画像形成装置
【課題】複雑な制御を行うことなく、現像位置に配置された現像器に対する給電を行う。
【解決手段】画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体ドラム11と、複数の現像器を搭載し、回転に伴って感光体ドラム11と対向する現像位置にいずれかの現像器を対向させることで、感光体ドラム11上の静電潜像を現像する回転式現像装置14とを備えている。各現像器には、本体側から現像バイアスを受電するための現像バイアス受電部が設けられており、本体側において現像位置および現像位置の前後には、現像位置に配置された現像器に現像バイアスを供給するための給電体が設けられる。そして、給電体に設けられた板状電極と回転式現像装置14における各現像器に設けられた現像バイアス受電部との接触を検出した結果に基づき、現像のための直流現像電圧および交流現像電圧の供給を開始させる。
【解決手段】画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体ドラム11と、複数の現像器を搭載し、回転に伴って感光体ドラム11と対向する現像位置にいずれかの現像器を対向させることで、感光体ドラム11上の静電潜像を現像する回転式現像装置14とを備えている。各現像器には、本体側から現像バイアスを受電するための現像バイアス受電部が設けられており、本体側において現像位置および現像位置の前後には、現像位置に配置された現像器に現像バイアスを供給するための給電体が設けられる。そして、給電体に設けられた板状電極と回転式現像装置14における各現像器に設けられた現像バイアス受電部との接触を検出した結果に基づき、現像のための直流現像電圧および交流現像電圧の供給を開始させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、複数の現像器を搭載する回転式現像装置を感光体ドラムに隣接して設け、回転式現像装置を回転させることで感光体ドラムと対向する現像位置に各現像器を順次配置するとともに、現像位置に配置された現像器に現像バイアスを供給することで、感光体ドラム上に各色のトナー像を現像するものが知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
ここで、特許文献1では、回転式現像装置を構成する各現像器に設けられた現像ロールにピン状の電極を設ける一方、本体側の現像位置周辺に円弧状の電極を設け、本体側に設けられた円弧状の電極に対し、回転式現像装置の回転に伴い現像位置に向かって移動してくる現像器に設けられたピン状の電極が接触した後、この現像器に、円弧状の電極およびピン状の電極を介して現像バイアスを供給している。
【0004】
また、特許文献2では、ステッピングモータを用いて回転式現像装置を回転させるとともに、ステッピングモータに入力されるパルスをパルスカウンタで計数し、パルスカウンタによる計数値に基づいて、現像バイアス電源から各現像器に現像バイアス電圧を印加するタイミングを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−55750号公報
【特許文献2】特開平8−62954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複雑な制御を行うことなく、現像位置に配置された現像器に対する給電を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、回転可能に設けられるとともに静電潜像を保持する潜像保持体と、それぞれが現像剤を収容し且つ外部から給電を受けるための受電電極を有する現像器を複数備え、前記潜像保持体と対向する現像位置に、回転に伴って複数の当該現像器を順次配置するとともに、当該現像位置に配置された現像器にて当該潜像保持体上の静電潜像を現像する現像部と、前記現像部の回転に伴い前記現像位置に向かって移動してくる現像器の受電電極と接触するように設けられ、接触した当該受電電極を介して当該現像器に現像バイアスを給電するための給電電極と、前記給電電極と前記受電電極との接触を検出する検出部と、前記検出部によって前記給電電極と前記受電電極との接触が検知されることに伴い、当該給電電極に前記現像バイアスを供給する供給部とを含む画像形成装置である。
請求項2記載の発明は、前記供給部は、前記給電電極と前記受電電極とが接触していないときに、当該給電電極に前記現像バイアスよりも大きさが小さい検出バイアスを供給し、前記検出部は、前記給電電極を介して電流が流れることに伴い、当該給電電極と前記受電電極との接触を検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記供給部は、前記検出バイアスとして直流電圧を供給するとともに、前記現像バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を供給することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記検出バイアスにおける直流電圧の大きさが、前記現像バイアスにおける直流電圧の大きさよりも小さいことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、前記給電電極は、前記受電電極との接触に伴って変位するように構成されており、前記検出部は、前記給電電極が変位することに伴い、当該給電電極と前記受電電極との接触を検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項6記載の発明は、回転可能に設けられるとともに静電潜像を保持する潜像保持体と、それぞれが現像剤を収容し且つ外部から給電を受けるための受電電極を有する現像器を複数備え、前記潜像保持体と対向する現像位置に、回転に伴って複数の当該現像器を順次配置するとともに、当該現像位置に配置された現像器にて当該潜像保持体上の静電潜像を現像する現像部と、導電性を有するとともに前記現像部の回転方向に沿い且つ前記現像位置を跨ぐように配置され、前記現像部の回転に伴い前記現像位置に向かって移動してくる現像器の受電電極と接触する給電電極と、前記給電電極に電圧を供給する電源と、前記給電電極を介した通電を検出する通電検出部と、前記通電検出部により通電が検出されない場合に前記電源から前記電圧として第1の電圧を供給させ、当該通電検出部により通電が検出された場合に当該電圧を当該第1の電圧から当該第1の電圧よりも大きい第2の電圧に変更する変更部とを含む画像形成装置である。
請求項7記載の発明は、前記変更部は、前記第1の電圧および前記第2の電圧として直流電圧を供給させ、さらに前記通電検出部により通電が検出された場合に、当該第2の電圧に加えて交流電圧である第3の電圧を供給させることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置である。
請求項8記載の発明は、前記潜像保持体を帯電電位に帯電する帯電部と、前記帯電電位に帯電された前記潜像保持体を露光することで露光電位を形成し、当該帯電電位および当該露光電位によって前記静電潜像を形成する露光部とをさらに含み、前記第1の電圧は前記帯電電位および前記露光電位の両者よりも小さく、前記第2の電圧は当該帯電電位よりも小さく且つ当該露光電位よりも大きいことを特徴とする請求項6または7記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、複雑な制御を行うことなく、現像位置に配置された現像器に対する給電を行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、既にある要素を用いて、給電電極と受電電極との接触を検出することが可能になる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、給電電極と受電電極との接触を検出する際に、無駄な電力の消費を抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、画像形成装置の安全性を高めることができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、給電電極と受電電極との接触を容易に検出することが可能になる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、複雑な制御を行うことなく、現像位置に配置された現像器に対する給電を行うことができる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、給電電極と受電電極との接触を検出する際に、無駄な電力の消費を抑制することができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、静電潜像の現像をより確実に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用された画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図2】イエロー現像器の構成の一例を示す断面図である。
【図3】回転式現像装置の回転と、回転に伴う停止位置とを説明するための図である。
【図4】現像位置の前後における、現像器とこの現像器に対する給電との関係を説明するための図である。
【図5】回転式現像装置と現像バイアス給電部との関係を説明するための図である。
【図6】現像バイアス給電部の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図7】現像バイアス給電部における給電体の構成を説明するための分解斜視図である。
【図8】給電体の挙動を説明するための図である。
【図9】実施の形態1における画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
【図10】実施の形態1でのフルカラー画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示す図である。
【図11】帯電電位および露光電位と、通電検出電圧値および直流現像電圧値との関係を説明するための図である。
【図12】実施の形態2における給電体の構成を説明するための断面図である。
【図13】実施の形態2における画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
【図14】実施の形態2でのフルカラー画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態が適用された画像形成装置の概略構成を示している。この画像形成装置は、A方向に回転可能に配設される感光体ドラム11、B方向に回転可能に配設され、感光体ドラム11上に形成された各色トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト20、中間転写ベルト20上に転写された重ねトナー像をシートSに一括転写(二次転写)させる二次転写部30、二次転写された画像をシートS上に定着させる定着装置50、画像形成装置の各機構部を制御する制御部60を備えている。なお、感光体ドラム11の回転方向であるA方向および中間転写ベルト20の回転方向であるB方向は、両者が対向する領域において同じ側を向くようになっている。
【0012】
潜像保持体の一例としての感光体ドラム11の周囲には、A方向に沿って、感光体ドラム11を帯電する帯電ロール12、帯電された感光体ドラム11を露光する露光部の一例としての露光装置13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14Y、14M、14C、14Kを回転可能に取り付けた回転式現像装置14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写ロール15、感光体ドラム11上の残留トナーを清掃するドラム清掃装置16が、順次配設されている。
【0013】
ここで、帯電部の一例としての帯電ロール12は、感光体ドラム11に接触して配置されるとともに感光体ドラム11の回転に伴って回転するように構成されている。また、一次転写ロール15は、中間転写ベルト20を挟んで感光体ドラム11と対向する位置において、中間転写ベルト20に接触して配置されており、中間転写ベルト20の回転に伴って回転するように構成されている。さらに、ドラム清掃装置16は、例えば感光体ドラム11に接触するブレード部材を有している。
【0014】
そして、感光体ドラム11は、金属製の薄肉の円筒形ドラムの表面に有機感光層を形成したもので構成されており、この例では有機感光層が負極性に帯電する材料で構成されている。なお、感光体ドラム11は接地されている。
【0015】
また、現像部の一例としての回転式現像装置14はC方向に回転するようになっており、合計で6個の現像器を搭載できるように構成されている。ただし、この例では、回転式現像装置14に対し、周方向に連続して4個の現像器14Y、14M、14C、14Kを搭載するようにし、残りの2箇所については空き場所としている。そして、現像器14Y、14M、14C、14Kによる現像は反転現像方式にて行われる。従って、現像器14Y、14M、14C、14Kで使用されるトナーは負の帯電極性を有している。なお、以下の説明においては、回転式現像装置14を構成する各現像器を、それぞれ、イエロー現像器14Y、マゼンタ現像器14M、シアン現像器14C、および黒現像器14Kと称する。また、以下の説明では、黒現像器14Kに隣接する空き場所を第1の空き場所14S1と称し、第1の空き場所14S1に隣接する空き場所を第2の空き場所14S2と称する。
【0016】
次に、中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では6つ)のロール21〜26に掛け渡されるようになっている。これらのうち、ロール21、25は従動ロール、ロール22は中間転写ベルト20の位置決めや平坦な一次転写面の形成に用いられる金属製のアイドルロール、ロール23は中間転写ベルト20の張力を一定とするために用いられるテンションロール、ロール24は中間転写ベルト20の駆動ロール、ロール26は後述する二次転写用のバックアップロールである。
【0017】
二次転写部30は、中間転写ベルト20のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール31と、バックアップロール26等とによって構成される。また、二次転写部30の上流側には、搬送されてくるシートSを二次転写部30に案内する用紙搬送ガイド32が取り付けられている。
【0018】
一方、二次転写部30からみて中間転写ベルト20の回転方向下流側には、二次転写後の中間転写ベルト20上に付着する残留トナーを清掃するベルト清掃装置27が設けられており、中間転写ベルト20を挟んでベルト清掃装置27に対向する位置には、中間転写ベルト20の内面に沿って板金部材28が配置されている。このベルト清掃装置27は、ステンレスプレート等で構成され中間転写ベルト20の像形成面側に配設されるスクレーパ41と、このスクレーパ41が収容されるクリーナハウジング42とを有している。また、スクレーパ41の一端側はブロック43に挟み込まれることで固定されており、このブロック43は軸44aを中心に回転するホルダ44に取り付けられている。さらに、ホルダ44の下端側に設けられた凹部44bとクリーナハウジング42下部に設けられた膨出部との間には、スクレーパ41を中間転写ベルト20に向けて付勢するバネ45が取り付けられ、スクレーパ41からみて中間転写ベルト20の移動方向上流側には、除去した異物の外部への飛び散りを抑制するためのフィルムシール46が取り付けられている。
【0019】
そして、本実施の形態では、シートSに複数色のトナー像を含むカラー画像を形成する場合には、最終色前のトナー像が二次転写ロール31およびベルト清掃装置27を通過するまで、これら二次転写ロール31およびベルト清掃装置27が中間転写ベルト20から離れるようになっている。なお、二次転写ロール31は、中間転写ベルト20に接触した際に、中間転写ベルト20の回転に伴って回転するように構成されている。
【0020】
さらに、定着装置50は、ハロゲンランプ等の加熱源を内蔵する加熱ロール51と、この加熱ロール51に圧接配置される加圧ロール52とを備えており、これら加熱ロール51と加圧ロール52との間に形成される定着ニップ域にトナー像が転写されたシートSを通過させることで、定着を行うようになっている。
【0021】
次に、回転式現像装置14に搭載される現像器の構成を、イエロー現像器14Yを例として説明する。なお、マゼンタ現像器14M、シアン現像器14Cおよび黒現像器14Kは、内部に収容されるトナーの色を除いて、イエロー現像器14Yと同じ構成を有している。
【0022】
図2は、イエロー現像器14Yの構成の一例を示す断面図である。なお、図2は、イエロー現像器14Yが感光体ドラム11と対向する現像位置に配置されている場合を例示している。
イエロー現像器14Yは、感光体ドラム11の外周面に対向する開口が形成され且つ内部にはキャリアおよびトナーを含む現像剤(図示せず)が収容される現像ハウジング141と、この現像ハウジング141の開口に面した箇所に回転可能に配置される現像ロール142とを備えている。ここで、現像ロール142は、感光体ドラム11とは非接触に配置されており、現像ロール142の軸方向両端部には、感光体ドラム11の外周面に突き当たることにより、感光体ドラム11の外周面に対する現像ロール142の外周面の位置(距離)を決める位置決めロール(図示せず)が取り付けられている。
【0023】
また、現像ハウジング141内であって、感光体ドラム11からみて現像ロール142の背面下側には、感光体ドラム11の軸方向に沿って配置される第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144が設けられている。そして、第1攪拌搬送部材143と第2攪拌搬送部材144との間には、これら第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144を仕切る仕切り壁が設けられている。この仕切り壁は、現像ハウジング141と一体的に形成されている。なお、第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144の軸方向両端側には仕切り壁を設けておらず、第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144によって、現像ハウジング141内を現像剤が循環搬送されるようになっている。また、現像ロール142の図中上方には、現像ハウジング141に取り付けられ、現像ロール142に付着する現像剤の層厚さを規制する層厚規制部材145が設けられている。
【0024】
そして、イエロー現像器14Yでは、現像剤として、イエローに着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む、所謂2成分現像剤を用いている。また、この現像剤において、キャリアは正の帯電極性を有しており、トナーは上述したように負の帯電極性を有している。なお、マゼンタ現像器14Mでは、マゼンタに着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む現像剤を、シアン現像器14Cでは、シアンに着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む現像剤を、黒現像器14Kでは黒に着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む現像剤を、それぞれ用いている。
【0025】
また、現像ロール142は、回転可能に配設される中空状の現像スリーブ142aと、現像スリーブ142aの内側に配置されるとともに現像ハウジング141に固定して取り付けられ、内部には複数の磁極(図示せず)が配列される磁石ロール142bとを有している。現像スリーブ142aは、シートSに画像を形成する画像形成動作において、D方向に回転するようになっている。したがって、画像形成動作において、A方向に回転する感光体ドラム11およびD方向に回転する現像スリーブ142aは、両者が対向する領域(後述する現像領域Ad:図4参照)において同方向に移動する。そして、現像ロール142の軸方向一端側(図2に示す例では図中手前側)には、軸方向に突出するとともに現像スリーブ142aと電気的に接続され、画像形成装置の本体側に設けられた現像バイアス給電部100(後述する図5参照)から受電を行う現像バイアス受電部142cが設けられている。なお、この例において、受電電極の一例としての現像バイアス受電部142cは、現像スリーブ142aの回転軸と同軸に設けられる。
【0026】
図3は、図1に示す画像形成装置における回転式現像装置14の回転と、回転に伴う停止位置とを説明するための図である。
本実施の形態の回転式現像装置14は、回転軸14aを中心とし、30°を単位としてC方向への回転および停止が行えるように構成されている。そして、この回転式現像装置14は、感光体ドラム11に対向する現像位置Pdに現像器が位置した状態(図3(b)、(d)、(f)、(h)参照)で停止し、また、感光体ドラム11との対向部に現像器が位置しない状態(図3(a)、(c)、(e)、(g)参照)で停止するようになっている。
【0027】
図3(a)は、画像形成動作が開始される前の初期状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、現像位置PdからみてC方向上流側となる待機位置Pwにイエロー現像器14Yが配置され、現像位置PdからみてC方向下流側となる退避位置Peに第2の空き場所14S2が配置される。
【0028】
図3(b)は、図3(a)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdにはイエロー現像器14Yが配置され、待機位置PwからみてC方向上流側となる現像前位置Pbにマゼンタ現像器14Mが配置され、退避位置PeからみてC方向下流側となる現像後位置Paに第2の空き場所14S2が配置される。
【0029】
図3(c)は、図3(b)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、待機位置Pwにマゼンタ現像器14Mが配置され、退避位置Peにイエロー現像器14Yが配置される。
