説明

画像表示装置および遊技機

【課題】表示パネル内に貫通孔や構造物を設けることができる画像表示装置および遊技機を提供すること。
【解決手段】非表示領域5により、画素に電圧を印加する行信号線Vおよび列信号線Hが分断されているが、非表示領域5により分断された行信号線Vは、それぞれ第1行駆動回路413または第2行駆動回路415と接続し、非表示領域5により分断された列信号線Hは、それぞれ第1列駆動回路415または第2列駆動回路416と接続しているので、どの画素にも行信号線Vおよび列信号線Hから電圧を印加でき、表示領域40全域を駆動できる。また、表示パネル41内に非表示領域5が設けられているので、非表示領域5を利用して、例えば表示パネル41前面に設けた構造物を支持する支持部材を設けることができる。この場合、支持部材を外部にさらすことなく表示パネル41前面に構造物を設けることができ、外観を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置および遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機等の遊技機において、液晶パネル等の表示パネルを備えた画像表示装置を遊技盤の中央に配置し、この画像表示装置により大当たり時や抽選時の画像をアニメーション表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような遊技機では、近年、より多彩なアニメーション表示を可能とするために、また、アニメーション表示を遊技者がより楽しむことができるように、表示面積の大きな表示パネルを搭載する傾向にある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−320087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような遊技機では、表示面積の大きな表示パネルが遊技盤の中央に配置されるため、入賞口や役物の配置位置が遊技盤の周縁部に限られてしまう。また、これに伴い、釘の配置位置も遊技球を入賞口に導くためという目的が強まり、遊技球のランダムな動きを創出するという本来の目的を達成しにくいものとなった。そのため、このような遊技機では、遊技性が単調となり、興趣がそがれやすいという問題があった。このような問題から、入賞口や役物の配置位置の自由度を向上でき、遊技性を高めることができる画像表示装置および遊技機が要望されていた。
【0005】
本発明の目的は、表示パネル内に貫通孔や構造物を設けることができる画像表示装置および遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像表示装置は、表示画像を形成する表示領域を有する表示パネルと、前記表示パネルを駆動する駆動回路とを備えた画像表示装置であって、前記表示パネルは、互いに直交する複数の行信号線および複数の列信号線と、前記行信号線および前記列信号線の各直交部ごとに設けられ、かつ、前記行信号線および前記列信号線から電圧が印加される複数の画素とを備え、前記駆動回路は、前記行信号線の一端側に接続される第1行駆動回路と、前記行信号線の他端側に接続される第2行駆動回路と、前記列信号線の一端側に接続される第1列駆動回路と、前記列信号線の他端側に接続される第2列駆動回路とを備え、前記表示領域内には、前記行信号線および前記列信号線を分断する非表示領域が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、非表示領域により行信号線および列信号線が分断されているが、非表示領域により分断された行信号線は、第1行駆動回路または第2行駆動回路とそれぞれ接続し、非表示領域により分断された列信号線は、第1列駆動回路または第2列駆動回路とそれぞれ接続している。これによれば、表示領域内の全ての画素に行信号線および列信号線を用いて電圧を印加できるので、表示領域内の全ての画素を用いて画像を形成および表示できる。
また、表示パネル内に非表示領域が設けられているので、非表示領域を利用して、例えば表示パネル前面に設けた構造物を支持する支持部材を設けることができる。この場合、支持部材を外部にさらすことなく表示パネル前面に構造物を設けることができ、外観を向上できる。
