説明

画像形成装置

【課題】 感光体を支持する軸を備えるユニットを装置本体から挿抜するに際して、軸が中間転写体のトナー像担持面に傷を付けることによって、画像不良が生じる場合があった。
【解決手段】 前記感光体が装着されていないときに前記軸と接触して前記軸が前記中間転写体に接触しないように案内する案内位置に位置し、前記感光体が装着されたときに前記軸と接触しない退避位置へ移動する案内部材を備える機構

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は像担持体を支持する軸を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、像担持体としての感光ドラムや感光ベルト上で形成されたトナー像を記録材へ転写し、定着することで印刷物を出力している。
【0003】
ここで、トナー像の形成に関わる現像器や帯電装置、感光体などは使用に伴い劣化(消耗)するため、定期的に交換することが望ましい。
【0004】
一方、画像形成に際して、トナー像を担持する感光ドラムなどを回転させるために、交換可能な感光ドラムへと回転駆動力を伝達する必要がある。装置本体と感光ドラムの位置決め精度が高くない場合、駆動伝達にムラが生じることでバンディングが生じる。
【0005】
それに対して特許文献1には、感光ドラムを備えるプロセスユニットを軸支する軸を備え、プロセスユニットを軸により位置決めするとともに、軸を中心として駆動を伝達する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−278364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成において、装置の組立て性やメンテナンス性を確保するため、プロセスユニットを軸支する軸とプロセスユニットへと駆動力を伝える駆動伝部などを一体化することが考えられる。
【0008】
しかしながら、像担持体を軸支する軸は長く装置筺体に設けられた穴を通しつつ、軸を筺体内へと挿入する際に以下の問題が生じる可能性がある。
【0009】
具体的には、軸を筺体の後ろ側板側から軸よりも大きい穴を通して内部へと挿入する際に、軸の先端が装置内部の臓物に接触して傷や打痕をつけてしまう可能性があった。とりわけ、像担持体上に形成されたトナー像を記録材へと転写する中間転写体を備える構成において、中間転写体のトナー像を担持する面に傷や打痕が付くと画像不良を招く。
【0010】
装置に軸を挿入する際に、軸と装置内部の中間転写体との接触を抑制するためには後側板を厚くすることが考えられるが装置の大型化を招いてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本発明の画像形成装置は「回転可能な感光体と、前記感光体上にトナー像を形成する画像形成部と、前記感光体上のトナー像を記録材へと転写する中間転写体と、前記感光体を支持する軸を備え、装置本体に着脱可能なユニットと、前記軸を通す穴があり、前記ユニットが固定される筺体と、前記感光体が装着されていないときに前記軸と接触して前記軸が前記中間転写体に接触しないように案内する案内位置に位置し、前記感光体が装着されたときに前記軸と接触しない退避位置へ移動する案内部材を備える機構と、」を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
装置の大型化を招くことなく、像担持体を支持する軸が中間転写体に接触することを抑制することができる。これにより、装置の大型化を招くことなく中間転写体のトナー像担持面が傷つくことによる画像不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】ドラム駆動ユニットとガイドユニットを説明するための図である。
【図3】ドラム駆動ユニットとガイドユニットの関係を説明するための図である。
【図4】ドラム駆動ユニットの着脱を説明するための斜視図である。
【図5】プロセスユニットの装着動作とガイドユニットの動作を説明するための図である。
【図6】他のガイドユニット構成を説明するための斜視図である。
【図7】軸と中間転写体の接触可能性について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則してさらに詳しく説明する。なお、画像形成装置の構成部品の寸法、材質、形状、及びその相対位置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0015】
