説明

画像補正決定方法とその方法を用いた画像処理装置

【課題】モニタに表示された補正再現画像を確認しながら撮影コマ画像に対する画像補正の補正度を決定する作業を効率的なものとする技術を提供する。
【解決手段】撮影コマ画像を表す画像データを元画像データとして取得した元画像データに対して所定補正度で画像補正を施して補正画像データを生成し、補正画像データに基づく補正再現画像をモニタに表示して確認しながら元画像データに対する画像補正の補正度を決定する。補正画像データの生成時に複数の異なる補正度で元画像データを画像補正することによって補正画像データが順次生成され、生成された補正画像データの数がモニタに一覧表示される補正再現画像の表示コマ数に達すると、その補正画像データに対応する補正再生画像がモニタに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影コマ画像を表す画像データを元画像データとして取得し、前記取得された元画像データに対して所定補正度で画像補正を施して補正画像データを生成し、前記補正画像データに基づく補正再現画像をモニタに表示し、前記補正再現画像を確認しながら前記元画像データに対する画像補正の補正度を決定する画像補正決定方法、及びその方法を用いた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
写真フィルムに形成された撮影コマ画像をフィルムスキャナを用いてデジタル化して得られた画像データや、デジタルカメラなどのデジタル撮影機器によって直接撮影コマ画像をデジタル化して得られた画像データに基づいて露光ヘッドから発せられる光ビームを制御し、この制御された光ビームによって感光材料(印画紙)を走査露光して画像を形成し、写真プリントを出力するデジタルミニラボ(写真プリント装置)が近年広まっている。このような写真プリント装置では、入力された画像データに対して、適正な画像補正、例えば、露出オーバや露出不足を解消する濃度補正、逆光やストロボ撮影等に起因する画像の飛びやつぶれの補正、甘いフォーカスを改善する鮮鋭化補正などを施すことにより高品質な写真プリントを出力することが可能となっている。さらには写真プリントにおける画像処理技術の向上により、撮影時に使用された撮影レンズの収差特性に起因する倍率色収差、歪曲収差、周辺光量不足などによる画像劣化、そして広角レンズを使用した際に生じうる極端なあおり歪みによる画像の不自然さも補正することが可能となっている。
【0003】
しかしながら、このような画像補正は可能であるとしても、一般にはモニタにおける再現画像を用いたオペレータの目視による良否判断が要求されるので、オペレータの迅速かつ正確な判断を期待するためにはその際の操作性が重要となる。
【0004】
撮影レンズを用いて光学的に撮影された画像に対して、撮影レンズの情報が得られない場合でも、撮影レンズに起因する歪曲収差補正や倍率色収差補正や周辺光量補正やピントボケ等の画像品質劣化補正を適切に行うために、撮影レンズを用いて光学的に撮影された画像から得られた画像データに基づいて再現画像を表示するモニタと、このモニタに表示された再現画像に基づいて、撮影レンズに起因する前記画像品質の劣化の補正の実行・非実行を指定する補正指定部と、この指定に応じて前記画像品質の劣化の補正を行う際モニタに表示された再現画像に応じて画像品質の劣化の補正強度を指定して画像品質の劣化の補正を行うとともに、この画像品質の劣化の補正の度に補正後の補正再現画像をモニタに表示する仮補正手段と、この仮補正手段によってモニタに表示された補正再現画像により補正強度を確定する補正強度確定手段と、この確定した補正強度に基づいて補正を行って、出力画像データを得る補正手段とを備えた画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この公知の画像処理装置におけるレンズ補正処理画面には、テスト処理される画像として、仮補正前の画像が画面右側に表示され、また、オペレータが補正強度を確定してよいか判断する画像として、仮補正後の画像が画面左側に表示される。仮補正前の画像は、画像補正が必要であるとオペレータが判断したフィルムに撮影された画像の再現画像(補正されていない)もしくは、予め定められた補正強度を用いて補正した補正後の画像であり、レンズ補正処理画面の下部には、シャープネス補正欄、周辺光量補正欄、縦方向歪み補正欄および横方向歪み補正欄、補正強度を定める補正レベル欄、仮補正ボタンが設けられ、仮補正ボタンをマウスでクリックするたびに、補正レベルが昇降し、それに応じて補正式に用いられる係数、例えば高次多項式では各項の係数が変化し、この係数の変化した補正式によって補正強度が定まり、この補正強度によって仮補正が行われ、仮補正後の画像がモニタに表示される。
【0006】
このような画像処理装置における画像補正作業では、モニタには基準となる画像と仮補正後の画像が表示されるだけであり、例えば、基準となる画像に対してより強く補正された画像とより弱く補正された画像を同時に見ながら比較するといったことはできない。このため、ある程度適正な画像に近づくと、そこからわずかに異なる補正量を何度か仮設定しながら仮補正後の画像を表示させていく必要があり、その操作性の悪さから画像補正作業が長くかかるという問題点がある。
【0007】
