説明

画像形成装置

【課題】閾値マトリクスを使用する周波数変調スクリーンを使用した場合でも形成される画像にディフェクトが生じにくい画像形成装置を提供する。
【解決手段】主走査方向および副走査方向に予め定められた閾値配列を有するFMスクリーンにより、画像情報にスクリーン処理を施すスクリーン処理部を備える画像処理手段と、感光体ドラム11と、感光体ドラム11を帯電させる帯電ロール12と、スクリーン処理された画像情報に基づき帯電ロール12により帯電された感光体ドラム11に複数の光線を走査することで露光し静電潜像を形成するための複数の光線源を有する露光部13と、静電潜像を現像してトナー像を形成する現像器14と、を備え、FMスクリーンの副走査方向の閾値数と露光部13において1回の走査で露光する副走査方向の光線源の個数とは、一方が他方の倍数または倍数の前後2以内の整数とはならないことを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真方式やインクジェット方式等を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、入力された画像データに種々の画像処理を施した後、出力装置によって出力する。その画像処理として、例えば、二値の画像データで擬似的に中間階調を再現することを目的とするスクリーン処理がある。
【0003】
特許文献1には、第1の潜像担持体及び第2の潜像担持体の現像された画像を転写する転写部と、画像情報が付与された画像データが入力される色変換部(入力部)と、色変換部(入力部)に入力された画像データのうち、第1の露光部に出力する第1の画像データを第1のスクリーン角度でスクリーンデータ処理し、第2の露光部に出力する第2の画像データを第2のスクリーン角度でスクリーンデータ処理する画像処理部と、を備えた画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−204321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここでスクリーン処理を行なうために使用するスクリーンとして周波数変調スクリーン(FM(Frequency Modulation)スクリーン)を使用することがある。FMスクリーンとしては誤差拡散法を用いた方式が一般的であるが、近年では、より高画質なFMスクリーンとして閾値マトリクスを使用するスクリーン(マスク型FMスクリーン)を使用することがある。そしてこのマスク型FMスクリーンを画像形成装置に搭載したとき、画像形成装置が有する固有周期とスクリーン処理の周期とが干渉を生じ、形成される画像にディフェクト(欠陥)が生じることがある。そのため画像形成装置が有する固有周期とスクリーン処理の周期とが干渉を生じにくくすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、主走査方向および副走査方向に予め定められた閾値配列を有する周波数変調スクリーンにより、画像情報にスクリーン処理を施すスクリーン処理部を備える画像処理手段と、像を保持する像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記画像処理手段によりスクリーン処理された画像情報に基づき、前記帯電手段により帯電された前記像保持体に複数の光線を走査することで露光し静電潜像を形成するための複数の光線源を有する静電潜像形成手段と、前記静電潜像形成手段により形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、を備え、前記画像処理手段の前記スクリーン処理部で使用される前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と前記静電潜像形成手段において1回の走査で露光する副走査方向の光線源の個数とは、一方が他方の倍数とはならないことを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記光線源は、副走査方向において予め定められた個数毎に複数の群に分割されるとともに、当該群中に属する光線源は主走査方向にずれて配され、前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と前記静電潜像形成手段において1つの前記群に属する副走査方向の光線源の個数とは、一方が他方の倍数とはならないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と、前記1回の走査で露光する副走査方向の光線源の個数または1つの前記群に属する副走査方向の光線源の個数とは、一方が他方の倍数の前後略20μmに含まれる個数とはならないことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記帯電手段は、予め定められた周波数の交流帯電バイアスが印加されることにより帯電し、前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と前記交流帯電バイアスの1周期で帯電される前記帯電手段上の副走査方向の長さに配列する画素数とは、一方が他方の倍数とはならないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記周波数変調スクリーンの主走査方向の閾値数と副走査方向の閾値数とは同数であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、主走査方向および副走査方向に予め定められた閾値配列を有する周波数変調スクリーンにより、画像情報にスクリーン処理を施すスクリーン処理部を備える画像処理手段と、前記画像処理手段により処理された画像情報に基づき、副走査方向に予め定められた個数にて配される描画手段を主走査方向に走査することで画像を形成する画像形成手段と、を備え、前記画像処理手段の前記スクリーン処理部で使用される前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と前記描画手段の副走査方向の個数とは、一方が他方の倍数とはならないことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、閾値マトリクスを使用する周波数変調スクリーンを使用した場合でも形成される画像にディフェクトが生じにくい画像形成装置を提供できる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、静電潜像形成手段が有する固有周期とスクリーン処理の周期とがさらに干渉を生じにくくなる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、静電潜像形成手段が有する固有周期とスクリーン処理の周期とがさらに干渉を生じにくくなる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、帯電手段が有する固有周期とスクリーン処理の周期とが干渉を生じにくくなる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、主走査方向についても画像にディフェクトが生じにくい画像形成装置を提供できる。
