説明

界面活性剤組成物

分子内の高級アルコキシラート基のモル数よりも大きなモル数の低級アルコキシラート基を含む液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤、及びビルダーを含む、液状の硬表面用界面活性剤組成物。これら組成物は、硬表面に良好な光沢/防汚特性をもたらし、及び自動食器洗用組成物としての用途に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄用界面活性剤組成物、特に、自動食器洗浄機用組成物などの硬表面用界面活性剤組成物に関する。また、本発明は、これら組成物を調製するためのプロセスにも関する。特に、本発明は、特定のタイプの非イオン性界面活性剤を含む組成物であって、かつ、洗浄した物品において良好な防汚性/光沢を実証する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
傾斜面や壁のクリーニングなどの硬表面の洗浄、及び自動食器洗浄などでの食器の洗浄において、界面活性剤組成物を使用することは公知である。
【0003】
しかしながら、界面活性剤組成物で硬表面を洗うと、洗浄を一旦終えた後になおも残存する鉱質沈着物に起因して、洗浄をした物品に汚れが定着してしまうことは公知である。このような鉱質沈着物は、物品の染みとして見ることができ、また、洗浄を行った物品の光沢も損ねてしまう。食器洗浄操作、並びにその他のクリーニング作業において、光沢のある表面に仕上げることは、完全かつ衛生的なクリーニング作業を消費者に認識させるので、非常に重要な事項である。
【0004】
硬表面の光沢は、主に、対象となる表面を洗浄するために用いた洗浄剤で利用しているビルダー、ポリマー、及び界面活性剤系によって左右される。通常、このような界面活性剤組成物は、ビルダーを含むように製剤がされている。リン酸塩ビルダーのようなビルダーは、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンに結合することができ、界面活性剤のアルカリ度の供給源としての機能を果たし、そして、食器洗浄機の洗浄液のpHを9及びそれ以上にする緩衝剤として用いられ、時として、二ケイ酸塩、メタケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどのその他の化学物質を併用する。リン酸塩も、前述したような理由で消費者に不快感を与えかねない汚れをガラスに残さないようにするために、洗浄液に含まれる炭酸カルシウムを分散することができる。したがって、界面活性剤に含まれるリン酸塩は、アルカリ性界面活性剤において、少なくとも四つの異なる作用;(1) アルカリ度の付与; (2) 緩衝能力;(3)マグネシウムイオンとカルシウムイオンとの錯体形成;及び(4)炭酸カルシウムの分散能力を示す。しかしながら、ビルダーを単体で用いた場合、硬表面への汚れの出現の予防が十分でないことが多い。
【0005】
したがって、当該技術分野では、良好な防汚性を示し、かつ洗浄する物品の表面の光沢を維持する、台所用品、壁面、及び床面などの硬表面用界面活性剤組成物が待望されている。このことは、自動食器洗浄機などでの食器洗浄操作で洗われるガラス製品などの物品において特に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した1以上の課題に対処することが、本発明の目的である。
【0007】
特に、硬表面用界面活性剤組成物、とりわけ、洗浄した表面に効果的に光沢/防汚特性をもたらす(自動式)食器洗浄機用界面活性剤組成物を提供することが、本発明の目的である。
【0008】
(本発明の記載)
驚くべきことに、前述した1以上の課題が、本発明の組成物によって解消されていることが知見されるに至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の第一の態様では、a) 分子内の高級アルコキシラート基のモル数よりも大きなモル数の低級アルコキシラート基を含む液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤、及びb) ビルダーを含む、液状硬表面用界面活性剤組成物が提供される。
【0010】
該組成物は、好ましくは、自動食器洗浄用界面活性剤組成物である。
【0011】
該界面活性剤組成物を、ゲルとするのが好ましい。
【0012】
好ましくは、該混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、EO基、PO基又はBO基の少なくとも二つ、及び、最も好ましくは、EO基及びPO基のみを含む。
【0013】
該混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、好ましくは、低級アルコキシラート基が、高級アルコキシラート基に対して、少なくとも1.1:1、最も好ましくは、1.8:1、特に、少なくとも2:1のモル比を有する。該混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が、3〜5モルの高級アルコキシラート基、及び6〜10モルの高級低級基、好ましくは、4モル又は5モルのPO、及び7モル又は8モルのEO、及び、最も好ましくは、4モルのPO、及び8モルのEOを含むことも好ましい。
【0014】
好ましくは、該混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、12〜18個の炭素原子を含む。
【0015】
該界面活性剤は、好ましくは、2〜30重量%の該混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤を含む。
【0016】
該界面活性剤組成物が、ビルダー、好ましくは、リン酸塩含有ビルダー、ポリカルボン酸、及びこれらの塩、及びアミノ酸系ビルダー、及び最も好ましくは、トリポリリン酸塩、クエン酸塩、MGDA、及びGLDA、及び、これらの塩又は誘導体及び混合物から選択されるものをさらに含むことが好ましい。
【0017】
本発明の界面活性剤組成物は、好ましくは、ポリマー、特に、スルホン化されたポリマー、及び最も好ましくは、カルボン酸又はその塩のモノマー、及びスルホン化されたモノマー、特にアクリル酸及び/又は2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)を含むスルホン化されたポリマーさらに含む。
【0018】
本発明の組成物が、特許請求をした混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤に対して更なる非イオン性界面活性剤を含むことが最も好ましい。
【0019】
本発明の第二の態様で、前出の請求項のいずれか1項記載の界面活性剤組成物を調製する方法であって、該界面活性剤組成物が、25〜80℃の範囲の温度、好ましくは、25〜60℃、例えば、30〜50℃の範囲の温度において調製される、前記方法が提供される。
【0020】
第三の態様では、本発明は、水溶性又は水分散可能なパッケージに包まれている本発明の第一の態様の液状硬表面用界面活性剤組成物を含む単位用量界面活性剤組成物を提供する。水溶性又は水分散可能なパッケージは、好ましくは、複数の区画を有している。水溶性又は水分散可能なパッケージは、好ましくは、ポリビニルアルコール、セルロース及びセルロース誘導体、デンプン、ゼラチン、ポリグリコリド、ゼラチン及びポリ乳酸コポリマー、又はこれらの混合物若しくはコポリマーから選択されるポリマーパッケージ材料を含む。
【0021】
本発明の第四の態様では、硬質表面上の染みを減少させる方法であって、硬質表面と、本発明の第一の態様の組成物、又は本発明の第三の態様の単位用量組成物とを接触させることによる、前記方法が提供される。該方法は、自動食器洗浄機において実施されることが好ましい。
【0022】
驚くべきことに、本発明の界面活性剤組成物は、特に、自動食器洗浄機などでの食器洗浄に供することで、硬表面に良好な防汚性と光沢をもたらすことを知見するに至ったのである。
【0023】
特に明記しない限り、本明細書において、全ての量は、組成物全体の重量に基づく活性成分の重量パーセントとして与えられる。
【0024】
本明細書において使用される用語「実質的に存在しない」は、界面活性剤組成物中の当該材料の総量に基づいて、本願発明に係る材料の0.5重量%未満を意味する。
【0025】
本明細書において使用される用語「水溶性又は水分散可能なパッケージ」により、10分以内に20℃の水に少なくとも部分的に水に溶解し、又は水に分散して、パッケージの内容の周囲の水への放出を可能にするパッケージが意味される。
【0026】
用語「高級アルコキシラート」により、アルコキシラート基において最大数の炭素原子を有するアルコキシラート基が意味される。用語「低級アルコキシラート」により、アルコキシラート基において最小数の炭素原子を有するアルコキシラート基が意味される。したがって、エトキシレート(EO)基、及びプロポキシレート(PO)基を含む混合アルコキシラート脂肪アルコールに関して、EOは、低級アルコキシラートであり、また、POは、高級アルコキシラートである。したがって、本発明の界面活性剤組成物は、PO基よりも多くの数のEO 基を有する混合アルコキシラート脂肪アルコールを含む。同様のことは、EO及びブトキシレート(BO)、或いは、PO基及びEO基を含むアルコキシラートなどのその他の混合アルコキシラートについても言える。