【0008】
本発明では、前記駆動回路を制御する制御基板を備え、前記表示領域は、第1領域と、第2領域とにより構成され、前記表示領域において、前記行信号線の前記一端側から前記他端側へ沿って向かう方向を第1方向とし、前記列信号線の前記一端側から前記他端側へ沿って向かう方向を第2方向とし、前記非表示領域により分断された前記行信号線のうち、前記第1方向とは反対方向側の最も前記第2方向側に位置する前記行信号線を第1行分断信号線とし、前記第1方向側の最も前記第2方向とは反対方向側に位置する前記行信号線を第2行分断信号線とし、前記第1領域は、最も前記第1方向とは反対方向側に位置する前記行信号線から、前記第1行分断信号線を含むように形成され、前記第2領域は、最も前記第1方向側に位置する前記行信号線から、前記第2行分断信号線を含むように形成され、前記制御基板は、前記第1行駆動回路および前記第1列駆動回路を制御して前記第1領域を駆動する第1領域駆動手段と、前記第2行駆動回路および前記第2列駆動回路を制御して前記第2領域を駆動する第2領域駆動手段とを備えていることが好ましい。
【0009】
本発明によれば、第1領域駆動手段が第1領域分の表示画像を形成し、第2領域駆動手段が第2領域分の表示画像を形成するので、1枚の表示パネルで1枚の表示画像を形成できる。なお、第1領域に形成する画像と、第2領域に形成する画像とを別々の画像とすることも可能である。
【0010】
本発明では、前記表示領域は矩形であり、前記第1領域駆動手段は、前記表示領域の頂点のうち、前記第1方向とは反対方向側かつ前記第2方向とは反対方向側の頂点を原点として、前記第1領域を前記第2方向に沿って駆動していき、前記第2領域駆動手段は、前記表示領域の頂点のうち、前記第1方向側かつ前記第2方向側の頂点を原点として、前記第2領域を前記第2方向とは反対方向に沿って駆動していくことが好ましい。
【0011】
本発明によれば、第1領域駆動手段は、行信号線および列信号線を介して確実に第1領域内の画素に電圧を印加でき、第1領域分の表示画像を形成できる。また、第2領域駆動手段も、行信号線および列信号線を介して確実に第2領域内の画素に電圧を印加でき、第2領域分の表示画像を形成できる。従って、表示領域内の全ての画素を用いて確実に画像を形成および表示できる。また、制御が容易である。
【0012】
本発明では、前記非表示領域には、前記表示パネルを貫通する貫通孔が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、貫通孔内に適宜の物体を配置でき、汎用性を向上できる。例えば、表示パネルの前面に電力によって可動する可動部材を設けた場合、当該可動部材の配線を外部にさらすことなく画像表示装置内に導入することができ、外観を向上できる。
【0013】
本発明の遊技機は、前述の画像表示装置を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、前述の画像表示装置を備えているので、前述と同様の効果を奏することができる。
また、表示パネルの前面に役物を配置した場合、非表示領域を利用して役物を支持部材により支持する構造物を設置できる。この場合、支持部材の外部への露出を軽減できるので、外観を向上できる。
加えて、表示パネルの前面に電気で動く可動役物を配置した場合において、非表示領域を利用して貫通孔を設けた場合、当該可動役物の配線を外部にさらすことなく遊技機内に導入することができ、外観を向上できる。
【0014】
さらに、表示パネルの前面に入賞口を配置した場合、非表示領域を利用して入賞口と繋がる貫通孔を設けることができる。ここで、表示パネルの前面に厚みのある透光性部材を設け、この透光性部材に、入賞口に繋がり内部へ遊技球を導く導孔を設けることが考えられる。しかしながら、この場合、導孔内における遊技球の動きが透けて見えてしまう。これに対し、本発明では、表示パネルの前面に入賞口を配置した場合、非表示領域を利用して入賞口と繋がる貫通孔を設けることができるので、遊技球を露出させることなく内部に導入することができ、外観を向上できる。
また、表示パネルを避けることなく入賞口や役物を配置できるので、釘の配置の自由度も向上でき、遊技球のランダムな動きを容易に創出できる。従って興趣を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の遊技機1を示す斜視図である。
