説明

画像表示装置

【課題】画像表示装置において、電源線の電圧降下および発光輝度の階調に依存して発生する輝度むらの影響を抑制した輝度補償を行うこと。
【解決手段】複数の画素回路は、通電により発光する有機発光素子OLEDと、ドレイン電極およびソース電極、ならびにドレイン電極とソース電極との間の通電状態を制御する制御信号が供給されるゲート電極を有し、この制御信号に基づいてドレイン電極に接続される有機発光素子OLEDの発光を制御する駆動トランジスタTdと、一端が駆動トランジスタTdのゲート電極に接続され、有機発光素子OLEDの発光輝度に応じた画像データ電位を一時的に保持する保持容量Csと、一端が駆動トランジスタTdのドレイン電極に接続される付加容量Caddと、を備え、電源線に生じる電圧降下の大きさに応じて付加容量Caddの容量値を各画素回路ごとに異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELディスプレイ装置等の画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光層に注入された正孔と電子とが再結合することによって光を生じる機能を有する有機EL(Electroluminescence)素子を用いた画像表示装置が提案されている。
【0003】
この種の画像表示装置では、例えばアモルファスシリコンや多結晶シリコン等で形成された薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下「TFT」という)や有機EL素子の一つである有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:以下「OLED」という)などが各画素を構成しており、各画素がマトリックス状に配置されている。そして、各画素に適切な電流値が設定されることにより、各画素の輝度が制御され、所望の画像が表示される。
【0004】
【非特許文献1】S.Ono,et al.(2003).Pixel Circuit for a−Si AM−OLED.Proceedings of IDW ’03,pp.255−258.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような画像表示装置においては、各画素に電源電圧を供給する給電線は、複数の画素に対して共通に接続されている。かかる給電線内においては電圧降下が生ずるため、各画素への印加電位が前記電圧降下に応じて各画素ごとに変動することとなり、表示画像に輝度ムラが生ずることがある。例えば、マトリックス状に配列された各画素に下方向から所定の電圧を給電するような給電方式の場合には、下方に位置する画素よりも上方に位置する画素における有機EL素子への印加電圧が低下することになり、下方から上方に向かって輝度が低下するような輝度むらが視認される可能性があった。
【0006】
このような輝度むらを改善するために、例えば各画素までの給電線の長さを揃えたり、給電線の抵抗値を揃えたりするといった手法を採ることが考えられる。しかしながら、給電線の長さや抵抗値を調整する手法では、例えば発光輝度が低階調側の輝度むらを補償するように調整した場合には、高階調側の輝度むらを補償することができず、逆に、発光輝度が高階調側の輝度むらを補償するように調整した場合には、低階調側の輝度むらを補償することができないという問題点があった。つまり、この種の手法では、輝度むらの影響を抑制するための輝度補償を高階調側および低階調側の双方において、両立させて行うことができないという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、給電線の電圧降下および発光輝度の階調に依存して発生する輝度むらの影響を抑制した輝度補償を行うことが可能な画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる画像表示装置は、複数の画素回路と、前記各画素回路に対して電源電圧を共通に供給する電源線と、を有する画像表示装置において、前記各画素回路は、第1端子、第2端子、及び前記第1端子と第2端子との間の導通状態を制御する制御信号が供給される制御端子を有する駆動素子と、前記第1端子に接続されるとともに前記駆動素子により発光が制御される発光素子と、一端が前記駆動素子の制御端子に接続され、前記発光素子の発光輝度に応じた画像データを一時的に保持する第1容量素子と、一端が前記駆動素子の第1端子に接続される第2容量素子と、を備え、前記電源線に生じる電圧降下の大きさに応じて前記第2容量素子の容量値を前記画素回路ごとに異ならせることを特徴とする。
【0009】
また、つぎの発明にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記電源線による電圧降下量が大きい前記画素回路ほど、前記第2容量素子の容量値が大きいことを特徴とする。
【0010】
また、つぎの発明にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記第2容量素子の容量値が、前記各画素回路間で略線形に変化していることを特徴とする。
【0011】
また、つぎの発明にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記第2容量素子の他端は、前記電源線に接続されていることを特徴とする。
