画像管理システム、画像管理方法、及び画像管理プログラム
【課題】閲覧者が所望する医用画像表示までの時間と画質とのバランスを実現する技術を提供する。
【解決手段】医用画像をデータベース化して保管し、閲覧者が所望する医用画像を検索して表示する画像管理システムにおいて、表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因毎に画像閲覧者が所望する画像データ圧縮率を記憶しておき、医用画像の閲覧時の所要時間決定要因を取得して、取得した所要時間決定要因に対応する画像データ圧縮率に基づき医用画像のデータ量を圧縮してから医用画像を表示する表示手段に送信する。
【解決手段】医用画像をデータベース化して保管し、閲覧者が所望する医用画像を検索して表示する画像管理システムにおいて、表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因毎に画像閲覧者が所望する画像データ圧縮率を記憶しておき、医用画像の閲覧時の所要時間決定要因を取得して、取得した所要時間決定要因に対応する画像データ圧縮率に基づき医用画像のデータ量を圧縮してから医用画像を表示する表示手段に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像を管理する画像管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院内のシステム化が進み、院内で様々なシステムが稼働する様になってきた。例えば、画像管理システムや放射線情報システムがネットワークに接続され、ネットワーク上のコンピュータ端末を用いて、これら医用管理システムや放射線情報システムと通信を行い、医用画像、検査状況情報、検査オーダー情報を送受信している。
【0003】
画像管理システム1は、所謂PACS(Picture Archiving and Communication System)である。PACSは、医用画像をデータベース化して保管し、閲覧者が所望する医用画像を検索して表示するネットワークシステムである。閲覧者は、閲覧したい医用画像の属性を入力すると、その属性を有する医用画像を閲覧することができる(例えば、「特許文献1」参照。)。
【0004】
この画像管理システムは、医用画像をデータベース化して管理する管理装置と医用画像を保管する画像保管装置と医用画像を表示する画像表示装置をネットワーク上に配している。画像表示装置は、ネットワーク上に複数配されている。
【0005】
管理装置は、画像表示装置に対して閲覧者所望の医用画像の保管先を提示する。保管先の画像保管装置は、閲覧者所望の医用画像を画像表示装置に送信する。画像表示装置、閲覧者が所望する医用画像を管理装置に問い合わせて、管理装置にデータベース検索をさせ、また、画像保管装置から送信された医用画像を表示する。
【0006】
画像保管装置は、所定のデータ圧縮をして医用画像を保管している。保管している医用画像には、一律に所定の圧縮形式を用いて所定の圧縮率でデータ圧縮がされている。圧縮形式としては、例えば、非可逆圧縮であるJPEG方式や、可逆圧縮であるJPEG2000等が採用される。JPEG2000では、医用画像全体をデータ圧縮したもの、そのデータ圧縮した医用画像を複数分割してブロック毎にさらにデータ圧縮したもの、データ圧縮したブロックをさらに複数分割してブロック毎にさらにデータ圧縮したものを合わせて記憶する。画像保管装置では、このうち、一律に定められた段階までデータ圧縮した医用画像を各画像表示装置に対して送信している。
【0007】
医用画像のデータ圧縮率は、ネットワーク送信される医用画像の送信開始から表示完了までの所要時間と画質とのバランスが最適になるように一律に定められている。しかし、従来、この一律に定められたデータ圧縮率は、必ずしも医用画像の所要時間と画質とのバランスの最適化を実現するものとは言えなかった。
【0008】
例えば、この画像管理システムによる院内のネットワーク化は、一般的には徐々に構築されていくケースが多い。そのため、CPU性能やモニタサイズやネットワーク帯域等の画像表示装置の性能に差が生じたり、ネットワークを複数のLANで構築するためにネットワークトラフィックに差が生じたりしている。本来、画像表示装置の性能やネットワークのスループットが他の画像表示装置の平均と比べて良い環境にある画像表表示装置では、画質を上げても画像の表示までに時間はかからないため、低圧縮としてもよい。一方で、画像表示装置の性能やネットワークのスループットが他の画像表示装置の平均と比べて悪い環境にある画像表表示装置では、画質を下げないと画像表示までにストレスがかかるため、高圧縮としなければならない。
【0009】
また、一度に送信されてくる医用画像が少数枚であれば、低圧縮率としても画像送信に時間がかからず閲覧者にストレスはかからないが、一度に送信されてくる医用画像が多数枚であれば、高圧縮率にしなければ画像送信に時間がかかり閲覧者にストレスを与える。
【0010】
また、医用画像の種類によっては、画質がさほど要求されずに高圧縮率でよいものや、画質が要求されるため低圧縮率にしなくてはならない場合もある。
【0011】
このように、従来の画像管理システムにより一定のデータ圧縮率で医用画像をデータ圧縮することは、画像表示装置の表示環境や医用画像の送信枚数や医用画像の種類を鑑みると、画質と所要時間とのバランスを最適化するものとは言えなかった。さらに、画像表示装置の表示環境や医用画像の送信枚数や医用画像の種類を考慮すると最適なデータ圧縮率を一律に導き出すのは困難であった。
【0012】
そのため、画像管理システムが実現する医用画像の送信開始から表示完了までの所要時間と医用画像の画質とが、閲覧者の所望する条件に合わず、閲覧者の作業に支障をきたすといった問題が発生していた。
【0013】
【特許文献1】特開平5−81156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、閲覧者が所望する医用画像表示までの時間と画質とのバランスを実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、医用画像を保管する保管手段と、前記医用画像を表示する表示手段と、前記表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因を取得する要因取得手段と、前記所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶する記憶手段と、前記要因取得手段が取得した所要時間決定要因に対応して記憶されている前記画像データ圧縮率に基づき前記保管手段に保管されている医用画像のデータ量を圧縮する圧縮手段と、前記データ量が圧縮された医用画像を前記表示手段に送信する送信手段と、を備えること、を特徴とする。
【0016】
前記要因取得手段は、前記所要時間決定要因として、画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得し、前記記憶手段は、前記表示手段の画像表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶するようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当)。
【0017】
前記要因取得手段は、前記所要時間決定要因として、一度に送信される医用画像の枚数を示す情報を取得し、前記記憶手段は、一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を記憶するようにしてもよい(請求項3記載の発明に相当)。
【0018】
前記要因取得手段は、前記所要時間決定要因として、医用画像を撮影した装置を示す撮影装置情報を取得し、前記記憶手段は、前記撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶するようにしてもよい(請求項4記載の発明に相当)。
【発明の効果】
【0019】
この発明の第1の態様によっては、表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶しておき、医用画像の閲覧時の所要時間決定要因を取得して、取得した所要時間決定要因に対応する画像データ圧縮率に基づき医用画像のデータ量を圧縮してから医用画像を表示する表示手段に送信するようにした。これにより、閲覧者は、所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0020】
所要時間決定要因として表示手段の表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶するようにし、所要時間決定要因として画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得してもよい。この場合、閲覧者は、画像表示装置4の表示環境に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0021】
所要時間決定要因として撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶するようにし、所要時間決定要因として医用画像の撮影装置情報を取得するようにしてもよい。この場合、閲覧者は、送信される医用画像の枚数や検査内容に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る画像管理システムのネットワーク構成を示す模式図である。
【0024】
画像管理システム1は、所謂PACS(Picture Archiving and Communication System)である。PACSは、医用画像をデータベース化して保管し、閲覧者が所望する医用画像を検索して表示するネットワークシステムである。閲覧者は、閲覧したい医用画像の属性を入力すると、その属性を有する医用画像を閲覧することができる。
【0025】
この画像管理システム1は、院内に張り巡らされたネットワークN上に管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4をデータ通信可能に接続して構成される。画像管理システム1のネットワークNには、モダリティ5も接続可能となっており、モダリティ5は、管理装置2とデータ通信可能となっている。
【0026】
管理装置2は、所謂データベース管理システム(DBMS:Data Base Management System)であり、医用画像の属性をデータ項目とした医用画像のデータベースを有する。この管理装置2は、SQL等のリレーショナルデータベース操作言語により記述されたコマンドを受けて各種処理を実行する。例えば、閲覧したい医用画像の属性が含まれた検索要求を受信すると、その属性を有する医用画像を検索し、検索結果の一覧を提示する。また、特定の医用画像の閲覧要求を受信すると、閲覧しようとする医用画像の保管先を提示する。
【0027】
医用画像の属性とは、医用画像に付帯する各種付帯情報を指す。医用画像には、情報主体に関する情報や検査内容に関する情報が付帯する。
【0028】
また、この管理装置2は、閲覧者が所望する医用画像のデータ圧縮率をデータベース化して記憶している。データ圧縮率は、医用画像に対してその意味内容をそのまま保持したままデータ量を少なくするデータ量の圧縮を施した場合における圧縮前に対する圧縮後のデータ量の割合である。
【0029】
このデータ圧縮率のデータベースには、データ項目として、閲覧者を識別する情報と、表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する各種所要時間決定要因が記憶され、これら組み合わせに対してデータ圧縮率が記憶されている。
【0030】
所要時間決定要因は、表示手段の画像表示環境や検査内容や医用画像の枚数を示す情報で構成される。即ち、閲覧者は、表示手段の表示環境や検査内容や一度に送信される医用画像の枚数毎に医用画像のデータ圧縮率を定めることが可能となっている。
【0031】
表示環境とは、表示手段の性能及び表示手段へデータが到達するネットワークの性能及び状況を指す。表示環境が悪ければ、医用画像の閲覧を要求してから表示するまでの所要時間が長くなる。閲覧者は、所要時間が長くなるようであれば、医用画像の画質を落としてでも改善したいと考える傾向がある。また、閲覧者は、所要時間が短いので有れば、医用画像の画質を上げたいと考える傾向にある。即ち、表示環境の善し悪しは、画質と所要時間のトレードオフにつながる。
【0032】
検査内容や医用画像の枚数を示す情報は、撮影装置情報により特定される。撮影装置情報は、医用画像を撮影したモダリティ5の種類や医用画像を撮影したモダリティ5を固有に識別する情報である。この撮影装置情報により、検査内容や、一度に送信される医用画像の枚数が単数か少なくとも数百枚に亘るかが定まる。
【0033】
検査内容によっては画質を要するものがあり、閲覧者は、所要時間を長くしてでも画質を上げたいと考える傾向がある。また、検査内容によっては画質を必要としないものがあり、閲覧者は、所要時間が長くなるようであれば、医用画像の画質を落としてでも改善したいと考える傾向がある。即ち、検査内容によって画質と所要時間にトレードオフの関係が生ずる。
【0034】
また、一度に送信される医用画像の枚数が多ければ、所要時間を短くすべく画質を落として改善したいと考える傾向がある。一方、一度に送信される医用画像の枚数が少なければ、所要時間が長くとも画質を向上させたいと考える傾向がある。即ち、一度に送信される医用画像の枚数によって画質と所要時間にトレードオフの関係が生ずる。
【0035】
閲覧者は、この管理装置2に、表示環境や撮影装置情報を考慮して画質と所要時間をトレードオフし、所要時間決定要因毎にデータ圧縮率を登録する。
【0036】
画像保管装置3は、所謂ネットワークアタッチドストレージ(NAS:Network Attached Storage)である。この画像保管装置3は、医用画像を保管する。保管先は、管理装置2がデータベース化して記憶する医用画像の保管先と一致する。
【0037】
画像表示装置4は、所謂ビューワであり、閲覧者の操作に従って医用画像を表示する。医用画像の表示にあたり、画像管理装置2に医用画像の検索を要求し、画像保管装置3から医用画像を取得する。この画像表示装置4は、画像管理システム1内に複数(4−1,4−2,4−3)設置される。画像管理システム1の構築に伴い、古い画像表示装置4と新しい画像表示装置4が混在する場合があり、また画像表示装置4の設置環境によってネットワークトラフィックに違いが生ずる場合がある。
【0038】