【特許文献1】特開2000−324339号公報(段落番号0018、0042、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、モニタに表示された補正再現画像を確認しながら撮影コマ画像に対する画像補正の補正度を決定する作業を効率的なものとする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、撮影コマ画像を表す画像データを元画像データとして取得し、前記取得された元画像データに対して所定補正度で画像補正を施して補正画像データを生成し、前記補正画像データに基づく補正再現画像をモニタに表示し、前記補正再現画像を確認しながら前記元画像データに対する画像補正の補正度を決定する、本発明による画像補正決定方法は、前記モニタに一覧表示される前記補正再現画像の表示コマ数が設定されるステップと、前記補正画像データの生成時に複数の異なる補正度で前記元画像データを画像補正することによって補正画像データが順次生成されるステップと、前記順次生成された補正画像データの数が前記表示コマ数に達すると、その生成された補正画像データに対応する補正再生画像が前記モニタに表示されるステップを含んでいる。
【0010】
この構成によれば、画像補正の対象となっている撮影コマ画像を表す画像データに対して異なる複数の補正度(補正度が0、つまり無補正も含む)でもって画像補正された結果として、とりあえず前設定された表示コマ数(例えば9コマ)でモニタに一覧表示されるので、オペレータはこの表示された補正再現画像を確認しながら所望の画像を作り出す補正度を決定することができる。1つの元画像データに対して実際に作成される補正画像データは多数であるが、とりあえずモニタに一覧表示される表示コマ数分の補正画像データが作成された段階でその表示コマ数分の補正再生画像がモニタに表示されるので、オペレータは全ての可能な補正画像データが作成されるのを待つことなしに、補正再生画像のチェック、つまり画像補正決定作業に入ることができる。そのようなオペレータによる画像補正決定作業のバックグランドで残りの補正画像データの作成処理が続行している。また、モニタに一覧表示された補正再生画像はその補正度が順次異なっているものである。従って、オペレータは画像補正の対象となっている撮影コマ画像に関する、連続した異なる補正画像を確認することができるので、補正度の選択を効率的かつ効果的に行うことができる。特に、最終的に絞り込まれた補正度の中から最適補正度を選択する時点では、表示されている各補正再現画像のもつ補正度の差がわずかであってもその選択が容易となる。なお、前設定される表示コマ数は、モニタの大きさや解像度、及びオペレータの好みによって設定するとよいが、好適なコマ数に固定しておいてもよい。
【0011】
また、補正度の選択をさらに効率的かつ効果的に行うために、前記補正画像データ順次生成ステップにおいて基準となる補正度から補正度がより変化していく順で前記補正画像データが順次生成されることが提案される。つまり元画像ないしは選択された補正画像を基準として、そこからわずかに補正された補正再生画像がまず表示されていくので、オペレータは所望する補正の方向性を見つけやすくなる。さらに、補正決定作業の最初においてはオペレータが極端に大きな補正度をもつ補正再生画像の表示を要求する可能性は低いので、とりあえずは、低い補正度から高い補正度の順で補正画像データを順次生成することは好都合である。
【0012】
オペレータが補正の方向性を決めた場合、順次その方向での補正再現画像をモニタで確認することになるが、これを時間的ロスなく実現するために、本発明の好適な実施形態の1つでは、モニタに表示された複数の生成画像の1つが補正候補画像として選択された場合補正候補画像の補正度を基準補正度としてこの基準補正度に近い補正度での補正画像データが優先的に順次生成され、モニタに表示される。つまり、オペレータが1つの補正再現画像を補正候補画像として選択した場合、直ちにその補正候補画像の補正度を基準としてその補正度に近い補正度をもつ補正画像データを順次作成していくので(既に補正画像データが作成されているものに関してはとばしていく)、つぎのオペレータの補正方向性をある程度予測した補正画像データ作成となり、好都合である。
【0013】
オペレータによる補正再現画像の確認及び微妙な補正度の調整が必要となる画像補正として、撮影時に使用された撮影レンズの収差特性に起因する倍率色収差、歪曲収差、周辺光量不足などによる画像劣化、撮影レンズとして広角レンズを使用した際に生じうる極端なあおり歪みによる画像の不自然さなどの補正が挙げられる。このため、本発明の技術は、特に撮影レンズに起因する画像品質の低下を改善する画像補正に適している。
【0014】
また、一般的に上述したような収差や歪みは、収差や歪みの生じていない点又はほとんど生じていない点を基準点として二次元方向に広がっているので、その補正度も二次元的な広がりで設定する必要がある。このため、本発明の好適な実施形態では、前記補正度には撮影コマ画像における画像補正方向を示す補正方向度と補正の強さを示す補正強度が含まれている。より具体的には、補正度を要素とする二次元マトリックスを想定し、各補正度をその配列位置に応じて変えていくことにより、補正方向度と補正強度を考慮した補正度群を作成するとよい。このような補正度マトリックスを用いて元画像データを補正して得られた補正画像データを補正度マトリックスの配列位置に関連づけることにより、面的な広がりをもった補正方向及び補正強度別で整理された補正画像データ群が順次作り出される。前述したモニタ上での補正再現画像の一覧表示は、このマトリックス化された補正画像データ群の1つのエリアを指定してそれらの補正再現画像をモニタ上でサブマトリックス的に表示させることで実現し、オペレータは面上での補正方向性を有する補正再現画像を見ながら適正な補正度で補正された撮影コマ画像を効率よく選択することができる。そして、サブマトリックスとして表示された補正再現画像の1つが指定されることにより、この指定された補正再現画像を中心とした新たなサブマトリックスとしての補正再現画像の一覧表示が作り出されていくことにより、最適な補正再現画像にスムーズに到達することができる。
【0015】
さらに、補正度マトリックスを構成する各補正度に対応する補正画像データの生成が完了していることが視認できるような表示態様で前記補正度マトリックスの要素配置に対応したマス目イメージが前記モニタに表示されるように構成するならば、既に作成完了した補正画像データつまり即座に表示できる補正再現画像を確認できるので好都合である。
