説明

画像記録装置および画像データ処理方法

【課題】外部機器からの印刷指示に係る画像データに対する印刷処理の進捗度を比較的正確にユーザに知らしめる。
【解決手段】ラスタ単位に分割された画像データに基づいて被記録媒体に画像を記録するプリンタ装置100は、ホストコンピュータ10から、画像データとともにラスタ比率通知コマンドワードおよびそのパラメータを受信し、コマンドワード記憶部104に記憶する。プリンタ装置100は、印刷処理時に、印刷済みラスタ数を計数し、この印刷済みラスタ数を前記ラスタ比率通知コマンドワードのパラメータとして記述された比較用ラスタ数と比較し、印刷進捗度を確認する。この印刷進捗度はプリンタ装置100の表示部11に表示するか、または、ホストコンピュータ10に通知してその表示部19に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置からの印刷指示を受けて画像記録を行う画像記録装置、および、これに関連した、情報処理装置における画像データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホストコンピュータ等の外部機器から出力される画像データを受信して記録紙等の被記録媒体に記録するプリンタ等の画像記録装置が知られている。
【0003】
このような画像記録装置では、ホストコンピュータより送信されてくる画像データの全体量がわからないため、現在受信しているデータ、あるいは現在印刷中のデータが全画像データ量に対してどの程度の割合となっているか、あるいは例えば、後どれくらいの時間で印刷処理が終了するのか等を判別することはできなかった。
【0004】
また、プリンタドライバ等のホストコンピュータ側のアプリケーションで、プリンタの印刷状態を監視することができるものが存在する。しかしながら、これはホスト側からネットワークを通じて監視可能なプリンタの状態に基づくもので、例えば印刷中である、エラーが発生している、等の状態を知ることが可能なだけであり、実際にプリンタ側でどの程度印刷処理が進行しているかを正確に知ることはできなかった。
【0005】
特許文献1に開示された、画像データ先頭に全画像データ量を記述しこれを参照する方法によれば、現在受信しているデータ、あるいは現在印刷中のデータが全画像データ量に対してどの程度の割合となっているかを知ることができる。しかしながら、プリンタ等の画像記録装置においては、複数の画像構成要素間に空白部分が存在する場合や、画像の前半後半で画像構成要素が異なり、データ圧縮率が極端に変化する場合等、受信されたデータ量と、そのデータによって記録される実際の画像の量が必ずしも比例しない場合が多々ある。このため、現時点で受信されたデータ量の割合をもって、現時点で印刷済みである画像の量を正確に知ることはできず、表示部に表示されるデータ受信進捗と実際の印刷進捗が一致しないことがあった。
【特許文献1】特開平6−206360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って上記従来例では、外部機器であるホストコンピュータから送信される画像データに対して、プリンタ装置では、その画像データのうちのどの程度の印刷処理が終了したかを判別できず、ユーザは進行中の印刷結果を見て、印刷処理終了時刻を予想するか、印刷処理の終了を待つしかなかった。
【0007】
本発明はこのような背景においてなされたもので、外部機器からの印刷指示に係る画像データに対する印刷処理の進捗度を比較的正確にユーザに知らしめることができる画像記録装置および画像データ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による画像記録装置は、画像データとともにその単位処理量ごとの比率通知情報を受信して記憶する記憶手段と、記憶された画像データを処理して被記録媒体上に記録する記録手段と、前記画像データの印刷済み量を監視する監視手段と、現在の印刷済み量を前記比率通知情報と比較し、全画像データに対する当該印刷済み量の比率を確認する確認手段と、確認された比率に基づいて印刷進捗度を逐次更新表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
「単位処理量」とは画像データ全体を、予め定めた分割数で分割した処理量であり、例えば、画像データがラスタ処理される場合のラスタ数で表すことができる。
【0010】
「比率通知情報」は単位処理量の処理ごとに発行され、少なくとも、当該単位処理量までの処理量(実施の形態では比較ラスタ数)と画像データ全体の処理量に対する比率の情報を含む。現在の印刷済み量を前記比率通知情報と比較することにより、該当する比率がわかり、これに基づいて印刷進捗度が確認される。
【0011】
このようにして求められた印刷進捗度は、画像記録装置の表示部に表示されるか、または、当該印刷指示を発行した外部機器へ通知されその表示部に表示される。
【0012】
