説明

画像形成装置

【課題】画像形成部を構成する各種装置の交換や詰まった用紙の除去の作業性を向上できるとともに、部品コストを削減できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】前側が開放されるとともに、入力された画像データに基づいて記録媒体上に可視画像を形成する画像形成部5と、画像形成部5を前側から遮蔽可能な前カバー6と、を備える画像形成装置1において、前カバー6は、引出しユニット76の前部に取り付けられるとともに、引出しユニット76の移動に伴って画像形成部5の前側Fを開閉可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式などを利用したファクシミリ、プリンタ、複写機またはそれらの複合機などの画像形成装置に関し、特に、前面側から出し入れ可能な内蔵ユニットを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力された画像データに基づいて複数の作像要素によって記録媒体上に可視画像を形成するプリンタや複写機などの画像形成装置が種々開発されている。この種の画像形成装置で、例えば電子写真方式を利用したものは、作像ユニットと、転写ユニットと、定着ユニットとを備えている。
【0003】
この画像形成装置により画像形成を行う際は、まず、作像ユニットにおいて感光体ドラムの表面に静電潜像が形成され、感光体ドラム上の静電潜像が現像剤であるトナーなどによって現像されて可視像化される。そして、転写ユニットにおいて、感光体ドラム上で現像された画像が転写紙などの記録媒体に転写され、記録媒体上でトナー像として担持される。さらに、定着ユニットにおいて、記録媒体上のトナー像が圧力や熱などにより記録媒体に定着されるようになっている。
【0004】
一方、この種の画像形成装置では、前面側に開閉可能な大きな前カバーが設けられている。前カバーは、画像形成装置に内蔵される各種ユニットや記録媒体の搬送路などを広く遮蔽するとともに、インターロックスイッチと連動するようになっている。
【0005】
このため、ユーザは、記録媒体が搬送路で詰ったときや、各種ユニットを交換する必要があるときに、前カバーを開放して作業を行うようにしている。また、前カバーを開放した際には、インターロックスイッチがオフされ、画像形成装置が動作しないようになっている。
【0006】
図8に示すように、この種の画像形成装置100の前カバー101として、ヒンジで支持され回転動作により開閉する左前ドア102および右前ドア103を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この画像形成装置100では、例えば作像ユニット104を交換する際は、ユーザは左前ドア102および右前ドア103を開き、作像ユニット104を手前側に引き抜く。そして、ユーザは新しい作像ユニット104を差し入れて、左前ドア102および右前ドア103を閉じることで、作像ユニット104の交換が終了する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した前カバー101を備えた画像形成装置100では、前カバー101と内部の作像ユニット104とが別体である。このため、作像ユニット104を交換する際には、前カバー101を開閉する作業と作像ユニット104を出し入れする作業とを別個に行わなければならない。すなわち、作像ユニット104に限らず各種ユニットを交換する際には、前カバー開→各種ユニット引き出し→各種ユニット交換→各種ユニット押し込み→前カバー閉という多くの段階の作業をしなければならない。このため、各種ユニットの交換作業の簡素化が望まれていた。
【0008】
また、前カバー101は画像形成装置100の前面を広く遮蔽する大きなものであるとともに、前カバー101は回転動作により開閉するものであることから、前カバー101の開閉は大掛かりな作業になり易い。このため、メンテナンス作業が煩雑になってしまうので、メンテナンス作業の作業性の向上が望まれていた。
【0009】
さらに、前カバー101は画像形成装置100の前面を広く遮蔽する大きな部材であるので、部品コストが高くなり易い。また、前カバー101を支持するためにヒンジを使用しているので、部品点数が多かった。このため、部品コストの削減が望まれていた。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、画像形成装置に内蔵される各種ユニットの交換作業の作業性や、画像形成部において詰まった記録媒体の除去作業の作業性を向上できるとともに、部品コストを削減できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、上記目的達成のため、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、該画像形成部に前記記録媒体を供給する給紙部とを含む画像形成装置本体を有する画像形成装置において、前記画像形成部を構成する装置の一部を有し、前記画像形成装置本体に対して出し入れ可能に構成された引出しユニットと、前記引出しユニットに取り付けられ、前記引出しユニットの移動に伴って前記画像形成装置本体に対して開閉可能である前