説明

画像読取装置及び方法、並びにプログラム

【課題】本発明は、電子ペーパーに格納された複数ページの画像を原稿固定読み方式で読み取る場合でも、ページ毎に電子ペーパーをセットし直す必要がなく、自動で複数ページの画像を読み取ることができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置1は、原稿台ガラス205下に電子ペーパー検出部202とページ切替部203を備える。電子ペーパーから固定読取モードで複数ページの画像を読み取る際に、ページ切替部203によりNページ目の画像を電子ペーパーに表示させ、スキャナユニット206が走査して画像の読み取りを行う。その後、ページ切替部203によりN+1ページの画像を電子ペーパーに表示させ、スキャナユニット206が走査して画像の読み取りを行い、これらをページ数分繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び方法、並びにプログラムに関し、特に、紙媒体及び電子ペーパーから画像を読み取ることが可能な画像読取装置及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ装置等の画像読取装置には、原稿搬送装置(ADF)により原稿を搬送しつつ、固定された光学系により画像を読み取る原稿流し読み方式が採用されているものがある。また、画像読取装置には、原稿台ガラス上に1枚ずつ原稿をセットして光学系を走査することにより画像を読み取る原稿固定読み方式が採用されているものがある。
【0003】
ところで、紙媒体とディスプレイの長所を併せ持つ「電子ペーパー」の開発が進められている。電子ペーパーの利点は、紙の消費を押さえ、森林の保全や焼却によるCO2の排出抑制など、環境負荷を軽減できる点にある。このような背景の中、ADFにより紙原稿や電子ペーパーを読取位置まで搬送し、紙原稿上の画像や電子ペーパーに表示された画像を読み取ることが可能な画像読取装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−141590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像読取装置では、ADFを利用した原稿流し読み方式により電子ペーパーに表示された画像を読み取る技術について提案されている。しかしながら、原稿固定読み方式により電子ペーパーに表示された画像を光学的に読み取る技術に関してはまだ検討されていない。
【0006】
本発明は、電子ペーパーに格納された複数ページの画像を原稿固定読み方式で読み取る場合でも、ページ毎に電子ペーパーをセットし直す必要がなく、自動で複数ページの画像を読み取ることができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像読取装置は、原稿台ガラス上に載置された原稿を、読取手段を前記原稿の一端から他端まで移動して走査することにより、原稿の画像を読み取る走査手段を備える画像読取装置において、前記原稿台ガラス上に載置された電子ペーパーから画像情報を取得するための通信手段と、前記画像情報を表示して画像の読み取りを行う画像ファイルを選択させるための選択手段と、前記通信手段により通信を行って、前記原稿台ガラス上に載置された電子ペーパーの画像表示を制御する表示制御手段とを備え、前記走査手段は、前記選択手段により選択された画像ファイルの画像を、前記表示制御手段によりページ毎に前記電子ペーパーに表示させて画像を読み取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子ペーパーに格納された複数ページにわたる画像を原稿固定読み方式で読み取る場合であっても、ページ毎に電子ペーパーをセットし直す必要がなく、自動で複数ページの画像を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1における画像読取装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2におけるイメージリーダ制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】画像読取装置により実行される電子ペーパー判別処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】操作部に表示される画像ファイルの選択画面の一例を示す図である。