【0016】
また、前述したモニタに表示されたマス目イメージから1つのマス目が選択指定されることにより、この指定された補正度に対応する補正再現画像とその周辺の補正度に対応する補正再現画像が前記モニタに更新表示されると所望補正再現画像にジャンプすることが可能となる。
【0017】
本発明では、さらに、上述した画像補正決定方法を採用した画像処理装置も権利の対象としており、その画像処理装置は、撮影コマ画像を表す画像データを元画像データとして受け取る画像入力部と、前記元画像データに対する特定の画像補正のための補正度を設定する補正度設定部と、この設定された補正度で前記元画像データに対して画像補正を施して補正画像データを生成する画像処理部と、前記補正画像データに基づく補正再現画像をモニタに表示させるとともに前記補正再現画像を確認しながら前記元画像データに対する画像補正の補正度を決定する画像補正管理部とを備え、前記補正度設定部が複前記元画像データの画像補正のために複数の異なる補正度を設定し、かつ画像補正管理部が前記モニタに一覧表示される前記補正再現画像の表示コマ数を設定するとともに、前記順次生成された補正画像データの数が前記表示コマ数に達した際にその生成された補正画像データに対応する補正再生画像を前記モニタに表示する。当然ながら、このような画像処理装置も上述した各好適な実施形態を含む画像補正決定方法におけるすべての構成と作用効果を流用することができる。特に、好適な実施形態として、撮影コマ画像における画像補正方向を示す補正方向度と補正の強さを示す補正強度によって規定される複数の前記補正度が前記補正方向度と前記補正強度に基づいて要素配置された補正度マトリックスの形で補正度ルックアップテーブルとして前記補正度設定部に備えるならば、このような補正度ルックアップテーブルを用いて元画像データを補正して得られた補正画像データを補正度マトリックスの配列位置に関連づけることにより、補正方向及び補正強度別で整理された補正画像データ群を作り出し、表示することができる。このマトリックス化された補正画像データ群の1つのエリアを順次指定していくことで、オペレータは補正方向性を有する補正再現画像を見ながら適正な補正度で補正された撮影コマ画像を効率よく選択することができる。
本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明による画像補正決定方法を採用した画像処理装置を組み込んでいる写真プリントシステムを示す外観図であり、この写真プリントシステムは、印画紙Pに対して露光処理と現像処理とを行う写真プリンタとしてのプリントステーション1Bと、現像済み写真フィルム(以後単にフィルムと称する)2aやデジタルカメラ用メモリカード2bなどの画像入力メディアから取り込んだ撮影画像を処理してプリントステーション1Bで使用されるプリントデータの生成・転送などを行う操作ステーション1Aとから構成されている。
【0019】
この写真プリントシステムはデジタルミニラボとも称せられるものであり、図2からよく理解できるように、プリントステーション1Bは2つの印画紙マガジン11に納めたロール状の印画紙Pを引き出してシートカッター12でプリントサイズに切断すると共に、このように切断された印画紙Pに対し、バックプリント部13で色補正情報やコマ番号などのプリント処理情報を印画紙Pの裏面に印字するとともに、プリント露光部14で印画紙Pの表面に撮影画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pを複数の現像処理槽を有した処理槽ユニット15に送り込んで現像処理する。乾燥の後に装置上部の横送りコンベア16からソータ17に送られた印画紙P、つまり写真プリントPは、このソータ17の複数のトレイにオーダ単位で仕分けられた状態で集積される(図1参照)。
【0020】
上述した印画紙Pに対する各種処理に合わせた搬送速度で印画紙Pを搬送するために印画紙搬送機構18が敷設されている。印画紙搬送機構18は、印画紙搬送方向に関してプリント露光部14の前後に配置されたチャッカー式印画紙搬送ユニット18aを含む複数の挟持搬送ローラ対から構成されている。
【0021】
プリント露光部14には、副走査方向に搬送される印画紙Pに対して、主走査方向に沿って操作ステーション1Aからのプリントデータに基づいてR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のレーザ光線の照射を行うライン露光ヘッドが設けられている。処理槽ユニット15は、発色現像処理液を貯留する発色現像槽15aと、漂白定着処理液を貯留する漂白定着槽15bと、安定処理液を貯留する安定槽15cを備えている。
【0022】
前記操作ステーション1Aのデスク状コンソールの上部位置には、フィルム2aからその撮影コマ画像を表す画像データを取得するフィルムスキャナ20が配置されており、デジタルカメラ等に装着される撮影画像記録媒体2bとして用いられている各種半導体メモリやCD−Rなどから撮影コマ画像を表す画像データを取得するメディアリーダ21は、この写真プリントシステムのコントローラ3として機能する汎用パソコンに組み込まれている。この汎用パソコンには、さらに各種情報を表示するモニタ23、各種設定や調整を行う際に用いる操作入力部として利用される操作入力デバイスとしてのキーボード24やマウス25も接続されている。
【0023】
