説明

画像記憶装置、画像記憶方法及び撮像装置

【課題】 不必要なリサイズによる画質の低下と、シャッターチャンスの見逃しが生ずることの少ない画像処理装置、画像処理方法及び撮像装置を提供する。
【解決手段】 記憶媒体に指定された画質で記憶される画像に対して画質低下可否と許容限度画質とに関する情報の内少なくとも1つを含むリサイズ情報を関連付ける手段(122)と、記憶媒体に記憶された、関連付けられた画像の画質をリサイズ情報に基づいてより画質の低下した画像とすることによって画像の記憶容量を低減するリサイズ実行手段(124)とを備えた画像記憶装置である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファイルをリサイズすることにより記憶媒体に空きスペースを作る機能を備えた画像処置装置、画像処理方法及び撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フィルムを用いた撮像装置では、規定枚数の撮影を行った場合には、もはやそのフィルムに更に重ねて撮影をすることはできず、撮影を続行するときは新しいフィルムの装填が必要となる。このため、折角のシャッターチャンスを逃してしまうという問題点があった。
【0003】これに対してCCD撮像素子を用いたデジタルカメラでは、既に撮影された画像の容量を変更することが技術的に可能である。即ち、撮像装置に付属する記憶媒体に記録されている画像の画質を低下させることで該画像の容量を減少させること(以下、「リサイズ」という)ができる。そこで、画像を記録した記憶媒体が満杯になったときはこのリサイズによって記録可能領域を生じせしめるような撮像装置を構成することが可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のようにリサイズを行うことは画像の画質を低下させることとなるため、結局、折角のシャッターチャンスを逃してしまうという問題点がなお残っていた。
【0005】具体例として同窓会における撮影を想定すれば、例えばスナップ写真のようにそれほど高画質でなくても良いものもあるかも知れないが、集合写真のように少しでも高い解像度が要求されるものも混在するといった具合に、各コマ毎に画質に対する要求が異なると想定される。従って、リサイズを行えば確かに記録可能領域を作ることは可能であるが、リサイズを行ったコマは画質(主として解像度)が低下するため、リサイズ対象として、画質はそれほど重要でないと考えるコマの選択を迫られることとなる。
【0006】一般に、リサイズを必要とする状況は、「通常は充分に高画質な記録モードで撮影していくものの、交換用媒体が無い状態で媒体が満杯に達し、後少し撮影したいができない」といった場合である。従って、リサイズするコマを短時間で選択することは多くの場合困難であり、この結果、誤ったリサイズを行うことによって不必要に画質の低下を生じさせたり、折角のシャッターチャンスを逃すことになり易いという問題があった。
【0007】本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、不必要なリサイズによる画質の低下と、シャッターチャンスの見逃しが生ずることの少ない画像処理装置、画像処理方法及び撮像装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明は、記憶媒体に指定された画質で記憶される画像に対して画質低下可否と許容限度画質とに関する情報の内少なくとも1つを含むリサイズ情報を関連付ける手段と、記憶媒体に記憶された関連付けられた画像の画質をリサイズ情報に基づいてより画質の低下した画像とすることによって画像の記憶容量を低減するリサイズ実行手段とを備えた画像記憶装置である。
【0009】また本発明は、上記記載の発明である画像記憶装置において、リサイズ情報を画像とともに記憶媒体に記憶させるリサイズ情報記憶手段を備えた画像記憶装置である。
【0010】また本発明は、上記記載の発明である画像記憶装置において、リサイズ情報を入力させるための操作手段を備えた画像記憶装置である。
【0011】また本発明は、上記記載の発明である画像記憶装置において、画質低下可否に関する情報を入力させるための手段は、画質低下可または否の選択スイッチである画像記憶装置である。
【0012】また本発明は、上記記載の発明である画像記憶装置において、許容限度画質に関する情報が操作入力されなかった場合は、指定された画質に対して所定段階下位の画質を許容限度画質とする画像記憶装置である。