画像形成装置としてのプリンタ100の概略構成について説明をしたあと、トナー像を形成するプロセスに関わるユニットを一体化したプロセスカートリッジPを支持する支持軸及びその周囲の機構について詳しく説明する。
【0016】
§1.{画像形成装置の概略構成について}
図1の(a)は画像形成装置の概略構成を説明するための図である。画像形成装置としてのプリンタ100は第1から第4のステーションS(Bk〜T)を備え、それぞれの感光ドラム上に異なるトナーで画像を形成する。図1の(b)は画像形成部としてのステーションを拡大した詳細図である。各ステーションは感光ドラム上に形成された静電像を現像するトナーの種類(分光特性)を除き略同一であるため、第1のステーション(Bk)を代表して説明する。
【0017】
画像形成部としてのステーションS(Bk)は像担持体としての感光ドラムDと、感光ドラムDを帯電する帯電部材としての帯電ローラ1を備える。感光ドラムDは帯電ローラ1により帯電されたあと、レーザスキャナLSからの露光Lにより感光ドラム上に静電像が形成される。感光ドラムD上に形成された静電像は現像器2に収容されるブラックトナーによりトナー像へ現像される。感光ドラムD上に現像されたトナー像は転写部材としての転写ローラ3により中間転写体としての中間転写ベルトITBへと転写される。中間転写ベルトへと転写されずに感光ドラムD上に付着した転写残トナーはクリーニングブレードを備える清掃装置4により清掃除去される。なお、感光ドラムD上(感光体上)にトナー像を形成するために関与する帯電ローラ、現像器などを画像形成部と呼ぶ。
【0018】
このように、各ステーションが備える感光ドラムDから、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の順に転写されたトナー像は中間転写ベルト上に重ねられる。そして、重ねられたトナー像は2次転写部STにおいてカセットCから搬送された記録材へ転写される。2次転写部STにおいて記録材へと転写されずに中間転写ベルト上に残留したトナーは不図示のベルトクリーナにより清掃される。
【0019】
記録材上に転写されたトナー像はトナーと接触してトナーを加熱溶融させて記録材へ定着する定着装置Fにより記録材へと定着され、画像が定着された記録材は機外へと排出される。
【0020】
なお本実施例では、帯電ローラ1、現像器2、清掃装置4はプロセスカートリッジPとして感光ドラムDと一体にユニット化されている。このプロセスカートリッジPはプリンタ100に着脱可能に設けられている。
【0021】
§2.{ドラム駆動ユニット及びガイドユニットの構成について}
続いて、プロセスカートリッジが備える感光ドラムを支持し、プロセスカートリッジPへ回転駆動を伝えるドラム駆動ユニット200と、ドラム駆動ユニット200が備える軸201を案内するガイドユニット300について説明する。
【0022】
図2の(a)はプリンタ100にプロセスカートリッジP、ドラム駆動ユニット200、中間転写ベルトITBが装着された状態の側断面図である。プロセスカートリッジPと中間転写ベルトITBとガイドユニット300は後側板BPよりも装置手前側に配置されている。プリンタ100の筺体を構成する後側板BPにはドラム駆動ユニット200の軸201を通すことができる穴Hが設けられている。
【0023】
ドラム駆動ユニット200を筺体へ装着する際には、軸201を後側板BPの後ろ側から前側へ向けて穴Hを通し、装置本体内へ軸201を挿入して穴Hとベアリング部205を勘合させて装着する。続いて、ドラム駆動ユニット200とガイドユニット300の構成について詳しく説明する。
【0024】
■(ドラム駆動ユニット200の構成について)
図2の(b)はドラム駆動ユニット200の構成を説明するための図である。ドラム駆動ユニット200はプロセスカートリッジPの感光ドラムDを貫通支持する支持軸としての軸201を備える。また、プロセスカートリッジと係合して駆動力を伝達するカップリング部202を備える。カップリング部には係合突起を備え、カップリング部の外径は軸201の外径よりも大きい。
【0025】
なお、プロセスカートリッジPはカップリング部202と係合する不図示のカップリング部を備え、軸201の軸を中心としてカップリング部から回転駆動力が伝達される。
【0026】