【0012】
また、つぎの発明にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記第2容量素子の他端は、前記第1容量素子が前記画像データ電位を保持している期間中に、略一定の電位を維持している電位線に接続されていることを特徴とする。
【0013】
また、つぎの発明にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記電位線は、前記閾値電圧検出素子の導通/非導通を制御する制御線であることを特徴とする。
【0014】
また、つぎの発明にかかる画像表示装置は、上記の発明において、前記各画素回路は、前記駆動素子における閾値電圧の検出を制御する閾値電圧検出素子を更に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる画像表示装置によれば、電源線に生じる電圧降下の大きさに応じて付加容量の容量値を同一の電源線に接続される画素回路ごとに異ならせるようにしているので、電源線の電圧降下および発光輝度の階調に依存して発生する輝度むらの影響を抑制した輝度補償を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態にかかる画像表示装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
<画像表示装置の概略構成>
図1は、本発明にかかる実施の形態の説明に好適な画像表示装置の概略構成を示す図である。図1において、画像表示装置の表示パネル5には、電源線10、Tth制御線11、マージ線12および走査線13からなる各制御線および画像信号線14が配設されている。これらの各制御線は、表示パネル5に設けられたラインドライバ20に接続されている。一方、画像信号線14は、制御線と異なる方向に沿って配設されるとともに、表示パネル5に設けられたデータドライバ22に接続されている。なお、図1では図示を省略しているが、表示パネル5は、有機EL素子を具備し、マトリックス状に配列される複数の画素回路を有しており、これらの画素回路には各制御線および画像信号線14が接続されている。
【0018】
ラインドライバ20は、例えばスイッチング素子などを内部に含む駆動用ICなどを用いて構成することができ、各制御線への印加電圧の大きさや印加するタイミングを制御する。また、データドライバ22は、演算回路などを内部に含む駆動用ICなどを用いて構成することができ、画像データに対応する電位(以下「画像データ電位」という)を生成するとともに、生成した画像データ電位を画像信号線14に供給するタイミングを制御する。なお、各制御線、画像信号線14、ラインドライバ20およびデータドライバ22に関する図1のレイアウトは、その一例を示すものであり、これらのレイアウトに限られるものではない。
【0019】
<画素回路の構成>
図2は、本発明の好適な実施の形態にかかる画像表示装置の1画素を構成する画素回路の構成例を示す図である。なお、図1と同一の構成部には同一の符号を付して示している。
【0020】
図2に示すように、この画素回路は、有機発光素子OLED、駆動トランジスタTd、閾値電圧検出用トランジスタTth、保持容量Cs、付加容量Cadd、保持容量Csと画像信号線14との電気的接続を制御するスイッチングトランジスタTs、および、電源線10と保持容量Csとの電気的接続を制御するスイッチングトランジスタTmを備えている。
【0021】
図2において、駆動トランジスタTdは、ゲート電極・ソース電極間に与えられる電位差に応じて有機発光素子OLEDに流れる電流量を制御するための素子である。閾値電圧検出用トランジスタTthは、オン状態となったときに、駆動トランジスタTdのゲート電極とドレイン電極とを電気的に接続する。その結果、駆動トランジスタTdのゲート電極・ソース電極間の電位差が駆動トランジスタTdの閾値電圧Vthとなるまで駆動トランジスタTdのゲート電極からドレイン電極に向かって電流が流れ、駆動トランジスタTdのゲート電極・ソース電極間の電位差が閾値電圧Vthに近づくこととなる。
【0022】
有機発光素子OLEDは、アノード層と、カソード層と、アノード層およびカソード層の間に介在され、有機材料からなる発光層とを少なくとも備えた構造を有している。アノード層およびカソード層の材料としては、AlまたはAlとNdとの合金、その他のAl合金、Cu、ITO(Indium Tin Oxide)、Mg,Ca,Al,IZO等の金属材料が用いられ、例えば、アノード層としてAlが、カソード層としてMgおよびCaの積層体が用いられる。また、発光層の材料としては、フタルシアニン、トリスアルミニウム錯体、ベンゾキノリノラト、ベリリウム錯体等の有機材料が用いられる。このような有機発光素子OLEDは、発光層に注入された正孔と電子とが再結合することによって光を生じる機能を有する。
【0023】
駆動トランジスタTd、閾値電圧検出用トランジスタTth、スイッチングトランジスタTsおよびスイッチングトランジスタTmは、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)により構成される。なお、各薄膜トランジスタのチャネル(N型またはP型)については、N型、P型のいずれのタイプを用いてもよいが、本実施形態ではN型を用いる場合を一例として示している。
