説明

界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法および製造装置

【課題】一層高い品質の界面活性剤含有アルカリ現像液をオンサイトで効率的に製造することが出来る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置を提供する。
【解決手段】界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法においては、純水に界面活性剤を添加して界面活性剤混合液を調製し、更にアルカリ系現像原液を添加する。界面活性剤に添加においては、目標濃度よりも低い界面活性剤濃度の界面活性剤混合液を調製する初期調製工程(A)、界面活性剤混合液中の界面活性剤の濃度を測定する濃度測定工程(B)、界面活性剤の不足量を演算し、不足量の85〜99%の界面活性剤を界面活性剤混合液に供給する濃度調節工程(C)を実行すると共に、測定された濃度値が目標濃度の域値内の値となるまで工程(B)及び工程(C)を繰り返す。そして、界面活性剤の濃度を測定するに当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ現像液の製造方法および製造装置に関するものであり、詳しくは、界面活性剤を含有する例えばポジ型レジスト用のアルカリ現像液をオンサイトで製造するに当たり、一層高い精度に且つ効率的に現像液を製造することが出来る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法および界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製造におけるフォトレジストの現像処理では、濃度が厳密に管理されたアルカリ現像液、例えば、ポジ型レジスト用の現像液であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(THAM)等のアルカリ現像液が使用される。そして、斯かる現像液には、フォトレジストに対する濡れ性を高め、パターンの細部に亙って十分に接触させるため、各種の界面活性剤が添加される。なお、界面活性剤の濃度については、フォトレジストに対する溶解機能を精密に制御すると言う観点から、アルカリ濃度と共に、出来る限り正確に調節される必要がある。
【特許文献1】特開2002−169299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、アルカリ現像液は、大気中の炭酸ガスを吸収し易く、性能の劣化が著しく早いため、昨今、使用現場(オンサイト)で調製される傾向にある。しかしながら、使用現場でアルカリ現像液を製造する場合、界面活性剤の濃度に関しては、十分に管理できないのが実情である。すなわち、界面活性剤の濃度は、表面張力計を利用した測定法によって測定することは出来るが、表面張力計を利用した測定法の場合は、アルカリ現像液を系外に取り出さなければならず、測定中に炭酸ガスを吸収し、アルカリ濃度そのものが変化するため、正確に測定し難いと言う問題がある。しかも、測定に長時間を要するため、測定結果を利用して界面活性剤の添加量を十分に制御できないと言う問題がある。
【0004】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、界面活性剤を含有するアルカリ現像液をオンサイトで製造するアルカリ現像液の製造方法および製造装置であって、現像液中の界面活性剤の濃度をインラインで測定し、一層高い品質のアルカリ現像液を効率的に製造することが出来る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法および界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、上記の課題を解決するため、界面活性剤の濃度測定に当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用することにより、被測定液を空気に接触させることなく、短時間で濃度測定を行う様にした。そして、界面活性剤濃度を目標濃度に調節するに当たり、界面活性剤濃度を目標濃度よりも低い濃度に初期調製し、不足量よりも僅かに少ない量の界面活性剤の供給操作を繰り返す、いわゆる漸近法を適用することにより、界面活性剤濃度を目標濃度に高精度に近づける様にした。
【0006】
すなわち、本発明は3つの要旨から成り、本発明の第1の要旨は、純水に界面活性剤を添加して界面活性剤混合液を調製し、更に当該界面活性剤混合液にアルカリ系現像原液を添加することにより、界面活性剤含有アルカリ現像液を製造方法であって、純水に対する界面活性剤に添加においては、A;所定量の純水に界面活性剤を添加し、予め設定された目標濃度よりも低い界面活性剤濃度の界面活性剤混合液を調製する初期調製工程、B;界面活性剤混合液中の界面活性剤の濃度を測定する濃度測定工程、C;工程(B)で測定された濃度値と目標濃度値の差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し、算出された不足量の85〜99%の界面活性剤を界面活性剤混合液に供給する濃度調節工程を実行し、かつ、測定された濃度値が予め設定された目標濃度の域値内の値となるまで工程(B)及び工程(C)を繰り返すと共に、工程(B)で界面活性剤の濃度を測定するに当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用することを特徴とする界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法に存する。
【0007】
更に、本発明の第2の要旨は、純水にアルカリ系現像原液を添加してアルカリ現像液を調製し、更に当該アルカリ現像液に界面活性剤を添加することにより、界面活性剤含有アルカリ現像液を製造方法であって、アルカリ現像液に対する界面活性剤の添加においては、D;所定量のアルカリ現像液に界面活性剤を添加し、予め設定された目標濃度よりも低い界面活性剤濃度の界面活性剤含有アルカリ現像液を調製する初期調製工程、E;界面活性剤含有アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度を測定する濃度測定工程、F;工程(E)で測定された濃度値と目標濃度値の差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し、算出された不足量の85〜99%の界面活性剤を界面活性剤含有アルカリ現像液に供給する濃度調節工程を実行し、かつ、測定された濃度値が予め設定された目標濃度の域値内の値となるまで工程(E)及び工程(F)を繰り返すと共に、工程(E)で界面活性剤の濃度を測定するに当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用することを特徴とする界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法に存する。
【0008】