【0027】
本明細書において使用される用語「液状界面活性剤」とは、21℃において液体である界面活性剤のことを意味する。
【0028】
本明細書において使用される用語「液状組成物」とは、凝集塊として流動する性質を示す凝集性組成物のことを指す。この用語は、液体、ゲル、及びペーストを含む。誤解を避けるために、この用語は、固形物、顆粒、又は粉体を含まない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ここでさらに詳細に記載される。
【0030】
a)界面活性剤組成物の形態
本発明の組成物は、床又は壁クリーニング組成物などの硬表面用界面活性剤組成物クリーナーの形態をとることができる。しかしながら、本発明の組成物は、食器洗浄用組成物、特に自動食器洗浄用組成物であることが好ましい。
【0031】
本発明の界面活性剤組成物は、本明細書に定義した通り、液状の形態である。本発明の好ましい態様によれば、該食器洗浄用組成物は、ゲルである。
【0032】
好ましくは、本発明の界面活性剤組成物は、アルカリ性であり、より好ましくは、20℃の1重量%溶液で9〜12の範囲のpH、最も好ましくは9.5〜11.5の範囲のpHを有する。しかしながら、用途に応じて、例えば、20℃の1重量%溶液で6.5〜9の範囲のpH、特に、7〜8.5の範囲のpHを有するアルカリ度の小さな界面活性剤を用いることができる。
【0033】
本発明の界面活性剤組成物は、当業者に周知の任意の適切な方法によって生産することができる。しかしながら、該界面活性剤組成物は、本発明の第二の態様に従ったものであることが好ましい。
【0034】
b)液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤は、低発泡性界面活性剤であると考えられているので、自動食器洗浄や、その他の硬表面用クリーニング作業に適している。
【0035】
標準的な非イオン性界面活性剤の構造は、C8〜C12の炭素鎖を有する脂肪アルコールであって、エトキシル化、又はプロポキシル化されている脂肪アルコールに基づいたものである。エトキシル化の度合いは、酸化エチレン単位(EO)の数によって表されており、また、プロポキシル化の度合いは、プロピレンオキシド単位(PO)の数によって表されている。界面活性剤は、該脂肪アルコールのブトキシル化を受けて現れたブチレンオキシド単位(BO)を含むこともできる。好ましくは、これは、PO単位とEO単位の混合物である。この界面活性剤の鎖は、ブチル(Bu)部分を用いて終止することができる。
【0036】
脂肪アルコールの長さ、及びエトキシル化/プロポキシル化の度合いは、該界面活性剤の構造が、室温よりも低温の融点を有しているか、或いは、換言すれば、室温において液状、又は固体であるかを決定する。本発明の混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、室温において液状であるので、汚れの付着を抑制し、及び少なくとも部分的に光沢を付与する効果を奏するものと考えられる。
【0037】
混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、ガラス、プラスチック、及び金属の表面を、30秒未満で、少なくとも該表面の90%というような具合に、迅速に湿潤する性質を具備していることが好ましい。
【0038】
本発明の組成物は、分子内に高級アルコキシラート基のモル数よりも大きなモル数の低級高級アルコキシラート基を含む液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤を含む。
【0039】
該混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が、EO基、PO基、又はBO基の少なくとも二つ、及び、特に、EO基とPO基との混合物、好ましくは、EO基及びPO基のみを含むことが特に好ましい。
【0040】
低級アルコキシラート基の高級アルコキシラート基に対するモル比は、例えば、少なくとも2:1、或いは、少なくとも3:1など、少なくとも1.1:1であり、より好ましくは、少なくとも1.5:1であり、及び、最も好ましくは、少なくとも1.8:1である。
【0041】
本発明の特に好ましい混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、3〜5モルの高級アルコキシラート基、及び6〜10モルの高級低級基を含む。4モル又は5モルの高級アルコキシラート基、及び7モル又は8モルの低級アルコキシラート基を有する混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が特に好ましい。本発明のある態様によると、4モル又は5モルのPO、及び7モル又は8モルのEOを有する混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が特に好ましく、また、4モルのPO、及び8モルのEOを有する界面活性剤において良好な結果が得られている。特に好ましい実施態様において、該混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、C12-15 8EO/4POである。
【0042】
エトキシル化モノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノールであり、さらにポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー単位を含む界面活性剤を使用できる。そのような界面活性剤のアルコール又はアルキルフェノール部分は、非イオン性界面活性剤の全体の分子量の30重量%超、好ましくは50重量%超、より好ましくは70重量%超を構成する。
【0043】
本発明の組成物で用いられる混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、6〜20個の炭素原子を有する適切なモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノールの反応によって調製することができる。該界面活性剤は、好ましくは、1モルのアルコール又はアルキルフェノールに対して、少なくとも8モル、特に好ましくは、少なくとも10モルのアルキレンオキシドを有する。
【0044】
特に好ましい液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、12〜18個の炭素原子、好ましくは、12〜15個の炭素原子、及び1モルのアルコールに対して、少なくとも10モル、特に好ましくは、少なくとも12モルのアルキレンオキシドを有する線状鎖脂肪アルコールに由来するものである。
【0045】
PO単位が用いられる場合、それらは、非イオン性界面活性剤の全体の分子量の25重量%まで、好ましくは20重量%まで、より好ましくは15重量%までを構成する。
【0046】
適切な液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのリバースブロックコポリマー、及びトリメチロールプロパンにより開始されるポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマーのクラスにおいて見出すことができる。
【0047】
適切な種類は、下記式によっても記載できる:
R1O[CH2CH(CH3)O]x [CH2CH2O]y [CH2CH(OH)R2]
(式中、Rは4〜18個の炭素原子を有する線状鎖若しくは分枝鎖脂肪族炭化水素基又はこれらの混合物を表し、Rは2〜26個の炭素原子を有する線状鎖若しくは分枝鎖脂肪族炭化水素残余又はこれらの混合物を表し、xは0.5〜1.5の値であり、かつ、yは少なくとも15の値である。)
【0048】
適切な液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤の他の群は、下記式の末端封鎖された(end-capped)ポリオキシアルキル化非イオン性物質に見出すことができる:
R1O[CH2CH(R3)O]x[CH2]kCH(OH)[CH2]jOR2
(式中、分子が高級アルコキシラート基のモル数よりも大きなモル数の低級アルコキシラート基を含むという条件で、R及びRは1〜30個の炭素原子を有する線状鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、Rは水素原子又はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル又は2-メチル-2-ブチル基を表し、xは1〜30の値であり、かつ、k及びjは1〜12、好ましくは1〜5の値である。xの値が2より大きい場合、上記式における各Rは異なり得る。R及びRは好ましくは、6〜22個の炭素原子を有する線状鎖若しくは分枝鎖の飽和若しくは不飽和の脂肪族又は芳香族炭化水素基であり、8〜18個の炭素原子を有する基が特に好ましい。基Rについては、H、メチル又はエチルが特に好ましい。xについて特に好ましい値は、1〜20、好ましくは6〜15が含まれる。)
【0049】
