説明

画像情報処理システム

【課題】直感的に理解しやすいユーザ・インタフェースを有する画像情報処理システムを提供する。
【解決手段】アダプター300は、位置検出装置400が発信した超音波のエコーを返す。これを受け取った位置検出装置400はアダプター300の位置を示す位置情報を生成し、作業シート100へ送信する。作業シート100は、受信した位置情報に基づき、アダプター300と表示媒体200の各パワー受給コイルに重なる作業シート100の各パワー供給コイルを特定して磁界結合を形成し、表示媒体200とアダプター300に電力を供給する。利用者が各アダプターに送信すべき画像データを指示すると、サーバ500はその画像データをパケットに分割し、これらのヘッダ部分に、対応するアダプター識別情報を記述して、送信する。アダプター300は、自身あてのパケットを抽出し、元の画像データを構築して送信し、表示媒体200に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報処理システムにおけるユーザ・インタフェースの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータのGUI(Graphical User Interface)において、表示を三次元構造化することにより、人の空間感覚を情報認識/操作に組み込み、複数のコンテンツに対する情報操作ユーザビリティを改善する技術が開発されている。さらに、アイコンなどのディスプレイ内に表示されるユーザ・インタフェースに対して、間接的に人の空間感覚を応用する以外に、タンジブル・ビットのような物理的なユーザ・インタフェースによって、直接的に人の空間感覚に訴える情報操作ユーザビリティの技術が開発されている。物理的なユーザ・インタフェースはディスプレイ内に表示されるユーザ・インタフェースと異なり、実際にその物に触れたり掴めたりするため、人がその物に対してどのような物理的操作ができるかということを直感的に理解しやすいという利点がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、ビジュアル・マーカーを表面に含んだ物理オブジェクトを介して実空間とコンピュータ上の論理空間とを連携する発明が開示されている。また、特許文献2には、複数の媒体(コンテンツ)を画像認識により連携させ、実空間での情報操作を可能とする発明が開示されている。
【特許文献1】特開2001−175374号公報
【特許文献2】特開2001−265523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、電子ペーパーなどの表示手段を実空間での情報操作に用いた画像情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明に係る画像情報処理システムは、複数の電力供給素子が配列された面と、前記面に置かれ、前記電力供給素子を介して供給される電力を用いて画像データに応じた画像を表示する表示手段と、前記表示手段に重ねて置かれ、当該表示手段に前記画像データを送信する送信手段と、前記送信手段の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段が検出した位置に基づいて、少なくとも一つの前記電力供給素子を選択する選択手段と、前記選択手段が選択した前記電力供給素子により、前記表示手段に電力を供給する電力供給手段とを具備することを特徴とする。
【0006】
好ましくは、前記送信手段は、自身に割り当てられた第1識別情報を記憶する記憶手段と、外部装置から第2識別情報を付した画像データを受信する受信手段と、前記記憶手段から読み出した前記第1識別情報と、前記受信手段が受信した前記画像データに付された第2識別情報を比較して、両者が一致するか否かを判定する比較判定手段とを有し、前記比較判定手段により、前記第1識別情報と前記第2識別情報とが一致すると判定した場合には、当該第2識別情報が付された画像データを前記表示手段に送信するとよい。
【0007】
また、好ましくは、前記送信手段は、前記画像データを要求する要求信号を生成し、前記記憶手段から読み出した前記第1識別情報を付して前記外部装置に送信する要求手段を有し、前記受信手段は、前記要求手段による要求に応じて前記外部装置から第2識別情報を付して送信されてくる画像データを受信するとよい。
【0008】
また、好ましくは、前記表示手段は、自身に割り当てられた第3識別情報を出力し、前記送信手段は、自身が重ねて置かれている前記表示手段が出力した前記第3識別情報を受け取る受取手段を有し、前記要求手段は、前記受取手段が受け取った前記第3識別情報を、前記要求信号に含めて外部装置に送信し、前記比較判定手段は、前記受取手段が受け取った前記第3識別情報と、前記受信手段が受信した前記画像データに付された第2識別情報とを比較して、両者が一致するか否かを判定し、前記比較判定手段により、前記第3識別情報と前記第2識別情報とが一致すると判定した場合には、前記表示手段に当該第2識別情報が付された画像データを送信するとよい。
【0009】
また、好ましくは、前記表示手段は、自身に割り当てられた第3識別情報を出力し、前記送信手段は、自身が重ねて置かれている前記表示手段が出力した前記第3識別情報を受け取る受取手段を有し、前記受取手段が受け取った前記第3識別信号に応じて、当該表示手段に前記画像データを送信するとよい。
【0010】
また、好ましくは、前記送信手段は、前記画像データを要求する要求信号を生成して外部装置に送信する要求手段と、前記要求信号に応じて外部装置から送信されてくる前記画像データを受信する受信手段とを有し、前記受信手段が受信した画像データを前記表示手段に送信するとよい。
【0011】
また、好ましくは、前記送信手段は、利用者からの指示を受け取る指示受取手段を有し、前記指示受取手段が受け取った指示が示す処理の内容に応じて、前記表示手段に前記画像データを送信するとよい。
【0012】
また、本発明に係る画像情報処理システムは、複数の電力供給素子および複数の通信素子が配列された面と、前記面に置かれ、前記電力供給素子を介して供給される電力を用いて、前記通信素子を介して供給される画像データに応じた画像を表示する表示手段と、前記表示手段に重ねて置かれる被測位体と、前記被測位体の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段が検出した位置に基づいて、少なくとも一つの前記電力供給素子および少なくとも一つの通信素子をそれぞれ選択する選択手段と、前記選択手段が選択した前記電力供給素子により、前記表示手段に電力を供給する電力供給手段と、前記選択手段が選択した前記通信素子により、前記表示手段に前記画像データを供給する画像データ供給手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記表示手段は、自身に割り当てられた第4識別情報を出力し、前記面は、前記表示手段が出力した前記第4識別情報を前記選択手段が選択した通信素子により受け取る受取手段と、前記画像データを要求する要求信号に、前記受取手段が受け取った前記第4識別情報を含めて外部装置に送信する要求手段と、前記要求信号に応じて外部装置から送信されてくる第5識別情報が付された前記画像データを受信する受信手段と、前記受取手段が受け取った前記第4識別情報と、前記受信手段が受信した前記画像データに付された第5識別情報を比較して、両者が一致するか否かを判定する比較判定手段とを有し、前記比較判定手段により、前記第4識別情報と前記第5識別情報とが一致すると判定した場合には、前記表示手段に当該第5識別情報が付された画像データを送信するとよい。