また、本発明の第3の要旨は、界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置であって、アルカリ系現像原液と純水と界面活性剤を混合して界面活性剤含有アルカリ現像液を調製する調製槽、当該調製槽にアルカリ系現像原液を供給する原液供給装置、前記調製槽に純水を供給する純水供給装置、前記調製槽に界面活性剤を供給する界面活性剤供給装置、前記調製槽内の液体の界面活性剤濃度を測定する濃度測定装置、ならびに、これらの機器を制御する制御装置を含み、前記濃度測定装置は、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置であり、前記制御装置は、前記調製槽内の液体の界面活性剤濃度を調節する際、最初に目標濃度よりも低い界面活性剤濃度となる様に前記界面活性剤供給装置を作動させて界面活性剤を前記調製槽に供給する機能と、前記濃度測定装置によって測定された調製槽内の液体の界面活性剤の濃度値と予め設定された目標濃度値の差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し、前記界面活性剤供給装置を作動させて界面活性剤の不足量の85〜99%を前記調製槽に供給する機能とを備えていることを特徴とする界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法および製造装置によれば、界面活性剤を添加する操作において、界面活性剤濃度を特定のインライン型濃度測定装置で測定し、しかも、漸近法によって界面活性剤濃度を目標濃度に調節するため、界面活性剤濃度が高精度に調節された一層高品質のアルカリ現像液を効率的にオンサイトで製造することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法の第1の態様における界面活性剤の濃度調節の主要な工程を示すフロー図であり、図2は、第1の態様におけるアルカリの濃度調節の主要な工程を示すフロー図である。また、図3は、本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法の第2の態様におけるアルカリの濃度調節の主要な工程を示すフロー図であり、図4は、第2の態様における界面活性剤の濃度調節の主要な工程を示すフロー図である。そして、図5は、本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置の概要を示す系統図である。なお、以下の説明においては、純水に界面活性剤を添加した界面活性剤混合液を「混合液」と略記し、また、希釈前のアルカリ系現像液の原液を「現像原液」、アルカリ系現像原液を純水希釈したアルカリ現像液を「現像液」、界面活性剤が添加されたアルカリ現像液を「界面活性剤含有現像液」とそれぞれ略記する。
【0011】
先ず、本発明に係る界面活性剤含有現像液の製造方法を説明する。調製する界面活性剤含有現像液は、純水で現像原液を希釈して成り且つ界面活性剤が添加された現像液であり、リン酸ソーダ、苛性ソーダ、ケイ酸ソーダ、その他の無機アルカリ等との混合物から成る無機アルカリ水溶液、有機アルカリ水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液、トリメチルモノエタノールアンモニウムハイドロイドオキサイド水溶液などが挙げられる。本発明において調製用の現像原液としては、例えば、上記の成分の濃度を10〜30重量%程度に設定された水溶液が使用され、希釈用の純水としては、イオン交換樹脂などを使用して分離精製されたいわゆる超純水が使用される。
【0012】
また、添加する界面活性剤としては、ノニオン性、カチオン性の各種の界面活性剤が挙げられる。ノニオン性界面活性剤 としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸モノエステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレンアセチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアセチレングリコール、アルキルリン酸エステル塩などが挙げられる。これらの界面活性剤は、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0013】
また、カチオン性界面活性剤 としては、例えば、モノアルキルアミンとその塩、アルキルトリメチルアミンとその塩、ジアルキルジメチルアミンとその塩、イミダゾリニウムとその塩、アルキルベンジルジメチル四級アンモニウムとその塩、ベンジルピリジニウムとその塩、アルキルピリジニウムとその塩、ポリオキシエチレンアルキルベンジルアンモニウムとその塩などが挙げられる。これらの界面活性剤は、2種以上組み合わせて使用してもよい。更に、上記の様なノニオン性界面活性剤 とカチオン性界面活性剤は併用することも出来る。
【0014】
本発明の製造方法としては、界面活性剤を添加するタイミングの違いによって2つの態様が挙げられる。すなわち、純水に界面活性剤を添加して混合液を調製し、更に当該混合液に現像原液を添加することにより、界面活性剤含有現像液を製造する第1の態様と、純水に現像原液を添加して現像液を調製し、更に当該現像液に界面活性剤を添加することにより、界面活性剤含有現像液を製造する第2の態様が挙げられる。
【0015】
最初に、本発明に係る製造方法の第1の態様について、図1及び図2を参照して説明する。本発明の製造方法では、図1に示す工程に従い、バッチ方式の混合操作により、純水に界面活性剤を添加して混合液を調製し、更に、図2に示す工程に従い、バッチ方式の混合操作により、混合液に現像原液を添加して界面活性剤含有現像液を製造する。
【0016】
界面活性剤含有現像液を製造するに当り、予め、目標とする界面活性剤の濃度値、すなわち、目標濃度値と、界面活性剤の濃度の許容される上限値と下限値の範囲、すなわち、目標濃度の域値とを設定する。また、同様に、アルカリの目標濃度値と、アルカリの目標濃度の域値とを設定する。例えば、TMAHと水を主成分とする界面活性剤含現像液の場合、TMAHの濃度値は2.380重量%、その域値は2.380±0.002重量%、界面活性剤の濃度値は300ppm、その域値は300±10ppmに設定される。
【0017】
本発明において、純水に対する界面活性剤の添加は、図1に示す様に、最初に調製した混合液の界面活性剤濃度を段階的に目標濃度に接近させる言わば漸近法によって行われ、斯かる漸近法では、主に、(A)初期調製工程、(B)濃度測定工程および(C)濃度調節工程の3つの工程を実行する。以下、各工程の説明においては、図中のステップの符号を引用する。
【0018】
初期調製工程(A)は、所定量の純水に界面活性剤を添加し、予め設定された目標濃度よりも低い界面活性剤濃度の混合液を調製する工程である(S11〜S12)。斯かる工程においては、純水の混合量を所要量の100%に設定され、添加する界面活性剤の混合量を所要量の80〜95%、好ましくは85〜94%に設定される。例えば、純水の量は、最終製品の界面活性剤含有現像液を一定量製造するのに必要な量の100%に相当する量に設定され、界面活性剤の量は、最終製品の界面活性剤含有現像液において300ppmの濃度となる様な量の90%に相当する量に設定される。初期調製工程(A)においては、上記の様に、純水に界面活性剤を混合し、目標濃度よりも低い界面活性剤濃度の混合液を調製する。
【0019】
濃度測定工程(B)は、混合液中の界面活性剤の濃度を測定する工程である(S13)。濃度測定工程(B)では、界面活性剤の濃度を測定するに当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用する。最大泡圧式表面張力計を利用した界面活性剤濃度の測定方法(バブルプレッシャー法)は、ミセル形成前の界面活性剤含有の液体では表面張力と界面活性剤濃度とが相関し、かつ、流動的な液体中では常に海面活性剤表面への配位が進行していることに着目し、液体の表面張力に基づいて界面活性剤濃度を測定する方法であり、表面張力は、液中に挿入した細管に窒素ガスを供給し、細管先端に泡を形成して気液の界面を広げる際の最大圧力(最大泡圧)から測定する。上記のバブルプレッシャー法自体は、他の技術分野において公知であり、例えば、特開2005−219369号,特開2004−176064号、特開2003−277708号の各公報に開示されている。
