説明

画像形成装置

【課題】 不揮発性記憶装置の利用の効率を従来より向上することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 通常状態と、通常状態より電力の消費が少ないディープスリープ状態との少なくとも2つの状態を有するMFP10において、復帰用データ生成手段は、状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合に、状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する直前のRAM40上のデータのうちプリンター13による印刷の結果に影響を与える印刷結果影響データを優先して圧縮することによって、復帰用データを不揮発性記憶装置50上に生成し、電力制御手段は、状態がディープスリープ状態である場合に、プリンター13およびメインシステム30への電力の供給を停止し、復帰用データ使用手段は、状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合に、不揮発性記憶装置50上の復帰用データをRAM40上に伸張することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態に移行することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態に移行することができる画像形成装置として、状態が通常状態から省エネ状態に移行する場合に、状態が通常状態から省エネ状態に移行する直前のRAM上のデータを圧縮することによって復帰用データを不揮発性記憶装置上に生成し、状態が省エネ状態から通常状態に復帰する場合に、不揮発性記憶装置上の復帰用データをRAM上に伸張する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1−3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−38545号公報
【特許文献2】特許第4055357号公報
【特許文献3】特開2011−41016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の画像形成装置においては、不揮発性記憶装置が復帰用データを確実に記憶することができるように、不揮発性記憶装置において復帰用データの最大のサイズに相当する領域を復帰用データのために常に確保しておく必要があるので、不揮発性記憶装置の利用の効率が悪いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、不揮発性記憶装置の利用の効率を従来より向上することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、通常状態と、前記通常状態より電力の消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置であって、印刷を実行する印刷部と、作業領域としてのRAMを備えていて前記印刷部による印刷を制御する印刷制御部と、不揮発性記憶装置と、電力の供給を制御する電力制御手段と、前記状態が前記省エネ状態から前記通常状態に復帰する場合に使用されるデータである復帰用データを使用する復帰用データ使用手段と、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する直前の前記RAM上のデータを圧縮することによって前記復帰用データを生成する復帰用データ生成手段とを備えており、前記復帰用データ生成手段は、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する直前の前記RAM上のデータのうち前記印刷部による印刷の結果に影響を与えるデータである印刷結果影響データを優先して圧縮することによって、前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成し、前記電力制御手段は、前記状態が前記省エネ状態である場合に、前記印刷部および前記印刷制御部への電力の供給を停止し、前記復帰用データ使用手段は、前記状態が前記省エネ状態から前記通常状態に復帰する場合に、前記不揮発性記憶装置上の前記復帰用データを前記RAM上に伸張することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像形成装置は、状態が通常状態から省エネ状態に移行する場合に、全ての復帰用データではなく、印刷結果影響データを圧縮した復帰用データを不揮発性記憶装置上に生成できれば良いので、不揮発性記憶装置において復帰用データの最大のサイズの領域を復帰用データのために常に確保しておく必要がない。したがって、本発明の画像形成装置は、不揮発性記憶装置の利用の効率を従来より向上することができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置の前記復帰用データ生成手段は、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に、前記印刷結果影響データを圧縮して前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成した後、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する直前の前記RAM上のデータのうち前記印刷結果影響データ以外のデータから、圧縮後に前記不揮発性記憶装置上の空き領域に記憶されることができる分のデータを所定の基準で選択し、選択したデータを圧縮することによって追加の前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、状態が通常状態から省エネ状態に移行する場合に印刷結果影響データを圧縮した復帰用データのみを不揮発性記憶装置上に生成する構成と比較して、多くの復帰用データを不揮発性記憶装置上に生成するので、状態が省エネ状態から通常状態に復帰する場合に、通常状態から省エネ状態に移行する直前のRAMの状態に近い状態にRAMの状態を復元することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置は、不揮発性記憶装置の利用の効率を従来より向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通常状態である場合の本発明の一実施の形態に係るMFPのブロック図である。