【0014】
また、好ましくは、前記被測位体は、利用者からの指示を受け取る指示受取手段を有し、前記要求手段は、前記指示受取手段が受け取った指示が示す処理の内容に応じて、前記要求信号を生成するとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る画像情報処理システムによれば、そのユーザ・インタフェースが人にとって直感的に理解しやすいため、操作の習得が容易になり、作業効率が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A:構成)
(A−1:画像情報処理システムの全体構成)
図1は画像情報処理システム1の全体構成を示す図である。また、図2は画像情報処理システム1の各構成装置の関係を示したブロック図である。図1に示すように、画像情報処理システム1は、薄手の平面状に構成された電力供給装置である作業シート100と、薄手の平面状に構成された表示装置である表示媒体200−1、200−2(以下、これらを区別しないときは単に表示媒体200という)と、平面状の底面を有するアダプター300−1、300−2(以下、これらを区別しないときは単にアダプター300という)と、作業シート100の上に置かれた物体の位置を検出する位置検出装置400と、表示媒体200に表示させる画像を示す画像データを供給するサーバ500とを備える。表示媒体200は、作業シート100の上に置かれた状態で使用され、アダプター300は、表示媒体200の上に重ねて置かれた状態で使用される。作業シート100と位置検出装置400は通信ケーブルによって接続され、アダプター300とサーバ500は赤外線やBluetooth(登録商標)などの無線通信により通信可能に構成されている。図1には表示媒体200およびアダプター300をそれぞれ2つずつ示しているが、この表示媒体200およびアダプター300はそれぞれ1つであっても、3つ以上であってもよい。また、図1には位置検出装置400を1つだけ示しているが、この位置検出装置400は複数あってもよい。
【0017】
作業シート100は、平らな面を有し、その面から表示媒体200およびアダプター300に対して磁界結合を利用して電力の供給を行う装置である。以下、この作業シート100の面のことを送信面という。サーバ500はアダプター300に対して無線通信を利用して画像データの供給を行う装置である。アダプター300は、作業シート100の送信面から供給される電力を用いて、サーバ500から受け取った画像データを表示媒体200に供給する装置である。表示媒体200は、作業シート100の送信面から供給される電力を用いて、アダプター300から受け取った画像データに基づいた画像を表示する装置である。位置検出装置400は超音波を発信し、測位対象物から反射されてくる超音波(以下、エコーという)を受信し、エコーの入射角と、発信から受信までにかかった時間とから、その対象物の位置を検出する装置である。この位置検出装置400が超音波を発信する方向や範囲は予め適切に調整されており、これにより、位置検出装置400の検出対象となる領域は、作業シート100の送信面全域をカバーするようになっている。図1の場合、位置検出装置400の測位対象物はアダプター300であり、位置検出装置400はアダプター300の位置を検出して、その位置を表す位置情報を作業シート100に出力する。
【0018】
(A−2:表示媒体の構成)
図3は表示媒体200の構成を示すブロック図である。
制御部230はCPU(Central Processing Unit)などの演算装置であり、バス290を介して、媒体側通信コイル層201、パワー受給コイル層211、記憶部240及び表示部250を制御する。記憶部240はROM(Read Only Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などのメモリであり、表示部250に表示する画像データや制御部230に読み込まれる制御プログラムなどを記憶する。この制御部230と記憶部240はフィルム状の電子回路基板である基板200Bの中に設けられている。媒体側通信コイル層201は、アダプター300から画像データを受け取る、少なくとも1つの媒体側通信コイル201cを備える。パワー受給コイル層211は、作業シート100から供給される電力を受け取る、少なくとも1つのパワー受給コイル211cを備えている。表示媒体200の平面上における当該パワー受給コイル211cの位置は予め定められている。表示部250は例えば矩形の表示領域を有しており、制御部230による制御の下で、画像データに基づいた画像をその表示領域に表示する。この表示部250の表示方式は、電力の供給がなくても、一定期間表示内容を維持することができる表示方式であり、例えば、マイクロカプセル方式をはじめ、電子粉流体方式、液晶方式など様々な方式を採用することができる。
【0019】
(A−3:アダプターの構成)
図4はアダプター300の構成の一例を示すブロック図である。
制御部330はCPUなどの演算装置であり、バス390を介して、アダプター側通信コイル301、パワー受給コイル311、記憶部340及び通信部350を制御する。記憶部340はROMやSRAMなどのメモリであり、表示媒体200に送信する画像データや制御部330に読み込まれる制御プログラムなどを記憶するほか、アダプター300に固有のアダプター識別情報AIDを記憶する。アダプター側通信コイル301は、表示媒体200の媒体側通信コイル201cとの間で磁界結合を形成することにより、表示媒体200に画像データを送信する。通信部350は、サーバ500に対して上述のアダプター識別情報AIDに対応する信号を送信するほか、サーバ500から画像データを受け取る。パワー受給コイル311は、作業シート100から供給される電力を受け取る。
【0020】
(A−4:作業シートの構成)
図5は作業シート100の構成の一例を示す図である。
図に示すように、作業シート100は、パワー供給コイル層111と、制御部130と、記憶部140と、外部機器インタフェース150とを備え、これらがバス190を介して接続されている。制御部130、記憶部140および外部機器インタフェース150は電子回路基板である基板100Bの中に設けられている。
