説明

画像認識方法および画像認識装置

【課題】走行する車両に取り付けられたカメラが撮影した画像中から、静止対象物を正確に認識する。
【解決手段】カメラが車両の外部を撮影することにより生成される画像データより、当該画像データ上での道路の位置を認識するステップ(S5002)と、認識された道路の位置と、車両の位置を特定するナビゲーション装置に蓄積された、車両を所定の視点から見た地図データ上での道路の位置とを比較することにより、画像データと地図データとの間の歪み量を算出するステップ(S5009)と、歪み量に基づいて、画像データおよび地図データのいずれか一方を、他方のデータの視点から見たデータに変換するステップ(S5011、S5012)と、画像データおよび地図データの同一位置に静止対象物が存在するか否かを判断することにより、静止対象物を認識する静止対象物認識ステップ(S5014)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両外部を撮影した画像より静止対象物の認識を行うための画像認識方法および画像認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進歩と自動車の普及に伴い、ナビゲーション装置の技術は急速に進歩している。ナビゲーション装置は、ナビゲーション装置に保持された地図データに基づき、予め設定した目的地までの最適な誘導経路を求める。その上で、自車両の走行に伴い、経路中の交差点等の重要地点で、左折または右折の案内をディスプレイに表示させるものである。
【0003】
また、ナビゲーション装置は、ディスプレイに表示する地図上に、各種施設を特定できる看板、道路交通標識および案内標識などを表示する。
【0004】
しかし、実際にはナビゲーション装置の出荷後に、新しい看板または標識等が道路上に設置され、ナビゲーション装置のメモリに格納された地図データが常に最新のものであるとは限らないという課題があった。
【0005】
これに対し、地図データを自動的に更新することにより、地図データを常に最新のものに維持するカーナビゲーション技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、走行する車両に取り付けられたカメラによって撮影された画像からランドマークを検出し、検出されたランドマークの位置を推定し、推定された位置を含む所定の範囲内に、検出されたランドマークに対応する地図上のランドマークが存在するか否かを判断し、地図上にランドマークが存在しないと判定された場合には検出されたランドマークを地図上に追加するものである。
【特許文献1】特開2004−45051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カメラによって撮影された画像と、地図とでは、視点が異なる。このため、カメラによって撮影された画像から検出されたランドマーク等の静止対象物が、地図上に存在するか否かを正確に判断できないという課題がある。
【0007】
このような課題に伴い、検出されたランドマーク等の静止対象物が、正確に該当する位置として地図上に追加されるとは限らないという課題もある。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、走行する車両に取り付けられたカメラが撮影した画像中から、静止対象物を正確に認識することができる画像認識方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、走行する車両に取り付けられたカメラが撮影した画像中から検出されたランドマーク等の静止対象物を、ナビゲーション装置が備える地図データ上の正確な位置に追加したり、存在しない静止対象物を地図データ上から削除したりすることができる画像認識方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像認識方法は、車両に取り付けられたカメラで撮影された画像に含まれる静止対象物を認識する画像認識方法であって、前記カメラが前記車両の外部を撮影することにより生成される画像データより、当該画像データ上での道路の位置を認識する道路認識ステップと、前記道路認識ステップにおいて認識された前記道路の位置と、前記車両の位置を特定するナビゲーション装置に蓄積された前記車両を所定の視点から見た地図データ上での前記道路の位置とを比較することにより、前記画像データと前記地図データとの間の歪み量を算出する歪み量算出ステップと、前記歪み量に基づいて、前記画像データおよび前記地図データのいずれか一方を、他方のデータの視点から見たデータに変換する変換ステップと、前記変換ステップにおいていずれか一方が変換された前記画像データおよび前記地図データに基づいて、両データの互いに対応する位置に静止対象物が存在するか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する静止対象物認識ステップとを含む。
【0011】
この構成によると、画像データの道路位置と地図データの道路位置とを比較することにより、両データの歪み量を求めている。道路位置自体は、静止対象物に比べて変化しにくく、道路が交差する位置等では、注目座標が抽出しやすい。このため、歪み量を正確に算出することが可能となる。よって、この歪み量に基づいて、画像変換を行い、両データにおいて静止対象物が存在するか否かを判断することによって、静止対象物を正確に認識することが可能となる。
【0012】
好ましくは、前記静止対象物認識ステップは、前記変換ステップにおいていずれか一方が変換された前記画像データおよび前記地図データに基づいて、前記地図データ上での前記静止対象物の位置に対応する前記画像データ上での位置を含む所定領域を、前記画像データ上での前記静止対象物の探索領域と決定する探索領域決定ステップと、前記画像データの前記探索領域内に前記静止対象物が存在するか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する認識ステップとを含む。
【0013】
このような画像認識方法により、カメラ画像から静止対象物が存在しうる領域を優先して探索することができる。
【0014】
さらに好ましくは、前記静止対象物認識ステップは、前記変換ステップにおいていずれか一方が変換された前記画像データおよび前記地図データに基づいて、前記道路認識ステップで認識された道路の位置を除外した前記画像データの領域を、前記画像データ上での前記静止対象物の探索領域と決定する探索領域決定ステップと、前記画像データの前記探索領域内に前記静止対象物が存在するか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する認識ステップとを含む。
【0015】
このような画像認識方法により、カメラ画像から一部の領域(道路領域)除外した領域を優先して静止対象物を探索することができる。
【0016】
さらに好ましくは、前記静止対象物認識ステップは、前記変換ステップにおける変換後の前記画像データから道路の輪郭を抽出する道路輪郭抽出ステップと、時間的に連続する複数の前記画像データであって、かつ前記変換ステップにおける変換後の複数の前記画像データより前記静止対象物を抽出し、前記静止対象物が前記道路の輪郭に沿って移動しているか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する認識ステップとを含む。
【0017】
道路輪郭に沿って、静止対象物が存在するという条件を用いることにより、静止対象物を正確に認識することが可能となる。また、検出された静止対象物に対して動き補償を行うことができる。
【0018】
さらに好ましくは、前記静止対象物認識ステップは、さらに、前記画像データおよび前記地図データのいずれか一方のみにおいて、前記静止対象物が存在すると判断された場合には、前記地図データの前記静止対象物に関するデータを更新する。
【0019】
このような画像認識方法により、ランドマーク等の静止対象物を、ナビゲーション装置が備える地図データ上の正確な位置に追加したり、存在しない静止対象物を地図データ上から削除したりすることができる。よって、ナビゲーション装置で用いられる地図データを最新のものに更新することができる。
【0020】