【図2】ライトスリープ状態である場合の図1に示すMFPのブロック図である。
【図3】ディープスリープ状態である場合の図1に示すMFPのブロック図である。
【図4】図1に示すメインシステムおよびサブシステムの機能のブロック図である。
【図5】図1に示すMFPの状態が通常状態である場合のメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図6】図1に示すMFPの状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の復帰用データ生成手段の動作のフローチャートである。
【図7】図1に示すメインシステムの不揮発性記憶装置の状態が図5に示す状態であった場合にRAM上の印刷結果影響データに基づいてメインシステムの不揮発性記憶装置に復帰用データが生成されたときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図8】図1に示すメインシステムの不揮発性記憶装置の状態が図5に示す状態であった場合にRAM上の印刷結果影響データ以外のデータに基づいてメインシステムの不揮発性記憶装置に復帰用データが生成されたときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図9】図1に示すMFPの状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の電力制御手段の動作のフローチャートである。
【図10】図1に示すメインシステムのRAMの状態が図7に示す状態であった場合にメインシステムへの電力の供給が停止されたときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図11】図1に示すMFPの状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合の復帰用データ使用手段の動作のフローチャートである。
【図12】図1に示すメインシステムのRAMの状態が図10に示す状態であった場合にMFPの状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰したときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)の構成について説明する。
【0014】
図1は、通常状態である場合の本実施の形態に係るMFP10のブロック図である。図2は、ライトスリープ状態である場合のMFP10のブロック図である。図3は、ディープスリープ状態である場合のMFP10のブロック図である。
【0015】
MFP10は、印刷可能な通常状態(図1参照。)と、通常状態よりエネルギーの消費が少ないライトスリープ状態(図2参照。)と、ライトスリープ状態より更にエネルギーの消費が少ない本発明の省エネ状態としてのディープスリープ状態(図3参照。)との3つの状態を有している。ライトスリープ状態は、通常状態への復帰がディープスリープ状態よりも速い。
【0016】
図2に示すMFP10は、表示部12、プリンター13およびスキャナー14にハッチングが描かれていることによって、表示部12、プリンター13およびスキャナー14に電力が供給されていないことを示している。
【0017】
図3に示すMFP10は、表示部12、プリンター13、スキャナー14およびメインシステム30にハッチングが描かれていることによって、表示部12、プリンター13、スキャナー14およびメインシステム30に電力が供給されていないことを示している。
【0018】
図1に示すように、MFP10は、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部11と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部12と、用紙などの記録媒体に印刷を実行する印刷デバイスである本発明の印刷部としてのプリンター13と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー14と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部15と、LAN(Local Area Network)などのネットワーク経由でPC(Personal Computer)などの外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部16と、MFP10全体を制御するコントローラー20とを備えている。
【0019】
操作部11は、表示部12とともにタッチパネルを形成するボタンなどの入力デバイスである。
【0020】
プリンター13は、例えば、スキャナー14によって生成された画像データや、外部のファクシミリ装置からファックス通信部15を介して受信されたFAXデータや、外部の装置からネットワーク通信部16を介して受信された印刷データなどの各種のデータを印刷する。
【0021】
ファックス通信部15は、例えば、スキャナー14によって生成された画像データを外部のファクシミリ装置に送信したり、プリンター13で印刷されるためのFAXデータを外部のファクシミリ装置から受信したりする。
【0022】
ネットワーク通信部16は、例えば、スキャナー14によって生成された画像データを外部の装置に送信したり、プリンター13で印刷されるための印刷データを外部の装置から受信したりする。
【0023】