【図6】図4のステップS106における電子ペーパーの画像読取処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図6の処理における原稿台ガラス上の電子ペーパーに対する画像読取方法を説明するための概略図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置で実行される電子ペーパーの画像読取処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】図8の処理における原稿台ガラス上の電子ペーパーに対する画像読取方法を説明するための概略図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る画像読取装置で実行される電子ペーパーの画像読取処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図10の処理における原稿台ガラス上の電子ペーパーに対する画像読取方法を説明するための概略図であり、(a)は奇数ページの画像を読み取る場合、(b)は偶数ページの画像を読み取る場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の概略構成を示す図である。
【0012】
図示の画像読取装置1は、原稿搬送装置(ADF)100と、イメージリーダ200とを備える。ADF100は、原稿トレイ102上にセットされた複数ページにわたる原稿を先頭頁から順に1枚ずつ給紙し、湾曲したパスを介して原稿台ガラス上へと搬送する。イメージリーダ200は、原稿台ガラス上の原稿から画像情報を光学的に読み取り、光電変換して画像データとして入力する。ADF100はイメージリーダ200に対して開閉可能に設置されている。
【0013】
イメージリーダ200は、原稿台ガラス205、図示しないランプとミラーを有するスキャナユニット206、レンズ207、イメージセンサ208、及び制御部209を備える。ADF100を使用しないで原稿の画像読取を行う場合は、ADF100を開き、原稿台ガラス205上に原稿をセットしてスキャナユニット206の走査により原稿の画像を読み取る。
【0014】
ADF100内には、S1〜S6、VR1等の各種センサが配置されている。S1,S2は原稿トレイ102上に載置された原稿の縦方向(搬送方向)の長さを検知するラージサイズ検知センサ、スモールサイズ検知センサであり、原稿トレイ102内に配置されている。原稿幅ガイド107内には、図示しない幅検知ボリュームVR1及び幅検知センサS3が配置されている。
【0015】
原稿を1枚ずつ分離する分離ユニット103と搬送ローラ104との間の搬送路上には、原稿の先端及び後端を検知することにより分離給送の原稿を検知すると同時に原稿長さを計測するサイズセンサS4が配置されている。レジストローラ106の近傍には、原稿の先端を検知するリードセンサS5が配置されている。排紙ローラ109の近傍には、排紙センサS6が配置されている。また、図示していないが、原稿トレイ102上に原稿がセットされているかを判別する原稿セットセンサS7も配置されている。
【0016】
イメージリーダ200内には、ADF100の開閉角度を検知する開閉検知センサS8,S9が配置されている。この開閉検知センサS8,S9と、図示しないサイズセンサ及び露光動作によって原稿台ガラス205上に置かれた原稿のサイズを特定する。
【0017】
ADF100は、原稿トレイ102の下部で分離ユニット103の近傍に、原稿トレイ102上に載置された電子ペーパーを検出するための電子ペーパー検出部101を備える。
【0018】
イメージリーダ200は、原稿台ガラス205の端部に、原稿台ガラス205上に載置された電子ペーパーを検出するための電子ペーパー検出部202を備える。また、イメージリーダ200は、原稿台ガラス205の端部に、ページ切替部203を備える。ページ切替部203は、電子ペーパーと通信を行って、電子ペーパーに格納された画像ファイルの画像をページ毎に切り替えて表面(又は裏面)に表示させる機能を有する(表示制御手段)。
【0019】
電子ペーパーは、図示していないが、例えば、ポリマー・フィルムを用いた液晶ディスプレイ(PFLCD)であって、任意の形状に変形することが可能なものである。また、電子ペーパーには無線通信タグであるRFIDを搭載されている。ADF100は、紙媒体と同様にして、電子ペーパーを搬送することが可能である。
【0020】
画像読取装置1では、表面または裏面のいずれか一方に画像情報が記録された片面原稿を読み取る方法として、原稿流し読み方式(流し読取モード)と原稿固定読取方式(固定読取モード)がある。原稿流し読み方式では、原稿を所定の読取速度で読取位置R1へ搬送し、スキャナユニット206を読取位置R1で固定したまま原稿の読み取りを行い、読み取った原稿を排紙トレイ230に排出する。原稿固定読取方式では、原稿台ガラス205の上で原稿を停止させ、スキャナユニット206を走査して原稿の読み取りを行う。
【0021】