さらに好ましくは、前記静止対象物認識ステップでは、前記画像データより前記静止対象物が検出され、かつ検出された前記静止対象物に対応する静止対象物が前記地図データより検出されないとの条件が満たされるか否かを判断し、当該条件が指定回数以上満たされたと判断した場合には、前記静止対象物に関する情報を前記地図データに追加する。
【0021】
上記条件が指定回数以上満たされるか否かを判断することにより、静止対象物のご認識を防止することができ、精度よく静止対象物に関する情報を地図データに追加することができる。
【0022】
さらに好ましくは、前記静止対象物認識ステップでは、前記地図データより前記静止対象物が検出され、かつ検出された前記静止対象物に対応する静止対象物が前記画像データより検出されないとの条件が満たされるか否かを判断し、当該条件が指定回数以上満たされたと判断した場合には、前記静止対象物に関する情報を前記地図データから削除する。
【0023】
上記条件が指定回数以上満たされるか否かを判断することにより、静止対象物のご認識を防止することができ、精度よく静止対象物に関する情報を地図データから削除することができる。
【0024】
さらに好ましくは、前記静止対象物認識ステップは、さらに、前記画像データおよび前記地図データのいずれか一方のみにおいて、前記静止対象物が存在すると判断された場合には、前記地図データの前記静止対象物に関するデータの更新要求を、前記地図データを管理するサーバに送信する。
【0025】
地図データをサーバが管理している場合には、ランドマーク等の静止対象物を、サーバが備える地図データ上の正確な位置に追加したり、存在しない静止対象物を地図データ上から削除したりすることができる。よって、サーバで管理される地図データを最新のものに更新することができる。
【0026】
さらに好ましくは、前記静止対象物認識ステップでは、前記画像データより前記静止対象物が検出され、かつ検出された前記静止対象物に対応する静止対象物が前記地図データより検出されないとの条件が満たされるか否かを判断し、当該条件が指定回数以上満たされたと判断した場合には、前記静止対象物に関する情報を前記地図データに追加する要求を、前記サーバに送信する。
【0027】
上記条件が指定回数以上満たされるか否かを判断することにより、静止対象物のご認識を防止することができ、精度よく静止対象物に関する情報をサーバが管理する地図データに追加することができる。
【0028】
さらに好ましくは、前記静止対象物認識ステップでは、前記地図データより前記静止対象物が検出され、かつ検出された前記静止対象物に対応する静止対象物が前記画像データより検出されないとの条件が満たされるか否かを判断し、当該条件が指定回数以上満たされたと判断した場合には、前記静止対象物に関する情報を前記地図データから削除する要求を、前記サーバに送信する。
【0029】
上記条件が指定回数以上満たされるか否かを判断することにより、静止対象物のご認識を防止することができ、精度よく静止対象物に関する情報をサーバが管理する地図データから削除することができる。
【0030】
さらに好ましくは、上述の画像認識方法は、さらに、前記サーバより、更新後の地図データを受信する受信ステップを含む。
【0031】
これにより、ナビゲーション装置は、最新の地図データを車両の運転者に提示することが可能となる。
【0032】
なお、本発明は、このような特徴的なステップを含む画像認識方法として実現することができるだけでなく、画像認識方法に含まれる特徴的なステップを処理部とする画像認識装置として実現することができる。また、画像認識方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、走行する車両に取り付けられたカメラが撮影した画像中から、静止対象物を正確に認識することができる。
【0034】
また、走行する車両に取り付けられたカメラが撮影した画像中から検出されたランドマーク等の静止対象物を、ナビゲーション装置が備える地図データ上の正確な位置に追加したり、存在しない静止対象物を地図データ上から削除したりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
なお、以下の実施の形態では、ハードウェアおよびソフトウェアの実施態様は各種変更可能である。このため、まず、各実施の形態に共通するナビゲーション装置の構成について説明し、その後に、各実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態は、特許発明を限定するものではなく、各実施の形態で説明されている特徴の全てが、発明の必須構成要件とは限らない。
【0037】
図1は、ナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0038】
本ナビゲーション装置は、自動車などの車両に取り付けられ、ランドマーク等の静止対象物の情報を、あらかじめ用意された地図データに基づいて探索および設定し、その該当位置を示した地図データを表示する装置であり、通信制御部101と、自立航法制御部102と、GPS(Global Positioning System)制御部103と、道路交通情報受信部104と、音声出力部105と、ナビゲーション制御部106と、地図データ記憶部107と、更新データ記憶部108と、撮像部109と、画像処理部110と、画像合成処理部111と、画像表示処理部112とを含む。
【0039】
通信制御部101は、無線または有線によるデータ通信を制御する。なお、通信機能は、ナビゲーション装置に内蔵されていても良いし、外部に設けられていてもよい。例えば、通信機能を有する携帯電話などの移動体通信端末と通信制御部101とが接続され、移動体通信端末を介してデータ通信を行うものであってもよい。このような構成により、ユーザは、通信制御部101を介して外部サーバへアクセスすることが可能となる。
【0040】
自立航法制御部102は、自車両の移動速度を検出する車速度センサや自車両の回転角度を検出する角度センサなどからなる。
【0041】
GPS制御部103は、GPS受信機によって地球の高度約2万kmにおける所定の軌道に複数個配置された人工衛星(GPS衛星)から伝送されるGPS電波を受信し、GPS信号に含まれた情報を利用して地球上での自車両の現在位置と現在方位を測定する。
【0042】
道路交通情報受信部104は、外部アンテナを介して自車両外部の現在の道路交通情報を逐次受信する。
【0043】
ナビゲーション制御部106は、本ナビゲーション装置の各処理部を制御する制御回路の役割を果たす。
【0044】
地図データ記憶部107は、本装置の動作に必要な各種データを記憶しているメモリであり、予め記録された地図データおよびランドマーク等の静止対象物や施設データなどに関する各種データを保持する。必要な地図データをナビゲーション制御部106から読み出される。ここにおける地図データ記憶部107におけるメモリは、CD−ROM、DVD−ROMまたはハードディスクドライブ(HDD)であってもよい。
【0045】
更新データ記憶部108は、地図データ記憶部107に記憶されている地図データと、その地図データからから更新された地図データとの差分を示す更新データを記憶しているメモリである。更新データは、ナビゲーション制御部106により設定される。
【0046】
音声出力部105は、スピーカを含み、例えば、経路誘導時に交差点案内などの音声を出力する。
【0047】
撮像部109は、自車両の前方に設置された、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子を備えたカメラである。
【0048】
画像処理部110は、撮像部109から出力される画像データを、他の形式の画像データに変換する。また、画像処理部110は、ナビゲーション制御部106から地図データを入力として受け、地図データに対して画像処理を施す。さらに、画像処理部110は、ナビゲーション制御部106から静止対象物情報(静止対象物の位置情報および静止対象物の画像情報を含む情報)を受け、静止対象物情報に対して画像処理を施し、画像処理を行った結果の静止対象物情報をナビゲーション制御部106へ出力する。
【0049】
画像合成処理部111は、自車両の現在位置を含む地図データを、ナビゲーション制御部106から入力として受け、画像処理部110から出力されるカメラ画像(撮像部109で撮像された画像)と合成する。
【0050】
そして、画像表示処理部112により、画像合成処理部111により合成された後の画像データをナビゲーション装置のディスプレイ等に表示する。
