説明

画像監視システムおよび画像監視システムの制御方法

【課題】 監視員が、監視エリア内に配置された各監視カメラの視野(監視範囲)を記憶する必要がなく、また、監視モニタ上の表示画像を見ながら画像の切替えが行え不審者の追尾に集中できる画像監視システムを提供する
【解決手段】 監視カメラ100内の部分監視エリアを撮影する監視カメラ2と、撮影画像を表示する監視モニタ3と、監視モニタ3が表示する画像を切替える制御装置とを備え、部分監視エリアのうち直接接続する関係にある部分監視エリアを撮影するカメラの識別情報を、前記続関係にある部分監視エリアのエリア境界の位置情報と対応づけて格納した情報テーブルを具備し、その情報テーブルをもとに表示する画像を切替えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを用いた画像監視システムに関し、特に、監視エリア内に複数台配置されたカメラの撮影画像を切替えて表示させ、不審者等を監視ないしは追尾する画像監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像監視システムにおいては、監視エリア内に配置された複数の監視カメラから撮影画像が送られ、その画像を監視モニタ上に表示画像として表示するようになっており、一方、画像監視システムの使用者である監視員は、その表示画像を監視することで監視エリア内にいる不審者などを検出する。
従来、監視員は、表示画像中に不審者を検出してその挙動を追尾する場合、その画像を撮影している監視カメラの視野(監視範囲)の外に不審者が移動すると、監視員が、移動先を撮影している監視カメラに手動で切替えて追尾を行っていた。その際、監視員は、予め監視エリア内に配置された複数台の監視カメラに関し、カメラ毎の視野(監視範囲)を頭の中に記憶するようにしていた。
【0003】
また、上記のような監視員の負荷を軽減する方策として、監視エリア内における監視カメラの配置図を視覚的に表示し、監視員が視覚的に監視カメラを選択し表示画像を切替える画像監視システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−273006号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像監視システムにおいては、監視員は予め監視エリア内に配置された複数台の監視カメラに関するカメラ毎の視野(監視範囲)を記憶しておく必要があるため、監視員の負担が大きいという課題があった。
【0006】
また、特許文献1のように配置図をもとに表示画像を手動で切替える場合、一瞬の間、表示画像から視線を外す必要があり、不審者の追尾に集中することが出来ないという課題があった。
【0007】
また、自動選択による不審者の追尾を行う場合、一般的に、PTZ(パン、チルト、ズーム)機能を備えた監視カメラを使用して不審者を追尾するため、一時的に監視可能な範囲が制限されるという課題や、PTZ機能付きの高機能なカメラを導入する必要があるため画像監視システムの導入コストが高くなるという課題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、監視員が、監視エリア内に配置された各監視カメラの視野(監視範囲)を記憶する必要がなく、また、監視モニタ上の表示画像を見ながら画像の切替えが行え不審者の追尾に集中できる画像監視システムを提供することを目的とする。
【0009】
また、画像監視システムの導入コストを低減できる画像監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像監視システムは、監視カメラ内の複数の部分監視エリアを各々撮影する複数のカメラと、カメラが撮影した画像を表示する監視モニタと、監視モニタが表示する画像を切替える制御装置とを備え、制御装置は、部分監視エリアのうち直接接続関係にある複数の部分監視エリアを各々撮影するカメラの識別情報を、直接接続関係にある部分監視エリアのエリア境界の位置情報と対応づけて格納した情報テーブルを具備し、その情報テーブルをもとに表示する画像を切替えるようにしたものである。
【0011】
即ち、切替え後に撮影される部分監視エリアが、切替え前に撮影される部分監視エリアと直接接続関係にある部分監視エリアとなるよう情報テーブルをもとに切替えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、画像の表示の切替えに必要な、監視カメラの識別情報と部分監視エリア同士の位置関係とを対応させた情報テーブルを、画像監視システムが保持しそれをもとに監視モニタに表示する画像を切替えるので、監視員の記憶力と集中力といった能力によらずに監視対象を監視することができる。また、監視員は監視モニタの表示画像に集中して不審者を追尾することができる。
【0013】
また、エリア境界の位置情報を予め情報テーブルとして登録するために監視カメラの視野は固定的な設定となるので、低機能で安価な監視カメラを用いることが可能であり、画像監視システムの設備導入のためのコストを低く抑えることができる。さらに、固定的な視野で監視することが可能であることから、監視の際に監視可能な範囲が狭くならずにすみ監視が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像監視システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像監視システムの動作を示すフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る画像監視システムの監視カメラ配置図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像監視システムの各監視カメラの視野を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る画像監視システムのカメラ連携テーブルを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る画像監視システムの動作例における不審者の移動経路を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る画像監視システムの動作例における各監視カメラが撮影した際の監視モニタの表示を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る画像監視システムの動作例における動作を示すフロー図である。