この写真プリントシステムのコントローラ3は、CPUを中核部材として、画像処理を始め写真プリント出力のための種々の処理を行うための機能部をハードウエア又はソフトウエアあるいはその両方で構築しているが、図3に示されているように、本発明に特に関係する機能部としては、スキャナ20やメディアリーダ21によって読み取られた撮影画像データを取り込んで次の処理のために必要な前処理を行うとともに画像補正における元画像データとしてメモリ30に転送する画像入力部31と、各種ウインドウや各種操作ボタンなどを含むグラフィック操作画面の作成やそのようなグラフィック操作画面を通じてのユーザ操作入力(キーボード24やマウス25などのポインティングデバイスによる)から制御コマンドを生成するグラフィックユーザインターフェース(以下GUIと略称する)を構築するGUI部32と、メモリ30に展開されている元画像データに対する特定の画像補正(例えば撮影レンズに起因する画質不良を改善する画像補正)のための補正度を補正度ルックアップテーブル34を用いて設定する補正度設定部33と、この補正度設定部33で設定された補正度で元画像データに対して特定の画像補正を施すとともにGUI部32から送られてきた制御コマンドや直接キーボード24等から入力された操作命令に基づいて元画像データにフィルタ処理などの画像処理を施す画像処理部35と、補正画像データに基づく補正再現画像をモニタに表示させるとともにこの補正再現画像を確認しながら元画像データに対する画像補正の補正度を決定する画像補正管理部36と、補正画像データに基づく補正再現画像及び色補正等のプレジャッジプリント作業時にプリントソース画像や予想仕上がりプリント画像としてのシミュレート画像、さらにはGUI部32から送られてきたグラフィックデータをモニタ23に表示させるためのビデオ信号を生成するビデオ制御部37と、最終的な補正画像データに基づいてプリントステーション1Bに装備されているプリント露光部14に適したプリントデータを生成するプリントデータ生成部38と、顧客の要望に応じて生の撮影画像データや画像補正が完了した補正撮影画像データなどをCD−Rに書き込むための形式にフォーマットするフォーマッタ部39などが挙げられる。なお、画像補正部36は、前述した特定の画像補正処理時には、後で詳しく説明するように、モニタ23に一覧表示される補正再現画像の表示コマ数を設定するとともに、順次生成された補正画像データの数が表示コマ数に達した際にその生成された補正画像データに対応する補正再生画像をモニタ23に表示させるように各関連要素を制御する。
【0024】
画像入力部31は、撮影コマ画像を記録している媒体がフィルム2aの場合プレスキャンモードと本スキャンモードとのスキャンデータを別々にメモリ30に送り込み、撮影コマ画像を記録している媒体がメモリカード2bなどの場合取り込んだ撮影画像データにサムネイル画像データ(低解像度データ)が含まれている場合はモニタ23での一覧表示などの目的で使用するため撮影画像の本データ(高解像度データ)とは別にメモリ30に送り込むが、もしサムネイル画像データが含まれていない場合は本データから縮小画像を作り出してサムネイル画像データとしてメモリ30に送り込む。このように、1つの撮影コマ画像を表す画像データとして高解像度データと低解像度データの2種類をメモリ30に展開しておき、画像補正における補正度の設定作業時には低解像度データを用い、この低解像度データに基づいて決定された補正度を用いて高解像度データを画像補正するような構成を採用すると、補正度決定作業のコントローラ3の計算負荷が低減できる。
【0025】
次に、上述したGUI部32と補正度設定部33と補正度ルックアップテーブル34と画像処理部35と画像補正管理部36との連係による、本発明の補正度決定の基本概念を周辺光量補正を例にとって図4〜図6を参照しながら詳説する。
周辺光量の不足は、画像中心から周辺に向かって、コサイン4乗則に従って光量が低下するレンズ特性に起因するものであり、周辺光量不足を補う補正は画像中心から同心円状に広がる画素に対してその明るさを上げる処理となるが、その周辺光量不足が同心円状に等しく変化するもの以外に縦長楕円状又は横長楕円状に変化するものや、周辺部の光量が中心部の光量よりも明るいといった逆のパターンもあることから、その補正では、設定された画像中心から同心円状、縦長楕円状又は横長楕円状に、かつその明るさを上げる処理と下げる処理が要求されることになる。また、その周辺光量の不足量もレンズによって種々であるので、最適な補正量は広い範囲で分布することになる。このような画像補正の補正量は、一般には補正式の係数を変化させることにより定められるため、ここでは種々の係数によって規定された補正式(補正量)が前もってマトリックス化されて補正度ルックアップテーブル34に格納されている。
【0026】
この補正度のためのマトリックスの概念図は、図4に示すとおりであり、ここでは補正度(補正式)は(2n+1)×(2n+1)個(nは正の整数)用意されており、各補正度はG(x,y)で示されており、(xとyは1〜n+1の数をとることになる)、中心の要素である補正度G(n,n)は無補正を示しており、中心から右側の領域に配列された補正度は周辺部の明るさを増す補正を行うものであり、中心から左側の領域に配列された補正度は周辺部の明るさを減じる補正を行うものであり、中心から上側の領域に配列された補正度は中央部の形状を縦長楕円状としてその周辺光量を修正する補正を行うものであり、中心から下側の領域に配列された補正度は中央部の形状を横長楕円状としてその周辺光量を修正する補正を行うものとなっている。いずれにしても、中心から離れるほどその補正強度は強くなっている。
【0027】
このようにマトリックス配列された各補正度は補正度ルックアップテーブル34に格納されているので、ここから読み出された補正度を用いて元画像データに対して画像補正を施すと、(2n+1)×(2n+1)個の補正画像データが生成され、そのうち上述した無補正を表す補正度G(n,n)に対応する補正画像データは実際には無補正の画像データであるが、ここでは特に区別する必要がある場合を除いて便宜上全て補正画像データと呼ぶことにする。これらの補正画像データを上述した補正度のマトリックス配列に対応させると、模式的にはこれらの補正画像データは図5に示すようにマトリックス状にメモリ30に展開されていると考えると都合はよい。図5では、各補正画像データはIM(x,y)(xとyは1〜n+1の数をとる)で示されており、中心に位置する無補正の画像データはIM(n,n)であり、これは元画像データと同じである。すなわち、例えば、n=50とすると、この段階で無補正画像データも含めて101×101=10201個の異なる補正画像データが作成されることになる。