【0051】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
【0052】
ナビゲーション装置の全体構成は、図1を参照して説明した通りである。
【0053】
図2は、画像処理部110の詳細な内部構成を示すブロック図である。
【0054】
画像処理部110は、輝度信号色差信号分離処理部202と、輝度信号処理部203と、色差信号処理部204と、道路認識処理部205と、注目座標抽出部206と、セレクタ208と、座標変換処理部209と、セレクタ210と、静止対象物認識処理部213とを含む。
【0055】
以下、画像処理部110を構成する各処理部について説明する。
【0056】
<輝度信号色差信号分離処理部202>
輝度信号色差信号分離処理部202は、撮像部109からカメラ画像の画像データを入力として受ける。輝度信号色差信号分離処理部202は、撮像部109から、赤(R)・緑(G)・青(B)の三色(光の三原色)からなる画像データを入力として受けた場合には、一般的な色空間変換式(次式(1)〜(3))を用いて、YUV色形式の画像データに変換する。
【0057】
Y=0.29891×R+0.58661×G+0.11448×B … (1)
U=−0.16874×R−0.33126×G+0.50000×B …(2)
V=0.50000×R−0.41869×G−0.08131×B …(3)
【0058】
また、次式(4)〜(6)を用いて、ITU−R BT.601に規定のYCbCr色形式の画像データに変換してもよい。
【0059】
Y=0.257R+0.504G+0.098B+16 …(4)
Cb=−0.148R−0.291G+0.439B+128 …(5)
Cr=0.439R−0.368G−0.071B+128 …(6)
【0060】
ここで、Yは、輝度信号(明るさ)を示し、Cb(U)は、青の差分信号、Cr(V)は、赤の差分信号を示す。また、撮像部109からシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)の三色(色料の三原色)からなる画像データを入力として受けた場合には、輝度信号色差信号分離処理部202は、一般的な変換式(次式(7)〜(9))を用いて、RGB形式の画像データに変換した後、式(1)〜(3)、または式(4)〜(6)を用いて、YUV形式、またはYCbCr形式の画像データへの変換を行う。輝度信号色差信号分離処理部202は、変換後の画像データを出力する。
【0061】
R=1.0−C …(7)
G=1.0−M …(8)
B=1.0−Y …(9)
【0062】
また、撮像部109からYUV形式の画像データ入力される場合、輝度信号色差信号分離処理部202は特に画像データの変換は行わず、YUVの信号分離だけを行う。
【0063】
<輝度信号処理部203>
輝度信号処理部203は、輝度信号色差信号分離処理部202から出力される輝度信号(Y)の画像データを入力として受け、輝度に応じた信号処理を行い、出力する。さらに、輝度信号処理部203は、輪郭画素の判定処理を行う。例えば、簡易的に注目画素の周辺の8画素を用いて、注目画素が輪郭画素か否かの判定を行ってもよい。つまり、図3に示すように、3×3の注目画素D35と、その周辺の8画素D31〜D34およびD36〜D39を考える。注目画素D35の輝度と、周辺画素D31〜D34およびD36〜D39のそれぞれ輝度とを比較し、輝度差の絶対値の和が予め設定した値よりも大きければ、注目画素D35を輪郭画素として判断する。図3に示すような3×3のウィンドウを、輝度信号色差信号分離処理部202から出力される画像データ上で走査することにより、画像データの各画素について輪郭画素の判定処理を行う。例えば、図4のようなカメラ画像の画像データが入力された場合、輝度情報を基に輪郭画素を抽出すると、図5のような画像データに変換される。図5に示す画像データにおいて、黒い画素が、輪郭画素である。
【0064】
<色差信号処理部204>
色差信号処理部204は、輝度信号色差信号分離処理部202から出力される色差信号を入力として受け、色差に応じた信号処理を行い、出力する。さらに、色差信号処理部204は、予め設定した特定領域と同等の色差を有する画素の判定処理を行う。例えば、色差信号処理部204は、自車両が走行している道路の色差を認識する。つまり、撮像部109が自車両の前方中央に設置されている場合、自車両は必ず道路上に存在しているため、カメラ画像の下方中央は道路である。よって、図6に示すカメラ画像に対し、特定領域A601を下方中央に設定する。色差信号処理部204は、特定領域A601を代表する色差を算出する。例えば、色差の平均値を代表する色差としてもよい。色差信号処理部204は、カメラ画像の画像データの中から、算出された色差と同等の色差を有する画素を、特定領域A601と同等の色差を有する画素として特定する。その結果、図7に示すような道路の色差信号のみからなる画像データが得られる。道路の色差信号からなる領域を、道路色差信号領域A701とする。
【0065】
<道路認識処理部205>
道路認識処理部205は、輝度信号処理部203からの輪郭成分の画像データと、色差信号処理部204からの色差成分の画像データとを入力として受ける。例えば、道路認識処理部205は、図5に示す輪郭成分の画像データと、図7に示す色差信号の画像データとを入力として受ける。この場合、道路認識処理部205は、道路色差信号領域A701に隣接している輪郭成分の画像信号、または道路色差信号領域A701に隣接はしないが隣接に順ずる輪郭成分の画像信号(道路色差信号領域A701から所定距離内にある輪郭成分の画像信号)を認識し、該当する輪郭画素のみを抽出する。そして、輪郭画素と、道路色差信号領域A701とを合成し、合成した結果を道路画像データとして認識することで、図8に示すような道路画像データを出力する。これにより、自車両から外部の画像を撮像するカメラの画像から道路を認識することができる。
【0066】
<注目座標抽出部206>
注目座標抽出部206は、道路認識処理部205で認識された道路画像データ(図8)と、ナビゲーション制御部106から地図データ(図9)とを入力として受ける。まず、注目座標抽出部206は、道路画像データにおいて、道路輪郭の屈折している箇所を算出し、検出箇所を交差点としての注目点として検知する。例えば、図10に示すように座標P1001〜座標P1004の箇所が注目点として検出される。
【0067】
次に、道路画像データ上の道路輪郭の屈折箇所の算出方法について説明する。図10を参照して、基線L1005に基づいて道路画像データを左右に分ける。左側の道路画像データにおいて道路輪郭のベクトル(道路輪郭ベクトル)V1006を求める。これは、遠近法に基づき、図11におけるベクトルV1102のように第一象限の方向ベクトルに限る。また、右側の道路画像データにおいて道路輪郭のベクトルV1007を求める。これは、遠近法に基づき、図11におけるベクトルV1101のように第二象限の方向ベクトルに限る。ベクトルの求め方は、道路輪郭の画素を並びに対して、線形近似直線を算出することで求めることができる。これら、ベクトルV1006とベクトルV1007とにそれぞれ順ずる(ベクトルV1006とベクトルV1007とにそれぞれ連続する)道路輪郭の屈折する輪郭座標を注目点として算出する。
【0068】
また、注目座標抽出部206は、図12に示す地図データにおいても同様に、道路輪郭の屈折している箇所を算出し、該当する座標P1201〜座標P1204を交差点としての注目点として検知する。次に、地図データ上の道路輪郭の屈折箇所の算出方法について説明する。図12を参照して、基線L1205に基づいて、地図データを左右に分ける。左側の地図データにおいて道路輪郭のベクトルV1206を求める。これは、図11におけるベクトルV1102のように第一象限の方向ベクトルに限る。また、右側の地図データにおいて道路輪郭のベクトルV1207を求める。これは、図11におけるベクトルV1101のように第二象限の方向ベクトルに限る。これら、ベクトルV1206とベクトルV1207とにそれぞれ順ずる(ベクトルV1206とベクトルV1207とにそれぞれ連続する)道路輪郭の屈折する輪郭座標(座標P1201〜座標P1204)を注目点の座標として算出する。そして、注目座標抽出部206は、カメラ画像と地図データの各々について算出された注目点の座標を出力する。
【0069】
このように2次元の地図データを例としてあげたが、3次元の地図データでも同様の処理で注目点を算出することができる。