【0030】
図3(d)は、図3(c)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdにはマゼンタ現像器14Mが配置され、現像前位置Pbにシアン現像器14Cが配置され、現像後位置Paにイエロー現像器14Yが配置される。
【0031】
図3(e)は、図3(d)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、待機位置Pwにシアン現像器14Cが配置され、退避位置Peにマゼンタ現像器14Mが配置される。
【0032】
図3(f)は、図3(e)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdにはシアン現像器14Cが配置され、現像前位置Pbに黒現像器14Kが配置され、現像後位置Paにマゼンタ現像器14Mが配置される。
【0033】
図3(g)は、図3(f)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、待機位置Pwに黒現像器14Kが配置され、退避位置Peにシアン現像器14Cが配置される。
【0034】
図3(h)は、図3(g)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには黒現像器14Kが配置され、現像前位置Pbに第1の空き場所14S1が配置され、現像後位置Paにシアン現像器14Cが配置される。
なお、図3(h)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に120°回転させると、図3(a)に示す初期状態に移行することになる。
【0035】
次に、回転式現像装置14に搭載された各現像器14Y、14M、14C、14Kに対する給電手法について説明を行う。本実施の形態では、現像位置Pdに配置される現像器に対し、現像バイアス受電部142cを介して現像スリーブ142aに現像バイアスを印加するための給電が行われるようになっており、他の位置、例えば上述した現像前位置Pb、待機位置Pw、退避位置Pe、そして現像後位置Pa等に位置する現像器には、給電が行われないようになっている。ただし、本実施の形態では、現像器が待機位置Pwから現像位置Pdに移動する間に、この現像器に対する給電を開始し、この現像器が現像位置Pdから退避位置Peに移動する間に、この現像器に対する給電を終了するようになっている。
また、本実施の形態では、現像位置Pdに配置される現像器に対し、現像スリーブ142aを回転させるための駆動力が伝達されるようになっており、他の位置、例えば上述した現像前位置Pb、待機位置Pw、退避位置Pe、そして現像後位置Pa等に位置する現像器には、このような駆動力の伝達が行われないようになっている。
【0036】
図4は、現像位置Pdの前後における、現像器(14Y、14M、14C、14Kのいずれか:以下同じ)とこの現像器に対する給電との関係を説明するための図である。ここで、図4は、各現像器14Y、14M、14C、14Kのうちのいずれかに設けられた現像ロール142が、C方向に沿って移動していく状態を示している。また、図4において、現像位置Pdに配置された現像ロール142と感光体ドラム11との対向部において、現像ロール142と感光体ドラム11との間でトナーの転移が生じ得る範囲を、現像領域Adと呼ぶ。
【0037】
本実施の形態では、回転式現像装置14のC方向への回転に伴い、現像器に設けられた現像ロール142が、現像前位置Pb、待機位置Pw、現像位置Pd、退避位置Pe、現像後位置Paの順に移動していく。そして、待機位置Pwで停止していた現像器が現像位置Pdに移動する途中で、この現像器に設けられた現像ロール142が接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、画像形成装置の本体に設けられた電極(後述する板状電極112:図7参照)とこの現像器に設けられた現像バイアス受電部142c(図2参照)とが接触し、接触した状態を維持しながら現像位置Pdに到達する。また、現像位置Pdで停止していた現像器が退避位置Peに移動する途中で、この現像器に設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過するのに伴い、画像形成装置の本体に設けられた板状電極112とこの現像器に設けられた現像バイアス受電部142cとが接触しなくなり、接触しない状態を維持しながら退避位置Peに到達する。
【0038】
ここで、接触開始位置Pc1は、現像領域AdよりもC方向上流側(A方向下流側)となるように設定され、接触終了位置Pc2は、現像領域AdよりもC方向下流側(A方向上流側)となるように設定される。したがって、接触開始位置Pc1から現像位置Pdを介して接触終了位置Pc2に至る接触領域Acは、現像領域Adを含むとともに現像領域Adよりも広い範囲に設定されている。
【0039】
図5は、回転式現像装置14と、現像位置Pdに配置された現像器に現像バイアスを供給する現像バイアス給電部100との関係を説明するための図である。ここで、図5(a)は、回転式現像装置14が図3(a)に示す初期状態におかれた場合を例示しており、図5(b)は、回転式現像装置14が図3(b)に示す状態(イエロー現像器14Yが現像位置Pdに配置された状態)を例示している。
【0040】
本実施の形態の現像バイアス給電部100は、図5(a)、(b)に示したように、現像位置Pdを跨ぐように配置されている。そして、待機位置Pwから現像位置Pdに向かって移動してくる現像器に対して給電を開始し、現像位置Pdから退避位置Peに向かって移動していく現像器に対して給電を終了するように構成されている。
【0041】
図6は、上述した現像バイアス給電部100の全体構成の一例を示す斜視図である。
本実施の形態の現像バイアス給電部100は、接触開始位置Pc1から現像位置Pdを介して接触終了位置Pc2に至る間(図4参照)において、現像器の現像ロール142に設けられた現像バイアス受電部142cに接触することで、現像スリーブ142aに給電を行う給電体110と、画像形成装置の本体に設けられた電源(直流現像電源86および交流現像電源87:後述する図9参照)と給電体110とを接続する組電線120とを備えている。また、組電線120は、金属導体を絶縁体で被覆した絶縁電線121と、絶縁電線121の一端側に設けられ、絶縁電線121と給電体110に設けられた板状電極112(後述する図7参照)とを圧着によって接続する圧着端子122と、絶縁電線121の他端側に設けられ、絶縁電線121と図示しない電源とを接続するコネクタ123とを有している。
【0042】
図7は、現像バイアス給電部100における給電体110の構成を説明するための分解斜視図である。
本実施の形態の給電体110は、絶縁体で構成され、画像形成装置の本体に固定して取り付けられる筐体111と、導電性を有する金属板で構成され、筐体111に収容されるとともに現像バイアス受電部142c(図6参照)と接触して給電を行う板状電極112と、筐体111に収容された板状電極112を筐体111から遠ざかる側にばね付勢する3つのコイルばね113とを有している。
【0043】
これらのうち、筐体111は、円弧状に湾曲した形状を有し、湾曲し且つ図中において上方を向く上面には板状電極112が配置される基台111aと、基台111aにおいて円弧の内側となる端縁および円弧の外側となる端縁からそれぞれ基台111aの上面と同じ側に向かって突出する2つの壁部111bとを有している。なお、これらのうち、円弧の外側に設けられた壁部111bは、回転式現像装置14の回転方向であるC方向の上流側まで延びるとともに、円弧の内側に向かって直角に屈曲している。また、基台111aの上面には、円弧の周方向に沿って3つの開口部111cが等間隔に形成されている。ここで、基台111aの上面は、平坦な面形状を有し且つ3つの開口部111cが形成される中央側平坦面1111と、中央側平坦面1111からみてC方向の上流側で壁部111bの突出方向とは逆側に傾斜する上流側傾斜面1112と、中央側平坦面1111からみてC方向(図1参照)の下流側で壁部111bの突出方向とは逆側に傾斜する下流側傾斜面1113とを有している。
【0044】
また、給電電極の一例としての板状電極112は、筐体111における上面に倣う形状を有している。より具体的に説明すると、板状電極112は、中央側平坦面1111に対向する中央側平坦部1121と、上流側傾斜面1112に対向する入口側傾斜部1122と、下流側傾斜面1113に対向する出口側傾斜部1123とを有している。さらに、板状電極112は、上流側傾斜部1122のC方向の上流側端部から上流側傾斜面1112と同じ側に向かって折れ曲がった後、こんどは反対側に折れ曲がるように構成され、組電線120に設けられた圧着端子122(図6参照)が取り付けられる受電部1124を備えている。なお、この例では、筐体111を構成する上流側傾斜面1112、中央側平坦面1111および下流側傾斜面1113に対し、板状電極112を構成する入口側傾斜部1122、中央側平坦部1121および出口側傾斜部1123が、それぞれに倣う形状となっている。
【0045】
ここで、本実施の形態では、基台111aに設けられた2つの壁部111bのそれぞれに、互いに対向する側に向かって突出する凸部が3つずつ設けられている。そして、一方の壁部111bに設けられる3つの凸部に対し、他方の壁部111bに設けられる3つの凸部が、それぞれ向かい合うように配置されている。
また、本実施の形態では、板状電極112に設けられた中央側平坦部1121の両側部のそれぞれに、板状電極112を切り欠くことによって形成された凹部が3つずつ設けられている。そして、板状電極112の一方の側部に設けられる3つの凹部に対し、板状電極112の他方の側部に設けられる3つの凹部が、それぞれ向かい合うように配置されている。
【0046】
さらに、筐体111における2つの壁部111bにそれぞれ3つずつ設けられる凸部と、板状電極112における2つの側部にそれぞれ3つずつ設けられる凹部とは、対応関係を有しており、これらの6つの凸部と6つの凹部とを、重なり合わせることが可能となっている。ただし、筐体111における上流側傾斜面1112と板状電極112における入口側傾斜部1122とを対向させ、且つ、筐体111における下流側傾斜面1113と板状電極112における出口側傾斜部1123とを対向させた状態では、筐体111における2つの壁部111bにそれぞれ3つずつ設けられる凸部と、板状電極112における2つの側部にそれぞれ3つずつ設けられる凹部とが、円弧の周方向においてずれた状態に位置するようにもなっている。
【0047】
さらに、3つのコイルばね113は、それぞれの一端側が基台111aに設けられた開口部111cにはめ込まれるとともに、それぞれの他端側が板状電極112における中央側平坦部1121の裏面側に接触するようになっている。
【0048】
そして、この例では、筐体111に設けられた3つの開口部111cにそれぞれコイルばね113を装着した状態で、板状電極112に設けられた各凹部および筐体111に設けられた各凸部の位置を重ね合わせた状態とし、続いて、各コイルばね113の付勢力に抗して板状電極112を筐体111側に押し込むことにより、板状電極112の主要部分(中央側平坦部1121、入口側傾斜部1122、出口側傾斜部1123)を、筐体111において2つの壁部111bの間に形成される凹状の空間に挿入することができる。なお、このとき、板状電極112に設けられた受電部1124は、筐体111の本体部分と一方の壁部111bの屈曲部とによって形成された空間を貫通し、筐体111の下面側に突出する。
【0049】
続いて、上述した状態にて、板状電極112を円弧の周方向に沿ってスライドさせることで、筐体111の上流側傾斜面1112に板状電極112の入口側傾斜部1122を対向させるとともに筐体111の下流側傾斜面1113に板状電極112の出口側傾斜部1123を対向させた状態とした後、各コイルばね113の付勢力に抗して板状電極112を筐体111側に押し込むのをやめる。すると、板状電極112は、筐体111に取り付けられた3つのコイルばね113によって付勢される一方、板状電極112の2つの側部における凹部とは異なる部位が、筐体111の2つの壁部111bに設けられた凸部に突き当たることによってその移動が規制されることになる。これにより、板状電極112は、筐体111に対し、図7において上下方向への移動を許容された状態で保持されることになる。
【0050】
図8は、現像バイアス給電部100を構成する給電体110の挙動を説明するための図である。ここで、図8(a)は給電体110の周辺に現像バイアス受電部142cが存在しない場合(現像器が存在しない場合)を例示しており、図8(b)は給電体110の周辺に現像バイアス受電部142cが存在する場合(ここでは現像器が現像位置Pdに存在する場合)を例示している。なお、図8は、給電体110における周方向断面図を示しており、基台111aに設けられる壁部111bの記載を省略している。
【0051】
例えば図8(a)に示したように、接触開始位置Pc1から接触終了位置Pc2までの間に現像バイアス受電部142cが存在しない場合、板状電極112は、3つのコイルばね113によって図中上方に押され、且つ、図示しない壁部111bに設けられた凸部に突き当たった状態で静止する。
これに対し、例えば図8(b)に示したように、接触開始位置Pc1から接触終了位置Pc2までの間に現像バイアス受電部142cが存在する場合、板状電極112は、3つのコイルばね113によって図中上方に押される一方、現像バイアス受電部142cによって図中下方に押された状態で静止する。このとき、各コイルばね113は、図8(a)に示す状態よりも圧縮された状態となる。
そして、現像バイアス受電部142cが接触終了位置Pc2を通過すると、板状電極112および3つのコイルばね113は、図8(a)に示す状態へと戻る。
【0052】
図9は、本実施の形態の画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
制御部60には、UI(ユーザ・インタフェース)71やPC(パーソナル・コンピュータ)72にて、ユーザから受け付けた指示が入力される。
制御部60は、感光体ドラム11を回転させるための駆動を行う感光体ドラム駆動モータ81、帯電ロール12に帯電バイアスを供給する帯電電源82、露光装置13に設けられた光源(図示せず)を駆動する光源駆動部83に、それぞれ制御信号を出力する。また、制御部60は、回転軸14aを中心として回転式現像装置14を回転させるための駆動を行う現像装置駆動モータ84、接触領域Ac内に存在する現像器に設けられた現像スリーブ142aを回転させるための駆動を行う現像スリーブ駆動モータ85に、それぞれ制御信号を出力する。さらに、制御部60は、現像バイアス給電部100(より具体的には、給電体110に設けられた板状電極112)に対し、直流の現像バイアス(以下では直流現像バイアスVB(DC)という)を供給する直流現像電源86および交流の現像バイアス(以下では交流現像バイアスVB(AC)という)を供給する交流現像電源87に、それぞれ制御信号を供給する。さらにまた、制御部60は、駆動ロール24を介して中間転写ベルト20を回転させるための駆動を行う中間転写ベルト駆動モータ88、一次転写ロール15に一次転写バイアスを供給する一次転写電源89、ベルト清掃装置27を移動させて中間転写ベルト20に対しスクレーパ41を接触あるいは退避させるベルト清掃装置駆動モータ90に、それぞれ制御信号を出力する。そして、制御部60は、二次転写ロール31を移動させて中間転写ベルト20に対し二次転写ロール31を接触あるいは退避させる二次転写ロール駆動モータ91、二次転写ロール31とバックアップロール26との間に二次転写バイアスを供給する二次転写電源92に、それぞれ制御信号を出力する。また、ここでは図示はしていないが、制御部60は、定着装置50やシートSの供給系にも制御信号を出力している。さらにまた、制御部60には、現像バイアス給電部100の板状電極112を介した通電(電流が流れたこと)を検出する、検出部あるいは通電検出部の一例としての通電検出器93からの通電検出信号が入力される。なお、本実施の形態では、直流現像電源86および交流現像電源87が、供給部あるいは電源の一例として機能している。また、本実施の形態では、制御部60が、変更部の一例として機能している。
【0053】
では次に、本実施の形態における画像形成動作について説明を行う。なお、ここでは、1枚のシートSに対し、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒を含む4色のフルカラー画像を形成する場合を例とする。
【0054】
図10は、本実施の形態でのフルカラー画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示している。ここで、図10は、時間の経過と、感光体ドラム駆動モータ81による感光体ドラム11の回転駆動[(1)感光体ドラム駆動]と、帯電電源82による帯電ロール12への帯電バイアスの供給[(2)帯電バイアス]と、光源駆動部83による露光装置13への露光信号の供給[(3)露光信号]と、現像装置駆動モータ84による回転式現像装置14の回転駆動[(4)現像装置駆動]と、現像位置Pdに配置される現像器[(5)現像位置の現像器]と、現像スリーブ駆動モータ85による現像スリーブ142aの回転駆動[(6)現像スリーブ駆動]と、通電検出器93による通電の検出[(7)通電検出]と、直流現像電源86による現像スリーブ142aへの直流現像バイアスVB(DC)の供給[(8)直流現像バイアス]と、交流現像電源87による現像スリーブ142aへの交流現像バイアスVB(AC)の供給[(9)交流現像バイアス]と、中間転写ベルト駆動モータ88による中間転写ベルト20の回転駆動[(10)中間転写ベルト駆動]と、一次転写電源89による一次転写ロール15への一次転写バイアスの供給[(11)一次転写バイアス]と、感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが対向する一次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(12)一次転写通過画像]と、ベルト清掃装置駆動モータ90の駆動に伴うベルト清掃装置27の位置[(13)ベルト清掃装置位置]と、二次転写ロール駆動モータ91の駆動に伴う二次転写ロール31の位置[(14)二次転写ロール位置]と、二次転写電源92による二次転写部30への二次転写バイアスの供給[(15)二次転写バイアス]と、中間転写ベルト20と二次転写ロール31とが対向する二次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(16)二次転写通過画像]との関係を示している。
【0055】
また、図10において、「Y」、「M」、「C」、「K」は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒に対応している。そして、(12)に示す『一次転写通過画像』および(16)に示す『二次転写通過画像』において、「Y」はイエローに、「YM」はイエローおよびマゼンタを重ね合わせたものに、「YMC」はイエロー、マゼンタおよびシアンを重ね合わせたものに、「YMCK」はイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒を重ね合わせたものに、それぞれ対応している。なお、以下の説明においては、中間転写ベルト20が1周するのに要する期間を、ベルト回転周期Tbと呼ぶ。
【0056】
初期状態において、感光体ドラム駆動、帯電バイアス、露光信号、現像装置駆動、中間転写ベルト駆動、一次転写バイアス、二次転写バイアスは、それぞれOFF(停止)に設定されている。このとき、回転式現像装置14は図3(a)に示す状態に設定されており、現像位置Pdには現像器が配置されないようになっている。また、これに伴い、初期状態では、現像スリーブ駆動、直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)が、それぞれOFF(停止)となっている。さらに、初期状態において、ベルト清掃装置位置および二次転写ロール位置はそれぞれ退避に設定されており、二次転写ロール31およびベルト清掃装置27(スクレーパ41)は中間転写ベルト20から離れている。
【0057】
画像形成動作の開始に伴い、感光体ドラム11の駆動および中間転写ベルト20の駆動が開始(OFF→ON)され、感光体ドラム11はA方向に、中間転写ベルト20はB方向に、それぞれ回転する。また、画像形成動作の開始に伴い、直流現像バイアスVB(DC)の供給が開始され、通電検出電圧Vd1が印加される(OFF→Vd1)。このとき、交流現像バイアスVB(AC)は、OFFの状態を維持している。また、このとき、現像位置Pdの周辺には現像器が存在していないことから、通電検出器93による通電は検出されないまま(OFF)である。続いて、帯電バイアスの供給が開始(OFF→ON)され、感光体ドラム11の感光層は、帯電ロール12によって帯電電位VH(後述する図11参照)に帯電される。ここで、本実施の形態では、通電検出電圧Vd1が、検出バイアスあるいは第1の電圧に対応している。
【0058】
次に、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態へと移行する。このとき、イエロー現像器14Yは、待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、イエロー現像器14Yに設けられた現像ロール142(現像バイアス受電部142c)が、現像バイアス給電部100に設けられた給電体110の接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触し始める。これにより、通電検出電圧Vd1の印加に起因する電流が、現像バイアス給電部100の板状電極112から、現像バイアス受電部142c、現像スリーブ142aおよび現像スリーブ142a上の現像剤を介して、感光体ドラム11に流れる。その結果、通電検出器93による通電が検出されるようになる(OFF→ON)。これに伴い、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられ(Vd1→Vd2)、且つ、交流現像バイアスの供給が開始される(OFF→ON)。また、イエロー現像器14Yが待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止するまでの間に、イエロー現像器14Yに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が開始(OFF→ON)される。ここで、本実施の形態では、直流現像電圧Vd2が現像バイアスあるいは第2の電圧に、また、交流現像バイアスが第3の電圧に、それぞれ対応している。なお、通電検出電圧Vd1と直流現像電圧Vd2との関係については後述する。