モダリティ5は、被検体内を観察することにより得られた投影データから被検体内の画像である医用画像を作成する医用診断装置である。例えば、超音波により被検体内を観察する超音波診断装置、X線により被検体内を観察するX線CT装置やレントゲン装置、磁場及び電磁波を発生させて被検体内の例えば水素原子核から発生する電波を受信するMRI装置である。モダリティ5は、各種診断態様に対応してX線CT装置とMRI装置等、複数(5−1,5−2)設置される場合がある。
【0039】
ネットワークNは、病院内ネットワーク若しくは病院を含む病院関連施設間をつなぐ広域ネットワークであり、電子データの伝送が可能な電子通信回線である。例えばネットワークNには、電話回線網、ISDN、FDDI、専用線、移動体通信網、通信衛星回線、CATV、LAN、無線LAN等、又はこれらの複合が採用される。
【0040】
ネットワークNでは、管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4とモダリティ5とがネットワーク通信技術を利用して相互にデータ通信が可能となっている。ネットワーク通信技術には、例えばWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)、TCP/IPプロトコル、又はDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)プロトコル等が採用される。DICOMプロトコルは、医用画像及び通信の共通規格である。
【0041】
図2は、このような画像管理システム1を実現する管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4の内部構成を示すブロック図である。
【0042】
図2に示すように、管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4は、演算制御部100、主記憶部101、外部記憶部102、LANインターフェース103が共通線で接続されたコンピュータである。画像表示装置4には、更に入力装置104やモニタ105等の周辺装置も接続されている。
【0043】
演算制御部100は、所謂CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムの解読及び解読した命令の実行をする。主記憶部101は、所謂RAM(Random Access Memory)であり、プログラムや演算制御部100の演算結果が適宜記憶されるワークエリアとなる。外部記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置であり、演算制御部100により読み取られるプログラムやデータベース等のデータが記憶される。LANインターフェース103は、ネットワークNに接続してデータの入出力をするインターフェースである。入力装置104は、マウスやキーボード等の閲覧者により操作されてデータ入力を行うマンマシンインターフェースである。モニタ105は、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等である。
【0044】
管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4では、外部記憶部102に記憶されているプログラムを適宜主記憶部101に展開し、主記憶部101をワークエリアとして演算制御部100が展開されたプログラムを解読及び実行することでコンピュータが管理装置2、画像保管装置3、画像表示装置4として機能し、各装置間でデータの入出力を行う。
【0045】
図3は、このプログラムの実行により実現される画像表示システム1の画像表示に係る流れ図である。
【0046】
まず、画像表示装置4は、閲覧者がログインすると、閲覧者識別情報と画像表示装置4の表示環境を取得する(S01)。閲覧者識別情報は、閲覧者を識別する情報である。表示環境は、医用画像の受信速度及び描画性能を左右する環境であり、画像表示装置4の性能及びネットワーク環境からなる。画像表示装置4の性能は、演算制御部100の性能及びモニタ105のサイズである。ネットワーク環境は、ネットワーク帯域及びネットワークトラフィックである。尚、ネットワークトラフィックは、管理装置2とデータの送受信をする際に計測する。
【0047】
閲覧者が入力装置104を操作して、閲覧したい医用画像の属性を入力すると、この医用画像の属性を検索キーとする検索要求を管理装置2に送信する(S02)。この管理装置2への検索要求の際、ネットワークトラフィックを計測してネットワークトラフィックを取得する。
【0048】
管理装置2は、検索要求を受信すると、データベースを検索する(S03)。管理装置2は、データベースを読み込んで、検索キーと一致するデータ項目を有する医用画像のレコードを探索する。
【0049】
管理装置2は、データベースの検索が終了すると、検索結果を一覧にして画像表示装置4に送信する(S04)。管理装置2は、検索キーと一致するデータ項目を有する医用画像のレコードを一覧に纏めたデータを生成し、このデータを画像表示装置4へ送信する。
【0050】
画像表示装置4は、管理装置2から送信された一覧をモニタ105に表示する(S05)。閲覧者は、モニタ105に表示された一覧を参照しながら、入力装置104を用いて閲覧したい医用画像を一覧から選択する。
【0051】
医用画像が選択されると、画像表示装置4は、この選択された医用画像の閲覧要求を管理装置2に送信する(S06)。この閲覧要求に併せて、画像表示装置4は、取得した閲覧者識別情報と表示環境とを管理装置2へ送信する(S07)。
【0052】
閲覧要求を受信した管理装置2は、閲覧要求の対象である医用画像の保管先をデータベースから検索する(S08)。また、表示環境を受信した管理装置2は、ログインしている閲覧者と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせを検索キーとして、医用画像のデータ圧縮率を記憶するデータベースを検索する(S09)。
【0053】
管理装置2は、医用画像の保管先をデータベースから取得すると、この保管先を画像表示装置4に送信し、またデータ圧縮率をデータベースから検出すると、このデータ圧縮率を画像表示装置4に送信する(S10)。
【0054】
保管先とデータ圧縮率を受信した画像表示装置4は、保管先に該当する画像保管装置3に医用画像の送信要求とデータ圧縮率を送信する(S11)。
【0055】
医用画像の送信要求とデータ圧縮率を受信した画像保管装置3は、まず保管先の医用画像を読み出す(S12)。医用画像を読み出した画像保管装置3は、受信したデータ圧縮率に近いデータ圧縮率を実現する圧縮形式を選択して、読み出した医用画像のデータを圧縮する(S13)。
【0056】
保管先にある医用画像のデータを圧縮した画像保管装置3は、データ圧縮した医用画像を画像表示装置4に送信する(S14)。画像表示装置4は、ログインしている閲覧者と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせに応じて登録してあるデータ圧縮率で圧縮された医用画像を展開し、モニタ105に表示する(S15)。
【0057】
このように、この画像管理システム1では、ログインした閲覧者別にデータ圧縮率を選択し、選択したデータ圧縮率に近似するように医用画像を圧縮する。即ち、閲覧者が医用画像の画質と画像受信速度とを考慮してデータ圧縮率をデータベースに登録することで、閲覧者が所望する画質及び画像受信速度で医用画像を取得して表示することが可能となる。
【0058】
また、この画像管理システム1では、画像表示装置4の表示環境に対応してデータ圧縮率を選択し、選択したデータ圧縮率に近似するように医用画像を圧縮する。即ち、表示環境を考慮してデータ圧縮率をデータベースに登録することで、画質と画像受信速度を最適化した医用画像の取得及び表示をすることができる。
【0059】
また、この画像管理システム1では、医用画像の検査種類に対応してデータ圧縮率を選択し、選択したデータ圧縮率に近似するように医用画像を圧縮する。医用画像の検査種類とは、医用画像を撮影したモダリティ5の種類や装置を固有に識別する情報である。モダリティ5の種類によって、一度に送信される医用画像の枚数や要求される画質は、異なる。例えば、X線CT装置により撮影された医用画像の場合、一度に送信される医用画像の枚数は多いが、レントゲン撮影の場合、一度に送信される医用画像の枚数は、単数であることが多い。一度に送信される医用画像の枚数に応じて要求される画質と画像受信速度とを最適化した医用画像の取得及び表示をすることができる。
【0060】
尚、画像表示装置4が送信される検索要求や閲覧要求は、DICOM Q/R(Query and Retrieve)やSQL等によって記述されたデータベース操作言語によって記述されている。
【0061】
また、この画像管理システム1で管理する医用画像は、モダリティ5から発生する。モダリティ5は、患者等の被検体の体内を撮影し、被検体内の医用画像を作成する。医用画像の作成の際、モダリティ5は、医用画像の属性を示す付帯情報を医用画像に付帯させる。
【0062】
付帯情報が付帯した医用画像は、モダリティ5から管理装置2に送信される。管理装置2は、付帯情報をデータ項目として医用画像をデータベースに登録する。管理装置2は、データベースに医用画像を登録した後、医用画像を画像保管装置3に送信する。画像保管装置3は、送信された医用画像を保管する。
【0063】
図4は、このような画像管理システム1に設置される管理装置2の機能を示す機能ブロック図である。また、図5は、この管理装置2の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【0064】
図4に示すように、管理装置2は、画像データベース21と圧縮率データベース22を有する。この画像データベース21と圧縮率データベース22は、外部記憶部102を含み構成される。
【0065】
画像データベース21は、医用画像の各種属性を示す各種付帯情報をデータ項目とした医用画像のレコードで構成されている。レコードには、各種付帯情報と医用画像の保管先が対応付けられている。データ項目としては、医用画像の情報主体である患者の氏名、年齢、性別、及び住所、医用画像の検査ID、シリーズID、及び画像ID、医用画像を作成したモダリティ5の種類やAEタイトル、ステーションネーム等のモダリティ5を固有に識別する情報等の撮影装置情報が記憶されている。医用画像の保管先は、医用画像が保管されているネットワーク上のパスやURLである。
【0066】
画像データベース21は、医用画像の検索要求を受け取ると、検索要求に含まれている検索キーと一致するデータ項目の内容を有するレコードをピックアップする。レコードをピックアップすると、そのレコードを纏めた一覧を作成し、画像表示装置4に送信する。一覧には、該当したレコード別に医用画像の付帯情報が記録される。
【0067】
また、画像データベース21は、特定の医用画像の閲覧要求を受け取ると、閲覧要求に含まれるその特定の医用画像を示す画像ID等の識別情報を検索キーと一致するデータ項目の内容を有するレコードから保管先を抽出する。閲覧要求されている医用画像の保管先を抽出すると、その保管先を画像表示装置4へ送信する。
【0068】
圧縮率データベース22は、閲覧者の識別情報毎に各種表示環境と各種撮影装置情報の組み合わせを記憶し、この組み合わせ毎にデータ圧縮率を対応付けて記憶している。閲覧者の識別情報は、例えばログインIDである。表示環境は、画像表示装置4のCPU性能、モニタ性能、ネットワーク帯域、ネットワークトラフィックの組み合わせである。撮影装置情報は、患者の検査内容から医用画像の枚数を推測するための情報であり、X線CT装置、MRI装置等のモダリティ5の種類、又はAEタイトル、ステーションネーム等のモダリティ5固有の識別情報である。
【0069】
データ圧縮率は、デフォルトで定まる数値の他、閲覧者が所望する送信条件に基づいて登録される。閲覧者が所望する送信条件は、閲覧しようとする医用画像の画質及び送信速度を示す情報である。例えば、医用画像の画質レベルを示す数値である。この送信条件は、画像表示装置4から送信される。圧縮率データベース22は、例えば、画質レベルの数値に対応するデータ圧縮率を演算又は対応表を基に決定し、決定したデータ圧縮率を登録する。
【0070】
圧縮率データベース22は、閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報を受け取り、受け取ったこれら情報の組み合わせに対応付けられたデータ圧縮率を検索して、画像表示装置4に送信する。閲覧者の識別情報と閲覧者が操作している画像表示装置4の表示環境は、閲覧要求に含まれている。閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報は、画像データベース21から受け取る。このデータ圧縮率は、画像データベース21が送信する保管先とともに送信される。
【0071】
この管理装置2の動作を図5に示す。まず、画像データベース21は、画像表示装置4からの検索要求を受信すると(S21,Yes)、検索要求に含まれる医用画像の属性に合致する医用画像を検索する(S22)。画像データベース21は、検索要求に含まれる医用画像の属性を検索キーとして、当該検索キーと各レコードのデータ項目の内容を比較する。比較の結果、検索キーとデータ項目の内容が一致すると、検索キーと一致するデータ項目の内容を有するレコードを抽出する。
【0072】
医用画像を検索すると、画像データベース21は、検索結果を纏めた一覧を作成し画像表示装置4に送信する(S23)。画像表示装置4では、閲覧者が閲覧しようとする医用画像がこの一覧をもとに選択される。画像表示装置4は、医用画像が選択されると、当該医用画像の閲覧要求を管理装置2に送信する。このとき、画像表示装置4は、閲覧要求とともに、閲覧者識別情報と表示環境とを管理装置2に送信する。
【0073】
管理装置2では、閲覧要求と閲覧者識別情報と表示環境とを受信すると(S24,Yes)、画像データベース21は、閲覧要求に対応する医用画像のレコードから保管先を抽出する(S25)。さらに、画像データベース21は、閲覧要求に対応する医用画像のレコードから撮影装置情報を抽出する(S26)。
【0074】
保管先が抽出されると、圧縮率データベース22は、閲覧要求とともに受信した閲覧者識別情報と表示環境、及び抽出した撮影装置情報の組み合わせを検索キーとしてデータ圧縮率を検索する(S27)。これら閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報の組み合わせに対応するデータ圧縮率が検索されると(S28,Yes)、該当するデータ圧縮率を抽出する(S29)。一方、これら閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報の組み合わせに対応するデータ圧縮率が検索されなければ(S28,No)、デフォルトで予め記憶しているデータ圧縮率を読み出す(S30)。