【0024】
また、電源線10は、駆動トランジスタTdおよびスイッチングトランジスタTmに所定電圧を供給する。Tth制御線11は、閾値電圧検出用トランジスタTthを制御するための制御信号を供給する。マージ線12は、スイッチングトランジスタTmを制御するための制御信号を供給する。走査線13は、スイッチングトランジスタTsを制御するための制御信号を供給する。画像信号線14は、有機発光素子OLEDの発光輝度に対応する画像信号を供給する。
【0025】
保持容量Csは、画像信号線14から供給された画像データ電位を保持する容量素子であり、例えば、保持容量Csの一端はスイッチングトランジスタTsのドレイン電極(スイッチングトランジスタTmのドレイン電極でもある)に接続され、他端は駆動トランジスタTdのゲート電極(閾値電圧検出用トランジスタTthのソース電極でもある)に接続されている。また、付加容量Caddは、前述した輝度むらの補償を行うための容量素子であり、例えば、付加容量Caddの一端は有機発光素子OLEDのカソード電極(駆動トランジスタTdのドレイン電極、閾値電圧検出用トランジスタTthのソース電極でもある)に接続され、他端は電源線10(駆動トランジスタTdのソース電極でもある)に接続されている。
【0026】
なお、図2では、有機発光素子OLEDのアノード電極側をグラウンド線に、カソード電極側を電源線10にそれぞれ接続するようにしているが、有機発光素子OLEDのアノード電極側を電源線10に、カソード電極側をグラウンド線にそれぞれ接続してもよいし、あるいは、有機発光素子OLEDの両側に電源線を接続し、両電源線の電位を変動させてもよい。
【0027】
<画素回路群の構成>
図3は、図2における画像表示装置において、複数の画素回路で構成される画素回路群を示す図である。なお、図3においては、閾値電圧検出用トランジスタTth、スイッチングトランジスタTs、有機発光素子OLED自体が有する素子容量Coled、および電源線10およびマージ線12を除く他の制御線などの回路要素の図示を省略している。
【0028】
図3において、電源線10やマージ線12等の制御線は画素回路群に共通に接続されており、それぞれの各一端側がラインドライバ20に接続されている。そして、ラインドライバ20によって電源線10やマージ線12等の制御線に印加される電位が制御される。
【0029】
なお、図3に示すように、各画素回路に配列される付加容量Caddの容量値を、第n行では、Cadd11,…,Cadd12,…,Cadd13で表し,第(n+1)行では、Cadd21,…,Cadd22,…,Cadd23で表すとすると、これらの容量値間には、以下の関係がある。
【0030】
Cadd11>Cadd12>Cadd13 …(1−1)
Cadd21>Cadd22>Cadd23 …(1−2)
【0031】
なお、各画素回路に配列される付加容量Caddの各容量値を、共通の電源線10に接続される画素回路群ごとに上記(1−1)、(1−2)式のような関係を持たせて配列とすることの技術的意義については、後述する。
【0032】
<画素回路の動作>
つぎに、図2に示す画素回路の動作について説明する。発光素子を有する画素回路にあっては、一般的に、準備期間、閾値電圧検出期間(以下「Vth検出期間」という)、書き込み期間および発光期間という4つの期間を経て動作する。
【0033】
まず、準備期間では、有機発光素子OLED(より詳細には有機発光素子OLED自身が有する素子容量Coled)に所定の電荷が蓄積される。なお、この準備期間に有機発光素子OLEDに電荷を蓄積する理由は、駆動トランジスタTdのVth検出時に、駆動トランジスタTdのドレイン−ソース間の電流が零となるまで電流を供給するためである。
【0034】
つぎに、Vth検出期間では、電源線10の電位が略零電位に設定され、このときに生ずる駆動トランジスタTdのゲート−ソース間電圧であるVth(閾値電圧)が検出され、保持容量Csに記憶/保持される。なお、保持容量CsにVthを記憶/保持する動作は、準備期間に有機発光素子OLEDに蓄積した電荷を利用して行われる。
【0035】
さらに、書き込み期間では、Vth検出期間において検出されたVthに画像データ電位に基づく画像信号電圧が重畳された所定電圧が保持容量Csに記憶/保持される。
【0036】
最後に、発光期間では、書き込み期間において、保持容量Csに記憶/保持された所定電圧が駆動トランジスタTdのゲート−ソース間に印加され、有機発光素子OLEDが発光制御される。
【0037】
<本発明にかかる課題解決手法>
つぎに、上述した本発明にかかる課題、すなわち「給電線の電圧降下および発光輝度の階調に依存して発生する輝度むらの補償を高階調側および低階調側の双方において両立させて行う」という本願課題の解決手法について説明する。
【0038】
まず、有機発光素子OLEDの発光時に、画素回路の駆動トランジスタTdのゲート−ソース間に印加される電位差(以下「ゲート−ソース間電圧」という)は、次式のように表すことができる。
【0039】
Vgs=α×Vdata+β×Vth+γ …(2)
【0040】