【0059】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、イエロー現像器14Yが現像位置Pdで停止した後、イエローに対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、イエローのトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VL(後述する図11参照)になる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部(露光されなかった部位)とし、露光電位VLを画像部(露光された部位)とする、イエローに対応する静電潜像が形成される。
【0060】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的にイエローのトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、イエローの静電潜像に応じたイエローのトナー像が現像される。なお、現像動作の詳細については後述する。
【0061】
次に、感光体ドラム11に形成されたイエローのトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成されたイエローのトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。
【0062】
また、この例では、イエローのトナー像の一次転写が開始された後、イエローに対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、イエローの静電潜像の形成が終了する。なお、イエローに対応する露光信号の供給期間は、形成対象となる画像の大きさ(より具体的には画像の副走査方向長さ)に基づいて決まる(後述するマゼンタ、シアンおよび黒の露光信号の供給期間も同じ長さとなる)。そして、感光体ドラム11に形成されたイエローの静電潜像を現像して得られたイエローのトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、イエローのトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写される。なお、イエローの一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存するイエローのトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0063】
そして、感光体ドラム11に現像されたイエローのトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(b)に示す状態から図3(c)に示す状態へと移行する。このとき、イエロー現像器14Yは、現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止する。この間、イエロー現像器14Yに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過する前に、直流現像バイアスVB(DC)が直流現像電圧Vd2から通電検出電圧Vd1に切り替えられ(Vd2→Vd1)、且つ、交流現像バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。そして、イエロー現像器14Yに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過することに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触しなくなる。これにより、通電検出器93による通電が検出されなくなる(ON→OFF)。また、イエロー現像器14Yが現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止するまでの間に、イエロー現像器14Yに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が停止(ON→OFF)される。さらに、イエロー現像器14Yが退避位置Peで停止することに伴い、マゼンタ現像器14Mが待機位置Pwに到達して停止する。
【0064】
続いて、画像の形成対象となるシートSの搬送方向長さおよび中間転写ベルト20の周長(ベルト回転周期Tb)に基づいて予め決められたタイミングにて、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(c)に示す状態から図3(d)に示す状態へと移行する。このとき、マゼンタ現像器14Mは、待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像ロール142が接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触し始める。これにより、通電検出電圧Vd1の印加に起因する電流が、現像バイアス給電部100の板状電極112から、現像バイアス受電部142c、現像スリーブ142aおよび現像スリーブ142a上の現像剤を介して、感光体ドラム11に流れる。その結果、通電検出器93による通電が検出されるようになる(OFF→ON)。これに伴い、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられ(Vd1→Vd2)、且つ、交流現像バイアスの供給が開始される(OFF→ON)。また、マゼンタ現像器14Mが待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止するまでの間に、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が開始(OFF→ON)される。
【0065】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、マゼンタ現像器14Mが現像位置Pdで停止した後、マゼンタに対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、マゼンタのトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VLになる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部とし、露光電位VLを画像部とする、マゼンタに対応する静電潜像が形成される。
【0066】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置されたマゼンタ現像器14Mから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的にマゼンタのトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、マゼンタの静電潜像に応じたマゼンタのトナー像が現像される。
【0067】
次に、感光体ドラム11に形成されたマゼンタのトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成されたマゼンタのトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に既に転写されたイエローのトナー像の先端側が一次転写領域に到達するときに、感光体ドラム11上に形成されたマゼンタのトナー像の先端側が一次転写領域に到達するように、マゼンタに対応する露光信号の供給を制御している。このため、一次転写領域を通過した中間転写ベルト20には、イエローのトナー像の上にマゼンタのトナー像が重ね合わされる。
【0068】
また、この例では、マゼンタのトナー像の一次転写が開始された後、マゼンタに対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、マゼンタの静電潜像の形成が終了する。そして、感光体ドラム11に形成されたマゼンタの静電潜像を現像して得られたマゼンタのトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、マゼンタのトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され、イエローおよびマゼンタの重ねトナー像が形成される。なお、マゼンタの一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存するマゼンタのトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0069】
そして、感光体ドラム11に現像されたマゼンタのトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(d)に示す状態から図3(e)に示す状態へと移行する。このとき、マゼンタ現像器14Mは、現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止する。この間、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過する前に、直流現像バイアスVB(DC)が直流現像電圧Vd2から通電検出電圧Vd1に切り替えられ(Vd2→Vd1)、且つ、交流現像バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。そして、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過することに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触しなくなる。これにより、通電検出器93による通電が検出されなくなる(ON→OFF)。また、マゼンタ現像器14Mが現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止するまでの間に、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が停止(ON→OFF)される。さらに、マゼンタ現像器14Mが退避位置Peで停止することに伴い、シアン現像器14Cが待機位置Pwに到達して停止する。
【0070】
続いて、画像の形成対象となるシートSの搬送方向長さおよび中間転写ベルト20の周長(ベルト回転周期Tb)に基づいて予め決められたタイミングにて、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(e)に示す状態から図3(f)に示す状態へと移行する。このとき、シアン現像器14Cは、待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、シアン現像器14Cに設けられた現像ロール142が接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触し始める。これにより、通電検出電圧Vd1の印加に起因する電流が、現像バイアス給電部100の板状電極112から、現像バイアス受電部142c、現像スリーブ142aおよび現像スリーブ142a上の現像剤を介して、感光体ドラム11に流れる。その結果、通電検出器93による通電が検出されるようになる(OFF→ON)。これに伴い、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられ(Vd1→Vd2)、且つ、交流現像バイアスの供給が開始される(OFF→ON)。また、シアン現像器14Cが待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止するまでの間に、シアン現像器14Cに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が開始(OFF→ON)される。
【0071】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、シアン現像器14Cが現像位置Pdで停止した後、シアンに対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、シアンのトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VLになる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部とし、露光電位VLを画像部とする、シアンに対応する静電潜像が形成される。
【0072】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置されたシアン現像器14Cから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的にシアンのトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、シアンの静電潜像に応じたシアンのトナー像が現像される。
【0073】
次に、感光体ドラム11に形成されたシアンのトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成されたシアンのトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に既に転写されたイエローおよびマゼンタの重ねトナー像の先端側が一次転写領域に到達するときに、感光体ドラム11上に形成されたシアンのトナー像の先端側が一次転写領域に到達するように、シアンに対応する露光信号の供給を制御している。このため、一次転写領域を通過した中間転写ベルト20には、イエローおよびマゼンタの重ねトナー像の上にシアンのトナー像が重ね合わされる。
【0074】
また、この例では、シアンのトナー像の一次転写が開始された後、シアンに対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、シアンの静電潜像の形成が終了する。そして、感光体ドラム11に形成されたシアンの静電潜像を現像して得られたシアンのトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、シアンのトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され、イエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像が形成される。なお、シアンの一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存するシアンのトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0075】
そして、感光体ドラム11に現像されたシアンのトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(f)に示す状態から図3(g)に示す状態へと移行する。このとき、シアン現像器14Cは、現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止する。この間、シアン現像器14Cに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過する前に、直流現像バイアスVB(DC)が直流現像電圧Vd2から通電検出電圧Vd1に切り替えられ(Vd2→Vd1)、且つ、交流現像バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。そして、シアン現像器14Cに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過することに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触しなくなる。これにより、通電検出器93による通電が検出されなくなる(ON→OFF)。また、シアン現像器14Cが現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止するまでの間に、シアン現像器14Cに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が停止(ON→OFF)される。さらに、シアン現像器14Cが退避位置Peで停止することに伴い、黒現像器14Kが待機位置Pwに到達して停止する。
【0076】
続いて、画像の形成対象となるシートSの搬送方向長さおよび中間転写ベルト20の周長(ベルト回転周期Tb)に基づいて予め決められたタイミングにて、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(g)に示す状態から図3(h)に示す状態へと移行する。このとき、黒現像器14Kは、待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、黒現像器14Kに設けられた現像ロール142が接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触し始める。これにより、通電検出電圧Vd1の印加に起因する電流が、現像バイアス給電部100の板状電極112から、現像バイアス受電部142c、現像スリーブ142aおよび現像スリーブ142a上の現像剤を介して、感光体ドラム11に流れる。その結果、通電検出器93による通電が検出されるようになる(OFF→ON)。これに伴い、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられ(Vd1→Vd2)、且つ、交流現像バイアスの供給が開始される(OFF→ON)。また、黒現像器14Kが待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止するまでの間に、黒現像器14Kに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が開始(OFF→ON)される。
【0077】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、黒現像器14Kが現像位置Pdで停止した後、黒に対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、黒のトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VLになる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部とし、露光電位VLを画像部とする、黒に対応する静電潜像が形成される。
【0078】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置された黒現像器14Kから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的に黒のトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、黒の静電潜像に応じた黒のトナー像が現像される。
【0079】
次に、感光体ドラム11に形成された黒のトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成された黒のトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に既に転写されたイエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像の先端側が一次転写領域に到達するときに、感光体ドラム11上に形成された黒のトナー像の先端側が一次転写領域に到達するように、黒に対応する露光信号の供給を制御している。このため、一次転写領域を通過した中間転写ベルト20には、イエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像の上に黒のトナー像が重ね合わされる。
【0080】
また、この例では、黒のトナー像の一次転写が開始された後、黒に対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、黒の静電潜像の形成が終了する。そして、感光体ドラム11に形成された黒の静電潜像を現像して得られた黒のトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、黒のトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像が形成される。なお、黒の一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存する黒のトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0081】
