説明

画像表示装置

【課題】閾値電圧Vthの補償に必要な初期電位(Vth検出開始電位)を与えることができる画像表示装置を提供する。
【解決手段】順方向に電圧が印加されると発光し、逆方向に電圧が印加されると電荷が蓄積される発光素子と、閾値電圧以上の電圧が加えられることで発光素子を発光させるドライバ素子と、ドライバ素子に流れる電流量を調節するための電荷が蓄積される容量素子と、を有する画素回路を備えた表示パネルと、画素回路の前記発光素子に対して電荷を供給する電荷供給線と、発光素子が発光してから次に発光するまでの一フレーム中において、容量素子に発光素子に蓄積される第1電荷を供給した後、電荷供給線から発光素子に対して第2電荷を供給し、更に該第2電荷を容量素子に供給して該容量素子に第1電荷及び第2電荷を蓄積し、ドライバ素子の制御端子に閾値電圧以上の大きさの電圧を与える駆動制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELディスプレイ(electro luminescence)装置等の画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光層に注入された正孔と電子とが再結合することにより発光する有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた画像表示装置が提案されている。
【0003】
この種の画像表示装置では、例えばアモルファスシリコン又は多結晶シリコン等で形成された薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下「TFT」という)と、有機EL素子の一つである有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:以下「OLED」という)などが各画素を構成している。そして、各画素に適切な電流値が設定されることにより、各画素の輝度が制御されるアクティブマトリックス方式のものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。なお、TFTに電流が流れ始める閾値電圧は、TFTごとに異なる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−99715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アクティブマトリックス方式の各TFTの閾値電圧Vthのばらつきを補正するための閾値電圧Vthの検出は、対象となるTFTのゲートとドレインとを導通させることで徐々にゲートに溜まった電荷を放電し、ゲート電位を閾値電圧Vthに収束させることで行うようにしている。
【0006】
しかしながら、閾値電圧Vthの検出を行うためには、まず対象となるTFTのゲートとドレインとの電位が閾値電圧Vthよりも高い電位となるように初期電位(Vth検出開始電位)を与える必要があり、初期電位が閾値電圧Vthより低い場合には、閾値電圧Vthを正しく検出することができず、動作エラーを引き起こす原因となる。
【0007】
また、TFTは、駆動する時間の長さに応じて、TFTの閾値電圧Vthが大きくなるため、初期電位が閾値電圧Vthよりも低くなるケースが起きやすくなる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、閾値電圧Vthの補償に必要な電位(Vth検出開始電位)を与えることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像表示装置は、順方向に電圧が印加されると発光し、逆方向に電圧が印加されると電荷が蓄積される発光素子と、閾値電圧以上の電圧が加えられることで前記発光素子を発光させるドライバ素子と、前記ドライバ素子に流れる電流量を調節するための電荷が蓄積される容量素子と、を有する画素回路を備えた表示パネルと、前記画素回路の前記発光素子に対して電荷を供給する電荷供給線と、前記発光素子が発光してから次に発光するまでの一フレーム中において、前記容量素子に前記発光素子に蓄積される第1電荷を供給した後、前記電荷供給線から前記発光素子に対して第2電荷を供給し、更に該第2電荷を前記容量素子に供給して該容量素子に前記第1電荷及び前記第2電荷を蓄積し、前記ドライバ素子の制御端子に前記閾値電圧以上の大きさの電圧を与える駆動制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、閾値電圧Vthの補償に必要な電位(Vth検出開始電位)を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な一実施形態に係る画像表示装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
まず、以下の各実施形態で用いる用語等について説明する。
【0013】
「電気的に接続される」という文言は、一方の部材と他方の部材とが配線等を介して常に導電可能に接続されている態様、及び一方の部材と他方の部材とが、導電性を有する配線等だけでなく、その他の部材によって間接的に接続されている態様の双方を含む意味で用いる。つまり、「電気的に接続される」という文言は、他の部材の状態(例えば、トランジスタのソースとドレインとの間で電流が流れ得る導電状態)に応じて、一方の部材と他方の部材とが配線及びその他の部材によって導電可能に接続される態様を含む意味で用いる。
【0014】
また、「閾値電圧」とは、トランジスタがオフ状態(所謂ドレイン電流が流れない状態)からオン状態(ドレイン電流が流れる状態)に移り変わるときの、境界となるゲート・ソース間電圧のことを意味する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る画像表示装置100の構成を模式的に示した図である。同図に示したように、画像表示装置100は、後述する画素回路10がマトリックス状(二次元平面的)に配列された表示パネル20と、制御回路31と、電源制御回路32と、制御線駆動回路33と、画像信号線駆動回路34とを備えている。なお、図1では、m列n行分の画素回路10がマトリクス状に配列された例を示している。
