説明

画像読取装置

【課題】読取ガラスを清掃する清掃ブラシの変形状態を検知することにより、変形状態が悪化して清掃不良が生じることを未然に防止する。
【解決手段】画像読取装置4の原稿搬送路を挟んで読取ガラス21に対向する位置に、清掃ブラシ43を備えた清掃部材41が配置されており、この清掃部材41が所定の回転方向R1に動作することで清掃ブラシ43が読取ガラス21の表面を清掃する。位置検出センサ45によって清掃ブラシ43の回転位置が所定位置であることが検出されると、それに応答して、清掃部材43を回転駆動するモータM1の駆動電流が読み出され、その駆動電流に基づいて清掃ブラシ43の変形状態が検知される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関し、特に、原稿を1枚ずつ読取ガラス面上に搬送し、その原稿が読取ガラス面上の読取位置を通過する際に画像読取を行うようにした画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるシートスルータイプの自動原稿搬送装置を備えた画像読取装置が公知である。この種の装置は、自動原稿搬送装置が原稿を1枚ずつ読取ガラス面上に搬送し、その原稿が読取ガラス面上の所定の読取位置を通過する際に、画像読取部が原稿の画像を読み取るように構成されている。
【0003】
このような画像読取装置では、読取ガラスの表面に紙粉などの異物が付着していると、読み取った画像にその異物が筋状のノイズとなって現れる。そのため、従来から読取ガラスの表面にある異物の影響を除去するために、種々の方法が提案されている。そのなかには、例えば読取ガラス面の上にブラシなどを備えた清掃部材を配置し、その清掃部材を駆動してガラス表面を清掃することによって読取ガラスの表面から異物を除去する方法がある(例えば、特許文献1,2)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−164863号公報
【特許文献2】特開2000−270152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、読取ガラスの表面を清掃ブラシで清掃する場合、清掃ブラシの動作方向は、通常、読取ガラス面上を搬送される原稿の搬送方向と常に同じである。そのため、清掃動作を繰り返し行うことにより、清掃ブラシが一定方向に曲がって変形する。これが放置されると、その変形状態はさらに悪化していき、清掃ブラシが読取ガラスに対して良好に接触しなくなる。そのため、清掃不良となり、読み取った画像に筋状のノイズが出現する割合が高くなるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、清掃ブラシの変形状態を検知することにより、変形状態が悪化して清掃不良が生じることを未然に防止できる画像読取装置を提供することを目的としており、またさらには清掃ブラシの変形状態を補正して清掃ブラシの清掃性能を改善できる画像読取装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、原稿を1枚ずつ読取ガラス面上に搬送し、当該原稿が前記読取ガラス面上の読取位置を通過する際に画像読取を行うようにした画像読取装置であって、原稿搬送路を挟んで前記読取ガラスに対向して配置され、所定の回転方向に動作することで前記読取ガラスと接触し、前記読取ガラスの表面を清掃する清掃ブラシと、前記清掃ブラシの清掃動作を制御する制御手段と、前記清掃ブラシの回転位置を検出する位置検出手段と、を備え、前記制御手段は、清掃動作の繰り返しによって生ずる前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴としている。
【0008】
また請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記制御手段は、前記位置検出手段によって前記清掃ブラシの回転位置が所定位置であることが検出されたことに応答して、前記清掃ブラシの変形に伴って変化する情報を取得し、その情報に基づいて前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴としている。
【0009】
また請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の画像読取装置において、前記制御手段は、前記清掃ブラシの清掃動作中に前記清掃ブラシの変形状態することを特徴としている。
【0010】
また請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置において、前記清掃ブラシを前記回転方向に駆動する駆動手段と、前記駆動手段が前記清掃ブラシを駆動する際の駆動電流を検出する電流検出手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記位置検出手段によって前記清掃ブラシの回転位置が所定位置であることが検出されたことに応答して、前記電流検出手段が検出する前記駆動手段の駆動電流に基づいて前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴としている。
【0011】
また請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の画像読取装置において、前記所定位置は、前記清掃ブラシと前記読取ガラスとが接触する位置であることを特徴としている。
【0012】
また請求項6にかかる発明は、請求項4に記載の画像読取装置において、前記清掃ブラシの前記回転方向の下流側に設けられ、清掃動作中に前記清掃ブラシに付着した異物を前記清掃ブラシから掻き取る異物掻取手段をさらに備え、前記所定位置は、前記清掃ブラシと前記異物掻取手段とが接触する位置であることを特徴としている。
【0013】
また請求項7にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置において、前記清掃ブラシの前記回転方向の下流側に設けられ、清掃動作中に前記清掃ブラシに付着した異物を前記清掃ブラシから掻き取る異物掻取手段と、前記異物掻取手段が前記清掃ブラシと接触して前記清掃ブラシから異物を掻き取る際の振動を検出する振動検出手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記位置検出手段によって前記清掃ブラシの回転位置が前記清掃ブラシと接触する位置であることが検出されたことに応答して、前記振動検出手段が検出する前記異物掻取手段の振動幅に基づいて前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴としている。
【0014】
また請求項8にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置において、前記清掃ブラシが変形していない状態で前記清掃ブラシを前記回転方向に回転させたとき、前記清掃ブラシと前記読取ガラスとが最初に接触する接触開始位置で画像読取を行い、読み取った画像の濃度レベルを検出する濃度レベル測定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記位置検出手段によって前記清掃ブラシの回転位置が前記接触開始位置であることが検出されたことに応答して、前記濃度レベル測定手段が検出する濃度レベルに基づいて前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴としている。
【0015】
また請求項9にかかる発明は、請求項8記載の画像読取装置において、前記読取位置に対応して設けられた読取ヘッドを有し、前記読取ヘッドを介して前記読取位置の画像を読み取るように構成された画像読取手段と、前記読取ヘッドを移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段は、前記読取ヘッドを移動させることによって前記読取位置を前記接触開始位置に移動させ、前記画像読取手段を前記濃度レベル測定手段として使用可能とすることを特徴としている。
【0016】
また請求項10にかかる発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の画像読取装置において、前記制御手段は、前記清掃ブラシが変形している場合、前記清掃ブラシを前記回転方向とは逆方向に所定回数回転させることを特徴としている。
【0017】