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べ、描画手段が有する固有周期とスクリーン処理の周期とが干渉を生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態の画像形成装置の概要を示す図である。
【図2】本実施の形態の露光部の概要を示す図である。
【図3】(a)〜(c)は、マルチビームレーザを用いた階調表現を説明するための図である。
【図4】現像器の側部断面図を示している。
【図5】画像形成装置の制御部における画像処理手段としての信号処理系を示すブロック図である。
【図6】スクリーン処理部についてさらに詳しく説明した図である。
【図7】(a)は、スクリーン処理前のデジタル画像を模式的に表わした図であり、(b)は、スクリーン処理後における画像を実際に印刷した場合の画像を模式的に表わした図である。
【図8】半導体レーザが有する固有周期について説明した図である。
【図9】スクリーンの副走査方向の閾値数を選択する手順について説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<画像形成装置の全体構成の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の画像形成装置1の概要を示す図である。
この画像形成装置1は、例えば電子写真方式にて各色成分トナー像が形成される複数(本実施の形態では4つ)の画像形成ユニット10(具体的には10Y(イエロー)、10M(マゼンタ)、10C(シアン)、10K(黒))を備える。また、この画像形成装置1は、各画像形成ユニット10で形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)保持させる中間転写ベルト20を具備する。さらに、この画像形成装置1は、中間転写ベルト20に転写されたトナー像を用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置30を備える。さらにまた、この画像形成装置1は、二次転写されたトナー像を用紙P上に定着させる定着装置50、および画像形成装置1の各機構部を制御する制御部70を有している。
【0012】
各画像形成ユニット10(10Y、10M、10C、10K)は、使用されるトナーの色を除き、同じ構成を有している。そこで、イエローの画像形成ユニット10Yを例に説明を行う。イエローの画像形成ユニット10Yは、図示しない感光層を有し、矢印A方向に回転可能に配設され、像を保持する像保持体の一例である感光体ドラム11を具備している。この感光体ドラム11の周囲には、帯電ロール12、露光部13、現像器14、一次転写ロール15、およびドラムクリーナ16が配設される。
【0013】
このうち、帯電ロール12は、感光体ドラム11に接触配置される回転体である。そして図示しない帯電電源に接続され、この帯電電源は、帯電ロール12に対し予め定められた周波数の交流帯電バイアスを重畳した正極性または負極性の直流帯電バイアスを供給する。
また詳しくは後述するが露光部13は、帯電ロール12によって帯電された感光体ドラム11に、レーザ光Bmによって静電潜像を書き込む。現像器14は、対応する色成分トナー(イエローの画像形成ユニット10Yではイエローのトナー)を収容し、このトナーによって感光体ドラム11上の静電潜像を現像する。一次転写ロール15は、感光体ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20に一次転写する。ドラムクリーナ16は、一次転写後の感光体ドラム11上の残留物(トナー等)を除去する。
【0014】
中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では5つ)の支持ロールに回転可能に張架支持される。これらの支持ロールのうち、駆動ロール21は、中間転写ベルト20を張架するとともに中間転写ベルト20を駆動して矢印B方向に回転させる。また、張架ロール22および25は、中間転写ベルト20を張架するとともに駆動ロール21によって駆動される中間転写ベルト20に従がって回転する。補正ロール23は、中間転写ベルト20を張架するとともに中間転写ベルト20の搬送方向に略直交する方向の蛇行を規制するステアリングロール(軸方向一端部を支点として傾動自在に配設される)として機能する。さらに、バックアップロール24は、中間転写ベルト20を張架するとともに後述する二次転写装置30の構成部材として機能する。
また、中間転写ベルト20を挟んで駆動ロール21と対向する部位には、二次転写後の中間転写ベルト20上の残留物(トナー等)を除去するベルトクリーナ26が配設されている。
【0015】
二次転写装置30は、中間転写ベルト20のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール31と、中間転写ベルト20の裏面側に配置されて二次転写ロール31の対向電極をなすバックアップロール24とを備えている。このバックアップロール24には、トナーの帯電極性と同極性の二次転写バイアスを印加する給電ロール32が接触して配置されている。一方、二次転写ロール31は接地されている。
【0016】