【0070】
しかし、他車両、障害物等が算出すべき注目点に存在した場合には、注目座標抽出部206は、道路画像データにおける交差点としての注目点を検知することができない。例えば、図13に示すように、道路画像データにおいて、4つある注目点の座標のうち、2つの座標P1002、P1003しか検知することができない。このような場合には、以下の方法により交差点座標を算出してもよい。
【0071】
つまり、図14に示すように、道路輪郭のベクトルV1006、V1007、V1407、V1408と、交差点座標P1002、P1003とに基づいて、方向ベクトルV1409、V1410を用いて交差点座標P1403を算出する。ここで、方向ベクトルV1409は、ベクトルV1006と同じ向きであり、始点が座標P1003のベクトルである。方向ベクトルV1410は道路輪郭ベクトルV1407に対し、逆ベクトルであり、始点が座標P1002のベクトルである。ベクトルV1409とベクトルV1410との交点の座標が、交差点座標P1403として求められる。
【0072】
同様に、道路輪郭のベクトルV1006、V1007、V1407、V1408と、交差点座標P1002、P1003とに基づいて、方向ベクトルV1411、V1412を用いて交差点座標P1404を算出する。ここで、方向ベクトルV1411は道路輪郭ベクトルV1007に対し、逆ベクトルであり、始点が座標P1002のベクトルである。また、方向ベクトルV1412は、始点が座標P1003であり、方向がベクトルV1408と同じベクトルである。ベクトルV1411とベクトルV1412との交点の座標が、交差点座標P1404として求められる。そして、カメラ画像と地図データの各々について算出された注目点の座標を出力する。
【0073】
さらに、注目座標抽出部206は、道路輪郭のベクトルから交差点としての注目点を算出するようにしてもよい。つまり、注目座標抽出部206は、図15に示すように、道路画像データにおいて、道路輪郭のベクトルの交点を算出し、交差する座標P1505〜座標P1508を交差点としての注目点として検知する。ベクトルの交点の算出方法は、まず、道路画像データを、基線L1005に基づいて左右に分け、左側の道路画像データより道路輪郭のベクトルV1501を求める。これは、遠近法に基づき、図11におけるV1102のように第一象限の方向ベクトルに限る。また、右側の道路画像データより道路輪郭のベクトルV1502を求める。これは、遠近法に基づき、図11におけるV1101のように第二象限の方向ベクトルに限る。これら、ベクトルV1501とベクトルV1502とは別に、道路輪郭ベクトルV1503とV1504を求める。そして、これら道路輪郭ベクトルV1501〜V1504にそれぞれ交差する座標を交差点としての注目点として検知することができる。そして、注目座標抽出部206は、カメラ画像と地図データの各々について算出された、注目点の座標および道路輪郭ベクトルを出力する。
【0074】
この構成と方法により、カメラ画像において、道路輪郭の屈折している箇所を交差点としての注目点として検知することができる。また、ナビゲーション装置に予め記憶されている地図データにおいて、道路輪郭の屈折している箇所を交差点としての注目点として検知することができる。さらに、他車両、障害物等で交差点としての注目点が検知されなかった場合に、カメラ画像の検知された注目点を中心に注目点を変更させることができる。
【0075】
<座標変換処理部209>
座標変換処理部209は、注目座標抽出部206から出力される、カメラ画像および地図データの各々の注目点の座標と、輝度信号処理部203および色差信号処理部204からのカメラ画像と、ナビゲーション制御部106からの地図データとを入力として受ける。カメラ画像と地図データとの切り替えはセレクタ208により行われる。
【0076】
まず、座標変換処理部209は、地図データの注目点の座標として、図16に示すような座標P1601〜座標P1604を入力として受ける。また、座標変換処理部209は、カメラで撮像された道路画像の注目点の座標として、座標P1605〜座標P1608を入力として受ける。そして、座標変換処理部209は、座標P1601が座標P1605へ、座標P1602が座標P1606へ、座標P1603が座標P1607へ、座標P1604が座標P1608へ、移動するように歪み量を算出する。そして、座標変換処理部209は、入力された地図データに対して歪み量に応じた画像変形を行う。この画像変形には画像の拡大縮小によく使われるバイリニア法(線形補間)や、バイキュービック法などを用いてもよい。また、任意の四角形を変形するための手法などを用いてもよい。例えば、図16において、座標P1601〜座標P1604、および座標P1605〜座標P1608をそれぞれ点線で繋げることで四角形を表現しており、座標P1601〜座標P1604からなる四角形を、座標P1605〜座標P1608からなる四角形に変形する。なお、この図は、四角形による画像変形を表したものであり、歪み量を算出するために四角形は必要なものではない。
【0077】
この構成と方法により、地図データの注目点座標とカメラ画像の注目点座標とが一致するように歪み量を算出し、歪み量に応じた座標変換により地図データを変形することができる。例えば、図16に従い求められた歪み量に基づいて、図9に示すような地図データを変形すると、図17のような画像データが得られる。
【0078】
また、座標変換処理部209は、道路輪郭のベクトルから歪み量を求めて、画像変形を行ってもよい。つまり、座標変換処理部209は、注目座標抽出部206から出力される、カメラ画像および地図データの各々の道路輪郭のベクトルと、輝度信号処理部203および色差信号処理部204からのカメラ画像と、ナビゲーション制御部106からの地図データとを入力として受ける。カメラ画像と地図データとの切り替えはセレクタ208により行われる。
【0079】
まず、座標変換処理部209は、地図データの道路輪郭のベクトルとして、図18に示すようなベクトルV1801〜ベクトルV1804を入力として受ける。また、座標変換処理部209は、カメラで撮影された道路画像の道路輪郭のベクトルとして、ベクトルV1805〜ベクトルV1808を入力として受ける。そして、座標変換処理部209は、ベクトルV1801がベクトルV1805へ、ベクトルV1802がベクトルV1806へ、ベクトルV1803がベクトルV1807へ、ベクトルV1804がベクトルV1808へ、移動するように歪み量を算出する。そして、座標変換処理部209は、入力された地図データに対して歪み量に応じた画像変形を行う。この画像変形には画像の拡大縮小によく使われるバイリニア法(線形補間)や、バイキュービック法などを用いてもよい。また、任意の四角形を変形するための手法などを用いてもよい。
【0080】
この構成と方法により、地図データの注目点座標とカメラ画像の注目点座標の一致するように歪み量を算出し、歪み量に応じた座標変換により地図データを変形することができる。例えば、図16での歪み量を図9のような地図データに対して画像変形を行うと、図17のようになる。
【0081】
なお、座標変換処理部209は、同様に、歪み量に応じた座標変換によりカメラ画像を変形することもできる。つまり、座標変換処理部209は、セレクタ208を介して入力されたカメラ画像に対して歪み量に応じた画像変形を行う。例えば、この画像変形は、図16において算出された歪み量に基づいた変形を、図16に示した4つのベクトルと逆の方向に行う。これにより、図4のようなカメラ画像に対して画像変形を行うことにより、図19に示すような画像データが得られる。
【0082】
また、座標変換処理部209は、ナビゲーション制御部106から、地図データと同時に、図20に示すようなランドマーク等の静止対象物M2001の情報を入力として受ける。この例では“6”という企業マークを表した静止対象物の情報を入力として受ける。入力される情報は、地図データ記憶部107に保持されている静止対象物のマーク情報と、地図上での座標を示す座標データとである。座標変換処理部209は、図21に示すように、地図上での静止対象物M2101の座標を、図22に示すように、座標A2201に変換する。座標の変換は、上述した画像データの変換と同様に行なわれる。座標変換処理部209は、座標A2201の情報を、静止対象物認識処理部213に出力する。
【0083】
<静止対象物認識処理部213>