【図9】本発明の実施の形態1の変形例における監視モニタを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る画像監視システムの動作例における動き検知機能の動作を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る画像監視システムの動作例における動作を示すフロー図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る画像監視システムの動作例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る画像監視システムのカメラ連携テーブルを示す図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る画像監視システムのカメラ連携テーブルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1について図1ないし図8を用いて説明する。
【0016】
本実施の形態は、入力装置としてマウスを用い、監視モニタ上に表示されるマウスカーソルの表示位置の情報をもとに、監視モニタ上に表示する画像を手動で切替えるものである。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態1に係るカメラ連携画像監視システムの概略構成の1例を示すブロック図である。
【0018】
なお、以下の各実施の形態および各図において、同一ないしは同様の構成部分には同一ないしは同様の符号を付する。また、本発明の要旨の説明に不要な詳細な構成および従来技術等についてはその説明の一部を省略する。
【0019】
また、図中の各ブロックは、画像監視システム内の構成、機能、動作を分かりやすく示すためのものであり、本発明の画像監視システムの実装においては、図に記載した特定の装置構成および装置名称に依存しない。また、各部の配置関係、および数は図に記載の構成や分割範囲に限定されない。
【0020】
図において、1は画像監視システムを、2は監視カメラを、3は監視モニタを、4は監視モニタ3の表示領域を、5は入力装置を、6はカメラ連携テーブルを、100は監視エリアを、200は監視室を、300は接続ケーブルを示す。
【0021】
画像監視システム1は、監視エリア1〜nに配置される1または複数の監視カメラ2と、監視カメラ2と接続され監視カメラ2から送られる撮影画像を表示する監視モニタ3と、監視モニタ3と接続され監視員が画像監視システム1の各種操作を行うための入力装置5と、監視モニタ3と接続されたカメラ連携テーブル6を備えている。
【0022】
なお、カメラ連携テーブル6は制御装置(図示しない)の制御動作と一体であるので制御装置(図示しない)内にあるが、以下では分かりやすいように分離しているものとして説明する。
【0023】
監視モニタ3、入力装置5、カメラ連携テーブル6は監視室200に設置されている。
【0024】
監視カメラ2は、監視室200内に設置された監視モニタ3と接続ケーブル300により接続され、撮影画像を含む各種情報または信号を出力する。
【0025】
各監視カメラ2の監視エリア(以下、部分監視エリアと称する。)は、監視エリア100内を複数に分割するとともに死角が生じないように配置される。
【0026】
なお、監視カメラ2と監視モニタ3との間における、撮影画像を含む各種情報または信号の送受は、前記接続ケーブル300による有線通信のほかに、無線LANなどによる無線通信など、各種の方法が可能であり、また回線接続やパケット接続など各種接続形式が可能である。また、監視カメラ2が撮影した撮影画像を含む情報を信号として出力する際の、情報の形式、信号処理方式、出力信号の形式などは従来技術を含め各種方式が可能であり、例えば監視カメラ2側において画像符号化を行い、監視モニタ3側において復号化を行うなどが可能であるが、本発明の要旨の説明に不要な詳細な説明については省略する。
【0027】
監視カメラ2は、カメラの視野設定としては固定的に設定して設置するものとする。
【0028】
監視モニタ3は、監視カメラ2から送られた撮影画像を含む各種情報や信号を入力し、撮影画像を監視モニタ3の表示領域4に表示画像として表示する。また、監視モニタ3の制御装置(図示しない)は、表示画像(または監視カメラ)の切替えを含む、画像監視システム1の各種制御を行うものとする。
【0029】
入力装置5は、例えばマウスやキーボードであり、監視員が画像監視システム1に対し各種制御の指示を行うためのものである。本実施の形態では入力装置5として少なくともマウスを備えているものとする。マウスを移動させると表示領域4上にマウスカーソル(図示しない)が表示されるとともに、マウスカーソルの表示位置が監視モニタ3の制御装置によって把握される。
【0030】
なお、本実施の形態においては、マウスカーソル(図示しない)の表示範囲は表示領域4全体であり、表示領域4内に表示される表示画像の範囲(以下、説明簡略化のため単に枠と記載。)は表示領域4より小さいものとする。
【0031】
カメラ連携テーブル6は、監視モニタ3に接続され、表示画像(または監視カメラ)の切替え制御の際に使用される。
【0032】
カメラ連携テーブル6は、部分監視エリアのうち直接接続関係にある複数の部分監視エリアを各々撮影するカメラの識別情報を、直接接続関係にある部分監視エリアのエリア境界の位置情報と対応づけて、監視システムの制御装置(図示しない)に格納したものである。
【0033】
具体的には、切替えにより他の監視カメラ2の撮影画像を表示させる際の、切替え後に表示される画像を撮影している監視カメラ2の識別情報(以下、説明簡略化のため、切替え先の監視カメラの情報、と称する。)を規定しており、その情報は予めシステムに登録される。
【0034】
カメラ連携テーブル6の詳細および具体例については図5を用いて後述する。
【0035】
次に、画像監視システム1の動作の概要について図2を用いて説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る画像監視システム1の動作を示すフロー図である。
【0036】
まず、画像監視システム1が起動されると、ステップS100において、画像監視システム1の初期表示状態、ないしは、画像監視システム1において画像の切替え制御が行われていない表示状態に移行する。この状態において監視モニタ3は、例えば配置された複数の監視カメラ2の撮影画像を順番に表示するように制御する。
【0037】
