説明

画質評価方法およびプログラム

【課題】圧縮前のオリジナル画像を必要とせずに、画像圧縮装置の画質評価を行う。
【解決手段】携帯電話機1付属カメラによりグラデーションチャートを撮影して得た評価用圧縮画像Sを、伸張部12により伸張して評価用復元画像S1を取得する。エッジ検出部14は、評価用復元画像S1に生じたエッジの強度E0を検出する。規格化部16は、評価用復元画像S1の画像サイズおよび視覚濃度レンジによりエッジ強度E0を規格化して規格化エッジ強度E1を得ると共に、この規格化エッジ強度E1を画質評価の基準値として該当する携帯電話機1の画質を評価する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画質評価方法、具体的にはオリジナル画像をブロック化した後に直交変換符号化処理によって圧縮を行う画像圧縮装置の画質を評価する画質評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル画像データ(以下略して画像データという)に対してサービスを提供する様々なシステムが出現している。例えば、ネガフィルムをスキャナでスキャンして得たもの、デジタルカメラにより撮影して得たものなどの画像データの保存、管理を行うシステムや、画像データに対して、望ましい画質になるように画質補正処理を行ってプリントするプリントサービスシステムなどがある。
【0003】
一方、コンピュータなどの端末装置の低価格化およびネットワーク技術の進歩に伴って、インターネットが急激に普及する背景において、上述した様々なシステムの殆どはネットワークを介してサービスを提供している。
【0004】
例えば、上述したプリントサービスシステムとしては、ユーザが端末装置を用いてサーバ装置にアップロードした画像データに対して画質補正処理を行ってからネットワークにより接続されたミニラボなどのプリンタに出力してプリントアウトさせる構成や、画質補正処理を施した画像データをサーバ装置において保持して、保持場所を示すURLなどのアドレスだけをミニラボなどに送信し、ミニラボからアクセスされた時に、プリント対象となる画像データをダウンロードさせる構成などがあるが、サーバ装置と端末装置との間、サーバ装置とプリントアウトを行うプリンタとの間の画像データの受渡しは、ネットワークを介して行われている。
【0005】
また、移動通信の分野において、携帯電話などの携帯端末の普及および携帯端末の機能の充実に伴って、携帯端末を対象とする画像サービスも盛んに行われている。例えば、携帯端末同士間の電子メールを中継する際に、送信側の携帯端末から送信された電子メールに添付された画像データに対して、階調補正や、ホワイトバランス補正、濃度補正、シャープネス処理などの画質補正処理を行ってから受信側の携帯端末に送信したり、受信側の携帯端末が添付ファイルを受信できない場合、画質補正処理を施した画像データを保持して、該画像データの保持場所を示すURLなどのアドレスだけを受信側の携帯端末に送信して、後に受信側の携帯端末からのアクセスを受け付けたときダウンロードさせたりするなど、画質補正機能を有する通信中継サーバ装置がある。これらのサーバ装置も、ネットワークを介して携帯端末と画像データの受渡しを行うものである。
【0006】
一方、ネットワークを介して画像データを受渡しする際、通信時間の短縮など、端末装置およびネットワークの負担を軽減するように、これらの画像データは圧縮して送信される。特に携帯電話機などの携帯端末の場合には、携帯端末付属のカメラで撮影して得た画像データの殆どは他の携帯端末装置またはコンピュータなどに送信されるので、送信される際の容量制限が厳しいため、高圧縮されてから携帯電話機の記憶部に保存されるようになっている。
【0007】
上述した背景および画像データを記憶する記録媒体の容量制限などの理由から、デジタルカメラによって被写体を撮像することによって得られた画像データや、フィルムをスキャナなどによって読み取ることにより得られた画像データは、通常、圧縮されて記録媒体に記録される。
【0008】
