説明

画像読取装置

【課題】異物回収部から簡単、容易に異物を排出できるようにする。
【解決手段】画像読取装置本体900と、前記本体900に回動開閉可能にヒンジで連結された原稿搬送装置901とを含む画像読取装置9において、原稿搬送装置901内の原稿両面を読み取るための第2読取部に付着する紙粉等の異物を除去し、且つ、除去した異物を簡単、容易に、効率よく排出することができるようにする。原稿搬送装置901に第2読取部に滞留する異物を清掃する清掃部材96及び清掃部材96により第2読取部から除去される異物を回収する異物回収部97を設け、異物回収部97を原稿搬送方向を横切る方向にヒンジ側へ延設し、ヒンジ側に異物排出用開口部とその蓋体を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、画像記録装置などに用いられるシートスルー方式の、自動原稿搬送装置が搭載された画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートスルー方式とは、所定の画像読取位置上を略一定速度で搬送される原稿の画像を直接或いはミラーを介して画像読取センサで読取る方式であり、現在シート状原稿の画像読取方式として主流となっている。
【0003】
なお、シートスルー方式を採用する画像読取装置でも、厚手の原稿等の画像を読み取るために原稿を載置する所謂原稿台ガラス等による原稿載置面が併設されているのが一般的である。原稿載置面上の画像を読取る際には例えば画像読取センサが原稿載置面の読取基準位置から−定速度で移動する。このような読取部構成は、シートスルー方式で原稿画像を読み取る読取部構成と一部を共通にしているのが一般的である。
【0004】
また近年、原稿搬送の安定性、装置の小型化、両面画像読取による高生産性の観点から、原稿搬送路に臨む第1の画像読取部の下流に第2の画像読取部を直列状に配置し、搬送される原稿の両面の画像を第1画像読取部及び第2画像読取部で略同時的に読み取る方式(以下、「Dual Scan 」ということがある。)が急速に広く採用されつつある。
【0005】
このようなDual Scan の画像読取の場合、画像読取装置の省スペース化を図るため、第2の画像読取部にはコンタクトイメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor) を用いるのが主流である。CISは、撮像素子の一つで、構造が簡単で薄型化が可能であり、CCDと比べて消費電力が低いセンサとして知られているものである。
【0006】
ところで、原稿画像を安定的に、忠実に読み取るためにはシェーディング(光量補正)が必要であるが、CISを利用した前記第2の画像読取部(画像読取センサ)は固定配置されているのが一般的であるから、固定配置されたCIS利用の第2の画像読取部に原稿搬送路を間にしてシェーディング面を形成する必要がある。
【0007】
その場合、シエーディング面が常時原稿搬送路に露出しているとシェーディング面自体に原稿に起因して紙粉等の異物が付着して該シエーディング面が汚染されてしまう。
そこでシエーディング面は、原稿搬送時以外のタイミングで選択的に第2の画像読取部に対向するように、例えば回転可能な軸上に形成されることがある。
【0008】
また、原稿画像を安定的に、忠実に読み取るためには、第2画像読取部に堆積、付着して画像ノイズを発生させる、原稿等に起因する紙粉等の異物の定期的な清掃が必要である。そのため原稿搬送路を挟んだ第2画像読取部の対向部位に清掃ブラシ等の清掃部材を例えば回転可能に配置して比較的頻繁に第2画像読取部の清掃が行われる。
【0009】
前記清掃部材とシェーディング面を同一軸上に形成して省スペース化を図ることも試みられている。
【0010】
さらに、第2の画像読取部から前記清掃部材により除去された紙粉等の異物は、清掃部材の下方に設けられた異物回収部に回収される。
回収部に回収される異物は、そのまま放置すると、再び画像読取部上に飛散、流出したり、吸湿して画像読取装置部品の錆発生の原因ともなるので、定期的に異物回収部から排出してしまわなければならない。
【0011】