【0075】
管理装置2は、保管先と圧縮率データベース22に記憶されたデータ圧縮率又は読み出されたデフォルトのデータ圧縮率を画像表示装置4へ送信する(S31)。
【0076】
図6は、このような画像管理システム1に設置される画像保管装置3の機能を示す機能ブロック図である。また、図7は、この画像保管装置3の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【0077】
図6に示すように、画像保管装置3は、画像保管部31と圧縮形式選択部32と圧縮部33を備える。画像保管装置3は、外部記憶部102を含み構成され、圧縮形式選択部32と圧縮部33は、演算制御部100を含み構成される。
【0078】
画像保管部31は、医用画像を保管している。医用画像の保管先は、画像データベース21に記憶されている保管先と一致する。この医用画像は、ビットマップ形式等の圧縮されていない状態、又はJPEG2000形式等の可逆圧縮が可能な形式で保管されている。
【0079】
圧縮形式選択部32は、医用画像のデータ量圧縮形式又は圧縮程度を画像表示装置4から送信されるデータ圧縮率を基に選択する。データ圧縮は、一定の手順に従って医用画像の意味を保持したままデータサイズを削減する処理である。データ圧縮形式には、複数段階の圧縮データが作成可能なJPEG2000方式やJPEG方式、一定の定まったデータ圧縮率を有する圧縮方式等がある。圧縮形式選択部32は、各圧縮形式により実現されるデータ圧縮率の数値を保持しており、画像表示装置4から取得したデータ圧縮率と最も近似するデータ圧縮率を実現する圧縮方式を選択する。
【0080】
圧縮部33は、医用画像のデータを圧縮する。圧縮部33は、各種圧縮形式を実現する第1圧縮部33a、第2圧縮部33b、第3圧縮部33c、第4圧縮部33d・・・を有する。圧縮部33は、圧縮形式選択部32が選択した圧縮形式を用いて医用画像をデータ圧縮する。この圧縮部33により圧縮された医用画像は、画像表示装置4に送信される。
【0081】
このような画像保管装置3の動作を図7に示す。まず、画像保管装置3では、医用画像の保管先及びデータ圧縮率を画像表示装置4から受信する(S41)。保管先を受信すると、画像保管部31は、保管先に記憶されている医用画像を読み出す(S42)。
【0082】
医用画像が読み出されると、圧縮形式選択部32は、受信したデータ圧縮率と最も近似するデータ圧縮率を実現する圧縮形式及びその圧縮程度を選択する(S43)。圧縮形式及び圧縮程度が選択されると、圧縮部33は、読み出された医用画像を、選択された圧縮形式及び圧縮程度でデータ圧縮する(S44)。
【0083】
データ圧縮が終了すると、圧縮済みの医用画像を画像表示装置4に送信する(S45)。
【0084】
図8は、このような画像管理システム1に設置される画像表示装置4の機能を示す機能ブロック図である。また、図9は、この画像表示装置4の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【0085】
図8に示すように、画像表示装置4は、DBクライアント41、表示部42、閲覧者識別情報取得部43、コンピュータ性能取得部44、ネットワークトラフィック取得部45、及び送信条件取得部46を有する。
【0086】
DBクライアント41、コンピュータ性能取得部44、及びネットワークトラフィック取得部45は演算制御部100を含み構成される。表示部42は、モニタ105を含み構成される。閲覧者識別情報取得部43と送信条件取得部46は、入力装置104を含み構成される。
【0087】
DBクライアント41は、管理装置2に対して検索要求や閲覧要求を送信し、画像保管装置3に対して送信要求を送信する。このDBクライアント41は、閲覧したい医用画像の属性を入力するフォームや管理装置2から送信された一覧を表示部42に表示させる。表示部42は、また画像表示装置4から送信された医用画像を展開して表示する。
【0088】
閲覧者識別情報取得部43は、閲覧者がログイン時に入力した閲覧者識別情報を取得する。コンピュータ性能取得部44は、画像表示装置4の起動時に当該画像表示装置4のCPU性能やモニタサイズやネットワーク帯域を取得する。ネットワークトラフィック取得部45は、閲覧要求時にネットワークの確率に要するスループットからネットワークトラフィックを取得する。
【0089】
送信条件取得部46は、閲覧者が画像表示装置4の表示環境別や撮影装置情報別に所望する送信条件を取得する。送信条件取得部46は、表示部42に送信条件を選択させるフォームを表示させて、選択された送信条件を取得する。
【0090】
この画像表示装置4の動作を図9に示す。まず、画像表示装置4では、閲覧者が閲覧者識別情報及びパスワードを入力してログインする(S51)。閲覧者がログインすると、閲覧者識別情報取得部43は、入力された閲覧者識別情報を取得し(S52)、コンピュータ性能取得部44は、画像表示装置4のCPU性能やモニタサイズやネットワーク帯域を取得する(S53)。
【0091】
次に、DBクライアント41は、医用画像の属性を入力するフォームを表示部42に表示させる(S54)。閲覧者がフォームに医用画像の属性を入力すると、DBクライアント41は、入力された医用画像の属性を含む検索要求を作成する(S55)。
【0092】
DBクライアント41は、検索要求を管理装置2に送信する(S56)。管理装置2に検索要求を送信する際、ネットワークトラフィック取得部45は、ネットワーク確立に伴い、スループットを計測し、ネットワークトラフィックを取得する(S57)。検索要求が送信された管理装置2では、画像データベース21により医用画像の属性に合致する医用画像が検索されて、検索された医用画像の一覧が画像表示装置4に送信される。
【0093】
管理装置2から検索結果の一覧を受信すると(S58)、DBクライアント41は、受信した一覧を表示部42に表示させる(S59)。
【0094】
表示部42に表示された一覧から閲覧者が閲覧したい医用画像が選択されると(S60)、DBクライアント41は、選択された医用画像を特定する情報を含む閲覧要求を作成する(S61)。DBクライアント41は、閲覧要求を管理装置2に送信し、伴ってネットワークトラフィック取得部45が取得したネットワークトラフィックとコンピュータ性能取得部44が取得したCPU性能とモニタサイズとネットワーク帯域とを含む表示環境と閲覧者識別情報取得部43が取得した閲覧者情報とが管理装置2に送信される(S62)。
【0095】
管理装置2から保管先とデータ圧縮率を受信すると(S63)、DBクライアント41は、保管先が示す画像保管装置3へ医用画像の保管先を示す情報を含む送信要求を送信し、伴ってデータ圧縮率を送信する(S64)。画像保管装置3では、このデータ圧縮率に従って保管先にある医用画像がデータ圧縮されて画像表示装置4へ送信される。
【0096】
画像保管装置3からデータ圧縮された医用画像を受信すると(S65)、DBクライアント41は、受信した医用画像を展開して表示部42に表示する(S66)。
【0097】
このような画像管理システム1における圧縮率データベース22の作成について説明する。
【0098】
この圧縮率データベース22は、画像表示装置4から閲覧要求とともに送られてくる閲覧者識別情報と表示環境、及び閲覧要求に対する処理の際に取得する撮影装置情報をもとにレコードを作成する。
【0099】
圧縮率データベース22は、閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報との新たな組み合わせが送信されると、当該新たな組み合わせをデータベース登録し、画像表示装置4からの送信条件の指定がなければ、デフォルトのデータ圧縮率を対応付ける。
【0100】
また、画像表示装置4では、閲覧要求の際に送信条件取得部46により、閲覧者が現状の表示環境及び閲覧しようとする医用画像の撮影装置情報において所望する送信条件が取得可能となっている。表示部42には、送信条件を指定するボタンが表示され、当該ボタンが押下されることで送信条件を指定するポップアップが表示される。そのポップアップには、例えば画質レベルを指定するゲージが表示され、ゲージの操作によって画質レベルによって反映される送信条件が入力される。
【0101】
送信条件取得部46は、この入力された送信条件を取得する。送信条件を取得した送信条件取得部46は、閲覧者識別情報と表示環境の管理装置2への送信に伴って、取得した送信条件を送信する。
【0102】
管理装置2の圧縮率データベース22では、閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報との新たな組み合わせの登録の際に、送信されてきた送信条件に対応するデータ圧縮率を対応付ける。
【0103】
この管理装置2の圧縮率データベース22へのデータ圧縮率の動作を図10に示す。図10は、圧縮率データベース22のデータ圧縮率登録の動作を示すフローチャートである。
【0104】
圧縮率データベース22は、画像表示装置4から閲覧要求とともに閲覧者識別情報と表示環境とが送信されてくると(S71,Yes)、まず、閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報を画像データベース21から取得する(S72)。
【0105】
次に、圧縮率データベース22は、送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせがデータベース登録されているか照合する(S73)。
【0106】
当該組み合わせがデータベース登録されていれば(S73,Yes)、図5のS29以降の閲覧要求に対する処理を実行する(S74)。当該組み合わせがデータベース登録されていなければ(S73,No)、閲覧要求とともに送信条件が送信されてきているか判断する(S75)。
【0107】
送信条件が送信されていなければ(S75,No)、圧縮率データベース22は、送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の新たな組み合わせとデフォルトのデータ圧縮率を対応付けて新たにデータベース登録する(S76)。
【0108】
送信条件が送信されていれば(S75,Yes)、圧縮率データベース22は、送信されてきた送信条件からデータ圧縮率を生成する(S77)。送信条件からデータ圧縮率を生成すると、圧縮率データベース22は、送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の新たな組み合わせと、生成したデータ圧縮率とを対応付けて新たにデータベース登録する(S78)。
【0109】
尚、送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせが既に存在していても、閲覧要求とともに送信条件が送信されていれば、既に存在する送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせに対して、送信されてきた送信条件に応じたデータ圧縮率を更新登録する。
【0110】
図11は、圧縮率データベース22の具体例を示す模式図である。
【0111】
圧縮率データベース22は、閲覧者識別情報のデータ項目Da、CPU性能のデータ項目Db、モニタサイズのデータ項目Dc、ネットワーク帯域のデータ項目Dd、ネットワークトラフィックのデータ項目De、医用画像の撮影装置情報のデータ項目Dfと、データ圧縮率のデータ項目Dgとを対応付けて記憶している。即ち、閲覧者が、表示環境毎に、更には一度に送信される医用画像の枚数及び検査内容に基づく画質の必要性に応じて、データ圧縮率を登録できるようになっている。
【0112】
例えば、CPU性能が「3.2GHz」、モニタサイズが「17インチ」、ネットワーク帯域が「100Mbps」の性能を有する画像表示装置4を閲覧者である「ヤマダタロウ」が使用しており、その時点でのネットワークトラフィックが「15Mbps」であった場合について過去に装置操作情報として「X線CT装置」を有する医用画像の閲覧要求がなされているため、圧縮率データベース22にこの組み合わせが登録されており、かつデータ圧縮率として「30%」が対応付けられているものとする。
【0113】
この場合に、閲覧者である「ヤマダタロウ」が、CPU性能が「3.2GHz」、モニタサイズが「17インチ」、ネットワーク帯域が「100Mbps」の性能を有する画像表示装置4を使用して、装置操作情報として「X線CT装置」を有する医用画像の閲覧要求し、かつその時点でのネットワークトラフィックが「15Mbps」であると、閲覧要求に伴って、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「3.2GHz」、モニタサイズ「17インチ」、ネットワーク帯域「100Mbps」、及びネットワークトラフィック「15Mbps」の情報が管理装置2へ送信される。
【0114】
管理装置2では、画像データベース21から、装置操作情報「X線CT装置」を取得する。さらに、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「3.2GHz」、モニタサイズ「17インチ」、ネットワーク帯域「100Mbps」、ネットワークトラフィック「15Mbps」、装置操作情報「X線CT装置」の組み合わせについて圧縮率データベース22の検索がなされ、データ圧縮率「30%」が取得される。このデータ圧縮率「30%」が画像表示装置4を経由して画像保管装置3に送信され、データ圧縮率「30%」に最も近いデータ圧縮率を実現する圧縮形式及び圧縮程度によって医用画像がデータ圧縮され、画像表示装置4に送信される。
【0115】
また、例えば、CPU性能が「3.2GHz」、モニタサイズが「17インチ」、ネットワーク帯域が「100Mbps」の性能を有する画像表示装置4を閲覧者である「ヤマダタロウ」が使用しており、その時点でのネットワークトラフィックが「25Mbps」であった場合について過去に装置操作情報として「レントゲン」を有する医用画像の閲覧要求がなされているため、圧縮率データベース22にこの組み合わせが登録されており、かつデータ圧縮率として「80%」が対応付けられているものとする。
【0116】
この場合に、閲覧者である「ヤマダタロウ」が、CPU性能が「3.2GHz」、モニタサイズが「17インチ」、ネットワーク帯域が「100Mbps」の性能を有する画像表示装置4を使用して、装置操作情報として「レントゲン」を有する医用画像の閲覧要求し、かつその時点でのネットワークトラフィックが「25Mbps」であると、閲覧要求に伴って、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「3.2GHz」、モニタサイズ「17インチ」、ネットワーク帯域「100Mbps」、及びネットワークトラフィック「25Mbps」の情報が管理装置2へ送信される。