本発明による画像データ処理方法は、印刷対象の画像データを処理し、画像記録装置に対して印刷指示を発行する情報処理装置における画像データ処理方法であって、印刷対象の画像データについて、空白領域を除いた画像領域の総ラスタ数を算出するステップと、前記印刷対象の画像データをラスタデータに変換し、前記画像記録装置によって規定されるラスタデータ記述言語におけるラスタデータ送信コマンドワードを生成し、前記画像記録装置へ送信するステップと、生成されるラスタ数が所定数に達する毎に、その時点までの印刷済みラスタ数、および総ラスタ数に対する印刷済みラスタ数の比率を含む比率通知コマンドを生成し、前記画像記録装置へ送信するステップとを備えたことを特徴とする。
【0013】
前記所定数は、例えば、予め定めた分割数で前記総ラスタ数を除算して得られる数である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、外部機器から印刷指示に係る画像データとともにその単位処理量ごとの比率通知情報を画像記録装置へ送信し、画像記録装置での印刷処理時に、この比率通知情報に照らして画像データの印刷済み量を判断することにより、印刷処理と平行して印刷進捗度を比較的正確に求めることができる。また、この印刷進捗度を画像記録装置または外部装置の表示部上で視認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の第1の実施の形態の印刷システムを示す機能ブロック図である。この印刷システムは、印刷設定コマンドおよび印刷データを出力する外部機器(情報処理装置)としてのホストコンピュータ10と、その印刷設定コマンドおよび印刷データを受信して印刷動作を実行するプリンタ装置100とにより構成される。
【0017】
より具体的には、ホストコンピュータ10は、通常のPCと同様、制御部11、記憶部13、プリンタインタフェース(I/F)部15、操作部17、および表示部19を含む。制御部11はCPUのような情報処理を実行するプロセッサを含み、ホストコンピュータ10の全体を制御する。記憶部13は、各種のプログラムやデータを記憶するためのデバイスとして、メモリや外部記憶装置を含む。プリンタインタフェース部15は、プリンタ装置100への印刷指示を行うための通信インタフェースを構成する。操作部17は、キーボードやポインティングデバイスを含み、ユーザの入力インタフェースを提供する部位である。表示部19は、LCDやCRT等の表示デバイスを含み、ユーザに対する表示インタフェースを提供する部位である。
【0018】
本実施の形態におけるホストコンピュータ10の制御部11は、印刷データ生成開始時に、想定される全ての空白でない画像構成要素を含んだ画像長を、印刷する解像度でのラスタ数に変換し、有効画像長として記憶部13に記憶する。印刷データも記憶部13に記憶されているものとする。制御部11は、印刷データ生成処理を開始すると、生成された画像ラスタ数を計数し、前記した有効画像長に対する比率を順次算出する。この比率が所定の数値に達すると、該当するラスタデータを生成した直後にラスタデータ比率通知コマンドワードを挿入する。このコマンドワードには、コマンドパラメータとして、比較用ラスタ数、および有効画像長に対する当該ラスタデータ部分における進捗比率が記述されている。前記した所定の数値とは、例えば10%から90%までの10%刻みの数値であるが、印刷対象の画像のサイズに応じて分割数を変えるようにしてもよい。例えば、印刷する画像が極度に小さい場合等、特定の比率、例えば50%の数値のみにコマンドワードを挿入してもよいし、場合によっては全く挿入されることがなくとも構わない。
【0019】
プリンタ装置100では、受信制御部102が、ホストコンピュータ10から送られてくる印刷データ(コマンドワードを含む)を受信し、その受信したデータを受信バッファ103に格納する。
【0020】
コマンドワード記憶部104は、受信制御部102で受信したデータが前記ラスタ数比率コマンドワードであれば、コマンドにコマンドパラメータとして記述された比較用ラスタ数および全ラスタ数に対する比率を記憶する。コマンドワード記憶部104は、例えば配列形式のバッファ構成となっており、例えば前記した10%刻みの進捗比率をすべて保存するのに必要十分な10件のコマンドワードに関する配列要素を記憶可能な構成となっている。コマンドワード記憶部104は、各コマンドワードに対して配列構成要素400が割り当てられる構造体となっている。
【0021】
本実施の形態においては、各コマンドワードは、所定の処理単位毎に発行され、当該処理単位までの印刷済みラスタ数である比較用ラスタ数および全ラスタ数に対する当該処理単位までの進捗比率および当該処理単位が印刷済みか否かを示すフラグ(ON/OFF)を有する。各コマンドワード受信時、前記プリンタ内部処理の有無を示すフラグは必ずONとして記憶される。本実施の形態においては、配列バッファは添字0の配列構成要素400から使用され、添字9の配列構成要素400までを使い切った場合には、再度添字0の配列構成要素400におけるプリンタ内部処理の有無を示すフラグを参照する。このフラグが印刷済みを表す場合にはこの配列構成要素400を再度使用可能とする。印刷済みでない場合、データ解析処理を一時休止し、当該フラグが印刷済みとされるまで印刷制御部を待つ。