また請求項11にかかる発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の画像読取装置において、前記制御手段は、前記清掃ブラシが変形している場合、その変形方向側を所定の部材で押さえ付けた状態として前記清掃部材を停止させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる画像読取装置よれば、清掃ブラシによる清掃動作を繰り返し行うことによって清掃ブラシが一定方向に曲がって変形した場合、その清掃ブラシの変形状態を検知することができる。そのため、清掃ブラシが変形した状態のまま放置されることを防止でき、変形状態の悪化を未然に防止することが可能である。特に、清掃ブラシが変形している場合には、清掃ブラシを清掃方向とは逆方向に所定回数回転させたり、或いは、清掃ブラシの変形方向側を所定の部材で押さえ付けた状態として清掃部材を停止させたりすることにより、変形した清掃ブラシを補正することができるので、清掃ブラシの清掃性能を改善することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する幾つかの実施形態において互いに共通する部材については同一符号を付しており、それらについて繰り返しとなる説明は省略する。
【0020】
(第1の実施の形態)
【0021】
図1は、画像読取機能を備えた画像処理装置1の外観構成の一例を示す斜視図である。この画像処理装置1は、いわゆる複合機やMFPなどと称される装置であり、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、スキャナ機能など、複数の機能を備えている。画像処理装置1は、LANなどのネットワークに接続可能であり、また電話回線などの通信網にも接続可能である。そして原稿から読み取った画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力したり、或いはネットワーク経由で他のコンピュータから画像データを入力し、その画像データに基づいてプリント出力を行うことができるようになっている。また通信網を介してFAXデータの送受信も行うことができる構成となっている。
【0022】
この画像処理装置1は、装置本体1aの上部にスキャナ部2と自動原稿搬送装置(いわゆるADF)3から成る画像読取装置4を備えている。画像読取装置4は、自動原稿搬送装置3とスキャナ部2とを同期して動作させることにより、自動原稿搬送装置3にセットされた原稿から1枚ずつ画像を読み取って画像データを出力するように構成されている。より具体的には、自動原稿搬送装置3は、原稿を1枚ずつスキャナ部2に向けて搬送するように構成されており、スキャナ部2はその原稿が所定の読取位置を通過中に画像読み取り行って画像データを生成するように構成されている。
【0023】
画像処理装置1の装置本体1aの下部内部には給紙部6が設けられており、さらにその上部には画像形成部5が設けられている。給紙部6は画像形成媒体となる用紙を収容し、画像形成部5に対してその用紙を1枚ずつ供給する。画像形成部5は、入力する画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段であり、入力する画像データに基づいて給紙部6から供給される用紙に対して画像形成を行い、プリント出力を行うように構成されている。例えばコピー機能の場合には、画像形成部5が画像読取装置4から入力する画像データに基づいて画像形成を行うことにより、画像処理装置1は、読み取った原稿のコピー出力を行う。
【0024】
画像処理装置1の装置本体1aの正面側(前面側)には、ユーザが操作可能な操作パネル10が設けられている。ユーザはこの操作パネル10に表示される案内画面などを見ながらキー操作を行うことにより、画像処理装置1の複数の機能のうちから使用する機能を選択し、その選択した機能に関する各種の設定操作を行うと共に、画像処理装置1に対してジョブの実行を指示することができるようになっている。
【0025】
図2は、画像読取装置4の全体的な内部構成を示す概略図である。自動原稿搬送装置3は、原稿9を積載する給紙トレイ31を備えており、この給紙トレイ31にセットされた原稿9を装置内部に設けられた搬送機構が1枚ずつ取り出して搬送するように構成されている。自動原稿搬送装置3は原稿を1枚ずつ搬送する搬送機構として、ピックアップローラ32と、複数の搬送ローラ33,36とを備えている。ピックアップローラ32は、給紙トレイ31に積載された原稿9のうち最上面の原稿のみを取り出し、搬送ローラ33に供給する。
【0026】
搬送ローラ33はピックアップローラ32によって給紙される原稿を第1の搬送路34に沿って搬送し、スキャナ部2の読取ガラス21に対応して設けられた原稿読取部35に搬送する。原稿読取部35に搬送された原稿は、読取ガラス21における所定の読取位置を通過する際にスキャナ部2によってその画像が読み取られる。そして原稿読取部35を通過した原稿は搬送ローラ36によって第2の搬送路37を搬送され、排出口38を介して原稿排出部39に排出される。尚、自動原稿搬送装置3には、上述した搬送路34、37の他、両面原稿の場合に原稿を反転させるための搬送路が別途設けられるが、それについては図示を省略している。
【0027】
スキャナ部2は、その上面に、原稿の画像を読み取るために設けられた透明の読取ガラス21を備えている。そしてスキャナ部2の内部には、この読取ガラス21を介して画像を読み取るための画像読取手段が設けられている。具体的に説明すると、スキャナ部2の内部には、所定の読取位置を通過する原稿を露光するための露光装置22が設けられており、この露光装置22によって露光された原稿からの反射光は、読取ガラス21を介してスキャナ部2の内部に導かれ、複数のミラー23及びレンズ24を通ってCCDなどの画像読取部25に結像される。ここで露光装置22と複数のミラー23は、読取位置に対応して設けられる読取ヘッド29に組み付けられてユニット化されている。そのため、言い換えれば、この読取ヘッド29の設置位置が、読取ガラス21の上面を通過する原稿の読取位置を規定している。画像読取部25は、読取ガラス21及び読取ヘッド29を介して入射するR,G,Bの各色成分の光量に応じた濃度レベルを検出して画像信号を生成するように構成されており、その画像信号を画像処理部26に出力する。そして画像処理部26は、画像読取部25から入力する画像信号をA/D変換すると共に、各種の画像処理を施して画像データを生成する。
【0028】
そして本実施形態では、自動原稿搬送装置3の原稿読取部35において、原稿搬送路を挟んで読取ガラス21に対向するようにガラス面清掃機構40が設けられている。このガラス面清掃機構40は、読取ガラス21の上面を原稿が搬送されていない状態で清掃動作を行い、読取ガラス21の上面に付着する紙粉などの異物を除去するように構成されている。例えば、自動原稿搬送装置3において複数枚の原稿9の連続搬送が行われる場合、ガラス面清掃機構40は、先行する原稿が画像読取部35を通過してから、その次の原稿が画像読取部35に搬送されてくるまでの間の原稿間隔で、清掃動作を行うように構成されている。
【0029】
図3は、ガラス面清掃機構40が設けられた部分の構成を示す拡大図である。自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿は読取ガラス21の上面を搬送方向Fに沿って搬送され、その原稿が読取位置20の直上を通過する際、スキャナ部2で画像の読み取りが行われる。そしてガラス面清掃機構40は、読取ガラス21における読取位置20に対応してその上方に設けられている。
【0030】
ガラス面清掃機構40は、モータM1によって動作する清掃部材41を備えている。この清掃部材41は、回転軸42aに対して正逆双方向に回転可能に支持された略円柱状のローラ部材42を有しており、そのローラ部材42の周方向の一部が略平坦なブラシ保持面となっており、このブラシ保持面に多数のブラシ毛が植設されることにより清掃ブラシ43が構成されている。またローラ部材42において清掃ブラシ43が植設されていない部分の周面は、白色のローラ面となっている。また清掃ブラシ43の長さは、清掃部材41が回転したとき、読取ガラス21の上面を清掃可能な長さである。尚、図例では清掃ブラシ43をローラ部材42に直接植設した構成例を示しているが、清掃ブラシ43とローラ部材42とを着脱可能にして、清掃ブラシ43のみを交換可能としても良い。
【0031】
このような清掃部材41は、例えば図3に示すように清掃ブラシ43を上に向けた状態を通常のホームポジション(待機位置)としており、読取ガラス21の上面を原稿が通過中のときはこのホームポジションで待機する。そして読取ガラス21の上面を清掃可能なタイミングで、清掃部材41はモータM1によって駆動され、正転方向である回転方向R1に回転する。これにより、清掃ブラシ43も回転方向R1に回転し、清掃動作を開始する。この清掃動作では、清掃ブラシ43が読取ガラス21の上面に接触した状態となって回転方向R1に回転することにより、読取ガラスの21の上面にある紙粉などの異物を掃き取り、読取位置20から異物を除去する。ここで清掃部材41の回転方向R1は、清掃ブラシ43による清掃方向が原稿の搬送方向Fと同じ方向になるように設定されている。そのため、清掃部材41は、読取ガラス21の上面にある異物を搬送方向Fの下流側に向けて掃き出すようになっている。
【0032】
