説明

画像読取装置

【課題】原稿の互いのズレ量が小さい場合でも重送を検出できるようにする。
【解決手段】画像読取装置10は、搬送ローラ25A〜25G、第1画像読取ユニット30、第2画像読取ユニット40、及び制御部50を備える。搬送ローラ25A〜25Gは、原稿を搬送する。第1画像読取ユニット30及び第2画像読取ユニット40は、搬送ローラ25A〜25Gによって搬送される原稿の画像を読み取って画像データを生成する。制御部50は、第1画像読取ユニット30及び第2画像読取ユニット40が生成した画像データに基づいて原稿の重送を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原稿を搬送しつつ原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の中には、原稿の画像の読み取りを効率化するために、原稿の片面の画像の自動的な読み取りを可能とするSPF(Single Pass Feeder)や両面の画像の自動的な読み取りに対応したDSPF(Duplex Single Pass Feeder)といった自動原稿搬送装置(ADF:AutomaticDocument Feeder)を備えたものがある。
【0003】
ADFにおいて複数枚の原稿が重なって搬送される重送が発生すると、ユーザが画像読取時には重送に気付かずに後になって原稿の画像の一部が欠落していることに気付いた場合は、その気付いた時には原稿を入手不可能な状況になっているという問題が生じることがある。
【0004】
そこで、搬送される原稿の先端及び後端を検出する原稿検出センサを備え、先端から後端までの長さに対応する先端検出時から後端検出時までの通過時間が、原稿サイズに応じて予め設定された所定範囲内であるか否かに基づいて、重送を検出する画像読取装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−104578公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の従来の画像読取装置において、通過時間が所定値と比較されるのではなく、所定範囲内にあるか否かを判定されるのは、規定サイズの用紙であってもその長さには多少の誤差があり、この誤差を考慮したためであると考えられる。
【0007】
このため、従来の画像読取装置では、原稿の重送が発生した場合であっても、重なった原稿の互いのズレ量が所定範囲内であれば、重送を検出することができない。
【0008】
この発明の目的は、原稿の互いのズレ量が小さい場合でも重送を検出できる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の画像読取装置は、搬送部、画像読取部、及び制御部を備える。搬送部は、原稿を搬送する。画像読取部は、搬送部によって搬送される原稿の画像を読み取って画像データを生成する。制御部は、画像読取部が生成した画像データにおける原稿搬送方向の端部の余白領域の後に検出された画像に基づいて原稿の重送を検出する。
【0010】
ワープロ機能を有する装置で作成された文書がプリンタによって用紙に印刷される場合、印刷することができない余白領域が用紙の端部に存在する。近年は、このようなワープロ機能を有する装置やプリンタの普及が著しく、ワープロ機能を有する装置で作成された文書がプリンタによって印刷された用紙を原稿にして、コピーを行うといった状況が多く見られる。
【0011】
このような原稿に重送が発生した場合であって、例えば、画像読取部に対する近傍側の第1原稿が先行し、遠方側の第2原稿が後行する場合、原稿搬送方向において第1原稿の後端部の余白領域の下流側に第2原稿の画像が検出されることがある。また、遠方側の第2原稿が先行し、近傍側の第1原稿が後行する場合、原稿搬送方向において第2原稿の先端部の余白領域の次に第2原稿の画像が検出され、さらに第1原稿の先端部の余白領域が検出されることがある。このため、重なった原稿の互いのズレ量が所定範囲内であっても、画像読取部が生成した画像データにおける原稿搬送方向の端部の余白領域の後に検出された画像が上述のいずれかの状態である場合は、重送が発生したと判定することができる。
【0012】
上述の構成において、制御部は、原稿搬送方向において原稿の後端部の所定長さ以上の余白領域の下流側に画像を検出した場合に原稿の重送が発生したと判定するように構成することができる。
【0013】