パワー供給コイル層111は、碁盤目状に配列された複数のパワー供給コイル111cを備えている。これらパワー供給コイル111cにはそれぞれ固有の識別情報SID(後述する)が割り当てられている。各々のパワー供給コイル111cは、制御部130の制御の下で駆動する固有のスイッチ(図示略)を備えており、オンにされたスイッチに対応するパワー供給コイル111cには、図示せぬ電源から電流が流される構成になっている。これにより作業シート100は電磁波を送出し、表示媒体200およびアダプター300に対する無線送電を行う。なお、パワー供給コイル111cは碁盤目状に配列されているが、配列の態様は千鳥状に配列するなど他の態様であってもよい。
【0021】
制御部130は、例えばCPUなどの演算装置であり、記憶部140に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより、作業シート100の各部を制御する。記憶部140はフラッシュメモリなどの記憶装置であり、制御部130に読み込まれる制御プログラムを記憶する。さらに、この記憶部140は、パワー供給コイル111cとその位置との対応関係を記述するコイル位置対応表141とを記憶する。外部機器インタフェース150は、USB(Universal Serial Bus)などの接続端子であり、USBケーブルなどの通信ケーブルを介して位置検出装置400に接続されており、位置検出装置400から出力される位置情報を受け取る。
【0022】
(A−5:コイル位置対応表の構成)
次に、コイル位置対応表141の詳細について説明する。
図6はコイル位置対応表141の一例を示す図であり、この図に示すようなコイル位置対応表141が記憶部140の所定の領域に予め記憶されている。このコイル位置対応表141には、パワー供給コイル層111に設けられた全てのパワー供給コイル111cの識別情報SIDと、各パワー供給コイル111cの中心座標とが対応付けられて記述されている。この中心座標は、作業シート100の送信面に定めた2次元のXY座標によって表わされる。
【0023】
図7(a)は、表示媒体200およびアダプター300が作業シート100の送信面に置かれた状態を鉛直方向上方から見た平面図であり、同図(b)は同図(a)に示したアダプター300近傍の拡大図である。作業シート100の送信面を上方から見たとき、実際にはコイルは目に見えないが、ここでは、各コイルの位置関係を説明するため、各コイルを図中に示している。また、図8は、表示媒体200およびアダプター300が作業シート100の送信面に置かれたときの断面図である。
表示媒体200の4隅のうちの1つにおいては、アダプター300の底面と大きさおよび形状が同じ領域が例えば赤色などで着色されている。以下、この領域を着色領域aという。そして、アダプター300は必ず表示媒体200の着色領域aに重ねて置かれるように定められている。図7(b)に示すように、この着色領域aの形状は、矩形の一部に切り欠き部分を設けた形状であり、回転対称性を持たない形状となっている。つまり、この着色領域aの形状(即ちアダプター300の底面の形状)は、360度未満のいずれの角度に回転しても、元の図形と重ならない形状である。これにより、アダプター300の底面の形状と表示媒体200の着色領域aとを一対一に対応させる構成となっている。
【0024】
そして、表示媒体200においては、この着色領域aの下方の予め定められた位置に媒体側通信コイル201cとパワー受給コイル211cがそれぞれ設けられている。一方、アダプター300においては、表示媒体200側の媒体側通信コイル201cに対応する位置に、アダプター300側のアダプター側通信コイル301が設けられ、表示媒体200側のパワー受給コイル211cに対応する位置に、アダプター300側のパワー受給コイル311が設けられている。これにより、利用者がこの着色領域aを目印にしてアダプター300をここに重ねて置くと、図8に示すように、表示媒体200側のパワー受給コイル211cとアダプター300側のパワー受給コイル311とが重なるとともに、表示媒体200側の媒体側通信コイル201cとアダプター300側のアダプター側通信コイル301とが重なるようになっている。
【0025】
また、作業シート100の制御部130は、表示媒体200側のパワー受給コイル211cを設けた着色領域a内部の位置を記憶部140に予め記憶しており、この位置と上述した位置検出装置400から出力される位置情報とに基づいて、パワー供給コイル層111に碁盤目状に配列された複数のパワー供給コイル111cのうち、少なくとも1つを選択して、これに電流を流す。このとき選択されたパワー供給コイル111cは、表示媒体200のパワー受給コイル211cと、アダプター300のパワー受給コイル311とに重なるコイルである。表示媒体200のパワー受給コイル211cは、自身のコイル周の内側領域に重なっている上記パワー供給コイル111cから電磁波を受けて磁界結合を形成し、表示媒体200を駆動する電力を得る。同様に、アダプター300のパワー受給コイル311も、自身のコイル周の内側領域に重なっている上記パワー供給コイル111cから電磁波を受けて磁界結合を形成し、アダプター300を駆動する電力を得る。
【0026】
なお、パワー受給コイル211cはパワー供給コイル111cと任意の相対位置に置かれるため、上述した磁界結合を形成するためには、パワー受給コイル211cがパワー供給コイル111cよりも大きいことが望ましい。同様に、パワー受給コイル311はパワー供給コイル111cよりも大きいことが望ましい。
【0027】
(A−6:サーバの構成)
図9はサーバ500の構成の一例を示すブロック図である。
制御部530はCPUなどの演算装置であり、バス590を介して、記憶部540、通信部550、操作部560及び表示部570を制御する。記憶部540はハードディスクドライブなどの大容量記憶装置であり、制御部530に読み込まれる基本OSやプログラムを記憶するほか、後述する画像データ対応表541、画像ファイル群542を記憶する。表示媒体200の表示部250は、同時に1ページ分の画像データを表示するが、この画像データは、1又は複数ページの画像データからなるファイルであり、各画像データにはページ番号が割り当てられている。画像ファイル群542は、このファイルが複数集合した群であり、ファイル毎に区切られ、各ファイル名によって管理される。
【0028】
通信部550は、アダプター300から上述のアダプター識別情報AIDに対応する信号を受け取るほか、アダプター300へ画像データを送信する。操作部560は例えばメニュー画面に表示されたリスト中のいずれかの項目を選択するための方向ボタンやスイッチ、ウィンドウに表示されたボタンをクリックするためのマウスなどを備えており、利用者による操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部530に供給する。表示部570は、例えば液晶ディスプレイ装置であり、制御部530から与えられるデータに基づいて利用者との対話画面や各種の情報を表示する。
【0029】
(A−7:画像データ対応表の構成)
次に、上述した画像データ対応表541の詳細について説明する。