静止対象物認識処理部213は、座標変換処理部209より出力される、地図データより得られる静止対象物の座標(図22の座標A2201)を入力として受ける。また、静止対象物認識処理部213は、輝度信号処理部203からの輪郭成分の画像データと、色差信号処理部204からの色差成分の画像データとを入力として受ける。そして、静止対象物認識処理部213は、ナビゲーション制御部106から、ランドマーク等の静止対象物M2001の情報を入力として受ける。静止対象物認識処理部213は、図23に示すような、輝度信号処理部203および色差信号処理部204から受けた画像データの座標A2201から所定の距離内にある探索領域A2301内に、静止対象物M2001に該当する画像情報を探索する。ランドマーク、看板、交通標識、道路案内標識等の静止対象物を探索、検出、認識する手法は問わず、任意の手法を採用しうる。例えば、画像データおよび地図データの互いに対応する位置に静止対象物が存在すれば、確かに静止対象物が存在すると認識できる。また、画像データのみに静止対象物が存在すれば、新たに静止対象物ができたと判断することができる。また、地図データのみに静止対象物が存在すれば、静止対象物がなくなったと判断することができる。
【0084】
なお、静止対象物認識処理部213は、図24に示すように、道路画像領域A2401を除外した領域A2402に対して、静止対象物M2001に該当する画像情報を探索するようにしてもよい。
【0085】
また、静止対象物認識処理部213は、時間的に連続する2つのカメラ画像を用いて、静止対象物を探索してもよい。つまり、静止対象物認識処理部213は、座標変換処理部209より、カメラ画像および地図データの各々について算出された注目点の座標を入力として受ける。また、静止対象物認識処理部213は、座標変換処理部209より道路輪郭のベクトルを受ける。
【0086】
図25に示すように、ある時刻のカメラ画像より道路輪郭ベクトルV2501およびV2502が得られたものとする。これらの道路輪郭ベクトルV2501およびV2502は、それぞれベクトルV1501およびベクトルV1502は同じものである。静止対象物認識処理部213は、道路輪郭ベクトルV2501およびV2502の交点M2503を求める。この交点M2503は遠近法における中心座標となる。
【0087】
次に、静止対象物認識処理部213は、時間的に連続する2つの画像データに対して、静止対象物認識処理部213において検出された静止対象物M2504およびM2505の座標の情報を保持する。つまり、自動車が前進しているとすれば、現時刻における静止対象物が静止対象物M2505であり、過去の時刻における静止対象物が静止対象物M2504となる。
【0088】
そして、静止対象物認識処理部213は、静止対象物M2504およびM2505の座標間を繋げるベクトルV2506を算出する。静止対象物認識処理部213は、ベクトルV2506と、交点M2503を基準とするベクトル(ベクトルV2501またはV2502)との間の距離を算出する。静止対象物認識処理部213は、算出した距離があらかじめ指定した誤差以内か否かを判断し、誤差以内であれば、静止対象物M2504およびM2505が確かに静止対象物であると判断する。つまり、道路の輪郭に沿って移動している静止対象物が、所望の静止対象物であると判断される。この例では2枚の画像データより得られる静止対象物の座標情報を用いて、静止対象物か否かの判断を行なったが、画像データの枚数は、この限りではない。
【0089】
なお、セレクタ210は、ナビゲーション制御部106からの出力と、輝度信号処理部203および色差信号処理部204からの出力とを入力として受け、一方を出力する。
【0090】
次に、以上説明したナビゲーション装置を用いた画像認識方法について、図26に示すフローチャートを用いて説明する。
【0091】
撮像部109は、自車両から外部の画像(カメラ画像)を撮像する(ステップS5001)。
【0092】
輝度信号色差信号分離処理部202と輝度信号処理部203と色差信号処理部204と道路認識処理部205によって、カメラ画像中の道路が認識される(ステップS5002)。
【0093】
注目座標抽出部206は、地図データを取得する(ステップS5003)。
【0094】
方向ベクトル算出するとの指定がある場合には(S5004でYES)、注目座標抽出部206は、道路輪郭の方向ベクトルを算出する(ステップS5005)。
【0095】
注目座標抽出部206は、交差点としての注目点を検出する(ステップS5006)。
【0096】
注目点が検出できなかった場合は(ステップS5007でNO)、注目座標を変更する(ステップS5008)。つまり、交差点の他の注目点の抽出を試みる。
【0097】
注目点が検出できた場合には(ステップS5007でYES)、座標変換処理部209は、歪み量を算出する(S5009)。
【0098】
次に、座標変換処理部209は、画像変形の対象がカメラ画像か地図データかを判定する(ステップS5010)。画像変形の対象は予め指定されているものとする。
【0099】
画像変形の対象が地図データの場合には(ステップS5010でYES)、座標変換処理部209は、地図データを変形させ、図17に示すような画像データを生成する(ステップS5011)。
【0100】
画像変形の対象がカメラ画像の場合には(ステップS5010でNO)、座標変換処理部209は、カメラ画像を変形させ、図19に示すような画像を生成する(ステップS5012)。
【0101】
座標変換処理部209は、地図データに基づいて静止対象物の探索領域を決定することが指定されているか否かを判断する(S5013a)。この指定は、予め行なわれているものとする。
【0102】
地図データに基づいて静止対象物の探索領域を決定することが指定されている場合には(S5013aでYES)、図21および図22を用いて説明したように、座標変換処理部209は、地図データから得られる静止対象物M2101の座標を、図22に示すように、座標A2201に変換する(S5013)。つまり、カメラ画像上での座標A2201に変換する。
【0103】
次に、図23を用いて説明したように、静止対象物認識処理部213は、カメラ画像における探索領域A2301を決定する(S5014)。その上で、静止対象物認識処理部213は、静止対象物の認識を行なう。
【0104】
静止対象物認識処理部213は、道路画像領域に基づいて静止対象物の探索領域を決定することが指定されているか否かを判断する(S5015a)。この指定は、予め行なわれているものとする。
【0105】
道路画像領域に基づいて静止対象物の探索領域を決定することが指定されている場合には(S5015aでYES)、静止対象物認識処理部213は、図24に示したように、カメラ画像から道路画像領域A2401を除外した領域A2402を、静止対象物の探索領域として決定する(ステップS5015)。その上で、静止対象物認識処理部213は、静止対象物の認識を行なう。
【0106】
静止対象物認識処理部213は、ここまでの処理で静止対象物が検出されているか否かを判断する(S5016)。静止対象物が検出されている場合(ステップS5016でYES)、静止対象物認識処理部213は、検出された静止対象物の情報を保持する(S5017)。そして、自車両が目的地に到達していなければ(ステップS5018でNO)、S5001からの処理が繰り返し実行される。
【0107】
ステップS5017において、静止対象物の情報が時々刻々蓄積される。静止対象物認識処理部213は、図25を用いて説明した方法により、蓄積された静止対象物が道路の輪郭に沿って移動しているか否かを判断する。静止対象物認識処理部213は、道路の輪郭に沿って移動している静止対象物を、所望の静止対象物であると判断する。
【0108】
以上説明したように、本実施の形態によると、ナビゲーション装置から静止対象物情報を読み出し、変形させた地図データとカメラ画像とから静止対象物を認識することができる。また、地図上での静止対象物の位置と、歪み量とから、カメラ画像上での静止対象物の探索領域を決定することができる。
【0109】
また、カメラ画像から、道路領域を除外した領域を静止対象物の探索領域として決定することができる。
【0110】
さらに、複数の時刻において道路輪郭に沿って検出された静止対象物を検出することができる。このため、道路輪郭ベクトルから検索された基準点から動き補償を行うことができる。
