画像生成装置
【課題】所定の波長帯域の光をカットするための構成を被写体と撮像素子との間に具備している場合において、該構成を有しない場合の色調が再現された被写体の像を取得することができる画像生成装置を提供する。
【解決手段】本発明における画像生成装置は、第1の波長帯域の光を被写体へ出射する第1の光源部と、第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光を被写体へ出射する第2の光源部と、被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、被写体と撮像部との間に設けられ、被写体において反射した第2の波長帯域の光をカットする光カットフィルタ部と、撮像信号に基づき、第1の波長帯域の光により照明された状態において撮像部が撮像した被写体の像のうち、光カットフィルタ部によってカットされた第2の波長帯域に相当する成分に対して補完処理を行う補完処理部と、を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明における画像生成装置は、第1の波長帯域の光を被写体へ出射する第1の光源部と、第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光を被写体へ出射する第2の光源部と、被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、被写体と撮像部との間に設けられ、被写体において反射した第2の波長帯域の光をカットする光カットフィルタ部と、撮像信号に基づき、第1の波長帯域の光により照明された状態において撮像部が撮像した被写体の像のうち、光カットフィルタ部によってカットされた第2の波長帯域に相当する成分に対して補完処理を行う補完処理部と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置に関し、特に、特定の波長帯域を有する励起光に応じて被写体から発せられる自家蛍光の像を取得するとともに、該自家蛍光の像に応じた画像を生成可能な画像生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被検体内部における被写体の像を取得するとともに、該被写体の像に応じた画像を生成可能な内視鏡装置は、医療分野等において従来広く用いられている。特に、医療分野における内視鏡装置は、ユーザが生体内の検査及び観察等の処置を行うという用途において主に用いられている。
【0003】
医療分野における内視鏡装置を用いた観察として一般的に知られているものとしては、例えば、白色光を生体内の被写体に照射し、肉眼による観察と略同様の被写体の像を取得する通常観察の他に、特定の波長帯域を有する励起光を生体内の被写体に照射し、該励起光に応じて被写体から発せられる自家蛍光の像を取得する蛍光観察がある。
【0004】
そして、例えば、特許文献1に記載の内視鏡装置は、前述した、通常観察及び蛍光観察の両観察モードを切り替えつつ、生体内の被写体に対して多面的な観察を行うことが可能な構成を具備している。
【特許文献1】特開2006−166940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の内視鏡装置は、蛍光観察の際に被写体において反射した励起光が該被写体の自家蛍光の像に影響を及ぼすことを防ぐために、該励起光の波長帯域をカットする励起光カットフィルタを、該被写体と撮像素子との間に具備して構成されている。
【0006】
しかし、前記励起光カットフィルタによりカットされる前記励起光の波長帯域が青色帯域の一部であることにより、撮像素子において受光される各光のうち、青色の光の受光量が減少してしまう。その結果、特許文献1に記載の内視鏡装置は、通常観察の際に得られる被写体の像の色再現性が低下してしまう、という課題を有している。
【0007】
本発明は、前述した点に鑑みてなされたものであり、所定の波長帯域の光をカットするための構成を被写体と撮像素子との間に具備している場合において、該構成を有しない場合の色調が再現された被写体の像を取得することができる画像生成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における第1の態様の画像生成装置は、被写体を照明するための照明光として、第1の波長帯域の光を該被写体へ出射する第1の光源部と、前記第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光を前記被写体へ出射する第2の光源部と、前記被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、前記被写体と前記撮像部との間に設けられ、前記被写体において反射した前記第2の波長帯域の光をカットする光カットフィルタ部と、前記撮像信号に基づき、前記第1の波長帯域の光により照明された状態において前記撮像部が撮像した前記被写体の像のうち、前記光カットフィルタ部によってカットされた前記第2の波長帯域に相当する成分に対して補完処理を行う補完処理部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明における第2の態様の画像生成装置は、被写体を照明するための第1の波長帯域の光と、前記第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光と、を射出する光源部と、前記被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、前記被写体と前記撮像部との間に設けられ、前記被写体において反射した前記第2の波長帯域の光をカットする光カット部と、前記第1の波長帯域の光により照明された状態において、前記被写体から発せられる光のうち前記光カット部により前記第2の波長帯域がカットされ、前記撮像部によって撮像された前記被写体の像に対して、前記撮像信号に基づき補完処理を行う補完処理部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明における画像生成装置によると、所定の波長帯域の光をカットするための構成を被写体と撮像素子との間に具備している場合において、該構成を有しない場合の色調が再現された被写体の像を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1から図8は、本発明の第1の実施形態に係るものである。図1は、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図である。図2は、図1の回転フィルタの具体的な構成の一例を示す図である。図3は、図2の第1のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性の一例を示す図である。図4は、図2の第2のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性、及び、図1の内視鏡が有する励起光カットフィルタの透過特性の一例を示す図である。図5は、図1のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いる変換テーブルの一例を示す図である。図6は、図1のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いる変換テーブルの、図5とは異なる例を示す図である。図7は、図1のノイズ低減回路が行う処理の一例を示すフローチャートである。図8は、注目画素と、該注目画素に隣接する8個の画素との位置関係を示す図である。
【0013】
本実施形態に係る画像生成装置としての内視鏡装置1は、図1に示すように、生体内に挿入されるとともに、該生体内の被写体101を撮像し、撮像信号として出力する電子内視鏡2と、観察用の照明光を発する光源装置3と、電子内視鏡2から出力される撮像信号に対して各種信号処理を施すプロセッサ4と、プロセッサ4から出力される映像信号に基づき、該被写体の像を画像表示するモニタ5と、プロセッサ4から出力される画像データに基づき、該被写体の像の画像を記憶するデジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0014】
電子内視鏡2は、体腔内に挿入される細長の挿入部2aと、この挿入部2aの後端に設けられた操作部2bと、を有している。また、挿入部2aの内部には、光源装置3から供給される照明光を、挿入部2aの先端部2cへ伝送するライトガイド15が挿通されている。さらに、ライトガイド15の後端には、光源装置3に対して着脱自在に接続される図示しないライトガイドコネクタが設けられている。このような構成により、光源装置3から供給される照明光は、ライトガイド15により伝送され、挿入部2aの先端部2cに設けられた照明光学系21を経た後、生体内の被写体101へ出射される。
【0015】
光源部としての光源装置3は、白色光を発する光源としての、例えばキセノンランプ等からなるランプ7と、プロセッサ4の制御に応じてランプ7を駆動するランプ駆動回路8と、ランプ7の出射光路上に設けられ、プロセッサ4の制御に応じ、ランプ7において発せられた白色光の出射量を調整する絞り11と、絞り11を通過した白色光を面順次な照明光とする回転フィルタ12と、プロセッサ4の制御に応じて回転フィルタ12を回転させるモータ13と、プロセッサ4の制御に応じて回転フィルタ12及び回転用モータ13をランプ7の出射光路に垂直な方向に移動させるモータ14と、回転フィルタ12を通過した照明光を集光し、光源装置3に接続されたライトガイド15の入射側端面に供給する集光光学系16と、を有している。
【0016】
回転フィルタ12は、図2に示すように、中心を回転軸とした円盤状に構成されており、内周側の周方向に沿って設けられた複数のフィルタを具備する第1のフィルタ群12Aと、外周側の周方向に沿って設けられた複数のフィルタを具備する第2のフィルタ群12Bと、を有している。なお、回転フィルタ12において、第1のフィルタ群12A及び第2のフィルタ群12Bの各フィルタが配置されている部分以外は、光を遮光する部材により構成されているものとする。
【0017】
第1のフィルタ群12Aは、各々が回転フィルタ12の内周側の周方向に沿って設けられた、赤色の波長帯域の光を透過させるRフィルタ34rと、緑色の波長帯域の光を透過させるGフィルタ34gと、青色の波長帯域の光を透過させるBフィルタ34bとを有して構成されている。
【0018】
Rフィルタ12rは、赤色領域の波長帯域の光として、例えば図3に示すように、主に600nmから700nmまでの光(R光)を透過させるような構成を有している。また、Gフィルタ12gは、緑色領域の波長帯域の光として、例えば図3に示すように、主に500nmから600nmまでの光(G光)を透過させるような構成を有している。さらに、Bフィルタ12bは、青色領域の波長帯域の光として、例えば図3に示すように、主に400nmから500nmまでの光(B光)を透過させるような構成を有している。
【0019】
第2のフィルタ群12Bは、各々が回転フィルタ12の外周側の周方向に沿って設けられた、青色かつ狭帯域な光を透過させるBn1フィルタ12b1と、緑色かつ狭帯域な光を透過させるGnフィルタ12g1と、を有して構成されている。
【0020】
Bnフィルタ12b1は、青色かつ狭帯域な光であるとともに、被写体101において自家蛍光を発生させることが可能な光として、例えば図4に示すように、B光の短波長側の光(Bn1光)を透過させるような構成を有している。
【0021】
また、Gnフィルタ12g1は、緑色かつ狭帯域な光として、例えば図4に示すように、540nm付近の波長の光(Gn光)を透過させるような構成を有している。
【0022】
なお、図1に示す光源装置3においては、モータ13にはラック14aが、モータ14にはピニオン14bが各々取付けられている。また、ラック14aは、ピニオン14bに螺合するように取り付けられている。このような構成により、モータ14及びピニオン14bの回転に連動してラック14aが移動し、また、ラック14aの移動に連動して回転フィルタ12及び回転用モータ13が図1内の矢印方向(ランプ7の出射光路に垂直な方向)に移動する。
【0023】
一方、挿入部2aの先端部2cには、ライトガイド15により伝送された照明光を被写体101に対して出射する照明光学系21と、励起光カットフィルタ22と、励起光カットフィルタ22を経た被写体101の像を結像する対物光学系23と、対物光学系23の結像位置に配置されたCCD(電荷結合素子)24と、が設けられている。
【0024】
光カットフィルタ部としての励起光カットフィルタ22は、対物光学系23の光入射側(CCD24の前段)に配置されており、前述したBn1光の波長帯域の透過率が略0になるように設定された光学素子である。すなわち、励起光カットフィルタ22は、被写体101において反射したBn1光をカットするための構成を有している。なお、本実施形態における励起光カットフィルタ22の透過特性の一例を図4に示す。
【0025】
撮像部としてのCCD24は、プロセッサ4から出力される駆動信号に応じて駆動し、励起光カットフィルタ22(及び対物光学系23)を経た後の被写体101の像を撮像するとともに、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプロセッサ4へ出力する。
【0026】
また、電子内視鏡2の操作部2bには、電子内視鏡2の内視鏡情報として、例えば機種、ID、カラーバランス補正用パラメータ、及び電子シャッタ速度等の情報が格納されたメモリ31と、内視鏡装置1の観察モードを通常観察モード及び蛍光観察モードのいずれかに切り替えるための指示信号をユーザの操作に応じて出力可能な観察モード切替スイッチ32と、が設けられている。
【0027】
プロセッサ4は、プリプロセス回路33と、A/D変換回路34と、カラーバランス補正回路35と、コントラスト変換回路36と、ノイズ低減回路37と、セレクタ38と、同時化回路39と、画像処理回路40と、D/A変換回路41と、符号化回路52と、を有している。
【0028】
プリプロセス回路33は、CCD24からの撮像信号に対し、増幅処理等の前処理を施して出力する。
【0029】
A/D変換回路34は、プリプロセス回路33からの撮像信号に対し、A/D変換を施して出力する。
【0030】
カラーバランス補正回路35は、図示しないマトリクス回路及び図示しないAGC回路を有するとともに、後述するCPU44の制御に基づき、前述した内視鏡情報に含まれるカラーバランス補正用パラメータを該マトリクス回路及び該AGC回路に適用しつつ、A/D変換回路34からの撮像信号に対し、例えばホワイトバランス及びゲイン調整等のカラーバランス処理を施して出力する。
【0031】
補完処理部としてのコントラスト変換回路36は、後述する観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、B光の像の成分(以降、B成分と略記する)に対し、補完処理として、後述するコントラスト変換処理を施して出力する。
【0032】
ノイズ低減処理部としてのノイズ低減回路37は、後述する観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、コントラスト変換回路36を介して出力されたB成分に対し、後述するノイズ低減処理を施して出力する。
【0033】
セレクタ38は、後述する観察モード切替回路45の制御に基づき、各観察モードに応じた撮像信号を選択的に出力する。
【0034】
同時化回路39は、例えばフレームメモリ等を有して構成され、後述する観察モード切替回路45、及び、該観察モード切替回路45に設けられた図示しないタイミングジェネレータの制御に基づき、セレクタ38からの撮像信号を同時化しつつ1フレーム分ずつ出力する。
【0035】
画像処理回路40は、後述する観察モード切替回路45の制御に基づき、同時化回路39からの撮像信号に対し、例えば強調処理等の画像処理を施して出力する。
【0036】
D/A変換回路41は、画像処理回路40からの撮像信号に対してD/A変換を施し、該D/A変換後の撮像信号を映像信号として出力する。これにより、モニタ5には、前記映像信号に応じた被写体101の像が画像表示される。
【0037】
符号化回路52は、D/A変換回路41からの撮像信号に対して(圧縮処理等の)符号化処理を施し、該符号化処理後の撮像信号を画像データとして出力する。これにより、デジタルファイリング装置6には、前記画像データに応じた被写体101の像の画像が格納される。
【0038】
また、プロセッサ4は、CPU44と、観察モード切替回路45と、CCDドライバ46と、調光回路49と、電子シャッタ制御回路50と、モータ制御回路51と、を有している。
【0039】
CPU44は、電子内視鏡2のメモリ31に格納された内視鏡情報を読み込むとともに、読み込んだ該内視鏡情報に基づく制御をプロセッサ4の各部に対して行う。
【0040】
観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32からの指示信号と、CPU44の制御とに基づき、プロセッサ4の観察モードを通常観察モードまたは蛍光観察モードのいずれかに切り替えるための制御を行う。また、観察モード切替回路45は、プロセッサ4の各部が処理または動作を行うタイミングを指示するためのタイミング信号を生成可能な、図示しないタイミングジェネレータを有している。
【0041】
CCDドライバ46は、電子シャッタ制御回路50の制御に基づいて駆動信号を出力することにより、被写体101が撮像されるタイミングが後述する所定のタイミングとなるようにCCD24の駆動状態を制御する。
【0042】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が適切な光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0043】
電子シャッタ制御回路50は、CPU44及び観察モード切替回路45の制御に基づき、前述した内視鏡情報に含まれる電子シャッタ速度と、CCD24における電荷蓄積時間とが略一致するように、該電子シャッタ速度に応じた所定のタイミング毎に駆動信号を出力させる制御をCCDドライバ46に対して行う。
【0044】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に配置されるフィルタ群を第1のフィルタ群12Aまたは第2のフィルタ群12Bのいずれかに変更する。そして、モータ制御回路51が行う前記制御により、プロセッサ4の観察モードに応じた照明光が光源装置3から出射される。
【0045】
次に、本実施形態の内視鏡装置1の作用について説明を行う。
【0046】
まず、ユーザは、内視鏡装置1の各部、すなわち、内視鏡2、光源装置3、プロセッサ4、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2、光源装置3及びビデオプロセッサ4は、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0047】
プロセッサ4が通常観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4の各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0048】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第1のフィルタ群12Aを配置させる。これにより、プロセッサ4の観察モードに応じた照明光として、R光、G光及びB光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、R光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0049】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0050】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された後、コントラスト変換回路36及び調光回路49に入力される。
【0051】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0052】
一方、コントラスト変換回路36は、観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、R光の像の成分(以降、R成分と略記する)及びG光の像の成分(以降、G成分と略記する)をスルーさせつつ、B成分に対してコントラスト変換処理を施す。
【0053】
ところで、コントラスト変換回路36に入力されるB成分は、励起光カットフィルタ22により短波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが低下し、その結果、観察が困難となるような被写体101の像が出力されてしまう。
【0054】
前述した点に鑑み、本実施形態のコントラスト変換回路36は、コントラスト変換処理として、例えば、図5に示すような変換テーブルを用い、入力されるB成分の輝度を変換して出力する処理を行う。具体的には、コントラスト変換回路36は、コントラスト変換処理として、図5に示すような変換テーブルを用い、入力されるB成分の輝度における黒レベルを低下しつつ出力する処理を行う。
【0055】
そして、前述したコントラスト変換処理をコントラスト変換回路36が行うことにより、通常観察モードの際に取得された被写体101の像において、ヘモグロビン量が多い部分と、ヘモグロビン量が少ない部分とのコントラストが向上する。
【0056】
なお、コントラスト変換回路36は、コントラスト変換処理として、図5に示すような変換テーブルを用いた処理を行うものに限らず、例えば図6に示すような、ガンマ変換に則する変換テーブルを用いた処理を行うものであっても良い。
【0057】
また、ノイズ低減回路37は、観察モード切替回路45の制御に基づき、前述のコントラスト変換処理が施されたB成分に対してノイズ低減処理を施す。
【0058】
ここで、ノイズ低減回路37によるノイズ低減処理の具体例について説明を行う。
【0059】
まず、ノイズ低減回路37は、コントラスト変換回路36からのB成分において、注目画素iを設定するとともに、iの値を1とする(図7のステップS1及びステップS2)。
【0060】
なお、本実施形態において、コントラスト変換回路36からのB成分は、N個の画素を有するものであるとする。これに伴い、変数iは、1≦i≦Nを満たす整数であるとする。
【0061】
その後、ノイズ低減回路37は、相互に図8に示すような位置関係にある、注目画素iと、該注目画素iに隣接する8個の画素(画素i1〜画素i8)とを検出するとともに、これら9個の画素の輝度の平均値を平均値aAiとして算出する(図7のステップS3)。