また、ドラム駆動ユニット200はカップリング部202を介して感光ドラムDを回転駆動する駆動力を発生させる駆動源としてのモータ203を備える。当然、モータ203からの駆動力はギア列を通じて減速されてカップリング部202を回転させる。また、ドラム駆動ユニット200には駆動列や回転速度を安定させるフライホイールを備えており、非力な作業者にとっては取り扱いが難しい。そのため、本実施例のドラム駆動ユニット200は交換作業性を向上させるためにハンドル204を設けた。
【0027】
図2の(b)中に記載の矢印CMはドラム駆動ユニット200の重心位置を示す矢印である。ハンドル204の付け根は、ユニット200の重心位置CMより本体内側となるように設けた。これにより、ユーザがハンドル204を持ったときにユニット200の軸201の先端は重力方向上方を向く。そのため、中間転写ベルトITBがプリンタ100本体に装着されたプロセスカートリッジPの感光ドラムDよりも重力方向下方にある構成において、軸201と中間転写ベルトITBが接触しにくくすることができる。なお、ハンドル204の付け根をユニット200の重心位置GMより本体内側に設けると、プリンタ100全体をコンパクトに設計しづらくなる。さらに、図2の(a)に示すように、ドラム駆動ユニット200は穴Hの内径よりも小さくカップリング部よりも外径の大きな固定部として後側板BPの穴Hと勘合するベアリング部205を備える。ドラム駆動ユニット200のベアリング部205は後側板BPの穴Hに嵌められ、ドラム駆動ユニットは後側板BPに固定される。
【0028】
■(ガイドユニット300の構成について)
続いて、ドラム駆動ユニット200をプリンタ100の筺体に後側から固定する際に、軸201を中間転写ベルトと接触しないように案内するガイドユニット300の構成について説明する。
【0029】
前述のように、後側板BPに設けられた軸201を挿入する穴の寸法が小さければ軸201を挿入する際の作業容易性が低下する。しかしながら、穴Hの内径を大きくすれば軸201が挿入の際に振れる幅が大きくなり、中間転写ベルトITBへ接触する可能性が高くなってしまう。そのため、本実施例のプリンタ100は後側板BPの中間転写ベルト側の面に軸201を案内するガイドユニット300を設けた。
【0030】
図2の(c)はドラム駆動ユニット200が備える軸201が、ドラム駆動ユニット挿抜時に中間転写ベルトITBに接触しないように案内するガイドユニット300の構成を説明するための詳細図である。
【0031】
ガイドユニット300はL字形状の枠301と、枠301の中を移動可能に支持されたガイド軸302と、ガイド軸302に回転可能に設けられたコロ303を備える。
【0032】
コロ303はガイド軸302を中心に軸201挿抜方向に回転可能に設けられている。コロ303が軸201と当接してドラム駆動ユニット200を案内するに際して、コロ303には軸202により重力方向下向きの方向に力が働く場合がある。当然、軸201を案内する際には、コロ303及びガイド軸302の位置が動くと軸201の先端が中間転写ベルトITBと接触しないように案内することが困難になる。そのため、本実施例のガイドユニット300はガイド軸302の移動を抑制する固定リング304により固定されている。固定リング304はプロセスカートリッジ側に設けられた解除突起が枠301のプロセスカートリッジ側の面から挿入されることにより移動可能になる。図2の(c)中に示す矢印のようにガイド軸302はL字形状の枠301内部を自由に移動することができるようになる。なお、固定リングはガイド軸をL字状の上方の案内位置へと付勢する不図示の付勢バネを備える。また、図2の(b)に示す、L字状の右下の位置を退避位置と呼び、ガイド軸302は外部から力を受けることによって退避位置へと移動することができる。
【0033】
以上が、ガイドユニット300の構成に関する説明である。続いて、本実施例の各部材の配置関係について説明する。
【0034】
§3.{配置関係と寸法について}
続いて、各ユニットの配置関係と寸法について図面を用いて説明する。
【0035】
■(本実施例のユニット配置関係と寸法について)
図3の(a)はドラム駆動ユニット200を後側板BPに固定した状態の穴H近傍を拡大した斜視図である。ガイドユニット300は後側板に固定されており、図3の(a)に示すようにプロセスカートリッジPが装着されていない状態ではコロ303(及びガイド軸302)はL字状の上方の案内位置に固定されている。
【0036】