【0016】
表示パネル20には、画面水平方向(図中行方向)に電荷供給線であるVSS線21、Tth制御線23、マージ線24、走査線25が配設されている。また、画面垂直方向(図中列方向)には、画像信号線26が配設されている。ここで、VSS線21は、電源制御回路32と電気的に接続されており、Tth制御線23、マージ線24及び走査線25は、制御線駆動回路33と電気的に接続されている。また、画像信号線26は、画像信号線駆動回路34と電気的に接続されている。なお、表示パネル20のグランドとなるGND線22(図2参照)が、画素回路10の夫々に接続されているものとする。
【0017】
制御回路31は、例えば演算回路、論理回路などを内部に含む駆動用ICやカウンタなどの制御機器を用いて構成することができる、そして、制御回路31は、電源制御回路32、制御線駆動回路33及び画像信号線駆動回路34を制御する。
【0018】
電源制御回路32は、例えばスイッチング素子などを内部に含むICなどを用いて構成することができる。電源制御回路32は、制御回路31から入力されるクロック信号に基づき、自己の内部で生成した電力(電位)をVSS線21に印加するタイミングを制御する。
【0019】
制御線駆動回路33は、例えばスイッチング素子などを内部に含むICなどを用いて構成することができる。制御線駆動回路33は、制御回路31から入力されるクロック信号に基づき、自己の内部で生成した各種制御信号をTth制御線23、マージ線24、走査線25に印加するタイミングを制御する。
【0020】
画像信号線駆動回路34は、例えば演算回路などを内部に含むICなどを用いて構成することができる。画像信号線駆動回路34は、制御回路31から入力される画像信号に基づき、当該画像信号に対応する電圧(以下、画像信号電圧と言う)を生成するとともに、制御回路31から入力されるクロック信号に基づき、生成した画像信号電圧を画像信号線26に供給するタイミングを制御する。
【0021】
なお、図1の構成において、VSS線21、Tth制御線23、マージ線24、走査線25及び画像信号線26、ならびに制御回路31、電源制御回路32、制御線駆動回路33及び画像信号線駆動回路34に関するレイアウトは、その一例を示すものであり、これらのレイアウトに限られるものではない。例えば、図1では、制御回路31、電源制御回路32、制御線駆動回路33及び画像信号線駆動回路34を表示パネル20の外部に配置しているが、これらの回路の何れか又は全てを表示パネル20の内部に配置する形態としてもよい。
【0022】
<画素回路の構成>
図2は、図1に示した画素回路10(1画素)の構成の一例を示した図である。同図に示したように、画素回路10は、発光素子である有機EL素子OLEDと、有機EL素子OLEDを駆動するためのドライバ素子である駆動トランジスタTと、駆動トランジスタTの閾値電圧を検出する際に用いられる閾値電圧検出素子である閾値電圧検出用トランジスタTthと、閾値電圧を保持する容量素子である第1容量素子Cthと、画像信号電圧を保持する第2容量素子Cdataと、スイッチングトランジスタTと、スイッチングトランジスタTとを備える。なお、有機EL素子OLEDは、逆電圧印加時にコンデンサとして機能するため、図2ではこれを有機EL素子容量Coledとして等価的に表している。
【0023】
駆動トランジスタT、閾値電圧検出用トランジスタTth、スイッチングトランジスタTおよびスイッチングトランジスタTは、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下「TFT」という)である。なお、以下で参照される各図面においては、各薄膜トランジスタにかかるチャネルについて、特にそのタイプ(n型またはp型)を明示していないが、n型またはp型のいずれかであり、本実施形態では、n型のTFTを用いるものとする。
【0024】
駆動トランジスタTは、制御端子t11、第1端子t12及び第2端子t13を有している。制御端子t11は、第1容量素子Cthの電極と電気的に接続されている。また、第1端子t12は、有機EL素子OLEDのアノード電極と電気的に接続されており、第2端子t13はVSS線21と電気的に接続されている。ここで、制御端子t11はゲート電極(ゲート)に対応し、第1端子t12及び第2端子t13のうち何れか一方がドレイン電極(ドレイン)に、他方がソース電極(ソース)に対応する。なお、第1端子t12と第2端子t13との相対的な電位関係は、後述する各制御期間に応じて変動する。また、「ドレイン」及び「ソース」は、トランジスタの導電型及び相対的な電位関係によって定義される。
【0025】
本実施形態で使用するn型のトランジスタにおいては、チャネル領域を挟んで配置された2つの端子(すわなち、第1端子t12と第2端子t13)のうち、高電位側の端子が「ドレイン」となり、低電位側の端子が「ソース」となる。また、p型のトランジスタにおいては、チャネル領域を挟んで配置された2つの端子のうち、低電位側の端子が「ドレイン」となり、高電位側の端子が「ソース」となる。
【0026】
駆動トランジスタTでは、制御端子t11に印加される電位、より詳細にはソースに対してゲートに印加される電圧値(ゲート・ソース間電圧)が調整されることで、ドレインとソースとの間に流れる電流量が調整される。そして、この制御端子t11に印加される電位により、ドレインとソースとの間において電流が流れ得る状態(オン状態)と、電流が流れ得ない状態(オフ状態)とが選択的に設定される。
【0027】
