説明

画像記録装置及び画像記録方法

【課題】希望した記録時間を確保するための画質及びコマ数の微調整を自動で行うことができる画像記録装置及び画像記録方法を提供する。
【解決手段】録画部11が、複数のカメラ20から出力される画像を複数のカメラ20に対応するカメラチャンネル毎に予め設定された設定内容に従って記録部12に記録し、制御演算部16が、録画部11による記録動作の開始から一定期間経過後に記録部12の残容量及び記録部12にカメラチャンネル毎に記録された画像のデータ量から記録部12の記録可能な残り記録時間を算出し、その算出結果に応じてカメラチャンネル毎に設定内容のうち画質又はコマ数を微調整する。これにより、希望した記録時間を確保できるようにするための画質及びコマ数の微調整を自動で行うことができ、画質及びコマ数の微調整を手動で行っていた従来の問題を解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカメラから出力される画像を記録する画像記録装置及び画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した画像記録装置においては、記録可能な時間は画像を記録するハードディスク等の記録装置の記録容量に因ることは勿論のこと、画像データ量(画質、レート(コマ数)等)に影響を受ける。また、画質毎に想定した画像データとコマ数から画像データ量を計算し、記録可能時間を算出することで、希望した記録時間の確保が可能となり、このため、ユーザは手動で画質及びコマ数の微調整を行っている。
【0003】
なお、特許文献1には、個々の番組の録画モードにおける予約録画時間を計算し、個々の番組の録画モードにおける予約録画時間に必要なテープ長を標準モードで録画したと仮定した場合の録画時間である標準モード換算録画時間に換算し、標準モード換算録画時間を全予約番組について合計することにより得られる合計録画時間情報を算出する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−135695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、希望する記録期間を確保するための画質及びコマ数の微調整を手動で行うには非常に手間がかかり、面倒であるという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、希望した記録時間を確保するための画質及びコマ数の微調整を自動で行うことができる画像記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像記録装置は、記録媒体と、複数のカメラから出力される画像を前記複数のカメラに対応するカメラチャンネル毎に予め設定された設定内容に従って前記記録媒体に記録する録画手段と、前記録画手段による記録動作の開始から所定期間経過後に前記記録媒体の残容量及び前記記録媒体に前記カメラチャンネル毎に記録された画像のデータ量から前記記録媒体の記録可能な残り記録時間を算出し、前記残り記録時間に応じて前記カメラチャンネル毎に前記設定内容のうち画質又はコマ数を微調整する制御演算手段と、を備えた。
【0008】
この構成によれば、希望した記録時間を確保するための画質及びコマ数の微調整を自動で行うことができる。
【0009】
また、上記構成において、前記設定内容は、前記記録媒体の希望記録時間と前記カメラチャンネル毎の画質、コマ数および前記画質及びコマ数のいずれを優先させるかを示す優先度を含む。
【0010】
この構成によれば、優先度に従って画質及びコマ数のいずれかを優先させることができる。
【0011】
また、上記構成において、前記制御演算手段は、微調整した前記設定内容のうち画質又はコマ数が予め設定された前記設定内容のうち画質又はコマ数から大きくかけ離れている場合、警告を発する。
【0012】
この構成によれば、ユーザは、微調整した画質又はコマ数が予め設定された画質又はコマ数から大きくかけ離れた場合にその状況を認識することができる。
【0013】
また、上記構成において、前記制御演算手段は、前記設定内容のうち希望記録時間を確保できないと判断した場合、警告を発する。
【0014】
この構成によれば、ユーザは、希望記録時間を確保できない場合に、その状況を認識することができる。
【0015】
また、本発明の画像記録方法は、複数のカメラから出力される画像を前記複数のカメラに対応するカメラチャンネル毎に予め設定された設定内容に従って記録媒体に記録する録画工程と、前記録画工程における記録動作の開始から所定期間経過後に前記記録媒体の残容量及び前記記録媒体に前記カメラチャンネル毎に記録された画像のデータ量から前記記録媒体の記録可能な残り記録時間を算出し、前記残り記録時間に応じて前記カメラチャンネル毎に前記設定内容のうち画質又はコマ数を微調整する制御演算工程と、を備えた。
【0016】
この方法によれば、希望した記録時間を確保するための画質及びコマ数の微調整を自動で行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、希望した記録時間を確保するための画質及びコマ数の微調整を自動で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像記録装置の概略構成を示すブロック図である。図1において、本実施の形態の画像記録装置1は、画像入力部10と、録画部11と、記録部12と、操作部13と、設定記憶部14と、表示部15と、制御演算部16とを備えている。画像入力部10は、複数のカメラ20から出力された画像を取り込み、録画部11へ出力する。録画部11は、複数のカメラ20から出力される画像を該複数のカメラ20に対応するカメラチャンネル毎に予め設定された設定内容に従って記録部12に記録する。記録部12はハードディスク等の大容量記憶装置である。