次に、ステップS101において、監視モニタ3は、例えば監視員のマウス5操作などによって特定の監視カメラ2の撮影画像を選択して表示するよう指示が行われるかを確認し、指示がある場合(Yesの場合)はステップS102へ移行する。一方、指示がない場合(Noの場合)はステップS100へ移行し、最初の状態を継続する。
【0038】
次に、ステップS102において、監視モニタ3は、ステップS101で選択された特定の監視カメラ2に係る画像を表示領域4に表示する。即ち、選択された特定の監視カメラ2の画像を表示する状態へ移行する。
【0039】
次に、ステップS103において、監視モニタ3は、マウスカーソル(図示しない)の表示位置が移動し、枠外に移動したかを確認する。移動したことを検出した場合(Yesの場合)はステップS104へ移行する。
【0040】
一方、検出しない場合(Noの場合)はステップS102へ移行し、現在選択されている監視カメラ2の撮影画像の表示を継続する。即ち、同じ表示状態を継続する。
【0041】
次に、ステップS104において、監視モニタ3は、マウスカーソル(図示しない)の枠外移動が枠のどの位置で起こったかを確認する。
【0042】
次に、ステップS105において、監視モニタ3は、現在表示されている画像を撮影する監視カメラ2の識別情報と、マウスカーソル(図示しない)の表示位置の情報と、をもとにカメラ連携テーブル6を参照し、切替え先の監視カメラの情報を取得する。
【0043】
マウスカーソルの表示位置と表示の切替え動作の関係に関しては、具体例(図5ないし図7)を用いて後述する。
【0044】
次に、ステップS106において、監視モニタ3は、切替え先の監視カメラ2が、現在画像が表示されている監視カメラ2と異なるかどうかを確認し、異なる場合(Yesの場合)は、ステップS107へ移行する。
【0045】
一方、同じ監視カメラ2の場合(Noの場合)は、切替えは不要であるので、ステップS102に移行し、同じ監視カメラ2の撮影画像を表示する。即ち、同じ画像を表示する状態を継続する。
【0046】
次に、ステップS107において、監視モニタ3は、表示する画像を切替える。即ち、異なる撮影画像を表示する状態へと移行する。
【0047】
次に、ステップS108において、監視モニタ3は、例えば監視員のマウス5の操作などによって初期状態に移行するよう指示が行われるかを確認し、指示がある場合(Yesの場合)はステップS109へ移行する。
【0048】
一方、指示がない場合(Noの場合)はステップS102へ移行し、現在選択されている監視カメラ2の撮影画像の表示を継続する。
【0049】
次に、ステップS109において、監視モニタ3は、監視員がマウス5の操作などにより画像監視システム1の動作終了あるいはシステムの立下げの指示が行われるかを確認し、指示がある場合(Yesの場合)はシステム動作を終了する。
【0050】
一方、指示がない場合(Noの場合)はステップS100へ移行し、初期状態、ないしは、画像監視システム1において監視カメラ2の切替え制御が行われない表示状態となる。
【0051】
次に、監視エリア100と監視カメラ2の配置の具体例における、不審者の監視動作とシステムの動作について説明する。
【0052】
図3は、画像監視システム1の監視カメラ2の配置図である。
【0053】
図では、監視エリア100として例えば建物の所定の階において、通路を監視する場合を想定している。図において、通路Aは通路Bの途中と繋がっており、通路Bは通路Aとの交差点から左右に延びている。また、通路Bの端は通路Cの端と繋がっている。
【0054】
また、図において、9は、平面的にみた各監視カメラ2の視野の範囲を示している。
監視エリア見取り図(図中の7)内において、監視カメラ2Aは通路Aの全部と通路Bの一部とを、監視カメラ2Bは通路Bを、監視カメラ2Cは通路Cと通路Bの一部とを、各監視カメラに係る部分監視エリアとして監視するよう配置されていることが分かる。
【0055】
また、監視対象としての不審者8は通路Aにいるのがわかる。
【0056】
各監視カメラ2(A、B、C)の配置の際は、各監視カメラの部分監視エリアの総和が監視エリア100である通路全域を覆うよう、監視エリア見取り図(図中の7)と各監視カメラ2の視野9の設定とを考慮して配置する。図においては、監視カメラ2Aと監視カメラ2Bの部分監視エリアが、また、監視カメラ2Bと監視カメラ2Cの部分監視エリアが、各々部分的に重なり、部分監視エリアの総和が通路(A、B、C)全体を覆っていることが分かる。
【0057】
図4は、監視カメラ2の視野(監視範囲)を示す図である。
図4(a)は、図3における監視カメラ2Aの視野(監視範囲)10を、図4(b)は監視カメラ2Bの視野(監視範囲)11を、図4(c)は監視カメラ2Cの視野(監視範囲)12を示している。視野の範囲内が監視カメラ2により撮影される。
【0058】
例えば監視員が監視カメラ2Aの撮影画像を表示させたい場合に入力装置5などを用いて監視モニタ3に指示を行うと、図4(a)に示した範囲が表示画像として監視モニタ3の表示領域4に表示される。
【0059】
図3において不審者8は通路Aにいるので、図4(a)に不審者8が示されている。
【0060】
図5は、カメラ連携テーブル6を示す図である。なお、カメラ連携テーブル6の情報は、監視カメラ2をカメラ設置者が配置する時点において、予めテーブルに登録されるものとする。
【0061】
本実施の形態では、図3の各監視カメラ2(A、B、C)に対応して個別に表形式の情報テーブルで表わしたものを作成している。
【0062】
図において、図5(a)は、監視カメラ2Aを基準として表示画像を切替える場合の切替先の監視カメラを示すテーブルを、図5(b)は、監視カメラ2Bを基準とした場合のテーブルを、図5(c)は、は監視カメラ2Cを基準とした場合のテーブルを示す。
【0063】
図において、各テーブルは9つの欄に分かれており、中央の欄に基準となる監視カメラ2の識別情報である名称を、その他の欄には切替え先の監視カメラ2の名称または該当監視カメラなしとの情報が記載される。
【0064】
図5(a)の監視カメラ2Aに関するテーブル13を例に、テーブルに記載された情報および記載された情報同士の関係について説明する。
【0065】
図3に配置した監視カメラ2Aの位置を中心として、図3における監視カメラ2Aの前後左右(図中では上下左右に対応。)および斜めが、図5(a)の中央の欄を基準とした上下左右および斜めの欄に各々対応するものとする。ここで、監視カメラ2Aの前方とは監視カメラ2Aの視野9の中心方向とする。
【0066】
まず、監視カメラ2Aは通路Aの端に位置しており、監視カメラ2Aの前方には通路Aが延びている。監視カメラ2Aの視野9内には通路A全域が含まれ、また通路Aからさらに前方に視野外の移動可能な通路はなく監視カメラ2もないので、図5(a)の中央上の欄には「該当監視カメラなし」が登録される。