また、用紙搬送系は、用紙トレイ40、搬送ロール41、レジストレーションロール42、搬送ベルト43、および排出ロール44を備える。用紙搬送系では、用紙トレイ40に積載された用紙Pを搬送ロール41にて搬送した後、レジストレーションロール42で一旦停止させ、その後予め定められたタイミングで二次転写装置30の二次転写位置へと送り込む。また、二次転写後の用紙Pを、搬送ベルト43を介して定着装置50へと搬送し、定着装置50から排出された用紙Pを排出ロール44によって機外へと送り出す。
【0017】
次に、この画像形成装置1の基本的な作像プロセスについて説明する。今、図示外のスタートスイッチがオン操作されると、予め定められた作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置1をプリンタとして構成する場合には、PC(パーソナルコンピュータ)等、外部から入力されるデジタル画像信号をメモリに一時的に蓄積する。そして、メモリに蓄積されている4色(Y色、M色、C色、K色)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行う。すなわち、各色のデジタル画像信号に応じて各画像形成ユニット10(具体的には10Y、10M、10C、10K)をそれぞれ駆動する。次に、各画像形成ユニット10では、帯電ロール12により帯電された感光体ドラム11に、露光部13によりデジタル画像信号に応じたレーザ光Bmを照射することで、静電潜像を形成する。そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像を現像器14により現像し、各色のトナー像を形成させる。なお、この画像形成装置1を複写機として構成する場合には、図示しない原稿台にセットされる原稿をスキャナで読み取り、得られた読み取り信号を処理回路によりデジタル画像信号に変換した後、上記と同様にして各色のトナー像の形成を行うようにすればよい。
【0018】
その後、各感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが接する一次転写位置で、一次転写ロール15によって中間転写ベルト20の表面に順次一次転写される。一方、一次転写後に感光体ドラム11上に残存するトナーは、ドラムクリーナ16によってクリーニングされる。
【0019】
このようにして中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト20上で重ね合わされ、中間転写ベルト20の回転に伴って二次転写位置へと搬送される。一方、用紙Pは予め定められたタイミングで二次転写位置へと搬送され、バックアップロール24に対して二次転写ロール31が用紙Pを挟持する。
【0020】
そして、二次転写位置において、二次転写ロール31とバックアップロール24との間に形成される転写電界の作用で、中間転写ベルト20上に保持されたトナー像が用紙Pに二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは、搬送ベルト43により定着装置50へと搬送される。定着装置50では、用紙P上のトナー像が加熱・加圧定着され、その後、機外に設けられた排紙トレイ(図示せず)に送り出される。一方、二次転写後に中間転写ベルト20に残存するトナーは、ベルトクリーナ26によってクリーニングされる。
【0021】
<露光部の説明>
次に露光部13についてさらに詳しく説明を行なう。
図2は、本実施の形態の露光部13の概要を示す図である。
本実施の形態におおいて、露光部13は、光線の一例であるレーザ光Bmを発する半導体レーザ(マルチビームレーザROS)131と、発光されたレーザ光Bmを平行光に変換するためのコリメートレンズ132およびアパーチャ133を備えている。また、平行光に変換されたレーザ光Bmを主走査方向に走査するためのポリゴンミラー(回転多面鏡)134を備えている。更に、ポリゴンミラー134の面倒れ等の光学的な歪みを補正する結像レンズ(fθレンズ)135と、結像レンズ135により補正されたレーザ光Bmを反射させて感光体ドラム11を照射するシリンドリカルミラー136とを備えている。
【0022】
半導体レーザ131は、図示しない制御部によって出力される出力信号に基づき、発光する。この半導体レーザ131は、後に詳述するように、面発光のマルチビームレーザであり、光線源として1つのデバイスに計18個のレーザダイオード(LD)が設けられている。そして、露光部13では、この18個のレーザダイオードから発光される18本のビームをコリメートレンズ132によりコリメートした後、アパーチャ133を介してポリゴンミラー134により偏向走査し、結像レンズ135とシリンドリカルミラー136とを用いて感光体ドラム11上に結像する。このようにして、感光体ドラム11上に18ラインを同時に走査することができる。この回転多面鏡(ポリゴンミラー)は、DCモータ(スキャンモータ)によって高い回転精度にて回転駆動する。また、感光体ドラム11は、図示しない駆動手段によって回転駆動し、この露光部13によって、帯電ロール12によって表面が帯電された感光体ドラム11がレーザ走査(主走査)と直交する方向(回転駆動方向、副走査方向)にて順次、露光され、2次元の静電潜像を形成することができる。
【0023】
つまり露光部13は、帯電ロール12により帯電された感光体ドラム11に複数のレーザ光Bmを走査することで露光し静電潜像を形成するための複数のレーザダイオードを有する静電潜像形成手段として機能する。また露光部13は、副走査方向に予め定められた個数にて配される描画手段としてのレーザダイオードを主走査方向に走査することで画像を形成する画像形成手段としても機能する。
【0024】
次に、面発光のマルチビームレーザである半導体レーザ131を2値点灯制御させることによる階調表現について説明する。
図3(a)〜(c)は、マルチビームレーザを用いた階調表現を説明するための図である。図3(a)では、主走査方向(FS)と副走査方向(SS)に形成される画像例が示されている。1ブロック列にはD11〜D14…、2ブロック列にはD21〜D24…、3ブロック列のD31〜D34…の領域が図示されている。図3(b)は、D11,D21,D31のブロック領域を拡大している。1つのブロック領域は、副走査方向に6ドット、主走査方向に3ドットの計18ドットで形成される。図3(c)は、半導体レーザ131を構成する面発光のマルチビームレーザを示している。この面発光のマルチビームレーザは、1つのデバイスに、発光源として、6×3の配列(配置形状)でLD1〜LD18の計18個のレーザダイオード(LD)が設けられている。そして、この18個のレーザダイオードによって、18本のビームにより18ラインを同時に走査することができる。