各ユニットの配置関係について簡単に説明する。図3の(b)に示すように、本実施例の中間転写ベルトITBは軸201の重力方向下方に配置される。同様に、軸201を中間転写ベルトへと接触させないように案内するコロ303は軸201と中間転写ベルトの間に配置される。
【0037】
続いて、各寸法について説明する。本実施例において案内位置におけるコロ303の配置は保護対象としての中間転写ベルトITBと軸201の接触を抑制する位置である。
【0038】
図3の(b)はドラム駆動ユニット200とガイドユニット300と中間転写ベルトITB及び穴Hの寸法関係を説明するための図である。本実施例の中間転写ベルトITBの幅は450mm、穴Hの中心から中間転写ベルトITBまでの距離は48mmである。
【0039】
また、軸201の外径は15mm、カップリング部202の外径は23mm、ベアリング部205の外径は32mm、穴Hの内径は32mm(16×2mm)である。ドラム駆動ユニット200はユニットに存在するベアリング部(外形の直径がφ32)と後側板BPとが勘合する勘合部としての穴Hにより位置が決まっている。なお、穴Hの内径とベアリング部の外径は中間嵌めの関係の寸法公差範囲に設定している。
【0040】
ここで、穴Hはドラム駆動ユニット200をプリンタ100の装置本体を成す筺体に取り付けるときのガイドとしての役割も果たしている。しかし、軸は2点で位置を決めなければ自由に動いてしまい、軸201の挿入に際し中間転写ベルトITBと衝突すると画像不良を招く。よって、穴Hに加えてドラム軸201(直径φ15)を案内支持する箇所が必要となってくる。
【0041】
本実施例の構成では、軸201を案内するためにコロ303を備えている。軸201を案内するコロ303は案内位置において、後側板BPから45mmの位置に固定されている。なお、コロ303はプロセスカートリッジPの挿入に伴い、案内位置から後側板BPに近い退避位置へと退避するように構成されている。ここで、上述のような寸法構成においてはコロ303の寸法公差や穴Hの寸法公差、位置公差を±1mm以内に収めることができれば、コロ303が後側板BPから45mm以上前側に配置されておれば計算上、軸201と中間転写ベルトITBは接触しない。
【0042】
なお、図3の(a)に示すように、後側板BPよりも装置前方に設けられた電極支持板EPにも穴(直径はφ35、後側板BPからの距離は34mm)が開いているが、ドラム軸201の姿勢に影響を与えるほど穴は小さくない。つまり、電極支持板EPに穴があったとしてもその内径や配置される位置が適当でなければ軸201を中間転写ベルトに接触を防ぐような機能を発揮することができない。
【0043】
■(補足:ガイドユニットを備えない構成について)
図7は本実施例に開示の案内機構としてのガイドユニット300を備えない構成の画像形成装置について説明するための図である。図7の(a)はガイドユニット300を備えない構成におけるドラム駆動ユニットと後側板の固定位置近傍の拡大図である。図7の(b)に示すように、軸を備えるドラム駆動ユニットの着脱作業の際に、軸を通す穴は軸よりも大きい。そのため、軸を後側板側から装置本体内部へと挿入する際、軸は画像形成装置内部の内蔵物に接触するほど振れる。
【0044】
ここで、図7の(c)に示すように、後側板の厚みを厚くしたり、軸を通す穴のあいた板を複数枚(例えばガイドプレートGPを設ける)にしたりすることで軸を後側板から内部へと挿入する際に、軸が内蔵物と接触することを抑制することができる。なお、後側板に設けられた穴の内径を小さくすることが考えられるが、軸の外径と穴の内径の差を小さすると、軸の挿入作業性が低下するに加え、軸よりも外径の大きなカップリングを装置内部へと挿入することができなくなってしまう。そのため図7の(c)に示すように、ガイドユニット300を備えない構成においては装置の大型化を招くことなく軸と内蔵物の接触可能性を小さくすることができなかった。
【0045】
§4.{ドラム駆動ユニットの着脱動作について}
図4はプリンタ100の筺体にドラム駆動ユニット200を着脱する動作を説明するための斜視図である。図4の(a)に示すように、軸201をプリンタ100筺体の後側板BPが備える穴を通り、ガイドユニット300が備えるコロ303により案内されながら装置内部へと挿入される。この時、軸201は穴Hとコロ303の2点で位置決めされている。そのため、ドラム駆動ユニット200の着脱に際し、軸201と軸201の重力方向下方に位置する中間転写ベルトITBとの衝突を抑制することができる。
【0046】
