説明

画像診断システム及び画像診断方法

【課題】天板の位置きめ及び固定を簡便に行うことができ、利便性を向上することができ、床にレールを設ける必要がない画像診断システム及び画像診断方法を提供する。
【解決手段】手術基台上の仮位置に置かれた天板を位置調整し、その天板から離れて置かれ、開口部を有する架台を天板側へ移動して、架台の開口部に前記天板が入るようにし、前記天板に載置された被検体の撮影を行う画像診断システムであって、前記架台の位置に対する前記手術基台の相対位置を検出する位置検出部と、前記手術基台上で前記天板を水平方向に駆動するための天板駆動部と、前記仮位置に置かれた前記天板の前記架台の開口部に対するずれ量を、前記位置検出部により検出された前記手術基台の相対位置に基づいて算出する算出部と、前記ずれ量に基づいて、前記天板駆動部を制御して、前記架台の開口部に入ることが可能な位置に前記天板を駆動する天板制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術基台上の仮位置に置かれた天板を位置調整し、架台の開口部に前記天板が入るようにし、前記天板に載置された被検体の撮影を行う画像診断システム及び画像診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術前の画像に基づき手術計画を立て、ナビゲーションにより手術を進行する。しかし、例えば、脳外科手術では、開頭時に脳の変形(ブレインシフト)が生じる。そのため、手術前の画像で手術計画を立てる時と、開頭時とでは、脳の状態や脳の位置関係が異なる。このように、手術を進めるに従って脳の状態や脳の位置関係が変化する。脳の状態や脳の位置関係の変化を確認しながら手術を進めていく要求がある。
【0003】
また、腫瘍の取り残しがないか否かを確認することができる蛍光観察がある。蛍光観察では、腫瘍に特異的に集積する薬剤の集積状況を観察する。手術中に蛍光観察を行なうことにより、腫瘍の取り残しがないか否かを確認しながら手術を進めていく要求もある。
【0004】
このような要求から、近年、脳外科手術などにおいて、手術中の画像支援が注目を浴びている。この画像支援は、手術中に画像を取得し、その場で、患部の状態や患部の位置関係を確認し、あるいは、腫瘍の取り残しがないか否かを確認した上で、また、治療の効果を判定した上で、治療方針を手術中に修正するものである。
【0005】
手術中に画像を取得するためには、患者を手術用寝台からMRI(magnetic resonance imaging)やCT(computer tomography)等の画像診断装置の寝台に移載する。手術用寝台と画像寝台装置の寝台間の患者の移し替えには、患者の体位等を維持したままで行う必要がある。その理由は、第1に、患者に対する安全性に配慮するため、第2に、患部の状態や患部の位置関係の変化を抑えるため、第3に、体位等の変更をする分だけ手間がかかるためである。
【0006】
患者の体位等を維持したままで、患者を手術用寝台から画像診断装置の寝台に移載する場合、少なからず体力を必要とし、また、細心の注意を払う必要もあり、病院スタッフに大きな負担がかかる。
【0007】
病院スタッフに大きな負担がかからないように、患者が載置された手術用寝台を画像診断装置の所まで移動し、手術用寝台に載置された患者を撮像するシステムが考えられる。このシステムは、手術用寝台を画像診断装置の寝台として使うものである。
【0008】
このシステムにおいては、病院スタッフに可能な限り負担をかけないように、以下の要請が考えられる。第1は、手術用寝台の位置決め及び固定を簡便に行うという要請である。第2は、なるべく多くの種類の手術用寝台を、画像診断装置の寝台として使えるようにして、システムの利便性を向上するという要請である。第3は、手術用寝台が移動する経路(床)に案内レールなどを敷設せず、経路上(床面)に凹凸をなくすことにより、手術用寝台に伴って移動する病院スタッフに対する安全性を向上し、また、衛生環境を向上するという要請である。
【0009】
以下に従来の技術を示す。床に寝台が固定され、寝台には案内機構が設けられ、案内機構により天板が各撮影領域に案内可能としたシステムがある(例えば、特許文献1)。
【0010】
また、画像診断装置の寝台とストレッチャとの高さを合わせるための高さ調整機構、及び、寝台とストレッチャとの間に天板を案内するための案内機構を備えたシステムがある(例えば、特許文献2)。
【0011】
さらに、画像診断装置の架台を中心にして、寝台とは反対側に手術用寝台を設置し、架台を鉛直軸中心に180度回動し、架台を手術用寝台の方へ前進させるシステムがある(例えば、特許文献3)。
【0012】
さらに、複数の医用装置の間で共用される寝台が、床に敷設されたレールにより、各医用装置の所定位置に移動するシステムがある(例えば、特許文献4)。
【0013】
【特許文献1】特開平4227236号公報
【特許文献2】特開平7−148156号公報
【特許文献3】特開平9−220223号公報
【特許文献4】特開2005−52308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記各特許文献に記載された技術では、以下の問題点があった。
特許文献1では、床に案内機構がないため、床に凹凸を設ける必要がなく、病院スタッフに対する安全性を確保する観点からまた衛生上の観点からも優れているものである。しかし、天板を案内するための案内機構の構成上、天板を案内できる距離は限られるため、場合によっては、手術が行なわれている所から画像診断装置の方へ天板を案内することができず、天板を画像診断装置の寝台として使うことができないという問題点があった。
【0015】
特許文献2では、画像診断装置の寝台とストレッチャとの高さを合わせるための高さ調整機構を備えているので、病院スタッフに大きな負担をかけることがない。しかし、案内機構によって対応できる天板は、1種類に限られるため、他の種類の天板を案内することができず、システムの利便性を向上することができないという問題点があった。
【0016】
特許文献3では、手術用寝台に載置された患者を画像診断装置によって撮像することができ、患者を手術用寝台から画像診断装置の寝台に移し替える必要がなく、大きな負担が病院スタッフにかかることはない。しかし、画像診断装置の架台を中心にして寝台とは反対側に手術用寝台が固定されているため、その手術用寝台を他の手術用寝台に交換することは実質的に不可能であり、手術用寝台が1種類に限られるため、同じく、他の手術寝台を用いることができず、システムの利便性を向上することができないという問題点があった。