これらの点についは、例えば特開2004−48184号公報に、第2画像読取部の対向部位にシェーディング面併設の清掃ブラシを設けるとともに該ブラシの下方に、着脱可能に紙粉等の異物の回収部を設け、異物回収部の底面に粘着シートを貼着して紙粉等の異物の画像読取部への飛散、流出を防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−48184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特開2004−48184号公報に記載された異物回収部は、画像読取部の下方に通紙幅全体に亘って設置されたものであり、その回収部全体を着脱可能としたものである。この異物回収部から紙粉等を排出しようとするときには、回収部全体を両手で操作しなければならない。また、原稿搬送装置の画像読取装置本体に対する開閉支点軸と原稿の搬送方向とが直交関係に設定されているのが一般的であるから、異物回収部を取り外すために原稿搬送装置を開くと、異物回収部は傾斜し、異物回収部の異物回収用開口から紙粉等が飛散、漏出しやすく、原稿台ガラス等で提供されている原稿載置面等を紙粉等で汚染してしまわないよう細心の注意が必要となる。これらにより、異物排出のための異物回収部の取り外し作業はとても煩わしい作業となっている。
【0014】
異物回収部の底に貼着される粘着シートは、表層が紙粉等で覆われてしまえば、また覆われずとも時間経過で粘着力が消失して、期待する異物捕捉効果を発揮させることができない。
【0015】
さらに発展型として異物回収部内の紙粉等の異物を自動的に機外に排出する機構を搭載することも考えられるが、それでは原稿搬送装置の構成が複雑化するとともに重量が増加し、原稿搬送装置自体の開閉操作性を損なうことになってしまう。
【0016】
紙粉は主として原稿を供給するために捌くときに発生し、捌き部材は通常、原稿供給ローラ等に対向して原稿搬送方向を横切る原稿幅方向の中央部に対して設けられているから、紙粉は前記異物回収部の中央部に集中堆積することが多い。従って、異物回収部の中央部に異物排出口を形成しておけばよいように思われるが、実際には、厚手の原稿や大判原稿等の画像読取のために原稿載置面が使われることも多々あり、その度ごとに原稿搬送装置が開閉され、そのときの異物回収部の傾斜により回収部内の異物が回収部の片側に偏ってしまいがちになり、異物回収部の中央部に異物排出口を形成しておいても異物の取り出しや排出は難しい。
【0017】
そこで本発明は、画像読取装置本体と、前記画像読取装置本体に回動開閉可能にヒンジ連結された原稿搬送装置とを含み、前記画像読取装置本体は原稿の第1面画像を読み取るための第1読取部を含んでおり、前記原稿搬送装置は、開閉により前記第1読取部を開放又は被覆可能であり、前記原稿の第2面画像を読み取る第2読取部、前記第2読取部に滞留する異物を清掃する清掃部材及び前記清掃部材により前記第2読取部から除去される異物を回収する異物回収部を含んでおり、前記第1読取部を覆った状態で前記原稿を前記1読取部に搬送通過させ、さらに前記前記第2読取部に搬送通過させることができる画像読取装置であって、構造の複雑化を招くことなく、前記異物回収部から簡単、容易に異物を排出することができ、ひいてはそれだけ紙粉等の異物に起因する筋状ノイズ等の画像ノイズが抑制された状態で安定的に原稿画像を読み取ることができる画像読取装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は前記課題を解決するため、
画像読取装置本体と、前記画像読取装置本体に回動開閉可能にヒンジ連結された原稿搬送装置とを含んでおり、前記画像読取装置本体は原稿の第1面画像を読み取るための第1読取部を含んでおり、前記原稿搬送装置は、開閉により前記第1読取部を開放又は被覆可能であり、前記原稿の第2面画像を読み取る第2読取部、前記第2読取部に滞留する異物を清掃する清掃部材及び前記清掃部材により前記第2読取部から除去される異物を回収する異物回収部を含んでおり、前記第1読取部を覆った状態で前記原稿を前記1読取部に搬送通過させ、さらに前記前記第2読取部に搬送通過させることができる画像読取装置であって、前記異物回収部は異物回収用開口及び前記清掃部材の下方に配置された、異物の自重による流出を防ぐ底部を有しているとともに、前記底部の前記ヒンジ側の部位に異物排出用開口部を有している画像読取装置を提供する。
【0019】
本発明に係る画像読取装置によると、異物回収部には前記清掃部材により前記第2読取部から除去される異物を受ける底部があり、該底部に異物排出用開口部が設けられており、その異物排出用開口部は、原稿搬送装置を画像読取装置本体に対してヒンジにより開いたときに低い位置をとるヒンジ側部位に設けてあるから、前記清掃部材により前記第2読取部から除去されて前記異物回収用開口から前記異物回収部内に回収される紙粉等の異物は、原稿搬送装置を画像読取装置本体から開くことでヒンジ側へ移動し、堆積することがあっても画像読取装置構造の格別な複雑化を招くことなく、異物排出用開口部から簡単、容易に取り出すことができる。