【0067】
次に、監視カメラ2Aの後方に通路および監視カメラ2はないので、図5(a)の中央下の欄には「該当監視カメラなし」が登録される。
【0068】
次に、通路Aは通路Bと繋がっており、従って通路Aと通路Bとは直接接続の関係にある。また、監視カメラ2Aの監視範囲と監視カメラ2Bの監視範囲は一部重なっている、即ち両監視カメラの部分監視エリアが部分的に重なっていることがわかる。
【0069】
不審者8が監視カメラ2Aの視野から消えるのは、通路Aから左右に延びた通路Bのうち監視カメラ2Aの部分監視エリアに含まれない部分に移動する場合であり、その部分を監視するのは監視カメラ2Bである。また、視野から消える際に監視カメラ2Aの部分監視エリアのエリア境界を通る。この場合のエリア境界は、監視カメラ2Aを基準とすると左右に位置する。
【0070】
以上のことから、図5(a)の中央左および中央右の欄には、通路Bを監視するカメラの情報としての「監視カメラB」が登録される。
【0071】
一方、通路Aに直接接続されかつ斜め方向に移動可能な通路および監視カメラ2はないので、図5(a)の斜めの4つの欄には情報として「該当監視カメラなし」が登録される。
【0072】
即ち、監視カメラ2Aを基準としたテーブルにおいては、不審者8が左右のエリア境界を通って監視カメラ2Aの視野外に移動するので、表示の切替え制御において監視カメラ2Aと連携する他の監視カメラ2の情報としては「監視カメラB」とする。一方、斜め方向に不審者8が消えることはないので、この場合の連携する監視カメラ2の情報としては「該当監視カメラなし」とする。
【0073】
以上のように、カメラ連携テーブル6は表示画面の切替え動作に係る監視カメラの連携関係を示すものであり、その関係は、基準とする監視カメラ2に係る部分監視エリア(図3では通路)と他の監視カメラ2の監視範囲にある部分監視エリア(通路)との間の接続形態、または、ある監視カメラ2の監視範囲と他の監視カメラ2の監視範囲との間の接続形態、を反映して規定される。
【0074】
より詳しくは、カメラ連携テーブル6は、部分監視エリアのうち直接接続の関係にある複数の部分監視エリアの、エリア境界の位置の情報を反映して規定される。
【0075】
なお、図5に記載の各テーブルにおいて、通路およびその通路を監視する監視カメラがない場合に、「該当監視カメラなし」と記載する代わりに、同様の意味を持つ情報を記載する、あるいは、空欄とするなど各種表現形式が可能である。「該当監視カメラなし」以外に記載方法の場合は、監視モニタ3はその記載方法に対応して同様に解釈することが可能である。
【0076】
次に、上記具体例について、画像監視システム1を用いた追尾、および監視システム1の動作について説明する。
【0077】
図6は、不審者8の移動経路の1例を示す図である。
【0078】
図において、16が不審者8の移動経路(図中、太線矢印で記載。)を示し、不審者8が通路A、通路B、通路Cの順に移動することを示している。
【0079】
その他の構成については、図3と同様であるのでその説明を省略する。
【0080】
図7は、図5の不審者8を追尾における、各監視カメラが撮影した際の監視モニタ3上の表示を示す図である。
【0081】
図7(a)は、監視カメラ2Aが撮影した際の表示19を、図7(b)は、監視カメラ2Bが撮影した際の表示20を、図7(c)は、監視カメラ2Cが撮影した際の表示21を各々示す。各表示において、一番外側の四角が監視モニタ3の表示領域4を、その内側の四角が表示画像範囲である枠を示す。
【0082】
また、各表示には、通路A、通路B、通路Cにおいて順次移動している不審者8が写っているのが分かる。
【0083】
なお、図中には、17、18として、後述するマウスカーソル22の表示位置の移動を示すベクトルを合わせて示している。
【0084】
追尾動作の概要は以下のようになる。
追尾動作においては、まず、監視員は、監視カメラ2Aが撮影した際の監視モニタの表示19を見て不審者8を検出すると、不審者8の挙動を観察する。
観察している不審者8が右側方向に移動して監視カメラ2Aの視野から消えるのを認識すると、監視員は、マウス5を使用してマウスカーソル22をマウスカーソル移動方向17のように移動させる。(図6(a)参照)
監視モニタ3は、マウスカーソル22の表示位置が移動して枠の右側の枠外にあることを検出し、位置情報「右」をもとに、カメラ連携テーブル13(図5(a))の中央右の欄を参照して、監視カメラ2Aからの切替え先の情報として「監視カメラB」を取得し、監視モニタ3の表示20(図7(b))に切替える制御を開始する。
【0085】
監視員は、切り替わった監視モニタの表示20を見て不審者8の挙動を観察する。
【0086】
次に、監視モニタの表示20において不審者8が左側方向に移動して監視カメラ2Bの視野から消えるのを認識すると、監視員は、マウスカーソル22をマウスカーソル移動方向18のように移動させる。(図6(b)参照)
監視モニタ3は、マウスカーソル22の表示位置が移動して枠の左側の枠外にあることを検出し、予め登録してあるカメラ連携テーブル14(図4(b))の中央左の欄を参照して、監視カメラ2Bからの切替え先の情報として「監視カメラC」を取得し、監視モニタの表示21(図7(c)に切替える。
【0087】
以上のようにして、監視員による不審者8の追尾が行われる。
【0088】
次に、上記追尾動作の際における画像監視システム1の動作について説明する。
図8は、画像監視システム1の動作を示すフロー図であり、不審者8を発見した後の追尾動作に関する部分の動作のみを説明する。
【0089】
なお、本フローは、図6に示した通路同士の接続関係を反映した専用のフローとなっている。
【0090】
まず、ステップS1において、監視カメラ2Aの撮影画像を監視モニタ3上の表示領域4に表示する。このとき、監視モニタ3は、監視カメラ2Aの撮影画像を監視モニタ3上に表示していることを把握している。
【0091】
次に、ステップS2において、マウスカーソル22の表示位置が移動し枠外に位置した場合、右側の枠外に移動したかをチェックする。
【0092】
監視モニタ3は、右側の枠外に位置したことを検出した場合(Yesの場合)は、ステップS4に移行する。一方、右側枠外以外の場合(Noの場合)、ステップS3に移行する。
【0093】
次に、ステップS3において、監視モニタ3は、マウスカーソル22の表示位置が移動し左側の枠外に位置したかをチェックする。
【0094】