上記(2)式において、Vdataは画像データ電位であり、Vthは駆動トランジスタTdの閾値電圧である。また、α,β,γは画素回路に固有の値であり、回路素子の容量値などによって決定される。特に、αは、「書き込み効率」とも呼ばれている指標であり、例えば発光輝度が最高レベルのときと最低レベルのときの駆動トランジスタTdに印加されるVgsの電位差である「Vgs振り幅」(=ΔVgs)と、発光輝度が最高レベルのときと最低レベルのときとの画素信号線に供給される電位の差である「画素信号線振り幅」と、の比(=ΔVgs/ΔVdata)で表すことができる。
【0041】
上述したように、本実施の形態にかかる画素回路では、駆動トランジスタTdに並列に接続される付加容量Caddは、上記(1−1)式および(1−2)式を満たす関係を有している。その結果、同一の電源線に接続される画素回路に所定の画像データ電位が印加された場合、ラインドライバ20を具備する側(以下「給電側」という)にある画素回路(例えば付加容量Cadd13が接続される画素回路、以下単に「給電側の画素回路」という)の保持容量Csへの書き込み電位(より正確な表現では、駆動トランジスタTdのゲートに接続される全容量値に対する書き込み電位となる。以下単に「画素回路への書き込み電位」という)よりも、ラインドライバ20を具備する側の反対側(以下「終端側」という)にある画素回路(例えば付加容量Cadd11が接続される画素回路、以下単に「終端側の画素回路」という)への書き込み電位の方が大きくなる。このことは、給電側の画素回路における書き込み効率よりも、終端側の画素回路における書き込み効率の方が大きいからである。
【0042】
いま、高階調表示における画像データ電位をVdata1とし、終端側の画素回路における書き込み効率をα、給電側の画素回路における書き込み効率をα’とする。このとき、終端側および給電側の各画素回路における駆動トランジスタTdのゲート−ソース間電圧Vgsは、電源線10における電圧降下を考慮しない場合には、上記(2)式に基づいて、それぞれ次式で表すことができる。
【0043】
Vgs=α×Vdata1+β×Vth+γ …(3−1)
Vgs’=α’×Vdata1+β×Vth+γ …(3−2)
【0044】
つぎに、同一の電源線10に接続される各画素回路を同一の輝度で発光させることを考える。ここで、有機発光素子OLEDの発光時において、給電側の画素回路に印加されるVgsをVgs_olb、終端側の画素回路に印加されるVgsをVgs_edge、各画素回路が所定の輝度で発光するために必要な電位をVgs_emitで表すとすると、給電側および終端側の各画素回路では、次式を満足する必要がある。
【0045】
Vgs_olb=Vgs_edge=Vgs_emit …(4)
【0046】
一方、上記(4)式の関係は、上記(3−1)式および(3−2)式を用いると、次式のように表すことができる。
【0047】
Vgs_olb=α’×Vdata1+β×Vth+γ …(5−1)
Vgs_emit=α×Vdata1+β×Vth+γ−ΔV_drop…(5−2)
【0048】
なお、上記(5−2)式におけるΔV_dropは、給電側の画素回路と終端側の画素回路との間の電源線10に生ずる電圧降下の大きさを表している。また、上記(5−1)式および(5−2)式において、Vgs_olb=Vgs_emitが成立するためには、次式の関係を満足する必要がある。
【0049】
ΔV_drop=α×Vdata1−α’×Vdata1 …(6)
【0050】
上記(6)式における右辺は、終端側の画素回路への書き込み電位と、給電側の画素回路への書き込み電位との差であり、この電位差が給電線である電源線10における当該画素回路間の電圧降下量ΔV_dropと一致する場合には、同一の電源線10に接続される各画素回路が同一の輝度で発光することになる。
【0051】
上記の輝度補償の概念を示した図が、図4−1である。同図の左方側では、積層グラフの上部側から「α×Vdata1」、「β×Vth」、「γ」が表されている。すなわち、縦棒の長さは、電源線10における電圧降下を考慮しない場合の終端側のVgsを表している。一方、同図の右方側では、積層グラフの上部側から「α’×Vdata1」、「β×Vth」、「γ」が表されている。すなわち、縦棒の長さは、電源線10における電圧降下をゼロとした場合の給電側のVgsを表している。
【0052】
また、同図の左方側において、積層グラフの上部にある「α×Vdata1」の一部をハッチングで示しているが、この部分は、上述した電源線10における電圧降下量「ΔV_drop」を表しており、上記(6)式の関係が成立している。また、上記(6)式の関係が成立することにより、上記(4)式の関係も成立している。
【0053】
図4−2は、低階調表示の場合の輝度補償を説明する図である。低階調表示の場合には、高階調表示における画像データ電位Vdata1よりも小さな画像データ電位Vdata2が書き込まれる。したがって、上記(6)式の右辺に相当する書き込み電位の差である、「α×Vdata2−α’×Vdata2」(同図のハッチングの部分)は、高階調表示の場合よりも小さくなる。一方、低階調表示の場合には、電源線10に流れる電流も小さくなるので、当該画素回路間の電圧降下量「ΔV_drop’」も、高階調表示のときと比べて小さくなる。
【0054】
上記「α×Vdata2−α’×Vdata2」および「ΔV_drop’」の双方とも、画像データ電位に比例するという特性を有している。したがって、低階調表示の場合においても、次式の関係が成立することになる。
【0055】