【0017】
特許文献4では、床に敷設されるレールが床面に凹凸を作るため、病院スタッフが寝台に伴って移動する際に、レールに注意を払う必要がある。また、衛生上の配慮が必要になるという問題点があった。
【0018】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、天板の位置きめ及び固定を簡便に行うことができ、利便性を向上することができ、床にレールを設ける必要がない画像診断システム及び画像診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に記載の発明は、手術基台上の仮位置に置かれた天板を位置調整し、その天板から離れて置かれ、開口部を有する架台を天板側へ移動して、架台の開口部に前記天板が入るようにし、前記天板に載置された被検体の撮影を行う画像診断システムであって、 前記架台の位置に対する前記手術基台の相対位置を検出する位置検出部と、前記手術基台上で前記天板を水平方向に駆動するための天板駆動部と、前記仮位置に置かれた前記天板の前記架台の開口部に対するずれ量を、前記位置検出部により検出された前記手術基台の相対位置に基づいて算出する算出部と、前記ずれ量に基づいて、前記天板駆動部を制御して、前記架台の開口部に入ることが可能な位置に前記天板を駆動する天板制御部と、を有することを特徴とする画像診断システムことを特徴とする画像診断システムである。
【0020】
請求項5に記載の発明は、開口部を有する架台側へ手術基台を移動するステップと、前記架台の位置に対する前記手術基台の相対位置を位置検出部が検出するステップと、前記手術基台上の仮位置に置かれた天板の前記架台の開口部に対するずれ量を、前記位置検出部により検出された前記手術基台の相対位置に基づいて算出部が算出するステップと、前記算出されたずれ量を受けて、天板制御部が前記天板駆動部を制御するステップと、天板制御部からの制御信号を受けて、天板駆動部が前記手術基台上で前記天板を水平方向に駆動し、前記架台の開口部に入ることが可能な位置に前記天板を駆動するステップと、前記天板を駆動するステップに続いて、架台制御部が架台移動機構を制御するステップと、架台制御部からの制御信号を受けて、前記架台移動機構が前記架台を移動して、前記架台の開口部に天板が入るようにし、天板に載置された被検体の撮影を行うステップとを有することを特徴とする画像診断方法である。
【発明の効果】
【0021】
この発明によると、位置検出部の検出結果に基づき、仮位置にある天板のずれ量を算出し、算出されたずれ量に基づき、架台の開口部に入ることが可能な位置に天板を位置調整するので、天板の位置きめ及びその固定を簡便に行うことができ、また、複数種類の天板を位置きめ及び固定をすることができ、システムの利便性を向上することができ、さらに、天板を適切な撮影位置に移動し、位置決め及び固定するようにしたので、案内レールによって天板を案内する必要がなく、床に案内レールを敷設しないで済む。
【0022】
また、この発明によると、天板の位置調整が完了すると、架台が天板側へ移動を開始するので、天板と架台とが連動し、システムの利便性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(構成)
本発明に係る一実施形態に係る画像診断システムを、撮影前までに必要とされる撮影前のシステムと、撮影時に必要とされる撮影時のシステムとに分けて説明する。
[撮影前のシステム]
本発明の一実施形態に係る画像診断システムについて図1を参照して説明する。図1は、画像診断システムにおいて、架台装置1及び手術台装置3の配置を示す斜視図である。
【0024】
本画像診断システムでは、撮影前に、手術台装置3は、手術が行なわれる手術位置B1(図1で想像線で示す位置)から所定位置B2(図1で実線で示す位置)に移動する。そして、手術台装置3は、所定位置B2に固定される。手術台装置3は、手術用及び画像診断用の両方の寝台として用いられる。
【0025】
撮影前には、架台装置1は、手術台装置3から離れた待機位置A1(図1で想像線で示す位置)に置かれる。また、架台装置1は、撮影時には所定位置B2に接近した位置A2(図1で実線で示す位置)にガイドレール4により案内される。撮影時には、架台装置1は移動(図1に示すA方向の移動)と共に撮影を行う。
【0026】
次に、図2を参照にして、画像診断システムの構成を説明する。図2は、画像診断システムの構成を示すブロック図である。画像診断システムは、架台装置1、CTシステム2及び手術台装置3を備えて構成されている。架台装置1は、架台13と、架台駆動部16と、架台移動機構17と、架台位置検出部18とを備えて構成されている。
【0027】
架台13はその中央に開口部13aを有している。X線管11とX線検出器12とが、架台13の開口部13aを中心にして対向するように配置されている。
【0028】
CTシステム2は、システム制御部21と、架台移動制御部22と、コンソール29と、保持部52とを備えて構成されている。
【0029】
手術台装置3は、手術基台31と、天板駆動部32と、天板37と、天板制御部38と、算出部39、表示部41と、入力部42と、記録部53を備えて構成されている。天板37には被検体Pが載置される。
【0030】
次に、図1〜図4に基づいて、手術台装置3の構成について説明する。図3は、架台と天板との位置関係を示した平面図である。
【0031】
図1に示すように、所定位置B2には矩形状枠であるマーク5が印されている。手術が行われる位置B1から所定位置B2に移動された手術台装置3において、その手術基台31は、マーク5の中に納められる。マーク5は手術基台31の外形より大きめに設定されている。手術基台31をマーク5内に納めただけでは、天板37は、天板37の中心軸L2が架台13の開口部13aの中心軸L1に対してずれた仮位置にある。
【0032】
図3に示すように、天板37が仮位置にあるとき、天板37は、架台13の開口部13aに対して以下のずれ量がある。例えば、架台13の開口部13aの中心軸L1の方向にずれ量D1がある。また、横方向のずれ量D2もある。さらに、回転方向のずれ量θもある。なお、高さ方向のずれ量も考えられるが、図3では示していない。
【0033】