そして、感光体ドラム11に現像された黒のトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に120°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(h)に示す状態から図3(a)に示す初期状態へと移行する。このとき、黒現像器14Kは、現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peの反対側に到達して停止する。この間、黒現像器14Kに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過する前に、直流現像バイアスVB(DC)が直流現像電圧Vd2から通電検出電圧Vd1に切り替えられ(Vd2→Vd1)、且つ、交流現像バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。そして、黒現像器14Kに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過することに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触しなくなる。これにより、通電検出器93による通電が検出されなくなる(ON→OFF)。また、黒現像器14Kが現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止するまでの間に、黒現像器14Kに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が停止(ON→OFF)される。さらに、第2の空き場所14S2が退避位置Peで停止することに伴い、イエロー現像器14Yが待機位置Pwに到達して停止する。
【0082】
なお、本実施の形態では、図3(h)に示す状態から図3(a)に示す状態への移行において、第1の空き場所14S1および第2の空き場所14S2を現像位置Pd等で停止させることなく飛び越すようにしている。そして、その際に、限られた時間内で回転式現像装置14の回転動作を完了させるために、他の回転動作時よりも回転式現像装置14の移動速度を速くしている。また、第1の空き場所14S1および第2の空き場所14S2には現像器が搭載されていないことから、この間に通電検出器93により通電が検出されることはなく、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられることもない。
【0083】
一方、B方向に回転する中間転写ベルト20に保持されたイエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像の後端がベルト清掃装置27との対向部位を通過した後であって、その後一次転写領域を通過することによってさらに黒のトナー像が重ねられたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像の先端が二次転写領域(中間転写ベルト20と二次転写ロール31との対向部)に到達する前に、二次転写ロール31およびベルト清掃装置27が、中間転写ベルト20と接する位置に移動(退避→進出)する。そして、中間転写ベルト20に保持されたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像の先端側が二次転写領域に到達するのに伴い、二次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に保持されたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像の先端側が二次転写領域に到達するときに、シートSの先端側が二次転写領域に到達するように、シートSの搬送制御を行っている。このため、二次転写領域において、中間転写ベルト20からシートSに対し、重ねトナー像の二次転写が行われる。
【0084】
そして、中間転写ベルト20に保持された重ねトナー像およびシートSが、二次転写領域を通過することに伴い、二次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)され、シートSに対する重ねトナー像の二次転写が完了する。なお、二次転写領域を通過したシートS上の重ねトナー像は、定着装置50によって定着される。一方、重ねトナー像の二次転写において、シートSに転写されず中間転写ベルト20側に残存する各色トナーは、中間転写ベルト20のB方向への回転に伴ってベルト清掃装置27との対向部に到達し、スクレーパ41によって除去される。
【0085】
それから、中間転写ベルト20における重ねトナー像の形成領域の後端がベルト清掃装置27との対向部を通過した後、二次転写ロール31およびベルト清掃装置27が、中間転写ベルト20から離れる位置に移動(進出→退避)する。
以上により、1枚のシートSに対するフルカラー画像の形成が完了する。
【0086】
では、上述したフルカラー画像形成動作における現像動作について、より詳細に説明を行う。
まず、図2および図4等を参照しつつ、現像位置Pdに配置された現像器(図2に示す例ではイエロー現像器14Y)の動作を説明する。
【0087】
現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yでは、駆動力の伝達に伴って第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144が回転しており、現像ハウジング141内で現像剤の攪拌搬送が行われている。この攪拌搬送により、現像剤を構成するトナーおよびキャリアは互いに摩擦し合うことになり、トナーが負極性に、キャリアが正極性に、それぞれ帯電する。その結果、攪拌搬送される現像剤において、キャリアに対しトナーが静電吸着した状態となる。そして、攪拌搬送される現像剤が現像ロール142との対向部に到達すると、磁石ロール142bに設けられた磁極と現像剤に含まれるキャリアとの間に働く磁力により、一部のキャリアが現像ロール142側に転移する。このとき、現像ロール142側に転移するキャリアにはトナーが静電吸着しているため、結果として現像剤が現像ロール142側に転移することになり、現像スリーブ142aの外周面に現像剤による現像剤層が形成される。
【0088】
また、現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yでは、駆動力の伝達に伴って現像スリーブ142aがD方向に回転している。これにより、現像スリーブ142aに形成された現像剤層は、現像スリーブ142aのD方向への回転に伴って搬送され、層厚規制部材145との対向部を通過する際に、その厚さが予め決められた厚さに規制され、感光体ドラム11と対向する現像ハウジング141の開口に運ばれる。なお、層厚規制部材145によって規制された現像剤は、重力によって第1攪拌搬送部材143側に戻される。
【0089】
さらに、現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yでは、現像バイアス給電部100による給電に伴って、現像スリーブ142aに対し直流現像バイアスVB(DC)(より具体的には直流現像電圧Vd2)および交流現像バイアスVB(AC)が供給されている。これにより、現像領域Adにおいて、現像スリーブ142a上の現像剤層から、感光体ドラム11上の画像部(露光電位VLとなっている領域)にトナーが静電的に転移し、静電潜像を現像して可視像化する。なお、この過程については後述する。
【0090】
その後、現像領域Adを通過した現像スリーブ142a上の現像剤層は、現像スリーブ142aのD方向への回転に伴って現像ハウジング141内に戻される。そして、現像ハウジング141内に戻された現像スリーブ142a上の現像剤層は、磁石ロール142bに設けられた磁極によって形成される反発磁界により、現像ロール142上から離脱して現像ハウジング141内に落下し、再び第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144によって攪拌搬送され、次の現像を待つこととなる。
【0091】
続いて、現像領域Adにおける現像の過程について、さらに詳細に説明を行う。
図11は、感光体ドラム11における帯電電位VHおよび露光電位VLと、現像領域Adにおいて現像スリーブ142aに供給される直流現像電圧Vd2との関係を説明するための図である。なお、図11には、直流現像電圧Vd2に加えて、通電検出電圧Vd1も記載している。
【0092】
本実施の形態では、帯電電位VHおよび露光電位VLがともに負極性となっているが、露光電位VLの大きさは、絶対値で帯電電位VHよりも小さい値となっている(|VL|<|VH|)。そして、本実施の形態における直流現像電圧Vd2は、負極性であってその絶対値の大きさが帯電電位VHと露光電位VLとの間の大きさに設定される(|VL|<|Vd2|<|VH|)。
【0093】
帯電電位VHと露光電位VLと直流現像電圧Vd2とが上述した関係を有している場合、現像領域Adを通過する現像スリーブ142a上のトナー(負極性に帯電)は、感光体ドラム11上で相対的に正の電位となる露光電位VL(画像部)の領域には転移(飛翔)しやすくなる一方、感光体ドラム11上で相対的に負の電位となる帯電電位VH(背景部)の領域には転移(飛翔)しにくくなる。なお、ここでは、トナーの飛翔しやすさを基準として考え、露光電位VLを基準とする露光電位VLと直流現像電圧Vd2との差を飛翔電位差Vdeveと呼び、直流現像電圧Vd2を基準とする直流現像電圧Vd2と帯電電位VHとの差を逆飛翔電位差Vclnと呼ぶ。なお、この例では、帯電電位VHが−550Vに、露光電位VLが−50Vに、そして直流現像電圧Vd2が−300Vに、それぞれ設定されている。
【0094】
これに対し、本実施の形態における通電検出電圧Vd1は、負極性であってその絶対値の大きさが帯電電位VHおよび露光電位VLの両者よりも小さくなるように設定される(|Vd1|<|VL|<|VH|)。ここで、通電検出電圧Vd1は、現像位置Pdの前後に現像器が存在しない場合に、現像器の存在を検出するために印加されるものであることから、放電や放電に伴うリークが発生しない程度の大きさで十分である。なお、この例では、通電検出電圧Vd1が−24V以下となるように設定されている。
【0095】
以上説明したように、本実施の形態では、画像形成動作において、本体側に設けられた板状電極112と回転式現像装置14に設けられた4つの現像バイアス受電部142cとの接触を検出した結果に基づいて、現像バイアスとして直流現像電圧Vd2の供給を開始するようにした。このため、例えば一般的なシーケンス制御を用いて直流現像電圧Vd2の供給を開始する場合と比較して、制御を簡易なものとすることができる。そして、本実施の形態では、例えば板状電極112や現像バイアス受電部142cが損傷してしまった場合には、板状電極112に現像バイアス受電部142cが接触しなくなることにより、現像バイアスとして直流現像電圧Vd2が供給されなくなるため、画像形成装置の安全性を高めることができる。
【0096】
特に、本実施の形態では、通常は現像バイアスとして直流現像電圧Vd2よりも小さい通電検出電圧Vd1を供給しておき、この通電検出電圧Vd1に起因する通電が検出された場合に、通電検出電圧Vd1を直流現像電圧Vd2に切り替えるようにしているので、例えば板状電極112と現像バイアス受電部142cとの接触を検知するセンサを別途設ける場合と比較して、構成を簡易なものとすることができる。
【0097】
また、本実施の形態では、通電検出時には直流の通電検出電圧Vd1のみを供給しておき、通電が検出された後は、直流現像電圧Vd2に加え交流現像バイアスを供給するようにしたので、通電検出において交流電圧を供給する必要がなくなり、その分、電源による消費電力を低減することができる。
【0098】
そして、本実施の形態では、通電検出時に供給する通電検出電圧Vd1の大きさを、直流現像電圧Vd2よりも小さくすること、より具体的には、通電検出電圧Vd1の大きさを−24V以下とすることにより、画像形成装置の安全性を高めることが可能になる。
【0099】
<実施の形態2>
実施の形態1では、現像位置Pdに配置された現像器に供給する現像バイアスの供給機構を利用し、現像器が現像位置Pdに近づいてきたことを、通電の有無に基づいて検出していた。これに対し、本実施の形態では、現像位置Pdに配置された現像器に供給する現像バイアスの供給機構を利用し、現像器が現像位置Pdに近づいてきたことを、板状電極112の変位に基づいて検出するようにしたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0100】
図12は、本実施の形態における給電体の構成を説明するための断面図である。なお、図12は、実施の形態1における図8と同様に、給電体110における周方向断面図を示しており、基台111aに設けられる壁部111bの記載を省略している。
【0101】
本実施の形態では、基台111aの上面(より具体的には中央側平坦面1111)に、基台111aに対する板状電極112の進退を検出する進退検出センサ114が設けられている。この進退検出センサ114としては、例えば板状電極112の進退を機械的、電気的あるいは光学的に検出するものを用いることができる。特に、進退検出センサ114として板状電極112の進退を機械的あるいは電気的に検出するものにあっては、例えば板状電極112と接触した際に、現像バイアスを供給するためのスイッチとして機能し得るものを用いることが、構成の簡易化の観点からは好ましい。
【0102】
図13は、本実施の形態の画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
ここで、実施の形態1における制御系(図9参照)との違いは、通電検出器93からの通電検出信号に代えて、検出部の一例としての進退検出センサ114による進退検出信号が、制御部60に入力されることである。
【0103】
では次に、本実施の形態における画像形成動作について説明を行う。なお、ここでは、実施の形態1と同じく、1枚のシートSに対し、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒を含む4色のフルカラー画像を形成する場合を例とする。
【0104】
図14は、本実施の形態でのフルカラー画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示している。ここで、図14は、時間の経過と、感光体ドラム駆動モータ81による感光体ドラム11の回転駆動[(1)感光体ドラム駆動]と、帯電電源82による帯電ロール12への帯電バイアスの供給[(2)帯電バイアス]と、光源駆動部83による露光装置13への露光信号の供給[(3)露光信号]と、現像装置駆動モータ84による回転式現像装置14の回転駆動[(4)現像装置駆動]と、現像位置Pdに配置される現像器[(5)現像位置の現像器]と、現像スリーブ駆動モータ85による現像スリーブ142aの回転駆動[(6)現像スリーブ駆動]と、進退検出センサ114による板状電極112の進退の検出[(7)進退検出]と、直流現像電源86による現像スリーブ142aへの直流現像バイアスVB(DC)の供給[(8)直流現像バイアス]と、交流現像電源87による現像スリーブ142aへの交流現像バイアスVB(AC)の供給[(9)交流現像バイアス]と、中間転写ベルト駆動モータ88による中間転写ベルト20の回転駆動[(10)中間転写ベルト駆動]と、一次転写電源89による一次転写ロール15への一次転写バイアスの供給[(11)一次転写バイアス]と、感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが対向する一次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(12)一次転写通過画像]と、ベルト清掃装置駆動モータ90の駆動に伴うベルト清掃装置27の位置[(13)ベルト清掃装置位置]と、二次転写ロール駆動モータ91の駆動に伴う二次転写ロール31の位置[(14)二次転写ロール位置]と、二次転写電源92による二次転写部30への二次転写バイアスの供給[(15)二次転写バイアス]と、中間転写ベルト20と二次転写ロール31とが対向する二次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(16)二次転写通過画像]との関係を示している。
【0105】
ここで、本実施の形態におけるフルカラー画像形成動作は、基本的に実施の形態1で説明したものと同じであるので、相違点についてのみ述べる。
【0106】
まず、実施の形態1では、直流現像バイアスが、「OFF」、「通電検出電圧Vd1」、そして「直流現像電圧Vd2」の三段階に切り替えられるようになっていた。これに対し、本実施の形態では、直流現像バイアスが、「OFF」および「ON」の二段階に切り替えられるようになっている。なお、本実施の形態において、直流現像バイアスが「ON」であるとは、直流現像バイアスが「直流現像電圧Vd2」に設定されることを意味する。
【0107】
また、実施の形態1では、直流現像バイアスとして「通電検出電圧Vd1」が供給されている状態で、通電検出が「OFF」から「ON」に切り替わったことを起点として、直流現像バイアスを「通電検出電圧Vd1」から「直流現像電圧Vd2」に切り替え、且つ、「交流現像バイアス」を「OFF」から「ON」に切り替えていた。これに対し、本実施の形態では、進退検出が「OFF」から「ON」に切り替わったこと(離間状態から接近状態に移行したこと)を起点として、直流現像バイアスを「OFF」から「ON(直流現像電圧Vd2)」に切り替え、且つ、「交流現像バイアス」を「OFF」から「ON」に切り替えている。
【0108】
このように、本実施の形態では、画像形成動作において、本体側に設けられた板状電極112と回転式現像装置14に設けられた4つの現像バイアス受電部142cとの接触を検出した結果に基づいて、現像バイアスとして直流現像電圧Vd2の供給を開始するようにした。このため、例えば一般的なシーケンス制御を用いて直流現像電圧Vd2の供給を開始する場合と比較して、制御を簡易なものとすることができる。
【0109】
特に、本実施の形態では、板状電極112と現像バイアス受電部142cとが接触していない場合には板状電極112に対する現像バイアスが行われないので、例えば上述した実施の形態1の場合と比較して、画像形成装置の安全性をより高めることができる。
【0110】
また、上述した実施の形態1、2では、帯電ロール12を用いた接触帯電方式にて感光体ドラム11の帯電を行い、一次転写ロール15および二次転写部30(二次転写ロール31およびバックアップロール26)を用いた接触転写方式にて画像の転写を行うようにしていたが、これに限られるものではなく、コロトロン等を用いた非接触帯電方式(非接触転写方式)を採用してもかまわない。
【符号の説明】
【0111】
11…感光体ドラム、12…帯電ロール、13…露光装置、14…回転式現像装置、14a…回転軸、14Y…イエロー現像器、14M…マゼンタ現像器、14C…シアン現像器、14K…黒現像器、14S1…第1の空き場所、14S2…第2の空き場所、15…一次転写ロール、16…ドラム清掃装置、20…中間転写ベルト、30…二次転写部、50…定着装置、60…制御部、100…現像バイアス給電部、110…給電体、111…筐体、112…板状電極、113…コイルばね、114…進退検出センサ、120…組電線、141…現像ハウジング、142…現像ロール、142a…現像スリーブ、142b…磁石ロール、142c…現像バイアス受電部、143…第1攪拌搬送部材、144…第2攪拌搬送部材、145…層厚規制部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、複数の現像器を搭載する回転式現像装置を感光体ドラムに隣接して設け、回転式現像装置を回転させることで感光体ドラムと対向する現像位置に各現像器を順次配置するとともに、現像位置に配置された現像器に現像バイアスを供給することで、感光体ドラム上に各色のトナー像を現像するものが知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
ここで、特許文献1では、回転式現像装置を構成する各現像器に設けられた現像ロールにピン状の電極を設ける一方、本体側の現像位置周辺に円弧状の電極を設け、本体側に設けられた円弧状の電極に対し、回転式現像装置の回転に伴い現像位置に向かって移動してくる現像器に設けられたピン状の電極が接触した後、この現像器に、円弧状の電極およびピン状の電極を介して現像バイアスを供給している。
【0004】
また、特許文献2では、ステッピングモータを用いて回転式現像装置を回転させるとともに、ステッピングモータに入力されるパルスをパルスカウンタで計数し、パルスカウンタによる計数値に基づいて、現像バイアス電源から各現像器に現像バイアス電圧を印加するタイミングを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−55750号公報
【特許文献2】特開平8−62954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複雑な制御を行うことなく、現像位置に配置された現像器に対する給電を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、回転可能に設けられるとともに静電潜像を保持する潜像保持体と、それぞれが現像剤を収容し且つ外部から給電を受けるための受電電極を有する現像器を複数備え、前記潜像保持体と対向する現像位置に、回転に伴って複数の当該現像器を順次配置するとともに、当該現像位置に配置された現像器にて当該潜像保持体上の静電潜像を現像する現像部と、前記現像部の回転に伴い前記現像位置に向かって移動してくる現像器の受電電極と接触するように設けられ、接触した当該受電電極を介して当該現像器に現像バイアスを給電するための給電電極と、前記給電電極と前記受電電極との接触を検出する検出部と、前記検出部によって前記給電電極と前記受電電極との接触が検知されることに伴い、当該給電電極に前記現像バイアスを供給する供給部とを含む画像形成装置である。