片方、画像データを圧縮する方法としては、画像データを所定の画素数毎(例えば8×8)にブロック化した後、離散コサイン変換(DCT)などの直交変換を行うと共に符号化する方法がJPEGを代表として業界基準となりつつあり、デジタルカメラなどにより取得して記録媒体に記録された画像データが殆どこの方法で圧縮されている。この方法で圧縮された画像を伸張して得た復元画像のブロックとブロックの境目には、オリジナル画像に存在しない線、すなわち圧縮の際のブロック化によるブロックノイズが発生する問題がある。このブロックノイズは、ブロック間のデータが異なることから、その発生を完全に防止することは不可能である。しかし、復元画像の画質を良くするためには、ブロックノイズを極力少なくする必要があり、復元画像のブロックノイズの多少が画像圧縮装置の画質評価の1つの基準となっている。
【0009】
ブロックノイズを定量的に把握し、画像圧縮装置の画質評価を行う方法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、圧縮前のオリジナル画像と、復元画像とに対して、夫々エッジ検出処理を施して夫々のエッジ数を得、この2つのエッジ数の差の大小によって画質評価する方法が提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−125545号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、画像圧縮装置の画質評価を行うために、画像を圧縮する前のオリジナル画像が必要である。携帯電話機付属のデジタルカメラなどの場合は、被写体を撮影して得たオリジナル画像を保存せずに、圧縮した後の圧縮画像しか記録媒体に記録されないため、このようなオリジナル画像を入手できない場合、特許文献1に記載された方法では、画像圧縮装置の画質評価を行うことができない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、オリジナル画像を必要とせず、圧縮画像のみを用いて画像圧縮装置の画質評価を行うことが可能な画質評価方法およびそのためのプログラムを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の画質評価方法は、オリジナル画像を所定の画素数毎にブロック化した後に直交変換符号化処理を行って圧縮画像を取得する画像圧縮装置の画質評価方法であって、
グラデーションを撮像して得た評価用オリジナル画像から、前記画像圧縮装置により評価用圧縮画像を取得し、
前記評価用圧縮画像を伸張して評価用復元画像を取得し、
前記評価用復元画像に対してエッジ検出処理を施してエッジ強度を取得し、
前記エッジ強度に基づいて、前記画像圧縮装置の画質を評価することを特徴とするものである。
【0014】
すなわち、本発明の画質評価方法は、グラデーションにエッジがないことを利用し、このグラデーションを撮影して得たオリジナル画像(評価用オリジナル画像)に対して、画像圧縮装置により圧縮を行って評価用圧縮画像を得、この評価用圧縮画像を伸張して得た評価用復元画像に生じたエッジの強度(エッジ強度)、すなわち、画像圧縮装置による圧縮に起因するエッジ強度を取得して該エッジ強度に基づいて画像圧縮装置の画質評価を行うものである。
【0015】
ここで、グラデーションとしては例えばグラデーションチャートを用いることができる。
【0016】
また、エッジ強度としては、例えばエッジ数を用いることができる。
【0017】
また、ブロックノイズが、画像の縦と横の両方向に現れるものであるので、評価用復元画像に対してエッジ検出処理を行うとき、縦方向と横方向とに夫々伸びるエッジを検出し、その強度の和を評価用復元画像のエッジ強度とするようにすることが望ましい。
【0018】
グラデーションには元々エッジがなく、画像圧縮装置によって圧縮を行って得た評価用圧縮画像の復元画像に生じたエッジ強度そのものでも、画像圧縮装置の画質を評価する基準とすることができるので、本発明の画質評価方法において、評価用復元画像に生じたエッジ強度が大きいほど、その画像圧縮装置による画質劣化が激しいように画質評価を行うようにしてもよい。一方、評価用オリジナル画像の画像サイズが大きければ、その評価用復元画像に生じるエッジ強度が大きい傾向にあるので、本発明の画質評価方法において、前記評価用オリジナル画像の画像サイズにより前記エッジ強度を規格化し、規格化した前記エッジ強度を用いて前記評価を行うことが好ましい。なお、画像サイズとは、画像の画素数を意味し、この画素数は、圧縮、伸張処理などによって変化するものではなく、評価用オリジナル画像と、評価用圧縮画像と、評価用復元画像とは、同じ画像サイズを有するので、本発明において、「評価用オリジナル画像の画像サイズ」は、評価用圧縮画像の画像サイズまたは評価用復元画像サイズと同じ意味で用いる。