【0022】
データ制御部105は、受信バッファ103から受信した印刷データを読み出し、読み出した印刷データを印刷バッファ106に展開する。
【0023】
印刷制御部107は、印刷バッファ106から読み出した印刷データに従って記録部108を制御して記録紙に印刷する。また、印刷制御部107では、データ制御部105により読み出され、記録部108で印刷処理されたラスタ数を計数する。印刷制御部107は、印刷処理されたラスタ数がインクリメントされるごとに前記コマンドワード記憶部104の各配列要素における比較用ラスタ数を参照し、コマンドワード記憶部104の配列要素中でこの値が前記印刷処理されたラスタ数を下回ったものがあれば、対応する配列要素について順次印刷内部処理の有無を示すフラグをOFFとするとともに、後述する表示制御部109に、OFFとされた配列要素内の印刷進捗比率をパラメータとする表示変更コマンドを発行する。
【0024】
記録部108は、印刷制御部107より入力される印刷データを記録紙等の被記録媒体に印刷する。
【0025】
表示制御部109は、表示部110へのデータ表示を制御する。この表示部110は、各種データ等を表示する、例えばLCDやCRT等のディスプレイ装置である。表示制御部109は、印刷制御部107より受信した表示変更コマンドを受信し、表示部110における印刷進捗度の表示を更新する。
【0026】
このように、プリンタ装置100は、ホストコンピュータ10から印刷指示を受信すると、すべての画像データを受信する前に、受信済みの画像データ部分を逐次印刷処理していく。この際に、空白領域を除く実質的な画像領域のサイズおよびその各単位の境界がコマンドワード記憶部104の各コマンドワードのパラメータから判断できるので、すべての画像データを受信する前に、画像データの印刷処理の進行とともにその進捗比率を正確に確認することができる。
【0027】
図2はホストコンピュータ10において計数の対象となる画像データの範囲を示した図である。本実施の形態におけるプリンタ装置100は、画像の空白領域211〜213(画像領域L1,L2で示した範囲以外の領域)については、用紙搬送を急速に行って記録処理を省略することにより印刷時間が短縮されるような制御を行うものである。
【0028】
図3は本実施の形態のホストコンピュータ10における画像データ生成処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理の実行手順を表すプログラムはホストコンピュータ10内の図示しないメモリ内に格納され、制御部を構成するCPUがこれを解釈実行することにより、この処理が実現される。このフローチャートの説明に際して図2を参照する。
【0029】
まずステップS21において、ホストコンピュータ10における所定のユーザインタフェースを使用して入力されたユーザからの印刷開始トリガを受信する。この時、上記ユーザインタフェースを使用して印刷設定が別途入力されている場合はその印刷設定に基づいた画像データ生成処理を行い、また入力されていない場合は所定のデフォルト印刷設定に基づいた同処理を行う。
【0030】
次にステップS22において、出力画像サイズを算出する。例えば、図2に示した例では、ページ内に文字201と図形202を含む画像が存在する。このページ内で印刷される画像が存在する領域(空白以外の領域)の長さ(用紙搬送方向の長さ)はL1+L2=Lであり、これを印刷サイズとする。この時のサイズ単位系は、mm単位系でもよいし、inch単位系でもよい。
【0031】
次にステップS23において、前記した算出された印刷サイズおよび、前記した印刷設定において使用される所定の印刷解像度を用いて、画素単位系すなわち、実際に生成される画像データラインの単位系に変換された印刷サイズ(出力ラスタ数)を算出する。
【0032】
次にステップS24において、画像データの生成処理を行う。画像データ生成処理は、画像を水平方向に画素単位で分割したラスタデータを単位として行われ、画像先頭のラスタデータから順に生成される。生成されたラスタデータは、プリンタ装置によって規定されるラスタデータ記述言語におけるラスタデータ送信コマンドワードに変換され、プリンタI/F部15を通じて順次プリンタ装置に送信される。
【0033】
ステップS25においては、ステップS24で生成されたラスタデータを計数する。生成されたラスタデータ数が所定の割合すなわち、本実施の形態においては全印刷サイズ(出力ラスタ数)の10%、20%、…、90%に達した場合、ステップS26に移行する。また、これらの所定の割合に達しない場合、ステップS24〜S25を繰り返す。
【0034】
ステップS26においては、例えば後述する所定のコマンドフォーマットに基づいて、ラスタデータ比率通知コマンドワードを生成し、ラスタデータ送信コマンドワードと同様の手続きを用いてプリンタ装置に送信する。
【0035】
ステップS27においては、印刷データ生成処理の終了判断を行い、ステップS24〜S26を所定回数繰り返し、印刷データすべてをラスタデータ送信コマンドワードに変換すると処理終了と判断され、ステップS28に移行する。