【0117】
管理装置2では、画像データベース21から、装置操作情報「レントゲン」を取得する。さらに、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「3.2GHz」、モニタサイズ「17インチ」、ネットワーク帯域「100Mbps」、ネットワークトラフィック「25Mbps」、装置操作情報「レントゲン」の組み合わせについて圧縮率データベース22の検索がなされ、データ圧縮率「80%」が取得される。このデータ圧縮率「80%」が画像表示装置4を経由して画像保管装置3に送信され、データ圧縮率「80%」に最も近いデータ圧縮率を実現する圧縮形式及び圧縮程度によって医用画像がデータ圧縮され、画像表示装置4に送信される。
【0118】
また、CPU性能が「1.6GHz」、モニタサイズが「14インチ」、ネットワーク帯域が「10Mbps」の性能を有する画像表示装置4を閲覧者である「ヤマダタロウ」が使用しており、その時点でのネットワークトラフィックが「5Mbps」であった場合について装置操作情報として「X線CT装置」を有する医用画像の閲覧要求が過去になされていないものとする。即ち、この組み合わせは、圧縮率データベース22に登録されていない。
【0119】
この場合に、閲覧者である「ヤマダタロウ」が、CPU性能が「1.6GHz」、モニタサイズが「14インチ」、ネットワーク帯域が「10Mbps」の性能を有する画像表示装置4を使用して、装置操作情報として「X線CT装置」を有する医用画像を送信条件として「画質レベル1」での閲覧要求し、かつその時点でのネットワークトラフィックが「5Mbps」であると、閲覧要求に伴って、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「1.6GHz」、モニタサイズ「14インチ」、ネットワーク帯域「10Mbps」、及びネットワークトラフィック「5Mbps」の情報が管理装置2へ送信される。
【0120】
管理装置2では、画像データベース21から、装置操作情報「X線CT装置」を取得する。さらに、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「1.6GHz」、モニタサイズ「14インチ」、ネットワーク帯域「10Mbps」、ネットワークトラフィック「5Mbps」、装置操作情報「X線CT装置」の組み合わせについて圧縮率データベース22の検索がなされる。この検索によって該当する組み合わせが探索されないため、圧縮率データベース22は、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「1.6GHz」、モニタサイズ「14インチ」、ネットワーク帯域「10Mbps」、及びネットワークトラフィック「5Mbps」の組み合わせを新たにデータベース登録する。さらに送信条件「画質レベル1」が送信されているため、圧縮率データベース22は、「画質レベル1」に対応するデータ圧縮率「10%」を新たに登録した組み合わせに対応付ける。
【0121】
このように、画像管理システム1は、データ圧縮率を所要時間決定要因毎に記憶しておき、医用画像閲覧時の所要時間決定要因を取得して、取得した所要時間決定要因に対応するデータ圧縮率に基づき医用画像のデータ量を圧縮して画像表示装置4に送信するようにした。これにより、閲覧者は、所望の画質の医用画像を所望の所要速度で取得することができる。
【0122】
所要時間決定要因として画像表示装置4の表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶するようにし、所要時間決定要因として画像閲覧者に操作されている画像表示装置4の画像表示環境を取得してもよい。これにより、閲覧者は、画像表示装置4の表示環境に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0123】
所要時間決定要因として一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を取得するようにしてもよい。これにより、閲覧者は、送信される医用画像の枚数に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0124】
所要時間決定要因として撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶するようにし、所要時間決定要因として医用画像の撮影装置情報を取得することもできる。これにより、閲覧者は、送信される医用画像の枚数や検査内容に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0125】
尚、本実施形態では、管理装置2と画像保管装置3とを別体の装置として説明したが、ネットワークN上に管理装置2と画像保管装置3の両機能を有する装置を接続するようにしてもよい。この場合、データ圧縮率を画像表示装置4を経由して送信する必要はなく、送信要求時に閲覧者識別情報と表示環境とを取得してデータ圧縮率を検索することもできる。
【0126】
画像表示装置4において医用画像が断層変換(MPR:multi−planar reconstruction)や異種診断装置で撮影された医用画像の合成(Fusion:などどのような用途で使用されたかの情報を収集して、当該情報をデータ圧縮率に対応付けるデータ項目とすることもできる。
【0127】
また、画像表示装置4へ送信する医用画像は、データ圧縮率に従ってデータ圧縮されるが、例えば、データ圧縮率を「100%」や「圧縮無し」として記憶しておくこともでき、この場合のデータ圧縮率に従えば医用画像は圧縮されない。即ち、データ圧縮率に従った画像サイズの医用画像を送信できればよく、必ずしもデータ圧縮を伴うものではない。
【0128】
データ圧縮率に応じて選択される圧縮形式は、本実施形態で例示したJPEG形式やJPEG2000形式の他にも、Tiff形式、Gif形式等公知の圧縮形式の何れをも採用することができる。選択される圧縮形式のプログラムを画像保管装置3へインストールし、医用画像のデータ圧縮時に利用可能に登録しておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本実施形態に係る画像管理システムのネットワークを示す模式図である。
【図2】管理装置と画像保管装置と画像表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像表示システムの画像表示に係る流れ図である。
【図4】管理装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図5】管理装置の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【図6】画像保管装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図7】画像保管装置の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【図8】画像表示装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図9】画像表示装置の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【図10】圧縮率データベースのデータ圧縮率登録の動作を示すフローチャートである。
【図11】圧縮率データベースの具体例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0130】
1 画像管理システム
2 管理装置
21 画像データベース
22 圧縮率データベース
3 画像保管装置
31 画像保管部
32 圧縮形式選択部
33 圧縮部
4 画像表示装置
41 DBクライアント
42 表示部
43 閲覧者識別情報取得部
44 コンピュータ性能取得部
45 ネットワークトラフィック取得部
46 条件取得部
5 モダリティ
100 演算制御部
101 主記憶部
102 外部記憶部
103 LANインターフェース
104 入力装置
105 モニタ
N ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像を管理する画像管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院内のシステム化が進み、院内で様々なシステムが稼働する様になってきた。例えば、画像管理システムや放射線情報システムがネットワークに接続され、ネットワーク上のコンピュータ端末を用いて、これら医用管理システムや放射線情報システムと通信を行い、医用画像、検査状況情報、検査オーダー情報を送受信している。
【0003】
画像管理システム1は、所謂PACS(Picture Archiving and Communication System)である。PACSは、医用画像をデータベース化して保管し、閲覧者が所望する医用画像を検索して表示するネットワークシステムである。閲覧者は、閲覧したい医用画像の属性を入力すると、その属性を有する医用画像を閲覧することができる(例えば、「特許文献1」参照。)。
【0004】
この画像管理システムは、医用画像をデータベース化して管理する管理装置と医用画像を保管する画像保管装置と医用画像を表示する画像表示装置をネットワーク上に配している。画像表示装置は、ネットワーク上に複数配されている。
【0005】
管理装置は、画像表示装置に対して閲覧者所望の医用画像の保管先を提示する。保管先の画像保管装置は、閲覧者所望の医用画像を画像表示装置に送信する。画像表示装置、閲覧者が所望する医用画像を管理装置に問い合わせて、管理装置にデータベース検索をさせ、また、画像保管装置から送信された医用画像を表示する。
【0006】
画像保管装置は、所定のデータ圧縮をして医用画像を保管している。保管している医用画像には、一律に所定の圧縮形式を用いて所定の圧縮率でデータ圧縮がされている。圧縮形式としては、例えば、非可逆圧縮であるJPEG方式や、可逆圧縮であるJPEG2000等が採用される。JPEG2000では、医用画像全体をデータ圧縮したもの、そのデータ圧縮した医用画像を複数分割してブロック毎にさらにデータ圧縮したもの、データ圧縮したブロックをさらに複数分割してブロック毎にさらにデータ圧縮したものを合わせて記憶する。画像保管装置では、このうち、一律に定められた段階までデータ圧縮した医用画像を各画像表示装置に対して送信している。
【0007】
医用画像のデータ圧縮率は、ネットワーク送信される医用画像の送信開始から表示完了までの所要時間と画質とのバランスが最適になるように一律に定められている。しかし、従来、この一律に定められたデータ圧縮率は、必ずしも医用画像の所要時間と画質とのバランスの最適化を実現するものとは言えなかった。
【0008】
例えば、この画像管理システムによる院内のネットワーク化は、一般的には徐々に構築されていくケースが多い。そのため、CPU性能やモニタサイズやネットワーク帯域等の画像表示装置の性能に差が生じたり、ネットワークを複数のLANで構築するためにネットワークトラフィックに差が生じたりしている。本来、画像表示装置の性能やネットワークのスループットが他の画像表示装置の平均と比べて良い環境にある画像表表示装置では、画質を上げても画像の表示までに時間はかからないため、低圧縮としてもよい。一方で、画像表示装置の性能やネットワークのスループットが他の画像表示装置の平均と比べて悪い環境にある画像表表示装置では、画質を下げないと画像表示までにストレスがかかるため、高圧縮としなければならない。
【0009】
また、一度に送信されてくる医用画像が少数枚であれば、低圧縮率としても画像送信に時間がかからず閲覧者にストレスはかからないが、一度に送信されてくる医用画像が多数枚であれば、高圧縮率にしなければ画像送信に時間がかかり閲覧者にストレスを与える。
【0010】
また、医用画像の種類によっては、画質がさほど要求されずに高圧縮率でよいものや、画質が要求されるため低圧縮率にしなくてはならない場合もある。
【0011】
このように、従来の画像管理システムにより一定のデータ圧縮率で医用画像をデータ圧縮することは、画像表示装置の表示環境や医用画像の送信枚数や医用画像の種類を鑑みると、画質と所要時間とのバランスを最適化するものとは言えなかった。さらに、画像表示装置の表示環境や医用画像の送信枚数や医用画像の種類を考慮すると最適なデータ圧縮率を一律に導き出すのは困難であった。
【0012】
そのため、画像管理システムが実現する医用画像の送信開始から表示完了までの所要時間と医用画像の画質とが、閲覧者の所望する条件に合わず、閲覧者の作業に支障をきたすといった問題が発生していた。
【0013】
【特許文献1】特開平5−81156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、閲覧者が所望する医用画像表示までの時間と画質とのバランスを実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、医用画像を保管する保管手段と、前記医用画像を表示する表示手段と、前記表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因を取得する要因取得手段と、前記所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶する記憶手段と、前記要因取得手段が取得した所要時間決定要因に対応して記憶されている前記画像データ圧縮率に基づき前記保管手段に保管されている医用画像のデータ量を圧縮する圧縮手段と、前記データ量が圧縮された医用画像を前記表示手段に送信する送信手段と、を備えること、を特徴とする。
【0016】
前記要因取得手段は、前記所要時間決定要因として、画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得し、前記記憶手段は、前記表示手段の画像表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶するようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当)。
【0017】
前記要因取得手段は、前記所要時間決定要因として、一度に送信される医用画像の枚数を示す情報を取得し、前記記憶手段は、一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を記憶するようにしてもよい(請求項3記載の発明に相当)。
【0018】