ヘリカルスキャンにおいては、架台13の開口部13aに天板37が相対的に入って、天板37に載置された被検体Pが撮影されるため、上記のずれ量D1,D2,θ、及び高さ方向のずれ量をなくして、天板37の中心軸L2が架台13の開口部13aの中心軸L1と一致させる必要がある。各方向のずれ量に基づいて、天板駆動部32を制御して、天板37が架台13の開口部13aに相対的に入るように、天板37を駆動する。各方向のずれ量がなくなると、天板37の中心軸L2が架台13の開口部13aの中心軸L1と一致するようになる。ここでは、中心軸L2が中心軸L1に完全に一致しなくても、各方向のずれ量が許容範囲内に収まっていれば、中心軸L2が中心軸L1に一致していることとする。
【0034】
図4は、手術台装置3の分解斜視図である。図2及び図4に示すように、天板37は、天板駆動部32によって手術基台31に取付けられている。天板駆動部32は、天板37を、天板37の中心軸L2の方向(被検体Pの体軸方向)、その天板37の中心軸L2の方向に対し水平方向で直交する横方向、鉛直軸回りに回転する方向、鉛直方向である高さ方向の一またはそれらの組み合わせの方向に駆動する。
【0035】
図2に示すように、天板駆動部32は、体軸方向移動機構33、横方向移動機構34、高さ方向移動機構35、及び回転機構36から構成されている。体軸方向移動機構33及び横方向移動機構34は、いわゆるXYテーブルである。高さ方向移動機構35は、2本のアーム35a、35bを折り畳むことで、天板37を下方に移動し、また、伸展することで、天板37を上方へ移動する。
【0036】
天板37のずれ量を求めるためには、所定位置B2に置かれた手術基台31の架台13の待機位置A1に対する相対位置を検出する必要がある。
【0037】
次に、手術基台31の移動及び固定について、また、手術基台31の相対位置を検出するための位置検出部について、図5及び図6を参照にして説明する。図5は、手術基台31の正面図であり、(a)は移動体が床に着いている状態、(b)は脚部材が床に着いている状態を示す図である。
【0038】
手術基台31に設けられ、手術基台31を支えながら床上を移動する移動体43と、手術基台31に設けられ、手術基台31から床に向かって出没可能に構成された脚部材44と、脚部材44を突出させて床に着け、移動体43を浮かせることで、手術基台31を固定し、脚部材44を没入させて床から離し、移動体43による手術基台31の移動を可能とする脚駆動部45とを有している。脚部材44を突出させる簡便な操作により、脚部材44により手術基台31を床に固定することができる。また、脚部材44を没入させる簡便な操作により、手術基台31を移動可能な状態にすることができる。
【0039】
図5に示すように、移動体43は例えば足車である。脚部材44は例えばスクリュー部材である。脚駆動部45は、例えば脚部材44に螺合するナット部材を有している。入力部42の指令を受けて、ナット部材が正逆回転し、脚部材44を出没させる。なお、手術基台31の固定は、図5に示す脚部材44に限らない。例えば、ブレーキ部材により、足車などの移動体43を制動するようにしても良い。
【0040】
図5及び図6に示すように、手術基台31の両端部には球状の導体46が設けられている。また、各導体46に対して3個の位置検出部51が床に設けられている。ここで、位置検出部51は距離検出器である。なお、手術基台31、移動体43及び脚部材44は、樹脂などの非導体材料により成形されている。
【0041】
位置検出部51は、床面に対して凹凸がないように設置される。距離検出器である位置検出部51は、コイルを有している。コイルに交流を流すと、導体46に渦電流が発生する。渦電流が発生すると、磁界ができ、その磁界の影響を受けてコイルの電気値(インピーダンス)が変化する。インピーダンスの変化を検出することにより位置検出部51から導体46までの距離が検出可能となる。ここでは、コイルは、導体46に渦電流を発生させるための励磁用のコイルと、渦電流によりできる磁界を検出する検出用のコイルとの2つの役割を持っているが、励磁用のコイルと検出用のコイルとを別々に設けても良い。
【0042】
具体的には、図6に示すように、導体46に対して3個の位置検出部51が配置される。各位置検出部51は、各位置検出部51から導体46までの3つの距離R1,R2,R3を検出する。検出された3つの距離R1,R2,R3から1つの導体46の位置O(x,y)を特定することができる。同じように、他の1つの導体46の位置も特定する。2つの導体46の位置から、手術基台31の架台13に対する相対位置が検出される。算出部39は、手術基台31と天板37との位置関係を予め算出しておくことにより、手術基台31の架台13に対する相対位置から図4に示す天板37の各ずれ量D1,D2,θを算出することができる。
【0043】
3個の位置検出部51は直線上に並ばないように配置される。その理由を図6を参照にして説明する。図6では、直線RL上の位置A及び位置Bに、1番目及び2番目の位置検出部51がそれぞれ配置されている。位置Aの座標は(x1,y1)、位置Bの座標は(x2,y2)である。直線RL上から離れた位置Cに3番目の位置検出部51が配置されている。位置Cの座標は(x3,y3)である。
【0044】
1番目及び2番目の位置検出部51の位置A、Bからの距離がR1、R2である位置(点)を探すと、位置Oと位置O’がそれぞれ求まる。位置Oの座標は(x,y)、位置O’の座標は(x’,y’)である。
【0045】
次に、3番目の位置検出部51の位置Cからの距離R3である位置(点)を探すと、座標(x,y)が求まる。座標(x、y)は、導体46の位置Oの座標である。それにより、導体46の位置を1つに特定することができる。
【0046】
もう1つの導体46の位置も同様にして特定することができ、2つの導体46の位置から手術基台31の位置を算出し、手術基台31の位置から天板37のずれ量を算出することができる。なお、位置O’が求める対象から外れたのは、位置Cから位置O(x,y)までの距離R3’であり、R3と異なるからである。
【0047】
3番目の位置検出部51の位置Cが直線RL上にある仮定する。すなわち、3個の位置検出部51が直線R1上に並んで配置される場合を仮定する。
【0048】
