画像を出力した際の画像内の最大濃度差を、印字率の変わらない画像を連続で出力したときの現像スリーブ41の積算(累積)回転数との関係で示している。
【0054】
図5から、印字率が低い方が濃度むらが発生しやすく、また、印字率が15%を超えてくると、濃度差として問題視する必要のないレベルとなることが分かる。
【0055】
また、ある量のスリーブ汚れが発生している状態で現像スリーブ1周分の現像を行ったときの、対向する像担持体(本例では感光体1)の表面電位とスリーブ汚れの除去率は図6のようになり、黒画像に近い画像を出力すると蓄積されたスリーブの汚れは解消する。
【0056】
そこで画像形成装置10では現像スリーブ汚れに起因する画像濃度ムラを低減する手段として、前記制御部Cに清掃制御部CLを含めてある。清掃制御部CLは、基本的には、現像装置4により現像すべき静電潜像形成のための画像情報(本例では印字率を採用)に応じて予め定められた現像スリーブ41のトナー汚れ度を用いて、現像装置4により現像すべき静電潜像形成のための前記画像情報の履歴のもとでの現像スリーブ41の累積汚れ度合いを求めるとともに、該累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、露光装置4に該累積汚れ度合に応じた現像スリーブ1周分にあたる現像スリーブ清掃用の静電潜像を感光体1上に形成させ、該静電潜像を現像装置4に現像させて現像スリーブ41を清掃する。
【0057】
上記の画像情報(本例では印字率)に応じて予め定められた現像スリーブ41のトナー汚れ度は、現像スリーブ41のトナー汚れを除去する観点から実験等によって定められたものであるが、ここでは、現像スリーブ1周分の印字率に応じて次のように定めてある。
【0058】
印字率 1%未満 1%以上5%未満 5%以上10%未満 10%以上15%未満
汚れ度 6 5 4 2
印字率 15%以上20%未満 21%以上
汚れ度 1 0
【0059】
もう少し説明すると、清掃制御部CLは、基本的には、次のようにして現像スリーブ41の汚れを清掃する。すなわち、現像スリーブ41の1周当たりの印字率により決まる上記のスリーブ汚れ度の積算値(累積汚れ度合い)が予め定めた値(ここでは250)を超えると、スリーブ汚れが画像濃度むらに対して限界になったと判断し、感光体1が記録シートSに画像を出力していないタイミングで感光体1の表面電位が−40Vになるように帯電及び露光して現像スリーブ1周分の現像をする。また、スリーブ1周当たりの印字率が80%を超えた場合は、汚れ度を10減らす(汚れ度を−10とする)。但し、マイナスにならないとする。現像スリーブ清掃用現像を実施した時点で汚れ度合いの積算値(累積汚れ度合い)はリセットする。
【0060】
さらに説明すると、清掃制御部CLは、具体的には次のようにして現像スリーブ41汚れを清掃する。すなわち、現像スリーブ41をその表面移動方向を横切る幅方向に複数範囲に分割し、分割した複数範囲のそれぞれについての画像情報履歴(ここでは印字率履歴)を把握し、該各画像情報履歴について現像スリーブ41の累積汚れ度合いを求め、いずれかの範囲の累積汚れ度合いが限界値の250を超えてくると、感光体1が記録シートSに画像を出力していないタイミングで感光体1の表面電位が、累積値(累積汚れ度合い)が150以上の範囲については−40Vになるように、それ以外の範囲については−300Vになるように帯電及び露光して現像スリーブ1周分の現像をする。その後−40Vの表面電位で現像を行なった範囲については汚れ度合いの累積値をリセットする。この際、清掃現像により感光体1に吐き出されたトナーはクリーニング装置6で清掃される。
【0061】
このことを実際に図4(A)の画像を記録シートに印字した場合を例にとって説明する。なお、このときの現像スリーブ41のサイズは、現像スリーブ回転中心線方向の幅330mm、周長50mmであり、記録シートサイズは幅300mm、搬送方向(現像スリーブ
表面移動方向)の長さ400mmとする。
【0062】
図7に示すように、現像スリーブ41をその表面移動方向を横切る幅方向(現像スリーブ回転中心線方向)にa1〜a11の範囲に分割し、分割した各範囲の印字率履歴を把握し、該各履歴について現像スリーブ41の累積汚れ度合いを求め(図7の中部の汚れ度合い表参照)、さらに、いずれかの範囲の累積汚れ度合いが限界値である250を超えてくる記録シート6枚分の画像を出力したときの累積汚れ度合いを求め(図7の下部の汚れ度合い表参照)、7枚目を出力する前に、a1〜a11の各範囲についての累積汚れ度合いに応じて、図8に示すように、累積値(累積汚れ度合い)が150以上の範囲については−40Vになるように、それ以外の範囲については−300Vになるように帯電及び露光して現像スリーブ1周分の現像をする。それにより現像スリーブ41を清掃する。
かくして、画像濃度むらが図9に示すように抑制される。図9においてCLは清掃制御部CLである。括弧書きの「端部」、「中央部」は現像スリーブ41の端部、中央部である。
【0063】
以上説明した画像形成装置はモノクロ画像を形成するものであったが、本発明はカラー画像を形成する画像形成装置にも適用でき、そのとき、カラー画像形成のための、それぞれが担当色トナーを収容している複数の現像装置のうち1又は2以上について本発明を適用できる。また、本発明は現像剤担持体が像担持体に対して現像間隙をおいて配置されており、現像バイアスとして交流成分に直流成分を重畳した現像バイアスを採用する1成分現像装置についても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、現像装置の現像剤担持体の汚れを清掃部材を採用することなく簡易に清掃できる画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0065】
10 画像形成装置
S 記録シート
1 感光体
2 帯電装置
3 画像露光装置
5 転写ローラー
6 クリーニング装置
7 定着装置
4 2成分現像装置
40 現像ハウジング
41 現像スリーブ
42 磁界発生体
43 現像剤規制部材
441、442 現像剤搬送部材
400 搬送部材間の仕切り壁
D 現像剤
S2 キャッチ極
N2 規制極
S1 搬送極
N1 現像極
S3 分離極
LM 低磁力域
C 制御部
CL 清掃制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体、前記像担持体表面を帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置及び前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視トナー像を形成する現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、