前記要因取得手段は、前記所要時間決定要因として、医用画像を撮影した装置を示す撮影装置情報を取得し、前記記憶手段は、前記撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶するようにしてもよい(請求項4記載の発明に相当)。
【発明の効果】
【0019】
この発明の第1の態様によっては、表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶しておき、医用画像の閲覧時の所要時間決定要因を取得して、取得した所要時間決定要因に対応する画像データ圧縮率に基づき医用画像のデータ量を圧縮してから医用画像を表示する表示手段に送信するようにした。これにより、閲覧者は、所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0020】
所要時間決定要因として表示手段の表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶するようにし、所要時間決定要因として画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得してもよい。この場合、閲覧者は、画像表示装置4の表示環境に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0021】
所要時間決定要因として撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶するようにし、所要時間決定要因として医用画像の撮影装置情報を取得するようにしてもよい。この場合、閲覧者は、送信される医用画像の枚数や検査内容に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る画像管理システムのネットワーク構成を示す模式図である。
【0024】
画像管理システム1は、所謂PACS(Picture Archiving and Communication System)である。PACSは、医用画像をデータベース化して保管し、閲覧者が所望する医用画像を検索して表示するネットワークシステムである。閲覧者は、閲覧したい医用画像の属性を入力すると、その属性を有する医用画像を閲覧することができる。
【0025】
この画像管理システム1は、院内に張り巡らされたネットワークN上に管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4をデータ通信可能に接続して構成される。画像管理システム1のネットワークNには、モダリティ5も接続可能となっており、モダリティ5は、管理装置2とデータ通信可能となっている。
【0026】
管理装置2は、所謂データベース管理システム(DBMS:Data Base Management System)であり、医用画像の属性をデータ項目とした医用画像のデータベースを有する。この管理装置2は、SQL等のリレーショナルデータベース操作言語により記述されたコマンドを受けて各種処理を実行する。例えば、閲覧したい医用画像の属性が含まれた検索要求を受信すると、その属性を有する医用画像を検索し、検索結果の一覧を提示する。また、特定の医用画像の閲覧要求を受信すると、閲覧しようとする医用画像の保管先を提示する。
【0027】
医用画像の属性とは、医用画像に付帯する各種付帯情報を指す。医用画像には、情報主体に関する情報や検査内容に関する情報が付帯する。
【0028】
また、この管理装置2は、閲覧者が所望する医用画像のデータ圧縮率をデータベース化して記憶している。データ圧縮率は、医用画像に対してその意味内容をそのまま保持したままデータ量を少なくするデータ量の圧縮を施した場合における圧縮前に対する圧縮後のデータ量の割合である。
【0029】
このデータ圧縮率のデータベースには、データ項目として、閲覧者を識別する情報と、表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する各種所要時間決定要因が記憶され、これら組み合わせに対してデータ圧縮率が記憶されている。
【0030】
所要時間決定要因は、表示手段の画像表示環境や検査内容や医用画像の枚数を示す情報で構成される。即ち、閲覧者は、表示手段の表示環境や検査内容や一度に送信される医用画像の枚数毎に医用画像のデータ圧縮率を定めることが可能となっている。
【0031】
表示環境とは、表示手段の性能及び表示手段へデータが到達するネットワークの性能及び状況を指す。表示環境が悪ければ、医用画像の閲覧を要求してから表示するまでの所要時間が長くなる。閲覧者は、所要時間が長くなるようであれば、医用画像の画質を落としてでも改善したいと考える傾向がある。また、閲覧者は、所要時間が短いので有れば、医用画像の画質を上げたいと考える傾向にある。即ち、表示環境の善し悪しは、画質と所要時間のトレードオフにつながる。
【0032】
検査内容や医用画像の枚数を示す情報は、撮影装置情報により特定される。撮影装置情報は、医用画像を撮影したモダリティ5の種類や医用画像を撮影したモダリティ5を固有に識別する情報である。この撮影装置情報により、検査内容や、一度に送信される医用画像の枚数が単数か少なくとも数百枚に亘るかが定まる。
【0033】
検査内容によっては画質を要するものがあり、閲覧者は、所要時間を長くしてでも画質を上げたいと考える傾向がある。また、検査内容によっては画質を必要としないものがあり、閲覧者は、所要時間が長くなるようであれば、医用画像の画質を落としてでも改善したいと考える傾向がある。即ち、検査内容によって画質と所要時間にトレードオフの関係が生ずる。
【0034】
また、一度に送信される医用画像の枚数が多ければ、所要時間を短くすべく画質を落として改善したいと考える傾向がある。一方、一度に送信される医用画像の枚数が少なければ、所要時間が長くとも画質を向上させたいと考える傾向がある。即ち、一度に送信される医用画像の枚数によって画質と所要時間にトレードオフの関係が生ずる。
【0035】
閲覧者は、この管理装置2に、表示環境や撮影装置情報を考慮して画質と所要時間をトレードオフし、所要時間決定要因毎にデータ圧縮率を登録する。
【0036】
画像保管装置3は、所謂ネットワークアタッチドストレージ(NAS:Network Attached Storage)である。この画像保管装置3は、医用画像を保管する。保管先は、管理装置2がデータベース化して記憶する医用画像の保管先と一致する。
【0037】
画像表示装置4は、所謂ビューワであり、閲覧者の操作に従って医用画像を表示する。医用画像の表示にあたり、画像管理装置2に医用画像の検索を要求し、画像保管装置3から医用画像を取得する。この画像表示装置4は、画像管理システム1内に複数(4−1,4−2,4−3)設置される。画像管理システム1の構築に伴い、古い画像表示装置4と新しい画像表示装置4が混在する場合があり、また画像表示装置4の設置環境によってネットワークトラフィックに違いが生ずる場合がある。
【0038】
モダリティ5は、被検体内を観察することにより得られた投影データから被検体内の画像である医用画像を作成する医用診断装置である。例えば、超音波により被検体内を観察する超音波診断装置、X線により被検体内を観察するX線CT装置やレントゲン装置、磁場及び電磁波を発生させて被検体内の例えば水素原子核から発生する電波を受信するMRI装置である。モダリティ5は、各種診断態様に対応してX線CT装置とMRI装置等、複数(5−1,5−2)設置される場合がある。
【0039】
ネットワークNは、病院内ネットワーク若しくは病院を含む病院関連施設間をつなぐ広域ネットワークであり、電子データの伝送が可能な電子通信回線である。例えばネットワークNには、電話回線網、ISDN、FDDI、専用線、移動体通信網、通信衛星回線、CATV、LAN、無線LAN等、又はこれらの複合が採用される。
【0040】
ネットワークNでは、管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4とモダリティ5とがネットワーク通信技術を利用して相互にデータ通信が可能となっている。ネットワーク通信技術には、例えばWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)、TCP/IPプロトコル、又はDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)プロトコル等が採用される。DICOMプロトコルは、医用画像及び通信の共通規格である。
【0041】
図2は、このような画像管理システム1を実現する管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4の内部構成を示すブロック図である。
【0042】
図2に示すように、管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4は、演算制御部100、主記憶部101、外部記憶部102、LANインターフェース103が共通線で接続されたコンピュータである。画像表示装置4には、更に入力装置104やモニタ105等の周辺装置も接続されている。
【0043】
演算制御部100は、所謂CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムの解読及び解読した命令の実行をする。主記憶部101は、所謂RAM(Random Access Memory)であり、プログラムや演算制御部100の演算結果が適宜記憶されるワークエリアとなる。外部記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置であり、演算制御部100により読み取られるプログラムやデータベース等のデータが記憶される。LANインターフェース103は、ネットワークNに接続してデータの入出力をするインターフェースである。入力装置104は、マウスやキーボード等の閲覧者により操作されてデータ入力を行うマンマシンインターフェースである。モニタ105は、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等である。
【0044】
管理装置2と画像保管装置3と画像表示装置4では、外部記憶部102に記憶されているプログラムを適宜主記憶部101に展開し、主記憶部101をワークエリアとして演算制御部100が展開されたプログラムを解読及び実行することでコンピュータが管理装置2、画像保管装置3、画像表示装置4として機能し、各装置間でデータの入出力を行う。
【0045】
図3は、このプログラムの実行により実現される画像表示システム1の画像表示に係る流れ図である。
【0046】
まず、画像表示装置4は、閲覧者がログインすると、閲覧者識別情報と画像表示装置4の表示環境を取得する(S01)。閲覧者識別情報は、閲覧者を識別する情報である。表示環境は、医用画像の受信速度及び描画性能を左右する環境であり、画像表示装置4の性能及びネットワーク環境からなる。画像表示装置4の性能は、演算制御部100の性能及びモニタ105のサイズである。ネットワーク環境は、ネットワーク帯域及びネットワークトラフィックである。尚、ネットワークトラフィックは、管理装置2とデータの送受信をする際に計測する。
【0047】
閲覧者が入力装置104を操作して、閲覧したい医用画像の属性を入力すると、この医用画像の属性を検索キーとする検索要求を管理装置2に送信する(S02)。この管理装置2への検索要求の際、ネットワークトラフィックを計測してネットワークトラフィックを取得する。
【0048】
管理装置2は、検索要求を受信すると、データベースを検索する(S03)。管理装置2は、データベースを読み込んで、検索キーと一致するデータ項目を有する医用画像のレコードを探索する。
【0049】
管理装置2は、データベースの検索が終了すると、検索結果を一覧にして画像表示装置4に送信する(S04)。管理装置2は、検索キーと一致するデータ項目を有する医用画像のレコードを一覧に纏めたデータを生成し、このデータを画像表示装置4へ送信する。
【0050】
画像表示装置4は、管理装置2から送信された一覧をモニタ105に表示する(S05)。閲覧者は、モニタ105に表示された一覧を参照しながら、入力装置104を用いて閲覧したい医用画像を一覧から選択する。
【0051】
医用画像が選択されると、画像表示装置4は、この選択された医用画像の閲覧要求を管理装置2に送信する(S06)。この閲覧要求に併せて、画像表示装置4は、取得した閲覧者識別情報と表示環境とを管理装置2へ送信する(S07)。
【0052】
閲覧要求を受信した管理装置2は、閲覧要求の対象である医用画像の保管先をデータベースから検索する(S08)。また、表示環境を受信した管理装置2は、ログインしている閲覧者と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせを検索キーとして、医用画像のデータ圧縮率を記憶するデータベースを検索する(S09)。
【0053】
管理装置2は、医用画像の保管先をデータベースから取得すると、この保管先を画像表示装置4に送信し、またデータ圧縮率をデータベースから検出すると、このデータ圧縮率を画像表示装置4に送信する(S10)。
【0054】
保管先とデータ圧縮率を受信した画像表示装置4は、保管先に該当する画像保管装置3に医用画像の送信要求とデータ圧縮率を送信する(S11)。
【0055】
医用画像の送信要求とデータ圧縮率を受信した画像保管装置3は、まず保管先の医用画像を読み出す(S12)。医用画像を読み出した画像保管装置3は、受信したデータ圧縮率に近いデータ圧縮率を実現する圧縮形式を選択して、読み出した医用画像のデータを圧縮する(S13)。
【0056】
保管先にある医用画像のデータを圧縮した画像保管装置3は、データ圧縮した医用画像を画像表示装置4に送信する(S14)。画像表示装置4は、ログインしている閲覧者と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせに応じて登録してあるデータ圧縮率で圧縮された医用画像を展開し、モニタ105に表示する(S15)。
【0057】
このように、この画像管理システム1では、ログインした閲覧者別にデータ圧縮率を選択し、選択したデータ圧縮率に近似するように医用画像を圧縮する。即ち、閲覧者が医用画像の画質と画像受信速度とを考慮してデータ圧縮率をデータベースに登録することで、閲覧者が所望する画質及び画像受信速度で医用画像を取得して表示することが可能となる。
【0058】
また、この画像管理システム1では、画像表示装置4の表示環境に対応してデータ圧縮率を選択し、選択したデータ圧縮率に近似するように医用画像を圧縮する。即ち、表示環境を考慮してデータ圧縮率をデータベースに登録することで、画質と画像受信速度を最適化した医用画像の取得及び表示をすることができる。