【0036】
ステップS28においては、ホストコンピュータ10における所定の印刷終了処理を行い、画像データ生成処理は終了する。
【0037】
図4は本実施の形態におけるプリンタ装置100の受信制御部102の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理の実行手順を表すプログラムはプリンタ装置100内の図示しないメモリ内に格納され、各種制御部を構成するCPUがこれを解釈実行することにより、この処理が実現される。後述する他のフローチャートについても同様である。
【0038】
まずステップS41においては、ホストコンピュータ10から送出されてきたデータを受信し、ステップS42に移行する。
【0039】
ステップS42においては、ステップS41において受信した画像データ中のコマンドがラスタ数比率コマンドであるか否かを判断する。ラスタ数比率コマンドであればステップS44に進み、そうでなければステップS43に移行する。
【0040】
ステップS43においては、受信データを受信バッファ103に記憶する等、他のコマンド種類に対応した処理を行う。
【0041】
ステップS44においては、当該処理単位までの処理済みラスタ数である比較用ラスタ数(**lines)および全ラスタ数に対する当該処理単位までの進捗比率(**%)および当該処理単位が印刷済みか否かを示すフラグ(この時点では“ON”)を、コマンドデータ記憶部104に記憶する。
【0042】
ステップS45においては、データ受信がすべて終了したかどうかを判断し、終了した場合には受信制御部における処理を終了する。残りのデータが存在する場合には、ステップS41に戻り、ステップS41〜S45の処理を繰り返す。
【0043】
図5は本実施の形態のプリンタ装置の印刷制御部107における処理手順を示すフローチャートである。
【0044】
まずステップS51において、データ制御部105によって印刷バッファ106に展開された印刷データを取り出し、記録部108に出力して印刷を行う。
【0045】
次にステップS52に進み、記録部108において印刷したデータ量を計数する。ここで、計数する印刷データ量は、具体的には印刷の終了した画像ラスタの数である。
【0046】
次にステップS53に進み、コマンドワード記憶部104に配列要素として記憶されているラスタ数進捗通知コマンドワードのうち、先頭の配列要素の印刷内部処理フラグがONであるかを判断する。ここで、ONであった場合にはステップS56に移行する。OFFであった場合にはステップS54に移行する。
【0047】
ステップS54においては、全ての配列要素についてチェックを終え、なおかつ全ての配列要素中の印刷内部処理フラグがOFFであったかどうかを判断する。ここで全ての配列要素について印刷内部処理フラグがOFFであった場合には、コマンドワード記憶部104の記憶によるチェックを終了したものとし、ステップS58に移行する。全ての配列要素についてのチェックが終了していない場合、ステップS55に移行する。
【0048】
ステップS55においては、コマンドワード記憶部104における現在参照している配列要素のポインタをインクリメントし、次の配列要素を参照するように変更し、ステップS53に戻る。
【0049】
ステップS56においては、該当した配列要素パラメータについて、ラスタ数進捗コマンドワードに含まれる比較用ラスタ数と、ステップS52において計数された印刷済みラスタ数を比較し、印刷済みラスタ数が前記比較用ラスタ数と同等以上の数値に達しているかどうかを判定する。同等以上の数値に達している場合には、ステップS57に移行する。そうでない場合には、ステップS51に戻り、ステップS51〜S56の処理を繰り返す。
【0050】
ステップS57においては、表示制御部109へ、当該配列要素中の進捗比率をパラメータとして表示更新を行うための表示更新コマンドを発行するとともに、当該配列要素中の印刷内部処理の有無を示すフラグをOFFとする。
【0051】
次にステップS58に進み、印刷処理が全て終了したかどうかを判定する。全ての画像データに対して印刷処理が終了した場合には、ステップS59に進む。終了していない場合には、ステップS51に戻りステップS51〜S58の処理を繰り返す。
ステップS59においては、表示制御部109へ印刷進捗値を100%とした表示更新コマンドを発行するとともに、印刷制御部107における処理を終了する。
【0052】
図6は、本実施の形態のプリンタ装置の表示部110の表示例を示す図である。この表示例では、プリンタ装置が現在印刷中であることを示すステータス表示エリア601、印刷時間を示す時間表示エリア602、および印刷済みデータの割合を示すグラフエリア603が表示されている。時間表示エリア602に表示される印刷時間は、当該100%の画像データを印刷するのに要すると予測される印刷時間である。この印刷時間は、100%の画像データに対応する印刷時間を当該印刷の間、表示するようにしてもよいし、進捗度の%値の増加に比例して減少表示するようにしてもよい。
【0053】