【0020】
かくして、異物回収部に回収された異物が再び異物回収用開口から飛散、漏洩して第2読取部へ再付着したり、画像読取装置の他の部分に付着したりすることが抑制され、それだけ紙粉等の異物に起因する筋状ノイズ等の画像ノイズが抑制された状態で安定的に原稿画像を読み取ることができる。
【0021】
前記原稿搬送装置により搬送可能な原稿のうち最大幅の原稿(原稿搬送方向を横切る方向の原稿幅が最大の原稿)が第2読取部を通過するときに該第2読取部に付着することがある紙粉等についても、それが前記清掃部材により除去されれば回収できるようにしておくことが好ましい。
【0022】
そこで本発明に係る画像読取装置においては、例えば、前記異物回収部の異物回収用開口は前記原稿搬送装置の原稿搬送方向を横切る方向に搬送可能な原稿の最大幅以上に延びている場合を挙げることができる。
【0023】
また、前記原稿搬送装置を前記画像読取装置本体に回動開閉可能に連結する前記ヒンジの開閉軸は該原稿搬送装置による原稿搬送方向とは交わらない方向に延びている場合を例示できる。この場合、異物回収部の原稿搬送方向を横切る方向の長さの略全体にわたって回収される異物を原稿搬送装置の画像読取装置本体に対する開閉ごとにヒンジ側、従って前記異物排出用開口部の方へ移動、集中させることができ、異物の回収部からの排出をそれだけ効率的に行える。
【0024】
前記異物回収部の底部の前記異物を受ける内面を、前記原稿搬送装置を前記画像読取装置本体に閉じた状態で、前記ヒンジの開閉軸方向を横切る方向において前記ヒンジ側へ向かって下り傾斜させておけば、一層効率よく異物回収部内の紙粉等を該回収部のヒンジ側へ寄せ集めることができ、排出を容易化できる。
【0025】
異物回収部内に回収された異物が、原稿搬送装置の開閉により一層容易に異物排出開口部の方へ移動するように、異物回収部の前記底部の内面に低摺動抵抗化(低摩擦抵抗化)のための表面処理を施してもよい。そのような処理として、摺動抵抗の低い(摩擦抵抗の低い)高分子シートの貼着、フッソ系樹脂等の摺動抵抗の低い樹脂のコーティング等を例示できる。
前記異物回収部の底部の異物排出用開口部は該開口部に着脱可能の蓋体で閉塞可能としてもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によると、画像読取装置本体と、前記画像読取装置本体に回動開閉可能にヒンジ連結された原稿搬送装置とを含み、前記画像読取装置本体は原稿の第1面画像を読み取るための第1読取部を含んでおり、前記原稿搬送装置は、開閉により前記第1読取部を開放又は被覆可能であり、前記原稿の第2面画像を読み取る第2読取部、前記第2読取部に滞留する異物を清掃する清掃部材及び前記清掃部材により前記第2読取部から除去される異物を回収する異物回収部を含んでおり、前記第1読取部を覆った状態で前記原稿を前記1読取部に搬送通過させ、さらに前記前記第2読取部に搬送通過させることができる画像読取装置であって、構造の複雑化を招くことなく、前記異物回収部から簡単、容易に異物を排出することができ、ひいてはそれだけ紙粉等の異物に起因する筋状ノイズ等の画像ノイズが抑制された状態で安定的に原稿画像を読み取ることができる画像読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る画像読取装置の1例を採用した画像形成装置の1例を示す図である。
【図2】図1に示される画像読取装置の原稿搬送装置の要部構造を示す図である。
【図3】図2に示す原稿搬送装置においてその一部を開いた状態を示す図である。
【図4】図1に示す画像形成装置を図1と同じ側から見てブロック図的に示す図である。
【図5】図1に示す画像形成装置を図1において左側から見てブロック図的に示す図である。
【図6】図1に示す画像形成装置を図1において左側から見て、画像読取装置の原稿搬送装置を開いてブロック図的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に本発明に係る画像読取装置の1例を採用した画像形成装置の1例を示す。
