説明

画像読取装置

【課題】適正なカラー基準データを取得することができる画像読取装置を提供すること。
【解決手段】画像読取装置1は、原稿読取面となる原稿配置面3に近接して設けられた光シャッタ部100と、光シャッタ部100の光シャッタ駆動回路40と、原稿読取面に向って光を照射する光源50と、光源50からの反射光を集光する集光レンズ60と、集光レンズで集光された光を受光する受光部70と、から概略構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置では、白色の反射板を用いて装置内の読取装置に画像を読み取らせ、この読取値を基準にシェーディング補正(画像濃度補正)を行なっていた。
【0003】
例えば、光源と、レンズと、撮像素子を搭載したセンサ基板と、第1の偏光板と、第1の偏光板に対向して偏光方向の異なる第2の偏光板と、第1の偏光板と第2の偏光板に挟まれて設置された液晶モジュールと、撮像素子で光電変換された出力を信号処理する信号処理手段と、光源、液晶モジュール、センサ基板を収納する筐体とを備え、原稿読み取り前に、液晶モジュールの電極に電圧を印加し、第2の偏光板で光を反射させ、その反射光を撮像素子で受光し、この光電変換出力を明時シェーディング補正用データとして信号処理手段の記憶回路に格納する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1の画像読取装置は、上記示した補正用データを基に、構成要素の白基準レベルを制御することにより、画像読取装置のシェーディング補正を行なうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−211234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、適正なカラー基準データを取得することができる画像読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、以下の画像表示装置を提供する。
【0008】
[1]第1の電極を備え、透光性を有する第1の基板と、前記第1の基板と所定の間隔を設けて対向して配置され、第2の電極を備えた第2の基板と、前記第1及び第2の基板間に封入され、互いに色が異なる所定の帯電極性を有する複数種類の粒子群と、前記第1及び第2の電極間に電圧を制御して印加する制御部と、前記第2の基板側から前記第1の基板の前記原稿読取面に向って光を照射する光源と、前記光源からの反射光を集光する集光レンズと、前記集光レンズで集光された光を受光する受光部と、を有し、前記第1の電極は、前記第1の基板上において前記光源から照射される光の光路上に設けられていると共に、前記第2の電極は、前記光源からの反射光の光路を遮らない位置で前記第2の基板上に設けられていることを特徴とする画像読取装置。
【0009】
[2]前記制御部は、前記原稿の読取り時には前記複数種類の粒子群のすべてを前記第1の電極から前記第2の電極へ移動させる制御を行ない、カラー基準データの取得時には前記複数種類の粒子群のうちの少なくとも1種類の粒子を前記第1の電極に移動させる制御を行なうことを特徴とする上記[1]に記載の画像読取装置。
【0010】
[3]前記第1の電極は、前記反射光の前記光路の一部を遮らない位置で前記第1の基板上に設けられていることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の画像読取装置。
【0011】
[4]前記受光部は、密着型イメージセンサであることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の画像読取装置。
【0012】
[5]前記集光レンズは、前記原稿の読取り幅に亘って複数のロッドレンズを有するロッドレンズアレイであることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の画像読取装置。
【0013】
[6]前記第1の基板および前記第2の基板は、それぞれ交番電界を発生させる補助電極を有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の画像読取装置。
【0014】
[7]前記制御部は、前記第1及び第2の電極間に交流電圧を制御して印加することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の画像読取装置。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、複数種類の粒子群を封入した光シャッタにより、白色または他の色を表示でき、これを光源からの反射光を集光レンズで受光部に受光することにより、適正なカラー基準データを取得することができる。