【0020】
バブルプレッシャー法を利用した具体的なインライン型濃度測定装置としては、米国ケムダインリサーチ社(Chem−Dyne Research Corp.)製/株式会社荏原電産取扱の商品名「センサダイン6000」として知られる表面張力測定器を利用した装置が挙げられる。上記の濃度測定装置は、被測定液が流れる配管や貯槽にサンプリング用流路を介して接続されるインライン型の装置であり、測定プローブを収容した分析セル、被測定液および校正液としての純水やアルコールを分析セルに供給する送液ライン、測定プローブで得られた信号を解析するガス圧力検出器などから構成される。後述する様に製造装置の系内は不活性ガスでシールされるが、界面活性剤の濃度測定においては、上記のインライン型濃度測定装置を使用することにより、空気に接触させることなく、高精度に且つ短時間で界面活性剤濃度を測定できる。
【0021】
上記の工程(A)において、界面活性剤の混合量を所要量よりも少なく設定した場合、工程(B)で測定される濃度値は、当然ながら目標濃度値よりも低い値となり、かつ、通常は、目標濃度の域値の範囲外、すなわち、目標濃度の下限値よりも少ない値となる。そこで、工程(B)で測定された濃度値と予め設定された目標濃度の域値とを比較し、測定された濃度値が目標濃度の域値内か否かを判別し(S14)、そして、濃度値が目標濃度の域値外であると判別された場合に次の濃度調節工程(C)へ移行する。
【0022】
濃度調節工程(C)は、工程(B)で測定された濃度値と目標濃度値の差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し(S15)、算出された不足量の85〜99%、好ましくは92〜98%の界面活性剤を混合液に追加混合する工程である(S16〜S12)。上記に例示した界面活性剤含有のTMAHを製造する場合、不足している界面活性剤の不足量を算出し、例えば、不足量の95%を混合液に混合する。
【0023】
本発明においては、工程(B)で測定された界面活性剤の濃度値が予め設定された目標濃度の域値内の値となるまで工程(B)及び工程(C)を繰り返す。すなわち、上記の様に、工程(C)を実施した場合には、工程(B)を再び実施した後(S13)、測定された界面活性剤の濃度値と目標濃度の域値とを上記と同様に比較し、再び工程(C)を行うか否かを判別する(S14)。そして、工程(B)で得られた測定値が域値内の場合に全工程を終了する。上記に例示した混合液の場合には、通常、不足量の95%の界面活性剤を混合液に追加混合する工程(C)を1回程度行うことにより、界面活性剤の濃度を332±10ppm(最終製品の界面活性剤含有現像液における濃度換算で300±10ppm)の範囲に調節することが出来る。
【0024】
なお、上記の様な界面活性剤の添加においては、工程(C)において、例えば不足量の100%に極めて近い量の界面活性剤を混合液に混合した結果、再び行った工程(B)の測定値が目標濃度の域値よりも高い値であると判別された場合、次の工程(C)において、算出された不足量よりやや過剰の純水、例えば、算出された不足量の105〜150%の純水を混合液に混合することにより(S7〜S8)、混合液中の界面活性剤濃度を再び目標濃度の域値よりも低い濃度に調節し、再度、工程(B)〜工程(C)を繰り返す。
【0025】
上記の様に混合液を調製する際、初期調製工程(A)で目標濃度よりも低い界面活性剤濃度の混合液を最初に調製する理由は、次の通りである。すなわち、初期調製工程(A)で調製する最初の混合液の界面活性剤濃度を目標濃度値に設定した場合には、実際の濃度値と目標濃度値の差が極めて小さくなるため、濃度調節工程(C)で界面活性剤を追加混合する場合、計量や制御精度の問題から過剰に混合し、その結果、工程(C)が増加する虞がある。
【0026】
更に、界面活性剤の不足量に対し、濃度調節工程(C)で混合液に混合する界面活性剤の量を上記の割合に設定する理由は、次の通りである。すなわち、濃度調節工程(C)で上記の割合よりも高い割合で追加混合した場合には、上記と同様に、計量や制御精度の問題から過剰に混合する虞があり、また、上記の割合よりも少ない割合で追加混合した場合には、追加後の実際の濃度値と目標濃度値の差が小さくならない虞があり、その結果、何れの場合も工程(C)が増加する虞がある。
【0027】
上記の様に一定濃度の混合液を調製した後は、混合液に現像原液を添加することにより、界面活性剤含有現像液を調製する。混合液に対する界面活性剤の添加も、図2に示す様に、最初に調製した界面活性剤含有現像液のアルカリ濃度を段階的に目標濃度に接近させる漸近法によって行われ、斯かる漸近法においても、前述の漸近法と同様に、(D)初期調製工程、(E)濃度測定工程および(F)濃度調節工程の3つの工程を実行する。
【0028】
初期調製工程(D)は、所定量の混合液に現像原液を添加し、予め設定された目標濃度よりも低いアルカリ濃度の界面活性剤含有現像液を調製する工程である(S21〜S22)。斯かる工程においては、例えば、当初の混合液の量を所要量の100%に設定され、現像原液の添加量を所要量の90〜99%、好ましくは92〜98%に設定される。例えば、TMAHを2.380重量%含む界面活性剤含有現像液を調製する場合は、初期調製工程(D)において、現像原液の添加量を所要量の97%に設定される。
【0029】
濃度測定工程(E)は、電位差滴定法によって界面活性剤含有現像液のアルカリ濃度を測定する工程である(S23)。電位差滴定法によるアルカリの濃度測定は、硫酸や塩酸などの酸性物質の標準液で滴定すると共に、滴定点を電位差によって検出して滴定量を特定することにより、アルカリ濃度を測定する中和滴定法を利用した測定法である。電位差滴定法を利用した濃度測定装置としては、例えば、ダイアインスツルメンツ社製の商品名「プロセスタイトレータPAT−2100型」として知られる装置が使用できる。界面活性剤含有現像液のアルカリ濃度測定において上記の測定法を使用した場合には、0.5/1000〜1/1000重量%の誤差範囲でアルカリ成分の濃度を測定することが出来る。
【0030】
上記の工程(D)において、最初に現像原液の添加量を所要量よりも少なく設定した場合、工程(E)で測定されるアルカリの濃度値は、当然ながら目標濃度値よりも低い値となり、通常は、目標濃度の域値の範囲外、すなわち、目標濃度の下限値よりも少ない値となる。そこで、工程(E)で測定された濃度値と予め設定された目標濃度の域値とを比較し、測定された濃度値が目標濃度の域値内か否かを判別し(S24)、そして、濃度値が目標濃度の域値外であると判別された場合に次の工程(F)へ移行する。
【0031】
濃度調節工程(F)は、工程(E)で測定された濃度値と目標濃度値の差に基づいて現像原液の不足量を演算し(S25)、算出された不足量の85〜99%、好ましくは92〜98%の現像原液を界面活性剤含有現像液に追加混合する工程である(S26〜S22)。上記に例示したTMAHを含む現像液の場合、不足している現像原液の不足量を算出し、例えば、不足量の95%を界面活性剤含有現像液に混合する。
【0032】
本発明の製造方法においては、工程(E)で測定された濃度値が予め設定された目標濃度の域値内の値となるまで工程(E)及び工程(F)を繰り返す。すなわち、上記の様に、工程(F)を実施した場合には、工程(E)を再び実施した後(S23)、測定された濃度値と目標濃度の域値とを上記と同様に比較し、再び工程(F)を行うか否かを判別する(S24)。そして、工程(E)で得られた測定値が域値内の場合に全工程を終了する。上記に例示した界面活性剤含有現像液の場合には、通常、不足量の95%の現像原液を追加混合する工程(F)を2回程度行うことにより、TMAHの濃度を2.380±0.002重量%の範囲に調節することが出来る。