具体的には、原稿トレイ102上に原稿が積載され、不図示の操作部でスタートキーが押下されると、図示しない繰り出しローラが回転して原稿束の最上紙を分離ユニット103へ引き込む。分離ユニット103に引き込まれた原稿は、一枚ずつ分離され、搬送ローラ104,105へと搬送される。レジストローラ106は、原稿の先端が到達したときには回転が停止しており、搬送ローラ104,105による搬送でループが形成されて原稿の斜行補正が行われた後に、回転を開始して原稿を読取部へ搬送する。
【0022】
読取部では、レジストローラ106と読取ベルト108によって原稿を読取位置R1へ所定の速度で搬送していく。原稿の先端が読取位置R1に到達すると、読取位置R1の下に固定されたスキャナユニット206で露光動作が行われて、原稿を搬送しながら読取動作を行う。この読取方法が流し読取モードである。
【0023】
一方、原稿の後端が読取位置R1に到達したときに原稿を停止させ、スキャナユニット206が原稿の一端から他端まで移動して走査することによって、画像読取を行うことが可能である。この読取方法が固定読取モードである。
【0024】
原稿の読み取りが終了すると、読取ベルト108で排紙ローラ109へ搬送され、排紙ローラ109で排紙トレイ230へ排出する。
【0025】
図2は、図1における画像読取装置の制御部209の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
制御部209は、画像読取装置全体を制御するもので、CPU回路部400を中心に構成されている。CPU回路部400には、CPU401、ROM402、RAM403などが設けられている。ROM402は、CPU401により実行されるプログラムを格納する。RAM403は、CPU401が使用する制御データを一時的に保持したり、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。
【0027】
CPU回路部400は、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部405、及びタッチパネル式の表示部やキー操作部等を備える操作部800を制御する。イメージリーダ制御部201は、ADF100及びイメージリーダ200を制御する。外部I/F406は、外部の装置(例えば、コンピュータ407)と接続するためのインターフェースである。イメージリーダ制御部201は、イメージセンサ208で読み取られた画像のデータを画像信号制御部405に出力する。
【0028】
図3は、図2におけるイメージリーダ制御部201の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
CPU回路部209は、CPU210と、CPU210により実行されるプログラムが格納されたROM211と、制御データを一時的に保持したり、制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM212とを備える。CPU210は、イメージリーダ200及びADF100全体を制御する。
【0030】
CPU回路部209は、原稿の分離動作を行う分離モータM1を制御する。また、レジストローラ106を駆動するレジストモータM2を制御する。また、読取ベルト108、排紙ローラ109を駆動するベルトモータM3を制御する。
【0031】
また、CPU回路部209は、原稿トレイ102上に載置された原稿の長さを検知するためのラージサイズ検知センサS1及びスモールサイズ検知センサS2を制御する。また、CPU回路部209は、原稿幅ガイド107内に配置された図示しない幅検知ボリュームVR1および幅検知センサS3を制御する。また、CPU回路部209は、原稿の先端及び後端を検知することにより分離給送の原稿を検知すると同時に原稿長さを計測するサイズセンサS4、原稿の先端を検知して読取信号を知らせるリードセンサS5や排紙センサS6を制御する。原稿セットセンサS7は、原稿トレイ102上に原稿がセットされているかを検出するためのセンサである。
【0032】
CPU回路部209は、イメージリーダ200内に配置されたスキャナユニット206を移動走査するためのスキャナモータM4、開閉検知センサS8,S9が配置されている。CPU回路部209は、スキャナユニット206内のランプやイメージセンサを制御するスキャナユニット制御部204に接続されている。
【0033】
また、CPU回路部209は、電子ペーパーを検出するための電子ペーパー検出部101,202、電子ペーパーのページを切り替えるためのページ切替部203に接続し、これらをCPU210により制御する。さらに、CPU回路部209は、CPU_I/F213を介してCPU回路部400内のCPU401とリアルタイムに通信を行う。
【0034】
