説明

画像形成装置

【課題】操作面を操作する側へ向けるように操作部を起立させ得る構成において、より少ない部品点数で操作部の視認性と操作性とを高めることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、操作部31を走査する側へ引き出す方向と略直交する方向における操作部31の端部に設けられた端部被案内部322と、端部被案内部322を上記引き出す方向に沿って案内する装置本体3側に設けられた端部案内部414と、を有し、端部被案内部322は、端部案内部414によって引き出す方向に沿って案内されると共に、操作部31を上記引き出した位置で操作面を操作する側へ向けるための回動中心である構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成部が収納された筐体に操作面を上向きにした操作部が配置された画像形成装置に関し、より詳しくは、操作面を操作する側へ向けるように操作部を起立させる構造に特徴を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成部(例えば電子写真方式又はインクジェット方式)が収納された筐体の上部に画像読取部(例えばフラットベッドスキャナ)を配置し、液晶画面を備えた操作部を、画像読取部の高さ位置に配置した画像形成装置が実用化されている。このような画像形成装置では、一般に、操作する側から画像読取部の読取面へ原稿を載置する際の邪魔にならないように、操作部の上向きの操作面は、読取面よりも低い位置に配置されている。
【0003】
しかし、背丈の高い画像形成装置の筐体の上部に操作面を上向きにした操作部が配置されている場合、例えば小児や車椅子使用者にとって、液晶画面の表示画像を見ながら操作部に各種の設定を行ったり操作したりすることが容易ではない場合がある。このため、通常は操作面が上向きに配置されている操作部を、必要に応じて起立させて、操作する側の低い位置から容易に操作できるようにした画像形成装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、本願の図22及び図23に示すように、画像形成装置の筐体の上部に配置された操作部500を、正面側へスライドさせて引き出し(図22(a))、その引き出した位置で下方へ回動させる(図22(b))ようにした画像形成装置が開示される。更に説明すると、特許文献1に記載の画像形成装置は、操作部500の左右中央奥側端部に配置された回動軸で操作部500を下方へ回動可能に支持して、可動範囲の中間位置で保持可能な自在ヒンジ機構504(図23)を有する。又、該画像形成装置は、自在ヒンジ機構504の固定側部材を、操作部500を操作する側へ引き出し可能に支持するためのスライド機構としてスライダ506を有する。該スライダ506は、支持ユニット507に形成された左レール508と右レール509とに案内されて前後方向へ円滑に移動可能である。表示/入力ユニット501を前後に移動させるとき、スライダ506に一体的に回転支持されたレールコロ505が、左レール508と右レール509とに案内される。又、該画像形成装置には、画像形成部の筐体面の内側に、操作部500に一端が接続されて下方へ垂れ下がる束線511の余長部分の移動空間が形成される。又、操作部500の引き出し経路を塞ぐように配置された画像形成部の筐体面には、引き出し方向に移動可能に束線511を貫通させる細長い開口部510(図23)が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−102143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されるスライド及び下方回動機構の場合、次のような課題がある。
【0007】
特許文献1の機構は、表示/入力ユニット501をスライドさせるために、左レール508、右レール509、スライダ506、レールコロ505で構成されている。又、表示/入力ユニット501を下方に回動可能とするために、自在ヒンジ機構504が使用されている。更にこの自在ヒンジ機構504により表示/入力ユニット501が下方に回動した際に操作者が指を挟むのを防止するために、樹脂製シート部材512が用いられる。このように、特許文献1の機構では、部品点数が増大することで、コスト高となるおそれがある。
【0008】
又、特許文献1の機構では、表示/入力ユニット501の左右方向のガタツキは、左レール508、右レール509、スライダ506、レールコロ505により規制される。しかし、表示/入力ユニット501の全幅に対し、ガタ規制部となるスライダ506が左右中央に配置され且つその幅が短いため、スライダ506における僅かなガタツキが表示/入力ユニット501の左右端部で増長され、外観品位を低下させる可能性がある。
【0009】
又、特許文献1の機構では、表示/入力ユニット501のスライド及びチルト動作を操作者が全て手動で行うため、操作性を低下させる可能性がある。
【0010】
従って、本発明の目的は、操作面を操作する側へ向けるように操作部を起立させ得る構成において、より少ない部品点数で操作部の視認性と操作性とを高めることのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、記録材に画像を形成する装置本体と、前記装置本体を操作するために操作面を上向きにして前記装置本体に取り付けられた操作部と、を有し、前記操作部は、操作する側へ引き出し、該引き出した位置で前記操作面を操作する側へ向けるように回動させることが可能な画像形成装置において、前記引き出す方向と略直交する方向における前記操作部の端部に設けられた端部被案内部と、前記端部被案内部を前記引き出す方向に沿って案内する前記装置本体側に設けられた端部案内部と、を有し、前記端部被案内部は、前記端部案内部によって前記引き出す方向に沿って案内されると共に、前記操作部を前記引き出した位置で前記操作面を操作する側へ向けるための回動中心であることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作面を操作する側へ向けるように操作部を起立させ得る構成において、より少ない部品点数で操作部の視認性と操作性とを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】本発明の一実施例に係る画像形成装置の斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る画像形成装置の操作部の要部斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係る画像形成装置の上方から見た表示/入力ユニットの分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施例に係る画像形成装置の上部ユニット、ベース部材、左下カバー、右下カバーが組み付けられた状態の表示/入力ユニットを下方から見た斜視図である。
【図6】本発明の一実施例に係る画像形成装置の上方から見た支持ユニットの分解斜視図である。
【図7】本発明の一実施例に係る画像形成装置の上方から見た支持ユニットの平面図である。
【図8】本発明の一実施例に係る画像形成装置の右側から見た表示/入力ユニット及び支持ユニットの側面図である。
【図9】本発明の一実施例に係る画像形成装置の右側から見た表示/入力ユニット及び支持ユニットの部分切り欠き側面図である。
【図10】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の上方から見た表示/入力ユニットの分解斜視図である。
【図11】図10中のB−B断面図である。
【図12】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の組み付け後の表示/入力ユニットを下方から見た斜視図である。
【図13】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の上方から見た支持ユニットの斜視図である。
【図14】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の下方から見た支持ユニットの底面図である。
【図15】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の右側から見た表示/入力ユニット及び支持ユニットの一部切り欠き側面図である。
【図16】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の下方から見た支持ユニットの斜視図である。
【図17】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の上方から見た表示/入力ユニットの斜視図である。
【図18】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の右側から見た表示/入力ユニット及び支持ユニットの部分断面側面図である。
【図19】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の下方から見た表示/入力ユニットの斜視図である。