【0033】
また、上記の現像原液の添加においては、工程(F)において、例えば不足量の100%に極めて近い量の現像原液を界面活性剤含有現像液に混合した結果、再び行った工程(E)の測定値が目標濃度の域値よりも高い値であると判別された場合、次の工程(F)において、算出された不足量よりやや過剰の混合液、例えば、算出不足量の105〜150%の混合液を界面活性剤含有現像液に混合することにより(S27〜S28)、再び目標濃度の域値よりも低い濃度に調節し、再度工程(E)〜工程(F)を繰り返す。
【0034】
上記の様に現像原液を添加する際、初期調製工程(D)で目標濃度よりも低いアルカリ濃度の界面活性剤含有現像液を最初に調製する理由は、前述の界面活性剤の添加の場合と同様である。すなわち、初期調製工程(D)で調製する最初の界面活性剤含有現像液のアルカリ濃度を目標濃度値に設定した場合には、濃度調節工程(F)で現像原液を追加混合する際に計量や制御精度の問題から過剰に混合し、工程(F)が増加する虞がある。
【0035】
また、濃度調節工程(F)で追加混合する現像原液の量を上記の割合に設定する理由も、前述の界面活性剤の添加の場合と同様である。すなわち、濃度調節工程(F)で上記の割合よりも高い割合で追加混合した場合には、計量や制御精度の問題から過剰に混合する虞があり、また、上記の割合よりも少ない割合で追加混合した場合には、追加後の実際の濃度値と目標濃度値の差が小さくならない虞があり、何れの場合も工程(F)が増加する虞がある。
【0036】
本発明の製造方法においては、上記の様に、界面活性剤を添加するに当たり、予め純水に対して界面活性剤を添加するため、アルカリ濃度に影響されることなく界面活性剤の濃度を調節できる。そして、純水に界面活性剤を添加して混合液を調製する際、界面活性剤の濃度測定に当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用し、高精度に且つ短時間で濃度測定を行い、しかも、界面活性剤濃度を目標濃度に調節するに当たり、目標濃度よりも低い濃度から漸次目標濃度に近づける漸近法を適用し、少ないステップ数で目標濃度に極めて近い値に収束させることが出来る。更に、混合液に現像原液を添加して界面活性剤含有現像液を調製する際、アルカリの濃度測定に当たり、電位差滴定法による精密な濃度測定を行い、しかも、アルカリ濃度を目標濃度に調節するに当たり、前述と同様の漸近法を適用し、少ないステップ数で目標濃度に極めて近い値に収束させることが出来る。その結果、本発明によれば、界面活性剤濃度およびアルカリ濃度が高精度に調節された一層高品質の界面活性剤含有現像液を効率的にオンサイトで製造することが出来る。
【0037】
次に、本発明に係る製造方法の第2の態様について、図3及び図4を参照して説明する。本発明の製造方法では、図3に示す工程に従い、バッチ方式の混合操作により、純水に現像原液を添加して現像液を調製し、更に、図4に示す工程に従い、バッチ方式の混合操作により、現像液に界面活性剤を添加して界面活性剤含有現像液を製造する。以下、上記の態様と同様に、TMAHと水を主成分とする界面活性剤含現像液を製造し、かつ、TMAHの濃度値を2.380重量%、その域値を2.380±0.002重量%、界面活性剤の濃度値を300ppm、その域値を300±10ppmに設定する場合を例に挙げて説明する。
【0038】
本発明において、純水に対する現像原液の添加は、図3に示す様に、最初に調製した現像液のアルカリ濃度を段階的に目標濃度に接近させる前述と同様の漸近法によって行われ、斯かる漸近法では、前述の態様と同様に、(A)初期調製工程、(B)濃度測定工程および(C)濃度調節工程の3つの工程を実行する。
【0039】
初期調製工程(A)は、所定量の純水に現像原液を添加し、予め設定された目標濃度よりも低いアルカリ濃度の現像液を調製する工程であり(S31〜S32)、斯かる工程においては、純水の混合量を所要量の100%に設定され、添加する現像原液の混合量を所要量の90〜99%、好ましくは92〜98%に設定される。例えば、純水の量は、最終製品の界面活性剤含有現像液を一定量製造するのに必要な量の100%に設定され、現像原液の量は、最終製品の界面活性剤含有現像液における所要量の97%に設定される。
【0040】
濃度測定工程(B)は、初期調製した現像液中のアルカリの濃度を測定する工程である(S33)。濃度測定工程(B)では、前述の態様と同様に、電位差滴定法によって現像液のアルカリ濃度を測定する。アルカリ濃度測定において上記の測定法を使用した場合には、前述の態様と同様に、0.5/1000〜1/1000重量%の誤差範囲でアルカリ成分の濃度を測定することが出来る。
【0041】
上記の工程(A)において、現像原液の混合量を所要量よりも少なく設定した場合、工程(B)で測定されるアルカリの濃度値は、目標濃度値よりも低い値となる。そこで、工程(B)で測定された濃度値と予め設定された目標濃度の域値とを比較し、測定された濃度値が目標濃度の域値内か否かを判別し(S34)、そして、濃度値が目標濃度の域値外であると判別された場合に次の濃度調節工程(C)へ移行する。
【0042】
濃度調節工程(C)は、工程(B)で測定された濃度値と目標濃度値の差に基づいて現像原液の不足量を演算し(S35)、算出された不足量の85〜99%、好ましくは92〜98%の現像原液を現像液に追加混合する工程である(S36〜S32)。工程(C)においては、現像原液の不足量を算出し、例えば、不足量の95%を現像液に追加混合する。そして、前述の態様と同様に、工程(B)で測定された濃度値が予め設定された目標濃度の域値内の値となるまで工程(B)及び工程(C)を繰り返し、工程(B)で得られた測定値が域値内となった場合に全工程を終了する。通常、不足量の95%の現像原液を現像液に追加混合する工程(C)を2回程度行うことにより、TMAHの濃度を2.380±0.002重量%の範囲に調節することが出来る。
【0043】
また、上記の現像原液の添加においては、工程(C)において、例えば不足量の100%に極めて近い量の現像原液を界面活性剤含有現像液に混合した結果、再び行った工程(B)の測定値が目標濃度の域値よりも高い値であると判別された場合、次の工程(C)において、算出された不足量よりやや過剰の純水を現像液に混合することにより(S37〜S38)、現像液のアルカリ濃度を目標濃度の域値よりも低い濃度に再び調節し、再度、工程(B)〜工程(C)を繰り返す。
【0044】
なお、上記の様に現像原液を添加する際、初期調製工程(A)で目標濃度よりも低いアルカリ濃度の現像液を最初に調製する理由は、前述の態様におけるのと同様である。また、濃度調節工程(C)で追加混合する現像原液の量を上記の割合に設定する理由も、前述の態様におけるのと同様である。
【0045】
上記の様に一定濃度の現像液を調製した後は、現像液に界面活性剤を添加することにより、界面活性剤含有現像液を調製する。現像液に対する界面活性剤の添加も、図4に示す様に、最初に調製した界面活性剤含有現像液の界面活性剤濃度を段階的に目標濃度に接近させる漸近法によって行われる。そして、斯かる漸近法においても、前述の漸近法と同様に、(D)初期調製工程、(E)濃度測定工程および(F)濃度調節工程の3つの工程を実行する。
【0046】