電子ペーパー検出部101,202には、RFIDで電子ペーパーと通信するための不図示のアンテナや発信部、受信部などが設けられており、RFIDを使って電子ペーパーを検出することができる。なお、電子ペーパーを検出する手段としては、電子ペーパーに電極が設けられ、ADFから電力を与える構成であってもよいし、光学センサなどの反射率を検出してもよく、これに限ったものではない。
【0035】
次に、画像読取装置1において、複数ページにわたる画像ファイルが格納された電子ペーパーから固定読取モードで画像読み取りを行う場合の動作処理について説明する。
【0036】
図4は、画像読取装置1により実行される電子ペーパー判別処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、CPU回路部209内のCPU210により実行されるものである。
【0037】
まず、ユーザーは、ADF100を開いて原稿台ガラス205上に原稿として電子ペーパーを載置する。CPU210は、開閉検知センサS8,S9を監視し、開閉検知センサS8,S9がOFFしたか否かを判定する(ステップS101)。開閉検知センサS8,S9がOFFしたときは、原稿台ガラス205上に原稿があると判断してステップS102に進む。
【0038】
次に、ステップS102では、CPU210は、電子ペーパー検出部202から検出信号を受信したか否かを判定する。CPU122は、検出信号を受信しなかった場合(ステップS102でNO)、原稿が紙媒体であると判断して操作部800上の不図示のスタートキーが押下されるまで待機する(ステップS107)。スタートキーが押下されたときは(ステップS107でYES)、通常(紙媒体)の画像読取処理(ステップS108)を実行する。
【0039】
一方、電子ペーパー検出部202が電子ペーパーに搭載されたRFIDタグから信号を受信して、CPU210が電子ペーパー検出部202から検出信号を受信したときは、原稿が電子ペーパーであると判断する(ステップS102でYES)。次に、ステップS103では、CPU210は電子ペーパーから各種情報を取得する(ステップS103)。取得する情報には、電子ペーパーに格納されている画像情報(ファイル情報)、ページ数、サイズ等の原稿に関わる情報が含まれる。
【0040】
次に、ステップS104では、CPU210は、ステップS103で取得した情報に基づいて、図5に示すような画面500を操作部800に表示し、ユーザーに画像読取を行うファイルの選択を促す。図示例では、ファイル名「aaa」が選択されている(斜線部)。ユーザーによりファイルが選択されると、不図示の設定画面を表示し、詳細な読取条件の設定を受け付ける。なお、設定画面については読取条件が可能なものであれば、その表示形式や方法は問わない。
【0041】
画面500においてファイル選択が終わった場合、ユーザーはOKボタン501を押下する。一方、処理をキャンセルする場合には、ユーザーはキャンセルボタン502を押下する。次に、CPU210は、操作部800上で不図示のスタートボタンが押下されたか否かを判定し(ステップS105)、スタートボタンが押下されたと判断したときは、設定された読取条件に基づいて電子ペーパーの画像読取処理(ステップS106)を開始する。
【0042】
なお、画像読取装置1では、ADF100を利用した固定読取モードでの画像読み取りも可能である。この場合、不図示の原稿セットセンサS7により原稿トレイ102上に原稿が載置されたか否かを判定し、載置されたときは、図4のステップS102〜S105の処理を行う。原稿トレイ102上に載置された原稿か否かを判定するには、電子ペーパー検出部101を利用する。ステップS101〜S105の処理後に不図示のスタートキーが押下された場合、原稿トレイ102上の電子ペーパーを原稿台ガラス205まで搬送して停止させ、スキャナユニット206を走査して電子ペーパーに表示された画像の読み取りを行う。電子ペーパーの表示画像の切り替えは、ページ切替部203により行われる。
【0043】
図6は、図4のステップS106における電子ペーパーの画像読取処理の詳細を示すフローチャートである。本処理では、2ページ分の画像を有する画像ファイルが格納された電子ペーパーから固定読取りモードでの画像読み取りが行われるものとする。
【0044】
図7は、図6の処理における原稿台ガラス205上の電子ペーパーに対する画像読取方法を説明するための概略図である。原稿台ガラス205に電子ペーパーを載置する方法については、ユーザーが行っても、ADF100が行ってもどちらでもよい。原稿台ガラス205上の電子ペーパーは、その一端が図示の読取基準位置に沿って載置されているものとする。
【0045】
図6において、電子ペーパーの画像読取処理が開始されると、CPU210は、ページ数Nに1ページ目を示す「1」をセットする(ステップS301)。つづいて、CPU210は、ページ切替部203により原稿台ガラス205上の電子ペーパーと通信を行い、Nページ目の画像表示を指示する(ステップS302)。