閾値電圧検出用トランジスタTthは、自身がオン状態となったときに、駆動トランジスタTのゲート電極(ゲート)とドレイン電極(ドレイン)とを電気的に接続する機能を有する。閾値電圧検出用トランジスタTthがオン状態となると、駆動トランジスタTのゲート電極からドレイン電極に向かって電流が流れ、該電流が実質的に流れなくなったときに駆動トランジスタTのゲート電極・ソース電極間の電位差が実質的に閾値電圧Vthとなる。
【0028】
有機EL素子OLEDは、一端としてのアノード電極と他端としてのカソード電極との間に有機EL素子OLEDの導通電圧以上の電位差が生じることにより、アノード電極とカソード電極との間の発光層に電流が流れ、該発光層が発光する。具体的に、アノード電極としては、アルミニウム、銀、銅又は金等の金属或いはこれらの合金等を用いることができる。また、カソード電極としては、インジウム錫酸化膜(ITO)等の光透過性を有する導電材料、マグネシウム、銀、アルミニウム又はカルシウム等の材料等を用いることができる。なお、発光層は、該発光層に注入された正孔と電子とが再結合することによって光を生じる。
【0029】
本実施形態においては、画素回路上に、アノード電極、発光層さらにカソード電極を順に形成した構造である。
【0030】
発光層としては、例えば、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体)等の発光性の材料で構成される。発光効率を高めるために、トリス[ピリジニル−kN−フェニル−kC]イリジウム等の有機金属化合物又クマリン等の色素をドーパント材料として、正孔輸送性又は電子輸送性を有するホスト材料にドープして発光層を構成してもよい。発光層を構成するドーパント材料の濃度は、例えば、0.5質量%以上20質量%以下とする。正孔輸送性を有するホスト材料の例としては、α−NPD、TPD等がある。電子輸送性を有するホスト材料の例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム、1,4−フェニレンビス(トリフェニルシラン)、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、1,3,5−トリ(9H−カルバゾール−9−イル)ベンゼン、CBP、Alq3又はSDPVBi等がある。なお、発光層の各層を構成する材料は、発する光の色に応じて、適当な材料が選択される。赤色の光を発するドーパント材料の例としては、トリス(1−フェニルイソキノリナト−C2,N)イリジウム又はDCJTB等がある。緑色の光を発するドーパント材料の例としては、トリス[ピリジニル−kN−フェニル−kC]イリジウム又はビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)等がある。青色の光を発するドーパント材料の例としては、ジスチリルアリーレン誘導体、ペリレン誘導体又はアゾメチン亜鉛錯体等がある。発光層は、1層構造に限られることはなく、複数層構造であっても構わない。
【0031】
有機EL素子OLEDのアノード電極は、駆動トランジスタTの第1端子t12と電気的に接続され、カソード電極はGND線22と電気的に接続されている。なお、本実施形態で用いる画素回路10では、有機EL素子OLEDのアノード電極が、画像表示装置を構成する全ての画素で共通となるコモンアノード型となっている。
【0032】
閾値電圧検出用トランジスタTthは、第1端子t21、第2端子t22及び第3端子t23を有している。第1端子t21は、Tth制御線23と電気的に接続されている。第2端子t22は、駆動トランジスタTの制御端子t11と第1容量素子Cthの電極とを電気的に接続する配線に対して導電可能に接続されている。また、第3端子t23は、駆動トランジスタTの第1端子t12と有機EL素子OLEDのカソード電極とを電気的に接続する配線に対して導電可能に接続されている。ここで、第1端子t21がゲート電極に対応し、第2端子t22及び第3端子t23の何れか一方がソース電極に、他方がドレイン電極に夫々対応する。なお、第2端子t22と第3端子t23との相対的な電位関係は、駆動トランジスタTと同様、後述する各制御期間に応じて変動する。
【0033】
閾値電圧検出用トランジスタTthでは、第1端子t21に印加される電位、より詳細にはソースに対してゲートに印加される電圧値(ゲート・ソース間電圧)が調整されることで、ドレインとソースとの間に流れる電流量が調整される。そして、この第1端子t21に印加される電位により、ドレインとソースとの間において電流が流れ得る状態(オン状態)と、電流が流れ得ない状態(オフ状態)とが選択的に設定される。
【0034】
また、閾値電圧検出用トランジスタTthは、自身がオン状態となったときに、駆動トランジスタTのゲートとドレインとを電気的に接続することができる。そして、駆動トランジスタTのゲート・ソース間電圧が駆動トランジスタTの閾値電圧Vthとなるまで、駆動トランジスタTのゲートからドレインに向かって電流が流れる。その結果、駆動トランジスタTの閾値電圧Vthが検出される。
【0035】
つまり、閾値電圧検出用トランジスタTthは、有機EL素子OLEDの発光前において画素毎に駆動トランジスタTのゲート・ソース間電圧を閾値電圧Vthに基づいて設定することで、駆動トランジスタTにおける閾値電圧Vthのばらつきを補償するVth補償機能を実現するために設けられている。なお、駆動トランジスタTのゲート・ソース間電圧が閾値電圧Vthとなったとき、駆動トランジスタTには電流が流れなくなるので、このときのゲート・ソース間電圧、即ちVthが第1容量素子Cthに印加される。
【0036】
スイッチングトランジスタTは、第1端子t31、第2端子t32及び第3端子t33を有している。第1端子t31は、走査線25と電気的に接続されており、第2端子t32は、画像信号線26と電気的に接続されている。また、第3端子t33は、第1容量素子Cthの電極と電気的に接続されている。なお、第1端子t31はゲート電極に対応し、第2端子t32はドレイン電極に対応し、第3端子t33はソース電極に対応する。