図1に示す画像形成装置は、プリンタ部分10とそれに搭載された画像読取装置9を含んでいる。この画像形成装置は複写機、プリンタ、ファクシミリ機等として利用できる所謂複合機である。
【0029】
画像読取装置9は画像読取装置本体900とそれに搭載された自動原稿搬送装置901とを含んでいる。
【0030】
図4は図1に示す画像形成装置を図1と同じ側から見てブロック図的に示す図であり、図5は図1に示す画像形成装置を図1において左側から見てブロック図的に示す図であり、図6は図1に示す画像形成装置を図1において左側から見て、画像読取装置9の原稿搬送装置901を画像読取装置本体100に対して上方へ開いてブロック図的に示す図である。
【0031】
プリンタ部分10は、それとは限定されないが、ここでは画像読取装置9で原稿から読み取られた画像情報、外部コンピュータ、フアクシミリ機等から送信されてくる画像情報等に基づいて、電子写真方式により記録用紙Sにトナー画像を形成することができるものである。
【0032】
プリンタ部分10は、画像形成部11、画像形成部下方の用紙供給部12、画像形成パス13を有している。画像形成部11は図示省略のベルト駆動部により回転駆動され駆動ローラd1と対向ローラd2に巻き掛けられて図中反時計方向αに回転駆動可能の中間転写ベルト111を含んでおり、該ベルトに沿ってベルト走行方向にイエロー画像形成ユニットY、マゼンタ画像形成ユニットM、シアン画像形成ユニットC及びブラック画像形成ユニットKがこの順序で配置されている。
【0033】
各色担当の画像形成ユニットは、画像読取装置9からの画像情報や、図示省略の外部コンピュータや外部ファクシミリ機等から送信されてくる画像情報に基づいて、電子写真方式により感光体PC上に担当色画像に対応する静電潜像を形成し、該潜像を担当色トナーで現像してトナー像を形成し、これを図示省略の電源から1次転写バイアスが印加される1次転写ローラtrでベルト111上に1次転写することができる。
【0034】
画像形成ユニットを用いて画像形成するにあたっては、四つの画像形成ユニットのうちいずれか一つを用いてモノクロトナー像を形成することもできるし、二つ以上の画像形成ユニットを用いてカラー画像を形成することもできる。二つ以上の画像形成ユニットを用いる場合には、それら画像形成ユニットで形成される各色トナー像はベルト111上で重ねられるタイミングでベルト111に1次転写される。
【0035】
画像形成部11はさらに、中間転写ベルト111の回転方向においてブラック画像形成ユニットKの下流側で該ベルトに臨む2次転写ローラ112及びその上方に配置された定着装置113も含んでいる。
【0036】
前記のようにベルト111上に1次転写されるトナー像は、図示省略の電源から2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ112により、画像形成パス13に沿って搬送されてくる用紙Sに2次転写される。
【0037】
画像形成すべき用紙は用紙供給部12から供給される。
用紙供給部12は、カセット受入れ部に取り出し可能に装着された給紙カセット120に予め積載収容された用紙Sをピックアップローラ123で上層のものから引き出し、これを給紙ローラ121と捌きローラ122で捌いて、給紙ローラ121により1枚ずつレジストローラ131へ供給するものである。
【0038】
用紙供給部12から供給されてくる用紙は画像形成パス13の入口に位置するレジストローラ131に突き当てられて一旦停止され、画像形成部13において用紙の所定位置に画像形成が可能になるタイミングでレジストローラ131により画像形成パス13へ送り込まれる。
【0039】
このようにして用紙に2次転写されたトナー像は、定着装置113により加熱加圧下に定着され、用紙とともに排出トレイ15へ排出される。
【0040】
画像読取装置9は既述のとおり、画像読取装置本体900と、それに搭載された自動原稿搬送装置901を含んでいる。
画像読取装置本体900は既に知られているもので、図1に示すように、原稿画像をシートスルー方式(流し撮り方式)で読み取るための原稿台ガラスg1及び原稿をその上に静止配置して読み取る大きい面積の原稿台ガラスg2を有している。さらに、これらガラスg1、g2の下方に走査ユニットU1、U2、レンズを含む光学系901及び撮像素子902を含んでいる。
【0041】
