画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置
【課題】 イメージセンサーの両側に配されたランプの光量の均一化の調整を行えるようにして、原稿のシワの部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高める。
【解決手段】 複数の受光素子が並べられたイメージセンサーと、イメージセンサーの左右両側にそれぞれが光源を有する2本のランプと、を含む読取部と、読取部を副走査方向で移動させる移動機構と、各ランプの光源の発光を制御する発光制御部と、段差が設けられた白基準板と、濃度値を定める濃度確認部と、を含み、移動機構は、左調整位置に読取部を移動させるとともに右調整位置に読取部を移動させ、読取部は、左調整位置と右調整位置で読み取りを行い、濃度確認部は、左調整位置での読み取りで得られた濃度値と右調整位置での読み取りで得られた濃度値の差が無くなるように光源の光量の調整量を定め、発光制御部は、調整量に基づき光源の光量を調整する。
【解決手段】 複数の受光素子が並べられたイメージセンサーと、イメージセンサーの左右両側にそれぞれが光源を有する2本のランプと、を含む読取部と、読取部を副走査方向で移動させる移動機構と、各ランプの光源の発光を制御する発光制御部と、段差が設けられた白基準板と、濃度値を定める濃度確認部と、を含み、移動機構は、左調整位置に読取部を移動させるとともに右調整位置に読取部を移動させ、読取部は、左調整位置と右調整位置で読み取りを行い、濃度確認部は、左調整位置での読み取りで得られた濃度値と右調整位置での読み取りで得られた濃度値の差が無くなるように光源の光量の調整量を定め、発光制御部は、調整量に基づき光源の光量を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の読み取りを行う画像読取装置に関する。又、この画像読取装置を備えた複合機、複写機、プリンター、FAX装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、光源から放たれ、原稿で反射された光をイメージセンサーに導き、画像データを得る。又、画像読取装置は複合機、複写機、FAX装置などの画像形成装置に設けられることもある。そして、画像読取装置に複数個の光源が設けられることがある。しかし、全ての光源が点灯することが前提であり、光源が1つでも故障すると正確な読み取りを行うことができない。そこで、列状に並べられた複数のLEDの故障検知を行う画像読取装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、画像読取対象物を載置するガラス部材と、複数の発光素子が一列又は複数列に配置され画像読取対象物に光を照射する光源部と、画像読取対象物で反射した反射光を受光した結果に基づき画像読取対象物を撮像する撮像手段と、少なくとも光源部を有し、ガラス部材を挟んで画像読取対象物とは反対側をガラス部材の載置面に沿って移動可能な走行体と、ガラス部材の走行体移動方向端部に配置され、撮像手段により受光した反射光のシェーディング補正をおこなうための白基準となる白基準部材とを備え、走行体を白基準部材と対向する位置に移動し、発光素子により白基準部材に光を照射し、撮像手段により白基準部材で反射した反射光を受光した結果に基づき発光素子の故障検知をおこなう故障検知モードを有する画像読取装置が記載されている。この構成により、白基準部材を用いて受光した反射光に不均一な部分の有無に基づき、列状に並べた複数の発光素子のうち不均一な部分に対応する発光素子の故障を検知しようとする。(特許文献1:請求項1、段落[0009]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−010830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置には、CIS(Contact Image Sensor)方式のイメージセンサ(密着型イメージセンサー)が用いられることがある。そして、CIS方式のイメージセンサー(ラインセンサー)の両側にランプが配されるものがある。ラインセンサーの両側にランプを配した場合、一方のランプが故障等により点灯しなくても、主走査方向での光量自体は均一であり、画質は低下するもののある程度の読み取りを行える。
【0006】
このようなイメージセンサーの両側にランプを配する場合、各ランプが発する光量は(発光レベル)は、均一で有ることが好ましい。シワや折り目のある原稿を読み取るとき、シワや折り目部分を照射する2つのランプからの光量に差があると、各ランプの光量差に起因して、原稿のシワの部分(シワによる影の部分)が強調されたような読み取り結果(画像データ)となるという問題がある。言い換えると、両側のランプの光量が均一でないとき、シワや折り目等の凹凸のある原稿を読み取ると、凹凸部に影ができ、本来不要な凹凸が読み取り結果に明確に現れるという問題がある。一方のランプが故障等で点灯しない場合等、両側のランプの光量の差が大きいほど、この問題は顕著となる。
【0007】
尚、特許文献1を見ると、複数の発光素子を列状に配するものの、主走査方向にのびるランプとしては1つであり、イメージセンサーの両側にランプを配したものではない(特許文献1記載の画像読取装置は、いわゆるCCD方式)。言い換えると、イメージセンサーの両側に複数の発光素子を列状に配したものではない。又、上記の問題を示唆する記載もない。従って、特許文献1記載の発明では、上記の問題を解決できない。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、イメージセンサーの両側に配されたランプの光量の均一化の調整を行えるようにして、原稿のシワの部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る画像読取装置は、主走査方向に複数の受光素子が並べられたイメージセンサーと、主走査方向を長手方向とし前記イメージセンサーに対し前記副走査方向の左右両側にそれぞれ設けられ、それぞれが光源を有する2本のランプと、を含み、原稿の読み取りのとき各前記光源を点灯させて前記イメージセンサーにより読み取りを行う読取部と、前記読取部を副走査方向で移動させる移動機構と、各前記ランプの光源の発光を制御する発光制御部と、前記読取部の移動経路上に設けられるとともに、前記読取部の上方に設けられ、下向きの凸部を有し、段差が設けられた白基準板と、前記イメージセンサーの各受光素子の出力値に基づき、濃度を示す値である濃度値を定める濃度確認部と、を含み、前記移動機構は、前記イメージセンサーが左側の前記段差から前記白基準板の左外側方向に離れた位置を読み取る左調整位置に前記読取部を移動させるとともに、前記イメージセンサーが右側の前記段差から前記白基準板の右外側方向に離れた位置を読み取る右調整位置に前記読取部を移動させ、前記読取部は、前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りを行い、前記濃度確認部は、前記左調整位置での読み取りで得られた前記濃度値と前記右調整位置での読み取りで得られた前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定め、前記発光制御部は前記調整量に基づき前記光源の光量を調整することとした。
【0010】
白基準板に段差を設ければ、一方のランプの光を凸部で反射させ、イメージセンサーに届かせないようにして読み取りを行うことが可能となる。そこで、この構成によれば、濃度確認部は、左調整位置での読み取りで得られた濃度値と右調整位置での読み取りで得られた濃度値の差が無くなるように光源の光量の調整量を定める。これにより、別途センサーを設置することなく、2つのランプの光量の差(濃度値の差)を画像読取装置が本来備えるイメージセンサーを用いて認識することができる。そして、発光制御部は、濃度値の差が無くなるように光源の光量を調整する。従って、光量が等しくなるようにイメージセンサーの両側のランプの光量が調整されるので、原稿のシワや折り目の部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めることができる。
【0011】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記濃度確認部は、前記左調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、左側の前記ランプの前記光源の光量を上げるように前記調整量を定め、前記濃度確認部が前記右調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、右側の前記ランプの前記光源の光量を上げるように前記調整量を定めることとした。
【0012】
この構成によれば、濃度確認部は、左調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、左側のランプの光源の光量を上げるように調整量を定め、濃度確認部が右調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、右側のランプの光源の光量を上げるように調整量を定める。これにより、両側のランプの合計の光量を確保しつつ、光量が等しくなるように、イメージセンサーの両側のランプの光量を調整することができる。
【0013】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記濃度確認部は、前記左調整位置で読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値又は複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき、前記左調整位置の濃度値を定め、前記右調整位置で読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値又は複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき、前記右調整位置の濃度値を定めることとした。
【0014】
この構成によれば、濃度確認部は、左調整位置で読み取ったときの1つの受光素子の出力値又は複数の受光素子の出力値の平均値に基づき、左調整位置の濃度値を定め、右調整位置で読み取ったときの1つの受光素子の出力値又は複数の受光素子の出力値の平均値に基づき、右調整位置の濃度値を定める。これにより、1つの受光素子の出力値に基づき濃度値を定めれば、極めて簡易な処理で、各調整位置の濃度値と、その濃度値の差(光量の差)を求めることができる。あるいは、複数の受光素子の出力値の平均をとって濃度値を定めることで、各受光素子(受光素子)での読み取り特性での個体差、ばらつきを低減しつつ、濃度値の差(光量の差)を認識することができる。
【0015】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の発明において、前記移動機構は、いずれかの前記光源の光量を上げる調整がなされたとき、前記凸部を読み取る位置となるように前記読取部を移動させ、前記発光制御部は、調整後の光量で各前記光源を発光させ、前記読取部は、前記白基準板の前記凸部の読み取りを行い、前記濃度確認部は、前記凸部を読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき参照値を定め、前記参照値が予め定められた許容範囲に収まっていないとき、前記許容範囲に収まるように、一部又は全ての前記光源の光量を減らす又は増やすこととした。
【0016】
ランプの合計の光量が多すぎると、原稿のうち一定以上明るい部分がほぼ白で読み取られてしまうことがある(白飛び)。又、ランプの合計の光量が少なすぎると、原稿のうち一定以上暗い部分がほぼ黒として読み取られてしまうことがある(黒潰れ)。そこで、この構成によれば、濃度確認部は、凸部を読み取ったときの1つの受光素子の出力値、又は、複数の受光素子の出力値の平均値に基づき参照値を定め、参照値が予め定められた許容範囲に収まっていないとき、許容範囲に収まるように、一部又は全ての光源の光量を減らす又は増やす。これにより、光量調整の結果、各ランプの合計の光量が多くなりすぎることや、少なすぎることを防ぐことができる。ここで、「許容範囲」は、任意に定めることができ、原稿の読み取りを行う上で、白飛びや黒潰れの発生を回避できるように実験等により予め定められる適切で好適な参照値の範囲である。
【0017】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の発明において、前記移動機構は、左側の前記段差から前記左調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインの位置までの距離と、右側の前記段差から前記右調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離とを同じ距離として、前記読取部を前記左調整位置及び前記右調整位置に移動させることを特徴とすることとした。
【0018】
この構成によれば、移動機構は、左側の段差から左調整位置でのイメージセンサーが読み取りを行う読取ラインの位置までの距離と、右側の段差から右調整位置でのイメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離とを同じ距離として、読取部を左調整位置及び右調整位置に移動させる。これにより、左調整位置での読取ラインと段差の位置関係と、右調整位置の読取ラインと段差の位置関係を同様の条件にすることができる。これにより、同じ条件で左調整位置と右調整位置の濃度値を比較することができ、各ランプの光量をより正確に均等とすることができる。
【0019】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の発明において、前記移動機構は、副走査方向において、左側の前記段差から前記左調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離、及び、右側の前記段差から前記右調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離が、副走査方向からみて前記読取ラインと前記ランプの間の距離よりも短くなるように、前記読取部を前記左調整位置及び前記右調整位置に移動させることとした。
【0020】
この構成によれば、移動機構は、左側の段差から左調整位置でのイメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離、及び、右側の段差から右調整位置でのイメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離が、副走査方向からみて読取ラインとランプの間の距離よりも短くなるように、読取部を左調整位置及び右調整位置に移動させる。これにより、一方のランプからの光が確実に段差によって遮られるようにすることができる。従って、各ランプの光量の差(濃度値の差)の有無を確実に認識することができる。
【0021】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、前記移動機構は、複数の異なる前記左調整位置に前記読取部を移動させるとともに、複数の異なる前記右調整位置に前記読取部を移動させ、前記読取部は、それぞれの前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りを行い、前記濃度確認部は、それぞれの前記左調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき前記左調整位置の濃度値を定め、それぞれの前記右調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき前記右調整位置の濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定めることとした。
【0022】
この構成によれば、濃度確認部は、それぞれの左調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置の濃度値を定め、それぞれの右調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置の濃度値を定める。これにより、受光素子ブロックに含まれる複数の受光素子の平均をとることで、各受光素子(受光素子)での読み取り特性での個体差、ばらつきを低減しつつ、濃度値の差(光量の差)を認識することができる。
【0023】
又、請求項8に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、各ランプは、棒状の導光体と、前記導光体の両端に2つの前記光源を含み、前記濃度確認部は、主走査方向から見て手前側の2つの前記光源については、左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での前記濃度値を定め、右調整位置でよみとったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように手前側の前記光源の光量の調整量を定め、主走査方向から見て奥側の前記光源については、左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央よりも奥側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での前記濃度値を定め、右調整位置でよみとったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように奥側の前記光源の光量の調整量を定めることとした。
【0024】
主走査方向で光を放射する導光体の両端に光源が設けられるランプでは、主走査方向からみて手前側では、手前側に設けられた光源からの光がより多く放射され(手前側に設けられた光源の影響が強い)、主走査方向からみて奥側では、奥側に設けられた光源からの光がより多く放射される(奥側に設けられた光源の影響が強い)。そこで、この構成によれば、濃度確認部は、主走査方向から見て手前側の2つの光源については、手前側の2つの光源の間で各濃度値の差が無くなるように手前側の光源の光量の調整量を定め、奥側の2つの光源の間で各濃度値の差が無くなるように奥側の光源の光量の調整量を定める。これにより、ランプの両端に設けられた各光源の光量を、手前側と奥川のそれぞれの光源の組み合わせでランプの端部に設けられた各光源の光量を適切に調整することができる。
【0025】
又、請求項9に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、各前記ランプは、棒状の導光体と、前記導光体の端部に1つの光源を含み、前記濃度確認部は、前記左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央部分に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき前記左調整位置での前記濃度値を定め、前記右調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央部分に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき前記右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定めることとした。
【0026】
主走査方向で光を放射する導光体の一方の端部に光源が設けられるランプでは、ランプの主走査方向の中央位置での光量適切か否かが1つの目安となる。そこで、この構成によれば、濃度確認部は、左調整位置で読み取ったときのランプの中央部分に位置する1つの受光素子の出力値、又は、複数の受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での濃度値を定め、右調整位置で読み取ったときのランプの中央部分に位置する1つの受光素子の出力値、又は、複数の受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように光源の光量の調整量を定める。これにより、ランプの一方の端部に設けられた各光源の光量を適切に調整することができる。
【0027】
又、請求項10に係る発明は、請求項1乃至9の発明において、前記左調整位置の前記濃度値と前記右調整位置の前記濃度値の差に応じて、前記光源の光量の調整量を定めた光量調整テーブルを記憶する記憶部を含む。
【0028】
この構成によれば、左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値の差に応じて、光源の光量の調整量を定めた光量調整テーブルを記憶する記憶部を含む。これにより、光量調整テーブルを参照することで、濃度値の差に基づき、光源の光量を調整するための調整量を迅速、簡易に決定することができる。
【0029】
又、請求項11に係る発明は、請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像読取装置を含むこととした。
【0030】
この構成によれば、画像形成装置の画像読取装置では、光量が等しくなるように、イメージセンサーの両側のランプの光量が調整され、原稿のシワや折り目の部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めた画像データを得ることができる。従って、高画質の画像データに基づき、高画質の印刷を行う画像形成装置を提供することができる。
【0031】
尚、請求項1乃至10の画像処理装置は、メッセージの報知を行う報知部を含み、前記報知部は、前記光源の光量を増やす調整が行われても、前記濃度確認部が前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りでの前記濃度値に基づき、光量が増加していると認められないとき、前記ランプの異常を報知するようにしてもよい。これにより、各ランプの故障を検知することができるとともに、故障を使用者に報知することができる。
【0032】
又、請求項1乃至10の発明において、前記発光制御部は、前記光源に印加する電圧又は供給する電流のデューティ比を変化させて各前記光源の光量を調整するようにしてもよい。これにより、ランプの光源の光量を調整することができる。
【0033】
あるいは、請求項1乃至10の発明において、前記発光制御部は、前記光源に印加する電圧又は供給する電流の大きさを変化させて各前記光源の光量を調整するようにしてもよい。これにより、ランプの光源の光量を調整することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、イメージセンサーの両側に配されたランプを光量の均一化の調整を行えるようにして、原稿のシワの部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】複合機の模型的正面断面図である。
【図2】複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像読取装置の一例を示す模型的正面断面図である。
【図4】画像読取装置の一例を示すブロック図である。
【図5】(a)は、読取部の断面図であり、(b)はイメージセンサーの構造の一例を示す説明図である。
【図6】白基準板の一例を示す説明図である。
【図7】各ランプの光量調整の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】左調整位置の一例を示す説明図である。
【図9】右調整位置の一例を示す説明図である。
【図10】光量調整テーブルの一例を示す説明図である。
【図11】ランプ(光源)の異常報知画面の一例である。
【図12】白基準板の読取位置の一例を示す説明図である。
【図13】光源の光量調整後の全体的な光量調整の概念を説明するための説明図である。
【図14】第2の実施形態での濃度値の定め方を説明するための説明図である。
【図15】第3の実施形態での読取部を上方からみた模式図である。
【図16】第4の実施形態での読取部を上方からみた模式図である。
【図17】第5の実施形態での光量調整テーブルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図1〜図17を用いて説明する。まず、図1〜図13を用いて複合機101(画像形成装置)を例に挙げて第1の実施形態を説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0037】
(複合機101の構成の概要)
まず、図1を用い、第1の実施形態に係る画像読取装置100を含む複合機101の概略を説明する。図1は、複合機101の模型的正面断面図である。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の複合機101は、上部に原稿カバー102と画像読取部1を含む画像読取装置100を有する(詳細は後述)。又、画像読取部1の前面に操作パネル2(破線で図示、報知部に相当)が設けられ、複合機101本体内に、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b等が設けられる。