3番目の位置検出部51の位置Cからの距離がR3である位置(点)を探すと、座標(x,y)及び座標(x’,y’)が求まる。それは、位置Cから位置Oまでの距離R3と、位置Cから位置O’までの距離R3’とが等しいからである。それにより、導体46の位置を1つに特定できず、結果的に、天板37のずれ量を算出することができない。このようなために、3つの位置検出部51が同一直線上に配置されないようにする。
【0049】
以上により、図1に示すマーク5の中に手術基台31が固定されると、位置検出部51は、手術基台31の架台13の位置に対する相対位置を検出する。また、その相対位置から、仮位置に置かれた天板37の架台13の開口部13aに対するずれ量を算出部39が算出する。その天板37のずれ量に基づいて、以下の制御が行なわれる。
【0050】
次に、天板制御部38が、天板37のずれ量に基づいて行なう制御を説明する。
図7は、保持部52の天板特性テーブルを示す図である。図8は、天板特性テーブルを説明した図である。図7及び図8に示すように、天板特性テーブルは、天板37の特性を手術台装置3毎に関係付けている。天板37の特性には、高さ方向調整範囲、背もたれ角度調整範囲、体軸方向調整範囲、横方向調整範囲、及びオーバーラップの最大量がある。なお、背もたれ角度調整範囲については、天板37の位置調整に直接関係しないため、その説明を省略する。
【0051】
天板制御部38は、天板37の各方向のずれ量が天板37の特性の範囲内であるか否かを判断する。天板制御部38は、システム制御部21に対し取得要求をし、天板特性テーブルから天板37の特性を取得する。天板制御部38は、取得した特性データを天板37の各方向のずれ量と比較する。
【0052】
例えば、図7に示す手術台装置「A」において、横方向のずれ量50mmが算出され、天板制御部38に入力された場合、天板制御部38は、天板特性テーブルから手術台装置「A」の横方向調整範囲「-60〜60mm」を取得する。天板制御部38は、横方向のずれ量50mmと横方向調整範囲「-60〜60mm」とを比較する。横方向のずれ量が横方向調整範囲内である場合に、天板制御部38は、横方向のずれ量に応じた制御信号としてのパルスの生成を行なう。
【0053】
一方、横方向のずれ量70mmが算出され、天板制御部38に入力された場合、天板制御部38は、横方向のずれ量70mmと横方向調整範囲「-60〜60mm」とを比較する。横方向のずれ量が横方向調整範囲外である場合に、図示しない表示制御部が表示部41にエラーメッセージを表示する。同様にして、天板制御部38は、体軸方向のずれ量が体軸方向調整範囲内であるか否かも判断する。また、天板制御部38は、高さ方向のずれ量が高さ方向調整範囲内であるか否かも判断する。
【0054】
次に、体軸方向、横方向、及び高さ方向の各ずれ量が天板37の各特性の範囲内である場合に、天板制御部38がどのように制御信号を生成するかについて説明する。体軸方向移動機構33、横方向移動機構34、高さ方向移動機構35及び回転機構36の各天板駆動部32は、一定量の入力を受けて天板37を移動させる量が異なることによる特性で複数種類に分類される。各天板駆動部32の動力源は、ステッピングモータ134である。ステッピングモータ134は、自己保持力を持っている。ステッピングモータ134の自己保持力によって、天板37を所定の位置に保持(固定)することができる。
【0055】
ステッピングモータ134は、フルステップの励磁方式の場合、パルスが1回送られるたびに、一定の角度(ステップ角)だけ回転する。以下、ステッピングモータ134の励磁方式がフルステップであるとして説明する。
【0056】
図9は、記録部53の天板駆動部特性テーブルを示す図である。図9において、天板駆動部名「A001」は、例えば、体軸方向移動機構33及び横方向移動機構34である。天板駆動部名「A001」では、1ステップ当たりの天板の移動量(体軸方向の移動量及び横方向の移動量)は、それぞれ「0.00005mm/step」である。これは、1mm所定方向へ移動するためには20000ステップ(パルス)が必要であることを示している。
【0057】
また、例えば、天板駆動部名「A002」は、高さ方向移動機構35である。天板駆動部名「A002」では、1ステップ当たりの天板の移動量(体軸方向の移動量及び横方向の移動量)は、それぞれ「0.000025mm/step」である。これは、1mm所定方向へ移動するためには、40000ステップ(パルス)が必要であることを示している。
また、例えば、天板駆動部名「B001」は、回転機構36である。天板駆動部名「B001」では、1ステップ当たりの天板の振れ角度量は、「0.036°θ/step」である。これは、1.8°振るためには、500ステップ(パルス)が必要であることを示している。
【0058】
各天板駆動部32のステッピングモータ134は、以上のような特性を有しているため、例えば、体軸方向のずれ量が移動量10mmに相当した場合、天板制御部38は、200000パルスを生成して、天板駆動部名「A001」である体軸方向移動機構33へ出力する。また、例えば、横方向のずれ量が移動量10mmに相当した場合、天板制御部38は、200000パルスを生成して、天板駆動部名「A001」である横方向移動機構34へ出力する。
【0059】
さらに、例えば、高さ方向のずれ量が移動量10mmに相当した場合、天板制御部38は、400000パルスを生成して、天板駆動部名「A002」である高さ方向移動機構35へ出力する。さらに、例えば、回転方向のずれ量が振れ角度量18°に相当した場合、天板制御部38は、5000パルスを生成して、天板駆動部名「B001」である回転機構36へ出力する。
【0060】
次に、天板制御部38がパルスを生成して、天板駆動部32に入力し、天板駆動部32が作動するまでの流れを説明する。図10は、天板制御部38と天板駆動部32との間を流れる信号やデータなどを説明するための説明図である。
【0061】
図10に示すように、算出部39により算出された天板37のずれ量は、天板制御部のPLC138(programmable logic controller)に入力される。PLC138は、天板37のずれ量からパルス数を算出し、スタート命令と運転データ(パルス数含む)をパルス発生器コントローラ139に入力する。パルス発生器コントローラ139は、指令パルス信号を生成し、天板駆動部32に送る。
【0062】
算出部39から入力された天板37のずれ量が体軸方向のものであれば、天板制御部38は、指令パルス信号を体軸方向移動機構33のドライバ133に送る。ドライバ133は、指令パルス信号を受け、指令パルス信号を電流に変換して、ステッピングモータ134に流す。それにより、ステッピングモータ134が回転し、体軸方向移動機構33が作動し、天板37を体軸方向へ移動させる。