そして読取ガラス21の読取位置20から除去される異物は、一部が読取位置20の下流側に掃き出され、他の一部が清掃ブラシ43に付着する。清掃ブラシ43に付着した異物をそのままの状態にしておくと、次回の清掃時に、清掃ブラシ43に付着していた異物が再び読取ガラス21に付着する可能性がある。そのため、上記のような清掃動作によって清掃ブラシ43に付着した異物は、清掃ブラシ43から取り除いておく必要がある。そこで本実施形態では、清掃ブラシ43に付着した異物を取り除くため、清掃部材41の回転方向R1の下流側において、回転する清掃部材41の清掃ブラシ43と接触することが可能な位置に、異物掻取部材50が設けられている。この異物掻取部材50は例えば平板状又はブレード状の部材によって構成され、回転動作中の清掃ブラシ43と接触することにより、読取ガラス21の上面を清掃した清掃ブラシ43から異物を掻き落とすためのものである。そのため、清掃部材41が回転方向R1に回転すると、まず清掃ブラシ43と読取ガラス21とが接触して読取ガラス21の清掃動作が行われ、その後、清掃ブラシ43と読取ガラス21とが離れると、その次に清掃ブラシ43と異物掻取部材50とが接触して清掃ブラシ43に付着した異物が取り除かれ、清掃ブラシ43を異物が付着していない綺麗な状態にしてホームポジションに戻すことができる。
【0033】
また清掃部材41の近傍には、ローラ部材42の回転位置を検出する位置検出センサ45が設けられる。この位置検出センサ45は、例えばスキャナ部2による主走査方向の画像読取幅から外れた位置に設けられ、ローラ部材42の周面に付されたマーキングを検知してオン/オフすることにより、ローラ部材42が所定の回転位置に到達したことを検出することができる構成である。この位置検出センサ45によれば、清掃ブラシ43の回転位置も検出されることになる。本実施形態の場合、位置検出センサ45が検出する回転位置は、清掃ブラシ43が読取ガラス21と接触する位置、或いは、清掃ブラシ43が異物掻取部材50と接触する位置のいずれかに設定される。尚、図例では位置検出センサ45は清掃部材41の上方に設置されている場合を示しているが、清掃部材41の周囲近傍であればその設置位置は特に限定するものではない。
【0034】
図4乃至図6は、清掃ブラシ43による清掃動作の流れを示す図である。まず、図4(A)に示すように読取ガラス21の上面を先行する原稿9aが通過しているとき、清掃部材41はホームポジションで待機状態となっており、清掃ブラシ43は原稿搬送路から退避している。また図4(A)では読取ガラス21の上面に紙粉などの異物Gが付着している場合を示している。そして先行する原稿9aの後端が搬送路内の所定位置を通過すると、図4(B)に示すように清掃部材41が回転駆動され、清掃ブラシ43は回転方向R1への回転動作を開始する。
【0035】
そして先行する原稿9aの後端が読取ガラス21の上面を下流側に搬送されていくと、図5(A)に示すように清掃部材41はその清掃ブラシ43を読取ガラス21の上面に接触させ、読取ガラス21の清掃を開始する。そして清掃ブラシ43は、先行する原稿9aの後端を追いかけるように読取ガラス21の上面を掃きながら、読取ガラス21の読取位置20の上面の異物Gを除去していく。このとき、除去される異物Gの一部が清掃ブラシ43に付着する。そして清掃部材41がさらに回転して清掃ブラシ43が読取ガラス21から離れると、次に図5(B)に示すように清掃ブラシ43が異物掻取部材50と接触する。異物掻取部材50は、回転動作中の清掃ブラシ43と接触することにより、清掃ブラシ43に付着した異物Gを掻き取り、清掃ブラシ43から取り除く。その後、図6に示すように清掃部材41はホームポジションまで回転すると停止する。また異物掻取部材50が掻き取った異物Gは、異物掻取部材50の下方に自然落下し、原稿搬送路内の読取位置20の下流側に堆積する。この異物Gは次の原稿9bが搬送されることに伴い、原稿9bに付着して自動原稿搬送装置3の外部に排出される。
【0036】
上記のように清掃部材41は回転方向R1に1回転すれば、読取ガラス21の上面に付着した異物を清掃ブラシ43が掃き取って読取位置20から除去する清掃動作が1回行われると共に、その清掃動作中に清掃ブラシ43に付着した異物も取り除くことができるようになっている。そして、このような清掃動作が画像読取装置4において繰り返し行われることにより、清掃ブラシ43が一定方向に曲がって変形していくことになる。
【0037】
次に、画像読取装置4の制御機構について説明する。図7は、画像処理装置1における主として画像読取装置4を制御するための制御機構を示すブロック図である。画像処理装置1にはメイン制御部10が設けられており、このメイン制御部10がスキャナ部2及び自動原稿搬送装置3を統括的に制御するようになっている。例えばユーザが操作パネル7に対して原稿の読み取り開始を指示した場合、メイン制御部10は、操作パネル7から入力する読み取り開始指示に応答して、自動原稿搬送装置3のADF制御部11及びスキャナ部2のスキャナ制御部12に対して原稿の読み取り動作を開始させるコマンドを出力する。
【0038】
ADF制御部11とスキャナ制御部12は互いに通信可能なように接続されており、メイン制御部10から原稿の読み取り開始を指示するコマンドを入力すると、原稿の搬送タイミングや画像読取タイミングなどのタイミング情報及びその他の情報を互いにやりとりしながら各部を制御することで、自動原稿搬送装置3とスキャナ部2とが同期した動作を行うようになっている。
【0039】
ADF制御部11は、CPU11aとメモリ11bとを備えた構成であり、CPU11aが所定のプログラムに基づいた処理を実行することにより、自動原稿搬送装置3に設けられた各部を動作制御する制御手段として機能する。例えば、ADF制御部11は、上述したピックアップローラ32、搬送ローラ33及び搬送ローラ36などから成る搬送機構を駆動するための原稿搬送駆動部13を制御することにより、自動原稿搬送装置3における原稿の搬送動作がスキャナ部2の画像読取動作と同期するように制御する。またADF制御部11は、ガラス面清掃機構40を制御し、上述した清掃ブラシ43による清掃動作を制御する。
【0040】
ガラス面清掃機構40は、上述した清掃部材41を駆動するための構成として、モータ駆動部47とモータM1とを備えると共に、清掃部材41の回転位置を検出する位置検出センサ45を備えている。モータM1は例えばDCモータが使用されている。ADF制御部11がモータ駆動部47に対してモータM1を駆動させるためのパルス信号を出力すると、モータ駆動部47はそのパルス信号に基づいてモータM1を駆動させるべく、モータM1に駆動電流を流す。したがって、モータM1はモータ駆動部47から駆動電流が供給されることによって起動される。モータ駆動部47にはこの駆動電流を検出する電流検出回路48が設けられており、電流検出回路48が検出した電流値はADF制御部11に出力される。また位置検出センサ45は、清掃部材41の回転位置が所定位置であるときにオンし、その信号をADF制御部11に出力する。
【0041】
またスキャナ制御部12は、CPU12aとメモリ12bとを備えた構成であり、CPU12aが所定のプログラムに基づいた処理を実行することにより、スキャナ部2に設けられた各部の動作を制御する。すなわち、スキャナ制御部12は、自動原稿搬送装置3における原稿の搬送動作と同期して画像の読み取り動作を行うように、ADF制御部11とデータ通信を行いながら、露光装置22、画像読取部25及び画像処理部26の各部を制御する。
【0042】
上記構成において、ADF制御部11は、さらに、清掃動作を繰り返すことによって生じる清掃ブラシ43の変形状態を検知するように構成されている。具体的に説明すると、清掃ブラシ43が変形していない初期状態であれば、清掃ブラシ43が読取ガラス21と接触して清掃動作を行っているときの清掃ブラシ43と読取ガラス21との摩擦力は大きく、モータM1にかかる負荷もそれに応じて大きくなる。それに対し、清掃ブラシ43が次第に変形していくと、清掃動作時の清掃ブラシ43と読取ガラス21との摩擦力は低下し、モータM1にかかる負荷もそれに応じて小さくなる。そしてモータM1にかかる負荷が変動すればそれに伴ってモータM1を駆動する際の駆動電流が変動する。つまり、モータM1にかかる負荷が大きければ、モータM1を駆動する際の駆動電流は大きくなるのに対し、モータM1にかかる負荷が小さければ、駆動電流は小さくなる。そのため、本実施形態では、清掃ブラシ43の変形に伴って変化する情報としてモータM1の駆動電流を利用しており、ADF制御部11は電流検出回路48から入力する電流値に基づいて清掃ブラシ43の変形状態を検知する。
【0043】
図8は、清掃ブラシ43による清掃動作中におけるモータM1の駆動電流の変化特性を示す図である。時刻T0に清掃動作を開始すべくモータM1を起動し始めたとすると、その駆動電流は図中Laで示すように変化し、起動直後においてモータM1には一時的に大きな起動電流が流れる。この起動電流が流れる起動領域R1は、時刻T0からT1まであり、時刻T1以降は駆動電流が安定する。この安定領域R2では、駆動電流はモータM1にかかる負荷に応じて変化するので、清掃ブラシ43と読取ガラス21とが接触して摩擦力が作用すると、それに応じた電流となる。