【0111】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。実施の形態1では、静止対象物の認識を行なった。本実施の形態では、静止対象物の認識結果に基づいて、地図データに静止対象物を追加したり、地図データから静止対象物を削除したりする処理を行なう。
【0112】
ナビゲーション装置の構成は、図1および図2を参照して説明したものと同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。本実施の形態では、実施の形態1と同様に、カメラ画像から道路が認識され、交差点としての注目点が検知され、歪み量に基づいて画像の変形が行なわれる。
【0113】
それに加え、以下の処理が実行される。つまり、座標変換処理部209は、静止対象物認識処理部213により検出された静止対象物の情報と、輝度信号処理部203および色差信号処理部204からの画像データとを入力として受ける。
【0114】
座標変換処理部209は、図27に示すように、カメラ画像上で検出された静止対象物M2704を、図9に示すような地図データと同じ始点から見た画像データに座標変換を行なうと、図28に示すような画像データが得られる。このとき、静止対象物M2704は、静止対象物M2801に変換される。このとき、図9に示すような地図データの所望座標上(静止対象物M2801の座標上)に静止対象物が存在しない場合には、座標変換処理部209は、図29に示すように、地図データの静止対象物M2801の座標に、静止対象物M2901を新たに追加するために、静止対象物M2901の情報をナビゲーション制御部106に出力する。ナビゲーション制御部106は静止対象物の情報を更新データとして更新データ記憶部108に記憶する。
【0115】
また、ナビゲーション制御部106から静止対象物があるものとして静止対象物の情報が静止対象物認識処理部213に入力されたにも係らず、静止対象物が検出されなかった場合には、静止対象物認識処理部213は、ナビゲーション制御部106に静止対象物を削除する指示を出力する。ナビゲーション制御部106は静止対象物が削除されたことを示す情報を、更新データとして更新データ記憶部108に記憶する。
【0116】
次に、以上説明したナビゲーション装置を用いた画像認識方法について、図30に示すフローチャートを用いて説明する。
【0117】
撮像部109は、自車両から外部の画像(カメラ画像)を撮像する(ステップS5101)。
【0118】
静止対象物認識処理部213は、カメラ画像より静止対象物を検出する(ステップS5102)。
【0119】
静止対象物が検出された場合(ステップS5103でYES)、座標変換処理部209は、静止対象物の座標を地図データ上の座標に変換する(ステップS5104)。静止対象物認識処理部213は、地図データ上の変換後の座標上に、静止対象物があるか否かを判断し、かつ、静止対象物があるとの判断が指定回数以上なされたか否か(時間的に連続する指定枚数のカメラ画像において静止対象物があると判断されたか否か)を判断する(ステップS5112)。つまり、静止対象物の誤検出を防ぐために、ステップS5112において指定回数を設け、静止対象物があるとの判断が指定回数以上なされた場合には、検出された静止対象物が実際に存在するとみなす。
【0120】
静止対象物があるとの判断が指定回数以上なされた場合には(ステップS5112でYES)、座標変換処理部209は、地図データ上における静止対象物の位置を示す情報を、ナビゲーション制御部106に出力する。ナビゲーション制御部106は、追加すべき静止対象物の位置を示す情報を更新データとして更新データ記憶部108に記憶する(ステップS5105)。これにより、地図データに静止対象物の追加が行なわれる。
【0121】
静止対象物が検出されなかった場合には(ステップS5103でNO)、座標変換処理部209は、静止対象物の検出漏れを防ぐために、静止対象物の探索範囲を変更する(ステップS5106)。探索範囲があらかじめ指定した対象の範囲内であれば(ステップS5107でYES)、座標変換処理部209は、その探索範囲内において、静止対象物の再検出を行なう(S5102)。
【0122】
静止対象物の探索範囲がこれ以上ない場合には(ステップS5107でNO)、静止対象物認識処理部213は、静止対象物が存在しないとみなす(ステップS5108)。静止対象物認識処理部213は、静止対象物が存在しないとの判断が指定回数なされたか否か(時間的に連続する指定枚数のカメラ画像において静止対象物が存在しないとの判断がなされたか否か)を判断する(ステップS5109)。つまり、静止対象物の誤検出を防ぐために、ステップS5109において指定回数を設け、静止対象物がないとの判断が指定回数以上なされた場合には、検出された静止対象物が確かに存在しないと判断する。
【0123】
静止対象物が存在しないとの判断が指定回数なされた場合には(ステップS5109でYES)、座標変換処理部209は、ナビゲーション制御部106に、静止対象物を削除を指示するデータを出力する。ナビゲーション制御部106は、静止対象物の削除を指示するデータを更新データとして更新データ記憶部108に記憶することにより、地図データから静止対象物の削除を行う(ステップS5110)。
【0124】
ナビゲーション制御部106は、地図データ記憶部107に記憶された地図データおよび更新データ記憶部108に記憶された更新データに基づいて、画像表示処理部112に表示する地図情報を更新する(S5111)。S5101〜S5112の処理が、目的地に到着するまで繰り返し実行される(ステップS5113)。
【0125】
以上説明したように、本実施の形態によると、カメラ画像より検出された静止対象物の位置を、地図データ上の位置に変換し、地図データ上の該当する位置に静止対象物の位置情報がなく、カメラ画像に静止対象物が検出された場合に、検出が指定回数を上回ると、地図データに静止対象物の情報を追加することができる。
【0126】
また、地図データ上に静止対象物の位置情報があるにもかかわらず、カメラ画像の対応する位置に静止対象物が検出されなかった場合に、検出されなかったことが指定回数を上回ると、地図データから静止対象物の情報を削除することができる。
【0127】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。実施の形態2では、地図データに静止対象物を追加したり、地図データから静止対象物を削除したりするために、更新データを更新データ記憶部108に記憶した。本実施の形態では、更新データをサーバに送信することにより、地図データを管理するサーバによる静止対象物の追加や削除を可能とするものである。
【0128】
以下の説明では、実施の形態1および2と異なる点について中心に説明する。
【0129】
本実施の形態に係るナビゲーション装置の構成は、図1および図2を参照して説明したものと同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0130】
実施の形態2では、静止対象物を地図データに追加する際、または静止対象物を地図データから削除する際に、座標変換処理部209または静止対象物認識処理部213が、更新データをナビゲーション制御部106に通知していた。本実施の形態では、ナビゲーション制御部106に通知された更新データを、通信制御部101が、基地局サーバ等に送信する。基地局サーバは、地図データを管理している。このため、基地局サーバが更新データに基づいて、地図データを更新することができる。
【0131】
次に、以上説明したナビゲーション装置を用いた画像認識方法について、図31に示すフローチャートを用いて説明する。
【0132】
なお、ここでは、実施の形態2と同様に、新たに静止対象物が検出されると、ナビゲーション制御部106に対して静止対象物の追加要求(更新データ)が送信され、静止対象物が削除されたことが検出されると、ナビゲーション制御部106に対して静止対象物の削除要求(更新データ)が送信されているものとする。
【0133】
ナビゲーション制御部106は、静止対象物の追加要求を受け取った場合には(ステップS5201でYES)、誤検出を防ぐために、同一の静止対象物について追加要求を指定回数以上受け取ったか否かを判断する(ステップS5202)。追加要求を指定回数以上受け取ったと判断した場合には(ステップS5202でYES)、ナビゲーション制御部106は、通信制御部101を介して、基地局サーバに静止対象物の追加要求を送信する(S5203)。追加要求を受信した基地局サーバは、追加要求に基づいて、自身が管理する地図データに静止対象物を追加することにより、地図データを更新する。更新後の地図データは、基地局サーバからナビゲーション装置に送信される。ナビゲーション制御部106は、通信制御部101を介して更新後の地図データを受信し、地図データ記憶部107に記憶する。