【0063】
ステッピングモータ134の回転量は、エンコーダ135により検出される。エンコーダ135は、エンコーダ信号をドライバ133に送る。ドライバ133は、パルス数データを天板制御部38に送る。天板制御部38は、生成したパルス数と、送られてきたパルス数データとを比較する。生成したパルス数と、送られてきたパスル数データとが等しい場合、図3に示した体軸方向のずれ量D1がない状態となり、天板制御部38は、体軸方向のずれ量についての制御を終了する。所定時間経過しても、生成したパルス数と、送られてきたパスル数データとが等しくならない場合、図示しない表示制御部がエラーメッセージを表示部41に表示する。
【0064】
以上は、天板37のずれ量が体軸方向のものについて説明したが、ずれ量が横方向、高さ方向、及び回転方向である場合も同様である。
【0065】
ずれ量が例えば体軸方向及び回転方向の2つの方向である場合、天板制御部38は、体軸方向移動機構33を制御して、天板37を体軸方向へ移動させる。その移動が完了した後に、天板制御部38は、回転機構36を制御して、天板37を体軸方向へ移動させる。すなわち、天板制御部38は、天板37のずれ量が複数方向である場合、一つの方向への天板37の移動が完了した後に、次の方向への天板37の移動に移る。これに限らず、天板制御部38は、複数方向に天板37を並行して移動させても良い。
【0066】
このようにして、天板37の中心軸L2が架台13の開口部13aの中心軸L1と一致する。すなわち、図3に示したずれ量D1、D2、θ、及び高さ方向のずれ量がなくなるか、または、それらのずれ量が許容範囲内に収まる。この状態では、天板制御部38は、天板37のずれ量に基づく制御が全て終了した信号(手術台装置3のセットアップ完了信号)をシステム制御部21に送る。表示部41にはセットアップ完了のメッセージが表示される。
【0067】
次に、システム制御部21による、架台13の移動を説明する。保持部52の天板特性テーブルには、手術台装置3毎の天板37が架台13の開口部13aに入る最大量(オーバーラップの最大量)が保持されている。システム制御部21は、手術台装置3のセットアップ完了信号を受けて、架台移動制御部22に移動指示を送る。架台移動制御部22は、天板特性テーブルから手術台装置3に関するオーバーラップの最大値を取得する。そのオーバーラップの最大値を最大移動量とする制御信号を架台移動機構17に送る。架台移動機構17は、架台13を移動させ、架台13は、図1に示す待機位置A1から手術台装置3の方向へ移動する。架台13の移動位置は、架台移動機構17内に設けられたポテンショメータである架台位置検出部18により検出される。
【0068】
架台13の開口部13aに天板37及び天板37に載置された被検体Pが相対的に入る。架台13が所定位置に移動すると、システム制御部21は、被検体Pの周りにX線管11及びX線検出器12を回転させるヘリカルスキャンによりスキャンを行う指示を出す。ヘリカルスキャンが終了すると、架台移動制御部22は、架台移動機構17に制御信号を送る。架台13は、反対方向へ移動し、図1に示す待機位置に戻る。
【0069】
このようにして、手術中に画像を取得することができる。そして、取得した画像により、患部の状態や患部の位置関係を確認し、あるいは、手術の状況を手術中に確認し、また、治療の効果を判定することができる。
【0070】
[撮影時のシステム]
次に、図2を参照にして、画像診断システムの構成について説明すると共に、被検体の撮影を行なう手順について説明する。図2は、画像診断システムの構成を示すブロック図である。
【0071】
図2に示すように、架台装置1は、X線管11と、X線検出器12と、架台13と、データ収集部14と、高圧発生部15と、架台駆動部16と、架台移動機構17と、架台位置検出部18とを備えて構成されている。被検体Pの心電図を検出するために、被検体Pには心電計19が装着されることがある。
【0072】
この画像診断システムでは、天板37に載置された被検体Pの体軸方向に架台13を移動させて、被検体Pが架台13の開口部13aに相対的に入るようにすると共に、その被検体Pの周りにX線管11及びX線検出器12を回転させるヘリカルスキャンによりスキャンを行う。
【0073】
CTシステム2は、システム制御部21と、架台移動制御部22と、前処理部23と、投影データ記憶部24と、画像再構成処理部25と、画像記憶部26と、画像処理部27と、表示部28と、コンソール29とを備えて構成されている。システム制御部21には、心電計19から心拍データが入力される。コンソール29は、撮影条件等を設定したり表示を選択したりするものである。
【0074】
システム制御部21は、ヘリカルスキャンによりスキャンを行う場合、コンソール29を用いて入力されたスライス厚、回転速度等のヘリカルスキャン条件を検査条件記憶部(図示省略)に記憶し、そのうち、回転速度、スライス厚、及びファン角度等を架台制御信号として架台13に対して出力する。また、システム制御部21は、コンソール29の入力を受けて、X線ビーム発生を制御するX線ビーム発生制御信号を高圧発生部15に対して出力する。
【0075】
さらに、システム制御部21は、X線ビームの検出のタイミングを示す検出制御信号をデータ収集部14に対して出力する。すなわち、システム制御部21は、X線ビームの検出のタイミングを、心電同期ヘリカルスキャンにおいては、心電計19からの被検体Pの心拍データの信号に同期させて行い、単なるヘリカルスキャンにおいては、心電計19からの被検体Pの心拍データの信号に同期させずに行なう。
【0076】
高圧発生部15は、X線管11からX線ビームを曝射させるための高電圧をシステム制御部21からの制御信号に従ってX線管11に供給する。X線管11は、高圧発生部15から供給された高電圧によってX線ビームを曝射する。X線管11から曝射されるX線ビームは、ファン状やコーン状のビームとなる。X線検出器12は、X線管11から曝射され、被検体を通過したX線ビームを検出する。シングルスライスCT装置の場合、X線検出器12は、ファン状又は直線状に例えば1000チャンネルのX線検出素子を1列に並べて構成されている。また、マルチスライスCT装置の場合、X線検出器12は、X線検出素子を互いに直交する2方向(スライス方向及びチャンネル方向を成す)それぞれにアレイ状に複数個配列され、これにより2次元のX線検出器を成している。