【0062】
また、ノイズ低減回路37は、画素i1、i3、i4、i5、i6及びi8の6個の画素の輝度の平均値を平均値aHiとして算出し、画素i1、i2、i3、i6、i7及びi8の6個の画素の輝度の平均値を平均値aViとして算出し、画素i2、i4、i5及びi7の4個の画素の輝度の平均値を平均値aSiとして算出する(図7のステップS4)。
【0063】
さらに、ノイズ低減回路37は、画素i1、i4及びi6の3個の画素の輝度の平均値から、画素i3、i5及びi8の3個の画素の輝度の平均値を減じた値AbsHの絶対値|AbsH|を差分絶対値gHiとして算出し、画素i1、i2及びi3の3個の画素の輝度の平均値から、画素i6、i7及びi8の3個の画素の輝度の平均値を減じた値AbsVの絶対値|AbsV|を差分絶対値gViとして算出する(図7のステップS5)。そして、ノイズ低減回路37は、画素i2及びi4の2個の画素の輝度の平均値から、画素i5及びi7の2個の画素の輝度の平均値を減じた値AbsS1の絶対値|AbsS1|を差分絶対値gS1iとして算出し、画素i2及びi5の2個の画素の輝度の平均値から、画素i4及びi7の2個の画素の輝度の平均値を減じた値AbsS2の絶対値|AbsS2|を差分絶対値gS2iとして算出する(図7のステップS5)。
【0064】
ノイズ低減回路37は、図7のステップS5において算出した各差分絶対値gHi、gVi、gS1i及びgS2iを比較することにより、該各差分絶対値のうち、最大の値を有する一の差分絶対値gMAXiを検出する(図7のステップS6)。
【0065】
その後、ノイズ低減回路37は、平均値aHi、aVi及びaSiのうち、一の差分絶対値gMAXiに対応するものを検出する(図7のステップS7)。
【0066】
具体的には、ノイズ低減回路37は、前記一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gHiである場合には、図7のステップS7の処理結果として、平均値aHiを検出する。また、ノイズ低減回路37は、前記一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gViである場合には、図7のステップS7の処理結果として、平均値aViを検出する。さらに、ノイズ低減回路37は、前記一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gS1iまたはgS2iのいずれかである場合には、図7のステップS7の処理結果として、平均値aSiを検出する。
【0067】
ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが閾値Thよりも小さいか否かを検出する(図7のステップS8)。そして、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが閾値Thよりも小さいことを検出した場合、注目画素iをエッジを構成する画素ではないと判定するとともに、平均値aAiを該注目画素iの輝度値とする(図7のステップS9)。また、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iをエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aHi、aVi及びaSiのうち、一の差分絶対値gMAXiに対応付けられた一の平均値を注目画素iの輝度値とする(図7のステップS10)。
【0068】
具体的には、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gHiであり、かつ、該差分絶対値gHiが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iを垂直方向のエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aHiを注目画素iの輝度値とする。
【0069】
また、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gViであり、かつ、該差分絶対値gViが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iを水平方向のエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aViを注目画素iの輝度値とする。
【0070】
また、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gS1iであり、かつ、該差分絶対値gS1iが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iを斜め方向のエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aSiを注目画素iの輝度値とする。
【0071】
さらに、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gS2iであり、かつ、該差分絶対値gS2iが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iを斜め方向のエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aSiを注目画素iの輝度値とする。
【0072】
そして、ノイズ低減回路37は、変数i=Nではないことを検出した(図7のステップS11)場合、変数iの値に1を加えつつ、図7のステップS3からステップS11までの処理を繰り返し行う(図7のステップS12)。また、ノイズ低減回路37は、変数i=Nであることを検出した(図7のステップS11)場合、一連のノイズ低減処理を終了する。
【0073】
以上に述べたノイズ低減処理をノイズ低減回路37が行うことにより、通常観察モードの際に取得された被写体101の像のうち、特にエッジ部において生じるノイズを低減することができる。
【0074】
コントラスト変換回路36から出力されたR成分及びG成分、及びノイズ低減回路37から出力されたB成分は、セレクタ38を経て、同時化回路39により同時化され、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0075】
そして、以上に述べた処理等がプロセッサ4において行われることにより、モニタ5には、内視鏡2が励起光カットフィルタ22を有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0076】
また、ユーザは、観察モード切替スイッチ32を操作することにより、内視鏡装置1の観察モードを、通常観察モードから蛍光観察モードへと切り替える。
【0077】
プロセッサ4が蛍光観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4の各部に対し、蛍光観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0078】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第2のフィルタ群12Bを配置させる。これにより、プロセッサ4の観察モードに応じた照明光として、Bn1光及びGn光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、Bn1光及びGn光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0079】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、Bn1光及びGn光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0080】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された後、コントラスト変換回路36及び調光回路49に入力される。
【0081】
なお、蛍光観察の際の撮像信号が有するBn1光の像の成分及びGn光の像の成分は、カラーバランス補正回路35のカラーバランス処理により、赤、緑及び青色の成分に変換された状態として出力されるものとする。
【0082】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が蛍光観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0083】
また、コントラスト変換回路36及びノイズ低減回路37は、蛍光観察モードにおいては、入力される撮像信号をスルーさせつつセレクタ38へ出力する。
【0084】
その後、セレクタ38を経た撮像信号は、同時化回路39により同時化され、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。これにより、モニタ5には、被写体101が発する蛍光の像が画像表示される。
【0085】
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡装置1においては、通常観察モードの際に、励起光カットフィルタ22によりカットされた帯域の色調を補完するような処理が行われる。そのため、本実施形態の内視鏡装置1は、通常観察モードにおいて、被写体101とCCD24との間に励起光カットフィルタ22を有しない場合の色調が再現された被写体101の像を取得することができる。
【0086】
(第2の実施形態)
図9から図12は、本発明の第1の実施形態に係るものである。図9は、本発明の第2の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図である。図10は、図9の回転フィルタの具体的な構成の一例を示す図である。図11は、図10の第3のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性、及び、図9の内視鏡が有する励起光カットフィルタの透過特性の一例を示す図である。図12は、図9のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いるフィルタの一例を示す図である。
【0087】
なお、第1の実施形態と同様の構成を持つ部分については、詳細説明は省略する。また、本実施形態の内視鏡装置の構成は、第1の実施形態の内視鏡装置の構成と略同様である。そのため、以降においては、第1の実施形態の内視鏡装置と異なる構成または作用を有する部分について主に説明を行うものとする。
【0088】
本実施形態に係る画像生成装置としての内視鏡装置1Aは、図9に示すように、電子内視鏡2における励起光カットフィルタ22の代わりに励起光カットフィルタ22Aが設けられた電子内視鏡2Aと、光源装置3における回転フィルタ12の代わりに回転フィルタ112が設けられた光源装置3Aと、プロセッサ4におけるコントラスト変換回路36の代わりにコントラスト変換回路36Aが設けられたプロセッサ4Aと、モニタ5と、デジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0089】
光源部としての光源装置3Aの回転フィルタ112は、図10に示すように、第1のフィルタ群12Aと、外周側の周方向に沿って設けられた複数のフィルタを具備する第3のフィルタ群12Cと、を有している。なお、回転フィルタ112において、第1のフィルタ群12A及び第3のフィルタ群12Cの各フィルタが配置されている部分以外は、光を遮光する部材により構成されているものとする。
【0090】
第3のフィルタ群12Cは、各々が回転フィルタ112の外周側の周方向に沿って設けられた、青色かつ狭帯域な光を透過させるBn2フィルタ12b2と、Gnフィルタ12g1と、を有して構成されている。
【0091】
Bnフィルタ12b2は、青色かつ狭帯域な光であるとともに、被写体101において自家蛍光を発生させることが可能な光として、例えば図11に示すように、B光の長波長側の光(Bn2光)を透過させるような構成を有している。
【0092】
光カットフィルタ部としての励起光カットフィルタ22Aは、対物光学系23の光入射側(CCD24の前段)に配置されており、前述したBn2光の波長帯域の透過率が略0になるように設定された光学素子である。すなわち、励起光カットフィルタ22Aは、被写体101において反射したBn2光をカットするための構成を有している。なお、本実施形態における励起光カットフィルタ22Aの透過率の一例を図11に示す。
【0093】
補完処理部としてのコントラスト変換回路36Aは、観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、B成分に対し、補完処理として、後述するコントラスト変換処理を施して出力する。
【0094】
次に、本実施形態の内視鏡装置1Aの作用について説明を行う。
【0095】
まず、ユーザは、内視鏡装置1Aの各部、すなわち、内視鏡2A、光源装置3A、プロセッサ4A、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2A、光源装置3A及びビデオプロセッサ4Aは、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0096】
プロセッサ4Aが通常観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Aの各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0097】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第1のフィルタ群12Aを配置させる。これにより、プロセッサ4Aの観察モードに応じた照明光として、R光、G光及びB光の面順次な照明光が源装置3Aから繰り返し出射される。そして、R光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0098】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0099】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された後、コントラスト変換回路36A及び調光回路49に入力される。
【0100】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0101】
一方、コントラスト変換回路36Aは、観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、、R成分及びG成分をスルーさせつつ、B成分に対してコントラスト変換処理を施す。
【0102】
ところで、コントラスト変換回路36Aに入力されるB成分は、励起光カットフィルタ22Aにより長波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが過剰に高くなり、その結果、観察が困難となるような被写体101の像が出力されてしまう。
【0103】
前述した点に鑑み、本実施形態のコントラスト変換回路36Aは、コントラスト変換処理として、例えば、図12に示すようなローパスフィルタを用い、入力されるB成分の輝度を変換して出力する処理を行う。具体的には、コントラスト変換回路36は、コントラスト変換処理として、図5に示すようなローパスフィルタを用い、入力されるB成分のうち、毛細血管の部分のコントラストを低減しつつ(高周波成分を除去しつつ)出力する処理を行う。
【0104】
そして、前述したコントラスト変換処理をコントラスト変換回路36Aが行うことにより、通常観察モードの際に取得された被写体101の像において、ヘモグロビン量が多い部分と、ヘモグロビン量が少ない部分とのコントラストが向上する。
【0105】
その後、コントラスト変換回路36Aから出力されたB成分は、ノイズ低減回路37により、第1の実施形態の説明において既述であるノイズ低減処理が施された後、セレクタ38に入力される。
【0106】
コントラスト変換回路36Aから出力されたR成分及びG成分、及びノイズ低減回路37から出力されたB成分は、セレクタ38を経て、同時化回路39により同時化され、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0107】
そして、以上に述べた処理等がプロセッサ4Aにおいて行われることにより、モニタ5には、内視鏡2Aが励起光カットフィルタ22Aを有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0108】
また、ユーザは、観察モード切替スイッチ32を操作することにより、内視鏡装置1Aの観察モードを、通常観察モードから蛍光観察モードへと切り替える。
【0109】
プロセッサ4Aが蛍光観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Aの各部に対し、蛍光観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0110】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第3のフィルタ群12Cを配置させる。これにより、プロセッサ4Aの観察モードに応じた照明光として、Bn2光及びGn光の面順次な照明光が源装置3Aから繰り返し出射される。そして、Bn2光及びGn光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0111】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、Bn1光及びGn光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0112】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された後、コントラスト変換回路36A及び調光回路49に入力される。
【0113】
なお、蛍光観察の際の撮像信号が有するBn2光の像の成分及びGn光の像の成分は、カラーバランス補正回路35のカラーバランス処理により、赤、緑及び青色の成分に変換された状態として出力されるものとする。
【0114】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3Aから出射される照明光が蛍光観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0115】
また、コントラスト変換回路36A及びノイズ低減回路37は、蛍光観察モードにおいては、入力される撮像信号をスルーさせつつセレクタ38へ出力する。
【0116】
その後、セレクタ38を経た撮像信号は、同時化回路39により同時化され、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。これにより、モニタ5には、被写体101が発する蛍光の像が画像表示される。
【0117】
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡装置1Aにおいては、通常観察モードの際に、励起光カットフィルタ22Aによりカットされた帯域の色調を補完するような処理が行われる。そのため、本実施形態の内視鏡装置1Aは、通常観察モードにおいて、被写体101とCCD24との間に励起光カットフィルタ22Aを有しない場合の色調が再現された被写体101の像を取得することができる。
【0118】
(第3の実施形態)
図13から図18は、本発明の第3の実施形態に係るものである。図13は、本発明の第3の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図である。図14は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図13の励起光カットフィルタの帯域を示す図である。図15は、図13の色変換回路が行う色変換処理の一例を示す図である。図16は、本発明の第3の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の、図13とは異なる例を示す図である。図17は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図16の励起光カットフィルタの帯域を示す図である。図18は、図16の色変換回路が行う色変換処理の一例を示す図である。
【0119】
なお、前述した各実施形態と同様の構成を持つ部分については、詳細説明は省略する。また、本実施形態の内視鏡装置の構成は、前述した各実施形態の内視鏡装置の構成と略同様である。そのため、以降においては、前述した各実施形態の内視鏡装置のいずれとも異なる構成または作用を有する部分について主に説明を行うものとする。
【0120】
本実施形態に係る画像生成装置としての内視鏡装置1Bは、図13に示すように、電子内視鏡2と、光源装置3と、プロセッサ4Bと、モニタ5と、デジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0121】
プロセッサ4Bは、図13に示すように、コントラスト変換回路36をプロセッサ4から取り除くとともに、プロセッサ4における同時化回路39の後段かつ画像処理回路40の前段に色変換回路61を配置したものと同様の構成を有している。
【0122】
補完処理部としての色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力される各カラーバランス係数と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、同時化回路39からの撮像信号に応じた被写体101の像に対し、補完処理として、後述する色変換処理を施して出力する。なお、前記カラーバランス係数は、カラーバランス補正回路35によるカラーバランス処理において用いられる係数である。そして、以降においては、R成分に対するカラーバランス係数をkR、G成分に対するカラーバランス係数をkG、及び、B成分に対するカラーバランス係数をkBと各々記すものとする。また、色変換回路61は、前記色変換処理を行うための各種パラメータ等が格納された、図示しないメモリを有している。
【0123】
次に、本実施形態の内視鏡装置1Bの作用について説明を行う。
【0124】
まず、ユーザは、内視鏡装置1Bの各部、すなわち、内視鏡2、光源装置3、プロセッサ4B、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2、光源装置3及びビデオプロセッサ4Bは、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0125】