カバーとを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像形成装置に内蔵される各種ユニットの交換作業の作業性や、画像形成部において詰まった記録媒体の除去作業の作業性を向上できるとともに、部品コストを削減できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の前カバーを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の前カバーを示す側面図であり、(a)はロック状態の場合、(b)はアンロック状態の場合である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置の前カバーを示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置の前カバーを示す側面図であり、(a)はロック状態の場合、(b)はアンロック状態の場合である。
【図7】本発明の更に他の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略の側面図である。
【図8】従来の画像形成装置を示す概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
まず、図1を参照して本発明の実施の形態に係る画像形成装置1について説明する。本実施の形態では、画像形成装置1はタンデム型のカラー複写機としている。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置1は、自動原稿搬送装置(以下、ADFという)10と、画像形成装置本体11とから構成されている。また、画像形成装置本体11は、給紙部3と、画像読取部4と、画像形成部5とから構成されている。そして、画像形成部5の前側Fには、後述する引出しユニット76の前面に設けられる前カバー6が配置されている。また、本明細書中において、画像形成装置1の前側Fとは画像形成装置1の手前側を意味するとともに、後側Rとは画像形成装置1の奥側を意味する(図2参照)。
【0017】
ADF10は、原稿トレイ20と、給紙ローラ21と、搬送ベルト22と、排紙ローラ23と、排紙トレイ24とを含んで構成されている。ADF10は、画像読取部4に対し、ヒンジなどの開閉機構(図示せず)を介して開閉自在に取付けられている。
【0018】
給紙ローラ21は、原稿トレイ20に載置された原稿(図示せず)の束から1枚ずつ分離して、画像読取部4に向かって搬送する。搬送ベルト22は、給紙ローラ21によって分離された原稿を画像読取部4に搬送する。排紙ローラ23は、搬送ベルト22によって画像読取部4から排紙される原稿を、原稿トレイ20の下方の排紙トレイ24に排紙する。
【0019】
給紙部3は、給紙カセット30と、給紙手段31とを備えている。給紙カセット30は、用紙サイズの異なる記録媒体(図示せず)を収容する。給紙手段31は、給紙カセット30に収納された記録媒体を画像形成部5の画像形成位置まで搬送する。
【0020】
画像読取部4は、筐体40と、走査光学ユニット41と、コンタクトガラス42と、駆動手段(図示せず)とを含んで構成されている。
【0021】
走査光学ユニット41は、筐体40の内部に設けられるとともに、LEDユニットを備えている。走査光学ユニット41は、LEDユニットから主走査方向に光を照射するとともに、駆動手段によって全照射領域内において副走査方向に走査される。これにより、走査光学ユニット41は、原稿の2次元カラー画像を読み取るようになっている。
【0022】
コンタクトガラス42は、画像読取部4の筐体40の上部に設けられ、筐体40の上面部を構成している。駆動手段は、走査光学ユニット41に固定されたワイヤと、ワイヤに橋架される複数の従動プーリおよび駆動プーリと、駆動プーリを回転させるモータとを備えている。
【0023】
画像形成部5は、露光ユニット51と、タンデム画像形成装置50と、中間転写ベルト54と、中間転写ローラ55と、2次転写装置52と、定着装置の一例としての定着ユニット53と、主搬送路70と、反転搬送路73とを含んで構成されている。
【0024】
図1に示すように、露光ユニット51は、タンデム画像形成装置50に隣接して配置されている。露光ユニット51は、各色に設けられた感光体ドラム74に露光を行うようになっている。
【0025】
タンデム画像形成装置50は、中間転写ベルト54の上であって、中間転写ベルト54の回転方向に沿ってイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段75から構成されている。個々の画像形成手段75は、詳細な図示を省略するが、上記各色に設けられた感光体ドラム74の周りに帯電装置、現像装置、感光体クリーニング装置、除電装置などを備えている。そして、各感光体ドラム74とその周りに設けられる上記各装置がユニット化されて1つのプロセスカートリッジを構成している。
【0026】
そして、タンデム画像形成装置50では、画像読取部4によって読み取られて色別分解された画像情報に基づいて、各感光体ドラム74に色分けしてトナーにより形成された可視画像(トナー画像)を形成するようになっている。また、各感光体ドラム74に形成された可視画像は、各感光体ドラム74と中間転写ローラ55との間で中間転写ベルト54に転写されるようになっている。