上記の通り、xが2より大きい場合、当該式の各Rは異なり得る。例えば、x=3の場合、基Rは、全ての単一の順序、例えば、(PO)(EO)(EO)、(EO)(PO)(EO)、(EO)(EO)(PO)、(PO)(EO)(PO)、及び(PO)(PO)(EO)において使用できる酸化エチレン(R=H)又はプロピレンオキシド(R=メチル)単位を構築するように選択できる。高級アルコキシラートよりも低級アルコキシラートを多く含む混合アルコキシラートだけが、特許請求をした混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤として適切である。xについての値3は例示のみであって、より大きい値を選択でき、これにより(EO)又は(PO)単位のより大きな数の変動が起こり得る。
【0050】
上記式の特に好ましい末端封鎖されたポリオキシアルキル化アルコールは、以下の単純化された式の開始分子(originating molecule)であるk=1及びj=1の場合のものである:
R1O[CH2CH(R3)O]xCH2CH(OH)CH2OR2
【0051】
他の適切な界面活性剤は、その内容が引用により本明細書に組み込まれるWO 95/01416に開示されている。
【0052】
本発明の特に好ましい実施態様において、該混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、以下の一般式を有する;
R1-[EO]n-[PO]m-[BO]p-Buq
(式中:
R1は、C8〜C20のアルキル基であり;
EOは、酸化エチレンであり;
POは、プロピレンオキシドであり;
BOは、ブチレンオキシドであり;
Buは、ブチレンであり;
N及びmは、1〜15の整数値であり;
Pは、0〜15の整数値であり;及び
Qは、0又は1である。)
【0053】
特に好ましい混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤の例は、BASF社製のPlurafac(商標)、Lutensol(商標)、及びPluronic(商標)、及び、Clariant社製のGenapol(商標)シリーズにおいて見出すことができる。
【0054】
特許請求をした混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤、及び、特に、C12-15脂肪アルコール8EO,4PO界面活性剤 (Clariant社、GermanyからGenapol EP 2584として市販されている)は、以下の性質を示す;
・プラスチック、ガラス、セラミック、及び、ステインレス鋼の良好な湿潤
・加工に適した90℃まで温度での優れた温度安定性
・液状界面活性剤組成物において一般的に利用されている増粘剤(例えば、PEG)との良好な適合性
・アルカリ条件下での安定性。
【0055】
前述したどの非イオン性界面活性剤の混合物を使用しても、それらが液状であり、かつ分子内の高級アルコキシラート基のモル数よりも大きなモル数の低級アルコキシラート基を含んでおれば、本発明の組成物、例えば、アルコキシル化したアルコ−ルと、アルコキシル化したアルコ−ルを含むヒドロキシ基との混合物において適切である。
【0056】
本発明の液状界面活性剤組成物は、2-30重量%、より好ましくは、3-25重量%、例えば、5-20重量%の液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。本発明の組成物が、多相単位用量組成物の一部として存在しているのであれば、特許請求をした非イオン性界面活性剤は、単位用量組成物の全重量の0.1重量%〜15重量%、より好ましくは、0.5-10重量%、例えば、0.5-7.5重量%の量で存在する。
【0057】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、食器や食器洗い機の表面を覆う界面活性剤分子のフィルムが、それら表面への炭酸カルシウムの沈着を妨げ、それにより、汚れの減少を促し、及び処理を行う表面の光沢を改善するものと考えられる。第二の予期していなかった有益な効果は、高濃度の界面活性剤に起因して、自動食器洗浄機での本洗いサイクルから濯ぎサイクルへの界面活性剤の「持ち越し」が増えたことにある。多利益界面活性剤(multi-benefit detergent)は、食器洗い機に装備されているタンクに特別なリンス剤を加えずに利用されているので、このことは、多利益界面活性剤においては重要である。
【0058】
多くの技術プロセスでは、固体表面へ散布する液体の調節を必要としている。滴が表面に残っている場合には、その滴は、表面を完全に湿潤することができ、部分的に湿潤することができ、又は表面を湿潤することはできない。湿潤するとは、特定の表面での液滴の接触角度「°」として定義することができ、小さな接触角度は、より大きな湿潤を示し;0°〜90°の接触角度は、非常に湿潤しやすいと定義され、0°の接触角度は、全体的に湿潤可能であると定義される。
【0059】
特許請求をした界面活性剤を用いて表面張力を減少させることによって、水要求性乾燥物質を、部分的又は完全に湿潤したものにすることができる。界面活性剤は、自由エネルギーを減少させるための疎水性物質の濡れ挙動を改める気液界面、固液界面、及び固気界面に吸着される。界面活性剤が、疎水性表面に吸着されると、極性頭部基は、尾部を外側に向けた状態で溶液内に埋まっていく。さらに疎水性に富んだ表面では、界面活性剤は、固体上に二重層を形成して、親水性の度合いを高めることもできる。界面活性剤が吸着されると、固気の表面張力が増大し、及び滴の端部が親水性になる。その結果、滴が分散して、汚れが見えにくくなる。
【0060】
このプロセスは経時的であり、及び動的降下半径は、分散を始めようとしている滴として捉えることができる。接触角度の変化は、以下の方程式に基づいている:
【数1】

・Θ0は、当初の接触角度である
・Θは、最後の接触角度である
・τ は、界面活性剤の移動時間尺度である
【0061】
したがって、界面活性剤の湿潤特性は、不均等に分散した水滴の乾燥を行った後に表面に残存する汚れの量を調節するので、食器洗浄用組成物などの硬表面に対して用いられる界面活性剤組成物の性質の要である。
【0062】
c)ビルダー
本発明の組成物は、ビルダーを含む。ビルダーは、本発明の組成物と一緒に多相単位用量組成物において用いた任意のさらなる界面活性剤組成物に含めることもできる。この界面活性剤組成物は、リン系、又は非リン系のいずれか、或いは双方の種類の組み合わせとすることができる従来量の界面活性剤ビルダーを含むことができる。適切なビルダーは、当該技術分野において公知である。
【0063】
リン含有ビルダーを使用する場合、モノリン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、又はオリゴマー性ポリリン酸塩を使用することが好ましい。これらの化合物のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好ましい。特に好ましいリン含有ビルダーは、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)である。リン含有ビルダーの従来量は、固体界面活性剤組成物において、典型的には15重量%〜80重量%、例えば20重量%〜75重量%、より好ましくは25重量%〜60重量%の範囲で使用できる。
【0064】
非リン含有ビルダーとして、カルボン酸基を有する有機分子、アミノ酸系化合物、コハク酸塩系化合物、又はこれらの混合物などがある。用語「コハク酸塩系化合物」及び「コハク酸系化合物」は、本明細書において互換的に使用されており、及びこれらの化合物については、以下にさらに記載がされている。
【0065】
水溶性単量体ポリカルボン酸、及び/又はそれらの酸性型から選択された有機分子であるビルダー化合物は、本発明にしたがって使用することができる。適切なポリカルボン酸には、非環式、脂環式、複素環式、及び芳香族カルボン酸を含む。これら化合物の適切な例には、クエン酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、乳酸、(エチレンジオキシ)ジ酢酸、タルトロン酸、乳酸、グリコール酸、マロン酸、オキシ二酢酸、並びにフマル酸、及びこれらの塩及び誘導体、特に、これらの水溶性の塩を含む。前述した化合物の好適な塩は、アンモニウム、及び/又はアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えば、アンモニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はカルシウム塩であり、及び、特に好ましい塩は、ナトリウム塩である。これらの酸は、それらの単量体型、又はオリゴマー型で使用することができる。特に好ましいビルダーは、クエン酸ナトリウムである。
【0066】
本発明に従ったアミノ酸系化合物の好ましい例には、MGDA(メチル-グリシン-二酢酸並びにその塩及び誘導体)、及びGLDA(グルタミン酸-N,N-二酢酸)、並びにこれらの塩及び誘導体を含む。他の適切なビルダーは、US 6,426,229に記載されており、本明細書に引用により組み込まれる。好ましいMGDA化合物は、メチル-グリシン-二酢酸の塩である。適切な塩には、三アンモニウム塩、三カリウム塩、及び、好ましくは、三ナトリウム塩を含む。好ましいGLDA化合物は、グルタミン酸二酢酸の塩である。適切な塩には、四アンモニウム塩、四カリウム塩、及び、好ましくは、四ナトリウム塩を含む。それらのナトリウム塩が、特に好ましい。
【0067】