初期調製工程(D)は、所定量の現像液に界面活性剤を添加し、予め設定された目標濃度よりも低い界面活性剤濃度の界面活性剤含有現像液を調製する工程である(S41〜S42)。斯かる工程において、例えば、当初の現像液の量は、所要量の100%に設定され、界面活性剤の量は、最終製品の界面活性剤含有現像液において300ppmの濃度となる様な量の90%に相当する量に設定される。
【0047】
濃度測定工程(E)は、界面活性剤含有現像液の界面活性剤濃度を測定する工程であり(S43)、工程(E)においては、前述の態様と同様に、界面活性剤の濃度を測定するに当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用する。上記の濃度測定装置を使用することにより、アルカリ系の液体であっても、その濃度を一定に予め調節されており、かつ、インラインで空気に接触することがないため、高精度に且つ短時間で界面活性剤濃度を測定できる。
【0048】
上記の工程(D)において、最初に界面活性剤の添加量を所要量よりも少なく設定した場合、工程(E)で測定される界面活性剤の濃度値は、目標濃度値よりも低い値となる。そこで、工程(E)で測定された濃度値と予め設定された目標濃度の域値とを比較し、測定された濃度値が目標濃度の域値内か否かを判別し(S44)、そして、濃度値が目標濃度の域値外であると判別された場合に次の工程(F)へ移行する。
【0049】
濃度調節工程(F)は、工程(E)で測定された濃度値と目標濃度値の差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し(S45)、算出された不足量の85〜99%、好ましくは92〜98%の界面活性剤を界面活性剤含有現像液に追加混合する工程である(S46〜S42)。上記に例示した界面活性剤含有現像液を製造する場合、界面活性剤の不足量を算出し、例えば、不足量の95%を混合液に混合する。そして、前述の態様と同様に、工程(E)で測定された濃度値が予め設定された目標濃度の域値内の値となるまで工程(E)及び工程(F)を繰り返し、工程(E)で得られた測定値が域値内となった場合に全工程を終了する。通常、不足量の95%の界面活性剤を追加混合する工程(F)を1回程度行うことにより、界面活性剤の濃度を300±10ppmの範囲に調節することが出来る。
【0050】
また、上記の界面活性剤の添加においては、例えば不足量の100%に極めて近い量の界面活性剤を界面活性剤含有現像液に追加混合した結果、再び行った工程(E)の測定値が目標濃度の域値よりも高い値であると判別された場合、次の工程(F)において、算出された不足量よりやや過剰の現像液(現像原液と純水)、例えば、算出不足量の105〜150%の現像液を追加混合することにより(S47〜S48)、界面活性剤濃度を再び目標濃度の域値よりも低い濃度に調節し、再度工程(E)〜工程(F)を繰り返す。
【0051】
本発明の製造方法においては、上記の様に、純水に現像原液を添加して現像液を調製する際、アルカリの濃度測定に当たり、電位差滴定法による精密な濃度測定を行い、しかも、アルカリ濃度を目標濃度に調節するに当たり、前述と同様の漸近法を適用し、少ないステップ数で目標濃度に極めて近い値に収束させることが出来る。そして、現像液に界面活性剤を添加して界面活性剤含有現像液を調製する際、界面活性剤の濃度測定に当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用し、空気に接触させることなく、高精度に且つ短時間で濃度測定を行い、しかも、界面活性剤濃度を目標濃度に調節するに当たり、目標濃度よりも低い濃度から漸次目標濃度に近づける漸近法を適用し、少ないステップ数で目標濃度に極めて近い値に収束させることが出来る。その結果、本発明によれば、界面活性剤濃度およびアルカリ濃度が高精度に調節された一層高品質の界面活性剤含有現像液を効率的にオンサイトで製造することが出来る。
【0052】
次に、本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置を説明する。本発明の製造装置は、所定のアルカリ濃度および所定の界面活性剤濃度の前述の界面活性剤含有アルカリ現像液を製造する装置であり、図5に示す様に、現像原液を貯蔵する原液槽(1)、アルカリ系現像原液と純水と界面活性剤を混合して界面活性剤含有アルカリ現像液を調製する調製槽(2)、原液槽(1)から調製槽(2)に現像原液を供給する原液供給装置(A1)、調製槽(2)に純水を供給する純水供給装置(A2)、調製槽(2)に界面活性剤を供給する界面活性剤供給装置(A3)、調製槽(2)内の液体を循環混合し且つ調製された界面活性剤含有現像液を取り出す混合および取出装置(A4)、調製槽(2)内の液体(調製されたアルカリ現像液または界面活性剤含有現像液)のアルカリ濃度を測定する電位差滴定方式の濃度測定装置(3a)、調製槽(2)内の液体(調製された混合液またはアルカリ現像液もしくは界面活性剤含有現像液)の界面活性剤濃度を測定する濃度測定装置(3b)及びこれらの機器を制御する制御装置(図示せず)を備えている。
【0053】
原液槽(1)は、必要に応じて調製槽(2)に現像原液を供給し得る様に設けられたバッファタンクであり、例えば、100〜2000リットル程度の内容積の耐腐食性を備えた容器によって構成される。原液槽(1)には、工程に搬入される現像原液の搬送容器(図示せず)に接続可能な配管(60)が設けられており、窒素などの不活性ガスによって搬送容器から圧送された現像原液が配管(60)を通じて供給される。なお、原液槽(1)には、空気との接触を防止するための窒素シールにおいて使用される脱気用の配管(70)が必要に応じて付設される。
【0054】
調製槽(2)は、混合液および界面活性剤含有現像液を調製したり或いは現像液および界面活性剤含有現像液を調製するために設けられており、例えば、500〜3000リットル程度の内容積の耐腐食性を備えた容器によって構成される。調製槽(2)には、槽内の液量を計測するため、例えば、光式、導電率式などのポイント測定の出来る液面計(20)が設けられる。なお、調製槽(2)にも、空気との接触を防止するための窒素シールにおいて使用される脱気用の配管(72)が必要に応じて付設される。
【0055】
原液供給装置(A1)は、現像原液を取り出すために原液槽(1)に接続された配管(61)と、調製槽(2)に現像原液を送るポンプ(4)と、ポンプ(4)の吐出側に接続された配管(62)と、調製槽(2)への現像原液の供給を制御する開閉弁(80)と、調製槽(2)の現像原液の入口としての配管(63)とから構成される。ポンプ(4)としては、一定の流量で且つ流量を制御しつつ現像原液を圧送し得る様に、ロータリーポンプ等の定量ポンプが使用され、また、供給量に応じてその制御精度を高めるため、吐出量の異なる2基のポンプ(40)、(41)が並列に配置される。
【0056】
純水供給装置(A2)は、純水を供給する配管(64)と、調製槽(2)への純水の供給を制御する開閉弁(81)、(82)と、調製槽(2)への純水の入口としての配管(65)とから構成される。配管(64)は、イオン交換樹脂などを使用して超純水を分離精製する適宜の純水製造設備に接続されており、製造された純水は、純水製造設備側に備えられたポンプによって圧送される様になされている。開閉弁(81)、(82)は、純水の供給量に応じてその制御精度を高めるために並列に配置されている。
【0057】
界面活性剤供給装置(A3)は、界面活性剤を貯留し且つ不活性ガスによって一定圧力に加圧可能に構成された界面活性剤貯槽(図示省略)と、当該界面活性剤貯槽から調製槽(2)に接続された界面活性剤供給用の配管(71)と、当該配管に介装された開閉弁(86)とから構成され、開閉弁(86)の作動制御により、例えば窒素の圧力で配管(71)を通じて調製槽(2)に界面活性剤を供給する様になされている。