【0020】
操作部13は、画像記録装置1の動作を直接操作するためのものであり、操作に応じた信号を出力する。設定記憶部14は、上記設定内容を記憶する。設定する内容は、以下に示す「希望記録時間」、「画質」、「コマ数」、「画質及びコマ数のいずれを優先させるかを示す優先度」である。
・希望記録時間:1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年など
・カメラチャンネル毎の画質:高画質、標準画質、低画質など
・カメラチャンネル毎のコマ数:30枚/秒、15枚/秒、2枚/秒、1枚/秒、0.5枚/秒など
・カメラチャンネル毎の優先度:画質優先、コマ数優先、調整しない(画質もコマ数も変えたくない)など
・アラーム回数の目安:10回/日、30回/日、50回/日、100回/日など
【0021】
因みに、画像記録装置1を銀行に設置された監視システムに用いる場合の設定例を示す。
・希望記録時間:1年
・カメラチャンネル1(入り口):標準画質、2枚/秒、画質優先
・カメラチャンネル2(窓口):最高画質、1枚/秒、調整しない
・カメラチャンネル3(ATM):標準画質、1枚/秒、調整しない
・カメラチャンネル4(駐車場):標準画質、0.5枚/秒、コマ数優先
【0022】
ここで、「標準画質」及び「最高画質」は画質(録画画質)である。また、「2枚/秒」、「1枚/秒」及び「0.5枚/秒」はコマ数(録画コマ数)である。また、「画質優先」、「調整しない」及び「コマ数優先」は優先度である。「画質優先」の場合はコマ数を調整(上げる又は下げる)し、「調整しない」の場合は画質もコマ数も調整しない。「コマ数優先」の場合は画質を調整(上げる又は下げる)する。また、それまでに記録したデータ量に応じて、例えばカメラチャンネル1からの映像を多く(データ量大)記録していたとすると、カメラチャンネル1の方を先に調整(コマ数調整)し、その後、カメラチャンネル4の方を調整(画質調整)する。
【0023】
制御演算部16は、タイマ機能、記録時間算出機能、画質・コマ数調整機能を有し、これらの機能を使用して、録画部11による記録動作の開始から一定期間経過後に記録部12の残容量及び記録部12にカメラチャンネル毎に記録された画像のデータ量から記録部12の記録可能な残り記録時間を算出し、優先度に従ってカメラチャンネル毎に設定記憶部14に記憶された設定内容のうち画質又はコマ数を微調整する。また、制御演算部16は、警告発生機能を有し、微調整した画質又はコマ数が予め設定された画質又はコマ数から大きくかけ離れている場合と、希望記録時間を確保できないと判断した場合に警告を発する。この場合、警告を表示部15で表示するが、音声出力機能を追加して警告音を出力することも可能である。表示部15は、画像記録装置1の動作を示す表示を行う。例えば、上記設定内容の設定時には設定画面を表示すると共に操作部13で入力された数値や文字を表示する。
【0024】
なお、上記記録部12は記録媒体に対応し、上記録画部11は録画手段に対応し、上記制御演算部16は制御演算手段に対応する。
【0025】
次に、本実施の形態の画像記録装置1の動作について説明する。図2は、本実施の形態の画像記録装置1の動作を示すフローチャートである。なお、図2中ではチャンネルのことを“ch”で記載している。
【0026】
図2において、まず動作を開始させる前にユーザが記録部12に記録したい「希望記録時間」と、カメラチャンネル毎に「画質」、「コマ数」及び「優先度」の設定を行う。設定内容は制御演算部16によって設定記憶部14に記憶される。この設定処理が終了すると、制御演算部16は設定記憶部14に記憶した設定内容に従って録画を開始する(ステップST10)。次いで一定時間経過したかどうか判定し(ステップST11)、一定時間を経過していない場合は経過するまでこのステップを繰り返し、一定時間を経過した場合は記録部12の残容量を取得する(ステップST12)。記録部12の残容量を取得した後、カメラチャンネル毎の期間内の記録量を取得する(ステップST13)。次いで各カメラチャンネルの合計した記録期間を予測し、それが希望時間になるかどうか判定する(ステップST14)。予測した記録期間が希望時間になる場合はステップST11に戻り、希望時間にならない場合は記録部12の残容量が足りるかどうか判定する(ステップST15)。記録部12の残容量が足りる場合は優先度設定に従ってカメラチャンネル毎に画質・コマ数を変更する(ステップST16)。この場合、画質・コマ数を上げる。具体的には、上述した設定例を用いて説明すると、カメラチャンネル1は「画質優先」に設定されているので画質の設定は変更せずに、コマ数2枚/秒をコマ数1枚/秒に変更する。カメラチャンネル2、カメラチャンネル3は「調整しない」に設定されているので画質とコマ数も設定の変更はしない。カメラチャンネル4は「コマ数優先」に設定されているのでコマ数の設定は変更せずに、標準画質から高画質に画質の設定を変更する。
【0027】
次いで、変更後の画質・コマ数が予め設定した画質・コマ数から大きくかけ離れているかどうか判定し(ステップST20)、大きくかけ離れていない場合はそのままステップST11に戻り、大きくかけ離れている場合は警告を発する(ステップST21)。警告を発した後、ユーザによる設定要求が有るかどうか判定する(ステップST22)。ユーザは変更した画質・コマ数が予め設定した画質・コマ数から大きくかけ離れている場合は設定し直すので設定要求を出す。ユーザ設定要求が有れば、ユーザにより入力された値を設定する(ステップST23)。この設定後、ステップST11に戻る。また、ユーザ設定要求が無い場合はそのままステップST11に戻る。
【0028】