【0046】
次に、CPU210は、電子ペーパーの画像表示の完了を待って(ステップS303でYES)、スキャナユニット206を図7の走査方向に走査するように駆動制御してNページ目の画像を読み取らせる(ステップS304)。読み取りが完了すると(ステップS305でYES)、CPU210は、スキャナユニット206を読取基準位置に移動するように駆動制御すると共に、ページ数Nに1を加える(ステップS306)。
【0047】
次に、CPU210は、続けて読み取るページがあるか否かを判定し(ステップS306)、続けて読み取るページがある場合には、Nページ目の画像表示を電子ペーパーに指示して(ステップS302)、ステップS303以降の処理を繰り返す。ステップS306において、続けて読み取るページがない場合(ステップS306でNO)には本処理を終了する。ユーザーによって原稿台ガラス205上に電子ペーパーがセットされた場合にはそのまま終了する。一方、ADF100を使用して原稿台ガラス205に電子ペーパーがセットされた場合には、電子ペーパーを排紙トレイ230へ搬送して終了する。
【0048】
上記第1の実施形態によれば、電子ペーパーから固定読取モードで複数ページの画像を読み取る際に、ページ切替部203によりNページ目の画像を電子ペーパーに表示させ、スキャナユニット206が走査して画像の読み取りを行う。その後、ページ切替部203によりN+1ページの画像を電子ペーパーに表示させ、スキャナユニット206が走査して画像の読み取りを行い、これらをページ数分繰り返す。これにより、電子ペーパーに格納された複数ページにわたる画像を原稿固定読み方式で読み取る場合であっても、ページ毎に電子ペーパーをセットし直す必要がなく、自動で複数ページの画像を読み取ることができる。
【0049】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置は、その構成(図1〜図3)及び電子ペーパー判別処理(図4、図5)が上記第1の実施の形態に係る画像読取装置と同じであり、第1の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
【0050】
次に、本発明を適用した複数ページ格納された電子ペーパーをイメージリーダ200で読み取りを行う別の実施形態について詳しく説明する。
【0051】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置で実行される電子ペーパーの画像読取処理の詳細を示すフローチャートである。本処理では、2ページの画像を有する画像ファイルが格納された電子ペーパーから固定読取りモードでの画像読み取りが行われるものとする。また、本処理は図4のステップS106で実行されるものとする。
【0052】
図9は、図8の処理における原稿台ガラス205上の電子ペーパーに対する画像読取方法を説明するための概略図である。原稿台ガラス205に電子ペーパーを載置する方法については、ユーザーが行っても、ADF100が行ってもどちらでもよい。原稿台ガラス205上の電子ペーパーは、その一端が図示の読取基準位置Aに沿って載置されているものとする。
【0053】
図8において、電子ペーパーの画像読取処理が開始されると、CPU210は、ページ数Nに1ページ目を示す「1」をセットする(ステップS401)。つづいて、CPU210は、ページ切替部203により原稿台ガラス205上の電子ペーパーと通信を行い、Nページ目の画像の通常表示を指示する(ステップS402)。
【0054】
次に、CPU210は、電子ペーパーの画像表示の完了を待って(ステップS403でYES)、ページ数Nが奇数か否かを判定する(ステップS404)。奇数と判定した場合、CPU201は、読取基準位置Aで待機しているスキャナユニット206を図9の走査方向Aに走査するように駆動制御し、Nページ目(奇数ページ目)の画像を読み取らせる(ステップS405)。走査方向Aは、いわゆる通常スキャン時の走査方向である。読取基準位置Aを電子ペーパーの先端、読取基準位置Bを電子ペーパーの後端とすると、スキャナユニット206は電子ペーパーの先端から後端まで移動して走査を行う。画像の読み取りが完了すると(ステップS407でYES)、CPU201は、ページ数Nに1を加える(ステップS408)。なお、読み取りが完了した場合、CPU210は、スキャナユニット206を読取基準位置Bで停止するように制御する。
【0055】
次に、CPU210は、続けて読み取るページがあるか否かを判定し(ステップS409)、続けて読み取るページがある場合には、ステップS402に戻って、Nページ目の画像の通常表示を電子ペーパーに指示する(ステップS402)。つづいて、CPU210は、電子ペーパーの画像表示の完了を待って(ステップS403でYES)、ページ数Nが奇数か否かを判定する(ステップS404)。