コントローラー20は、通常状態およびライトスリープ状態においてMFP10を制御するメインシステム30と、ディープスリープ状態においてMFP10を制御するサブシステム60とを備えている。メインシステム30は、通常状態においてプリンター13による印刷を制御するようになっており、本発明の印刷制御部を構成している。
【0024】
メインシステム30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)31と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)32と、CPU31の作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性記憶装置であるRAM(Random Access Memory)40と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性記憶装置50とを備えている。CPU31は、ROM32に記憶されているプログラムを実行することによってメインシステム30を動作させる演算処理装置である。RAM40は、CPU31によってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。メインシステム30は、ライトスリープ状態である場合に電源が切断されないが、ディープスリープ状態である場合に完全に電源が切断される。
【0025】
サブシステム60は、CPU61と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM62と、CPU61の作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性記憶装置であるRAM63とを備えている。CPU61は、ROM62に記憶されているプログラムを実行することによってサブシステム60を動作させる演算処理装置である。RAM63は、CPU61によってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0026】
図4は、メインシステム30およびサブシステム60の機能のブロック図である。
【0027】
図4に示すように、メインシステム30は、CPU31がROM32に記憶されているプログラムを実行することによって、MFP10の状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合に使用されるデータである後述の復帰用データ50d、50eを使用する復帰用データ使用手段30a、および、MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する直前のRAM40上のデータを圧縮することによって復帰用データ50d、50eを生成する復帰用データ生成手段30bとして機能する。
【0028】
サブシステム60は、CPU61がROM62に記憶されているプログラムを実行することによって、電力の供給を制御する電力制御手段60aとして機能する。
【0029】
図5は、MFP10の状態が通常状態である場合のメインシステム30のRAM40および不揮発性記憶装置50の状態の一例を示す図である。
【0030】
図5に示すように、MFP10の状態が通常状態である場合、RAM40には、OS(Operating System)によって管理されているOS管理領域45と、RAMディスクとして使用されるRAMディスク領域46とが配置されている。RAMディスク領域46には、プリンター13による印刷の結果に影響を与えるデータである印刷結果影響データ40aと、印刷結果影響データ40a以外のデータ40bとが記憶されている。印刷結果影響データ40aとしては、例えば、プリンター13による印刷に使用されるフォントのデータ、プリンター13による印刷に使用される円、四角などの図形を描画するマクロのデータなどがある。データ40bとしては、例えば、プリンター13によって既に印刷済みである印刷データなどがある。
【0031】
また、MFP10の状態が通常状態である場合、不揮発性記憶装置50には、MFP10の起動を高速にするためにMFP10の起動時に使用されるデータである起動用データ50aと、起動用データ50a以外のデータ50bと、空き領域50cとが配置されている。起動用データ50aは、起動直後のOS管理領域45のデータが圧縮されているデータである。データ50bは、例えばアドレス帳など、MFP10への電力の供給が停止された場合にも保持されるべきデータが含まれている。空き領域50cは、後述の復帰用データ50dが書込まれるために少なくとも一定の容量が常に確保されていても良い。
【0032】
次に、MFP10の動作について説明する。
【0033】
<ライトスリープ状態への移行>
MFP10の状態が通常状態からライトスリープ状態に移行する場合のMFP10の動作について説明する。
【0034】
MFP10が図1に示すように通常状態である場合、MFP10の状態を通常状態からライトスリープ状態に移行させるための指示が操作部11またはネットワーク通信部16を介して入力されたり、操作部11、ファックス通信部15およびネットワーク通信部16に所定の時間以上、何も入力がなかったりなど、MFP10の状態を通常状態からライトスリープ状態に移行させるための所定の条件が発生すると、MFP10のサブシステム60の電力制御手段60aは、図2に示すように表示部12、プリンター13およびスキャナー14への電力の供給を停止する。すなわち、MFP10の状態は、図1に示す通常状態から、図2に示すライトスリープ状態に移行する。
【0035】
<ライトスリープ状態からの復帰>
MFP10の状態がライトスリープ状態から通常状態に復帰する場合のMFP10の動作について説明する。
【0036】
MFP10が図2に示すようにライトスリープ状態である場合、操作部11、ファックス通信部15およびネットワーク通信部16に何らかの入力があるなど、MFP10の状態をライトスリープ状態から通常状態に復帰させるための所定の条件が発生すると、MFP10のサブシステム60の電力制御手段60aは、図1に示すように表示部12、プリンター13およびスキャナー14への電力の供給を開始する。すなわち、MFP10の状態は、図2に示すライトスリープ状態から、図1に示す通常状態に復帰する。