【0077】
架台13(ガントリ)は、X線管11とX線検出器12とを内部に保持する。また、架台13は、架台駆動部16により、X線管11とX線検出器12との中間点を通る回転軸を中心にして回転させられる。
【0078】
データ収集部14(DAS)は、X線検出器12の各X線検出素子と同様にアレイ状に配列されたデータ収集素子を有し、X線検出器12により検出されたX線ビーム(実際には検出信号)を、システム制御部21により出力されたデータ収集制御信号に対応させて収集する。この収集されたデータが投影データとなる。投影データには、データ収集時のX線管11の回転角度を表すビュー(VIEW)、チャンネル番号、列番号及び天板37の位置を表す各コードが関連付けられている。データ収集部14は、X線検出器12からチャンネルごとに出力される信号を電圧信号に変換し、増幅し、さらにディジタル信号に変換する。このデータを純生データと仮称する。
【0079】
架台13が回転するときに、例えば1000回投影データを収集し、この投影データを基に画像が再構成される。架台駆動部16は、システム制御部21により出力された架台制御信号に基づいて架台13を回転させる。
【0080】
架台移動機構17は、天板37に載置された被検体Pの体軸方向(スライス方向)に架台13を移動させる。また、架台移動機構17は、架台移動制御部22からの移動信号を受けて、架台13の1回転当たりの移動量を求め、この移動量で架台13を移動させる。
【0081】
前処理部23は、データ収集部14から出力されたデータ(純生データ)に感度補正やX線強度補正等を施す。前処理部23にて感度補正等の処理が施されたデータ(生データ)は、投影データ記憶部24に一旦記憶される。ここでは、純生データ及び生データを「投影データ」と総称する。なお、投影データ記憶部24には、心電計19からの被検体Pの心拍データが記憶される。
【0082】
画像再構成処理部25は、投影データ記憶部24に記憶された投影データを逆投影処理することにより、画像データを再構成する。
【0083】
再構成された画像データは、画像記憶部26に一旦記憶された後、画像処理部27に送られる。画像処理部27は、コンソール29を用いて入力された操作者の指示に基づき、画像データを公知の方法により、任意の断面の断層像、任意方向からの投影像、又はレンダリング処理による3次元画像等の画像データに変換して表示部28に出力する。表示部28は、画像処理部27から出力された断層像等をモニタ上に表示する。
【0084】
(動作)
次に、図11を参照にして、天板の位置調整の手順について説明する。図11は、天板の位置調整の手順を示すフロー図である。
【0085】
手術中に被検体Pの撮影を行なう場合、脚駆動部45により脚部材44を床側から手術基台31側へ没入させる。脚部材44の代わりに、移動体43が床に着き、手術基台31を移動可能に支持する。手術台装置3を図1に示す手術位置B1から所定位置B2に移動する。このとき、手術基台31をマーク5の中に納めるようにする。次に、脚駆動部45により脚部材44を手術基台31側から床側へ突出させる。移動体43の代わりに、脚部材44が床に着き、手術基台31を所定位置B2に固定する。
【0086】
手術台装置3の移動に伴って、病院スタッフが行なうことは、手術基台31をマーク5の中に納めること、及び、脚駆動部45を操作することだけであり、手術台装置3の移動、位置きめ、固定を簡便に行うことができる。それにより、病院スタッフの負担を軽減することができる。また、このような手術台装置3の移動、位置きめ、固定の操作は、手術台装置3の種類毎の差異が無い。病院スタッフは、手術台装置3の種類に応じた操作をしないで済み、この点からも、病院スタッフの負担を軽減することができる。
【0087】
さらに、手術台装置3を手術位置B1から所定位置B2へ案内するためのレールなどが床に敷設されてないため、床に凹凸がなく、病院スタッフは、レールに注意を払う必要がない。この点からも、病院スタッフの負担を軽減することができる。
【0088】
所定位置B2に固定された手術基台31は、3個1組の位置検出部51により、架台13の両端に配置した導体46の位置がそれぞれ検出される。導体46の位置検出は、組毎に行われる。1番目の位置検出部51により導体46までの距離が検出できると、2番目の位置検出部51による距離の検出に移る。2番目の位置検出部51により導体46までの距離が検出できると、3番目の位置検出部51による距離の検出に移る。このようにして、3個1組の位置検出部51は、各導体46の位置を検出し、検出した位置に基づき、架台13の位置に対する手術基台31の相対位置を検出する。
【0089】
具体的には、位置検出部51のコイルに交流を流すと、そのコイルに近接した導体46に渦電流が発生する。その渦電流によりコイルの電気値(インピーダンス)が変化する。その電気値により、導体46までの距離が特定できる。位置検出部51は、コイルの電気値と導体46までの距離とを対応させた対応表を持っていて、その対応表から導体46までの距離を特定する。
【0090】
なお、このような位置検出部51は、床の内部に収容され、あるいは、床面に滑らかに連続するようにして設けられる。したがって、位置検出部51は、床面に凹凸を作らない。また、導体46が床側に設けられる場合も、その導体46は、床の内部に収容され、あるいは、床面に滑らかに連続するようにして設けられる。同じように、床面に凹凸を作らない。
【0091】
算出部39は、位置検出部51による検出結果を取得する(ステップS101)。算出部39は、位置検出部51による検出結果に基づき、天板37の架台13の開口部13aに対するずれ量を算出する(ステップS102)。
【0092】
算出部39は、位置検出部51による検出結果と、天板37のずれ量とを対応させた対応表を持っていて、その対応表から天板のずれ量を求める。なお、手術基台31に対する天板37の位置情報は手術台装置3内で持っている。
【0093】
なお、算出部39は、位置検出部51による検出結果、待機位置A1にある架台13の位置情報、及び手術基台31に対する天板37の位置情報に基づいて、天板37のずれ量を算出しても良い。
【0094】