【0056】
ステップS404の判定の結果、ページ数Nが奇数でないと判定した場合、ステップS406へ進む。ステップS406では、CPU210は、読取基準位置Bで待機しているスキャナユニット206を図9の走査方向Bに走査するように駆動制御し、Nページ目(偶数ページ目)の画像を読み取らせる。走査方向Bは、いわゆるバックスキャン時の走査方向である。上述したように、読取基準位置Aを電子ペーパーの先端、読取基準位置Bを電子ペーパーの後端とすると、スキャナユニット206は電子ペーパーの後端から先端まで移動して走査を行う。読み取りが完了すると(ステップS407でYES)、CPU210は、ページ数Nに1を加える(ステップS408)。なお、読み取りが完了した場合、CPU210は、スキャナユニット206を読取基準位置Aで停止するように制御する。
【0057】
次に、CPU210は、続けて読み取るページがあるか否かを判定し(ステップS409)、続けて読み取るページがない場合には、本処理を終了する。ユーザーによって原稿台ガラス205上に電子ペーパーがセットされた場合にはそのまま終了する。一方、ADF100を使用して原稿台ガラス205に電子ペーパーがセットされた場合には、電子ペーパーを排紙トレイ230へ搬送して終了する。
【0058】
上記第2の実施形態によれば、電子ペーパーに格納された画像のページ数Nをカウントし、Nが奇数のときは、スキャナユニット206を電子ペーパーの先端から後端まで移動して走査する(通常スキャン)ことにより画像を読み取る。一方、Nが奇数でないときは、スキャナユニット206を電子ペーパーの後端から先端まで移動して走査する(バックスキャン)ことにより画像を読み取る。このように、バックスキャンを活用することでスキャナユニットの無駄な動作を省略し、効率よく画像読み取りを行うことができる。
【0059】
上記実施形態では、奇数ページでは電子ペーパーの先端側(読取基準位置A)から画像が読み取られ、偶数ページでは後端側(読取基準位置B)から画像が読み取られることから、画像の向きを変更するように画像処理を行う必要がある。この画像処理は、CPU210が実行しても画像信号制御部405が実行してもよい。
【0060】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る画像読取装置は、その構成(図1〜図3)及び電子ペーパー判別処理(図4、図5)が上記第1の実施の形態に係る画像読取装置と同じであり、第1の実施の形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
【0061】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る画像読取装置で実行される電子ペーパーの画像読取処理の詳細を示すフローチャートである。本処理では、2ページの画像を有する画像ファイルが格納された電子ペーパーから固定読取りモードでの画像読み取りが行われるものとする。また、本処理は図4のステップS106で実行されるものとする。
【0062】
図11は、図10の処理における原稿台ガラス205上の電子ペーパーに対する画像読取方法を説明するための概略図であり、(a)は奇数ページの画像を読み取る場合、(b)は偶数ページの画像を読み取る場合を示す。原稿台ガラス205に電子ペーパーを載置する方法については、ユーザーが行っても、ADF100が行ってもどちらでもよい。原稿台ガラス205上の電子ペーパーは、その一端が図11(a)の読取基準位置Aに沿って載置されているものとする。
【0063】
図10において、電子ペーパーの画像読取処理が開始されると、CPU210は、ページ数Nに1ページ目を示す「1」をセットする(ステップS501)。つづいて、CPU210は、ページ数Nが奇数か否かを判定する(ステップS502)。奇数と判定した場合、CPU210は、ページ切替部203により原稿台ガラス205上の電子ペーパーと通信を行い、Nページ目の画像を通常表示するように電子ペーパーに指示する(ステップS503)。
【0064】
次に、CPU210は、電子ペーパーの画像表示の完了を待って(ステップS504でYES)、ステップS505へ進む。ステップS505では、CPU210は、スキャナユニット206を図11(a)の読取基準位置Aから走査方向Aに走査するように駆動制御し、Nページ(奇数ページ)目の画像を読み取らせる。走査方向Aは、いわゆる通常スキャン時の走査方向である。読取基準位置Aを電子ペーパーの先端、読取基準位置Bを電子ペーパーの後端とすると、スキャナユニット206は電子ペーパーの先端から後端まで移動して走査を行う。読み取りが完了すると(ステップS506でYES)、CPU210は、ページ数Nに1を加える(ステップS507)。なお、読み取りが完了した場合、CPU210は、スキャナユニット206を読取基準位置Bで停止するように制御する。
