説明

画像形成装置

【課題】光沢を制御可能なトナーを用いて画像を形成する際に、該光沢を制御可能なトナーと通常画像に関わるトナーとを重ねて形成されるトナー像の光沢について、再現される光沢の調整をされた高品質の画像を得ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、少なくとも光沢を制御可能な色材にかかわる画像を含む画像データに対して画像の形成を行う画像形成手段を有し、前記光沢を制御可能な色材にかかわる画像の領域は、少なくとも前記光沢を制御可能な色材を用いて形成される可視像の光沢に応じて、前記光沢を制御可能なトナーに対する定着処理の回数を1回または複数回で切り替えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えば感光体ドラムを帯電装置により予め決められた電位で一様に帯電し、この帯電された感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して静電潜像を形成するとともに、現像装置により前記静電潜像を現像してトナー像化し、さらにトナー像を記録紙へ転写し定着することで、トナー画像を記録紙に形成している。
【0003】
また、上述したような画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を記録紙へ転写し定着することで、カラー画像(カラートナー画像)を記録紙に形成する(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0004】
近年、カラー画像を形成する画像形成装置には、光沢(グロス)のある画像を形成するものも提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−164745号公報
【特許文献2】特開2005−316440号公報
【特許文献3】特開2002−318482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光沢を制御可能な色材を用いて画像を形成する際に、該光沢を制御可能な色材と通常画像に関わる色材とを重ねて形成される可視像の光沢について、再現される光沢の調整をされた高品質の画像を得ることのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の画像形成装置は、少なくとも光沢を制御可能な色材にかかわる画像を含む画像データに対して画像の形成を行う画像形成手段を有し、
【0008】
前記光沢を制御可能な色材にかかわる画像の領域は、少なくとも前記光沢を制御可能な色材を用いて形成される可視像の光沢に応じて、前記光沢を制御可能なトナーに対する定着処理の回数を1回または複数回で切り替える、ことを特徴とする
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記画像形成手段に対し複数回の前記定着処理を実行させるに際し、前記定着処理毎に定着に要するエネルギーは同じとなるようにする、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記画像形成手段に対し複数回の前記定着処理を実行させるに際し、今回の前記定着処理においては、前回の前記定着処理の場合に比較して定着に要するエネルギーを低下させた値となるようにする、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、上記請求項2または3に記載の発明において、定着温度、定着速度、および定着圧力の三つの要素のうち少なくとも一つの要素を、前記定着に要するエネルギーを制御する要素とする、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記画像形成手段に対し複数回の前記定着処理を実行させるに際し、今回の前記定着処理においては、前回の前記定着処理の場合に比較して、定着温度および定着速度の二つの要素のうち少なくとも一つの要素は異なる値となるようにする、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、上記請求項5に記載の発明において、値を変更する要素が前記定着温度のときは当該定着温度を低下させた値となるよう、また値を変更する要素が前記定着速度のときは当該定着速度を増加させた値となるようにする、ことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記画像形成手段に対し複数回の前記定着処理を実行させるに際し、今回の前記定着処理においては、前回の前記定着処理の場合に比較して、定着温度、定着速度および定着圧力の三つの要素のうち少なくとも一つの要素は異なる値となるようにする、ことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、上記請求項7に記載の発明において、値を変更する要素が前記定着温度のときは当該定着温度を低下させた値となるよう、また値を変更する要素が前記定着速度のときは当該定着速度を増加させた値となるよう、さらに値を変更する要素が前記定着圧力のときは当該定着圧力を低下させた値となるようにする、ことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の本発明の画像形成装置は、少なくとも光沢を制御可能な色材にかかわる画像を含む画像データに対して画像の形成を行う画像形成手段を有し、操作者の選択に応じて、少なくとも前記光沢を制御可能な色材を用いて形成される領域の色材に対する定着処理の回数を1回または複数回で切り替える、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、光沢を制御可能な色材を用いて画像を形成する際に、該光沢を制御可能な色材と通常画像に関わる色材とを重ねて形成される可視像の光沢について、再現される光沢の調整をされた画像を得ることができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、定着処理毎に定着に要するエネルギーが同一の場合であっても、光沢のレベルの差が抑制された画像とすることができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、光沢度合いを細かく調整することができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、定着処理にかかわる要素に対する制御量に応じて光沢のレベルを調整することができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、光沢度合いを細かく調整することができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、今回の定着処理により、前回既に定着を行った部分と今回の定着の対象となる部分との光沢のレベルの差が均一になることを防止することができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、光沢度合いを細かく調整することができる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、今回の定着処理により、前回既に定着を行った部分と今回の定着の対象となる部分との光沢のレベルの差が均一になることを防止することができる。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、光沢を制御可能な色材を用いて画像を形成する際に、該光沢を制御可能な色材と通常画像に関わる色材とを重ねて形成される可視像の光沢について、再現される光沢の調整をされた画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態1に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る画像出力装置の概略構成を示す概略構成図である。
【図3】実施の形態1に係る画像処理装置の制御部による画像形成対象の画像の分割処理を説明する図である。
【図4】実施の形態1に係る画像形成装置による画像形成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1に係る複数回の定着処理が実施された場合の実行回数に応じた定着処理により得られる画像を説明する図である。
【図6】実施の形態1に係る画像出力装置の画像形成制御部による定着処理にかかわる定着条件変更処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1に係る画像形成装置のハードウェア構成を示す構成図である。
【図8】実施の形態2に係る画像形成対象の画像を説明する図である。
【図9】実施の形態2に係る画像形成対象の画像にかかわるトナー層のトナー量を説明する図である。
【図10】実施の形態2に係る画像処理装置の制御部による画像形成対象の画像の分割処理を説明する図である。