【図20】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の下方から見た表示/入力ユニットの底面図である。
【図21】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の操作部の要部斜視図である。
【図22】従来例の操作部の斜視図である。
【図23】従来例の操作部を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0015】
実施例1
1.画像形成装置
図1は、本実施例の画像形成装置1の構成の説明図である。尚、以下の説明において、画像形成装置1について、図1の紙面手前側を「前(正面)」、紙面奥側を「後」とする。又、画像形成装置1について左右は、画像形成装置1を正面から見た場合の左右であり、上下は、鉛直方向の上下であるものとする。画像形成装置1の正面側は、通常、操作者が画像形成装置1を操作する側である。
【0016】
図1に示すように、本実施例の画像形成装置1は、中間転写ベルト12の画像担持面の移動方向に沿って、電子写真方式によりトナー像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKを配置したタンデム型のフルカラー複合機である。
【0017】
画像形成装置1の本体(装置本体)3に収納された第1の画像形成部PYでは、イエロートナー像が形成されて、中間転写ベルト12に一次転写される。第2の画像形成部PMでは、マゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト12上のイエロートナー像に重ねて一次転写される。第3、第4の画像形成部PC、PKでは、それぞれシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて、同様に中間転写ベルト12上のトナー像に位置を重ねて順次一次転写される。各画像形成部PY、PM、PC、PKでは、像担持体としての感光ドラムが一様に帯電された後、各画像形成部に対応する画像情報に応じて露光装置13で露光され、感光ドラム上に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に現像装置によって現像剤としてのトナーが供給されることでトナー像が形成される。
【0018】
中間転写ベルト12に担持された4色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送され、別途二次転写部T2に搬送される記録材Pへ一括して二次転写される。
【0019】
二次転写部T2でトナー像を二次転写された記録材Pは、縦パス部4に収納された定着装置14で加熱及び加圧を受けて、表面にトナー像が定着された後に、排出ローラ15によって排紙トレイ5へ排出される。
【0020】
装置本体3の下部に、給紙カセット2が、正面側へ引き出し可能に配置される。給紙カセット2から1枚ずつ引き出された記録材Pは、二次転写部T2の手前で待機し、中間転写ベルト12上のトナー像にタイミングを合わせて、二次転写部T2へ送り出される。
【0021】
装置本体3の上方には、縦パス部4を介して画像読取部(本実施例ではフラットベッドスキャナ)6が配置される。画像読取部6は、読取面(本実施例ではガラス板)に載置された原稿の下面の画像を光学的に読み取って、画像データに変換するものである。自動原稿給送装置(ADF)7を持ち上げた状態で、読取面6aに原稿を載置することができる。自動原稿給送装置7は、原稿トレイ8に積載した束原稿から、原稿を1枚ずつ分離して読取面6aを通過させて、画像読取部6に原稿を流し読みさせる。
【0022】
操作部31は、画像読取部6の高さ位置に操作面を上向きにして配置されているが、操作する側である正面側へ引き出して下方へ回動させることにより、図1に破線で示す位置に操作面を正面側へ向けて起立させることが可能である。尚、操作部31の操作面は、操作部31上の被操作要素群で形成される主平面であり、本実施例では、後述する液晶表示部102の表面、或いは後述する入力キー群の被押圧部を含む平面で代表される。
【0023】
操作部31の直下の縦パス部4には、排紙ローラ15を含む記録材Pの搬送機構、各種センサ、送風ファンなどが収納されている。
【0024】
装置本体3から出力された記録材Pを積載する積載部としての排紙トレイ5は、装置本体3と画像読取部6との間に配置されて、装置本体3で画像が形成された記録材Pを、正面側から取り出し可能に積載する。
【0025】
2.操作部の基本構成
図2は、本実施例の画像形成装置1の斜視図である。図3は、操作部31の要部斜視図であり、図3(a)は操作部31を引き出さない状態、図3(b)は操作部を引き出した状態、図3(c)は操作部を下方へ回動した状態を示す。
【0026】
図2に示すように、操作部31は、画像読取部6の読取面6a以下の高さ位置として、読取面6aよりも低い位置で、画像読取部6よりも正面側に配置される。操作部31の下方には、記録材Pの搬送方向において排紙トレイ5の上流側の縦パス部4を覆うように、縦パス部カバー10が配設されている。
【0027】
自動読取モードにおいては、自動原稿給送装置7の原稿トレイ8上に原稿をセットする。手動読取モードにおいては、自動原稿給送装置7を後側へ回動させて上方へ開放することで、画像読取部6の読取面6aにアクスセス可能となる。読取面6aに原稿をセットする操作のアクセス性を妨げないよう、操作部31は、常に読取面6aより低い位置に最上部を位置させている。
【0028】
そして、自動原稿給送装置7の原稿トレイ8(又は画像読取部6の読取面6a)に原稿をセットした後、操作部31を通じて、白黒又はカラーの読取モードや、コピー出力サイズ、記録材Pの種類、コピー枚数などの情報を入力する。
【0029】
操作部31に入力された情報に基づいて、画像読取部6において原稿の画像情報が読み取られる。そして、給紙カセット2内又は開放した手差しトレイ9上に積載された記録材Pが給紙され、装置本体3で画像形成がされ、縦パス部4を経由して排紙トレイ5に排出されて積載される。
【0030】
図2及び図3に示すように、操作部31の表示/入力ユニット301には、画像形成装置1の動作状態を表示したり、後述するキー類の代用となるタッチパネル機能を有する液晶表示部302が配置されている。又、表示/入力ユニット301には、次のようなキーが配置されている。コピー動作やプリント動作を開始するためのスタートキー303、動作を中止するためのストップキー304、プリント枚数やFAX番号、電子メールアドレスなどを入力する数字/アルファベットキー305などである。
【0031】
図3(a)及び図3(b)に示すように、表示/入力ユニット301は、支持ユニット401によって正面側へ水平に引き出し可能に支持されている。支持ユニット401は、装置本体3に固定されている。表示/入力ユニット301は、支持ユニット401に対して水平に前後方向に自在に移動可能である。より詳細には、表示/入力ユニット301は、支持ユニット401に対して後方へ押し込んだ収納位置(第1の位置)と、支持ユニット401に対して正面側へ最大に引き出した最大引き出し位置(第2の位置)との間を水平に前後方向に移動可能である。
【0032】
又、図3(c)に示すように、表示/入力ユニット301は、支持ユニット401に沿って正面側へ水平に引き出した位置で、下方へ回動して、液晶表示部302を正面側へ向けるように起立可能である。より詳細には、表示/入力ユニット301は、最大引き出し位置において、支持ユニット401に対して垂直面内で回動させて、水平に対して液晶表示部302の向きを所定角度(例えば50度)に維持することが可能である。
【0033】
従って、操作部31が高い位置に設置されていても、例えば低身長又は車椅子使用者などの視線が低い操作者は、操作部31を手前に引き出した後、下方へ回動させることにより、液晶表示部302を見易く設定できる。このように、表示/入力ユニット301の角度を変更(チルト)することにより、液晶表示部302の視認性及び操作部31の操作性が向上する。
【0034】
又、表示/入力ユニット301は、その最大引き出し位置において、後方の頂点位置が原稿読取部6の読取面6a以下の位置を保つように、表示/入力ユニット301の正面側が下方に倒れるように回動する。このため、図2に示すように、操作部31の後方で且つ操作部31より高い位置にある画像読取部6の読取面6aへのアクセス性が確保できる。
【0035】
又、表示/入力ユニット301は、画像読取部6よりも正面側で且つ排紙トレイ5より右側へ配置されるため、表示/入力ユニット301をチルトさせても、排紙トレイ5へのアクセス性を確保することが可能である。排紙トレイ5へ積載された記録材Pを正面側へ取り出す際に表示/入力ユニット301が邪魔になる場合は、一時的に、表示/入力ユニット301を上方へ回動させておけばよい。
【0036】
又、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態では、図2に示すように、操作部31の正面側の側面と縦パス部カバー10の正面側の側面とが同一面上にあるので、外観品位が向上する。