原稿搬送方向において原稿の後端部の所定長さ以上の余白領域の下流側に画像が検出された場合は、画像読取部に対する近傍側の第1原稿が先行して遠方側の第2原稿が後行する状態で複数の原稿が重送され、原稿搬送方向において第1原稿の後端部の余白領域の下流側に第2原稿の画像が検出されたものと考えることができる。よって、重なった原稿の互いのズレ量が所定範囲内であっても、画像読取部が生成した画像データにおける原稿搬送方向の後端部の余白領域の後に検出された画像に基づいて重送を検出できる。
【0014】
また、制御部は、原稿搬送方向において原稿の先端部の所定長さ以上の余白領域の次に画像を検出し、さらに所定長さ以上の余白領域を検出した場合に、原稿の重送が発生したと判定するように構成することができる。
【0015】
原稿搬送方向において原稿の先端部の所定長さ以上の余白領域の次に画像が検出され、さらに所定長さ以上の余白領域を検出された場合は、画像読取部に対する遠方側の第2原稿が先行して近傍側の第1原稿が後行する状態で複数の原稿が重送され、第2原稿の先端部の余白領域の次に第2原稿の画像が検出され、さらに第1原稿の先端部の余白領域が検出されたものと考えることができる。よって、重なった原稿の互いのズレ量が所定範囲内であっても、画像読取部が生成した画像データにおける原稿搬送方向の先端部の余白領域の後に検出された画像に基づいて重送を検出できる。
【0016】
さらに、画像読取部は、原稿の第1面の画像を読み取る第1画像読取ユニット、及び原稿の第2面の画像を読み取る第2画像読取ユニットを含み、制御部は、第1画像読取ユニットが生成した第1面画像データ及び第2画像読取ユニットが生成した第2面画像データの両方に基づいて原稿の重送を検出するように構成することができる。
【0017】
第1画像読取ユニットに対する近傍側の第1原稿が先行して遠方側の第2原稿が後行する状態で複数の原稿が重送された場合であっても、第2原稿の印刷可能領域のうちの後端部に画像が形成されていない場合は、第1面画像データにおいては第1原稿の後端部の余白領域の下流側に第2原稿の画像が検出されないことになる。しかし、このような場合であっても第1原稿及び第2原稿がともに両面に画像を形成されたものである場合は、第2画像読取ユニットが生成した第2面画像データにおいて、第1原稿の先端部の余白領域の次に第1原稿の画像が検出され、さらに第2原稿の先端部の余白領域が検出されることがある。よって、第1面画像データ及び第2面画像データの両方に基づいて判定することで、より精度よく重送を検出することができる。
【0018】
また、原稿搬送路のうち少なくとも画像読取部の読取領域は、搬送される原稿の地色とは異なる色を有し、制御部は、画像データに基づいて原稿サイズを検出するように構成することができる。原稿搬送路と異なる色を検出した場合に原稿の先端を検出したと判定することができ、また、原稿の地色から原稿搬送路の色に変化した位置を原稿の後端と判定することができる。同様に、原稿搬送路の色と原稿の地色との差異によって原稿の幅方向の端部を検出し、幅寸法を検出することができる。よって、原稿の先端から後端までの長さ及び幅寸法に基づいて、原稿サイズを検出することができる。したがって、原稿サイズを検出するための専用のセンサを備える必要がなくなり、部品点数をさらに抑制することができる。
【0019】
さらに、制御部は、原稿の重送を検出した場合にエラー通知データを出力し、エラー通知データに基づいて原稿の重送の発生を通知する通知部を備えるように構成することができる。
【0020】
原稿の重送が検出された場合に、重送が発生した旨を表示部へ表示することによる視覚的通知若しくはスピーカからの音声通知、又は、原稿搬送等の画像読み取り動作を搬送部に中止させる動作的通知を行うことで、ユーザに重送の発生を即座に通知することができる。重送の発生をユーザに即座に通知することで、長時間重送に気付かずに原稿を入手不可能な状況になることを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、原稿の互いのズレ量が小さい場合でも重送を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図2】画像読取装置の概略の構成図である。
【図3】画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】制御部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】第1画像読取ユニットに対する近傍側の第1原稿が先行して遠方側の第2原稿が後行する状態を第1画像読取ユニット側から見た図である。
【図6】第1画像読取ユニットに対する遠方側の第2原稿が先行して近傍側の第1原稿が後行する状態を第1画像読取ユニット側から見た図である。