【0039】
図1に示すように、操作パネル2は、複合機101の正面上方に設けられる。そして、操作パネル2は、複合機101の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部21を備える。液晶表示部21は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを1又は複数表示できる。又、液晶表示部21の上面にタッチパネル部22(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル部22は、液晶表示部21で押された部分の位置、座標を抽出するためのものである。又、操作パネル2には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー23等、各種のハードキーも設けられる。
【0040】
給紙部3aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路3bに送り込む。搬送路3bは、給紙部3aから排出トレイ31まで用紙を搬送する通路である。そして、搬送路3bには、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラー対32、33や、搬送されてくる用紙を画像形成部4aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラー対34等が設けられる。
【0041】
画像形成部4aは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部4aは、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム41、及び、感光体ドラム41の周囲に配設された帯電装置42、露光装置43、現像装置44、転写ローラー45、清掃装置46等を備える。
【0042】
トナー像形成及び転写プロセスを説明する。感光体ドラム41は、画像形成部4aの略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する。帯電装置42は、所定電位に感光体ドラム41を帯電させる。図1において、露光装置43は、画像データに基づき、レーザ光を出力し、感光体ドラム41表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。尚、画像データは、画像読取部1で得られた画像データや、ネットワーク等により接続される外部のコンピューター200や相手方FAX装置300(図5参照)から送信された画像データ等が用いられる。
【0043】
そして、現像装置44は、感光体ドラム41に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。転写ローラー45は感光体ドラム41に圧接し、ニップが形成される。そして、トナー像にあわせタイミングを図られつつ、用紙はニップに進入する。用紙進入時、転写ローラー45には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム41上のトナー像が転写される。清掃装置46は、転写後に感光体ドラム41に残留するトナーを除去する。
【0044】
定着部4bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部4bは主として発熱体を内蔵する加熱ローラー47と加圧ローラー48で構成される。加熱ローラー47と加圧ローラー48は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ31が受け止める。このようにして、コピー機能、プリンタ機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0045】
(複合機101のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、第1の実施形態に係る複合機101のハードウェア構成を説明する。図2は、複合機101のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
図2に示すように、本実施形態に係る複合機101は、内部に主制御部5を有する。主制御部5は、複合機101全体の制御を司る。例えば、主制御部5は、CPU51、記憶部52等から構成される。
【0047】
CPU51は、中央演算処理装置であって、記憶部52に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機101の各部の制御や演算を行う。記憶部52は、ROM、RAM、HDD、フラッシュROM等の記憶装置で構成される。記憶部52は、複合機101の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像読取部1でスキャンした画像データ等を記憶する。
【0048】
そして、主制御部5は、画像読取装置100(画像読取部1)、及び、複合機101内の給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b、操作パネル2等と接続され、記憶部52の制御プログラムやデータに基づき、適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。
【0049】
更に、主制御部5は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えたI/F部53と接続される。I/F部53は、ネットワークやケーブルや公衆回線等によりコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)や、相手方のFAX装置300と複合機101とを通信可能に接続する。例えば、設定データ等を含む画像データを外部のコンピューター200や相手方FAX装置300(インターネットFAXでもよい)と送受信に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、外部のコンピューター200や相手方FAX装置300からの画像データを記憶部52に蓄積したり、印刷したりすることもできる(プリンタ機能、FAX機能)。
【0050】
(画像読取装置100の概要)
次に、図3に基づき、第1の実施形態に係る画像読取装置100を説明する。図3は画像読取装置100の一例を示す模型的正面断面図である。
【0051】
本実施形態の画像読取装置100は、複合機101に含まれる。そのため、図3は、複合機101中の原稿カバー102と画像読取部1のみを抽出し拡大した図である。そして、原稿カバー102は、図3の紙面垂直方向の奥側に設けられた支点(不図示)により、上方に持ち上げ可能である。そして、使用者は、原稿カバー102を開けて、原稿をコンタクトガラス11に載せる。その後、使用者は、原稿カバー102を閉じ、原稿を原稿カバー102で押さえる。
【0052】
次に、画像読取部1を説明する。画像読取部1は、上面に透明板状のコンタクトガラス11を含む。画像読取部1は、コンタクトガラス11に載置された原稿に光を照射し、その反射光に基づき原稿を読み取って画像データを生成する。
【0053】
そして、原稿の読み取りを行うため、画像読取部1は、CIS(Contact Image Sensor)方式の読取部6を備える(読取部6の詳細は後述)。読取部6は、コンタクトガラス11の下方に設けられる。
【0054】
又、読取部6は、ワイヤ12(移動機構に相当)で巻取ドラム13(移動機構に相当)に接続される。巻取ドラム13は、正逆回転する巻取モータ14(図4参照、移動機構に相当)により回転させられ、読取部6を水平方向(複合機101の左右方向)に自在に移動させることができる。尚、読取部6には複数本のワイヤ12が接続され、複数本のワイヤ12は、画像読取部1内で架けまわされるが、図3では、便宜上、ワイヤ12は一本のみ図示している。
【0055】
コンタクトガラス11上の原稿を読み取る時、読取部6は、巻取ドラム13の回転駆動によりを水平方向に移動させられる。尚、本実施形態の画像読取装置100(複合機101)には、原稿カバー102に代えて、原稿を1枚ずつ読み取り位置に自動的、連続的に搬送する原稿搬送装置を装着することもできる。そして、コンタクトガラス11の左側に、コンタクトガラス11と間隔を隔てて、送り読取用コンタクトガラス6215が設けられる。原稿搬送装置が取り付けられる場合、原稿搬送装置が搬送する原稿は、送り読取用コンタクトガラス6215上を通過する。読取部6は、送り読取用コンタクトガラス6215を通過する原稿を読み取る。
【0056】
ここで、コンタクトガラス11と送り読取用コンタクトガラス6215の間にガイド部材16が設けられる。ガイド部材16の上面には、コンタクトガラス11に原稿を載置する上での基準となる位置や用紙サイズが記される。尚、ガイド部材16は、原稿搬送装置が設けられたとき原稿の搬送をガイドする機能も有する。ガイド部材16内部の下方には、白基準を得るための白基準板7が設けられる。白基準板7は、画像読取装置100の主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向、図3の紙面に対し垂直な方向)に伸びる板である。又、白基準板7は下方に向けた凸部71を有する(白基準板7の詳細は後述)。
【0057】
(画像読取装置100のハードウェア構成と画像データの流れ)
次に、図4に基づき、第1の実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成と画像データの生成を説明する。図4は、画像読取装置100の一例を示すブロック図である。尚、図4では、画像データの流れは、白抜矢印で図示している。
【0058】
画像読取装置100の一部である画像読取部1には読取制御部10(濃度確認部に相当)が設けられる。読取制御部10は、CPU、チップ等の各種電子部品が実装された基板である。尚、読取制御部10内には、記憶部10aを設けることができる。記憶部10aは、例えば、画像読取装置100の制御のためのプログラムやデータを記憶する。そして、読取制御部10は、複合機101本体の主制御部5と通信可能に接続される。操作パネル2のスタートキー23が押された場合など原稿の読み取りを行う場合、主制御部5は、読取制御部10に原稿読み取りの指示を与える。読取制御部10は、主制御部5の指示を受け画像読取装置100の制御を行う。又、読取制御部10内には、読取部6の各ランプ8の各光源80の点灯、消灯や、光量を制御する発光制御部10bが設けられる。発光制御部10bは、各光源80に電流を供給する回路である。尚、発光制御部10bは、読取制御部10外に設けられても良い。
【0059】
本実施形態では、発光制御部10bは、各光源80の点灯時間と消灯時間を制御することで光量を調整する。具体的に、発光制御部10bは、各光源80に対し個別にPWM信号を発し、PWM信号のデューティ比(点灯させるオン時間と消灯させるオフ時間の割合)を調整して、各光源80の光量を調整、制御する。従って、本実施形態の発光制御部10bは、PWM回路を複数含む。
【0060】
原稿を読み取るとき、読取制御部10は、読取部6を動作させる。読取部6は、複数のランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)とイメージセンサー9を含む(詳細は後述)。具体的には、読取制御部10は、原稿を読み取るとき、読取部6の各ランプ8を点灯させ、イメージセンサー9を駆動させる。又、読取制御部10は、巻取ドラム13を回転させる巻取モータ14を制御する。
【0061】
尚、本実施形態のイメージセンサー9は白黒での読み取りが可能である。そのため、イメージセンサー9は、Bk/W(白黒読取用)のラインセンサーを含む。又、カラーでの読み取りにも対応できるようにするため、イメージセンサー9は、例えば、更に、R(レッド用)、G(グリーン用)、B(ブルー用)の3つのラインセンサーを含んでもよい。
【0062】
読取部6のイメージセンサー9の出力は処理部17に入力される。処理部17は、例えば、A/D変換部17a、基準値保持部17b、補正部17c、画像メモリー17d等を含む。処理部17は、各種電子回路やASIC等の画像処理専用の回路やメモリーを含む。そして、イメージセンサー9の各受光素子90は、反射光を光電変換し、反射光のレベル(受光量)に応じて電荷を蓄え、一定タイミングで電荷を吐き出す。言い換えると、各受光素子90は、反射光の強さに応じた電圧(電流)を出力する。イメージセンサー9はラインセンサーの各受光素子90によるアナログ出力(例えば、電圧)を処理部17に向けて出力する。場合により、イメージセンサー9内外に各受光素子90の出力を増幅した電圧を増幅する増幅部が設けられてもよい。この場合、処理部17は、増幅後の電圧値を各受光素子90からの出力値として受け取る。
【0063】
処理部17のA/D変換部17aは各受光素子90のアナログ出力(アナログ出力電圧)をディジタル値に変換する(以下、変換されたディジタル値を「出力値」と称する)。尚、各受光素子90のアナログ出力を変換したディジタルの出力値が、本発明での濃度値を定めるために用いられる(詳細は後述)。
【0064】
又、各受光素子90の感度のばらつきや主走査方向での位置による原稿への照射光のムラ等を考慮し、各受光素子90のディジタルの出力値の階調化を行って、予め定められたビット数(例えば、8〜10ビット)の画素値とするため白基準値と黒基準値を記憶する基準値保持部17bが設けられる。ラインセンサーが複数設けられるとき、基準値保持部17bは、各色のラインセンサーについて白基準値や黒基準値を保持する。
【0065】
ここで、画素値への階調化での黒基準値と白基準値を説明しておく。まず、白基準値と黒基準値の取得を説明する。読取制御部10は、原稿読取前や主電源投入後や省電力モードからの復帰時に、読取部6に読取を行わせ、基準値保持部17bに黒基準値と白基準値を保持させる。
【0066】
本実施形態では、読取制御部10は、各ランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)を消灯させた状態でのイメージセンサー9の各受光素子90の出力値(出力電圧値)を各受光素子90の黒基準値として基準値保持部17bに記憶させる。言い換えると、基準値保持部17bは、各ランプ8消灯時の各受光素子90からのアナログ出力電圧をA/D変換部17aが変換したディジタル値を取得し、各受光素子90の黒基準値として記憶する。具体的には、基準値保持部17bは、各ランプ8消灯時の各受光素子90の出力値を数ライン分取得し、各受光素子90について出力値の平均をとり、ノイズの影響を軽減して各受光素子90の黒基準値を得る。
【0067】
又、読取制御部10は、各ランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)を点灯させ、真っ白な白基準板7を読み取ったときのイメージセンサー9の各受光素子90の出力値(出力電圧値)を各受光素子90の白基準値として基準値保持部17bに記憶させる。言い換えると、基準値保持部17bは、各ランプ8を点灯させて白基準板7を読み取ったときの各受光素子90からのアナログ出力電圧をA/D変換部17aが変換したディジタル値を取得し、各受光素子90の白基準値として記憶する。具体的には、基準値保持部17bは、白基準板7の読取時の各受光素子90の出力値を数ライン分取得し、各受光素子90について出力値の平均をとり、ノイズの影響を軽減して各受光素子90の白基準値を得る。
【0068】
そして、処理部17の基準値保持部17bは、読取部6の各イメージセンサー9の各受光素子90について白基準値と黒基準値を補正部17cに与える。そして、補正部17cは、各受光素子90(各受光素子90)について、白基準値と黒基準値の間を、予め定められたステップ数(階調数、例えば、8ビット256階調)で刻み、各受光素子90(各受光素子90)からの出力値の大きさに応じて、階調化を行う。例えば、処理部17が白黒の画像データを出力する場合、1つの受光素子90の出力値を8ビット(256階調)で出力し、各受光素子90(画素)の値が濃度を示す値となる。カラーの場合、処理部17は、RGBで1つの受光素子90の出力値を計24ビットに階調化を行う(例えば、Red=8ビット、Green=8ビット、Blue=8ビット、それぞれ0〜255の値を取り、256階調)。尚、処理部17に入力される各受光素子90からの出力値が白基準値と黒基準値の間に収まらなければ、例えば、階調での最高値(真っ白、例えば、256階調ならば255)又は最小値(真っ黒、例えば、0)と同値とされる。これにより、原稿の画像データが得られる。
【0069】
又、補正部17cは、γ補正や、各ランプ8の光量分布のムラや、各受光素子90の個体差など、受光素子90の位置に依存する歪みの補正等、各種の補正を画像データに対して施すようにしても良い。
【0070】
そして、補正部17cが処理した画像データは、画像メモリー17dに格納される。画像メモリー17dは、例えば、原稿のページ単位又は原稿のページを複数に分割した短冊上のブロック単位(バンド単位)で本体側の記憶部52(例えば、RAM)に画像データを出力する。
【0071】
記憶部52に格納された画像データは、本体の画像処理部54に入力される。本実施形態の画像処理部54は、画像データに関する演算や作業領域としてのワークRAMや専用回路としてのASIC等を組み合わせて構成される回路である。尚、主制御部5のCPU51や記憶部52に画像処理プログラムを格納してソフトウェア的に画像処理部54を実現することもできる。
【0072】
画像処理部54は、濃度変換処理や、拡大縮小処理、画像データのデータ形式(ファイル形式)変換処理等、各種画像処理を行うことができる。しかし、実行可能な画像処理は多岐にわたるので、本説明では、画像処理部54は、公知の画像処理を行えるものとして、画像処理部54が実行可能な画像処理の詳細な説明は割愛する。
【0073】
そして、画像処理部54が画像処理を施した後の画像データは、例えば、画像形成部4aの露光装置43に送られ、各感光体ドラム41の走査・露光に用いられる。これにより、原稿に基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。又、例えば、画像処理部54が画像処理を施した後の画像データを記憶部52に送り、記憶部52に記憶させておくこともできる(スキャナ機能)。あるいは、画像処理部54が画像処理を施した後の画像データを、I/F部53を介し、外部のコンピューター200やFAX装置300に送信することもできる(送信機能)。
【0074】
尚、操作パネル2は、複合機101に含まれる画像読取装置100に関する情報を表示して報知することができる。そのため、操作パネル2は、複合機101だけでなく、画像読取装置100の報知部としても機能する。
【0075】
(読取部6)
次に、図5に基づき、第1の実施形態に係る読取部6を説明する。図5(a)は読取部6の断面図であり、図5(b)はイメージセンサー9の構造の一例を示す説明図である。
【0076】
まず、読取部6には断面略U字状の筐体61が設けられる。筐体61は、図5(a)の紙面垂直方向を長手方向とし、函状である。筐体61の長手方向が読取部6の主走査方向である。筐体61の上面には、筐体61の上面の開口を閉じるように板状のガラス62が取り付けられる。
【0077】
筐体61の内部下面には、図5(a)の紙面垂直方向(主走査方向)にのびるイメージセンサー9が設けられる。イメージセンサー9は、複数の受光素子90(光電変換素子)を主走査方向に沿って配列したラインセンサーである。本実施形態の読取部6では、A3サイズの用紙を読み取れるように、イメージセンサー9は、A3サイズの用紙の短辺よりも長い。
【0078】
ここで、図5(b)を用いて、イメージセンサー9の構造の一例を説明する。イメージセンサー9は、複数の受光素子90が列状に配列されたラインセンサーを含む。イメージセンサー9は、カラー読取対応の場合、複数本のラインセンサーを含む。各受光素子90の数やサイズは読み取り解像度による。そして、例えば、各受光素子90に対し、読み出しレジスタ91が設けられる。読み出しレジスタ91は一定のクロックで各受光素子90の出力を順番に外部に出力する。
【0079】
イメージセンサー9の上方には、レンズとしてロッドレンズアレイ63が設けられる。ロッドレンズアレイ63は、複数本のロッドレンズ63aを主走査方向に複数本並べたものであり、原稿の反射光をイメージセンサー9に導く。
【0080】
そして、ロッドレンズアレイ63の両側に、導光体81がそれぞれ設けられる。図5(a)に破線で示すように、各導光体81に対し、筐体61の紙面垂直方向の手前側と奥側の端部に光源80が設けられる(手前側の光源80は不可視)。従って、読取部6の導光体81の長手方向の両端部にそれぞれ2つずつ光源80が設けられる(計4つ)(図○○参照)。ここで、本実施形態では、各光源80は、LEDである。
【0081】
そして、1本のランプ8は、1本の導光体81と、導光体81の両端の光源80を含む。そして、ランプ8は、主走査方向からみて、イメージセンサーの左側(左ランプ8L)と右側(右ランプ8R)が設けられる。
【0082】
導光体81は、光源80が発する光を導光体81の長手方向(主走査方向)に導く。又、導光体81は、図5(a)に2点鎖線矢印で示すように、読取部6の長手方向(主走査方向)の各位置でほぼ均一な光量レベルとなるように、ロッドレンズアレイ63の上方(ガラス62の上方)に向けて、光を放つ。ロッドレンズアレイ63に含まれる各ロッドレンズ63a71は、読取対象(例えば、原稿や白基準板7)で反射された光を集光しつつイメージセンサー9に導く(反射光の光の方向の一例を矢印付2点差線で示す)。
【0083】
(白基準板7)
次に、図6を用いて、第1の実施形態に係る白基準板7の一例を説明する。図6は、白基準板7の一例を示す説明図である。
【0084】
本実施形態の画像読取装置100では、白基準板7は、ガイド部材16の下方に設けられる。そして、図6に示すように、本実施形態の白基準板7は、従来の白基準板7と異なり、凸部71を有する。又、図6の上の図は、白基準板7を下方から見た図である。図6の下方の図は、上方の図のA−A’ラインでの断面図である。
【0085】
白基準板7の主走査方向での長さは、イメージセンサー9の主走査方向の長さと同等若しくは少し長い。そして、主走査方向(長手方向)の一方の端部から他方の端部まで、凸部71が白基準板7に設けられる。この凸部71により、主走査方向から見て、2つの段差72ができる(以下では、左段差72Lを「左段差72L」と称し、右段差72Rを「右段差72R」と称する)。
【0086】
(各ランプ8の光量調整の流れ)
次に、図7〜図13を用いて、第1の実施形態に係る画像読取装置100での各ランプ8の光量調整の流れの一例を説明する。図7は、各ランプ8の光量調整の流れの一例を示すフローチャートである。図8は、左調整位置の一例を示す説明図である。図9は、右調整位置の一例を示す説明図である。図10は、光量調整テーブルT1の一例を示す説明図である。図11は、ランプ8(光源80)の異常報知画面S1の一例である。図12は、白基準板7の読取位置の一例を示す説明図である。図13は、光源80の光量調整後の全体的な光量調整の概念を説明するための説明図である。
【0087】
本実施形態の画像読取装置100では、読取部6に左ランプ8Lと右ランプ8Rの2本のランプ8が設けられる。そして、2本のランプ8の光量に差が有れば、原稿のシワや折り目に2本のランプ8が均等に光を当てることができず、読み取り結果としての画像データにシワや折り目が現れてしまう。そこで、本実施形態の画像読取装置100、複合機101では、段差72の有る白基準板7を読み取ることで、各ランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)の光量が均一となるように調整することができる。
【0088】
ここで、各ランプ8の光量の均一とするための調整(光量調整)は、例えば、複合機101の工場出荷時や、複合機101設置後のメンテナンスの時に行われる。あるいは、使用者が任意の時点で光量均一化の調整を行えるようにしてもよい。
【0089】
各ランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)の光量調整を行うには、操作パネル2を操作して、各ランプ8の光量調整の実行を指示する。これにより、各ランプ8の光量調整が開始される。この各ランプ8の光量調整の開始時点が図7のスタートとなる。
【0090】