【0037】
又、表示/入力ユニット301を収納位置から最大引き出し位置まで引き出す場合、表示/入力ユニット301の下面(底面)は、縦パス部カバー10よりも正面側に外側の位置まで移動する。このため、最大引き出し位置において表示/入力ユニット301の角度を変更したときに、表示/入力ユニット301が縦パス部カバー10と干渉することがなく、縦パス部カバー10内側の空間を有効に活用できる。
【0038】
3.表示/入力ユニットの構成
図4は、上方から見た表示/入力ユニット301の分解斜視図である。図4に示すように、表示/入力ユニット301は、液晶表示部302、スタートキー303、ストップキー304、数字/アルアベットキー305などのキー類、及び電気基板(図示せず)を収納する筐体などを備えた上部ユニット311を有する。又、表示/入力ユニット301は、上部ユニット311の底面を覆い、操作者が直接電気基板に触れるのを防止するためのベース部材321を有する。更に、表示/入力ユニット301は、ベース部材321で覆うことができない上部ユニット311の底面の左右両端のそれぞれを覆う左下カバー331、右下カバー341を有する。
【0039】
ベース部材321の左右両側面321a、321aには、外側に突出するように、左右対称位置に端部段付きボス(端部被案内部、側面被案内部)322、322が形成されている(図4には右側の端部段付きボス322のみ示されている)。端部段付きボス322は、その先端が、後述する支持板411の左右両端に形成された曲げ部411a、411a内の側面スリット(端部案内部)414、414(図6)に嵌合する。そして、端部段付きボス322が側面スリット414内を移動することで、表示/入力ユニット301を前後方向に移動させることができると共に、表示/入力ユニット301の支持ユニット401に対する高さを規制することができる。
【0040】
図5は、上部ユニット311、ベース部材321、左下カバー331、右下カバー341が組み付けられた状態の表示/入力ユニット301を下方から見た斜視図である。図5に示すように、ベース部材321の底部には、該底部から下方に突出するように右側及び左側の底部段付きボス(底部被案内部、平面被案内部)323、324が一体的に形成されている。右側及び左側の底部段付きボス323、324の先端は、後述する支持板カバー421の支持板カバースリット(底部案内部)423、支持板411の支持板スリット(底部案内部)412にそれぞれ嵌合する。ここで、右側及び左側の底部段付きボス323、324と、表示/入力ユニット301の高さを規制する端部段付きボス322、322とは、前後方向の位置が近接している。そのため、左側の底部段付きボス324の座面と支持板411の天面との間、右側の底部段付きボス323と支持板カバー422の天面との間には、それぞれ所定のクリアランスが確保されている。これにより、表示/入力ユニット301を前後に移動させる際に、次のような効果が得られる。即ち、端部段付きボス322と側面スリット414とによる表示/入力ユニット301の支持ユニット401に対する高さの規制を妨げることなく、表示/入力ユニット301の左右方向のガタを規制することができる。
【0041】
又、前述のように前後に移動させる時の表示/入力ユニット301の高さの規制は、端部段付きボス322が側面スリット414に嵌合することで行われる。しかし、端部段付きボス322が表示/入力ユニット301の後方にあるため、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態及び前後に移動させている途中で、表示/入力ユニット301が自重により前方へ傾倒する可能性がある。この傾倒を防止するために、ベース部材321の底部に、下方に突出するように、右側、略中央及び左側のリブ601、602、603が一体的に形成されている。これらのリブ601、602、603は、表示/入力ユニット301を移動させる際には、支持板411の天面に接触して摺動する。
【0042】
又、ベース部材321の底部には、その正面側の左右方向略中央の縁部に把手部327が一体的に形成され、表示/入力ユニット301の前後移動動作及びチルト動作に際し、操作者が操作用として使用できるようになっている。
【0043】
4.支持ユニットの構成
図6は、上方から見た支持ユニット401の分解斜視図である。図7は、上方から見た支持ユニット401の平面図である。支持ユニット401は、プレス部品で成形された支持板411と、支持板カバーユニット421と、後述するラッチ部材431(図8)とを有する。支持ユニット401は、装置本体3に移動不可能に固定されている。
【0044】
支持板401には、前述のようにベース部材321の端部段付きボス322、322と嵌合して、表示/入力ユニット301を前後方向に移動させる際に高さを規制するために、左右両端の曲げ部411a、411aに側面スリット414、414が設けられている。又、支持板401には、前述のようにベース部材321の左側の底部段付きボス324と嵌合して、表示/入力ユニット301を前後方向に移動させる際に左右方向のガタを規制する支持板スリット412が設けられている。更に、支持板401は、装置本体3からの束線(図示せず)を表示/入力ユニット301に接続するための開口部413を有する。この束線は、操作部31と装置本体3の制御部(図示せず)とを接続するものである。
【0045】
支持板カバーユニット421は、中央に開口部422aを有する支持板カバー422と、開口部422aを閉鎖するようにその左右の縁部から中央側に向けて植設された一対の繊維ブラシ424、424とを有する。支持板カバー422の開口部422aの周囲には、下方に突出して、支持板401の開口部413のエッジを隠すように、リブ(図示せず)が設けられている。束線は、開口部422aの左右の縁部から中央側に向けて植設された繊維ブラシ424、424を掻き分けるようにして、開口部422a内を通される。
【0046】
本実施例では、支持ユニット401の下部にある縦パスカバー10(図2)内で束線の余長を収納する。表示/入力ユニット301の前後移動動作とチルト動作の際に、束線は、支持板401の開口部413のエッジに直接触れることなく、弾性体である繊維ブラシ424、424を常に摺擦して移動する。これにより、束線が損傷して断線することを防止することができる。又、これにより、誤って操作者がステイプラ針、クリップ、アクセサリなどの小物類を落としても、繊維ブラシ424、424が小物類の落下を防止することができる。このため、画像形成装置1の安全性確保が容易になる。
【0047】
又、支持板カバーユニット421には、前述のようにベース部材321の右側の底部段付きボス323と嵌合して、表示/入力ユニット301を前後方向に移動させる際に左右方向のガタを規制する支持板カバースリット423が設けられている。更に、支持板カバー422の正面側の端部には、上方に突出するように、突起部425が一体的に形成されている。突起部425は、詳しくは後述するように、表示/入力ユニット301がチルトした際にその角度を規制する。
【0048】
ここで、前述のように、ベース部材321の左側の底部段付きボス324と支持板スリット412、及びベース部材321の右側の底部段付きボス323と支持板カバースリット423との嵌合により、表示/入力ユニット301の左右方向のガタを規制している。従って、左側の底部段付きボス324と右側の底部段付きボス323との間の左右方向のピッチと、支持板スリット412と支持板カバースリット423との間の左右方向のピッチとを略一致させる。これにより、より良好に表示/入力ユニット301の左右方向のガタを規制することができる。そのため、図7に示すように、支持板カバーユニット421は、支持板411に対して矢印にて示す左右方向に自由に移動させて所望の位置に組み付けられるようになっている。支持板カバーユニット421は、所望の位置に合わせた後、ネジなどの締結手段や接着などの任意の適当な固定手段によって固定することができる。例えば、ベース部材321は、成形条件やロット差により、左側の底部段付きボス324と右側の底部段付きボス323との間の左右方向のピッチが変動することがある。この場合、支持板カバー421が左右方向に移動可能であるので、この変動に応じた組み立て工具により、支持カバーユニット421の支持板411への位置決めを行えば良い。
【0049】
5.表示/入力ユニットの動作
図8は、表示/入力ユニット301の動作を説明するための右側から見た表示/入力ユニット301及び支持ユニット401の側面図である。尚、該動作の理解を容易にするために、同図では表示/入力ユニット301の上部ユニット311、左下カバー331、右下カバー341の図示は省略し、ベース部材321の動作にて表示/入力ユニット301の動作を代表する。尚、図8には、右側の端部段付きボス322と右側の側面スリット414との関係について示すが、本実施例では左側の端部段付きボス322と左側の側面スリット414との関係についても同様である。
【0050】
図8(a)は、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態を示す。ベース部材321に一体的に形成された端部段付きボス322は、支持板411の側面スリット414の下辺414aと、詳しくは後述するラッチ部材431の下辺431aとで形成される隙間に嵌合する。