ΔV_drop’=α×Vdata2−α’×Vdata2 …(7)
【0056】
このように、本実施の形態の画素回路では、電源線の電圧降下および発光輝度の階調に依存して発生する輝度むらの影響を抑制した輝度補償を行うことが可能となる。
【0057】
一方、図5−1および図5−2は、比較例として示す本実施の形態とは異なる手法を用いた輝度補償の概念を説明するための図であり、図5−1は高階調表示の場合、図5−2は低階調表示の場合を示している。
【0058】
図5−1および図5−2に示す手法(以下「比較例による手法」という)では、上記(2)式におけるオフセット項であるγの値を可変するようにしている。なお、このγの値を可変するには、例えばスイッチングトランジスタTsの寄生容量を画素回路ごとに異なる値に設定するような手法が考えられる。
【0059】
上記(2)式におけるオフセット項を可変する場合、同一の電源線に接続される各画素回路を同一の輝度で発光させるためには、上記(4)式を満足させる必要がある。この場合、図5−1からも明らかなように、次式の関係を満足する。
【0060】
ΔV_drop=ΔV_offset …(8)
【0061】
一方、低階調表示の場合には、低階調表示における画像データ電位Vdata2が書き込まれるが、画像データ電位の書き込み効率は、高階調表示の場合と低階調表示の場合とで同一であるため、書き込み電位の差は生じない。一方、低階調表示の場合には、電源線10に流れる電流が小さくなるため、当該画素回路間の電圧降下量ΔV_drop’」は、高階調表示のときと比べて小さくなる。
【0062】
その結果、終端側の画素回路に印加されるVgs_edgeおよび給電側の画素回路に印加されるVgs_olbは、次式で表される。
【0063】
Vgs_edge=α×Vdata2+β×Vth+γ
+ΔV_offset−ΔV_drop’… (9−1)
【0064】
Vgs_olb=α×Vdata2+β×Vth+γ …(9−2)
【0065】
上記(8)式と、上記(9−1)式および(9−2)式とから、次式の関係が導かれる。
【0066】
Vgs_edge−Vgs_olb
=ΔV_offset−ΔV_drop’
=ΔV_drop−ΔV_drop’
=ΔV_dif …(10)
【0067】
Vgs_edge>Vgs_olb …(11)
【0068】
すなわち、比較例による手法を用いた場合、高階調表示の状態で輝度むらが生じないように調整すると、低階調表示のときに終端側で明るく、給電側で暗いという状態の輝度むらが生ずることになる。逆に、低階調表示の状態で輝度むらが生じないように調整すると、高階調表示のときに終端側で暗く、給電側で明るいという状態の輝度むらが生ずることになる。
【0069】
つぎに、本願手法と比較例による手法との原理的な差異点について説明する。まず、図2の画素回路を用いた場合、上記(2)式に相当する具体的な式は、次式のように表される。
【0070】
Vgs=(Cs+CgsTthon)・Vth
+Cs・(Coled+Cadd)/(Coled+Cadd+Cs+CgsTthon)・Vdata
+(-CgsTthon・VgH+CgsTthoff・VgL-Cs・Vdd)}/(Cs+CgsTthoff) …(12)
【0071】
ここで、上記(12)式における各記号の意味は、次のとおりである。
Coled:有機発光素子OLEDの素子容量の容量値
Cadd:付加容量の容量値
Cs:保持容量の容量値
CgsTthon:閾値電圧検出用トランジスタTthオン時のゲート−ソース間の寄生容量値
CgsTthoff:閾値電圧検出用トランジスタTthオフ時のゲート−ソース間の寄生容量値
VgH:閾値電圧検出用トランジスタTthオン時のゲート印加電位
VgL:閾値電圧検出用トランジスタTthオフ時のゲート印加電位
−Vdd:有機発光素子OLED発光時における電源線10の印加電位
なお、閾値電圧検出用トランジスタTthのゲート−ドレイン間の寄生容量値ならびにスイッチングトランジスタTs,Tmおよび駆動トランジスタTdの各寄生容量値については、その影響も小さいため、上式での表記は省略している。
【0072】
ここで、上記(2)式と、上記(12)式とを比較することにより、(2)式に対応するα、β、γを導出することができ、次式のように表すことができる。
【0073】
α=Cs・(Coled+Cadd)/{(Coled+Cadd+Cs+CgsTthon)・(Cs+CgsTthoff)} …(13)
β=(Cs+CgsTthon)/(Cs+CgsTthoff) …(14)
γ=(-CgsTthon・VgH+CgsTthoff・VgL-Cs・Vdd)/(Cs+CgsTthoff) …(15)
【0074】
ここで、付加容量Caddに着目すると、このCaddは、(13)式にしか含まれていないことが分かる。つまり、付加容量Caddは、(2)式におけるαのみを変更することができるパラメータであることが分かる。本願手法が、付加容量Caddを可変した画素回路を用いているのも、付加容量Caddが、αのみに依存し、他のβおよびγには影響されないという性質を利用しているからである。
【0075】
つぎに、閾値電圧検出用トランジスタTthの寄生容量値CgsTthonまたはCgsTthoff(以下両者を総称する場合には「CgsTth」という)に着目すると、このCgsTrは、(13)〜(15)式の全てに含まれていることが分かる。つまり、寄生容量CgsTthは、(2)式におけるαのみを変更することができるパラメータではないため、画像表示装置に生ずる輝度むらの補償を高階調表示および低諧調表示の双方において同時に補償することができない。