【0019】
本発明の画質評価方法は、オリジナル画像を必要とせず、評価用オリジナル画像を圧縮、伸張して得た評価用復元画像を用いて画像圧縮装置の画質を評価するものであり、特にオリジナル画像を取得することができないデジタルカメラ(例えば、携帯電話機付属のデジタルカメラ)の画質評価、より具体的にはこれらのデジタルカメラ内の圧縮処理を行う部分(本発明の画像圧縮装置に相当する)の画質評価に効果を発揮することができる。デジタルカメラの撮像部により所定の撮像条件でグラデーションを撮影して得た画像を評価用オリジナル画像とし、デジタルカメラ内部の画像圧縮装置により該画像を圧縮して得た出力画像を本発明の評価用圧縮画像とするようにして、本発明の画質評価方法はデジタルカメラに適用することができる。
【0020】
また、デジタルカメラの機種によって、同じ撮像条件で同じグラデーションを撮像しても、取得した評価用圧縮画像の階調レンジが異なる場合がある。例えば、8ビットの画像を取得するデジタルカメラの場合、同じ撮像条件で同じグラデーションを撮像して得た評価用圧縮画像の階調レンジが機種によって、10〜240であったり、30〜220であったりする可能性があり、階調レンジが広いほど、ブロックノイズが目立つ傾向にあるので、本発明の画質評価方法は、評価用圧縮画像の階調レンジを取得し、この評価用圧縮画像の階調レンジにより前記エッジ強度を規格化し、規格化したエッジ強度を用いて画質評価を行うことが好ましい。
【0021】
さらに、デジタルカメラなどにより取得したオリジナル画像を圧縮して得た圧縮画像の復元画像が、モニタなどの再生装置において再生されてユーザの目視により観察されることが殆どであるので、前記評価用圧縮画像を、人間の視覚に最も適した特徴量の範囲、すなわち視覚濃度レンジを取得し、この視覚濃度レンジを用いて前記エッジ強度を規格化して、規格化したエッジ強度を用いて画質評価を行うことが好ましい。なお、視覚濃度レンジとしては、例えば輝度の対数値レンジを用いることができる。
【0022】
本発明のプログラムは、オリジナル画像を所定の画素数毎にブロック化した後に直交変換符号化処理を行って圧縮画像を取得する画像圧縮装置の画質評価処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
グラデーションを撮像して得た評価用オリジナル画像から、前記画像圧縮装置により取得した評価用圧縮画像を伸張して評価用復元画像を取得する伸張処理と、
前記評価用復元画像のエッジ強度を取得するエッジ検出処理と、
前記エッジ強度に基づいて、前記画像圧縮装置の画質を評価する処理とをコンピュータに行わせることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の効果】
本発明の画質評価方法によれば、グラデーションにはエッジがないことを利用し、オリジナル画像をブロック化した後直交変換符号化処理を行うことにより圧縮を行う画像圧縮装置の画質評価を行う際に、グラデーションを撮像して得た評価用オリジナル画像から、画像圧縮装置により取得した評価用圧縮画像を伸張して評価用復元画像を得、この評価用復元画像に対してエッジ検出処理を行って得たエッジの強度に基づいて画像圧縮装置の画質評価を行うようにしているので、画像圧縮装置により圧縮される前のオリジナル画像がなくても、画像圧縮装置の画質を評価することができる。
【0024】
また、評価用復元画像のエッジ強度を画像サイズにより規格化し、規格化したエッジ強度を用いて画像圧縮装置の画質評価を行うようにすると、エッジ強度の多少を影響する要因から画像サイズを取り除くことができ、より客観的に画像圧縮装置の画質を評価することができる。
【0025】
本発明の画質評価方法は、オリジナル画像を必要としないので、圧縮画像しか出力しない、すなわちオリジナル画像を取得することができないデジタルカメラの画質評価に特に効果を発揮することができる。
【0026】