【0013】また本発明は、上記記載の発明である画像記憶装置において、リサイズ後に生成される記憶媒体の空き記憶容量を予測して記憶媒体に追加記録可能な画像枚数を算出する枚数算出手段を備えた画像記憶装置である。
【0014】また本発明は、上記記載の発明である画像記憶装置において、記憶媒体に追加記憶を希望する画像枚数を入力する手段を有し、リサイズ実行手段は、希望枚数の画像が追加記憶できるように記憶媒体に記憶されたリサイズ対象画像を選択してリサイズする画像記憶装置である。
【0015】また本発明は、記憶媒体に指定された画質で記憶される画像に対して画質低下可否と許容限度画質とに関する情報の内少なくとも1つを含むリサイズ情報を関連付け、記憶媒体に記憶された関連付けられた画像の画質をリサイズ情報に基づいてより画質の低下した画像とすることによって前記画像の記憶容量を低減する画像記憶方法である。
【0016】また本発明は、上記記載の発明である画像記憶装置を備えた撮像装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明が適用される撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0018】本撮像装置は、各種レンズからなるレンズ系101、レンズ系101を駆動するためのレンズ駆動機構102、レンズ系101の絞りを制御するための露出制御機構103、メカニカルシャッタ104、CCD撮像素子105、CCD撮像素子105を駆動するためのCCDドライバ106、A/D変換器などを含むプリプロセス部107、マトリックス変換処理その他のデジタル処理を行うためのデジタルプロセス部108、カードインターフェース109、メモリカード110、LCD画像表示系111を備えている。
【0019】更に本撮像装置は、各部を統括的に制御するためのシステムコントローラ112、各種SWからなる操作スイッチ系113、操作状態及びモード状態等を表示するための操作表示系114、レンズ駆動機構を制御するためのレンズドライバ115、発光手段としてのストロボ116、ストロボ116を制御するための露出制御ドライバ117、各種設定情報等を記憶するための不揮発性メモリ(EEPROM)を備えている。
【0020】本撮像装置においては、システムコントローラ112が全ての制御を統括的に行っており、特に露出制御機構103及びメカニカルシャッタ104とCCDドライバ106によるCCD撮像素子105の駆動を制御して露光(電荷蓄積)及び信号の読出しを行ない、それをプリプロセス部107を介してデジタルプロセス部108に取り込み、各種信号処理を施した後にカードインターフェース109を介して画像等の記憶媒体であるメモリカード110に記録するようになっている。
【0021】図2は、リサイズ処理に係るシステムコントローラ112の構成を示す図である。本リサイズ処理は、リサイズ指示情報取込部121、リサイズ情報記録部122、残容量算出部123、リサイズ実行部124が動作することで実行される。
【0022】リサイズ指示情報取込部121は、撮影者が設定したコマ毎のリサイズ可否に関する指示情報を取り込む。リサイズ情報記録部122は、リサイズ処理に必要な情報を画像を画像毎に付与して記憶媒体に書き込む。残容量算出部123は、リサイズ処理によって生じるであろう記憶媒体の残容量を計算する。リサイズ実行部124は、リサイズを実行して記憶媒体に新たな記憶領域を生じさせる。
【0023】次に、本発明に係る第1の実施の形態について説明する。
【0024】本実施の形態では、記録画質モードはSTD(1280×960;最大400KB)、HQL(1920×1440;最大900KB)の2種類を用いる。この記録画質モードは、撮影者が操作スイッチ系113から選択することができ、デフォルトではHQLモードとなっている。なお、記憶媒体として32MBのメモリカードを用いた場合の画像の記録可能枚数は各モードでそれぞれ80枚と35枚となる。
【0025】撮影者は、撮影に先立って操作スイッチ系113から記録画質モードとリサイズ可否に関する指示情報を設定入力する。この操作によって、システムコントローラ112ではリサイズ指示情報取込部121とリサイズ情報記録部122が起動してリサイズ処理のための準備処理を実行する。
【0026】図3は、リサイズ指示情報取込部121とリサイズ情報記録部122の概略の手順を示すフロー図である。
【0027】先ず、リサイズ指示情報取込部121は、撮影者が操作スイッチ系113から設定入力したリサイズ可否情報を取り込む(S1)。このリサイズ可否情報は2値情報であり、これから撮影するコマがリサイズが許可されるか禁止されるかを表している。