【0027】
一方、中間転写ベルト54を挟んでタンデム画像形成装置50の反対側には、2次転写装置52が設けられている。2次転写装置52は、図示の例では2つの支持ローラ57の間に無端ベルトである2次転写ベルト56を掛け渡して構成されている。そして、2次転写ベルト56を中間転写ベルト54に押し当てることにより、中間転写ベルト54に形成されたトナー画像が、給紙部3から主搬送路70を介して搬送された記録媒体に転写されるように構成されている。また、2次転写装置52としては、2次転写ベルト56の代わりに2次転写ローラを採用してもよい。
【0028】
2次転写装置52の記録媒体の搬送方向下流側には定着ユニット53が設けられている。定着ユニット53は、無端ベルトである定着ベルト58に加圧ローラ59を押し当てて構成している。そして、定着ユニット53は、加圧ローラ59により記録媒体に熱と圧力を加えることにより、記録媒体に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録媒体にカラー画像として定着するようになっている。
【0029】
また、図1に示すように、反転搬送路73が、2次転写装置52および定着ユニット53の下側に設けられている。反転搬送路73は、記録媒体の両面に画像を形成するために、定着ユニット53から排出された記録媒体の表裏を反転させて再度主搬送路70を介して2次転写装置52に供給するためのものである。
【0030】
図2に示すように、前カバー6は、キャリア71の前部に取り付けられている。キャリア71は、レール72により画像形成部5に対して前後方向(図2中、矢印FR)に移動可能に支持されている。また、キャリア71には、図1で示した2次転写装置52、定着ユニット53、主搬送路70、反転搬送路73が設けられている。そして、キャリア71、2次転写装置52、定着ユニット53、主搬送路70、反転搬送路73で引出しユニット76が構成されている。つまり、前カバー6は、引出しユニット76と一体的に構成されており、前カバー6に設けられた操作凹部6aをユーザが握って前カバー6を画像形成部5に対して前後方向(図2中、矢印FR)に移動することにより、引出しユニット76を画像形成部5に対して引き出し収納することができる。
【0031】
また、前カバー6は、引出しユニット76の移動に伴って、画像形成部5の前側Fを開閉可能となっている。そして、前カバー6を閉めた状態、つまり引出しユニット76を画像形成部5の内部に収納した状態において、前カバー6は、画像形成装置本体11の外装部材の一部を構成するようになっている。
【0032】
以上のように、2次転写装置52、定着ユニット53、主搬送路70、反転搬送路73は、キャリア71に保持された状態で画像形成部5に対して前後方向に移動可能であり、画像形成装置1の使用時は画像形成部5に収納される一方、上記各装置の交換を行う場合や、画像形成部5に詰まった記録媒体を除去する場合には、画像形成部5の前側Fに引き出すことにより上記各装置の交換や記録媒体の除去が可能となっている。
【0033】
本実施の形態では、画像形成装置1は、記録媒体に画像を形成する画像形成部5と、該画像形成部5に記録媒体を供給する給紙部3とを含む画像形成装置本体11を有するようになっている。そして、本実施の形態では、画像形成装置1は、画像形成部5を構成する装置の一部を有し、画像形成装置本体11に対して出し入れ可能に構成された引出しユニット76と、引出しユニット76に取り付けられ、引出しユニット76の移動に伴って画像形成装置本体11に対して開閉可能である前カバー6とを有している。さらに、本実施の形態では、引出しユニット76には、少なくとも定着ユニット53と反転搬送路73が設けられている。
【0034】
図3および図4に示すように、前カバー6は、ロック機構60と、インターロックスイッチ61と、切換手段62とを含んで構成されている。ロック機構60は、固定部材63と、爪部材64と、操作部材の一例としてのレバー65と、支持軸66と、ねじりコイルばね(図示せず)とを備えている。
【0035】
固定部材63は、画像形成部5に固定された左右方向を長手方向とする2本のピンからなる。支持軸66は、左右方向を長手方向として、前カバー6に回転可能に支持されている。
【0036】
爪部材64は、支持軸66に固定されることにより、前カバー6に回転可能に設けられている。爪部材64は、固定部材63に引っ掛かり可能な溝64aと、後端部で斜め上を向いた斜面からなる案内面64bとを備えている。
【0037】
爪部材64は、ロック位置(図4(a)参照)と、アンロック位置(図4(b)参照)とに回転により切り換わるようになっている。ロック位置は、前カバー6を閉じた際に、溝64aが固定部材63に引っ掛かって前カバー6をロック状態にする位置である。アンロック位置は、溝64aが固定部材63から外れて前カバー6をアンロック状態にする位置である。
【0038】
レバー65は、支持軸66に固定されることにより、前カバー6に回転可能に設けられている。レバー65の先端部は、前カバー6の前面に形成された操作凹部6aに露出している。ユーザが操作凹部6aに指を入れてレバー65を回転操作することにより、レバー65は支持軸66を介して爪部材64を回転させ、爪部材64をロック位置とアンロック位置とに切り換えるようになっている。