【0028】
次に、本発明に採用されているこれらの多数の補正画像データの作成順序の一例を述べる。最初にモニタ23に一覧表示される補正再現画像の中心には無補正画像が位置し、その周辺に1ランクだけ補正度が上がった補正再現画像が位置するのが基本である。このため、図4においてG(n,n)で示されている補正度(=0)の周囲に位置する最内側段の8つの補正度G(n-1,n)、G(n-1,n+1)、G(n,n+1)、G(n+1,n+1)、G(n+1,n)、G(n+1,n-1)、G(n,n-1)、G(n-1,n-1)を用いて、図5においてIM(n,n)で示されている無補正画像データの周囲に位置する最内側段の8つの補正画像データIM(n-1,n)、IM(n-1,n+1)、IM(n,n+1)、IM(n+1,n+1)、IM(n+1,n)、IM(n+1,n-1)、IM(n,n-1)、IM(n-1,n-1)が最初に作成される。これらの、8つの補正画像データの作成順は任意であるが、プログラム作成上の都合に応じて決めるのが合理的である。続く、補正画像データの作成は、先に作成された補正画像データの一段外側の補正画像データとなる。このように、IM(n,n)で示されている無補正画像データを中心として1段ずつ外側に向かって進むように順次作成して、(2n+1)×(2n+1)個の補正画像データの全てを生成するのが基本の補正画像データ作成アルゴリズムである。
【0029】
これらの補正画像データに基づく補正画像を全てモニタ23に表示することはできないので、比較観察のしやすい個数だけ、例えば9個表示されるが、最初のモニタ表示画面としては、図6aに示すように、3×3駒表示として、真ん中にはIM(n,n)で示される補正画像データ(実際は元画像データ)に基づく再現画像としての撮影コマ画像が表示される。この無補正の補正画像データに基づく画像は実際には無補正の再現画像であるが、ここでも特に区別する必要がある場合を除いて便宜上全て補正再現画像と呼ぶことにする。この中心の再現画像の周囲にはIM(n,n)に隣接する補正画像データIM(n-1,n-1),...,IM(n+1,n+1)に基づく補正再現画像(撮影コマ画像)が表示される。つまり、このモニタ画像では、補正なしの再現画像を中心として、右側には設定中心から円状に周辺部の明るさをわずかに増加した補正再現画像が、右斜め上側には設定中心から縦長楕円状に周辺部の明るさをわずかに増加した補正再現画像が、右斜め下側には設定中心から横長楕円状に周辺部の明るさをわずかに増加した補正再現画像が、左側には設定中心から円状に中心部の明るさをわずかに増加した補正再現画像が、左斜め上側には設定中心から縦長楕円状に中心部の明るさをわずかに増加した補正再現画像が、右斜め下側には設定中心から横長楕円状に中心部の明るさをわずかに増加した補正再現画像が、真上側や真下側には隣接する補正再現画像の中間的な画像が表示されることになる。
【0030】
さらに、このように最初に表示された補正画像から所望の補正画像への方向性をもつものを選択すると、選択された補正画像に対応する補正画像データを中心として図5に示すマトリックス配列においてその周囲に位置する補正画像データ群に基づく補正再現画像がモニタ23に表示される。例えば、図6(a)において選択された補正画像データがIM(n-1,n+1)とすれば、図6(b)に示すように、左下に補正画像データIM(n,n)に対応する補正再現画像、右上に補正画像データIM(n,n)に対応する補正再現画像が表示される。つまり、ここで表示された補正再現画像群は最初に表示された補正再現画像群に較べて、図5に示すマトリックスにおいて中心から右斜めに移動しているので、縦長楕円状に周辺部の明るさをさらに増加した傾向をもつものとなっている。このように図5に示された補正画像データのマトリックスにおいて連続的に所定のサブマトリックスに含まれる補正画像データに基づく補正再現画像群が表示されるので、所望の画像補正された補正再現画像に迅速かつ確実に到達することができる。
【0031】
しかしながら、補正画像データの作成に時間がかかる補正処理では、新たに上記サブマトリックスの中心にくる補正画像が選択された際にそれを中心とする周囲の補正画像データの全てが作成されていないことが起こりえる。このような状況が図7に模式化されて示されている。つまり、図7(a)は、前述した図6(a)のからさらに右上の補正画像(Pで識別されている)が選択された後の図6(b)の一覧表示を作り出す際の補正画像データの様子を模式化している。この時点で、前述した基本の補正画像データ作成アルゴリズムで作成済みとなっている補正画像データが斜線で示されているものだけである場合、出来るだけ迅速に補正画像Pを中心とする補正画像の一覧表示を実現するため、この基本の補正画像データ作成アルゴリズムにおける中心点(当初は元画像に対応する中心の無補正画像)を補正画像データPの位置にシフトして、この新たな中心点から順次外側に向かって補正画像データを作成するように切り換わる。その際、既に補正画像データが作成されている位置はスキップされる。つまり、このケースでは、図7(b)に示すように、補正画像データPの一段外側に位置するとともにまだ未作成である補正画像データP1〜P5が優先的に作成され始め、続いてその一段外側の補正画像データq1〜q11が順次作成される。これにより、オペレータの補正志向に合わせて補正画像データの作成優先度を変更するので、補正画像データの作成に時間がかかる補正処理においても、オペレータに表示待ちストレスを与えることが極力避けられる。