【0028】続いて、トリガーボタンが操作されて撮影が行われ、コマが処理されて画像ファイルが作成されたときは、リサイズ情報記録部122が起動して、その画像ファイルのヘッダに現在の画質モードとリサイズ可否情報を記録する(S2)。そしてこの後、設定入力されたリサイズ可否情報をリセットして、改めてリサイズ可否情報が設定されるまでは、リサイズ不可の状態にシステムコントローラ112の内部データ等をイニシャライズする(S3)。
【0029】以上のようにして、リサイズ処理のための準備処理が実行されるが、本発明は、この実施の形態に限定されず種々のバリエーションで構成することができる。
【0030】先ず、リサイズ可否情報は撮影者が操作スイッチ系113から設定入力しているが、例えばリサイズ情報選択スイッチを設けて、その操作によりいずれかを選択するように構成しても良い。
【0031】また、リサイズ可否情報は画像ファイルのヘッダに記録されるが、例えばシステムコントローラ112内部のデータにのみ記録されて管理され、当該記憶媒体が撮像装置から抜去されるまで有効となるように構成しても良い。ただし、他の撮像装置や画像処理装置での利用を考えると本実施形態のようにリサイズ可否情報をヘッダに記録する態様が望ましい。
【0032】更に、リサイズ可否情報は1コマ撮影する度に「リサイズ不可」にリセットされているが、「リサイズ可」にリセットするものであっても良く、あるいはリセットされる状態を別途設定可能に構成しても良い。また、次のリサイズ可否情報が設定されるまではリセットを行わず、前回の設定情報が継続して使用されるように構成しても良い。
【0033】次に、リサイズ処理について説明する。リサイズ処理は、撮影者が任意の時点で操作スイッチ系113から操作したとき、或いは記憶媒体の空き容量(以下、「残容量」という)が所定量以下になったときに開始される。そしてこのリサイズ処理は残容量算出部123とリサイズ実行部124が動作することで実行される。
【0034】図4、図5は、残容量算出部123とリサイズ実行部124の概略の手順を示すフロー図である。
【0035】残容量算出部123は記憶媒体の残容量を調べ(S10)、記憶媒体に新しい画像を記憶するだけの容量が不足している場合(S11 YES)には操作表示系114に満杯である旨のアラームを表示(S12)して、次のステップS13に進む。記憶媒体に新しい画像を記憶するだけの容量が不足していない場合(S11 No)にはアラーム表示は行わず、次のステップS13に進む。
【0036】続いて、残容量算出部123は、画像ファイルのヘッダに記録されている、記録画質とリサイズ可否情報を取り出し(S13)、現在設定されている記録画質モードを調べる(S14)。そして、これらのデータに基づいて記録可能画像枚数の計算を行う。
【0037】先ず、情報Aとして、リサイズを行わない場合に格納可能な画像枚数を算出して操作表示系114に表示する(S15)。この枚数は、例えば、残容量を現在設定されている記録画質モードの容量で除算する等の演算によって得ることができる。これによって撮影者は後何枚の撮影が可能かを知ることができる。尚、既に満杯のアラームを表示している場合には、本表示は行わなくても良い。
【0038】続いて、リサイズによる生成容量を算出するため、画像ファイルのヘッダに記録されているリサイズ可否情報がリサイズ可で記録画質がHQLのものを抽出する(S16)。そして、情報Bとして、抽出した全ての画像ファイルをリサイズした場合に格納可能な画像枚数を算出して操作表示系114に表示する(S17)。この枚数は、例えば、抽出した全ての画像ファイルの記録画質をSTDに変更した場合に生成する容量を残容量に加算して、現在設定されている記録画質モードの容量で除算する等の演算によって得ることができる。これによって撮影者はリサイズ処理後、何枚の撮影が可能かを知ることができる。
【0039】撮影者はこの情報A、情報Bを参照してリサイズの要否及びあと最大何枚の撮影が可能かを知ることができる。そこで、撮影者は、操作スイッチ系113から希望撮影枚数を設定入力するとともに、リサイズ実行操作を行う。
【0040】リサイズ実行指示が入力されたときは、リサイズ実行部124が起動して先ず撮影者によって希望撮影枚数が入力されているかどうかを調べる(S18)。希望撮影枚数が入力されている場合(S18 YES)は、その入力値を処理枚数(=n)として(S19)、次のステップS21に進む。希望撮影枚数が入力されていない場合(S18 No)は、デフォルト値を処理枚数(=n)として(S20)、次のステップS21に進む。