プロセッサ4Bが通常観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Bの各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0126】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第1のフィルタ群12Aを配置させる。これにより、プロセッサ4Bの観察モードに応じた照明光として、R光、G光及びB光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、R光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0127】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0128】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0129】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0130】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、前述したノイズ低減処理がノイズ低減回路37により施された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0131】
ここで、プロセッサ4Bの色変換回路61により行われる色変換処理の具体例について説明を行う。
【0132】
まず、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBを、下記数式(1)から数式(3)に適用することにより、R成分値Rb、G成分値Gb、及び、励起光カットフィルタ22を考慮した場合のB成分値Bb1を各々算出する。
【0133】
Rb=A×I(PR)×kR ・・・(1)
Gb=A×I(PG)×kG ・・・(2)
Bb1=A×I(PB1)×kB ・・・(3)
なお、上記数式(1)における光パワー定数PRは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のRとして示す帯域である、赤色の帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0134】
また、上記数式(2)における光パワー定数PGは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のGとして示す帯域である、緑色の帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0135】
また、上記数式(3)における光パワー定数PB1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14のBとして示す帯域である青色の帯域から、図14のBf1として示す帯域である励起光カットフィルタ22によりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図14のB1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0136】
そして、上記数式(1)から数式(3)におけるA/D変換係数Aは、A/D変換回路34が撮像信号に対してA/D変換を施す際に用いられる変換係数を示すものである。
【0137】
また、上記数式(1)から(3)における光電流値I(PR)、I(PG)及びI(PB1)は、下記数式(4)における光パワー値Pとして、前述した光パワー定数PR、PG及びPB1を夫々代入することにより算出される値である。
【0138】
I(P)=(1/ηe)(Pλ/hc) ・・・(4)
但し、上記数式(4)において、ηは量子効率を、eは単位電荷を、λは前述した各光パワー定数を与える波長を、hはプランク定数を、cは光の速度を夫々示すものとする。
【0139】
次に、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、上記数式(1)から数式(3)を用いて算出した成分値Rb、Gb及びBb1とを下記数式(5)及び(6)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値Xc及びYcに変換する。
【0140】
Xc=0.6Rb−0.28Gb−0.32Bb1 ・・・(5)
Yc=0.2Rb−0.52Gb+0.31Bb1 ・・・(6)
一方、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のBとして示す帯域である、青色の帯域の光パワー分布に基づいて算出した中央値を光パワー定数PBとした場合、色変換回路61は、該光パワー定数PBを下記数式(7)に適用することにより、励起光カットフィルタ22を考慮しない場合のB成分値Bbを算出する。
【0141】
Bb=A×I(PB)×kB ・・・(7)
なお、上記数式(7)における光電流値I(PB)は、上記数式(4)における光パワー値Pとして、前述した光パワー定数PBを代入することにより算出される値である。
【0142】
そして、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、上記数式(1)、数式(2)及び数式(7)を用いて算出した成分値Rb、Gb及びBbとを下記数式(8)及び(9)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値X0及びY0に変換する。
【0143】
X0=0.6Rb−0.28Gb−0.32Bb ・・・(8)
Y0=0.2Rb−0.52Gb+0.31Bb ・・・(9)
さらに、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、前述した前述した光パワー定数PR、PG及びPB1とを下記数式(10)及び(11)に適用することにより、xy座標空間の座標値Xσ及びYσを算出する。
【0144】
Xσ=0.6×[A×I(PR+σR)×kR]−0.28×[A×I(PG+σG)×kG]
−0.32×[A×I(PB1+σB1)×kB] ・・・(10)
Yσ=0.2×[A×I(PR+σR)×kR]−0.52×[A×I(PG+σG)×kG]
+0.31×[A×I(PB1+σB1)×kB] ・・・(11)
なお、上記数式(10)及び(11)における標準偏差σRは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のRとして示す帯域である、赤色の帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0145】
また、上記数式(10)及び(11)における標準偏差σGは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のGとして示す帯域である、緑色の帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0146】
また、上記数式(10)及び(11)における標準偏差σB1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14のBとして示す帯域である青色の帯域から、図14のBf1として示す帯域である励起光カットフィルタ22によりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図14のB1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0147】
そして、上記数式(10)及び(11)における光電流値I(PR+σR)、I(PG+σG)及びI(PB1+σB1)は、上記数式(4)における光パワー値Pとして、(PR+σR)、(PG+σG)及び(PB1+σB1)の値を夫々代入することにより算出されるものである。
【0148】
その後、色変換回路61は、下記数式(12)及び(13)を用い、xy座標空間における色域判定を行う。
【0149】
(X0−Xc)+(Y0−Yc)≦(Xc−Xσ)2+(Yc−Yσ)2 ・・・(12)
(X0−Xc)+(Y0−Yc)>(Xc−Xσ)2+(Yc−Yσ)2 ・・・(13)
色変換回路61は、各座標値X0、Xc、Xσ、Y0、YC及びYσが上記数式(12)の関係を満たす場合、後述する数式(14)及び(15)を用いつつ、入力される撮像信号に対する処理を行う。また、色変換回路61は、各座標値X0、Xc、Xσ、Y0、YC及びYσが上記数式(13)の関係を満たす場合、入力される撮像信号に対して以降の処理を行うことなく、該撮像信号をスルーさせつつ出力する。
【0150】
色変換回路61は、各座標値X0、Xc、Xσ、Y0、YC及びYσが上記数式(12)の関係を満たすことを検出した場合、入力される撮像信号のR成分値Ri、G成分値Gi、及びB成分値Biとを下記数式(14)及び(15)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値Xi及びYiに変換する。
【0151】
Xi=0.6Ri−0.28Gi−0.32Bi ・・・(14)
Yi=0.2Ri−0.52Gi+0.31Bi ・・・(15)
そして、色変換回路61は、下記数式(16)及び(17)を用い、座標値Xi及びYiを座標値Xe及びYeに変換する。
【0152】
Xe=Xi+Xc ・・・(16)
Ye=Yi+Yc ・・・(17)
その後、色変換回路61は、座標値Xe及びYeに基づいて色変換処理後のR成分値Re、G成分値Ge及びB成分値Beを下記数式(18)、(19)及び(20)を用いて算出するとともに、算出した各成分値を画像処理回路40へ出力する。
【0153】
Re=1.43Xe−0.8Ye+2.0(1−Xe−Ye) ・・・(18)
Ge=0.18Xe+0.02Ye+0.57(1−Xe−Ye) ・・・(19)
Be=−0.61Xe−1.5Ye+3.3(1−Xe−Ye) ・・・(20)
ところで、内視鏡装置1Bの構成において、色変換回路61に入力されるB成分は、励起光カットフィルタ22により短波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが低下してしまう。これにより、被写体101のうち、特に毛細血管が集積している領域においては、該毛細血管の像として、赤色の色調が強い像が出力されてしまう。
【0154】
前述した点に鑑み、内視鏡装置1Bの色変換回路61は、前述した色変換処理として、色空間における所定の領域内に存在する画素に対し、例えば図15に示すような座標変換を行うことにより、赤色の色調が強い毛細血管の像を、本来の色調を有する像として再現しつつ出力することができる。
【0155】
そして、色変換回路61から出力されたR成分Re、G成分Ge及びB成分Beは、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0156】
以上に述べた処理等がプロセッサ4Bにおいて行われることにより、モニタ5には、内視鏡2が励起光カットフィルタ22を有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0157】
また、ユーザは、観察モード切替スイッチ32を操作することにより、内視鏡装置1Bの観察モードを、通常観察モードから蛍光観察モードへと切り替える。
【0158】
プロセッサ4Bが蛍光観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Bの各部に対し、蛍光観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0159】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第2のフィルタ群12Bを配置させる。これにより、プロセッサ4の観察モードに応じた照明光として、Bn1光及びGn光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、Bn1光及びGn光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0160】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、Bn1光及びGn光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0161】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0162】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が蛍光観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0163】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、ノイズ低減回路37をスルーして(ノイズ低減回路37により前述したノイズ低減処理を施されることなく)出力された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0164】
色変換回路61は、蛍光観察モードにおいては、入力される撮像信号をスルーさせつつ画像処理回路40へ出力する。
【0165】
その後、色変換回路61から出力された撮像信号は、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。これにより、モニタ5には、被写体101が発する蛍光の像が画像表示される。
【0166】
なお、前述した色変換処理は、通常観察モードにおいてB成分の長波長側がカットされる構成、すなわち、図16の内視鏡装置1Cのような構成においても適用可能である。
【0167】
内視鏡装置1Cは、図16に示すように、内視鏡2Aと、光源装置3Aと、プロセッサ4Bと、モニタ5と、デジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0168】
ここで、内視鏡装置1Cの作用について説明を行う。
【0169】
まず、ユーザは、内視鏡装置1Cの各部、すなわち、内視鏡2A、光源装置3A、プロセッサ4B、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2A、光源装置3A及びビデオプロセッサ4Bは、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0170】
プロセッサ4Bが通常観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Bの各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0171】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第1のフィルタ群12Aを配置させる。これにより、プロセッサ4Bの観察モードに応じた照明光として、R光、G光及びB光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、R光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0172】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0173】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0174】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0175】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、前述したノイズ低減処理がノイズ低減回路37により施された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0176】
色変換回路61は、入力される撮像信号の各成分に対して前述した色変換処理を施し、該色変換処理後の各成分を画像処理回路40へ出力する。
【0177】
具体的には、色変換回路61は、上記各数式において、光パワー定数PB1を後述する光パワー定数PB2に、標準偏差σB1を後述する標準偏差σB2に、色成分値Bb1を色成分値Bb2に各々置き換えつつ一連の処理を行うことにより、入力される撮像信号の各成分に対して前述した色変換処理を施す。
【0178】
なお、前記光パワー定数PB2は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図16のBとして示す帯域である青色の帯域から、図17のBf2として示す帯域である励起光カットフィルタ22Aによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図17のB2として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0179】
また、前記標準偏差σB2は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図17のBとして示す帯域である青色の帯域から、図17のBf2として示す帯域である励起光カットフィルタ22Aによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図17のB2として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0180】
ところで、内視鏡装置1Cの構成において、色変換回路61に入力されるB成分は、励起光カットフィルタ22Aにより長波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが低下してしまう。これにより、被写体101のうち、特に毛細血管が集積している領域においては、該毛細血管の像として、赤色の色調が弱い像が出力されてしまう。
【0181】
前述した点に鑑み、内視鏡装置1Cの色変換回路61は、前述した色変換処理として、色空間における所定の領域内に存在する画素に対し、例えば図18に示すような座標変換を行うことにより、赤色の色調が弱い毛細血管の像を、本来の色調を有する像として再現しつつ出力することができる。
【0182】
そして、色変換回路61から出力されたR成分、G成分及びB成分は、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0183】
以上に述べた処理等がプロセッサ4Bにおいて行われることにより、モニタ5には、内視鏡2Aが励起光カットフィルタ22Aを有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0184】
なお、蛍光観察モードにおいて内視鏡装置1Cの各部が行う処理及び動作等は、内視鏡1Bの各部が行う処理及び動作等と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0185】
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡装置1B(内視鏡装置1C)においては、通常観察モードの際に、励起光カットフィルタ22(励起光カットフィルタ22A)によりカットされた帯域の色調を補完するような処理が行われる。そのため、本実施形態の内視鏡装置1B(内視鏡装置1C)は、通常観察モードにおいて、被写体101とCCD24との間に励起光カットフィルタ22(励起光カットフィルタ22A)を有しない場合の色調が再現された被写体101の像を取得することができる。
【0186】
(第4の実施形態)
図19から図23は、本発明の第4の実施形態に係るものである。図19は、本発明の第4の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図である。図20は、図19の光源装置が有する回転フィルタの構成の一例を示す図である。図21は、図19のレーザ光源において発せられるレーザ光の波長スペクトルの一例を示す図である。図22は、図19のレーザ光カットフィルタの透過特性の一例を示す図である。図23は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図19のレーザ光カットフィルタの帯域を示す図である。
【0187】
なお、前述した各実施形態と同様の構成を持つ部分については、詳細説明は省略する。また、本実施形態の内視鏡装置の構成は、前述した各実施形態の内視鏡装置の構成と略同様である。そのため、以降においては、前述した各実施形態の内視鏡装置のいずれとも異なる構成または作用を有する部分について主に説明を行うものとする。
【0188】
本実施形態に係る画像生成装置としての内視鏡装置1Dは、図19に示すように、電子内視鏡2Bと、光源装置3Bと、光線力学的療法(以降、PDTと略記する)用の光を発するレーザ光源3Cと、プロセッサ4Cと、モニタ5と、デジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0189】
電子内視鏡2Bにおける挿入部2aの内部には、ライトガイド15に加え、レーザ光源3Cから供給される光を、挿入部2aの先端部2cへ伝送するライトガイド15Aが挿通されている。さらに、ライトガイド15Aの後端には、レーザ光源3Cに対して着脱自在に接続される図示しないライトガイドコネクタが設けられている。このような構成により、レーザ光源3Cから供給される光は、ライトガイド15Aにより伝送された後、生体内の被写体101へ出射される。
【0190】
光源部としての光源装置3Bは、図19に示すように、モータ14と、ラック14aと、ピニオン14bとを光源装置3から取り除くとともに、光源装置3における回転フィルタ12の代わりに回転フィルタ212が設けられたものと同様の構成を有している。
【0191】
回転フィルタ212は、図20に示すように、中心を回転軸とした円盤状に構成されており、外周側の周方向に沿って設けられた複数のフィルタを具備する第1のフィルタ群12Aを有している。なお、回転フィルタ212において、第1のフィルタ群12Aの各フィルタが配置されている部分以外は、光を遮光する部材により構成されているものとする。また、回転フィルタ212における第1のフィルタ群12Aの各フィルタの透過率は、図3に示すものと同様であるとする。
【0192】