各ランプ8の光量調整が開始されると、読取制御部10は、記憶部10aから各光源80の光量を示すデータ(光量データ)を読み出す(ステップ♯1)。本実施形態では、PWMにより、各光源80(LED)の光量を調整するので、各光量データは、PWM信号の周波数(周波数固定の場合は不要)や、デューティ比となる。尚、初めて光量調整を行うときや、光量調整が行われてもデフォルト値からの変更がない場合、各光源80に対する光量データは、予め定められたデフォルトの値である。2回目以降の光量調整では、光量が変えられた光源80については前回の調整で設定された(補正された)光量データとなる。
【0091】
次に、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、読取部6を左調整位置に移動させる(ステップ♯2)。左調整位置は、イメージセンサー9が読み取るライン(読取ライン)が、白基準板7の左段差72Lよりも左側の位置となる位置である。そして、読取制御部10は、記憶部10aから読み出した光量データに基づき各光源80を発光制御部10bに点灯させ、読取部6のイメージセンサー9に左調整位置で読み取りを行わせる(ステップ♯3)。
【0092】
ここで、図8を用いて、左調整位置での読み取りを説明する。図8に示すように、イメージセンサー9の読取ラインが段差72よりも左外側となると(左調整位置となると)、右ランプ8Rから放たれる光は、白基準板7の凸部71に当たって反射される。そのため、右ランプ8Rから放たれる光は、イメージセンサー9に到達し難くなる。そして、イメージセンサー9が受光する光は、左ランプ8Lから放たれる光が支配的となる(破線で放たれる光の一例を図示)。
【0093】
そして、読取制御部10は、左調整位置での読み取りにおけるイメージセンサー9の各受光素子90のアナログ出力電圧をA/D変換部17aにディジタル値に変換させる(ステップ♯4)。そして、読取制御部10は、ディジタル値となった各受光素子90の出力値に基づき、左調整位置での濃度値を定める(ステップ♯5)。
【0094】
ここで、読取制御部10は、複数の受光素子90のうち、予め定められた位置の何れか1つの受光素子90の出力値を左調整位置での濃度を示す濃度値と定めても良い。あるいは、読取制御部10は、イメージセンサー9の各受光素子90のうち、予め定められた位置の複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置での濃度を示す濃度値と定めてもよい。ここで出力値の平均を取る場合、読取制御部10は、主走査方向1ライン分の全受光素子90の出力値の平均を求めて濃度値と定めても良いし、例えば、主走査方向の中央位置の複数個(例えば、1個から10個程度)の受光素子90の出力値の平均値を求めて濃度値を定めて良い。
【0095】
次に、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、読取部6を右調整位置に移動させる(ステップ♯6)。右調整位置は、イメージセンサー9が読み取るライン(読取ライン)が白基準板7の右段差72Rよりも右側の位置となる位置である。そして、読取制御部10は、記憶部10aから読み出した光量を示すデータに基づき各光源80を点灯させ、読取部6のイメージセンサー9に右調整位置で読み取りを行わせる(ステップ♯7)。
【0096】
図8と同様に、図9を用いて、右調整位置での読み取りを説明する。図9に示すように、イメージセンサー9の読取ラインが段差72よりも右外側となると(右調整位置となると)、左ランプ8Lから放たれる光は、白基準板7の凸部71に当たって反射される。そのため、左ランプ8Lから放たれる光はイメージセンサー9に到達し難くなる。そして、イメージセンサー9が受光する光は、右ランプ8Rから放たれる光が支配的となる(破線で放たれる光の一例を図示)。
【0097】
そして、読取制御部10は、右調整位置での読み取りにおけるイメージセンサー9の各受光素子90(各受光素子90)のアナログ出力電圧をA/D変換部17aにディジタル値に変換させる(ステップ♯8)。そして、そして、読取制御部10は、ディジタル値となった各受光素子90の出力値に基づき、右調整位置での濃度値を定める(ステップ♯9)。
【0098】
ここで、読取制御部10は、左調整位置での濃度値と同じ方法で右調整位置での濃度値を定める。予め定められた位置の何れか1つの受光素子90の出力値を左調整位置での濃度を示す濃度値と定めた場合、読取制御部10は、右調整位置での読み取りに応じて、左調整位置のときと同じ位置(予め定められた位置)の1つの受光素子90の出力値を右調整位置での濃度値と定める。
【0099】
あるいは、予め定められた位置の複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置での濃度を示す濃度値と定めた場合、読取制御部10は、右調整位置での読み取りに応じて、左調整位置のときと同じ位置(予め定められた位置)の複数の受光素子90の出力値の平均値を右調整位置での濃度値と定める。これにより、比較される左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値が同様の基準、手法で求められる。
【0100】
そして、読取制御部10は、濃度値を比較し、濃度値の差を認識する(ステップ♯10)。具体的に、受光素子90は受光量が多いほど、蓄積する電荷の量が増えるので、各受光素子90の出力値は大きくなる。一方、受光量が少ないほど出力値は小さくなる。従って、読取制御部10は、左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値の大小により、いずれのランプ8の方が暗いか、明るいかを認識することができる。又、左調整位置と右調整位置の濃度値の差により、光量の差も認識することができる。
【0101】
ここで、同じ基準に基づき濃度値の比較を行うために、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、左段差72Lから左調整位置の読取ラインまでの距離d1と、右段差72Rから右調整位置の読取ラインまでの距離d2とを同じ距離(距離d1=距離d2)として、読取部6を左調整位置及び右調整位置に移動させてもよい(図8、図9参照)。
【0102】
又、読取制御部10は、白基準板7の凸部71によって、一方のランプ8の光が確実に遮られるように、副走査方向において、左段差72Lから左調整位置の読取ラインまでの距離d1と、右段差72Rから右調整位置の読取ラインまでの距離d2が、副走査方向からみて読取ラインとランプ8の間の距離d3よりも短くなるように(距離d1<距離d3、距離d2<距離d3)、読取部6を左調整位置及び右調整位置に移動させてもよい(図8、図9参照)。
【0103】
次に、読取制御部10は、左調整位置と右調整位置の濃度値の差に基づき、光量の調整量を定め、暗い方のランプ8の光源80の光量データを補正し、補正後のデータを記憶部10aに記憶させる(ステップ♯11)。
【0104】
具体的には、読取制御部10は、暗い方のランプ8の光源80の光量を増やすように補正する。増やす光量については、読取制御部10は、濃度値の差に基づき、光量を増やす光源80のデューティ比をどれだけ増やすかを定める(調整量を定める)。例えば、図10に示すように、記憶部10aに、濃度値の差に対して増やすデューティ比を定めた光量調整テーブルT1を記憶させておく。そして、読取制御部10は、光量調整テーブルT1を参照し、左調整位置と右調整位置の濃度値の差に応じて、光量を増やす光源80で増加させるPWM信号のデューティ比を光源80の調整量として定める。
【0105】
尚、濃度値の差がない場合、あるいは、差があっても許容でき、微少な差といえる場合もある。そこで、光量調整テーブルT1には、濃度値の差があっても、光量データを補正しない場合も定義される。言い換えると、左調整位置と右調整位置の濃度値の差が予め定められた許容差に収まるとき、読取制御部10は、光源80の光量を示すデータの補正を行わない。
【0106】
次に、読取制御部10は、ランプ8の故障検知を行う(ステップ♯12)。この故障検知は、光源80の光量を増やしたときに行われる。具体的には、補正後の光量データを用い、光量が均等になるように調整した状態で、ステップ♯2からステップ♯10を行う。そして、読取制御部10は、光量データの補正前の右調整位置と左調整位置の濃度値の差と、光量補正後の右調整位置と左調整位置の濃度値の差と、を比較し濃度値の差が小さくなっているか否かを確認する。あるいは、読取制御部10は、巻取モータ14に光量を増やしたランプ8の光が支配的となる位置に読取部6を移動させ、補正前と補正後の濃度値を比較して、光量が増加した確認してもよい。
【0107】
もし、光量調整したにもかかわらず(光量データを補正したにもかかわらず)、光量を増やしたはずのランプ8の光量が増えていなければ、読取制御部10は、ランプ8の光源80の故障と検知する。一方、光量調整に応じて(光量データの補正に応じて)、光量を増やしたランプ8(光源80)の光量の増加が認められれば、読取制御部10は、ランプ8の光源80に故障はないと認識する。
【0108】
ここで、もし、読取制御部10がランプ8(光源80)の故障を検知したとき、読取制御部10は、ランプ8(光源80)の異常を報知させる。具体的には、読取制御部10は、図11に示すように、操作パネル2に対し、ランプ8(光源80)の異常を報知するための異常報知画面S1を表示させる。例えば、図11に示すように、読取制御部10は、読取部6のランプ8に異常がある旨や交換や点検の必要性を表示して、操作パネル2に報知を行わせる。
【0109】
次に、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、読取部6を白基準板7の凸部71を読み取る位置(読取ラインが段差72と段差72の間となる位置)に移動させる(ステップ♯13)。そして、読取制御部10は、光量調整後(光量データの補正後)の光量で、左ランプ8Lと右ランプ8Rの各光源80を点灯させて、読取部6のイメージセンサー9に読み取りを行わせる(ステップ♯14)。
【0110】
ここで、読取部6の移動を説明する。例えば、画像読取部1内には、読取部6が基準位置(ホームポジション)であるか否かを検知するための基準位置センサー18が設けられる(図4参照)。基準位置センサー18は例えば、光センサーであり、基準位置センサー18の出力は、読取制御部10に入力される。例えば、読取部6の基準位置は、白基準板7の下方とされる。
【0111】
読取制御部10は、基準位置センサー18の出力に基づき、読取部6が基準位置に有るか否かを認識する。原稿の読み取りが完了すれば、読取部6は、巻取モータ14を制御して、読取部6の位置を基準位置に待避させる。そして、記憶部10aには、基準位置から左調整位置まで、基準位置から右調整位置まで、基準位置から白基準板7の段差72と段差72の間を読み取る位置までの巻取モータ14の回転量を示すデータ(例えば、モーターに入力すべきパルス数)が記憶される。これにより、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して右調整位置や、左調整位置や、白基準板7の段差72と段差72の間を読み取る位置に正確に読取部6を移動させることができる。
【0112】
そして、読取制御部10は、白基準板7の凸部71での読み取りにおけるイメージセンサー9の各受光素子90(各受光素子90)のアナログ出力電圧をA/D変換部17aにディジタル値に変換させる(ステップ♯15)。そして、読取制御部10は、イメージセンサー9の各受光素子90のうち、主走査方向で予め定められた位置の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を参照値として定める(ステップ♯16)。ここで、読取制御部10は、主走査方向1ライン分の全受光素子90の出力値の平均値を参照値と定めても良いし、例えば、主走査方向の中央位置の複数個(例えば、1個から10個程度)の受光素子90の出力値の平均値を求めて参照値と定めて良い。
【0113】
そして、読取制御部10は、参照値に基づき、各ランプ8の合計の光量に対する最終的な光量調整を行う(ステップ♯17)。
【0114】
一方のランプ8の光源80の光量を高めると、左ランプ8Lの光量と右ランプ8Rの光量の均一化を図ることができる。しかし、均一化された左ランプ8Lと右ランプ8Rの合計の光量が適切とは限らない。合計の光量が多すぎると原稿を読み取ったとき、白飛びが発生することがある。又、合計の光量が少なすぎると、黒潰れが発生することがある。そこで、各ランプ8の光量調整では、光源80の光量補正後の各ランプ8の合計の光量に対する最終的な光量調整を行う(ステップ♯17)
【0115】
ここで、図13を用いて、最終的な光量調整の一例を説明する。まず、読み取りを行う上で、白飛びや黒潰れが生じがたいときの参照値の範囲を示す許容範囲が予め定められる。許容範囲は、適切に読み取りを行えるときの参照値の範囲として、実験等によりに求められる。そして、許容範囲(各ランプ8の合計の光量の適切な範囲)を示すデータは、例えば、記憶部10aに記憶される。
【0116】
読取制御部10は、記憶部10aから許容範囲を示すデータを読み出し、求めた参照値と比較する。図13に示すように、求められた参照値が許容範囲を下回れば、全体的に光量が不足しているといえる。そこで、読取制御部10は、各光源80の光量が増えるように、全ての光源80の光量を示すデータを補正する。一方、求められた参照値が許容範囲を上回れば、全体的に光量が過多の状態(多すぎる)といえる。そこで、読取制御部10は、各光源80の光量が減るように、全ての光源80の光量を示すデータを補正する。
【0117】
1つの光源80につき、増減させる光量については、読取制御部10は、参照値と許容範囲の中央値(上限値や下限値でもよい)との差に基づき、各光源80のデューティ比をどれだけ増減させるかを定める。例えば、記憶部10aに、参照値と許容範囲の中央値の差に対して、1つの光源80あたりに増減させるデューティ比を定めたテーブルを記憶させておく。そして、読取制御部10は、テーブルを参照して、各光源80で均等にデューティ比を増減して補正し、補正後の各光源80のデューティ比を、記憶部10aに記憶させる。
【0118】
白基準板7に段差72を設ければ、一方のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光を凸部71で反射させ、イメージセンサー9に届かせないようにして読み取りを行うことが可能となる。そこで、本実施形態の画像読取装置100(複合機101)は、主走査方向に複数の受光素子90が並べられたイメージセンサー9と、主走査方向を長手方向としイメージセンサー9に対し副走査方向の左右両側にそれぞれ設けられ、それぞれが光源80を有する2本のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)と、を含み、原稿の読み取りのとき各光源80を点灯させてイメージセンサー9により読み取りを行う読取部6と、読取部6を副走査方向で移動させる移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)と、各ランプ8の光源80の発光を制御する発光制御部10bと、読取部6の移動経路上に設けられるとともに、読取部6の上方に設けられ、下向きの凸部71を有し、段差72が設けられた白基準板7と、イメージセンサー9の各受光素子90の出力値に基づき、濃度を示す値である濃度値を定める濃度確認部(読取制御部10)と、を含み、移動機構は、イメージセンサー9が左段差72Lから白基準板7の左外側方向に離れた位置を読み取る左調整位置に読取部6を移動させるとともに、イメージセンサー9が右段差72Rから白基準板7の右外側方向に離れた位置を読み取る右調整位置に読取部6を移動させ、読取部6は、左調整位置と右調整位置で読み取りを行い、濃度確認部は、左調整位置での読み取りで得られた濃度値と右調整位置での読み取りで得られた濃度値の差が無くなるように光源80の光量の調整量を定め、発光制御部10bは、調整量に基づき光源80の光量を調整する。
【0119】
これにより、別途センサーを設置することなく、2つのランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光量の差(濃度値の差)を画像読取装置100が本来備えるイメージセンサー9を用いて認識することができる。そして、発光制御部10bは、濃度値の差が無くなるように光源80の光量を調整する。従って、光量が等しくなるようにイメージセンサー9の両側のランプ8の光量が調整されるので、原稿のシワや折り目の部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めることができる。
【0120】
又、濃度確認部(読取制御部10)は、左調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、左側のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光源80の光量を上げるように調整量を定め、濃度確認部(読取制御部10)が右調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、右側のランプ8の光源80の光量を上げるように調整量を定める。これにより、両側のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の合計の光量を確保しつつ、光量が等しくなるように、イメージセンサー9の両側のランプ8の光量を調整することができる。
【0121】
又、濃度確認部(読取制御部10)は、左調整位置で読み取ったときの1つの受光素子90の出力値又は複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき、左調整位置の濃度値を定め、右調整位置で読み取ったときの1つの受光素子90の出力値又は複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき、右調整位置の濃度値を定める。これにより、1つの受光素子90の出力値に基づき濃度値を定めれば、極めて簡易な処理で、各調整位置の濃度値と、その濃度値の差(光量の差)を求めることができる。あるいは、複数の受光素子90の出力値の平均をとって濃度値を定めることで、各受光素子90での読み取り特性での個体差、ばらつきを低減しつつ、濃度値の差(光量の差)を認識することができる。
【0122】
ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の合計の光量が多すぎると、原稿のうち一定以上明るい部分がほぼ白で読み取られてしまうことがある(白飛び)。又、各ランプ8の合計の光量が少なすぎると、原稿のうち一定以上暗い部分がほぼ黒として読み取られてしまうことがある(黒潰れ)。そこで、移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)は、いずれかの光源80の光量を上げる調整がなされたとき、凸部71を読み取る位置となるように読取部6を移動させ、発光制御部10bは、調整後の光量で各光源80を発光させ、読取部6は、白基準板7の凸部71の読み取りを行い、濃度確認部(読取制御部10)は、凸部71を読み取ったときの1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき参照値を定め、参照値が予め定められた許容範囲に収まっていないとき、許容範囲に収まるように、一部又は全ての光源80の光量を減らす又は増やす。これにより、光量調整の結果、各ランプ8の合計の光量が多くなりすぎることや、少なすぎることを防ぐことができる。ここで、「許容範囲」は、任意に定めることができ、原稿の読み取りを行う上で、白飛びや黒潰れの発生を回避できるように実験等により予め定められる適切で好適な参照値の範囲である。
【0123】
光量を増やしても、増加が認められないとき、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)が故障していると考えられる。そこで、本実施形態の画像読取装置100は、メッセージの報知を行う報知部(操作パネル2)を含み、報知部は、光源80の光量を増やす調整が行われても、濃度確認部(読取制御部10)が左調整位置と右調整位置で読み取りでの濃度値に基づき、光量が増加していると認められないとき、ランプ8の異常を報知する。これにより、各ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の故障を検知することができるとともに、故障を使用者に報知することができる。
【0124】
又、移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)は、左段差72Lから左調整位置でのイメージセンサー9が読み取りを行う読取ラインの位置までの距離d1と、右段差72Rから右調整位置でのイメージセンサー9が読み取りを行う読取ラインまでの距離d2とを同じ距離(距離d1=距離d)として、読取部6を左調整位置及び右調整位置に移動させる。これにより、左調整位置での読取ラインと段差72の位置関係と、右調整位置の読取ラインと段差72の位置関係を同様の条件にすることができる。これにより、同じ条件で左調整位置と右調整位置の濃度値を比較することができ、各ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光量をより正確に均等とすることができる。
【0125】
又、移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)は、副走査方向において、左段差72Lから左調整位置でのイメージセンサー9が読み取りを行う読取ラインまでの距離d1、及び、右段差72Rから右調整位置でのイメージセンサー9が読み取りを行う読取ラインまでの距離d2が、副走査方向からみて読取ラインとランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の間の距離d3よりも短くなるように(距離d1<距離d3、距離d2<距離d3)、読取部6を左調整位置及び右調整位置に移動させる(図8、図9参照)。これにより、一方のランプ8(左ランプ8L又は右ランプ8R)からの光が確実に段差72によって遮られるようにすることができる。従って、各ランプ8の光量の差(濃度値の差)の有無を確実に認識することができる。
【0126】
又、発光制御部10bは、光源80に印加する電圧又は供給する電流のデューティ比を変化させて各光源80の光量を調整する。これにより、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光源80の光量を調整することができる。
【0127】
又、本実施形態の画像読取装置100は、左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値の差に応じて、光源80の光量の調整量を定めた光量調整テーブルTを記憶する記憶部10aを含む。これにより、光量調整テーブルTを参照することで、濃度値の差に基づき、光源80の光量を調整するための調整量を迅速、簡易に決定することができる。
【0128】
又、本実施形態の画像形成装置(複合機101)は、画像読取装置100を含む。これにより、画像形成装置(複合機101)の画像読取装置100では、光量が等しくなるように、イメージセンサー9の両側のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光量が調整され、原稿のシワや折り目の部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めた画像データを得ることができる。従って、高画質の画像データに基づき、高画質の印刷を行う画像形成装置(複合機101)を提供することができる。
【0129】
(第2の実施形態)
次に、図14を用いて第2の実施形態を説明する。図14は、第2の実施形態での濃度値の定め方を説明するための説明図である。
【0130】
本実施形態では、複数の左調整位置と複数の右調整位置が設定される点で第1の実施形態と異なる。又、複数の左調整位置の各位置での読み取り結果と、複数の右調整位置の各位置での読み取り結果を用いて、左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値を求める点で異なる。その他の点では、第1の実施形態と同様でよく、共通する部分については、援用するものとして、図示、説明を省略する。
【0131】
具体的に、本実施形態では、左調整位置が複数個設定される。このとき、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、各左調整位置に移動させる。読取部6は、複数の左調整位置で読み取りを行う。読取制御部10は、この読み取りで得られた複数ライン分について、複数ラインを跨ぐように予め定められるブロック内の各受光素子90の出力値の平均値を左調整位置での濃度値とする。
【0132】
例えば、左調整位置が3箇所設定されるとする。そして、図14に示すように、3ライン分のイメージセンサー9の各受光素子90の出力値が得られる。そして、左調整位置での濃度値を定めるため、読取制御部10は、隣接するラインに跨って、例えば、3×3のブロック(図14において網掛けで図示)の各受光素子90の出力値の平均値を濃度値と定める。