図10は画像データ対応表541の一例を示す図であり、この図に示すような画像データ対応表541が記憶部540の所定の領域に予め記憶されている。画像データ対応表541には、各アダプター300のアダプター識別情報AIDと、そのアダプター識別情報AIDが示すアダプター300に対して最後に送信した画像データが属するファイルのファイル名と、その画像データに割り当てられたページ数とが対応付けられて記述されている。図に示す例では、アダプター識別情報AIDが「AID−1」であるアダプター300に対しては、ファイル名「DATA1」に含まれるページ「1」にあたる画像データが最後に送信されたことが記述されている。
【0030】
(B:動作)
次に、画像情報処理システム1の動作を説明する。
図11は画像情報処理システム1の動作の流れを説明するためのシーケンス図である。利用者は作業シート100の上に表示媒体200を置き、作業シート100の図示しない電源ボタンを押下すると、作業シート100に電力が供給され(ステップSA01)、通信ケーブルを通じて位置検出装置400に電力が供給される(ステップSA02)。電力が供給された位置検出装置400は、作業シート100の送信面全域に向けて、超音波を発信する(ステップSA03)。この超音波は当該送信面の鉛直上方に少し間隔(例えば1〜3cm)をおいて発信されるため、薄い表示媒体200には当たらない。利用者が表示媒体200の上にアダプター300を置くと、アダプター300は上述した間隔よりも大きい厚みがあるため、上述の超音波が当たり、エコーを位置検出装置400に返す(ステップSA04)。
【0031】
エコーを受け取った位置検出装置400は、超音波を発信してからエコーを受け取るまでの時間と受け取ったエコーの入射角に基づいてアダプター300の位置を示す位置情報を生成する(ステップSA05)。ここで図12は、位置検出装置400が検出したエコーの入射角とアダプター300の位置の関係を例示した図である。超音波の速度は気圧と温度の関数であるが、ここでは説明の簡単のため秒速340メートルとする。図に示すように、作業シート100の頂点の1点に位置検出装置400の超音波発信源が設置されている。位置検出装置400は、この点を原点Oとし、作業シート100の送信面に定めた2次元のXY座標によって、アダプター300が置かれた位置を検出する。いま、アダプター300が置かれ、点Pによって、エコーを反射させたとし、超音波発信からエコーを受け取るまでの時間をt秒とすると、O−P間の距離L[メートル]は L=340×t/2 である。エコーの入射角はθであるので、点PのXY座標は(L・cosθ,L・sinθ)と表される。位置検出装置400はこのXY座標を位置情報として生成し、作業シート100へ送信する(ステップSA06)。
【0032】
図10に戻る。作業シート100は、受信した位置情報に基づき、アダプター300のパワー受給コイル311の座標を算出する。また、アダプター300は必ず表示媒体200の左上隅に重ねて置かれるように決められているので、表示媒体200のパワー受給コイル211cの座標も算出する。そして、コイル位置対応表141を参照して、これら算出した座標に最も近い位置にあるパワー供給コイル111cをそれぞれ特定する(ステップSA07)。パワー受給コイル311の座標に最も近い位置にあるパワー供給コイル111cが特定されると、制御部130は、この特定されたパワー供給コイル111cに電流を流し、パワー受給コイル311との間で磁界結合を形成して、アダプター300に電力を供給する(ステップSA08)。同様に、パワー受給コイル211cの座標に最も近い位置にあるパワー供給コイル111cが特定されると、制御部130は、この特定されたパワー供給コイル111cに電流を流し、パワー受給コイル211cとの間で磁界結合を形成して、アダプター300に電力を供給する(ステップSA09)。なお、ステップSA08とステップSA09は同時に行われてもよいし、いずれか一方が他方より先に行われてもよい。
【0033】
電力が供給されると、アダプター300の制御部330は、記憶部340からアダプター識別情報AIDを読み出し、これに応じた信号を通信部350から無線通信によりサーバ500に送信する(ステップSA10)。サーバ500の制御部530は、通信部550から上記信号を受信して、画像データ対応表541を参照し、このアダプター識別情報AIDが示すアダプター300に対して最後に送信した画像データが属するファイルのファイル名およびその画像データに割り当てられたページ数を読み出す。そして、制御部530は、表示部570に、読み出したファイル名およびページ数を、アダプター識別情報AIDごとに表示する(ステップSA11)。
【0034】
利用者がこの表示を見て、操作部560に対し、各アダプターに送信すべき画像データを指示する入力操作を行うと、制御部530はこれを受けて、画像ファイル群542を検索し、当該画像データを読み出すと共に、画像データ対応表541に記述された古いファイル名およびページ数を新しく指示されたものに更新する(ステップSA12)。そして、制御部530は、読み出した画像データをパケットに分割し、各パケットのヘッダ部分に、対応するアダプター識別情報AIDを記述して、通信部550から無線通信により送信する(ステップSA13)。アダプター300の制御部330は、通信部350を介して、このパケットを受け取ると、パケットのヘッダ部分に記述されたアダプター識別情報AIDと、当該アダプター300に割り当てられたアダプター識別情報AIDとを比較して、一致するパケットを抽出し、これらパケット群を用いて元の画像データを構築する(ステップSA14)。そして、制御部330は、この画像データをアダプター側通信コイル301から媒体側通信コイル201cへ送信する(ステップSA15)。表示媒体200の制御部230はこの画像データを受け取って、その画像データが表す画像を表示部250に表示する(ステップSA16)。
【0035】
以上説明した実施形態によれば、表示媒体200を作業シート100の送信面上のどの位置に置いたとしても、作業シート100から表示媒体200に対して電力と画像データを供給して、表示媒体200に画像を表示させることができる。よって、表示媒体200には、電源も必要ないし、画像データを記憶する不揮発性の記憶手段も必要ない。
また、表示媒体200が表示した表示内容は電力の供給がなくても一定期間、維持されるので、利用者は、作業シート100から表示媒体200を離し、それを持ち帰っても、表示内容を確認することができる。
さらに、アダプター300の位置を超音波で検出するため、特許文献1に記載されたシステムでは必須であった位置検出用カメラが不要となる。したがって、装置構成が簡単になり、製造コストを抑制することができる。
【0036】
(C:変形例)
上述の実施形態を以下のように変形してもよい。
(1)上述の実施形態においては、アダプター300には独自の電源がなく、アダプター300は作業シート100からの無線送電によって、駆動していたが、アダプター300には独自の電源を備えてもよい。この場合、図7における、パワー受給コイル311は備えなくてもよい。
【0037】