このような配列のレーザダイオードは、副走査方向において予め定められた個数毎に複数のグループ(群)に分割されるとともに、このグループ(群)中に属するレーザダイオードは主走査方向にずれて配される構造を採ると言い換えることもできる。
【0025】
例えば図3(b)に示すD11のブロック領域は、LD1〜LD6の6つのレーザダイオードをポリゴンミラー134で主走査方向にスキャンすることで露光される。同様に、D21のブロック領域は、LD7〜LD12の6つのレーザダイオードで露光される。さらにD31のブロック領域は、LD13〜LD18の6つのレーザダイオードで露光される。例えば図3(b)に示すD11のブロック領域は、LD1〜LD6の6個のレーザダイオードを2値点灯し、主走査方向への3画素分を掛け合わせた6×3の計18ドットの各ドットをON/OFF制御することで、1つの領域を使って複数の階調を表現できる。
【0026】
<現像器の説明>
次に、現像器14について詳細に説明する。
図4は、現像器14の側部断面図を示している。
現像器14は、感光体ドラム11に対向する開口部(現像用開口)を有し、かつ内部にはトナーおよびキャリアを含む現像剤(図示せず)が収容される現像ハウジング141と、この現像ハウジング141の開口部に面した箇所に配設され、感光体ドラム11と対向して配され、静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段として機能する回転可能な回転体としての現像ロール143とを備えている。また、現像ハウジング141内であって、感光体ドラム11からみて現像ロール143の背面下側には、感光体ドラム11の軸方向とほぼ平行に配設され、現像ロール143に現像剤を搬送する一対のスクリューオーガー144,145が設けられている。なお、以下の説明では、現像ロール143から遠い側にあるスクリューオーガー144を第1のスクリューオーガー、現像ロール143に近い側にあるスクリューオーガー145を第2のスクリューオーガーと呼ぶ。また、第1のスクリューオーガー144と、第2のスクリューオーガー145の間には、これら第1のスクリューオーガー144、第2のスクリューオーガー145を仕切る仕切り壁141aが設けられている。この仕切り壁141aは、現像ハウジング141と一体的に形成されている。また、現像ロール143の上側には、現像ロール143と予め定められた距離をもって配設され、現像ロール143上の現像剤層厚さを規制するトリマ149が設けられている。
【0027】
ここで、現像ロール143は、回転可能に配設される現像スリーブ146と、現像スリーブ146の内側に固定的に配設されると共に、内部に複数の磁極が配列される磁石ロール147とを有している。現像スリーブ146は、図示しないモータにより矢印方向に回転駆動されるようになっており、感光体ドラム11と対向する現像位置において感光体ドラム11と同方向に回転するようになっている。また、現像スリーブ146は、例えばSUS等の金属にて構成されており、予め定められた周波数の交流バイアスを重畳した直流バイアスからなる現像バイアスを印加する図示しない現像バイアス電源が接続されている。
【0028】
現像剤は、回転駆動される第1のスクリューオーガー144および第2のスクリューオーガー145により、現像ハウジング141内を攪拌されながら循環搬送される。この攪拌動作により、現像剤を構成するキャリアおよびトナーは互いに摩擦され、トナーは摩擦により負極性に帯電する。また、キャリアやクリーニング助剤は摩擦により正極性に帯電する。そして、攪拌搬送される現像剤が現像ロール143との対向部に搬送されると、磁石ロール147に設けられた磁極N1の磁力により、現像剤の一部が現像ロール143側に転移し、現像スリーブ146上に現像剤による現像剤層が形成される。そして、この現像剤層は、回転駆動される現像スリーブ146の回転に伴って搬送されていく。
【0029】
また現像スリーブ146により搬送される現像剤層がトリマ149を通過する際に、現像剤層の厚さは予め定められた厚さに規制され、予め定められた搬送量となって感光体ドラム11と対向する現像ハウジング141の開口部に運ばれる。なお、トリマ149の部分を通過できなかった現像剤は、重力によって現像ハウジング141内に戻される。
【0030】
現像ロール143の表面にある現像スリーブ146には、現像スリーブ146を予め定められた電位にする現像バイアス電源(図示せず)が接続されている。そして現像バイアス電源は、予め定められた現像バイアス(例えば、直流−350Vにピークトゥピークが1kVの交流を重畳したもの)が印加する。これにより、感光体ドラム11と最近接する現像領域において、現像スリーブ146上の現像剤層より感光体ドラム11上の潜像形成領域にトナーが転移し、静電潜像を現像して可視像化する。また、トナーと逆極性に帯電しているクリーニング助剤は、感光体ドラム11上の非潜像形成領域に転移する。
【0031】
その後、現像ハウジング141の開口部を通過し現像を終了した現像剤層は現像スリーブ146上に保持された状態でさらに搬送される。そして、現像スリーブ146上の現像剤層は、磁極N4、N1間に形成される反発磁界によって現像ロール143から離脱して現像ハウジング141内に落下し、再び第1のスクリューオーガー144および第2のスクリューオーガー145によって攪拌搬送され、次の現像を待つこととなる。
【0032】
<信号処理系の説明>
図5は、画像形成装置1の制御部70における画像処理手段としての信号処理系を示すブロック図である。
なお図5では、制御部70における信号処理系のみならず、画像形成装置1の外部装置であるPC(Personal Computer)および信号処理系により処理された画像信号に基づき、画像の形成を行なうマーキングエンジンについても併せて図示している。このマーキングエンジンは、例えば、図1で説明した画像形成装置1において実際に画像を形成する各機構に対応する。なお、この例では、画像形成装置1をプリンタとして構成する例を示している。以下、図5を参照しつつ画像信号の処理の流れについて説明を行なう。
【0033】