【0032】
処理時間の短縮のために、上述の補正画像データは低解像度画像データを用いて行われるのが好ましいが、上述したように補正方向で規定されながら連続的に表示された補正再現画像群から最適なものが決定されると、その最適補正再現画像を作り出すための補正度が記憶され、写真プリント出力の際には、この記憶された補正度を利用して高解像度画像データに対して画像補正処理を施すことになる。勿論、本発明では、補正画像データの作成とモニタ表示される補正画像の関係が最適化されているので、上述の補正画像データは高解像度画像データで行い、希望の補正画像を瞬時に大画面で表示する構成も可能である。
【0033】
次にこの写真プリントシステムにおいて、撮影コマ画像をモニタ画面でチェックしながら、必要に応じて特に撮影レンズに起因する画像補正を行う際の典型的な流れを説明する。
【0034】
顧客がプリントソースとして持参してきた写真記録メディアの種別に応じて、スキャナ20またはメディアリーダ21が用いられ、いずれにしても撮影コマが画像をデジタル化した取得された画像データが高解像度画像データと低解像度画像データの2形態で画像入力部31を通じてメモリ30に送り込まれる。
【0035】
画像データがメモリ30にロードされると、画像データに対応する撮影コマ画像が、図8に示されているプレジャッジ画面と呼ばれている操作入力画面40の撮影画像表示枠41に順次表示される。図8では、6コマ表示画面が選択されている。各撮影画像表示枠41の下側には色濃度補正設定エリア42とプリント枚数設定エリア43が配置されている。色濃度補正設定エリア42には「イエロー」、「マゼンタ」、「シアン」、「濃度」の設定枠が設けられており、補正量の「N」はニュートラルを表し補正なしを意味している。プリント枚数設定エリア43にはプリント枚数入力枠が設けられており、「パス」はプリントを行わないことを意味している。プレジャッジ画面40の下方にはプリント条件表示欄44が配置されており、この写真プリント出力に適用されたプリントチャンネル名称の表示や、このプリントチャンネルに含まれているプリントサイズやインデックスプリントの要否やメディア出力の要否などが示されている。プリントサイズは仕上がり写真プリントPの大きさを示すものであり、この実施形態では印画紙幅と送り長さでプリントサイズが決定される。このプレジャッジ画面40において各撮影コマ画像に対する各種補正設定やプリント枚数設定が完了すると、対応する撮影画像データはプリントデータ生成部38に送られ、プリントデータに変換される。
【0036】
あおり歪みを含む撮影レンズに起因する画像品質の低下を改善する画像補正の補正度を設定する処理を行う場合には、プレジャッジ画面40において、そのような特別な処理対象となる撮影コマ画像をマウス25のダブルクリックなどによって指定することで、図9に示すような補正メイン画面50が表示される。補正メイン画面50の中央には拡大画像表示エリア51が配置されており、右端には、撮影コマ画像の内で拡大画像表示エリア51で表示されている部分を枠線で示す表示確認エリア52、補正の基準となる中心座標を示す中心座標確認エリア53、周辺光量補正ボタン54、歪み補正ボタン55、台形補正ボタン56が配置されている。表示確認エリア52の枠線をマウス25を用いて移動させることにより拡大画像表示エリア51に表示される部分を変更することができ、表示サイズエリア52aの拡大率を変更することにより拡大画像表示エリア51に表示される画像を拡大・縮小することができる。また、補正の基準となる中心座標の設定は、拡大画像表示エリア51に表示されているクロスラインをドラッグアンドドロップすることで調整することができる。
【0037】
この補正メイン画面50において、周辺光量補正ボタン54をクリックすることで図10に示された周辺光量補正画面60が、歪み補正ボタン55をクリックすることで図11に示された歪み補正画面70が、台形補正ボタン56をクリックすることで図12に示された台形補正画面80が表示され、それぞれの画像補正のための補正度の設定作業が行われる。
【0038】
これらの補正画面はほぼ共通した形態を備えており、中央には、上述した9つの画像データIM(x,y)に基づく補正再現画像を表示する再現画像マトリックス表示エリア100が配置され、右領域には、補正再現画像の内で再現画像マトリックス表示エリア100の各再現画像エリアで表示されている部分を枠線で示す表示確認エリア101と、補正度ルックアップテーブル34に格納されている補正度マトリックスを用いて生成された全ての補正画像データのマトリックスをマス目を用いてマップ化して再現画像マトリックス表示エリア100で表示されている補正再現画像群を視認可能に色分けしている補正マップ102が配置されている。また、再現画像マトリックス表示エリア100の4つのコーナ部と4つの中点部の外側に画像補正の形態ないしは方向性を示すマークを有するアイコンボタン103が設けられており、このアイコンボタン103をクリックすることで再現画像マトリックス表示エリア100に表されている補正再現画像群がクリックされたアイコンボタン103の方向に1要素分移動した補正再現画像群に書き換えられる。また、補正マップ102に表示されている色分けされた補正再現画像群をマウス25の操作により移動させることにより、再現画像マトリックス表示エリア100で表示される補正再現画像群(3×3のサブマトリックス)をジャンプ変更することが可能である。
【0039】
また、図13で拡大して示されているように、いずれの補正画面における補正マップ102において、その時点で補正画像データの作成が完了しているマス目が視認可能なように、例えば、再現画像マトリックス表示エリア100で表示されている補正再現画像群に与えられた色以外の色で色づけしたり、太枠で囲むといった表示処理がなされている。