請求項2記載の発明によれば、原稿の読取りが可能であると共に、カラー基準データの取得が可能となる。
請求項3記載の発明によれば、第1の電極の透過率に起因する光透過率の減少を抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、装置の小型化が可能となる。
請求項5記載の発明によれば、原稿の2次元画像データが本発明を有しない場合に比して容易に取得できる。
請求項6記載の発明によれば、各電極間に交流電圧を印加して交番電界を発生させることができる。
請求項7記載の発明によれば、粒子群を振動させながら第1の電極に移動させ、または、第1の電極から拡散させることができるので、本発明の構成を有しない場合に比して粒子群の高速移動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の要部側面図(断面図)である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の光シャッタ部の詳細図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の光シャッタ部の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置の光シャッタ部の断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置の光シャッタ部の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る画像読取装置の光シャッタ部の断面図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、本発明の第5の実施の形態に係る画像読取装置の光シャッタ部の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像読取装置のシェーディング補正動作、画像読取動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
(全体の構成)
本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置1は、図1に示すように、原稿読取面となる原稿配置面3に近接して設けられた光シャッタ部100と、光シャッタ部100の光シャッタ駆動回路40と、原稿読取面に向って光を照射する光源50と、光源50からの反射光を集光する集光レンズ60と、集光レンズで集光された光を受光する受光部70と、から概略構成されている。その他、色基準データを格納するデータ格納部80、原稿読取りデータを補正して原稿諧調データを算出するデータ処理部90を備える。
【0018】
光シャッタ部100は、第1の電極である表面電極11を備え、透光性を有する第1の基板である表面基板10と、表面基板10と所定の間隔を設けて対向して配置され、第2の電極である裏面電極21a、21bを備えた透光性を有する第2の基板である裏面基板20と、表面基板10と裏面基板20との間に封入され、互いに色が異なる所定の帯電極性を有する複数種類の粒子群30とを有して構成されている。
【0019】
表面基板10と裏面基板20は、透光性を有する例えばガラス基板を用いることができ、粒子群30が封入される側にそれぞれ表面電極11、裏面電極21a、21bが形成されている。表面電極11は、表面基板10の略中央付近にITO(Indium-Tin Oxide)による透明電極として形成されている。裏面電極21a、21bは、光源50からの反射光の光路を遮らない位置にITOによる透明電極として形成されている。すなわち、光源50からの反射光は、後述する集光レンズ60の光軸を通り受光部70に集光されるが、裏面基板20上でその集光される光路を遮らない位置にITOによる透明電極として形成される。尚、裏面電極21a、21bは集光される光路の全部を遮らない位置、また、光路の一部を遮らない位置に形成されていればよい。好ましくは、図1等に示すように、光量分布の多い光軸を中心とした領域の両側に配置されてITO部分が形成された構成とする。
【0020】
図1、2等に示す光シャッタ部100の内部は、複数種類の粒子群30が密封された状態で気体と共に封入されている。尚、光シャッタ部100の内部は真空または流体で満たされた状態としても本実施の形態は実施可能である。
【0021】
本実施の形態では、複数種類の粒子群30は、白色の粒子群30Wと色粒子群30Mの2種類である。色粒子群30Mは、白色以外の有彩色の粒子群であればよく、例えば、マゼンタである。
【0022】