走査ユニットU1はガラスg1又はg2を通して原稿を照らす照明ランプL及び原稿からの画像情報を含む反射光をユニットU2へ導くミラーm1を含んでいる。走査ユニットU2はユニットU1からの光を折り返すミラーm2、m3を含んでいる。ミラーm3からの光は複数枚のレンズからなる光学系901を介して光電変換撮像素子(本例ではCCDを含む素子)902へ導かれ、撮像素子902において原稿画像が結像され読み取られる。
【0042】
ガラスg1を用いて流し撮り方式で原稿画像を読み取るときは、図1に示す位置に走査ユニットU1、U2を静止させる。ガラスg2に原稿を載置して読み取るときは、図示省略の駆動機構で走査ユニットU1、U2を、その読み取りのための基準位置におき、両ユニットを副走査方向へ、ユニットU2の速度がユニットU1の速度の2分の1となるように移動させ、原稿から撮像素子902までの光路長さを一定にして移動させる。
【0043】
なお、画像読取装置本体900は以上の構成に限定されるものではなく、それ自体知られた画像読取センサをガラスg1に対して定位置に配置したり、その画像読取センサをガラスg2に対して所定の位置から一定速度で移動させて原稿画像を読み取る方式等のものでもよい。
【0044】
図4〜図6から分かるように、自動原稿搬送装置901は、画像読取装置本体900に開閉可能にヒンジHで連結されており、原稿台ガラスg1、g2のある面を開閉できるカバーとしても機能する。ヒンジHの回動中心軸(開閉用軸)hsは原稿搬送装置901による原稿搬送方向とは交わらない方向β(図4参照)に、換言すれば、図1及び図4において左右方向に延びている。
【0045】
自動原稿搬送装置901は、原稿載置トレイ91、原稿載置トレイ91下方の原稿排出トレイ92及び原稿載置トレイ91から原稿押さえ部94が臨むガラスg1のある第1読取部A(図2、図3参照)及び第2読取部Bを経て原稿排出トレイ92へ原稿を案内するための原稿搬送路93を有している。
【0046】
原稿搬送路93に沿って次のローラが順次配置されている。
原稿載置トレイ91上の原稿を取り込むための原稿繰り出しローラ(ピックアップローラ)Pr、
ローラPrにより引き出され、繰り出された(ピックアップされた)原稿を奥へ供給する供給ローラR1、
供給ローラR1により供給された原稿の斜行を修正するためのレジストローラR2、
レジストローラR2から供給される原稿を第1読取部Aの原稿押さえ部94と原稿台ガラスg1との間に通過させ、さらにDual Scan のために第2読取部Bに通過させるための、原稿押さえ部94の両側に配置された原稿読み取り前ローラR3及び原稿読み取り後ローラR4並びに第2読取部Bの下流側の搬送ローラR5、
原稿読み取りが終わった原稿を原稿排出トレイ92へ排出する排出ローラDrである。
【0047】
原稿押さえ部94は原稿を画像読取装置本体900のシートスルー(原稿流し撮り)用原稿台ガラスg1に沿わせ搬送するように搬送中の原稿を位置決めする。また、本例では表層がブラシで構成されており、回動してガラスg1に付着した紙粉等を清掃するものでもある。
【0048】
原稿載置トレイ91上の原稿を取り込むためのローラのうち繰り出しローラ(ピックアップローラ)Prは、トレイ91上に載置された原稿が、図示省略の昇降駆動部にてトレイ前端部911が上昇することでローラPrに接触すると該原稿をピックアップして次段の供給ローラR1へ渡す。
【0049】
供給ローラR1には捌きローラR1’が対向配置されている。捌きローラR1’は複数枚の原稿が搬送されてくると停止し、その間の供給ローラR1の回転により原稿を1枚ずつ捌き供給させるものである。
【0050】
繰り出しローラPr、供給ローラR1及びレジストローラR2等は、図示省略のモータを含むローラ駆動機構にて原稿を原稿読み取り前ローラR3へ搬送するように回転駆動することができる。但し、レジストローラR2については、供給ローラR1によって供給される原稿先端がレジストローラR2に衝突し、原稿先端に弛みが生じてから回転駆動開始される。これにより原稿の斜行が修正される。
【0051】
原稿読み取り前ローラR3、原稿読み取り後ローラR4、搬送ローラR5及び排出ローラDrも、図示省略のモータを含むローラ駆動機構にて原稿を排出トレイ92へ排出するように回転駆動することができる。
【0052】
第2読取部BはDual Scan の画像読取のために設けられたものである。読取部Bは画像読取センサSEを含んでいる。画像読取センサSEはコンタクトイメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor) である。