【図7】制御部の処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、装置本体110、及び自動原稿搬送装置(ADF:Automatic Document Feeder)20を備えている。
【0024】
ADF20は、装置本体110の上に配置されている。
【0025】
装置本体110は、第1画像読取ユニット30、画像形成部120、及び給紙部130を備えている。
【0026】
第1画像読取ユニット30は、装置本体110の上部に配置されており、上面に第1原稿台31及び第2原稿台32を備えている。第1原稿台31及び第2原稿台32の上面は、ADF20によって開閉自在にされている。ADF20及び第1画像読取ユニット30によって画像読取装置10が構成されている。
【0027】
画像形成部120は、4個の画像形成ステーション121A,121B,121C,121D及び用紙排紙トレイ122を備え、画像読取装置10が原稿の画像を読み取って生成した画像データ又は外部から入力した画像データに基づいて、用紙に多色又は単色の画像を形成する。用紙として、普通紙、印画紙、OHPフィルム等のシート状の記録媒体が挙げられる。
【0028】
給紙部130は、給紙カセット131及び手差しトレイ132を備えている。給紙カセット131及び手差しトレイ132には、それぞれ用紙が収容されている。給紙部130は、画像形成部120へ1枚ずつ用紙を供給する。
【0029】
図2に示すように、第1画像読取ユニット30は、第1原稿台31、第2原稿台32、光源ユニット33、ミラーユニット34、レンズ35、及び第1CCD(Charge Coupled Device)36を備え、原稿の第1面の画像を読み取って画像データを生成する。
【0030】
ADF20は、原稿積載トレイ21、原稿排出トレイ22、原稿搬送路23、給紙ローラ24、複数の搬送ローラ25A,25B,25C,25D,25E,25F,25G、及び第2画像読取ユニット40を備えている。第1画像読取ユニット30及び第2画像読取ユニット40は、画像読取部に含まれる。
【0031】
原稿搬送路23は、原稿積載トレイ21から第2原稿台32の上面を経由して原稿排出トレイ22へ至るようにU字状に形成されている。原稿積載トレイ21には、原稿が載置されているか否かを検出する図示しない原稿有無検出センサが設けられている。給紙ローラ24、及び搬送ローラ25A〜25Gは、原稿を搬送する搬送部を構成し、原稿搬送路23に沿って配置されている。
【0032】
ADF20は、原稿搬送路23において原稿を1枚ずつ搬送する。ADF20は、第1原稿台31の上面を開閉自在に被覆するように、背面側端部を装置本体110に軸支されることで前面側端部が上下方向に回動するように構成されている。前面側端部が上方に移動するようにADF20を回動させて第1原稿台31の上面を露出させることにより、ADF20を用いずに手動操作によって第1原稿台31に原稿を載置することができる。
【0033】
第1原稿台31及び第2原稿台32は、ともに硬質ガラス板によって構成されている。
【0034】
光源ユニット33及びミラーユニット34は、第1原稿台31及び第2原稿台32の下方において、第1原稿台31及び第2原稿台32に沿って副走査方向に移動自在に構成されている。ミラーユニット34の移動速度は、光源ユニット33の移動速度の1/2である。光源ユニット33は、光源331及び第1ミラー332を搭載している。光源331は、拡散光を発する。ミラーユニット34は、第2ミラー341及び第3ミラー342を搭載している。
【0035】
ADF20によって搬送される原稿の画像を読み取る搬送原稿読取モード時に、光源ユニット33は、第2原稿台32の下方に停止している。第2原稿台32は、原稿搬送路23の一部を構成している。
【0036】
光源331の光は、第2原稿台32を通して原稿搬送路23内へ向けて照射される。原稿搬送路23中を原稿が搬送される際は、光源331の光は第2原稿台32上を通過する原稿の第1面に照射され、原稿の第1面における反射光が第1ミラー332によってミラーユニット34へ向けて反射される。
【0037】
第1原稿台31に載置された原稿の画像を読み取る固定原稿読取モード時には、光源ユニット33及びミラーユニット34は、第1原稿台31の下方を副走査方向に移動する。光源331の光は、第1原稿台31上に載置された原稿の第1面に向けて照射され、原稿の第1面における反射光が第1ミラー332によってミラーユニット34へ向けて反射される。
【0038】