【0044】
図9は、清掃ブラシ43の変形状態に応じて変化するモータM1の駆動電流を示す図である。図中、駆動電流La1は、清掃ブラシ43が変形していない初期状態でモータM1を駆動し、清掃動作を行った場合の駆動電流を示している。この状態では清掃ブラシ43と読取ガラス21との摩擦力は大きく、モータM1にかかる負荷も大きくなるので、清掃ブラシ43が読取ガラス21に接触しているときの駆動電流La1は大きくなる。そして清掃動作を繰り返すことによって次第に清掃ブラシ43が変形していくと、駆動電流は、La1から、次第に、La2、La3、La4という順に低下していくことになる。
【0045】
そのため本実施形態では、図9に示すように駆動電流Laが、安定領域R2であり、且つ、清掃ブラシ43と読取ガラス21とが互いに接触しているタイミングTsで、位置検出センサ45がオンするように構成されている。そしてADF制御部11は、位置検出センサ45がオンしたタイミングTsで電流検出回路48が出力する電流値を読み取り、その電流値に基づいて清掃ブラシ43の変形状態を判別する。
【0046】
ADF制御部11のメモリ11bには清掃ブラシ43の変形段階を判別するための複数の閾値TA1,TA2,TA3(ただし、TA1>TA2>TA3)が予め格納されており、ADF制御部11は電流検出回路48から取得した電流値をこれら閾値TA1,TA2,TA3と比較することで清掃ブラシ43の変形状態を判別する。例えば、図9に示すように、位置検出センサ45がオンしたタイミングTsで取得した電流値がVa1であれば、その電流値Va1は閾値TA1よりも大きいため、清掃ブラシ43は変形していない初期状態であると判断する。また電流検出回路48から取得した電流値がVa2であった場合、その電流値Va2は閾値TA1よりも小さく、閾値TA2よりも大きいため、清掃ブラシ43は初期状態から若干変形した変形状態の第1段階であると判断する。また電流検出回路48から取得した電流値がVa3であった場合、その電流値Va3は閾値TA2よりも小さく、閾値TA3よりも大きいため、清掃ブラシ43は第1段階からさらに若干変形した変形状態の第2段階であると判断する。さらに電流検出回路48から取得した電流値がVa4であった場合、その電流値Va4は閾値TA3よりも小さいため、清掃ブラシ43は第2段階からさらに変形した変形状態の第3段階であると判断する。
【0047】
尚、ここでは清掃ブラシ43が変形している場合、その変形状態を3段階で検出する例を示しているが、これは必ずしも3段階である必要はなく、1段階であっても良いし、2段階であっても良い。更には4段階以上としても良い。
【0048】
またモータM1の駆動電流Laが清掃ブラシ43の変形状態に応じて変化する位置は、上述したように清掃ブラシ43と読取ガラス21とが接触する位置だけでなく、清掃ブラシ43と異物掻取部材50とが接触する位置もある。つまり、清掃ブラシ43が変形していない初期状態であれば、清掃ブラシ43が異物掻取部材50と接触して異物の掻取動作が行われているときの清掃ブラシ43と異物掻取部材50との摩擦力は大きく、モータM1にかかる負荷もそれに応じて大きくなる。それに対し、清掃ブラシ43が次第に変形していくと、異物掻取時の清掃ブラシ43と異物掻取部材50との摩擦力は低下していき、モータM1にかかる負荷もそれに応じて小さくなる。そのため、位置検出センサ45が検出する回転位置は、清掃ブラシ43が読取ガラス21と接触する位置としても良いが、これに限られず、清掃ブラシ43が異物掻取部材50と接触する位置としても良い。
【0049】
そして上記のようにして清掃ブラシ43の変形状態を検知することにより、清掃ブラシ43が初期状態から変形した状態となっていることが検知された場合、例えば、それを操作パネル7などでユーザに報知する構成とすれば、清掃ブラシ43を新品と交換するなど適切な処理を行うことができ、清掃ブラシ43が変形した状態のままで放置されることを防止することができる。それ故、変形状態がさらに悪化することによる読取ガラス21の清掃不良を未然に防止することが可能である。
【0050】
また本実施形態では、清掃ブラシ43の変形状態を検知した結果、清掃ブラシ43が初期状態から変形した状態となっていることが判明した場合、ADF制御部11が、その変形状態の段階に応じてガラス面清掃機構40を制御し、清掃ブラシ43の変形を補正する補正動作を行うように構成されている。
【0051】
図10は、清掃ブラシ43が変形している場合の第1の補正動作を示す図である。第1の補正動作は、清掃ブラシ43を清掃動作時の回転方向R1とは逆の回転方向R2に所定回数回転させる動作である。ADF制御部11は、モータ駆動部47に対してモータM1を清掃動作時とは逆方向に駆動させるためのパルス信号を出力すると、モータ駆動部47がそのパルス信号に基づいてモータM1に清掃動作時とは逆方向の駆動電流を流す。これにより、モータM1は清掃動作時とは逆方向に駆動され、清掃ブラシ43を回転方向R2に回転させる。このような第1の補正動作により、清掃動作の繰り返しで一定方向に変形した清掃ブラシ43を逆の方向に変形させるので、清掃ブラシ43の変形状態を補正することができる。ここで回転方向R1とは逆の回転方向R2に回転させる回数は適宜設定可能であるが、本実施形態の場合、清掃ブラシ43の変形状態が第1段階のときはN1回(ただし、N1≧1)の逆転駆動を行い、第2段階のときはN2回(ただし、N2>N1)の逆転駆動を行うように構成される。つまり、清掃ブラシ43の変形状態が悪化することに従って逆方向への回転回数が増加するように設定される。このような第1の補正動作は、清掃ブラシ43による清掃動作が終了したタイミングで行うようにしても良いし、或いは全ての原稿搬送動作が終了したタイミングで行うようにしても良い。
【0052】
図11は、清掃ブラシ43が変形している場合の第2の補正動作を示す図である。第2の補正動作は、清掃動作の繰り返しで一定方向に変形した清掃ブラシ43に対し、ブラシの変形方向側から所定の押さえ部材を押さえ付けた状態とし、その状態を保持することで清掃ブラシ43の変形状態を直すための癖付けを行う癖付け動作となっている。図例の場合、ブラシの変形方向側から押さえ付ける押さえ部材として、異物掻取部材50を用いている。そのため、ADF制御部11は、例えば清掃動作中において回転方向R1に回転する清掃ブラシ43が異物掻取部材50を通過した後、その清掃ブラシ43を回転方向R2に一定量逆回転させて戻すことにより、清掃ブラシ43の変形したブラシ先端を異物掻取部材50の上面に押さえ付けた状態とし、その状態を保持させる。このような第2の補正動作により、清掃動作の繰り返しで一定方向に変形した清掃ブラシ43が直毛状のブラシに戻るように癖付けが行われるので、清掃ブラシ43の変形状態を補正することができる。ここで、清掃ブラシ43の変形したブラシ先端を異物掻取部材50の上面に押さえ付けた癖付け状態での保持時間は、適宜設定可能であり、予め設定した所定時間保持するようにしても良いし、またこの癖付け状態を清掃部材41のホームポジションに変更して清掃動作を行わない待機状態では常にこの癖付け動作が行われるように設定しても良い。このような第2の補正動作は、本実施形態の場合、清掃ブラシ43の変形状態が第3段階のときに行われる。尚、図11の例では、異物掻取部材50を、清掃ブラシ43の変形方向側からブラシを押さえる押さえ部材として用いる場合を示しているが、読取ガラス21の上面を押さえ部材として利用しても良いし、また専用の押さえ部材を別途配置しても良い。
【0053】
次に、画像読取装置4において清掃ブラシ43の変形状態の検知及び補正動作を行うための処理シーケンスについて説明する。図12及び図13は、ADF制御部11による一連の処理手順を示すフローチャートであり、図12はその前半の処理手順を示しており、図13はその後半の処理手順を示している。この処理は、例えば自動原稿搬送装置3において原稿9の搬送動作が開始されると、ADF制御部11によって一定時間(例えば数ミリ秒)ごとに繰り返し実行される処理であり、清掃動作中においても繰り返し実行される処理である。図12に示すように、ADF制御部11は、まず清掃部材41が回転動作中であるか否かを判断する(ステップS10)。ここで清掃部材41が動作していない場合(NOの場合)には、清掃動作中でないため、この処理を終了する。これに対し、清掃部材41が動作中である場合(YESの場合)には、ステップS11に進む。
【0054】
清掃部材41が清掃動作中である場合、ADF制御部11は、位置検出センサ45がオンしたか否かを判断する(ステップS11)。ここで位置検出センサ45がオフであれば、清掃部材41は未だ、清掃ブラシ43の変形状態を確認することができる回転位置に到達していないことになるため、NOとなり、この処理を終了する。これに対し、位置検出センサ45がオンであれば、清掃部材41は清掃ブラシ43の変形状態を確認することができる回転位置に到達しているため、YESとなり、ステップS12に進む。
【0055】