光源部としてのレーザ光源3Cは、PDTの際に生体内の被写体101に投与される種々の薬剤に対応可能なように、例えば550nm〜650nmの帯域のうち、一の波長におけるコヒーレンスが高いレーザ光をライトガイド15Aに対して選択的に供給する。なお、前記一の波長は、例えばプロセッサ4Cに設けられた図示しないスイッチ等をユーザが操作することにより選択される波長であるとする。また、レーザ光源3Cにおいて発せられるレーザ光の波長スペクトルの一例を図21に示す。
【0193】
一方、挿入部2aの先端部2cには、照明光学系21と、レーザ光カットフィルタ22Bと、レーザ光カットフィルタ22を経た被写体101の像を結像する対物光学系23と、対物光学系23の結像位置に配置されたCCD24と、が設けられている。
【0194】
光カットフィルタ部としてのレーザ光カットフィルタ22Bは、対物光学系23の光入射側(CCD24の前段)に配置されており、PDTに用いられる種々のレーザ光の波長帯域(例えば550nm〜650nmの帯域)の透過率が略0になるように設定された光学素子である。すなわち、レーザ光カットフィルタ22Bは、被写体101において反射した前記レーザ光をカットするための構成を有している。なお、本実施形態におけるレーザ光カットフィルタ22Bの透過特性の一例を図22に示す。
【0195】
また、電子内視鏡2Bの操作部2bには、第1の実施形態の説明において既述である内視鏡情報が格納されたメモリ31と、内視鏡装置1Dのモードを通常観察モード及びPDTモードのいずれかに切り替えるための指示信号をユーザの操作に応じて出力可能なモード切替スイッチ32Aと、が設けられている。
【0196】
プロセッサ4Cは、図19に示すように、モータ制御回路51をプロセッサ4Bから取り除くとともに、プロセッサ4Bにおける観察モード切替回路45の代わりにモード切替回路45Aが設けられたものと同様の構成を有している。
【0197】
モード切替回路45Aは、モード切替スイッチ32Aからの指示信号と、CPU44の制御とに基づき、プロセッサ4Cのモードを通常観察モードまたはPDTモードのいずれかに切り替えるための制御を行う。また、モード切替回路45Aは、レーザ光源3Cからレーザ光が出射されるタイミング、及び、プロセッサ4Cの各部が処理または動作を行うタイミングを指示するためのタイミング信号を生成可能な、図示しないタイミングジェネレータを有している。
【0198】
次に、本実施形態の内視鏡装置1Dの作用について説明を行う。
【0199】
まず、ユーザは、内視鏡装置1Dの各部、すなわち、内視鏡2B、光源装置3B、レーザ光源3C、プロセッサ4C、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2B、光源装置3B、レーザ光源3C及びプロセッサ4Cは、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0200】
プロセッサ4Cが通常観察モードとして設定された場合、モード切替回路45Aは、モード切替スイッチ32Aから出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Cの各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。また、モード切替回路45Aは、通常観察モードにおいて、レーザ光の出射を停止させる制御をレーザ光源3Cに対して行う。
【0201】
光源装置3Bから供給されるR光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0202】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0203】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0204】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、モード切替回路45Aの制御とに基づき、光源装置3Bから出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0205】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、前述したノイズ低減処理がノイズ低減回路37により施された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0206】
ここで、プロセッサ4Cの色変換回路61により行われる色変換処理の具体例について説明を行う。
【0207】
まず、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBを、下記数式(21)から数式(23)に適用することにより、レーザ光カットフィルタ22Bを考慮した場合のR成分値Rb1、レーザ光カットフィルタ22Bを考慮した場合のG成分値Gb1、及び、B成分値Bbを各々算出する。
【0208】
Rb1=A×I(PR1)×kR ・・・(21)
Gb1=A×I(PG1)×kG ・・・(22)
Bb=A×I(PB)×kB ・・・(23)
なお、上記数式(21)における光パワー定数PR1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23のRとして示す帯域である赤色の帯域から、図23のLfとして示す帯域であるレーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図23のR1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0209】
また、上記数式(22)における光パワー定数PG1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23のGとして示す帯域である緑色の帯域から、図23のLfとして示す帯域であるレーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図23のG1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0210】
また、上記数式(21)及び(22)における光電流値I(PR1)及びI(PG1)は、上記数式(4)における光パワー値Pとして、前述した光パワー定数PR1及びPG1を夫々代入することにより算出される値である。
【0211】
次に、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、上記数式(21)から数式(23)を用いて算出した成分値Rb1、Gb1及びBbとを下記数式(24)及び(25)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値Xc及びYcに変換する。
【0212】
Xc1=0.6Rb1−0.28Gb1−0.32Bb ・・・(24)
Yc1=0.2Rb1−0.52Gb1+0.31Bb ・・・(25)
一方、色変換回路61は、第3の実施形態の説明において既述である光パワー定数PR及びPGを下記数式(26)及び(27)に夫々適用することにより、レーザ光カットフィルタ22Bを考慮しない場合のR成分値Rb、及び、レーザ光カットフィルタ22Bを考慮しない場合のG成分値Gbを算出する。
【0213】
Rb=A×I(PR)×kB ・・・(26)
Gb=A×I(PG)×kB ・・・(27)
そして、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、上記数式(23)、数式(26)及び数式(27)を用いて算出した成分値Rb、Gb及びBbとを下記数式(28)及び(29)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値X0及びY0に変換する。
【0214】
X0=0.6Rb−0.28Gb−0.32Bb ・・・(28)
Y0=0.2Rb−0.52Gb+0.31Bb ・・・(29)
さらに、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、前述した前述した光パワー定数PR1、PG1及びPBとを下記数式(30)及び(31)に適用することにより、xy座標空間の座標値Xσ1及びYσ1を算出する。
【0215】
Xσ1=0.6×[A×I(PR1+σR1)×kR]−0.28×[A×I(PG1+σG1)×kG]−0.32×[A×I(PB+σB)×kB] ・・・(30)
Yσ1=0.2×[A×I(PR1+σR1)×kR]−0.52×[A×I(PG1+σG1)×kG]+0.31×[A×I(PB+σB)×kB] ・・・(31)
なお、上記数式(30)及び(31)における標準偏差σR1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23のRとして示す帯域である赤色の帯域から、図23のLfとして示す帯域であるレーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図23のR1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0216】
また、上記数式(30)及び(31)における標準偏差σG1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23のGとして示す帯域である緑色の帯域から、図23のLfとして示す帯域であるレーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図23のG1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0217】
また、上記数式(30)及び(31)における標準偏差σBは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23内のBとして示す帯域である、青色の帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0218】
そして、上記数式(30)及び(31)における光電流値I(PR1+σR1)、I(PG1+σG1)及びI(PB+σB)は、上記数式(4)における光パワー値Pとして、(PR1+σR1)、(PG1+σG1)及び(PB+σB)の値を夫々代入することにより算出されるものである。
【0219】
その後、色変換回路61は、下記数式(32)及び(33)を用い、xy座標空間における色域判定を行う。
【0220】
(X0−Xc1)+(Y0−Yc1)≦(Xc1−Xσ1)2+(Yc1−Yσ1)2 ・・・(32)
(X0−Xc1)+(Y0−Yc1)>(Xc1−Xσ1)2+(Yc1−Yσ1)2 ・・・(33)
色変換回路61は、各座標値X0、Xc1、Xσ1、Y0、Yc1及びYσ1が上記数式(32)の関係を満たす場合、後述する数式(34)及び(35)を用いつつ、入力される撮像信号に対する処理を行う。また、色変換回路61は、各座標値X0、Xc1、Xσ1、Y0、Yc1及びYσ1が上記数式(33)の関係を満たす場合、入力される撮像信号に対して以降の処理を行うことなく、該撮像信号をスルーさせつつ出力する。
【0221】
色変換回路61は、各座標値X0、Xc1、Xσ1、Y0、Yc1及びYσ1が上記数式(32)の関係を満たすことを検出した場合、入力される撮像信号のR成分値Ri1、G成分値Gi1、及びB成分値Bi1とを下記数式(34)及び(35)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値Xi1及びYi1に変換する。
【0222】
Xi1=0.6Ri1−0.28Gi1−0.32Bi1 ・・・(34)
Yi1=0.2Ri1−0.52Gi1+0.31Bi1 ・・・(35)
そして、色変換回路61は、下記数式(36)及び(37)を用い、座標値Xi1及びYi1を座標値Xe1及びYe1に変換する。
【0223】
Xe1=Xi1+Xc1 ・・・(36)
Ye1=Yi1+Yc1 ・・・(37)
その後、色変換回路61は、座標値Xe1及びYe1に基づいて色変換処理後のR成分値Re1、G成分値Ge1及びB成分値Be1を下記数式(38)、(39)及び(40)を用いて算出するとともに、算出した各成分値を画像処理回路40へ出力する。
【0224】
Re1=1.43Xe1−0.8Ye1+2.0(1−Xe1−Ye1) ・・・(38)
Ge1=0.18Xe1+0.02Ye1+0.57(1−Xe1−Ye1) ・・・(39)
Be1=−0.61Xe1−1.5Ye1+3.3(1−Xe1−Ye1) ・・・(40)
ところで、内視鏡装置1Dの構成において、色変換回路61に入力されるR成分は、レーザ光カットフィルタ22Bにより短波長側の帯域がカットされたものである。また、内視鏡装置1Dの構成において、色変換回路61に入力されるG成分は、レーザ光カットフィルタ22Bにより長波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが低下してしまう。
【0225】
前述した点に鑑み、内視鏡装置1Dの色変換回路61は、前述した色変換処理として、色空間における所定の領域内に存在する画素に対する座標変換を行うことにより、毛細血管の像を、本来の色調を有する像として再現しつつ出力することができる。
【0226】
そして、色変換回路61から出力されたR成分Re1、G成分Ge1及びB成分Be1は、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0227】
そして、以上に述べた処理等がプロセッサ4Bにおいて行われることにより、モニタ5には、内視鏡2Bがレーザ光カットフィルタ22Bを有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0228】
また、ユーザは、モード切替スイッチ32Aを操作することにより、内視鏡装置1Dのモードを、通常観察モードからPDTモードへと切り替える。なお、ユーザは、前記切り替え操作を行う事前に、PDT用の薬剤を生体内の被写体101に投与するとともに、該薬剤に応じた一の波長においてコヒーレントなレーザ光がレーザ光源3Cから出射されるように設定を行うものとする。
【0229】
プロセッサ4CがPDT観察モードとして設定された場合、モード切替回路45Aは、モード切替スイッチ32Aから出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Bの各部に対し、PDTモードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0230】
レーザ光源3Cは、モード切替回路45Aの制御に基づき、ユーザにより予め設定された前記一の波長においてコヒーレントなレーザ光を出射する。そして、前記レーザ光は、ライトガイド15Aにより伝送された後、内視鏡2Bの先端部2cから被写体101へ出射される。
【0231】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0232】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0233】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、モード切替回路45Aの制御とに基づき、光源装置3Bから出射される照明光がPDTに適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0234】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、ノイズ低減回路37をスルーして(ノイズ低減回路37により前述したノイズ低減処理を施されることなく)出力された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0235】
色変換回路61は、PDTモードにおいては、入力される撮像信号をスルーさせつつ画像処理回路40へ出力する。
【0236】
その後、色変換回路61から出力された撮像信号は、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。これにより、モニタ5には、PDTモードにおける被写体101の像が画像表示される。
【0237】
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡装置1Dにおいては、通常観察モードの際に、レーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域の色調を補完するような処理が行われる。そのため、本実施形態の内視鏡装置1Dは、通常観察モードにおいて、被写体101とCCD24との間にレーザ光カットフィルタ22Bを有しない場合の色調が再現された被写体101の像を取得することができる。
【0238】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図。
【図2】図1の回転フィルタの具体的な構成の一例を示す図。
【図3】図2の第1のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性の一例を示す図。
【図4】図2の第2のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性、及び、図1の内視鏡が有する励起光カットフィルタの透過特性の一例を示す図。
【図5】図1のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いる変換テーブルの一例を示す図。
【図6】図1のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いる変換テーブルの、図5とは異なる例を示す図。
【図7】図1のノイズ低減回路が行う処理の一例を示すフローチャート。
【図8】注目画素と、該注目画素に隣接する8個の画素との位置関係を示す図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図。
【図10】図9の回転フィルタの具体的な構成の一例を示す図。
【図11】図10の第3のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性、及び、図9の内視鏡が有する励起光カットフィルタの透過特性の一例を示す図。
【図12】図9のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いるフィルタの一例を示す図。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図。
【図14】毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図13の励起光カットフィルタの帯域を示す図。
【図15】図13の色変換回路が行う色変換処理の一例を示す図。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の、図13とは異なる例を示す図。
【図17】毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図16の励起光カットフィルタの帯域を示す図。
【図18】図16の色変換回路が行う色変換処理の一例を示す図。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図。
【図20】図19の光源装置が有する回転フィルタの構成の一例を示す図。
【図21】図19のレーザ光源において発せられるレーザ光の波長スペクトルの一例を示す図。
【図22】図19のレーザ光カットフィルタの透過特性の一例を示す図。
【図23】毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図19のレーザ光カットフィルタの帯域を示す図。
【符号の説明】
【0240】
1,1A,1B,1C,1D・・・内視鏡装置、2,2A,2B・・・内視鏡、3,3A,3B・・・光源装置、3C・・・レーザ光源、4,4A,4B,4C・・・プロセッサ、5・・・モニタ、6・・・デジタルファイリング装置、12,112,212・・・回転フィルタ、22,22A・・・励起光カットフィルタ、22B・・・レーザ光カットフィルタ、36,36A・・・コントラスト変換回路、37・・・ノイズ低減回路、61・・・色変換回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置に関し、特に、特定の波長帯域を有する励起光に応じて被写体から発せられる自家蛍光の像を取得するとともに、該自家蛍光の像に応じた画像を生成可能な画像生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被検体内部における被写体の像を取得するとともに、該被写体の像に応じた画像を生成可能な内視鏡装置は、医療分野等において従来広く用いられている。特に、医療分野における内視鏡装置は、ユーザが生体内の検査及び観察等の処置を行うという用途において主に用いられている。
【0003】
医療分野における内視鏡装置を用いた観察として一般的に知られているものとしては、例えば、白色光を生体内の被写体に照射し、肉眼による観察と略同様の被写体の像を取得する通常観察の他に、特定の波長帯域を有する励起光を生体内の被写体に照射し、該励起光に応じて被写体から発せられる自家蛍光の像を取得する蛍光観察がある。
【0004】
そして、例えば、特許文献1に記載の内視鏡装置は、前述した、通常観察及び蛍光観察の両観察モードを切り替えつつ、生体内の被写体に対して多面的な観察を行うことが可能な構成を具備している。
【特許文献1】特開2006−166940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の内視鏡装置は、蛍光観察の際に被写体において反射した励起光が該被写体の自家蛍光の像に影響を及ぼすことを防ぐために、該励起光の波長帯域をカットする励起光カットフィルタを、該被写体と撮像素子との間に具備して構成されている。
【0006】
しかし、前記励起光カットフィルタによりカットされる前記励起光の波長帯域が青色帯域の一部であることにより、撮像素子において受光される各光のうち、青色の光の受光量が減少してしまう。その結果、特許文献1に記載の内視鏡装置は、通常観察の際に得られる被写体の像の色再現性が低下してしまう、という課題を有している。
【0007】