白色の粒子群30W、色粒子群30Mは、プラスまたはマイナスの電荷を一時的に保持できる材料であれば良く、金属材料、有機材料、非有機材料、セラミックス、またはこれらの複合材料からなる粒子から成るものであっても良い。また、非電気的な付着力を低減するために好ましくは1μm以上の粒径が好ましく、数十nm程度の微粒子により外添処理を施し、流動性が改善されていることが好ましい。
【0023】
白色の粒子群30Wは、チタン酸バリウム微粒子を含有し、外添剤によりマイナス帯電した、例えば粒径が約20μm程度の粒子であれば良い。また、色粒子群30Mは、白意外に着色された、例えば粒径が約20μm程度でプラスの帯電性を有する非導電性の球状ポリマー粒子を用いても良い。
【0024】
光シャッタ駆動回路40は、交流(AC)電源および直流(DC)電源を備え、出力として直流電圧、交流電圧、DC成分にAC成分が重畳された交流電圧を出力する。図2に示すように、本実施の形態では、表面電極11、裏面電極21a、21bの3系統の出力を独立して出力できる電源を使用する。必要に応じて、各電極(表面電極11、裏面電極21a、21b)をプラス電圧(+)、マイナス電圧(−)、高インピーダンス(Hi−Z)、グランド(G)に設定でき、また、各電極間に交流電圧を印加しても良い。
【0025】
光源50は筐体2内に配置して固定され、LED光源、キセノン管等の光源を使用する。LED光源は、R、G、Bの三原色それぞれのLED光を含んだ白色であることが好ましい。光源50は、R、G、Bの三原色のそれぞれの光強度を制御することにより、シェーディング補正時の白レベル、またはカラー基準データの読取り色を光シャッタ部100の方向に照射する。尚、黒レベルの基準データの読取り時には光源50は光を照射しない。
【0026】
集光レンズ60は筐体2内に配置して固定され、読み取る原稿の搬送方向に直角方向(用紙幅方向)に複数のロッドレンズがアレイ状に結合して構成されたロッドレンズアレイが使用される。ロッドレンズアレイをそれぞれ構成するロッドレンズは、1対1の光学系であり、光源50から照射された光の原稿からの反射光または表面電極11上に移動した粒子群30からの反射光を後述する受光部70に集光する。
【0027】
受光部70は筐体2内に配置して固定され、ロッドレンズアレイに対応して設けられたフォトダイオードアレイ等の光電変換素子が使用される。尚、原稿4上の像をセンサ画素上に1対1の大きさで結像させて使うためのセンサを密着型イメージセンサといい、光源50、集光レンズ60、受光部70を一体化してCIS(Contact Image Sensor)モジュールといわれる。
【0028】
(画像読取装置1の作用)
図2は、第1の実施の形態に係る画像読取装置の光シャッタ部の詳細図であり、表面電極11にプラス電圧が印加されて白色の粒子群30Wが付着し、一方、裏面電極21aにはマイナス電圧が印加されて色粒子群30Mが付着している様子を示している。
【0029】
原稿4を読取る際には、図3(a)に示すように、白色の粒子群30Wおよび色粒子群30Mを表面電極11から退避させる。このため、裏面電極21aにプラス電圧を印加して白色の粒子群30Wを付着させ、一方、裏面電極21bにマイナス電圧印加して色粒子群30Mを付着させる。上記の粒子移動操作は、白色の粒子群30Wおよび色粒子群30Mが移動前にどの電極にあっても付着していた電極との付着力以上の静電力を発生させる電界をかければよい。尚、粒子を付着させない表面電極11は、図3(a)では、高インピーダンス(Hi−Z)としてオープン端子としているが、裏面電極21aまたは裏面電極21bから粒子を移動させて付着させない程度のプラスまたはマイナスの電圧が印加された状態であってもよい。
【0030】
光源50から原稿4に向けて照射した光の反射光は図示省略した集光レンズ60で受光部70に集光されて画像データを取得する。尚、原稿読取り時は、原稿4を原稿配置面3上で副走査方向に搬送すると共に、主走査方向(原稿紙幅方向)に受光部70に入力された画像データを順次転送して、原稿4の2次元画像のデータを取得する。
【0031】
白基準データを取得する際には、図3(b)に示すように、白色の粒子群30Wを表面電極11に付着させ、その他の粒子を裏面電極21aまたは21bに付着させる。表面電極11にプラス電圧を印加して白色の粒子群30Wを付着させ、一方、裏面電極21bにマイナス電圧を印加して色粒子群30Mを付着させる。色粒子群30Mは、表面電極11に移動して付着しなければよく、裏面電極21aにマイナス電圧を印加するようにしてもよい。
【0032】
光源50から表面電極11に向けて照射した光は、表面電極11に付着した白色の粒子群30Wにより反射し、この反射光は図示省略した集光レンズ60で受光部70に集光されて白基準データが取得される。
【0033】