遊技機1はパチンコ機であり、遊技者の操作により遊技球を遊技盤31上に射出し、遊技球が遊技盤31上に設けられた入賞口に入賞した場合、所定数の遊技球を払い出す。この遊技機1は、図1に示すように、枠体2と、枠体2内に収納される遊技機本体3とを備えている。
遊技機本体3は、枠体2の前面側に取り付けられた遊技盤31と、遊技盤31の前面を覆う透光板を有する前扉32と、遊技球を発射するためのハンドル33と、遊技盤31の背面側に取り付けられた画像表示装置4と、遊技機1全体を制御する図示しない制御装置とを備えている。
【0016】
このうち、遊技盤31の中央部分には開口部311が形成され、画像表示装置4が形成する表示画像を当該開口部311を介して観察できるようになっている。この開口部311には、画像表示装置4を覆う透光性部材312が嵌め込まれている。透光性部材312は、透光性を有するガラスや樹脂等から形成されている。この透光性部材312には、遊技球の軌道を変えるための釘314が複数設けられている。また、その中央部分には始動入賞口313が設けられている。
【0017】
図2は、透光性部材312および画像表示装置4を示す断面図である。
透光性部材312と画像表示装置4とには、図2に示すように、これらを貫通する貫通孔5が形成されている。遊技球が始動入賞口313に入賞すると、この貫通孔5を通って遊技機本体3内に導かれ、前述の制御装置により検出される。そして、制御装置により抽選処理が実行されるとともに、画像表示装置4により数字や図柄をスクロールさせるアニメーション表示が行われて抽選処理結果が遊技者に報知される。このように、本実施形態では、画像表示装置4に始動入賞口313が設けられているので、始動入賞口313の配置位置の自由度を向上でき、遊技球のランダムな動きの創出を容易にできる。従って、興趣を高めることができる。
このような貫通孔5が形成される画像表示装置4は、液晶パネル41と、バックライト42と、制御基板43と、これらを収納する図示しないフレームとを備え、ユニット化されている。
【0018】
図3は、液晶パネル41の構成を説明するための図である。
液晶パネル41は、本発明の表示パネルであり、バックライト42から射出された光束を変調して、制御基板43から入力されるデータ信号に応じた表示画像を形成する。この液晶パネル41は、駆動基板であるアクティブマトリクス基板411と、アクティブマトリクス基板411に対向配置される図示しない対向基板と、これらの基板間に密封封入される電気光学材料としての液晶とを備えている。このような液晶パネル41には矩形の表示領域40が設けられている。この表示領域40は、マトリクス状に区画された6×6個の画素(サブピクセル)Sから構成されている。なお、本実施形態では、説明上、表示領域40を6×6個の画素により図示したが、表示領域40は、実際には数十万あるいはそれ以上の画素Sにより構成されている。後述する走査線V、信号線H、およびTFT412も同様であり、実際にはそれぞれ前述した画素数に対応して設けられている。
【0019】
アクティブマトリクス基板411は、互いに直交するように形成された複数の走査線V(V1〜V6)および複数の信号線H(H1〜H6)と、走査線Vおよび信号線Hの各交差部近傍に各画素Sごとに1つずつ配置される複数のTFT(Thin Film Transistor)412と、走査線Vを介して各TFT412にアドレス信号としての電圧を印加する第1走査線駆動回路413および第2走査線駆動回路414と、信号線Hを介して各TFT412にデータ信号としての電圧を印加する第1信号線駆動回路415および第2信号線駆動回路416とを備えている。走査線Vは本発明の行信号線に相当し、信号線Hは本発明の列信号線に相当する。
【0020】
TFT412はスイッチング素子であり、そのゲート電極は走査線Vに接続され、ソース電極は信号線Hに接続され、ドレイン電極は、対向基板上に形成される共通電極との間に液晶を保持する画素電極に接続されている。この画素電極、液晶、および共通電極により液晶容量CLが形成されている。TFT412のゲート電極に走査線Vからアドレス信号として+12Vの電圧が印加されると、TFT412はソース電極とドレイン電極間とが導通したON状態となる。このON状態で、ソース電極、ひいては画素電極に信号線Hからデータ信号としての電圧が印加されると、液晶容量CLに、画素電極と共通電極との電圧差に対応する電荷、すなわち画像信号が書き込まれ、保持される。