【図11】実施の形態2に係る複数回の定着処理が実施された場合の実行回数に応じた定着処理により得られる画像を説明する図である。
【図12】実施の形態3に係る画像出力装置の概略構成を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】
(実施の形態1)
【0029】
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置1の機能構成を示している。
【0030】
この画像形成装置1は、タンデム方式で、かつ中間転写方式の画像形成装置となっている。
【0031】
画像形成装置1は、図1に示すように、印刷対象の画像データに対する画像処理を行う画像処理装置2と、この画像処理装置2から出力される画像データ(イメージデータ)に基づき画像形成処理を行う(電子写真プロセスを実行する)画像出力装置3とを有している。
【0032】
処理装置としての画像処理装置2は、データ受信部110、記憶部120、PDL解析部130、描画処理部140、記憶部150、制御部160、および画像処理部170を有している。
【0033】
データ受信部110は、印刷対象の印刷データ例えばページ記述言語で記述されたデータ(以下「PDLデータ」という。)を受信し、これを記憶部120に格納する。
【0034】
PDL解析部130は、記憶部120に記憶されたPDLデータを読み出して解析するとともに、描画処理部140で描画可能なプリミティブなコマンド群に変換し、これを解析結果として描画処理部140へ出力する。
【0035】
描画処理部140は、PDL解析部130からの解析結果を基に画像形成単位例えばページ単位でビットマップ(ラスタデータ)の画像を生成し、これを記憶部150に格納する。
【0036】
制御部160は、記憶部150に記憶されたページ単位(画像形成単位)の画像形成対象の画像データ(ページデータ)の中に、光沢(グロス)モードを示す情報が存在するか否かを判断し、この判断した結果、光沢(グロス)モードを示す情報が存在しない場合は、当該画像形成対象の画像データ(ページデータ)を画像処理部170へ出力する。
【0037】
一方、制御部160は、上記判断した結果、光沢(グロス)モードを示す情報が存在する場合は、当該画像形成対象の画像データを複数に分割し、この分割した後の複数の分割画像データのそれぞれに対応するページ単位の画像データ(ページデータ)を順次、画像処理部170へ出力する。
【0038】
なお、制御部160による画像形成対象の画像データを複数に分割する処理(分割処理)の詳細については後述する。
【0039】
画像処理部170は、制御部160からの画像データ(ページデータ)に対し色変換処理、階調補正処理、スクリーン処理(網点生成処理)など画像処理を施し、この画像処理後の画像データを画像出力装置3の画像形成制御部210に向けて出力する。
【0040】
画像出力装置3は、画像形成制御部210と画像形成部220とを有している。
【0041】
画像形成制御部210は、画像出力装置3全体を制御するものであり、例えば画像処理装置2から出力された画像データ(ページデータ)に対する画像形成処理つまり電子写真プロセス全体の制御を行う。
【0042】
画像出力装置3において、画像形成部220は、図2に示すように、電子写真方式によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分のトナー像を図中矢印B方向に循環駆動(回動)される中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、を備えている。
【0043】
また、画像出力装置3の画像形成部220は、中間転写ベルト15上に転写されたトナー画像(重畳トナー画像)を記録媒体である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置30と、を備えている。
【0044】
定着装置30は、ヒーターなど発熱源(加熱源)を有し中心軸回りに図中矢印C方向に沿って回転が可能に支持された加熱ローラ31と、この加熱ローラ31と平行に圧接されて回転する加圧ローラ32とを有している。
【0045】
二次転写部20の矢印B方向の下流側には、図中矢印B方向に循環移動(回転)する中間転写ベルト15の残留トナーを除去するクリーナ40が配置されている。
【0046】
定着装置30の出力側には、搬送方向切替え部50が配設されている。この搬送方向切替え部50は、定着装置30によって画像が定着された用紙Pを、用紙を排出トレイなど排出部(図示せず)へ搬送する搬送路51、または用紙を二次転写部20に向けて搬送する搬送路52に案内する構造になっている。例えば、同一の用紙Pについて複数回の転写および定着の処理が実施されるときは、搬送方向切替え部50は、定着装置30から出力される用紙Pが搬送路52によって搬送されるようにする。
【0047】
ところで、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々は、図中矢印A方向に回転する感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kを有する。
【0048】
感光体ドラム11(11Y,11M,11C,11K)の各々の周囲には、回転方向に沿って、感光体ドラムを帯電する帯電装置12Y,12M,12C,12K、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光装置13Y,13M,13C,13K(図中露光ビームを符号Bmで示す)、該当する色成分のトナー(色材の一例)が収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像装置14Y,14M,14C,14K、感光体ドラム11上に形成された色成分のトナー像を中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16Y,16M,16C,16K、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17Y,17M,17C,17K、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。
【0049】
上述した各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の回転方向(図中矢印B方向)の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。そして、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kの各々は、中間転写ベルト15に対して接離可能に構成されている。
【0050】
なお、実施の形態1において、電子写真プロセスは、帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセス、転写プロセスおよび定着プロセスを含み、帯電プロセス、露光プロセスおよび現像プロセスは画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kで実現され(実際には帯電プロセスは帯電装置12Y,11M,11C,11Kで、露光プロセスはレーザ露光装置13Y,13M,13C,13Kで、現像プロセスは現像装置14Y,14M,14C,14Kで、それぞれ実現される。)、転写プロセスは一次転写部10および二次転写部20で実現され、定着プロセスは定着装置30で実現される。
【0051】
なお、上述した画像形成制御部210は、画像処理装置2の制御部160から出力される制御データに従って、加熱ローラ31に対する回転速度(定着速度)を制御するとともに発熱源の温度(定着温度)を制御する。
【0052】
また、画像形成制御部210は、上述したような定着装置30に対する制御に加えて、帯電装置12Y,12M,12C,12Kに対する帯電バイアスの制御、レーザ露光装置13Y,13M,13C,13Kに対するレーザ発振制御、現像装置14Y,14M,14C,14Kに対する現像バイアスの制御、二次転写部20に対応する2次転写電流の制御などを実施する。
【0053】
次に、画像処理装置2の制御部160による画像形成対象の画像の分割処理について、図3を参照して説明する。
【0054】
実施の形態1では、光沢(グロス)の要求レベルを示すレベル情報は、その要求レベルの低い順に、例えば、光沢レベル「低」、光沢レベル「中」、光沢レベル「高」の3段階のレベル情報とする。換言すれば、光沢レベル「低」、光沢レベル「中」、光沢レベル「高」の順に、光沢が高くなっていく。
【0055】
記憶部150に記憶されたページ単位のビットマップ画像が、図3(a)に示すような画像データ300であるとする。
【0056】
画像300データは、線分310、テキスト320,330、カラーの図形340、カラーのイメージ350を有している。
【0057】