ADF20を用いるか否かに拘らず、原稿の第1面における反射光は、光路長を一定にして、第2ミラー341及び第3ミラー342によってレンズ35を経由して第1CCD36に入射する。
【0039】
第1CCD36は、原稿の第1面における反射光の光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、制御部50に画像データとして入力される。このようにして、第1画像読取ユニット30は、原稿の第1面の画像を読み取って画像データを生成する。制御部50は、必要に応じて画像データを画像形成部120へ出力する。
【0040】
第2画像読取ユニット40は、原稿搬送路23によって上下及び一方の側方を囲まれるように、ADF20に内蔵されている。第2画像読取ユニット40は、原稿搬送方向において、第2原稿台32の下流側で、原稿の第1面の反対側の面である第2面の画像を読み取って画像データを生成する。第2画像読取ユニット40が生成した画像データは、制御部50へ入力される。
【0041】
第2画像読取ユニット40は、光源41、第1ミラー42、第2ミラー43、第3ミラー44、第4ミラー45、レンズ46、第2CCD47を備えている。原稿搬送路23のうち光源41と対向する箇所の壁面は、硬質ガラス板のような透明材料で形成された読取レンズ26で構成されている。
【0042】
光源41は、拡散光を発する。光源41から発せられた光は、読取レンズ26を通して原稿搬送路23内へ向けて照射される。原稿の第2面で反射された光は、第1ミラー42、第2ミラー43、第3ミラー44、第4ミラー45によって反射され、レンズ46を通して第2CCD47に入射する。第2CCD47は、第1CCD36と同様に、入射した光を光電変換して画像データとして制御部50へ出力する。
【0043】
図3に示すように、画像形成装置100は、制御部50を備えている。搬送原稿読取モード時に、制御部50は、給紙ローラ24及び搬送ローラ25A〜25Gを駆動させることで、原稿積載トレイ21に積載された原稿を、1枚ずつ原稿搬送路23を経由して原稿排出トレイ22へ搬送する。原稿が原稿搬送路23を経由する過程で第1画像読取ユニット30及び第2画像読取ユニット40が画像データを生成し、画像データを制御部50へ出力する。
【0044】
制御部50が必要に応じて画像データを画像形成部120へ出力すると、給紙部130が用紙を1枚ずつ画像形成部120へ供給し、画像形成部120が画像データに基づいて用紙に画像を形成する。なお、この実施形態では画像読取装置10に搭載された制御部50が画像形成装置100の各部を統括的に制御するが、画像形成装置100の各部を統括的に制御する主制御部を画像読取装置10以外の部分に備え、制御部50は画像読取装置10のみを制御するように構成することもできる。
【0045】
次に、原稿の第1面のみに画像が形成されている場合の重送検出処理について説明する。
【0046】
ここで、ワープロ機能を有する装置で作成された文書がプリンタによって用紙に印刷される場合、印刷することができない余白領域が用紙の端部に存在する。近年は、このようなワープロ機能を有する装置やプリンタの普及が著しく、ワープロ機能を有する装置で作成された文書がプリンタによって印刷された用紙を原稿にして、コピーを行うといった状況が多く見られる。ここでは、ワープロ機能を有する装置で作成された文書がプリンタによって印刷された用紙を、原稿とすることを想定している。また、原稿搬送方向において、余白領域の大きさは、規定サイズの用紙で形成された原稿の長さの誤差の大きさよりも小さいことを前提としている。
【0047】
図4に示すように、制御部50は、画像読取要求があると(S1)、原稿積載トレイ21から原稿を1枚ずつ給紙し、第1画像読取ユニット30に、第2原稿台32上を搬送される原稿の第1面の画像を読み取らせて第1面画像データを生成させる(S2)。
【0048】
図5に示すように、制御部50は、第1画像読取ユニット30が生成した第1面画像データに基づいて、重送検出処理を実行する(S3)。具体的には、制御部50は、第1面画像データに基づいて、原稿搬送方向91において原稿60の後端部の所定長さL1以上の余白領域61の下流側に画像71を検出した場合に、原稿60,70の重送が発生したと判定する。なお、制御部50は、重送を検出するにあたって、余白領域61及び画像71が、原稿60,70のいずれのものであるかを認識できる必要はない。
【0049】
図5では、第1画像読取ユニット30に対する近傍側の第1原稿60が先行して遠方側の第2原稿70が後行する状態を想定している。
【0050】