【0134】
一方、ナビゲーション制御部106は、静止対象物の削除要求を受け取った場合には(ステップS5204でYES)、誤検出を防ぐために、同一の静止対象物について削除要求を指定回数以上受け取ったか否かを判断する(ステップS5205)。削除要求を指定回数以上受け取ったと判断した場合には(ステップS5205でYES)、ナビゲーション制御部106は、通信制御部101を介して、基地局サーバに静止対象物の削除要求を送信する(S5206)。削除要求を受信した基地局サーバは、削除要求に基づいて、自身が管理する地図データから静止対象物を削除することにより、地図データを更新する。
【0135】
以上説明したように、本実施の形態によると、カメラ画像より検出された静止対象物の位置を、地図データ上の位置に変換し、地図データ上の該当する位置に静止対象物の位置情報がなく、カメラ画像に静止対象物が検出された場合に、検出が指定回数を上回ると、静止対象物の追加要求を基地局サーバに送信することができる。このため、基地局サーバは、自身が管理する地図データに静止対象物の情報を追加することができる。更新後の地図データは、基地局サーバからナビゲーション装置に送信される。ナビゲーション制御部106は、通信制御部101を介して更新後の地図データを受信し、地図データ記憶部107に記憶する。
【0136】
また、地図データ上に静止対象物の位置情報があるにもかかわらず、カメラ画像の対応する位置に静止対象物が検出されなかった場合に、検出されなかったことが指定回数を上回ると、地図データから静止対象物の情報を削除するための削除要求を基地局サーバに送信することができる。このため、基地局サーバは、自身が管理する地図データから静止対象物の情報を削除することができる。
【0137】
以上、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置について説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0138】
例えば、上述の実施の形態では、静止対象物を特定施設のマークを用いて例示したが、無論、これ以外のマーク、交通標識、道路標識、さらには信号器等の静止している対象物であってもよい。
【0139】
また、十字路のような交差点を例示として用いたが、無論、これ以外のT字路や三叉路、さらには複数分岐した交差点であってもよい。また、道路種別は、優先道路と非優先道路との交差点に限られず、信号機が設置された交差点であってもよいし、複数車線を有する道路の交差点であってもよい。
【0140】
さらに、上述の実施の形態では、ナビゲーション装置が二次元の地図データを用いるものとして説明したが、鳥瞰図のような三次元の地図データを用いても、本発明は実現が可能である。
【0141】
さらに、上述の実施の形態では、通信制御部によりデータを基地局サーバと送受信しているが、専用の無線通信機を用いることなく、一般的な携帯電話や携帯型端末機器のようなインターネットに接続可能な機器を介して、データを送受信することも可能である。
【0142】
また、図1を用いて説明したナビゲーション装置のうち、撮像部109と画像処理部110とナビゲーション制御部106とは、1チップLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)で構成されていてもよい。さらに他のブロックにおける他の組み合わせについても同様なことが言える。
【0143】
また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されても良い。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0144】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSIから構成されているとしても良い。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0145】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしても良い。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0146】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしても良い。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。
【0147】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc(登録商標))、半導体メモリなどに記録したものとしても良い。また、これらの記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしても良い。
【0148】
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。
【0149】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしても良い。
【0150】
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【0151】
さらに、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【0152】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明にかかる画像認識方法および画像認識装置は、ナビゲーション機能を備えたコンピュータ装置等において利用することができる。また、ナビゲーション機能に加えて、オーディオ機能やビデオ機能等を含むものであってもよい。また、ナビゲーション機能を備えた車両に限らず移動体全般において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】輪郭画素を判断する際に用いられる画素の構成を示す図である。
【図4】カメラで撮影された画像の一例を示す図である。
【図5】輪郭成分を抽出したカメラ画像の一例を示す図である。
【図6】特定領域を示したカメラ画像の一例を示す図である。
【図7】道路の色差信号のみからなる画像の一例を示す図である。
【図8】認識された道路画像の一例を示す図である。
【図9】地図データの一例を示す図である。
【図10】カメラ画像での道路輪郭の屈折している箇所の一例を示す図である。
【図11】道路輪郭ベクトルの一例を示す図である。
【図12】地図データでの道路輪郭の屈折している箇所の一例を示す図である。
【図13】カメラ画像での道路輪郭の屈折している箇所の一例を示す図である。
【図14】カメラ画像での道路輪郭ベクトルの一例を示す図である。
【図15】カメラ画像での道路輪郭ベクトルの一例を示す図である。
【図16】座標変換処理を説明するための図である。
【図17】画像変形後の地図データの一例を示す図である。
【図18】道路輪郭ベクトルの一例を示す図である。
【図19】画像変形後のカメラ画像の一例を示す図である。
【図20】静止対象物と地図データの一例を示す図である。
【図21】静止対象物座標と地図データの一例を示す図である。
【図22】画像変形後の、静止対象物座標を含む地図データの一例を示す図である。
【図23】カメラ画像における静止対象物の探索範囲の一例を示す図である。
【図24】カメラ画像における静止対象物の探索範囲の一例を示す図である。
【図25】静止対象物の動きベクトルの一例を示す図である。
【図26】本発明の実施の形態1に係る画像変形方法のフローチャートである。
【図27】静止対象物とカメラ画像の一例を示す図である。
【図28】画像変形後の、静止対象物を含むカメラ画像の一例を示す図である。
【図29】静止対象物が付与された地図データの一例を示す図である。
【図30】本発明の実施の形態2に係る画像表示方法のフローチャートである。