(2)上述の実施形態においては、図10におけるステップSA10において、アダプター300の通信部350は、アダプター識別情報AIDをサーバ500へ送信していたが、このアダプター識別情報AIDの送信は必ずしも必須ではない。アダプター識別情報AIDと画像データとの対応関係はサーバ500の記憶部540に記憶された画像データ対応表に記述されているから、制御部530はこの対応表に基づいて表示部570にアダプター識別情報AIDごとに、最後にアダプター300に送信した画像データを示すファイル名およびページ数を表示させる。そして、利用者がこの表示を見て、各アダプターに送信すべき画像データを指示する入力操作を行うと、制御部530は、この操作に応じて前述したステップSA12,SA13の処理を実行すればよい。
【0038】
また、アダプター300の通信部350が他の識別情報を送信することで、そのアダプター300にどの画像が表示されているかを特定するようにしてもよい。例えば、アダプター300の通信部350が表示媒体200の情報を送信するようにしてもよい。この場合、画像情報処理システム1の各機器は以下のような構成とすればよい。すなわち、表示媒体200の記憶部240には、その表示媒体200を識別する媒体識別情報MIDを記憶させておき、表示媒体200の制御部230は、媒体側通信コイル201cからこれに対応する信号を、アダプター300のアダプター側通信コイル301へ送信させる。媒体識別情報MIDを受信したアダプター300の制御部330は、通信部350から、これに対応する信号をサーバ500に送信する。サーバ500の制御部530は、媒体識別情報MIDと、画像データが属するファイルのファイル名およびその画像データに割り当てられたページ数を対応付けて画像データ対応表541に記述する。図13は媒体識別情報MIDを記述した画像データ対応表541の一例を示した図である。図に示すように、媒体識別情報MIDが「MID−78」である表示媒体200に最後に送信された画像データが属するファイルのファイル名は「DATA2」であり、そのページ数は「5」である。
【0039】
このような構成とした画像情報処理システム1の動作を以下に説明する。図14はこの変形例に係る画像情報処理システム1の動作の流れを説明するためのシーケンス図である。図14において、図11に示したステップと共通のステップには同じ符号を付しており、これらについての説明は省略する。
図10に示したステップSA08およびステップSA09の後、表示媒体200はアダプター300に対して媒体識別情報MIDを送信する(ステップSB01)。そして、この媒体識別情報MIDを受信したアダプター300は、これを記憶部340に記憶してから、サーバ500に送信する(ステップSB02)。サーバ500の制御部530は、受信したこの媒体識別情報MIDに基づいて、画像データ対応表541を検索し、この媒体識別情報MIDに対応する画像データのファイル名およびページ数をこの媒体識別情報MIDと共に、表示部570に表示する(ステップSB03)。利用者がこの表示を見て、操作部560に対し、各表示媒体200に表示すべき画像データを指示する入力操作を行うと、制御部530はこれを受けて、画像ファイル群542を検索し、当該画像データを読み出す。そして、画像データ対応表541に記述された古いファイル名およびページ数を新しく指示されたものに更新し(ステップSB04)、読み出した画像データをパケットに分割し、各パケットのヘッダ部分に、上記の媒体識別情報MIDを記述して、通信部550から無線通信により送信する(ステップSB05)。アダプター300の制御部330は、通信部350を介して、このパケットを受け取ると、パケットのヘッダ部分に記述されている媒体識別情報MIDと、記憶部340に記憶している媒体識別情報MIDとを比較して、一致するパケットを抽出し、元の画像データを構築する(ステップSB06)。そして、制御部330は、この画像データを上述の実施形態と同様に表示媒体200に送信する(ステップSB07)。
このようにすれば、表示媒体200の最新の表示内容をサーバ500が記憶することができるので、表示媒体200の最新の表示内容に応じた指示、例えば、今、表示されているページの次のページや前のページを表示媒体200に表示させるための指示をすることができる。
【0040】
(3)上述の実施形態においては、サーバ500には操作部560が設けられており、これによって利用者の指示を受け付けて、指示に応じた画像データをアダプター300に送信していた。
このようにサーバ500が利用者の指示を受け付けてその指示に応じた処理を行うのではなく、サーバ500以外の装置が、利用者からの指示を待つことなく、自ら能動的にサーバ500に要求を送信することで、サーバ500に処理を指示するような構成としてもよい。
例えば、アダプター300からサーバ500にアダプター識別情報AIDを送信すること自体がサーバ500に対する画像データの要求であってもよい。この場合、画像データ対応表541は書き換え不能な固定的データとしておく。そして、サーバ500は、アダプター識別情報AIDを受け取ると、画像データ対応表541を参照して対応する画像データを特定し、画像ファイル群542から当該画像データを読み出して、これをパケットに分割して送信する。この場合には、サーバ500には操作部560と表示部570を設ける必要がない。このようにすると、例えば、アダプター300を表示媒体200に置いただけで、アダプター300に固有の情報が表示媒体200に表示されるという動作が可能となる。なお、画像データの送信要求はアダプター識別情報AIDでなくてもよく、画像データを示すファイル名およびページ数の組を送信要求信号としてもよい。
【0041】
(4)また、実施形態のようにサーバ500そのものが利用者の指示を直接受け付けるのではなく、サーバ500以外の装置が利用者の指示を受け付けて、その指示に応じた要求をサーバ500に送信することで、サーバ500に処理を指示するような構成としてもよい。
例えば表示媒体200に表示させる画像データの指示をアダプター300が受け付けてもよい。この指示の態様は様々あるが、例えばアダプター300を、サイコロのように「1」から「6」までの目が各面に描かれた立方体で構成し、どの面を上にして置いたかによって、アダプター300から送信される要求の内容が変わるようにしてもよい。例えば、「1」〜「6」という数字に対応付けて画像データのファイル名及びページ数をアダプター300の記憶部340に記憶しておく。そして、このアダプター300の6つの面のそれぞれにパワー受給コイル311を設け、電流が流れたパワー受給コイル311に応じてそれぞれ異なる要求を送信するように構成する。例えばアダプター300の「1」の面が上にして置かれたときには、制御部330はその「1」に対応するファイル名及びページ数を含む要求をサーバ500に送信するといった具合である。
【0042】