【0133】
同様に、本実施形態では、右調整位置も複数個設定される。このとき、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、各右調整位置に移動させる。例えば、右調整位置の個数は、左調整位置と同様とする。又、各右調整位置での読取ラインの段差72(右段差72R)からの距離d2も、各左調整位置での読取ラインの段差72(左段差73R)から距離d1と等しくしても良い。そして、読取部6は、複数の右調整位置で読み取りを行う。読取制御部10は、この読み取りで得られた複数ライン分について、複数ラインを跨ぐように予め定められるブロック内の各受光素子90の出力値(ディジタル)の平均値を右調整位置での濃度値とする。
【0134】
例えば、左調整位置と同様に、右調整位置が3箇所設定される。そして、図14に示すように、3ライン分のイメージセンサー9の各受光素子90の出力値が得られる。そして、右調整位置での濃度値を定めるため、読取制御部10は、隣接するラインに跨って、左調整位置の時と同様に、例えば、3×3のブロック(図14において網掛けで図示)の各受光素子90の出力値の平均値を濃度値と定める。
【0135】
そして、左調整位置での濃度値と右調整位置での濃度値を比較して、濃度値の差が無くなるように、読取制御部10は、光量の調整量を定め、光量データを補正し、暗い方のランプ8の光源80の光量を増やす。光量調整の流れ自体は、図7を用いて説明した第1の実施形態の場合と同様でよい。
【0136】
このようにして、本実施形態の画像読取装置100では、移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)は、複数の異なる左調整位置に読取部6を移動させるとともに、複数の異なる右調整位置に読取部6を移動させ、読取部6は、それぞれの左調整位置と右調整位置で読み取りを行い、濃度確認部(読取制御部10)は、それぞれの左調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子90のブロックに含まれる複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき左調整位置の濃度値を定め、それぞれの右調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子90のブロックに含まれる複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき右調整位置の濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように光源80の光量の調整量を定める。これにより、ブロックに含まれる複数の受光素子90の平均をとることで、各受光素子90の読み取り特性に関する個体差、ばらつきを低減しつつ、濃度値の差(光量の差)を認識することができる。
【0137】
(第3の実施形態)
次に、図15を用いて第3の実施形態を説明する。図15は、第3の実施形態での読取部6を上方からみた模式図である。
【0138】
本実施形態では、4つの光源80の内、主走査方向(画像読取装置100、複合機101の正面からみて)の手前側の光源80については、手前側の左ランプ8Lと右ランプ8Rの光源80の組み合わせで光量を調整し、奥側の光源80については奥側の左ランプ8Lと右ランプ8Rの光源80の組み合わせで光量を調整する点で異なる。その他の点では、第1、第2の実施形態と同様でよく、共通する部分については、援用するものとして、図示、説明を省略する。
【0139】
本実施形態の読取部6では、図15に示すように、第1、第2の実施形態と同様、左ランプ8Lの導光体81の両端に光源80(LED)が設けられ、右ランプ8Rの導光体81の両端にも光源80(LED)が設けられる。
【0140】
このとき、導光体81の手前側から放たれる光は、手前側の光源80から放たれる光の成分が多くなる傾向を示すことがある。一方、導光体81の奥側から放たれる光は、奥側の光源80から放たれる光の成分が多くなる傾向を示すことがある。そこで、手前側については、左ランプ8Lの手前側の光源80と右ランプ8Rの手前側の光源80と組み合わせで、光源80の光量調整を行うようにする。又、左ランプ8Lの奥側の光源80と右ランプ8Rの奥側の光源80との組み合わせで、光源80の光量調整を行うようにする。
【0141】
具体的に、手前側の左ランプ8Lの光源80と右ランプ8Rの光源80の組み合わせと、奥側の手前側の左ランプ8Lの光源80と右ランプ8Rの光源80の組み合わせでの光量調整を説明する。尚、光量調整の流れ自体は、図7を用いて説明した第1の実施形態の場合と同様でよい。
【0142】
まず、読取制御部10は、巻取モータ14を制御し、読取部6を左調整位置とする。そして、読取制御部10は、イメージセンサー9に読み取りを行わせる。ここで、手前側の左ランプ8Lの光源80に関する濃度値を求めるため、読取制御部10は、ランプ8の中央よりも手前側に位置するイメージセンサー9の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置の手前側の濃度値と定める。又、奥側の左ランプ8Lの光源80に関する濃度値を求めるため、読取制御部10は、ランプ8の中央よりも奥側に位置するイメージセンサー9の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置の濃度値と定める。
【0143】
次に、読取制御部10は、巻取モータ14を制御し、読取部6を右調整位置とする。そして、読取制御部10は、イメージセンサー9に読み取りを行わせる。ここで、手前側の右ランプ8Rの光源80に関する濃度値を求めるため、読取制御部10は、ランプ8の中央よりも手前側に位置するイメージセンサー9の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を右調整位置の手前側の濃度値と定める。又、奥側の右ランプ8Rの光源80に関する濃度値を求めるため、読取制御部10は、ランプ8の中央よりも奥側に位置するイメージセンサー9の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を右調整位置の濃度値と定める。
【0144】
このように、本実施形態では、第1、第2の実施形態と異なり、読取制御部10は、4種類の濃度値を求める。尚、濃度値を求めるうえで対象とする受光素子90は、左調整位置と右調整位置とで同じ位置の受光素子90とする。
【0145】
そして、読取制御部10は、手前側の左調整位置での濃度値と右調整位置での濃度値を比較する。そして、読取制御部10は、第1の実施形態と同様に濃度値の差と、記憶部10aに記憶された光量調整テーブルT1を用いて、暗い方(濃い方)の濃度値のランプ8の手前側の光源80の光量が増えるように調整量を定める。そして、読取制御部10は、暗い方のランプ8の手前側の光源80の光量データを補正する。このように、手前側の光源80については、手前側の光源80の組み合わせで、濃度値の差の解消を図る。
【0146】
又、読取制御部10は、手前側と同様に、奥側でも、奥側の左調整位置での濃度値と右調整位置での濃度値を比較する。そして、読取制御部10は、第1の実施形態と同様に濃度値の差と、記憶部10aに記憶された光量調整テーブルT1を用いて、暗い方(濃い方)の濃度値のランプ8の奥側の光源80の光量が増えるように調整量を定める。そして、読取制御部10は、暗い方のランプ8の奥側の光源80の光量データを補正する。このように、奥側の光源80については、奥側の光源80の組み合わせで、濃度値の差の解消を図る。
【0147】
主走査方向で光を放射する導光体81の両端に光源80が設けられるランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)では、主走査方向からみて手前側では、手前側に設けられた光源80からの光がより多く放射され(手前側に設けられた光源80の影響が強い)、主走査方向からみて奥側では、奥側に設けられた光源80からの光がより多く放射される(奥側に設けられた光源80の影響が強い)。そこで、本実施形態の画像読取装置100は、各ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)は、棒状の導光体81と、導光体81の両端に2つの光源80を含み、濃度確認部(読取制御部10)は、主走査方向から見て手前側の2つの光源80については、左調整位置で読み取ったときのランプ8の中央よりも手前側に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき左調整位置での濃度値を定め、右調整位置でよみとったときのランプ8の中央よりも手前側に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき右調整位置での濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように手前側の光源80の光量の調整量を定め、主走査方向から見て奥側の光源80については、左調整位置で読み取ったときのランプ8の中央よりも奥側に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき左調整位置での濃度値を定め、右調整位置でよみとったときのランプ8の中央よりも手前側に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき右調整位置での濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように奥側の光源80の光量の調整量を定める。これにより、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の両端に設けられた各光源80の光量を、手前側と奥川のそれぞれの光源80の組み合わせでランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の端部に設けられた各光源80の光量を適切に調整することができる。
【0148】
(第4の実施形態)
次に、図16を用いて第4の実施形態を説明する。図16は、第4の実施形態での読取部6を上方からみた模式図である。
【0149】
本実施形態では、図4に示すように、導光体81に対して1つの光源80が設けられる。言い換えると、本実施形態の読取部6の左ランプ8Lと右ランプ8Rは、光源80をそれぞれ1つ含む。従って、本実施形態の読取部6は、光源80は計2つである。光源80の個数の点で、本実施形態の読取部6は、第1〜第3の実施形態と異なる。尚、本実施形態では、光源80の個数を減らすので、光源801つあたりの光量は、第1〜第3の実施形態の場合よりも多くする。その他の点では、第1〜第3の実施形態と同様でよく、共通する部分については、援用するものとして、図示、説明を省略する。
【0150】
具体的に、本実施形態では、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、左調整位置に読取部6を移動させる。読取部6は、左調整位置で読み取りを行う。又、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、右調整位置に読取部6を移動させる。読取部6は、右調整位置で読み取りを行う。尚、各調整位置は第2の実施形態と同様に複数設けられても良い。
【0151】
例えば、本実施形態では、読取制御部10は、左調整位置の読み取りでは、ランプ8の中央部分の受光素子90の出力値に基づき濃度値を定める。読取制御部10は、ランプ8の中央部分の1つの受光素子90の出力値を左調整位置の濃度値と定めても良いし、ランプ8の中央部分の複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置の濃度値と定めても良い。
【0152】
又、本実施形態では、読取制御部10は、右調整位置の読み取りでは、左調整位置と同様にランプ8の中央部分の受光素子90の出力値に基づき濃度値を定める。読取制御部10は、左調整位置のときと同じ1つの受光素子90の出力値を右調整位置の濃度値と定めても良いし、ランプ8の中央部分の複数の受光素子90であって左調整位置のときと同じ位置の受光素子90の出力値の平均値を右調整位置の濃度値と定めても良い。
【0153】
そして、読取制御部10は、定めた左調整位置での濃度値と右調整位置での濃度値を比較する。そして、読取制御部10は、第1の実施形態と同様に濃度値の差と、記憶部10aに記憶されたテーブルを用いて、暗い方(濃い方)の濃度値のランプ8の手前側の光源80の光量が増えるように、暗い方のランプ8の手前側の光源80の光量データを補正する。このようにして、左ランプ8Lと右ランプ8Rの光源80の光量を調整して、濃度値の差の解消を図る。
【0154】
主走査方向で光を放射する導光体81の一方の端部に光源80が設けられるランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)では、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の主走査方向の中央位置での光量適切か否かが1つの目安となる。そして、本実施形態の画像読取装置100(複合機101)は、各ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)は、棒状の導光体81と、導光体81の端部に1つの光源80を含み、濃度確認部(読取制御部10)は、左調整位置で読み取ったときのランプ8の中央部分に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき左調整位置での濃度値を定め、右調整位置で読み取ったときのランプ8の中央部分に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき右調整位置での濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように光源80の光量の調整量を定める。これにより、ランプ8の一方の端部に設けられた各光源80の光量を適切に調整することができる。
【0155】
(第5の実施形態)
次に、図17を用いて第4の実施形態を説明する。図17は、第5の実施形態での光量調整テーブルT2の一例を示す説明図である。
【0156】
第1〜第4の実施形態では、発光制御部10bが光源80(LED)の光量をPWM信号のデューティ比を代えることにより、1つの光源80の光量を増減させる例を説明した。本実施形態では、デューティ比ではなく、発光制御部10bは、電流の大きさを変えることにより、光源80の光量を補正する。従って、本実施形態の発光制御部10bは、各光源80に対し、それぞれ別個に電流を供給し、又、各光源80に供給する電流(電圧)の大きさを光源80ごとに可変できる回路を含む。従って、記憶部10aは、光量を示す光量データとして、各光量について供給する(流す)電流値を記憶する。そして、読取制御部10は、記憶部10aに記憶された各光源80の光量データに基づき、発光制御部10bに各光源80への電流の供給を行わせる。
【0157】
ここで、各ランプ8の光量調整を行うとき、読取制御部10は、左調整位置での読み取りに基づき定めた濃度値と、右調整位置での読み取りに基づき、濃度値の差(左ランプ8Lの光源80の光量と右ランプ8Rの光源80の光量の差)を認識し、濃度値の差があれば、暗い方のランプ8の光源80の光量データを補正する点は、第1〜第4の実施形態と同様である。
【0158】
具体的には、読取制御部10は、左調整位置と右調整位置の濃度値の差に基づき、暗い方のランプ8の光量データを補正し、補正後のデータを記憶部10aに記憶させる。読取制御部10は、暗い方のランプ8の光源80の光量を増やすように補正する。読取制御部10は、濃度値の差に基づき、光量を増やす光源80の電流をどれだけ増やすかを定める(調整量を定める)については。
【0159】
例えば、図17に示すように、記憶部10aに、濃度値の差に対して増やす電流の大きさを定めた光量調整テーブルT2を記憶させておく。そして、読取制御部10は、光量調整テーブルT2を参照して、左調整位置と右調整位置の濃度値の差に応じて、光量を増やそうとする光源80に現状から上乗せする電流の大きさを定める(調整量を定める)。そして、読取制御部10は、光量を増やそうとする光源80の現状の電流の大きさに、上乗せすると定めた電流の大きさを加算して補正し、補正後の光量データを記憶部10aに記憶させる。尚、第1〜第4の実施形態と同様に、左調整位置と右調整位置の濃度値の差が予め定められた許容差に収まるとき、読取制御部10は、光源80の光量を示すデータの補正を行わなくてよい。
【0160】
このようにして、本実施形態の発光制御部10bは、光源80に印加する電圧又は供給する電流の大きさを変化させて各光源80の光量を調整する。これにより、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光源80の光量を調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、イメージセンサーの両側にランプを設けた画像読取装置や、この画像読取装置を含む画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0162】
100 画像読取装置 101 複合機(画像形成装置)
1 画像読取部 10 読取制御部(濃度確認部)
10a 記憶部 10b 発光制御部
12 ワイヤ(移動機構) 13 巻取ドラム(移動機構)
14 巻取モータ(移動機構) 2 操作パネル(報知部)
6 読取部 7 白基準板
71 凸部 72 段差
72L 左段差 72R 右段差
8 ランプ 8L 左ランプ(ランプ)
8R 右ランプ(ランプ) 80 光源
81 導光体 9 イメージセンサー
90 受光素子 S1 異常報知画面
T1 光量調整テーブル T2 光量調整テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の読み取りを行う画像読取装置に関する。又、この画像読取装置を備えた複合機、複写機、プリンター、FAX装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、光源から放たれ、原稿で反射された光をイメージセンサーに導き、画像データを得る。又、画像読取装置は複合機、複写機、FAX装置などの画像形成装置に設けられることもある。そして、画像読取装置に複数個の光源が設けられることがある。しかし、全ての光源が点灯することが前提であり、光源が1つでも故障すると正確な読み取りを行うことができない。そこで、列状に並べられた複数のLEDの故障検知を行う画像読取装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、画像読取対象物を載置するガラス部材と、複数の発光素子が一列又は複数列に配置され画像読取対象物に光を照射する光源部と、画像読取対象物で反射した反射光を受光した結果に基づき画像読取対象物を撮像する撮像手段と、少なくとも光源部を有し、ガラス部材を挟んで画像読取対象物とは反対側をガラス部材の載置面に沿って移動可能な走行体と、ガラス部材の走行体移動方向端部に配置され、撮像手段により受光した反射光のシェーディング補正をおこなうための白基準となる白基準部材とを備え、走行体を白基準部材と対向する位置に移動し、発光素子により白基準部材に光を照射し、撮像手段により白基準部材で反射した反射光を受光した結果に基づき発光素子の故障検知をおこなう故障検知モードを有する画像読取装置が記載されている。この構成により、白基準部材を用いて受光した反射光に不均一な部分の有無に基づき、列状に並べた複数の発光素子のうち不均一な部分に対応する発光素子の故障を検知しようとする。(特許文献1:請求項1、段落[0009]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−010830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置には、CIS(Contact Image Sensor)方式のイメージセンサ(密着型イメージセンサー)が用いられることがある。そして、CIS方式のイメージセンサー(ラインセンサー)の両側にランプが配されるものがある。ラインセンサーの両側にランプを配した場合、一方のランプが故障等により点灯しなくても、主走査方向での光量自体は均一であり、画質は低下するもののある程度の読み取りを行える。
【0006】
このようなイメージセンサーの両側にランプを配する場合、各ランプが発する光量は(発光レベル)は、均一で有ることが好ましい。シワや折り目のある原稿を読み取るとき、シワや折り目部分を照射する2つのランプからの光量に差があると、各ランプの光量差に起因して、原稿のシワの部分(シワによる影の部分)が強調されたような読み取り結果(画像データ)となるという問題がある。言い換えると、両側のランプの光量が均一でないとき、シワや折り目等の凹凸のある原稿を読み取ると、凹凸部に影ができ、本来不要な凹凸が読み取り結果に明確に現れるという問題がある。一方のランプが故障等で点灯しない場合等、両側のランプの光量の差が大きいほど、この問題は顕著となる。
【0007】
尚、特許文献1を見ると、複数の発光素子を列状に配するものの、主走査方向にのびるランプとしては1つであり、イメージセンサーの両側にランプを配したものではない(特許文献1記載の画像読取装置は、いわゆるCCD方式)。言い換えると、イメージセンサーの両側に複数の発光素子を列状に配したものではない。又、上記の問題を示唆する記載もない。従って、特許文献1記載の発明では、上記の問題を解決できない。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、イメージセンサーの両側に配されたランプの光量の均一化の調整を行えるようにして、原稿のシワの部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る画像読取装置は、主走査方向に複数の受光素子が並べられたイメージセンサーと、主走査方向を長手方向とし前記イメージセンサーに対し前記副走査方向の左右両側にそれぞれ設けられ、それぞれが光源を有する2本のランプと、を含み、原稿の読み取りのとき各前記光源を点灯させて前記イメージセンサーにより読み取りを行う読取部と、前記読取部を副走査方向で移動させる移動機構と、各前記ランプの光源の発光を制御する発光制御部と、前記読取部の移動経路上に設けられるとともに、前記読取部の上方に設けられ、下向きの凸部を有し、段差が設けられた白基準板と、前記イメージセンサーの各受光素子の出力値に基づき、濃度を示す値である濃度値を定める濃度確認部と、を含み、前記移動機構は、前記イメージセンサーが左側の前記段差から前記白基準板の左外側方向に離れた位置を読み取る左調整位置に前記読取部を移動させるとともに、前記イメージセンサーが右側の前記段差から前記白基準板の右外側方向に離れた位置を読み取る右調整位置に前記読取部を移動させ、前記読取部は、前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りを行い、前記濃度確認部は、前記左調整位置での読み取りで得られた前記濃度値と前記右調整位置での読み取りで得られた前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定め、前記発光制御部は前記調整量に基づき前記光源の光量を調整することとした。
【0010】
白基準板に段差を設ければ、一方のランプの光を凸部で反射させ、イメージセンサーに届かせないようにして読み取りを行うことが可能となる。そこで、この構成によれば、濃度確認部は、左調整位置での読み取りで得られた濃度値と右調整位置での読み取りで得られた濃度値の差が無くなるように光源の光量の調整量を定める。これにより、別途センサーを設置することなく、2つのランプの光量の差(濃度値の差)を画像読取装置が本来備えるイメージセンサーを用いて認識することができる。そして、発光制御部は、濃度値の差が無くなるように光源の光量を調整する。従って、光量が等しくなるようにイメージセンサーの両側のランプの光量が調整されるので、原稿のシワや折り目の部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めることができる。
【0011】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記濃度確認部は、前記左調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、左側の前記ランプの前記光源の光量を上げるように前記調整量を定め、前記濃度確認部が前記右調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、右側の前記ランプの前記光源の光量を上げるように前記調整量を定めることとした。