本発明は、前述した点に鑑みてなされたものであり、所定の波長帯域の光をカットするための構成を被写体と撮像素子との間に具備している場合において、該構成を有しない場合の色調が再現された被写体の像を取得することができる画像生成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における第1の態様の画像生成装置は、被写体を照明するための照明光として、第1の波長帯域の光を該被写体へ出射する第1の光源部と、前記第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光を前記被写体へ出射する第2の光源部と、前記被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、前記被写体と前記撮像部との間に設けられ、前記被写体において反射した前記第2の波長帯域の光をカットする光カットフィルタ部と、前記撮像信号に基づき、前記第1の波長帯域の光により照明された状態において前記撮像部が撮像した前記被写体の像のうち、前記光カットフィルタ部によってカットされた前記第2の波長帯域に相当する成分に対して補完処理を行う補完処理部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明における第2の態様の画像生成装置は、被写体を照明するための第1の波長帯域の光と、前記第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光と、を射出する光源部と、前記被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、前記被写体と前記撮像部との間に設けられ、前記被写体において反射した前記第2の波長帯域の光をカットする光カット部と、前記第1の波長帯域の光により照明された状態において、前記被写体から発せられる光のうち前記光カット部により前記第2の波長帯域がカットされ、前記撮像部によって撮像された前記被写体の像に対して、前記撮像信号に基づき補完処理を行う補完処理部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明における画像生成装置によると、所定の波長帯域の光をカットするための構成を被写体と撮像素子との間に具備している場合において、該構成を有しない場合の色調が再現された被写体の像を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1から図8は、本発明の第1の実施形態に係るものである。図1は、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図である。図2は、図1の回転フィルタの具体的な構成の一例を示す図である。図3は、図2の第1のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性の一例を示す図である。図4は、図2の第2のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性、及び、図1の内視鏡が有する励起光カットフィルタの透過特性の一例を示す図である。図5は、図1のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いる変換テーブルの一例を示す図である。図6は、図1のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いる変換テーブルの、図5とは異なる例を示す図である。図7は、図1のノイズ低減回路が行う処理の一例を示すフローチャートである。図8は、注目画素と、該注目画素に隣接する8個の画素との位置関係を示す図である。
【0013】
本実施形態に係る画像生成装置としての内視鏡装置1は、図1に示すように、生体内に挿入されるとともに、該生体内の被写体101を撮像し、撮像信号として出力する電子内視鏡2と、観察用の照明光を発する光源装置3と、電子内視鏡2から出力される撮像信号に対して各種信号処理を施すプロセッサ4と、プロセッサ4から出力される映像信号に基づき、該被写体の像を画像表示するモニタ5と、プロセッサ4から出力される画像データに基づき、該被写体の像の画像を記憶するデジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0014】
電子内視鏡2は、体腔内に挿入される細長の挿入部2aと、この挿入部2aの後端に設けられた操作部2bと、を有している。また、挿入部2aの内部には、光源装置3から供給される照明光を、挿入部2aの先端部2cへ伝送するライトガイド15が挿通されている。さらに、ライトガイド15の後端には、光源装置3に対して着脱自在に接続される図示しないライトガイドコネクタが設けられている。このような構成により、光源装置3から供給される照明光は、ライトガイド15により伝送され、挿入部2aの先端部2cに設けられた照明光学系21を経た後、生体内の被写体101へ出射される。
【0015】
光源部としての光源装置3は、白色光を発する光源としての、例えばキセノンランプ等からなるランプ7と、プロセッサ4の制御に応じてランプ7を駆動するランプ駆動回路8と、ランプ7の出射光路上に設けられ、プロセッサ4の制御に応じ、ランプ7において発せられた白色光の出射量を調整する絞り11と、絞り11を通過した白色光を面順次な照明光とする回転フィルタ12と、プロセッサ4の制御に応じて回転フィルタ12を回転させるモータ13と、プロセッサ4の制御に応じて回転フィルタ12及び回転用モータ13をランプ7の出射光路に垂直な方向に移動させるモータ14と、回転フィルタ12を通過した照明光を集光し、光源装置3に接続されたライトガイド15の入射側端面に供給する集光光学系16と、を有している。
【0016】
回転フィルタ12は、図2に示すように、中心を回転軸とした円盤状に構成されており、内周側の周方向に沿って設けられた複数のフィルタを具備する第1のフィルタ群12Aと、外周側の周方向に沿って設けられた複数のフィルタを具備する第2のフィルタ群12Bと、を有している。なお、回転フィルタ12において、第1のフィルタ群12A及び第2のフィルタ群12Bの各フィルタが配置されている部分以外は、光を遮光する部材により構成されているものとする。
【0017】
第1のフィルタ群12Aは、各々が回転フィルタ12の内周側の周方向に沿って設けられた、赤色の波長帯域の光を透過させるRフィルタ34rと、緑色の波長帯域の光を透過させるGフィルタ34gと、青色の波長帯域の光を透過させるBフィルタ34bとを有して構成されている。
【0018】
Rフィルタ12rは、赤色領域の波長帯域の光として、例えば図3に示すように、主に600nmから700nmまでの光(R光)を透過させるような構成を有している。また、Gフィルタ12gは、緑色領域の波長帯域の光として、例えば図3に示すように、主に500nmから600nmまでの光(G光)を透過させるような構成を有している。さらに、Bフィルタ12bは、青色領域の波長帯域の光として、例えば図3に示すように、主に400nmから500nmまでの光(B光)を透過させるような構成を有している。
【0019】
第2のフィルタ群12Bは、各々が回転フィルタ12の外周側の周方向に沿って設けられた、青色かつ狭帯域な光を透過させるBn1フィルタ12b1と、緑色かつ狭帯域な光を透過させるGnフィルタ12g1と、を有して構成されている。
【0020】
Bnフィルタ12b1は、青色かつ狭帯域な光であるとともに、被写体101において自家蛍光を発生させることが可能な光として、例えば図4に示すように、B光の短波長側の光(Bn1光)を透過させるような構成を有している。
【0021】
また、Gnフィルタ12g1は、緑色かつ狭帯域な光として、例えば図4に示すように、540nm付近の波長の光(Gn光)を透過させるような構成を有している。
【0022】
なお、図1に示す光源装置3においては、モータ13にはラック14aが、モータ14にはピニオン14bが各々取付けられている。また、ラック14aは、ピニオン14bに螺合するように取り付けられている。このような構成により、モータ14及びピニオン14bの回転に連動してラック14aが移動し、また、ラック14aの移動に連動して回転フィルタ12及び回転用モータ13が図1内の矢印方向(ランプ7の出射光路に垂直な方向)に移動する。
【0023】
一方、挿入部2aの先端部2cには、ライトガイド15により伝送された照明光を被写体101に対して出射する照明光学系21と、励起光カットフィルタ22と、励起光カットフィルタ22を経た被写体101の像を結像する対物光学系23と、対物光学系23の結像位置に配置されたCCD(電荷結合素子)24と、が設けられている。
【0024】
光カットフィルタ部としての励起光カットフィルタ22は、対物光学系23の光入射側(CCD24の前段)に配置されており、前述したBn1光の波長帯域の透過率が略0になるように設定された光学素子である。すなわち、励起光カットフィルタ22は、被写体101において反射したBn1光をカットするための構成を有している。なお、本実施形態における励起光カットフィルタ22の透過特性の一例を図4に示す。
【0025】
撮像部としてのCCD24は、プロセッサ4から出力される駆動信号に応じて駆動し、励起光カットフィルタ22(及び対物光学系23)を経た後の被写体101の像を撮像するとともに、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプロセッサ4へ出力する。
【0026】
また、電子内視鏡2の操作部2bには、電子内視鏡2の内視鏡情報として、例えば機種、ID、カラーバランス補正用パラメータ、及び電子シャッタ速度等の情報が格納されたメモリ31と、内視鏡装置1の観察モードを通常観察モード及び蛍光観察モードのいずれかに切り替えるための指示信号をユーザの操作に応じて出力可能な観察モード切替スイッチ32と、が設けられている。
【0027】
プロセッサ4は、プリプロセス回路33と、A/D変換回路34と、カラーバランス補正回路35と、コントラスト変換回路36と、ノイズ低減回路37と、セレクタ38と、同時化回路39と、画像処理回路40と、D/A変換回路41と、符号化回路52と、を有している。
【0028】
プリプロセス回路33は、CCD24からの撮像信号に対し、増幅処理等の前処理を施して出力する。
【0029】
A/D変換回路34は、プリプロセス回路33からの撮像信号に対し、A/D変換を施して出力する。
【0030】
カラーバランス補正回路35は、図示しないマトリクス回路及び図示しないAGC回路を有するとともに、後述するCPU44の制御に基づき、前述した内視鏡情報に含まれるカラーバランス補正用パラメータを該マトリクス回路及び該AGC回路に適用しつつ、A/D変換回路34からの撮像信号に対し、例えばホワイトバランス及びゲイン調整等のカラーバランス処理を施して出力する。
【0031】
補完処理部としてのコントラスト変換回路36は、後述する観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、B光の像の成分(以降、B成分と略記する)に対し、補完処理として、後述するコントラスト変換処理を施して出力する。
【0032】
ノイズ低減処理部としてのノイズ低減回路37は、後述する観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、コントラスト変換回路36を介して出力されたB成分に対し、後述するノイズ低減処理を施して出力する。
【0033】
セレクタ38は、後述する観察モード切替回路45の制御に基づき、各観察モードに応じた撮像信号を選択的に出力する。
【0034】
同時化回路39は、例えばフレームメモリ等を有して構成され、後述する観察モード切替回路45、及び、該観察モード切替回路45に設けられた図示しないタイミングジェネレータの制御に基づき、セレクタ38からの撮像信号を同時化しつつ1フレーム分ずつ出力する。
【0035】
画像処理回路40は、後述する観察モード切替回路45の制御に基づき、同時化回路39からの撮像信号に対し、例えば強調処理等の画像処理を施して出力する。
【0036】
D/A変換回路41は、画像処理回路40からの撮像信号に対してD/A変換を施し、該D/A変換後の撮像信号を映像信号として出力する。これにより、モニタ5には、前記映像信号に応じた被写体101の像が画像表示される。
【0037】
符号化回路52は、D/A変換回路41からの撮像信号に対して(圧縮処理等の)符号化処理を施し、該符号化処理後の撮像信号を画像データとして出力する。これにより、デジタルファイリング装置6には、前記画像データに応じた被写体101の像の画像が格納される。
【0038】
また、プロセッサ4は、CPU44と、観察モード切替回路45と、CCDドライバ46と、調光回路49と、電子シャッタ制御回路50と、モータ制御回路51と、を有している。
【0039】
CPU44は、電子内視鏡2のメモリ31に格納された内視鏡情報を読み込むとともに、読み込んだ該内視鏡情報に基づく制御をプロセッサ4の各部に対して行う。
【0040】
観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32からの指示信号と、CPU44の制御とに基づき、プロセッサ4の観察モードを通常観察モードまたは蛍光観察モードのいずれかに切り替えるための制御を行う。また、観察モード切替回路45は、プロセッサ4の各部が処理または動作を行うタイミングを指示するためのタイミング信号を生成可能な、図示しないタイミングジェネレータを有している。
【0041】
CCDドライバ46は、電子シャッタ制御回路50の制御に基づいて駆動信号を出力することにより、被写体101が撮像されるタイミングが後述する所定のタイミングとなるようにCCD24の駆動状態を制御する。
【0042】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が適切な光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0043】
電子シャッタ制御回路50は、CPU44及び観察モード切替回路45の制御に基づき、前述した内視鏡情報に含まれる電子シャッタ速度と、CCD24における電荷蓄積時間とが略一致するように、該電子シャッタ速度に応じた所定のタイミング毎に駆動信号を出力させる制御をCCDドライバ46に対して行う。
【0044】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に配置されるフィルタ群を第1のフィルタ群12Aまたは第2のフィルタ群12Bのいずれかに変更する。そして、モータ制御回路51が行う前記制御により、プロセッサ4の観察モードに応じた照明光が光源装置3から出射される。
【0045】
次に、本実施形態の内視鏡装置1の作用について説明を行う。
【0046】
まず、ユーザは、内視鏡装置1の各部、すなわち、内視鏡2、光源装置3、プロセッサ4、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2、光源装置3及びビデオプロセッサ4は、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0047】
プロセッサ4が通常観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4の各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0048】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第1のフィルタ群12Aを配置させる。これにより、プロセッサ4の観察モードに応じた照明光として、R光、G光及びB光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、R光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0049】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0050】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された後、コントラスト変換回路36及び調光回路49に入力される。
【0051】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0052】
一方、コントラスト変換回路36は、観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、R光の像の成分(以降、R成分と略記する)及びG光の像の成分(以降、G成分と略記する)をスルーさせつつ、B成分に対してコントラスト変換処理を施す。
【0053】
ところで、コントラスト変換回路36に入力されるB成分は、励起光カットフィルタ22により短波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが低下し、その結果、観察が困難となるような被写体101の像が出力されてしまう。
【0054】
前述した点に鑑み、本実施形態のコントラスト変換回路36は、コントラスト変換処理として、例えば、図5に示すような変換テーブルを用い、入力されるB成分の輝度を変換して出力する処理を行う。具体的には、コントラスト変換回路36は、コントラスト変換処理として、図5に示すような変換テーブルを用い、入力されるB成分の輝度における黒レベルを低下しつつ出力する処理を行う。
【0055】
そして、前述したコントラスト変換処理をコントラスト変換回路36が行うことにより、通常観察モードの際に取得された被写体101の像において、ヘモグロビン量が多い部分と、ヘモグロビン量が少ない部分とのコントラストが向上する。
【0056】
なお、コントラスト変換回路36は、コントラスト変換処理として、図5に示すような変換テーブルを用いた処理を行うものに限らず、例えば図6に示すような、ガンマ変換に則する変換テーブルを用いた処理を行うものであっても良い。
【0057】
また、ノイズ低減回路37は、観察モード切替回路45の制御に基づき、前述のコントラスト変換処理が施されたB成分に対してノイズ低減処理を施す。
【0058】
ここで、ノイズ低減回路37によるノイズ低減処理の具体例について説明を行う。
【0059】
まず、ノイズ低減回路37は、コントラスト変換回路36からのB成分において、注目画素iを設定するとともに、iの値を1とする(図7のステップS1及びステップS2)。
【0060】
なお、本実施形態において、コントラスト変換回路36からのB成分は、N個の画素を有するものであるとする。これに伴い、変数iは、1≦i≦Nを満たす整数であるとする。
【0061】
その後、ノイズ低減回路37は、相互に図8に示すような位置関係にある、注目画素iと、該注目画素iに隣接する8個の画素(画素i1〜画素i8)とを検出するとともに、これら9個の画素の輝度の平均値を平均値aAiとして算出する(図7のステップS3)。
【0062】
また、ノイズ低減回路37は、画素i1、i3、i4、i5、i6及びi8の6個の画素の輝度の平均値を平均値aHiとして算出し、画素i1、i2、i3、i6、i7及びi8の6個の画素の輝度の平均値を平均値aViとして算出し、画素i2、i4、i5及びi7の4個の画素の輝度の平均値を平均値aSiとして算出する(図7のステップS4)。
【0063】
さらに、ノイズ低減回路37は、画素i1、i4及びi6の3個の画素の輝度の平均値から、画素i3、i5及びi8の3個の画素の輝度の平均値を減じた値AbsHの絶対値|AbsH|を差分絶対値gHiとして算出し、画素i1、i2及びi3の3個の画素の輝度の平均値から、画素i6、i7及びi8の3個の画素の輝度の平均値を減じた値AbsVの絶対値|AbsV|を差分絶対値gViとして算出する(図7のステップS5)。そして、ノイズ低減回路37は、画素i2及びi4の2個の画素の輝度の平均値から、画素i5及びi7の2個の画素の輝度の平均値を減じた値AbsS1の絶対値|AbsS1|を差分絶対値gS1iとして算出し、画素i2及びi5の2個の画素の輝度の平均値から、画素i4及びi7の2個の画素の輝度の平均値を減じた値AbsS2の絶対値|AbsS2|を差分絶対値gS2iとして算出する(図7のステップS5)。
【0064】
ノイズ低減回路37は、図7のステップS5において算出した各差分絶対値gHi、gVi、gS1i及びgS2iを比較することにより、該各差分絶対値のうち、最大の値を有する一の差分絶対値gMAXiを検出する(図7のステップS6)。
【0065】
その後、ノイズ低減回路37は、平均値aHi、aVi及びaSiのうち、一の差分絶対値gMAXiに対応するものを検出する(図7のステップS7)。
【0066】
具体的には、ノイズ低減回路37は、前記一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gHiである場合には、図7のステップS7の処理結果として、平均値aHiを検出する。また、ノイズ低減回路37は、前記一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gViである場合には、図7のステップS7の処理結果として、平均値aViを検出する。さらに、ノイズ低減回路37は、前記一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gS1iまたはgS2iのいずれかである場合には、図7のステップS7の処理結果として、平均値aSiを検出する。
【0067】
ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが閾値Thよりも小さいか否かを検出する(図7のステップS8)。そして、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが閾値Thよりも小さいことを検出した場合、注目画素iをエッジを構成する画素ではないと判定するとともに、平均値aAiを該注目画素iの輝度値とする(図7のステップS9)。また、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iをエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aHi、aVi及びaSiのうち、一の差分絶対値gMAXiに対応付けられた一の平均値を注目画素iの輝度値とする(図7のステップS10)。
【0068】
具体的には、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gHiであり、かつ、該差分絶対値gHiが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iを垂直方向のエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aHiを注目画素iの輝度値とする。
【0069】
また、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gViであり、かつ、該差分絶対値gViが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iを水平方向のエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aViを注目画素iの輝度値とする。