また、別の例として、アダプター300に指示を受け付けるボタンなどを設けてもよい。図15はアダプター300に設けた操作部360の一例を示す図である。図に示すように、操作部360は、次ページを表示する旨の指示を示す次ページ指示ボタン360−1と、前ページを表示する旨の指示を示す前ページ指示ボタン360−2と、画像データの複写指示を示すコピー指示ボタン360−3という3つのボタンにより構成されている。この構成による動作は例えば以下のようになる。利用者が次ページ指示ボタン360−1を押下すると、アダプター300の制御部330は、アダプター識別情報AIDと共に次ページの指示を示した信号をサーバ500に送信する。これを受信したサーバ500の制御部530は、画像データ対応表を参照して、受信したアダプター識別情報AIDに対応するファイル名およびページ数を特定し、このページ数を1増加させたページ数で特定される画像データを画像ファイル群542から読み出してアダプター300に送信する。利用者が前ページ指示ボタン360−2を押下した場合には、ページ数を1減少させたページ数で特定される画像データが上述と同様にアダプター300に送信される。利用者がコピー指示ボタン360−3を押下すると、アダプター300の制御部330は、アダプター識別情報AIDと共にコピーの指示を示した信号をサーバ500に送信する。これを受信したサーバ500の制御部530は、まず、図示しないレジスタの内容がブランクであるか否かを判定し、ブランクであった場合には、画像データ対応表を参照して、受信したアダプター識別情報AIDに対応するファイル名およびページ数をレジスタに蓄積する。利用者が、例えば別の表示媒体200の上にこのアダプター300を重ねて置き、再度、コピー指示ボタン360−3を押下すると、これを受けた制御部530は、上述のレジスタの内容がブランクでないことを判定して、レジスタからファイル名とページ数を読み出し、これに対応する画像データを画像ファイル群542から読み出して、これをアダプター300に送信する。そして、レジスタの内容を消去して再度ブランク状態に戻す。
アダプター300は画像を表示させる表示媒体200の上に置かれるため、利用者は、表示媒体200を見ながらその表示内容に沿った指示をすることができる。なお、この場合にあっては、サーバ500には操作部560と表示部570とを設けなくてもよい。
【0043】
また、サーバ500はアダプター300に対して一つの画像データを送信したが、画像ファイル群542から複数ページの画像データからなるファイルを読み出し、ファイルごとアダプターに対して送信してもよい。この場合、アダプター300は、送信されたファイルを記憶部340に記憶し、上述した操作部360による操作が記憶部340記憶したファイルに含まれるいずれかの画像データを表示させる指示である場合には、サーバ500に画像データの送信要求を行わずに、記憶部340から読み出した当該画像データを表示媒体200へ送信すればよい。なお、図15に示すように、アダプター300にはサーバ500から送信されたファイルに含まれるいずれかの画像データを縮小して表示する表示部370を設けてもよい。縮小された画像データは、サーバ500において生成されて、元の画像データと共にアダプター300に送信されてもよいし、アダプター300の制御部330に画像データを縮小するプログラムを実行させてもよい。また、アダプター300に画像データを縮小する専用のプロセッサを設けてもよい。ここで表示部370に表示する画像データは特に限定しないが、例えば、表示媒体200に表示されている画像データの次のページに該当する画像データなどを表示させてもよい。これにより、利用者は次のページの画像についての概要を把握することができる。
【0044】
(5)上述の実施形態においては、アダプター300と表示媒体200とはコイルの磁界結合を利用した無線通信によって画像データのやり取りを行ったが、この画像データのやり取りは赤外線やBluetoothなどの他の無線通信で行ってもよい。この場合には、媒体側通信コイル層201、媒体側通信コイル201cおよびアダプター側通信コイル301は設けなくてもよく、これらに替えて表示媒体200には画像データを上記の無線通信により受信する他の受信装置を、アダプター300には画像データを上記の無線通信により送信する他の送信装置をそれぞれ設ければよい。
【0045】
(6)上述の実施形態においては、画像データの表示媒体200への送信処理は、アダプター300によって行われたが、この送信処理を作業シート100が行ってもよい。この場合、作業シート100には、表示媒体200への送信処理を行う手段としてシート側通信コイル層101を設ければよい。図16はこの変形例に係る作業シート100の構成の一例を示す図である。図16において、図4に示した構成要素と共通の構成要素には同じ符号を付しており、これらについての説明は省略する。シート側通信コイル層101に複数のシート側通信コイル101cが配列されている。表示媒体200において、媒体側通信コイル201cとパワー受給コイル211cとは重ねられて設けられているか、予め定められた相対位置に設けられている。そのため、作業シート100の制御部130は、位置検出装置400から送信された位置情報に基づいて、パワー受給コイル211cと重なるパワー供給コイル111cを特定すると共に、媒体側通信コイル201cと重なるシート側通信コイル101cを特定する。このようにして特定されたシート側通信コイル101cは、媒体側通信コイル201cと磁界結合を形成して通信を行う。記憶部140には、パワー供給コイル111cとその位置との対応関係を記述するコイル位置対応表141に加えて、シート側通信コイル101cとその位置との対応関係を記述する通信コイル位置対応表142が記憶されている。
【0046】
図17はこの変形例に係る通信コイル位置対応表142の一例を示す図である。この通信コイル位置対応表142には、シート側通信コイル層101に設けられた全てのシート側通信コイル101cの識別情報CIDと、各シート側通信コイル101cの中心座標とが対応付けられて記述されている。この中心座標は、作業シート100の送信面に定めた2次元のXY座標によって表わされる。また、通信コイル位置対応表142には、媒体識別情報MIDを記述するフィールドが設けられている。初期状態において、このフィールドはブランクであるが、いずれかのシート側通信コイル101cが媒体側通信コイル201cから媒体識別情報MIDを示す信号を受信したとき、制御部130は、そのシート側通信コイル101cの識別情報CIDに対応するフィールドに、受信した媒体識別情報MIDを記述する。例えば、図では、座標(X51,Y51)に中心座標があるシート側通信コイル101cの識別情報CIDは「CID−51」であり、このシート側通信コイル101cが表示媒体200から媒体識別情報MIDとして「MID−1」を受信したことを表している。
図16の説明に戻る。作業シート100の外部機器インタフェース150には複数の接続端子が備えられており、外部機器インタフェース150は、位置検出装置400に加えて、サーバ500とも通信ケーブルによって接続されている。これにより、サーバ500と作業シート100とは通信可能に構成される。
【0047】