【0051】
又、図8(b)は、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態を示す。図8(a)の収納位置にある状態と図8(b)の最大引き出し位置にある状態との間を往復移動する過程において、端部段付きボス322は、次のようにして移動する。即ち、端部段付きボス322は、側面スリット414の下辺414aとラッチ部材431の下辺431aとで形成される隙間と、側面スリット414の上辺414bと下辺414aとで形成される隙間とに嵌合しながら案内される。
【0052】
更に、図8(b)のように、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態で、端部段付きボス322の円周部(外周面)322aと側面スリット414の正面側の端部の円弧部(内周面)414cとが一致する。即ち、表示/入力ユニット301の左右方向に見て、端部段付きボス322の中心と側面スリット414の円弧部414cの中心とが一致する。これにより、図8(c)に示すように、表示/入力ユニット301をチルトさせることが可能となる。
【0053】
本実施例では、表示/入力ユニット301は、その自重によりチルトする。その際に、表示/入力ユニット301が縦パスカバー10(図2)に干渉して傷を付けることを防止するために、表示/入力ユニット301の傾斜角度を規制することが望まれる。
【0054】
そこで、本実施例では、図8(c)のA部の拡大部分断面図に示すように、支持板カバー422の正面側の端部には、上方に突出するように突起部425が設けられている。又、その突起部425の先端近傍の正面側には、表示/入力ユニット301の所望の傾斜角度に対応した傾斜面425aが形成されている。そして、この突起部425の傾斜面425aがベース部材321の底面に当接することで、表示/入力ユニット301の傾斜角度が規定される。
【0055】
6.表示/入力ユニットの取り付け方法
図9は、表示/入力ユニット301の支持ユニット401への取り付け方法を説明するための、右側から見た表示/入力ユニット301及び支持ユニット401の部分切り欠き側面図である。
【0056】
表示/入力ユニット301を支持ユニット401へ取り付ける際は、左下カバー331と右下カバー341は、予め表示/入力ユニット301から外されている。そして、ベース部材321に設けた束線カバー(図示せず)を開けると共に、束線の表示/入力ユニット301側の端部を、支持板411の開口部413と、支持板カバーユニット421の繊維ブラシ424、424により遮蔽された開口部422aとに通過させる。次いで、通過させた束線の一方の端部に設けられたコネクタ(図示せず)を、操作部31の電気基板(図示せず)に設けたコネクタに接続する。次いで、上記束線カバーを閉じる。
【0057】
その後、図9(a)の破線矢印で示すように、表示/入力ユニット301を支持ユニット401に取り付ける。即ち、支持板411の左右両端の曲げ部411a、411aには、それぞれガイド部418、418が一体的に形成されている(図6)。このガイド部418、418に向かって、ベース部材321の端部段付きボス322、322を落とし込むようにして、表示/入力ユニット301を略水平状態のまま、支持ユニット401に取り付ける。
【0058】
ここで、ラッチ部材431、431は、支持板411の左右両端の曲げ部411a、411aに外側に突出するように一体的に形成されたラッチ回動軸ボス415、415を中心として回動するように、支持板411に取り付けられている。又、ラッチ部材431は、付勢手段としての引っ張りバネ、トーションバネなどのバネ(図示せず)によって、ラッチ回動軸ボス415の周りに図9中の時計方向に常に付勢されている。又、支持板411の左右両端の曲げ部411a、411aには、外側に突出するように屈曲された上部規制曲げ部416、416(図6)が一体的に形成されている。そして、ラッチ部材431の先端432が上部規制曲げ部416の下面416aに当接することで、ラッチ部材431の回動が規制される。
【0059】
図9(b)に示すように、端部段付きボス322がガイド部418に入ると、先ず、端部段付きボス322の外周面322aがラッチ部材431の上辺431bの一部に当接する。又、支持板411の左右両端の曲げ部411a、411aには、外側に突出するように屈曲された下部規制突起部417、417が形成されている。そして、表示/入力ユニット301がその自重により落下しようとすると、ラッチ部材431の下辺431aの一部が、下部規制突起部417に当接する。これにより、端部段付きボス322は、ラッチ部材431の上辺431bの斜面に沿って側面スリット414内に案内される。
【0060】
その後、表示/入力ユニット301を正面(図9(b)の左方向)へ移動させると、段付きボス322のラッチ部材431の上辺431bへの当接が解除される。これにより、ラッチ部材431は、上記バネによりその先端432が上部規制曲げ部416の下面416aに当接する位置に戻る(図9(a))。
【0061】
尚、本実施例では、ラッチ部材431、上記バネ、ガイド部418、上部規制曲げ部416、下部規制突起部417は、支持ユニット401の左右両端の曲げ部411a、411aに略左右対称に設けられている。
【0062】
その後、支持部材411の左右両端の曲げ部411a、411aを隠すように、左下カバー331、右下カバー341を、ネジ止めなどの締結手段やスナップフィットなどの係合手段などとされる固定手段により、上部ユニット311に対し固定する。
【0063】
以上のように、本実施例では、表示/入力ユニット301を支持ユニット401へ取り付ける際には、端部段付きボス322をガイド部418に目掛けて落とし込む。その後、表示/入力ユニット301を手前に引き出す。そして、左下カバー331、右下カバー341を取り付ける。このような作業だけでよいので、組立作業性の向上が図られる。
【0064】
又、本実施例では、操作部31を水平方向に移動させ且つ最大引き出し位置でチルトさせる。この際に、水平方向へ移動させるためのボス322とチルトさせるための回転中心とを兼用する。又、操作部31は自重によりチルトさせる。これにより、部品点数を低減することが可能であり、低コスト化が図られる。即ち、操作部31を、正面側へ引き出し且つ最大引き出し位置において所定の角度に回動させてその姿勢を維持する構成を、少ない部品点数により実現することができ、コスト低減を図ることが可能となる。
【0065】
又、本実施例では、ベース部材321の底面の左側及び右側の2つの底部段付きボス324、323と、これらに対向する支持板スリット412及び支持板カバースリット423とにより、操作部31の左右方向のガタを規制する構成とする。又、本実施例では、支持板カバースリット423が形成された支持板カバーユニット421を、左右方向において位置決めした後に支持板411に組み付ける構成とする。これにより、操作部31の左右方向のガタをより低減できる。又、操作部31の収納及び引き出し時における左右方向のガタによる平面方向の回転が抑制され、操作性及び外観品位の向上が図られる。即ち、操作部31の幅方向両端に近い底面のボス324、423、及び支持板411側のレール(支持板スリット、支持板カバースリット)412、423により、操作部31の左右方向のガタツキを抑制する。そのため、操作部31の全幅に対するガタツキが小さく、外観品位の向上が図られる。
【0066】
又、操作部31を収納位置から最大引き出し位置まで水平方向に移動するときには、操作部31の正面側の底面に設けられた把手部327を持てばよい。又、最大引き出し位置で操作部31を傾けて所望の角度とする場合、液晶表示部302を搭載した表示/入力ユニット301が傾倒して操作部31の前側が下方に位置するが、操作部31の後方の頂点位置は変わらない。そして、操作部31が高い位置に設置されていても、操作部31を手前に引き出すことによって、操作部31がその自重によりチルトして液晶表示部302が所定角度に保持される。そのため、例えば低身長又は車椅子使用者などの視線が低い操作者であっても、容易に操作部31の視認性を向上させることができる。
【0067】
又、本実施例によれば、操作部31が、正面側へ引き出した位置で初めて操作面を正面向きにするように回動される。そのため、回動する操作部に干渉しない位置まで、湾曲の無い筐体内空間を確保できる。又、本実施例によれば、操作部31を正面側へ引き出した位置で回動して操作面を正面向きにするため、操作部の視認性と操作性とを共に高め得る。
【0068】
このように、本実施例の画像形成装置1は、記録材Pに画像を形成する装置本体3と、装置本体3を操作するために操作面を上向きにして装置本体3に取り付けられた操作部31と、を有する。操作部31は、操作する側へ引き出し、該引き出した位置で操作面を操作する側へ向けるように回動させることが可能である。この画像形成装置1は、上記引き出す方向と略直交する方向における操作部31の端部に設けられた端部被案内部322と、端部被案内部322を上記引き出す方向に沿って案内する装置本体側に設けられた端部案内部414と、を有する。そして、端部被案内部322は、端部案内部414によって上記引き出す方向に沿って案内されると共に、操作部31を上記引き出した位置で操作面を操作する側へ向けるための回動中心である。