監視モニタ3は、左側の枠外に位置したことを検出した場合(Yesの場合)は、ステップS4に移行する。一方、左右枠外以外の場合(Noの場合)は、ステップS1へ移行し、監視カメラ2Aの表示19を継続する。
【0095】
図6の移動経路16で不審者8が移動した場合には、監視カメラ2Aの撮影画像を表示しているときにマウスカーソルの表示位置が右側の枠外へ移動しているので、ステップS2からステップS4へ移行することになる。
【0096】
次に、ステップS4において、監視モニタ3は、予め登録されているカメラ連携テーブル6の中から、監視カメラ2Aを基準とするカメラ連携テーブル13(図5(a)参照)を参照する。
【0097】
このとき、ステップS2から移行した場合は、マウスカーソル22の位置情報である「右」をカメラ連携テーブルにおけるエリア境界の位置情報である「右」に対応させ、カメラ連携テーブル13(図5(a)))の中央右欄の情報から切替え先の監視カメラの情報として「監視カメラB」を取得する。その後、監視カメラ2Bに対応する監視モニタ3の表示(図7(b)、20)に切替える。
【0098】
一方、ステップS3から移行した場合は、マウスカーソル22の位置情報である「左」をエリア境界の位置情報である「左」に対応させ、カメラ連携テーブル13(図5(b)))の中央左欄の情報から切替え先の監視カメラの情報として「監視カメラB」を取得する。その後、監視カメラ2Bに対応する監視モニタ3の表示(図6(b)、20)に切替える。
【0099】
切替えた後、監視カメラ2Bの撮影画像を表示(ステップS4)中にマウスカーソル22が枠外に移動した場合、ステップS5に移行する。
【0100】
次に、ステップS5において、マウスカーソル22の表示位置が移動して右側の枠外に位置したかをチェックする。右側の枠外に移動したことを検出した場合(Yesの場合)は、ステップS1に移行する。
【0101】
このとき、監視モニタ3は、監視カメラ2Bの撮影画像を監視モニタ3上に表示していることを把握しているので、ステップS4と同様にして、監視カメラ2Bを基準としたカメラ連携テーブル14(図5(b)参照)の中央右欄の情報から、切替え先の監視カメラ2の情報として「監視カメラA」を取得する。その後、監視カメラ2Aに対応する監視モニタ3の表示(図6(a)、19)に切替える。
【0102】
一方、右側以外の枠外に移動した場合(Noの場合)、ステップS6に移行する。
【0103】
次に、ステップS6において、監視モニタ3は、マウスカーソル22の表示位置が左側の枠外に移動したかをチェックする。左側の枠外に移動したことを検出した場合(Yesの場合)は、ステップS7に移行する。一方、左右枠外以外の場合(Noの場合)は、ステップS4へ移行し、監視カメラ2Bに対応する表示(図7(b)、20)を継続する。
【0104】
図6の移動経路16で不審者8が移動した場合には、不審者8は通路Bから左側の枠外へ移動しているので、ステップS5からステップS6、S7へ順次移行することになる。
【0105】
次に、ステップS7において、ステップS4と同様にして、監視カメラ2Bを基準としたカメラ連携テーブル14(図5(b))の中央左欄の情報から、切替え先の監視カメラの情報として「監視カメラC」を取得する。その後、監視カメラ2Cに対応する監視モニタ3の表示(図7(c)、21)に切替えるs
その後、マウスカーソル22が枠外に移動した場合、ステップS8に移行する。
【0106】
次に、ステップS8において、マウスカーソル22の表示が右側の枠外に移動したかチェックする。
【0107】
右側の枠外に移動した場合(Yesの場合)、ステップS4へ移行しカメラBに対応する表示に切替える。このとき、監視カメラ2Cを基準とするカメラ連携テーブル15(図5(c))を参照する。一方、右側枠外以外の場合は、ステップS7へ移行し、カメラCの表示21を継続する。
【0108】
図6の移動経路16で不審者8が移動した場合には、不審者8は通路Cで移動が終わるので、ステップS7およびS8を繰り返す。
【0109】
以上のように、本実施の形態における画像監視システムでは、各監視カメラ2に係る部分監視エリア同士の接続関係および部分監視エリアのエリア境界の位置を反映して予め作成した切替え先の監視カメラの情報を画像監視システム1内に保有し、表示する画像を切替えるので、監視員が監視エリア100内に配置された各監視カメラ2の視野(監視範囲)を記憶する必要がなく、また、監視モニタから目を離すことなく表示画像の切替えが行え、監視員が不審者の追尾に集中できるようになる。
【0110】
さらに、不審者8の移動する方向とマウスカーソル22表示の移動方向が1対1に対応しているので、監視員は直感的に切替えの指示をすることができる。特に本実施の形態では、枠の上下左右と不審者8の移動方向(前後左右)が監視モニタの表示上で一目瞭然であるので、より追尾動作および切替指示がしやすくなる。
【0111】
また、監視カメラ2の視野の設定は固定的でよいので、監視カメラ2の制御が不要または制御が簡単であるとともに、PTZ機能の付いた高機能で高価なカメラに比べ安価なカメラを使用することができ、画像監視システムの導入費用を低減できる。
【0112】
また、本実施の形態では、各監視カメラ2に対応して個別にテーブルを作成しているので、配置される監視カメラ2の増減に関係する個別テーブルのみを作成および更新すればよく、システムのメンテナンスが容易である。
【0113】
なお、本実施の形態では、カメラ連携テーブル6において切替え先の監視カメラの識別情報を示す欄を、上下左右および斜めの合計8つに分割しているが、その他の数に分割してもよい。
【0114】
また、上記具体例のように通路同士の接続関係に起因して不審者の移動方向が前後左右のように限定される場合、カメラ連携テーブル6において切替え先の監視カメラの情報を示す欄を上記限定に対応させて限定してもよく、その場合にはテーブルを格納するためのメモリサイズが少なくてすむ。
【0115】
また、本実施の形態では、監視員が入力装置(マウス)5を操作し、画像監視システム1がマウスカーソル22の表示位置の移動位置を検出して追尾動作をするようにしているが、表示画像の外側にボタンを配置し、監視員がボタンを選択するようにしてもよく、同様の効果を得られる。
【0116】
図9に、監視モニタ3におけるボタン配置のイメージの1例を示す。ボタンは、監視モニタ3の表示領域4中に表示する、あるいは、表示領域の周囲に配置するなど、各種形態が可能である。
【0117】
また、本実施の形態では、入力装置5としてマウスを用いているが、いわゆるジョイスティックなど同様な操作が可能な各種入力装置が適用可能であり、同様の動作が可能である。
【0118】
実施の形態2.