【0059】
また、この画像管理システム1では、医用画像の検査種類に対応してデータ圧縮率を選択し、選択したデータ圧縮率に近似するように医用画像を圧縮する。医用画像の検査種類とは、医用画像を撮影したモダリティ5の種類や装置を固有に識別する情報である。モダリティ5の種類によって、一度に送信される医用画像の枚数や要求される画質は、異なる。例えば、X線CT装置により撮影された医用画像の場合、一度に送信される医用画像の枚数は多いが、レントゲン撮影の場合、一度に送信される医用画像の枚数は、単数であることが多い。一度に送信される医用画像の枚数に応じて要求される画質と画像受信速度とを最適化した医用画像の取得及び表示をすることができる。
【0060】
尚、画像表示装置4が送信される検索要求や閲覧要求は、DICOM Q/R(Query and Retrieve)やSQL等によって記述されたデータベース操作言語によって記述されている。
【0061】
また、この画像管理システム1で管理する医用画像は、モダリティ5から発生する。モダリティ5は、患者等の被検体の体内を撮影し、被検体内の医用画像を作成する。医用画像の作成の際、モダリティ5は、医用画像の属性を示す付帯情報を医用画像に付帯させる。
【0062】
付帯情報が付帯した医用画像は、モダリティ5から管理装置2に送信される。管理装置2は、付帯情報をデータ項目として医用画像をデータベースに登録する。管理装置2は、データベースに医用画像を登録した後、医用画像を画像保管装置3に送信する。画像保管装置3は、送信された医用画像を保管する。
【0063】
図4は、このような画像管理システム1に設置される管理装置2の機能を示す機能ブロック図である。また、図5は、この管理装置2の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【0064】
図4に示すように、管理装置2は、画像データベース21と圧縮率データベース22を有する。この画像データベース21と圧縮率データベース22は、外部記憶部102を含み構成される。
【0065】
画像データベース21は、医用画像の各種属性を示す各種付帯情報をデータ項目とした医用画像のレコードで構成されている。レコードには、各種付帯情報と医用画像の保管先が対応付けられている。データ項目としては、医用画像の情報主体である患者の氏名、年齢、性別、及び住所、医用画像の検査ID、シリーズID、及び画像ID、医用画像を作成したモダリティ5の種類やAEタイトル、ステーションネーム等のモダリティ5を固有に識別する情報等の撮影装置情報が記憶されている。医用画像の保管先は、医用画像が保管されているネットワーク上のパスやURLである。
【0066】
画像データベース21は、医用画像の検索要求を受け取ると、検索要求に含まれている検索キーと一致するデータ項目の内容を有するレコードをピックアップする。レコードをピックアップすると、そのレコードを纏めた一覧を作成し、画像表示装置4に送信する。一覧には、該当したレコード別に医用画像の付帯情報が記録される。
【0067】
また、画像データベース21は、特定の医用画像の閲覧要求を受け取ると、閲覧要求に含まれるその特定の医用画像を示す画像ID等の識別情報を検索キーと一致するデータ項目の内容を有するレコードから保管先を抽出する。閲覧要求されている医用画像の保管先を抽出すると、その保管先を画像表示装置4へ送信する。
【0068】
圧縮率データベース22は、閲覧者の識別情報毎に各種表示環境と各種撮影装置情報の組み合わせを記憶し、この組み合わせ毎にデータ圧縮率を対応付けて記憶している。閲覧者の識別情報は、例えばログインIDである。表示環境は、画像表示装置4のCPU性能、モニタ性能、ネットワーク帯域、ネットワークトラフィックの組み合わせである。撮影装置情報は、患者の検査内容から医用画像の枚数を推測するための情報であり、X線CT装置、MRI装置等のモダリティ5の種類、又はAEタイトル、ステーションネーム等のモダリティ5固有の識別情報である。
【0069】
データ圧縮率は、デフォルトで定まる数値の他、閲覧者が所望する送信条件に基づいて登録される。閲覧者が所望する送信条件は、閲覧しようとする医用画像の画質及び送信速度を示す情報である。例えば、医用画像の画質レベルを示す数値である。この送信条件は、画像表示装置4から送信される。圧縮率データベース22は、例えば、画質レベルの数値に対応するデータ圧縮率を演算又は対応表を基に決定し、決定したデータ圧縮率を登録する。
【0070】
圧縮率データベース22は、閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報を受け取り、受け取ったこれら情報の組み合わせに対応付けられたデータ圧縮率を検索して、画像表示装置4に送信する。閲覧者の識別情報と閲覧者が操作している画像表示装置4の表示環境は、閲覧要求に含まれている。閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報は、画像データベース21から受け取る。このデータ圧縮率は、画像データベース21が送信する保管先とともに送信される。
【0071】
この管理装置2の動作を図5に示す。まず、画像データベース21は、画像表示装置4からの検索要求を受信すると(S21,Yes)、検索要求に含まれる医用画像の属性に合致する医用画像を検索する(S22)。画像データベース21は、検索要求に含まれる医用画像の属性を検索キーとして、当該検索キーと各レコードのデータ項目の内容を比較する。比較の結果、検索キーとデータ項目の内容が一致すると、検索キーと一致するデータ項目の内容を有するレコードを抽出する。
【0072】
医用画像を検索すると、画像データベース21は、検索結果を纏めた一覧を作成し画像表示装置4に送信する(S23)。画像表示装置4では、閲覧者が閲覧しようとする医用画像がこの一覧をもとに選択される。画像表示装置4は、医用画像が選択されると、当該医用画像の閲覧要求を管理装置2に送信する。このとき、画像表示装置4は、閲覧要求とともに、閲覧者識別情報と表示環境とを管理装置2に送信する。
【0073】
管理装置2では、閲覧要求と閲覧者識別情報と表示環境とを受信すると(S24,Yes)、画像データベース21は、閲覧要求に対応する医用画像のレコードから保管先を抽出する(S25)。さらに、画像データベース21は、閲覧要求に対応する医用画像のレコードから撮影装置情報を抽出する(S26)。
【0074】
保管先が抽出されると、圧縮率データベース22は、閲覧要求とともに受信した閲覧者識別情報と表示環境、及び抽出した撮影装置情報の組み合わせを検索キーとしてデータ圧縮率を検索する(S27)。これら閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報の組み合わせに対応するデータ圧縮率が検索されると(S28,Yes)、該当するデータ圧縮率を抽出する(S29)。一方、これら閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報の組み合わせに対応するデータ圧縮率が検索されなければ(S28,No)、デフォルトで予め記憶しているデータ圧縮率を読み出す(S30)。
【0075】
管理装置2は、保管先と圧縮率データベース22に記憶されたデータ圧縮率又は読み出されたデフォルトのデータ圧縮率を画像表示装置4へ送信する(S31)。
【0076】
図6は、このような画像管理システム1に設置される画像保管装置3の機能を示す機能ブロック図である。また、図7は、この画像保管装置3の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【0077】
図6に示すように、画像保管装置3は、画像保管部31と圧縮形式選択部32と圧縮部33を備える。画像保管装置3は、外部記憶部102を含み構成され、圧縮形式選択部32と圧縮部33は、演算制御部100を含み構成される。
【0078】
画像保管部31は、医用画像を保管している。医用画像の保管先は、画像データベース21に記憶されている保管先と一致する。この医用画像は、ビットマップ形式等の圧縮されていない状態、又はJPEG2000形式等の可逆圧縮が可能な形式で保管されている。
【0079】
圧縮形式選択部32は、医用画像のデータ量圧縮形式又は圧縮程度を画像表示装置4から送信されるデータ圧縮率を基に選択する。データ圧縮は、一定の手順に従って医用画像の意味を保持したままデータサイズを削減する処理である。データ圧縮形式には、複数段階の圧縮データが作成可能なJPEG2000方式やJPEG方式、一定の定まったデータ圧縮率を有する圧縮方式等がある。圧縮形式選択部32は、各圧縮形式により実現されるデータ圧縮率の数値を保持しており、画像表示装置4から取得したデータ圧縮率と最も近似するデータ圧縮率を実現する圧縮方式を選択する。
【0080】
圧縮部33は、医用画像のデータを圧縮する。圧縮部33は、各種圧縮形式を実現する第1圧縮部33a、第2圧縮部33b、第3圧縮部33c、第4圧縮部33d・・・を有する。圧縮部33は、圧縮形式選択部32が選択した圧縮形式を用いて医用画像をデータ圧縮する。この圧縮部33により圧縮された医用画像は、画像表示装置4に送信される。
【0081】
このような画像保管装置3の動作を図7に示す。まず、画像保管装置3では、医用画像の保管先及びデータ圧縮率を画像表示装置4から受信する(S41)。保管先を受信すると、画像保管部31は、保管先に記憶されている医用画像を読み出す(S42)。
【0082】
医用画像が読み出されると、圧縮形式選択部32は、受信したデータ圧縮率と最も近似するデータ圧縮率を実現する圧縮形式及びその圧縮程度を選択する(S43)。圧縮形式及び圧縮程度が選択されると、圧縮部33は、読み出された医用画像を、選択された圧縮形式及び圧縮程度でデータ圧縮する(S44)。
【0083】
データ圧縮が終了すると、圧縮済みの医用画像を画像表示装置4に送信する(S45)。
【0084】
図8は、このような画像管理システム1に設置される画像表示装置4の機能を示す機能ブロック図である。また、図9は、この画像表示装置4の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【0085】
図8に示すように、画像表示装置4は、DBクライアント41、表示部42、閲覧者識別情報取得部43、コンピュータ性能取得部44、ネットワークトラフィック取得部45、及び送信条件取得部46を有する。
【0086】
DBクライアント41、コンピュータ性能取得部44、及びネットワークトラフィック取得部45は演算制御部100を含み構成される。表示部42は、モニタ105を含み構成される。閲覧者識別情報取得部43と送信条件取得部46は、入力装置104を含み構成される。
【0087】
DBクライアント41は、管理装置2に対して検索要求や閲覧要求を送信し、画像保管装置3に対して送信要求を送信する。このDBクライアント41は、閲覧したい医用画像の属性を入力するフォームや管理装置2から送信された一覧を表示部42に表示させる。表示部42は、また画像表示装置4から送信された医用画像を展開して表示する。
【0088】
閲覧者識別情報取得部43は、閲覧者がログイン時に入力した閲覧者識別情報を取得する。コンピュータ性能取得部44は、画像表示装置4の起動時に当該画像表示装置4のCPU性能やモニタサイズやネットワーク帯域を取得する。ネットワークトラフィック取得部45は、閲覧要求時にネットワークの確率に要するスループットからネットワークトラフィックを取得する。
【0089】
送信条件取得部46は、閲覧者が画像表示装置4の表示環境別や撮影装置情報別に所望する送信条件を取得する。送信条件取得部46は、表示部42に送信条件を選択させるフォームを表示させて、選択された送信条件を取得する。
【0090】
この画像表示装置4の動作を図9に示す。まず、画像表示装置4では、閲覧者が閲覧者識別情報及びパスワードを入力してログインする(S51)。閲覧者がログインすると、閲覧者識別情報取得部43は、入力された閲覧者識別情報を取得し(S52)、コンピュータ性能取得部44は、画像表示装置4のCPU性能やモニタサイズやネットワーク帯域を取得する(S53)。
【0091】
次に、DBクライアント41は、医用画像の属性を入力するフォームを表示部42に表示させる(S54)。閲覧者がフォームに医用画像の属性を入力すると、DBクライアント41は、入力された医用画像の属性を含む検索要求を作成する(S55)。
【0092】
DBクライアント41は、検索要求を管理装置2に送信する(S56)。管理装置2に検索要求を送信する際、ネットワークトラフィック取得部45は、ネットワーク確立に伴い、スループットを計測し、ネットワークトラフィックを取得する(S57)。検索要求が送信された管理装置2では、画像データベース21により医用画像の属性に合致する医用画像が検索されて、検索された医用画像の一覧が画像表示装置4に送信される。
【0093】
管理装置2から検索結果の一覧を受信すると(S58)、DBクライアント41は、受信した一覧を表示部42に表示させる(S59)。
【0094】
表示部42に表示された一覧から閲覧者が閲覧したい医用画像が選択されると(S60)、DBクライアント41は、選択された医用画像を特定する情報を含む閲覧要求を作成する(S61)。DBクライアント41は、閲覧要求を管理装置2に送信し、伴ってネットワークトラフィック取得部45が取得したネットワークトラフィックとコンピュータ性能取得部44が取得したCPU性能とモニタサイズとネットワーク帯域とを含む表示環境と閲覧者識別情報取得部43が取得した閲覧者情報とが管理装置2に送信される(S62)。
【0095】
管理装置2から保管先とデータ圧縮率を受信すると(S63)、DBクライアント41は、保管先が示す画像保管装置3へ医用画像の保管先を示す情報を含む送信要求を送信し、伴ってデータ圧縮率を送信する(S64)。画像保管装置3では、このデータ圧縮率に従って保管先にある医用画像がデータ圧縮されて画像表示装置4へ送信される。
【0096】
画像保管装置3からデータ圧縮された医用画像を受信すると(S65)、DBクライアント41は、受信した医用画像を展開して表示部42に表示する(S66)。
【0097】
このような画像管理システム1における圧縮率データベース22の作成について説明する。
【0098】
この圧縮率データベース22は、画像表示装置4から閲覧要求とともに送られてくる閲覧者識別情報と表示環境、及び閲覧要求に対する処理の際に取得する撮影装置情報をもとにレコードを作成する。
【0099】
圧縮率データベース22は、閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報との新たな組み合わせが送信されると、当該新たな組み合わせをデータベース登録し、画像表示装置4からの送信条件の指定がなければ、デフォルトのデータ圧縮率を対応付ける。