【0037】
スイッチングトランジスタTでは、第1端子t31に印加される電位、より詳細には第1端子t31と第3端子t33との間に印加される電圧値(ゲート・ソース間電圧)が調整されることで、ドレインとソースとの間に流れる電流量が調整される。そして、この第1端子t31に印加される電位により、ドレインとソースとの間において電流が流れ得る状態(オン状態)と、電流が流れ得ない状態(オフ状態)とが選択的に設定される。
【0038】
また、スイッチングトランジスタTは、自身がオン状態となるとともに画像信号線26に画像信号電圧が供給されたときに、第2容量素子Cdataに画像信号電圧が印加される。
【0039】
スイッチングトランジスタTは、第1端子t41、第2端子t42及び第3端子t43を有している。第1端子t41は、マージ線24と電気的に接続されており、第2端子t42は、VSS線21と電気的に接続されている。また、第3端子t43は、スイッチングトランジスタTの第3端子t33と、第1容量素子Cthの電極とを電気的に接続する配線に対して導電可能に接続されている。なお、第1端子t41はゲート電極に対応し、第2端子t42はドレイン電極に対応し、第3端子t43はソース電極に対応する。
【0040】
スイッチングトランジスタTでは、第1端子t41に印加される電位、より詳細には第1端子t41と第3端子t43との間に印加される電圧値(ゲート・ソース間電圧)が調整されることで、ドレインとソースとの間に流れる電流量が調整される。そして、この第1端子t41に印加される電位により、ドレインとソースとの間において電流が流れ得る状態(オン状態)と、電流が流れ得ない状態(オフ状態)とが選択的に設定される。
【0041】
また、スイッチングトランジスタTは、後述のVth検出時にオン状態にして、第1容量素子Cthの電極1aに所定の電位を印加する。
【0042】
第1容量素子Cthは、後述するVth検出期間時に駆動トランジスタTの閾値電圧Vthに対応する電荷量を保持する機能を有する。なお、第1容量素子Cthの一方の電極は、スイッチングトランジスタTの第3端子t33と電気的に接続されている。また、他方の電極は、駆動トランジスタTの制御端子t11(ゲート)と電気的に接続されている。
【0043】
第2容量素子Cdataは、後述する書き込み期間時に画像信号電圧に応じた電荷量を保持する機能を有する。なお、第2容量素子Cdataの一方の電極は、スイッチングトランジスタTの第3端子t33と、第1容量素子Cthの電極とを電気的に接続する配線に対して導電可能に接続されている。また、第2容量素子Cdataの他方の電極は、VSS線21と電気的に接続されている。
【0044】
SS線21は、駆動トランジスタTおよびスイッチングトランジスタTに電源を供給する。Tth制御線23は、閾値電圧検出用トランジスタTthを制御するための信号を供給する。マージ線24は、スイッチングトランジスタTを制御するための信号を供給する。走査線25は、スイッチングトランジスタTを制御するための信号を供給する。画像信号線26は、画像信号を供給する。
【0045】
上記構成において、画素回路は、準備期間、閾値電圧検出期間、書き込み期間および発光期間という4つの期間を経て動作する。図3は、画素回路10の駆動方法を説明するためのタイミングチャートであって、有機EL素子OLEDを順次発光方式で発光させる際の信号波形(駆動波形)を示している。ここで、順次発光方式とは、各画素回路に対するフレーム毎の画像信号電圧の書き込み制御及び各画素回路の発光制御を、同一の制御線又は電源線に共通に接続された画素回路のグループ毎(例えば一行毎、一列毎等)に順次行う方式である。なお、本実施形態では、図1に示した表示パネル20の一行毎に書き込み制御、発光制御が行われるものとする。なお、全画素回路に共通のGND線22は常にゼロ電位(0V)であるため説明を適宜省略する。また、以下に説明する画素回路10の動作は、図1に示した駆動制御部(制御回路31、電源制御回路32、制御線駆動回路33及び画像信号線駆動回路34)の制御により実現されるものである。
【0046】
準備期間では、マージ線24の電位をVHとして、前のフレームにおいて第2容量素子Cdataに蓄積した電荷をリセットする。VSS線21には所定の正電位Vp(VSS=Vp=12V)が印加される。これにより、閾値電圧検出用トランジスタTthがオフ、スイッチングトランジスタTがオフ、駆動トランジスタTがオン、スイッチングトランジスタTがオンとなるように制御される。その結果、VSS線21→駆動トランジスタT→有機EL素子容量Coledという経路で電流が流れ、有機EL素子容量Coledに電荷が蓄積される。なお、有機EL素子容量Coledに蓄積される電荷の量は、駆動トランジスタTのソース・ドレイン間に流れる電流Iに応じて決まる。Iが大きければより多くの電荷を蓄積することができるので、補償範囲を広げるためにはIを大きくすればよい。
【0047】
つぎの閾値電圧検出期間では、まず、Tth制御線23の電位をVHとして、有機EL素子容量Coledに蓄積された電荷と第1容量素子Cthに蓄積された電荷とを足し合わせる。次いで、VSS=0、すなわちVSS線21にゼロ電位を印加し、閾値電圧検出用トランジスタTthがオンとなるように制御することにより、駆動トランジスタTのゲート電極とドレイン電極とをダイオード接続する。これにより、第1容量素子Cthおよび有機EL素子容量Coledに蓄積された電荷が放電され、駆動トランジスタT→VSS線21という経路で電流が流れる。そして、駆動トランジスタTのソース電極に対するゲート電極の電圧が、駆動トランジスタTの駆動閾値に対応する閾値電圧Vthに達すると、駆動トランジスタTがオフとされる。この場合、第1容量素子Cthには、駆動トランジスタTの閾値電圧Vth分の電荷が蓄積されている。閾値電圧Vthの検出が終了すると、Tth制御線23の電位をVLとして、第1容量素子Cthに蓄積した駆動トランジスタTの閾値電圧Vthを保存する。