また、評価用復元画像のエッジ強度を階調レンジにより規格化し、規格化したエッジ強度を用いてデジタルカメラの画質評価を行うようにすることによって、異なる階調特性を有するデジタルカメラの画質評価を客観的に行うことができる。
【0027】
また、普通、復元画像は人間の目により観察されるので、階調レンジの代わりに、人間の視覚に最も合う視覚濃度レンジにより評価用復元画像のエッジ強度を規格し、規格化したエッジ強度を用いてデジタルカメラの画質評価を行うようにすることによって、人間の視覚にあった画質評価を行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態となるカメラ付き携帯電話機の画質評価システムの構成を示すブロック図である。図示のように、本実施形態の画質評価システムは、携帯電話機1と、携帯電話機1によりグラデーションチャートを撮影して得た評価用圧縮画像Sを伸張して評価用復元画像S1を得る伸張部12と、伸張部12により得られた評価用復元画像S1に対してエッジ検出処理を行って、評価用復元画像S1のエッジ強度E0を取得するエッジ検出部14と、エッジ検出部14により検出した評価用復元画像S1のエッジ強度E0を、画像サイズおよび視覚濃度レンジで規格化して、規格化エッジ強度E1を取得すると共に、この規格化エッジ強度E1を携帯電話機1の画質評価値とする規格化部16とを備えてなるものである。
【0030】
図2は、図1に示す画質評価システムにおいて、評価用圧縮画像Sを取得するために、携帯電話機1により撮影を行うグラデーションチャートを示す図である。本実施形態の画質評価システムは、グラデーションチャートは元々エッジがないことを利用し、このグラデーションチャートを撮像して得た画像(携帯電話機1の場合、撮像して得たオリジナル画像を出力画像とせず、オリジナル画像を圧縮して得た圧縮画像を出力画像とするので、ここでは、携帯電話機1により撮像して得た画像とは圧縮画像を意味する)の復元画像に生じるエッジ強度に基づいて携帯電話機1、具体的には携帯電話機1において、オリジナル画像に対して圧縮処理を施す圧縮手段の画質を評価する。
【0031】
エッジ検出部14は、伸張部12により評価用圧縮画像Sを伸張して得た評価用復元画像S1におけるエッジ強度E0を検出したものであり、まず、下記の2つの差分フィルタを夫々、評価用復元画像S1を処理する。
【0032】
【数1】



フィルタ(a)、(b)は、夫々縦と横方向のエッジ強度を検出するためのものであり、本実施形態の画質評価システムにおいて、エッジ検出部14は、フィルタ(a)により検出した縦方向のエッジ強度と、フィルタ(b)により検出した横方向のエッジ強度との和を求め、この和を評価用復元画像S1のエッジ強度E0とする。なお、ブロックノイズは、縦と横方向にしか生じないので、検出したエッジ強度E0は、評価用復元画像S1のブロックノイズ数に相当する。
【0033】
また、エッジを検出するフィルタは、差分フィルタに限らず、Sobel、Prewittのフィルタなど、他のエッジ検出フィルタを用いてもよい。
【0034】
規格化部16は、画像サイズおよび輝度レンジを用いて、エッジ検出部14により検出したエッジ強度E0を規格して規格化エッジ強度E1を取得し、この規格化エッジ強度E1を携帯電話機1の画質評価基準とする。具体的には、規格化エッジ強度E1が大きければ、携帯電話機1における圧縮処理に起因するブロックノイズが多く、すなわち画質劣化も著しいように携帯電話機1の画質を評価することができる。
【0035】
まず、画像サイズによる規格化について説明する。
【0036】
携帯電話機1の種類によって、夫々取得する画像のサイズが異なる。ここで、画像サイズとは、携帯電話機1により取得した画像の画素数を意味し、オリジナル画像、該オリジナル画像の圧縮画像、該圧縮画像の復元画像は同じ画素数を有するものである。規格化部16は、評価用復元画像S1の画素数Nを取得して、下記の式(1)によりエッジ強度E0を規格化する。
【0037】
【数2】



次に視覚濃度レンジによる規格化を説明する。
【0038】