原稿搬送方向91において原稿60の後端部の所定長さ以上の余白領域61の下流側に画像71が検出された場合は、第1画像読取ユニット30に対する近傍側の第1原稿60が先行して遠方側の第2原稿70が後行する状態で複数の原稿60,70が重送され、原稿搬送方向91において第1原稿60の後端部の余白領域61の下流側に第2原稿70の画像71が検出されたものと考えることができる。よって、第1画像読取ユニット30に対する近傍側の第1原稿60が先行して遠方側の第2原稿70が後行する場合の原稿60,70の重送を、第1面画像データにおける原稿搬送方向91の後端部の余白領域61の後に検出された画像71に基づいて検出することができる。したがって、原稿60,70の互いのズレ量が所定範囲内という小さい値であっても重送を検出することができる。
【0051】
また、原稿60,70の画像を読み取るための第1画像読取ユニット30によって重送を検出できるので、重送を検出するための専用の検出部を備える必要がなくなり、部品点数を抑制できる。このため、画像読取装置10をコンパクト化することができる。
【0052】
一例として、プリンタによってA4サイズの用紙を長手方向に搬送しながら用紙に画像を形成した場合の用紙搬送方向における用紙の端部の余白領域の最小値が3mmであるとすると、原稿サイズがA4で長手方向に搬送される場合の余白領域61の最小値は3mmであり、長さL1は3mmに設定される。長さL1として、原稿サイズに応じた値が予め設定される。
【0053】
原稿搬送路23のうち少なくとも第1画像読取ユニット30による読取領域は、搬送される原稿60,70の地色とは異なる色を有し、制御部50は、第1面画像データに基づいて原稿サイズを検出するように構成されることが好ましい。原稿搬送路23と異なる色を検出した場合に原稿60,70の先端を検出したと判定することができ、また、原稿60,70の地色から原稿搬送路23の色に変化した位置を原稿60,70の後端と判定することができる。同様に、原稿搬送路23の色と原稿60,70の地色との差異によって原稿60,70の幅方向の端部を検出し、幅寸法を検出することができる。よって、原稿60,70の先端から後端までの長さ及び幅寸法に基づいて、原稿サイズを検出することができる。したがって、原稿サイズを検出するための専用のセンサを備える必要がなくなり、部品点数を抑制することができる。なお、原稿60,70の先端、後端、及び両側端を検出するための端部検出センサを備えるように構成することもできる。
【0054】
原稿として使用される用紙が規定サイズの用紙であってもその長さには多少の誤差がある。しかし、画像読取装置10では、制御部50は、原稿サイズに基づいて先端部を基準とした長さから、後端部であると考えられる位置の誤差範囲内に少なくとも一部が含まれるように所定長さL1以上の余白領域61を検出し、この余白領域61の下流側に画像71を検出することで、重送が発生したと判定する。上述のように、原稿の後端部には余白領域61があるはずであり、重送が発生していない場合は、この余白領域61の下流側に画像71が検出されるはずがない。よって、第1原稿60の後端部の所定長さL1以上の余白領域61の下流側に画像71を検出した場合に、原稿60,70の重送が発生したと判定することができる。
【0055】
重送検出条件において余白領域61の長さを長さL1以上とすることで、原稿60が印刷可能領域の中の最も下端側まで画像形成されておらず余白領域61が大きい場合でも、重送を検出することができる。一方、余白領域61は原稿サイズに応じた所定長さL1以上形成されるはずなので、所定長さL1以上の余白領域61を検出することで、原稿60の後端部に形成された余白領域61であることが精度よく検出される。
【0056】
また、図6に示すように、制御部50は、第1面画像データに基づいて、原稿搬送方向91において原稿70の先端部の所定長さL2以上の余白領域72の次に画像71を検出し、さらに所定長さL3以上の余白領域62を検出した場合にも、原稿60,70の重送が発生したと判定する。
【0057】
図6では、第1画像読取ユニット30に対する遠方側の第2原稿70が先行して近傍側の第1原稿60が後行する状態を想定している。
【0058】
原稿搬送方向91において原稿70の先端部の所定長さL2以上の余白領域72の次に画像71が検出され、さらに所定長さL3以上の余白領域62が検出された場合は、第1画像読取ユニット30に対する遠方側の第2原稿70が先行して近傍側の第1原稿60が後行する状態で複数の原稿60,70が重送され、第2原稿70の先端部の余白領域72の次に第2原稿70の画像71が検出され、さらに第1原稿60の先端部の余白領域62が検出されたものと考えることができる。よって、重なった原稿60,70の互いのズレ量が所定範囲内であっても、第1画像読取ユニット30に対する遠方側の第2原稿70が先行して近傍側の第1原稿60が後行する場合の原稿60,70の重送を、第1画像読取ユニット30が生成した第1面画像データに基づいて検出することができる。