グラフエリア603には、この例では、直線的に配列された10個のマスを示しており、この各マスの変化(ここでは白から黒への色の変化)により0%から10%刻みで100%までの進捗度を表すことができるようになっている。
【0054】
表示制御部109においては、前記した印刷制御部107より発行される表示更新コマンドを受信し、表示部110における表示内容を変更する。
【0055】
表示更新コマンドはコマンド本体およびパラメータより構成され、パラメータには印刷処理の印刷進捗値が含まれる。このパラメータの数値により、例えば図6に示されるグラフエリア603について、例えば20%ならば10マスのうち一端(ここでは左)から2マスを黒で表示し、20%の進捗度であることをユーザに知らしめる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7は本発明の第2の実施の形態に係る印刷システムを示す機能ブロック図である。このシステムのハードウェア構成は第1の実施の形態のものと実質的に同一である。第1の実施の形態と異なる点はシステムの動作であり、以下では、第1の実施の形態と同様の構成および動作については説明を省略し、主として相違点について説明する。
【0057】
本実施の形態では、プリンタ装置100内で印刷制御部107から表示制御部に表示更新コマンドが発行されるのではなく、印刷制御部107からホスト送信データ制御部112に印刷進捗通知コマンドの発行命令を発行し、ホスト送信データ制御部112がインタフェースを通じてホストコンピュータ10に表示更新命令を発行する構成となっている。これにより、ホストコンピュータ10のディスプレイ装置上に、プリンタ装置にて認識された印刷処理の進捗度を直接表示することが可能となる。なお、本実施の形態では、進捗度の刻みを第1の実施の形態の10%から5%に変えている。これはホストコンピュータ10の表示部19の表示画面がより大きいことを考慮したものであるが、第1の実施の形態と同じであっても構わない。
【0058】
図7において、ホストコンピュータ10の制御部11は、5%刻みで比率通知コマンドを生成すること以外、図3に示したと同じ処理を実行する。
【0059】
プリンタ装置100においては、コマンドワード記憶部104は、5%刻みの進捗比率をすべて保存するのに必要十分な20件のコマンドワードに関する配列構成要素405を記憶可能な構成となっている以外、第1の実施の形態と同様である。また、プリンタ装置100では、ホスト送信データ制御部112が、印刷制御部107より表示変更コマンドを受信し、これに基づいて、ホストコンピュータ10へ所定のフォーマットによる表示変更コマンドを送信する。
【0060】
ホストコンピュータ10は、前記したホスト送信データ制御部112から送信される表示変更コマンドを受信し、表示部19において、後述する図9に示すような印刷処理の進捗度表示画面を表示する。
【0061】
図8は本実施の形態のプリンタ装置の印刷制御部107における処理手順を示すフローチャートである。ホストコンピュータ10からプリンタ装置100の印刷バッファ106までに行われる処理については、第1の実施の形態において説明したものと同じであるため省略する。
【0062】
図8の処理において、まず、ステップS81において、データ制御部105によって印刷バッファ106に展開された印刷データを取り出し、記録部108に出力して印刷を行う。
【0063】
次にステップS82に進み、記録部108において印刷したデータ量を計数する。ここで、計数する印刷データ量は、具体的には印刷の終了した画像ラスタの数である。
【0064】
次にステップS83に進み、コマンドワード記憶部104に配列要素として記憶されているラスタ数進捗通知コマンドワードのうち、先頭の配列要素の印刷内部処理フラグがONであるかを判断する。ここで、ONであった場合にはステップS86に移行する。OFFであった場合にはステップS84に移行する。
【0065】
ステップS84においては、全ての配列要素についてチェックを終え、なおかつ全ての配列要素中の印刷内部処理フラグがOFFであったかどうかを判断する。ここで全ての配列要素について印刷内部処理フラグがOFFであった場合には、コマンドワード記憶部104の記憶によるチェックを終了したものとし、ステップS88に移行する。全ての配列要素についてのチェックが終了していない場合、ステップS85に移行する。
【0066】
ステップS85においては、コマンドワード記憶部104における現在参照している配列要素のポインタをインクリメントし、次の配列要素を参照するように変更し、ステップS83に戻る。
【0067】
ステップS86においては、該当した配列要素パラメータについて、ラスタ数進捗コマンドワードに含まれる印刷済みラスタ数と、ステップS82において計数された比較用ラスタ数を比較し、印刷済みラスタ数が前記比較用ラスタ数と同等以上の数値に達しているかどうかを判定する。同等以上の数値に達している場合には、ステップS87に移行する。そうでない場合には、ステップS81に戻り、ステップS81〜S86の処理を繰り返す。
【0068】