【0039】
ねじりコイルばねは、支持軸66に巻かれて設けられている。ねじりコイルばねは、爪部材64がロック位置にある方向にばね力を加えるようになっている。
【0040】
ロック機構60は、前カバー6が画像形成部5を閉塞している際に、引出しユニット76および前カバー6を移動不能なロック状態(図4(a)参照)と、引出しユニット76および前カバー6を移動可能なアンロック状態(図4(b)参照)とに切り換え可能になっている。
【0041】
インターロックスイッチ61は、画像形成部5に設けられたマイクロスイッチからなり、画像形成装置1の動作をオンオフするようになっている。ここでは、インターロックスイッチ61がオンである場合は、画像形成装置1が動作するとともに、インターロックスイッチ61がオフである場合は、画像形成装置1、あるいは少なくとも画像形成部5が動作しないようになっている。
【0042】
切換手段62は、インターロックスイッチ61をオンオフ可能なカム板からなり、支持軸66に固定されている。切換手段62は、ロック機構60がロック状態にある場合にインターロックスイッチ61をオンにする(図4(a)参照)とともに、ロック機構60がアンロック状態にある場合にインターロックスイッチ61をオフにする(図4(b)参照)ようになっている。
【0043】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1の作用について説明する。
【0044】
画像形成装置1により印刷を行う場合は、前カバー6を閉じておく。このとき、図4(a)に示すように、ねじりコイルばねのばね力により爪部材64がロック位置に位置される。これにより、爪部材64の溝64aが固定部材63に引っ掛かって前カバー6をロック状態にする。同時に、切換手段62がインターロックスイッチ61をオンにし、画像形成装置1が動作可能となる。
【0045】
そして、記録媒体の詰まりの除去や、引出しユニット76に含まれている各装置の交換などのメンテナンス時などには、前カバー6を開放する。
【0046】
まず、ユーザはレバー65を引いて回転させる。これにより、図4(b)に示すように、レバー65がねじりコイルばねのばね力に抗して回転され、支持軸66を介して爪部材64がアンロック位置に位置される。この時、爪部材64の溝64aが固定部材63から外れ、前カバー6がアンロック状態となる。同時に、切換手段62が回転してインターロックスイッチ61をオフにするので、画像形成装置1が動作しないようになる。
【0047】
前カバー6がアンロック状態になることにより、前カバー6および引出しユニット76は前側Fに移動可能となる。ユーザはレバー65および前カバー6の操作凹部6aに指を掛けたまま前カバー6および引出しユニット76を手前側に引き出す。前カバー6および引出しユニット76を十分に引き出してから、ユーザはレバー65から指を離す。ねじりコイルばねのばね力により、爪部材64がロック位置に回転される。
【0048】
そして、例えば装置のメンテナンス時には、引出しユニット76に含まれている各装置のうち交換が必要なものをキャリア71から取り外し、新しいものをキャリア71に装着する。また、記録媒体の詰まりを除去する時には、引出しユニット76を画像形成部5から引出し、主搬送路70や反転搬送路73などに滞留している記録媒体を除去する。そして、作業が終了すると、前カバー6および引出しユニット76を画像形成部5の後側Rに向けて押し込む。
【0049】
前カバー6および引出しユニット76が押し込まれると、爪部材64の案内面64bが固定部材63に当たる。案内面64bは固定部材63に案内され、爪部材64がねじりコイルばねのばね力に抗して回転される。案内面64bの端部が固定部材63に達すると、案内面64bと固定部材63との接触が外れる。爪部材64がねじりコイルばねのばね力により回転され、爪部材64の溝64aが固定部材63に引っ掛かって前カバー6をロック状態にする。同時に、切換手段62がインターロックスイッチ61をオンにし、画像形成装置1が動作可能となる。
【0050】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置1によれば、前カバー6の開閉動作に伴って引出しユニット76が画像形成部5に対して移動するようになる。このため、例えば、引出しユニット76に含まれる各装置を交換する際は、前カバー6を開放→引出しユニット76に含まれる各装置を交換→前カバー6を閉塞という作業だけでよい。よって、従来のように前カバーを開放→作像ユニットを引き出し→作像ユニットを交換→作像ユニットを押し込み→前カバーを閉塞という多くの段階の作業をする必要がなく、メンテナンス作業の工程を削減して作業性を向上することができる。
【0051】