以下に、本発明の実施の形態2について図10および図11を用いて説明する。
【0119】
なお、以下では上記実施の形態1との差異を中心に説明する。
【0120】
上記実施の形態1では、監視員が入力装置(マウス)5によって監視モニタ3に表示されるマウスカーソル22を移動させ、画像監視システム1がマウスカーソル22の表示位置の枠外への移動の検出し表示画像(および監視カメラ2)を切替えていた。
【0121】
本実施の形態は、動き検知機能を実装した監視カメラ2を使用し、監視カメラ2による動き検知の結果をもとに監視モニタ3上に表示される撮影画像を切替えるものである。
【0122】
なお、動き検知の方式自体については従来技術を含め各種方式が可能であり、その詳細な説明は省略する。
【0123】
まず、本実施の形態における画像監視システム1の構成について説明する。
本実施の形態における画像監視システム1の全体的な構成および汎用的な動作フローは、上記実施の形態1と同様である。
【0124】
なお、本実施の形態においては、入力装置5およびマウスカーソル位置は監視カメラ2の切替え制御には用いないが、その他の制御などのために画像監視システム1に備える。
【0125】
監視カメラ2は、動き検知機能(図示しない)を備え、その検知結果と撮影画像とを含む情報または信号を出力する。監視カメラ2と監視モニタ3との間の検知結果情報の送受は、図1に示す接続ケーブル300を兼用して行っても、別途ケーブル等を設けて用いて行ってもよい。
【0126】
監視モニタ3は、監視カメラ2から通知された検知結果の情報を入力して、表示の切替えの制御を行う。
【0127】
次に、画像監視システム1の動作の概要を説明する。
【0128】
図10は、動き検知機能の動作を示す図である。
【0129】
図では、監視カメラ2Aの視野内において、不審者8が通路Bを右側から左側へ移動する様子を示している。
【0130】
図において、24は、監視カメラ2が不審者が右側にいる時点で動きを検知した範囲を矩形で示したもの(以下、矩形エリアAと記載。図中、点線で表示。)を、25は矩形エリアAの重心位置を、26は不審者8の移動方向を、27は、動きを検知した矩形エリアAの重心の移動方向を、28は、不審者が左側にいる時点で動きを検知した範囲を矩形で示したもの(以下、矩形エリアBと記載。図中、点線で表示)を、29は矩形エリアBの重心位置を示す。
【0131】
動き検知機能を実装した監視カメラ2は、監視エリア内で輝度の変化が発生した場合、輝度変化があったことと、輝度の変化があった範囲を矩形囲むようにで定義する矩形エリアの座標情報とを監視モニタ3に通知する。
【0132】
図10において不審者8が図示の方向26に移動する場合、監視モニタ3は、監視カメラ2から通知された矩形エリアA24の座標情報からその重心25を求める。
【0133】
次に、不審者8が移動することにより、監視カメラ2から次の動き検知の結果として矩形エリアB28の座標情報が監視モニタ3に通知される。監視モニタ3は、通知された情報をもとに矩形エリア28の重心29を求める。さらに、前回求めた重心25と比較し、重心の移動方向27を求める。
【0134】
不審者8が図示の方向26にさらに移動すると、監視カメラ2の視野から不審者8が消えるため、動き検知情報が監視モニタ3に通知されないか、または、動き検知なしなどの情報が通知される。
【0135】
監視モニタ3は、矩形エリアの重心が図示の方向27に移動し、その後、重心が求められなくなくなったので、不審者8がさらに移動して画面の左方向の死角に消えたと判断し、動きの座標情報から求めた重心に関する情報「左」をエリア境界の位置情報である「左」に対応させ、それをもとに図5のように予め登録しているカメラ連携テーブルを参照して切替え先の監視カメラ2の情報を入手し、表示画像を切替える制御を行う。
【0136】
次に、上記実施の形態1に記載の具体例(図5ないし図7)に即した場合の、動き検知機能の動作および追尾の際における画像監視システム1の動作について説明する。
【0137】
図11は、画像監視システム1の動作説明を示すフロー図である。
【0138】
実施の形態1の図8と異なる点は、ステップS10、S11、S13、S14、S16において、表示の切替え先を、マウスカーソル22の表示位置ではなく、動き検知により求めた重心に基づいている点である。
【0139】
ステップS9、S12、S15については、図8のステップS1、S4、S7と各々同様である。
【0140】
以上のように、本実施の形態における画像監視システムでは、監視モニタ3が自動で不審者を追尾する際の画像の切替を開始するので、監視員の負担が低減し、監視システムの操作性がさらに向上する。
【0141】
なお、本実施の形態においては、動き検知機能(図示しない)を監視カメラ2側に備えているが、カメラ側限定に限定する必要はなく、監視モニタ3側に備える、あるいは、監視カメラ2と監視モニタ3との接続の間に独立して備える、など各種形態が可能である。
【0142】
また、本実施の形態においては、動き検知の方法として画像における輝度の変化を用いているが、本実施の形態に限定されない。
【0143】
実施の形態3.