【0048】
つぎのOLED初期化期間では、VSS線21を正電位Vpにしてから0Vに戻し、有機EL素子OLEDを初期化する。
【0049】
つぎの書き込み期間では、まず、マージ線24の電位をVL、画像信号線26の電位をVdataとして、データ書き込み準備を行う。その後、走査線25の電位をVHとしてVdataを第2容量素子Cdataに蓄積し、走査線25の電位をVLとしてデータ書き込みを終了する。この場合、VSS線21の電位はゼロ電位を維持する。これにより、スイッチングトランジスタTがオン、スイッチングトランジスタTがオフとなり、有機EL素子容量Coledに蓄積された電荷が放電される。その結果、有機EL素子容量Coled→閾値電圧検出用トランジスタTth→第1容量素子Cthという経路で電流が流れ、第1容量素子Cthに電荷が蓄積される。すなわち、有機EL素子容量Coledに蓄積された電荷は、第1容量素子Cthに移動する。
【0050】
つぎの発光期間では、VSS線21には所定の負電位(−12V)が印加される。これにより、駆動トランジスタTがオン、閾値電圧検出用トランジスタTthがオフ、スイッチングトランジスタTがオフとなるように制御される。その結果、有機EL素子OLED→駆動トランジスタT→VSS線21という経路で電流が流れ、有機EL素子OLEDが発光する。VSS=−12V、GND=0Vで有機EL素子OLEDに順方向に電位が生じるので、第1容量素子Cthに蓄積された電荷に応じて駆動トランジスタTのゲートに電位が生じ、駆動トランジスタTのソース・ドレイン間に流れる電流Iに応じた輝度で有機EL素子OLEDが発光する。このとき第2容量素子CdataにはVdata、第1容量素子CthにはVth分の電荷が蓄積されている。なお、VSS=0Vとすることにより、有機EL素子OLEDの順方向の電位を無くすことで消光する。
【0051】
閾値電圧Vth検出に際して、VSS線21→駆動トランジスタT→図2に示す点Bという経路で電流が流れ、有機EL素子容量Coledに電荷を蓄積するという動作において、駆動トランジスタTの閾値電圧Vthが表示パネル20の使用とともに大きくなる。それにしたがって、有機EL素子容量Coledに蓄積される電荷蓄積量が少なくなってしまう。
【0052】
ここで、図4は図2に示す点Bの電位の時間変化の様子を示すグラフである。図4におけるX軸は経過時間[μsec]を示し、Y軸は電位[V]を示している。図4に示すグラフは、系列が5つあり、それぞれ駆動トランジスタTの閾値電圧Vthが2.49V、3.49V、4.49V、5.49V、6.49Vの場合である。図4のグラフは、それぞれの閾値電圧Vthについて、点Bノードの電位変化の様子を表したものである。
【0053】
駆動トランジスタTの閾値電圧Vthがシフトしていない初期段階を、駆動トランジスタTの閾値電圧Vthが2.49Vの場合に仮定する。初期電位(2.49V)では、VSS=Vp=12V、マージ線24の電位をVHとすると、図2に示す点Cの電位Vcは、12Vとなる。すると、図2に示す点Aの電位VaもVa≒12Vとなる。このとき駆動トランジスタTの閾値電圧Vthが2.49Vならば、
=α・(Va−Vb−2.49)
となり、凡そVb=Va−2.49Vとなるまで、Iは流れ続ける。つまり、図2に示す点Bの電位Vbは、Vb≒9.51Vとなる。すなわち、初期電位(Vth検出開始電位)Viniは、9.51Vとなる。
【0054】
駆動トランジスタTの閾値電圧Vthが4.49Vならば、
=α・(Va−Vb−4.49)
となり、凡そVb=Va−4.49Vとなるまで、Iは流れ続ける。つまり、図2に示す点Bの電位Vbは、Vb≒7.51Vとなる。すなわち、初期電位(Vth検出開始電位)Viniは、7.51Vとなる。ここでは、Vini=7.51V>Vth=4.49Vなので、初期電位(Vth検出開始電位)Viniが閾値電圧Vthよりも高いことから、閾値電圧Vthを正しく検出することができる。
【0055】
すなわち、点灯時のストレスにより閾値電圧Vthがシフトすると、駆動トランジスタTの閾値電圧Vthに応じて有機EL素子容量Coledに対するチャージ量が変化することになる。
【0056】
そして、点灯時のストレスにより閾値電圧Vthがシフトし、駆動トランジスタTの閾値電圧Vthが6.1Vになった場合には、
=α・(Va−Vb−6.1)
となり、凡そVb=Va−6.1Vとなるまで、Iは流れ続ける。つまり、図2に示す点Bの電位Vbは、Vb≒5.9Vとなる。すなわち、初期電位(Vth検出開始電位)Viniは、5.9Vとなる。この場合、Vini=5.9V<Vth=6.1Vなので、初期電位(Vth検出開始電位)Viniが閾値電圧Vthよりも低いことから、閾値電圧Vthを正しく検出することができなくなることがある。
【0057】
<本実施の形態の特徴的な画素回路の動作>
図5は、画素回路10の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。図5に示す画素回路10の特徴的な動作は、準備期間と閾値電圧検出期間とを2回繰り返す点で、図3に示した動作とは異なっている。より詳細には、閾値電圧検出用トランジスタTthを制御して有機EL素子容量Coledに対して第1電荷をチャージする。そして、閾値電圧Vthを検出して第1容量素子Cthに第1電荷を蓄積する。さらに、閾値電圧検出用トランジスタTthを制御して有機EL素子容量Coledに対して第2電荷を再度チャージする。そして、閾値電圧Vthを検出して第1容量素子Cthに第1電荷を加えて更に第2電荷を蓄積する。
【0058】