また、前カバー6の大きさを、従来のように画像形成部5の全面に設けていた場合よりも小さくすることができる。しかも、従来使用していた前カバーのヒンジなどの部品を削減できる。これらのことにより、画像形成装置1のコストダウンを図ることができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1によれば、引出しユニット76には、その前側Fに前カバー6が取り付けられるとともに、画像形成部5に前後方向に移動可能に収容されるキャリア71と、キャリア71に保持されるとともに、キャリア71に保持された状態で前カバー6の開閉操作に伴って画像形成部5に前後方向に収容される2次転写装置52、定着ユニット53などの画像形成部5を構成する装置の一部が備えられている。
【0053】
このため、画像形成部5を構成する装置のメンテナンス時や画像形成部5で詰まった記録媒体の除去時には、前カバー6を開く操作をするだけで容易に画像形成部5を構成する装置にアクセスすることが可能となる。これにより、メンテナンス作業や詰まった記録媒体の除去作業が従来にくらべて格段に容易になる。
【0054】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1によれば、前カバー6が画像形成装置本体11に対して閉塞している際に、引出しユニット76および前カバー6を移動不能にするロック状態と、引出しユニット76および前カバー6を移動可能にするアンロック状態とに切り換え可能なロック機構60を備えている。このため、前カバー6が画像形成装置本体11に対して閉塞した状態をロック機構60によってロックすることができるようになるので、前カバー6が容易に開いてしまうことを防止できる。
【0055】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1によれば、ロック機構60は、画像形成部5に固定された固定部材63と、前カバー6に回転可能に設けられるとともに、前カバー6を閉じた際に、固定部材63に引っ掛かって前カバー6をロック状態にするロック位置と固定部材63から外れて前カバー6をアンロック状態にするアンロック位置とに回転により切り換わる爪部材64と、爪部材64を回転させてロック位置とアンロック位置とを切り換えるレバー65とを備えている。このため、ロック機構60は、固定部材63と爪部材64とレバー65を主とする極めて簡易な構成にすることができる。このため、ロック機構60を安価に抑えることができるようになる。
【0056】
また、本実施の形態に係る画像形成装置1によれば、画像形成部5の動作をオンオフするインターロックスイッチ61と、前カバー6に設けられるとともに、前カバー6が閉じている場合にインターロックスイッチ61をオンにするとともに、前カバー6が開いている場合にインターロックスイッチ61をオフにする切換手段62とを備えている。
【0057】
このため、ロック機構60がアンロック状態にある時は、前カバー6が閉じていてもインターロックスイッチ61がオフになる。ここで、ユーザがレバー65を操作してロック機構60をアンロック状態にした場合、前カバー6がまだ閉じていてもユーザは前カバー6を開こうとしていると推測される。このため、ロック機構60がアンロック状態になった時にインターロックスイッチ61をオフにすることにより、画像形成部5の動作をより早く停止させることができる。
【0058】
また、上述した本実施の形態の画像形成装置1においては、図3に示すように、ロック機構60は、固定部材63と、爪部材64と、レバー65と、支持軸66と、ねじりコイルばねとを含んで構成されている。しかしながら、本発明に係る画像形成装置においては、これに限られず、図5および図6に示すように、例えばロック機構60が、固定部材63と、爪部材64と、支持軸66と、操作部材の一例としての取っ手67と、アーム68と、ねじりコイルばね(図示せず)とを含んで構成されているようにしてもよい。
【0059】
取っ手67は、前カバー6の操作凹部6aに、前カバー6に対して前後方向に移動可能に設けられている。取っ手67の後部には下方に開いた凹形状の切り欠き67aが形成されている。アーム68は、支持軸66に固定されている。アーム68の先端部には突起69が設けられている。
【0060】
突起69は、取っ手67の切り欠き67aに入り込んで設けられている。取っ手67の移動に伴い、切り欠き67aの前後の縁が突起69に突き当たり、アーム68を回転させるようになっている。固定部材63と、爪部材64と、支持軸66と、ねじりコイルばねとは、図3および図4に示した構造と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0061】
この場合、画像形成装置1のメンテナンスなどをする場合は、ユーザは取っ手67を手前に引き出す。これにより、図6(b)に示すように、取っ手67の切り欠き67aの後側の縁が突起69に当たって突起69を前側に引き出す。突起69が前側に引き出されると、アーム68がねじりコイルばねのばね力に抗して回転され、爪部材64がアンロック位置に位置される。そして、爪部材64の溝64aが固定部材63から外れ、前カバー6がアンロック状態となる。同時に、切換手段62が回転してインターロックスイッチ61をオフにするので、画像形成装置1が動作しないようになる。
【0062】
前カバー6がアンロック状態になることにより、前カバー6および引出しユニット76は前方向に移動可能となる。ユーザは取っ手67を持ったまま、前カバー6および引出しユニット76を手前側に引き出す。前カバー6および引出しユニット76を十分に引き出してから、ユーザは取っ手67から指を離す。ねじりコイルばねのばね力により爪部材64が回転され、支持軸66およびアーム68を介して、突起69が後方に移動する。突起69は取っ手67の切り欠き67aの後側の縁に当たって後側に押し込み、取っ手67が後方に移動される。