ドラム駆動ユニット200が本体に装着されると図4の(b)に示すような状態になる。図4の(b)はドラム駆動ユニット200をプリンタ100の筺体へ挿入した状態を示す斜視図である。ドラム駆動ユニット200の軸201を案内する案内部材としてのコロ303はドラム駆動ユニット200の装着及び離脱期間中、軸201を案内する案内位置に固定されている。言い換えると、ドラム駆動ユニット200をプリンタ100の筺体に差し込む間、ドラム軸201は穴Hと案内位置に固定されているコロ303により案内される。
【0047】
コロ303はプロセスカートリッジPが軸201に装着されていない状態において、コロ303は案内位置にあり、プロセスカートリッジPの装着によりコロ303は軸201と接触しない退避位置へと退避する。続いて、ガイドユニットのプロセスカートリッジPの装着に際しての動作について詳しく説明する。
【0048】
§5.{ガイドユニット及びプロセスカートリッジの挿抜について}
前述の通り、ドラム駆動ユニット200の着脱に際して、案内部材としてのコロ303は案内位置に固定されている。しかしながら、プロセスカートリッジPを挿入する際や、軸周りに駆動力を伝達する際においてもコロ303が案内位置にあると装置の大型化や駆動の伝達を阻害してしまう。そのため、本実施例のガイドユニット300はプロセスカートリッジPの装置本体への装着に際して以下のように動作する。
【0049】
■(プロセスカートリッジ装着前の状態について)
図5の(a)はプロセスカートリッジが完全に装着される前のガイドユニット300の状態を説明するための図である。プロセスカートリッジPが軸201に完全に装着される前、言い換えるとプロセスカートリッジPのカップリングとドラム駆動ユニット200のカップリング部が係合する前の状態では、コロ303は案内位置に位置する。
【0050】
前述の通り、装置本体へと軸201を案内するに際して、軸の重量を支持するためにコロ303は案内位置に固定されている。しかしながら、コロ303が案内位置に固定されたままの状態ではプロセスカートリッジの装着を阻害する。そのため、本実施例のプロセスカートリッジPはガイドユニット300のコロ303(及びガイド軸302)を移動可能にするためにロックを解除する不図示の解除突起を備える。解除突起はプロセスカートリッジPの装着に際して、L字形状の枠301の内部にあるロックを解除する。これにより、プロセスカートリッジに設けられた傾斜したガイド部としてのスロープGにより、ガイド軸302を重力方向下方へと移動可能になる。
【0051】
プロセスカートリッジPを装置本体の奥側へと押し込むにしたがい、図5の(b)、図5の(c)の状態へと移行する。なお、プロセスカートリッジPを装置本体から抜くと、ガイドユニット300に設けられた板バネによりコロ303(とガイド軸)は案内位置へと移動するようになっている。
【0052】
■(プロセスカートリッジ装着途中の状態について)
図5の(b)はプロセスカートリッジがカップリングと係合する途中のガイドユニット300の状態を説明するための図である。プロセスカートリッジが軸201に装着途中、言い換えるとプロセスカートリッジPのカップリングとドラム駆動ユニット200のカップリング部が係合する途中の状態では、コロ303は中間位置に位置する。
【0053】
プロセスカートリッジを図5の(a)の位置から奥側へと挿入すると、プロセスカートリッジのスロープGとガイド軸302が当接し、ガイド軸が重力方向下方(中間位置)へと移動する。スロープGによりガイド軸302が重力方向下方へと移動することにより、コロ303と軸201は離間する。プロセスカートリッジPの装着に伴い、ガイド軸302がL字状の枠301の下方まで移動すると、ガイド軸302は後側板BP側へと移動可能になる。
【0054】
■(プロセスカートリッジ装着完了の状態について)
図5の(c)はプロセスカートリッジが装着完了したときのガイドユニット300の状態を説明するための図である。プロセスカートリッジが軸201に装着完了後、言い換えるとプロセスカートリッジPのカップリングとドラム駆動ユニット200のカップリング部が完全に係合して良好に駆動伝達可能な状態では、コロ303は退避位置に位置する。
【0055】
図5の(b)に示す状態よりもプロセスカートリッジPを後側板BP側へ挿入すると、スロープGの傾斜面に沿ってガイド軸302はL字の上部を中心に回動して後側板BP側の退避位置へと移動する。以上がコロ303の退避動作に関する説明である。なお、プロセスカートリッジPが装置本体から抜かれる場合、退避位置にあるコロ303は付勢力によって案内位置へ移動するとともに、軸201を案内できるように固定される。