位置検出センサ45がオンである場合、ADF制御部11は、モータM1を駆動している駆動電流の電流値Vaを電流検出回路48から取得する(ステップS12)。ADF制御部11はその取得した電流値Vaを閾値TA1と比較し、電流値Vaが閾値TA1よりも小さいか否かを判断する(ステップS13)。ここで電流値Vaが閾値TA1以上であれば、NOとなってステップS14に進み、清掃ブラシ43は変形していない初期状態であると判断する。一方、電流値Vaが閾値TA1よりも小さい場合には、清掃ブラシ43は変形した状態と判断される。
【0056】
そしてADF制御部11は、その変形状態の段階を特定すべく、次に電流値Vaが閾値TA2よりも小さいか否かを判断する(ステップS15)。ここで電流値Vaが閾値TA2以上であれば、清掃ブラシ43の変形状態は第1段階であると判断する(ステップS16)。これに対し、電流値Vaが閾値TA2よりも小さい場合には、さらに続いて電流値Vaが閾値TA3よりも小さいか否かを判断する(ステップS17)。ここで電流値Vaが閾値TA3以上であれば、清掃ブラシ43の変形状態は第2段階であると判断する(ステップS18)。また電流値Vaが閾値TA3よりも小さい場合には、清掃ブラシ43の変形状態は第3段階であると判断する(ステップS19)。以上のようにして清掃ブラシ43の変形状態が特定されると、次に図13のフローチャートに進む。
【0057】
そしてADF制御部11は、清掃ブラシ43の変形状態の検知結果に基づいて清掃ブラシ43が変形しているか否かを判断する(ステップS20)。ここで清掃ブラシ43が変形していない初期状態であれば、その後の処理を行う必要がないので処理を終了する。これに対し、清掃ブラシ43が変形している場合は、その変形段階に応じた補正動作が清掃動作の終了後に実行されるように補正動作の設定を行うべく、ステップS21以降の処理に進む。
【0058】
ADF制御部11は、清掃ブラシ43の変形状態が第1段階であるか否かを判断し(ステップS21)、第1段階であれば、清掃動作の終了後に上述した第1の補正動作(図10参照)を実行させるべく、清掃部材41の逆転動作を設定する(ステップS22)。ここでは、清掃部材41を逆転方向に回転動作させる回数をN1回として設定する。そして設定が終了すると、この処理を終了する。
【0059】
一方、清掃ブラシ43の変形状態が第1段階でなかった場合、ADF制御部11は、次に清掃ブラシ43の変形状態が第2段階であるか否かを判断し(ステップS23)、第2段階であれば、清掃動作の終了後に上述した第1の補正動作(図10参照)を実行させるべく、清掃部材41の逆転動作を設定する(ステップS24)。ここでは、清掃部材41を逆転方向に回転動作させる回数を第1段階のときのよりも多いN2回として設定する。そして設定が終了すると、この処理を終了する。
【0060】
また清掃ブラシ43の変形状態が第2段階でもなかった場合(つまり、第3段階である場合)、ADF制御部11は、清掃動作の終了後に上述した第2の補正動作(図11参照)を実行させるべく、清掃ブラシ43の変形を直すための癖付け動作を設定する(ステップS25)。このとき、清掃動作の終了後に癖付け状態を所定時間保持するように設定しても良いし、また清掃部材41のホームポジションを癖付け状態としてポジションに変更しても良い。そして設定が終了すると、この処理を終了する。
【0061】
このような処理により、ADF制御部11は、清掃ブラシ43による制動動作中に清掃ブラシ43の変形状態を検知することができ、清掃ブラシ43が変形状態であることを検知した場合、清掃動作終了後に変形状態の段階に応じて第1又は第2の補正動作を行うことを設定する。そのため、清掃動作の終了後には第1又は第2の補正動作が行われるので、清掃ブラシ43はその変形状態を悪化させることがなく、寧ろブラシの形状が初期状態に戻るように補正されることになる。
【0062】
以上のように本実施形態は、清掃ブラシ43の変形に伴って変化する情報として、モータM1が清掃ブラシ43を動作させる際の駆動電流を検出する構成であり、清掃ブラシ43の回転位置が所定位置であることが検出されたときの駆動電流に基づいて清掃ブラシ43の変形状態を特定している。そのため、清掃ブラシ43の変形状態を正確に検知することができる構成となっている。また清掃ブラシ43が変形している場合には、上述した第1又は第2の補正動作を行うことにより、清掃ブラシ43の変形を補正することができるので、清掃性能を改善することが可能である。
【0063】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。本実施形態では、清掃ブラシ43の変形に伴って変化する情報として、清掃ブラシ43が異物掻取部材50と接触し、異物掻取部材50が清掃ブラシ43に付着した異物を掻き取っているときの振動を検出するようにした形態について説明する。尚、本実施形態でも、画像処理装置1及び画像読取装置4の全体構成は、図1及び図2に示したものと同様である。
【0064】
図14は、本実施形態においてガラス面清掃機構40が設けられた部分の構成を示す拡大図である。本実施形態では、清掃ブラシ43に付着した異物を掻き取るための異物掻取部材50の上面に振動検出センサ51が取り付けられる。振動検出センサ51は、少なくとも上下方向の振動を検出することが可能であり、清掃ブラシ43が異物掻取部材50に接触し、異物掻取部材50が清掃ブラシ43に付着した異物を掻き取っている状態で異物掻取部材50に生じる上下方向の振動を検出するように構成されている。
【0065】
図15は、本実施形態における画像読取装置4を制御するための制御機構を示すブロック図である。この制御機構が、第1の実施の形態と異なる点は、モータM1の駆動電流を検出する電流検出回路は必要でなく、その代わりに、上述した振動検出センサ51が検出して出力する信号がADF制御部11に入力するように構成されている点である。そしてADF制御部11は、振動検出センサ51から入力する振動出力に基づいて、清掃ブラシ43の変形状態を検知するように構成されている。
【0066】
具体的に説明すると、清掃ブラシ43が変形していない初期状態であれば、異物掻取部材50による異物の掻取動作を行う際、清掃ブラシ43の根元に近い部分が異物掻取部材50と接触するので、その接触時の衝撃が大きくなり、清掃ブラシ41が異物掻取部材50に与える振動幅も大きくなる。それに対し、清掃ブラシ43が次第に変形していくと、異物掻取部材50との接触部分は清掃ブラシ43の先端側に変化していくので、接触時の衝撃は小さくなり、清掃ブラシ41が異物掻取部材50に与える振動幅も次第に小さくなっていく。そのため、異物掻取部材50の振動幅を検知することで、清掃ブラシ43の変形状態を検知することが可能である。
【0067】
図16は、清掃ブラシ43と異物掻取部材50とが接触したときの振動検出センサ51による振動出力の変化特性の一例を示す図である。図16に示す振動出力Lbは、清掃ブラシ43が異物掻取部材50に接触すると、その衝撃で異物掻取部材50が大きく振動することを示している。このとき、振動幅Hは最大となる。そしてその後、その振動は徐々に減衰し、やがて振動は停止する。ここで振動出力Lbの振動幅Hの大きさは、清掃ブラシ43の変化状態に応じた大きさとなる。
【0068】
図17は、清掃ブラシ43の変形状態に応じて変化する異物掻取部材50の振動出力を示す図である。図中、振動出力Lb1は、清掃ブラシ43が変形していない初期状態で清掃ブラシ43と異物掻取部材50とが接触した場合の振動出力を示している。この状態では清掃ブラシ43と異物掻取部材50とが接触するときの衝撃が大きく、その振動幅Hも大きくなる。そして清掃動作を繰り返すことによって次第に清掃ブラシ43が変形していくと、振動検出センサ51からの振動出力は、Lb1から、次第に、Lb2、Lb3、Lb4という順に小さくなっていく。
【0069】
本実施形態では、図17に示すように、清掃ブラシ43と異物掻取部材50とが接触するタイミングTsで、位置検出センサ45がオンするように構成されており、ADF制御部11は、位置検出センサ45がオンしたタイミングTsで振動検出センサ51が出力する振動出力を読み取り、その振動出力から最大振動幅Hを測定する。例えば、位置検出センサ45がオンしたタイミングTsから一定期間Tの間、振動出力をサンプリングし、その期間T内で最大となる振動幅Hを検出する。そしてADF制御部11はその最大振動幅Hに基づいて清掃ブラシ43の変形状態を判別する。
【0070】
ADF制御部11のメモリ11bには清掃ブラシ43の変形段階を判別するための複数の閾値H1,H2,H3(ただし、H1>H2>H3)が予め格納されており、ADF制御部11は異物掻取部材50の最大振動幅Hをこれら閾値H1,H2,H3と比較することで清掃ブラシ43の変形状態を判別する。例えば、図17に示すように、位置検出センサ45がオンしたタイミングTsに応答してサンプリングを行い、検出した最大振動幅Hが振動出力Lb1に対応するものであれば、その最大振動幅Hは閾値H1よりも大きいため、清掃ブラシ43は変形していない初期状態であると判断する。また検出した最大振動幅Hが振動出力Lb2に対応するものであれば、その最大振動幅Hは閾値H1よりも小さく、閾値H2よりも大きいため、清掃ブラシ43は初期状態から若干変形した変形状態の第1段階であると判断する。また検出した最大振動幅Hが振動出力Lb3に対応するものであれば、その最大振動幅Hは閾値H2よりも小さく、閾値H3よりも大きいため、清掃ブラシ43は第1段階からさらに若干変形した第2段階であると判断する。さらに検出した最大振動幅Hが振動出力Lb4に対応するものであれば、その最大振動幅Hは閾値H3よりも小さいため、清掃ブラシ43は第2段階からさらに変形した第3段階であると判断する。