このような構成とした画像情報処理システム1の動作を以下に説明する。図18はこの変形例に係る画像情報処理システム1の動作の流れを説明するためのシーケンス図である。図18において、図10および図13に示したステップと共通のステップには同じ符号を付しており、これらについての説明は省略する。図11に示したステップSA08およびステップSA09の後、表示媒体200は作業シート100に対して媒体識別情報MIDを送信する(ステップSC01)。作業シート100の制御部130は、通信コイル位置対応表142に対し、この媒体識別情報MIDを受信したシート側通信コイル101cに対応する上記のフィールドに当該媒体識別情報MIDを記述する(ステップSC02)。そして、制御部130は、この媒体識別情報MIDをサーバ500に送信する(ステップSC03)。サーバ500の制御部530は、受信したこの媒体識別情報MIDに基づいて、画像データ対応表541を検索し、この媒体識別情報MIDに対応する画像データのファイル名およびページ数をこの媒体識別情報MIDと共に、表示部570に表示する(ステップSC04)。利用者がこの表示を見て、操作部560に対し、各表示媒体200に表示すべき画像データを指示する入力操作を行うと、制御部530はこれを受けて、画像ファイル群542を検索し、当該画像データを読み出す。そして、画像データ対応表541に記述された古いファイル名およびページ数を新しく指示されたものに更新し(ステップSC05)、読み出した画像データのヘッダ部分に上記の媒体識別情報MIDを記述して、作業シート100へ送信する(ステップSC06)。作業シート100の制御部130は、外部機器インタフェース150を介して、この画像データを受け取ると、画像データのヘッダ部分に記述された媒体識別情報MIDと、通信コイル位置対応表142に記載された媒体識別情報MIDとを比較して、ヘッダ部分に記述された媒体識別情報MIDに対応するシート側通信コイル101cを特定する(ステップSC07)。そして、制御部130は、特定したシート側通信コイル101cと媒体側通信コイル201cとの間に磁界結合を形成して、この画像データを表示媒体200に送信する(ステップSC08)。
このようにすれば、アダプター300には、アダプター側通信コイル301が不要となり、位置検出装置400に位置を検出されるためだけのシンプルな構造にすることができるため、製造コストを下げることができる。
【0048】
(7)上述の変形例においては、表示媒体200に対する画像データの送信および電力の供給をいずれも作業シート100に行わせたが、画像データの送信のみを作業シート100に行わせ、電力の供給はアダプター300に行わせてもよい。この場合、アダプター300には独自の電源を備えさせ、これによりアダプター300に電力を供給する。また、パワー受給コイル311に替えて、この電源から得られる電力を磁界結合によって無線送電するパワー供給コイル312を備えさせる。アダプター300は必ず表示媒体200の上述した着色領域aに重ねて置かれるように定められており、この着色領域aにはパワー受給コイル211cが設けられているので、利用者がアダプター300をここに重ねて置くことにより、パワー受給コイル211cとパワー供給コイル312とが重なり、アダプター300から表示媒体200へ電力が供給される。なお、この場合には、作業シート100にはパワー供給コイル層111は設けなくてもよい。
【0049】
(8)上述の実施形態においては、サーバ500は他の外部機器と接続されていなかったが、他の外部機器と接続されていてもよい。例えば、インターネットなどの通信回線を介して、別のサーバに接続されていてもよい。この場合に、サーバ500の制御部530は、画像ファイル群542を検索して、検索した画像データが見つからないとき、上記通信回線を介して別のサーバにアクセスし、当該サーバに対してその画像データを要求する要求信号を送信してもよい。また、このようにインターネットなどの通信回線を介して互いに接続された各サーバが、それぞれクライアントとしても機能することによって、これらのサーバ間でファイルを共有する構成としてもよい。
【0050】
(9)上述の実施形態においては、作業シート100の外部機器インタフェース150は有線の通信ケーブルを接続する端子であったが、外部機器インタフェース150の機器構成はこれに限られず、例えば無線通信のアンテナであってもよい。この場合には、作業シート100は、位置検出装置400やサーバ500と無線通信により通信を行う。
また、実施形態においては、表示媒体200側のコイルとアダプター300側のコイルとの位置を合わせるために、アダプターの底面と同じ形状の着色領域aを表示媒体200に設けていたが、この位置あわせを実現する手段はこれに限らない。例えば、アダプターの底面と表示媒体200の上面に、互いに噛み合うような形状の噛み合わせ機構を設けて一あわせをするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】画像情報処理システムの全体構成を示す図である。
【図2】画像情報処理システムの各構成装置の関係を示したブロック図である。
【図3】表示媒体の構成を示すブロック図である。
【図4】アダプターの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】作業シートの構成の一例を示す図である。
【図6】コイル位置対応表の一例を示す図である。
【図7】表示媒体およびアダプターが作業シートの送信面に置かれた状態を鉛直方向上方から見た平面図である。
【図8】表示媒体およびアダプターが作業シートの送信面に置かれたときの断面図である。
【図9】サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図10】画像データ対応表の一例を示す図である。
【図11】画像情報処理システムの動作の流れを説明するためのシーケンス図である。
【図12】位置検出装置が検出したエコーの入射角とアダプターの位置の関係を例示した図である。
【図13】媒体識別情報MIDを記述した画像データ対応表の一例を示した図である。
【図14】変形例に係る画像情報処理システムの動作の流れを説明するためのシーケンス図である。
【図15】アダプターに設けた操作部の一例を示す図である。
【図16】変形例に係る作業シートの構成の一例を示す図である。
【図17】変形例に係る通信コイル位置対応表の一例を示す図である。
【図18】変形例に係る画像情報処理システムの動作の流れを説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0052】
1…画像情報処理システム、100…作業シート、100B…基板、101…シート側通信コイル層、101c…シート側通信コイル、111…パワー供給コイル層、111c…パワー供給コイル、130…制御部、140…記憶部、141…コイル位置対応表、142…通信コイル位置対応表、150…外部機器インタフェース、190…バス、200,200−1,200−2…表示媒体、200B…基板、201…媒体側通信コイル層、201c…媒体側通信コイル、211…パワー受給コイル層、211c…パワー受給コイル、230…制御部、240…記憶部、250…表示部、290…バス、300,300−1,300−2…アダプター、301…アダプター側通信コイル、311…パワー受給コイル、312…パワー供給コイル、330…制御部、340…記憶部、350…通信部、360…操作部、360−1…次ページ指示ボタン、360−2…前ページ指示ボタン、360−3…コピー指示ボタン、390…バス、400…位置検出装置、500…サーバ、530…制御部、540…記憶部、541…画像データ対応表、542…画像ファイル群、550…通信部、560…操作部、570…表示部、590…バス、AID…アダプター識別情報、CID…識別情報、L…距離、MID…媒体識別情報、O…原点、OS…基本、P…点、SID…識別情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力供給素子が配列された面と、