色基準データを取得する際には、図3(c)に示すように、色粒子群30Mを表面電極11に付着させ、その他の粒子を裏面電極21aまたは21bに付着させる。表面電極11にマイナス電圧を印加して色粒子群30Mを付着させ、一方、裏面電極21aにプラス電圧を印加して白色の粒子群30Wを付着させる。白色の粒子群30Wは、表面電極11に移動して付着しなければよく、裏面電極21bにプラス電圧を印加するようにしてもよい。
【0034】
光源50から表面電極11に向けて照射した光は、表面電極11に付着した色粒子群30Mにより反射し、この反射光は図示省略した集光レンズ60で受光部70に集光されて色基準データが取得される。例えば、色粒子群30Mがマゼンタ(M)の場合はマゼンタの色基準データが取得される。尚、色粒子群30Mは、イエロー(Y)、シアン(C)、クロ(K)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、その他の色粒子であってもよい。
【0035】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る画像読取装置1は、図4に示すように、表面電極11の一部、特に、光源50からの照射光、または、原稿4からの反射光の光路上に電極部が形成されず、空乏部12がある構成となっており、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。すなわち、表面電極11は、光路の一部を遮らない位置で表面基板10上に設けられている。空乏部12は、表面基板10上に表面電極11を形成する工程において、空乏部12となる領域にマスクを施した後に表面電極11を形成することにより作製できる。尚、空乏部12は、その領域に表面電極11が全く形成されない場合以外に、他の領域よりも肉薄状態で表面電極11が形成されていてもよい。
【0036】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る画像読取装置1は、図5に示すように、粒子群30として、マゼンタ(M)色の色粒子群30Mとイエロー(Y)色の色粒子群30Y、および、白色の粒子群30Wの3種類が光シャッタ部100の内部に封入されている。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0037】
マゼンタ(M)色の色粒子群30Mとイエロー(Y)色の色粒子群30Yは、共にプラスの帯電性を有するように構成されるが、帯電量が異なる。外添剤の外添量を異ならせることにより、例えば、イエロー(Y)色の色粒子群30Yのプラスの帯電量をマゼンタ(M)色の色粒子群30Mのプラスの帯電量よりも大きく設定している。
【0038】
図5では、表面電極11にマイナス電圧が印加されて色粒子群30Mおよび色粒子群30Yが付着し、一方、裏面電極21aにはプラス電圧が印加されて白色の粒子群30Wが付着している様子を示している。この状態では、表面電極11上のイエロー(Y)とマゼンタ(M)の混合色であるレッド(R)の反射光となる。
【0039】
図5の状態から、例えば、裏面電極21bに、弱いマイナス電圧を印加することにより、プラスの帯電量の大きなイエロー(Y)色の色粒子群30Yのみが裏面電極21bに向って移動し付着する。これにより、表面電極11上はマゼンタ(M)色の色粒子群30Mのみとなり、マゼンタ(M)の反射光となる。
【0040】
さらに、裏面電極21bに、強いマイナス電圧を印加するか、あるいは、表面電極11のマイナス電位を減少させることにより、マゼンタ(M)色の色粒子群30Mも裏面電極21bに向って移動し付着する。これにより、表面電極11上には粒子群がなくなり、原稿の読取が可能となる。
【0041】
さらに、表面電極11にプラス電圧を印加し、裏面電極21aのプラス電位を減少させることにより、白色の粒子群30Wが表面電極11に向って移動し付着する。これにより、表面電極11上は白色の粒子群30Wのみとなり、白色の反射光となる。あるいは、表面電極11に弱いマイナス電圧を印加することにより、プラスの帯電量の大きなイエロー(Y)色の色粒子群30Yのみが表面電極11に向って移動し付着する。これにより、表面電極11上はイエロー(Y)色の色粒子群30Yのみとなり、イエロー(Y)の反射光となる。
【0042】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態に係る画像読取装置1は、図6に示すように、粒子群30として、マゼンタ(M)色の色粒子群30M、イエロー(Y)色の色粒子群30Y、シアン(C)の色粒子群30C、および、白色の粒子群30Wの4種類が光シャッタ部100の内部に封入されている。その他の構成は第3の実施の形態と同様である。
【0043】