請求項2記載の発明は、前記供給部は、前記給電電極と前記受電電極とが接触していないときに、当該給電電極に前記現像バイアスよりも大きさが小さい検出バイアスを供給し、前記検出部は、前記給電電極を介して電流が流れることに伴い、当該給電電極と前記受電電極との接触を検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記供給部は、前記検出バイアスとして直流電圧を供給するとともに、前記現像バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を供給することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記検出バイアスにおける直流電圧の大きさが、前記現像バイアスにおける直流電圧の大きさよりも小さいことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、前記給電電極は、前記受電電極との接触に伴って変位するように構成されており、前記検出部は、前記給電電極が変位することに伴い、当該給電電極と前記受電電極との接触を検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項6記載の発明は、回転可能に設けられるとともに静電潜像を保持する潜像保持体と、それぞれが現像剤を収容し且つ外部から給電を受けるための受電電極を有する現像器を複数備え、前記潜像保持体と対向する現像位置に、回転に伴って複数の当該現像器を順次配置するとともに、当該現像位置に配置された現像器にて当該潜像保持体上の静電潜像を現像する現像部と、導電性を有するとともに前記現像部の回転方向に沿い且つ前記現像位置を跨ぐように配置され、前記現像部の回転に伴い前記現像位置に向かって移動してくる現像器の受電電極と接触する給電電極と、前記給電電極に電圧を供給する電源と、前記給電電極を介した通電を検出する通電検出部と、前記通電検出部により通電が検出されない場合に前記電源から前記電圧として第1の電圧を供給させ、当該通電検出部により通電が検出された場合に当該電圧を当該第1の電圧から当該第1の電圧よりも大きい第2の電圧に変更する変更部とを含む画像形成装置である。
請求項7記載の発明は、前記変更部は、前記第1の電圧および前記第2の電圧として直流電圧を供給させ、さらに前記通電検出部により通電が検出された場合に、当該第2の電圧に加えて交流電圧である第3の電圧を供給させることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置である。
請求項8記載の発明は、前記潜像保持体を帯電電位に帯電する帯電部と、前記帯電電位に帯電された前記潜像保持体を露光することで露光電位を形成し、当該帯電電位および当該露光電位によって前記静電潜像を形成する露光部とをさらに含み、前記第1の電圧は前記帯電電位および前記露光電位の両者よりも小さく、前記第2の電圧は当該帯電電位よりも小さく且つ当該露光電位よりも大きいことを特徴とする請求項6または7記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、複雑な制御を行うことなく、現像位置に配置された現像器に対する給電を行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、既にある要素を用いて、給電電極と受電電極との接触を検出することが可能になる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、給電電極と受電電極との接触を検出する際に、無駄な電力の消費を抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、画像形成装置の安全性を高めることができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、給電電極と受電電極との接触を容易に検出することが可能になる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、複雑な制御を行うことなく、現像位置に配置された現像器に対する給電を行うことができる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、給電電極と受電電極との接触を検出する際に、無駄な電力の消費を抑制することができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、静電潜像の現像をより確実に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用された画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図2】イエロー現像器の構成の一例を示す断面図である。
【図3】回転式現像装置の回転と、回転に伴う停止位置とを説明するための図である。
【図4】現像位置の前後における、現像器とこの現像器に対する給電との関係を説明するための図である。
【図5】回転式現像装置と現像バイアス給電部との関係を説明するための図である。
【図6】現像バイアス給電部の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図7】現像バイアス給電部における給電体の構成を説明するための分解斜視図である。
【図8】給電体の挙動を説明するための図である。
【図9】実施の形態1における画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
【図10】実施の形態1でのフルカラー画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示す図である。
【図11】帯電電位および露光電位と、通電検出電圧値および直流現像電圧値との関係を説明するための図である。
【図12】実施の形態2における給電体の構成を説明するための断面図である。
【図13】実施の形態2における画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
【図14】実施の形態2でのフルカラー画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態が適用された画像形成装置の概略構成を示している。この画像形成装置は、A方向に回転可能に配設される感光体ドラム11、B方向に回転可能に配設され、感光体ドラム11上に形成された各色トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト20、中間転写ベルト20上に転写された重ねトナー像をシートSに一括転写(二次転写)させる二次転写部30、二次転写された画像をシートS上に定着させる定着装置50、画像形成装置の各機構部を制御する制御部60を備えている。なお、感光体ドラム11の回転方向であるA方向および中間転写ベルト20の回転方向であるB方向は、両者が対向する領域において同じ側を向くようになっている。
【0012】
潜像保持体の一例としての感光体ドラム11の周囲には、A方向に沿って、感光体ドラム11を帯電する帯電ロール12、帯電された感光体ドラム11を露光する露光部の一例としての露光装置13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14Y、14M、14C、14Kを回転可能に取り付けた回転式現像装置14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写ロール15、感光体ドラム11上の残留トナーを清掃するドラム清掃装置16が、順次配設されている。
【0013】
ここで、帯電部の一例としての帯電ロール12は、感光体ドラム11に接触して配置されるとともに感光体ドラム11の回転に伴って回転するように構成されている。また、一次転写ロール15は、中間転写ベルト20を挟んで感光体ドラム11と対向する位置において、中間転写ベルト20に接触して配置されており、中間転写ベルト20の回転に伴って回転するように構成されている。さらに、ドラム清掃装置16は、例えば感光体ドラム11に接触するブレード部材を有している。
【0014】
そして、感光体ドラム11は、金属製の薄肉の円筒形ドラムの表面に有機感光層を形成したもので構成されており、この例では有機感光層が負極性に帯電する材料で構成されている。なお、感光体ドラム11は接地されている。
【0015】
また、現像部の一例としての回転式現像装置14はC方向に回転するようになっており、合計で6個の現像器を搭載できるように構成されている。ただし、この例では、回転式現像装置14に対し、周方向に連続して4個の現像器14Y、14M、14C、14Kを搭載するようにし、残りの2箇所については空き場所としている。そして、現像器14Y、14M、14C、14Kによる現像は反転現像方式にて行われる。従って、現像器14Y、14M、14C、14Kで使用されるトナーは負の帯電極性を有している。なお、以下の説明においては、回転式現像装置14を構成する各現像器を、それぞれ、イエロー現像器14Y、マゼンタ現像器14M、シアン現像器14C、および黒現像器14Kと称する。また、以下の説明では、黒現像器14Kに隣接する空き場所を第1の空き場所14S1と称し、第1の空き場所14S1に隣接する空き場所を第2の空き場所14S2と称する。
【0016】
次に、中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では6つ)のロール21〜26に掛け渡されるようになっている。これらのうち、ロール21、25は従動ロール、ロール22は中間転写ベルト20の位置決めや平坦な一次転写面の形成に用いられる金属製のアイドルロール、ロール23は中間転写ベルト20の張力を一定とするために用いられるテンションロール、ロール24は中間転写ベルト20の駆動ロール、ロール26は後述する二次転写用のバックアップロールである。
【0017】
二次転写部30は、中間転写ベルト20のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール31と、バックアップロール26等とによって構成される。また、二次転写部30の上流側には、搬送されてくるシートSを二次転写部30に案内する用紙搬送ガイド32が取り付けられている。
【0018】
一方、二次転写部30からみて中間転写ベルト20の回転方向下流側には、二次転写後の中間転写ベルト20上に付着する残留トナーを清掃するベルト清掃装置27が設けられており、中間転写ベルト20を挟んでベルト清掃装置27に対向する位置には、中間転写ベルト20の内面に沿って板金部材28が配置されている。このベルト清掃装置27は、ステンレスプレート等で構成され中間転写ベルト20の像形成面側に配設されるスクレーパ41と、このスクレーパ41が収容されるクリーナハウジング42とを有している。また、スクレーパ41の一端側はブロック43に挟み込まれることで固定されており、このブロック43は軸44aを中心に回転するホルダ44に取り付けられている。さらに、ホルダ44の下端側に設けられた凹部44bとクリーナハウジング42下部に設けられた膨出部との間には、スクレーパ41を中間転写ベルト20に向けて付勢するバネ45が取り付けられ、スクレーパ41からみて中間転写ベルト20の移動方向上流側には、除去した異物の外部への飛び散りを抑制するためのフィルムシール46が取り付けられている。
【0019】
そして、本実施の形態では、シートSに複数色のトナー像を含むカラー画像を形成する場合には、最終色前のトナー像が二次転写ロール31およびベルト清掃装置27を通過するまで、これら二次転写ロール31およびベルト清掃装置27が中間転写ベルト20から離れるようになっている。なお、二次転写ロール31は、中間転写ベルト20に接触した際に、中間転写ベルト20の回転に伴って回転するように構成されている。
【0020】
さらに、定着装置50は、ハロゲンランプ等の加熱源を内蔵する加熱ロール51と、この加熱ロール51に圧接配置される加圧ロール52とを備えており、これら加熱ロール51と加圧ロール52との間に形成される定着ニップ域にトナー像が転写されたシートSを通過させることで、定着を行うようになっている。
【0021】
次に、回転式現像装置14に搭載される現像器の構成を、イエロー現像器14Yを例として説明する。なお、マゼンタ現像器14M、シアン現像器14Cおよび黒現像器14Kは、内部に収容されるトナーの色を除いて、イエロー現像器14Yと同じ構成を有している。
【0022】
図2は、イエロー現像器14Yの構成の一例を示す断面図である。なお、図2は、イエロー現像器14Yが感光体ドラム11と対向する現像位置に配置されている場合を例示している。
イエロー現像器14Yは、感光体ドラム11の外周面に対向する開口が形成され且つ内部にはキャリアおよびトナーを含む現像剤(図示せず)が収容される現像ハウジング141と、この現像ハウジング141の開口に面した箇所に回転可能に配置される現像ロール142とを備えている。ここで、現像ロール142は、感光体ドラム11とは非接触に配置されており、現像ロール142の軸方向両端部には、感光体ドラム11の外周面に突き当たることにより、感光体ドラム11の外周面に対する現像ロール142の外周面の位置(距離)を決める位置決めロール(図示せず)が取り付けられている。
【0023】
また、現像ハウジング141内であって、感光体ドラム11からみて現像ロール142の背面下側には、感光体ドラム11の軸方向に沿って配置される第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144が設けられている。そして、第1攪拌搬送部材143と第2攪拌搬送部材144との間には、これら第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144を仕切る仕切り壁が設けられている。この仕切り壁は、現像ハウジング141と一体的に形成されている。なお、第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144の軸方向両端側には仕切り壁を設けておらず、第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144によって、現像ハウジング141内を現像剤が循環搬送されるようになっている。また、現像ロール142の図中上方には、現像ハウジング141に取り付けられ、現像ロール142に付着する現像剤の層厚さを規制する層厚規制部材145が設けられている。
【0024】
そして、イエロー現像器14Yでは、現像剤として、イエローに着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む、所謂2成分現像剤を用いている。また、この現像剤において、キャリアは正の帯電極性を有しており、トナーは上述したように負の帯電極性を有している。なお、マゼンタ現像器14Mでは、マゼンタに着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む現像剤を、シアン現像器14Cでは、シアンに着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む現像剤を、黒現像器14Kでは黒に着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む現像剤を、それぞれ用いている。
【0025】
また、現像ロール142は、回転可能に配設される中空状の現像スリーブ142aと、現像スリーブ142aの内側に配置されるとともに現像ハウジング141に固定して取り付けられ、内部には複数の磁極(図示せず)が配列される磁石ロール142bとを有している。現像スリーブ142aは、シートSに画像を形成する画像形成動作において、D方向に回転するようになっている。したがって、画像形成動作において、A方向に回転する感光体ドラム11およびD方向に回転する現像スリーブ142aは、両者が対向する領域(後述する現像領域Ad:図4参照)において同方向に移動する。そして、現像ロール142の軸方向一端側(図2に示す例では図中手前側)には、軸方向に突出するとともに現像スリーブ142aと電気的に接続され、画像形成装置の本体側に設けられた現像バイアス給電部100(後述する図5参照)から受電を行う現像バイアス受電部142cが設けられている。なお、この例において、受電電極の一例としての現像バイアス受電部142cは、現像スリーブ142aの回転軸と同軸に設けられる。
【0026】
図3は、図1に示す画像形成装置における回転式現像装置14の回転と、回転に伴う停止位置とを説明するための図である。
本実施の形態の回転式現像装置14は、回転軸14aを中心とし、30°を単位としてC方向への回転および停止が行えるように構成されている。そして、この回転式現像装置14は、感光体ドラム11に対向する現像位置Pdに現像器が位置した状態(図3(b)、(d)、(f)、(h)参照)で停止し、また、感光体ドラム11との対向部に現像器が位置しない状態(図3(a)、(c)、(e)、(g)参照)で停止するようになっている。
【0027】
図3(a)は、画像形成動作が開始される前の初期状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、現像位置PdからみてC方向上流側となる待機位置Pwにイエロー現像器14Yが配置され、現像位置PdからみてC方向下流側となる退避位置Peに第2の空き場所14S2が配置される。
【0028】
図3(b)は、図3(a)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdにはイエロー現像器14Yが配置され、待機位置PwからみてC方向上流側となる現像前位置Pbにマゼンタ現像器14Mが配置され、退避位置PeからみてC方向下流側となる現像後位置Paに第2の空き場所14S2が配置される。
【0029】
図3(c)は、図3(b)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、待機位置Pwにマゼンタ現像器14Mが配置され、退避位置Peにイエロー現像器14Yが配置される。
【0030】
図3(d)は、図3(c)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdにはマゼンタ現像器14Mが配置され、現像前位置Pbにシアン現像器14Cが配置され、現像後位置Paにイエロー現像器14Yが配置される。
【0031】
図3(e)は、図3(d)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、待機位置Pwにシアン現像器14Cが配置され、退避位置Peにマゼンタ現像器14Mが配置される。
【0032】
図3(f)は、図3(e)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdにはシアン現像器14Cが配置され、現像前位置Pbに黒現像器14Kが配置され、現像後位置Paにマゼンタ現像器14Mが配置される。
【0033】
図3(g)は、図3(f)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、待機位置Pwに黒現像器14Kが配置され、退避位置Peにシアン現像器14Cが配置される。
【0034】
図3(h)は、図3(g)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには黒現像器14Kが配置され、現像前位置Pbに第1の空き場所14S1が配置され、現像後位置Paにシアン現像器14Cが配置される。
なお、図3(h)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に120°回転させると、図3(a)に示す初期状態に移行することになる。
【0035】
次に、回転式現像装置14に搭載された各現像器14Y、14M、14C、14Kに対する給電手法について説明を行う。本実施の形態では、現像位置Pdに配置される現像器に対し、現像バイアス受電部142cを介して現像スリーブ142aに現像バイアスを印加するための給電が行われるようになっており、他の位置、例えば上述した現像前位置Pb、待機位置Pw、退避位置Pe、そして現像後位置Pa等に位置する現像器には、給電が行われないようになっている。ただし、本実施の形態では、現像器が待機位置Pwから現像位置Pdに移動する間に、この現像器に対する給電を開始し、この現像器が現像位置Pdから退避位置Peに移動する間に、この現像器に対する給電を終了するようになっている。
また、本実施の形態では、現像位置Pdに配置される現像器に対し、現像スリーブ142aを回転させるための駆動力が伝達されるようになっており、他の位置、例えば上述した現像前位置Pb、待機位置Pw、退避位置Pe、そして現像後位置Pa等に位置する現像器には、このような駆動力の伝達が行われないようになっている。
【0036】
図4は、現像位置Pdの前後における、現像器(14Y、14M、14C、14Kのいずれか:以下同じ)とこの現像器に対する給電との関係を説明するための図である。ここで、図4は、各現像器14Y、14M、14C、14Kのうちのいずれかに設けられた現像ロール142が、C方向に沿って移動していく状態を示している。また、図4において、現像位置Pdに配置された現像ロール142と感光体ドラム11との対向部において、現像ロール142と感光体ドラム11との間でトナーの転移が生じ得る範囲を、現像領域Adと呼ぶ。
【0037】
本実施の形態では、回転式現像装置14のC方向への回転に伴い、現像器に設けられた現像ロール142が、現像前位置Pb、待機位置Pw、現像位置Pd、退避位置Pe、現像後位置Paの順に移動していく。そして、待機位置Pwで停止していた現像器が現像位置Pdに移動する途中で、この現像器に設けられた現像ロール142が接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、画像形成装置の本体に設けられた電極(後述する板状電極112:図7参照)とこの現像器に設けられた現像バイアス受電部142c(図2参照)とが接触し、接触した状態を維持しながら現像位置Pdに到達する。また、現像位置Pdで停止していた現像器が退避位置Peに移動する途中で、この現像器に設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過するのに伴い、画像形成装置の本体に設けられた板状電極112とこの現像器に設けられた現像バイアス受電部142cとが接触しなくなり、接触しない状態を維持しながら退避位置Peに到達する。
【0038】
ここで、接触開始位置Pc1は、現像領域AdよりもC方向上流側(A方向下流側)となるように設定され、接触終了位置Pc2は、現像領域AdよりもC方向下流側(A方向上流側)となるように設定される。したがって、接触開始位置Pc1から現像位置Pdを介して接触終了位置Pc2に至る接触領域Acは、現像領域Adを含むとともに現像領域Adよりも広い範囲に設定されている。