【0021】
一方、ゲート電極に走査線Vから休止信号として−10Vの電圧が印加されると、TFT412は、ソース電極とドレイン電極間との導通が規制されるOFF状態となり、信号線Hから画素電極へのデータ信号の供給が防止される。すなわち、液晶容量CLへの新たな画像信号の書き込みが防止される。なお、ドレイン電極は、保持容量素子にも接続されており、この保持容量素子、液晶、および共通電極により、液晶容量CLと電気的に並列な保持容量CSが構成されている。この保持容量CSは、液晶容量CLの電荷の保持性能を向上させる。
【0022】
このような液晶パネル41の中央部分には、遊技機本体3内部に遊技球を導くための貫通孔5が形成されている。この貫通孔5部分は、表示画像を形成できない本発明の非表示領域となっている。
【0023】
図4は、液晶パネル41および制御基板43の構成を示す図である。以下、まず駆動回路413〜416の説明を簡略に行い、その後、制御基板43の構成と併せて駆動回路413〜416を用いた表示パネル41の駆動方法を説明する。
走査線駆動回路413,414は、シフトレジスタを備え、後述する制御基板43による制御の下、走査線Vを介して一行分のTFT412のゲート電極にアドレス信号を出力し、当該一行分のTFT412をON状態にする。
信号線駆動回路415,416は、シフトレジスタおよびサンプルホールド回路を備え、制御基板43による制御の下、走査線駆動回路413,414にON状態とされた一行分のTFT412のソース電極に順次データ信号を出力し、画素電極に当該データ信号を供給する。
【0024】
これらの駆動回路413〜416は、第1走査線駆動回路413および第1信号線駆動回路415が対になり、第2走査線駆動回路414および第2信号線駆動回路416が対になっている。
そして詳しくは後述するが、これらの駆動回路413〜416は、駆動回路413,415がまず、表示領域40のうち、図4中上側の表示領域(以降第1領域と呼ぶ)401を、当該駆動回路413,415側に位置する表示領域40の頂点61を原点として駆動した後、駆動回路414,416が、図4中下側の表示領域(以降第2領域と呼ぶ)402を、当該駆動回路414,416側に位置する表示領域40の頂点62を原点として駆動することで、表示領域40全体を駆動する。
【0025】
なお、以下では、走査線Vの第1走査線駆動回路413との接続側から第2走査線駆動回路414との接続側に沿った方向を本発明の第1方向であるX方向とし、その反対方向を−X方向とする。また、信号線Hの第1信号線駆動回路415との接続側から第2信号線駆動回路416との接続側に沿った方向を本発明の第2方向であるY方向とし、その反対方向を−Y方向とする。
ここで、矩形の貫通孔5のY側かつ−X側の頂点51から−X側へ引いた線分を第1分断線R1とし、貫通孔5の−Y側かつX側の頂点52からX側へ引いた線分を第2分断線R2とする。前述の第1領域401は、表示領域40をこれらの分断線R1,R2と貫通孔5とで2つの領域に分けた場合における−Y側の領域となっており、第2領域402はY側の領域となっている。
なお、第1分断線R1は、貫通孔5により分断された走査線V41,32のうち、−X側でかつ最もY側の本発明の第1行分断信号線である走査線V41が第1領域401内に入るように引かれている。また、第2分断線R2は、X側でかつ最も−Y側の本発明の第2行分断信号線である走査線V42が第2領域402内に入るように引かれている。
【0026】
制御基板43は、液晶パネル41およびバックライト42を制御装置による制御の下で駆動する。この制御基板43は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)431と、ROM(Read Only Memory)432と、ワークRAM(Random Access Memory)433と、CGROM(Character Generator ROM)434と、VRAM(Video RAM)435と、VDP(Video Display Processor)436とを備えている。