制御部70は、印刷データを受け取りページ記述言語(PDL:Page Description Language)に変換するPDL生成部71と、PDL生成部71により生成されたPDLからラスタイメージを作成するラスタライズ(rasterize)部72と、RGBデータをYMCKデータに変換する色変換処理部73と、色変換処理部73により変換されたラスタイメージの調整を行なうラスタイメージ調整部74と、スクリーン処理を行なうスクリーン処理部75とを備える。
【0034】
本実施の形態では、まずPDL生成部71がPCから印刷データを受け取る。この画像データは、PCを使用するユーザが、画像形成装置1により印刷したい画像データである。画像データを受け取ったPDL生成部71は、これをPDLで記述されたコードデータに変換して出力する。
【0035】
ラスタライズ部72は、PDL生成部71から出力されてくるPDLで記述されたコードデータを各画素毎のラスタデータに変換し、ラスタイメージとする。そして、ラスタライズ部72は、変換後のラスタデータをRGB(Red,Green,Blue)のビデオデータ(RGBビデオデータ)として出力する。このとき、ラスタライズ部72は、1ページ毎にRGBデータを出力することになる。
【0036】
色変換処理部73は、ラスタライズ部72から入力されるRGBデータをデバイスインディペンデントな[XYZ]、[L*a*b*]、[L*u*v*]等のカラーバリューに変換した後、画像形成装置1の再現色(イエロー、マゼンタ、シアン、黒)であるYMCKデータに変換して出力する。このYMCKデータは、色毎に分離されたY色データ、M色データ、C色データ、K色データで構成される。
【0037】
ラスタイメージ調整部74は、色変換処理部83から入力されるYMCKデータに対し、γ変換、精細度処理、中間調処理等を施すことで、より良好な画質を画像形成装置1で得られるように各種の調整を行なう。
【0038】
スクリーン処理部75は、詳しくは後述するが、主走査方向および副走査方向に予め定められた閾値配列を有するスクリーンにより、画像情報にスクリーン処理を行なう。本実施の形態では、スクリーンとして閾値マトリクスを用いた周波数変調スクリーン(マスク型FMスクリーン)を使用する。また本実施の形態においては主走査方向の閾値数と副走査方向の閾値数とは同数であることが好ましいが、これに限られるものではない。
【0039】
図6は、スクリーン処理部75についてさらに詳しく説明した図である。
図示したようにスクリーン処理部75は、閾値マトリクス記憶部751と、比較部752とを備える。
閾値マトリクス記憶部751には、主走査方向および副走査方向にマトリクス状に配列する閾値が格納されている。この閾値は、閾値マトリクス記憶部751から比較部752に読み出される。そして入力画像信号は、一画素毎に比較部752にてその値とこの各画素に対応する閾値とが比較される。そして入力画像信号が閾値以上だった場合(入力画像信号≧閾値)は、出力画像信号として1が出力される。一方、入力画像信号が閾値未満だった場合(入力画像信号<閾値)は、出力画像信号として0が出力される。これにより面積階調による濃度階調が表現される。
【0040】
なお本実施の形態では、閾値マトリクス記憶部751および比較部752は、YMCKの色毎に設けられ、それぞれの色毎にスクリーン処理を行なう。なおここで使用するスクリーンは、YMCK各色毎に同じものであってもよいが、異なるものを使用することが好ましい。つまりYMCK各色毎に異なる閾値配列のスクリーンを使用したり、主走査方向および副走査方向の閾値数が互いに異なるスクリーンを使用することが好ましい。これにより後述する画像に現れるディフェクトがより生じにくくなる。
【0041】
本実施の形態で使用するスクリーンは、周波数変調スクリーン(FM(Frequency Modulation)スクリーン)であり、さらに詳しくは、閾値マトリクスを使用するマスク型FMスクリーンである。ただし閾値配列を決定する際の方式については、どのような方式のものでもよい。具体的には、Blueノイズマスク法、Greenノイズマスク法、AM(Amplitude Modulation)/FMハイブリッドスクリーン法などが挙げられる。
【0042】
このように本実施の形態では、予め定められたマスクサイズのスクリーンを使用してスクリーン処理を行なう。そしてスクリーン処理を行なう際は、この予め定められたマスクサイズのスクリーンを主走査方向および副走査方向に連続して使用することで処理を行なうことになる。一般的にはマスク型FMスクリーンの閾値配列はAMスクリーンと同様に、マスクを連続させた際にその境界で閾値の並びが乱れないように設計される。しかしながら、マスク型FMスクリーンの場合は、各オン画素間の距離を予め定められた条件に基づきランダムに設定しつつ、マスク同士の境界で閾値の並びが乱れないように閾値を配列する必要があるため、マスク内での閾値の配列の自由度が小さく、マスク内の一部のエリアで閾値配列にひずみが生じやすい。そして、これが原因となり画像を出力した場合にマスクサイズの周期でディフェクト(欠陥)が視認される場合がある。つまりスクリーン処理後の画像には主走査方向および副走査方向にこのマスクサイズ周期が生ずることになる。ただしマスクサイズとして予め定められたサイズ以上のものを使用すれば、マスク内での閾値の配列の自由度が緩和され、また人の目の感度に対してもため有利になるため、一般的には形成される画像にマスクサイズ周期が視認されることは少ない。本願発明者の実験によると、画像を出力した場合に、例えば一辺が2mm以上で描画されるマスクサイズであれば視認されることは少ない。すなわち、2400dpiでは一辺が約190画素以上であれば視認されにくい。
【0043】
しかしながら画像形成装置1では、たとえ一辺が2mm以上のマスクサイズを使用した場合であっても、画像を出力した場合にマスクサイズの周期でディフェクト(欠陥)が視認される場合があることが本願発明者の実験により判明した。本願発明者の実験に基づくと、一般的な画像形成装置では、画像を形成するのに様々な固有周期を有するユニットを使用するため、この固有周期とマスクサイズの周期が一致した場合に干渉が起こり、マスクサイズのディフェクト(欠陥)が視認されやすいことが分かった。この干渉は一般的なAMスクリーンのマスクでは発生がほとんどなく、マスク型FMスクリーンの場合に顕著であることから、マスク型FMスクリーンのマスク内の一部のエリアにおける閾値配列のひずみが原因と考えられる。
【0044】
図7(a)は、スクリーン処理前のデジタル画像を模式的に表わした図であり、図7(b)は、スクリーン処理後における画像を実際に印刷した場合の画像を模式的に表わした図である。