ステップS87においては、ホスト送信データ制御部112へ、当該配列要素中の進捗比率をパラメータとした表示更新コマンドの発行命令を発行するとともに、当該配列要素中の印刷内部処理の有無を示すフラグをOFFとする。
【0069】
次にステップS88に進み、印刷処理が全て終了したかどうかを判定する。全ての画像データに対して印刷処理が終了した場合には、ステップS89に進む。終了していない場合には、ステップS81に戻りステップS81〜S88の処理を繰り返す。
ステップS89においては、ホスト送信データ制御部112へ印刷進捗値を100%とした表示更新コマンドの発行命令を発行するとともに、印刷制御部107における処理を終了する。
【0070】
図9は本実施の形態のホストコンピュータ10に付随する表示部19への表示例を示す図である。この表示部19には、印刷進捗度の表示を行うウィンドウ900、印刷中であることを示すステータス表示エリア901、実際の印刷時間を示す時間表示エリア902、および印刷済みデータの割合を示すグラフエリア903が表示されている。このグラフエリア903には、100%時には20マスのグラフが表示されるようスペースが取られており、5%の印刷が終了するごとに一つのマスが表示される。
【0071】
ホスト送信データ制御部112においては、前記した印刷制御部107より発行される表示更新コマンドを受信し、所定のフォーマットに従ってホストコンピュータ10への表示更新コマンドを送信する。ホストコンピュータ10はホスト送信データ制御部112より発行された表示更新コマンドを受信し、表示部19上のウィンドウ900に対して、印刷進捗度表示を更新する命令を発行する。
【0072】
各表示更新コマンドはコマンド本体およびパラメータより構成され、パラメータには印刷処理の進捗値が含まれる。このパラメータの数値により、例えば図9に示されるグラフエリア903について、例えば40%ならば20マスのうち端から8マスを表示し、20%の進捗であることをユーザに通知する。
【0073】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。例えば、上述した刻み量は複数の刻み量からユーザが選択できるようにしたり、ユーザが任意の刻み量を指定したりできるようにしてもよい。
【0074】
上記説明では1ページの印刷についての印刷進捗度を表示する場合について説明したが、複数ページの印刷ジョブについて、全ページに亘る印刷データ全体を100%として、印刷進捗度を表示するようにしてもよい。
【0075】
プリンタ装置の記録方式については特に言及しなかったが、本発明は、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記憶方式等、ホストコンピュータから送出されるラスタ単位に分割された画像データに基づいて被記録媒体に画像を記録する任意の画像記録装置に利用することができる。
【0076】
上述した第1および第2の実施の形態は同時に併用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施の形態の印刷システムを示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態のホストコンピュータにおいて計数対象となる画像データ範囲を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態のホストコンピュータにおける画像データ生成処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態のプリンタ装置の受信制御部における処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態のプリンタ装置の印刷制御部における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態のプリンタ装置の表示部の表示例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る印刷システムを示す機能ブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のプリンタ装置の印刷制御部における処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態のホストコンピュータに付随する表示部への表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
10 ホストコンピュータ(外部機器)
11 制御部
13 記憶部
15 プリンタI/F部
17 操作部
19 表示部
100 プリンタ装置
102 受信制御部
103 受信バッファ
104 コマンドワード記憶部
105 データ制御部
106 印刷バッファ
107 印刷制御部
108 記録部
109 表示制御部
110 表示部
112 ホスト送信データ制御部
900 ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データとともにその単位処理量ごとの比率通知情報を受信して記憶する記憶手段と、