【0041】ここで、本実施の形態ではデフォルト値は1に設定されているため、特に希望撮影枚数を指定せずにリサイズ実行操作を行うと、後1コマだけ追加撮影が可能となる。但し、このデフォルト値は任意に指定することが可能であり、例えば情報Bで算出した最大枚数としても良く、また適当な数、例えば3であっても良い。
【0042】なお、このデフォルト値が1の場合は、必要最低限のリサイズを行なうものであるから、記録済みの画質を最大限維持できるという格別の効果を有するものであり、算出した最大枚数の場合は、可能なリサイズを全て実行するから、以後の撮影時において、リサイズの判断やリサイズの実動作を行なう必要が無いから、シャッターチャンスを失う可能性を最小にできるという格別の効果を有するものであり、3の場合は、上記2つの場合の各効果の両立を図りつつ、その際の「次の撮影可能枚数」として、中庸であり人間心理学的にも最適な数が確保されるという格別の効果を有するものである。
【0043】続いて、リサイズ実行部124はこの処理枚数nをインデックスとしてリサイズ処理を実行する。リサイズ実行部124は、記憶媒体を検索してリサイズ可能な画像ファイルの内、コマ番号の若い1枚の画像ファイルをリサイズする(S21)。そして、残容量を更新する(S22)と共に、該画像ファイル中のリサイズ可否情報をリサイズ不可に修正する(S23)。なおこの時、当然ながら、リサイズの実行に伴い、該画像ファイル中の記録画質情報はリサイズ後の画質に合わせて更新される。
【0044】次に、このリサイズにより処理枚数nだけ撮影可能な容量になったかどうかを判断し(S24)、まだその容量が生成されていない場合は(S24 No)、ステップS21に戻って処理を繰り返して実行する。その容量が生成されている場合は(S24 YES)、リサイズ処理を終了した旨を操作表示系114に表示して処理を終了する(S25)。
【0045】以上のようにして、リサイズ処理が実行されるが、本発明は、この実施の形態に限定されず種々のバリエーションで構成することができる。
【0046】先ず、リサイズ実行は撮影者が操作スイッチ系113から設定入力しているが、例えばリサイズ実行スイッチを設けて、その操作により実行を開始させるように構成しても良い。
【0047】また、希望枚数入力も撮影者が操作スイッチ系113から設定入力しているが、例えば枚数指定スイッチを設けて、その操作により希望枚数(最大枚数を含む)を入力させるように構成しても良い。
【0048】更に、リサイズはコマ番号の若い順序で実施しているが、コマ番号の大きいものから実施しても良く、ランダムな順番でリサイズするものであっても良い。
【0049】尚、本実施の形態では、実際に記録される記録画質モードの指定とリサイズ可否の指定は独立である。しかし、例えばモードとしてSTDが選択されている場合は、これ以下の画質モードはないためこの画像ファイルを更にリサイズすることはできない。そこでこのような場合は、リサイズ可否の選択に係らず強制的にリサイズ不可としてファイルに記録する、あるいは警告を発するなどの態様で構成しても良い。
【0050】次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。
【0051】本実施の形態では、記録画質モードはVGA(640×480;最大100KB)、STD(1280×960;最大400KB)、HQL(1920×1440;最大900KB)の3種類を用いる。この記録画質モードは、撮影者が操作スイッチ系113から選択することができ、デフォルトではHQLモードとなっている。なお、記憶媒体として32MBのメモリカードを用いた場合の画像の記録可能枚数は各モードでそれぞれ320枚と80枚と35枚となる。
【0052】また本実施形態では、画像に付帯記録される「リサイズ情報」としては第1実施形態で用いた「リサイズ可否情報」ではなく、リサイズの許容限度画質に相当する「リサイズ画質」を使用するものであるが、これについては後述する。
【0053】撮影者は、撮影に先立って操作スイッチ系113から記録画質モードとリサイズ可否に関する指示情報を設定入力する。この操作によって、システムコントローラ112ではリサイズ指示情報取込部121とリサイズ情報記録部122が起動してリサイズ処理のための準備処理を実行する。
【0054】図6は、リサイズ指示情報取込部121とリサイズ情報記録部122の概略の手順を示すフロー図である。