ここで、シアン(C)の色粒子群30Cは、表面電極11と裏面電極21aまたは21b間に所定値以上の電界が生じると、その帯電特性が変化する性質を有している。すなわち、所定値以上の電界が生じると、表面電極11、裏面電極21aまたは21bからその電極に印加されたプラスまたはマイナスの電荷が注入され、そのプラスまたはマイナスの帯電特性を有する粒子群に変化する。
【0044】
図6では、表面電極11にマイナス電圧が印加されてマゼンタ(M)の色粒子群30M、イエロー(Y)の色粒子群30Yおよびシアン(C)の色粒子群30Cが付着し、一方、裏面電極21aにはプラス電圧が印加されて白色の粒子群30Wが付着している様子を示している。この状態では、表面電極11にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の混合色であるクロ(K)の反射光となる。
【0045】
図6の状態から、例えば、裏面電極21bに、弱いマイナス電圧を印加することにより、プラスの帯電量の大きなイエロー(Y)色の色粒子群30Yのみが裏面電極21bに向って移動し付着する。これにより、表面電極11上はマゼンタ(M)色およびシアン(C)の混合色となり、ブルー(B)の反射光となる。
【0046】
さらに、裏面電極21bに、強いマイナス電圧を印加することにより、マゼンタ(M)色の色粒子群30Mも裏面電極21bに向って移動し付着する。これにより、表面電極11上はシアン(C)の色粒子群30Cのみとなり、シアン(C)の反射光となる。
【0047】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態に係る画像読取装置1は、図7(a)に示すように、各粒子群に交番電界をかけるための表面補助電極13と裏面補助電極22が、表面基板10および裏面基板20上にそれぞれ形成されている。表面補助電極13は、図7に示すように、表面電極11の外周部に設けられ、裏面補助電極22は、裏面電極21a、21bの内周部に設けられている。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0048】
図7(a)は、表面電極11にプラス電圧が印加されて白色の粒子群30Wが付着し、一方、裏面電極21aにはマイナス電圧が印加されて色粒子群30Mが付着している様子を示している。
【0049】
図7(a)の状態から、原稿読取りのために、表面電極11上の白色の粒子群30Wを移動させるには、図7(b)に示すように、表面電極11と裏面補助電極22の間に交流電圧を印加して交番電界を発生させる。この交番電界により、帯電した粒子(粒子群30W、粒子群30M)は、矢印A方向に移動して、表面補助電極13または裏面電極21a、21b上に付着する。ここでは、表面補助電極13および裏面電極21a、21bを高インピーダンス(Hi−Z)状態としているので、これらの電極上には2種類の粒子がランダムに付着する。
【0050】
上記の動作において、図7(c)に示すように、表面補助電極13に、例えば、マイナス電圧を印加しておけば色粒子群30Mが付着し、一方、裏面電極21a、21bにプラス電圧を印加しておけば白色の粒子群30Wが付着する。
【0051】
図7(b)または図7(c)の状態から、例えば、表面電極11上に白色の粒子群30Wを移動して付着させて図7(a)の状態にするには次のようにする。表面補助電極13と裏面補助電極22の間に交流電圧を印加して交番電界を発生させる。この交番電界により、粒子群は矢印B方向に振動するが、表面電極11にプラス電圧を印加しておくことで白色の粒子群30Wが付着し、裏面電極21a、21bにマイナス電圧を印加しておくことで色粒子群30Mが付着する。
【0052】
この第5の実施の形態によれば、粒子群を振動させながら表面電極11に移動させ、または、表面電極11から拡散させることができるので、粒子群の高速移動が可能となる。
【0053】
(画像読取装置1のシェーディング補正動作、画像読取動作)
図8は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置1のシェーディング補正動作および画像読取動作を示すフローチャートである。
【0054】
まず、黒基準補正を行なう。光源50をOFFにして筐体2の内部を無照明の状態にすることで、受光部70により黒基準データを取得してこれに基づいて黒基準補正を行ない(S1)、黒基準データをデータ格納部80に格納する(S2)。
光源50をONにして照明点灯を行う(S3)。白粒子を光路に移動し(S4)光源50からの反射光を受光部70により受光して白基準読み取りを行ない(S5)、白基準データをデータ格納部80に格納する(S6)。
【0055】