【0071】
尚、ここでも清掃ブラシ43が変形している場合、その変形状態を3段階で検出する例を示しているが、これは必ずしも3段階である必要はなく、1段階であっても良いし、2段階であっても良い。更には4段階以上としても良い。
【0072】
そして本実施形態では、第1の実施の形態と同様、清掃ブラシ43の変形状態を検知した結果、清掃ブラシ43が初期状態から変形した状態となっていることが判明した場合、ADF制御部11が、その変形状態の段階に応じてガラス面清掃機構40を制御し、清掃ブラシ43の変形を補正する補正動作を行うように構成されている。尚、補正動作の詳細については第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0073】
次に、本実施形態において清掃ブラシ43の変形状態の検知及び補正動作を行うための処理シーケンスについて説明する。図18は、ADF制御部11による一連の処理手順のうちの前半部分の処理手順を示すフローチャートである。尚、この処理手順に続く後半の処理手順は、第1の実施の形態で説明した図13のフローチャートと同じである。
【0074】
図18に示す処理は、例えば自動原稿搬送装置3において原稿9の搬送動作が開始されると、ADF制御部11によって一定時間(例えば数ミリ秒)ごとに繰り返し実行される処理であり、清掃動作中においても繰り返し実行される処理である。図18に示すように、ADF制御部11は、まず清掃部材41が回転動作中であるか否かを判断する(ステップS30)。ここで清掃部材41が動作していない場合(NOの場合)には、清掃動作中でないため、この処理を終了する。これに対し、清掃部材41が動作中である場合(YESの場合)には、ステップS31に進む。
【0075】
清掃部材41が清掃動作中である場合、ADF制御部11は、位置検出センサ45がオンしたか否かを判断する(ステップS31)。ここで位置検出センサ45がオフであれば、清掃部材41は未だ、清掃ブラシ43の変形状態を確認することができる回転位置に到達していないことになるため、NOとなり、この処理を終了する。これに対し、位置検出センサ45がオンであれば、清掃部材41は清掃ブラシ43の変形状態を確認することができる回転位置に到達しているため、YESとなり、ステップS32に進む。
【0076】
位置検出センサ45がオンである場合、ADF制御部11は、振動検出センサ51が出力する振動出力を一定期間サンプリングし、最大振動幅Hを測定する(ステップS32)。そしてADF制御部11はその測定した最大振動幅Hを閾値H1と比較し、最大振動幅Hが閾値H1よりも小さいか否かを判断する(ステップS33)。ここで最大振動幅Hが閾値H1以上であれば、NOとなってステップS34に進み、清掃ブラシ43は変形していない初期状態であると判断する。一方、最大振動幅Hが閾値H1よりも小さい場合には、清掃ブラシ43は変形した状態と判断される。
【0077】
そしてADF制御部11は、その変形状態の段階を特定すべく、最大振動幅Hが閾値H2よりも小さいか否かを判断する(ステップS35)。ここで最大振動幅Hが閾値H2以上であれば、清掃ブラシ43の変形状態は第1段階であると判断する(ステップS36)。これに対し、最大振動幅Hが閾値H2よりも小さい場合には、さらに続いて最大振動幅Hが閾値H3よりも小さいか否かを判断する(ステップS37)。ここで最大振動幅Hが閾値H3以上であれば、清掃ブラシ43の変形状態は第2段階であると判断する(ステップS38)。また最大振動幅Hが閾値H3よりも小さい場合には、清掃ブラシ43の変形状態は第3段階であると判断する(ステップS39)。以上のようにして清掃ブラシ43の変形状態が特定されると、それ以降は図13のフローチャートに進み、上述したように清掃ブラシ43が変形している場合、その変形状態の段階に応じた補正動作が設定され、処理が終了する。
【0078】
以上のように本実施形態は、清掃ブラシ43の変形に伴って変化する情報として、異物掻取部材50が清掃ブラシ43に付着した異物を掻き取る際の振動幅を検出する構成であり、清掃ブラシ43の回転位置が所定位置であることが検出されたときの異物掻取部材50の振動幅に基づいて清掃ブラシ43の変形状態を特定している。そのため、清掃ブラシ43の変形状態を正確に検知することができる構成となっている。また清掃ブラシ43が変形している場合には、上述した第1又は第2の補正動作を行うことにより、清掃ブラシ43の変形を補正することができるので、清掃性能を改善することが可能である。
【0079】
尚、自動原稿搬送装置3において原稿搬送が行われると、その原稿搬送動作に伴う振動が発生し、振動検出センサ51がその振動を検出する。そのため、上述した本実施形態では、原稿搬送動作による振動を誤検知することを避けるために、位置検出センサ45により清掃部材41が所定位置に回転したことが検出されたことに応答して振動検出センサ51の振動出力をサンプリングするように構成されている。しかし、自動原稿搬送装置3における原稿搬送動作に伴って生じる振動が、清掃ブラシ43が異物掻取部材50に接触することにより異物掻取部材50に与える振動よりも小さい場合には、常時、振動検出センサ51の振動出力をサンプリングするように構成しても良い。
【0080】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。本実施形態では、清掃ブラシ43の変形に伴って変化する情報として、清掃ブラシ43が変形していない状態で清掃ブラシ43を回転方向R1に回転させたとき、清掃ブラシ43と読取ガラス21とが最初に接触する接触開始位置で画像読取を行い、その読み取った画像の濃度レベルを検出するようにした形態について説明する。尚、本実施形態でも、画像処理装置1の全体構成は、図1に示したものと同様である。
【0081】
図19は、本実施形態における画像読取装置4の全体的な内部構成を示す概略図である。本実施形態では、スキャナ部2の内部にモータM2が設けられており、このモータM2は、露光装置22と複数のミラー23とを備えてユニット化された読取ヘッド29を図中矢印S方向に移動させる。そのため、スキャナ部2による読取位置20は、モータM2が読取ヘッド29を移動させることに伴って図中矢印S方向に移動する。
【0082】
図20は、本実施形態においてガラス面清掃機構40が設けられた部分の構成を示す拡大図である。図20に示す読取位置20aは、スキャナ部2が原稿を読み取る際の読取位置であり、読取位置20bは、清掃ブラシ43の先端の画像を読み取ってその濃度レベルを測定するための読取位置である。読取位置20bは、清掃ブラシ43が変形していない初期状態で清掃ブラシ43を回転方向R1に回転させたとき、清掃ブラシ43の先端が読取ガラス21と最初に接触する接触開始位置とほぼ同じ位置である。モータM2は、読取ヘッド29をS方向に移動させることにより、スキャナ部2の読取位置20を、読取位置20aと20bとの間で移動させることができる。
【0083】
図21は、本実施形態における画像読取装置4を制御するための制御機構を示すブロック図である。この制御機構では、スキャナ部2においてスキャナ制御部12がモータM2を駆動するモータ駆動部28を制御するように構成されている。スキャナ制御部12は、ADF制御部11とデータ通信を行っており、ADF制御部11から濃度測定が指示されると、モータ駆動部28にパルス信号を出力してモータM2を駆動させ、読取位置20を、原稿の読取位置20aから清掃ブラシ43の先端画像の読取位置20bに移動させる。そしてその状態で、露光装置22、画像読取部25及び画像処理部26を機能させて画像読取を行い、読み取った画像の濃度レベルをADF制御部11に出力する。その後、スキャナ制御部12は、モータM2を再び駆動して読取位置20を読取位置20bから原稿の読取位置20aに移動させて原稿の画像を読取可能な状態に戻す。
【0084】
そして本実施形態のADF制御部11は、スキャナ制御部12から取得した濃度レベルに基づいて、清掃ブラシ43の変形状態を検知するように構成されている。
【0085】