【0069】
特に、本実施例では、操作部31は、上記引き出した位置において、操作部31の自重によって操作面を操作する側へ向けるように回動し得る。又、本実施例では、端部被案内部322は、上記引き出す方向と略直交する方向における操作部311の両端部に設けられている。そして、端部案内部414は、上記両端部に設けられた端部被案内部322を案内するように上記引き出す方向と略直交する方向における操作部31の両端部に対応して設けられている。又、本実施例では、画像形成装置1は、上記引き出す方向と略直交する方向の少なくとも2箇所の操作部31の底部に設けられた底部被案内部324、323を有する。又、本実施例では、画像形成装置1は、少なくとも2箇所の底部被案内部324、323をそれぞれ上記引き出す方向に沿って案内する装置本体側の少なくとも2箇所に設けられた底部案内部412、423を有する。そして、本実施例では、底部案内部412、423の少なくとも1つは、上記引き出す方向と略直交する方向の位置を調整して組み付けることができるようになっている。
【0070】
又、本実施例では、読取面6aに載置された原稿の画像を読み込む画像読取部6を有し、操作部31は、読取面以下の高さ位置に配置され、且つ、上記引き出した位置で読取面以下の位置を保つように回動可能である。又、本実施例では、画像が形成された記録材Pを上記操作する側から取り出し可能に積載するために装置本体3と画像読取部6との間に配置された積載部5を有し、操作部31は上記操作する側から積載部5を遮蔽するように回動可能である。
【0071】
そして、本実施例によれば、操作面を操作する側へ向けるように操作部を起立させ得る構成において、より少ない部品点数で操作部の視認性と操作性とを高めることができる。
【0072】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0073】
1.表示/入力ユニットの構成
図10は、上方から見た表示/入力ユニット301の分解斜視図である。図10に示すように、本実施例では、表示/入力ユニット301は、実施例1と同様の上部ユニット311、ベース部材321、左下カバー331、右下カバー341を有する。これに加え、本実施例では、表示/入力ユニット301は、左位置決め部材381、右位置決め部材382、束線371を表示/入力ユニット301の前後移動動作及びチルト動作に際し巻き付けるリール361を有する。
【0074】
左位置決め部材381、右位置決め部材382には、それぞれの左右両側面間を貫通するように、嵌合穴383、384が設けられている。又、左位置決め部材381、右位置決め部材382には、それぞれの底面に、下方に突出するように底面ボス(底部被案内部)385、386が一体的に形成されている。又、左下カバー331、右下カバー341にはそれぞれ、内側に突出するように、固定ボス(端部被案内部)332、342が一体的に形成されている。
【0075】
左位置決め部材381、右位置決め部材382はそれぞれ、ベース部材321の所定位置に予めセットし、上部ユニット311を組み込んでから、後述する構成の支持ユニット401に一旦載置する。そして、ベース部材321の左側面においては、左位置決め部材381は、次のようにしてベース部材321に対して固定される。即ち、後述する支持板411の左側の側面スリット414、ベース部材321の左側の側面321aの嵌合穴351、左位置決め部材381の嵌合穴383、ベース部材321の内壁の嵌合穴353の順に、左下カバー331の固定ボス332を貫通させる。そして、左位置決め部材381のベース部材321に対する位置決めを行った後、ネジ止めなどの締結手段やスナップフィットなどの係合手段などとされる固定手段により、左下カバー331を上部ユニット311に対し固定する。
【0076】
同様に、ベース部材321の右側面においては、右位置決め部材382は、次のようにしてベース部材321に対して固定される。即ち、後述する支持板411の右側の側面スリット414、ベース部材321の右側の側面321aの嵌合穴352、右位置決め部材382の嵌合穴384、ベース部材321の内壁の嵌合穴354(図12)の順に、右下カバー341の固定ボス342を貫通させる。そして、右位置決め部材382のベース部材に対する位置決めを行った後、ネジ止めなどの締結手段やスナップフィットなどの係合手段などとされる固定手段により、右下カバー341を上部ユニット311に対し固定する。
【0077】
装置本体3と表示/入力ユニット301とを電気的に接続する束線371の端部372にはコネクタ(図示せず)が設けられ、上部ユニット311内の電気基板(図示せず)上に実装されたコネクタと接続される。リール361は、ベース部材321の底面に回転可能に固定されている。又、束線371は、表示/入力ユニット301の前後移動動作及びチルト動作に際し、その動作を損ねないように十分な余長を有する。そして、束線371は、リール361の外周に巻きつけられ、表示/入力ユニット301の前後移動動作及びチルト動作の際に、束線371はリール361の回転により円滑に案内される。
【0078】
図11は、図10中のB−B断面図である。装置本体3と表示/入力ユニット301とを接続するための束線371を表示/入力ユニット301に導くために、ベース部材321の底面に設けられた内壁の前後方向略全域に開口部355が一体的に形成されている。
【0079】
図12は、組み付け後の表示/入力ユニット301を下方から見た斜視図である。前述のように、左位置決め部材381、右位置決め部材382がベース部材321に対し位置決めされたことで、表示/入力ユニット301の底面には、左位置決め部材381の底面ボス385と右位置決め部材382の底面ボス386とが突出している。
【0080】
2.支持ユニットの構成
図13は、上方から見た支持ユニット401の斜視図である。図13に示すように、本実施例の支持ユニット401は、実施例1の支持ユニット401に設けられていたラッチ部材431、支持カバーユニット421、開口部413は設けられていない。一方、本実施例の支持ユニット401には、実施例1の支持板カバーユニット421の支持板カバースリット423の代わりに、右側の支持板スリット450が設けられている。又、本実施例の支持ユニット401には、実施例1の支持板カバーユニット421の突起部425の代わりに、ストッパ432、433が支持板401の正面側の縁部に一体的に形成されている。尚、実施例1の支持ユニット401の支持板スリット412は、本実施例の支持ユニット401の左側の支持板スリット412に対応する。
【0081】
左側及び右側の支持板スリット412、450は、それぞれ表示/入力ユニット301の左位置決め部材381の底面ボス385及び右位置決め部材382の底面ボス386と嵌合する幅を有する。そして、左側及び右側の支持板スリット412、450の前後方向の長さは、次のように規定されている。即ち、表示/入力ユニット301の前後方向の移動距離に対し、それぞれの正面側の端部(内周面)412a、450aには、左側及び右側の底面ボス385、386が当接することがないように規定されている。一方、表示/入力ユニット301の前後方向の移動距離に対し、それぞれの後側の端部(内周面)412b、450bには、左側及び右側の底面ボス385、386が当接するように規定されている。
【0082】
又、支持板411の左右両側の曲げ部411a、411aに設けた側面スリット414、414は、左下カバー331及び右下カバー341の固定ボス332、342と嵌合する幅を有する。又、側面スリット414、414の前後方向の長さは、次のように規定されている。即ち、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態では、固定ボス332、342と側面スリット414、414の後側の端部414dとの間には空間が形成される。又、表示/入力ユニット301を最大引き出し位置まで引き出した際は、固定ボス332、342の円周部(外周面)332a、342a(図10)と側面スリット414、414の正面側の端部の円弧部(内周面)414c、414cとが一致する。即ち、表示/入力ユニット301の左右方向に見て、固定ボス332、342の中心と側面スリット414、414の円弧部414c、414cの中心とが一致する。
【0083】
又、ストッパ432、433は、実施例1の突起部425(図8(c))と同一の機能を有する。即ち、表示/入力ユニット301は、その自重によりチルトする。この際に、表示/入力ユニット301が縦パスカバー10(図2)に干渉して傷を付けることを防止するために、表示/入力ユニット301の傾斜角度を規制することが望まれる。そのために、本実施例では、ストッパ432、433の先端近傍の正面側には、表示/入力ユニット301の所望の傾斜角度に対応した傾斜面432a、433aが形成されている。そして、このストッパ432、433の傾斜面432a、433aがベース部材321の底面に当接することで、表示/入力ユニット301の傾斜角度を規定する。
【0084】