【0058】
混合および取出装置(A4)は、調製槽(2)内の液体(純水、混合液、現像原液、界面活性剤含有現像液など)を循環混合し、そして、調製された界面活性剤含有現像液を例えば現像プロセス側の貯蔵槽(図示せず)に供給する装置である。混合および取出装置(A4)の中、混合系は、槽内の液体を取り出すために調製槽(2)に接続された配管(66)と、液体を圧送するポンプ(5)と、ポンプ(5)の吐出側に接続された配管(67)と、調製槽(2)への液体の返流を制御する開閉弁(83)と、調製槽(2)への戻り配管としての配管(68)とから構成される。取出系は、調製された界面活性剤含有現像液の取出を制御するために上記の配管(67)の分岐管に設けられた開閉弁(85)と、上記の貯蔵槽に送液する配管(69)とから構成される。
【0059】
また、上記の混合および取出装置(A4)において、ポンプ(5)としては、液体を循環混合する際に十分な循環量を確保でき、また、調製された界面活性剤含有現像液を取り出して上記の貯蔵槽へ圧送し得る適宜のポンプが使用され、斯かるポンプ(5)は、配管(66)と配管(67)の間に設けられる。
【0060】
更に、本発明の製造装置においては、混合および取出装置(A4)によって液体を循環させる場合、調製槽(2)における撹拌機能を一層高めるため、調製槽(2)の底部に噴流を形成する機構が設けられる。具体的には、調製槽(2)の内底部に露出する配管(68)の先端側にはジェットノズル(図示せず)が付設される。斯かるジェットノズルは、循環した液体が供給される導入管と、調製槽(2)の内部に向けられた吐出管と、窒素などの気体が導入される吸入管とを備えた公知のノズルであり、前記の導入管から吐出管内に現像液が噴射された際に、吸入管によって気体が吸引され、気液混相流を吐出する構造を有する。すなわち、ジェットノズルは、配管(68)側から噴出する駆動加圧流体としての液体によって窒素などの他の流体を吸引する機能を有し、調製槽(2)内の現像液に対して物理的衝撃を加えることが出来る。
【0061】
濃度測定装置(3a)は、調製槽(2)に設けられた混合および取出装置(A4)に付設される。具体的には、配管(67)の分岐管に開閉弁(84a)を介して取り付けられる。また、濃度測定装置(3a)には、滴定セルを洗浄するための純水供給ライン(図示せず)が接続される。濃度測定装置(3a)の具体例としては、上述の様なダイアインスツルメンツ社製の装置が挙げられ、斯かる濃度測定装置(3a)は、電位差滴定方式により、調製槽(2)内の液体(調製されたアルカリ現像液または界面活性剤含有現像液)のアルカリ濃度を正確に測定することが出来る。
【0062】
濃度測定装置(3b)は、調製槽(2)に設けられた混合および取出装置(A4)に付設される。具体的には、配管(67)の分岐管に開閉弁(84b)を介して取り付けられる。また、濃度測定装置(3b)には、分析セルを洗浄するための純水およびアルコールの供給ライン(図示せず)が接続される。濃度測定装置(3b)の具体例としては、上述の様なケムダインリサーチ社製の装置が挙げられ、斯かる濃度測定装置(3b)は、バブルプレッシャー法により、調製槽(2)内の液体(調製された混合液またはアルカリ現像液もしくは界面活性剤含有現像液)の界面活性剤濃度を正確に測定することが出来る。
【0063】
本発明の製造装置は、調製槽(2)において高い精度で且つ効率的に界面活性剤含有現像液を調製するため、特定の機能を有する制御装置を備えている。斯かる制御装置は、図示しないが、液面計(20)、濃度測定装置(3a)、濃度測定装置(3b)などの各機器の信号をデジタル変換する入力装置と、マイクロコンピュータを含むプログラムコントローラやパーソナルコンピュータ等の演算処理装置と、演算処理装置からの制御信号をアナログ変換して原液供給装置(A1)、純水供給装置(A2)、界面活性剤供給装置(A3)、ポンプ(4)等へ出力する出力装置とを含む。
【0064】
本発明の製造装置においては、前述した製造方法の第1の態様および第2の態様を実施するため、上記の制御装置は、調製槽(2)内の液体の界面活性剤濃度を調節する際、最初に目標濃度よりも低い界面活性剤濃度となる様に界面活性剤供給装置(A3)を作動させて界面活性剤を調製槽(2)に供給する機能と、濃度測定装置(3b)によって測定された調製槽(2)内の液体の界面活性剤の濃度値と予め設定された目標濃度値の差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し、界面活性剤供給装置(A3)を作動させて界面活性剤の不足量の85〜99%、好ましくは92〜98%を調製槽(2)に供給する機能とを備えている。
【0065】
更に、制御装置は、調製槽(2)内の液体のアルカリ濃度を調節する際、最初に目標濃度よりも低いアルカリ濃度となる様に原液供給装置(A1)を作動させて現像原液を調製槽(2)に供給する機能と、濃度測定装置(3a)によって測定された調製槽(2)内の液体のアルカリの濃度値と予め設定された目標濃度値の差に基づいて現像原液の不足量を演算し、原液供給装置(A1)を作動させて現像原液の不足量の85〜99%、好ましくは92〜98%を調製槽(2)に供給する機能を備えている。
【0066】
本発明の製造装置は、上記の様な装置構成により前述の製造方法の各態様を実施することが出来る。以下、上記の製造方法第1の態様を実施する場合を例に挙げて本発明の製造装置の機能を説明する。
【0067】
先ず、最初の混合液の調製において、初期調製工程(A)を実施するには、純水供給装置(A2)及び界面活性剤供給装置(A3)を作動させる。最初に、純水供給装置(A2)の開閉弁(81)および/または(82)を開けることにより、純水製造設備から調製槽(2)に純水を供給する。次いで、界面活性剤供給装置(A3)の開閉弁(86)を開けることにより、界面活性剤貯槽から調製槽(2)に界面活性剤を供給する。調製槽(2)への界面活性剤および純水の供給量は、それぞれの操作において、調製槽(2)の液面計(20)からの信号に基づき、開閉弁(81)、(82)及び開閉弁(86)を操作し、前述の様に純水の供給量を所要量の100%の量、界面活性剤の供給量を例えば所要量の90%の量に制御する(S11)。
【0068】
調製槽(2)に所定量の純水および界面活性剤を供給した後は、混合および取出装置(A4)を作動させ、調製槽(2)内の液体を混合する。斯かる混合操作は、ポンプ(5)を起動し、かつ、開閉弁(83)を開けることによって行う(S12)。特に、配管(68)の調製槽(2)への入口部分がジェットノズルで構成されている場合には、調製槽(2)内の液体を循環混合する際、一層短時間で混合することが出来、しかも、インペラー方式の撹拌装置に様な発塵による不純物の混入がない。
【0069】
続いて、混合液の濃度を測定する濃度測定工程(B)を実施する。混合液の濃度測定は、通常、調製槽(2)の混合液を撹拌混合する上記の操作の終了直前に行い、開閉弁(84b)を開けることにより、混合および取出装置(A4)の配管(67)から混合液の一部を濃度測定装置(3b)に導入し、混合液の界面活性剤濃度の測定を行う(S13)。その際、濃度測定装置(3b)は、前述の様にバブルプレッシャー法によりインラインで濃度分析を行うため、極めて正確に濃度測定することが出来る。
【0070】