次に、各色表示を行なう(S7)。第1〜5の実施の形態で示した方式によりカラー基準データを取得する色の粒子群を表面電極11上に移動させて付着させる。各色基準色読み取りを行ない(S8)、各色基準データをデータ格納部80に格納する(S9)。必要な色を格納できたかを判断し、できてない場合はS7に戻り、できている場合は次のステップに進む(S10)。
【0056】
第1〜5の実施の形態で示した方式により粒子をセンサ光路から除去し(S11)、原稿搬送を開始(S12)して原稿読み取りを行なう(S13)。データ格納部80の各補正データから階調値算出を算出(S14)し、これに基づいて原稿階調データを生成してデータ処理部90に出力する(S15)。
【0057】
他に原稿あるかどうかを判断(S16)し、ある場合は、光源温度、経過時間、機器センサ情報収集(S17)の結果に基づいて再補正必要かどうかを判断する(S18)。再補正必要の場合は補正色決定を行ないS7に戻り、再補正の必要がない場合はS12に戻る。S16において他に原稿がない場合は、一連のシェーディング補正動作および画像読取動作を終了する。
【0058】
本発明は、上記の各実施の形態に限られず、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記の各実施の形態ではスキャナに適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、複写機、プリンタ又はファクシミリに適用しても勿論よく、複写機、プリンタ,スキャナ及びファクシミリ等のうち少なくも2つを組み合わせてなる複合機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…画像読取装置、2…筐体、3…原稿配置面、4…原稿、10…表面基板、11…表面電極、12…空乏部、13…表面補助電極、20…裏面基板、21a、21b…裏面電極、22…裏面補助電極、30、30W、30Y、30M、30C…粒子群、40…光シャッタ駆動回路、50…光源、60…集光レンズ、70…受光部、80…データ格納部、90…データ処理部、100…光シャッタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極を備え、透光性を有する第1の基板と、
前記第1の基板と所定の間隔を設けて対向して配置され、第2の電極を備えた第2の基板と、
前記第1及び第2の基板間に封入され、互いに色が異なる所定の帯電極性を有する複数種類の粒子群と、
前記第1及び第2の電極間に電圧を制御して印加する制御部と、
前記第2の基板側から前記第1の基板の前記原稿読取面に向って光を照射する光源と、
前記光源からの反射光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズで集光された光を受光する受光部と、を有し、
前記第1の電極は、前記第1の基板上において前記光源から照射される光の光路上に設けられていると共に、前記第2の電極は、前記光源からの反射光の光路を遮らない位置で前記第2の基板上に設けられていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記原稿の読取り時には前記複数種類の粒子群のすべてを前記第1の電極から前記第2の電極へ移動させる制御を行ない、カラー基準データの取得時には前記複数種類の粒子群のうちの少なくとも1種類の粒子を前記第1の電極に移動させる制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第1の電極は、前記反射光の前記光路の一部を遮らない位置で前記第1の基板上に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1の電極および第2の電極は、透明電極であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記集光レンズは、前記原稿の読取り幅に亘って複数のロッドレンズを有するロッドレンズアレイであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第1の基板および前記第2の基板は、それぞれ交番電界を発生させる補助電極を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1及び第2の電極間に交流電圧を制御して印加することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−10026(P2011−10026A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151312(P2009−151312)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】