一方、上記ステップST15の判定において、記録部12の残容量が足りないと判断した場合は、記録時間の調整が可能であるかどうか判定し(ステップST17)、調整可能であると判断した場合、優先度設定に従ってカメラチャンネル毎の画質・コマ数を変更する(ステップST19)。この場合は画質・コマ数を下げる。画質・コマ数を変更した後、ステップST20に進み上記同様の処理を行う。また、ステップST17において、記録時間の調整が不可能であると判断した場合(希望記録時間を確保できないと判断した場合)は警告を発し(ステップST18)、ステップST11に戻る。
【0029】
このように、録画開始後、一定時間を経過した時点で記録部12の残容量を取得し、またカメラチャンネル毎の期間内の記録量を取得する。そして、記録期間を予測し、それが希望時間になるかどうか判定し、希望時間にならなければ記録部12の残容量が足りるかどうか判定して、足りる場合は優先度設定に従ってカメラチャンネル毎に画質・コマ数を上げる。また、足りない場合で調整可能であれば優先度設定に従ってカメラチャンネル毎に画質・コマ数を下げる。また、記録部12の残容量が足りない場合で且つ調整不可能であれば警告を発する。また、カメラチャンネル毎に画質・コマ数を上げるか又は下げるかして予め設定した画質・コマ数から大きく離れた場合も警告を発する。
【0030】
以上のように、本実施の形態の画像記録装置1によれば、録画部11が、複数のカメラ20から出力される画像を複数のカメラ20に対応するカメラチャンネル毎に予め設定された設定内容に従って記録部12に記録し、制御演算部16が、録画部11による記録動作の開始から一定期間経過後に記録部12の残容量及び記録部12にカメラチャンネル毎に記録された画像のデータ量から記録部12の記録可能な残り記録時間を算出し、その算出結果に応じてカメラチャンネル毎に設定内容のうち画質又はコマ数を微調整するので、希望した記録時間を確保できるようにするための画質及びコマ数の微調整を自動で行うことができ、画質及びコマ数の微調整を手動で行っていた従来の問題を解決することができる。
【0031】
また、上記設定内容は、希望記録時間、画質、コマ数、画質及びコマ数のいずれを優先させるかを示す優先度を含むので、該優先度に従って画質及びコマ数のいずれかを優先させることができる。
【0032】
また、制御演算部16は、微調整した画質又はコマ数が予め設定された画質又はコマ数から大きくかけ離れた場合に警告を発するので、ユーザは当該状況を認識することができる。
【0033】
また、制御演算部16は、設定内容のうち希望記録時間を確保できない場合にも警告を発するので、ユーザは当該状況を認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、希望した記録時間を確保するための画質及びコマ数の微調整を自動で行うことができるといった効果を有し、監視システムなどへの適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像記録装置の概略構成を示すブロック図
【図2】図1の画像記録装置の動作を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0036】
1 画像記録装置
10 画像入力部
11 録画部
12 記録部
13 操作部
14 設定記憶部
15 表示部
16 制御演算部
20 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体と、
複数のカメラから出力される画像を前記複数のカメラに対応するカメラチャンネル毎に予め設定された設定内容に従って前記記録媒体に記録する録画手段と、
前記録画手段による記録動作の開始から所定期間経過後に前記記録媒体の残容量及び前記記録媒体に前記カメラチャンネル毎に記録された画像のデータ量から前記記録媒体の記録可能な残り記録時間を算出し、前記残り記録時間に応じて前記カメラチャンネル毎に前記設定内容のうち画質又はコマ数を微調整する制御演算手段と、
を備えた画像記録装置。
【請求項2】
前記設定内容は、前記記録媒体の希望記録時間と前記カメラチャンネル毎の画質、コマ数および前記画質及びコマ数のいずれを優先させるかを示す優先度を含む請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記制御演算手段は、微調整した前記設定内容のうち画質又はコマ数が予め設定された前記設定内容のうち画質又はコマ数から大きくかけ離れている場合、警告を発する請求項1又は請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記制御演算手段は、前記設定内容のうち希望記録時間を確保できないと判断した場合、警告を発する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
複数のカメラから出力される画像を前記複数のカメラに対応するカメラチャンネル毎に予め設定された設定内容に従って記録媒体に記録する録画工程と、
前記録画工程における記録動作の開始から所定期間経過後に前記記録媒体の残容量及び前記記録媒体に前記カメラチャンネル毎に記録された画像のデータ量から前記記録媒体の記録可能な残り記録時間を算出し、前記残り記録時間に応じて前記カメラチャンネル毎に前記設定内容のうち画質又はコマ数を微調整する制御演算工程と、
を備えた画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−4331(P2010−4331A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161589(P2008−161589)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】