図22は、清掃ブラシ43の変形状態による濃度レベルの変化を示す図である。まず図22(A)に示すように、スキャナ部2が読取位置20bにおいて清掃ブラシ43の先端画像を読み取る際、清掃ブラシ43が変形していない初期状態であればブラシ先端43aは読取位置20bの上の読取ガラス21にほぼ接触した状態となるので、読み取った画像の濃度レベルは高くなる。それに対し、清掃ブラシ43が変形すると、ブラシ先端43bは読取位置20bの上の読取ガラス21から離れた状態となるので、読み取った画像の濃度レベルは低くなる。つまり、図22(A)に示すように、読取位置20bで清掃ブラシ43の先端画像を読み取れば、その読み取った画像の濃度レベルLcは清掃ブラシ43の変形状態に応じて図22(B)に示すようなレベルとなる。図22(B)において、濃度レベルLc1は、清掃ブラシ43が変形していない初期状態で清掃ブラシ43の先端画像を読み取った場合の濃度レベルを示しており、最も高いレベルとなっている。そして清掃動作を繰り返すことによって次第に清掃ブラシ43が変形していくと、濃度レベルLcは、Lc1から、次第に、Lc2、Lc3、Lc4という順に小さくなっていく。そのため、この濃度レベルを測定することで、清掃ブラシ43の変形状態を検知することが可能である。
【0086】
そして本実施形態では、清掃ブラシ43が上述した接触開始位置まで回転したタイミングTsで、位置検出センサ45がオンするように構成されており、ADF制御部11は、位置検出センサ45がオンしたタイミングTsでスキャナ制御部12に濃度測定を指示する。このとき、スキャナ部2で直ちに読取位置20bの画像読取を行うことができない場合は、ADF制御部11が清掃ブラシ43の回転を一時停止させることが好ましい。この場合、ADF制御部11がスキャナ制御部12から濃度レベルを取得すれば清掃ブラシ43の回転駆動が再開される。
【0087】
ADF制御部11は、スキャナ制御部12に対して濃度測定を指示した後、スキャナ制御部12が測定した濃度レベルLcを取得すると、その濃度レベルLcに基づいて清掃ブラシ43の変形状態を判別する。ADF制御部11のメモリ11bには、図22(B)に示すように、清掃ブラシ43の変形段階を判別するための複数の閾値Tc1,Tc2,Tc3(ただし、Tc1>Tc2>Tc3)が予め格納されており、ADF制御部11は清掃ブラシ43の先端画像の濃度レベルLcをこれら閾値Tc1,Tc2,Tc3と比較することで清掃ブラシ43の変形状態を判別する。例えば、濃度レベルLcがLc1であった場合、閾値Tc1よりも大きいため、清掃ブラシ43は変形していない初期状態であると判断する。また濃度レベルLcがLc2であった場合、閾値Tc1よりも小さく、閾値Tc2よりも大きいため、清掃ブラシ43は初期状態から若干変形した変形状態の第1段階であると判断する。また濃度レベルLcがLc3であった場合、閾値Tc2よりも小さく、閾値Tc3よりも大きいため、清掃ブラシ43は第1段階からさらに若干変形した第2段階であると判断する。さらに濃度レベルLcがLc4であった場合、閾値Tc3よりも小さいため、清掃ブラシ43は第2段階からさらに変形した第3段階であると判断する。
【0088】
尚、ここでも清掃ブラシ43が変形している場合、その変形状態を3段階で検出する例を示しているが、これは必ずしも3段階である必要はなく、1段階であっても良いし、2段階であっても良い。更には4段階以上としても良い。
【0089】
そして本実施形態でも、第1の実施の形態と同様、清掃ブラシ43の変形状態を検知した結果、清掃ブラシ43が初期状態から変形した状態となっていることが判明した場合、ADF制御部11が、その変形状態の段階に応じてガラス面清掃機構40を制御し、清掃ブラシ43の変形を補正する補正動作を行うように構成されている。尚、補正動作の詳細については第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0090】
次に、本実施形態において清掃ブラシ43の変形状態の検知及び補正動作を行うための処理シーケンスについて説明する。図23及び図24は、ADF制御部11による一連の処理手順のうちの前半部分の処理手順を示すフローチャートである。尚、この処理手順に続く後半の処理手順は、第1の実施の形態で説明した図13のフローチャートと同じである。
【0091】
図23に示す処理は、例えば自動原稿搬送装置3において原稿9の搬送動作が開始されると、ADF制御部11によって一定時間(例えば数ミリ秒)ごとに繰り返し実行される処理であり、清掃動作中においても繰り返し実行される処理である。図23に示すように、ADF制御部11は、まず清掃部材41が回転動作中であるか否かを判断する(ステップS40)。ここで清掃部材41が動作していない場合(NOの場合)には、清掃動作中でないため、この処理を終了する。これに対し、清掃部材41が動作中である場合(YESの場合)には、ステップS41に進む。
【0092】
清掃部材41が清掃動作中である場合、ADF制御部11は、位置検出センサ45がオンしたか否かを判断する(ステップS41)。ここで位置検出センサ45がオフであれば、清掃部材41は未だ、清掃ブラシ43の変形状態を確認することができる回転位置に到達していないことになるため、NOとなり、この処理を終了する。これに対し、位置検出センサ45がオンであれば、清掃部材41は清掃ブラシ43の変形状態を確認することができる回転位置に到達しているため、YESとなり、ステップS42に進む。
【0093】
ステップS42では清掃ブラシ状態測定処理が行われる。この処理の詳細を図24に示す。ADF制御部11は、清掃部材41の回転動作を一時停止させ(ステップS421)、スキャナ制御部12に対して濃度測定指示を送信する(ステップS422)。これにより、スキャナ部2では、読取位置20を原稿の読取位置20aから清掃ブラシ43の先端画像の読取位置20bに移動させる処理が行われると共に、その読取位置20bで清掃ブラシ43の先端画像を読み取る処理が行われる。そして読み取った画像の濃度レベルLcが測定され、ADF制御部11に出力される。ADF制御部11は、清掃ブラシ43の濃度レベルLcをスキャナ制御部12から取得すると(ステップS423)、一時停止させておいた清掃部材41の駆動を再開する(ステップS424)。以上で、ステップS42の清掃ブラシ状態測定処理が終了し、図23のフローチャートに戻る。
【0094】
そしてADF制御部11はスキャナ制御部12から取得した濃度レベルLcを閾値Tc1と比較し、濃度レベルLcが閾値Tc1よりも小さいか否かを判断する(ステップS43)。ここで濃度レベルLcが閾値Tc1以上であれば、NOとなってステップS44に進み、清掃ブラシ43は変形していない初期状態であると判断する。一方、濃度レベルLcが閾値Tc1よりも小さい場合には、清掃ブラシ43は変形した状態と判断される。
【0095】
そしてADF制御部11は、その変形状態の段階を特定すべく、濃度レベルLcが閾値Tc2よりも小さいか否かを判断する(ステップS45)。ここで濃度レベルLcが閾値Tc2以上であれば、清掃ブラシ43の変形状態は第1段階であると判断する(ステップS46)。これに対し、濃度レベルLcが閾値Tc2よりも小さい場合には、さらに続いて濃度レベルLcが閾値Tc3よりも小さいか否かを判断する(ステップS47)。ここで濃度レベルLcが閾値Tc3以上であれば、清掃ブラシ43の変形状態は第2段階であると判断する(ステップS48)。また濃度レベルLcが閾値Tc3よりも小さい場合には、清掃ブラシ43の変形状態は第3段階であると判断する(ステップS49)。以上のようにして清掃ブラシ43の変形状態が特定されると、それ以降は図13のフローチャートに進み、上述したように清掃ブラシ43が変形している場合、その変形状態の段階に応じた補正動作が設定され、処理が終了する。
【0096】
以上のように本実施形態は、清掃ブラシ43の変形に伴って変化する情報として、清掃ブラシ43の先端画像の濃度レベルLcを検出する構成であり、清掃ブラシ43の回転位置が所定位置であるときに画像読取を行い、その読み取った画像の濃度レベルLcに基づいて清掃ブラシ43の変形状態を特定している。そのため、清掃ブラシ43の変形状態を正確に検知することができる構成となっている。また清掃ブラシ43が変形している場合には、上述した第1又は第2の補正動作を行うことにより、清掃ブラシ43の変形を補正することができるので、清掃性能を改善することが可能である。
【0097】
尚、上記においては、位置検出センサ45がオンした後、清掃部材41の回転を一時停止させる場合を例示したが、読取位置20の移動を位置検出センサ45がオンする前に予め行っておくようにすれば、清掃部材41の回転を一時停止させる必要がなくなるので、スムーズな清掃動作が可能となり、より好ましい。
【0098】
また上記においては、スキャナ部2が画像を読み取る読取位置20を原稿の読取位置20aから清掃ブラシ43の先端画像を読み取る読取位置20bに移動させることにより、スキャナ部2の画像読取手段を濃度レベル測定手段として使用する形態について説明したが、原稿の画像を読み取る画像読取手段とは別に、清掃ブラシ43の先端画像を読み取って濃度レベルを測定する専用の濃度レベル測定手段を設けた構成としても良い。
【0099】
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、画像処理装置1が、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、スキャナ機能などの複数の機能を備えた装置である場合を例示したが、必ずしもそれら複数の機能を備えている必要はない。特に上述した画像読取装置4は、コピー機能、FAX機能、スキャナ機能のうちの少なくとも1つの機能を備えた装置に対して適用可能である。