ここで図7(a)では、スクリーン処理前であるため、上述したディフェクトは発生していない。一方、図7(b)は、スクリーン処理後においてディフェクトが発生した場合を図示している。そしてディフェクトが生じると、図7(b)に示すようにマスクサイズ周期に応じて画像に周期的な模様が視認される。図7(b)では、例えば、スクリーンの閾値数として、主走査方向に500個、副走査方向に500個マトリクス状に配列したものを使用している。これにより1つのスクリーンにより500dot×500dotの画像をスクリーン処理することができる。そして印刷を行なう画像の解像度が2400dpiだった場合は、約5mm×約5mmの大きさで主走査方向および副走査方向に周期的な模様が現われる。このディフェクトは、スクリーン処理の際に、マスクを主走査方向および副走査方向の両方に対して格子状となるよう連続させた場合(つまり、千鳥状とはならないようにした場合)に顕著に現われる。
【0045】
このような現象を引き起こす要因となる固有周期を有するユニットは、例えば、図3で説明した半導体レーザ131である。
図8は、半導体レーザ131が有する固有周期について説明した図である。
図8では、図3(c)で説明した半導体レーザ131と同じものを図示している。LD1〜LD18は、例えば、面発光レーザであるVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)で構成されており、個々の光線源が半導体チップ上に二次元配列されている。そしてこの半導体レーザ131には2つの基本的な固有周期が存在する。
【0046】
1つ目の固有周期は、LD1〜LD6、LD7〜LD12、LD13〜LD18のそれぞれ6個ずつのレーザダイオードにより生ずる。つまり上述したようにこれらのレーザダイオードを感光体ドラム11に主走査方向に走査させることで静電潜像を形成するが、半導体レーザ131が製造上のバラツキ等により傾いて配置された場合(図8において、紙面上面から見たときに時計回りまたは反時計回りに傾いた場合)、LD1〜LD6、LD7〜LD12、LD13〜LD18のそれぞれのレーザダイオード群に含まれる個々のレーザダイオードの走査の間隔は傾きの角度に応じて同じ比率で広がったり狭まったりするが、レーザダイオード群の境界の間隔(LD6とLD7の間、およびLD12とLD13の間)は、レーザダイオード群に含まれる個々のレーザダイオードの走査の間隔と同じ比率では広がったり狭まったりしない。よって、半導体レーザ131が製造上のバラツキ等により傾いて配置された場合は、形成される画像にも6画素を1単位とする固有周期(第1の固有周期として図示)が生じることになる。なお、本実施の形態では図8に示した光線源の配列のもので説明したが、1回の走査で露光する光線源の個数よりも少ない個数に対応した固有周期を有する半導体レーザであれば、他の配列のものであってもよい。例えば、1回の走査で露光する複数の光線源が、二次元平面内の複数の直線上に分かれて配されている半導体レーザであれば、同様に予め定められた固有周期を有することになる。
【0047】
さらに2つ目の固有周期は、LD1〜LD18の18個のレーザダイオード全体によって生ずる。つまり1回の走査でこれらの18個のレーザダイオードにより感光体ドラム11に形成される静電潜像は、副走査方向に18画素分である。そして、設計上の走査タイミングは、LD1〜LD18の各々の副走査方向の間隔と、LD18と次の走査におけるLD1の副走査方向の間隔が一致するように設定するが、製造以上のバラツキ等により、これらを常に完全に一致させることは困難である。また、前述のとおり半導体レーザ131が製造上のバラツキ等により傾いて配置されることもこの間隔が一致しなくなる原因となる。そのため形成される画像にも18画素を1単位とする固有周期(第2の固有周期として図示)が生じることになる。
【0048】
形成される画像の解像度が2400dpiであった場合は、レーザダイオード間の距離は、約10.6μmである。そのためLD1〜LD6、LD7〜LD12、LD13〜LD18のそれぞれ6個ずつのレーザダイオードにより生ずる固有周期の長さは、約63.5μmである。さらにLD1〜LD18の18個のレーザダイオード全体によって生じる固有周期の長さは、190.5μmである。
【0049】
そして上述したスクリーンの副走査方向の閾値数がこれら6および18の倍数となる場合は、半導体レーザ131が有する固有周期の倍数とスクリーンのマスクサイズ周期が一致する。そしてこの場合、半導体レーザ131が有する固有周期とスクリーンのマスクサイズ周期が干渉を生じ、図7(b)で説明したようなディフェクトが発生する。なおこのことは、スクリーンの副走査方向長さが63.5μmおよび190.5μmの倍数となる場合に、半導体レーザ131が有する固有周期の倍数とスクリーンのマスクサイズ周期が一致すると言い換えることもできる。
【0050】
なお実際には、上記のように半導体レーザ131が有する固有周期の倍数とスクリーンのマスクサイズ周期が完全に一致する場合にディフェクトが顕著に表れるが、完全に一致する場合のみならず、この数から少しずれても画像にディフェクトが生じうる。本願発明者の実験によると、このずれは、2400dpiの場合は大体2画素分であり、1200dpiの場合は大体1画素分である。言い換えるとスクリーンの副走査方向の閾値数が、半導体レーザ131が有する固有周期である6および18の倍数の前後20μmに含まれる閾値数である場合は、画像にディフェクトが生じうる。
一般的に複数本のレーザを同時に走査する面発光レーザアレイでは、それらを制御する電子データの単位は2ビット、4ビット、8ビット、16ビット等が多く、よって、データの取り扱い易さの観点より、本実施の形態における第1、第2の固有周期に対応する画素数としても、4、8、16の倍数のものが一般的である。また、マスクサイズ(一辺の閾値数)もメモリやビットの単位の関係上、4の倍数や8の倍数に設定すると都合がよい。すなわち、一般的には露光装置の固有周期とマスクサイズとは干渉する関係となる。
【0051】
そこで本実施の形態では、スクリーンの副走査方向の閾値数と半導体レーザ131において1回の走査で露光する副走査方向のレーザダイオードの個数とは、一方が他方の倍数とはならないようにする。また、スクリーンの副走査方向の閾値数と半導体レーザ131において1つの群に属する副走査方向のレーザダイオードの個数とは、一方が他方の倍数とはならないようにする。さらに好ましくは、上述の倍数の前後略20μmに含まれる個数とはならないようにする。