デジタルカメラ(携帯電話機付属カメラを含む)の機種が異なれば、同じ撮影条件で同じグラデーションチャートを撮影しても、取得した画像の階調レンジ(以下QLレンジという)が異なる可能性がある。例えば、8ビットの画像を取得するデジタルカメラの場合、同じ撮影条件で同じチャートを撮影して取得した画像(圧縮画像)のQLレンジが、10〜240となる機種もあれば、30〜220となる機種もある。前者、すなわち、QLレンジが大きい方は、ブロックノイズが目立つ傾向にあるので、評価用復元画像のエッジ強度を、このQLレンジで規格化することによって、より正確にデジタルカメラの画質を評価することができる。
【0039】
一方、デジタルカメラなどにより取得された画像は、人間の目により観察されるので、前述したQLレンジを、より人間の視覚に合う特徴量に変換してエッジ強度を規格化することが好ましくて、この人間の視覚にあう特徴量としては、視覚濃度(Dv)とすることができる。
【0040】
また、デジタルカメラにより取得した画像データの多くは、sRGB標準モニタで観察されることを想定して、sRGB標準モニタ表示用に下記の式(2)に示すように変換処理が施されて出力されることが多い。
【0041】
【数3】



ここで、QL(R)、QL(G)、QL(B)は、変換処理された画像のR、G、Bチャンネルの夫々のQL値であり、すなわちデジタルカメラから出力された画像(圧縮画像)のQL値である。
【0042】
そして、この画像は、sRGBモニタで表示されるときに、下記の式(3)に示すようにさらに変換されて表示される。
【0043】
【数4】



このPr、Pg、Pb値は下記の式(4)により三刺激値X、Y、Zに変換することができる。
【0044】
【数5】



式(4)により求められた三刺激値の1つのYは、輝度値であり、下記の式(5)により視覚濃度Dvに変換することができる。
【0045】
【数6】



式(3)〜式(5)を用いて、評価用圧縮画像のQLレンジを視覚濃度レンジに変換することができ、本実施形態の画質評価システムにおいて、規格化部16は、QLレンジを視覚濃度レンジに変換してさらに下記の式(6)によりエッジ強度E0’を規格化する。
【0046】
【数7】



規格化部16は、各々の携帯電話機1の規格化エッジ強度E1が大きい携帯電話機1ほど、その圧縮処理による画質劣化(ブロックノイズの発生)が著しいように、各携帯電話機1の画質を評価する。
【0047】
図3は、本実施形態の画質評価システムの動作を示すフローチャートである。図示のように、本実施形態の画質評価システムは、各携帯電話機1の画質評価を行うのに当たり、まず、各携帯電話機1付属のカメラにより図2に示すグラデーションチャートを撮影して、夫々の携帯電話機1の評価用圧縮画像Sを得る(S10)。次に伸張部12は、評価用圧縮画像を伸張して評価用復元画像S1を得る(S15)。エッジ検出部14は、伸張部12により得られた評価用復元画像S1に対してエッジ検出処理を行って、評価用復元画像S1のエッジ強度E0を取得し(S20)、規格化部16は、エッジ検出部14により検出した評価用復元画像S1のエッジ強度E0を、画像サイズおよび視覚濃度レンジにより規格化して、規格化エッジ強度E1を取得すると共に、この規格化エッジ強度E1を携帯電話機1の画質評価値とする(S30)。
【0048】
このように、本実施形態の画質評価システムによれば、各携帯電話機1により取得したオリジナル画像(圧縮前の画像)を必要とせず、評価用圧縮画像を用いることによいって、各携帯電話機1の画質評価を行うことができる。
【0049】
また、評価用復元画像S1に生じたエッジ強度を画像サイズと視覚濃度レンジにより規格化することによって、より客観的にかつ人間の視覚に合った画質評価を行うことができる。
【0050】
以上、本発明の圧縮装置の画質評価方法の一実施形態について説明したが、本発明の画質評価方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の主旨を変えない限り、様々な変更を加えることができる。
【0051】
例えば、図1に示す画質評価システムにおいて、sRGB標準モニタで復元画像が観察されることを想定して、sRGB標準モニタの階調特性に基づいて評価用復元画像の視覚濃度レンジを求めてエッジ強度の規格化を行っているが、sRGB標準モニタ以外の再生装置(例えば、携帯電話機付属のモニタなど)の特性に応じてこの視覚濃度レンジを求めてエッジ強度を規格化するようにしてもよい。
【0052】