【0012】
この構成によれば、濃度確認部は、左調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、左側のランプの光源の光量を上げるように調整量を定め、濃度確認部が右調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、右側のランプの光源の光量を上げるように調整量を定める。これにより、両側のランプの合計の光量を確保しつつ、光量が等しくなるように、イメージセンサーの両側のランプの光量を調整することができる。
【0013】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記濃度確認部は、前記左調整位置で読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値又は複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき、前記左調整位置の濃度値を定め、前記右調整位置で読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値又は複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき、前記右調整位置の濃度値を定めることとした。
【0014】
この構成によれば、濃度確認部は、左調整位置で読み取ったときの1つの受光素子の出力値又は複数の受光素子の出力値の平均値に基づき、左調整位置の濃度値を定め、右調整位置で読み取ったときの1つの受光素子の出力値又は複数の受光素子の出力値の平均値に基づき、右調整位置の濃度値を定める。これにより、1つの受光素子の出力値に基づき濃度値を定めれば、極めて簡易な処理で、各調整位置の濃度値と、その濃度値の差(光量の差)を求めることができる。あるいは、複数の受光素子の出力値の平均をとって濃度値を定めることで、各受光素子(受光素子)での読み取り特性での個体差、ばらつきを低減しつつ、濃度値の差(光量の差)を認識することができる。
【0015】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の発明において、前記移動機構は、いずれかの前記光源の光量を上げる調整がなされたとき、前記凸部を読み取る位置となるように前記読取部を移動させ、前記発光制御部は、調整後の光量で各前記光源を発光させ、前記読取部は、前記白基準板の前記凸部の読み取りを行い、前記濃度確認部は、前記凸部を読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき参照値を定め、前記参照値が予め定められた許容範囲に収まっていないとき、前記許容範囲に収まるように、一部又は全ての前記光源の光量を減らす又は増やすこととした。
【0016】
ランプの合計の光量が多すぎると、原稿のうち一定以上明るい部分がほぼ白で読み取られてしまうことがある(白飛び)。又、ランプの合計の光量が少なすぎると、原稿のうち一定以上暗い部分がほぼ黒として読み取られてしまうことがある(黒潰れ)。そこで、この構成によれば、濃度確認部は、凸部を読み取ったときの1つの受光素子の出力値、又は、複数の受光素子の出力値の平均値に基づき参照値を定め、参照値が予め定められた許容範囲に収まっていないとき、許容範囲に収まるように、一部又は全ての光源の光量を減らす又は増やす。これにより、光量調整の結果、各ランプの合計の光量が多くなりすぎることや、少なすぎることを防ぐことができる。ここで、「許容範囲」は、任意に定めることができ、原稿の読み取りを行う上で、白飛びや黒潰れの発生を回避できるように実験等により予め定められる適切で好適な参照値の範囲である。
【0017】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の発明において、前記移動機構は、左側の前記段差から前記左調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインの位置までの距離と、右側の前記段差から前記右調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離とを同じ距離として、前記読取部を前記左調整位置及び前記右調整位置に移動させることを特徴とすることとした。
【0018】
この構成によれば、移動機構は、左側の段差から左調整位置でのイメージセンサーが読み取りを行う読取ラインの位置までの距離と、右側の段差から右調整位置でのイメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離とを同じ距離として、読取部を左調整位置及び右調整位置に移動させる。これにより、左調整位置での読取ラインと段差の位置関係と、右調整位置の読取ラインと段差の位置関係を同様の条件にすることができる。これにより、同じ条件で左調整位置と右調整位置の濃度値を比較することができ、各ランプの光量をより正確に均等とすることができる。
【0019】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の発明において、前記移動機構は、副走査方向において、左側の前記段差から前記左調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離、及び、右側の前記段差から前記右調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離が、副走査方向からみて前記読取ラインと前記ランプの間の距離よりも短くなるように、前記読取部を前記左調整位置及び前記右調整位置に移動させることとした。
【0020】
この構成によれば、移動機構は、左側の段差から左調整位置でのイメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離、及び、右側の段差から右調整位置でのイメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離が、副走査方向からみて読取ラインとランプの間の距離よりも短くなるように、読取部を左調整位置及び右調整位置に移動させる。これにより、一方のランプからの光が確実に段差によって遮られるようにすることができる。従って、各ランプの光量の差(濃度値の差)の有無を確実に認識することができる。
【0021】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、前記移動機構は、複数の異なる前記左調整位置に前記読取部を移動させるとともに、複数の異なる前記右調整位置に前記読取部を移動させ、前記読取部は、それぞれの前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りを行い、前記濃度確認部は、それぞれの前記左調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき前記左調整位置の濃度値を定め、それぞれの前記右調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき前記右調整位置の濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定めることとした。
【0022】
この構成によれば、濃度確認部は、それぞれの左調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置の濃度値を定め、それぞれの右調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置の濃度値を定める。これにより、受光素子ブロックに含まれる複数の受光素子の平均をとることで、各受光素子(受光素子)での読み取り特性での個体差、ばらつきを低減しつつ、濃度値の差(光量の差)を認識することができる。
【0023】
又、請求項8に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、各ランプは、棒状の導光体と、前記導光体の両端に2つの前記光源を含み、前記濃度確認部は、主走査方向から見て手前側の2つの前記光源については、左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での前記濃度値を定め、右調整位置でよみとったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように手前側の前記光源の光量の調整量を定め、主走査方向から見て奥側の前記光源については、左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央よりも奥側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での前記濃度値を定め、右調整位置でよみとったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように奥側の前記光源の光量の調整量を定めることとした。
【0024】
主走査方向で光を放射する導光体の両端に光源が設けられるランプでは、主走査方向からみて手前側では、手前側に設けられた光源からの光がより多く放射され(手前側に設けられた光源の影響が強い)、主走査方向からみて奥側では、奥側に設けられた光源からの光がより多く放射される(奥側に設けられた光源の影響が強い)。そこで、この構成によれば、濃度確認部は、主走査方向から見て手前側の2つの光源については、手前側の2つの光源の間で各濃度値の差が無くなるように手前側の光源の光量の調整量を定め、奥側の2つの光源の間で各濃度値の差が無くなるように奥側の光源の光量の調整量を定める。これにより、ランプの両端に設けられた各光源の光量を、手前側と奥川のそれぞれの光源の組み合わせでランプの端部に設けられた各光源の光量を適切に調整することができる。
【0025】
又、請求項9に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、各前記ランプは、棒状の導光体と、前記導光体の端部に1つの光源を含み、前記濃度確認部は、前記左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央部分に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき前記左調整位置での前記濃度値を定め、前記右調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央部分に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき前記右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定めることとした。
【0026】
主走査方向で光を放射する導光体の一方の端部に光源が設けられるランプでは、ランプの主走査方向の中央位置での光量適切か否かが1つの目安となる。そこで、この構成によれば、濃度確認部は、左調整位置で読み取ったときのランプの中央部分に位置する1つの受光素子の出力値、又は、複数の受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での濃度値を定め、右調整位置で読み取ったときのランプの中央部分に位置する1つの受光素子の出力値、又は、複数の受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように光源の光量の調整量を定める。これにより、ランプの一方の端部に設けられた各光源の光量を適切に調整することができる。
【0027】
又、請求項10に係る発明は、請求項1乃至9の発明において、前記左調整位置の前記濃度値と前記右調整位置の前記濃度値の差に応じて、前記光源の光量の調整量を定めた光量調整テーブルを記憶する記憶部を含む。
【0028】
この構成によれば、左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値の差に応じて、光源の光量の調整量を定めた光量調整テーブルを記憶する記憶部を含む。これにより、光量調整テーブルを参照することで、濃度値の差に基づき、光源の光量を調整するための調整量を迅速、簡易に決定することができる。
【0029】
又、請求項11に係る発明は、請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像読取装置を含むこととした。
【0030】
この構成によれば、画像形成装置の画像読取装置では、光量が等しくなるように、イメージセンサーの両側のランプの光量が調整され、原稿のシワや折り目の部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めた画像データを得ることができる。従って、高画質の画像データに基づき、高画質の印刷を行う画像形成装置を提供することができる。
【0031】
尚、請求項1乃至10の画像処理装置は、メッセージの報知を行う報知部を含み、前記報知部は、前記光源の光量を増やす調整が行われても、前記濃度確認部が前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りでの前記濃度値に基づき、光量が増加していると認められないとき、前記ランプの異常を報知するようにしてもよい。これにより、各ランプの故障を検知することができるとともに、故障を使用者に報知することができる。
【0032】
又、請求項1乃至10の発明において、前記発光制御部は、前記光源に印加する電圧又は供給する電流のデューティ比を変化させて各前記光源の光量を調整するようにしてもよい。これにより、ランプの光源の光量を調整することができる。
【0033】
あるいは、請求項1乃至10の発明において、前記発光制御部は、前記光源に印加する電圧又は供給する電流の大きさを変化させて各前記光源の光量を調整するようにしてもよい。これにより、ランプの光源の光量を調整することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、イメージセンサーの両側に配されたランプを光量の均一化の調整を行えるようにして、原稿のシワの部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】複合機の模型的正面断面図である。
【図2】複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像読取装置の一例を示す模型的正面断面図である。
【図4】画像読取装置の一例を示すブロック図である。
【図5】(a)は、読取部の断面図であり、(b)はイメージセンサーの構造の一例を示す説明図である。
【図6】白基準板の一例を示す説明図である。
【図7】各ランプの光量調整の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】左調整位置の一例を示す説明図である。
【図9】右調整位置の一例を示す説明図である。
【図10】光量調整テーブルの一例を示す説明図である。
【図11】ランプ(光源)の異常報知画面の一例である。
【図12】白基準板の読取位置の一例を示す説明図である。
【図13】光源の光量調整後の全体的な光量調整の概念を説明するための説明図である。
【図14】第2の実施形態での濃度値の定め方を説明するための説明図である。
【図15】第3の実施形態での読取部を上方からみた模式図である。
【図16】第4の実施形態での読取部を上方からみた模式図である。
【図17】第5の実施形態での光量調整テーブルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図1〜図17を用いて説明する。まず、図1〜図13を用いて複合機101(画像形成装置)を例に挙げて第1の実施形態を説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0037】
(複合機101の構成の概要)
まず、図1を用い、第1の実施形態に係る画像読取装置100を含む複合機101の概略を説明する。図1は、複合機101の模型的正面断面図である。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の複合機101は、上部に原稿カバー102と画像読取部1を含む画像読取装置100を有する(詳細は後述)。又、画像読取部1の前面に操作パネル2(破線で図示、報知部に相当)が設けられ、複合機101本体内に、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b等が設けられる。
【0039】
図1に示すように、操作パネル2は、複合機101の正面上方に設けられる。そして、操作パネル2は、複合機101の状態や各種メッセージを表示する液晶表示部21を備える。液晶表示部21は、機能の選択、設定や文字入力等を行うためのキーを1又は複数表示できる。又、液晶表示部21の上面にタッチパネル部22(例えば、抵抗膜方式)が設けられる。タッチパネル部22は、液晶表示部21で押された部分の位置、座標を抽出するためのものである。又、操作パネル2には、コピー等の各種機能の実行開始を指示するためのスタートキー23等、各種のハードキーも設けられる。
【0040】
給紙部3aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路3bに送り込む。搬送路3bは、給紙部3aから排出トレイ31まで用紙を搬送する通路である。そして、搬送路3bには、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラー対32、33や、搬送されてくる用紙を画像形成部4aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラー対34等が設けられる。
【0041】
画像形成部4aは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部4aは、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム41、及び、感光体ドラム41の周囲に配設された帯電装置42、露光装置43、現像装置44、転写ローラー45、清掃装置46等を備える。
【0042】
トナー像形成及び転写プロセスを説明する。感光体ドラム41は、画像形成部4aの略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する。帯電装置42は、所定電位に感光体ドラム41を帯電させる。図1において、露光装置43は、画像データに基づき、レーザ光を出力し、感光体ドラム41表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。尚、画像データは、画像読取部1で得られた画像データや、ネットワーク等により接続される外部のコンピューター200や相手方FAX装置300(図5参照)から送信された画像データ等が用いられる。
【0043】
そして、現像装置44は、感光体ドラム41に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。転写ローラー45は感光体ドラム41に圧接し、ニップが形成される。そして、トナー像にあわせタイミングを図られつつ、用紙はニップに進入する。用紙進入時、転写ローラー45には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム41上のトナー像が転写される。清掃装置46は、転写後に感光体ドラム41に残留するトナーを除去する。
【0044】
定着部4bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部4bは主として発熱体を内蔵する加熱ローラー47と加圧ローラー48で構成される。加熱ローラー47と加圧ローラー48は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ31が受け止める。このようにして、コピー機能、プリンタ機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0045】
(複合機101のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、第1の実施形態に係る複合機101のハードウェア構成を説明する。図2は、複合機101のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
図2に示すように、本実施形態に係る複合機101は、内部に主制御部5を有する。主制御部5は、複合機101全体の制御を司る。例えば、主制御部5は、CPU51、記憶部52等から構成される。
【0047】
CPU51は、中央演算処理装置であって、記憶部52に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機101の各部の制御や演算を行う。記憶部52は、ROM、RAM、HDD、フラッシュROM等の記憶装置で構成される。記憶部52は、複合機101の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像読取部1でスキャンした画像データ等を記憶する。
【0048】
そして、主制御部5は、画像読取装置100(画像読取部1)、及び、複合機101内の給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b、操作パネル2等と接続され、記憶部52の制御プログラムやデータに基づき、適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。
【0049】
更に、主制御部5は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えたI/F部53と接続される。I/F部53は、ネットワークやケーブルや公衆回線等によりコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)や、相手方のFAX装置300と複合機101とを通信可能に接続する。例えば、設定データ等を含む画像データを外部のコンピューター200や相手方FAX装置300(インターネットFAXでもよい)と送受信に送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、外部のコンピューター200や相手方FAX装置300からの画像データを記憶部52に蓄積したり、印刷したりすることもできる(プリンタ機能、FAX機能)。
【0050】
(画像読取装置100の概要)
次に、図3に基づき、第1の実施形態に係る画像読取装置100を説明する。図3は画像読取装置100の一例を示す模型的正面断面図である。
【0051】
本実施形態の画像読取装置100は、複合機101に含まれる。そのため、図3は、複合機101中の原稿カバー102と画像読取部1のみを抽出し拡大した図である。そして、原稿カバー102は、図3の紙面垂直方向の奥側に設けられた支点(不図示)により、上方に持ち上げ可能である。そして、使用者は、原稿カバー102を開けて、原稿をコンタクトガラス11に載せる。その後、使用者は、原稿カバー102を閉じ、原稿を原稿カバー102で押さえる。
【0052】
次に、画像読取部1を説明する。画像読取部1は、上面に透明板状のコンタクトガラス11を含む。画像読取部1は、コンタクトガラス11に載置された原稿に光を照射し、その反射光に基づき原稿を読み取って画像データを生成する。
【0053】
そして、原稿の読み取りを行うため、画像読取部1は、CIS(Contact Image Sensor)方式の読取部6を備える(読取部6の詳細は後述)。読取部6は、コンタクトガラス11の下方に設けられる。
【0054】
又、読取部6は、ワイヤ12(移動機構に相当)で巻取ドラム13(移動機構に相当)に接続される。巻取ドラム13は、正逆回転する巻取モータ14(図4参照、移動機構に相当)により回転させられ、読取部6を水平方向(複合機101の左右方向)に自在に移動させることができる。尚、読取部6には複数本のワイヤ12が接続され、複数本のワイヤ12は、画像読取部1内で架けまわされるが、図3では、便宜上、ワイヤ12は一本のみ図示している。
【0055】
コンタクトガラス11上の原稿を読み取る時、読取部6は、巻取ドラム13の回転駆動によりを水平方向に移動させられる。尚、本実施形態の画像読取装置100(複合機101)には、原稿カバー102に代えて、原稿を1枚ずつ読み取り位置に自動的、連続的に搬送する原稿搬送装置を装着することもできる。そして、コンタクトガラス11の左側に、コンタクトガラス11と間隔を隔てて、送り読取用コンタクトガラス6215が設けられる。原稿搬送装置が取り付けられる場合、原稿搬送装置が搬送する原稿は、送り読取用コンタクトガラス6215上を通過する。読取部6は、送り読取用コンタクトガラス6215を通過する原稿を読み取る。
【0056】