特定の適切なビルダーには、以下のものを含む:例えば、アスパラギン酸-N-モノ酢酸(ASMA)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、イミノジコハク酸(IDA)、アスパラギン酸-N-モノプロピオン酸(ASMP)、N-(2-スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N-(2-スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N-(2-スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N-(2-スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、N-メチルイミノ二酢酸(MIDA)、α-アラニン-N,N-二酢酸(α-ALDA)、β-アラニン-N,N-二酢酸(β-ALDA)、セリン-N,N-二酢酸(SEDA)、イソセリン-N,N-二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン-N,N-二酢酸(PHDA)、アントラニル酸-N,N-二酢酸(ANDA)、スルファニル酸-N,N-二酢酸(SLDA)、タウリン-N,N-二酢酸(TUDA)、及びスルホ-メチル-N,N-二酢酸(SMDA)、並びにこれらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩。
【0068】
好ましいコハク酸塩化合物は、US-A-5,977,053に記載されており、以下の式を有する:
【化1】

(式中、R,Rは、互いに独立して、H又はOHを意味し、R2,R3,R4,R5は、互いに独立して、陽イオン、水素、アルカリ金属イオン、及びアンモニウムイオン、一般式R6R7R8R9N+を有するアンモニウムイオンを意味し、及びR6, R7, R8, R9は、互いに独立して、水素、1〜12個の炭素原子を有するアルキルラジカル、又は2〜3個の炭素原子を有するヒドロキシル置換されたアルキルラジカルを意味する。)イミノジコハク酸(IDS)及び(ヒドロキシ)イミノジコハク酸(HIDS)及びこれらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩は、特に好ましいコハク酸塩系ビルダー塩である。それらのナトリウム塩が、特に好ましい。
【0069】
MGDA、GLDA、IDS、及びHIDSは、本発明の特に好ましいアミノ酸系及びコハク酸塩系ビルダーであり、及びこれらの混合物も使用することができる。前出の段落に記載のいずれの適切な形態のアミノ酸系及びコハク酸塩系化合物も使用することができる。
【0070】
これらのリン不含ビルダーの従来の量は、典型的には、20重量%〜80重量%、例えば25又は30重量%〜60又は70重量%の範囲で使用できる。
【0071】
本発明のある態様によれば、STPPなどのリン含有ビルダー、及びMGDA, GLDA, IDS, HIDS及び/又はクエン酸塩などのリン不含ビルダーの混合物を使用することができる。各ビルダーの重量割合は、調剤者が加減して決定することができる。
【0072】
好ましくは、組成物に存在するビルダーの総量は、少なくとも10重量%、及び最も好ましくは少なくとも15重量%、好ましくは最高80重量%、好ましくは最高65重量%、より好ましくは最高60重量%の量である。組成物において使用する実際の量は、使用するビルダーの性質による。
【0073】
d) 任意成分
本発明の界面活性剤組成物は、特許請求をした界面活性剤に加えて、更なる任意成分も含むことができる。これらの成分は、多相単位用量界面活性剤組成物を形成するために、本発明の組成物と併用したその他の界面活性剤組成物に存在させることもできる。重量パーセントについて後述をしているように、この成分を含む組成物の重量パーセントを基にしている。この点に関して、本発明の組成物については、該組成物の重量だけに基づいている。該組成物が多相単位用量界面活性剤組成物の一部を形成する場合にあっては、この量は、特定の成分を含有している多相単位用量の一部の重量に基づいていると言える。
【0074】
本発明の界面活性剤組成物の必須成分である上述した特定の液状混合アルコキシル化脂肪アルコール界面活性剤に加えて、これらは、1以上の更なる界面活性剤を含むことができる。本発明の多相単位用量組成物を用いたその他のいかなる界面活性剤組成物も、本明細書に記載した界面活性剤を含むことができる。
【0075】
更なる界面活性剤が存在する場合、それは、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両性、若しくは双性イオン性の表面活性剤、又はこれらの混合物のいずれでもよいが、陽イオン性界面活性剤は、あまり好ましくない。そのような適切な界面活性剤の多くは、引用により本明細書に組み込まれるKirk Othmerの化学技術百科(Kirk Othmer's Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版, 22巻, 360-379頁,「界面活性剤及び界面活性物質系(Surfactants and Detersive Systems)」に記載されている。
【0076】
本発明による自動食器洗浄用組成物については、非イオン性界面活性剤が特に好ましい。床及び壁などの他のクリーニング用途については、陰イオン性界面活性剤などの他の界面活性剤が好ましく含まれ、適切なタイプは、当該技術分野において周知である。
【0077】
使用することができる更なる非イオン性界面活性剤は、高級アルコキシラートを低級アルコキシラートよりも多く含んでいない固体の任意の非イオン性界面活性剤並びに任意の非イオン性界面活性であり得る。
【0078】
使用することができる更なる非イオン性界面活性剤(上記した液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤に該当するものを除く)の好ましい種類は、6〜20個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノールの反応により調製されるエトキシル化非イオン性界面活性剤であり、それらは、液状を呈しておらず、又は高級アルコキシラートを低級アルコキシラートよりも多く含んでいない。
【0079】
好ましくは、界面活性剤は、アルコール又はアルキルフェノール1モル当たり少なくとも12モル、特に好ましくは少なくとも16モル、さらにより好ましくは少なくとも20モル、例えば少なくとも25モルの酸化エチレンを有する。更なる非イオン性界面活性剤としての利用に適した特に好ましい非イオン性界面活性剤は、16〜20個の炭素原子、及びアルコール1モル当たり少なくとも12モル、特に好ましくは少なくとも16モル、さらにより好ましくは少なくとも20モルの酸化エチレンを有する線状鎖脂肪アルコールに由来するものである。
【0080】
更なる脂肪アルコール非イオン性界面活性剤は、混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤について上述したようにして調製することができる。
【0081】
様々な非イオン性界面活性剤の混合物、例えば、アルコキシル化したアルコ−ルとアルコキシル化したアルコ−ルを含むヒドロキシ基との混合物の使用は、本発明において適切である。
【0082】
好ましくは、非イオン性界面活性剤の総量は、該界面活性剤を含む組成物の0.1 重量%〜20重量%、より好ましくは0.5重量%〜15重量%、例えば、1〜10重量%の量である。
【0083】
本発明の界面活性剤組成物において特に好ましい任意成分は、ポリマーである。適切なポリマーは、ポリアクリル酸ホモポリマーなどのポリカルボン酸基及びそのコポリマー並びに塩を含むポリマーを含む。スルホン化されたモノマーを有するアクリル酸などのポリカルボン酸のコポリマーは、スルホン化されたポリマーと特許請求をした界面活性剤系との組み合わせが、該界面活性剤組成物が奏する光沢付与性と防汚性において顕著な効果をもたらしているので、本発明において特に好ましい。
【0084】
スルホン化されたポリマーの好ましい例には、CH2=CR1-CR2R3-O-C4H3R4-SO3Xのコポリマーを含み、R1、R2、R3、R4は独立に1〜6個の炭素アルキル又は水素であり、かつ、Xは水素又はアルカリであり、修飾されたアクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸及びメチレンマロン酸又はこれらの塩を含む任意の適切な他のモノマー単位、無水マレイン酸、アクリルアミド、アルキレン、ビニルメチルエーテル、スチレン及び任意のこれらの混合物を伴う。スルホン化された(コ)ポリマーにおける組込みのための他の適切なスルホン化されたモノマーは、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸(allysulphonic acid)、メタリルスルホン酸(methallysulphonic acid)、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロぺネン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピルアクリル酸、3-スルホプロピルメタクリル酸、スルホメチルアクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及びこれらの水溶性塩である。適切なスルホン化されたポリマーは、US 5308532及びWO 2005/090541においても記載されている。