【0027】
CPU431は、図示しない制御装置による制御の下、制御基板43全体を制御する。
ROM432は、CPU431に読み出される各種のプログラムを記憶している。
ワークRAM433は、CPU431の作業メモリであり、CPU431がROM432から読み出したプログラムを記憶する。
CGROM434は、VDP436に読み出される画像データを記憶している。
VRAM435は、VDP436の作業メモリであり、VDP436により生成された画像データを記憶する。
VDP436は、CPU431による制御の下、液晶パネル41を駆動する。このVDP436は、表示画像データ形成手段437と、表示画像データ読込手段438と、第1領域駆動手段439と、第2領域駆動手段440とを備えている。
【0028】
図5は、VRAM435上に形成される表示画像データGを示す模式図である。
表示画像データ形成手段437は、CGROM434から画像データを取得し、図5に示すように、表示画像に係る1枚の表示画像データGをVRAM435上に形成する。具体的には、表示画像データ形成手段437は、第1領域401に形成する表示画像に対応する表示画像データG1と、表示画像の一ライン分の無意味なデータ量のギャップデータBと、第2領域401に形成する表示画像に対応する表示画像データG2とからなる表示画像データGを形成する。
この際、表示画像データ形成手段437は、表示画像データG1における貫通孔5からX方向側の領域内に対応するデータG11を無意味な無効データとして形成する。また、表示画像データG2における貫通孔5からX方向側の領域内に対応するデータG21を、無意味な無効データとして形成する。
【0029】
表示画像データ読込手段438は、VRAM435上の表示画像データを、表示画像データG1、ギャップデータB、表示画像データG2の順に読み込んでいき、表示画像データG1,G2をデータ信号に変換する。なお、表示画像データ読込手段438は、表示画像データG1においては、図5に示すように、表示領域40の頂点61と対応する点を原点として、走査線V1上の領域に対応するデータから走査線V4上の領域に対応するデータの順にデータを読み込んでいき、表示画像データG2においては、表示領域40の頂点62と対応する点を原点として、走査線V6上の領域に対応するデータから走査線V4上の領域に対応するデータの順にデータを読み込んでいく。
【0030】
第1領域駆動手段439は、表示画像データ読込手段438による表示画像データG1のデータ信号への変換と同時に、第1領域401内の画素電極に当該データ信号を供給していく。具体的には、第1領域駆動手段439は、図4に示すように、第1走査線駆動回路413を制御し、まず、頂点61側の走査線V1上に並ぶ一行分のTFT412にアドレス信号(+12V)を出力し、当該一行分のTFT412をON状態にする。そして、第1信号線駆動回路415を制御して、所定期間内に頂点61側の信号線H1から信号線H6までの信号線H1〜H6を介し、ON状態とした一行分のTFT412にデータ信号を出力して画素電極にデータ信号を供給する。
【0031】
第1領域駆動手段439は、このサイクルを頂点61側の走査線V1から第1領域401内のV41まで前記所定期間ごとに順次行うことで、第1領域401内の全ての画素電極にデータ信号を供給する。すなわち、第1領域駆動手段439は、表示領域40の図4中左上の頂点61を原点として液晶パネル41を駆動する左上原点駆動を行う。これにより、第1領域401内の全ての液晶容量CLには、画素電極と共通電極との電圧差に対応する電荷、すなわち画像信号が書き込まれて保持され、第1領域401分の表示画像が形成される。
【0032】
なお、この際、貫通孔5からX方向側の領域内の表示画像データG11は無効データとされているので、貫通孔5からX方向側の領域内のTFT412には、信号線H5,H6からデータ信号は出力されない。また、後述する第2領域駆動手段440は、この第1領域駆動手段439による第1領域401の駆動の際に、第2領域402内の走査線V42〜V6に休止信号(−10V)を出力し、第2領域402内のTFT412(画素電極)に誤ってデータ信号が供給されることを防止する。