また、画像データ300には、図3(b)に示すように、線分310およびテキスト320,330のそれぞれに対応して光沢レベル「低」が、図形340に対応して光沢レベル「中」が、イメージ350に対応して光沢レベル「高」が、それぞれ指定されているものとする。なお、ここで光沢レベルの指定はユーザが設定しても良いし、画像形成装置1に設けられる画像処理装置2の制御部160が画像データの属性(ここでは図形とかイメージ等々)をみて決定しても良い。
【0058】
なお、ユーザは、印刷対象の印刷データを画像形成装置1に向けて送信するコンピュータ(図示せず)を利用して、当該印刷データの印刷開始の指示を行う前に、1つの画像を部分的に光沢(グロス)を変更させる光沢モード(面内部分光沢モード)を指定するとともに、画像データ300の線分310、テキスト320,330、図形340、イメージ350に対応して、上述したような要求レベル(光沢レベル「低」、光沢レベル「中」、光沢レベル「高」)を指定するようにする。
【0059】
ここで、1つの画像とは、例えば、図3(a)に示す例の如く画像データ300に対応する画像つまり線分310、テキスト320,330、図形340、イメージ350を含む1ページ内の画像と、図3(a)に示す例の例えばイメージ350の如く1ページ内の画像の中の特定の画像とを意味する。
【0060】
そのため、ユーザは、要求レベルを指定するときは、1つの画像としての1ページ内の画像に対しては、例えば上記図3(b)の例の如く指定するようにし、一方、1つの画像としての特定の画像に対しては、当該特定の画像(例えばイメージ350)を指定するとともに当該特定の画像における光沢(グロス)を変化させたい領域(例えば上半分の領域と下半分の領域)を指定し、さらに上記3段階の要求レベルの中の特定の要求レベルを指定するようにする。
【0061】
本願明細書において、画像形成単位の同一の記録媒体の同一面に形成される画像形成対象の画像とは、例えばページ単位の同一の記録媒体としての例えば用紙(記録用紙)に形成される画像であって、上述した1ページ内の画像、または1ページ内の画像の中の特定の画像など1つの画像を意味する。
【0062】
また、本願明細書において、光沢のレベルを変化させたい単位とは、最終的に光沢のレベルが異なるように変化させる部分と、最終的に光沢のレベルが同じになるように電子写真プロセス(の転写プロセス)内での光沢のレベルを変化させる部分と、を含むものである。
【0063】
ここで、光沢のレベルを変化させたい単位の具体例としては、上記1つの画像としての1ページ内の例えばテキスト、図形、イメージなどの画像、または上記1つの画像としての特定の画像の中の光沢を変化させたい領域が挙げられる。
【0064】
この実施の形態1では、光沢のレベルを変化させたい単位は、最終的に光沢のレベルが異なるように変化させる部分であるとする。
【0065】
さて、制御部160は、記憶部150に記憶されている画像データ300に対応して上述したレベル情報が指定されているか否かを判断し、この判断した結果、図3(b)に示す例の如く3つのレベル情報が指定されているなど、上述したレベル情報が指定されている場合は、画像データ300を、これらレベル情報を基に分割する。
【0066】
すなわち、制御部160は、3つのレベルの要求レベルを基に、画像データ300を、光沢レベル「高」に対応する図3(c)に示す分割画像#1、光沢レベル「中」に対応する図3(d)に示す分割画像#2、光沢レベル「低」に対応する図3(e)に示す分割画像#3の3つの分割画像に分割する。このことは、画像形成対象の画像が領域ごとに分割されたことを意味する。
【0067】
これら複数の分割画像#1,#2,#3はそれぞれページデータとして、画像処理部170へ出力される。
【0068】
これに対し、制御部160は、画像データ300に上述したレベル情報が指定されていないと判断した場合、画像データ300に対する分割処理は実施せずに、画像データ300を画像処理部170へ出力する。
【0069】
また、制御部160は、画像形成対象の画像データ300に上述したレベル情報が指定されているときは、画像出力装置3の画像形成部210に対し、分割された分割画像の数と、これら複数の分割画像に対する画像形成が実施されて画像形成対象の画像が形成される旨と、定着条件に関する情報と、を制御データとして出力する。
【0070】
この定着条件とは、定着装置30の定着温度および定着速度(定着スピード)に関する設定値である。
【0071】
制御部160は、画像形成制御部210に対し、定着温度や定着スピードを変更させるときは、「定着し過ぎによる不具合となる定着のときの設定値」>「1回目の定着のときの設定値」≧・・・≧「n回目の定着(n≧2)のときの設定値」≧「定着不足による不具合となる定着のときの設定値」の関係が満たされるように、定着温度や定着スピードを複数レベルに設定するように指示する。
【0072】
ここで、定着し過ぎによる不具合とは、Hot(ホット)オフセットのように定着した画像が用紙に定着されずに定着手段(この例では定着装置30)にトナーが残り1回転後に再度用紙に定着されてしまう画像のオフセットや、トナーの用紙繊維への染み込み過ぎによる粒状性悪化のことである。
【0073】
また、定着不足による不具合とは、Cold(コールド)オフセットのように定着不足でトナーが十分溶かし切れない状態で用紙から剥がれてしまう画像のオフセットのことである。
【0074】
実施の形態1では、制御部160は分割手段および制御手段の各機能を有し、画像形成部220は画像形成手段の機能を有する。
【0075】
次に、画像形成装置1による画像形成処理について、図4を参照して説明する。
【0076】
なお、図4は、その画像形成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
この例では、要求レベルとして光沢レベル「低」、光沢レベル「中」、光沢レベル「高」の3段階の光沢レベルが設定された場合について説明する。
【0078】
図示しないコンピュータが印刷対象の印刷データ(PDLデータ)を画像形成装置1に向けて送信すると、画像形成装置1の画像処理装置2では、データ受信部110がコンピュータからの印刷対象の印刷データ(PDLデータ)を受信し、これを記憶部120に格納する。PDL解析部130が、記憶部120に記憶されたPDLデータを解析し、この解析した結果を描画処理部140へ出力すると、描画処理部140は、PDL解析部130からの解析結果を基にページ単位に画像データ(ページデータ)を生成し、これを記憶部150に格納する。
【0079】
制御部160は、図4に示すように、記憶部150に記憶されている画像データ(画像形成対象の画像データ)に対応して光沢モード(面内部分光沢モード)つまり光沢(グロス)の要求レベルを示すレベル情報が指定されているか否かを判断し(ステップS101)、この判断した結果、そのレベル情報が指定されている場合は、当該レベル情報の要求レベル毎に(光沢レベル毎)に上記画像形成対象の画像データを分割する(ステップS102)。
【0080】
ここで、例えば記憶部150に記憶されている画像データは図3(a)に示す画像データ300であり、レベル情報は図3(b)に示すように各要求レベルが指定されているものとする。
【0081】
この場合、制御部160は、指定された要求レベル(光沢レベル)ごとに、画像データ300を、図3(c)に示す分割画像#1、図3(d)に示す分割画像#2、図3(e)に示す分割画像#3の3つに分割画像に分割する。
【0082】
次に、制御部160は、3段階の光沢レベルの中の光沢レベル「高」の画像に対する画像形成にかかわる処理が終了したか否かを判断し(ステップS103)、この判断した結果、光沢レベル「高」の分割画像に対する処理が終了していない場合は、当該分割画像(この例では図3(c)に示す分割画像#1)の画像データを画像処理部170へ出力するとともに、画像出力装置3の画像形成制御部210に対し、分割された分割画像の数(画像分割数)=3、これら複数の分割画像に対する画像形成が実施されて画像形成対象の画像が形成される旨と、定着条件に関する情報と、を制御データとして出力する。
【0083】
上述した制御データは、1回目の画像形成(3段階の光沢レベルのうち光沢レベル「高」の分割画像に対する画像形成)のときに、制御部160から画像形成制御部210へ出力され、2回目以降の画像形成のときには出力されない。
【0084】
ここで、定着条件に関する情報は、画像形成の回数に関係なく(定着処理の回数に関係なく)、定着エネルギーは同一の条件とする旨、すなわち定着エネルギーに関連する定着温度および定着スピードは同一の条件とする旨である。
【0085】
なお、定着エネルギーには、熱エネルギー(例えば熱ローラ定着により得られるエネルギー)、機械的エネルギー(例えば圧力定着により得られるエネルギー)が含まれる。
【0086】
実施の形態1では、定着装置30の構造上、定着エネルギーは熱エネルギーであるとする。勿論、定着装置30を圧力定着により定着可能な定着装置に変更することで、定着エネルギーは、機械的エネルギーであるとしてもよい。
【0087】
さて、画像処理部170は、制御部160からの分割画像#1に対し画像処理を実施し、この画像処理後の分割画像#1の画像データを画像出力装置3の画像形成制御部210へ出力する。
【0088】