前記画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において現像間隙をおいて該像担持体に臨み、現像剤を担持して該像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、電界形成装置により該現像剤担持体と該現像剤担持体が臨む前記像担持体との間に直流成分と交流成分を重畳させた現像電界が形成されることで前記静電潜像を現像する直流交流重畳バイアス型現像装置である画像形成装置であり、
前記直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて該現像装置の現像剤担持体の清掃制御部が設けられており、
前記清掃制御部は、該現像装置により現像すべき静電潜像形成のための画像情報に応じて予め定められた前記現像剤担持体のトナーによる汚れ度を用いて該現像装置により現像すべき静電潜像形成のための前記画像情報の履歴のもとでの該現像剤担持体の累積汚れ度合いを求めるとともに、前記累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に該累積汚れ度合に応じた前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃制御部は、前記画像情報の履歴を把握するにあたり、前記現像剤担持体を該現像剤担持体表面移動方向を横切る幅方向に複数範囲に分割し、分割した複数範囲のそれぞれについての画像情報履歴を把握し、該各画像情報履歴について前記現像剤担持体の累積汚れ度合いを求め、前記分割された複数範囲のいずれかの累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に、前記現像剤担持体の各分割範囲についてその累積汚れ度合い状態に応じて前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記清掃制御部は、前記画像情報履歴を前記像担持体への前記露光装置による露光情報に基づいて把握する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃制御部は、前記露光装置による露光情報を印字率として把握し、前記画像情報履歴として該印字率の履歴を採用し、前記画像情報に応じて予め定められた現像剤担持体のトナーによる汚れ度として該印字率と該印字率に応じて予め定めた現像剤担持体のトナー汚れ度を採用する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記清掃制御部は、前記露光装置による露光情報を印字率として把握し、前記画像情報履歴として該印字率の履歴を採用し、前記画像情報に応じて予め定められた現像剤担持体のトナーによる汚れ度として該印字率と該印字率に応じて予め定めた現像剤担持体のトナー汚れ度を採用し、前記現像剤担持体の累積汚れ度合いは画像形成枚数にも応じた累積汚れ度合いとして求める請求項3記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体、前記像担持体表面を帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置及び前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視トナー像を形成する現像装置を含む画像形成部を少なくとも一つ有し、
前記画像形成部の少なくとも一つにおける現像装置は、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において現像間隙をおいて該像担持体に臨み、現像剤を担持して該像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、電界形成装置により該現像剤担持体と該現像剤担持体が臨む前記像担持体との間に直流成分と交流成分を重畳させた現像電界が形成されることで前記静電潜像を現像する直流交流重畳バイアス型現像装置である画像形成装置であり、
前記直流交流重畳バイアス型現像装置の少なくとも一つについて該現像装置の現像剤担持体の清掃制御部が設けられており、
前記清掃制御部は、該現像装置により現像すべき静電潜像形成のための画像情報に応じて予め定められた前記現像剤担持体のトナーによる汚れ度を用いて該現像装置により現像すべき静電潜像形成のための前記画像情報の履歴のもとでの該現像剤担持体の累積汚れ度合いを求めるとともに、前記累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に該累積汚れ度合に応じた前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃制御部は、前記画像情報の履歴を把握するにあたり、前記現像剤担持体を該現像剤担持体表面移動方向を横切る幅方向に複数範囲に分割し、分割した複数範囲のそれぞれについての画像情報履歴を把握し、該各画像情報履歴について前記現像剤担持体の累積汚れ度合いを求め、前記分割された複数範囲のいずれかの累積汚れ度合いが予め定めた累積汚れ度合いを超えてくると、前記露光装置に、前記現像剤担持体の各分割範囲についてその累積汚れ度合い状態に応じて前記現像剤担持体1周分以上にあたる現像剤担持体清掃用の静電潜像を前記像担持体上に形成させ、該静電潜像を該現像装置に現像させて該現像装置の現像剤担持体を清掃する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記清掃制御部は、前記画像情報履歴を前記像担持体への前記露光装置による露光情報に基づいて把握する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃制御部は、前記露光装置による露光情報を印字率として把握し、前記画像情報履歴として該印字率の履歴を採用し、前記画像情報に応じて予め定められた現像剤担持体のトナーによる汚れ度として該印字率と該印字率に応じて予め定めた現像剤担持体のトナー汚れ度を採用する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記清掃制御部は、前記露光装置による露光情報を印字率として把握し、前記画像情報履歴として該印字率の履歴を採用し、前記画像情報に応じて予め定められた現像剤担持体のトナーによる汚れ度として該印字率と該印字率に応じて予め定めた現像剤担持体のトナー汚れ度を採用し、前記現像剤担持体の累積汚れ度合いは画像形成枚数にも応じた累積汚れ度合いとして求める請求項3記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−33171(P2013−33171A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169794(P2011−169794)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]