【0033】
このようにして第1領域駆動手段439による第1領域401の駆動が終了すると、表示画像データ読込手段438は、ギャップデータBの読み込みの後、第2領域402に対応する表示画像データG2をデータ信号に変換していく。なお、ギャップデータBの読み込みは、駆動する表示領域が第1領域401から第2領域402へと切り替わるのに伴って、VDP436が駆動させる駆動回路が第1走査線駆動回路413および第1信号線駆動回路415から、第2走査線駆動回路414および第2信号線駆動回路416に切り換わるため、この切替時間を確保するためである。
【0034】
この表示画像データ読込手段438による画像データG2のデータ信号への変換と同時に、第2領域駆動手段440は、第2走査線駆動回路414および第2信号線駆動回路416を制御して、当該データ信号を第2領域402内の画素電極に供給していく。この際、第2領域駆動手段440は、図4に示すように、表示領域40の図4中右下の頂点62を原点として液晶パネル41を駆動する右下原点駆動を行う。右下原点駆動は前述の左上原点駆動と略同様なので簡略に説明すると、第2領域駆動手段440は、第2走査線駆動回路414を制御し、頂点62を原点として走査線V6から第2領域401内の走査線V42までを順次走査する。また、これらの走査線V6〜V42を介してON状態とした一行分のTFT412に対し、第2信号線駆動回路416を制御して、信号線H6から信号線H1までを順次走査してデータ信号を出力する。
【0035】
なお、この際、貫通孔5から−X方向側の領域内に対応する表示画像データG21は無効データとされているので、貫通孔5から−X方向側の領域内のTFT412には信号線H1,H2からデータ信号は出力されない。また、第1領域駆動手段439は、この第2領域駆動手段440による第2領域402の駆動の際、第1領域401内の走査線V1〜V41に休止信号を出力し、第1領域401内のTFT412(画素電極)に誤ってデータ信号が供給されることを防止する。
以上のようにして、第1領域駆動手段439が第1領域401分の表示画像を形成し、第2領域駆動手段440が第2領域402分の表示画像を形成することで、1フレーム分の表示画像が形成される。
【0036】
以下、画像表示装置4による液晶パネル41の駆動方法を、図6のフローチャートを参照して簡略に説明する。
画像表示装置4における画像表示に際し、まず、図6に示すように、表示画像データ形成手段437がCGROM434から画像データを取得し、第1領域401に対応する表示画像データG1と、ギャップデータBと、第2領域401に対応する表示画像データG2とからなる表示画像データGを形成する(ステップS1)。
【0037】
ステップ1の後、表示画像データ読込手段438が表示画像データG1をデータ信号へ変換していくとともに、第1領域駆動手段439が第1領域401内の画素電極に当該データ信号を供給していき、第1領域401分の表示画像を形成する(ステップS2)。
ステップS2の後、表示画像データ読込手段438はギャップデータBを読み込む(ステップS3)。この際に、VDP436が駆動させる駆動回路が、第1走査線駆動回路413および第1信号線駆動回路415から、第2走査線駆動回路414および第2信号線駆動回路416に切り換わる。
【0038】
ステップS3の後、表示画像データ読込手段438が表示画像データG2をデータ信号へ変換していくとともに、第2領域駆動手段440が第2領域402内の画素電極に当該データ信号を供給していき、第2領域402分の表示画像を形成する(ステップS4)。これにより1フレーム分の表示画像が形成される。
【0039】
以上のような本実施形態の遊技機1によれば、以下の効果を奏することができる。
貫通孔5により走査線Vおよび信号線Hが分断されているが、貫通孔5により分断された走査線Vは、それぞれ第1走査線駆動回路413または第2走査線駆動回路414と接続し、貫通孔5により分断された信号線Hは、それぞれ第1信号線駆動回路415または第2信号線駆動回路416と接続しているので、表示領域40内の全ての画素Sに走査線Vおよび信号線Hを用いて電圧を印加できる。従って、表示領域40内に貫通孔5を設けても表示画像を形成できる。