すると、画像出力装置3では、画像形成制御部210は、画像処理部170からの分割画像#1の画像データと制御部160からの制御データとに基づき、画像形成部220に対する画像形成の制御を実施する。この場合、画像形成制御部210は、転写され定着された用紙Pが再度、画像形成処理されるべく(搬送路52に向けて搬送されるべく)、搬送方向切替え部50を制御する。
【0089】
すなわち、画像形成部220は、分割画像#1の画像データに基づき1回目の画像形成動作で画像形成を実施する(ステップS104)。このようにして1回目の画像形成が実施された用紙Pつまり1回目の転写処理(二次転写処理)および定着処理が実施された用紙Pは、再度、転写処理(二次転写処理)および定着処理が実施されるべく、搬送路52によって二次転写部20に向けて搬送される。
【0090】
ここで、用紙Pに図3(c)の分割画像#1の画像データに基づく1回目の画像形成が実施された後の結果(1回目の定着処理が施された結果)は、図5(a)に示す画像(トナー画像)#P1となる。
【0091】
このようにして分割画像#1の画像形成が終了すると、制御部160は、画像処理部170へ出力した分割画像の数(画像出力数)が上記分割画像の数(画像分割数)=3に達したか否かを判断し(ステップS105)、この判断した結果、前記画像出力数が前記画像分割数に達していない場合にはステップS103に戻り、一方、前記画像出力数が前記画像分割数に達した場合はこの処理を終了する。
【0092】
制御部160は、ステップS103において、光沢レベル「高」の画像に対する画像形成にかかわる処理が終了したと判断した場合は、3段階の光沢レベルの中の光沢レベル「中」の画像に対する画像形成にかかわる処理が終了したか否かを判断する(ステップS106)。
【0093】
次に、制御部160は、ステップS106において、光沢レベル「中」の分割画像に対する処理が終了していないと判断した場合は、当該分割画像(この例では図3(d)に示す分割画像#2)の画像データを画像処理部170へ出力する。
【0094】
画像処理部170は、制御部160からの分割画像#2に対し画像処理を実施し、この画像処理後の分割画像#2の画像データを画像出力装置3の画像形成制御部210へ出力する。
【0095】
すると、画像出力装置3では、画像形成制御部210は、画像処理部170からの分割画像#2の画像データと、既に制御部160から受け取っている制御データとに基づき、画像形成部220に対する画像形成の制御を実施する。この場合、画像形成制御部210は、転写され定着された用紙Pが再度、画像形成処理されるべく(搬送路52に向けて搬送されるべく)、搬送方向切替え部50を制御する。
【0096】
すなわち、画像形成部220は、分割画像#2の画像データに基づき2回目の画像形成動作で画像形成を実施する(ステップS107)。このようにして2回目の画像形成が実施された用紙Pつまり2回目の転写処理(二次転写処理)および定着処理が実施された用紙Pは、再度、転写処理(二次転写処理)および定着処理が実施されるべく、搬送路52によって二次転写部20に向けて搬送される。
【0097】
ここで、図5(a)に示す画像(トナー画像)#P1が定着された用紙Pに、図3(d)の分割画像#2の画像データに基づく2回目の画像形成が実施された結果(つまり2回目の定着処理が施された結果)は、図5(b)に示す画像(トナー画像)#P2となる。
【0098】
ステップS107が終了した場合、画像形成装置1はステップS105に戻る。
【0099】
すなわち分割画像#2の画像形成が終了すると、制御部160は、ステップS105において、画像処理部170へ出力した分割画像の数(画像出力数)=2が上記分割画像の数(画像分割数)=3に達していないので、ステップS103に戻る。
【0100】
制御部160は、ステップS106において、光沢レベル「中」の画像に対する画像形成にかかわる処理が終了したと判断した場合は、3段階の光沢レベルの中の光沢レベル「低」の画像に対する画像形成にかかわる処理であると認識し、当該分割画像(この例では図3(e)に示す分割画像#3)の画像データを画像処理部170へ出力する。
【0101】
画像処理部170は、制御部160からの分割画像#2に対し画像処理を実施し、この画像処理後の分割画像#3の画像データを画像出力装置3の画像形成制御部210へ出力する。
【0102】
すると、画像出力装置3では、画像形成制御部210は、画像処理部170からの分割画像#3の画像データと、既に制御部160から受け取っている制御データとに基づき、画像形成部220に対する画像形成の制御を実施する。この場合、画像形成制御部210は、転写され定着された用紙Pが、図示しない排出部へ出力されるべく(搬送路51に向けて搬送されるべく)、搬送方向切替え部50を制御する。
【0103】
すなわち、画像形成部220は、分割画像#3の画像データに基づき3回目の画像形成動作で画像形成を実施する(ステップS108)。このようにして3回目の画像形成が実施された用紙Pつまり3回目の転写処理(二次転写処理)および定着処理が実施された用紙Pは、搬送路51に向けて搬送され、図示しない排出部へ出力される。
【0104】
ステップS108が終了した場合、画像形成装置1はステップS105に戻る。
【0105】
つまり分割画像#3の画像形成が終了すると、制御部160は、ステップS105において、画像処理部170へ出力した分割画像の数(画像出力数)=3が上記分割画像の数(画像分割数)=3に達したと判断して、この処理を終了する。
【0106】
ここで、図5(b)に示す画像(トナー画像)#P2が定着された用紙Pに、図3(e)の分割画像#3の画像データに基づく3回目の画像形成が実施された結果(つまり3回目の定着処理が施された結果)は、図5(c)に示す画像(トナー画像)#P3となる。
【0107】
そして、図5(c)に示す画像(トナー画像)#P3が定着された用紙Pが、搬送路51に向けて搬送され、図示しない排出部へ出力されることになる。
【0108】
上述した図5(a)、図5(b)、図5(c)を参照して明らかなように、光沢レベル「高」に対応するイメージ350は定着処理が3回実施され、光沢レベル「中」に対応する図形340は定着処理が2回実施され、光沢レベル「小」に対応する線分310およびテキスト320,330はそれぞれ定着処理が1回実施されたことになる。
【0109】
そのため、定着回数の多い分割画像の光沢が一番高くなっている。すなわちイメージ350の光沢が一番高く、次に図形340の光沢が高く、そして線分310およびテキスト320,330の光沢が一番低いものとなっている。
【0110】
ところで、制御部160は、ステップS101において、画像形成対象の画像データに対応して光沢モード(面内部分光沢モード)つまり光沢(グロス)の要求レベルを示すレベル情報が指定されていないと判断した場合、通常モードであると認識して当該画像データ300(図3(a)参照)を分割することなく画像処理部170へ出力する。
【0111】
画像処理部170は、制御部160からの画像データ300を画像出力装置3の画像形成制御部210へ出力する。
【0112】
すると、画像出力装置3では、画像形成制御部210は、画像処理部170からの画像データ300に基づき、画像形成部220に対する画像形成の制御を実施するので、画像形成部220は、通常モードで画像形成を実施する(ステップS109)。
【0113】
次に、画像出力装置3の画像形成制御部210による定着処理にかかわる定着条件変更処理について、図6を参照して説明する。
【0114】
なお、図6は、その定着処理にかかわる定着条件変更処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0115】
画像形成制御部210は、画像処理装置2の制御部160からの制御データ、すなわち分割された分割画像の数(画像分割数)、これら複数の分割画像に対する画像形成が実施されて画像形成対象の画像が形成される旨、および定着条件に関する情報を基に、画像形成のときの定着処理にかかわる定着条件を変更する処理(定着条件変更処理)を実施する。
【0116】
ここで、定着条件に関する情報は、画像形成の回数に応じて(定着処理の回数に応じて)予め決められた第1の定着条件、第2の定着条件、第3の定着条件に従う旨である。
【0117】
第1の定着条件は、定着に要するエネルギー(以下「定着エネルギー」という)=E1に設定するか、あるいは定着温度=T1および定着スピード=S1に設定する。
【0118】
第2の定着条件は、定着エネルギー=E2に設定するか、あるいは定着温度=T2および定着スピード=S2に設定する。ここで、「E1≧E2」の関係が、「T1≧T2」の関係が、「S1S2」の関係がそれぞれ満たされるものとする。
【0119】
第3の定着条件は、定着エネルギー=E3に設定するか、あるいは定着温度=T3および定着スピード=S3に設定する。ここで、「E2≧E3」の関係が、「T2≧T3」の関係が、「S2S3」の関係がそれぞれ満たされるものとする。
【0120】
さて、画像形成制御部210は、制御部160からの制御データに含まれる画像分割数と、画像処理部170からの分割画像の画像データとを基に、1回目の画像形成であるか否かを判断する(ステップS201)。