【0053】
原稿搬送路を間にしてセンサSEに対向する部位に、原稿画像を安定的に、忠実に読み取るためのシェーディング(光量補正)用の軸棒95が配置されている。この軸棒95は紙粉等の異物を受け入れる異物回収部97に収められ、中心軸950で回動可能に支持されている。軸棒95及びこれを収容支持する回収部97は、図5及び図6に示すように原稿搬送装置901による原稿搬送方向を横切る方向に、図1において手前側から奥側へ(ヒンジH側へ)、図5及び図6において右側から左側(ヒンジH側へ)へ長く延びている。
【0054】
軸棒95はその一部が中心軸線方向に切断除去されており、そこにセンサSEに付着することがある紙粉等の異物を除去清掃するための清掃部材(本例では清掃ブラシ)96が突設されている。清掃部材96も図1において手前側から奥側へ(ヒンジH側へ)長く配設されている。
【0055】
軸棒95、清掃ブラシ96、回収部97等を含む、全体として読取センサSEへ原稿を案内する部分は、読取センサSEの読取ガラスSEgの清掃やジャム処理等のために、図3に示すように支点軸970sを中心に揺動させて開閉させることができる。
【0056】
ガラスg1のある第1読取部Aを通って第1面画像が読み取られる原稿は、さらに第2読取部Bを通過することで反対側の第2面の画像も読み取られる。第2読取部Bへ搬送されてくる原稿は読取センサSEの読取ガラスSEgとシェーディング用軸棒95の間の隙間を通過し、原稿の画像が読取センサSEにより読み取られる。読取ガラスSEgと軸棒95の隙間は、図示省略のピッチリング、スペーサー等により一定の範囲に保たれ、読取センサSEの焦点深度内を原稿が通過するように保たれている。
【0057】
シェーディング用軸棒95の曲周面は原稿の通過時に使用する通紙面のエリア951とシェーディング時に使用するシェーディング面のエリア952に分けて使用している(図2、図3参照)。異物回収部97は読取センサSEに臨む紙粉等の異物回収用開口971を有している。開口971は搬送可能な原稿の最大幅以上にわたって回収部の長手方向に開口している。
【0058】
軸棒95のエリア951、952及び清掃ブラシ96は、回収部の開口971から読取センサSEに臨むことができる。通常は通紙面エリア951がセンサガラスSEgに対して露出されるが、シェーディング時にはシェーディング軸95が手動或いは図示省略の駆動部により回転せしめられ、シェーディング面エリア952がセンサSEに対して露出される。
【0059】
また、例えば原稿を通す直前又は原稿の間に適宜シェーディング軸棒95を回すことで読取センサSEのガラス面SEgに付着した紙粉等の異物の除去清掃を行うことができる。センサSEから除去された異物は異物回収部97内へその開口971から回収される。
【0060】
紙粉等異物の回収部97には回収された紙粉等がその自重により堆積する底部972があり、該底部972のヒンジH側の端部には異物排出用開口部973が形成されており、該開口部はそれに着脱可能の蓋体974により閉じておくことができる。回収部97からの異物排出はこの蓋体974を取り外し行う(図5、図6参照)。
蓋体974は例えば粘着性のテープ或いは紙粉排出用開口部973との嵌合などにより着脱可能とされる。
【0061】
異物回収部97の底部972の異物を受ける内面は、ヒンジH側へ角度θ下り傾斜させてある。また、該内面には、摩擦抵抗を低減させ、紙粉等がヒンジ側へ移動し易いように高分子シート(例えば高分子ポリエチレンシート)を貼着してある。なお、該内面には低摩擦化のためのフッ素系樹脂等をコーティングしてもよい。
【0062】
異物排出用開口部973は、原稿搬送装置901を画像読取装置本体900に対してヒンジHにより開いたときに低い位置をとるヒンジ側部位に設けてあるから、清掃ブラシ96により第2読取部Bから除去されて異物回収用開口971から回収部97内に回収される紙粉等の異物は、原稿台ガラスg2への原稿のセットやジャム処理等のために原稿搬送装置901を画像読取装置本体900から開くとヒンジH側へ移動し、回収部97内に堆積することがあっても、画像読取装置構造の格別な複雑化を招くことなく、蓋体974を開いて異物排出用開口部973から簡単、容易に、効率的に取り出すことができる。
【0063】
既述のとおり異物回収部97の底部972の異物を受ける内面は、ヒンジH側へ角度θ下り傾斜させてあるから、また、該内面には摩擦抵抗を低減させる高分子シートを貼着してあるから、この点でも、紙粉等の異物は容易に回収部97の排出開口部973の方へ移動し、効率良く取り出し排出できる。