図14は、下方から見た支持ユニット401の底面図である。支持板411には、下方に突出するように左側及び右側の回動軸ボス434、435が一体的に形成されている。そして、左側の回動軸ボス434を中心として直線状の左レバー451が回動自在に取り付けられている。又、右側の回動軸ボス435を中心として直線状の右レバー461が回動自在に取り付けられる。左レバー451の左側の支持板スリット411側の端部には、左レバー451の長手方向に沿って伸びる第1の左レバースリット452が形成され、他端部には左レバー451の長手方向に沿って伸びる第2の左レバースリット453が形成されている。一方、右レバー461の右側の支持板スリット450側の端部には、右レバー461の長手方向に沿って伸びる右レバースリット462が形成され、他端部には下方に突出する作動ボス463が設けられている。この右レバー461の作動ボス463は、左レバー451の第2の左レバースリット453に嵌合する。
【0085】
又、バネ用線材で形成された「Ω」字形状のバネ部材471が、その弾性復元力に抗して「Ω」字形状の開口部を狭めた状態で、その一端部が支持板411の左側の回動軸ボス434、他端が右レバー461の作動ボス463に固定されている。本実施例では、バネ部材471は、「Ω」字形状の開口部が正面側に向くように固定されている。
【0086】
又、左位置決め部材381の底面ボス385が左レバー451の第1の左レバースリット452と嵌合する。又、右位置決め部材382の底面ボス386が右レバー461の右レバースリット462と嵌合する。
【0087】
このような構成により、バネ部材471は「Ω」字形状の開口部を狭めるように取り付けられているため、その「Ω」字形状の開口部を広げようとする弾性力が働く(図14中の矢印D方向)。ここで、バネ部材471の一端は、左側の回動軸ボス434に固定され、他端は回動可能な右レバー461の作動ボス463に固定されている。これにより、バネ部材471の開放力により右レバー461が右側の回動軸ボス435を中心として図14中の時計回りに回動する。又、この回動により、右レバー461の作動ボス463が、左レバー451の第2の左レバースリット453の左レバー451の端部側の内面を押し付けることで、左レバー451は、左側の回動軸ボス434を中心として図14中の反時計回りに回動する。ここで、左位置決め部材381の底面ボス385が左側の支持板スリット412及び第1の左レバースリット452と嵌合する。又、右位置決め部材382の底面ボス386が右側の支持板スリット450及び右レバースリット462と嵌合する。そして、前述のように左側及び右側の底面ボス385、386がそれぞれ支持板スリット412、450の後側の端部(内周面)に当接する。これにより、左レバー451及び右レバー462の回動が規制される。この状態で、左レバー451と右レバー461は、正面側に凸の逆「V」字形状となっており、バネ部材471により表示/入力ユニット301は後方に付勢されている(図14)。
【0088】
3.表示/入力ユニットの動作
図15は、表示/入力ユニット301の動作を説明するための右側から見た表示/入力ユニット301及び支持ユニット401の一部切り欠き側面図である。尚、該動作の理解を容易にするために、同図では表示/入力ユニット301の上部ユニット311、左下カバー331の図示は省略し、ベース部材321及び右下カバー341の動作にて表示/入力ユニット301の動作を代表する。尚、図15には、右側の固定ボス342と右側の側面スリット414との関係について示すが、本実施例では左側の固定ボス332と左側の側面スリット414との関係についても同様である。
【0089】
図15(a)は、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態を示す。表示/入力ユニット301の右下カバー341の固定ボス342は、支持板411の側面スリット414の下辺414aと上辺414bとで形成される隙間に嵌合する。
【0090】
又、図15(b)は、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態を示す。図15(a)の収納位置にある状態と図15(b)の最大引き出し位置にある状態との間を往復移動する過程において、固定ボス342は、支持板411の側面スリット414の下辺414aと上辺414bとで形成される隙間に嵌合しながら案内される。
【0091】
更に、図15(b)のように、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態で、固定ボス342の円周部(外周面)342aと支持板411の側面スリット414の正面側の端部の円弧部(内周面)414cとが一致する。即ち、表示/入力ユニット301の左右方向に見て、固定ボス342の中心と側面スリット414の円弧部414cの中心とが一致する。これにより、図15(c)に示すように、表示/入力ユニット301をチルトさせることが可能となる。
【0092】
ここで、前述の通り、ストッパ432、433(図13)の傾斜面432a、433aがベース部材321の底面に当接することで、表示/入力ユニット301の傾斜角度を規定する。
【0093】
4.操作部の動作
次に、図16及び図17を参照して、操作部31を構成する表示/入力ユニット301と支持ユニット401の動作を説明する。図16は、支持ユニット401の動作を説明するための下方から見た支持ユニット401の斜視図である。図17は、表示/入力ユニット301の動作を説明するための上方から見た表示/入力ユニット301の斜視図である。尚、該動作の理解を容易にするために、図17においては表示/入力ユニット301の上部ユニット311の図示は省略してある。
【0094】
図16(a)は、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態での支持ユニット401を示す。前述のとおり、この状態では、左レバー451と右レバー461は、正面側に凸の逆「V」字形状となっており、バネ部材471により表示/入力ユニット301は後方に付勢されている(図14)。
【0095】
図16(b)は、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態での支持ユニット401を示す。前述の通り、付勢部材としてのバネ部材471は「Ω」字形状の開口部を狭めるように取り付けられているため、その「Ω」字形状の開口部を広げようとする弾性力が働く。バネ部材471の一端は、左側の回動軸ボス434に固定され、他端は回動可能な右レバー461の作動ボス463に固定されている。これにより、バネ部材471の開放力により右レバー461が右側の回動軸ボス435を中心として図16(b)中の反時計回りに回動する。又、この回動により、右レバー461の作動ボス463が、左レバー451の第2の左レバースリット453の左レバー451の端部側の内面を押し付けることで、左レバー451は、左側の回動軸ボス434を中心として図16(b)中の時計回りに回動する。ここで、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態では、表示/入力ユニット301の右側について言えば、次のようになっている。即ち、前述のように固定ボス342の円周部(外周面)342aと支持板411の側面スリット414の正面側の端部の円弧部(内周面)414cとが一致する。即ち、表示/入力ユニット301の左右方向に見て、固定ボス342の中心と側面スリット414の円弧部414cの中心とが一致する。これにより、表示/入力ユニット301の前後位置が規制され、左位置決め部材381、右位置決め部材382の底面ボス385、386がそれぞれ左側及び右側の支持板スリット412、450の正面側の端部412a、450aに当接することはない。このように、固定ボス342と側面スリット414とにより、表示/入力ユニット301の前後位置が規制されることで、左レバー451及び右レバー462の回動が規制される。
【0096】
以上のようにして、左レバー451と右レバー461は、後側に凸の「V」字形状となり、この状態では、バネ部材471により表示/入力ユニット301は前方に付勢されている。
【0097】
本実施例では、表示/入力ユニット301が図16(a)の収納位置にある状態と図16(b)の最大引き出し位置にある状態との間で往復する間に、表示/入力ユニット301の付勢方向を変更する付勢手段としてのトグル機構が、次の各部材で構成されている。即ち、本実施例では、該トグル機構は、左レバー451、右レバー461、バネ部材471などによって構成されている。
【0098】
図16(c)は、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態で表示/入力ユニット301をチルトさせたときの支持ユニット401を示す。この状態では、前述のように、左レバー451と右レバー461は後側に凸の「V」字形状となっている。そして、バネ部材471により前方に押し出された表示/入力ユニット301は、その自重により下方に回動し、ストッパ432、433(図13)の傾斜面432a、433aがベース部材321の底面に当接する位置で傾斜角度が規制される。