【0121】
画像形成制御部210は、ステップS201において、画像処理部170からの1つ目の分割画像#1の画像データを受け取ったので1回目の画像形成であると判断した場合は、上記第1の定着条件に従って、定着エネルギー=E1に設定するか、あるいは定着温度=T1および定着スピード=S1に設定する(ステップS202)。
【0122】
そして、画像形成制御部210は、前記設定した設定内容となるように定着装置30の定着温度や定着スピードを制御する。
【0123】
このステップS202を終了した画像形成制御部210は、画像分割数(この例では画像分割数=3)に応じた回数(この例では3回)の画像形成が実施されたか否かを判断し(ステップS203)、この判断した結果、前記画像分割数に応じた回数の画像形成が実施されていない場合にはステップS201に戻り、一方、前記画像分割数に応じた回数の画像形成が実施された場合はこの定着条件変更処理を終了する。
【0124】
画像形成制御部210は、ステップS201において1回目の画像形成ではないと判断した場合は、2回目の画像形成であるか否かを判断する(ステップS204)。
【0125】
画像形成制御部210は、ステップS204において、画像処理部170からの2つ目の分割画像#2の画像データを受け取ったので2回目の画像形成であると判断した場合は、上記第2の定着条件に従って、定着エネルギー=E2(「E1≧E2」の関係を満たす)に設定するか、あるいは定着温度=T2(「T1≧T2」の関係を満たす)および定着スピード=S2(「S1S2」の関係を満たす)に設定する(ステップS205)。
【0126】
そして、画像形成制御部210は、前記設定した設定内容となるように定着装置30の定着温度や定着スピードを制御する。
【0127】
一方、画像形成制御部210は、ステップS204において画像処理部170からの3つ目の分割画像#3の画像データを受け取ったので2回目の画像形成ではないと判断した場合は、3回目の画像形成であると認識して、上記第3の定着条件に従って、定着エネルギー=E3(「E2≧E3」の関係を満たす)に設定するか、あるいは定着温度=T3(「T2≧T3」の関係を満たす)および定着スピード=S3(「S2S3」の関係を満たす)に設定する(ステップS206)。
【0128】
そして、画像形成制御部210は、前記設定した設定内容となるように定着装置30の定着温度や定着スピードを制御する。
【0129】
ステップS205を終了した場合、ステップS206を終了した場合、画像形成制御部210は、ステップS203へ進む。
【0130】
上述したように画像形成制御部210は、制御部160の制御の下(制御データを基に)、複数回の定着処理を実行させるに際し、次の(1)または(2)、あるいは(3)または(4)の処理を実施する。
【0131】
(1)定着に要するエネルギーは同じとなるよう制御する。
【0132】
(2)今回の定着処理においては、前回の前記定着処理の場合に比較して定着に要するエネルギーを低下させた値となるよう制御する。この場合、定着に要するエネルギーを低下させるべく定着温度を低下させた値および定着速度を増加させた値のうち少なくとも一方の値となるよう制御する。
【0133】
(3)定着温度および定着速度のうち少なくとも一方は同じ値となるよう制御する。
【0134】
(4)今回の定着処理においては、前回の定着処理の場合に比較して定着温度を低下させた値および定着速度を増加させた値のうち少なくとも一方の値となるよう制御する。
【0135】
上述したようなことから、実施の形態1においては、制御部160と画像形成制御部210とが協働することで、制御手段の機能を果たすものであると言える。
【0136】
ところで、一般的に、定着する画像におけるトナー層の層厚が厚い程(トナー量が多いほど)、定着に要するエネルギーは多く必要とする。
【0137】
そこで、制御部160は、光沢調整(グロス調整)の各光沢レベルにおけるトナー層のトナー量の最大量及び最小量を判断に加え、定着温度の値や定着スピードの値を複数のレベルに設定するようにしてもよい。
【0138】
制御部160は、例えば、光沢の要求レベル(例えば「低」、「中」、「高」の3つの光沢レベル)に応じて1つの画像を3つに分割した場合に、それぞれの分割画像を定着する際の定着温度をそれぞれ温度T1、T2、T3とし、「温度T1≧温度T2≧温度T3」の関係が成立するとしたときは、例えば光沢レベル「中」で指定された画像のトナー層の最大量や最小量から判断し、トナー層の最大量が予め設定された閾値よりも大きい場合は、上述した第2の定着条件に含まれる定着温度=T2つまり温度T2を高めに設定するようにする。
【0139】
具体的には、制御部160は、例えば「T1(=185℃)≧T2(=175℃)≧T3(=175℃)」の関係が成立する場合に、光沢レベル「中」で指定された画像に対しては、本来であれば定着温度として温度T2=175℃を設定すべきところ、トナー層の最大量が予め設定された閾値よりも大きい場合は、上述した第2の定着条件に含まれる定着温度=T2つまり温度T2=180℃に設定する。
【0140】
そして、このようにして設定された定着温度T2を含む第2の定着条件、他の第1の定着条件および第3の定着条件を含む定着条件に関する情報は、制御データとして画像形成制御部210へ出力される。
【0141】
なお、実施の形態1では、上述した制御データには定着条件に関する情報が含まれるものとしているが、これに限定されることなく、制御データには定着条件に関する情報は含まれないものとしてもよい。
【0142】
この場合、画像形成制御部210は、画像処理装置2の制御部160からの制御データすなわち分割された分割画像の数(画像分割数)、およびこれら複数の分割画像に対する画像形成が実施されて画像形成対象の画像が形成される旨を基に、画像形成のときの定着処理にかかわる定着条件を変更する処理(定着条件変更処理)を実施する。
【0143】
そして、画像形成制御部210は、上述した第1の定着条件、第2の定着条件、および第3の定着条件を予め記憶しておき、制御部160からの制御データに含まれる画像分割数と、画像処理部170からの分割画像の画像データとを基に、前記3つの定着条件の中か該当する定着条件に従って定着エネルギーを設定するか、あるいは定着温度および定着スピードを設定するようにする。
【0144】
この場合も、上述したように制御部160と画像形成制御部210とが協働することで、制御手段の機能を果たすものであると言える。
【0145】
上述したように、画像処理装置2の制御部160は、画像形成単位の同一の記録媒体に形成される画像形成対象の画像を光沢のレベルを変化させたい単位例えば指定された領域毎に複数に分割するとともに、当該分割した複数の分割画像のそれぞれについて、光沢の要求レベルに応じて電子写真プロセスにかかわる定着処理の回数が異なるよう制御する。
【0146】
具体的には、画像出力装置3の画像形成制御部210は、制御部160の制御の下、上記分割された複数の分割画像のそれぞれについて、前記光沢の要求レベルに応じて電子写真プロセスにかかわる定着処理の回数が異なるよう制御する。
【0147】
これにより、画像形成対象の画像(1つの画像)にかかわる定着回数(定着処理の実行回数)の異なる分割画像毎に光沢(グロス)のレベルは異なる。すなわち、定着回数の多い分割画像は、定着回数の少ない分割画像よりも光沢が高いものとなる。
【0148】
上述した実施の形態1おいては、定着温度および定着速度の二つの要素に注目し、これら二つの要素のうち少なくとも一つの要素に関する値を変更することで定着エネルギーを低下させるようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、次のようにしてもよい。
【0149】
すなわち、定着温度、定着速度および定着圧力の三つの要素に注目し、これら三つの要素のうち少なくとも一つの要素に関する値を変更することで定着エネルギーを低下させるようにする。具体的には、画像形成制御部210は、値を変更する要素が、定着温度の場合には当該定着温度を低下させた値、また定着速度の場合には当該定着速度を増加させた値、さらに定着圧力の場合は当該定着圧力を低下させた値とするよう、画像形成部220(の定着装置)を制御する。
【0150】
以上説明したように、実施の形態1では、定着処理毎に定着エネルギーが同じ場合であっても、定着回数の多い分割画像は、定着回数の少ない分割画像よりも光沢が高いものとなる。
【0151】
また、実施の形態1では、定着処理毎に定着温度および定着速度の二つの要素のうち少なくとも一つの要素の値を、または定着温度、定着速度および定着圧力の三つの要素のうち少なくとも一つの要素の値を変更して定着エネルギーを低下させるようにした場合は、単に定着回数のみを多くする場合に比較して、光沢のレベルが微調整される。例えば、定着回数のみの場合では、光沢のレベルは、単純に例えば2倍、3倍の如く定着回数に応じた制御となる。これに対し、定着処理毎に定着エネルギーを低下させる場合では、光沢のレベルは、定着温度および定着速度のそれぞれの値の変化量に応じて例えば1.2倍、1.5倍の如く細かく制御される。