【0085】
スルホン化されたポリマーは、カルボン酸のモノマー及びスルホン化されたモノマー、特にアクリル酸及び/又は2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)を含むことが特に好ましい。スルホン化されたポリマーは、特に(モノマーの)重量比で50:50〜90:10、例えば70:30〜80:20のアクリル酸及びAMPSのコポリマーが最も好ましい。
【0086】
スルホン化されたポリマーが存在する場合、それは好ましくは界面活性剤組成物に、少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、及び最も好ましくは少なくとも3重量%の量で、最高40重量%、好ましくは最高30重量%、より好ましくは最高20重量%、及び最も好ましくは最高15重量%の量で存在する。
【0087】
多相単位用量組成物についての本発明の実施態様において、スルホン化されたポリマーは、本発明の界面活性剤組成物、及び該多相単位用量組成物の少なくとも一つの更なる相を形成する少なくとも一つの更なる界面活性剤組成物において存在する。
【0088】
式(I)のポリアスパラギン酸誘導体であるポリマーを含むことも可能である:
【化2】

(式中:
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、任意に置換したアルキルアンモニウム、又は、これらの混合物から選択され;
Xは、NR1, O及びS、又はこれらの混合物から選択され、式中、R1 は、H、又はヒドロキシ又はC1-8アルキルで任意に置換されたC1-20ヒドロカルビルであり;
Z は、R2Ynであり、式中:
R2は、各々が、C1-8 アルキル、又は環状 C3-10 アルキルで任意に置換された線状又は分枝C1-C20アルキル、C5-20アラルキルであって、該アラルキルが、N, O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含むことができる;及び、
線状及び分枝-R3-( R3O)p 又は-R5-(N(R4)R5)qであって、R3及びR5が、線状又は分枝C1-C10アルキルから選択され、及びR4が、Rと同じ群から選択され、及びp及qが、1〜100の整数である; を含む群から選択され;
各々のYが、独立して、OH; OR10; SO3M; SO2M; SO3R11; SO2R12; OSO3M; OSO2M; OSO3R11; OSO2R12; PO3M; PO2M, PO3R11; PO2R12; OPO3M; OPO2M, OPO3R11; OPO2R12; COOM; COOR13を含む親水性置換基の群から選択され、R10, R11, R12及びR13の各々が、互いに独立して、R6について定義をした群から選択されている群;及び/又は、NR14R15及びNR14R15R16を含む疎水性置換基の群であって、R14, R15 及びR16の各々が、独立して、各々がC1-8アルキル又は環状C3-10アルキルで任意に置換された線状又は分枝C1-C20アルキル、環状C3-10アルキル、又はC5-20アラルキルから選択され、該アラルキルは、N, O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含むことができる群、から選択され;
R8は、H、又は、Rと同じ群から選択され;
Xが、NR1である場合に、Yは、SO3M, SO2M, SO3R11, SO2R12, OSO3M, OSO2M, OSO3R11又はOSO2R12ではなく;
n は、1〜20の整数であり;
k, lは、互いに独立して、0〜860の整数であり;及び、
mは、1〜860の整数である。)
【0089】
本発明の第一の態様のさらなる実施態様において、前記した式(I)の化合物を含む組成物が提供される:
(式中:
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、任意に置換したアルキルアンモニウム、又は、これらの混合物の群から選択され;
Xは、NR1, O及びS、又はこれらの混合物から選択され、式中、R1 は、H、又はヒドロキシ又はC1-8アルキルで任意に置換されたC1-20ヒドロカルビルの群から選択され;
Z は、R2Ynであり、式中:
R2 は、各々が、C1-8 アルキル、又は環状 C3-10 アルキルで任意に置換された線状又は分枝C1-C20アルキル、C5-20アラルキルであって、該アラルキルが、N, O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含むことができる;及び、
線状及び分枝-R3-( R3O)p 又は-R5-(N(R4)R5)qであって、R3及びR5が、線状又は分枝C1-C10アルキルから選択され、及びR4が、Rと同じ群から選択され、及びp及qが、1〜100の整数である; を含む群から選択され;
各々のYが、独立して、OH; OR10; SO3M; SO2M; SO3 R11; SO2R12; OSO3M; OSO2M; OSO3R11; OSO2R12; PO3M; PO2M, PO3R11; PO2R12; OPO3M; OPO2M, OPO3R11; OPO2R12; COOM; COOR13を含む親水性置換基の群から選択され、R10, R11, R12及びR13の各々が、互いに独立して、R6について定義をした群から選択されている群;及び/又は、H、NR14R15及びNR14R15R16を含む疎水性置換基の群であって、R14, R15 及びR16の各々が、独立して、各々がC1-8アルキル又は環状C3-10アルキルで任意に置換された線状又は分枝C1-C20アルキル、環状C3-10アルキル、又はC5-20アラルキルから選択され、該アラルキルは、N, O及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含むことができる群、から選択され;
R8は、H、又は、Rと同じ群から選択され;
疎水性置換基:親水性置換基のモル比が、1:1.1〜1:1000であるという条件で;
n は、1〜20の整数であり;
k, lは、互いに独立して、0〜860の整数であり;及び、
mは、1〜860の整数である。)
【0090】
このポリアスパラギン酸誘導体は、本発明の組成物に、0.1〜40重量%、例えば、5〜30重量%の量で含むことができる。
【0091】
本発明の組成物は、組成物の粘度を調整するために、1以上の増粘剤を含むこともできる。当該技術分野で周知の適切な増粘剤を、好ましいゴム、ポリマー、及びゲルと共に使用することができる。例えば、ポリエチレングリコール、例えば、5000〜15,000の範囲の分子量を有するPEGを、増粘剤として用いることができる。増粘剤は、典型的には、最高2重量%の量で存在する。
【0092】
本発明の界面活性剤組成物は、1以上の泡制御剤を含むこともでき、及び、実際のところ、そうすることは好ましい。この目的のために適切な泡制御剤は、この分野において従来使用されてきた全てのもの、例えば、シリコン及びこれらの誘導体並びにパラフィン油である。泡制御剤は、好ましくは、組成物の総量の0.5重量%以下の量で組成物に存在する。
【0093】
本発明の界面活性剤組成物は、少量の従来量の保存料、色素、着色料及び香料を要望通りに含むこともできる。そのような成分は、典型的には最高2重量%の量で存在する。
【0094】
本発明の液状界面活性剤組成物は、溶剤、例えば、1,2プロピレングリコールなどのグリコールを含むこともできる。典型的には、溶剤は、使用するのであれば、最高10重量%、好ましくは、最高5重量%の量で存在する。
【0095】
本発明の界面活性剤組成物は、漂白化合物を含むことができるが、漂白化合物を含まないものが一般的になるであろう。本発明の界面活性剤組成物は、多相単位用量界面活性剤組成物の一部として使用することもできる。この場合、該多相単位用量界面活性剤組成物を製造する他の界面活性剤組成物は、漂白化合物を含むことができ、及び、好ましくは、そのようにする。
【0096】
本発明の組成物、又は該多相単位用量界面活性剤組成物の一部を形成する他の界面活性剤組成物のいずれかにおいて、従来の漂白化合物を、従来量で使用することができる。
【0097】
漂白剤が存在する場合には、好ましくは、少なくとも1重量%、より好ましくは、少なくとも2重量%、より好ましくは、少なくとも4重量%の量で、関連化合物において存在する。好ましくは、最高30重量%、より好ましくは、最高20重量%、及び、最も好ましくは、最高15重量%の量で、関連化合物において存在する。1%〜30重量%の量の漂白成分が、特に好ましい。
【0098】
最も好ましくは、該漂白剤は、無機ペルオキシ化合物、及び、有機過酸、及び、これらから誘導された塩から選択される。
【0099】
無機過酸化水素化物の例は、ペルオキシ一硫酸塩(KMPS)などの過硫酸塩、過ホウ酸塩、又は過炭酸塩を含む。無機過酸化水素化物は、通常は、リチウム塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩などのアルカリ金属塩であって、特に、ナトリウム塩である。該無機過酸化水素化物は、さらなる保護基を持たないままに、結晶性固体として界面活性剤において存在することができる。しかしながら、特定の過酸化水素化物については、長期の貯蔵を可能にする粒状物を生成するコーティングが得られる場合には、それらを、粒状組成物として使用することは得策である。