記憶された画像データを処理して被記録媒体上に記録する記録手段と、
前記画像データの印刷済み量を監視する監視手段と、
現在の印刷済み量を前記比率通知情報と比較し、全画像データに対する当該印刷済み量の比率を確認する確認手段と、
確認された比率に基づいて印刷進捗度を逐次更新表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
外部機器から送出されるラスタ単位に分割された画像データに基づいて被記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、
前記画像データを受信して記憶する受信データ記憶手段と、
前記画像データとともに受信したラスタ比率通知コマンドワードおよびそのパラメータを記憶するコマンドワード記憶手段と、
印刷済みラスタ数を計数する計数手段と、
前記印刷済みラスタ数を前記ラスタ比率通知コマンドワードのパラメータとして記述された比較用ラスタ数と比較し、印刷進捗度を確認する確認手段と、
前記印刷進捗度を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
前記ラスタ比率通知コマンドワードは、所定の処理単位毎に発行され、パラメータとして、当該処理単位までの印刷済みラスタ数である比較用ラスタ数および全ラスタ数に対する当該処理単位までの進捗比率を含むことを特徴とする請求項2記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記確認手段は、前記印刷済みラスタ数がいずれかの前記比較用ラスタ数を超えたとき、その比較用ラスタ数に対応する進捗比率に基づいて印刷進捗度を確認することを特徴とする請求項3記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記ラスタ比率通知コマンドワードは当該処理単位が印刷済みか否かを示すフラグを有し、前記確認手段は、このフラグに基づいて前記進捗比率の確認処理を行うことを特徴とする請求項3記載の画像記録装置。
【請求項6】
外部機器からの印刷指示に係る画像データとともにその単位処理量ごとの比率通知情報を受信して記憶する記憶手段と、
記憶された画像データを処理して被記録媒体上に記録する記録手段と、
前記画像データの印刷済み量を監視する監視手段と、
現在の印刷済み量を前記比率通知情報と比較し、全画像データに対する当該印刷済み量の比率を確認する確認手段と、
確認された比率を前記外部機器へ通知する通信手段と
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項7】
外部機器から送出されるラスタ単位に分割された画像データに基づいて被記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、
前記画像データを受信して記憶する受信データ記憶手段と、
前記画像データとともに受信したラスタ比率通知コマンドワードおよびそのパラメータを記憶するコマンドワード記憶手段と、
印刷済みラスタ数を計数する計数手段と、
前記印刷済みラスタ数を前記ラスタ比率通知コマンドワードのパラメータとして記述された印刷済みラスタ数と比較し、印刷進捗度を確認する確認手段と、
前記印刷進捗度を表す情報を前記外部機器へ通知する通信手段と
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項8】
印刷対象の画像データを処理し、画像記録装置に対して印刷指示を発行する情報処理装置における画像データ処理方法であって、
印刷対象の画像データについて、空白領域を除いた画像領域の総ラスタ数を算出するステップと、
前記印刷対象の画像データをラスタデータに変換し、前記画像記録装置によって規定されるラスタデータ記述言語におけるラスタデータ送信コマンドワードを生成し、前記画像記録装置へ送信するステップと、
生成されるラスタ数が所定数に達する毎に、その時点までの印刷済みラスタ数、および総ラスタ数に対する印刷済みラスタ数の比率を含む比率通知コマンドを生成し、前記画像記録装置へ送信するステップと
を備えたことを特徴とする画像データ処理方法。
【請求項9】
前記画像記録装置に対する印刷指示の後、当該印刷の進捗度を表す情報を前記画像記録装置から受信するステップと、
この受信した進捗度を表す情報を表示部に表示するステップと
を備えたことを特徴とする請求項8記載の画像データ処理方法。
【請求項10】
前記所定数は、予め定めた数で前記総ラスタ数を除算して得られることを特徴とする請求項8記載の画像データ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−223184(P2007−223184A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47681(P2006−47681)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】