上記の濃度測定装置(3)で得られた混合液の界面活性剤濃度の値は、制御装置に入力され、予め設定された目標濃度の域値と比較される。制御装置は、測定された濃度値と目標濃度の域値を比較した結果、前述の様に、濃度値が目標濃度の域値外であると判別した場合には、次の濃度調節工程(C)の操作に移行する(S14)。そして、濃度調節工程(C)においては、上記の様に混合液が目標濃度の域値よりも低い濃度と判別された場合、制御装置は、測定された濃度値と目標濃度値との差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し、かつ、不足量の例えば95%に相当する量を算出し(S15)、そして、界面活性剤供給装置(A3)を作動させて界面活性剤を追加供給する。なお、混合液の界面活性剤濃度が目標濃度の域値よりも高いと判別された場合、制御装置は、測定された濃度値と目標濃度値との差に基づいて純水の不足量を演算し(S17)、そして、純水供給装置(A2)作動させて前述の様に純水を追加供給する。
【0071】
調製槽(2)に界面活性剤を追加供給した後は、混合および取出装置(A4)を作動させて調製槽(2)内の混合液を再び混合し(S12)、濃度測定装置(3b)を作動させて濃度測定工程(B)を再び実施する(S13)。すなわち、制御装置は、測定された濃度値が目標濃度の域値内の値となるまで工程(B)及び工程(C)を繰り返し、濃度値が目標濃度の域値内の値であると判別した場合に調製操作を終了する。
【0072】
次に、混合液に現像原液を添加することにより界面活性剤含有現像液を調製する。界面活性剤含有現像液の調製において、最初の初期調製工程(D)を実施するには、原液供給装置(A1)を作動させる。具体的には、原液供給装置(A1)のポンプ(4)(ポンプ(40)又は(41)の中の吐出量の大きい何れかのポンプ)を起動し、かつ、開閉弁(80)を開けることにより、原液槽(1)から調製槽(2)に現像原液を供給する。調製槽(2)への現像原液(例えばTMAH)の供給量は、調製槽(2)の液面計(20)からの信号に基づき、ポンプ(4)及び開閉弁(80)を操作し、所要量の97%に制御する(S21)。
【0073】
調製槽(2)に所定量の現像原液を供給した後は、混合および取出装置(A4)を作動させ、調製槽(2)内の最初の界面活性剤含有現像液を撹拌混合する。斯かる混合操作は、前述の混合と同様に、ポンプ(5)を起動し、かつ、開閉弁(83)を開けることによって行う(S22)。その際、前述した様に、ジェットノズルで混合することにより、一層短時間で混合することが出来、かつ、不純物の混入を防止できる。
【0074】
続いて、界面活性剤含有現像液のアルカリ濃度を測定する濃度測定工程(E)を実施する。界面活性剤含有現像液のアルカリ濃度の測定は、通常、調製槽(2)の界面活性剤含有現像液を混合する上記の操作の終了直前に行い、開閉弁(84a)を開けることにより、混合および取出装置(A4)の配管(67)から現像液の一部を濃度測定装置(3a)に導入し、アルカリ濃度の測定を行う(S23)。その際、濃度測定装置(3a)により電位差滴定法による濃度分析を行うため、極めて高い精度で濃度測定することが出来る。
【0075】
上記の濃度測定装置(3a)で得られた界面活性剤含有現像液のアルカリ濃度の値は、制御装置に入力され、予め設定された目標濃度の域値と比較される。制御装置は、測定された濃度値と目標濃度の域値を比較した結果、上述の様に、濃度値が目標濃度の域値外であると判別した場合には、次の濃度調節工程(F)の操作に移行する(S24)。
【0076】
濃度調節工程(C)においては、上記の様に現像液が目標濃度の域値よりも低い濃度と判別された場合、制御装置は、測定された濃度値と目標濃度値との差に基づいて現像原液の不足量を演算し、かつ、不足量の例えば95%に相当する量を算出し(S25)、そして、原液供給装置(A1)を作動させて現像原液を追加供給する。現像原液は、通常、ポンプ(40)又は(41)の中の吐出量の小さい何れかのポンプを起動し、かつ、開閉弁(80)を開けることによって調製槽(2)に供給する(S26)。なお、現像液が目標濃度の域値よりも高い濃度と判別された場合、制御装置は、測定された濃度値と目標濃度値との差に基づいて混合液(純水と界面活性剤)の不足量を演算し(S27)、そして、純水供給装置(A2)及び界面活性剤供給装置(A3)作動させて前述の様に純水と界面活性剤を追加供給する。
【0077】
調製槽(2)に現像原液を追加供給した後は、混合および取出装置(A4)を作動させて調製槽(2)内の界面活性剤含有現像液を再び混合し(S22)、濃度測定装置(3a)を作動させて濃度測定工程(E)を再び実施する(S23)。すなわち、制御装置は、測定された濃度値が目標濃度の域値内の値となるまで工程(E)及び工程(F)を繰り返し、濃度値が目標濃度の域値内の値であると判別した場合に濃度調節操作を終了する。
【0078】
調製された調製槽(2)内の界面活性剤含有現像液は、混合および取出装置(A4)の作動により、半導体製造装置のフォトレジスト工程などに供給するために設けられた上記の貯蔵槽へ供給される。すなわち、調製槽(2)の界面活性剤含有現像液は、ポンプ(5)を起動し且つ開閉弁(85)を開けることにより、配管(69)を通じて取り出される。
【0079】
上記の様に、本発明の製造装置は、前述の製造方法におけるのと同様に、界面活性剤の濃度調節において、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用し、高精度に且つ短時間で濃度測定を行い、しかも、目標濃度よりも低い濃度から漸次目標濃度に近づける漸近法を適用するため、少ないステップ数で界面活性剤濃度を目標濃度に極めて近い値に収束させることが出来、更に、アルカリの濃度調節において、電位差滴定法による精密な濃度測定を行い、しかも、前述と同様の漸近法を適用するため、少ないステップ数でアルカリ濃度を目標濃度に極めて近い値に収束させることが出来る。従って、本発明の製造装置によれば、界面活性剤濃度およびアルカリ濃度が高精度に調節された一層高品質の界面活性剤含有現像液を効率的にオンサイトで製造することが出来る。
【0080】
なお、本発明の製造装置においては、前述の製造方法の第2の態様を実施する場合も、アルカリの濃度調節において、電位差滴定法による精密な濃度測定を行い、かつ、前述の漸近法を適用し、更に、界面活性剤の濃度調節において、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用して濃度測定を行い、かつ、前述の漸近法を適用するため、界面活性剤濃度およびアルカリ濃度が高精度に調節された一層高品質の界面活性剤含有現像液を効率的にオンサイトで製造することが出来る。
【実施例】
【0081】
図5に示す製造装置と同等の装置を構成し、図1及び図2に示す第1の態様により、ポジレジスト用の界面活性剤含有のTMAH水溶液を調製した。製造装置において、原液槽(1)としては、フッ素樹脂でライニングした1500リットルの内容積の容器を使用した。調製槽(2)としては、同様に、フッ素樹脂でライニングした1000リットルの内容積の容器を使用した。原液供給装置(A1)のポンプ(4)は、初期調製用のポンプ(40)及び追加供給用のポンプ(41)の2基によって構成した。混合および取出装置(A4)のポンプ(5)は、循環用兼排出用のポンプとして配置した。
【0082】
界面活性剤の濃度測定装置(3b)としては、ケムダインリサーチ社製の「センサダイン6000」(商品名)を搭載した測定装置を使用した。斯かる濃度測定装置の分析セルの容量は25ミリリットルであった。一方、アルカリの濃度測定装置(3a)としては、ダイアインスツルメンツ社製の「プロセスタイトレータPAT−2100型」(商品名)を使用した。斯かる濃度測定装置の滴定ビュレットの容積は25ミリリットルであり、分解能は1μリットル/パルスである。また、濃度測定装置(3a)の滴定剤には硫酸の標準液を使用した。
【0083】