図5に示す1回目の閾値電圧検出期間、すなわち1回目の有機EL素子容量Coledに対する第1電荷のチャージは、マージ線24の電位をVHとして第2容量素子Cdataに蓄積した電荷をリセットするとともに、VSS線21には所定の正電位Vp(VSS=Vp=12V)を印加することにより実行する。なお、閾値電圧Vthの検出は、前述したとおりである。
【0059】
続く2回目の閾値電圧検出期間も、マージ線24の電位をVHとして第2容量素子Cdataに蓄積した電荷をリセットするとともに、VSS線21には所定の正電位Vp(VSS=Vp=12V)を印加することにより実行する。ここで、既に第1容量素子Cthには駆動トランジスタTの閾値電圧Vth分の第1電荷が蓄積されているので、図2に示す点Aの電位Vaは、第1電荷と第2電荷を合わせた電位となり、
Va≒Vp+Vth=12+Vth
となる。したがって、
=α・(Va−Vb−Vth=α・(Vp−Vb)
となり、VbはVthに関わらずVp=Vbとなるまで充電される。
【0060】
ここで、図6は図2に示す点Bの電位の時間変化の様子を示すグラフである。図6に示すように、閾値電圧Vthのシフト量によらずVp≒11Vを確保することができる。
【0061】
このような本実施形態によれば、第1電荷を第1容量素子Cthに蓄積し、駆動トランジスタTの制御端子t11の電位を大きくし、VSS線21から駆動トランジスタTを介して有機EL素子容量Coledに向かって電流を流れやすくすることができる。その結果、ひいては短い時間で有機EL素子容量Coledに第2電荷を蓄積することができる。
【0062】
つまり、第1電荷がVSS線21から駆動トランジスタTを介して有機EL素子容量Coledに到達する時間に比べて、第2電荷がVSS線21から駆動トランジスタTを介して有機EL素子容量Coledに到達する時間は短い。これは、第2電荷が有機EL素子容量Coledに到達する際は、第1電荷は第1容量素子Cthに蓄積されているため、駆動トランジスタTの制御端子t11の電位が大きくなっており、駆動トランジスタTに電流が流れやすい状態に設定されているためである。そのため、短い時間で有機EL素子容量Coledに第2電荷を蓄積することができる。
【0063】
また、第1電荷は、第2電荷に比べて小さく設定されている。これは、第1電荷の量を第2電荷の量よりも大きくして、第1容量素子Cthに駆動トランジスタTの閾値電圧以上の電荷を蓄積する場合に対して、第2電荷の量を第1電荷の量よりも大きくして、第1容量素子Cthに駆動トランジスタTの閾値電圧以上の電荷を蓄積する場合の方が、短い時間で駆動トランジスタTの閾値電圧以上の電荷を蓄積することができる。つまり、第1容量素子Cthに少しでも電荷が蓄積されていれば、駆動トランジスタTの制御端子t11の電位を大きくすることができ、駆動トランジスタTに電流が流れやすくすることができる。そのため、まずは駆動トランジスタTの電流が流れにくい状態では、少量の電荷である第1電荷を第1容量素子Cthに蓄積し、その後、閾値電圧以上の電荷が蓄積されるように第1電荷よりも大量の電荷である第2電荷を供給する。
【0064】
このように本実施の形態によれば、駆動制御部が、閾値電圧検出用トランジスタTthを制御してVSS線21から有機EL素子容量Coledに対して電荷を供給することによって駆動トランジスタTの閾値電圧Vthを検出して第1容量素子Cthに保持する動作を複数回(例えば2回)繰り返すことにより、第1容量素子Cthには複数回分の駆動トランジスタTの閾値電圧Vthの電荷が蓄積されるので、閾値電圧Vthの補償に必要な初期電位(Vth検出開始電位)を短い時間で十分に与えることができる。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を図7ないし図8に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0066】
図7は、第2の実施形態に係る画素回路(1画素)30の構成の一例を示した図である。同図に示したように、画素回路30は、発光素子である有機EL素子OLED、発光素子容量である有機EL素子容量Coled、ドライバ素子である駆動トランジスタT、閾値電圧検出素子である閾値電圧検出用トランジスタTth、容量素子C、スイッチングトランジスタTおよびスイッチングトランジスタTを備えるように構成されている。
【0067】
電荷供給線である電源線40は、駆動トランジスタTおよびスイッチングトランジスタTに電源を供給する。Tth制御線41は、閾値電圧検出用トランジスタTthを制御するための信号を供給する。マージ線42は、スイッチングトランジスタTを制御するための信号を供給する。走査線43は、スイッチングトランジスタTを制御するための信号を供給する。画像信号線44は、画像信号を供給する。
【0068】
図8は、画素回路30の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。図8に示すように、画素回路30は、第1準備期間、第1閾値電圧検出期間、第2準備期間、第2閾値電圧検出期間、書き込み期間および発光期間という6つの期間を経て動作する。すなわち、第1準備期間では、電源線40には所定の正電位(Vp,Vp>0)が印加され、閾値電圧検出用トランジスタTthがオフ、スイッチングトランジスタTがオフ、駆動トランジスタTがオン、スイッチングトランジスタTがオンとなるように制御される。その結果、電源線40→駆動トランジスタT→有機EL素子容量Coledという経路で電流が流れ、有機EL素子容量Coledに第1電荷が蓄積される。
【0069】
つぎの第1閾値電圧検出期間では、電源線40にはゼロ電位が印加され、閾値電圧検出用トランジスタTthがオンとなるように制御(Tth制御線41=VH)され、駆動トランジスタTのゲート電極とドレイン電極とが接続される。これにより、容量素子Cおよび有機EL素子容量Coledに蓄積された電荷が放電され、駆動トランジスタT→電源線40という経路で電流が流れる。そして、駆動トランジスタTのソース電極に対するゲート電極の電圧が、駆動トランジスタTの駆動閾値に対応する閾値電圧Vthに達すると、駆動トランジスタTがオフとされる。この場合、容量素子Cには、駆動トランジスタTの閾値電圧Vth分の第1電荷が蓄積されている。