【0100】
好ましい過炭酸塩は、2Na2CO3.3H2O2の式の過炭酸ナトリウムである。過炭酸塩は、そのものが存在する場合には、その溶解性を高めるためにコーティングされた形態のものが好適に使用される。
【0101】
有機過酸は、漂白剤として伝統的に使用されていたすべての有機過酸を含み、例えば、過安息香酸、及び、モノペルオキシフタル酸、又はジペルオキシフタル酸、2-オクチルジペルオキシコハク酸、ジペルオキシドデカンジカルボン酸、ジペルオキシアゼライン酸、及びイミドペルオキシカルボン酸などのペルオキシカルボン酸、及び、任意に、これらの塩などを含む。特に好ましいのは、フタルイミドペルヘキサン酸(PAP)である。
【0102】
本発明の組成物又は本発明の組成物を含む単位用量組成物が漂白剤を含む場合、それらは、漂白化合物の性質に応じて、1以上の漂白活性剤又は漂白触媒を含むことができる。任意の適切な漂白活性剤には、例えばTAEDが含まれ得る。適切な漂白剤触媒は、例えばEP-A-1,741,774に記載されているものなどの酢酸マンガン又は複核マンガン錯体について使用できる。従来の量は、例えば、漂白剤を含む組成物の一部の重量に基づき、1〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%、及び最も好ましくは10〜20重量%の量で使用できる。
【0103】
本発明の界面活性剤組成物、又は多相単位用量組成物に含まれた他の界面活性剤は、特に該界面活性剤組成物が自動食器洗浄操作における使用のためのものである場合、1以上の防腐食剤を含むことができる。これらの防腐食剤は、ガラス及び/又は金属の腐食に対して利点を提供でき、該用語は、非鉄金属、特に銀及び銅の錆を防止又は低減することを意図する剤を含む。1種類以上の防腐食剤を含ませて、ガラス及び金属の腐食に対する保護を提供できることが望ましい。
【0104】
有機リン酸は、しばしば腐食阻害剤として使用される。本発明によると、二リン酸及びその塩が好ましく、特に好ましいのは四ナトリウム及び二ナトリウム塩である。1-ヒドロキシエチリデン1,1-二リン酸(HEDP)、及び四ナトリウム又は二ナトリウム塩が特に好ましい。有機リン酸は、該有機リン酸が存在する組成物の重量に基づき、0.05〜10重量%、例えば0.1〜7.5重量%の量で使用されるのが好ましい。
【0105】
防腐食のためには、界面活性剤組成物、特に自動食器洗浄用組成物に多価イオンの供給源を含ませることが公知である。例えば、多価イオン、特に亜鉛、ビスマス及び/又はマンガンイオンは、そのような腐食を阻害する能力のために含まれている。銀/銅の腐食阻害剤としての使用に適することが公知である、有機及び無機の酸化還元活性成分は、WO 94/26860及びWO 94/26859に記載されている。適切な無機酸化還元活性成分は、例えば、酸化状態II、III、IV、V又はVIの1つである金属、亜鉛、ビスマス、マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、コバルト及びセリウム塩及び/又は錯体からなる群から選択される金属塩、及び/又は、金属錯体である。特に適切な金属塩、及び/又は、金属錯体は、MnSO4、クエン酸Mn(II)、ステアリン酸Mn(II)、アセチルアセトン酸Mn(II)、[1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸]Mn(II)、V2O5、V2O4、VO2、TiOSO4、K2TiF6、K2ZrF6、CoSO4、Co(NO3)2及びCe(NO3)3からなる群から選択される。多価イオンの適切な供給源、好ましくは硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、及び金属-タンパク質化合物から選択される供給源を使用できる。亜鉛塩は、特に好ましい腐食阻害剤である。
【0106】
好ましい銀/銅の防腐食剤は、ベンゾトリアゾール(BTA)又はビスベンゾトリアゾール及びこれらの置換誘導体である。他の適切な剤は、有機、及び/又は、無機の酸化還元活性成分並びにパラフィン油である。ベンゾトリアゾール誘導体は、芳香環上で利用可能な置換部位が部分的に又は完全に置換されている当該化合物である。適切な置換基は、線状鎖若しくは分枝鎖C1-20アルキル基及びヒドロキシル、チオ、フェニル又はハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。好ましい置換ベンゾトリアゾールは、トリルトリアゾール(TTA)である。
【0107】
従って、本発明による特に好ましい任意成分は、例えば直前のパラグラフに記載の多価イオンの供給源、及び、特に亜鉛、ビスマス及び/又はマンガンイオン及び/又は置換ベンゾトリアゾールを含むベンゾトリアゾールを含む化合物である。特に、亜鉛イオンの供給源及び非置換ベンゾトリアゾールは防腐食剤として好ましく、これら2つの成分の混合物は本発明に特に好ましい。
【0108】
防腐食剤の従来量は、本発明の固体界面活性剤組成物に含まれ得る。しかしながら、防腐食剤は、組成物の総量に基づき、0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.05重量%〜3重量%、より好ましくは0.1〜2.5重量%、例えば0.2重量%〜2重量%の総量で存在することが好ましい。複数の防腐食剤が使用される場合、個々の量は、前記所与の量にあることができるが、それでも好ましい総量が適用される。
【0109】
本発明の組成物は、1以上の酵素を任意に含むことができる。界面活性剤組成物に典型的に使用される酵素の任意のタイプは、本発明の組成物に含ませることができる。この酵素は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、及びペルオキシダーゼから選択されることが好ましい。プロテアーゼ及び/又はアミラーゼ酵素が本発明による組成物に含まれるのが最も好ましく、該酵素は、食器洗浄用界面活性剤組成物に特に効果的である。これらの酵素の適切な種類を要望通り使用できる。従来の量の該酵素を使用できる。
【0110】
本発明による組成物、及び/又は、多相単位用量組成物に用いられる界面活性剤組成物は、特に、該組成物が自動食器洗浄用途に使用される場合、(溶液において所望のpHを得るために)酸性源又はアルカリ源を含むことができる。
【0111】
アルカリ源は、好適には、適切な塩基性化合物、例えば、強塩基及び弱酸の塩であってよい。アルカリ性組成物が望ましい場合、ケイ酸塩は、適切なアルカリ源の中にある。好ましいケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、例えば、ニケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び結晶質のフィロケイ酸塩である。従来の量のアルカリ源又は酸性源を使用できる。その他の適切なアルカリ源は、炭酸塩又は重炭酸塩(例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩など、特に好ましくは、炭酸ナトリウム)であり得る。酸性源は、好適には、適切な酸性化合物、例えばポリカルボン酸であり得る。従来の量のアルカリ源又は酸性源を使用できる。
【0112】
該界面活性剤組成物は、適切な方法で調製することができる。しかしながら、25〜50℃、好ましくは、30〜40℃の範囲の温度で、構成成分を一緒に混合して製造をした場合に、特に良好な安定性を示す界面活性剤組成物が得られることが知られている。このことは、典型的には、室温で、少なくとも3ヶ月間にわたって良好な安定性を示す液状組成物を得るに至ることを示している。
【0113】
本発明は、台所用品、特に、ガラス製品などの硬表面の光沢、及び/又は、防汚性を改善する方法も提供する。特に、該方法は、本発明の第一の態様、又は、第二の態様のいずれかに従って、界面活性剤組成物を、食器洗浄中の台所用品と接触させるステップによって、自動食器洗浄機において台所用品を処理することによって実施される。除去をもたらす適切な条件が当該方法で利用され、典型的には、水性条件下、通常、15〜70℃、例えば30〜70℃の範囲の温度での接触を含む。
【0114】
本発明の第三の態様によれば、本発明の界面活性剤組成物は、多相単位用量組成物などの食器洗浄用組成物全体の一部を形成することが好ましい。単位用量界面活性剤組成物は、単一の洗浄操作における界面活性剤組成物の一部分として使用されるようにデザインされる。当然のことながら、必要であれば、1以上の該一部分も、クリーニング作業において使用することができる。追加の界面活性剤は、いかなる物理的形態のものでもよく、例えば、液状、粉状、粒状、成型体などとすることができる。
【0115】
本発明のある種類の好ましい単位用量組成物は、水溶性又は水分散可能なパッケージによって、少なくとも部分的に包まれた本発明の界面活性剤組成物を含む。それゆえ、これは、1回の洗浄操作で消費されることを意図する単位用量界面活性剤組成物である。水溶性又は水分散可能なパッケージ材料は、好ましくは界面活性剤組成物を完全に包む。この態様において、本発明の界面活性剤組成物は、そのまま(例えば、水溶性の単一区画パッケージに包み込まれたゲルなど)でも、或いは、2以上の異なる界面活性剤組成物を含む水溶性パッケージの一部を形成することができる場合においても、水溶性パッケージ又は水分散可能なパッケージ材料に存在することができる。後者の場合、水溶性パッケージは、各区画が1以上の界面活性剤組成物を含んでいる多区画パッケージであることが好ましい。