【0065】
次に、CPU210は、続けて読み取るページがあるか否かを判定し(ステップS508)、続けて読み取るページがある場合には、ステップS502に戻って、ページ数Nが奇数か否かを判定する(ステップS502)。この判定の結果、奇数でないと判定した場合、CPU210は、ページ切替部203により原稿台ガラス205上の電子ペーパーと通信を行い、Nページ目の画像を鏡像画像で表示するように電子ペーパーに指示する(ステップS509)。
【0066】
次に、CPU210は、電子ペーパーの画像表示の完了を待って(ステップS510でYES)、ステップS511へ進む。ステップS511では、CPU210は、図11(b)の読取基準位置Bで待機しているスキャナユニット206を走査方向Bに走査するように駆動制御し、Nページ(偶数ページ)目の画像を読み取らせる。走査方向Bは、いわゆるバックスキャン時の走査方向である。上述したように、読取基準位置Aを電子ペーパーの先端、読取基準位置Bを電子ペーパーの後端とすると、スキャナユニット206は電子ペーパーの後端から先端まで移動して走査を行う。読み取りが完了すると(ステップS506でYES)、CPU210は、ページ数Nに1を加える(ステップS507)。なお、読み取りが完了した場合、CPU210は、スキャナユニット206を読取基準位置Aで停止するように制御する。
【0067】
次に、CPU210は、続けて読み取るページがあるか否かを判定し(ステップS508)、続けて読み取るページがない場合には、本処理を終了する。ユーザーによって原稿台ガラス205上に電子ペーパーがセットされた場合にはそのまま終了する。一方、ADF100を使用して原稿台ガラス205に電子ペーパーがセットされた場合には、電子ペーパーを排紙トレイ230へ搬送して終了する。
【0068】
上記第3の実施形態によれば、電子ペーパーに格納された画像のページ数Nをカウントし、Nが奇数のときは、電子ペーパーに奇数ページの画像を通常表示するように制御する。一方、Nが奇数でないときは、電子ペーパーに偶数ページの画像を鏡像表示するように制御する。これにより、電子ペーパーから読み取った画像が、ページの奇数、偶数に関わらず、通常スキャン時に読み取った画像と同じ向きになるので、画像の向きを変更するための画像処理を行う必要がなくなる。その結果、効率よく画像読み取りを行うことが可能となる。
【0069】
なお、画像ファイルの何ページ目が電子ペーパーに表示されるかを判定し、奇数ページ目が表示されると判定されたときは、電子ペーパーに奇数ページ目の画像を通常表示するように制御してもよい。さらに、奇数ページ目でないと判定されたときは、電子ペーパーに偶数ページ目の画像を鏡像表示するように制御してもよい。
【0070】
上記第1〜第3の実施形態における読取基準位置については、例えば、電子ペーパーから取得したサイズ情報に基づいてCPU210が設定するように構成してもよい。また、画像読み取り時の走査結果に応じてCPU210が設定するようにしてもよい。さらに、原稿トレイ102上の電子ペーパーをADF100により原稿台ガラス205上に搬送して固定読取りモードで画像読み取りを行う場合、ラージサイズ検知センサS1、スモールサイズ検知センサS2により電子ペーパーのサイズを検出する。その検出結果に基づいて、CPU210が読取基準位置を設定するように構成してもよい。
【0071】
上記第1〜第3の実施形態を互いに組み合わせることでも本発明の効果が達成されることは云うまでもない。例えば、第1と第2の実施形態と組み合わせた場合、電子ペーパーの表示画像の向きが変更可能か否かに応じて、図6の処理または図8の処理を実行するように構成してもよい。また、第1と第3の実施形態を組み合わせた場合、電子ペーパーの鏡像表示が可能か否かに応じて、図6の処理または図10の処理を実行するように構成してもよい。
【0072】
上記第1〜第3の実施の形態では、スキャナ装置等の画像読取装置について説明したが、印刷機能を備える画像形成装置や複合機等に適用してもよいことは云うまでもない。
【0073】
また、本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)を画像読取装置や画像形成装置等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【符号の説明】
【0074】
100 原稿搬送装置(ADF)
101,202 電子ペーパー検出部
200 イメージリーダ
203 ページ切替部
205 原稿台ガラス
206 スキャナユニット
210 CPU
400 CPU回路部
401 CPU
402 ROM
403 RAM