【0039】
図5は、回転式現像装置14と、現像位置Pdに配置された現像器に現像バイアスを供給する現像バイアス給電部100との関係を説明するための図である。ここで、図5(a)は、回転式現像装置14が図3(a)に示す初期状態におかれた場合を例示しており、図5(b)は、回転式現像装置14が図3(b)に示す状態(イエロー現像器14Yが現像位置Pdに配置された状態)を例示している。
【0040】
本実施の形態の現像バイアス給電部100は、図5(a)、(b)に示したように、現像位置Pdを跨ぐように配置されている。そして、待機位置Pwから現像位置Pdに向かって移動してくる現像器に対して給電を開始し、現像位置Pdから退避位置Peに向かって移動していく現像器に対して給電を終了するように構成されている。
【0041】
図6は、上述した現像バイアス給電部100の全体構成の一例を示す斜視図である。
本実施の形態の現像バイアス給電部100は、接触開始位置Pc1から現像位置Pdを介して接触終了位置Pc2に至る間(図4参照)において、現像器の現像ロール142に設けられた現像バイアス受電部142cに接触することで、現像スリーブ142aに給電を行う給電体110と、画像形成装置の本体に設けられた電源(直流現像電源86および交流現像電源87:後述する図9参照)と給電体110とを接続する組電線120とを備えている。また、組電線120は、金属導体を絶縁体で被覆した絶縁電線121と、絶縁電線121の一端側に設けられ、絶縁電線121と給電体110に設けられた板状電極112(後述する図7参照)とを圧着によって接続する圧着端子122と、絶縁電線121の他端側に設けられ、絶縁電線121と図示しない電源とを接続するコネクタ123とを有している。
【0042】
図7は、現像バイアス給電部100における給電体110の構成を説明するための分解斜視図である。
本実施の形態の給電体110は、絶縁体で構成され、画像形成装置の本体に固定して取り付けられる筐体111と、導電性を有する金属板で構成され、筐体111に収容されるとともに現像バイアス受電部142c(図6参照)と接触して給電を行う板状電極112と、筐体111に収容された板状電極112を筐体111から遠ざかる側にばね付勢する3つのコイルばね113とを有している。
【0043】
これらのうち、筐体111は、円弧状に湾曲した形状を有し、湾曲し且つ図中において上方を向く上面には板状電極112が配置される基台111aと、基台111aにおいて円弧の内側となる端縁および円弧の外側となる端縁からそれぞれ基台111aの上面と同じ側に向かって突出する2つの壁部111bとを有している。なお、これらのうち、円弧の外側に設けられた壁部111bは、回転式現像装置14の回転方向であるC方向の上流側まで延びるとともに、円弧の内側に向かって直角に屈曲している。また、基台111aの上面には、円弧の周方向に沿って3つの開口部111cが等間隔に形成されている。ここで、基台111aの上面は、平坦な面形状を有し且つ3つの開口部111cが形成される中央側平坦面1111と、中央側平坦面1111からみてC方向の上流側で壁部111bの突出方向とは逆側に傾斜する上流側傾斜面1112と、中央側平坦面1111からみてC方向(図1参照)の下流側で壁部111bの突出方向とは逆側に傾斜する下流側傾斜面1113とを有している。
【0044】
また、給電電極の一例としての板状電極112は、筐体111における上面に倣う形状を有している。より具体的に説明すると、板状電極112は、中央側平坦面1111に対向する中央側平坦部1121と、上流側傾斜面1112に対向する入口側傾斜部1122と、下流側傾斜面1113に対向する出口側傾斜部1123とを有している。さらに、板状電極112は、上流側傾斜部1122のC方向の上流側端部から上流側傾斜面1112と同じ側に向かって折れ曲がった後、こんどは反対側に折れ曲がるように構成され、組電線120に設けられた圧着端子122(図6参照)が取り付けられる受電部1124を備えている。なお、この例では、筐体111を構成する上流側傾斜面1112、中央側平坦面1111および下流側傾斜面1113に対し、板状電極112を構成する入口側傾斜部1122、中央側平坦部1121および出口側傾斜部1123が、それぞれに倣う形状となっている。
【0045】
ここで、本実施の形態では、基台111aに設けられた2つの壁部111bのそれぞれに、互いに対向する側に向かって突出する凸部が3つずつ設けられている。そして、一方の壁部111bに設けられる3つの凸部に対し、他方の壁部111bに設けられる3つの凸部が、それぞれ向かい合うように配置されている。
また、本実施の形態では、板状電極112に設けられた中央側平坦部1121の両側部のそれぞれに、板状電極112を切り欠くことによって形成された凹部が3つずつ設けられている。そして、板状電極112の一方の側部に設けられる3つの凹部に対し、板状電極112の他方の側部に設けられる3つの凹部が、それぞれ向かい合うように配置されている。
【0046】
さらに、筐体111における2つの壁部111bにそれぞれ3つずつ設けられる凸部と、板状電極112における2つの側部にそれぞれ3つずつ設けられる凹部とは、対応関係を有しており、これらの6つの凸部と6つの凹部とを、重なり合わせることが可能となっている。ただし、筐体111における上流側傾斜面1112と板状電極112における入口側傾斜部1122とを対向させ、且つ、筐体111における下流側傾斜面1113と板状電極112における出口側傾斜部1123とを対向させた状態では、筐体111における2つの壁部111bにそれぞれ3つずつ設けられる凸部と、板状電極112における2つの側部にそれぞれ3つずつ設けられる凹部とが、円弧の周方向においてずれた状態に位置するようにもなっている。
【0047】
さらに、3つのコイルばね113は、それぞれの一端側が基台111aに設けられた開口部111cにはめ込まれるとともに、それぞれの他端側が板状電極112における中央側平坦部1121の裏面側に接触するようになっている。
【0048】
そして、この例では、筐体111に設けられた3つの開口部111cにそれぞれコイルばね113を装着した状態で、板状電極112に設けられた各凹部および筐体111に設けられた各凸部の位置を重ね合わせた状態とし、続いて、各コイルばね113の付勢力に抗して板状電極112を筐体111側に押し込むことにより、板状電極112の主要部分(中央側平坦部1121、入口側傾斜部1122、出口側傾斜部1123)を、筐体111において2つの壁部111bの間に形成される凹状の空間に挿入することができる。なお、このとき、板状電極112に設けられた受電部1124は、筐体111の本体部分と一方の壁部111bの屈曲部とによって形成された空間を貫通し、筐体111の下面側に突出する。
【0049】
続いて、上述した状態にて、板状電極112を円弧の周方向に沿ってスライドさせることで、筐体111の上流側傾斜面1112に板状電極112の入口側傾斜部1122を対向させるとともに筐体111の下流側傾斜面1113に板状電極112の出口側傾斜部1123を対向させた状態とした後、各コイルばね113の付勢力に抗して板状電極112を筐体111側に押し込むのをやめる。すると、板状電極112は、筐体111に取り付けられた3つのコイルばね113によって付勢される一方、板状電極112の2つの側部における凹部とは異なる部位が、筐体111の2つの壁部111bに設けられた凸部に突き当たることによってその移動が規制されることになる。これにより、板状電極112は、筐体111に対し、図7において上下方向への移動を許容された状態で保持されることになる。
【0050】
図8は、現像バイアス給電部100を構成する給電体110の挙動を説明するための図である。ここで、図8(a)は給電体110の周辺に現像バイアス受電部142cが存在しない場合(現像器が存在しない場合)を例示しており、図8(b)は給電体110の周辺に現像バイアス受電部142cが存在する場合(ここでは現像器が現像位置Pdに存在する場合)を例示している。なお、図8は、給電体110における周方向断面図を示しており、基台111aに設けられる壁部111bの記載を省略している。
【0051】
例えば図8(a)に示したように、接触開始位置Pc1から接触終了位置Pc2までの間に現像バイアス受電部142cが存在しない場合、板状電極112は、3つのコイルばね113によって図中上方に押され、且つ、図示しない壁部111bに設けられた凸部に突き当たった状態で静止する。
これに対し、例えば図8(b)に示したように、接触開始位置Pc1から接触終了位置Pc2までの間に現像バイアス受電部142cが存在する場合、板状電極112は、3つのコイルばね113によって図中上方に押される一方、現像バイアス受電部142cによって図中下方に押された状態で静止する。このとき、各コイルばね113は、図8(a)に示す状態よりも圧縮された状態となる。
そして、現像バイアス受電部142cが接触終了位置Pc2を通過すると、板状電極112および3つのコイルばね113は、図8(a)に示す状態へと戻る。
【0052】
図9は、本実施の形態の画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
制御部60には、UI(ユーザ・インタフェース)71やPC(パーソナル・コンピュータ)72にて、ユーザから受け付けた指示が入力される。
制御部60は、感光体ドラム11を回転させるための駆動を行う感光体ドラム駆動モータ81、帯電ロール12に帯電バイアスを供給する帯電電源82、露光装置13に設けられた光源(図示せず)を駆動する光源駆動部83に、それぞれ制御信号を出力する。また、制御部60は、回転軸14aを中心として回転式現像装置14を回転させるための駆動を行う現像装置駆動モータ84、接触領域Ac内に存在する現像器に設けられた現像スリーブ142aを回転させるための駆動を行う現像スリーブ駆動モータ85に、それぞれ制御信号を出力する。さらに、制御部60は、現像バイアス給電部100(より具体的には、給電体110に設けられた板状電極112)に対し、直流の現像バイアス(以下では直流現像バイアスVB(DC)という)を供給する直流現像電源86および交流の現像バイアス(以下では交流現像バイアスVB(AC)という)を供給する交流現像電源87に、それぞれ制御信号を供給する。さらにまた、制御部60は、駆動ロール24を介して中間転写ベルト20を回転させるための駆動を行う中間転写ベルト駆動モータ88、一次転写ロール15に一次転写バイアスを供給する一次転写電源89、ベルト清掃装置27を移動させて中間転写ベルト20に対しスクレーパ41を接触あるいは退避させるベルト清掃装置駆動モータ90に、それぞれ制御信号を出力する。そして、制御部60は、二次転写ロール31を移動させて中間転写ベルト20に対し二次転写ロール31を接触あるいは退避させる二次転写ロール駆動モータ91、二次転写ロール31とバックアップロール26との間に二次転写バイアスを供給する二次転写電源92に、それぞれ制御信号を出力する。また、ここでは図示はしていないが、制御部60は、定着装置50やシートSの供給系にも制御信号を出力している。さらにまた、制御部60には、現像バイアス給電部100の板状電極112を介した通電(電流が流れたこと)を検出する、検出部あるいは通電検出部の一例としての通電検出器93からの通電検出信号が入力される。なお、本実施の形態では、直流現像電源86および交流現像電源87が、供給部あるいは電源の一例として機能している。また、本実施の形態では、制御部60が、変更部の一例として機能している。
【0053】
では次に、本実施の形態における画像形成動作について説明を行う。なお、ここでは、1枚のシートSに対し、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒を含む4色のフルカラー画像を形成する場合を例とする。
【0054】
図10は、本実施の形態でのフルカラー画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示している。ここで、図10は、時間の経過と、感光体ドラム駆動モータ81による感光体ドラム11の回転駆動[(1)感光体ドラム駆動]と、帯電電源82による帯電ロール12への帯電バイアスの供給[(2)帯電バイアス]と、光源駆動部83による露光装置13への露光信号の供給[(3)露光信号]と、現像装置駆動モータ84による回転式現像装置14の回転駆動[(4)現像装置駆動]と、現像位置Pdに配置される現像器[(5)現像位置の現像器]と、現像スリーブ駆動モータ85による現像スリーブ142aの回転駆動[(6)現像スリーブ駆動]と、通電検出器93による通電の検出[(7)通電検出]と、直流現像電源86による現像スリーブ142aへの直流現像バイアスVB(DC)の供給[(8)直流現像バイアス]と、交流現像電源87による現像スリーブ142aへの交流現像バイアスVB(AC)の供給[(9)交流現像バイアス]と、中間転写ベルト駆動モータ88による中間転写ベルト20の回転駆動[(10)中間転写ベルト駆動]と、一次転写電源89による一次転写ロール15への一次転写バイアスの供給[(11)一次転写バイアス]と、感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが対向する一次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(12)一次転写通過画像]と、ベルト清掃装置駆動モータ90の駆動に伴うベルト清掃装置27の位置[(13)ベルト清掃装置位置]と、二次転写ロール駆動モータ91の駆動に伴う二次転写ロール31の位置[(14)二次転写ロール位置]と、二次転写電源92による二次転写部30への二次転写バイアスの供給[(15)二次転写バイアス]と、中間転写ベルト20と二次転写ロール31とが対向する二次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(16)二次転写通過画像]との関係を示している。
【0055】
また、図10において、「Y」、「M」、「C」、「K」は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒に対応している。そして、(12)に示す『一次転写通過画像』および(16)に示す『二次転写通過画像』において、「Y」はイエローに、「YM」はイエローおよびマゼンタを重ね合わせたものに、「YMC」はイエロー、マゼンタおよびシアンを重ね合わせたものに、「YMCK」はイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒を重ね合わせたものに、それぞれ対応している。なお、以下の説明においては、中間転写ベルト20が1周するのに要する期間を、ベルト回転周期Tbと呼ぶ。
【0056】
初期状態において、感光体ドラム駆動、帯電バイアス、露光信号、現像装置駆動、中間転写ベルト駆動、一次転写バイアス、二次転写バイアスは、それぞれOFF(停止)に設定されている。このとき、回転式現像装置14は図3(a)に示す状態に設定されており、現像位置Pdには現像器が配置されないようになっている。また、これに伴い、初期状態では、現像スリーブ駆動、直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)が、それぞれOFF(停止)となっている。さらに、初期状態において、ベルト清掃装置位置および二次転写ロール位置はそれぞれ退避に設定されており、二次転写ロール31およびベルト清掃装置27(スクレーパ41)は中間転写ベルト20から離れている。
【0057】
画像形成動作の開始に伴い、感光体ドラム11の駆動および中間転写ベルト20の駆動が開始(OFF→ON)され、感光体ドラム11はA方向に、中間転写ベルト20はB方向に、それぞれ回転する。また、画像形成動作の開始に伴い、直流現像バイアスVB(DC)の供給が開始され、通電検出電圧Vd1が印加される(OFF→Vd1)。このとき、交流現像バイアスVB(AC)は、OFFの状態を維持している。また、このとき、現像位置Pdの周辺には現像器が存在していないことから、通電検出器93による通電は検出されないまま(OFF)である。続いて、帯電バイアスの供給が開始(OFF→ON)され、感光体ドラム11の感光層は、帯電ロール12によって帯電電位VH(後述する図11参照)に帯電される。ここで、本実施の形態では、通電検出電圧Vd1が、検出バイアスあるいは第1の電圧に対応している。
【0058】
次に、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態へと移行する。このとき、イエロー現像器14Yは、待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、イエロー現像器14Yに設けられた現像ロール142(現像バイアス受電部142c)が、現像バイアス給電部100に設けられた給電体110の接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触し始める。これにより、通電検出電圧Vd1の印加に起因する電流が、現像バイアス給電部100の板状電極112から、現像バイアス受電部142c、現像スリーブ142aおよび現像スリーブ142a上の現像剤を介して、感光体ドラム11に流れる。その結果、通電検出器93による通電が検出されるようになる(OFF→ON)。これに伴い、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられ(Vd1→Vd2)、且つ、交流現像バイアスの供給が開始される(OFF→ON)。また、イエロー現像器14Yが待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止するまでの間に、イエロー現像器14Yに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が開始(OFF→ON)される。ここで、本実施の形態では、直流現像電圧Vd2が現像バイアスあるいは第2の電圧に、また、交流現像バイアスが第3の電圧に、それぞれ対応している。なお、通電検出電圧Vd1と直流現像電圧Vd2との関係については後述する。
【0059】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、イエロー現像器14Yが現像位置Pdで停止した後、イエローに対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、イエローのトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VL(後述する図11参照)になる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部(露光されなかった部位)とし、露光電位VLを画像部(露光された部位)とする、イエローに対応する静電潜像が形成される。
【0060】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的にイエローのトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、イエローの静電潜像に応じたイエローのトナー像が現像される。なお、現像動作の詳細については後述する。
【0061】
次に、感光体ドラム11に形成されたイエローのトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成されたイエローのトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。
【0062】
また、この例では、イエローのトナー像の一次転写が開始された後、イエローに対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、イエローの静電潜像の形成が終了する。なお、イエローに対応する露光信号の供給期間は、形成対象となる画像の大きさ(より具体的には画像の副走査方向長さ)に基づいて決まる(後述するマゼンタ、シアンおよび黒の露光信号の供給期間も同じ長さとなる)。そして、感光体ドラム11に形成されたイエローの静電潜像を現像して得られたイエローのトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、イエローのトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写される。なお、イエローの一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存するイエローのトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0063】
そして、感光体ドラム11に現像されたイエローのトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(b)に示す状態から図3(c)に示す状態へと移行する。このとき、イエロー現像器14Yは、現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止する。この間、イエロー現像器14Yに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過する前に、直流現像バイアスVB(DC)が直流現像電圧Vd2から通電検出電圧Vd1に切り替えられ(Vd2→Vd1)、且つ、交流現像バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。そして、イエロー現像器14Yに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過することに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触しなくなる。これにより、通電検出器93による通電が検出されなくなる(ON→OFF)。また、イエロー現像器14Yが現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止するまでの間に、イエロー現像器14Yに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が停止(ON→OFF)される。さらに、イエロー現像器14Yが退避位置Peで停止することに伴い、マゼンタ現像器14Mが待機位置Pwに到達して停止する。