【0037】
<ディープスリープ状態への移行>
MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合のMFP10の動作について説明する。
【0038】
MFP10が図1に示すように通常状態である場合、MFP10の状態を通常状態からディープスリープ状態に移行させるための指示が操作部11またはネットワーク通信部16を介して入力されるなど、MFP10の状態を通常状態からディープスリープ状態に移行させるための所定の条件が発生すると、MFP10のメインシステム30の復帰用データ生成手段30bは、図6に示す処理を開始する。
【0039】
図6は、MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の復帰用データ生成手段30bの動作のフローチャートである。
【0040】
図6に示すように、復帰用データ生成手段30bは、RAM40上のデータのうち印刷結果影響データ40aに基づいて不揮発性記憶装置50の空き領域50cに復帰用データ50dを生成する(S101)。例えば、不揮発性記憶装置50は、S101の処理の前に図5に示す状態である場合、S101の処理の実行によって図7に示す状態になる。
【0041】
次いで、復帰用データ生成手段30bは、RAM40上のデータ40bから、圧縮後に不揮発性記憶装置50上の空き領域50cに記憶されることができる分のデータを所定の基準で選択し、選択したデータを圧縮することによって追加の復帰用データ50eを不揮発性記憶装置50の空き領域50cに生成する(S102)。例えば、不揮発性記憶装置50は、S102の処理の前に図7に示す状態である場合、S102の処理の実行によって図8に示す状態になる。ここで、所定の基準としては、例えば、圧縮されるデータが印刷データである場合、印刷が実行された時期が新しい順、印刷が実行された回数が多い順などがある。
【0042】
次いで、復帰用データ生成手段30bは、復帰用データの生成の完了をサブシステム60に通知して(S103)、図6に示す処理を終了する。
【0043】
サブシステム60の電力制御手段60aは、S103において復帰用データの生成の完了がメインシステム30から通知されると、図9に示す処理を開始する。
【0044】
図9は、MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の電力制御手段60aの動作のフローチャートである。
【0045】
図9に示すように、電力制御手段60aは、図2に示すように表示部12、プリンター13およびスキャナー14への電力の供給を停止する(S121)。
【0046】
次いで、電力制御手段60aは、図3に示すようにメインシステム30への電力の供給を停止して(S122)、図9に示す処理を終了する。このとき、RAM40は、S122の処理の前に図8に示す状態である場合、S122の処理の実行によって図10に示す状態になる。図10において、RAM40は、データを保持するために必要である電力が供給されていないので、全ての領域が空き領域40cとなっている。
【0047】
以上に説明したように、MFP10の状態は、図1に示す通常状態から、図3に示すディープスリープ状態に移行する。
【0048】
以上においては、MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合のMFP10の動作について説明したが、MFP10の状態がライトスリープ状態からディープスリープ状態に移行する場合のMFP10の動作についても同様である。すなわち、MFP10が図2に示すようにライトスリープ状態である場合、操作部11、ファックス通信部15およびネットワーク通信部16に所定の時間以上、何も入力がなかったなど、MFP10の状態をライトスリープ状態からディープスリープ状態に移行させるための所定の条件が発生すると、復帰用データ生成手段30bおよび電力制御手段60aの動作によって、MFP10の状態は、ライトスリープ状態から図3に示すディープスリープ状態に移行する。
【0049】
<ディープスリープ状態からの復帰>
MFP10の状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合のMFP10の動作について説明する。
【0050】
MFP10が図3に示すようにディープスリープ状態である場合、操作部11、ファックス通信部15およびネットワーク通信部16に何らかの入力があるなど、MFP10の状態をディープスリープ状態から通常状態に復帰させるための所定の条件が発生すると、MFP10のサブシステム60の電力制御手段60aは、図1に示すように表示部12、プリンター13およびスキャナー14およびメインシステム30への電力の供給を開始する。
【0051】
メインシステム30への電力の供給が開始されると、メインシステム30の復帰用データ使用手段30aは、図11に示す処理を開始する。
【0052】
図11は、MFP10の状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合の復帰用データ使用手段30aの動作のフローチャートである。
【0053】
図11に示すように、復帰用データ使用手段30aは、不揮発性記憶装置50上の起動用データ50aを使用する(S141)。すなわち、復帰用データ使用手段30aは、不揮発性記憶装置50上の起動用データ50aをRAM40上に伸張して、RAM40上にOS管理領域45を生成する。
【0054】
次いで、復帰用データ使用手段30aは、不揮発性記憶装置50上の復帰用データ50d、50eを使用する(S142)。すなわち、復帰用データ使用手段30aは、不揮発性記憶装置50上の復帰用データ50d、50eをRAM40上に伸張して、RAM40上に印刷結果影響データ40aおよびデータ40bを復元する。
【0055】
次いで、復帰用データ使用手段30aは、復帰用データ50d、50eを削除して(S143)、図11に示す処理を終了する。例えば、RAM40および不揮発性記憶装置50は、図11に示す処理の前に図10に示す状態である場合、図11に示す処理の実行によって図12に示す状態になる。