【0152】
さらに、実施の形態1では、今回の定着処理においては、前回の定着処理の場合に比較して定着に要するエネルギー(定着エネルギー)を低下させた値をもって実施するようにしている。すなわち、定着温度を低下させた値および定着速度を増加させた値のうち少なくとも一つの値となるよう、または、定着温度を低下させた値、定着圧力を低下させた値のうち少なくとも一つの値となるよう制御することにより、定着エネルギーを低下させるようにしている。そのため、前回の定着処理により既に定着された部分(分割画像)に対する今回の定着処理が実施された後の当該部分(分割画像)の光沢のレベルは、今回の定着処理の実施により初めて定着された部分(分割画像)の場合に比較して確実に高いものとなる。換言すれば、定着処理の回数が多いものほど(定着処理が多く実施されるほど)、分割画像の光沢のレベルは確実に高いものになる。
【0153】
これに対し、今回の定着処理にかかわる定着エネルギーが、前回の定着処理にかかわる定着エネルギーの場合に比較して例えば1倍あるいは1.5倍としたときは、今回の定着処理により初めて定着された部分(分割画像)の光沢のレベルが、前回の定着処理により既に定着された部分(分割画像)に対する今回の定着処理が実施された後の当該部分(分割画像)の場合に比較して、同等または高いものとなる可能性がある。すなわち、光沢のレベルを高くしたい部分(分割画像)については定着処理の回数を多くするようにしたにも係わらず、当該部分(分割画像)の光沢のレベルは、定着処理の回数が少ない部分(分割画像)の場合に比較して高くならない可能性がある。
【0154】
次に、画像形成装置1のハードウェア構成について、図7を参照して説明する。
【0155】
なお、図7は、画像形成装置1のハードウェア構成を示している。
【0156】
画像形成装置1は、図7に示すように、CPU11、記憶装置12、ROM13、RAM14、通信インタフェース(以下「通信I/F」という。)15、操作パネル16、および上述した画像出力装置3を備えている。
【0157】
上記各構成要素3,11〜16はシステムバス17に接続されている。なお、記憶装置12、および画像出力装置3は、それぞれに対応するインタフェース(図示せず)を介してシステムバス17に接続される。
【0158】
また、上記各構成要素11〜15は、図3に示した画像処理装置2を構成する。
【0159】
記憶装置12は、例えばハードディスクで構成され、図1に示したPDL解析部130、描画処理部140、制御部160、および画像処理部170の各機能を実現するためのプログラム、後述する処理プログラム12Aなどを記憶している。
【0160】
処理プログラム12Aには、少なくとも次の(1)および(2)の処理過程が含まれている。
【0161】
(1)画像形成単位の同一の記録媒体に形成される画像形成対象の画像を光沢のレベルを変化させたい単位に従って複数に分割する分割処理過程。
【0162】
(2)上記分割処理過程により分割された複数の分割画像のそれぞれについて、電子写真プロセスにかかわる定着処理の回数が異なるよう制御する制御処理過程。
【0163】
ROM13は、読み出し専用メモリであり、上記印刷処理(画像形成処理)を実施する際に必要なパラメータ例えば定着条件に関する情報(第1〜第3の定着条件における定着温度および定着スピードのそれぞれの値)、コンピュータなど外部装置との通信を実施するための通信プロトコル情報を記憶している。
【0164】
RAM14は、随時書き込み読み出しメモリであり、少なくとも、図1に示した記憶部120に対応する第1の記憶領域、図1に示した記憶部150に対応する第2の記憶領域、作業するためのワーク領域が割り当てられている。
【0165】
RAM14において、上記ワーク領域には、記憶装置12から読み込まれたプログラム、ROM13から読み込まれたパラメータやデータさらには通信プロトコル情報、送受信されるデータなどが記憶され、上記第1の記憶領域には、データ受信部110(図1参照)によって受信された印刷データ(PDLデータ)が記憶され、上記第2の記憶領域には、描画処理部140(図1参照)によって描画されたページ単位の画像データ(ビットマップ)が記憶される。
【0166】
通信I/F15は、図1に示したデータ受信部110の機能を有し、図示しない通信回線を介して外部装置、例えばコンピュータとの通信を行うインタフェースである。
【0167】
操作パネル16は、画像形成装置1の状態情報やユーザに対してのメッセージなど表示情報を表示する表示部(液晶パネルなど)と、入力情報を入力する入力部とを有している。
【0168】
CPU11は、記憶装置12からRAM14に処理プログラム12Aを含むプログラムを読み込んで実行することにより、PDL解析部130、描画処理部140、制御部160、および画像処理部170の各機能を実現するとともに、分割手段および制御手段の各機能を実現する。また、CPU11は、画像形成装置1全体を制御する。
【0169】
本願明細書において、処理プログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する実施形態として説明したが、当該所定のプログラムを次のようにして提供してもよい。
【0170】
すなわち、上記処理プログラムをROMに格納しておき、CPUが、この処理プログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0171】
また、上記処理プログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。この場合、その記録媒体に記録された処理プログラムを画像形成装置がインストールした後、この処理プログラムをCPUが実行するようにする。この処理プログラムのインストール先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置がある。そして、画像形成装置は、必要に応じてこの記憶装置に記憶した処理プログラムを主記憶装置にローディングして実行する。
【0172】
さらには、画像形成装置を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータと接続するようにし、当該画像形成装置が、サーバ装置あるいはホストコンピュータから上記プ処理プログラムをダウンロードした後、この処理プログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この処理プログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)がある。そして、当該画像形成装置が、必要に応じてこの記憶装置に記憶された上記処理プログラムを主記憶装置にローディングして実行するようにする。
【0173】
(実施の形態2)
【0174】
次に、実施の形態2に係る画像形成装置および画像出力装置は、それぞれ図1に示した画像形成装置1および図2に示した画像出力装置3と同様の構成になっている。
【0175】
実施の形態2は、基本的には実施の形態1と同様であるものの、画像形成対象の画像をトナー層のトナー量(トナー層厚)ごとに分割する点が実施の形態1とは相違する。次に、その相違する点について説明する。
【0176】
ここでは、記憶部150に記憶されている画像形成対象の画像データ(ページデータ)は、図8(a)に示すように、カラーのイメージ410を有する画像データ400であるとする。イメージ410は、図8(b)に示すように領域411,412,413,414から構成され、それぞれ異なるカラーであるとする。
【0177】
すなわち、イメージ410は、図9に示すように、領域毎にトナー層のトナー量が異なっている。
【0178】
ちなみに、領域411は、イエロー(Y)が50%、マゼンタ(M)が100%、シアン(C)が50%、ブラック(K)が50%のトナー像である。領域411(のトナー像)のトナー層のトナー量は250%である。
【0179】
領域412は、イエロー(Y)が100%、マゼンタ(M)が100%、シアン(C)が50%、ブラック(K)が100%のトナー像である。領域412(のトナー像)のトナー層のトナー量は350%である。
【0180】
領域413は、マゼンタ(M)が50%、シアン(C)が50%のトナー像である。領域413(でのトナー像)のトナー層のトナー量は100%のトナー像である。
【0181】
領域414は、イエロー(Y)が50%、マゼンタ(M)が50%、シアン(C)が50%、ブラック(K)が50%のトナー像である。領域414(のトナー像)のトナー層のトナー量は200%である。
【0182】
実施の形態2において、光沢のレベルを変化させたい単位に従って画像形成対象の画像を分割する場合の当該単位は、予め設定されるトナー量を含有するトナー層(トナー像)を有する領域である。
【0183】
すなわち、実施の形態2では、光沢のレベルを変化させたい単位は、最終的に光沢のレベルが同じになるように電子写真プロセス(の転写プロセス)内での光沢のレベルを変化させる部分であり、具体的には、予め設定されるトナー量を含有するトナー層(トナー像)を有する領域(例えば領域411〜414)である。