ここで、コンタクトガラス11と送り読取用コンタクトガラス6215の間にガイド部材16が設けられる。ガイド部材16の上面には、コンタクトガラス11に原稿を載置する上での基準となる位置や用紙サイズが記される。尚、ガイド部材16は、原稿搬送装置が設けられたとき原稿の搬送をガイドする機能も有する。ガイド部材16内部の下方には、白基準を得るための白基準板7が設けられる。白基準板7は、画像読取装置100の主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向、図3の紙面に対し垂直な方向)に伸びる板である。又、白基準板7は下方に向けた凸部71を有する(白基準板7の詳細は後述)。
【0057】
(画像読取装置100のハードウェア構成と画像データの流れ)
次に、図4に基づき、第1の実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成と画像データの生成を説明する。図4は、画像読取装置100の一例を示すブロック図である。尚、図4では、画像データの流れは、白抜矢印で図示している。
【0058】
画像読取装置100の一部である画像読取部1には読取制御部10(濃度確認部に相当)が設けられる。読取制御部10は、CPU、チップ等の各種電子部品が実装された基板である。尚、読取制御部10内には、記憶部10aを設けることができる。記憶部10aは、例えば、画像読取装置100の制御のためのプログラムやデータを記憶する。そして、読取制御部10は、複合機101本体の主制御部5と通信可能に接続される。操作パネル2のスタートキー23が押された場合など原稿の読み取りを行う場合、主制御部5は、読取制御部10に原稿読み取りの指示を与える。読取制御部10は、主制御部5の指示を受け画像読取装置100の制御を行う。又、読取制御部10内には、読取部6の各ランプ8の各光源80の点灯、消灯や、光量を制御する発光制御部10bが設けられる。発光制御部10bは、各光源80に電流を供給する回路である。尚、発光制御部10bは、読取制御部10外に設けられても良い。
【0059】
本実施形態では、発光制御部10bは、各光源80の点灯時間と消灯時間を制御することで光量を調整する。具体的に、発光制御部10bは、各光源80に対し個別にPWM信号を発し、PWM信号のデューティ比(点灯させるオン時間と消灯させるオフ時間の割合)を調整して、各光源80の光量を調整、制御する。従って、本実施形態の発光制御部10bは、PWM回路を複数含む。
【0060】
原稿を読み取るとき、読取制御部10は、読取部6を動作させる。読取部6は、複数のランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)とイメージセンサー9を含む(詳細は後述)。具体的には、読取制御部10は、原稿を読み取るとき、読取部6の各ランプ8を点灯させ、イメージセンサー9を駆動させる。又、読取制御部10は、巻取ドラム13を回転させる巻取モータ14を制御する。
【0061】
尚、本実施形態のイメージセンサー9は白黒での読み取りが可能である。そのため、イメージセンサー9は、Bk/W(白黒読取用)のラインセンサーを含む。又、カラーでの読み取りにも対応できるようにするため、イメージセンサー9は、例えば、更に、R(レッド用)、G(グリーン用)、B(ブルー用)の3つのラインセンサーを含んでもよい。
【0062】
読取部6のイメージセンサー9の出力は処理部17に入力される。処理部17は、例えば、A/D変換部17a、基準値保持部17b、補正部17c、画像メモリー17d等を含む。処理部17は、各種電子回路やASIC等の画像処理専用の回路やメモリーを含む。そして、イメージセンサー9の各受光素子90は、反射光を光電変換し、反射光のレベル(受光量)に応じて電荷を蓄え、一定タイミングで電荷を吐き出す。言い換えると、各受光素子90は、反射光の強さに応じた電圧(電流)を出力する。イメージセンサー9はラインセンサーの各受光素子90によるアナログ出力(例えば、電圧)を処理部17に向けて出力する。場合により、イメージセンサー9内外に各受光素子90の出力を増幅した電圧を増幅する増幅部が設けられてもよい。この場合、処理部17は、増幅後の電圧値を各受光素子90からの出力値として受け取る。
【0063】
処理部17のA/D変換部17aは各受光素子90のアナログ出力(アナログ出力電圧)をディジタル値に変換する(以下、変換されたディジタル値を「出力値」と称する)。尚、各受光素子90のアナログ出力を変換したディジタルの出力値が、本発明での濃度値を定めるために用いられる(詳細は後述)。
【0064】
又、各受光素子90の感度のばらつきや主走査方向での位置による原稿への照射光のムラ等を考慮し、各受光素子90のディジタルの出力値の階調化を行って、予め定められたビット数(例えば、8〜10ビット)の画素値とするため白基準値と黒基準値を記憶する基準値保持部17bが設けられる。ラインセンサーが複数設けられるとき、基準値保持部17bは、各色のラインセンサーについて白基準値や黒基準値を保持する。
【0065】
ここで、画素値への階調化での黒基準値と白基準値を説明しておく。まず、白基準値と黒基準値の取得を説明する。読取制御部10は、原稿読取前や主電源投入後や省電力モードからの復帰時に、読取部6に読取を行わせ、基準値保持部17bに黒基準値と白基準値を保持させる。
【0066】
本実施形態では、読取制御部10は、各ランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)を消灯させた状態でのイメージセンサー9の各受光素子90の出力値(出力電圧値)を各受光素子90の黒基準値として基準値保持部17bに記憶させる。言い換えると、基準値保持部17bは、各ランプ8消灯時の各受光素子90からのアナログ出力電圧をA/D変換部17aが変換したディジタル値を取得し、各受光素子90の黒基準値として記憶する。具体的には、基準値保持部17bは、各ランプ8消灯時の各受光素子90の出力値を数ライン分取得し、各受光素子90について出力値の平均をとり、ノイズの影響を軽減して各受光素子90の黒基準値を得る。
【0067】
又、読取制御部10は、各ランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)を点灯させ、真っ白な白基準板7を読み取ったときのイメージセンサー9の各受光素子90の出力値(出力電圧値)を各受光素子90の白基準値として基準値保持部17bに記憶させる。言い換えると、基準値保持部17bは、各ランプ8を点灯させて白基準板7を読み取ったときの各受光素子90からのアナログ出力電圧をA/D変換部17aが変換したディジタル値を取得し、各受光素子90の白基準値として記憶する。具体的には、基準値保持部17bは、白基準板7の読取時の各受光素子90の出力値を数ライン分取得し、各受光素子90について出力値の平均をとり、ノイズの影響を軽減して各受光素子90の白基準値を得る。
【0068】
そして、処理部17の基準値保持部17bは、読取部6の各イメージセンサー9の各受光素子90について白基準値と黒基準値を補正部17cに与える。そして、補正部17cは、各受光素子90(各受光素子90)について、白基準値と黒基準値の間を、予め定められたステップ数(階調数、例えば、8ビット256階調)で刻み、各受光素子90(各受光素子90)からの出力値の大きさに応じて、階調化を行う。例えば、処理部17が白黒の画像データを出力する場合、1つの受光素子90の出力値を8ビット(256階調)で出力し、各受光素子90(画素)の値が濃度を示す値となる。カラーの場合、処理部17は、RGBで1つの受光素子90の出力値を計24ビットに階調化を行う(例えば、Red=8ビット、Green=8ビット、Blue=8ビット、それぞれ0〜255の値を取り、256階調)。尚、処理部17に入力される各受光素子90からの出力値が白基準値と黒基準値の間に収まらなければ、例えば、階調での最高値(真っ白、例えば、256階調ならば255)又は最小値(真っ黒、例えば、0)と同値とされる。これにより、原稿の画像データが得られる。
【0069】
又、補正部17cは、γ補正や、各ランプ8の光量分布のムラや、各受光素子90の個体差など、受光素子90の位置に依存する歪みの補正等、各種の補正を画像データに対して施すようにしても良い。
【0070】
そして、補正部17cが処理した画像データは、画像メモリー17dに格納される。画像メモリー17dは、例えば、原稿のページ単位又は原稿のページを複数に分割した短冊上のブロック単位(バンド単位)で本体側の記憶部52(例えば、RAM)に画像データを出力する。
【0071】
記憶部52に格納された画像データは、本体の画像処理部54に入力される。本実施形態の画像処理部54は、画像データに関する演算や作業領域としてのワークRAMや専用回路としてのASIC等を組み合わせて構成される回路である。尚、主制御部5のCPU51や記憶部52に画像処理プログラムを格納してソフトウェア的に画像処理部54を実現することもできる。
【0072】
画像処理部54は、濃度変換処理や、拡大縮小処理、画像データのデータ形式(ファイル形式)変換処理等、各種画像処理を行うことができる。しかし、実行可能な画像処理は多岐にわたるので、本説明では、画像処理部54は、公知の画像処理を行えるものとして、画像処理部54が実行可能な画像処理の詳細な説明は割愛する。
【0073】
そして、画像処理部54が画像処理を施した後の画像データは、例えば、画像形成部4aの露光装置43に送られ、各感光体ドラム41の走査・露光に用いられる。これにより、原稿に基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。又、例えば、画像処理部54が画像処理を施した後の画像データを記憶部52に送り、記憶部52に記憶させておくこともできる(スキャナ機能)。あるいは、画像処理部54が画像処理を施した後の画像データを、I/F部53を介し、外部のコンピューター200やFAX装置300に送信することもできる(送信機能)。
【0074】
尚、操作パネル2は、複合機101に含まれる画像読取装置100に関する情報を表示して報知することができる。そのため、操作パネル2は、複合機101だけでなく、画像読取装置100の報知部としても機能する。
【0075】
(読取部6)
次に、図5に基づき、第1の実施形態に係る読取部6を説明する。図5(a)は読取部6の断面図であり、図5(b)はイメージセンサー9の構造の一例を示す説明図である。
【0076】
まず、読取部6には断面略U字状の筐体61が設けられる。筐体61は、図5(a)の紙面垂直方向を長手方向とし、函状である。筐体61の長手方向が読取部6の主走査方向である。筐体61の上面には、筐体61の上面の開口を閉じるように板状のガラス62が取り付けられる。
【0077】
筐体61の内部下面には、図5(a)の紙面垂直方向(主走査方向)にのびるイメージセンサー9が設けられる。イメージセンサー9は、複数の受光素子90(光電変換素子)を主走査方向に沿って配列したラインセンサーである。本実施形態の読取部6では、A3サイズの用紙を読み取れるように、イメージセンサー9は、A3サイズの用紙の短辺よりも長い。
【0078】
ここで、図5(b)を用いて、イメージセンサー9の構造の一例を説明する。イメージセンサー9は、複数の受光素子90が列状に配列されたラインセンサーを含む。イメージセンサー9は、カラー読取対応の場合、複数本のラインセンサーを含む。各受光素子90の数やサイズは読み取り解像度による。そして、例えば、各受光素子90に対し、読み出しレジスタ91が設けられる。読み出しレジスタ91は一定のクロックで各受光素子90の出力を順番に外部に出力する。
【0079】
イメージセンサー9の上方には、レンズとしてロッドレンズアレイ63が設けられる。ロッドレンズアレイ63は、複数本のロッドレンズ63aを主走査方向に複数本並べたものであり、原稿の反射光をイメージセンサー9に導く。
【0080】
そして、ロッドレンズアレイ63の両側に、導光体81がそれぞれ設けられる。図5(a)に破線で示すように、各導光体81に対し、筐体61の紙面垂直方向の手前側と奥側の端部に光源80が設けられる(手前側の光源80は不可視)。従って、読取部6の導光体81の長手方向の両端部にそれぞれ2つずつ光源80が設けられる(計4つ)(図○○参照)。ここで、本実施形態では、各光源80は、LEDである。
【0081】
そして、1本のランプ8は、1本の導光体81と、導光体81の両端の光源80を含む。そして、ランプ8は、主走査方向からみて、イメージセンサーの左側(左ランプ8L)と右側(右ランプ8R)が設けられる。
【0082】
導光体81は、光源80が発する光を導光体81の長手方向(主走査方向)に導く。又、導光体81は、図5(a)に2点鎖線矢印で示すように、読取部6の長手方向(主走査方向)の各位置でほぼ均一な光量レベルとなるように、ロッドレンズアレイ63の上方(ガラス62の上方)に向けて、光を放つ。ロッドレンズアレイ63に含まれる各ロッドレンズ63a71は、読取対象(例えば、原稿や白基準板7)で反射された光を集光しつつイメージセンサー9に導く(反射光の光の方向の一例を矢印付2点差線で示す)。
【0083】
(白基準板7)
次に、図6を用いて、第1の実施形態に係る白基準板7の一例を説明する。図6は、白基準板7の一例を示す説明図である。
【0084】
本実施形態の画像読取装置100では、白基準板7は、ガイド部材16の下方に設けられる。そして、図6に示すように、本実施形態の白基準板7は、従来の白基準板7と異なり、凸部71を有する。又、図6の上の図は、白基準板7を下方から見た図である。図6の下方の図は、上方の図のA−A’ラインでの断面図である。
【0085】
白基準板7の主走査方向での長さは、イメージセンサー9の主走査方向の長さと同等若しくは少し長い。そして、主走査方向(長手方向)の一方の端部から他方の端部まで、凸部71が白基準板7に設けられる。この凸部71により、主走査方向から見て、2つの段差72ができる(以下では、左段差72Lを「左段差72L」と称し、右段差72Rを「右段差72R」と称する)。
【0086】
(各ランプ8の光量調整の流れ)
次に、図7〜図13を用いて、第1の実施形態に係る画像読取装置100での各ランプ8の光量調整の流れの一例を説明する。図7は、各ランプ8の光量調整の流れの一例を示すフローチャートである。図8は、左調整位置の一例を示す説明図である。図9は、右調整位置の一例を示す説明図である。図10は、光量調整テーブルT1の一例を示す説明図である。図11は、ランプ8(光源80)の異常報知画面S1の一例である。図12は、白基準板7の読取位置の一例を示す説明図である。図13は、光源80の光量調整後の全体的な光量調整の概念を説明するための説明図である。
【0087】
本実施形態の画像読取装置100では、読取部6に左ランプ8Lと右ランプ8Rの2本のランプ8が設けられる。そして、2本のランプ8の光量に差が有れば、原稿のシワや折り目に2本のランプ8が均等に光を当てることができず、読み取り結果としての画像データにシワや折り目が現れてしまう。そこで、本実施形態の画像読取装置100、複合機101では、段差72の有る白基準板7を読み取ることで、各ランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)の光量が均一となるように調整することができる。
【0088】
ここで、各ランプ8の光量の均一とするための調整(光量調整)は、例えば、複合機101の工場出荷時や、複合機101設置後のメンテナンスの時に行われる。あるいは、使用者が任意の時点で光量均一化の調整を行えるようにしてもよい。
【0089】
各ランプ8(左ランプ8Lと右ランプ8R)の光量調整を行うには、操作パネル2を操作して、各ランプ8の光量調整の実行を指示する。これにより、各ランプ8の光量調整が開始される。この各ランプ8の光量調整の開始時点が図7のスタートとなる。
【0090】
各ランプ8の光量調整が開始されると、読取制御部10は、記憶部10aから各光源80の光量を示すデータ(光量データ)を読み出す(ステップ♯1)。本実施形態では、PWMにより、各光源80(LED)の光量を調整するので、各光量データは、PWM信号の周波数(周波数固定の場合は不要)や、デューティ比となる。尚、初めて光量調整を行うときや、光量調整が行われてもデフォルト値からの変更がない場合、各光源80に対する光量データは、予め定められたデフォルトの値である。2回目以降の光量調整では、光量が変えられた光源80については前回の調整で設定された(補正された)光量データとなる。
【0091】
次に、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、読取部6を左調整位置に移動させる(ステップ♯2)。左調整位置は、イメージセンサー9が読み取るライン(読取ライン)が、白基準板7の左段差72Lよりも左側の位置となる位置である。そして、読取制御部10は、記憶部10aから読み出した光量データに基づき各光源80を発光制御部10bに点灯させ、読取部6のイメージセンサー9に左調整位置で読み取りを行わせる(ステップ♯3)。
【0092】
ここで、図8を用いて、左調整位置での読み取りを説明する。図8に示すように、イメージセンサー9の読取ラインが段差72よりも左外側となると(左調整位置となると)、右ランプ8Rから放たれる光は、白基準板7の凸部71に当たって反射される。そのため、右ランプ8Rから放たれる光は、イメージセンサー9に到達し難くなる。そして、イメージセンサー9が受光する光は、左ランプ8Lから放たれる光が支配的となる(破線で放たれる光の一例を図示)。
【0093】
そして、読取制御部10は、左調整位置での読み取りにおけるイメージセンサー9の各受光素子90のアナログ出力電圧をA/D変換部17aにディジタル値に変換させる(ステップ♯4)。そして、読取制御部10は、ディジタル値となった各受光素子90の出力値に基づき、左調整位置での濃度値を定める(ステップ♯5)。
【0094】
ここで、読取制御部10は、複数の受光素子90のうち、予め定められた位置の何れか1つの受光素子90の出力値を左調整位置での濃度を示す濃度値と定めても良い。あるいは、読取制御部10は、イメージセンサー9の各受光素子90のうち、予め定められた位置の複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置での濃度を示す濃度値と定めてもよい。ここで出力値の平均を取る場合、読取制御部10は、主走査方向1ライン分の全受光素子90の出力値の平均を求めて濃度値と定めても良いし、例えば、主走査方向の中央位置の複数個(例えば、1個から10個程度)の受光素子90の出力値の平均値を求めて濃度値を定めて良い。
【0095】
次に、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、読取部6を右調整位置に移動させる(ステップ♯6)。右調整位置は、イメージセンサー9が読み取るライン(読取ライン)が白基準板7の右段差72Rよりも右側の位置となる位置である。そして、読取制御部10は、記憶部10aから読み出した光量を示すデータに基づき各光源80を点灯させ、読取部6のイメージセンサー9に右調整位置で読み取りを行わせる(ステップ♯7)。
【0096】
図8と同様に、図9を用いて、右調整位置での読み取りを説明する。図9に示すように、イメージセンサー9の読取ラインが段差72よりも右外側となると(右調整位置となると)、左ランプ8Lから放たれる光は、白基準板7の凸部71に当たって反射される。そのため、左ランプ8Lから放たれる光はイメージセンサー9に到達し難くなる。そして、イメージセンサー9が受光する光は、右ランプ8Rから放たれる光が支配的となる(破線で放たれる光の一例を図示)。
【0097】
そして、読取制御部10は、右調整位置での読み取りにおけるイメージセンサー9の各受光素子90(各受光素子90)のアナログ出力電圧をA/D変換部17aにディジタル値に変換させる(ステップ♯8)。そして、そして、読取制御部10は、ディジタル値となった各受光素子90の出力値に基づき、右調整位置での濃度値を定める(ステップ♯9)。
【0098】
ここで、読取制御部10は、左調整位置での濃度値と同じ方法で右調整位置での濃度値を定める。予め定められた位置の何れか1つの受光素子90の出力値を左調整位置での濃度を示す濃度値と定めた場合、読取制御部10は、右調整位置での読み取りに応じて、左調整位置のときと同じ位置(予め定められた位置)の1つの受光素子90の出力値を右調整位置での濃度値と定める。
【0099】
あるいは、予め定められた位置の複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置での濃度を示す濃度値と定めた場合、読取制御部10は、右調整位置での読み取りに応じて、左調整位置のときと同じ位置(予め定められた位置)の複数の受光素子90の出力値の平均値を右調整位置での濃度値と定める。これにより、比較される左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値が同様の基準、手法で求められる。
【0100】
そして、読取制御部10は、濃度値を比較し、濃度値の差を認識する(ステップ♯10)。具体的に、受光素子90は受光量が多いほど、蓄積する電荷の量が増えるので、各受光素子90の出力値は大きくなる。一方、受光量が少ないほど出力値は小さくなる。従って、読取制御部10は、左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値の大小により、いずれのランプ8の方が暗いか、明るいかを認識することができる。又、左調整位置と右調整位置の濃度値の差により、光量の差も認識することができる。
【0101】
ここで、同じ基準に基づき濃度値の比較を行うために、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、左段差72Lから左調整位置の読取ラインまでの距離d1と、右段差72Rから右調整位置の読取ラインまでの距離d2とを同じ距離(距離d1=距離d2)として、読取部6を左調整位置及び右調整位置に移動させてもよい(図8、図9参照)。
【0102】
又、読取制御部10は、白基準板7の凸部71によって、一方のランプ8の光が確実に遮られるように、副走査方向において、左段差72Lから左調整位置の読取ラインまでの距離d1と、右段差72Rから右調整位置の読取ラインまでの距離d2が、副走査方向からみて読取ラインとランプ8の間の距離d3よりも短くなるように(距離d1<距離d3、距離d2<距離d3)、読取部6を左調整位置及び右調整位置に移動させてもよい(図8、図9参照)。
【0103】
次に、読取制御部10は、左調整位置と右調整位置の濃度値の差に基づき、光量の調整量を定め、暗い方のランプ8の光源80の光量データを補正し、補正後のデータを記憶部10aに記憶させる(ステップ♯11)。
【0104】
具体的には、読取制御部10は、暗い方のランプ8の光源80の光量を増やすように補正する。増やす光量については、読取制御部10は、濃度値の差に基づき、光量を増やす光源80のデューティ比をどれだけ増やすかを定める(調整量を定める)。例えば、図10に示すように、記憶部10aに、濃度値の差に対して増やすデューティ比を定めた光量調整テーブルT1を記憶させておく。そして、読取制御部10は、光量調整テーブルT1を参照し、左調整位置と右調整位置の濃度値の差に応じて、光量を増やす光源80で増加させるPWM信号のデューティ比を光源80の調整量として定める。
【0105】
尚、濃度値の差がない場合、あるいは、差があっても許容でき、微少な差といえる場合もある。そこで、光量調整テーブルT1には、濃度値の差があっても、光量データを補正しない場合も定義される。言い換えると、左調整位置と右調整位置の濃度値の差が予め定められた許容差に収まるとき、読取制御部10は、光源80の光量を示すデータの補正を行わない。
【0106】
次に、読取制御部10は、ランプ8の故障検知を行う(ステップ♯12)。この故障検知は、光源80の光量を増やしたときに行われる。具体的には、補正後の光量データを用い、光量が均等になるように調整した状態で、ステップ♯2からステップ♯10を行う。そして、読取制御部10は、光量データの補正前の右調整位置と左調整位置の濃度値の差と、光量補正後の右調整位置と左調整位置の濃度値の差と、を比較し濃度値の差が小さくなっているか否かを確認する。あるいは、読取制御部10は、巻取モータ14に光量を増やしたランプ8の光が支配的となる位置に読取部6を移動させ、補正前と補正後の濃度値を比較して、光量が増加した確認してもよい。
【0107】
もし、光量調整したにもかかわらず(光量データを補正したにもかかわらず)、光量を増やしたはずのランプ8の光量が増えていなければ、読取制御部10は、ランプ8の光源80の故障と検知する。一方、光量調整に応じて(光量データの補正に応じて)、光量を増やしたランプ8(光源80)の光量の増加が認められれば、読取制御部10は、ランプ8の光源80に故障はないと認識する。
【0108】
ここで、もし、読取制御部10がランプ8(光源80)の故障を検知したとき、読取制御部10は、ランプ8(光源80)の異常を報知させる。具体的には、読取制御部10は、図11に示すように、操作パネル2に対し、ランプ8(光源80)の異常を報知するための異常報知画面S1を表示させる。例えば、図11に示すように、読取制御部10は、読取部6のランプ8に異常がある旨や交換や点検の必要性を表示して、操作パネル2に報知を行わせる。