【0100】
また上述した各実施形態では、清掃ブラシ43の回転位置を検出する位置検出手段として位置検出センサ45を設けた構成例を示したが、位置検出手段は必ずしも位置検出センサ45である必要はない。例えば、モータM1を起動してからの駆動時間をカウントすることや、モータM1を駆動するために送出したパルス数をカウントすることなどによって、清掃ブラシ43の回転位置を検出する位置検出手段を構成しても良い。
【0101】
またその他にも、上述した各実施形態に対し、本発明の範囲内において種々の変形例が適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】画像読取機能を備えた画像処理装置の外観構成の一例を示す斜視図である。
【図2】画像読取装置の全体的な内部構成を示す概略図である。
【図3】第1の実施の形態においてガラス面清掃機構が設けられた部分の構成を示す拡大図である。
【図4】清掃ブラシによる清掃動作の流れを示す図である。
【図5】清掃ブラシによる清掃動作の流れを示す図である。
【図6】清掃ブラシによる清掃動作の流れを示す図である。
【図7】第1の実施の形態における画像読取装置を制御するための制御機構を示すブロック図である。
【図8】清掃ブラシによる清掃動作中におけるモータの駆動電流の変化特性を示す図である。
【図9】清掃ブラシの変形状態に応じて変化するモータの駆動電流を示す図である。
【図10】清掃ブラシが変形している場合の第1の補正動作を示す図である。
【図11】清掃ブラシが変形している場合の第2の補正動作を示す図である。
【図12】ADF制御部による一連の処理手順のうちの前半の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】ADF制御部による一連の処理手順のうちの後半の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態においてガラス面清掃機構が設けられた部分の構成を示す拡大図である。
【図15】第2の実施の形態における画像読取装置を制御するための制御機構を示すブロック図である。
【図16】清掃ブラシと異物掻取部材とが接触したときの振動検出センサによる振動出力の変化特性の一例を示す図である。
【図17】清掃ブラシの変形状態に応じて変化する異物掻取部材の振動出力を示す図である。
【図18】ADF制御部による一連の処理手順のうちの前半部分の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】第3の実施の形態における画像読取装置の全体的な内部構成を示す概略図である。
【図20】第3の実施の形態においてガラス面清掃機構が設けられた部分の構成を示す拡大図である。
【図21】第3の実施の形態における画像読取装置を制御するための制御機構を示すブロック図である。
【図22】清掃ブラシの変形状態による濃度レベルの変化を示す図である。
【図23】ADF制御部による一連の処理手順のうちの前半部分の処理手順を示すフローチャートである。
【図24】清掃ブラシ状態測定処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1 画像処理装置
2 スキャナ部
3 自動原稿搬送装置(ADF)
4 画像読取装置
11 ADF制御部(制御手段)
20 読取位置
20a 読取位置
20b 読取位置
21 読取ガラス
25 画像読取部(画像読取手段、濃度レベル測定手段)
29 読取ヘッド
40 ガラス面清掃機構(ガラス面清掃手段)
41 清掃部材
43 清掃ブラシ
45 位置検出センサ(位置検出手段)
48 電流検出回路(電流検出手段)
50 異物掻取部材(異物掻取手段)
51 振動検出センサ(振動検出手段)
M1 モータ(駆動手段)
M2 モータ(移動手段)
G 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を1枚ずつ読取ガラス面上に搬送し、当該原稿が前記読取ガラス面上の読取位置を通過する際に画像読取を行うようにした画像読取装置であって、
原稿搬送路を挟んで前記読取ガラスに対向して配置され、所定の回転方向に動作することで前記読取ガラスと接触し、前記読取ガラスの表面を清掃する清掃ブラシと、
前記清掃ブラシの清掃動作を制御する制御手段と、
前記清掃ブラシの回転位置を検出する位置検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、清掃動作の繰り返しによって生ずる前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記位置検出手段によって前記清掃ブラシの回転位置が所定位置であることが検出されたことに応答して、前記清掃ブラシの変形に伴って変化する情報を取得し、その情報に基づいて前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記清掃ブラシの清掃動作中に前記清掃ブラシの変形状態することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記清掃ブラシを前記回転方向に駆動する駆動手段と、
前記駆動手段が前記清掃ブラシを駆動する際の駆動電流を検出する電流検出手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段によって前記清掃ブラシの回転位置が所定位置であることが検出されたことに応答して、前記電流検出手段が検出する前記駆動手段の駆動電流に基づいて前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記所定位置は、前記清掃ブラシと前記読取ガラスとが接触する位置であることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記清掃ブラシの前記回転方向の下流側に設けられ、清掃動作中に前記清掃ブラシに付着した異物を前記清掃ブラシから掻き取る異物掻取手段をさらに備え、
前記所定位置は、前記清掃ブラシと前記異物掻取手段とが接触する位置であることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記清掃ブラシの前記回転方向の下流側に設けられ、清掃動作中に前記清掃ブラシに付着した異物を前記清掃ブラシから掻き取る異物掻取手段と、
前記異物掻取手段が前記清掃ブラシと接触して前記清掃ブラシから異物を掻き取る際の振動を検出する振動検出手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段によって前記清掃ブラシの回転位置が前記清掃ブラシと接触する位置であることが検出されたことに応答して、前記振動検出手段が検出する前記異物掻取手段の振動幅に基づいて前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記清掃ブラシが変形していない状態で前記清掃ブラシを前記回転方向に回転させたとき、前記清掃ブラシと前記読取ガラスとが最初に接触する接触開始位置で画像読取を行い、読み取った画像の濃度レベルを検出する濃度レベル測定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段によって前記清掃ブラシの回転位置が前記接触開始位置であることが検出されたことに応答して、前記濃度レベル測定手段が検出する濃度レベルに基づいて前記清掃ブラシの変形状態を検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記読取位置に対応して設けられた読取ヘッドを有し、前記読取ヘッドを介して前記読取位置の画像を読み取るように構成された画像読取手段と、
前記読取ヘッドを移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記読取ヘッドを移動させることによって前記読取位置を前記接触開始位置に移動させ、前記画像読取手段を前記濃度レベル測定手段として使用可能とすることを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記清掃ブラシが変形している場合、前記清掃ブラシを前記回転方向とは逆方向に所定回数回転させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記清掃ブラシが変形している場合、その変形方向側を所定の部材で押さえ付けた状態として前記清掃部材を停止させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−4098(P2010−4098A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158735(P2008−158735)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】