【0070】
また、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gS1iであり、かつ、該差分絶対値gS1iが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iを斜め方向のエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aSiを注目画素iの輝度値とする。
【0071】
さらに、ノイズ低減回路37は、一の差分絶対値gMAXiが差分絶対値gS2iであり、かつ、該差分絶対値gS2iが閾値Th以上であることを検出した場合、注目画素iを斜め方向のエッジを構成する画素であると判定するとともに、平均値aSiを注目画素iの輝度値とする。
【0072】
そして、ノイズ低減回路37は、変数i=Nではないことを検出した(図7のステップS11)場合、変数iの値に1を加えつつ、図7のステップS3からステップS11までの処理を繰り返し行う(図7のステップS12)。また、ノイズ低減回路37は、変数i=Nであることを検出した(図7のステップS11)場合、一連のノイズ低減処理を終了する。
【0073】
以上に述べたノイズ低減処理をノイズ低減回路37が行うことにより、通常観察モードの際に取得された被写体101の像のうち、特にエッジ部において生じるノイズを低減することができる。
【0074】
コントラスト変換回路36から出力されたR成分及びG成分、及びノイズ低減回路37から出力されたB成分は、セレクタ38を経て、同時化回路39により同時化され、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0075】
そして、以上に述べた処理等がプロセッサ4において行われることにより、モニタ5には、内視鏡2が励起光カットフィルタ22を有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0076】
また、ユーザは、観察モード切替スイッチ32を操作することにより、内視鏡装置1の観察モードを、通常観察モードから蛍光観察モードへと切り替える。
【0077】
プロセッサ4が蛍光観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4の各部に対し、蛍光観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0078】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第2のフィルタ群12Bを配置させる。これにより、プロセッサ4の観察モードに応じた照明光として、Bn1光及びGn光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、Bn1光及びGn光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0079】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、Bn1光及びGn光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0080】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された後、コントラスト変換回路36及び調光回路49に入力される。
【0081】
なお、蛍光観察の際の撮像信号が有するBn1光の像の成分及びGn光の像の成分は、カラーバランス補正回路35のカラーバランス処理により、赤、緑及び青色の成分に変換された状態として出力されるものとする。
【0082】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が蛍光観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0083】
また、コントラスト変換回路36及びノイズ低減回路37は、蛍光観察モードにおいては、入力される撮像信号をスルーさせつつセレクタ38へ出力する。
【0084】
その後、セレクタ38を経た撮像信号は、同時化回路39により同時化され、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。これにより、モニタ5には、被写体101が発する蛍光の像が画像表示される。
【0085】
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡装置1においては、通常観察モードの際に、励起光カットフィルタ22によりカットされた帯域の色調を補完するような処理が行われる。そのため、本実施形態の内視鏡装置1は、通常観察モードにおいて、被写体101とCCD24との間に励起光カットフィルタ22を有しない場合の色調が再現された被写体101の像を取得することができる。
【0086】
(第2の実施形態)
図9から図12は、本発明の第1の実施形態に係るものである。図9は、本発明の第2の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図である。図10は、図9の回転フィルタの具体的な構成の一例を示す図である。図11は、図10の第3のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性、及び、図9の内視鏡が有する励起光カットフィルタの透過特性の一例を示す図である。図12は、図9のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いるフィルタの一例を示す図である。
【0087】
なお、第1の実施形態と同様の構成を持つ部分については、詳細説明は省略する。また、本実施形態の内視鏡装置の構成は、第1の実施形態の内視鏡装置の構成と略同様である。そのため、以降においては、第1の実施形態の内視鏡装置と異なる構成または作用を有する部分について主に説明を行うものとする。
【0088】
本実施形態に係る画像生成装置としての内視鏡装置1Aは、図9に示すように、電子内視鏡2における励起光カットフィルタ22の代わりに励起光カットフィルタ22Aが設けられた電子内視鏡2Aと、光源装置3における回転フィルタ12の代わりに回転フィルタ112が設けられた光源装置3Aと、プロセッサ4におけるコントラスト変換回路36の代わりにコントラスト変換回路36Aが設けられたプロセッサ4Aと、モニタ5と、デジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0089】
光源部としての光源装置3Aの回転フィルタ112は、図10に示すように、第1のフィルタ群12Aと、外周側の周方向に沿って設けられた複数のフィルタを具備する第3のフィルタ群12Cと、を有している。なお、回転フィルタ112において、第1のフィルタ群12A及び第3のフィルタ群12Cの各フィルタが配置されている部分以外は、光を遮光する部材により構成されているものとする。
【0090】
第3のフィルタ群12Cは、各々が回転フィルタ112の外周側の周方向に沿って設けられた、青色かつ狭帯域な光を透過させるBn2フィルタ12b2と、Gnフィルタ12g1と、を有して構成されている。
【0091】
Bnフィルタ12b2は、青色かつ狭帯域な光であるとともに、被写体101において自家蛍光を発生させることが可能な光として、例えば図11に示すように、B光の長波長側の光(Bn2光)を透過させるような構成を有している。
【0092】
光カットフィルタ部としての励起光カットフィルタ22Aは、対物光学系23の光入射側(CCD24の前段)に配置されており、前述したBn2光の波長帯域の透過率が略0になるように設定された光学素子である。すなわち、励起光カットフィルタ22Aは、被写体101において反射したBn2光をカットするための構成を有している。なお、本実施形態における励起光カットフィルタ22Aの透過率の一例を図11に示す。
【0093】
補完処理部としてのコントラスト変換回路36Aは、観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、B成分に対し、補完処理として、後述するコントラスト変換処理を施して出力する。
【0094】
次に、本実施形態の内視鏡装置1Aの作用について説明を行う。
【0095】
まず、ユーザは、内視鏡装置1Aの各部、すなわち、内視鏡2A、光源装置3A、プロセッサ4A、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2A、光源装置3A及びビデオプロセッサ4Aは、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0096】
プロセッサ4Aが通常観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Aの各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0097】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第1のフィルタ群12Aを配置させる。これにより、プロセッサ4Aの観察モードに応じた照明光として、R光、G光及びB光の面順次な照明光が源装置3Aから繰り返し出射される。そして、R光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0098】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0099】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された後、コントラスト変換回路36A及び調光回路49に入力される。
【0100】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0101】
一方、コントラスト変換回路36Aは、観察モード切替回路45の制御に基づき、カラーバランス補正回路35からの撮像信号に応じた被写体101の像のうち、、R成分及びG成分をスルーさせつつ、B成分に対してコントラスト変換処理を施す。
【0102】
ところで、コントラスト変換回路36Aに入力されるB成分は、励起光カットフィルタ22Aにより長波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが過剰に高くなり、その結果、観察が困難となるような被写体101の像が出力されてしまう。
【0103】
前述した点に鑑み、本実施形態のコントラスト変換回路36Aは、コントラスト変換処理として、例えば、図12に示すようなローパスフィルタを用い、入力されるB成分の輝度を変換して出力する処理を行う。具体的には、コントラスト変換回路36は、コントラスト変換処理として、図5に示すようなローパスフィルタを用い、入力されるB成分のうち、毛細血管の部分のコントラストを低減しつつ(高周波成分を除去しつつ)出力する処理を行う。
【0104】
そして、前述したコントラスト変換処理をコントラスト変換回路36Aが行うことにより、通常観察モードの際に取得された被写体101の像において、ヘモグロビン量が多い部分と、ヘモグロビン量が少ない部分とのコントラストが向上する。
【0105】
その後、コントラスト変換回路36Aから出力されたB成分は、ノイズ低減回路37により、第1の実施形態の説明において既述であるノイズ低減処理が施された後、セレクタ38に入力される。
【0106】
コントラスト変換回路36Aから出力されたR成分及びG成分、及びノイズ低減回路37から出力されたB成分は、セレクタ38を経て、同時化回路39により同時化され、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0107】
そして、以上に述べた処理等がプロセッサ4Aにおいて行われることにより、モニタ5には、内視鏡2Aが励起光カットフィルタ22Aを有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0108】
また、ユーザは、観察モード切替スイッチ32を操作することにより、内視鏡装置1Aの観察モードを、通常観察モードから蛍光観察モードへと切り替える。
【0109】
プロセッサ4Aが蛍光観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Aの各部に対し、蛍光観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0110】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第3のフィルタ群12Cを配置させる。これにより、プロセッサ4Aの観察モードに応じた照明光として、Bn2光及びGn光の面順次な照明光が源装置3Aから繰り返し出射される。そして、Bn2光及びGn光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0111】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、Bn1光及びGn光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0112】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された後、コントラスト変換回路36A及び調光回路49に入力される。
【0113】
なお、蛍光観察の際の撮像信号が有するBn2光の像の成分及びGn光の像の成分は、カラーバランス補正回路35のカラーバランス処理により、赤、緑及び青色の成分に変換された状態として出力されるものとする。
【0114】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3Aから出射される照明光が蛍光観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0115】
また、コントラスト変換回路36A及びノイズ低減回路37は、蛍光観察モードにおいては、入力される撮像信号をスルーさせつつセレクタ38へ出力する。
【0116】
その後、セレクタ38を経た撮像信号は、同時化回路39により同時化され、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。これにより、モニタ5には、被写体101が発する蛍光の像が画像表示される。
【0117】
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡装置1Aにおいては、通常観察モードの際に、励起光カットフィルタ22Aによりカットされた帯域の色調を補完するような処理が行われる。そのため、本実施形態の内視鏡装置1Aは、通常観察モードにおいて、被写体101とCCD24との間に励起光カットフィルタ22Aを有しない場合の色調が再現された被写体101の像を取得することができる。
【0118】
(第3の実施形態)
図13から図18は、本発明の第3の実施形態に係るものである。図13は、本発明の第3の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図である。図14は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図13の励起光カットフィルタの帯域を示す図である。図15は、図13の色変換回路が行う色変換処理の一例を示す図である。図16は、本発明の第3の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の、図13とは異なる例を示す図である。図17は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図16の励起光カットフィルタの帯域を示す図である。図18は、図16の色変換回路が行う色変換処理の一例を示す図である。
【0119】
なお、前述した各実施形態と同様の構成を持つ部分については、詳細説明は省略する。また、本実施形態の内視鏡装置の構成は、前述した各実施形態の内視鏡装置の構成と略同様である。そのため、以降においては、前述した各実施形態の内視鏡装置のいずれとも異なる構成または作用を有する部分について主に説明を行うものとする。
【0120】
本実施形態に係る画像生成装置としての内視鏡装置1Bは、図13に示すように、電子内視鏡2と、光源装置3と、プロセッサ4Bと、モニタ5と、デジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0121】
プロセッサ4Bは、図13に示すように、コントラスト変換回路36をプロセッサ4から取り除くとともに、プロセッサ4における同時化回路39の後段かつ画像処理回路40の前段に色変換回路61を配置したものと同様の構成を有している。
【0122】
補完処理部としての色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力される各カラーバランス係数と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、同時化回路39からの撮像信号に応じた被写体101の像に対し、補完処理として、後述する色変換処理を施して出力する。なお、前記カラーバランス係数は、カラーバランス補正回路35によるカラーバランス処理において用いられる係数である。そして、以降においては、R成分に対するカラーバランス係数をkR、G成分に対するカラーバランス係数をkG、及び、B成分に対するカラーバランス係数をkBと各々記すものとする。また、色変換回路61は、前記色変換処理を行うための各種パラメータ等が格納された、図示しないメモリを有している。
【0123】
次に、本実施形態の内視鏡装置1Bの作用について説明を行う。
【0124】
まず、ユーザは、内視鏡装置1Bの各部、すなわち、内視鏡2、光源装置3、プロセッサ4B、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2、光源装置3及びビデオプロセッサ4Bは、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0125】
プロセッサ4Bが通常観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Bの各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0126】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第1のフィルタ群12Aを配置させる。これにより、プロセッサ4Bの観察モードに応じた照明光として、R光、G光及びB光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、R光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0127】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0128】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0129】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0130】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、前述したノイズ低減処理がノイズ低減回路37により施された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0131】
ここで、プロセッサ4Bの色変換回路61により行われる色変換処理の具体例について説明を行う。
【0132】
まず、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBを、下記数式(1)から数式(3)に適用することにより、R成分値Rb、G成分値Gb、及び、励起光カットフィルタ22を考慮した場合のB成分値Bb1を各々算出する。
【0133】
Rb=A×I(PR)×kR ・・・(1)
Gb=A×I(PG)×kG ・・・(2)
Bb1=A×I(PB1)×kB ・・・(3)
なお、上記数式(1)における光パワー定数PRは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のRとして示す帯域である、赤色の帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0134】
また、上記数式(2)における光パワー定数PGは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のGとして示す帯域である、緑色の帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0135】
また、上記数式(3)における光パワー定数PB1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14のBとして示す帯域である青色の帯域から、図14のBf1として示す帯域である励起光カットフィルタ22によりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図14のB1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0136】
そして、上記数式(1)から数式(3)におけるA/D変換係数Aは、A/D変換回路34が撮像信号に対してA/D変換を施す際に用いられる変換係数を示すものである。
【0137】
また、上記数式(1)から(3)における光電流値I(PR)、I(PG)及びI(PB1)は、下記数式(4)における光パワー値Pとして、前述した光パワー定数PR、PG及びPB1を夫々代入することにより算出される値である。
【0138】
I(P)=(1/ηe)(Pλ/hc) ・・・(4)
但し、上記数式(4)において、ηは量子効率を、eは単位電荷を、λは前述した各光パワー定数を与える波長を、hはプランク定数を、cは光の速度を夫々示すものとする。
【0139】
次に、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、上記数式(1)から数式(3)を用いて算出した成分値Rb、Gb及びBb1とを下記数式(5)及び(6)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値Xc及びYcに変換する。
【0140】