【0109】
次に、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、読取部6を白基準板7の凸部71を読み取る位置(読取ラインが段差72と段差72の間となる位置)に移動させる(ステップ♯13)。そして、読取制御部10は、光量調整後(光量データの補正後)の光量で、左ランプ8Lと右ランプ8Rの各光源80を点灯させて、読取部6のイメージセンサー9に読み取りを行わせる(ステップ♯14)。
【0110】
ここで、読取部6の移動を説明する。例えば、画像読取部1内には、読取部6が基準位置(ホームポジション)であるか否かを検知するための基準位置センサー18が設けられる(図4参照)。基準位置センサー18は例えば、光センサーであり、基準位置センサー18の出力は、読取制御部10に入力される。例えば、読取部6の基準位置は、白基準板7の下方とされる。
【0111】
読取制御部10は、基準位置センサー18の出力に基づき、読取部6が基準位置に有るか否かを認識する。原稿の読み取りが完了すれば、読取部6は、巻取モータ14を制御して、読取部6の位置を基準位置に待避させる。そして、記憶部10aには、基準位置から左調整位置まで、基準位置から右調整位置まで、基準位置から白基準板7の段差72と段差72の間を読み取る位置までの巻取モータ14の回転量を示すデータ(例えば、モーターに入力すべきパルス数)が記憶される。これにより、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して右調整位置や、左調整位置や、白基準板7の段差72と段差72の間を読み取る位置に正確に読取部6を移動させることができる。
【0112】
そして、読取制御部10は、白基準板7の凸部71での読み取りにおけるイメージセンサー9の各受光素子90(各受光素子90)のアナログ出力電圧をA/D変換部17aにディジタル値に変換させる(ステップ♯15)。そして、読取制御部10は、イメージセンサー9の各受光素子90のうち、主走査方向で予め定められた位置の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を参照値として定める(ステップ♯16)。ここで、読取制御部10は、主走査方向1ライン分の全受光素子90の出力値の平均値を参照値と定めても良いし、例えば、主走査方向の中央位置の複数個(例えば、1個から10個程度)の受光素子90の出力値の平均値を求めて参照値と定めて良い。
【0113】
そして、読取制御部10は、参照値に基づき、各ランプ8の合計の光量に対する最終的な光量調整を行う(ステップ♯17)。
【0114】
一方のランプ8の光源80の光量を高めると、左ランプ8Lの光量と右ランプ8Rの光量の均一化を図ることができる。しかし、均一化された左ランプ8Lと右ランプ8Rの合計の光量が適切とは限らない。合計の光量が多すぎると原稿を読み取ったとき、白飛びが発生することがある。又、合計の光量が少なすぎると、黒潰れが発生することがある。そこで、各ランプ8の光量調整では、光源80の光量補正後の各ランプ8の合計の光量に対する最終的な光量調整を行う(ステップ♯17)
【0115】
ここで、図13を用いて、最終的な光量調整の一例を説明する。まず、読み取りを行う上で、白飛びや黒潰れが生じがたいときの参照値の範囲を示す許容範囲が予め定められる。許容範囲は、適切に読み取りを行えるときの参照値の範囲として、実験等によりに求められる。そして、許容範囲(各ランプ8の合計の光量の適切な範囲)を示すデータは、例えば、記憶部10aに記憶される。
【0116】
読取制御部10は、記憶部10aから許容範囲を示すデータを読み出し、求めた参照値と比較する。図13に示すように、求められた参照値が許容範囲を下回れば、全体的に光量が不足しているといえる。そこで、読取制御部10は、各光源80の光量が増えるように、全ての光源80の光量を示すデータを補正する。一方、求められた参照値が許容範囲を上回れば、全体的に光量が過多の状態(多すぎる)といえる。そこで、読取制御部10は、各光源80の光量が減るように、全ての光源80の光量を示すデータを補正する。
【0117】
1つの光源80につき、増減させる光量については、読取制御部10は、参照値と許容範囲の中央値(上限値や下限値でもよい)との差に基づき、各光源80のデューティ比をどれだけ増減させるかを定める。例えば、記憶部10aに、参照値と許容範囲の中央値の差に対して、1つの光源80あたりに増減させるデューティ比を定めたテーブルを記憶させておく。そして、読取制御部10は、テーブルを参照して、各光源80で均等にデューティ比を増減して補正し、補正後の各光源80のデューティ比を、記憶部10aに記憶させる。
【0118】
白基準板7に段差72を設ければ、一方のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光を凸部71で反射させ、イメージセンサー9に届かせないようにして読み取りを行うことが可能となる。そこで、本実施形態の画像読取装置100(複合機101)は、主走査方向に複数の受光素子90が並べられたイメージセンサー9と、主走査方向を長手方向としイメージセンサー9に対し副走査方向の左右両側にそれぞれ設けられ、それぞれが光源80を有する2本のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)と、を含み、原稿の読み取りのとき各光源80を点灯させてイメージセンサー9により読み取りを行う読取部6と、読取部6を副走査方向で移動させる移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)と、各ランプ8の光源80の発光を制御する発光制御部10bと、読取部6の移動経路上に設けられるとともに、読取部6の上方に設けられ、下向きの凸部71を有し、段差72が設けられた白基準板7と、イメージセンサー9の各受光素子90の出力値に基づき、濃度を示す値である濃度値を定める濃度確認部(読取制御部10)と、を含み、移動機構は、イメージセンサー9が左段差72Lから白基準板7の左外側方向に離れた位置を読み取る左調整位置に読取部6を移動させるとともに、イメージセンサー9が右段差72Rから白基準板7の右外側方向に離れた位置を読み取る右調整位置に読取部6を移動させ、読取部6は、左調整位置と右調整位置で読み取りを行い、濃度確認部は、左調整位置での読み取りで得られた濃度値と右調整位置での読み取りで得られた濃度値の差が無くなるように光源80の光量の調整量を定め、発光制御部10bは、調整量に基づき光源80の光量を調整する。
【0119】
これにより、別途センサーを設置することなく、2つのランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光量の差(濃度値の差)を画像読取装置100が本来備えるイメージセンサー9を用いて認識することができる。そして、発光制御部10bは、濃度値の差が無くなるように光源80の光量を調整する。従って、光量が等しくなるようにイメージセンサー9の両側のランプ8の光量が調整されるので、原稿のシワや折り目の部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めることができる。
【0120】
又、濃度確認部(読取制御部10)は、左調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、左側のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光源80の光量を上げるように調整量を定め、濃度確認部(読取制御部10)が右調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、右側のランプ8の光源80の光量を上げるように調整量を定める。これにより、両側のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の合計の光量を確保しつつ、光量が等しくなるように、イメージセンサー9の両側のランプ8の光量を調整することができる。
【0121】
又、濃度確認部(読取制御部10)は、左調整位置で読み取ったときの1つの受光素子90の出力値又は複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき、左調整位置の濃度値を定め、右調整位置で読み取ったときの1つの受光素子90の出力値又は複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき、右調整位置の濃度値を定める。これにより、1つの受光素子90の出力値に基づき濃度値を定めれば、極めて簡易な処理で、各調整位置の濃度値と、その濃度値の差(光量の差)を求めることができる。あるいは、複数の受光素子90の出力値の平均をとって濃度値を定めることで、各受光素子90での読み取り特性での個体差、ばらつきを低減しつつ、濃度値の差(光量の差)を認識することができる。
【0122】
ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の合計の光量が多すぎると、原稿のうち一定以上明るい部分がほぼ白で読み取られてしまうことがある(白飛び)。又、各ランプ8の合計の光量が少なすぎると、原稿のうち一定以上暗い部分がほぼ黒として読み取られてしまうことがある(黒潰れ)。そこで、移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)は、いずれかの光源80の光量を上げる調整がなされたとき、凸部71を読み取る位置となるように読取部6を移動させ、発光制御部10bは、調整後の光量で各光源80を発光させ、読取部6は、白基準板7の凸部71の読み取りを行い、濃度確認部(読取制御部10)は、凸部71を読み取ったときの1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき参照値を定め、参照値が予め定められた許容範囲に収まっていないとき、許容範囲に収まるように、一部又は全ての光源80の光量を減らす又は増やす。これにより、光量調整の結果、各ランプ8の合計の光量が多くなりすぎることや、少なすぎることを防ぐことができる。ここで、「許容範囲」は、任意に定めることができ、原稿の読み取りを行う上で、白飛びや黒潰れの発生を回避できるように実験等により予め定められる適切で好適な参照値の範囲である。
【0123】
光量を増やしても、増加が認められないとき、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)が故障していると考えられる。そこで、本実施形態の画像読取装置100は、メッセージの報知を行う報知部(操作パネル2)を含み、報知部は、光源80の光量を増やす調整が行われても、濃度確認部(読取制御部10)が左調整位置と右調整位置で読み取りでの濃度値に基づき、光量が増加していると認められないとき、ランプ8の異常を報知する。これにより、各ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の故障を検知することができるとともに、故障を使用者に報知することができる。
【0124】
又、移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)は、左段差72Lから左調整位置でのイメージセンサー9が読み取りを行う読取ラインの位置までの距離d1と、右段差72Rから右調整位置でのイメージセンサー9が読み取りを行う読取ラインまでの距離d2とを同じ距離(距離d1=距離d)として、読取部6を左調整位置及び右調整位置に移動させる。これにより、左調整位置での読取ラインと段差72の位置関係と、右調整位置の読取ラインと段差72の位置関係を同様の条件にすることができる。これにより、同じ条件で左調整位置と右調整位置の濃度値を比較することができ、各ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光量をより正確に均等とすることができる。
【0125】
又、移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)は、副走査方向において、左段差72Lから左調整位置でのイメージセンサー9が読み取りを行う読取ラインまでの距離d1、及び、右段差72Rから右調整位置でのイメージセンサー9が読み取りを行う読取ラインまでの距離d2が、副走査方向からみて読取ラインとランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の間の距離d3よりも短くなるように(距離d1<距離d3、距離d2<距離d3)、読取部6を左調整位置及び右調整位置に移動させる(図8、図9参照)。これにより、一方のランプ8(左ランプ8L又は右ランプ8R)からの光が確実に段差72によって遮られるようにすることができる。従って、各ランプ8の光量の差(濃度値の差)の有無を確実に認識することができる。
【0126】
又、発光制御部10bは、光源80に印加する電圧又は供給する電流のデューティ比を変化させて各光源80の光量を調整する。これにより、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光源80の光量を調整することができる。
【0127】
又、本実施形態の画像読取装置100は、左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値の差に応じて、光源80の光量の調整量を定めた光量調整テーブルTを記憶する記憶部10aを含む。これにより、光量調整テーブルTを参照することで、濃度値の差に基づき、光源80の光量を調整するための調整量を迅速、簡易に決定することができる。
【0128】
又、本実施形態の画像形成装置(複合機101)は、画像読取装置100を含む。これにより、画像形成装置(複合機101)の画像読取装置100では、光量が等しくなるように、イメージセンサー9の両側のランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光量が調整され、原稿のシワや折り目の部分の強調を低減し、読み取りでの画質を高めた画像データを得ることができる。従って、高画質の画像データに基づき、高画質の印刷を行う画像形成装置(複合機101)を提供することができる。
【0129】
(第2の実施形態)
次に、図14を用いて第2の実施形態を説明する。図14は、第2の実施形態での濃度値の定め方を説明するための説明図である。
【0130】
本実施形態では、複数の左調整位置と複数の右調整位置が設定される点で第1の実施形態と異なる。又、複数の左調整位置の各位置での読み取り結果と、複数の右調整位置の各位置での読み取り結果を用いて、左調整位置の濃度値と右調整位置の濃度値を求める点で異なる。その他の点では、第1の実施形態と同様でよく、共通する部分については、援用するものとして、図示、説明を省略する。
【0131】
具体的に、本実施形態では、左調整位置が複数個設定される。このとき、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、各左調整位置に移動させる。読取部6は、複数の左調整位置で読み取りを行う。読取制御部10は、この読み取りで得られた複数ライン分について、複数ラインを跨ぐように予め定められるブロック内の各受光素子90の出力値の平均値を左調整位置での濃度値とする。
【0132】
例えば、左調整位置が3箇所設定されるとする。そして、図14に示すように、3ライン分のイメージセンサー9の各受光素子90の出力値が得られる。そして、左調整位置での濃度値を定めるため、読取制御部10は、隣接するラインに跨って、例えば、3×3のブロック(図14において網掛けで図示)の各受光素子90の出力値の平均値を濃度値と定める。
【0133】
同様に、本実施形態では、右調整位置も複数個設定される。このとき、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、各右調整位置に移動させる。例えば、右調整位置の個数は、左調整位置と同様とする。又、各右調整位置での読取ラインの段差72(右段差72R)からの距離d2も、各左調整位置での読取ラインの段差72(左段差73R)から距離d1と等しくしても良い。そして、読取部6は、複数の右調整位置で読み取りを行う。読取制御部10は、この読み取りで得られた複数ライン分について、複数ラインを跨ぐように予め定められるブロック内の各受光素子90の出力値(ディジタル)の平均値を右調整位置での濃度値とする。
【0134】
例えば、左調整位置と同様に、右調整位置が3箇所設定される。そして、図14に示すように、3ライン分のイメージセンサー9の各受光素子90の出力値が得られる。そして、右調整位置での濃度値を定めるため、読取制御部10は、隣接するラインに跨って、左調整位置の時と同様に、例えば、3×3のブロック(図14において網掛けで図示)の各受光素子90の出力値の平均値を濃度値と定める。
【0135】
そして、左調整位置での濃度値と右調整位置での濃度値を比較して、濃度値の差が無くなるように、読取制御部10は、光量の調整量を定め、光量データを補正し、暗い方のランプ8の光源80の光量を増やす。光量調整の流れ自体は、図7を用いて説明した第1の実施形態の場合と同様でよい。
【0136】
このようにして、本実施形態の画像読取装置100では、移動機構(巻取モータ14、巻取ドラム13、ワイヤ12等)は、複数の異なる左調整位置に読取部6を移動させるとともに、複数の異なる右調整位置に読取部6を移動させ、読取部6は、それぞれの左調整位置と右調整位置で読み取りを行い、濃度確認部(読取制御部10)は、それぞれの左調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子90のブロックに含まれる複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき左調整位置の濃度値を定め、それぞれの右調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子90のブロックに含まれる複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき右調整位置の濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように光源80の光量の調整量を定める。これにより、ブロックに含まれる複数の受光素子90の平均をとることで、各受光素子90の読み取り特性に関する個体差、ばらつきを低減しつつ、濃度値の差(光量の差)を認識することができる。
【0137】
(第3の実施形態)
次に、図15を用いて第3の実施形態を説明する。図15は、第3の実施形態での読取部6を上方からみた模式図である。
【0138】
本実施形態では、4つの光源80の内、主走査方向(画像読取装置100、複合機101の正面からみて)の手前側の光源80については、手前側の左ランプ8Lと右ランプ8Rの光源80の組み合わせで光量を調整し、奥側の光源80については奥側の左ランプ8Lと右ランプ8Rの光源80の組み合わせで光量を調整する点で異なる。その他の点では、第1、第2の実施形態と同様でよく、共通する部分については、援用するものとして、図示、説明を省略する。
【0139】
本実施形態の読取部6では、図15に示すように、第1、第2の実施形態と同様、左ランプ8Lの導光体81の両端に光源80(LED)が設けられ、右ランプ8Rの導光体81の両端にも光源80(LED)が設けられる。
【0140】
このとき、導光体81の手前側から放たれる光は、手前側の光源80から放たれる光の成分が多くなる傾向を示すことがある。一方、導光体81の奥側から放たれる光は、奥側の光源80から放たれる光の成分が多くなる傾向を示すことがある。そこで、手前側については、左ランプ8Lの手前側の光源80と右ランプ8Rの手前側の光源80と組み合わせで、光源80の光量調整を行うようにする。又、左ランプ8Lの奥側の光源80と右ランプ8Rの奥側の光源80との組み合わせで、光源80の光量調整を行うようにする。
【0141】
具体的に、手前側の左ランプ8Lの光源80と右ランプ8Rの光源80の組み合わせと、奥側の手前側の左ランプ8Lの光源80と右ランプ8Rの光源80の組み合わせでの光量調整を説明する。尚、光量調整の流れ自体は、図7を用いて説明した第1の実施形態の場合と同様でよい。
【0142】
まず、読取制御部10は、巻取モータ14を制御し、読取部6を左調整位置とする。そして、読取制御部10は、イメージセンサー9に読み取りを行わせる。ここで、手前側の左ランプ8Lの光源80に関する濃度値を求めるため、読取制御部10は、ランプ8の中央よりも手前側に位置するイメージセンサー9の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置の手前側の濃度値と定める。又、奥側の左ランプ8Lの光源80に関する濃度値を求めるため、読取制御部10は、ランプ8の中央よりも奥側に位置するイメージセンサー9の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置の濃度値と定める。
【0143】
次に、読取制御部10は、巻取モータ14を制御し、読取部6を右調整位置とする。そして、読取制御部10は、イメージセンサー9に読み取りを行わせる。ここで、手前側の右ランプ8Rの光源80に関する濃度値を求めるため、読取制御部10は、ランプ8の中央よりも手前側に位置するイメージセンサー9の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を右調整位置の手前側の濃度値と定める。又、奥側の右ランプ8Rの光源80に関する濃度値を求めるため、読取制御部10は、ランプ8の中央よりも奥側に位置するイメージセンサー9の1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値を右調整位置の濃度値と定める。
【0144】
このように、本実施形態では、第1、第2の実施形態と異なり、読取制御部10は、4種類の濃度値を求める。尚、濃度値を求めるうえで対象とする受光素子90は、左調整位置と右調整位置とで同じ位置の受光素子90とする。
【0145】
そして、読取制御部10は、手前側の左調整位置での濃度値と右調整位置での濃度値を比較する。そして、読取制御部10は、第1の実施形態と同様に濃度値の差と、記憶部10aに記憶された光量調整テーブルT1を用いて、暗い方(濃い方)の濃度値のランプ8の手前側の光源80の光量が増えるように調整量を定める。そして、読取制御部10は、暗い方のランプ8の手前側の光源80の光量データを補正する。このように、手前側の光源80については、手前側の光源80の組み合わせで、濃度値の差の解消を図る。
【0146】
又、読取制御部10は、手前側と同様に、奥側でも、奥側の左調整位置での濃度値と右調整位置での濃度値を比較する。そして、読取制御部10は、第1の実施形態と同様に濃度値の差と、記憶部10aに記憶された光量調整テーブルT1を用いて、暗い方(濃い方)の濃度値のランプ8の奥側の光源80の光量が増えるように調整量を定める。そして、読取制御部10は、暗い方のランプ8の奥側の光源80の光量データを補正する。このように、奥側の光源80については、奥側の光源80の組み合わせで、濃度値の差の解消を図る。
【0147】
主走査方向で光を放射する導光体81の両端に光源80が設けられるランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)では、主走査方向からみて手前側では、手前側に設けられた光源80からの光がより多く放射され(手前側に設けられた光源80の影響が強い)、主走査方向からみて奥側では、奥側に設けられた光源80からの光がより多く放射される(奥側に設けられた光源80の影響が強い)。そこで、本実施形態の画像読取装置100は、各ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)は、棒状の導光体81と、導光体81の両端に2つの光源80を含み、濃度確認部(読取制御部10)は、主走査方向から見て手前側の2つの光源80については、左調整位置で読み取ったときのランプ8の中央よりも手前側に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき左調整位置での濃度値を定め、右調整位置でよみとったときのランプ8の中央よりも手前側に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき右調整位置での濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように手前側の光源80の光量の調整量を定め、主走査方向から見て奥側の光源80については、左調整位置で読み取ったときのランプ8の中央よりも奥側に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき左調整位置での濃度値を定め、右調整位置でよみとったときのランプ8の中央よりも手前側に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき右調整位置での濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように奥側の光源80の光量の調整量を定める。これにより、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の両端に設けられた各光源80の光量を、手前側と奥川のそれぞれの光源80の組み合わせでランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の端部に設けられた各光源80の光量を適切に調整することができる。