【0099】
図17は、表示/入力ユニット301の各状態における束線371の状態を説明するための上方から見た表示/入力ユニット301及び支持ユニット401の斜視図である。
【0100】
図17(a)は、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態を示し、このとき束線371は、余長をもってリール361の周囲に収納されている。その後、図17(b)の表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態、図17(c)の表示/入力ユニット301が最大位置に引き出された後にチルトした状態では、束線371は、次のようになる。即ち、それらの状態では、束線371は、その余長分が吸収されて、リール361の周囲に余長を持たない状態で収納される。
【0101】
ここで、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態からチルトした状態になる場合、チルトした状態から収納位置にある状態になる場合のいずれの場合でも、束線371はそのコシ(剛性)により屈曲されることになる。しかし、これらいずれの場合も、束線371はリール361の回転により案内されるため、束線371の表面が損傷することはない。
【0102】
5.位置決め部材の動作
図18は、左位置決め部材381、右位置決め部材382の動作を説明するための右側から見た表示/入力ユニット301及び支持ユニット401の部分断面側面図である。尚、図18には、右位置決め部材382のみを図示しているが、本実施例では左位置決め部材381も同様の動作を行う。
【0103】
図18(a)は、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態での右位置決め部材382の状態を示す。前述の通り、この状態では、トグル機構を構成する左レバー451と右レバー461は正面側に凸の逆「V」字形状(図16(a))となっており、表示/入力ユニット301はバネ部材471により後方に付勢されている。又、右位置決め部材382の底面ボス386が、右側の支持板スリット450と右レバー461の右レバースリット462にそれぞれ嵌合している。
【0104】
このとき、右位置決め部材382の後面382aの一部が、ベース部材321に設けた右位置決め部材382を取り付けるための開口部321bの後側の縁部321cに当接する。これにより、トグル機構のバネ部材471に付勢されたまま、表示/入力ユニット301の位置が保持される。
【0105】
図18(b)は、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態で、表示/入力ユニット301がチルトしたときの右位置決め部材382の状態を示す。前述の通り、この状態では、トグル機構を構成する左レバー451と右レバー461は、後側に凸の「V」字形状(図16(c))となっており、表示/入力ユニット301はバネ部材471により前方に付勢されている。又、右位置決め部材382の底面ボス386が、右側の支持板スリット450と右レバー461の右レバースリット462にそれぞれ嵌合している。
【0106】
このとき、右位置決め部材382の前面382bの一部が、ベース部材321に設けた右位置決め部材382を取り付けるための開口部321bの正面側の縁部321dに形成された斜面321eに当接する。これにより、トグル機構のバネ部材471に付勢されたまま、表示/入力ユニット301の位置が保持される。
【0107】
ここで、表示/入力ユニット301は、チルトした状態ではその自重により前方へ傾倒し、ストッパ432、433(図13)によりその傾斜角度が規制される。このとき、本実施例では、トグル機構のバネ部材471により表示/入力ユニット301が前方へ付勢されることから、表示/入力ユニット301の操作方向のガタツキが抑制される。
【0108】
尚、本実施例では、上述のように、底面ボス385、386がそれぞれ支持板スリット412、450の後側の端部412b、450bに当接することで、左レバー451及び右レバー462の回動を規制する。そして、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態を規定している。一方、本実施例では、底面ボス385、386がそれぞれ支持板スリット412、450の正面側の端部412a、450aに当接するよりも前に、例えば表示/入力ユニット301の右側について言えば、次のようになる。即ち、固定ボス342が側面スリット414の正面側の端部414cに当接することで、左レバー451及び右レバー462の回動を規制し、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態を規定している。しかし、表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態の規定と同様に、次のようにしても良い。つまり、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態において、底面ボス385、386がそれぞれ支持板スリット412、450の後側の端部412b、450bに当接するよりも前に、固定ボス342が側面スリット414の後側の端部414dに当接する。これにより、左レバー451及び右レバー462の回動を規制し、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態を規定する。
【0109】
このように、本実施例では、画像形成装置1は、操作部31を引き出す方向に付勢する付勢手段を有する。特に、本実施例では、画像形成装置1は、次のような付勢手段を有する。即ち、該付勢手段は、上記引き出す方向における所定の位置より上記引き出す方向の前方に操作部31がある場合には操作部31を上記引き出す方向に付勢する。又、該付勢手段は、上記所定の位置より上記引き出す方向の後方に操作部31がある場合には操作部31を上記引き出す方向とは反対方向に付勢する。この付勢手段は、一対のレバー部材と、バネ部材と、を有するトグル機構によって構成することができる。そして、トグル機構が第1の状態と第2の状態を交互に姿勢を変更することで、操作部31に作用する付勢力の方向が変更される。
【0110】
以上のように、本実施例では、左レバー451、右レバー461、バネ部材471などによりトグル機構が構成される。これにより、操作部31が収納位置にある状態とチルトした状態とのいずれかを選択するのに、操作者は操作部31の正面側の底面に設けられた把手部327を持って、操作部31を短い距離だけ前後させるだけでよい。そうすることにより、バネ部材471の付勢力により操作部31は自動で所望の状態となる。このように、本実施例によれば、操作者の操作性の向上が図られる。即ち、本実施例では、トグル機構を用いることで、操作部31を収納状態からチルト状態にその姿勢を変えるのに、操作者は多少の手動動作をするだけで、自動的に操作部31の姿勢を変更することができ、操作性の向上が図られる。
【0111】
又、本実施例では、トグル機構により、支持板スリット412、450に案内される表示/入力ユニット301の底面ボス385、386のガタが規制される。これにより、操作部31の前後移動動作及びチルト動作時における左右方向のガタによる平面方向の回転が抑制され、外観品位の向上が図られる。
【0112】
更に、操作部31は、チルト動作時にその自重により傾倒し、且つ、ストッパ432、433によりその角度が規制される。そして、操作部31がチルトした状態でも、トグル機構のバネ部材471により操作部31が前方へ付勢されることで、操作部31の操作面方向のガタツキが低減され、操作者の操作性、外観品位の向上が図られる。
【0113】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0114】
図19は、下方から見た表示/入力ユニット301の斜視図である。本実施例における表示/入力ユニット301には、実施例1の表示/入力ユニット301に設けられていた略中央のリブ602、把手部327は設けられていない。
【0115】
図20は、下方から見た表示/入力ユニット301の底面図である。本実施例では、上部ユニット311の底部における正面側の縁部の裏側に、後述するスライダ392の当接面391が形成されている。
【0116】
図21(a)は、表示/入力ユニット301が収納位置にある状態を示す。本実施例では、支持板411上に、前後方向にスライド可能に表示/入力ユニット101の上部ユニット311を前方に付勢して移動させる作動部材としてのスライダ392が配置される。又、スライダ392を前方に付勢するための付勢手段としてトーションバネ472が設けられている。トーションバネ472の巻き部472aは、支持板411に支持されている。又、トーションバネ472の第1の腕部472bは、固定端として支持板411に固定されている。又、トーションバネ472の第2の腕部472cは、自由端としてスライダ392の正面側の縁部に形成された上部ユニット311に当接する当接部392aの裏側に当接する。第2の腕部472cは、トーションバネ471の付勢力により、スライダ392の正面側の縁部に形成された当接部392aの裏側に当接する。そして、第2の腕部472cに押されたスライダ392の当接部392aが上部ユニット311の当接面391に当接することで、表示/入力ユニット301は前方に付勢される。これにより、表示/入力ユニット301は前方に移動しようとするが、ロック機構480により、スライダ392の位置が規制される。