【0055】先ず、リサイズ指示情報取込部121は、撮影者が操作スイッチ系113から設定入力したリサイズ可否情報を取り込む(T1)。このリサイズ可否情報は2値情報であり、これから撮影するコマがリサイズが許可されるか禁止されるかを表している。
【0056】次に、現在の記録画質モードを読み込み(T2)、このリサイズ可否情報と記録画質モードに基づいて、記憶媒体に書き込む情報であるリサイズ画質を決定する(T3)。ここでリサイズ画質とは、どの画質までリサイズしても良いかを表す「許容限度画質」に相当する。
【0057】図7は、リサイズ画質を決定するための対応表10を示す図である。リサイズ可否情報がリサイズ不可の場合は、リサイズ画質を記録画質モードと同じ画質に指定することで、リサイズが不可であることを表現する。具体的には、記録画質がVGAのときはVGA、STDのときはSTD、HQLのときはHQLに決定する。リサイズ可否情報がリサイズ可の場合は、下記のようにリサイズ画質を決定する。
【0058】(1)記録画質モードがVGAの場合は、これ以下の画質モードはないためこの画像ファイルを更にリサイズすることはできない。そこで、リサイズが不可である警告を操作表示系114に出力するとともに、リサイズ画質をVGAとする。
【0059】(2)記録画質モードがSTDの場合は、これ以下の画質モードはVGAのみである。そこで、リサイズ画質をVGAとする。
【0060】(3)記録画質モードがHQLの場合は、これ以下の画質モードはSTDとVGAがある。そこで、操作表示系114にその旨を表示して、撮影者に対していずれかを選択して操作スイッチ系113より入力するように促す。
【0061】図8は、リサイズ画質を決定するための他の形態の対応表11を示す図である。本形態では、対応表10と異なりリサイズ可否情報がリサイズ可の場合のリサイズ画質は記録画質の1段階低い画質を選択するように構成している。このように構成することで、画質の低下を最小に押さえつつ容量の増加を図ることができる。
【0062】(1)記録画質モードがVGAの場合は、これ以下の画質モードはないためこの画像ファイルを更にリサイズすることはできない。そこで、リサイズが不可である警告を操作表示系114に出力するとともに、リサイズ画質をVGAとする。
【0063】(2)記録画質モードがSTDの場合は、これより1段階低い画質モードはVGAのみである。そこで、リサイズ画質をVGAとする。
【0064】(3)記録画質モードがHQLの場合は、これより1段階低い画質モードはSTDである。そこで、リサイズ画質をSTDとする。
【0065】尚、本発明では記録画質の1段階低い画質を選択することに限定されるものではなく、所定段階低い画質を選択するものであっても良い。
【0066】続いて、トリガーボタンが操作されて撮影が行われ、コマが処理されて画像ファイルが作成されたときは、リサイズ情報記録部122が起動して、その画像ファイルのヘッダに現在の画質モードとリサイズ画質を記録する(T4)。そしてこの処理の後、設定入力されたリサイズ可否情報をリセットして、改めてリサイズ可否情報が設定されるまでは、リサイズ不可の状態にシステムコントローラ112の内部データ等をイニシャライズする(T5)。
【0067】なお、この場合、リサイズの可否は記録画質とリサイズ画質とを比較することで判断できるから、上記したように画像ファイルのヘッダにはリサイズ可否情報の記録は不要であるが、冗長性を問わなければリサイズ可否情報を合わせ記録するようにしても良いことは勿論である。
【0068】以上のようにして、リサイズ処理のための準備処理が実行されるが、本実施の形態においても第1の実施の形態で説明したものと同様の種々のバリエーションで構成することができる。但し、このバリエーションの内容は既に説明しているため、再度の説明は省略する。
【0069】次に、リサイズ処理について説明する。リサイズ処理は、撮影者が任意の時点で操作スイッチ系113から操作したとき、或いは記憶媒体の残容量が所定量以下になったときに自動的に開始される。そして、このリサイズ処理は残容量算出部123とリサイズ実行部124が動作することで実行される。
【0070】図9、図10は、残容量算出部123とリサイズ実行部124の概略の手順を示すフロー図である。
【0071】残容量算出部123は記憶媒体の残容量を調べ(T10)、記憶媒体に新しい画像を記憶するだけの容量が不足している場合(T11 YES)には操作表示系114に満杯である旨のアラームを表示(T12)して、次のステップT13に進む。記憶媒体に新しい画像を記憶するだけの容量が不足していない場合(T11 No)にはアラーム表示は行わず、次のステップT13に進む。