【0148】
(第4の実施形態)
次に、図16を用いて第4の実施形態を説明する。図16は、第4の実施形態での読取部6を上方からみた模式図である。
【0149】
本実施形態では、図4に示すように、導光体81に対して1つの光源80が設けられる。言い換えると、本実施形態の読取部6の左ランプ8Lと右ランプ8Rは、光源80をそれぞれ1つ含む。従って、本実施形態の読取部6は、光源80は計2つである。光源80の個数の点で、本実施形態の読取部6は、第1〜第3の実施形態と異なる。尚、本実施形態では、光源80の個数を減らすので、光源801つあたりの光量は、第1〜第3の実施形態の場合よりも多くする。その他の点では、第1〜第3の実施形態と同様でよく、共通する部分については、援用するものとして、図示、説明を省略する。
【0150】
具体的に、本実施形態では、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、左調整位置に読取部6を移動させる。読取部6は、左調整位置で読み取りを行う。又、読取制御部10は、巻取モータ14を制御して、右調整位置に読取部6を移動させる。読取部6は、右調整位置で読み取りを行う。尚、各調整位置は第2の実施形態と同様に複数設けられても良い。
【0151】
例えば、本実施形態では、読取制御部10は、左調整位置の読み取りでは、ランプ8の中央部分の受光素子90の出力値に基づき濃度値を定める。読取制御部10は、ランプ8の中央部分の1つの受光素子90の出力値を左調整位置の濃度値と定めても良いし、ランプ8の中央部分の複数の受光素子90の出力値の平均値を左調整位置の濃度値と定めても良い。
【0152】
又、本実施形態では、読取制御部10は、右調整位置の読み取りでは、左調整位置と同様にランプ8の中央部分の受光素子90の出力値に基づき濃度値を定める。読取制御部10は、左調整位置のときと同じ1つの受光素子90の出力値を右調整位置の濃度値と定めても良いし、ランプ8の中央部分の複数の受光素子90であって左調整位置のときと同じ位置の受光素子90の出力値の平均値を右調整位置の濃度値と定めても良い。
【0153】
そして、読取制御部10は、定めた左調整位置での濃度値と右調整位置での濃度値を比較する。そして、読取制御部10は、第1の実施形態と同様に濃度値の差と、記憶部10aに記憶されたテーブルを用いて、暗い方(濃い方)の濃度値のランプ8の手前側の光源80の光量が増えるように、暗い方のランプ8の手前側の光源80の光量データを補正する。このようにして、左ランプ8Lと右ランプ8Rの光源80の光量を調整して、濃度値の差の解消を図る。
【0154】
主走査方向で光を放射する導光体81の一方の端部に光源80が設けられるランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)では、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の主走査方向の中央位置での光量適切か否かが1つの目安となる。そして、本実施形態の画像読取装置100(複合機101)は、各ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)は、棒状の導光体81と、導光体81の端部に1つの光源80を含み、濃度確認部(読取制御部10)は、左調整位置で読み取ったときのランプ8の中央部分に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき左調整位置での濃度値を定め、右調整位置で読み取ったときのランプ8の中央部分に位置する1つの受光素子90の出力値、又は、複数の受光素子90の出力値の平均値に基づき右調整位置での濃度値を定め、各濃度値の差が無くなるように光源80の光量の調整量を定める。これにより、ランプ8の一方の端部に設けられた各光源80の光量を適切に調整することができる。
【0155】
(第5の実施形態)
次に、図17を用いて第4の実施形態を説明する。図17は、第5の実施形態での光量調整テーブルT2の一例を示す説明図である。
【0156】
第1〜第4の実施形態では、発光制御部10bが光源80(LED)の光量をPWM信号のデューティ比を代えることにより、1つの光源80の光量を増減させる例を説明した。本実施形態では、デューティ比ではなく、発光制御部10bは、電流の大きさを変えることにより、光源80の光量を補正する。従って、本実施形態の発光制御部10bは、各光源80に対し、それぞれ別個に電流を供給し、又、各光源80に供給する電流(電圧)の大きさを光源80ごとに可変できる回路を含む。従って、記憶部10aは、光量を示す光量データとして、各光量について供給する(流す)電流値を記憶する。そして、読取制御部10は、記憶部10aに記憶された各光源80の光量データに基づき、発光制御部10bに各光源80への電流の供給を行わせる。
【0157】
ここで、各ランプ8の光量調整を行うとき、読取制御部10は、左調整位置での読み取りに基づき定めた濃度値と、右調整位置での読み取りに基づき、濃度値の差(左ランプ8Lの光源80の光量と右ランプ8Rの光源80の光量の差)を認識し、濃度値の差があれば、暗い方のランプ8の光源80の光量データを補正する点は、第1〜第4の実施形態と同様である。
【0158】
具体的には、読取制御部10は、左調整位置と右調整位置の濃度値の差に基づき、暗い方のランプ8の光量データを補正し、補正後のデータを記憶部10aに記憶させる。読取制御部10は、暗い方のランプ8の光源80の光量を増やすように補正する。読取制御部10は、濃度値の差に基づき、光量を増やす光源80の電流をどれだけ増やすかを定める(調整量を定める)については。
【0159】
例えば、図17に示すように、記憶部10aに、濃度値の差に対して増やす電流の大きさを定めた光量調整テーブルT2を記憶させておく。そして、読取制御部10は、光量調整テーブルT2を参照して、左調整位置と右調整位置の濃度値の差に応じて、光量を増やそうとする光源80に現状から上乗せする電流の大きさを定める(調整量を定める)。そして、読取制御部10は、光量を増やそうとする光源80の現状の電流の大きさに、上乗せすると定めた電流の大きさを加算して補正し、補正後の光量データを記憶部10aに記憶させる。尚、第1〜第4の実施形態と同様に、左調整位置と右調整位置の濃度値の差が予め定められた許容差に収まるとき、読取制御部10は、光源80の光量を示すデータの補正を行わなくてよい。
【0160】
このようにして、本実施形態の発光制御部10bは、光源80に印加する電圧又は供給する電流の大きさを変化させて各光源80の光量を調整する。これにより、ランプ8(左ランプ8L、右ランプ8R)の光源80の光量を調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、イメージセンサーの両側にランプを設けた画像読取装置や、この画像読取装置を含む画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0162】
100 画像読取装置 101 複合機(画像形成装置)
1 画像読取部 10 読取制御部(濃度確認部)
10a 記憶部 10b 発光制御部
12 ワイヤ(移動機構) 13 巻取ドラム(移動機構)
14 巻取モータ(移動機構) 2 操作パネル(報知部)
6 読取部 7 白基準板
71 凸部 72 段差
72L 左段差 72R 右段差
8 ランプ 8L 左ランプ(ランプ)
8R 右ランプ(ランプ) 80 光源
81 導光体 9 イメージセンサー
90 受光素子 S1 異常報知画面
T1 光量調整テーブル T2 光量調整テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に複数の受光素子が並べられたイメージセンサーと、主走査方向を長手方向とし前記イメージセンサーに対し前記副走査方向の左右両側にそれぞれ設けられ、それぞれが光源を有する2本のランプと、を含み、原稿の読み取りのとき各前記光源を点灯させて前記イメージセンサーにより読み取りを行う読取部と、
前記読取部を副走査方向で移動させる移動機構と、
各前記ランプの光源の発光を制御する発光制御部と、
前記読取部の移動経路上に設けられるとともに、前記読取部の上方に設けられ、下向きの凸部を有し、段差が設けられた白基準板と、
前記イメージセンサーの各受光素子の出力値に基づき、濃度を示す値である濃度値を定める濃度確認部と、を含み、
前記移動機構は、前記イメージセンサーが左側の前記段差から前記白基準板の左外側方向に離れた位置を読み取る左調整位置に前記読取部を移動させるとともに、前記イメージセンサーが右側の前記段差から前記白基準板の右外側方向に離れた位置を読み取る右調整位置に前記読取部を移動させ
前記読取部は、前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りを行い、
前記濃度確認部は、前記左調整位置での読み取りで得られた前記濃度値と前記右調整位置での読み取りで得られた前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定め、
前記発光制御部は、前記調整量に基づき前記光源の光量を調整することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記濃度確認部は、前記左調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、左側の前記ランプの前記光源の光量を上げるように前記調整量を定め、前記濃度確認部が前記右調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、右側の前記ランプの前記光源の光量を上げるように前記調整量を定めることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記濃度確認部は、前記左調整位置で読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値又は複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき、前記左調整位置の濃度値を定め、前記右調整位置で読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値又は複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき、前記右調整位置の濃度値を定めることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記移動機構は、いずれかの前記光源の光量を上げる調整がなされたとき、前記凸部を読み取る位置となるように前記読取部を移動させ、
前記発光制御部は、調整後の光量で各前記光源を発光させ、
前記読取部は、前記白基準板の前記凸部の読み取りを行い、
前記濃度確認部は、前記凸部を読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき参照値を定め、前記参照値が予め定められた許容範囲に収まっていないとき、前記許容範囲に収まるように、一部又は全ての前記光源の光量を減らす又は増やすことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記移動機構は、左側の前記段差から前記左調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインの位置までの距離と、右側の前記段差から前記右調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離とを同じ距離として、前記読取部を前記左調整位置及び前記右調整位置に移動させることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記移動機構は、副走査方向において、左側の前記段差から前記左調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離、及び、右側の前記段差から前記右調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離が、副走査方向からみて前記読取ラインと前記ランプの間の距離よりも短くなるように、前記読取部を前記左調整位置及び前記右調整位置に移動させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記移動機構は、複数の異なる前記左調整位置に前記読取部を移動させるとともに、複数の異なる前記右調整位置に前記読取部を移動させ、
前記読取部は、それぞれの前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りを行い、
前記濃度確認部は、それぞれの前記左調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき前記左調整位置の濃度値を定め、それぞれの前記右調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき前記右調整位置の濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定めることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
各ランプは、棒状の導光体と、前記導光体の両端に2つの前記光源を含み、
前記濃度確認部は、主走査方向から見て手前側の2つの前記光源については、左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での前記濃度値を定め、右調整位置でよみとったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように手前側の前記光源の光量の調整量を定め、
主走査方向から見て奥側の前記光源については、左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央よりも奥側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での前記濃度値を定め、右調整位置でよみとったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように奥側の前記光源の光量の調整量を定めることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
各前記ランプは、棒状の導光体と、前記導光体の端部に1つの光源を含み、
前記濃度確認部は、前記左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央部分に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき前記左調整位置での前記濃度値を定め、前記右調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央部分に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき前記右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定めることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記左調整位置の前記濃度値と前記右調整位置の前記濃度値の差に応じて、前記光源の光量の調整量を定めた光量調整テーブルを記憶する記憶部を含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像読取装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
主走査方向に複数の受光素子が並べられたイメージセンサーと、主走査方向を長手方向とし前記イメージセンサーに対し前記副走査方向の左右両側にそれぞれ設けられ、それぞれが光源を有する2本のランプと、を含み、原稿の読み取りのとき各前記光源を点灯させて前記イメージセンサーにより読み取りを行う読取部と、
前記読取部を副走査方向で移動させる移動機構と、
各前記ランプの光源の発光を制御する発光制御部と、
前記読取部の移動経路上に設けられるとともに、前記読取部の上方に設けられ、下向きの凸部を有し、段差が設けられた白基準板と、
前記イメージセンサーの各受光素子の出力値に基づき、濃度を示す値である濃度値を定める濃度確認部と、を含み、
前記移動機構は、前記イメージセンサーが左側の前記段差から前記白基準板の左外側方向に離れた位置を読み取る左調整位置に前記読取部を移動させるとともに、前記イメージセンサーが右側の前記段差から前記白基準板の右外側方向に離れた位置を読み取る右調整位置に前記読取部を移動させ
前記読取部は、前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りを行い、
前記濃度確認部は、前記左調整位置での読み取りで得られた前記濃度値と前記右調整位置での読み取りで得られた前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定め、
前記発光制御部は、前記調整量に基づき前記光源の光量を調整することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記濃度確認部は、前記左調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、左側の前記ランプの前記光源の光量を上げるように前記調整量を定め、前記濃度確認部が前記右調整位置での読み取りの方が濃いと認識したとき、右側の前記ランプの前記光源の光量を上げるように前記調整量を定めることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記濃度確認部は、前記左調整位置で読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値又は複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき、前記左調整位置の濃度値を定め、前記右調整位置で読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値又は複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき、前記右調整位置の濃度値を定めることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記移動機構は、いずれかの前記光源の光量を上げる調整がなされたとき、前記凸部を読み取る位置となるように前記読取部を移動させ、
前記発光制御部は、調整後の光量で各前記光源を発光させ、
前記読取部は、前記白基準板の前記凸部の読み取りを行い、
前記濃度確認部は、前記凸部を読み取ったときの1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき参照値を定め、前記参照値が予め定められた許容範囲に収まっていないとき、前記許容範囲に収まるように、一部又は全ての前記光源の光量を減らす又は増やすことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記移動機構は、左側の前記段差から前記左調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインの位置までの距離と、右側の前記段差から前記右調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離とを同じ距離として、前記読取部を前記左調整位置及び前記右調整位置に移動させることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記移動機構は、副走査方向において、左側の前記段差から前記左調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離、及び、右側の前記段差から前記右調整位置での前記イメージセンサーが読み取りを行う読取ラインまでの距離が、副走査方向からみて前記読取ラインと前記ランプの間の距離よりも短くなるように、前記読取部を前記左調整位置及び前記右調整位置に移動させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記移動機構は、複数の異なる前記左調整位置に前記読取部を移動させるとともに、複数の異なる前記右調整位置に前記読取部を移動させ、
前記読取部は、それぞれの前記左調整位置と前記右調整位置で読み取りを行い、
前記濃度確認部は、それぞれの前記左調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき前記左調整位置の濃度値を定め、それぞれの前記右調整位置で読み取られた複数ラインについて、主走査方向と副走査方向で予め定められた個数の受光素子のブロックに含まれる複数の受光素子の出力値の平均値に基づき前記右調整位置の濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定めることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
各ランプは、棒状の導光体と、前記導光体の両端に2つの前記光源を含み、
前記濃度確認部は、主走査方向から見て手前側の2つの前記光源については、左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での前記濃度値を定め、右調整位置でよみとったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように手前側の前記光源の光量の調整量を定め、
主走査方向から見て奥側の前記光源については、左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央よりも奥側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき左調整位置での前記濃度値を定め、右調整位置でよみとったときの前記ランプの中央よりも手前側に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように奥側の前記光源の光量の調整量を定めることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
各前記ランプは、棒状の導光体と、前記導光体の端部に1つの光源を含み、
前記濃度確認部は、前記左調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央部分に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき前記左調整位置での前記濃度値を定め、前記右調整位置で読み取ったときの前記ランプの中央部分に位置する1つの前記受光素子の出力値、又は、複数の前記受光素子の出力値の平均値に基づき前記右調整位置での前記濃度値を定め、各前記濃度値の差が無くなるように前記光源の光量の調整量を定めることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記左調整位置の前記濃度値と前記右調整位置の前記濃度値の差に応じて、前記光源の光量の調整量を定めた光量調整テーブルを記憶する記憶部を含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像読取装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−30966(P2013−30966A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165434(P2011−165434)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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