【0064】
続いて、画像の形成対象となるシートSの搬送方向長さおよび中間転写ベルト20の周長(ベルト回転周期Tb)に基づいて予め決められたタイミングにて、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(c)に示す状態から図3(d)に示す状態へと移行する。このとき、マゼンタ現像器14Mは、待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像ロール142が接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触し始める。これにより、通電検出電圧Vd1の印加に起因する電流が、現像バイアス給電部100の板状電極112から、現像バイアス受電部142c、現像スリーブ142aおよび現像スリーブ142a上の現像剤を介して、感光体ドラム11に流れる。その結果、通電検出器93による通電が検出されるようになる(OFF→ON)。これに伴い、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられ(Vd1→Vd2)、且つ、交流現像バイアスの供給が開始される(OFF→ON)。また、マゼンタ現像器14Mが待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止するまでの間に、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が開始(OFF→ON)される。
【0065】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、マゼンタ現像器14Mが現像位置Pdで停止した後、マゼンタに対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、マゼンタのトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VLになる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部とし、露光電位VLを画像部とする、マゼンタに対応する静電潜像が形成される。
【0066】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置されたマゼンタ現像器14Mから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的にマゼンタのトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、マゼンタの静電潜像に応じたマゼンタのトナー像が現像される。
【0067】
次に、感光体ドラム11に形成されたマゼンタのトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成されたマゼンタのトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に既に転写されたイエローのトナー像の先端側が一次転写領域に到達するときに、感光体ドラム11上に形成されたマゼンタのトナー像の先端側が一次転写領域に到達するように、マゼンタに対応する露光信号の供給を制御している。このため、一次転写領域を通過した中間転写ベルト20には、イエローのトナー像の上にマゼンタのトナー像が重ね合わされる。
【0068】
また、この例では、マゼンタのトナー像の一次転写が開始された後、マゼンタに対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、マゼンタの静電潜像の形成が終了する。そして、感光体ドラム11に形成されたマゼンタの静電潜像を現像して得られたマゼンタのトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、マゼンタのトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され、イエローおよびマゼンタの重ねトナー像が形成される。なお、マゼンタの一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存するマゼンタのトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0069】
そして、感光体ドラム11に現像されたマゼンタのトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(d)に示す状態から図3(e)に示す状態へと移行する。このとき、マゼンタ現像器14Mは、現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止する。この間、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過する前に、直流現像バイアスVB(DC)が直流現像電圧Vd2から通電検出電圧Vd1に切り替えられ(Vd2→Vd1)、且つ、交流現像バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。そして、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過することに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触しなくなる。これにより、通電検出器93による通電が検出されなくなる(ON→OFF)。また、マゼンタ現像器14Mが現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止するまでの間に、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が停止(ON→OFF)される。さらに、マゼンタ現像器14Mが退避位置Peで停止することに伴い、シアン現像器14Cが待機位置Pwに到達して停止する。
【0070】
続いて、画像の形成対象となるシートSの搬送方向長さおよび中間転写ベルト20の周長(ベルト回転周期Tb)に基づいて予め決められたタイミングにて、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(e)に示す状態から図3(f)に示す状態へと移行する。このとき、シアン現像器14Cは、待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、シアン現像器14Cに設けられた現像ロール142が接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触し始める。これにより、通電検出電圧Vd1の印加に起因する電流が、現像バイアス給電部100の板状電極112から、現像バイアス受電部142c、現像スリーブ142aおよび現像スリーブ142a上の現像剤を介して、感光体ドラム11に流れる。その結果、通電検出器93による通電が検出されるようになる(OFF→ON)。これに伴い、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられ(Vd1→Vd2)、且つ、交流現像バイアスの供給が開始される(OFF→ON)。また、シアン現像器14Cが待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止するまでの間に、シアン現像器14Cに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が開始(OFF→ON)される。
【0071】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、シアン現像器14Cが現像位置Pdで停止した後、シアンに対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、シアンのトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VLになる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部とし、露光電位VLを画像部とする、シアンに対応する静電潜像が形成される。
【0072】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置されたシアン現像器14Cから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的にシアンのトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、シアンの静電潜像に応じたシアンのトナー像が現像される。
【0073】
次に、感光体ドラム11に形成されたシアンのトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成されたシアンのトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に既に転写されたイエローおよびマゼンタの重ねトナー像の先端側が一次転写領域に到達するときに、感光体ドラム11上に形成されたシアンのトナー像の先端側が一次転写領域に到達するように、シアンに対応する露光信号の供給を制御している。このため、一次転写領域を通過した中間転写ベルト20には、イエローおよびマゼンタの重ねトナー像の上にシアンのトナー像が重ね合わされる。
【0074】
また、この例では、シアンのトナー像の一次転写が開始された後、シアンに対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、シアンの静電潜像の形成が終了する。そして、感光体ドラム11に形成されたシアンの静電潜像を現像して得られたシアンのトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、シアンのトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され、イエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像が形成される。なお、シアンの一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存するシアンのトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0075】
そして、感光体ドラム11に現像されたシアンのトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(f)に示す状態から図3(g)に示す状態へと移行する。このとき、シアン現像器14Cは、現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止する。この間、シアン現像器14Cに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過する前に、直流現像バイアスVB(DC)が直流現像電圧Vd2から通電検出電圧Vd1に切り替えられ(Vd2→Vd1)、且つ、交流現像バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。そして、シアン現像器14Cに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過することに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触しなくなる。これにより、通電検出器93による通電が検出されなくなる(ON→OFF)。また、シアン現像器14Cが現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止するまでの間に、シアン現像器14Cに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が停止(ON→OFF)される。さらに、シアン現像器14Cが退避位置Peで停止することに伴い、黒現像器14Kが待機位置Pwに到達して停止する。
【0076】
続いて、画像の形成対象となるシートSの搬送方向長さおよび中間転写ベルト20の周長(ベルト回転周期Tb)に基づいて予め決められたタイミングにて、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(g)に示す状態から図3(h)に示す状態へと移行する。このとき、黒現像器14Kは、待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、黒現像器14Kに設けられた現像ロール142が接触開始位置Pc1を通過するのに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触し始める。これにより、通電検出電圧Vd1の印加に起因する電流が、現像バイアス給電部100の板状電極112から、現像バイアス受電部142c、現像スリーブ142aおよび現像スリーブ142a上の現像剤を介して、感光体ドラム11に流れる。その結果、通電検出器93による通電が検出されるようになる(OFF→ON)。これに伴い、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられ(Vd1→Vd2)、且つ、交流現像バイアスの供給が開始される(OFF→ON)。また、黒現像器14Kが待機位置Pwから接触開始位置Pc1を介して現像位置Pdに到達して停止するまでの間に、黒現像器14Kに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が開始(OFF→ON)される。
【0077】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、黒現像器14Kが現像位置Pdで停止した後、黒に対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、黒のトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VLになる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部とし、露光電位VLを画像部とする、黒に対応する静電潜像が形成される。
【0078】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置された黒現像器14Kから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的に黒のトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、黒の静電潜像に応じた黒のトナー像が現像される。
【0079】
次に、感光体ドラム11に形成された黒のトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成された黒のトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に既に転写されたイエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像の先端側が一次転写領域に到達するときに、感光体ドラム11上に形成された黒のトナー像の先端側が一次転写領域に到達するように、黒に対応する露光信号の供給を制御している。このため、一次転写領域を通過した中間転写ベルト20には、イエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像の上に黒のトナー像が重ね合わされる。
【0080】
また、この例では、黒のトナー像の一次転写が開始された後、黒に対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、黒の静電潜像の形成が終了する。そして、感光体ドラム11に形成された黒の静電潜像を現像して得られた黒のトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、黒のトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像が形成される。なお、黒の一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存する黒のトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0081】
そして、感光体ドラム11に現像された黒のトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に120°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(h)に示す状態から図3(a)に示す初期状態へと移行する。このとき、黒現像器14Kは、現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peの反対側に到達して停止する。この間、黒現像器14Kに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過する前に、直流現像バイアスVB(DC)が直流現像電圧Vd2から通電検出電圧Vd1に切り替えられ(Vd2→Vd1)、且つ、交流現像バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。そして、黒現像器14Kに設けられた現像ロール142が接触終了位置Pc2を通過することに伴い、給電体110の板状電極112と現像ロール142の現像バイアス受電部142cとが接触しなくなる。これにより、通電検出器93による通電が検出されなくなる(ON→OFF)。また、黒現像器14Kが現像位置Pdから接触終了位置Pc2を介して退避位置Peに到達して停止するまでの間に、黒現像器14Kに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動が停止(ON→OFF)される。さらに、第2の空き場所14S2が退避位置Peで停止することに伴い、イエロー現像器14Yが待機位置Pwに到達して停止する。
【0082】
なお、本実施の形態では、図3(h)に示す状態から図3(a)に示す状態への移行において、第1の空き場所14S1および第2の空き場所14S2を現像位置Pd等で停止させることなく飛び越すようにしている。そして、その際に、限られた時間内で回転式現像装置14の回転動作を完了させるために、他の回転動作時よりも回転式現像装置14の移動速度を速くしている。また、第1の空き場所14S1および第2の空き場所14S2には現像器が搭載されていないことから、この間に通電検出器93により通電が検出されることはなく、直流現像バイアスVB(DC)が通電検出電圧Vd1から直流現像電圧Vd2に切り替えられることもない。
【0083】
一方、B方向に回転する中間転写ベルト20に保持されたイエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像の後端がベルト清掃装置27との対向部位を通過した後であって、その後一次転写領域を通過することによってさらに黒のトナー像が重ねられたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像の先端が二次転写領域(中間転写ベルト20と二次転写ロール31との対向部)に到達する前に、二次転写ロール31およびベルト清掃装置27が、中間転写ベルト20と接する位置に移動(退避→進出)する。そして、中間転写ベルト20に保持されたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像の先端側が二次転写領域に到達するのに伴い、二次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に保持されたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像の先端側が二次転写領域に到達するときに、シートSの先端側が二次転写領域に到達するように、シートSの搬送制御を行っている。このため、二次転写領域において、中間転写ベルト20からシートSに対し、重ねトナー像の二次転写が行われる。
【0084】
そして、中間転写ベルト20に保持された重ねトナー像およびシートSが、二次転写領域を通過することに伴い、二次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)され、シートSに対する重ねトナー像の二次転写が完了する。なお、二次転写領域を通過したシートS上の重ねトナー像は、定着装置50によって定着される。一方、重ねトナー像の二次転写において、シートSに転写されず中間転写ベルト20側に残存する各色トナーは、中間転写ベルト20のB方向への回転に伴ってベルト清掃装置27との対向部に到達し、スクレーパ41によって除去される。
【0085】
それから、中間転写ベルト20における重ねトナー像の形成領域の後端がベルト清掃装置27との対向部を通過した後、二次転写ロール31およびベルト清掃装置27が、中間転写ベルト20から離れる位置に移動(進出→退避)する。
以上により、1枚のシートSに対するフルカラー画像の形成が完了する。
【0086】
では、上述したフルカラー画像形成動作における現像動作について、より詳細に説明を行う。
まず、図2および図4等を参照しつつ、現像位置Pdに配置された現像器(図2に示す例ではイエロー現像器14Y)の動作を説明する。
【0087】