以下に、本発明の実施の形態3について図12および図13を用いて説明する。
【0144】
なお、本実施の形態における画像監視システム1の全体的な構成および動作フローは、上記実施の形態1または実施の形態2と同様であるので、以下では差異を中心に説明する。
【0145】
本実施の形態は、1回の切替え動作の際に、切替え先の監視カメラが複数台想定される場合に対応したものである。
【0146】
図12は、画像監視システムの動作例を示す図である。
【0147】
実施の形態1の図3および図6に記載の監視エリアとの違いは、監視カメラ2Bから見て通路Bの左側に複数の通路(C、D)が伸びており、通路(C、D)を各々を監視する監視カメラが配置されている点である。
【0148】
実施の形態1および実施の形態2においては、表示を切替える際に参照するカメラ連携テーブル6の各欄の情報としては、最大1台の監視カメラ2の情報が登録されるのみであった。
【0149】
本実施の形態においては、図12に示すように不審者8の移動先の通路が複数あり、それにともない監視カメラ2も複数台配置されている場合に、カメラ連携テーブル6の欄に複数の監視カメラ2の情報を登録する。
【0150】
図13は、カメラ連携テーブル6を示す図である。
なお、図では、監視カメラ2Bを基準としたテーブルのみを示している。監視カメラ2A、C、Dについては、テーブルは実施の形態1と同様に、各欄に登録される監視カメラは最大1台であるので、その説明を省略する。
【0151】
図12に示す移動経路16に従って不審者8が通路Aから通路Bに移動した後、さらに前進し移動可能な他の通路は左側に2つ(通路C、通路D)あるので、監視カメラ2Bを基準としたテーブル30の中央左の欄には、「監視カメラC/監視カメラD」が登録される。
【0152】
監視モニタ3は、カメラ連携テーブル6を参照して「監視カメラC/監視カメラD」のように複数の監視カメラ2の情報が登録されている場合は、表示エリア4を複数領域に分割し、各々の監視カメラの撮影画像を全て表示するよう制御ずる。このとき、各表示画面に監視カメラ2または監視エリアの情報を表示する。
【0153】
上記実施の形態1に記載のようにマウスカーソル22の表示位置をもとに監視員が手動で表示を切替える場合は、監視モニタ3は複数の表示画像の範囲を各々枠とみなして、監視員の操作によりどの枠の枠外の何処にマウスカーソル22の表示位置が移動したかにより、同様に表示を切替える。
【0154】
なお、この場合、例えば監視員がマウス5などを操作して不審者8の写っている表示画像を選択し、監視モニタ3が選択された表示画面のみ表示するように表示画像の数を減らしてもよい。
【0155】
一方、上記実施の形態2に記載のように、動き検知により表示を切替える場合は、動きの検知された表示画像に対応する監視カメラを基準として、同様に表示を切替える。
【0156】
なお、この場合、例えば動きを検知した段階で、監視モニタ3が、動き検知した表示画面のみを選択して表示するように表示画像の数を減らしてもよい。
【0157】
以上のように、本実施の形態における画像監視システムでは、カメラ連携テーブル6の1つの欄に複数の監視カメラ2の情報を登録するので、監視エリア内の接続関係が複雑になっても適用が可能である。
【0158】
また、複数の表示画面に分割してもマウスカーソルの移動や動き検知が可能であり、表示画像を切替えることができる。
【0159】
また、カメラ連携テーブル6に複数の監視カメラの情報が登録されている場合に表示させる画面を選択して減らすようにすることもできるので、選択された表示画面を大きくでき監視が容易になる。
【0160】
上記各実施の形態では、監視モニタ3上に表示される表示画像は基本的に1つであるが、監視員などの画像監視システム1の使用者が監視モニタ3上に表示される表示画像を単一画面にするか分割画面にするか選択可能なように構成してもよい。
【0161】
例えば、初期状態として監視カメラ2の画像を順次切替えるようにする場合は表示画像が1つになるよう選択指示を入力装置5から行い、初期状態として複数の監視カメラの画像を表示するようにする場合は複数表示されるよう指示を行うなどが可能である。
【0162】
また、上記各実施の形態では、監視システムの動作を分かりやすく説明するために、各監視カメラの視野の中心方向を各通路に平行になるように配置しているが、通路と視野の中心方向とが異なるようにしてもよい。その場合、カメラ連携テーブル6における各カメラの間の対応関係を規定するパラメータとして、エリア境界の位置の代わりに、エリア境界から他の部分監視エリアへの移動方向や、各監視カメラ2を基準としたエリア境界の方向など、方向情報を用いてもよい。
【0163】
また、上記各実施の形態では、部分監視エリアである各通路に監視カメラを1台ずつ配置しているが、1つの通路を複数の部分通路に分割して各部分通路に監視カメラ2を配置するようにしてもよい。
【0164】
また、上記各実施の形態では、各カメラの部分監視エリアの接続状態として、直接接続関係にある部分監視エリア同士が一部重なる場合を例に説明したが、部分監視エリア同士は隣接関係であってもよく、複数の部分監視エリアの総和が監視エリア100全体を死角が生じないように被覆するようになっていればよい。
【0165】
また、上記各実施の形態では、監視エリア100として建物の所定の階において通路を監視する場合を想定しているが、不審者の移動先に階段やエレベータなどがあり他の階に通じるような場合に、階段やエレベータなどへの立体的な接続関係を想定した情報テーブル6を作るようにしてもよい。
【0166】
また、上記各実施の形態では、カメラ連携テーブル6を、分割した欄によって表現しているが、リスト形式で表現する、など各種可能であり表現形式は限定されない。
【0167】
図14は、画像監視システムのカメラ連携テーブルの変形例を示す図である。
【0168】
上記実施の形態1における監視エリア(図3参照)に対応するカメラ連携テーブル6(図5参照)では監視カメラ2(A、B、C)毎に個別テーブルを作成しているが、図14のように、状態遷移としてみることにより同じ情報をまとめて表すことが可能である。
【0169】
図において、太い丸印が、画像が表示される状態にある各監視カメラ2(ないしは各カメラの画像を表示している状態)を、矢印が、画像の切替え動作を示す状態間遷移を、矢印上の文字が、遷移するための条件としての情報を示す。
【0170】
例えば、監視カメラAの表示状態においてマウスカーソル22の表示位置が枠の右側であることを検出すると、まずその位置情報である「右」を図の「右」に対応させる。監視モニタ3の表示は、監視カメラ2Aの表示状態から「右」と記載された矢印に従いカメラ2Bの表示状態へ移行することになるので、切替え先の監視カメラの情報として「カメラB」の情報を得ることができる。
【0171】
なお、図14では分かりやすくするために状態遷移図で表しているが、表形式で表現してもよい。