【図31】本発明の実施の形態3に係る画像表示方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0155】
101 通信制御部
102 自立航法制御部
103 GPS制御部
104 道路交通情報受信部
105 音声出力部
106 ナビゲーション制御部
107 地図データ記憶部
108 更新データ記憶部
109 撮像部
110 画像処理部
111 画像合成処理部
112 画像表示処理部
202 輝度信号色差信号分離処理部
203 輝度信号処理部
204 色差信号処理部
205 道路認識処理部
206 注目座標抽出部
208、210 セレクタ
209 座標変換処理部
213 静止対象物認識処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられたカメラで撮影された画像に含まれる静止対象物を認識する画像認識方法であって、
前記カメラが前記車両の外部を撮影することにより生成される画像データより、当該画像データ上での道路の位置を認識する道路認識ステップと、
前記道路認識ステップにおいて認識された前記道路の位置と、前記車両の位置を特定するナビゲーション装置に蓄積された前記車両を所定の視点から見た地図データ上での前記道路の位置とを比較することにより、前記画像データと前記地図データとの間の歪み量を算出する歪み量算出ステップと、
前記歪み量に基づいて、前記画像データおよび前記地図データのいずれか一方を、他方のデータの視点から見たデータに変換する変換ステップと、
前記変換ステップにおいていずれか一方が変換された前記画像データおよび前記地図データに基づいて、両データの互いに対応する位置に静止対象物が存在するか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する静止対象物認識ステップと
を含む画像認識方法。
【請求項2】
前記静止対象物認識ステップは、
前記変換ステップにおいていずれか一方が変換された前記画像データおよび前記地図データに基づいて、前記地図データ上での前記静止対象物の位置に対応する前記画像データ上での位置を含む所定領域を、前記画像データ上での前記静止対象物の探索領域と決定する探索領域決定ステップと、
前記画像データの前記探索領域内に前記静止対象物が存在するか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する認識ステップとを含む
請求項1記載の画像認識方法。
【請求項3】
前記静止対象物認識ステップは、
前記変換ステップにおいていずれか一方が変換された前記画像データおよび前記地図データに基づいて、前記道路認識ステップで認識された道路の位置を除外した前記画像データの領域を、前記画像データ上での前記静止対象物の探索領域と決定する探索領域決定ステップと、
前記画像データの前記探索領域内に前記静止対象物が存在するか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する認識ステップとを含む
請求項1記載の画像認識方法。
【請求項4】
前記静止対象物認識ステップは、
前記変換ステップにおける変換後の前記画像データから道路の輪郭を抽出する道路輪郭抽出ステップと、
時間的に連続する複数の前記画像データであって、かつ前記変換ステップにおける変換後の複数の前記画像データより前記静止対象物を抽出し、前記静止対象物が前記道路の輪郭に沿って移動しているか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する認識ステップとを含む
請求項1記載の画像認識方法。
【請求項5】
前記静止対象物認識ステップは、さらに、前記画像データおよび前記地図データのいずれか一方のみにおいて、前記静止対象物が存在すると判断された場合には、前記地図データの前記静止対象物に関するデータを更新する
請求項1記載の画像認識方法。
【請求項6】
前記静止対象物認識ステップでは、前記画像データより前記静止対象物が検出され、かつ検出された前記静止対象物に対応する静止対象物が前記地図データより検出されないとの条件が満たされるか否かを判断し、当該条件が指定回数以上満たされたと判断した場合には、前記静止対象物に関する情報を前記地図データに追加する
請求項5記載の画像認識方法。
【請求項7】
前記静止対象物認識ステップでは、前記地図データより前記静止対象物が検出され、かつ検出された前記静止対象物に対応する静止対象物が前記画像データより検出されないとの条件が満たされるか否かを判断し、当該条件が指定回数以上満たされたと判断した場合には、前記静止対象物に関する情報を前記地図データから削除する
請求項5記載の画像認識方法。
【請求項8】
前記静止対象物認識ステップは、さらに、前記画像データおよび前記地図データのいずれか一方のみにおいて、前記静止対象物が存在すると判断された場合には、前記地図データの前記静止対象物に関するデータの更新要求を、前記地図データを管理するサーバに送信する
請求項1記載の画像認識方法。
【請求項9】
前記静止対象物認識ステップでは、前記画像データより前記静止対象物が検出され、かつ検出された前記静止対象物に対応する静止対象物が前記地図データより検出されないとの条件が満たされるか否かを判断し、当該条件が指定回数以上満たされたと判断した場合には、前記静止対象物に関する情報を前記地図データに追加する要求を、前記サーバに送信する
請求項8記載の画像認識方法。
【請求項10】
前記静止対象物認識ステップでは、前記地図データより前記静止対象物が検出され、かつ検出された前記静止対象物に対応する静止対象物が前記画像データより検出されないとの条件が満たされるか否かを判断し、当該条件が指定回数以上満たされたと判断した場合には、前記静止対象物に関する情報を前記地図データから削除する要求を、前記サーバに送信する
請求項8記載の画像認識方法。
【請求項11】
さらに、前記サーバより、更新後の地図データを受信する受信ステップを含む
請求項8記載の画像認識方法。
【請求項12】
車両に取り付けられたカメラで撮影された画像に含まれる静止対象物を認識する画像認識装置であって、
前記カメラが前記車両の外部を撮影することにより生成される画像データより、当該画像データ上での道路の位置を認識する道路認識部と、
前記道路認識部において認識された前記道路の位置と、前記車両の位置を特定するナビゲーション装置に蓄積された前記車両を所定の視点から見た地図データ上での前記道路の位置とを比較することにより、前記画像データと前記地図データとの間の歪み量を算出する歪み量算出部と、
前記歪み量に基づいて、前記画像データおよび前記地図データのいずれか一方を、他方のデータの視点から見たデータに変換する変換部と、
前記変換部においていずれか一方が変換された前記画像データおよび前記地図データに基づいて、両データの互いに対応する位置に静止対象物が存在するか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する静止対象物認識部と
を含む画像認識装置。
【請求項13】
車両に取り付けられたカメラで撮影された画像に含まれる静止対象物を認識するプログラムであって、
前記カメラが前記車両の外部を撮影することにより生成される画像データより、当該画像データ上での道路の位置を認識する道路認識ステップと、
前記道路認識ステップにおいて認識された前記道路の位置と、前記車両の位置を特定するナビゲーション装置に蓄積された前記車両を所定の視点から見た地図データ上での前記道路の位置とを比較することにより、前記画像データと前記地図データとの間の歪み量を算出する歪み量算出ステップと、
前記歪み量に基づいて、前記画像データおよび前記地図データのいずれか一方を、他方のデータの視点から見たデータに変換する変換ステップと、
前記変換ステップにおいていずれか一方が変換された前記画像データおよび前記地図データに基づいて、両データの互いに対応する位置に静止対象物が存在するか否かを判断することにより、前記画像データ中の前記静止対象物を認識する静止対象物認識ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−176645(P2010−176645A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22018(P2009−22018)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】