次に、天板制御部38は、算出部39から天板37のずれ量を取得する。また、天板制御部38は、保持部52の天板特性テーブルからその手術台装置の高さ調整範囲、体軸方向調整範囲、及び横方向調整範囲の各調整範囲のデータを取得する。天板制御部38は、天板37のずれ量が各調整範囲内であるか否かを判断する(ステップS103)。天板37のずれ量が調整範囲内でない場合(ステップS103;No)、図示しない表示制御部は、表示部41にエラーメッセージを表示する(ステップS111)。エラーメッセージを表示することにより、例えば、マーク5の中に手術基台31が納まっていないこと等を病院スタッフに知らせることができる。
【0095】
天板37のずれ量が調整範囲内である場合(ステップS103;Yes)、天板制御部38のPLC138は、そのずれ量からパルス数(PI)を決定する(ステップS104)。PLC138は、記録部53の天板駆動部特性テーブルから対象となる天板駆動部32の特性を取得する。天板駆動部32の特性(1ステップ当たりの天板の移動量、及び1ステップ当たりの天板の振れ角度)に応じた、パスル数(PI)を決定する。
【0096】
PLC138は、パルス数を含む運転データをパルス発生器コントローラ139に送り、パルス発生器コントローラ139は、制御信号である指令パルス信号を天板駆動部32のドライバ133に出力する(ステップS105)。
【0097】
ドライバ133は、指令パルス信号を電流に変換し、ステッピングモータ134に流す。ステッピングモータ134が回転し、天板37を駆動する。エンコーダ135は、ステッピングモータ134の回転量を検出し、エンコーダ信号をドライバ133に送る。ドライバ133は、パルス数データ(PO)としてパルス発生器コントローラ139に送る。パルス発生器コントローラ139は、パルス数(PI)からパルス数データ(PO)を減算する(ステップS106)。
【0098】
次に、天板制御部38は、天板37のずれ量がない状態(PI=0)であるか否かを判断する(ステップS107)。天板37のずれ量がある場合(ステップS107;No)、天板制御部38は、所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS110)。所定時間を経過していない場合(ステップS110;No)、ドライバ133による天板37の駆動、及び、パスル数からパルス数データを減算するパルス発生器コントローラ139の動作(ステップS106)に戻る。
【0099】
所定時間を経過した場合(ステップS110;Yes)、図示しない表示御部が表示部41にエラーメッセージを表示する(ステップS111)。
【0100】
天板37のずれ量がない状態(PI=0)である場合(ステップS107;Yes)、天板制御部38は、セットアップ完了信号をCTシステム2のシステム制御部21に送るか否かを判断する(ステップS108)。セットアップ完了信号を送らない場合(ステップS108;No)、ずれ量が他の方向で生じている場合であり、その方向のずれ量からパルス数(PI)のPLC138による決定(ステップS104)に戻る。
【0101】
セットアップ完了信号を送くる場合(ステップS108;Yes)、図示しない表示御部が表示部41に完了メッセージを表示する(ステップS109)。
【0102】
次に、図12を参照にして、架台13の移動の手順について説明する。図12は、天板の移動の手順を示すフロー図である。
【0103】
天板37の位置調整(ステップS201)が行なわれると、CTシステム2のシステム制御部21は、セットアップ完了信号を受信したか否かを判断する(ステップS202)。このように、システム制御部21が、手術台装置3のセットアップ完了を受けて、架台装置1の動作を開始するので、手術台装置3と架台装置1とを連動させることができる。それにより、病院スタッフの負担を軽減することができる。
【0104】
システム制御部21がセットアップ完了信号を受信しない場合(ステップS202;No)、システム制御部21は、所定時間を経過したか否かの判断をする(ステップS208)。所定時間を経過しない場合(ステップS208;No)、セットアップ完了信号を受信したか否かのシステム制御部21の判断(ステップS202)に戻る。
【0105】
一方、所定時間を経過した場合(ステップS208;Yes)、図示しない表示制御部がコンソール29にエラーメッセージを表示する(ステップS207)。その後、架台装置1の動作が終了する。
【0106】
次に、システム制御部21がセットアップ完了信号を受信した場合(ステップS202;Yes)、システム制御部21が天板特性テーブルから特性情報(高さ方向調整範囲等)を取得する。天板37を適切な撮影位置を設定することができる。具体的には、システム制御部21から天板制御部38に天板37の位置調整情報を送り、天板37の位置調整情報を受けて、天板駆動部32が天板37を移動する。
【0107】
また、システム制御部21は、架台移動制御部22に架台13の移動開始を指令する。架台移動制御部22は、保持部52の天板特性テーブルから取得した特性情報に基づき制御信号を生成し、その制御信号を架台移動機構17に出力する(ステップS203)。それにより、架台13が移動する(ステップS204)。架台13の移動位置は、架台位置検出部18によって検出される。
【0108】
架台13が目標位置に移動した場合(ステップS205;Yes)、図示しない表示制御部がコンソール29に完了メッセージを表示する(ステップS209)。その後、架台装置1の動作が終了する。
【0109】
架台13が目標位置に移動しない場合(ステップS205;No)、架台移動制御部22が所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS206)。所定時間を経過しない場合(ステップS206;No)、架台13が目標位置に移動したか否かの架台移動制御部22の判断(ステップS205)に戻る。
【0110】
所定時間を経過した場合(ステップS206;Yes)、図示しない表示制御部がコンソール29にエラーメッセージを表示する(ステップS207)。その後、架台装置1の動作が終了する。
【0111】
なお、本実施の形態では、手術基台31に導体46を設け、床側に位置検出部51を設けたが、逆の態様、手術基台31に位置検出部51を設け、床側に導体46を設けても良い。
【0112】
また、手術基台31の相対位置を、うず電流によって検出する位置検出部51を示したが、これに限らない。例えば、手術基台31の相対位置を、光によって検出しても良く、超音波によって検出しても良い。