【0172】
また、上記各実施の形態では、カメラ連携テーブル6の情報は、監視エリア100内に監視カメラ2を配置する時点でシステムに登録が完了しているが、例えば配置される監視カメラ2の追加・削減に伴い更新するようにしてもよい。なお、登録および更新は、手動で行うようにしても、自動的にシステムの構成の変化を検出し自動的に行うようにしてもよい。
【0173】
また、カメラ連携テーブル6の情報は、画像監視システム1に直接入力しても、別途作成してインストールするようにしてもよい。
【0174】
また、上記各実施の形態では、通路のみを監視する場合について説明したが、居室を監視エリアの一部として含めることも可能である。その場合に、例えば居室のドアなどに設置した入退室検出装置からの入退室情報と連動して監視カメラ2の切替制御を行うなど、他の管理と連係動作を行うようにしてもよい。
【0175】
また、本発明の画像監視システム1の制御は、(1)ハードウェアで行う、(2)画像監視システム1内にCPU(図示しない)およびメモリ(図示しない)を備えソフトウエアプログラムを実行することによって行う、(3)前記両者を組合せて行う、など各種方法が可能である。ソフトウエアプログラムは、予めシステム内のメモリに記憶させても、システム外で別途作成してメモリにインストールするようにしてもよい。
【0176】
この場合、図14に示す状態遷移については、情報テーブルとして独立に作成するのではなく制御の一部、例えばプログラムの一部、として状態遷移に記載される内容と同様な内容を含めることも可能である。
【0177】
さらに、上記各実施の形態は例示であり、上記各実施の形態の組合わせを含め、当該技術分野の通常の知識をもつ者により本発明の技術的思想を外れない範囲内で各部の配置、位置関係、動作条件など種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明にかかるカメラ連携画像監視システムは、不審者を検知した場合、感覚的に不審者を追尾し、監視に集中することができ、大規模施設に多くの監視カメラを配置した場合に有用である。
【符号の説明】
【0179】
1 画像監視システム
2 監視カメラ
3 監視モニタ
4 監視モニタの表示領域
5 入力装置(マウス、キーボード等)
6 カメラ連携テーブル
7 監視エリア見取り図
8 不審者(監視対象)
9 カメラ視野
10 カメラAの視野
11 カメラBの視野
12 カメラCの視野
13 カメラAを基準とした場合のカメラ連携テーブル
14 カメラBを基準とした場合のカメラ連携テーブル
15 カメラCを基準とした場合のカメラ連携テーブル
16 不審者8の移動経路
17 マウスカーソルの移動方向(右)
18 マウスカーソルの移動方向(左)
19 カメラAでの監視モニタ表示画像
20 カメラBでの監視モニタ表示画像
21 カメラCでの監視モニタ表示画像
22 マウスカーソル
23 カメラ切替ボタン
24 動き検知した矩形エリアA
25 動き検知した矩形エリアAの重心
26 不審者の移動方向
27 動き検知した矩形エリアの重心の移動方向
28 動き検知した矩形エリアB
29 動き検知した矩形エリアBの重心
100 監視エリア
200 監視室
300 接続ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリア内を複数の部分監視エリアに分割し死角が生じないように各々の部分監視エリアを撮影する複数のカメラと、
前記複数のカメラが撮影した画像を表示する監視モニタと、
前記監視モニタが表示する画像を前記カメラに対応して切替える制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記部分監視エリアのうち直接接続関係にある複数の部分監視エリアを各々撮影するカメラの識別情報を、直接接続関係にある部分監視エリアのエリア境界の位置情報と対応づけて格納した情報テーブルを具備し、
前記情報テーブルをもとに前記監視モニタが表示する画像を切替えるようにしたことを特徴とする画像監視システム。
【請求項2】
前記画像監視システムの使用者が前記画像の切替えを開始するための指示を入力するための入力装置をさらに備え、
前記制御装置はさらに、前記入力装置の指示に対応して前記監視モニタ上にマウスカーソルを表示するとともに、前記マウスカーソルの前記画像の表示領域外への移動を検出すると前記画像の切替えを開始するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像監視システム。
【請求項3】
前記制御装置はさらに、
画像の表示領域を基準とした前記マウスカーソルの位置情報を前記エリア境界の位置情報に対応させるとともに、前記マウスカーソルの位置情報をもとに前記情報テーブルを参照するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の画像監視システム。
【請求項4】
前記画像における撮影対象の動きを検知する動き検知機能をさらに備え、
前記制御装置はさらに、前記動き検知機能により前記撮影対象の動きを検知すると前記画像の切替え動作を開始するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像監視システム。
【請求項5】
前記制御装置はさらに、
前記動き検知の結果得られた動きの座標情報を、前記エリア境界の位置情報に対応させ、前記前記動きの座標情報をもとに、前記情報テーブルを参照するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の画像監視システム。
【請求項6】
前記カメラは、固定的な視野に設定されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像監視システム。
【請求項7】
監視エリア内を複数の部分監視エリアに分割し死角が生じないように各々の部分監視エリアを複数のカメラにより撮影するステップと、
前記複数のカメラが撮影した画像を監視モニタに表示するステップと、
前記部分監視エリアのうち直接接続関係にある複数の部分監視エリアを各々撮影するカメラの識別情報と、直接接続関係にある部分監視エリアのエリア境界の位置情報と、を対応づけて格納した情報テーブルを参照するステップと、
前記情報テーブルの参照結果をもとに前記監視モニタが表示する画像を切替えるステップと、
を含むことを特徴とする画像監視システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−217320(P2011−217320A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86013(P2010−86013)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】