現像原液としてはTMAH濃度が25重量%の水溶液を使用し、純水としてはイオン交換水を使用した。界面活性剤としては、エアープロダクツアンドケミカルズ社製のサーフィノール104A(商品名)を使用した。最終的に調製する界面活性剤含有現像液の仕様としては、TMAH濃度(目標濃度)を2.380重量%に設定し、TMAH濃度の許容範囲(目標濃度値に対する域値)を2.380±0.002重量%に設定し、また、界面活性剤の濃度(目標濃度)を300ppm、界面活性剤の許容範囲(目標濃度値に対する域値)を300±10ppmに設定した。更に、製造装置の系内は窒素ガスによってシールドした。
【0084】
先ず、混合液を調製した。初期調製工程(A)において、所要量の100%に相当する905リットルの純水と所要量の97%に相当する270ミリリットルの界面活性剤を調製槽(2)に供給して混合液を調製した。次いで、濃度測定工程(B)及び濃度調節工程(C)を2回繰り返した。各濃度調節工程(C)においては、調製した調製槽(2)内の最初の混合液に対し、界面活性剤の不足量の95%相当量を補充した。そして、最終的な濃度測定を行った結果、調製槽(2)に得られた混合液の濃度値は上記の域値内の値であった。因に、同様の調製を5回行った結果を表1に示す。また、各調製における主な操作の所要時間の概略を表2の工程表(タイムチャート)に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
次に、界面活性剤含有現像液を調製した。初期調製工程(D)において、所要量の97%に相当する92リットルの現像原液を調製槽(2)の混合液に供給して混合した。次いで、濃度測定工程(E)及び濃度調節工程(F)を2回繰り返した。各濃度調節工程(F)においては、調製した調製槽(2)内の最初の界面活性剤含有現像液に対し、現像原液の不足量の95%相当量を補充した。そして、最終的な濃度測定を行った結果、調製槽(2)に得られた界面活性剤含有現像液の濃度値は上記の域値内の値であった。因に、同様の調製を5回行った結果を表3に示す。また、各調製における主な操作の所要時間の概略を表4の工程表(タイムチャート)に示す。
【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法の第1の態様における界面活性剤の濃度調節の主要な工程を示すフロー図である。
【図2】本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法の第1の態様におけるアルカリの濃度調節の主要な工程を示すフロー図である。
【図3】本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法の第2の態様におけるアルカリの濃度調節の主要な工程を示すフロー図である。
【図4】本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法の第2の態様における界面活性剤の濃度調節の主要な工程を示すフロー図である。
【図5】本発明に係る界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置の概要を示す系統図である。
【符号の説明】
【0091】
1 :原液槽
2 :調製槽
20:液面計
3a:アルカリの濃度測定装置
3b:界面活性剤の濃度測定装置
4 :ポンプ
5 :ポンプ
A1:原液供給装置
A2:純水供給装置
A3:界面活性剤供給装置
A4:混合および取出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水に界面活性剤を添加して界面活性剤混合液を調製し、更に当該界面活性剤混合液にアルカリ系現像原液を添加することにより、界面活性剤含有アルカリ現像液を製造方法であって、純水に対する界面活性剤に添加においては、
A;所定量の純水に界面活性剤を添加し、予め設定された目標濃度よりも低い界面活性剤濃度の界面活性剤混合液を調製する初期調製工程、
B;界面活性剤混合液中の界面活性剤の濃度を測定する濃度測定工程、
C;工程(B)で測定された濃度値と目標濃度値の差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し、算出された不足量の85〜99%の界面活性剤を界面活性剤混合液に供給する濃度調節工程を実行し、かつ、
測定された濃度値が予め設定された目標濃度の域値内の値となるまで工程(B)及び工程(C)を繰り返すと共に、工程(B)で界面活性剤の濃度を測定するに当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用することを特徴とする界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法。
【請求項2】
純水にアルカリ系現像原液を添加してアルカリ現像液を調製し、更に当該アルカリ現像液に界面活性剤を添加することにより、界面活性剤含有アルカリ現像液を製造方法であって、アルカリ現像液に対する界面活性剤の添加においては、
D;所定量のアルカリ現像液に界面活性剤を添加し、予め設定された目標濃度よりも低い界面活性剤濃度の界面活性剤含有アルカリ現像液を調製する初期調製工程、
E;界面活性剤含有アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度を測定する濃度測定工程、
F;工程(E)で測定された濃度値と目標濃度値の差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し、算出された不足量の85〜99%の界面活性剤を界面活性剤含有アルカリ現像液に供給する濃度調節工程を実行し、かつ、
測定された濃度値が予め設定された目標濃度の域値内の値となるまで工程(E)及び工程(F)を繰り返すと共に、工程(E)で界面活性剤の濃度を測定するに当たり、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置を使用することを特徴とする界面活性剤含有アルカリ現像液の製造方法。
【請求項3】
界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置であって、アルカリ系現像原液と純水と界面活性剤を混合して界面活性剤含有アルカリ現像液を調製する調製槽、当該調製槽にアルカリ系現像原液を供給する原液供給装置、前記調製槽に純水を供給する純水供給装置、前記調製槽に界面活性剤を供給する界面活性剤供給装置、前記調製槽内の液体の界面活性剤濃度を測定する濃度測定装置、ならびに、これらの機器を制御する制御装置を含み、前記濃度測定装置は、最大泡圧式表面張力計を利用したインライン型濃度測定装置であり、前記制御装置は、前記調製槽内の液体の界面活性剤濃度を調節する際、最初に目標濃度よりも低い界面活性剤濃度となる様に前記界面活性剤供給装置を作動させて界面活性剤を前記調製槽に供給する機能と、前記濃度測定装置によって測定された調製槽内の液体の界面活性剤の濃度値と予め設定された目標濃度値の差に基づいて界面活性剤の不足量を演算し、前記界面活性剤供給装置を作動させて界面活性剤の不足量の85〜99%を前記調製槽に供給する機能とを備えていることを特徴とする界面活性剤含有アルカリ現像液の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−140270(P2007−140270A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335883(P2005−335883)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000176763)三菱化学エンジニアリング株式会社 (85)
【Fターム(参考)】