また、従来に比べ、1組の駆動回路414,416を加えるだけなので、液晶パネル41の構成を従来とあまり変える必要がなく、低コストで製造できる。
【0040】
表示領域40を第1領域401と第2領域402とに分け、第1領域駆動手段439が第1領域分の表示画像を形成し、第2領域駆動手段440が第2領域402分の表示画像を形成するので、1枚の液晶パネル41で1枚の表示画像を形成できる。よって、VRAM435上において、1枚分の表示画像データGを形成するだけでよい。
表示領域40を、表示領域40の対角線状の頂点61,63を原点としてそれぞれの領域401,402を駆動するので、制御が容易である。また、確実にそれぞれの表示領域401,402を駆動できる。
【0041】
貫通孔5は、当該貫通孔5を除いた領域の画素が、第1走査線駆動回路413および第1信号線駆動回路415、または第2走査線駆動回路414および第2信号線駆動回路416のうちの少なくとも1組の駆動回路と接続可能な形状に形成されているので、非表示領域を貫通孔5の面積のみにでき、非表示領域を最小にできる。
【0042】
液晶パネル41を避けずに液晶パネル41の前面側に始動入賞口313を設けることができるので、始動入賞口313の配置位置および釘の配置位置の自由度を向上できる。従って、遊技球のランダムな動きの創出を容易にでき、興趣を高めることができる。
液晶パネル41に貫通孔5を設けたので、透光性部材312内を厚くし、透光性部材312内に遊技球を遊技機1内部に導くための導孔を設ける場合に比べ、遊技球を露出させることなく遊技機1内部に導入することができ、外観を向上できる。
【0043】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、表示パネル41はアクティブマトリクス型に構成されていたが、表示パネル41はパッシブマトリクス型に構成されていてもよい。また、前記実施形態では、表示パネル41は液晶パネルであったが、表示パネル41は有機EL(Electroluminescence)パネルであってもよい。この場合、画素は有機EL素子を備えて構成される。
【0044】
前記実施形態では、非表示領域を利用して貫通孔5を設け、この貫通孔5を利用して液晶パネル41の前面に始動入賞口313を設けたが、液晶パネル41の前面に役物を配置し、非表示領域を利用して役物を支持部材により支持する構成としてもよい。この場合、支持部材の外部への露出を軽減できるので、外観を向上できる。
また、前記実施形態では、貫通孔5を遊技球を遊技機本体内3へ導くための孔として利用したが、液晶パネル41の前面に電力で動く可動役物を配置し、貫通孔5を、この可動役物に電力を供給する配線を遊技機本体内3へ導くために利用してもよい。この場合、配線の外部への露出を軽減できるので、外観を向上できる。
【0045】
図7は、貫通孔5の変形を示す図である。
前記実施形態では、貫通孔5は直線の端縁を有する形状に形成されていたが、貫通孔5は、図7に示すように、曲線を含んで形成されていてもよく、適宜の形状でよい。
【0046】
前記実施形態では、遊技機1は、パチンコ機として構成されていたが、遊技機1は、パチスロ機、ピンボール機、およびアレンジボール機として構成されていてもよい。
前記実施形態では、画像表示装置は遊技機に用いられていたが、例えば、自動車に適用してもよい。すなわち、画像表示装置をハンドル下に設置し、貫通孔内に自動車のハンドルの支持軸を通すようにしてもよい。このようにすれば、ハンドルの向こう側に大画面を設置することができ、ハンドルの隙間を通して、また、ハンドル越しに大画面を見ることができる。このように、本発明の画像表示装置は、遊技機以外の他の電子機器の画像表示装置として用いられてもよく、画像表示装置単体として用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、パチンコ機およびパチスロ機等の遊技機として利用できる。また、本発明は、それらや電子機器に用いられる画像表示装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機を示す斜視図。
【図2】前記実施形態における透光性部材および画像表示装置を示す断面図。
【図3】前記実施形態における液晶パネルの構成を説明するための図。