【0076】
また、上記2つのパラメータの他にも、例えば保持容量Csが考えられる。保持容量Csに着目すると、このCsも、(13)〜(15)式の全てに含まれていることが分かる。つまり、保持容量Csについても、寄生容量CgsTthと同様に、(2)式におけるαのみを変更することができるパラメータではない。このため、画像表示装置に生ずる輝度むらの補償を高階調表示および低諧調表示の双方において同時に補償することができない。
【0077】
<他の画素回路の例(回路例1)>
図6は、図2とは異なる画素回路の構成例を示す図である。図6に示す画素回路は、図2に示す画素回路とは異なり、駆動トランジスタTdを含めた2個のトランジスタを用いて構成するとともに、画像信号線14をスイッチングトランジスタTsを介さずに保持容量Csと直接接続させ、また第1電源線35および第2電源線36の2つの電源線を用いて、有機発光素子OLEDおよび駆動トランジスタTdを制御している。
【0078】
図6の画素回路を用いた場合の上記(2)式に相当する具体的な式は、次式のように表される。
【0079】
Vgs={(Cs+CgsTson)/(Cs+CgsTsoff)}・Vth
+{Cs・(Coled+Cadd)}/{(Coled+Cadd+Cs+CgsTson)・(Cs+CgsTsoff)}・Vdata
+(-CgsTson・VgH+CgsTsoff・VgL)/(Cs+CgsTsoff) …(16)
【0080】
ここで、上記(16)式における各記号の意味は、次のとおりである。
Coled:有機発光素子OLEDの素子容量の容量値
Cadd:付加容量の容量値
Cs:保持容量の容量値
CgsTson:閾値電圧検出用トランジスタTthオン時のゲート−ソース間の寄生容量値
CgsTsoff:閾値電圧検出用トランジスタTthオフ時のゲート−ソース間の寄生容量値
VgH:閾値電圧検出用トランジスタTthオン時のゲート印加電位
VgL:閾値電圧検出用トランジスタTthオフ時のゲート印加電位
なお、閾値電圧検出用トランジスタTsのゲート−ドレイン間の寄生容量値および駆動トランジスタTdの寄生容量値については、その影響も小さいため、上式での表記は省略している。
【0081】
図2の画素回路のときと同様に、上記(2)式と、上記(16)式とを比較することにより、(2)式に対応するα、β、γを算出すると、次式のように表すことができる。
【0082】
α=Cs・(Coled+Cadd)/{(Coled+Cadd+Cs+CgsTson)・(Cs+CgsTsoff)} …(17)
β=(Cs+CgsTson)/(Cs+CgsTsoff) …(18)
γ=(-CgsTson・VgH+CgsTsoff・VgL)/(Cs+CgsTsoff) …(19)
【0083】
ここで、(17)〜(19)式から明らかなように、付加容量Caddは、(17)式にのみ含まれており、(2)式におけるαのみを変更することができる。したがって、上述した本願手法を、図6に示す画素回路に対しても適用することができる。
【0084】
一方、閾値電圧検出用トランジスタTthの寄生容量値CgsTsonおよびCgsTsoffは、(17)〜(19)式の全てに含まれている。このため、閾値電圧検出用トランジスタTsの寄生容量値では、画像表示装置に生ずる輝度むらの補償を高階調表示および低諧調表示の双方において同時に補償することができない。
【0085】
また、保持容量Csも、(17)〜(19)式の全てに含まれている。このため、保持容量Csでも、画像表示装置に生ずる輝度むらの補償を高階調表示および低諧調表示の双方において同時に補償することができない。
【0086】
<他の画素回路の例(回路例2)>
図7は、図2および図6とは異なる画素回路の構成例を示す図である。図7に示す画素回路は、図2に示す画素回路と同様に、駆動トランジスタTdを含めた4個のトランジスタを用いて構成しているが、駆動トランジスタTdのソース側に有機発光素子OLEDのアノードを接続する構成が採用されている。
【0087】
図7の回路についても、図6の画素回路のときと同様に、上記(2)式に相当する具体的な式を示すとすると、次式のように表される。
【0088】
Vgs=Cs/(Cs+CgsTroff)・Vth
+Cs・(Coled+Cadd)/(Coled+Cadd+Cs)・(Cs+CgsTroff)・Vdata
+Cs・(-Vdd+Voled)/(Cs+CgsTroff) …(20)
【0089】
ここで、上記(20)式における各記号の意味は、次のとおりである。
Coled:有機発光素子OLEDの素子容量の容量値
Cadd:付加容量の容量値
Cs:保持容量の容量値
CgsTron:閾値電圧検出用トランジスタTrオン時のゲート−ソース間の寄生容量値
CgsTroff:閾値電圧検出用トランジスタTrオフ時のゲート−ソース間の寄生容量値
VgH:閾値電圧検出用トランジスタTrオン時のゲート印加電位
VgL:閾値電圧検出用トランジスタTrオフ時のゲート印加電位
なお、閾値電圧検出用トランジスタTrのゲート−ドレイン間の寄生容量値ならびにスイッチングトランジスタTs,Tmおよび駆動トランジスタTdの各寄生容量値については、その影響も小さいため、上式での表記は省略している。