前記面に置かれ、前記電力供給素子を介して供給される電力を用いて画像データに応じた画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に重ねて置かれ、当該表示手段に前記画像データを送信する送信手段と、
前記送信手段の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段が検出した位置に基づいて、少なくとも一つの前記電力供給素子を選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した前記電力供給素子により、前記表示手段に電力を供給する電力供給手段と
を具備することを特徴とする画像情報処理システム。
【請求項2】
前記送信手段は、
自身に割り当てられた第1識別情報を記憶する記憶手段と、
外部装置から第2識別情報を付した画像データを受信する受信手段と、
前記記憶手段から読み出した前記第1識別情報と、前記受信手段が受信した前記画像データに付された第2識別情報を比較して、両者が一致するか否かを判定する比較判定手段とを有し、
前記比較判定手段により、前記第1識別情報と前記第2識別情報とが一致すると判定した場合には、当該第2識別情報が付された画像データを前記表示手段に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報処理システム。
【請求項3】
前記送信手段は、前記画像データを要求する要求信号を生成し、前記記憶手段から読み出した前記第1識別情報を付して前記外部装置に送信する要求手段を有し、
前記受信手段は、前記要求手段による要求に応じて前記外部装置から第2識別情報を付して送信されてくる画像データを受信する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像情報処理システム。
【請求項4】
前記表示手段は、自身に割り当てられた第3識別情報を出力し、
前記送信手段は、自身が重ねて置かれている前記表示手段が出力した前記第3識別情報を受け取る受取手段を有し、
前記要求手段は、前記受取手段が受け取った前記第3識別情報を、前記要求信号に含めて外部装置に送信し、
前記比較判定手段は、前記受取手段が受け取った前記第3識別情報と、前記受信手段が受信した前記画像データに付された第2識別情報とを比較して、両者が一致するか否かを判定し、
前記比較判定手段により、前記第3識別情報と前記第2識別情報とが一致すると判定した場合には、前記表示手段に当該第2識別情報が付された画像データを送信する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像情報処理システム。
【請求項5】
前記表示手段は、自身に割り当てられた第3識別情報を出力し、
前記送信手段は、自身が重ねて置かれている前記表示手段が出力した前記第3識別情報を受け取る受取手段を有し、
前記受取手段が受け取った前記第3識別信号に応じて、当該表示手段に前記画像データを送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報処理システム。
【請求項6】
前記送信手段は、
前記画像データを要求する要求信号を生成して外部装置に送信する要求手段と、
前記要求信号に応じて外部装置から送信されてくる前記画像データを受信する受信手段とを有し、
前記受信手段が受信した画像データを前記表示手段に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像情報処理システム。
【請求項7】
前記送信手段は、
利用者からの指示を受け取る指示受取手段を有し、
前記指示受取手段が受け取った指示が示す処理の内容に応じて、前記表示手段に前記画像データを送信する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像情報処理システム。
【請求項8】
複数の電力供給素子および複数の通信素子が配列された面と、
前記面に置かれ、前記電力供給素子を介して供給される電力を用いて、前記通信素子を介して供給される画像データに応じた画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に重ねて置かれる被測位体と、
前記被測位体の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段が検出した位置に基づいて、少なくとも一つの前記電力供給素子および少なくとも一つの通信素子をそれぞれ選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した前記電力供給素子により、前記表示手段に電力を供給する電力供給手段と、
前記選択手段が選択した前記通信素子により、前記表示手段に前記画像データを供給する画像データ供給手段と
を具備することを特徴とする画像情報処理システム。
【請求項9】
前記表示手段は、自身に割り当てられた第4識別情報を出力し、
前記面は、
前記表示手段が出力した前記第4識別情報を前記選択手段が選択した通信素子により受け取る受取手段と、
前記画像データを要求する要求信号に、前記受取手段が受け取った前記第4識別情報を含めて外部装置に送信する要求手段と、
前記要求信号に応じて外部装置から送信されてくる第5識別情報が付された前記画像データを受信する受信手段と、
前記受取手段が受け取った前記第4識別情報と、前記受信手段が受信した前記画像データに付された第5識別情報を比較して、両者が一致するか否かを判定する比較判定手段とを有し、
前記比較判定手段により、前記第4識別情報と前記第5識別情報とが一致すると判定した場合には、前記表示手段に当該第5識別情報が付された画像データを送信する
ことを特徴とする請求項8に記載の画像情報処理システム。
【請求項10】
前記被測位体は、利用者からの指示を受け取る指示受取手段を有し、
前記要求手段は、前記指示受取手段が受け取った指示が示す処理の内容に応じて、前記要求信号を生成する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−116603(P2009−116603A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288748(P2007−288748)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】