Xc=0.6Rb−0.28Gb−0.32Bb1 ・・・(5)
Yc=0.2Rb−0.52Gb+0.31Bb1 ・・・(6)
一方、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のBとして示す帯域である、青色の帯域の光パワー分布に基づいて算出した中央値を光パワー定数PBとした場合、色変換回路61は、該光パワー定数PBを下記数式(7)に適用することにより、励起光カットフィルタ22を考慮しない場合のB成分値Bbを算出する。
【0141】
Bb=A×I(PB)×kB ・・・(7)
なお、上記数式(7)における光電流値I(PB)は、上記数式(4)における光パワー値Pとして、前述した光パワー定数PBを代入することにより算出される値である。
【0142】
そして、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、上記数式(1)、数式(2)及び数式(7)を用いて算出した成分値Rb、Gb及びBbとを下記数式(8)及び(9)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値X0及びY0に変換する。
【0143】
X0=0.6Rb−0.28Gb−0.32Bb ・・・(8)
Y0=0.2Rb−0.52Gb+0.31Bb ・・・(9)
さらに、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、前述した前述した光パワー定数PR、PG及びPB1とを下記数式(10)及び(11)に適用することにより、xy座標空間の座標値Xσ及びYσを算出する。
【0144】
Xσ=0.6×[A×I(PR+σR)×kR]−0.28×[A×I(PG+σG)×kG]
−0.32×[A×I(PB1+σB1)×kB] ・・・(10)
Yσ=0.2×[A×I(PR+σR)×kR]−0.52×[A×I(PG+σG)×kG]
+0.31×[A×I(PB1+σB1)×kB] ・・・(11)
なお、上記数式(10)及び(11)における標準偏差σRは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のRとして示す帯域である、赤色の帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0145】
また、上記数式(10)及び(11)における標準偏差σGは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14内のGとして示す帯域である、緑色の帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0146】
また、上記数式(10)及び(11)における標準偏差σB1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図14のBとして示す帯域である青色の帯域から、図14のBf1として示す帯域である励起光カットフィルタ22によりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図14のB1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0147】
そして、上記数式(10)及び(11)における光電流値I(PR+σR)、I(PG+σG)及びI(PB1+σB1)は、上記数式(4)における光パワー値Pとして、(PR+σR)、(PG+σG)及び(PB1+σB1)の値を夫々代入することにより算出されるものである。
【0148】
その後、色変換回路61は、下記数式(12)及び(13)を用い、xy座標空間における色域判定を行う。
【0149】
(X0−Xc)+(Y0−Yc)≦(Xc−Xσ)2+(Yc−Yσ)2 ・・・(12)
(X0−Xc)+(Y0−Yc)>(Xc−Xσ)2+(Yc−Yσ)2 ・・・(13)
色変換回路61は、各座標値X0、Xc、Xσ、Y0、YC及びYσが上記数式(12)の関係を満たす場合、後述する数式(14)及び(15)を用いつつ、入力される撮像信号に対する処理を行う。また、色変換回路61は、各座標値X0、Xc、Xσ、Y0、YC及びYσが上記数式(13)の関係を満たす場合、入力される撮像信号に対して以降の処理を行うことなく、該撮像信号をスルーさせつつ出力する。
【0150】
色変換回路61は、各座標値X0、Xc、Xσ、Y0、YC及びYσが上記数式(12)の関係を満たすことを検出した場合、入力される撮像信号のR成分値Ri、G成分値Gi、及びB成分値Biとを下記数式(14)及び(15)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値Xi及びYiに変換する。
【0151】
Xi=0.6Ri−0.28Gi−0.32Bi ・・・(14)
Yi=0.2Ri−0.52Gi+0.31Bi ・・・(15)
そして、色変換回路61は、下記数式(16)及び(17)を用い、座標値Xi及びYiを座標値Xe及びYeに変換する。
【0152】
Xe=Xi+Xc ・・・(16)
Ye=Yi+Yc ・・・(17)
その後、色変換回路61は、座標値Xe及びYeに基づいて色変換処理後のR成分値Re、G成分値Ge及びB成分値Beを下記数式(18)、(19)及び(20)を用いて算出するとともに、算出した各成分値を画像処理回路40へ出力する。
【0153】
Re=1.43Xe−0.8Ye+2.0(1−Xe−Ye) ・・・(18)
Ge=0.18Xe+0.02Ye+0.57(1−Xe−Ye) ・・・(19)
Be=−0.61Xe−1.5Ye+3.3(1−Xe−Ye) ・・・(20)
ところで、内視鏡装置1Bの構成において、色変換回路61に入力されるB成分は、励起光カットフィルタ22により短波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが低下してしまう。これにより、被写体101のうち、特に毛細血管が集積している領域においては、該毛細血管の像として、赤色の色調が強い像が出力されてしまう。
【0154】
前述した点に鑑み、内視鏡装置1Bの色変換回路61は、前述した色変換処理として、色空間における所定の領域内に存在する画素に対し、例えば図15に示すような座標変換を行うことにより、赤色の色調が強い毛細血管の像を、本来の色調を有する像として再現しつつ出力することができる。
【0155】
そして、色変換回路61から出力されたR成分Re、G成分Ge及びB成分Beは、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0156】
以上に述べた処理等がプロセッサ4Bにおいて行われることにより、モニタ5には、内視鏡2が励起光カットフィルタ22を有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0157】
また、ユーザは、観察モード切替スイッチ32を操作することにより、内視鏡装置1Bの観察モードを、通常観察モードから蛍光観察モードへと切り替える。
【0158】
プロセッサ4Bが蛍光観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Bの各部に対し、蛍光観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0159】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第2のフィルタ群12Bを配置させる。これにより、プロセッサ4の観察モードに応じた照明光として、Bn1光及びGn光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、Bn1光及びGn光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0160】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、Bn1光及びGn光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0161】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0162】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が蛍光観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0163】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、ノイズ低減回路37をスルーして(ノイズ低減回路37により前述したノイズ低減処理を施されることなく)出力された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0164】
色変換回路61は、蛍光観察モードにおいては、入力される撮像信号をスルーさせつつ画像処理回路40へ出力する。
【0165】
その後、色変換回路61から出力された撮像信号は、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。これにより、モニタ5には、被写体101が発する蛍光の像が画像表示される。
【0166】
なお、前述した色変換処理は、通常観察モードにおいてB成分の長波長側がカットされる構成、すなわち、図16の内視鏡装置1Cのような構成においても適用可能である。
【0167】
内視鏡装置1Cは、図16に示すように、内視鏡2Aと、光源装置3Aと、プロセッサ4Bと、モニタ5と、デジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0168】
ここで、内視鏡装置1Cの作用について説明を行う。
【0169】
まず、ユーザは、内視鏡装置1Cの各部、すなわち、内視鏡2A、光源装置3A、プロセッサ4B、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2A、光源装置3A及びビデオプロセッサ4Bは、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0170】
プロセッサ4Bが通常観察モードとして設定された場合、観察モード切替回路45は、観察モード切替スイッチ32から出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Bの各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0171】
モータ制御回路51は、観察モード切替回路45の制御に基づいてモータ14を制御することにより、ランプ7の出射光路上に第1のフィルタ群12Aを配置させる。これにより、プロセッサ4Bの観察モードに応じた照明光として、R光、G光及びB光の面順次な照明光が源装置3から繰り返し出射される。そして、R光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0172】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0173】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0174】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、観察モード切替回路45の制御とに基づき、光源装置3から出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0175】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、前述したノイズ低減処理がノイズ低減回路37により施された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0176】
色変換回路61は、入力される撮像信号の各成分に対して前述した色変換処理を施し、該色変換処理後の各成分を画像処理回路40へ出力する。
【0177】
具体的には、色変換回路61は、上記各数式において、光パワー定数PB1を後述する光パワー定数PB2に、標準偏差σB1を後述する標準偏差σB2に、色成分値Bb1を色成分値Bb2に各々置き換えつつ一連の処理を行うことにより、入力される撮像信号の各成分に対して前述した色変換処理を施す。
【0178】
なお、前記光パワー定数PB2は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図16のBとして示す帯域である青色の帯域から、図17のBf2として示す帯域である励起光カットフィルタ22Aによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図17のB2として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0179】
また、前記標準偏差σB2は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図17のBとして示す帯域である青色の帯域から、図17のBf2として示す帯域である励起光カットフィルタ22Aによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図17のB2として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0180】
ところで、内視鏡装置1Cの構成において、色変換回路61に入力されるB成分は、励起光カットフィルタ22Aにより長波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが低下してしまう。これにより、被写体101のうち、特に毛細血管が集積している領域においては、該毛細血管の像として、赤色の色調が弱い像が出力されてしまう。
【0181】
前述した点に鑑み、内視鏡装置1Cの色変換回路61は、前述した色変換処理として、色空間における所定の領域内に存在する画素に対し、例えば図18に示すような座標変換を行うことにより、赤色の色調が弱い毛細血管の像を、本来の色調を有する像として再現しつつ出力することができる。
【0182】
そして、色変換回路61から出力されたR成分、G成分及びB成分は、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0183】
以上に述べた処理等がプロセッサ4Bにおいて行われることにより、モニタ5には、内視鏡2Aが励起光カットフィルタ22Aを有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0184】
なお、蛍光観察モードにおいて内視鏡装置1Cの各部が行う処理及び動作等は、内視鏡1Bの各部が行う処理及び動作等と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0185】
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡装置1B(内視鏡装置1C)においては、通常観察モードの際に、励起光カットフィルタ22(励起光カットフィルタ22A)によりカットされた帯域の色調を補完するような処理が行われる。そのため、本実施形態の内視鏡装置1B(内視鏡装置1C)は、通常観察モードにおいて、被写体101とCCD24との間に励起光カットフィルタ22(励起光カットフィルタ22A)を有しない場合の色調が再現された被写体101の像を取得することができる。
【0186】
(第4の実施形態)
図19から図23は、本発明の第4の実施形態に係るものである。図19は、本発明の第4の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図である。図20は、図19の光源装置が有する回転フィルタの構成の一例を示す図である。図21は、図19のレーザ光源において発せられるレーザ光の波長スペクトルの一例を示す図である。図22は、図19のレーザ光カットフィルタの透過特性の一例を示す図である。図23は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図19のレーザ光カットフィルタの帯域を示す図である。
【0187】
なお、前述した各実施形態と同様の構成を持つ部分については、詳細説明は省略する。また、本実施形態の内視鏡装置の構成は、前述した各実施形態の内視鏡装置の構成と略同様である。そのため、以降においては、前述した各実施形態の内視鏡装置のいずれとも異なる構成または作用を有する部分について主に説明を行うものとする。
【0188】
本実施形態に係る画像生成装置としての内視鏡装置1Dは、図19に示すように、電子内視鏡2Bと、光源装置3Bと、光線力学的療法(以降、PDTと略記する)用の光を発するレーザ光源3Cと、プロセッサ4Cと、モニタ5と、デジタルファイリング装置6と、を有して要部が構成されている。
【0189】
電子内視鏡2Bにおける挿入部2aの内部には、ライトガイド15に加え、レーザ光源3Cから供給される光を、挿入部2aの先端部2cへ伝送するライトガイド15Aが挿通されている。さらに、ライトガイド15Aの後端には、レーザ光源3Cに対して着脱自在に接続される図示しないライトガイドコネクタが設けられている。このような構成により、レーザ光源3Cから供給される光は、ライトガイド15Aにより伝送された後、生体内の被写体101へ出射される。
【0190】
光源部としての光源装置3Bは、図19に示すように、モータ14と、ラック14aと、ピニオン14bとを光源装置3から取り除くとともに、光源装置3における回転フィルタ12の代わりに回転フィルタ212が設けられたものと同様の構成を有している。
【0191】
回転フィルタ212は、図20に示すように、中心を回転軸とした円盤状に構成されており、外周側の周方向に沿って設けられた複数のフィルタを具備する第1のフィルタ群12Aを有している。なお、回転フィルタ212において、第1のフィルタ群12Aの各フィルタが配置されている部分以外は、光を遮光する部材により構成されているものとする。また、回転フィルタ212における第1のフィルタ群12Aの各フィルタの透過率は、図3に示すものと同様であるとする。
【0192】
光源部としてのレーザ光源3Cは、PDTの際に生体内の被写体101に投与される種々の薬剤に対応可能なように、例えば550nm〜650nmの帯域のうち、一の波長におけるコヒーレンスが高いレーザ光をライトガイド15Aに対して選択的に供給する。なお、前記一の波長は、例えばプロセッサ4Cに設けられた図示しないスイッチ等をユーザが操作することにより選択される波長であるとする。また、レーザ光源3Cにおいて発せられるレーザ光の波長スペクトルの一例を図21に示す。
【0193】
一方、挿入部2aの先端部2cには、照明光学系21と、レーザ光カットフィルタ22Bと、レーザ光カットフィルタ22を経た被写体101の像を結像する対物光学系23と、対物光学系23の結像位置に配置されたCCD24と、が設けられている。
【0194】
光カットフィルタ部としてのレーザ光カットフィルタ22Bは、対物光学系23の光入射側(CCD24の前段)に配置されており、PDTに用いられる種々のレーザ光の波長帯域(例えば550nm〜650nmの帯域)の透過率が略0になるように設定された光学素子である。すなわち、レーザ光カットフィルタ22Bは、被写体101において反射した前記レーザ光をカットするための構成を有している。なお、本実施形態におけるレーザ光カットフィルタ22Bの透過特性の一例を図22に示す。
【0195】
また、電子内視鏡2Bの操作部2bには、第1の実施形態の説明において既述である内視鏡情報が格納されたメモリ31と、内視鏡装置1Dのモードを通常観察モード及びPDTモードのいずれかに切り替えるための指示信号をユーザの操作に応じて出力可能なモード切替スイッチ32Aと、が設けられている。
【0196】
プロセッサ4Cは、図19に示すように、モータ制御回路51をプロセッサ4Bから取り除くとともに、プロセッサ4Bにおける観察モード切替回路45の代わりにモード切替回路45Aが設けられたものと同様の構成を有している。
【0197】
モード切替回路45Aは、モード切替スイッチ32Aからの指示信号と、CPU44の制御とに基づき、プロセッサ4Cのモードを通常観察モードまたはPDTモードのいずれかに切り替えるための制御を行う。また、モード切替回路45Aは、レーザ光源3Cからレーザ光が出射されるタイミング、及び、プロセッサ4Cの各部が処理または動作を行うタイミングを指示するためのタイミング信号を生成可能な、図示しないタイミングジェネレータを有している。
【0198】
次に、本実施形態の内視鏡装置1Dの作用について説明を行う。
【0199】
まず、ユーザは、内視鏡装置1Dの各部、すなわち、内視鏡2B、光源装置3B、レーザ光源3C、プロセッサ4C、モニタ5及びデジタルファイリング装置6の電源を投入し、該各部を起動状態とする。なお、前記起動状態、すなわち、電源投入直後の状態において、内視鏡2B、光源装置3B、レーザ光源3C及びプロセッサ4Cは、通常観察モードとして設定されているものとする。
【0200】
プロセッサ4Cが通常観察モードとして設定された場合、モード切替回路45Aは、モード切替スイッチ32Aから出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Cの各部に対し、通常観察モードに応じた動作を行わせるような制御を行う。また、モード切替回路45Aは、通常観察モードにおいて、レーザ光の出射を停止させる制御をレーザ光源3Cに対して行う。
【0201】
光源装置3Bから供給されるR光、G光及びB光の面順次な照明光は、ライトガイド15により伝送された後、照明光学系21を経て被写体101へ出射される。
【0202】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0203】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0204】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、モード切替回路45Aの制御とに基づき、光源装置3Bから出射される照明光が通常観察に適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0205】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、前述したノイズ低減処理がノイズ低減回路37により施された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0206】
ここで、プロセッサ4Cの色変換回路61により行われる色変換処理の具体例について説明を行う。