【0056】
以上のように構成することにより、装置の大型化を招くことなくドラム駆動ユニットを着脱する際に軸の先端で中間転写体のトナー担持体面に傷がつくことによって生じる画像不良の発生を抑制することができる。
【実施例2】
【0057】
以下に本実施例について説明する。なお、実施例1と同一の構成については同一符号を付すことにより重複する説明は適宜省略する。本実施例は実施例1に比べて案内機構の構成をより簡素にした。
【0058】
図6の(a)は本実施例の案内機構300について説明するための図である。実施例1と同様に、本実施例もドラム駆動ユニットの挿抜に際して軸201を案内するコロ303を備える。コロ303は軸201より中間転写ベルト側の回転軸を中心に回動可能なアーム306により支持される。アーム306は不図示のバネにより軸201を中間転写ベルトへと接触させないように装置内部へと案内する案内位置へ向けて付勢されている。
【0059】
また、バネにより付勢されたアーム306はアームの回動を規制する規制部材としての規制ブロック305により回動角度を制限される。上述のアーム306はプリンタ100本体に挿入されるカートリッジにより、回転軸を中心に後側板BP側にむかって回動する。図6の(b)はプロセスカートリッジPを挿入した際の案内機構300の姿勢を説明するための図である。
【0060】
図6の(b)に示すように、アーム306はプロセスカートリッジPと当接し、後側板BP側に倒れる。プロセスカートリッジPがプリンタ100本体に装着された状態ではアーム306が回転軸を中心に回動することで、コロ303は退避位置へと移動する。コロ303が退避位置にあるとき、コロ303と軸201は接触しない状態を保つことができる。
【符号の説明】
【0061】
100 プリンタ(画像形成装置)
P プロセスカートリッジ(プロセスユニット)
G ガイド突起(当接部)
D 感光ドラム(像担持体)
ITB 中間転写ベルト(中間転写体)
BP 後側板(筺体)
H 穴
200 ドラム駆動ユニット(支持ユニット)
201 支持軸(軸)
202 カップリング部(駆動伝達部)
300 ガイドユニット(案内機構)
303 コロ(案内部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な感光体と、
前記感光体上にトナー像を形成する画像形成部と、
前記感光体上のトナー像を記録材へと転写する中間転写体と、
前記感光体を支持する軸を備え、装置本体に着脱可能なユニットと、
前記軸を通す穴があり、前記ユニットが固定される筺体と、
前記感光体が装着されていないときに前記軸と接触して前記軸が前記中間転写体に接触しないように案内する案内位置に位置し、前記感光体が装着されたときに前記軸と接触しない退避位置へ移動する案内部材を備える機構と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記ユニットは、前記感光体を回転駆動するためのモータと、前記軸を中心に前記モータからの駆動力を前記感光体へと伝達するカップリングを備え、前記カップリングの外径は前記軸の外径よりも大きく、前記カップリングの外径は前記穴の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
中間転写体は中間転写ベルトであって、前記中間転写ベルトは装置本体に装着されたユニットの重力方向下方に配置されるとともに、ガイドユニットは前記軸と前記中間転写ベルトの間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体と前記画像形成部はユニットとして一体化されており、前記筺体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記案内部材は前記プロセスカートリッジと当接することにより前記案内位置から前記退避位置へと移動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−88770(P2013−88770A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232039(P2011−232039)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】