【0113】
さらに、システム制御部21が、手術台装置3のセットアップ完了信号を受けて、架台移動制御部22に架台13の移動指示をするものを示したが、表示部41に表示された「完了メッセージ」を操作者が確認した上で、CTシステム2へ、手術台装置3のセットアップ完了を入力しても良い。
【0114】
さらに、前記実施の形態では、算出部39を手術台装置3側に設けたが、算出部39をCTシステム2側に設けても良い。この場合、CTシステム2は、算出部39により算出された天板37のずれ量を、手術台装置3の天板制御部38に送信する。
【0115】
さらに、前記実施の形態では、保持部52をCTシステム2側に設けたが、保持部52を手術台装置3側に設けても良い。この場合、架台移動制御部22が取得要求をすると、手術台装置3側の保持部52からオーバーラップの最大量などの天板37の特性を取得することができる。
【0116】
さらに、XYテーブルの動力源として、ステッピングモータ134を示したが、リニアーモータを動力源としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像診断システムにおいて、架台装置及び手術台装置の配置を示す斜視図である。
【図2】画像診断システムの構成を示すブロック図である。
【図3】架台と天板との位置関係を示した平面図である。
【図4】手術台装置の分解斜視図である。
【図5】手術基台の正面図であり、(a)は移動体が床に着いている状態、(b)は脚部材が床に着いている状態を示す図である。
【図6】導体と位置検出部との位置関係を説明するための図である。
【図7】保持部の天板特性テーブルを示す図である。
【図8】天板特性テーブルを説明した図である。
【図9】記録部の天板駆動部特性テーブルを示す図である。
【図10】天板制御部と天板駆動部との間を流れる信号やデータなどを説明するための説明図である。
【図11】天板の位置調整の手順を示すフロー図である。
【図12】架台の移動の手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0118】
D1 体軸方向のずれ量
D2 横方向のずれ量
L1 架台の開口部の中心軸
L2 天板の中心軸
θ 回転方向のずれ量
1 架台装置
2 CTシステム
3 手術台装置
5 マーク
13 架台
13a 開口部
17 架台移動機構
21 システム制御部
22 架台移動制御部
31 手術基台
32 天板駆動部
33 体軸方向移動機構
34 横方向移動機構
35 高さ方向移動機構
36 回転機構
37 天板
38 天板制御部
39 算出部
46 導体
51 位置検出部(距離検出器)
52 保持部
53 記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術基台上の仮位置に置かれた天板を位置調整し、その天板から離れて置かれ、開口部を有する架台を天板側へ移動して、架台の開口部に前記天板が入るようにし、前記天板に載置された被検体の撮影を行う画像診断システムであって、
前記架台の位置に対する前記手術基台の相対位置を検出する位置検出部と、
前記手術基台上で前記天板を水平方向に駆動するための天板駆動部と、
前記仮位置に置かれた前記天板の前記架台の開口部に対するずれ量を、前記位置検出部により検出された前記手術基台の相対位置に基づいて算出する算出部と、
前記ずれ量に基づいて、前記天板駆動部を制御して、前記架台の開口部に入ることが可能な位置に前記天板を駆動する天板制御部と、を有する、
ことを特徴とする画像診断システム。
【請求項2】
前記手術基台またはその手術基台が置かれた床の一方の2箇所には、導体が設けられ、
前記手術基台または前記床の他方には、前記各導体に対して3個の前記位置検出部がそれぞれ設けられ、
前記位置検出部は距離検出器であり、
前記距離検出器は、コイルを有し、そのコイルに交流が流れることにより、前記導体に渦電流を発生させ、その渦電流による変化に基づき前記導体までの距離を検出し、前記架台の位置に対する前記手術基台の相対位置を検出可能とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像診断システム。
【請求項3】
前記架台を前記天板側へ移動するための架台移動機構と、その架台移動機構を制御するための架台制御部とを有し、
前記架台制御部は、前記天板が前記架台の開口部に入る最大量以内で、前記架台移動機構を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像診断システム。
【請求項4】
前記天板駆動部は、前記天板制御部の制御量に対する前記天板の移動量の特性が異なることにより、2種類以上に分類され、
前記各種類の天板駆動部の特性を保持する記録部を有し、
前記天板制御部は、前記記録部から取得した前記天板駆動部の特性及び前記ずれ量に基づいて、前記天板駆動部への制御信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像診断システム。
【請求項5】
開口部を有する架台側へ手術基台を移動するステップと、
前記架台の位置に対する前記手術基台の相対位置を位置検出部が検出するステップと、
前記手術基台上の仮位置に置かれた天板の前記架台の開口部に対するずれ量を、前記位置検出部により検出された前記手術基台の相対位置に基づいて算出部が算出するステップと、
前記算出されたずれ量を受けて、天板制御部が前記天板駆動部を制御するステップと、
天板制御部からの制御信号を受けて、天板駆動部が前記手術基台上で前記天板を水平方向に駆動し、前記架台の開口部に入ることが可能な位置に前記天板を駆動するステップと、
前記天板を駆動するステップに続いて、架台制御部が架台移動機構を制御するステップと、
架台制御部からの制御信号を受けて、前記架台移動機構が前記架台を移動して、前記架台の開口部に天板が入るようにし、天板に載置された被検体の撮影を行うステップと、を有する、
ことを特徴とする画像診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−50645(P2009−50645A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222768(P2007−222768)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】