【0072】続いて、残容量算出部123は、画像ファイルのヘッダに記録されている、記録画質とリサイズ画質とを取り出し(T13)、現在設定されている記録画質モードを調べる(T14)。その際、記録画質とリサイズ画質が同じ場合にはリサイズは不可であると判断する。そして、これらのデータに基づいて記録可能画像枚数の計算を行う。
【0073】先ず、情報Aとして、リサイズを行わない場合に格納可能な画像枚数を算出して操作表示系114に表示する(T15)。この枚数は、例えば、残容量を現在設定されている記録画質モードの容量で除算する等の演算によって得ることができる。これによって撮影者はあと何枚の撮影が可能かを知ることができる。尚、既に満杯のアラームを表示している場合には、本表示は行わなくても良い。
【0074】続いて、リサイズによる生成容量を算出するため、画像ファイルのヘッダに記録されている記録画質とリサイズ画質が異なるものを抽出する(T16)。そして、情報Bとして、抽出した全ての画像ファイルをリサイズした場合に格納可能な画像枚数を算出して操作表示系114に表示する(T17)。この枚数は、例えば、抽出した全ての画像ファイルの記録画質を変更した場合に生成する容量を残容量に加算して、現在設定されている記録画質モードの容量で除算する等の演算によって得ることができる。これによって撮影者はリサイズ処理後、何枚の撮影が可能かを知ることができる。
【0075】撮影者はこの情報A、情報Bを参照してリサイズの要否及びあと最大何枚の撮影が可能かを知ることができる。そこで、撮影者は、操作スイッチ系113から希望撮影枚数を設定入力するとともに、リサイズ実行操作を行う。
【0076】リサイズ実行指示が入力されたときは、リサイズ実行部124が起動して先ず撮影者によって希望撮影枚数が入力されているかどうかを調べる(T18)。希望撮影枚数が入力されている場合(T18 YES)は、その入力値を処理枚数(=n)として(T19)、次のステップT21に進む。希望撮影枚数が入力されていない場合(T18 No)は、デフォルト値を処理枚数(=n)として(T20)、次のステップT21に進む。
【0077】ここで、本実施形態ではデフォルト値は1に設定されているため、特に希望撮影枚数を指定せずにリサイズ実行操作を行うと、後1コマだけ追加撮影が可能となる。但し、このデフォルト値は任意に指定することが可能であり、例えば情報Bで算出した最大枚数としても良く、また適当な数、例えば3であっても良い。
【0078】続いて、リサイズ実行部124はこの処理枚数nをインデックスとしてリサイズ処理を実行する。リサイズ実行部124は、記憶媒体を検索してリサイズ可能な画像ファイルの内、コマ番号の若い1枚の画像ファイルをリサイズする(T21)。そして、残容量を更新する(T22)と共に、該画像ファイル中の記録画質情報をリサイズ後の画質に合わせて更新する(T23)。これによって記録画質とリサイズ画質が等しくなるから、以後のこの画像に対するリサイズは不可となる。
【0079】次に、このリサイズにより処理枚数nだけ撮影可能な容量になったかどうかを判断し(T24)、まだその容量が生成されていない場合は(T24 No)、ステップT21に戻って処理を繰り返して実行する。その容量が生成されている場合は(T24 YES)、リサイズ処理を終了した旨を操作表示系114に表示して処理を終了する(T25)。
【0080】以上のようにして、リサイズ処理が実行されるが、本実施の形態は第1の実施の形態で説明したものと同様の種々のバリエーションで構成することが可能である。但し、このバリエーションの内容は既に説明しているため、再度の説明は省略する。
【0081】以上説明したように各実施の形態によれば、種々の効果を得ることができる。
【0082】1コマ撮影時にその画像についてリサイズ可否を設定しておくため、記憶媒体が満杯に達した時点で短時間でリサイズコマを選択する必要がなく、不必要なリサイズによる画質の低下とシャッターチャンスを逃す恐れが少なくなる。
【0083】リサイズ可否の選択操作はスイッチによって簡便に行うように構成しているため容易な操作を実現することができる。また、リサイズ可否の選択操作にはリセットモードを設けているため、誤操作が継続することを防止することができる。
【0084】リサイズ前に、撮影可能枚数に関する情報を表示するように構成しているため、撮影者は安心して撮影を続行することができる。また、撮影を希望する枚数に応じてリサイズする枚数を設定できるように構成しているため、リサイズは必要な限度において実施され、画質の低下を少なくすることができる。