【図4】前記実施形態における液晶パネルおよび制御基板の構成を示す図。
【図5】前記実施形態における表示画像データを示す模式図。
【図6】前記実施形態における画像表示時の工程を示すフローチャート。
【図7】前記実施形態における貫通孔の変形を示す図。
【符号の説明】
【0049】
1…遊技機、4…画像表示装置、5…貫通孔、40…表示領域、41…表示パネル(液晶パネル)、43…制御基板、401…第1領域、402…第2領域、413…第1行駆動回路(第1走査線駆動回路)、414…第2行駆動回路(第2走査線駆動回路)、415…第1列駆動回路(第1信号線駆動回路)、416…第2列駆動回路(第2信号線駆動回路)、439…第1領域駆動手段、440…第2領域駆動手段、H…信号線(列信号線)、V…走査線(行信号線)、S…画素、V41…第1行分断信号線、V42…第2行分断信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画像を形成する表示領域を有する表示パネルと、前記表示パネルを駆動する駆動回路とを備えた画像表示装置であって、
前記表示パネルは、互いに直交する複数の行信号線および複数の列信号線と、
前記行信号線および前記列信号線の各直交部ごとに設けられ、かつ、前記行信号線および前記列信号線から電圧が印加される複数の画素とを備え、
前記駆動回路は、
前記行信号線の一端側に接続される第1行駆動回路と、
前記行信号線の他端側に接続される第2行駆動回路と、
前記列信号線の一端側に接続される第1列駆動回路と、
前記列信号線の他端側に接続される第2列駆動回路とを備え、
前記表示領域内には、前記行信号線および前記列信号線を分断する非表示領域が設けられていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記駆動回路を制御する制御基板を備え、
前記表示領域は、第1領域と、第2領域とにより構成され、
前記表示領域において、前記行信号線の前記一端側から前記他端側へ沿って向かう方向を第1方向とし、前記列信号線の前記一端側から前記他端側へ沿って向かう方向を第2方向とし、
前記非表示領域により分断された前記行信号線のうち、前記第1方向とは反対方向側の最も前記第2方向側に位置する前記行信号線を第1行分断信号線とし、前記第1方向側の最も前記第2方向とは反対方向側に位置する前記行信号線を第2行分断信号線とし、
前記第1領域は、最も前記第1方向とは反対方向側に位置する前記行信号線から、前記第1行分断信号線を含むように形成され、
前記第2領域は、最も前記第1方向側に位置する前記行信号線から、前記第2行分断信号線を含むように形成され、
前記制御基板は、
前記第1行駆動回路および前記第1列駆動回路を制御して前記第1領域を駆動する第1領域駆動手段と、
前記第2行駆動回路および前記第2列駆動回路を制御して前記第2領域を駆動する第2領域駆動手段とを備えていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置において、
前記表示領域は矩形であり、
前記第1領域駆動手段は、前記表示領域の頂点のうち、前記第1方向とは反対方向側かつ前記第2方向とは反対方向側の頂点を原点として、前記第1領域を前記第2方向に沿って駆動していき、
前記第2領域駆動手段は、前記表示領域の頂点のうち、前記第1方向側かつ前記第2方向側の頂点を原点として、前記第2領域を前記第2方向とは反対方向に沿って駆動していくことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像表示装置において、
前記非表示領域には、前記表示パネルを貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像表示装置を備えていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−172120(P2009−172120A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13432(P2008−13432)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】