【0040】
各補正画面において、OKボタン104をクリックすることにより、その時点で再現画像マトリックス表示エリア100の中央に表示されている補正再現画像を作り出すための補正度が記憶され、写真プリント出力のための高解像度画像データに対する画像補正に用いられる。なお、キャンセルボタン105をクリックすると前の画面に戻り、補正作業を1段階前の状態へ戻すことができる。
【0041】
次に、上述したオペレータによる画像補正の補正度設定の手順を図14と図15のフローチャートを用いて説明する。
まず、この画像補正ルーチンがスタートすると、補正メイン画面50が表示されるので(#01)、補正の基準となる中心座標を設定する(#02)。この中心座標としては歪み等が生じていない又はほとんど生じていない点を選ぶとよい。次に、所望する画像補正の項目を選択する(#03)。この実施形態では、画像補正項目として「周辺光量補正」、「歪み補正」、「台形補正」があるが、ここでは周辺光量補正が選択されたと仮定するが、他の画像補正項目が選択されたとしても実質的に同一な手順となる。
【0042】
周辺光量補正のための補正度マトリックスを補正度ルックアップテーブル34から読み出す(#04)。この補正度マトリックスには前述したように101×101個の補正度(補正式)が含まれており、この補正度をもって元画像データに対して画像補正処理を開始する指令を画像処理部35に与える(#05)。
【0043】
この補正画像データ作成開始指令は、図15で示された補正画像データ作成ルーチンに引き渡される。この補正画像データ作成ルーチンは補正画像データ作成開始指令を受けるまで待機しており(#51No分岐)、この指令を受け取ると(#51Yes分岐)、まず再現画像マトリックス表示エリア100での補正画像一覧表示のためのサブマトリックスの中心点を初期設定する(#52)。初期設定される中心点は無補正画像(元画像)の位置である。次に、無補正画像データを含め最初の9つの補正画像データを作成を開始し(#53)、この9つの補正画像データが作成されると表示指令を発行する(#54)。この補正画像データの生成は、オペレータが補正画像候補として無補正画像以外の補正画像をクリックしない限り、前述した基本の補正画像データ作成アルゴリズムに基づいて1段ずつ外側に向かって、101×101個の補正画像データ群の作成を完了するまで行われる(#55No分岐、#56、#57No分岐)。
【0044】
図14の画像補正ルーチンに戻ると、補正画像データ作成開始指令を与えた後、補正画像データ作成ルーチンのステップ#54で発行された表示指令を受け取るまで待機し(#06No分岐)、表示指令を受け取ると(#06Yes分岐)、周辺光量補正画面60を表示し、再現画像マトリックス表示エリア100の中央に表示される補正再現画像のための補正画像データを設定し(#07)、その周辺の8つの画像データも設定する(#08)。ステップ#07と#08で設定された画像データに基づいて再現画像マトリックス表示エリア100に9つの補正再現画像が表示される(#09)。
【0045】
周辺光量補正画面60において、OKボタン104がクリックされることで補正度が決定されたかどうか(#10)及び補正方向を示すアイコンボタン103がクリックされることで補正方向が設定されたかどうか(#11)がチェックされ、新たな補正候補画像が選択され進むべき補正方向が設定された場合(#11Yes分岐)、設定された方向に基づいて新たに再現画像マトリックス表示エリア100の中央に表示される補正再現画像のための補正画像データが設定され(#12)、補正画像データの作成優先度の変更、つまり次の一覧表示のための中心点(基準補正度)の変更を補正画像データ作成ルーチンに指令して(#13)、新たな補正候補画像の周辺に位置する補正画像のための補正画像データが作成済みかどうかをチェックし(#14)、作成済みを確認してステップ#08にジャンプする。
【0046】
補正画像データ作成ルーチンでは、補正画像データの作成優先度の変更指令を受け取ると(#55Yes分岐)、図7(b)で模式的に示したように、補正画像データの作成中心点を変更した上で(#58)、補正画像データの作成が行われる。
【0047】
いずれかの時点で、OKボタン104がクリックされた場合(#10Yes分岐)、再現画像マトリックス表示エリア100の中央に表示されている補正再現画像を作り出すための補正度が記憶され、このルーチンを終了する。ここで記憶された補正度が所望の補正画像を作り出すための補正度である。
【0048】
なお、撮影レンズに起因する収差は、全ての撮影コマ画像に共通していると考えられるので、特定の(最初の1コマ)撮影コマ画像に対して決定された補正度が、他の撮影コマ画像に対する画像補正にも適用できるような構成を採用しても良い。
【0049】
上述した実施の形態では、補正度マトリックスが二次元マトリックスで表されており、補正画像の一覧表示も面的な広がりをもっていたが、補正度マトリックスが一次元マトリックスで表され、補正画像の一覧表示が直線上に広がるような実施形態も本発明に含まれる。
【0050】
上述した実施の形態では、プリントステーション1Bは、印画紙Pに対し、露光エンジンを備えたプリント露光部14で撮影画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pを複数の現像処理する、いわゆる銀塩写真プリント方式を採用していたが、もちろん、本発明におけるプリントステーション1Bは、このような方式に限定されるわけではなく、例えば、フィルムや紙にインクを吐出して画像を形成するインクジェットプリント方式や感熱転写シートを用いた熱転写方式など、種々の写真プリント方式を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による画像補正決定技術を採用した写真プリントシステムの外観図