【0064】
また、原稿搬送装置901を本体900に対して閉じているときでも、異物回収部97の底部972の異物を受ける内面は、ヒンジH側へ角度θ下り傾斜させてあから、また、該内面には摩擦抵抗を低減させる高分子シートを貼着してあるから、振動等によりヒンジH側へ、ひいては排出開口部973側へ移動し易い。
【0065】
これらにより、異物回収部97に回収された異物が再び異物回収用開口971から飛散、漏洩して第2読取部Bへ再付着したり、画像読取装置9の他の部分(例えば原稿台ガラスg2)に付着したりすることが抑制され、それだけ紙粉等の異物に起因する筋状ノイズ等の画像ノイズが抑制された状態で安定的に原稿画像を読み取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、画像読取装置本体と、画像読取装置本体に回動開閉可能にヒンジ連結された原稿搬送装置とを含み、原稿搬送装置内の原稿両面を読み取るDual Scan のための第2読取部に付着する紙粉等の異物を除去し、且つ、除去した異物を簡単、容易に、効率よく排出することができる画像読取装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0067】
10 プリンタ部分
9 画像読取装置
900 画像読取装置本体
901 自動原稿搬送装置
H ヒンジ
hs ヒンジの回動軸
A 第1読取部
B 第2読取部
95 シェーディンディング用軸棒
96 清掃ブラシ
97 異物回収部
971 異物回収用開口
972 回収部の底部
973 異物排出用開口部
974 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置本体と、前記画像読取装置本体に回動開閉可能にヒンジ連結された原稿搬送装置とを含んでおり、前記画像読取装置本体は原稿の第1面画像を読み取るための第1読取部を含んでおり、前記原稿搬送装置は、開閉により前記第1読取部を開放又は被覆可能であり、前記原稿の第2面画像を読み取る第2読取部、前記第2読取部に滞留する異物を清掃する清掃部材及び前記清掃部材により前記第2読取部から除去される異物を回収する異物回収部を含んでおり、前記第1読取部を覆った状態で前記原稿を前記1読取部に搬送通過させ、さらに前記前記第2読取部に搬送通過させることができる画像読取装置であり、
前記異物回収部は異物回収用開口及び前記清掃部材の下方に配置された、異物の自重による流出を防ぐ底部を有しているとともに、前記底部の前記ヒンジ側の部位に異物排出用開口部を有していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記異物回収部の異物回収用開口は前記原稿搬送装置の原稿搬送方向を横切る方向に搬送可能な原稿の最大幅以上に延びている請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記原稿搬送装置を前記画像読取装置本体に回動開閉可能に連結する前記ヒンジの開閉軸は該原稿搬送装置による原稿搬送方向とは交わらない方向に延びている請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記異物回収部の底部の前記異物を受ける内面は、前記原稿搬送装置を前記画像読取装置本体に閉じた状態で、前記ヒンジの開閉軸方向を横切る方向において前記ヒンジ側へ向かって下り傾斜している請求項1、2又は3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記異物回収部の底部の前記異物を受ける内面には低摺動抵抗化のための表面処理が施されている請求項1から4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記異物回収部の底部の異物排出用開口部は該開口部に着脱可能の蓋体で閉塞可能である請求項1から5のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−19394(P2012−19394A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155810(P2010−155810)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】