【0063】
また、上述した本実施の形態の画像形成装置1においては、図3〜図6に示すように、ロック機構60を備えたものとしている。しがしながら、本発明に係る画像形成装置においては、これに限られず、図7に示すように、ロック機構60を備えていなくてもよい。この場合、インターロックスイッチ61を画像形成部5の前部に設けるとともに、切換手段62を前カバー6の後部のインターロックスイッチ61に対向する部位に設けた突起部材からなるようにする。そして、切換手段62は、ロック機構60がロック状態にある場合にインターロックスイッチ61をオンにするとともに、ロック機構60がアンロック状態にある場合にインターロックスイッチ61をオフにする。
【0064】
これにより、前カバー6の閉塞時にはインターロックスイッチ61がオンであるとともに、前カバー6の開放時にはインターロックスイッチ61がオフであるので、前カバー6の開放時に画像形成部5の動作を確実に停止させることができる。
【0065】
また、上述した本実施の形態の画像形成装置1においては、図3〜図7に示すように、切換手段62を前カバー6に設けたものとしている。しかしながら、本発明に係る画像形成装置においては、これに限られず、切換手段62を引出しユニット76に設けるようにしてもよい。この場合も、切換手段62は画像形成部5に対して移動するので、画像形成部5に固定されたインターロックスイッチ61をオンオフすることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 画像形成装置
3 給紙部
5 画像形成部
6 前カバー
11 画像形成装置本体
50 タンデム画像形成装置
53 定着ユニット(定着装置の一例)
60 ロック機構
61 インターロックスイッチ
62 切換手段
63 固定部材
64 爪部材
65 レバー(操作部材の一例)
67 取っ手(操作部材の一例)
73 反転搬送路
76 引出しユニット
F 前側
R 後側
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2010−96923号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
該画像形成部に前記記録媒体を供給する給紙部とを含む画像形成装置本体を有する画像形成装置において、
前記画像形成部を構成する装置の一部を有し、前記画像形成装置本体に対して出し入れ可能に構成された引出しユニットと、
前記引出しユニットに取り付けられ、前記引出しユニットの移動に伴って前記画像形成装置本体に対して開閉可能である前カバーとを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記引出しユニットには、少なくとも定着装置と反転搬送路が設けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記前カバーが前記画像形成装置本体に対して閉塞している際に、前記前カバーを移動不能にするロック状態と、前記前カバーを移動可能にするアンロック状態とに切り換え可能なロック機構を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、
前記画像形成装置本体に固定された固定部材と、
前記前カバーに回転可能に設けられるとともに、前記前カバーを閉じた際に、前記固定部材に引っ掛かって前記前カバーを前記ロック状態にするロック位置と前記固定部材から外れて前記前カバーを前記アンロック状態にするアンロック位置とに回転により切り換わる爪部材と、
前記爪部材を回転させて前記ロック位置と前記アンロック位置とを切り換える操作部材と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成部の動作をオンオフするインターロックスイッチと、
前記引出しユニットまたは前記前カバーに設けられるとともに、前記ロック機構が前記ロック状態にある場合に前記インターロックスイッチをオンにするとともに、前記ロック機構が前記アンロック状態にある場合に前記インターロックスイッチをオフにする切換手段と、
を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部の動作をオンオフするインターロックスイッチと、
前記引出しユニットまたは前記前カバーに設けられるとともに、前記前カバーが閉じている場合に前記インターロックスイッチをオンにするとともに、前記前カバーが開いている場合に前記インターロックスイッチをオフにする切換手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−8011(P2013−8011A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95843(P2012−95843)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】