【0070】
続く第2準備期間でも、電源線40には所定の正電位(Vp,Vp>0)が印加され、閾値電圧検出用トランジスタTthがオフ、スイッチングトランジスタTがオフ、駆動トランジスタTがオン、スイッチングトランジスタTがオンとなるように制御される。その結果、電源線40→駆動トランジスタT→有機EL素子容量Coledという経路で電流が流れ、有機EL素子容量Coledに第2電荷が蓄積される。このとき、容量素子Cには駆動トランジスタTの閾値電圧Vth分の第1電荷が蓄積されているので、駆動トランジスタTに電流が流れやすくなってより深くONし、有機EL素子容量Coledが十分に充電される。
【0071】
つぎの第2閾値電圧検出期間でも、電源線40にはゼロ電位が印加され、閾値電圧検出用トランジスタTthがオンとなるように制御され、駆動トランジスタTのゲート電極とドレイン電極とが接続される。この場合、駆動トランジスタTの閾値電圧Vthより十分高い電位から閾値電圧Vthの検出が開始されるので、補償範囲が広くなる。
【0072】
つぎの書き込み期間では、電源線40の電位はゼロ電位を維持し、スイッチングトランジスタTがオン、スイッチングトランジスタTがオフとなり、有機EL素子容量Coledに蓄積された第2電荷が放電される。その結果、有機EL素子容量Coled→閾値電圧検出用トランジスタTth→容量素子Cという経路で電流が流れ、容量素子Cに第1電荷に加えて第2電荷が蓄積される。すなわち、有機EL素子容量Coledに蓄積された第1電荷は、容量素子Cに移動する。なお、図8において、画像信号線44の電位は、書き込み時間以外では、0Vとしているが、0V以外の任意の電位であっても構わない。
【0073】
つぎの発光期間では、電源線40には所定の負電位(−VDD,VDD>0)が印加され、駆動トランジスタTがオン、閾値電圧検出用トランジスタTthがオフ、スイッチングトランジスタTがオフとなるように制御される。その結果、有機EL素子OLED→駆動トランジスタT→電源線40という経路で電流が流れ、有機EL素子OLEDが発光する。
【0074】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を図9ないし図10に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0075】
図9は、第3の実施形態に係る画素回路(1画素)50の構成の一例を示した図である。同図に示したように、画素回路50は、発光素子である有機EL素子OLED、発光素子容量である有機EL素子容量Coled、ドライバ素子である駆動トランジスタT、閾値電圧検出素子である閾値電圧検出用トランジスタTth、容量素子Cth、リセット用トランジスタTrst、スイッチングトランジスタT、メモリトランジスタT、第1データ容量素子Cdata1、第2データ容量素子Cdata2を備えるように構成されている。
【0076】
電荷供給線である電源線60は、駆動トランジスタTおよびリセット用トランジスタTrstに電源を供給する。Tth制御線61は、閾値電圧検出用トランジスタTthを制御するための信号を供給する。マージ線62は、メモリトランジスタTを制御するための信号を供給する。走査線63は、スイッチングトランジスタTを制御するための信号を供給する。画像信号線64は、画像信号を供給する。Trst制御線65は、リセット用トランジスタTrstを制御するための信号を供給する。
【0077】
図10は、画素回路50の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。図10に示すように、画素回路50は、第1準備期間、第1閾値電圧検出期間、第2準備期間、第2閾値電圧検出期間、書き込み期間および発光期間という6つの期間を経て動作する。すなわち、第1準備期間では、電源線60には所定の正電位(VDD)が印加されるとともに、マージ線62がVLとされ、閾値電圧検出用トランジスタTthがオフ、リセット用トランジスタTrstがオフ、駆動トランジスタTがオンとなるように制御される。その結果、電源線60→駆動トランジスタT→点Bという経路で電流が流れ、第1データ容量素子Cdata1、第2データ容量素子Cdata2に電荷が蓄積される。
【0078】
つぎの第1閾値電圧検出期間では、電源線60にはゼロ電位が印加され、閾値電圧検出用トランジスタTthおよびリセット用トランジスタTrstがオンとなるように制御(Tth制御線61=VH、Trst制御線65=VH)され、駆動トランジスタTのゲート電極とドレイン電極とが接続される。これにより、容量素子Cth、第1データ容量素子Cdata1、第2データ容量素子Cdata2に蓄積された電荷が放電され、駆動トランジスタT→電源線60という経路で電流が流れる。そして、駆動トランジスタTのソース電極に対するゲート電極の電圧が、駆動トランジスタTの駆動閾値に対応する閾値電圧Vthに達すると、駆動トランジスタTがオフとされる。この場合、容量素子Cthには、駆動トランジスタTの閾値電圧Vth分の第1電荷が蓄積されている。
【0079】
続く第2準備期間でも、電源線60には所定の正電位(VDD)が印加され、閾値電圧検出用トランジスタTthがオフ、リセット用トランジスタTrstがオフ、駆動トランジスタTがオンとなるように制御される。その結果、電源線60→駆動トランジスタT→点Bという経路で電流が流れ、第1データ容量素子Cdata1、第2データ容量素子Cdata2に電荷が蓄積される。このとき、容量素子Cthには駆動トランジスタTの閾値電圧Vth分の第1電荷が蓄積されているので、駆動トランジスタTに電流が流れやすくなってより深くONし、第1データ容量素子Cdata1、第2データ容量素子Cdata2が十分に充電される。