【0207】
まず、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBを、下記数式(21)から数式(23)に適用することにより、レーザ光カットフィルタ22Bを考慮した場合のR成分値Rb1、レーザ光カットフィルタ22Bを考慮した場合のG成分値Gb1、及び、B成分値Bbを各々算出する。
【0208】
Rb1=A×I(PR1)×kR ・・・(21)
Gb1=A×I(PG1)×kG ・・・(22)
Bb=A×I(PB)×kB ・・・(23)
なお、上記数式(21)における光パワー定数PR1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23のRとして示す帯域である赤色の帯域から、図23のLfとして示す帯域であるレーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図23のR1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0209】
また、上記数式(22)における光パワー定数PG1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23のGとして示す帯域である緑色の帯域から、図23のLfとして示す帯域であるレーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図23のG1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出された中央値を示すものである。
【0210】
また、上記数式(21)及び(22)における光電流値I(PR1)及びI(PG1)は、上記数式(4)における光パワー値Pとして、前述した光パワー定数PR1及びPG1を夫々代入することにより算出される値である。
【0211】
次に、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、上記数式(21)から数式(23)を用いて算出した成分値Rb1、Gb1及びBbとを下記数式(24)及び(25)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値Xc及びYcに変換する。
【0212】
Xc1=0.6Rb1−0.28Gb1−0.32Bb ・・・(24)
Yc1=0.2Rb1−0.52Gb1+0.31Bb ・・・(25)
一方、色変換回路61は、第3の実施形態の説明において既述である光パワー定数PR及びPGを下記数式(26)及び(27)に夫々適用することにより、レーザ光カットフィルタ22Bを考慮しない場合のR成分値Rb、及び、レーザ光カットフィルタ22Bを考慮しない場合のG成分値Gbを算出する。
【0213】
Rb=A×I(PR)×kB ・・・(26)
Gb=A×I(PG)×kB ・・・(27)
そして、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、上記数式(23)、数式(26)及び数式(27)を用いて算出した成分値Rb、Gb及びBbとを下記数式(28)及び(29)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値X0及びY0に変換する。
【0214】
X0=0.6Rb−0.28Gb−0.32Bb ・・・(28)
Y0=0.2Rb−0.52Gb+0.31Bb ・・・(29)
さらに、色変換回路61は、カラーバランス補正回路35から出力されるカラーバランス係数kR、kG及びkBと、前述した前述した光パワー定数PR1、PG1及びPBとを下記数式(30)及び(31)に適用することにより、xy座標空間の座標値Xσ1及びYσ1を算出する。
【0215】
Xσ1=0.6×[A×I(PR1+σR1)×kR]−0.28×[A×I(PG1+σG1)×kG]−0.32×[A×I(PB+σB)×kB] ・・・(30)
Yσ1=0.2×[A×I(PR1+σR1)×kR]−0.52×[A×I(PG1+σG1)×kG]+0.31×[A×I(PB+σB)×kB] ・・・(31)
なお、上記数式(30)及び(31)における標準偏差σR1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23のRとして示す帯域である赤色の帯域から、図23のLfとして示す帯域であるレーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図23のR1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0216】
また、上記数式(30)及び(31)における標準偏差σG1は、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23のGとして示す帯域である緑色の帯域から、図23のLfとして示す帯域であるレーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域を除いた帯域、すなわち、図23のG1として示す帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0217】
また、上記数式(30)及び(31)における標準偏差σBは、毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の帯域のうち、図23内のBとして示す帯域である、青色の帯域の光パワー分布に基づいて算出したものである。
【0218】
そして、上記数式(30)及び(31)における光電流値I(PR1+σR1)、I(PG1+σG1)及びI(PB+σB)は、上記数式(4)における光パワー値Pとして、(PR1+σR1)、(PG1+σG1)及び(PB+σB)の値を夫々代入することにより算出されるものである。
【0219】
その後、色変換回路61は、下記数式(32)及び(33)を用い、xy座標空間における色域判定を行う。
【0220】
(X0−Xc1)+(Y0−Yc1)≦(Xc1−Xσ1)2+(Yc1−Yσ1)2 ・・・(32)
(X0−Xc1)+(Y0−Yc1)>(Xc1−Xσ1)2+(Yc1−Yσ1)2 ・・・(33)
色変換回路61は、各座標値X0、Xc1、Xσ1、Y0、Yc1及びYσ1が上記数式(32)の関係を満たす場合、後述する数式(34)及び(35)を用いつつ、入力される撮像信号に対する処理を行う。また、色変換回路61は、各座標値X0、Xc1、Xσ1、Y0、Yc1及びYσ1が上記数式(33)の関係を満たす場合、入力される撮像信号に対して以降の処理を行うことなく、該撮像信号をスルーさせつつ出力する。
【0221】
色変換回路61は、各座標値X0、Xc1、Xσ1、Y0、Yc1及びYσ1が上記数式(32)の関係を満たすことを検出した場合、入力される撮像信号のR成分値Ri1、G成分値Gi1、及びB成分値Bi1とを下記数式(34)及び(35)に適用することにより、該各成分値をxy座標空間の座標値Xi1及びYi1に変換する。
【0222】
Xi1=0.6Ri1−0.28Gi1−0.32Bi1 ・・・(34)
Yi1=0.2Ri1−0.52Gi1+0.31Bi1 ・・・(35)
そして、色変換回路61は、下記数式(36)及び(37)を用い、座標値Xi1及びYi1を座標値Xe1及びYe1に変換する。
【0223】
Xe1=Xi1+Xc1 ・・・(36)
Ye1=Yi1+Yc1 ・・・(37)
その後、色変換回路61は、座標値Xe1及びYe1に基づいて色変換処理後のR成分値Re1、G成分値Ge1及びB成分値Be1を下記数式(38)、(39)及び(40)を用いて算出するとともに、算出した各成分値を画像処理回路40へ出力する。
【0224】
Re1=1.43Xe1−0.8Ye1+2.0(1−Xe1−Ye1) ・・・(38)
Ge1=0.18Xe1+0.02Ye1+0.57(1−Xe1−Ye1) ・・・(39)
Be1=−0.61Xe1−1.5Ye1+3.3(1−Xe1−Ye1) ・・・(40)
ところで、内視鏡装置1Dの構成において、色変換回路61に入力されるR成分は、レーザ光カットフィルタ22Bにより短波長側の帯域がカットされたものである。また、内視鏡装置1Dの構成において、色変換回路61に入力されるG成分は、レーザ光カットフィルタ22Bにより長波長側の帯域がカットされたものである。そのため、例えば、被写体101に生体組織表層の毛細血管が含まれる場合、ヘモグロビン量が多い部分(毛細血管の部分)と、ヘモグロビン量が少ない部分(毛細血管以外の部分)とのコントラストが低下してしまう。
【0225】
前述した点に鑑み、内視鏡装置1Dの色変換回路61は、前述した色変換処理として、色空間における所定の領域内に存在する画素に対する座標変換を行うことにより、毛細血管の像を、本来の色調を有する像として再現しつつ出力することができる。
【0226】
そして、色変換回路61から出力されたR成分Re1、G成分Ge1及びB成分Be1は、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。
【0227】
そして、以上に述べた処理等がプロセッサ4Bにおいて行われることにより、モニタ5には、内視鏡2Bがレーザ光カットフィルタ22Bを有しない場合の色調が再現された被写体101の像が画像表示される。
【0228】
また、ユーザは、モード切替スイッチ32Aを操作することにより、内視鏡装置1Dのモードを、通常観察モードからPDTモードへと切り替える。なお、ユーザは、前記切り替え操作を行う事前に、PDT用の薬剤を生体内の被写体101に投与するとともに、該薬剤に応じた一の波長においてコヒーレントなレーザ光がレーザ光源3Cから出射されるように設定を行うものとする。
【0229】
プロセッサ4CがPDT観察モードとして設定された場合、モード切替回路45Aは、モード切替スイッチ32Aから出力される指示信号に基づき、プロセッサ4Bの各部に対し、PDTモードに応じた動作を行わせるような制御を行う。
【0230】
レーザ光源3Cは、モード切替回路45Aの制御に基づき、ユーザにより予め設定された前記一の波長においてコヒーレントなレーザ光を出射する。そして、前記レーザ光は、ライトガイド15Aにより伝送された後、内視鏡2Bの先端部2cから被写体101へ出射される。
【0231】
一方、CCD24は、CCDドライバ46から出力される駆動信号に応じて動作するとともに、R光、G光及びB光により順次照明される被写体101の像を所定のタイミング毎に撮像し、撮像した該被写体101の像を撮像信号としてプリプロセス回路33へ出力する。
【0232】
CCD24から出力された撮像信号は、プリプロセス回路33により前処理が施され、A/D変換回路34によりA/D変換が施され、カラーバランス補正回路35によりカラーバランス処理が施された状態として出力される。
【0233】
調光回路49は、カラーバランス補正回路35からの撮像信号と、モード切替回路45Aの制御とに基づき、光源装置3Bから出射される照明光がPDTに適した光量になるように、絞り11の絞り量を制御する。
【0234】
一方、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、R成分及びG成分は、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。また、カラーバランス補正回路35からの撮像信号のうち、B成分は、ノイズ低減回路37をスルーして(ノイズ低減回路37により前述したノイズ低減処理を施されることなく)出力された後、セレクタ38を介して同時化回路39へ出力される。そして、同時化回路39は、入力されるR成分、G成分及びB成分を同時化しつつ色変換回路61へ出力する。
【0235】
色変換回路61は、PDTモードにおいては、入力される撮像信号をスルーさせつつ画像処理回路40へ出力する。
【0236】
その後、色変換回路61から出力された撮像信号は、画像処理回路40により画像処理が施され、D/A変換回路41によりD/A変換が施された後、モニタ5へ出力される。これにより、モニタ5には、PDTモードにおける被写体101の像が画像表示される。
【0237】
以上に述べたように、本実施形態の内視鏡装置1Dにおいては、通常観察モードの際に、レーザ光カットフィルタ22Bによりカットされた帯域の色調を補完するような処理が行われる。そのため、本実施形態の内視鏡装置1Dは、通常観察モードにおいて、被写体101とCCD24との間にレーザ光カットフィルタ22Bを有しない場合の色調が再現された被写体101の像を取得することができる。
【0238】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図。
【図2】図1の回転フィルタの具体的な構成の一例を示す図。
【図3】図2の第1のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性の一例を示す図。
【図4】図2の第2のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性、及び、図1の内視鏡が有する励起光カットフィルタの透過特性の一例を示す図。
【図5】図1のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いる変換テーブルの一例を示す図。
【図6】図1のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いる変換テーブルの、図5とは異なる例を示す図。
【図7】図1のノイズ低減回路が行う処理の一例を示すフローチャート。
【図8】注目画素と、該注目画素に隣接する8個の画素との位置関係を示す図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図。
【図10】図9の回転フィルタの具体的な構成の一例を示す図。
【図11】図10の第3のフィルタ群が有する各フィルタの透過特性、及び、図9の内視鏡が有する励起光カットフィルタの透過特性の一例を示す図。
【図12】図9のコントラスト変換回路がコントラスト変換処理を行う際に用いるフィルタの一例を示す図。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図。
【図14】毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図13の励起光カットフィルタの帯域を示す図。
【図15】図13の色変換回路が行う色変換処理の一例を示す図。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の、図13とは異なる例を示す図。
【図17】毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図16の励起光カットフィルタの帯域を示す図。
【図18】図16の色変換回路が行う色変換処理の一例を示す図。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る内視鏡装置の要部の構成の一例を示す図。
【図20】図19の光源装置が有する回転フィルタの構成の一例を示す図。
【図21】図19のレーザ光源において発せられるレーザ光の波長スペクトルの一例を示す図。
【図22】図19のレーザ光カットフィルタの透過特性の一例を示す図。
【図23】毛細血管が集積した領域に照射された白色光が該領域において反射した光である反射光の光パワー分布、及び、該光パワー分布における図19のレーザ光カットフィルタの帯域を示す図。
【符号の説明】
【0240】
1,1A,1B,1C,1D・・・内視鏡装置、2,2A,2B・・・内視鏡、3,3A,3B・・・光源装置、3C・・・レーザ光源、4,4A,4B,4C・・・プロセッサ、5・・・モニタ、6・・・デジタルファイリング装置、12,112,212・・・回転フィルタ、22,22A・・・励起光カットフィルタ、22B・・・レーザ光カットフィルタ、36,36A・・・コントラスト変換回路、37・・・ノイズ低減回路、61・・・色変換回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を照明するための照明光として、第1の波長帯域の光を該被写体へ出射する第1の光源部と、
前記第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光を前記被写体へ出射する第2の光源部と、
前記被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、
前記被写体と前記撮像部との間に設けられ、前記被写体において反射した前記第2の波長帯域の光をカットする光カットフィルタ部と、
前記撮像信号に基づき、前記第1の波長帯域の光により照明された状態において前記撮像部が撮像した前記被写体の像のうち、前記光カットフィルタ部によってカットされた前記第2の波長帯域に相当する成分に対して補完処理を行う補完処理部と、
を有することを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記補完処理部は、前記補完処理として、前記被写体の像における輝度の明暗差を補正するためのコントラスト変換処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記補完処理部は、前記補完処理として、前記被写体の像における色を補正するための色変換処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記撮像信号に基づき、前記第1の波長帯域の光により照明された状態において前記撮像部が撮像した前記被写体の像のうち、エッジ部において生じるノイズを低減するためのノイズ低減処理を行う、ノイズ低減処理部をさらに有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記第1の波長帯域は、赤色、緑色及び青色の各波長帯域であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記第2の波長帯域は、前記青色の波長帯域における所定の波長帯域であることを特徴とする請求項5に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記所定の波長帯域は、前記被写体としての生体組織において自家蛍光を発生させることが可能な波長帯域であることを特徴とする請求項6に記載の画像生成装置。
【請求項8】
被写体を照明するための第1の波長帯域の光と、
前記第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光と、
を射出する光源部と、
前記被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、
前記被写体と前記撮像部との間に設けられ、前記被写体において反射した前記第2の波長帯域の光をカットする光カット部と、
前記第1の波長帯域の光により照明された状態において、前記被写体から発せられる光のうち前記光カット部により前記第2の波長帯域がカットされ、前記撮像部によって撮像された前記被写体の像に対して、前記撮像信号に基づき補完処理を行う補完処理部と、
を有することを特徴とする画像生成装置。
【請求項1】
被写体を照明するための照明光として、第1の波長帯域の光を該被写体へ出射する第1の光源部と、
前記第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光を前記被写体へ出射する第2の光源部と、
前記被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、
前記被写体と前記撮像部との間に設けられ、前記被写体において反射した前記第2の波長帯域の光をカットする光カットフィルタ部と、
前記撮像信号に基づき、前記第1の波長帯域の光により照明された状態において前記撮像部が撮像した前記被写体の像のうち、前記光カットフィルタ部によってカットされた前記第2の波長帯域に相当する成分に対して補完処理を行う補完処理部と、
を有することを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記補完処理部は、前記補完処理として、前記被写体の像における輝度の明暗差を補正するためのコントラスト変換処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記補完処理部は、前記補完処理として、前記被写体の像における色を補正するための色変換処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記撮像信号に基づき、前記第1の波長帯域の光により照明された状態において前記撮像部が撮像した前記被写体の像のうち、エッジ部において生じるノイズを低減するためのノイズ低減処理を行う、ノイズ低減処理部をさらに有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記第1の波長帯域は、赤色、緑色及び青色の各波長帯域であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記第2の波長帯域は、前記青色の波長帯域における所定の波長帯域であることを特徴とする請求項5に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記所定の波長帯域は、前記被写体としての生体組織において自家蛍光を発生させることが可能な波長帯域であることを特徴とする請求項6に記載の画像生成装置。
【請求項8】
被写体を照明するための第1の波長帯域の光と、
前記第1の波長帯域の一部である第2の波長帯域の光と、
を射出する光源部と、
前記被写体の像を撮像し、撮像信号として出力する撮像部と、
前記被写体と前記撮像部との間に設けられ、前記被写体において反射した前記第2の波長帯域の光をカットする光カット部と、
前記第1の波長帯域の光により照明された状態において、前記被写体から発せられる光のうち前記光カット部により前記第2の波長帯域がカットされ、前記撮像部によって撮像された前記被写体の像に対して、前記撮像信号に基づき補完処理を行う補完処理部と、
を有することを特徴とする画像生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−236(P2009−236A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163074(P2007−163074)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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