現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yでは、駆動力の伝達に伴って第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144が回転しており、現像ハウジング141内で現像剤の攪拌搬送が行われている。この攪拌搬送により、現像剤を構成するトナーおよびキャリアは互いに摩擦し合うことになり、トナーが負極性に、キャリアが正極性に、それぞれ帯電する。その結果、攪拌搬送される現像剤において、キャリアに対しトナーが静電吸着した状態となる。そして、攪拌搬送される現像剤が現像ロール142との対向部に到達すると、磁石ロール142bに設けられた磁極と現像剤に含まれるキャリアとの間に働く磁力により、一部のキャリアが現像ロール142側に転移する。このとき、現像ロール142側に転移するキャリアにはトナーが静電吸着しているため、結果として現像剤が現像ロール142側に転移することになり、現像スリーブ142aの外周面に現像剤による現像剤層が形成される。
【0088】
また、現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yでは、駆動力の伝達に伴って現像スリーブ142aがD方向に回転している。これにより、現像スリーブ142aに形成された現像剤層は、現像スリーブ142aのD方向への回転に伴って搬送され、層厚規制部材145との対向部を通過する際に、その厚さが予め決められた厚さに規制され、感光体ドラム11と対向する現像ハウジング141の開口に運ばれる。なお、層厚規制部材145によって規制された現像剤は、重力によって第1攪拌搬送部材143側に戻される。
【0089】
さらに、現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yでは、現像バイアス給電部100による給電に伴って、現像スリーブ142aに対し直流現像バイアスVB(DC)(より具体的には直流現像電圧Vd2)および交流現像バイアスVB(AC)が供給されている。これにより、現像領域Adにおいて、現像スリーブ142a上の現像剤層から、感光体ドラム11上の画像部(露光電位VLとなっている領域)にトナーが静電的に転移し、静電潜像を現像して可視像化する。なお、この過程については後述する。
【0090】
その後、現像領域Adを通過した現像スリーブ142a上の現像剤層は、現像スリーブ142aのD方向への回転に伴って現像ハウジング141内に戻される。そして、現像ハウジング141内に戻された現像スリーブ142a上の現像剤層は、磁石ロール142bに設けられた磁極によって形成される反発磁界により、現像ロール142上から離脱して現像ハウジング141内に落下し、再び第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144によって攪拌搬送され、次の現像を待つこととなる。
【0091】
続いて、現像領域Adにおける現像の過程について、さらに詳細に説明を行う。
図11は、感光体ドラム11における帯電電位VHおよび露光電位VLと、現像領域Adにおいて現像スリーブ142aに供給される直流現像電圧Vd2との関係を説明するための図である。なお、図11には、直流現像電圧Vd2に加えて、通電検出電圧Vd1も記載している。
【0092】
本実施の形態では、帯電電位VHおよび露光電位VLがともに負極性となっているが、露光電位VLの大きさは、絶対値で帯電電位VHよりも小さい値となっている(|VL|<|VH|)。そして、本実施の形態における直流現像電圧Vd2は、負極性であってその絶対値の大きさが帯電電位VHと露光電位VLとの間の大きさに設定される(|VL|<|Vd2|<|VH|)。
【0093】
帯電電位VHと露光電位VLと直流現像電圧Vd2とが上述した関係を有している場合、現像領域Adを通過する現像スリーブ142a上のトナー(負極性に帯電)は、感光体ドラム11上で相対的に正の電位となる露光電位VL(画像部)の領域には転移(飛翔)しやすくなる一方、感光体ドラム11上で相対的に負の電位となる帯電電位VH(背景部)の領域には転移(飛翔)しにくくなる。なお、ここでは、トナーの飛翔しやすさを基準として考え、露光電位VLを基準とする露光電位VLと直流現像電圧Vd2との差を飛翔電位差Vdeveと呼び、直流現像電圧Vd2を基準とする直流現像電圧Vd2と帯電電位VHとの差を逆飛翔電位差Vclnと呼ぶ。なお、この例では、帯電電位VHが−550Vに、露光電位VLが−50Vに、そして直流現像電圧Vd2が−300Vに、それぞれ設定されている。
【0094】
これに対し、本実施の形態における通電検出電圧Vd1は、負極性であってその絶対値の大きさが帯電電位VHおよび露光電位VLの両者よりも小さくなるように設定される(|Vd1|<|VL|<|VH|)。ここで、通電検出電圧Vd1は、現像位置Pdの前後に現像器が存在しない場合に、現像器の存在を検出するために印加されるものであることから、放電や放電に伴うリークが発生しない程度の大きさで十分である。なお、この例では、通電検出電圧Vd1が−24V以下となるように設定されている。
【0095】
以上説明したように、本実施の形態では、画像形成動作において、本体側に設けられた板状電極112と回転式現像装置14に設けられた4つの現像バイアス受電部142cとの接触を検出した結果に基づいて、現像バイアスとして直流現像電圧Vd2の供給を開始するようにした。このため、例えば一般的なシーケンス制御を用いて直流現像電圧Vd2の供給を開始する場合と比較して、制御を簡易なものとすることができる。そして、本実施の形態では、例えば板状電極112や現像バイアス受電部142cが損傷してしまった場合には、板状電極112に現像バイアス受電部142cが接触しなくなることにより、現像バイアスとして直流現像電圧Vd2が供給されなくなるため、画像形成装置の安全性を高めることができる。
【0096】
特に、本実施の形態では、通常は現像バイアスとして直流現像電圧Vd2よりも小さい通電検出電圧Vd1を供給しておき、この通電検出電圧Vd1に起因する通電が検出された場合に、通電検出電圧Vd1を直流現像電圧Vd2に切り替えるようにしているので、例えば板状電極112と現像バイアス受電部142cとの接触を検知するセンサを別途設ける場合と比較して、構成を簡易なものとすることができる。
【0097】
また、本実施の形態では、通電検出時には直流の通電検出電圧Vd1のみを供給しておき、通電が検出された後は、直流現像電圧Vd2に加え交流現像バイアスを供給するようにしたので、通電検出において交流電圧を供給する必要がなくなり、その分、電源による消費電力を低減することができる。
【0098】
そして、本実施の形態では、通電検出時に供給する通電検出電圧Vd1の大きさを、直流現像電圧Vd2よりも小さくすること、より具体的には、通電検出電圧Vd1の大きさを−24V以下とすることにより、画像形成装置の安全性を高めることが可能になる。
【0099】
<実施の形態2>
実施の形態1では、現像位置Pdに配置された現像器に供給する現像バイアスの供給機構を利用し、現像器が現像位置Pdに近づいてきたことを、通電の有無に基づいて検出していた。これに対し、本実施の形態では、現像位置Pdに配置された現像器に供給する現像バイアスの供給機構を利用し、現像器が現像位置Pdに近づいてきたことを、板状電極112の変位に基づいて検出するようにしたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0100】
図12は、本実施の形態における給電体の構成を説明するための断面図である。なお、図12は、実施の形態1における図8と同様に、給電体110における周方向断面図を示しており、基台111aに設けられる壁部111bの記載を省略している。
【0101】
本実施の形態では、基台111aの上面(より具体的には中央側平坦面1111)に、基台111aに対する板状電極112の進退を検出する進退検出センサ114が設けられている。この進退検出センサ114としては、例えば板状電極112の進退を機械的、電気的あるいは光学的に検出するものを用いることができる。特に、進退検出センサ114として板状電極112の進退を機械的あるいは電気的に検出するものにあっては、例えば板状電極112と接触した際に、現像バイアスを供給するためのスイッチとして機能し得るものを用いることが、構成の簡易化の観点からは好ましい。
【0102】
図13は、本実施の形態の画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
ここで、実施の形態1における制御系(図9参照)との違いは、通電検出器93からの通電検出信号に代えて、検出部の一例としての進退検出センサ114による進退検出信号が、制御部60に入力されることである。
【0103】
では次に、本実施の形態における画像形成動作について説明を行う。なお、ここでは、実施の形態1と同じく、1枚のシートSに対し、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒を含む4色のフルカラー画像を形成する場合を例とする。
【0104】
図14は、本実施の形態でのフルカラー画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示している。ここで、図14は、時間の経過と、感光体ドラム駆動モータ81による感光体ドラム11の回転駆動[(1)感光体ドラム駆動]と、帯電電源82による帯電ロール12への帯電バイアスの供給[(2)帯電バイアス]と、光源駆動部83による露光装置13への露光信号の供給[(3)露光信号]と、現像装置駆動モータ84による回転式現像装置14の回転駆動[(4)現像装置駆動]と、現像位置Pdに配置される現像器[(5)現像位置の現像器]と、現像スリーブ駆動モータ85による現像スリーブ142aの回転駆動[(6)現像スリーブ駆動]と、進退検出センサ114による板状電極112の進退の検出[(7)進退検出]と、直流現像電源86による現像スリーブ142aへの直流現像バイアスVB(DC)の供給[(8)直流現像バイアス]と、交流現像電源87による現像スリーブ142aへの交流現像バイアスVB(AC)の供給[(9)交流現像バイアス]と、中間転写ベルト駆動モータ88による中間転写ベルト20の回転駆動[(10)中間転写ベルト駆動]と、一次転写電源89による一次転写ロール15への一次転写バイアスの供給[(11)一次転写バイアス]と、感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが対向する一次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(12)一次転写通過画像]と、ベルト清掃装置駆動モータ90の駆動に伴うベルト清掃装置27の位置[(13)ベルト清掃装置位置]と、二次転写ロール駆動モータ91の駆動に伴う二次転写ロール31の位置[(14)二次転写ロール位置]と、二次転写電源92による二次転写部30への二次転写バイアスの供給[(15)二次転写バイアス]と、中間転写ベルト20と二次転写ロール31とが対向する二次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(16)二次転写通過画像]との関係を示している。
【0105】
ここで、本実施の形態におけるフルカラー画像形成動作は、基本的に実施の形態1で説明したものと同じであるので、相違点についてのみ述べる。
【0106】
まず、実施の形態1では、直流現像バイアスが、「OFF」、「通電検出電圧Vd1」、そして「直流現像電圧Vd2」の三段階に切り替えられるようになっていた。これに対し、本実施の形態では、直流現像バイアスが、「OFF」および「ON」の二段階に切り替えられるようになっている。なお、本実施の形態において、直流現像バイアスが「ON」であるとは、直流現像バイアスが「直流現像電圧Vd2」に設定されることを意味する。
【0107】
また、実施の形態1では、直流現像バイアスとして「通電検出電圧Vd1」が供給されている状態で、通電検出が「OFF」から「ON」に切り替わったことを起点として、直流現像バイアスを「通電検出電圧Vd1」から「直流現像電圧Vd2」に切り替え、且つ、「交流現像バイアス」を「OFF」から「ON」に切り替えていた。これに対し、本実施の形態では、進退検出が「OFF」から「ON」に切り替わったこと(離間状態から接近状態に移行したこと)を起点として、直流現像バイアスを「OFF」から「ON(直流現像電圧Vd2)」に切り替え、且つ、「交流現像バイアス」を「OFF」から「ON」に切り替えている。
【0108】
このように、本実施の形態では、画像形成動作において、本体側に設けられた板状電極112と回転式現像装置14に設けられた4つの現像バイアス受電部142cとの接触を検出した結果に基づいて、現像バイアスとして直流現像電圧Vd2の供給を開始するようにした。このため、例えば一般的なシーケンス制御を用いて直流現像電圧Vd2の供給を開始する場合と比較して、制御を簡易なものとすることができる。
【0109】
特に、本実施の形態では、板状電極112と現像バイアス受電部142cとが接触していない場合には板状電極112に対する現像バイアスが行われないので、例えば上述した実施の形態1の場合と比較して、画像形成装置の安全性をより高めることができる。
【0110】
また、上述した実施の形態1、2では、帯電ロール12を用いた接触帯電方式にて感光体ドラム11の帯電を行い、一次転写ロール15および二次転写部30(二次転写ロール31およびバックアップロール26)を用いた接触転写方式にて画像の転写を行うようにしていたが、これに限られるものではなく、コロトロン等を用いた非接触帯電方式(非接触転写方式)を採用してもかまわない。
【符号の説明】
【0111】
11…感光体ドラム、12…帯電ロール、13…露光装置、14…回転式現像装置、14a…回転軸、14Y…イエロー現像器、14M…マゼンタ現像器、14C…シアン現像器、14K…黒現像器、14S1…第1の空き場所、14S2…第2の空き場所、15…一次転写ロール、16…ドラム清掃装置、20…中間転写ベルト、30…二次転写部、50…定着装置、60…制御部、100…現像バイアス給電部、110…給電体、111…筐体、112…板状電極、113…コイルばね、114…進退検出センサ、120…組電線、141…現像ハウジング、142…現像ロール、142a…現像スリーブ、142b…磁石ロール、142c…現像バイアス受電部、143…第1攪拌搬送部材、144…第2攪拌搬送部材、145…層厚規制部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられるとともに静電潜像を保持する潜像保持体と、
それぞれが現像剤を収容し且つ外部から給電を受けるための受電電極を有する現像器を複数備え、前記潜像保持体と対向する現像位置に、回転に伴って複数の当該現像器を順次配置するとともに、当該現像位置に配置された現像器にて当該潜像保持体上の静電潜像を現像する現像部と、
前記現像部の回転に伴い前記現像位置に向かって移動してくる現像器の受電電極と接触するように設けられ、接触した当該受電電極を介して当該現像器に現像バイアスを給電するための給電電極と、
前記給電電極と前記受電電極との接触を検出する検出部と、
前記検出部によって前記給電電極と前記受電電極との接触が検知されることに伴い、当該給電電極に前記現像バイアスを供給する供給部と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記供給部は、前記給電電極と前記受電電極とが接触していないときに、当該給電電極に前記現像バイアスよりも大きさが小さい検出バイアスを供給し、
前記検出部は、前記給電電極を介して電流が流れることに伴い、当該給電電極と前記受電電極との接触を検出すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記供給部は、前記検出バイアスとして直流電圧を供給するとともに、前記現像バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を供給することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出バイアスにおける直流電圧の大きさが、前記現像バイアスにおける直流電圧の大きさよりも小さいことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記給電電極は、前記受電電極との接触に伴って変位するように構成されており、
前記検出部は、前記給電電極が変位することに伴い、当該給電電極と前記受電電極との接触を検出すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
回転可能に設けられるとともに静電潜像を保持する潜像保持体と、
それぞれが現像剤を収容し且つ外部から給電を受けるための受電電極を有する現像器を複数備え、前記潜像保持体と対向する現像位置に、回転に伴って複数の当該現像器を順次配置するとともに、当該現像位置に配置された現像器にて当該潜像保持体上の静電潜像を現像する現像部と、
導電性を有するとともに前記現像部の回転方向に沿い且つ前記現像位置を跨ぐように配置され、前記現像部の回転に伴い前記現像位置に向かって移動してくる現像器の受電電極と接触する給電電極と、
前記給電電極に電圧を供給する電源と、
前記給電電極を介した通電を検出する通電検出部と、
前記通電検出部により通電が検出されない場合に前記電源から前記電圧として第1の電圧を供給させ、当該通電検出部により通電が検出された場合に当該電圧を当該第1の電圧から当該第1の電圧よりも大きい第2の電圧に変更する変更部と
を含む画像形成装置。
【請求項7】
前記変更部は、前記第1の電圧および前記第2の電圧として直流電圧を供給させ、さらに前記通電検出部により通電が検出された場合に、当該第2の電圧に加えて交流電圧である第3の電圧を供給させることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記潜像保持体を帯電電位に帯電する帯電部と、
前記帯電電位に帯電された前記潜像保持体を露光することで露光電位を形成し、当該帯電電位および当該露光電位によって前記静電潜像を形成する露光部とをさらに含み、
前記第1の電圧は前記帯電電位および前記露光電位の両者よりも小さく、前記第2の電圧は当該帯電電位よりも小さく且つ当該露光電位よりも大きいことを特徴とする請求項6または7記載の画像形成装置。
【請求項1】
回転可能に設けられるとともに静電潜像を保持する潜像保持体と、
それぞれが現像剤を収容し且つ外部から給電を受けるための受電電極を有する現像器を複数備え、前記潜像保持体と対向する現像位置に、回転に伴って複数の当該現像器を順次配置するとともに、当該現像位置に配置された現像器にて当該潜像保持体上の静電潜像を現像する現像部と、
前記現像部の回転に伴い前記現像位置に向かって移動してくる現像器の受電電極と接触するように設けられ、接触した当該受電電極を介して当該現像器に現像バイアスを給電するための給電電極と、
前記給電電極と前記受電電極との接触を検出する検出部と、
前記検出部によって前記給電電極と前記受電電極との接触が検知されることに伴い、当該給電電極に前記現像バイアスを供給する供給部と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記供給部は、前記給電電極と前記受電電極とが接触していないときに、当該給電電極に前記現像バイアスよりも大きさが小さい検出バイアスを供給し、
前記検出部は、前記給電電極を介して電流が流れることに伴い、当該給電電極と前記受電電極との接触を検出すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記供給部は、前記検出バイアスとして直流電圧を供給するとともに、前記現像バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を供給することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出バイアスにおける直流電圧の大きさが、前記現像バイアスにおける直流電圧の大きさよりも小さいことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記給電電極は、前記受電電極との接触に伴って変位するように構成されており、
前記検出部は、前記給電電極が変位することに伴い、当該給電電極と前記受電電極との接触を検出すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
回転可能に設けられるとともに静電潜像を保持する潜像保持体と、
それぞれが現像剤を収容し且つ外部から給電を受けるための受電電極を有する現像器を複数備え、前記潜像保持体と対向する現像位置に、回転に伴って複数の当該現像器を順次配置するとともに、当該現像位置に配置された現像器にて当該潜像保持体上の静電潜像を現像する現像部と、
導電性を有するとともに前記現像部の回転方向に沿い且つ前記現像位置を跨ぐように配置され、前記現像部の回転に伴い前記現像位置に向かって移動してくる現像器の受電電極と接触する給電電極と、
前記給電電極に電圧を供給する電源と、
前記給電電極を介した通電を検出する通電検出部と、
前記通電検出部により通電が検出されない場合に前記電源から前記電圧として第1の電圧を供給させ、当該通電検出部により通電が検出された場合に当該電圧を当該第1の電圧から当該第1の電圧よりも大きい第2の電圧に変更する変更部と
を含む画像形成装置。
【請求項7】
前記変更部は、前記第1の電圧および前記第2の電圧として直流電圧を供給させ、さらに前記通電検出部により通電が検出された場合に、当該第2の電圧に加えて交流電圧である第3の電圧を供給させることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記潜像保持体を帯電電位に帯電する帯電部と、
前記帯電電位に帯電された前記潜像保持体を露光することで露光電位を形成し、当該帯電電位および当該露光電位によって前記静電潜像を形成する露光部とをさらに含み、
前記第1の電圧は前記帯電電位および前記露光電位の両者よりも小さく、前記第2の電圧は当該帯電電位よりも小さく且つ当該露光電位よりも大きいことを特徴とする請求項6または7記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−92587(P2013−92587A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233407(P2011−233407)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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