【0116】
本発明の一実施態様に従って、水溶性又は水分散可能なパッケージが複数の区画、典型的には2〜5区画を含むのが好ましい。これは、製剤全体の非互換的成分を互いから物理的に分離できる利点を有し、これは組成物全体の安定性を増加させることができる。
【0117】
本発明の界面活性剤を含む水溶性又は水分散可能なパッケージは、適切な形態、例えば、可撓性ポーチ又は自立の成形体、例えば、典型的には容器がフィルム蓋によって閉じてある実質的に平面ベース及び直立した側壁をもつものであってよい。本発明の一部の実施態様において、それは、部分的前成形容器を含むことができる。そのような容器の好ましい例には、ゼラチンカプセル、例えば医薬用途において利用されるものを含む。ゼラチンが使用される場合、ゼラチンの組成及び天然の性質に幅広く変化し得ることが理解されるであろう。例えば、ゼラチンは、(水、グリセリン、モノプロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどの可塑剤成分を有する)硬いゼラチン又は柔らかいゼラチンであり得る。
【0118】
上記のように、水溶性又は水分散可能なパッケージは、自己を支持する成形体の形態であり得る。好ましくは、これは、典型的にはフィルム蓋で閉じる実質的に平面ベース及び直立した側壁を有する自立体である。そのような自立体はいかなる形状でもよいが、典型的には、実質的に正方形又は矩形の横断面である。該パッケージは、壁のある容器の形態でなくてもよいが、その代わりに、実質的に自己支持型の(任意に孔/開口を有する)形状である。好ましくは、自己支持体には、マトリクスを含む。該マトリクスは、パッケージのフィルムに使用する材料により形成でき、又はあるいは、マトリクスは第2の材料を含むことができる。好ましいマトリクス形成材料は、特にグリセリンとの混合物で、任意に水を有するゼラチンを含む。更に好ましいマトリクス形成材料は、3000以上、例えば6000、8000、20000、35000又は800万などの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である。
【0119】
通常、該パッケージは、少なくとも1の平面で5〜60mm、好ましくは10〜50mm、例えば20〜45mmの最大寸法を有する。パッケージのサイズが、単位用量界面活性剤製品策定者の要求及び意図されるパッケージの使用に従って変化することは理解されるであろう。パッケージが、少なくとも2つの平面で、及び最も好ましくは3つの平面でこのサイズを有することは、特に好ましい。
【0120】
該パッケージは、いかなる適切な方法、例えば引用により本明細書に組み込まれるWO 2004/081161に記載される方法により形成できる。パッケージが射出成形によって生産される自己支持体である場合、それは、引用により本明細書に組み込まれるEP-A-1232100に開示される方法に従って為すことができる。
【0121】
界面活性剤組成物を含むパッケージが可撓性ポーチである場合、本方法は、パッケージ、特にパッケージ材料の可撓性シートを形成するために使用される材料の少なくとも1のシートを用いて界面活性剤組成物を包むステップを含むことができる。
【0122】
本発明の界面活性剤組成物を含むポーチの形態で水溶性又は水分散可能なパッケージを生産する1つの方法は、ポーチを形成するために使用されるパッケージ材料の第1のシートに空腔を形成すること、及びパッケージ材料が封止される前に界面活性剤組成物を添加して水溶性又は水分散可能なパッケージポーチを生産することである。該パッケージは、界面活性剤組成物を含む空腔上へのパッケージ材料の第2のシートの添加、及びそれをパッケージ材料の第1のシートに封止することにより封止できる。パッケージ材料の第1及び第2のシートは、同じか又は異なる水溶性又は分散可能なパッケージ材料を含むことができるが、該2つのシートは、好ましくは同じパッケージ材料を含む。
【0123】
該水溶性又は水分散可能なパッケージは、適切な従来の方法、例えば、生産されるパッケージタイプ、例えば、可撓性ポーチ又は自己支持容器により真空成形、熱成形又は射出成形によって、形成できる。例えば、熱成形プロセスにおいて、フィルムは、引落すことができ、又は型に吹き付けることができる。それゆえ、例えば、熱成形ヒータープレートアセンブリを使用してフィルムを熱成形温度まで加熱した後、真空下で引落すか、又は圧力下で型に吹き付ける。例えば、熱成形前に型からフィルムを吹き飛ばすことによる、フィルムのプラグ補助熱成形及び前延伸を必要に応じて使用できる。当業者は、適切な温度、圧力又は真空及び滞留時間を選択して、適切なパッケージを達成することができる。使用される真空又は圧力の量及び熱成形温度は、フィルムの厚み及び多孔性、並びに使用されるポリマー又はポリマー混合物による。PVOHフィルムの熱成形は公知であり、例えば、WO 00/55045に記載されている。
【0124】
ポリビニルアルコールは、水分散可能な又は水溶性のパッケージ(詳細についてはさらに以下を参照)を形成する1つの適切な材料である。PVOH又はエトキシル化PVOHについての適切な形成温度は、例えば、90〜130℃、特に90〜120℃である。適切な形成圧力は、例えば、69〜138kPa(10〜20p.s.i.)、特に83〜117kPa(12〜17p.s.i.)である。適切な形成真空は、0〜4kPa(0〜40mbar)、特に0〜2kPa(0〜20mbar)である。適切な滞留時間は、例えば、0.4〜2.5秒、特に2〜2.5秒である。
【0125】
水溶性又は水分散可能なパッケージを生産するために使用されるパッケージ材料は、好ましくはポリマー性であり、及び、好ましくは、ポリビニルアルコール、セルロース(セルロース誘導体を含む)、デンプン、ゼラチン、ポリグリコリド、ゼラチン及びポリ乳酸コポリマー、又はこれらの混合物若しくはコポリマーから選択される。ポリビニルアルコールは、特にパッケージ材料として好ましい。好ましいセルロース誘導体には、ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HMPC)を含む。ポリマー材料は、フォトポリマー、又は上述したタイプなどの適切なモノマーのコポリマーでよい。
【0126】
水溶性又は水分散可能なポリマー材料は、例えば、フィルムの形態であり得る。該フィルムは、単一のフィルムであってよく、又はGB-A-2,244,258にて開示されるような積層フィルムであってよい。単一のフィルムはピンホールを有することができるが、積層体における2以上の層は一致するピンホールを有しそうにない。
【0127】
水溶性又は水分散可能なパッケージの外壁の少なくとも1の、及び好ましくはすべての厚さは、最高2mm、より好ましくは最高1mm、より好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μm、特別には25〜160μm、より特別には30〜150μm、及び最も特別には30〜150μmでよい。
【0128】
パッケージ材料、例えば、フィルムは、いかなる方法によって、例えば押出及びブローにより、又は注型によって製造できる。該フィルムは、無配向、一軸配向、又は二軸配向であってよい。フィルムの層が配向する場合、それらは通常同じ配向を有するが、それらの配向平面は必要に応じて異なってもよい。積層体の層は、同じであってよく、又は異なってもよい。それゆえ、それらは各々、同じポリマーを含んでよく、又は異なるポリマーを含んでよい。
【0129】
単一の層フィルムにおいて、若しくは積層体の1以上の層において使用できる、又は射出成形又はブロー成形に使用できる水溶性又は分散可能なポリマー材料の例は、ポリ(ビニルアルコール)(PVOH)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース誘導体、及びゼラチンである。適切なPVOHの例は、エトキシル化PVOHである。PVOHは、部分的に又は完全にアルコール化又は加水分解されてよい。例えば、PVOHは、40〜100%、好ましくは70〜92%、より好ましくは約88%又は約92%アルコール化又は加水分解されてよい。加水分解の程度は、PVOHが水に溶け始める温度に影響することが公知である。88%の加水分解は、冷(すなわち室温)水に溶解するフィルムに対応するが、92%の加水分解は、温水に溶解するフィルムに対応する。従って、フィルムの水溶特性を制御できる。
【0130】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照して更に記載されている。本発明の範囲内の更なる実施例は、当業者にとって明らかである。
【実施例】
【0131】
(実施例1)
以下の表1に示した処方を有する二つの多相単位用量自動食器洗用組成物を、下記にしたがって調製をした。これらの組成物は、本発明に従ったゲルに加えて、粉体1及び粉体2として本実施例で表記した二つのさらなる粉体組成物をも含む。該ゲル組成物、及び二つの粉体組成物は、多相単位用量組成物を形成するための三つの区画を有する射出成型で前成型をしたポリビニルアルコール製容器の水溶性の各区画に置かれる。すべてのパーセンテージは、該組成物の総重量に基づいた重量%として表示されてある。