【0100】
また、画像表示装置4では、閲覧要求の際に送信条件取得部46により、閲覧者が現状の表示環境及び閲覧しようとする医用画像の撮影装置情報において所望する送信条件が取得可能となっている。表示部42には、送信条件を指定するボタンが表示され、当該ボタンが押下されることで送信条件を指定するポップアップが表示される。そのポップアップには、例えば画質レベルを指定するゲージが表示され、ゲージの操作によって画質レベルによって反映される送信条件が入力される。
【0101】
送信条件取得部46は、この入力された送信条件を取得する。送信条件を取得した送信条件取得部46は、閲覧者識別情報と表示環境の管理装置2への送信に伴って、取得した送信条件を送信する。
【0102】
管理装置2の圧縮率データベース22では、閲覧者識別情報と表示環境と撮影装置情報との新たな組み合わせの登録の際に、送信されてきた送信条件に対応するデータ圧縮率を対応付ける。
【0103】
この管理装置2の圧縮率データベース22へのデータ圧縮率の動作を図10に示す。図10は、圧縮率データベース22のデータ圧縮率登録の動作を示すフローチャートである。
【0104】
圧縮率データベース22は、画像表示装置4から閲覧要求とともに閲覧者識別情報と表示環境とが送信されてくると(S71,Yes)、まず、閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報を画像データベース21から取得する(S72)。
【0105】
次に、圧縮率データベース22は、送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせがデータベース登録されているか照合する(S73)。
【0106】
当該組み合わせがデータベース登録されていれば(S73,Yes)、図5のS29以降の閲覧要求に対する処理を実行する(S74)。当該組み合わせがデータベース登録されていなければ(S73,No)、閲覧要求とともに送信条件が送信されてきているか判断する(S75)。
【0107】
送信条件が送信されていなければ(S75,No)、圧縮率データベース22は、送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の新たな組み合わせとデフォルトのデータ圧縮率を対応付けて新たにデータベース登録する(S76)。
【0108】
送信条件が送信されていれば(S75,Yes)、圧縮率データベース22は、送信されてきた送信条件からデータ圧縮率を生成する(S77)。送信条件からデータ圧縮率を生成すると、圧縮率データベース22は、送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の新たな組み合わせと、生成したデータ圧縮率とを対応付けて新たにデータベース登録する(S78)。
【0109】
尚、送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせが既に存在していても、閲覧要求とともに送信条件が送信されていれば、既に存在する送信されてきた閲覧者識別情報と表示環境と閲覧要求されている医用画像の撮影装置情報の組み合わせに対して、送信されてきた送信条件に応じたデータ圧縮率を更新登録する。
【0110】
図11は、圧縮率データベース22の具体例を示す模式図である。
【0111】
圧縮率データベース22は、閲覧者識別情報のデータ項目Da、CPU性能のデータ項目Db、モニタサイズのデータ項目Dc、ネットワーク帯域のデータ項目Dd、ネットワークトラフィックのデータ項目De、医用画像の撮影装置情報のデータ項目Dfと、データ圧縮率のデータ項目Dgとを対応付けて記憶している。即ち、閲覧者が、表示環境毎に、更には一度に送信される医用画像の枚数及び検査内容に基づく画質の必要性に応じて、データ圧縮率を登録できるようになっている。
【0112】
例えば、CPU性能が「3.2GHz」、モニタサイズが「17インチ」、ネットワーク帯域が「100Mbps」の性能を有する画像表示装置4を閲覧者である「ヤマダタロウ」が使用しており、その時点でのネットワークトラフィックが「15Mbps」であった場合について過去に装置操作情報として「X線CT装置」を有する医用画像の閲覧要求がなされているため、圧縮率データベース22にこの組み合わせが登録されており、かつデータ圧縮率として「30%」が対応付けられているものとする。
【0113】
この場合に、閲覧者である「ヤマダタロウ」が、CPU性能が「3.2GHz」、モニタサイズが「17インチ」、ネットワーク帯域が「100Mbps」の性能を有する画像表示装置4を使用して、装置操作情報として「X線CT装置」を有する医用画像の閲覧要求し、かつその時点でのネットワークトラフィックが「15Mbps」であると、閲覧要求に伴って、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「3.2GHz」、モニタサイズ「17インチ」、ネットワーク帯域「100Mbps」、及びネットワークトラフィック「15Mbps」の情報が管理装置2へ送信される。
【0114】
管理装置2では、画像データベース21から、装置操作情報「X線CT装置」を取得する。さらに、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「3.2GHz」、モニタサイズ「17インチ」、ネットワーク帯域「100Mbps」、ネットワークトラフィック「15Mbps」、装置操作情報「X線CT装置」の組み合わせについて圧縮率データベース22の検索がなされ、データ圧縮率「30%」が取得される。このデータ圧縮率「30%」が画像表示装置4を経由して画像保管装置3に送信され、データ圧縮率「30%」に最も近いデータ圧縮率を実現する圧縮形式及び圧縮程度によって医用画像がデータ圧縮され、画像表示装置4に送信される。
【0115】
また、例えば、CPU性能が「3.2GHz」、モニタサイズが「17インチ」、ネットワーク帯域が「100Mbps」の性能を有する画像表示装置4を閲覧者である「ヤマダタロウ」が使用しており、その時点でのネットワークトラフィックが「25Mbps」であった場合について過去に装置操作情報として「レントゲン」を有する医用画像の閲覧要求がなされているため、圧縮率データベース22にこの組み合わせが登録されており、かつデータ圧縮率として「80%」が対応付けられているものとする。
【0116】
この場合に、閲覧者である「ヤマダタロウ」が、CPU性能が「3.2GHz」、モニタサイズが「17インチ」、ネットワーク帯域が「100Mbps」の性能を有する画像表示装置4を使用して、装置操作情報として「レントゲン」を有する医用画像の閲覧要求し、かつその時点でのネットワークトラフィックが「25Mbps」であると、閲覧要求に伴って、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「3.2GHz」、モニタサイズ「17インチ」、ネットワーク帯域「100Mbps」、及びネットワークトラフィック「25Mbps」の情報が管理装置2へ送信される。
【0117】
管理装置2では、画像データベース21から、装置操作情報「レントゲン」を取得する。さらに、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「3.2GHz」、モニタサイズ「17インチ」、ネットワーク帯域「100Mbps」、ネットワークトラフィック「25Mbps」、装置操作情報「レントゲン」の組み合わせについて圧縮率データベース22の検索がなされ、データ圧縮率「80%」が取得される。このデータ圧縮率「80%」が画像表示装置4を経由して画像保管装置3に送信され、データ圧縮率「80%」に最も近いデータ圧縮率を実現する圧縮形式及び圧縮程度によって医用画像がデータ圧縮され、画像表示装置4に送信される。
【0118】
また、CPU性能が「1.6GHz」、モニタサイズが「14インチ」、ネットワーク帯域が「10Mbps」の性能を有する画像表示装置4を閲覧者である「ヤマダタロウ」が使用しており、その時点でのネットワークトラフィックが「5Mbps」であった場合について装置操作情報として「X線CT装置」を有する医用画像の閲覧要求が過去になされていないものとする。即ち、この組み合わせは、圧縮率データベース22に登録されていない。
【0119】
この場合に、閲覧者である「ヤマダタロウ」が、CPU性能が「1.6GHz」、モニタサイズが「14インチ」、ネットワーク帯域が「10Mbps」の性能を有する画像表示装置4を使用して、装置操作情報として「X線CT装置」を有する医用画像を送信条件として「画質レベル1」での閲覧要求し、かつその時点でのネットワークトラフィックが「5Mbps」であると、閲覧要求に伴って、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「1.6GHz」、モニタサイズ「14インチ」、ネットワーク帯域「10Mbps」、及びネットワークトラフィック「5Mbps」の情報が管理装置2へ送信される。
【0120】
管理装置2では、画像データベース21から、装置操作情報「X線CT装置」を取得する。さらに、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「1.6GHz」、モニタサイズ「14インチ」、ネットワーク帯域「10Mbps」、ネットワークトラフィック「5Mbps」、装置操作情報「X線CT装置」の組み合わせについて圧縮率データベース22の検索がなされる。この検索によって該当する組み合わせが探索されないため、圧縮率データベース22は、閲覧者識別情報「ヤマダタロウ」、CPU性能「1.6GHz」、モニタサイズ「14インチ」、ネットワーク帯域「10Mbps」、及びネットワークトラフィック「5Mbps」の組み合わせを新たにデータベース登録する。さらに送信条件「画質レベル1」が送信されているため、圧縮率データベース22は、「画質レベル1」に対応するデータ圧縮率「10%」を新たに登録した組み合わせに対応付ける。
【0121】
このように、画像管理システム1は、データ圧縮率を所要時間決定要因毎に記憶しておき、医用画像閲覧時の所要時間決定要因を取得して、取得した所要時間決定要因に対応するデータ圧縮率に基づき医用画像のデータ量を圧縮して画像表示装置4に送信するようにした。これにより、閲覧者は、所望の画質の医用画像を所望の所要速度で取得することができる。
【0122】
所要時間決定要因として画像表示装置4の表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶するようにし、所要時間決定要因として画像閲覧者に操作されている画像表示装置4の画像表示環境を取得してもよい。これにより、閲覧者は、画像表示装置4の表示環境に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0123】
所要時間決定要因として一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を取得するようにしてもよい。これにより、閲覧者は、送信される医用画像の枚数に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0124】
所要時間決定要因として撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶するようにし、所要時間決定要因として医用画像の撮影装置情報を取得することもできる。これにより、閲覧者は、送信される医用画像の枚数や検査内容に応じて所望の画質の医用画像を所望の所要時間で取得することができる。
【0125】
尚、本実施形態では、管理装置2と画像保管装置3とを別体の装置として説明したが、ネットワークN上に管理装置2と画像保管装置3の両機能を有する装置を接続するようにしてもよい。この場合、データ圧縮率を画像表示装置4を経由して送信する必要はなく、送信要求時に閲覧者識別情報と表示環境とを取得してデータ圧縮率を検索することもできる。
【0126】
画像表示装置4において医用画像が断層変換(MPR:multi−planar reconstruction)や異種診断装置で撮影された医用画像の合成(Fusion:などどのような用途で使用されたかの情報を収集して、当該情報をデータ圧縮率に対応付けるデータ項目とすることもできる。
【0127】
また、画像表示装置4へ送信する医用画像は、データ圧縮率に従ってデータ圧縮されるが、例えば、データ圧縮率を「100%」や「圧縮無し」として記憶しておくこともでき、この場合のデータ圧縮率に従えば医用画像は圧縮されない。即ち、データ圧縮率に従った画像サイズの医用画像を送信できればよく、必ずしもデータ圧縮を伴うものではない。
【0128】
データ圧縮率に応じて選択される圧縮形式は、本実施形態で例示したJPEG形式やJPEG2000形式の他にも、Tiff形式、Gif形式等公知の圧縮形式の何れをも採用することができる。選択される圧縮形式のプログラムを画像保管装置3へインストールし、医用画像のデータ圧縮時に利用可能に登録しておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本実施形態に係る画像管理システムのネットワークを示す模式図である。
【図2】管理装置と画像保管装置と画像表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像表示システムの画像表示に係る流れ図である。
【図4】管理装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図5】管理装置の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【図6】画像保管装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図7】画像保管装置の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【図8】画像表示装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図9】画像表示装置の画像表示における処理を示すフローチャートである。
【図10】圧縮率データベースのデータ圧縮率登録の動作を示すフローチャートである。
【図11】圧縮率データベースの具体例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0130】
1 画像管理システム
2 管理装置
21 画像データベース
22 圧縮率データベース
3 画像保管装置
31 画像保管部
32 圧縮形式選択部
33 圧縮部
4 画像表示装置
41 DBクライアント