【0090】
図2、図6の画素回路のときと同様に、上記(2)式と、上記(20)式とを比較することにより、(2)式に対応するα、β、γを算出すると、次式のように表すことができる。
【0091】
α=Cs・(Coled+Cadd)}/{(Coled+Cadd+Cs)・(Cs+CgsTroff)} …(21)
β=Cs/(Cs+CgsTroff) …(22)
γ=Cs・(-Vdd+Voled)/(Cs+CgsTroff) …(23)
【0092】
ここで、(21)〜(23)式から明らかなように、付加容量Caddは、(21)式にのみ含まれており、(2)式におけるαのみを変更することができる。したがって、上述した本願手法を、図7に示す画素回路に対しても適用することができる。
【0093】
一方、閾値電圧検出用トランジスタTrの寄生容量値CgsTronおよびCgsTroffは、(21)〜(23)式の全てに含まれている。このため、閾値電圧検出用トランジスタTrの寄生容量値では、画像表示装置に生ずる輝度むらの補償を高階調表示および低諧調表示の双方において同時に補償することができない。
【0094】
また、保持容量Csも、(21)〜(23)式の全てに含まれている。このため、保持容量Csでも、画像表示装置に生ずる輝度むらの補償を高階調表示および低諧調表示の双方において同時に補償することができない。
【0095】
<付加容量Caddの実装手法>
つぎに、上述した画像表示装置の各画素回路群における付加容量Caddの実装手法について説明する。
【0096】
(1)まず、シミュレーション若しくは計算により、表示パネル5内での電圧降下量ΔVssを求める(ステップ1)。
なお、ここでは、便宜上、電圧降下量ΔVssを“1V”と仮定する。
(2)つぎに、付加容量Caddが最小になる給電側の画素回路(ラインドライバ20に最も近い画素回路)の書込み効率ηolbを計算する(ステップ2)。
なお、ここでは、書き込み効率ηolbを“0.6”に設定する。
(3)つぎに、付加容量Caddが最大になる終端側の画素回路(ラインドライバ20に最も遠い画素回路)の書込み効率ηedgeを計算する(ステップ3)。
例えば、画素信号線振り幅(ΔVdata)を“10V”とする。一方、電圧降下量ΔVss=1Vに設定されているので、書込み効率によって補うべきゲート電位も“1V”である。したがって、終端側の画素回路における書込み効率ηedgeは、
ηedge=ηolb+(ΔVss/ΔVdata)
=0.6+(1/10)
=0.7
となる。
ステップ2およびステップ3により、給電側の書込み効率ηolbと終端側の書込み効率ηedgeとが設定された。
(4)つぎに、給電側および終端側の画素回路における各付加容量を決定する(ステップ4)。
具体的には、上記(13)式で示されるαを用いて成立する次式に基づいて、付加容量Caddを決定すればよい。
ηolb=Cs・(Coled+Cadd)/{(Coled+Cadd+Cs+CgsTthon)・(Cs+CgsTthoff)}=0.6
ηedge=Cs・(Coled+Cadd)/{(Coled+Cadd+Cs+CgsTthon)・(Cs+CgsTthoff)}=0.7
なお、電圧降下の影響は、基本的にΔV=I×Rd×L/W(ただし、Rd:配線のシート抵抗、L:配線長,W:配線の太さ)の式で表されるため、Rd,Wは各画素回路群において一定であると仮定すれば、付加容量Caddの面積を調整することにより付加容量Caddの容量値を決定することができる。
(5)最後に、給電側の画素回路から終端側の画素回路の間の付加容量Caddの容量値を決定する(ステップ5)。
上述のように、電圧降下量ΔVは、ラインドライバ20からの距離Lの増加に伴って線段階的に増加するので、容量値の決定に際しては、給電側の画素回路から終端側の画素回路までの書き込み効率がηolb〜ηedgeまで、線形若しくは略線形に変化するように付加容量Caddの面積を変化させればよい。
例えば、1ラインごとに増やすべき付加容量Caddの容量値をΔCaddとし、表示パネルのライン数を“320ライン(QVGA)”と仮定すれば、
ΔCadd=(Cadd_edge−Cadd_olb)/表示パネルのライン数
で求めることができる。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態にかかる画像表示装置によれば、電源線に生じる電圧降下の大きさに応じて付加容量の容量値を同一の電源線に接続される画素回路ごとに異ならせるようにしているので、電源線の電圧降下および発光輝度の階調に依存して発生する輝度むらの影響を抑制した輝度補償を行うことが可能となる。
【0098】
なお、本実施の形態では、上述した種々の画素回路を含め、付加容量Caddを駆動トランジスタTdの両端に接続する接続形態、すなわち、付加容量Caddの一端を有機発光素子OLEDと駆動トランジスタTdとの接続端に接続するとともに、その他端を駆動トランジスタTdを駆動する電源線(図6の形態では第2電源線)に接続するようにしているが、この接続形態に限定されるものではない。
【0099】
例えば、図2に示す画素回路において、Tth制御線11は、電源線10と同様に、Vth検出期間および書き込み期間を通じて電位変動のない制御線である。したがって、付加容量Caddの他端を、電源線10に代えてTth制御線11に接続することも可能である。