また、図1に示す画質評価システムにおいて、視覚濃度レンジで評価用復元画像のエッジ強度を規格し、より人間の視覚に合った画質評価を図るようにしているが、復元画像を再生する再生装置が不明な場合などに、階調レンジを用いて評価用復元画像のエッジ強度を規格化するようにしてもよい。
【0053】
さらに、様々な種類の再生装置を想定して、複数の規格化エッジ強度を求めるようにし、再生装置の種類に応じた画質評価を行うようにしてもよい。
【0054】
また、評価対象に応じてグラデーションの輝度や変化幅を変えるようにしてもよい。
【0055】
また、評価する画像圧縮装置としても、携帯電話機付属のものに限らず、独立した圧縮装置や、デジタルカメラ付属のものや、スキャナ付属のものや、さらにコンピュータのハードウェアとソフトウェアとの協働によるものなど、オリジナル画像をブロック化した後に直交変換符号化処理を行うことによって画像を圧縮するいかなる画像圧縮装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態となる画質評価システムの構成を示すブロック図
【図2】図1に示す画質評価システムに用いられるグラデーションチャートを示す図
【図3】図1に示す画質評価システムの動作を示すフローチャート
【符号の説明】
1 携帯電話機
12 伸張部
14 エッジ検出部
16 規格化部
S 評価用圧縮画像
S1 評価用復元画像
E0 評価用復元画像から検出したエッジ強度
E1 画像サイズと視覚濃度レンジにより規格化したエッジ強度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナル画像を所定の画素数毎にブロック化した後に直交変換符号化処理を行って圧縮画像を取得する画像圧縮装置の画質評価方法であって、
グラデーションを撮像して得た評価用オリジナル画像から、前記画像圧縮装置により評価用圧縮画像を取得し、
前記評価用圧縮画像を伸張して評価用復元画像を取得し、
前記評価用復元画像に対してエッジ検出処理を施してエッジ強度を取得し、
前記エッジ強度に基づいて、前記画像圧縮装置の画質を評価することを特徴とする画質評価方法。
【請求項2】
前記評価用オリジナル画像の画像サイズにより前記エッジ強度を規格化し、
規格化した前記エッジ強度を用いて前記評価を行うことを特徴とする請求項1記載の画質評価方法。
【請求項3】
前記画像圧縮装置がデジタルカメラの一部であり、
前記評価用オリジナル画像が、前記デジタルカメラの撮像部により所定の撮像条件で前記グラデーションを撮像して得たものであり、
前記画像圧縮装置が、前記撮像部により取得した該評価用オリジナル画像から前記評価用圧縮画像を取得するものであることを特徴とする請求項1または2記載の画質評価方法。
【請求項4】
前記評価用圧縮画像の階調レンジを取得し、
前記階調レンジにより前記エッジ強度を規格化し、
規格化した前記エッジ強度を用いて前記評価を行うことを特徴とする請求項3記載の画質評価方法。
【請求項5】
前記評価用圧縮画像の視覚濃度レンジを取得し、
前記視覚濃度レンジにより前記エッジ強度を規格化し、
規格化した前記エッジ強度を用いて前記評価を行うことを特徴とする請求項3記載の画質評価方法。
【請求項6】
オリジナル画像を所定の画素数毎にブロック化した後に直交変換符号化処理を行って圧縮画像を取得する画像圧縮装置の画質評価処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
グラデーションチャートを撮像して得た評価用オリジナル画像から、前記画像圧縮装置により取得した評価用圧縮画像を伸張して評価用復元画像を取得する伸張処理と、
前記評価用復元画像のエッジ強度を取得するエッジ検出処理と、
前記エッジ強度に基づいて、前記画像圧縮装置の画質を評価する処理とをコンピュータに行わせることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2004−289524(P2004−289524A)
【公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−79573(P2003−79573)
【出願日】平成15年3月24日(2003.3.24)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】