42 表示部
43 閲覧者識別情報取得部
44 コンピュータ性能取得部
45 ネットワークトラフィック取得部
46 条件取得部
5 モダリティ
100 演算制御部
101 主記憶部
102 外部記憶部
103 LANインターフェース
104 入力装置
105 モニタ
N ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を保管する保管手段と、
前記医用画像を表示する表示手段と、
前記表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因を取得する要因取得手段と、
前記所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶する記憶手段と、
前記要因取得手段が取得した所要時間決定要因に対応して記憶されている前記画像データ圧縮率に基づき前記保管手段に保管されている医用画像のデータ量を圧縮する圧縮手段と、
前記データ量が圧縮された医用画像を前記表示手段に送信する送信手段と、
を備えること、
を特徴とする画像管理システム。
【請求項2】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得し、
前記記憶手段は、
前記表示手段の画像表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項1記載の画像管理システム。
【請求項3】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、一度に送信される医用画像の枚数を示す情報を取得し、
前記記憶手段は、
一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項1記載の画像管理システム。
【請求項4】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、医用画像を撮影した装置を示す撮影装置情報を取得し、
前記記憶手段は、
前記撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項1記載の画像管理システム。
【請求項5】
前記表示手段の画像表示環境を取得する環境取得手段と、
前記環境取得手段が取得した画像表示環境で表示する医用画像の画質及び画像送信速度を示す送信条件を取得する条件取得手段と、
をさらに備え、
前記記憶手段は、
前記条件取得手段が取得した送信条件に基づく画像データ圧縮率を前記環境取得手段が取得した画像表示環境に対応付けて記憶すること、
を特徴とする請求項2記載の画像管理システム。
【請求項6】
前記表示手段に送信する医用画像の撮影装置情報を取得する撮影情報取得手段と、
前記撮影情報取得手段が取得した撮影装置情報で表示する医用画像の画質及び画像送信速度を示す送信条件を取得する条件取得手段と、
をさらに備え、
前記記憶手段は、
前記条件取得手段が取得した送信条件に基づく画像データ圧縮率を前記撮影情報取得手段が取得した撮影装置情報に対応付けて記憶すること、
を特徴とする請求項4記載の画像管理システム。
【請求項7】
前記環境取得手段は、
前記画像表示環境として、前記表示手段のCPU性能、モニタサイズ、ネットワーク帯域、又はネットワークトラフィックのうちの少なくとも1以上を取得すること、
を特徴とする請求項2又は5に記載の画像管理システム。
【請求項8】
前記撮影情報取得手段は、
前記撮影装置情報として、医用画像を撮影した装置の種類情報、若しくは医用画像を撮影した装置の固有識別情報の何れかを取得すること、
を特徴とする請求項4又は6に記載の画像管理システム。
【請求項9】
前記圧縮手段は、
各種圧縮形式から前記画像データ圧縮率に近似するデータ圧縮率を実現する圧縮形式を選択して、選択した圧縮形式によって医用画像のデータ量を圧縮すること、
を特徴とする請求項1記載の画像管理システム。
【請求項10】
医用画像をネットワーク上に保管しておき、保管した医用画像を表示手段に表示する画像管理方法であって、
前記表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因を取得し、
前記所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶しておき、
取得した所要時間決定要因に対応して記憶されている前記画像データ圧縮率に基づき、保管されている医用画像のデータ量を圧縮し、
前記データ量が圧縮された医用画像を前記表示手段に送信すること、
を特徴とする画像管理方法。
【請求項11】
前記所要時間決定要因として、画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得し、
前記表示手段の画像表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項10記載の画像管理方法。
【請求項12】
前記所要時間決定要因として、一度に送信される医用画像の枚数を示す情報を取得し、
一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項10記載の画像管理方法。
【請求項13】
前記所要時間決定要因として、医用画像を撮影した装置を示す撮影装置情報を取得し、
前記撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項10記載の画像管理方法。
【請求項14】
医用画像を保管する保管手段と、保管されている医用画像を取得して表示する表示手段とを備え、医用画像を管理する医用画像管理システムを、
前記表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因を取得する要因取得手段と、
前記所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶する記憶手段と、
前記要因取得手段が取得した所要時間決定要因に対応して記憶されている前記画像データ圧縮率に基づき前記保管手段に保管されている医用画像のデータ量を圧縮する圧縮手段と、
前記データ量が圧縮された医用画像を前記表示手段に送信する送信手段と、
として機能させること、
を特徴とする画像管理プログラム。
【請求項15】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得し、
前記記憶手段は、
前記表示手段の画像表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項14記載の画像管理プログラム。
【請求項16】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、一度に送信される医用画像の枚数を示す情報を取得し、
前記記憶手段は、
一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項14記載の画像管理プログラム。
【請求項17】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、医用画像を撮影した装置を示す撮影装置情報を取得し、
前記記憶手段は、
前記撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項14記載の画像管理プログラム。
【請求項1】
医用画像を保管する保管手段と、
前記医用画像を表示する表示手段と、
前記表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因を取得する要因取得手段と、
前記所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶する記憶手段と、
前記要因取得手段が取得した所要時間決定要因に対応して記憶されている前記画像データ圧縮率に基づき前記保管手段に保管されている医用画像のデータ量を圧縮する圧縮手段と、
前記データ量が圧縮された医用画像を前記表示手段に送信する送信手段と、
を備えること、
を特徴とする画像管理システム。
【請求項2】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得し、
前記記憶手段は、
前記表示手段の画像表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項1記載の画像管理システム。
【請求項3】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、一度に送信される医用画像の枚数を示す情報を取得し、
前記記憶手段は、
一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項1記載の画像管理システム。
【請求項4】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、医用画像を撮影した装置を示す撮影装置情報を取得し、
前記記憶手段は、
前記撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項1記載の画像管理システム。
【請求項5】
前記表示手段の画像表示環境を取得する環境取得手段と、
前記環境取得手段が取得した画像表示環境で表示する医用画像の画質及び画像送信速度を示す送信条件を取得する条件取得手段と、
をさらに備え、
前記記憶手段は、
前記条件取得手段が取得した送信条件に基づく画像データ圧縮率を前記環境取得手段が取得した画像表示環境に対応付けて記憶すること、
を特徴とする請求項2記載の画像管理システム。
【請求項6】
前記表示手段に送信する医用画像の撮影装置情報を取得する撮影情報取得手段と、
前記撮影情報取得手段が取得した撮影装置情報で表示する医用画像の画質及び画像送信速度を示す送信条件を取得する条件取得手段と、
をさらに備え、
前記記憶手段は、
前記条件取得手段が取得した送信条件に基づく画像データ圧縮率を前記撮影情報取得手段が取得した撮影装置情報に対応付けて記憶すること、
を特徴とする請求項4記載の画像管理システム。
【請求項7】
前記環境取得手段は、
前記画像表示環境として、前記表示手段のCPU性能、モニタサイズ、ネットワーク帯域、又はネットワークトラフィックのうちの少なくとも1以上を取得すること、
を特徴とする請求項2又は5に記載の画像管理システム。
【請求項8】
前記撮影情報取得手段は、
前記撮影装置情報として、医用画像を撮影した装置の種類情報、若しくは医用画像を撮影した装置の固有識別情報の何れかを取得すること、
を特徴とする請求項4又は6に記載の画像管理システム。
【請求項9】
前記圧縮手段は、
各種圧縮形式から前記画像データ圧縮率に近似するデータ圧縮率を実現する圧縮形式を選択して、選択した圧縮形式によって医用画像のデータ量を圧縮すること、
を特徴とする請求項1記載の画像管理システム。
【請求項10】
医用画像をネットワーク上に保管しておき、保管した医用画像を表示手段に表示する画像管理方法であって、
前記表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因を取得し、
前記所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶しておき、
取得した所要時間決定要因に対応して記憶されている前記画像データ圧縮率に基づき、保管されている医用画像のデータ量を圧縮し、
前記データ量が圧縮された医用画像を前記表示手段に送信すること、
を特徴とする画像管理方法。
【請求項11】
前記所要時間決定要因として、画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得し、
前記表示手段の画像表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項10記載の画像管理方法。
【請求項12】
前記所要時間決定要因として、一度に送信される医用画像の枚数を示す情報を取得し、
一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項10記載の画像管理方法。
【請求項13】
前記所要時間決定要因として、医用画像を撮影した装置を示す撮影装置情報を取得し、
前記撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項10記載の画像管理方法。
【請求項14】
医用画像を保管する保管手段と、保管されている医用画像を取得して表示する表示手段とを備え、医用画像を管理する医用画像管理システムを、
前記表示手段へ医用画像を送信開始してから表示が完了するまでに要する時間を決定する所要時間決定要因を取得する要因取得手段と、
前記所要時間決定要因毎に画像データ圧縮率を記憶する記憶手段と、
前記要因取得手段が取得した所要時間決定要因に対応して記憶されている前記画像データ圧縮率に基づき前記保管手段に保管されている医用画像のデータ量を圧縮する圧縮手段と、
前記データ量が圧縮された医用画像を前記表示手段に送信する送信手段と、
として機能させること、
を特徴とする画像管理プログラム。
【請求項15】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、画像閲覧者に操作されている表示手段の画像表示環境を取得し、
前記記憶手段は、
前記表示手段の画像表示環境毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項14記載の画像管理プログラム。
【請求項16】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、一度に送信される医用画像の枚数を示す情報を取得し、
前記記憶手段は、
一度に送信される医用画像の枚数毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項14記載の画像管理プログラム。
【請求項17】
前記要因取得手段は、
前記所要時間決定要因として、医用画像を撮影した装置を示す撮影装置情報を取得し、
前記記憶手段は、
前記撮影装置情報毎に画像データ圧縮率を記憶すること、
を特徴とする請求項14記載の画像管理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−59250(P2008−59250A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235029(P2006−235029)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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