800 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に載置された原稿を、読取手段を前記原稿の一端から他端まで移動して走査することにより、原稿の画像を読み取る走査手段を備える画像読取装置において、
前記原稿台に載置された電子ペーパーから画像情報を取得するための通信手段と、
前記画像情報を表示して画像の読み取りを行う画像ファイルを選択させるための選択手段と、
前記通信手段により通信を行って、前記原稿台に載置された電子ペーパーの画像表示を制御する表示制御手段とを備え、
前記走査手段は、前記選択手段により選択された画像ファイルの画像を、前記表示制御手段によりページ毎に前記電子ペーパーに表示させて画像を読み取ることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿台に載置された原稿が電子ペーパーか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により電子ペーパーと判別されたものから画像情報として前記電子ペーパーに格納された画像ファイルのファイル名、ページ数、及びサイズに関する情報を取得する取得手段とを更に備えることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像ファイルのページ数をカウントするカウント手段と、
前記カウント手段によりカウントされたページ数が奇数か否かを判定する判定手段とをさらに備え、
前記走査手段は、前記判定手段により奇数と判定されたときは、前記読取手段を前記電子ペーパーの先端から後端まで移動して走査することにより画像を読み取り、前記判定手段により奇数でないと判定されたときは、前記読取手段を前記電子ペーパーの後端から先端まで移動して走査することにより画像を読み取ることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像ファイルの何ページ目が前記電子ペーパーに表示されるかを判定する判定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記判定手段により奇数ページ目が表示されると判定されたときは、前記電子ペーパーに奇数ページ目の画像を通常表示するように制御し、前記判定手段により奇数ページ目でないと判定されたときは、前記電子ペーパーに偶数ページ目の画像を鏡像表示するように制御することを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記走査手段は、前記判定手段により奇数ページ目が表示されると判定されたときは、前記読取手段を前記電子ペーパーの先端から後端まで移動して走査することにより画像を読み取り、前記判定手段により奇数ページ目でないと判定されたときは、前記読取手段を前記電子ペーパーの後端から先端まで移動して走査することにより画像を読み取ることを特徴とする請求項4記載の画像読取装置。
【請求項6】
原稿台に載置された原稿を、読取手段を前記原稿の一端から他端まで移動して走査することにより、原稿の画像を読み取る走査手段を備える画像読取装置の画像読取方法において、
前記原稿台に載置された電子ペーパーから画像情報を取得する通信工程と、
前記画像情報を表示して画像の読み取りを行う画像ファイルを選択させる選択工程と、
前記通信工程にて通信を行って、前記原稿台に載置された電子ペーパーの画像表示を制御する表示制御工程と、
前記選択工程にて選択された画像ファイルの画像を、前記表示制御工程にてページ毎に前記電子ペーパーに表示させて画像を読み取る読取工程とを備えることを特徴とする画像読取方法。
【請求項7】
原稿台に載置された原稿を、読取手段を前記原稿の一端から他端まで移動して走査することにより、原稿の画像を読み取る走査手段を備える画像読取装置の画像読取方法を画像読取装置に実行させるプログラムにおいて、
前記原稿台に載置された電子ペーパーから画像情報を取得する通信ステップと、
前記画像情報を表示して画像の読み取りを行う画像ファイルを選択させる選択ステップと、
前記通信ステップにて通信を行って、前記原稿台に載置された電子ペーパーの画像表示を制御する表示制御ステップと、
前記選択ステップにて選択された画像ファイルの画像を、前記表示制御ステップにてページ毎に前記電子ペーパーに表示させて画像を読み取る読取ステップとを備えることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−251834(P2010−251834A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95924(P2009−95924)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】