【0080】
つぎの第2閾値電圧検出期間でも、電源線60にはゼロ電位が印加され、閾値電圧検出用トランジスタTthおよびリセット用トランジスタTrstがオンとなるように制御され、駆動トランジスタTのゲート電極とドレイン電極とが接続される。この場合、Tth制御線61=VHより高い電位から駆動トランジスタTの閾値電圧Vthの検出が開始されるので、補償範囲が広くなる。
【0081】
つぎの書き込み期間では、電源線60の電位はゼロ電位を維持し、スイッチングトランジスタTがオンとなり、第1データ容量素子Cdata1、第2データ容量素子Cdata2に蓄積された電荷が放電される。その結果、第1データ容量素子Cdata1、第2データ容量素子Cdata2→閾値電圧検出用トランジスタTth→容量素子Cthという経路で電流が流れ、容量素子Cthに第1電荷に加えて第2電荷が蓄積される。すなわち、第1データ容量素子Cdata1、第2データ容量素子Cdata2に蓄積された電荷は、容量素子Cthに移動する。なお、図10において、画像信号線44の電位は、書き込み期間以外では、0Vとしているが、0V以外の任意の電位であっても構わない。
【0082】
つぎの発光期間では、電源線60には所定の正電位(VDD)が印加され、駆動トランジスタTがオン、閾値電圧検出用トランジスタTthおよびリセット用トランジスタTrstがオフとなるように制御される。その結果、電源線60→駆動トランジスタT→メモリトランジスタT→有機EL素子OLEDという経路で電流が流れ、有機EL素子OLEDが発光する。
【0083】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲での種々の変更、置換、追加等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成を模式的に示した図である。
【図2】画素回路(1画素)の構成の一例を示した図である。
【図3】画素回路の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図2に示す点Bの電位の時間変化の様子を示すグラフである。
【図5】画素回路の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】図2に示す点Bの電位の時間変化の様子を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る画素回路(1画素)の構成の一例を示した図である。
【図8】画素回路の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る画素回路(1画素)の構成の一例を示した図である。
【図10】画素回路の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0085】
10 画素回路
20 表示パネル
21,40,60 電荷供給線
31,32,33,34 駆動制御部
100 画像表示装置
th 容量素子
oled 発光素子容量
OLED 発光素子
ドライバ素子
th 閾値電圧検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順方向に電圧が印加されると発光し、逆方向に電圧が印加されると電荷が蓄積される発光素子と、閾値電圧以上の電圧が加えられることで前記発光素子を発光させるドライバ素子と、前記ドライバ素子に流れる電流量を調節するための電荷が蓄積される容量素子と、を有する画素回路を備えた表示パネルと、
前記画素回路の前記発光素子に対して電荷を供給する電荷供給線と、
前記発光素子が発光してから次に発光するまでの一フレーム中において、前記容量素子に前記発光素子に蓄積される第1電荷を供給した後、前記電荷供給線から前記発光素子に対して第2電荷を供給し、更に該第2電荷を前記容量素子に供給して該容量素子に前記第1電荷及び前記第2電荷を蓄積し、前記ドライバ素子の制御端子に前記閾値電圧以上の大きさの電圧を与える駆動制御部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記第2電荷は、前記ドライバ素子を介して前記発光素子に供給される、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記第2電荷の量は、前記第1電荷の量に比べて大きい、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記第1電荷が蓄積された前記容量素子が、前記ドライバ素子のゲート電位を大きくし、該ドライバ素子に電流が流れやすくした状態で、前記第2電荷が前記ドライバ素子を介して前記発光素子に供給される、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像表示装置において、
前記発光素子と前記容量素子との間に、閾値電圧検出素子が接続されており、該閾値電圧検出素子を介して前記発光素子から前記容量素子に前記第1電荷又は前記第2電荷が供給される、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像表示装置において、
前記一フレームは、第1準備期間、第1閾値電圧検出期間、第2準備期間、第2閾値電圧検出期間、書き込み期間および発光期間を備えている、
ことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−128313(P2010−128313A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304558(P2008−304558)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】