【0056】
以上に説明したように、MFP10の状態は、図3に示すディープスリープ状態から、図1に示す通常状態に復帰する。
【0057】
以上に説明したように、MFP10は、状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合に、全ての復帰用データではなく、印刷結果影響データ40aを圧縮した復帰用データ50dを不揮発性記憶装置50上に生成できれば良いので、不揮発性記憶装置50において復帰用データの最大のサイズの領域を復帰用データのために常に確保しておく必要がない。したがって、MFP10は、不揮発性記憶装置50の利用の効率を従来より向上することができる。特に、MFP10は、メインシステム30にオプションのRAMが増設されてRAMディスクの容量を増やすことができる場合に、この効果が大きい。
【0058】
また、MFP10は、不揮発性記憶装置50において復帰用データの最大のサイズの領域を復帰用データのために常に確保しておく必要がないので、不揮発性記憶装置50において復帰用データの最大のサイズの領域を復帰用データのために常に確保しておく構成と比較して、不揮発性記憶装置50の容量を抑えることができる。したがって、MFP10は、製造コストを抑えることができる。
【0059】
また、MFP10は、状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合に印刷結果影響データ40aを圧縮した復帰用データ50dのみだけでなく復帰用データ50eを不揮発性記憶装置50上に生成するので、状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合に印刷結果影響データ40aを圧縮した復帰用データ50dのみを不揮発性記憶装置50上に生成する構成と比較して、多くの復帰用データを不揮発性記憶装置50上に生成する。したがって、MFP10は、状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合に、通常状態からディープスリープ状態に移行する直前のRAM40の状態に近い状態にRAM40の状態を復元することができる。
【0060】
なお、MFP10は、状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合に印刷結果影響データ40aを圧縮した復帰用データ50dのみを不揮発性記憶装置50上に生成する構成であっても良い。
【0061】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、プリンター専用機、ファックス専用機、コピー専用機など、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0062】
10 MFP(画像形成装置)
13 プリンター(印刷部)
30 メインシステム(印刷制御部)
30a 復帰用データ使用手段
30b 復帰用データ生成手段
40 RAM
40a 印刷結果影響データ
40b データ
50 不揮発性記憶装置
50d、50e 復帰用データ
60a 電力制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常状態と、前記通常状態より電力の消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置であって、
印刷を実行する印刷部と、作業領域としてのRAMを備えていて前記印刷部による印刷を制御する印刷制御部と、不揮発性記憶装置と、電力の供給を制御する電力制御手段と、前記状態が前記省エネ状態から前記通常状態に復帰する場合に使用されるデータである復帰用データを使用する復帰用データ使用手段と、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する直前の前記RAM上のデータを圧縮することによって前記復帰用データを生成する復帰用データ生成手段とを備えており、
前記復帰用データ生成手段は、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する直前の前記RAM上のデータのうち前記印刷部による印刷の結果に影響を与えるデータである印刷結果影響データを優先して圧縮することによって、前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成し、
前記電力制御手段は、前記状態が前記省エネ状態である場合に、前記印刷部および前記印刷制御部への電力の供給を停止し、
前記復帰用データ使用手段は、前記状態が前記省エネ状態から前記通常状態に復帰する場合に、前記不揮発性記憶装置上の前記復帰用データを前記RAM上に伸張することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記復帰用データ生成手段は、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に、前記印刷結果影響データを圧縮して前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成した後、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する直前の前記RAM上のデータのうち前記印刷結果影響データ以外のデータから、圧縮後に前記不揮発性記憶装置上の空き領域に記憶されることができる分のデータを所定の基準で選択し、選択したデータを圧縮することによって追加の前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−51638(P2013−51638A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189690(P2011−189690)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】