【0052】
また画像形成装置1において固有周期を有するユニットは、半導体レーザ131だけではない。例えば、帯電ロール12(図1参照)によっても固有周期が生ずる。
図1で説明したように帯電ロール12は、帯電電源から帯電ロール12に対し、予め定められた周波数の交流帯電バイアスを重畳した直流帯電バイアスを供給することにより帯電する。そしてこの交流帯電バイアスに起因して帯電周期が生じる。つまり交流であるために印加される電圧が予め定められた時間を1周期として変動し、これにより帯電ロール12の帯電量に帯電周期が生じることがある。そしてこの帯電周期が帯電ロール12により生ずる固有周期となる。この帯電周期は、帯電ロール12の回転方向、即ち副走査方向に生じる。本実施の形態においてこの帯電周期は、例えば18画素分である。形成される画像の解像度が2400dpiであった場合は、半導体レーザ131の場合と同様にして19.05μmの長さになる。つまり帯電ロール12により副走査方向にこの長さを1単位とする固有周期が生じる。
【0053】
そのため本実施の形態では、スクリーンの副走査方向長さと印加される交流帯電バイアスの1周期分の時間で帯電ロール12の外周面が回転する長さとは、一方が他方の倍数とならないようにする。またこのことを半導体レーザ131の場合で説明したように画素数の場合で言い換えると、スクリーンの副走査方向の閾値数と交流帯電バイアスの1周期で帯電される帯電ロール12上の副走査方向の長さ(周方向長さ)に配列する画素数とは、一方が他方の倍数とはならないようにする。
【0054】
さらに例えば、現像器14(図4参照)によっても固有周期が生ずる。
図4で説明したように現像スリーブ146には、交流バイアスを重畳した直流バイアスからなる現像バイアスを印加される。そしてこの交流現像バイアスと上述した交流帯電バイアスが干渉し、これにより固有の干渉周期が生じることがある。この干渉周期は、上述した場合と同様に副走査方向に生じる。本実施の形態において、この干渉周期を現像スリーブ146外周の長さに直すと、例えば40mmになる。
【0055】
そのため本実施の形態では、スクリーンの副走査方向長さと干渉周期1周期分の時間で現像スリーブ146の外周面が回転する長さとは、一方が他方の倍数とならないようにする。またこのことを半導体レーザ131の場合で説明したように画素数の場合で言い換えると、スクリーンの副走査方向の閾値数と干渉周期の1周期で回転する現像スリーブ146上の副走査方向の長さ(周方向長さ)に配列する副走査方向の画素数とは、一方が他方の倍数とはならないようにする。
【0056】
また他にも画像形成装置1には、画像を形成するために動作するギア部等のメカ周期なども存在する。そして本実施の形態では、上述した場合と同様にしてスクリーンの副走査方向の閾値数を調整、選択する。なお、ギア部等のメカ機構、交流帯電バイアス、および現像スリーブのいずれについても、上述の倍数の前後略20μmに含まれる個数とはならないようにするのが好ましい。
【0057】
次にスクリーンの副走査方向の閾値数を選択する手順についてさらに具体的に説明を行なう。
【0058】
図9は、スクリーンの副走査方向の閾値数を選択する手順について説明したフローチャートである。
まず半導体レーザ131が有する固有周期を外す閾値数(I)の選択を行なう(ステップ101)。次にギア部等のメカ周期を外す閾値数(II)の選択を行なう(ステップ102)。そしてステップ101とステップ102で選択した閾値数(I)〜(II)が両立できるかどうかを判断する(ステップ103)。そして両立できなかった場合(ステップ103でNo)は、ステップ101で選択した閾値数(I)を優先してスクリーンの副走査方向の閾値数として選択する(ステップ104)。
【0059】
一方両立できた場合(ステップ103でYes)は、帯電ロール12が有する固有周期を外す閾値数(III)の選択を行なう(ステップ105)。そしてステップ101、ステップ102、およびステップ105で選択した閾値数(I)〜(III)が両立できるかどうかを判断する(ステップ106)。そして両立できなかった場合(ステップ106でNo)は、ステップ101およびステップ102で選択した閾値数を優先してスクリーンの副走査方向の閾値数として選択する(ステップ107)。
【0060】
一方両立できた場合(ステップ106でYes)は、現像スリーブ146が有する固有周期を外す閾値数(IV)の選択を行なう(ステップ108)。そしてステップ101、ステップ102、ステップ105、およびステップ108で選択した閾値数(I)〜(IV)が両立できるかどうかを判断する(ステップ109)。そして両立できなかった場合(ステップ109でNo)は、ステップ101、ステップ102、およびステップ105で選択した閾値数を優先してスクリーンの副走査方向の閾値数として選択する(ステップ110)。
一方両立できた場合(ステップ109でYes)は、その閾値数をスクリーンの副走査方向の閾値数として選択する(ステップ111)。
【0061】
上述したフローチャートにおいては、問題が生じやすいユニットに対し優先して閾値数の選択を行なっている。つまり本実施の形態では、まず問題になるのが半導体レーザ131が有する固有周期との干渉であり、この干渉により画像にディフェクトが特に生じやすい。そして次にメカ周期、帯電ロール12、現像スリーブ146の順で、これら各固有周期との干渉が問題となる。
【0062】
なおここでステップ101において行なっている処理を例に挙げ、この処理の内容についてより具体的に説明する。
ここでは、半導体レーザ131による感光体ドラム11への静電潜像の書込みを2400dpiで行ない、用紙に形成される画像も2400dpiで行なうものとする。またスクリーンの副走査方向の閾値数は、最大300個以内であり、また半導体レーザ131には、図8で説明した6および18の固有周期が存在するものとする。
【0063】
このときスクリーンの副走査方向の閾値数は、大きい方が好ましいためこの閾値数の選択の方針1としてまず300に近い数であって、6および18の倍数を外す数を選択する。そして閾値数の選択の方針2として、この中でも6および18の倍数の前後略20μmに含まれる数を外す選択を行なう(例えば、2400dpiの場合は、この範囲に含まれる画素は2画素分であるので、6および18の倍数に対して±2以内の数を外す)。具体的には、以下のような手順になる。