【0059】
制御部50は、重送が発生したことを検出すると(S4)、エラー通知データを出力する(S5)。画像読取装置10は、エラー通知データに基づいて原稿60,70の重送の発生を通知する通知部80を備える。例えば、通知部80として、表示部が挙げられる。
【0060】
重送が検出された場合に、重送が発生した旨を表示部へ表示することによる視覚的通知を行うことで、ユーザに重送の発生を即座に通知することができる。重送の発生をユーザに即座に通知することで、長時間重送に気付かずに原稿60,70を入手不可能な状況になることを防止することができる。なお、スピーカからの音声通知、又は、原稿搬送等の画像読み取り動作を搬送部に中止させる動作的通知を行うことでユーザに重送の発生を通知することもでき、これらの場合は、スピーカや搬送部が通知部として機能する。
【0061】
ユーザは、重送が発生した場合でも画像読取処理を続行させることもできる。
【0062】
制御部50は、重送を検出した場合であっても、画像読取処理の続行指示が入力された場合であって(S6)、次に画像読取処理を実行すべき原稿がある場合は(S7)、S2の処理へ戻って次の原稿の画像読取処理を行う。
【0063】
制御部50は、重送を検出した場合であって画像読取処置の続行指示ではなく中止指示が入力された場合、及び続行指示が入力された場合であっても次に画像読取処理を実行すべき原稿が無い場合は、画像読取処理を中止して、次の画像読取要求を待機する。
【0064】
図7に示すように、制御部50は、第1画像読取ユニット30が生成した第1面画像データ、及び第2画像読取ユニット40が生成した第2面画像データの両方に基づいて原稿60,70の重送を検出することもできる。
【0065】
ここでは、第1画像読取ユニット30に対する近傍側の第1原稿60が先行して遠方側の第2原稿70が後行する状態を想定する。図5は、第1画像読取ユニット30側から原稿60,70を見た状態を示す。
【0066】
制御部50は、画像読取要求があると(S1)、原稿積載トレイ21から原稿を1枚ずつ給紙し、第1画像読取ユニット30に、原稿搬送路23を搬送される原稿の第1面の画像を読み取らせて第1面画像データを生成させ、第2画像読取ユニット40に、原稿の第2面の画像を読み取らせて第2面画像データを生成させる(S2)。
【0067】
制御部50は、図5に示すように、第1画像読取ユニット30が生成した第1面画像データに基づいて、重送検出処理を実行する(S3)。図5に示す例では、制御部50は、原稿搬送方向91において原稿60の後端部の所定長さL1以上の余白領域61の下流側に画像71を検出することで、原稿60,70の重送が発生したと判定する。
【0068】
制御部50は、第1面画像データに基づいて重送が発生したことを検出すると(S4)、エラー通知データを出力する(S5)。
【0069】
制御部50は、第1面画像データに基づいた重送検出処理では重送が検出されなかった場合には、第2面画像データに基づいて重送検出処理を実行する(S8)。
【0070】
第2面画像データに基づく重送検出処理は、上述の第1面画像データに基づく重送検出処理と同様にして行うことができるが、ここでは、第1画像読取ユニット30に対する近傍側の第1原稿60が先行して遠方側の第2原稿70が後行する状態を想定しているので、第2面画像データに基づく重送検出処理は、第1原稿60と第2原稿70との先行後行が反対であることを除いて図6を用いて説明した場合と同様にして行うことができる。
【0071】
制御部50は、図6を用いて説明した場合と同様にして、第2面画像データに基づいて、原稿搬送方向91において原稿60の先端部の所定長さ以上の余白領域の次に画像を検出し、さらに所定長さ以上の余白領域を検出した場合に、原稿60,70の重送が発生したと判定する。
【0072】
制御部50は、第2面画像データに基づいて重送が発生したことを検出すると(S9)、エラー通知データを出力する(S5)。
【0073】