【0184】
実施の形態2では、予め設定されるトナー量は3つのレベルとし、それぞれのレベルを「TN1」、「TN2」、「TN3」とする。また、「TN1」、「TN2」、「TN3」をそれぞれトナー量「少」、トナー量「中」、トナー量「多」とする。
【0185】
例えば、上述したトナー量の3つのレベルは、それぞれ「150%≧TN1」、「150%<TN2300%」、「300%<TN3≦400%」の関係を満たすものとする。
【0186】
この場合、画像形成対象の画像は、トナー層のトナー量が150%以下のトナー像を有する領域と、トナー層のトナー量が150%を超え300%以下のトナー像を有する領域と、トナー層のトナー量が300%を超え400%以下のトナー像を有する領域と、に分割されることとなる。
【0187】
ところで、複数の領域(の画像)のそれぞれに対応して、色材による色を表現するためにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーの量を異ならせるものの、当該複数の領域(の画像)の光沢のレベルを同じにしたい場合がある。
【0188】
しかしながら、トナー層のトナー量が異なるトナー像を用紙に定着させるために同一の回数の定着処理が実施された場合には、トナー量が多いトナー像(を有する領域の画像)ほど光沢が高くなる。
【0189】
そのため、上記複数の領域の画像に対する定着装置30による1回の定着処理が実施された場合は、当該複数の領域の画像は、トナー量に応じて光沢のレベルが異なることとなる。
【0190】
そこで、実施の形態2の画像形成装置1は、複数の領域(の画像)のそれぞれのトナー層のトナー量が異なる場合であっても、光沢のレベルが略同一の複数の分割画像(光沢のレベルの差が抑制された複数の分割画像)を有する1つの画像を、画像形成結果として出力するようにする。
【0191】
次に、画像形成装置1による画像形成処理について説明する。
【0192】
実施の形態2の画像形成処理は、図4に示した実施の形態1の画像形成処理と同様になっている。
【0193】
図示しないコンピュータが印刷対象の印刷データ(PDLデータ)を画像形成装置1に向けて送信すると、画像形成装置1の画像処理装置2では、データ受信部110がコンピュータからの印刷対象の印刷データ(PDLデータ)し、これを記憶部120に格納する。PDL解析部130が、記憶部120に記憶されたPDLデータを解析し、この解析した結果を描画処理部140へ出力すると、描画処理部140は、PDL解析部130からの解析結果を基にページ単位に画像データ(ページデータ)を生成し、これを記憶部150に格納する。
【0194】
記憶部150には、図8(a)に示す画像データ400が記憶され、この画像データ400に対応して「同一の光沢レベルとする光沢モード」が指定されているものとする。
【0195】
ここで、ユーザは、印刷対象の印刷データを画像形成装置1に向けて送信するコンピュータ(図示せず)を利用して、当該印刷データの印刷開始の指示を行う前に、1つの画像または1つの画像の中の特定の画像に対応して「同一の光沢レベルとする光沢モード」を指定する。
【0196】
制御部160は、記憶部150に記憶されている画像データ(画像形成対象の画像)400に対応して光沢モードが指定されているか否かを判断し(図4のステップS101参照)、この判断した結果、光沢モードが指定されている場合は、画像データ400のイメージ410の領域411,412,413,414のそれぞれのトナー層のトナー量を確認する。
【0197】
制御部160は、図8(b)に示す領域411,412,413,414のトナー量が、図8(c)に示すように、それぞれ250%、350%、100%、200%であると確認すると、これらのトナー量と上述したトナー量の3つのレベルとの照合により、領域411,412,413,414のそれぞれについては、トナー量「中」、トナー量「多」、トナー量「少」、トナー量「中」であると認識する。
【0198】
制御部160は、画像データ400を、図10(a)に示すトナー量「少」に対応する領域の画像(分割画像)#11と、図10(b)に示すトナー量「中」に対応する領域の画像(分割画像)#12と、図10(c)に示すトナー量「多」に対応する領域の画像(分割画像)#13とに分割する(図4のステップS102参照)。
【0199】
なお、図10(a)〜(c)において、点線の部分は、実際には画像は存在しないが、説明の都合上図示している。
【0200】
制御部160は、トナー量「少」に対応する領域の分割画像#11、トナー量「中」に対応する領域の分割画像#12、トナー量「多」に対応する領域の分割画像#13の順に、光沢のレベルを低くする処理を実施する。
【0201】
すなわち、制御部160は、図8(d)に示すように、トナー量「少」に対応する領域の分割画像#11(図10(a)参照)は、実施の形態1での光沢レベル「高」の分割画像に相当し、トナー量「中」に対応する領域の分割画像#12(図10(b)参照)は、実施の形態1での光沢レベル「中」の分割画像に相当し、トナー量「多」に対応する領域の分割画像#13(図10(c)参照)は、実施の形態1での光沢レベル「小」の分割画像に相当すると判断する。
【0202】
その後、図4に示した実施の形態1の画像形成処理のステップS103〜S108と同様の処理が実施される。
【0203】
これにより、用紙Pに図10(a)の分割画像#12の画像データに基づく1回目の画像形成が実施された後の結果(1回目の定着処理が施された結果)は、イメージ410に対応する画像に注目した場合、図11(a)に示す画像(トナー画像)#P11となる。
【0204】
また、図11(a)に示す画像(トナー画像)#P11が定着された用紙Pに、図10(b)の分割画像#12の画像データに基づく2回目の画像形成が実施された結果(つまり2回目の定着処理が施された結果)は、イメージ410に対応する画像に注目した場合、図11(b)に示す画像(トナー画像)#P12となる。
【0205】
さらに、図11(b)に示す画像(トナー画像)#P12が定着された用紙Pに、図10(c)の分割画像#13の画像データに基づく3回目の画像形成が実施された結果(つまり3回目の定着処理が施された結果)は、イメージ410に対応する画像に注目した場合、図11(c)に示す画像(トナー画像)#P13となる。
【0206】
なお、図11(a)〜(c)において、点線の部分は、実際には画像は存在しないが、説明の都合上図示している。
【0207】
上述した図11(a)、図11(b)、図11(c)を参照して明らかなように、光沢レベル「高」(トナー量「少」)に対応するイメージ410の領域413は定着処理が3回実施され、光沢レベル「中」(トナー量「中」)に対応するイメージ410の領域411,414は定着処理が2回実施され、光沢レベル「小」(トナー量「多」)に対応するイメージ410の領域412は定着処理が1回実施されたことになる。
【0208】
上述したように、画像処理装置2の制御部160は、画像形成対象の画像を、光沢のレベルを変化させたい単位例えばトナー層のトナー量ごとに分割するとともに、当該分割した複数の分割画像にかかわるトナー層のトナー量に対応する光沢レベルに応じて、電子写真プロセスにかかわる定着処理の回数が異なるよう制御する。
【0209】
具体的には、制御部160は、光沢レベル「高」(トナー層のトナー量「少」)に対応する分割画像#11の画像データを1回目の画像形成時に、光沢レベル「中」(トナー層のトナー量「中」)に対応する分割画像#12の画像データを2回目の画像形成時に、光沢レベル「小」(トナー層のトナー量「多)に対応する分割画像#13の画像データを3回目の画像形成時に、それぞれ画像処理部170へ出力する。
【0210】
これにより、トナー層のトナー量「少」に対応する分割画像#11は3回の定着処理が実施され、トナー層のトナー量「中」に対応する分割画像#12は2回の定着処理が実施され、トナー層のトナー量「多」に対応する分割画像#13は1回の定着処理が実施される。
【0211】
そのため、画像形成対象の画像にかかわる複数の分割画像のそれぞれのトナー層のトナー量が異なる場合であっても、光沢のレベルが略同一の複数の分割画像(光沢のレベルの差が抑制された複数の分割画像)を有する1つの画像が得られる。
【0212】
上述した実施の形態2では、1つのページの中に1つの画像(イメージ400)が存在する場合の制御部160による分割処理について説明したが、これに限定されことなく、1つのページの中に複数の画像が存在する場合にも、制御部160による分割処理を適用することができる。
【0213】
例えば、図3に示した実施の形態1の画像データ300において、図形340の中に図8のイメージ410が含まれているものとする。そして、ユーザは、イメージ410に関しては略同一の光沢レベルにしたい場合、画像データ300の中のイメージ410に対応して「同一の光沢レベルとする光沢モード」を指定する。これ以降の処理は、上述した通りであるので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0214】