【0117】
図21(a)に示す表示/入力ユニット301が収納位置にある状態において、上記ロック機構480が解除されると、図21(b)に示す表示/入力ユニット301が最大引き出し位置にある状態となる。
【0118】
ロック機構としては、利用可能なものを任意に用いることができるが、例えば、図21(a)に示す表示/入力ユニット301が収納位置にある状態において、表示入力ユニット301の前面を後方に押すことで解除されるものを利用することができる。より具体的には、株式会社ニフコ、スガツネ工業株式会社等の市販のラッチ製品をロック機構480として採用することが可能である(特開2003−138830号公報、特開平5−317133号公報等)。ロック機構480は、例えば、上部ユニット311の後側端部と装置本体3との間で係合又は解除が可能なように設けることができる。
【0119】
その後、図21(c)に示すように、表示/入力ユニット301は自重によりチルトし、実施例1と同様に、突起部425によりその角度が規制される。このとき、トーションバネ472は、スライダ392の上面とベース部材321の底面との隙間の中で変形する。しかし、トーションバネ472の付勢力により、第2の腕部472cはスライダ392の当接部392の裏側に当接し、スライダ392の当接部392aが上部ユニット311の当接面391に当接することで表示/入力ユニット301を前方へ付勢する。
【0120】
本実施例では、トーションバネ472、スライダ392、ロック機構480を設けたことにより、操作部31を収納位置にある状態からチルトした状態にするのに、操作者はロック機構を解除するだけでよい。そうすることで、トーションバネ471の付勢力により、操作部31は自動でチルトした状態となる。例えば、上述のようなロック機構480を用いることで、操作部31を収納位置にある状態からチルトした状態にするのに、操作者は操作部31の前面を後方に押すだけで、ロック機構480が解除される。従って、操作者の操作性の向上が図られる。又、操作部31をチルトした状態から収納位置にある状態にしたときは、ロック機構480を作動させて操作部31をその状態に維持する。この場合も、上述のようなロック機構480を用いることで、操作部31を収納位置に戻しながら操作部31の前面を後方に押すだけでロック機構480が働く。これによっても、操作者の操作性の向上が図られる。即ち、本実施例では、付勢手段とロック機構を用いることで、操作部31の姿勢を収納状態からチルト状態に変えるのに、例えば操作者が操作部31の前面を後方に押すだけで操作部31が自動で前方に引き出されチルト状態となることを可能とすることができる。これにより、操作性の向上が図られる。
【0121】
又、操作部31がチルトした際に、自重により傾倒し、突起部425によりその角度が規制される。そして、操作部31がチルトした状態でも、トーションバネ471が操作部31を前方へ付勢する。これにより、操作部31の操作面方向のガタツキが低減され、操作者の操作性、外観品位の向上が図られる。
【0122】
尚、実施例1〜3の全てで共通して、操作部31の後方の頂点位置は変わらない。そのため、操作部31の表示部のみが傾倒することで、操作部31の後方で且つ操作部31より高い位置にある画像読取部6の読取面へのアクセス性が確保できる。又、操作部31を胴内排紙形態の画像形成装置1に搭載し、操作部31を排紙トレイ5から可能な限り離れて配置することで、排紙トレイ5へのアクセス性が確保できる。
【0123】
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。操作部が引き出された後に回動される限りにおいて、上述の実施例の構成の一部又は全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施例でも本発明を実施できる。又、本発明は、電子写真方式の画像形成装置に限らず、インクジェット方式の画像形成装置でも実施できる。又、本発明は、中間転写ベルトを用いる画像形成装置に限らず、記録材搬送ベルトに担持された記録材へトナー像を転写する画像形成装置でも実施できる。又、本発明は、ベルト部材に沿って複数の感光ドラムを配置したタンデム型のみならず1個の感光ドラムを配置した1ドラム型でも実施できる。
【符号の説明】
【0124】
31 操作部
301 表示/入力ユニット
322 端部段付きボス(端部被案内部)
323 底部段付きボス(底部被案内部)
324 底部段付きボス(底部被案内部)
332 固定ボス(端部被案内部)
342 固定ボス(端部被案内部)
385 底面ボス(底部被案内部)
386 底面ボス(底部被案内部)
401 支持ユニット
412 支持板スリット(底部案内部)
414 側面スリット(端部案内部)
423 支持板カバースリット(底部案内部)
450 支持板スリット(底部案内部)
451 左レバー(レバー部材)
461 右レバー(レバー部材)
471 バネ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する装置本体と、前記装置本体を操作するために操作面を上向きにして前記装置本体に取り付けられた操作部と、を有し、前記操作部は、操作する側へ引き出し、該引き出した位置で前記操作面を操作する側へ向けるように回動させることが可能な画像形成装置において、
前記引き出す方向と略直交する方向における前記操作部の端部に設けられた端部被案内部と、前記端部被案内部を前記引き出す方向に沿って案内する前記装置本体側に設けられた端部案内部と、を有し、前記端部被案内部は、前記端部案内部によって前記引き出す方向に沿って案内されると共に、前記操作部を前記引き出した位置で前記操作面を操作する側へ向けるための回動中心であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記引き出した位置において、前記操作部の自重によって前記操作面を操作する側へ向けるように回動し得ることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記端部被案内部は、前記引き出す方向と略直交する方向における前記操作部の両端部に設けられ、前記端部案内部は、前記両端部に設けられた前記端部被案内部を案内するように前記引き出す方向と略直交する方向における前記操作部の両端部に対応して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、前記引き出す方向と略直交する方向の少なくとも2箇所の前記操作部の底部に設けられた底部被案内部と、前記少なくとも2箇所の前記底部被案内部をそれぞれ前記引き出す方向に沿って案内する前記装置本体側の少なくとも2箇所に設けられた底部案内部と、を有し、前記底部案内部の少なくとも1つは、前記引き出す方向と略直交する方向の位置を調整して組み付けることができることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
更に、前記操作部を前記引き出す方向に付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
更に、前記引き出す方向における所定の位置より前記引き出す方向の前方に前記操作部がある場合には前記操作部を前記引き出す方向に付勢し、前記所定の位置より前記引き出す方向の後方に前記操作部がある場合には前記操作部を前記引き出す方向とは反対方向に付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記付勢手段は、一対のレバー部材と、バネ部材と、を有するトグル機構によって構成され、前記トグル機構が第1の状態と第2の状態を交互に姿勢を変更することで、前記操作部に作用する付勢力の方向が変更されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
読取面に載置された原稿の画像を読み込む画像読取部を有し、前記操作部は、前記読取面以下の高さ位置に配置され、且つ、前記引き出した位置で前記読取面以下の位置を保つように回動可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像が形成された記録材を前記操作する側から取り出し可能に積載するために前記装置本体と前記画像読取部との間に配置された積載部を有し、前記操作部は前記操作する側から前記積載部を遮蔽するように回動可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2013−7868(P2013−7868A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139957(P2011−139957)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】