【0132】
製剤1は、本発明に従ったゲル界面活性剤組成物を含む。製剤2は、本発明にしたがったものでないエトキシル化脂肪アルコール非イオン性界面活性剤であるゲル界面活性剤組成物を含む比較例である。
【0133】
粉体1は、所定量の炭酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、及びトリポリリン酸ナトリウムを一緒に混合することによって形成される。
【0134】
粉体2は、所定量のTAED、顆粒プロテアーゼ、顆粒アミラーゼ、酢酸マンガン、及びスルホン化したコポリマーを一緒に混合することによって形成される。
【0135】
該ゲル組成物は、液状非イオン性界面活性剤、二つの増粘剤(PEG 6000及びEO/PO 増粘剤)、それに、トリポリリン酸ナトリウム(ゲルにおいて使用する)を、Ystral X50/10ミキサーにて、室温で、20分間、1000回転/分の速度で、ゲルを形成した固体と液体の微細分散液が生じるまで混合することによって形成される。この分散液は、室温で、3ヶ月間保存した後でも、顕著な相分離を生じなかった。
【表1】

【0136】
双方の製剤に関して、8.5gの粉体1を、ポリビニルアルコール製水溶性カプセルの第一区画に置いた。4.5gの粉体2を、ポリビニルアルコール製水溶性カプセルの第二区画に置いた。3.0gの本発明のゲル組成物を、ポリビニルアルコール製水溶性カプセルの第三区画に置いた。次いで、充填を終えた水溶性カプセルを、ポリビニルアルコール製水溶性フィルム(Monosol PT 75)で封止した。カプセルの重量は、2.5gであった。よって、充填を終えたカプセルの総重量は、18.5gであった。
【0137】
(実施例2)
製剤1及び製剤2を、Eco 50°C + Vario Speed(3-in-1機能ではない)プログラムを利用しているボッシュSGS058M02EU/36食器洗浄機と、それに続く、後述する濯ぎ性能試験において、それらの光沢プロファイル/防汚性について試験を行った。
【0138】
製剤1又は製剤2を、食器洗い機の投入チャンバに入れ、そして、機器を、上述した食器洗浄プログラムにしたがって稼動させた。該食器洗い機に、下記したガラス製品(ロングドリンクグラス)を入れた。水の硬度は、21°GHであった。この試験は、各製剤について、5回実施した。
【0139】
5回の食器洗浄サイクルを行った後に、明かりが灯されたブラックボックスにおいて、ロングドリンクガラス製品に関する汚れ/造膜性の評価を行った。その結果が、表2に示されており、及び1〜10の等級(1は、汚れ及び膜形成が極端である最悪の評価で、及び、10は、目に見える汚れも膜も認められない最高の評価である)で表している。
【表2】

【0140】
上記した濯ぎ性能の結果は、本発明の組成物が、比較例よりも良好な防汚性を奏することを実証している。このことは、消費者に対して、ガラス製品での光沢についても良好な印象を与えることとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の硬表面用界面活性剤組成物であって、
a) 分子内の高級アルコキシラート基のモル数よりも大きなモル数の低級アルコキシラート基を含む液状混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤、及び
b) ビルダー、
を含む、前記界面活性剤組成物。
【請求項2】
前記組成物が、自動食器洗浄用界面活性剤組成物である、請求項1記載の界面活性剤組成物。
【請求項3】
前記組成物が、ゲルである、請求項1又は2のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項4】
前記混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が、EO基、PO基、又はBO基の少なくとも二つを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項5】
前記混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が、EO基、及びPO基だけを含む、請求項4記載の界面活性剤組成物。
【請求項6】
前記混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤での低級アルコキシラート基の高級アルコキシラート基に対するモル比が、少なくとも1.1:1である、請求項1〜5のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項7】
前記低級アルコキシラート基の高級アルコキシラート基に対するモル比が、少なくとも1.8:1である、請求項6記載の界面活性剤組成物。
【請求項8】
前記混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が、3〜5モルの高級アルコキシラート基、及び6〜10モルの高級低級基を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項9】
前記混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が、4モル又は5モルのPO、及び7モル又は8モルのEOを含む、請求項8記載の界面活性剤組成物。
【請求項10】
前記混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が、4モルのPO、及び8モルのEOを含む、請求項9記載の界面活性剤組成物。
【請求項11】
前記混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤が、12〜18個の炭素原子を有する、請求項1〜10のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤が、2〜30重量%の前記混合アルコキシラート脂肪アルコール非イオン性界面活性剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項13】
前記ビルダーが、リン酸塩含有ビルダー、ポリカルボン酸、及びこれらの塩、並びにアミノ酸系ビルダーから選択される、請求項1〜12のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項14】
前記ビルダーが、トリポリリン酸塩、クエン酸塩、MGDA、及びGLDA、並びにこれらの塩又は誘導体及び混合物から選択される、請求項13記載の界面活性剤組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤組成物が、ポリマーをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項16】
前記ポリマーが、スルホン化されたポリマーである、請求項15記載の界面活性剤組成物。
【請求項17】
前記スルホン化されたポリマーが、カルボン酸又はその塩のモノマー、及びスルホン化されたモノマーを含む、請求項16記載の界面活性剤組成物。
【請求項18】
前記組成物が、更なる非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項記載の界面活性剤組成物を調製する方法であって、該界面活性剤組成物が、25〜80℃の範囲の温度において調製される、前記方法。
【請求項20】
前記界面活性剤組成物が、30〜50℃の範囲の温度において調製される、請求項19記載の界面活性剤組成物の調製方法。
【請求項21】
水溶性又は水分散可能なパッケージに包まれている請求項1〜18のいずれか1項記載の液状の硬表面用界面活性剤組成物を含む、単位用量界面活性剤組成物。
【請求項22】
前記水溶性又は水分散可能なパッケージが、複数の区画を有する、請求項21記載の単位用量界面活性剤組成物。
【請求項23】
前記水溶性又は水分散可能なパッケージが、ポリマーパッケージ材料を含む、請求項21又は22のいずれか1項記載の界面活性剤組成物。
【請求項24】
前記ポリマーパッケージ材料が、ポリビニルアルコール、セルロース及びセルロース誘導体、デンプン、ゼラチン、ポリグリコリド、ゼラチン及びポリ乳酸コポリマー、又はこれらの混合物又はコポリマーから選択される、請求項21〜23のいずれか1項記載の単位用量界面活性剤組成物。
【請求項25】
硬質表面上の染みを減少させる方法であって、硬質表面と、請求項1〜18のいずれか1項記載の組成物、又は請求項21〜24のいずれか1項記載の単位用量組成物とを接触させることによる、前記方法。
【請求項26】
自動食器洗浄機において実施される、請求項25記載の方法。

【公表番号】特表2013−507475(P2013−507475A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532666(P2012−532666)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051670
【国際公開番号】WO2011/042737
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(506429673)レキット ベンキサー ナムローゼ フェンノートシャップ (36)
【Fターム(参考)】