上述した実施の形態2では、ユーザによって「同一の光沢レベルとする光沢モード」が指定された画像(画像形成対象の画像)について画像処理装置2の制御部160が分割するようにしているが、これに限定さることなく、制御部160が当該画像形成対象の画像をスキャン(走査)し、この結果に基づき当該画像を分割するようにしてもよい。
【0215】
すなわち、制御部160は、画像形成対象の画像に含まれる図形やイメージなどオブジェクト(画像)毎にトナー層のトナー量を確認し、この確認した画像にかかわるトナー層のトナー量と予め設定される閾値としての例えば3つのレベルとを照合し、この照合結果を基に、該当する画像を複数に分割するようにしてもよい。
【0216】
例えば、図8(a)の画像データ400またはイメージ410に対応して「同一の光沢レベルとする光沢モード」が指定されていない場合であっても、画像処理装置2の制御部160は、上述したようにしてイメージ410の各領域411,412,413,414のトナー層のトナー量と例えば上述した3つのレベルとを照合し、この照合した結果を基に、イメージ410を、分割画像#11,#12,#13の如く複数に分割するようにする。
【0217】
(実施の形態3)
【0218】
実施の形態3に係る画像形成装置は、図1に示した実施の形態1の画像形成装置1と同様の構成になっている。
【0219】
図12は、画像出力装置3の画像形成部220の概略構成を示している。この画像形成部220は、図2に示した実施の形態1の画像形成部220において、画像形成ユニット1TRを追加した構成になっている。
【0220】
図12の画像形成ユニットTRは、例えば画像形成ユニット1Yと同様に、感光体ドラムを有し、この感光体ドラムの周囲に、帯電装置、レーザ露光装置、現像装置、一次転写ロール、ドラムクリーナ、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。
【0221】
実施の形態3は、基本的には実施の形態1と同様であるものの、画像形成対象の画像をトナーの種類ごとに分割する点が実施の形態1とは相違する。次に、その相違する点について説明する。
【0222】
実施の形態3において、トナーの種類とは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーと、透明トナーなどグロスコントロール(光沢制御)用のトナーとが含まれる。
【0223】
画像処理装置2において、制御部160は、記憶部150に記憶されている画像データ(画像形成対象の画像)の中に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーの他に、透明(TR)のトナーが含まれている場合は、当該画像データをY,M,C,Kにかかわる画像(分割画像)と、透明(TR)にかかわる画像(分割画像)とに分割するようにする。
【0224】
次に、制御部160は、最初に透明(TR)トナーにかかわる分割画像を画像処理部170へ出力し、次にY,M,C,Kのトナーにかかわる分割画像を画像処理部170へ出力する。
【0225】
画像処理部170は、最初に透明トナーにかかわる分割画像に対し画像処理を施して画像出力装置3の画像形成制御部210へ出力し、次にY,M,C,Kのトナーにかかわる分割画像に対し画像処理を施して画像出力装置3の画像形成制御部210へ出力する。
【0226】
そして、画像出力装置3の画像形成制御部210が、制御部160の制御の下、画像形成部220に対し画像形成制御を実行することで、最終的な画像形成結果における透明(TR)トナーにかかわる分割画像は2回の定着処理が実施されることになる。
【0227】
そのため、透明トナーにかかわる分割画像に関して定着処理が2回実施された画像形成対象の画像における透明トナーの光沢は、Y,M,C,K,TRの画像が1回の定着処理が実施された場合の透明トナーの光沢に比較して高いものになっている。
【0228】
以上説明したように、画像出力装置3の画像形成制御部210が、画像形成部220に対し、透明トナーのようなグロスコントロール用のトナーを使用して画像の光沢(グロス)を上げたり下げたりするトナー層を形成させる場合に、Y,M,C,Kのトナーにかかわる画像(通常画像)の画像形成とグロスコントロール用のトナーのトナー像の画像形成とを実施させる制御を行うことにより、透明トナーの光沢は上がったり下がったりする(透明トナーの光沢は高まったり低くなったりする)。
【0229】
すなわち、実施の形態3では、トナーの種類による光沢ムラが防止される、もしくは、トナーの種類毎に異なる光沢度合いが得られる。
【産業上の利用可能性】
【0230】
本発明は、印刷機能、複写機能、スキャン機能など複数の画像形成処理機能を有する画像形成装置(いわゆる複合機)に適用することができる。
【符号の説明】
【0231】
1 画像形成装置
2 画像処理装置
3 画像出力装置
11 CPU
12 記憶装置
12A 処理プログラム
13 ROM
14 RAM
15 通信I/F
110 データ受信部
120,150 記憶部
130 PDL解析部
140 描画処理部
160 制御部
170 画像処理部
210 画像形成制御部
220 画像形成部
1Y,1M,1C,1K,1TR 画像形成ユニット
15 中間転写ベルト
20 二次転写部
30 定着装置
31 加熱ローラ
32 加圧ローラ
50 搬送方向切替え部
300,400 画像形成対象の画像データ
#1、#2,#3,#11,#12,#13 分割画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも光沢を制御可能な色材にかかわる画像を含む画像データに対して画像の形成を行う画像形成手段を有し、
前記光沢を制御可能な色材にかかわる画像の領域は、少なくとも前記光沢を制御可能な色材を用いて形成される可視像の光沢に応じて、前記光沢を制御可能なトナーに対する定着処理の回数を1回または複数回で切り替える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段に対し複数回の前記定着処理を実行させるに際し、前記定着処理毎に定着に要するエネルギーは同じとなるようにする、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段に対し複数回の前記定着処理を実行させるに際し、今回の前記定着処理においては、前回の前記定着処理の場合に比較して定着に要するエネルギーを低下させた値となるようにする、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
定着温度、定着速度、および定着圧力の三つの要素のうち少なくとも一つの要素を、前記定着に要するエネルギーを制御する要素とする、
ことを特徴とする請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段に対し複数回の前記定着処理を実行させるに際し、今回の前記定着処理においては、前回の前記定着処理の場合に比較して、定着温度および定着速度の二つの要素のうち少なくとも一つの要素は異なる値となるようにする、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
値を変更する要素が前記定着温度のときは当該定着温度を低下させた値となるよう、また値を変更する要素が前記定着速度のときは当該定着速度を増加させた値となるようにする、
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成手段に対し複数回の前記定着処理を実行させるに際し、今回の前記定着処理においては、前回の前記定着処理の場合に比較して、定着温度、定着速度および定着圧力の三つの要素のうち少なくとも一つの要素は異なる値となるようにする、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
値を変更する要素が前記定着温度のときは当該定着温度を低下させた値となるよう、また値を変更する要素が前記定着速度のときは当該定着速度を増加させた値となるよう、さらに値を変更する要素が前記定着圧力のときは当該定着圧力を低下させた値となるようにする、
ことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
少なくとも光沢を制御可能な色材にかかわる画像を含む画像データに対して画像の形成を行う画像形成手段を有し、
操作者の選択に応じて、少なくとも前記光沢を制御可能な色材を用いて形成される領域の色材に対する定着処理の回数を1回または複数回で切り替える、
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−80250(P2013−80250A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−280853(P2012−280853)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2008−330770(P2008−330770)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】