【0085】尚、本発明は、回路などのハードウェアを用いて構成しても良く、マイクロコンピュータに処理プログラムを組み込んで実現するものであっても良い。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、不必要なリサイズによる画質の低下と、シャッターチャンスの見逃しが生ずることの少ない画像処理装置、画像処理方法及び撮像装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される撮像装置の構成を示すブロック図。
【図2】リサイズ処理に係るシステムコントローラの構成を示す図。
【図3】リサイズ指示情報取込部とリサイズ情報記録部の概略の手順を示すフロー図。
【図4】残容量算出部とリサイズ実行部の概略の手順を示すフロー図。
【図5】残容量算出部とリサイズ実行部の概略の手順を示すフロー図。
【図6】リサイズ指示情報取込部とリサイズ情報記録部の概略の手順を示すフロー図。
【図7】リサイズ画質を決定するための対応表を示す図。
【図8】リサイズ画質を決定するための他の形態の対応表を示す図。
【図9】残容量算出部とリサイズ実行部の概略の手順を示すフロー図。
【図10】残容量算出部とリサイズ実行部の概略の手順を示すフロー図。
【符号の説明】
112…システムコントローラ
121…リサイズ指示情報取込部
122…リサイズ情報記録部
123…残容量算出部
124…リサイズ実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 記憶媒体に指定された画質で記憶される画像に対して、画質低下可否と許容限度画質とに関する情報の内少なくとも1つを含むリサイズ情報を関連付ける手段と、前記記憶媒体に記憶された前記関連付けられた画像の画質を、前記リサイズ情報に基づいてより画質の低下した画像とすることによって前記画像の記憶容量を低減するリサイズ実行手段とを備えたことを特徴とする画像記憶装置。
【請求項2】 前記リサイズ情報を前記画像とともに前記記憶媒体に記憶させるリサイズ情報記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像記憶装置。
【請求項3】 前記リサイズ情報を入力させるための操作手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の画像記憶装置。
【請求項4】 前記画質低下可否に関する情報を入力させるための手段は、画質低下可または否の選択スイッチであることを特徴とする請求項3記載の画像記憶装置。
【請求項5】 前記許容限度画質に関する情報が操作入力されなかった場合は、前記指定された画質に対して所定段階下位の画質を前記許容限度画質とすることを特徴とする請求項4記載の画像記憶装置。
【請求項6】 リサイズ後に生成される前記記憶媒体の空き記憶容量を予測して前記記憶媒体に追加記録可能な画像枚数を算出する枚数算出手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1の請求項に記載の画像記憶装置。
【請求項7】 前記記憶媒体に追加記憶を希望する画像枚数を入力する手段を有し、前記リサイズ実行手段は、前記希望枚数の画像が追加記憶できるように前記記憶媒体に記憶されたリサイズ対象画像を選択してリサイズすることを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか1の請求項に記載の画像記憶装置。
【請求項8】 記憶媒体に指定された画質で記憶される画像に対して、画質低下可否と許容限度画質とに関する情報の内少なくとも1つを含むリサイズ情報を関連付け、前記記憶媒体に記憶された前記関連付けられた画像の画質を、前記リサイズ情報に基づいてより画質の低下した画像とすることによって前記画像の記憶容量を低減することを特徴とする画像記憶方法。
【請求項9】 請求項1乃至8の内いずれか1の請求項に記載の画像記憶装置を備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2003−319337(P2003−319337A)
【公開日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−120855(P2002−120855)
【出願日】平成14年4月23日(2002.4.23)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】