【0064】
(1)300以下で6の最大倍数は、300であり、次に大きい倍数は294である。また300以下で18の最大倍数は、288である。
(2)そのため上記方針1により選択される数として、295〜299の数を選択する。
(3)この中でも上記方針2により、294および300に対し±2以内の数を外す。
(4)そのため上記方針2により295、296、298、299が外され、297のみが残る。そしてこの数が閾値数(I)として選択される。
本実施の形態においては、半導体レーザ131が有する2種類の固有周期の両方を外す例を示すが、いずれか一方だけを外してもよい。例えば、2種類の固有周期の一方について干渉によるディフェクトが視認されない特性の装置であれば、その固有周期の方を考慮しなくてもよい。
なお本実施の形態では、閾値数(I)は1つしか選択されなかったが、複数選択される場合もあり得る。この場合は、隣接する倍数同士の間のより中心に近い数を選択することが好ましい。
【0065】
さらに本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1について説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、インクジェット方式の画像形成装置についても適用できる。この場合、画像形成手段は、インクジェットヘッドであり、このインクジェットヘッドに備えられ、副走査方向に予め定められた個数にて配される描画手段としてのインクジェットノズルを主走査方向に走査することで画像を形成する。そしてスクリーンの副走査方向の閾値数とインクジェットノズルの副走査方向の個数とは、一方が他方の倍数またはこの倍数の前後2以内の整数とはならないようにする。
また本実施の形態では、4色のトナーによりカラー画像を形成する画像形成装置1について説明を行ったが、これに限られるものではなく、単色(例えば黒)の画像を形成する画像形成装置にも適用できる。
またさらに本実施の形態では、スクリーンの副走査方向の閾値数と画像形成装置1内に生じる固有周期との関係について規定したが、これに限られるものではない。例えば、主走査方向の閾値数と副走査方向の閾値数とが同数であるスクリーンを使用した場合は、主走査方向においても画像形成装置1内に生じる固有周期を外すことができる。
【符号の説明】
【0066】
1…画像形成装置、11…感光体ドラム、12…帯電ロール、13…露光部、14…現像器、70…制御部、75…スクリーン処理部、131…半導体レーザ、143…現像ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向および副走査方向に予め定められた閾値配列を有する周波数変調スクリーンにより、画像情報にスクリーン処理を施すスクリーン処理部を備える画像処理手段と、
像を保持する像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記画像処理手段によりスクリーン処理された画像情報に基づき、前記帯電手段により帯電された前記像保持体に複数の光線を走査することで露光し静電潜像を形成するための複数の光線源を有する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像形成手段により形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
を備え、
前記画像処理手段の前記スクリーン処理部で使用される前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と前記静電潜像形成手段において1回の走査で露光する副走査方向の光線源の個数とは、一方が他方の倍数とはならないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記光線源は、副走査方向において予め定められた個数毎に複数の群に分割されるとともに、当該群中に属する光線源は主走査方向にずれて配され、
前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と前記静電潜像形成手段において1つの前記群に属する副走査方向の光線源の個数とは、一方が他方の倍数とはならないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と、前記1回の走査で露光する副走査方向の光線源の個数または1つの前記群に属する副走査方向の光線源の個数とは、一方が他方の倍数の前後略20μmに含まれる個数とはならないことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電手段は、予め定められた周波数の交流帯電バイアスが印加されることにより帯電し、
前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と前記交流帯電バイアスの1周期で帯電される前記帯電手段上の副走査方向の長さに配列する画素数とは、一方が他方の倍数とはならないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記周波数変調スクリーンの主走査方向の閾値数と副走査方向の閾値数とは同数であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
主走査方向および副走査方向に予め定められた閾値配列を有する周波数変調スクリーンにより、画像情報にスクリーン処理を施すスクリーン処理部を備える画像処理手段と、
前記画像処理手段により処理された画像情報に基づき、副走査方向に予め定められた個数にて配される描画手段を主走査方向に走査することで画像を形成する画像形成手段と、
を備え、
前記画像処理手段の前記スクリーン処理部で使用される前記周波数変調スクリーンの副走査方向の閾値数と前記描画手段の副走査方向の個数とは、一方が他方の倍数とはならないことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−64972(P2013−64972A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5843(P2012−5843)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】