第1画像読取ユニット30に対する近傍側の第1原稿60が先行して遠方側の第2原稿70が後行する状態で複数の原稿60,70が重送された場合であっても、第2原稿70の印刷可能領域のうちの後端部に画像が形成されていない場合は、第1面画像データにおいては第1原稿60の後端部の余白領域61の下流側に第2原稿70の画像71が検出されないことがある。しかし、このような場合であっても第1原稿60及び第2原稿70がともに両面に画像を形成されたものである場合は、第2画像読取ユニット40が生成した第2面画像データにおいて、第1原稿60の先端部の余白領域の次に第1原稿60の画像が検出され、さらに第2原稿70の先端部の余白領域が検出されることがある。よって、第1面画像データ及び第2面画像データの両方に基づいて判定することで、より精度よく重送を検出することができる。
【0074】
原稿の第2面の画像を読み取るための第2画像読取ユニット40によっても重送を検出できるので、重送を検出するための専用の検出部を備える必要がなくなり、部品点数を抑制できる。
【0075】
また、画像読取要求にしたがって全ての原稿の画像読取処理を終了した結果、生成された画像データが1枚であれば、複数の原稿の全てが1度に重送されたか、又は、原稿が1枚でスリップしたかのいずれかであることが検出される。
【0076】
なお、図5に示すように、第1画像読取ユニット30が生成した第1面画像データに基づいて、原稿搬送方向91において原稿60の後端部の所定長さL1以上の余白領域61の下流側に画像71を検出した場合に、原稿60,70の重送が発生したと判定する処理を、第1重送判定処理と呼ぶ。図6に示すように、第1面画像データに基づいて、原稿搬送方向91において原稿70の先端部の所定長さL2以上の余白領域72の次に画像71を検出し、さらに所定長さL3以上の余白領域62を検出した場合に、原稿60,70の重送が発生したと判定する処理を、第2重送判定処理と呼ぶ。制御部50は、第1重送判定処理及び第2重送判定処理の少なくともいずれか一方を実行することで、原稿60,70の重送を検出するように構成することもできる。
【0077】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
10 画像読取装置
20 ADF
24 給紙ローラ(搬送部)
25A〜25G 搬送ローラ(搬送部)
30 第1画像読取ユニット(画像読取部)
40 第2画像読取ユニット(画像読取部)
50 制御部
60,70 原稿
61,62,72 余白領域
71 画像
80 通知部
91 原稿搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部と、
前記画像読取部が生成した画像データにおける原稿搬送方向の端部の余白領域の後に検出された画像に基づいて原稿の重送を検出する制御部と、を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記原稿搬送方向において原稿の後端部の所定長さ以上の余白領域の下流側に画像を検出した場合に原稿の重送が発生したと判定する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、原稿搬送方向において原稿の先端部の所定長さ以上の余白領域の次に画像を検出し、さらに所定長さ以上の余白領域を検出した場合に、原稿の重送が発生したと判定する、請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像読取部は、原稿の第1面の画像を読み取る第1画像読取ユニット、及び原稿の第2面の画像を読み取る第2画像読取ユニットを含み、
前記制御部は、前記第1画像読取ユニットが生成した第1面画像データ及び前記第2画像読取ユニットが生成した第2面画像データの両方に基づいて原稿の重送を検出する、請求項1から3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
原稿搬送路のうち少なくとも前記画像読取部の読取領域は、搬送される原稿の地色とは異なる色を有し、
前記制御部は、画像データに基づいて原稿サイズを検出する、請求項1から4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御部は、原稿の重送を検出した場合にエラー通知データを出力し、
前記エラー通知データに基づいて原稿の重送の発生を通知する通知部を備える、請求項1から5のいずれかに記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−115596(P2013−115596A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259682(P2011−259682)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】