【0100】
また、例えば、図6に示す画素回路では、付加容量Caddの他端を、Vth検出期間および書き込み期間を通じて電位変動のない第1電源線35に接続することも可能である。また、図7に示す画素回路では、付加容量Caddの他端を、Vth検出期間および書き込み期間を通じて電位変動のないリセット線45に接続することも可能である。すなわち、付加容量Caddの他端は、保持容量Csが画像データの電位を保持している期間中に、一定の電位を維持している各種の電位線に接続されていればよい。
【0101】
また、本実施の形態では、図2、図6および図7に示したように、駆動トランジスタの閾値電圧を検出する閾値電圧検出用トランジスタを有する画素回路についての説明を行ってきたが、本実施の形態の手法は、閾値電圧検出用トランジスタTthを有さない画素回路への適用も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本発明にかかる画像表示装置は、給電線の電圧降下および発光輝度の階調に依存して発生する輝度むらの影響を抑制した輝度補償を行うことができる発明として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明にかかる実施の形態の説明に好適な画像表示装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の好適な実施の形態にかかる画像表示装置の1画素を構成する画素回路の構成例を示す図である。
【図3】図2における画像表示装置において、複数の画素回路で構成される画素回路群を示す図である。
【図4−1】本実施の形態にかかる輝度補償の概念(高階調表示の場合)を説明するための図である。
【図4−2】本実施の形態にかかる輝度補償の概念(低階調表示の場合)を説明するための図である。
【図5−1】比較例として示す本実施の形態とは異なる手法を用いた輝度補償の概念(高階調表示の場合)を説明するための図である。
【図5−2】図5−1に示す手法を用いた輝度補償の概念(低階調表示の場合)を説明するための図である。
【図6】図2とは異なる画素回路の構成例を示す図である。
【図7】図2および図6とは異なる画素回路の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
5 表示パネル
10 電源線
11 Tth制御線
12 マージ線
13 走査線
14 画像信号線
20 ラインドライバ
22 データドライバ
35 第1電源線
36 第2電源線
45 リセット線
Cadd 付加容量
Coled 素子容量
Cs 保持容量
OLED 有機発光素子
Td 駆動トランジスタ
Tm,Ts スイッチングトランジスタ
Tr,Tth 閾値電圧検出用トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素回路と、前記各画素回路に対して電源電圧を共通に供給する電源線と、を有する画像表示装置において、
前記各画素回路は、
第1端子、第2端子、及び前記第1端子と第2端子との間の導通状態を制御する制御信号が供給される制御端子を有する駆動素子と、
前記第1端子に接続されるとともに前記駆動素子により発光が制御される発光素子と、
一端が前記駆動素子の制御端子に接続され、前記発光素子の発光輝度に応じた画像データを一時的に保持する第1容量素子と、
一端が前記駆動素子の第1端子に接続される第2容量素子と、
を備え、
前記電源線に生じる電圧降下の大きさに応じて前記第2容量素子の容量値を前記画素回路ごとに異ならせることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記電源線による電圧降下量が大きい前記画素回路ほど、前記第2容量素子の容量値が大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第2容量素子の容量値が、前記各画素回路間で略線形に変化していることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第2容量素子の他端は、前記電源線に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第2容量素子の他端は、前記第1容量素子が前記画像データを保持している期間中に、略一定の電位を維持している電位線に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記各画素回路は、前記駆動素子における閾値電圧の検出を制御する閾値電圧検出素子を更に有し、前記電位線は、前記閾値電圧検出素子の導通/非導通を制御する制御線であることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記各画素回路は、前記駆動素子における閾値電圧の検出を制御する閾値電圧検出素子を更に有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−31668(P2009−31668A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197770(P2007−197770)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】