【図2】写真プリントシステムのプリントステーションの構成を模式的に示す模式図
【図3】写真プリントシステムのコントローラ内に構築される機能要素を説明する機能ブロック図
【図4】補正度マトリックスの模式的な構成を説明する説明図
【図5】マトリックス化された補正画像データの模式的な構成を説明する説明図
【図6】再現画像マトリックス表示エリアに表示される補正画像データの模式的な構成を説明する説明図
【図7】順次作成される補正画像データの作成優先度の変更を説明する模式図
【図8】プレジャッジ画面図
【図9】補正メイン画面図
【図10】周辺光量補正画面図
【図11】歪み補正画面図
【図12】台形補正画面図
【図13】作成完了した補正画像データに対応するマス目を視認可能とした補正マップを示す説明図
【図14】画像補正ルーチンの一例を示すフローチャート
【図15】補正画像データ作成ルーチンの一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0052】
23:モニタ
25:マウス(操作入力デバイス)
24:キーボード(操作入力デバイス)
30:メモリ
31:画像入力部
32:GUI部
33:補正度設定部
34:補正度ルックアップテーブル
35:画像補正管理部
36:画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影コマ画像を表す画像データを元画像データとして取得し、前記取得された元画像データに対して所定補正度で画像補正を施して補正画像データを生成し、前記補正画像データに基づく補正再現画像をモニタに表示し、前記補正再現画像を確認しながら前記元画像データに対する画像補正の補正度を決定する画像補正決定方法において、
前記モニタに一覧表示される前記補正再現画像の表示コマ数が設定されるステップと、
前記補正画像データの生成時に複数の異なる補正度で前記元画像データを画像補正することによって補正画像データが順次生成されるステップと、
前記順次生成された補正画像データの数が前記表示コマ数に達すると、その生成された補正画像データに対応する補正再生画像が前記モニタに表示されるステップを含んでいることを特徴とする画像補正決定方法。
【請求項2】
前記補正画像データ順次生成ステップにおいて基準となる補正度から補正度がより変化していく順で前記補正画像データが順次生成されることを特徴とする請求項1に記載の画像補正決定方法。
【請求項3】
前記モニタに表示された複数の生成画像の1つが補正候補画像として選択された場合前記補正候補画像の補正度を基準補正度としてこの基準補正度に近い補正度での補正画像データが優先的に順次生成され、前記モニタに表示されることを特徴とする請求項2に記載の画像補正決定方法。
【請求項4】
前記補正度には撮影コマ画像における画像補正方向を示す補正方向度と補正の強さを示す補正強度が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像補正決定方法。
【請求項5】
前記複数の補正度を前記補正方向度と前記補正強度に基づいて配置している補正度マトリックスが用意されており、この補正度マトリックスに基づいて補正画像データが順次作成されることを特徴とする請求項4に記載の画像補正決定方法。
【請求項6】
前記補正度マトリックスを構成する各補正度に対応する補正画像データの生成が完了していることが視認できるような表示態様で前記補正度マトリックスの要素配置に対応したマス目イメージが前記モニタに表示されることを特徴とする請求項5に記載の画像補正決定方法。
【請求項7】
前記マス目イメージから1つのマス目が選択指定されることにより、この指定された補正度に対応する補正再現画像とその周辺の補正度に対応する補正再現画像が前記モニタに更新表示されることを特徴とする請求項6に記載の画像補正決定方法。
【請求項8】
前記画像補正が撮影レンズに起因する画像品質の低下を改善する画像補正であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像補正決定方法。
【請求項9】
撮影コマ画像を表す画像データを元画像データとして受け取る画像入力部と、前記元画像データに対する特定の画像補正のための補正度を設定する補正度設定部と、この設定された補正度で前記元画像データに対して画像補正を施して補正画像データを生成する画像処理部と、前記補正画像データに基づく補正再現画像をモニタに表示させるとともに前記補正再現画像を確認しながら前記元画像データに対する画像補正の補正度を決定する画像補正管理部とを備えた画像処理装置において、
前記補正度設定部が複前記元画像データの画像補正のために複数の異なる補正度を設定し、かつ
画像補正管理部が前記モニタに一覧表示される前記補正再現画像の表示コマ数を設定するとともに、前記順次生成された補正画像データの数が前記表示コマ数に達した際にその生成された補正画像データに対応する補正再生画像を前記モニタに表示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
撮影コマ画像における画像補正方向を示す補正方向度と補正の強さを示す補正強度によって規定される複数の前記補正度が前記補正方向度と前記補正強度に基づいて要素配置された補正度マトリックスの形で補正度ルックアップテーブルとして前記補正度設定部に備えられていることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−54715(P2006−54715A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235456(P2004−235456)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】